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C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

(1)

目  次

ページ

序文

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

2

3

  定義,記号及び添字

2

3.5

  表記方法

6

4

  あらゆる種類の計装についての一般概念及び共通要求事項

7

4.1

  計測対象の信号の特性

7

4.2

  測定器の精度クラス

7

4.3

  測定の種類

7

4.4

  計器の一般的構成

7

5

  高調波の測定

9

5.1

  電流入力回路

9

5.2

  電圧入力回路

9

5.3

  要求精度

10

5.4

  エミッション評価のための測定システム

11

5.5

  高調波エミッションの評価

12

5.6

  電圧高調波サブグループの評価

13

6

  その他の解析原理

14

7

  代替試験方法

14

8

  一般

15

附属書 A(参考)次数間高調波の測定

16

附属書 B(参考)高調波周波数を超え 9 kHz 以下の信号成分の測定

18

附属書 C(参考)グループ化の方法の技術的考察

20

附属書 JA(規定)代替試験方法

29

 


C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人電気学会

(IEEJ)  及び財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出

があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS C 61000-4-7 : 1997 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。

JIS C 61000

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS

C

61000-3-2

第 3-2 部:限度値−高調波電流発生限度値(1 相当たりの入力電流が 20 A 以下の機器)

JIS

C

61000-4-2

第 4 部:試験及び測定技術−第 2 節:静電気放電イミュニティ試験

JIS

C

61000-4-3

第 4-3 部:試験及び測定技術−放射無線周波電磁界イミュニティ試験

JIS

C

61000-4-4

第 4 部:試験及び測定技術−第 4 節:電気的ファストトランジェント/バーストイミ

ュニティ試験

JIS

C

61000-4-5

第 4 部:試験及び測定技術−第 5 節:サージイミュニティ試験

JIS

C

61000-4-6

第 4-6 部:試験及び測定技術−無線周波電磁界によって誘導する伝導妨害に対するイ

ミュニティ

JIS

C

61000-4-7

第 4-7 部:試験及び測定技術−電力供給システム及びこれに接続する機器のための高

調波及び次数間高調波の測定方法及び計装に関する指針

JIS

C

61000-4-8

第 4 部:試験及び測定技術−第 8 節:電源周波数磁界イミュニティ試験

JIS

C

61000-4-11

第 4 部:試験及び測定技術−第 11 節:電圧ディップ,短時間停電及び電圧変化に対

するイミュニティ試験

JIS

C

61000-4-14

第 4 部:試験及び測定技術−第 14 節:電圧変動イミュニティ試験

JIS

C

61000-4-16

第 4 部:試験及び測定技術−第 16 節:直流から 150 kHz までの伝導コモンモード妨

害に対するイミュニティ試験

JIS

C

61000-4-17

第 4 部:試験及び測定技術−第 17 節:直流入力電源端子におけるリプルに対するイ

ミュニティ試験

JIS

C

61000-4-20

第 4-20 部:試験及び測定技術−TEM(横方向電磁界)導波管のエミッション及びイ

ミュニティ試験

JIS

C

61000-6-1

第 6 部:共通規格−第 1 節:住宅,商業及び軽工業環境におけるイミュニティ

JIS

C

61000-6-2

第 6 部:共通規格−第 2 節:工業環境におけるイミュニティ


日本工業規格

JIS

 C

61000-4-7

:2007

(IEC 61000-4-7

:2002

)

電磁両立性−第 4-7 部:試験及び測定技術−

電力供給システム及びこれに接続する機器のための

高調波及び次数間高調波の測定方法及び

計装に関する指針

Electromagnetic compatibility (EMC)

Part 4-7 : Testing and measurement techniques

General guide on

harmonics and interharmonics measurements and instrumentation,

for power supply systems and equipment connected thereto

序文

この規格は,2002 年に第 2 版として発行された IEC 61000-4-7 を基に作成した日本工業規格である。た

だし,対応国際規格の箇条 に代替試験方法として,次の版が出るまで旧規格を適用できることを認めて

いるため,日本工業規格では,箇条 

附属書 JA として追加して規定した。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

1

適用範囲

この規格は,

50 Hz 及び 60 Hz の電力供給システムの基本波に重畳する 9 kHz 以下の周波数範囲内のスペ

クトル成分を測定することを目的とする計装に適用する。この規格では,高調波,次数間高調波,及びそ

れ以外の高調波周波数範囲(約 2 kHz)を超え 9 kHz 以下の成分を区別している。

この規格は,幾つかの規格で規定するエミッション限度値(例えば,JIS C 61000-3-2 で規定する高調波

電流限度値)に応じて機器の個別項目を試験するための測定計装並びに実際の電力供給システム内の高調

波電流及び高調波電圧の測定のための測定計装を規定する。高調波周波数範囲を超え 9 kHz 以下の測定の

ための計装は,暫定的に規定する(

附属書 参照)。

注記 1  この規格は,離散形フーリエ変換に基づく計器を詳細に扱っている。

注記 2  この規格における測定器の機能及び構造の説明は極めて明確で,文字どおりにとらえられる

ことを意図している。これは,入力信号の特性にかかわらず,再現可能な結果を基準測定器

がもっている必要性があるためである。

注記 3  測定器は,第 50 次までの高調波の測定値に対応するように規定している。

注記 4  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 61000-4-7 : 2002

,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4-7 : Testing and measurement

techniques−General guide on harmonics and interharmonics measurements and instrumentation,

for power supply systems and equipment connected thereto (IDT)


2

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

なお,対応の程度を表す記号 (IDT) は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,一致していることを

示す。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。

JIS C 60050-161

  EMC に関する IEV 用語

注記  対 応 国 際 規 格 : IEC 60050-161 , International Electrotechnical Vocabulary. Chapter 161 :

Electromagnetic compatibility (IDT)

JIS C 61000-3-2

  電磁両立性−第 3-2 部:限度値−高調波電流発生限度値(1 相当たりの入力電流が

20 A 以下の機器)

注記  対応国際規格:IEC 61000-3-2,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 3-2 : Limits−Limits

for harmonic current emissions (equipment input current <= 16 A per phase) (MOD)

3

定義,記号及び添字

この規格で用いる主な定義,記号及び添字は,JIS C 60050-161 によるほか,次による。

3.1

周波数解析に関する定義

文字記号:ゼロクロス点の観測によって位相角測定が容易に行えるため,この規格では,次の文字記号

をフーリエ級数の展開に用いる。

å

=

÷

ø

ö

ç

è

æ

+

+

=

1

1

0

sin

)

(

m

m

m

t

N

m

c

c

t

f

ϕ

ω

 (1)

ここに,

ï

ï

ï

ï

ï

î

ïï

ï

ï

ï

í

ì

<

÷÷ø

ö

ççè

æ

+

=

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

=

+

=

+

=

の場合)

の場合)

0

   

arctan

0

       

arctan

2

2

2

m

m

m

m

m

m

m

m

m

m

m

m

m

m

m

b

b

a

b

b

a

c

C

b

a

ja

b

c

π

ϕ

ϕ

 (2)

及び

ï

ï

ï

ï

î

ï

ï

ï

ï

í

ì

=

÷

ø

ö

ç

è

æ

×

=

÷

ø

ö

ç

è

æ

×

=

ò

ò

ò

w

0

w

0

w

0

1

w

w

0

1

w

)

(

1

cos

)

(

2

sin

)

(

2

T

T

m

T

m

dt

t

f

T

c

dt

t

N

m

t

f

T

a

dt

t

N

m

t

f

T

b

ω

ω

 (3)


3

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

ここに,

ω

1

:  基本波の角周波数  (

ω

1

=2

π

f

1

)

T

w

:  タイムウィンドウの幅(又は持続時間)(T

w

NT

1

T

1

=1/f

1

)。タ

イムウィンドウは,フーリエ変換を実行する時間関数のタイムス
パン

c

m

:  周波数

1

f

N

m

f

m

=

をもつ成分の振幅

N:  ウィンドウ幅内の基本周期の数

c

0

:  直流成分

m:  周波数基準  (f

w

=1/T

w

)  に関連する順序数(スペクトル線の順序)

注記 1  厳密にいうと,これらの定義は,定常的な信号だけに適用する。

離散形フーリエ変換 (DFT) のように,フーリエ級数は,実際にはほとんどの場合,デジタ

ル化して実行する。分析するアナログ信号 f

(t)  は,標本化し,A/D 変換の後,保存する。M

個のサンプルから成る各グループが,DFT を実行するタイムウィンドウを形成する。フーリ

エ級数展開の法則によると,ウィンドウ幅 T

w

が解析に対する周波数分解能 f

w

=1/T

w

(すなわ

ち,スペクトル線の周波数分離)を決定し,変換結果に対する周波数基準を決定する。した

がって,ウィンドウ幅 T

w

は,系統電圧の基本周期 T

1

の整数の倍数 でなければならない  (T

w

N×T

1

)。この場合,サンプリング周波数は,f

s

M/(NT

1

)  となる(は T

w

内のサンプル数)

DFT 処理の前に,タイムウィンドウ T

w

内のサンプルは特別な対称的関数“ウィンドウ生

成係数”を乗じることによって重みが加えられることが多い。ただし,周期信号及び同期サ

ンプリングについては,各サンプルを一律に乗じるレクタンギュラウィンドウを用いる方が

望ましい。

DFT プロセッサは,対応する高調波周波数 f

m

m/T

w

m=0,1,2...2

i

−1 の直交フーリエ

係数 a

m

及び b

m

を作る。ただし,の最大値の半分までの直交フーリエ係数だけが有効とな

る。後ろの半分は,前半の複製にすぎない。

十分な同期が取れている場合,基本周波数 f

1

に関連する高調波次数 は,nm/Nは T

w

の時間の数。

)によって与えられる。

注記 2  高速フーリエ変換 (FFT) は,計算時間を短くできる特別なアルゴリズムである。サンプル数

は,2 の整数べき乗,例えば i ≥ 10 として,M=2

i

でなければならない。

3.2

高調波に関する定義

3.2.1

高調波周波数,f

n

 (harmonic frequency)

電源(基本波)周波数の整数倍となる周波数  (f

n

n×f

1

)。

3.2.2

高調波次数,n (harmonic order)

電源周波数に対する高調波周波数の(整数)比。DFT 及び f

1

と f

s

(サンプリング周波数)との間の同期

を用いる解析に関して,高調波次数 は,nk/Nはフーリエ成分の順序数,は T

w

における周期 T

1

数)によって与えられる。

3.2.3

高調波成分の実効値,G

n

 (r.m.s. value of a harmonic component)

非正弦波の解析における高調波周波数をもつ一つの成分の実効値。

簡潔のため,その成分を単に“高調波”と呼んでもよい。

注記 1  高調波成分 G

n

は,kN×n:(G

n

C

Nn

)  として,スペクトル成分 C

k

と同一である。高調波成


4

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

分 G

n

は,必要に応じて電流の記号 I

n

又は電圧の記号 U

n

に置き換える。

注記 2  記号 C

k

は,式 (2) の mに対するスペクトル成分 C

m

の実効値を表す。

注記 3  この規格では,タイムウィンドウは,N=10(50 Hz のシステム)又は N=12(60 Hz のシス

テム)の基本周期の幅,すなわち,約 200 ms の幅をもつ(4.4.1 参照)

。これから,G

n

C

10n

(50 Hz のシステム)及び G

n

C

12n

(60 Hz のシステム)となる。

3.2.4

高調波グループの実効値,G

g,n

 (r.m.s. value of a harmonic group)

タイムウィンドウ内の一つの高調波の実効値とそれに隣接するスペクトル成分の実効値との 2 乗和の平

方根。したがって,隣接する複数のスペクトルのエネルギー成分とその高調波自身のエネルギー成分とが

足し合わされている。式 (8) 及び

図 参照。高調波次数は,考慮対象の高調波によって割り当てられる。

3.2.5

高調波サブグループの実効値,G

sg,n

 (r.m.s. value of a harmonic subgroup)

高調波の実効値とすぐそれに隣接した二つのスペクトル成分の実効値との 2 乗和の平方根。電圧検査中

の電圧変動の影響を含めるために,一つの高調波に隣接する周波数成分のエネルギー成分に,その高調波

自身のエネルギー成分を足し合わせることによって,DFT の出力成分のサブグループを得ている[式 (9)

及び

図 参照]。高調波次数は,考慮対象の高調波によって割り当てられる。

3.3

ひずみ率に関連する定義

3.3.1

総合高調波ひずみ率,THDTHD(記号)(total harmonic distortion)

基本波成分の実効値  (G

1

)  に対する指定された次数  (H)  以下のすべての高調波成分の実効値  (G

n

)  の比。

å

=

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

H

n

n

G

G

THD

2

2

1

 (4)

注記 1  記号

G

は,高調波成分の実効値を示す(3.2.3 参照)

。必要に応じて,電流の記号

I

又は電圧

の記号

U

に置き換える。

注記 2

H

の値は,限度値に関する各規格(JIS C 61000-3 及び IEC 61000-3 の規格群)で規定する。

3.3.2

グループ総高調波ひずみ率,THDGTHDG(記号)(group total harmonic distortion)

基本波に関連しているグループの実効値に対する高調波グループの実効値  (

g

)  の比。

å

=

÷

÷
ø

ö

ç

ç
è

æ

=

H

n

n

G

G

THDG

2

2

1

,

g

,

g

 (5)

3.3.3

サブグループ総高調波ひずみ率,THDSTHDS(記号)(subgroup total harmonic distortion)

基本波に関連しているサブグループの実効値に対する高調波サブグループの実効値  (

sg

)  の比。

å

=

÷

÷
ø

ö

ç

ç
è

æ

=

H

n

n

G

G

THDS

2

2

1

,

sg

,

sg

 (6)

3.3.4


5

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

部分重み付け高調波ひずみ率,PWHDPWHD(記号)(partial weighted harmonic distortion)

基本波の実効値に対する選択された高次高調波グループ(次数

H

min

から

H

max

まで)の高調波次数

n

で重

み付けされた実効値の比。

å

=

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

max

min

2

1

H

H

n

n

G

G

n

PWHD

 (7)

注記 1  部分重み付け高調波ひずみの概念は,高次高調波成分の集合に対して単一の限度値を規定す

る可能性を考慮するために導入する。部分重み付けグループ高調波ひずみは,

G

n

G

g,n

に置

き換えることによって測定可能である。部分重み付けサブグループ高調波ひずみは,

G

n

G

sg,n

に置き換えることによって測定可能である。

注記 2

H

min

及び

H

max

の値は,限度値に関する各規格(JIS C 61000-3-2 及び IEC 61000-3 の規格群)

で規定する。

注記 3

PWHD

は,IEC 61000-3-4 及び JIS C 61000-3-2 第 2 版で用いているため,この規格で規定し

ている。

3.4

次数間高調波に関する定義

3.4.1

次数間高調波成分の実効値  (r.m.s. value of an interharmonic component)

二つの連続する高調波周波数間の周波数をもつ信号のスペクトル成分の実効値(

図 参照)。

注記 1  次数間高調波成分の周波数は,スペクトルの周波数によって表す。この周波数は,基本周波

数の整数倍ではない。

注記 2  二つの連続するスペクトル間の周波数間隔は,タイムウィンドウの間隔の逆数であり,この

規格では約 5 Hz である。

注記 3  この規格では,次数間高調波成分は,

k

n

×

N

の場合,スペクトル成分

C

k

とみなす。

3.4.2

次数間高調波グループの実効値,C

ig,n

 (r.m.s. value of an interharmonic group)

二つの連続する高調波周波数間にあるすべての次数間高調波成分の実効値(

図 参照)。

注記  この規格では,高調波次数

n

n

+1 との間の次数間高調波グループの実効値を  “

C

ig,n

”  と表す。

例えば,第 5 次と第 6 次との間のグループは,“

C

ig,5

”  と表す。

3.4.3

次数間高調波中心サブグループの実効値,C

isg,n

 (r.m.s. value of an interharmonic centred subgroup)

高調波周波数に隣接する周波数成分を除く,連続した高調波周波数間の次数間高調波成分の実効値(

6

参照)

注記  この規格では,高調波次数

n

n

+1 との間の次数間高調波中心サブグループの実効値を  “

C

isg,n

と表す。例えば,第 5 次と第 6 次との間の次数間高調波中心サブグループは,“

C

isg,5

”  と表す。

3.4.4

次数間高調波グループ周波数,f

ig,n

 (interharmonic group frequency)

次数間高調波グループが位置している両側の,二つの高調波周波数の平均。

3.4.5

次数間高調波中心サブグループ周波数,f

isg,n

 (interharmonic centred subgroup frequency)

次数間高調波中心サブグループが位置している両側の,二つの高調波周波数の平均。


6

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

3.5

表記方法

3.5.1

記号及び略語

この規格では,特に断りがない限り,電圧及び電流の値は,実効値を示す。

フーリエ級数の正弦成分の振幅係数

フーリエ級数の余弦成分の振幅係数

フーリエ級数の振幅係数

ひずみ率

周波数,関数

f

1

 

基本波周波数

f

s

 

サンプリング周波数

1

累積確率関数の百分率

実行時間

サンプリングした値

帯域幅

スペクトルの実効値

重み付けしたひずみ率

F

c

 

周波数成分

考慮対象となる高調波の最大次数

Hz

ヘルツ

電流(実効値)

3 秒間のウィンドウ数

整数,ウィンドウ幅内のサンプル数

ウィンドウ幅内の周期数

電力

PCC  共通結合点

時間間隔

T

1

 

基本波周波数の周期

T

w

 NT

1

のウィンドウ幅(基本波周期の

N

倍)

電圧(実効値)

ω 

角周波数

ω

1

 

基本波の角周波数

ϕ

位相角

3.5.2

添字

中心帯域周波数

連続した整数

連続した整数

次数

m

のスペクトル値(整数でなくてもよい)

m

測定値

max  最大値


7

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

min

最小値

高調波次数,連続数(整数)

g,

高調波次数

n

に関する高調波グループ次数

g,1

 

基本波に関する高調波グループ次数

sg,

高調波次数

n

に関する高調波サブグループ次数

sg,1

 

基本波に関する高調波サブグループ次数

ig,

高調波次数

n

の上の次数間高調波グループ

isg,

高調波次数

n

の上の次数間高調波中心サブグループ

nom  公称値

r

定格値

s

サンプリングされた,同期のとれた

1

基本波

4

あらゆる種類の計装についての一般概念及び共通要求事項

4.1

計測対象の信号の特性

次の種類の測定を行うための計器を対象とする。

a)

高調波エミッション測定

b)

次数間高調波エミッション測定

c)

高調波周波数範囲を超え 9 kHz 以下の測定

厳密にいえば,高調波の測定は,定常信号に対してだけ行うことができる。変動信号(時間とともに変

化する信号)は,その高調波だけで正しく表すことはできない。ただし,相互比較可能な結果を得るため

に,変動信号に対し,容易で再現可能な手法を示している。

4.2

測定器の精度クラス

簡単で低価格な計装の使用を可能とするために,その用途の要求事項に応じた二つの精度クラス(Ⅰ及

びⅡ)を考慮する。エミッション試験において,エミッションが限度値に近い場合は,上位クラスⅠを適

用する。

4.3

測定の種類

高調波及び次数間高調波測定の要求事項を規定する。9 kHz 以下の周波数範囲の測定も対象とする。

4.4

計器の一般的構成

計器の新規設計では,離散形フーリエ変換 (DFT) を用いる場合が多く,通常,高速フーリエ変換 (FFT)

と呼ばれる高速アルゴリズムを用いている。したがって,この規格では,この構成だけを考察しているが,

その他の解析法を除外するものではない(箇条 参照)

一般的構成を

図 に示す。計装は,示されているすべてのブロック及び出力を構成する必要はない。

4.4.1

主計器

主計器は,次で構成する。

−  アンチエイリアシングフィルタ付き入力回路

−  サンプルホールドユニットを装備した A/D 変換器

−  必要な場合,同期及びウィンドウ生成ユニット

−  フーリエ係数

a

m

及び

b

m

を算出する DFT プロセッサ(出力端子 1)

主計器は,電流測定及び/又は電圧測定専用の特殊部品によって補完する。


8

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

注記 1  詳細は,5.5 を参照。

注記 2  高調波及び次数間高調波の解析では,解析する信号

f

 

(

t

)  は,前処理によって計器の可動範囲

よりも高い周波数を除去する。

この規格に完全に適合するために,タイムウィンドウは,レクタンギュラ重み付けを行い 10(50 Hz シ

ステム)又は 12(60 Hz システム)周期とする(箇条 参照)

。ハニング重み付けは,同期外れの場合にだ

け認める。同期外れのときは,計器の画面上に表示し,得られたデータには,目印を付ける。

タイムウィンドウは,50 Hz 又は 60 Hz の電力供給システムの周波数に応じて,10 又は 12 周期から成る

各グループに同期させる。最初のサンプリングパルスの立上がりから  (

M

+1)  番目のサンプリングパルス

M

は,サンプルの数。3.5.1 参照。

)の立上がりまでの時間は,最大許容誤差を±0.03 %としたうえで,

電力供給システムに応じた指定サイクル数の持続時間と同じでなければならない。フェーズロックループ

又はその他の同期手法を備えた計器は,少なくともシステムの公称周波数の±5 %範囲内における測定に

ついて,精度及び同期の要求事項を満足しなければならない。ただし,一体形電源を備えた計器,すなわ

ち,電源と測定システムとが本質的に同期するものについては,同期及び周波数精度についての要求事項

を満足している場合,使用入力周波数範囲についての要求事項は,適用しない。

出力(出力端子 1,

図 参照)は,電流又は電圧について,DFT の個別係数

a

m

及び

b

m

,すなわち,計算

された各周波数成分の値を出力しなければならない。

図 1−測定器の一般的構成

別の出力端子(DFT からでなくてもよい)が,高調波に用いられたものと同じタイムウィンドウ全体に

わたって測定された有効電力

P

を提供しなければならない。JIS C 61000-3-2 に従って高調波エミッション

測定を行うためには,この電力に直流成分の電力が含まれてはならない。

注記 3  有効電力

P

は,グループ化処理ではなく,平滑化処理に対する入力として提供する。

注記 4  直流成分の測定及びそれに伴う電力の測定を選択肢として含めてもよいが,この規格では要

求していない。

4.4.2

後処理部

入力電圧

入力電流

前処理

前処理

サンプリング

周波数生成

サンプリング

DFT

グループ化

平滑化

適合の確認

有効電力の入力

(

注記 1 参照)

出力端子 1

出力端子 2a

出力端子 2b

出力端子 3

主計器


9

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

エミッション規格に従って,計器の一連の処理部で,加工されていないデータの平滑化及び重み付けの

ような実測値に対する追加作業を行う。

複数の出力値を,一つの対応する値(基本波値,宣言値又は公称値)に関連付けなければならない場合,

この処理は,必ず追加の平滑化工程の後に行う。

5

高調波の測定

5.1

電流入力回路

入力回路は,解析対象の電流に適したものとし,高調波電流を直接測定できなければならない。さらに,

この入力回路には,外部シャント抵抗(又はシャント抵抗付き変流器)を備える低電圧高インピーダンス

電圧特性をもつことが望ましい。適切な入力感度は,0.1 V∼10 V の範囲であり,5.3 の要件に従った 0.1 V

単位の値とする。

注記  直接電流測定は,次の公称入力電流(実効値)の測定範囲を備えることが望ましい。

I

nom

:0.1 A,0.2 A,0.5 A,1 A,2 A,5 A,10 A,20 A,50 A,100 A。

入力回路の損失電力は,クラスⅡ計装の場合で 3 VA を超えてはならない。クラスⅠ計装の場合は,電

圧降下が 0.15 V を超えてはならない。

いずれの電流入力回路も,公称入力の 1.2 倍の過電流が連続して加わっても問題がなく,更に 10 倍の過

電流を 1 秒間加えても損傷してはならない。

測定器は,実効値 5 A 以下の測定範囲では波高率 4 以下,実効値 10 A 以下の測定範囲では波高率 3.5 以

下,それ以上の測定範囲では波高率 2.5 以下の入力信号を許容しなければならない。

測定器は,過負荷表示を備えなければならない。

精度要求全般は,

表 による。

その他の要件は,箇条 を参照。

注記  直流成分は,測定する電流ひずみと関連することが多い。直流成分は,入力用変成器の大きな

誤差要因となり得る。製造業者は,直流成分による誤差が表示精度を超えないよう,計器仕様

に直流成分の最大許容量を記載することが望ましい。

5.2

電圧入力回路

入力回路は,解析対象の最大電源電圧及び周波数に適し,最大電圧の 1.2 倍までは,特性及び精度を維

持しなければならない。波高率は,通常,1.5 以上で十分とする。ただし,電圧ひずみ率の大きい工業地帯

では,2 以上が必要になることもある。いずれの場合も,過負荷表示を備えなければならない。

入力電圧の 4 倍又は実効値 1 kV のいずれか小さい方の交流電圧を 1 秒間印加したとき,計器が損傷して

はならない。

地域によって 60 V から 690 V まで多くの公称電源電圧があるが,

測定器の一般的な使用が可能なように,

入力電圧は,次のいずれかの公称電圧で設計することが望ましい。

U

nom

:50 Hz システムの場合,66 V,115 V,230 V,400 V,690 V

U

nom

:60 Hz システムの場合,69 V,120 V,240 V,277 V,347 V,480 V,600 V

注記 1  外部電圧変成器を用いて,測定範囲を追加してもよい(100 V,

V

3

100

V

3

110

注記 2  高感度入力 (0.1 V,1 V,10 V)  は,外付けセンサ使用時に有用である。このとき,入力回路

は,波高率 2 以上の入力に対応することが望ましい。

入力回路の電力消費は,230 V 時で 0.5 VA を超えてはならない。高感度入力(50 V 以下)を備えている

場合,入力抵抗は,10 k

Ω/V 以上とする。


10

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

基本波の電圧が測定対象電圧と比較して高い場合にも,過負荷による損傷又は機器の入力段における信

号の干渉が生じないよう注意することが望ましい。これによって発生する誤差は,表示精度以下とし,過

負荷表示を備えなければならない。

5.3

要求精度

高調波成分測定装置には,二つのクラスがある。

表 に示す最大許容誤差は,製造業者が指定する動作

環境(温度範囲,湿度範囲,測定器電源電圧など)での,動作周波数範囲内の単一周波数及び定常状態信号

の場合だけを示す。

注記  JIS C 61000-3-2 の規定に従って機器を試験する場合,誤差は,許容限度の 5 %,又は EUT の定

格電流  (

I

r

)  の 0.15 %の大きい方による。計装の適切な入力レンジを選択するときには,このこ

とに注意することが望ましい。

表 1−電流,電圧及び電力測定に要求される精度

クラス

測定

条件

最大許容誤差

U

m

≧1 % U

nom

±5 % U

m

電圧

U

m

< 1 % U

nom

±0.05 % U

nom

I

m

≧3 % I

nom

±5 % I

m

電流

I

m

< 3 % I

nom

±0.15 % I

nom

P

m

≧150 W

±1 % P

nom

電力

P

m

< 150 W

±1.5 W

U

m

≧3 % U

nom

±5 % U

m

電圧

U

m

< 3 % U

nom

±0.15 % U

nom

I

m

≧10 % I

nom

±5 % I

m

電流

I

m

< 10 % I

nom

±0.5 % I

nom

I

nom

  測定器の公称電流

U

nom

  測定器の公称電圧

U

m

及び I

m

  測定値

注記 1  規格を遵守していることの検証,疑義が生じた場合の測定など,高精度な測定が必要な場合には,クラスⅠ

の測定器が望ましい。クラスⅠに準拠する任意の二つの測定器で同一の信号を測定した場合には,規定誤差
の範囲内で結果が一致(又は過負荷表示出力)しなければならない。

注記 2  エミッション測定には,クラスⅠの測定器が,一般的な検査には,クラスⅡが望ましい。ただし,測定値が

許容限度値の 90 %以下の場合など,許容限度値を超えないことが明らかで測定精度が問題にならない場合
は,クラスⅡをエミッション測定に用いることができる。

注記 3  さらに,クラスⅠの測定器では,個々のチャネル間の位相差は,n×1°以下であることが望ましい。

測定器の測定範囲外の周波数成分は,測定結果に影響を与えないように減衰させる。確実に減衰できる

ように,測定器の入力サンプリングは,測定範囲より極めて高い周波数としてもよい。例えば,解析対象

信号には 25 kHz を超える成分が含まれていても,2 kHz までの成分だけを考慮する。アンチエイリアシン

グフィルタは,

測定範囲の上側で 3 dB の減衰,

阻止帯域で 50 dB を超える減衰が得られるものが望ましい。

注記  例えば,第 5 次のバターワースフィルタでは,減衰量 3 dB の周波数の約 3 倍の周波数で,50 dB

の減衰が得られる。

5 A を超える第 15 次より高次の周波数をできるだけ誤差なく測定する必要がある場合は,外部シャント

又は測定装置の公称入力範囲に変換する電流センサを用いることが望ましい。

高調波の測定だけを目的とする計装の場合,精度要求は,高調波成分にだけ適用する。


11

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

表 の精度を得るため,製造業者によって明示された方法で,内部又は外部の校正器を用いた簡単な計

器の校正を必要とすることもある。内部校正器の場合は,その校正器の誤差も指定する。

製造業者は,計装自体,及び内部校正器を備えている場合は,それについても,最も影響の大きい要因

(温度,主電源電圧など)による誤差を表示する。

5.4

エミッション評価のための測定システム

測定システムは,

図 及び図 による。

U

S

電源電圧(電圧線−中性線)

U EUT 端子電圧 
Z

L,N

配線及び電流検出部のインピーダンス

EUT

供試機器

U

Z

L

から Z

N

にわたる電圧降下  (

U=∆U

L

U

N

)

L

電圧線


U

T

電 
 
 

L

U

S

N

U

N

U

L

Z

L

Z

N

N

中性線

図 2−単相エミッション測定のための測定システム

U

S

電源電圧(電圧線−中性線)

U EUT 端子電圧

Z

L,N

配線及び電流検出部のインピーダンス

EUT

供試機器

U

Z

L

から Z

N

にわたる電圧降下  (

U=∆U

L

U

N

)  相間接続

の場合は,

U

2

× ∆U

L

L

1–3

電圧線


U

T

 
 
 

U

S

N

L

3

U

 

U

N

U

L

Z

L

Z

N

Z

L

Z

L

L

2

L

1

N

中性線

図 3−三相エミッション測定のための測定システム

測定が行われている間,EUT の端子での試験電圧

U

は,次の要求事項を満足しなければならない。

a)

試験電圧は,長期的に選択値の±2 %以内に維持しなければならない。また,周波数は,選択値の±

0.5 %以内に維持しなければならない。EUT の電源電圧が範囲で指定されている場合,試験電圧は,

機器に供給されることが想定される電力系統の公称電圧(例えば,電圧線−中性線 230 V,電圧線−

電圧線 400 V に対応)に一致させる。三相 3 線接続については,中性線が電源から配線できない場合,

1 %以内に整合した三つの抵抗器で実現させた擬似中性点を用いる。擬似中性点は,電圧線−電圧線

と同様に電圧線−中性線構成でも電圧及び相当たり電力の測定を可能にする。測定器の電圧計測部及

び擬似中性点ネットワークの影響によって,エミッション試験の間に EUT 電流測定に発生する誤差は,

0.05 %を超えてはならない。

注記  多くの場合,擬似中性点は,必要ない。ただし,必要な場合には,幾つかの方法を用いる。

測定装置における各電圧計の三つの入力インピーダンスから得てもよい。又は,擬似中性点

は,測定装置における各電圧計の入力インピーダンス,及び用いるネットワークの結合で実

質的に構成することもできる。擬似中性点ネットワークが存在する場合には,電圧計の入力

インピーダンスが電流測定に誤差を発生させないように接続することもできる(電流トラン

スデューサの電源側の負荷になるため。

。さらに,このほかの場合では,擬似中性点ネット


12

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

ワークの影響,及び測定装置中の各電圧計の入力インピーダンスによって生じる誤差は,電

源中のフィードバックループを調整することによって十分に補正される。その結果,可能性

のある誤差は,実際に生じることはない。要求される誤差を超えない場合,その他の多くの

構成でも満足できる。

b)

三相電源の場合は,三つの線間電圧は,0°,120°±1.5°及び 240°±1.5°の位相関係とする。

c) EUT

試験電圧

U

の電圧高調波ひずみは,EUT を規定する試験条件で接続し,動作する状態で次の値

を超えてはならない。

−  第 3 次高調波に対して 0.9 %

−  第 5 次高調波に対して 0.4 %

−  第 7 次高調波に対して 0.3 %

−  第 9 次高調波に対して 0.2 %

−  第 2 次から第 10 次までの偶数高調波に対して 0.2 %

−  第 11 次から第 40 次までの高調波に対して 0.1 %

d)

試験電圧のピーク値は,実効値の 1.40∼1.42 倍の範囲内とし,ゼロクロスの後,87°∼93°に到達し

なければならない。

e)

電流検出部及び配線のインピーダンスによる電圧降下

U

は,

0.5 V のピーク電圧を超えてはならない。

機器の電力は,必要な場合,

図 又は図 の EUT 端子電圧

U

,及び EUT への電流を用いて測定する。

電流検出部を含む電源については,機器の電力は,電源出力端子の電圧,及び EUT への電流を用いて測定

する。この場合,電圧は,電源がその出力端子で調整されるという仮定で,電流検出部の EUT 側で測定す

る。

5.5

高調波エミッションの評価

次は,

図 の後処理部と関係する。

5.5.1

グループ化及び平滑化

高調波の評価については,DFT の出力(出力端子 1,

図 参照)が式 (8) によって隣接した二つの高調

波間のスペクトルの 2 乗の合計として最初にグループ化し,

図 のように図示できる。結果的に,第

n

(塗りつぶしたエリアの中心に対応)の高調波グループは,振幅

G

g,n

(実効値)をもつ。

システム)

システム)

Hz

60

   

2

2

Hz

50

   

2

2

2

6

5

5

2

2

6

2

,

g

2

5

4

4

2

2

5

2

,

g

+

=

+

+

=

+

+

+

=

+

+

=

å

å

k

i

i

k

k

n

k

i

i

k

k

n

C

C

C

G

C

C

C

G

 (8)

式 (8) において,C

k

i

は,DFT の出力であるスペクトル成分の実効値で,G

g,n

は,高調波グループの実

効値となる。

次数間高調波

グループ

DFT 出力

高調波次数

高調波

グループ

n+2

n+4

n+1

n+2

n+3

n+4

n+5

n+6


13

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

図 4

高調波及び次数間高調波グループ

50 Hz

システム用を示す

注記

  定義を明確にするためだけに,次数間高調波のグループ化を

図 4

に示す(次数間高調波電流の

評価に関しては,

附属書 A

を参照。

信号の平滑化は,各高調波次数の実効値 G

g,n

に対して,式 (8)(

図 1

の出力端子 2a)に従って実行し,

図 5

に示すように 1.5 秒の時定数を備えた第 1 次ローパスフィルタのデジタル等価回路を用いる。z

-

1

は,

タイムウィンドウ遅れを示す。

出力

入力

加算

1

α

β

z

−1

図 5

デジタルローパスフィルタの実現

基本波成分 G

1

(例えば,

JIS C 61000-3-2

のクラス C 及びひずみ率を求めるために必要)については,

出力端子 1 からの実効値 G

1

に同じ平滑化を行う。

有効電力 及び力率(例えば,

JIS C 61000-3-2

のクラス C 及び D に必要)については,出力端子 1 か

らの有効電力値の絶対値を同じように平滑化を行う。

注記

  絶対値をとるのは,回生システムにも適用するためである。

高調波電圧の調査に対応するためには,異なったタイプの平滑化を用意することが望ましい。その出力

は,式 (8) を用いて 15 の隣接したタイムウィンドウ上の平均値成分から得られ,タイムウィンドウごと

(約 200 ms)又は 15 のタイムウィンドウごと(約 3 s)のいずれかで更新する。

5.5.2

エミッション限度値への適合性

エミッション限度値への適合性評価は,

JIS C 61000-3-2

のような,対応する規格の中で規定する条件に

沿って,出力端子 2b からのデータを統計処理することによって行う。

エミッション限度値が THD 以外の

3.3

によるひずみ率を含んでいる場合,これらのひずみ率は,出力端

子 2a の値を用いて計算する。

5.6

電圧高調波サブグループの評価

フーリエ解析は,信号が定常であると仮定している。ただし,電力システムの電圧の大きさは変動し,

高調波成分のエネルギーが隣接する次数間高調波周波数へ分散する可能性がある。電圧の評価精度を向上

させるために,

DFT の 5 Hz ごとの出力成分 C

k

を式 (9) 及び

図 6

に従ってグループ化しなければならない。

å

=

+

=

1

1

2

2

,

sg

i

i

k

n

C

G

 (9)


14

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

高調波

サブグループ

n + 2

次数間高調波

中心サブグループ

DFT 出力

高調波次数

n + 4

n

n + 1 n + 2

n + 3

n + 4

n + 5

n + 6

図 6

高調波サブグループ及び次数間高調波中心サブグループ

50 Hz

システム用を示す

注記

  電圧サブグループを評価するための別の平滑化手順は,

IEC 61000-4-30

で規定する。

6

その他の解析原理

この規格では,DFT 計器を基準計器として規定しているが,

(デジタル)フィルタバンク,ウェーブレ

ット解析などの解析原理を除外するものではない。

また,1 周期だけの短いタイムウィンドウが考えられるが,非定常信号は,そういった手段では評価で

きないため,非定常信号のエミッション限度値との適合を評価するために,そのような計器を用いないこ

とが望ましい。

別の解析原理に基づく計器の仕様には,信号の非定常特性,エイリアシング現象及び同期外れを含むす

べての影響要因によって生じる誤差の範囲を記載する。誤差は,箇条

5

の要求事項が満たされる程度とす

る。

7

代替試験方法

附属書 JA

で規定する要求事項に基づく測定器も,使用できる。ただし,そのような測定器で測定した

結果を表示する場合には,

JIS C 61000-4-7 

: 2007 の

附属書 JA

による測定”と明記しなければならない。

附属書 JA

に従って 16 サイクルのウィンドウを用いた測定器による測定のために,平滑化(

図 1

の出力端

子 2b)の方法は

表 2

に従って修正しなければならない。フィルタは,

図 5

に示すように実現しなければな

らない。

表 2

ウィンドウ幅に従った平滑化フィルタの係数

周波数

Hz

ウィンドウのサイクル数

N

サンプリングレート

α 

β 

50 10 ≒1/200 ms

8.012

7.012

60 12 ≒1/200 ms

8.012

7.012

50 16 ≒1/320 ms

5.206

4.206

60 16 ≒1/267 ms

6.14

5.14

注記 10/12 サイクルのウィンドウの係数及びサンプリングレートは,図 の参考のために記載してある。

8

一般

製造業者は,定格動作条件及び,次の項目の変更によって生じる誤差の大きさを指定する。

−  温度

−  湿度


15

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

−  計器の電源電圧及び関連する直列干渉

−  計器の入力回路の接地接続と補助電源電圧との間のコモンモード干渉電圧

−  静電気放電

−  放射電磁界

注記

  安全性及び絶縁要求事項について

JIS C 1010-1

を適用する場合,入力回路(電圧及び電流)を

主電源電圧に直接接続してもよいことを考慮することが望ましい。


16

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

附属書 A

参考)

次数間高調波の測定

この附属書は,次数間高調波の測定について記載するものであって,規定の一部ではない。

次数間高調波成分は,主に二つの原因によって生じる。

−  基本波成分及び/又は高調波成分の振幅及び/又は位相角の変化。例えば,インバータドライブ。

−  電源周波数に同期していないスイッチング周波数を伴うパワーエレクトロニクス回路,例えば,交流

/直流電源及び力率改善装置。

可能性がある影響には,例えば,次のようなものがある。

−  音声増幅器のノイズ

−  電動機又は発電機に対する余分なトルク。

−  ゼロクロス検出器の乱れ,例えば,調光器。

−  誘導コイルの余分なノイズ(磁気ひずみ)。

−  リプル制御レシーバの不動作又は意図しない不要動作。

測定設備は,箇条

4

に示す概要に基づく。

通常,次数間高調波成分は,大きさだけでなく周波数も変動する。隣接する高調波成分間のスペクトル

成分のグループ化によって,次数間高調波グループが形成される。このグループ化によって,隣接する高

調波の間の次数間高調波成分の全体値が得られ,この全体値には,高調波成分の変動の影響も含まれる。

電源周波数に従って式 (A1) 又は式 (A2) から,次数間高調波グループの値を計算できる。

システム)

Hz

50

   

9

1

2

2

,

ig

å

=

+

=

i

i

k

n

C

C

(A1)

システム)

Hz

60

   

11

1

2

2

,

ig

å

=

+

=

i

i

k

n

C

C

(A2)

注記

  この式において,ig,は,次の次数間高調波グループとなる(

図 4

及び

3.4.2

参照)

。この規格

の目的のために,高調波次数 と n+1 との間の次数間高調波グループの実効値を C

ig,n

と表示

している。例えば,n=5 と n=6 との間の次数間高調波グループは,C

ig,5

と表示する。

高調波の大きさ及び位相角の変化の影響は,式 (A1) 及び式 (A2) から,高調波周波数と直接隣接する

成分とを除外することによって,部分的に低減される。また,次数間高調波中心サブグループの実効値 C

isg,n

を決定するために,それらの成分,すなわち,

図 1

の DFT の出力端子 1 における出力データは,次のよう

に再グループ化される(

3.4.3

参照)

システム)

Hz

50

   

8

2

2

2

,

isg

å

=

+

=

i

i

k

n

C

C

(A3)

システム)

Hz

60

   

10

2

2

2

,

isg

å

=

+

=

i

i

k

n

C

C

(A4)

これらの式では,C

k

i

は,DFT から得た,高調波次数 の周波数を超えた対応するスペクトル成分の実

効値であり,C

isg,n

は,次数 の次数間高調波中心サブグループの実効値である(例えば,n=5 と n=6 と

の間のサブグループは,C

isg,5

と表示する。

図 6

及び

3.4.3

を参照。


17

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

注記 1

  非定常高調波は,高調波に近い“側波帯”を生じるため,対象となる高調波に直接隣接する

成分(k=1 及び 9 又は 11)が,大きさ又は位相角の変化を示すことがある。したがって,こ

れらの成分は,次数間高調波中心サブグループを得るために,次数間高調波グループから除

く。

図 6

も参照。

注記 2

  高調波だけの数値を求める場合は,グループ化の式 (8) を適用する。次数間高調波を発生さ

せやすい機器の評価のためなど,高調波及び次数間高調波の数値を個別に求める場合は,高

調波に直接隣接する次数間高調波成分(i=−1 及び+1)は,この高調波とともにグループ化

され,次数 の高調波サブグループを形成する。一方,残る次数間高調波成分(i=2∼8 又は

10)は,式 (A3) 又は (A4) によって,次数 の次数間高調波中心サブグループを形成する。

図 6

も参照。

次数間高調波中心サブグループの平滑化は,高調波の測定に用いるものと同じ方法で行う(

5.5.1

参照)

単一の次数間高調波成分の平滑化は,行わない。

注記

  平滑化の手順の追加の情報は,

IEC 61000-4-30

に記載してある。

要求される精度は,高調波の測定に対して規定しているものと同じである(

表 1

参照)


18

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

附属書 B

参考)

高調波周波数を超え 9 kHz 以下の信号成分の測定

この附属書は,高調波周波数を超え,9 kHz 以下の信号成分の測定について記載するものであって,規

定の一部ではない。

B.1

一般

高調波周波数範囲(約 2 kHz)を超え,低周波数範囲の上限(約 9 kHz)以下の信号(電流又は電圧)の

成分は,例えば,次のような幾つかの現象が原因で生じる。

−  力率改善システムに用いるような,電源側の接続部における電源の周波数に同期又は非同期の電力供

給のパルス幅変調制御装置

−  電力線搬送の信号などのエミッション

−  電力変換装置の負荷(出力)側から電力システム(入力)側へのフィードスルー

−  転流ノッチによる振動

これらの成分は,単一の周波数でも帯域をもってでも存在し得る。

B.2

測定方法

これらの成分の測定は,周波数領域での高い分解能を要求しない。代わりに,解析する信号のエネルギ

ーをあらかじめ定義した周波数帯域にグループ化することが一般的である。

高周波領域で行う測定

CISPR 

16-1

参照)と同じように,これらの発生量のグループ化のためのバンド幅は 200 Hz に固定することが望ま

しい。最初のグループの中心周波数は 2.1 kHz が考えられる。

周波数解析には,DFT(箇条

4

に規定する手法に関連)及びグループ化には,

5.5.1

で規定する方法と類

似した手法を検討中である。DFT は,電圧測定及び電流測定ともに適しているが,一方,

CISPR 16-1

は,

電圧測定だけを対照としている。

注記

CISPR 16-1

,Specification for radio disturbance and immunity measuring apparatus and methods−Part

1 : Radio disturbance and immunity measuring apparatus

B.3

基準計器

このような高周波帯域における測定は,

4.4.1

及びこの附属書に従って,離散フーリエ変換によって実行

できる。

注記

  測定のための電圧及び電流センサの周波数範囲は,2 kHz∼9 kHz の範囲での測定に適切である

ことが望ましい。

測定対象の信号が低レベルであることを考慮すると,フィルタによって,基本波及び 9 kHz を超える成

分の振幅を減衰することで測定の誤差をかなり低減できる。基本波周波数に対する減衰は,55 dB を超え

ることが望ましい。

9 kHz 以下の周波数成分を測定できるように,信号解析の理論に従って,サンプリング周波数を選択す

ることが望ましい。このような解析については,サンプリングは供給電力の基本波周期に同期する必要は

ない。50 Hz (60 Hz)システムの 5 (6)  回の基本周期に対応して,100 ms 幅のレクタンギュラデータ取得窓


19

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

を用いることが望ましい。したがって,測定された連続する成分 C

f

間の周波数間隔は,10 Hz である。

注記

  周波数 における成分の実効値は,C

f

である,例えば,C

3 160

は,3 160 Hz における成分の実効

値である。

未処理の DFT 出力(

図 1

中の出力端子 1)は,高調波領域を超えた最初の中心帯域,例えば,2 100 Hz

から開始して,200 Hz の幅でグループ化される(

図 B.1

参照)

。各帯域の出力 G

b

は,式 (B1) による実効

値である。

å

+

=

=

100

)

Hz

(

90

2

b

b

f

f

b

C

G

(B1)

注記 1

 200

Hz のグループ化は,9 kHz を超える周波数に対して

CISPR 16-1

で用いている帯域幅に一

致するように選定した。

注記 2

  中心周波数 b,例えば,2 100 Hz,2 300 Hz,2 500 Hz は,帯域を規定する。最大の中心周波

数は,8 900 Hz である(

図 B.1

参照)

図 B.1

2 kHz

9 kHz の範囲における測定周波数帯域の説明図

B.4

測定回路

電流及び電圧に関するエミッション評価をする場合,測定結果の再現性を実現するために,基準計器に

加えて特別の回路を追加することが望ましい。その回路は,適切な周波数帯域において電力供給システム

を正しく表し,必要であれば測定器のための独立した端子をもつものであるが,現在開発中であり,この

規格の将来の改正版に取り入れられるのが望ましい。

B.5

性能要求事項

対象としている周波数帯域において,単一周波数エミッションで試験を行った場合,総合の誤差は,測

定値の±5 %を超えないことが望ましい。

注記

  基本波電流又は電圧の振幅と比較すると,測定される成分は 2×10

5

∼5×10

5

の範囲にあるこ

とが予想される。


20

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

附属書 C 

参考)

グループ化の方法の技術的考察

この附属書は,グループ化の方法の技術的考察について記載するものであって,規定の一部ではない。

この規格で規定する測定方法は,慎重な検討,並びに測定帯域幅及び周波数分解能のような相反する目

的の比較考察を必要とする。信号の特性を示すときに,実用的な測定を規定する必要性から,究極的な精

度を達成できずに結果的に妥協している。この附属書に,幾つかの特に難しい問題の解決を図るための検

討事項を記載する。

注記

  この規格においては,特に明記しない限り,電圧値及び電流値は,実効値とする。

C.1

信号の時間領域表示及び周波数領域表示の電力の等価性

レイリー (Rayleigh) のエネルギー理論としても知られるパーセヴァル (Parseval) の関係式は,周波数領

域で表された信号電力(又はエネルギー)に対する時間領域で表された信号電力(又はエネルギー)の等

価を定義している。

[ ]

ω

ω

π

d

j

G

dt

t

g

ò

ò

+∞

+∞

=

2

2

)

(

2

1

)

(

(C1)

ここに,

(t): 時間関数

(j

ω): 関数の複素フーリエ変換

ω=2 π

注記

  電力は,電圧又は電流の二乗に比例するので,信号の二乗は,信号の“電力”となると解釈す

る。例えば,g (t)  が電圧の時間関数であると仮定すると,式の左側の物理的大きさ(時間領域)

は,V

2

 s(“エネルギー”)となる。フーリエ変換は,電圧のスペクトル密度を示し,例として,

(j

ω)は,V/Hz 又は V s の大きさをもつことになる。すなわち,式の右側も,大きさ V

2

 s(“エ

ネルギー”

)を示す。

関数が周期的ではない場合,そのスペクトルは連続するが,関数が周期的である場合,関数はタイムウ

ィンドウ T

w

で表すことができる。すなわち,タイムウィンドウの無限反復によって,総関数 g  (t)  が得ら

れることとなる。これをフーリエ変換することによって,この時間制限信号は,連続ではなくなり,f

w

1/T

w

の周波数間隔の複数のスペクトル線で構成される。周波数 fk×f

w

における(複素)スペクトル線の

実効値の二乗である G

k

2

とタイムウィンドウ T

w

との積は,ff

w

/2∼ff

w

/2 を統合した連続スペクトル密度

のおおよその“エネルギー”を表す。すべてのスペクトル線によって得られた“エネルギー”の和は,ウ

ィンドウの中の時間関数の“エネルギー”と等量である。

“エネルギー”をウィンドウ時間 T

w

で除するこ

とによって,式 (C2) が得られる。

( )

[ ]

å

ò

−∞

=

+

=

k

k

T

T

G

dt

t

g

T

2

2

/

W

2

/

W

2

W

1

(C2)

ここに,式の左側は,ウィンドウの中の時間関数の平均“電力”に相当し,右側は,スペクトル内のす

べての線の総“電力”に相当する。

フーリエ変換の特性は,負周波数でのスペクトル線は,同じ正の周波数でのスペクトル線に対する共役


21

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

複素数となっている,すなわち,

“電力”スペクトルは,周波数 f=0 に関して対称であるということであ

る。スペクトルの負部分を正部分の上に折り重ねることによって,式 (C2) が簡素化される。

( )

[ ]

å

ò

=

+

+

=

1

2

2

0

2

/

W

2

/

W

2

W

2

1

k

k

T

T

G

G

dt

t

g

T

(C3)

本体の式 (3) によるフーリエ成分の振幅 c

k

の定義は,T

w

ではなく,T

w

/2 に関連付けられる(T

w

に関連

する c

0

は除外する。

。すなわち,C

k

=2×G

k

又は

k

k

G

C

×

= 2

である。したがって,式 (C3) は,次のよう

に書き換えることができる。

( )

[ ]

å

å

ò

=

=

+

=

+

=

0

2

1

2

2

0

2

/

W

2

/

W

2

W

1

k

k

k

k

T

T

C

C

c

dt

t

g

T

(C4)

実際には,その和の係数の数は,k=1…に制限しなければならない。信号が,周波数 f

K

≤ K×f

w

に“帯

域制限”されている場合,次数が k > の係数に関連付けられる“電力”はゼロであり,その係数を式 (C4)

における和から除外できる。周波数 f

K

は,計器の作動周波数範囲より十分に小さいことが望ましい。

C.2

デジタル計測の特性

この規格においては,デジタル測定器を考察している。シャノン (Shannon) の定理を実現するため,原

則として,C

K

までの全係数を計算できるよう,サンプリング周波数 f

s

>  2×f

K

で,時間信号を抽出するこ

とが望ましい。タイムウィンドウ内のサンプル数は,Nf

s

×T

w

である。

上記の理想的な条件,すなわち,デジタル化された信号が,実数で,周期的であり,かつ,帯域制限さ

れており,タイムウィンドウが信号周期に同期している状態で,式 (C4) は,次のように表示できる。

[

]

å

å

=

=

=

2

/

0

2

2

1

)

(

1

N

k

k

N

i

i

C

t

g

N

(C5)

ここに,  g (t

i

): サンプリングポイントにおける時間関数の値

t

i

i×T

w

/N

式 (C5) は,周波数領域成分の実効値含有量が,信号(この場合は,サンプルされ,デジタル化された

信号)の時間領域表示の実効値含有量に等しいことを示す。パーセヴァルの関数式は,電力スペクトルが,

ある特定の状況での時間領域信号を正確に表しているか否かを確認するのに利用してよい。

上記に規定した理想的な条件で,この規格で規定する方法によって算出した電力スペクトルは,規定し

たタイムウィンドウの間に測定された信号の中に存在するスペクトル成分の平均電力を返す。電力スペク

トルは,信号の総電力,個々の周波数成分の電力及びそれらの成分の周波数を正確に表している。実際の

状況では,測定した信号のすべての成分が,

“基底”周波数 f

w

=1/T

w

の正確な高調波である場合に,理想的

な条件が存在する。同期について,この規格に規定する厳密な要求事項によって,電源システムの基本波

成分及び“基底”周波数の整数倍数である周波数をもつあらゆる成分について,定義上,このほぼ理想的

な状態が生じる。この中には,基本周波数の高調波を含む。

注記

  “基底”周波数は,ウィンドウ幅の逆数である。“基本”周波数は,電源周波数 1 サイクルの逆

数である。

今後は,タイムウィンドウの幅,T

w

≈ 200 ms は,50 Hz 又は 60 Hz 系に対し,それぞれ基本波の 10 又は

12 サイクルで定義され,

JIS C 61000-4-7

の第 1 版で規定する要求事項に適合するように設計された計器で


22

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

は,16 サイクル(約 320 ms 又は約 267 ms)で定義される。したがって,スペクトル線の周波数間隔(

“基

底”周波数 f

w

)は,それぞれ,5 Hz 又は 3.125 Hz 又は 3.75 Hz となる。本体の式 (8) によるグループ化の

方法によると,確実に総電力の数値が正確に求められる。このグループ化の方法は,基本周波数の整数倍

数でのスペクトル線(

“高調波”

)だけではなく,すべてのスペクトル線を考慮している。式 (8) は,約 5 Hz

の間隔をもつスペクトル線だけに関連しており,したがって,その他の“基底”周波数を用いている場合

には,変更しなくてはならない。理想的な条件で(必要な場合,変更を加えたうえで)

,正しく式 (8) を

用いることによって,電力スペクトルは,パーセヴァルの関係式によって定義されるように,測定した信

号の平均電力を正確に示す。

例えば,周波数 f

≠ k×f

w

k:整数)の非高調波信号がある場合など,理想的でない条件では,スペクト

ル漏れ現象によって,周波数成分についての情報の損失を招くものの,一般的に信号電力は引き続き正確

に表示される。タイムウィンドウが 200 ms の場合を考えると,287 Hz など 5 Hz の整数倍数ではない周波

数の次数間高調波信号がある場合,又はタイムウィンドウの中で振幅変動が生じた場合に,非高調波信号

が現れる。この規格において規定するグループ化の方法で,ほとんどの部分について総電力の数値を正確

に求められる。特定の信号グループへの電力の配分は,そのグループに含まれる信号の性質による。

幾つかの例を示す。

C.3

の例は,電圧及び電流の振幅の変動の影響を示す。次数間高調波の影響は,

C.4

に説明する。関心の対象であるスペクトル線及びグループ化の影響を,図の全面を用いて更に明確に示す

ために,これらの例では,実際には電圧信号及び電流信号で格段に優勢な基本波成分を省略している。

C.3

変動高調波

例 1

図 C.1

は,第 5 次高調波電流の実効値が 3.536 A から 0.707 1 A に変動する場合を表す。電流の

ステップ変動は,第 5 次高調波の 21.25 周期後に発生している。この場合,計算で求められる

予測実効値は,2.367 A である。第 5 次高調波(250 Hz の 1 本のスペクトル)の測定値は,1.909

A にしかならない。すなわち,その他のスペクトルを無視することによって,19.3 %の誤差が

生じる。高調波サブグループの測定値は,この場合 2.276 A になり,その誤差は 3.84 %まで減

少する。ただし,複数のスペクトルから成る高調波グループの測定値は,更に小さな 1.47 %の

残存誤差に相当する,2.332 A となる。

図 C.1

第 次高調波電流の大きな変動


23

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

例 2

  電力系統の高調波電圧は,通常,様々な非線形負荷によって発生する複数の高調波電流が結合

した結果である。これらの負荷は,かなりの相互関係があるので,一般的には変動していない。

さらに,準定常負荷も複数電力系統に接続されている。したがって,変動振幅が大きく高速変

動する高調波電圧レベルは,例外であり,電力系統ではほとんど発生しない。例えば,

図 C.2

に 13.225 V から 9.775 V に減少する,第 5 次高調波の電圧実効値を示す。この場合,計算で求

める予測する電圧実効値の総和は,11.37 V である。ただし,第 5 次高調波(250 Hz の 1 本の

スペクトル)の測定値は,11.24 V にしかならない。この規格で提案する計算方法では,高調波

サブグループは 11.33 V,高調波グループは 11.34 V になる。その誤差は,それぞれ 0.35 %及び

0.24 %にすぎない。これらの誤差は,測定器自身の誤差を十分下回る。

図 C.2

第 次高調波電圧の大きな変動

例 3

  マイクロ波を用いた機器は,連続運転中に,例えば 1 A の第 3 次高調波電流を(特に)発生す

る。マイクロ波を用いた機器の電力は,ゼロクロス多重サイクル法によって制御する。例えば,

5 Hz の繰返し率で 50 %のデューティサイクルが用いられる。

図 C.3

は,第 3 次高調波電流の時

間関数及び相当するスペクトルを示す。電流の全体の実効値は,0.707 A である。第 3 次高調波

のスペクトル線の実効値は 0.5 A で,29.3 %の誤差を生じる。ただし,高調波サブグループの値

は 0.673 A で,誤差は,わずか 4.8 %である。高調波グループの値は 0.692 A で,誤差は,2.0 %

に低下する。

これらの例から,グループ化による方法が,パーセヴァルの式によく一致する結果を与える

ために十分適していることは明らかである。


24

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

図 C.3

マイクロ波

を用いた

機器の変動する第 次高調波電流

C.4

次数間高調波

例 1

  電力線搬送システムを,電力系統に接続することがある。搬送信号が高調波によって妨害され

ないように,用いる周波数は,一般に二つの高調波周波数の間にある。すなわち,次数間高調

波である。搬送信号が基底周波数の整数倍でタイムウィンドウ内において一定の振幅をもつ場

合,ちょうどこの周波数において一つスペクトル線が追加されるだけであり,追加のグループ

化は必要ではない。しかし,情報を伝達するためには,信号を変調する。スペクトルに対する

影響は,

C.3

の例に類似しているが,唯一の差異は,変調による複数のスペクトル線が信号周

波数を中心に集められることである。

附属書 A

による“次数間高調波のグループ化”は,

C.3

に示した高調波のグループ化と同様に誤差を低減する。

多くの場合,f

w

の整数倍でない信号周波数を用いる。例えば,

図 C.4

は,既に系統上に存在

している可能性がある,それぞれ 11.5 V の第 3 次及び第 5 次高調波上に重畳された実効値 23 V

の一定振幅をもつ 178 Hz における通信信号を示している。離散フーリエ変換は,178 Hz にお

いてスペクトル線を分離できなく,隣接する複数のスペクトル線にエネルギーを拡散する(

“漏

れ”

。この場合,第 3.5 次の次数間高調波グループ(

附属書 A

参照)は,通信信号の拡散した

エネルギーのほとんどの成分を占め,結果として 22.51 V となり,誤差はわずか 2.15 %となる。


25

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

図 C.4

第 次及び第 次高調波を伴う 178 Hz の通信信号

注記 1

  “基底”周波数の非整数倍の成分をもつこの“漏れ”の影響によって,基になる高調波ベ

クトルに新たなベクトルが重畳される(

図 C.7

参照)

。同じ周波数の基のベクトルと新たな

ベクトル間の位相角は,ウィンドウごとにおよそ同じ量だけ増加(又は減少)する。

実際の位相角によって,派生したベクトルは,ベクトルの差と和との間において大きさ

が変化する。この例においては,基のベクトルの大きさは 11.5 V,150 Hz において 1.2 V,

250 Hz において 0.4 V である(

図 C.4

参照)

。派生したベクトルは,150 Hz では 10.3 V∼

12.7 V の間で,250 Hz では 11.1 V∼11.9 V の間で変化する。多くの連続するウィンドウに

わたって求めた合成ベクトルの実効値は,基のベクトル及び加算されたベクトルの“共通”

実効値となる。この例では,150 Hz において 11.56 V,250 Hz において 11.51 V となる。平

滑化の手順は,グループ化の後に適用するが,変動を大幅に減らし,この共通実効値に近

い平均値を出力する。

注記 2

  実際には,通信信号の振幅は,この例より小さい。よって,漏れの影響は,相応に減少す

る。

例 2

  次数間高調波は,電流の流出としても現れ,その結果,電源の電圧にも現れる。次数間高調波

は,二つの隣接した高調波の間に不規則に発生する。例えば,9.8 V の 287 Hz,13.2 V の第 5

次高調波,10 V の第 6 次高調波が存在する場合を

図 C.5

に示す。漏れの影響は,スペクトルか

ら判断できる。第 5 次次数間高調波グループ(

3.4

参照)は,9.534 V を示し,残存誤差は,2.7 %

である。


26

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

図 C.5

287 Hz

における第 次及び第 次高調波の次数間高調波

例 3

  例えば,ピストンポンプなどの変動するトルクを伴う電子式電動機駆動装置は,電力系統に第

5 次高調波を生じ,その高調波電圧は,20 %,5 Hz の正弦波変調で,10 V 前後で変動する[

C.6 a

)]。0.2 s にわたって求めた時間関数の総実効値は,10.10 V である。スペクトルは,実効

値 10 V,250 Hz の“搬送波”のスペクトル線,並びに 245 Hz 及び 255 Hz でそれぞれ実効値 1 V

の 2 本の隣接するスペクトル線を含む[

図 C.6 c

)]。250 Hz における 1 本のスペクトル線の誤差

は 0.99 %であり,高調波サブグループには,誤差は含まれない。

9.8 V,287 Hz の通信信号は,同じ系統で用いることができる[

図 C.6 b

)]。スペクトル内の

“漏れ”による影響[

図 C.6 d

)]は,200 ms のタイムウィンドウにおいてこの信号が 57.4 周期

という非整数であることによって発生する。次数間高調波グループの実効値は 9.538 V で,結

果として得られる誤差は,2.7 %である。

変動高調波及び通信信号は,いずれも電圧として重畳されている[

図 C.6 e

)]。総実効値は,

14.07 V である。結果として得られるスペクトル線のグループ化については,様々な選択肢が存

在する。250 Hz の高調波及び 285 Hz に近い信号の存在は,スペクトルの包絡線から明らかで

あり,二つのグループ化の方法は,理にかなっている(どのスペクトル線も,2 回以上数えて

はならない。

− 9.36

V の次数間高調波グループ(9.8 V に対して 4.5 %の誤差)及び 10.16 V の 1 本の高調

波スペクトル線(10.0 V に対して 1.6 %の誤差)にグループ化し,総実効値 13.81 V(14.07

V に対して 1.8 %の誤差)とする。

− 9.34

V の次数間高調波中心サブグループ(9.8 V に対して 4.7 %の誤差)及び 10.23 V の高

調波サブグループ(10.1 V に対して 1.29 %の誤差)にグループ化し,総実効値 13.85 V(14.07

V に対して 1.5 %の誤差)とする。

245 Hz 及び 255 Hz におけるスペクトル線は“漏れ”の包絡線に一致しないため,2 番目のグ

ループ化の方がより“物理学”に即している。これは,連続するウィンドウから幾つかのスペ

クトルを観察したときに明らかとなる。


27

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

図 C.6

変調第 次高調波及び 287 Hz における次数間高調波

第 5 次高調波の両側の側波帯によってスペクトル線は,漏れの影響を主に受けている。変動

高調波については,高調波周波数で同じ距離にある複数のベクトル成分,すなわち 245 Hz 及び

255 Hz は,大きさが同じで方向が逆である。一定の変調度においてはベクトルの大きさは一定

であるが,変調周波数が基本周波数の整数倍でない場合は,ベクトルの位相角は,ウィンドウ

ごとに回転する。

287 Hz での次数間高調波から得られるベクトルの大きさもほぼ一定であるが,


28

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

ウィンドウの中の次数間高調波の位置が変わるため,ベクトルの位相角は,ウィンドウごとに

変化する。変調及び漏れの組合せによって得られるベクトルは,位相角及び大きさがウィンド

ウごとに変化する。

図 C.7

は,

図 C.6

のタイムウィンドウに対する第 5 次高調波の 5 Hz 上,及

び 5 Hz 下の二つの成分を示している。この場合,

“変調”ベクトルと比較して,

“合成した”245

Hz のベクトルの大きさは増大し,255 Hz のベクトルの大きさは減少する。その他のタイムウ

ィンドウにおいては,287 Hz 信号から得られるベクトルは異なる位相角を示し,その結果とし

て,

“合成”ベクトルの大きさは変化する。スペクトルを時間表示すると,245 Hz 及び 255 Hz

においてスペクトル線が変動し,時間平均は,

“変調”及び“漏れ”ベクトルの共通実効値に近

付く。

−1

−0.9

−0.8

−0.7

−0.6

−0.5

−0.4

−0.3

−0.2

−0.1

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

−1.5

−1

−0.5

0

0.5

1 1.5

実効値の実数成分

実効値

虚数成分

245 Hz における成分

255 Hz における成分

第 5 次高調波の

± 2 V の

変動成分

0.55 V

0.48 V

1 V

0.37 V

1.36 V

1 V

高調波変動と次数間高調波との
組合せから得られる成分

9.8 V,287 Hz の次数間高調波
から得られる成分

図 C.7

245 Hz

及び 255 Hz における成分のベクトル


29

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

附属書 JA

規定)

代替試験方法

序文

この附属書は,本体で規定する試験方法の代替試験方法について規定する。

この附属書は,1991 年に第 1 版として発行された

IEC 61000-4-7

,Electromagnetic compatibility (EMC)−

Part 4 : Testing and measurement techniques−Section 7 : General guide on harmonics and interharmonics 
measurement and instrumentation, for power supply systems and equipment connected thereto を翻訳し,技術的内

容を変更することなく作成している。

JA.1

適用範囲

この附属書は,直流から 2 500 Hz の範囲の周波数をもち,電源周波数の電圧又は電流に重畳された電圧

又は電流成分の測定用計測器に適用する。

この附属書は,設備の個々の項目が規格で規定するエミッション限度(例えば,

JIS C 61000-3-2

で規定

する高調波電流限度)に合致しているか否かの試験,並びに実際の供給システムにおける高調波電圧及び

電流の測定の計装に適用可能である。電源システムの高調波調査は,特別な対象である。

測定のための試験手順及びエミッション試験のための試験条件は,この附属書では取り扱わない。これ

らの要求事項は,特定の規格に含まれる。

電源周波数の高調波は,特別な対象であるが,ほかの周波数(次数間高調波成分)における成分も測定

しなければならない。

周波数領域形及び時間領域形計装のいずれも,この附属書で取り扱う。

結果の比較を容易にするために,

暫定的な勧告を電源での高調波測定の統計的解析の目的で与えている。

変動する高調波及び高速変化高調波の場合には,相対的に小さな時定数による測定工程とし,測定デー

タを規定する限度値,許容値又は基準値と比較するために,規定する方法による評価工程によって識別し

なければならない。

JA.2

引用規格

次に掲げる規格は,この附属書に引用されることによって,この附属書の規定の一部を構成する。これ

らの引用規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

)には適用しない。

JIS C 1010-1

  測定,制御及び研究室用電気機器の安全性−第 1 部:一般要求事項

注記

  対応国際規格:

IEC 61010-1

,Safety requirements for electrical equipment for measurement, control,

and laboratory use−Part 1 : General requirements (MOD)

JIS C 60050-161

  EMC に関する IEV 用語

注記

  対応国際規格:

IEC 60050-161

,International Electrotechnical Vocabulary. Chapter 161 :

Electromagnetic compatibility (IDT)

JIS C 61000-3-2

  電磁両立性−第 3-2 部:限度値−高調波電流発生限度値(1 相当たりの入力電流が

20 A 以下の機器)

注記

  対応国際規格:

IEC 61000-3-2

,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 3-2 : Limits−Limits


30

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

for harmonic current emissions (equipment input current <= 16 A per phase) (MOD)

JIS C 61000-4-2

  電磁両立性−第 4 部:試験及び測定技術−第 2 節:静電気放電イミュニティ試験

注記

  対応国際規格:

IEC 61000-4-2

,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4-2 : Testing and

measurement techniques−Electrostatic discharge immunity test (IDT)

IEC/TR 61000-1-1

,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 1 : General−Section 1 : Application and

interpretation of fundamental definitions and terms

IEC 61000-2-2

,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 2-2 : Environment−Compatibility levels for

low-frequency conducted disturbances and signalling in public low-voltage power supply systems

IEC 61000-4-7 

: 1991,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4 : Testing and measurement techniques−

Section 7 : General guide on harmonics and interharmonics measurements and instrumentation, for power

supply systems and equipment connected thereto

JA.3

定義,記号及び略号

JA.3.1

電圧 U

m

供給電圧の周波数 f

m

の成分。

JA.3.2

電流 I

m

供給電流の周波数 f

m

の成分。

注記

  U

m

(又は I

m

)及び f

m

の表現は,電源周波数に関する高調波の次数 を考慮する場合,U

n

(又

は I

n

)及び f

n

に置き換えることができる。

JA.3.3

高調波に関する定義

JIS C 60050-161

及び

IEC/TR 61000-1-1

による。

文字記号:ゼロクロス点の観測によって位相角測定が容易に行えるため,この附属書においては,次の文

字記号をフーリエ級数の展開に用いる。

ò

ò

ò

å

=

=

=

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

=

+

=

+

+

=

=

π

π

π

ω

ω

π

ω

ω

ω

π

ω

ω

ω

π

ϕ

ϕ

ϕ

ω

ω

2

0

0

2

0

1

2

0

1

1

1

0

)

(

 )

(

2

1

)

(

 )

(

cos

)

(

1

)

(

 )

(

sin

 )

(

1

arctan

;

)

(

sin

)

(

t

d

t

f

c

t

d

t

n

t

f

a

t

d

t

n

t

f

b

b

a

e

c

ja

b

c

t

n

c

c

t

f

n

n

n

n

n

n

j

n

n

n

n

n

n

n

ここに,

ω

1

:  基本波の角周波数  (

ω

1

=2

πf

1

)

n

c

:  周波数 f

n

nf

1

の成分の複素数で表した振幅

c

0

:  直流成分

注記

  厳密には,これらの定義は,定常状態の信号にだけ適用する。

JA.3.4

次数間高調波


31

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

電源供給周波数の整数高調波の中間に分布する周波数成分。

JA.3.5

周波数領域形計装

アナログフィルタ技術を用いて信号解析を行う計装。

JA.3.6

時間領域形計装

信号を時間サンプリングし,引き続きデータを数値処理によって解析を行う計装。高速フーリエ変換

(FFT)  は,高調波解析において最も広く用いる計算アルゴリズムである。

JA.3.7

記号

a

フーリエ級数の虚数成分(振幅)

b

フーリエ級数の実数成分(振幅)

c

フーリエ級数の複素成分

d

ひずみ率

f

周波数:関数

f

1

基本波周波数

j

1

p

累積確率関数のパーセント

t

運転時間

x

サンプリングした値

B

帯域幅

C

スペクトル線の実効値

D

重み付けしたひずみ率

I

電流(実効値)

M

整数,ウィンドウ幅内のサンプル数

PCC

共通結合点(受電点,連系点,分界点などの用語も用いる。

T

時間間隔

T

1

基本波周波数の周期

T

w

NT

1

のウィンドウ幅(基本周期の 倍)

U

電圧(実効値)

ω

角周波数

φ

位相角

JA.3.8

略号

cap

容量性

ind

誘導性

i

連続整数

k

連続整数

m

次数 のスペクトルの値(整数である必要はない。

m

測定値

n

高調波次数,連続数(整数)

r

定格値


32

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

s

サンプリングされた,同期のとれた

D

L

長時間

N

公称値

Sh

短時間

VS

極短時間

Wk

JA.4

計装の一般分類

計装は,測定すべき信号 U

m

又は I

m

の特性,計装の精度等級,及び測定項目(電圧,電流など)によっ

て区分できる。この附属書では,これら種々の要求に応じた推奨事項について個別に述べる。

計装は,特定の要求及び用途(例えば,電源電圧の定常状態での高調波)に応じるように,又は数種類

の事象(例えば,電圧及び電流測定,高調波及び次数間高調波)の要件を満たすように構成してよい。

JA.4.1

測定信号の特性

次の要求に応じる各種計装の形式に対する要求事項が考えられる。

a

)  準安定(ゆっくり変化する)高調波

b

)  変動高調波

c

)  高速変化高調波(又は,非常に短時間の高調波バースト)

d

)  次数間高調波及びその他のスプリアス成分

この附属書では,上記 4 項目に応じた方法について述べているが,始めの 3 項目を明確に区分すること

はできない。応用文書では,要求される電磁両立性を満足する最適な方法を示す。次にその例を示す。

a

)  の場合,連続解析(後続の測定との間に時間間隔がない解析)は必要ないと考えられる。応用例は,

例えば,次のとおりである。

1

)  安定した高調波電流(例えば,TV 受像機,調光器)の測定

2

)  瞬時的影響は重要でないと考えられる場合の電力供給システムの高調波の長期調査

−  中間的な

b

)  の場合,連続リアルタイム解析が必要である。この種の適用例としては,電子位相制御

器付き家電機器における電動機の逆転,変速などによる変動高調波電流の測定がある。その他の例と

しては,例えば,圧延機などの産業システムにおける電源電圧の監視がある。

c

)の場合,連続リアルタイム解析が必要不可欠であり,かつ,再現性がある結果を得るためには,非

常に細かい要求事項が必要となる。この種の計装は,近い将来,例えば,電源に接続される遠隔制御

受信機の操作に有害となるおそれがある急速変化高調波,又は極めて短時間の高調波バースト(変化

は 1 秒間,又はそれよりごく短時間にわたって発生する。

)の解析に必要となる場合がある。

次数間高調波及びその他のスプリアス成分については,別途考慮する(

JA.10.4

参照)

JA.4.2

計装の精度クラス

簡単で低価格な計測器が考慮に値するように,電圧及び電流高調波解析のための 2 種の精度クラス(A

及び B)が考えられる。

JIS C 61000-3-2

によるエミッション試験は,上級のクラス A が必要である。

JA.4.3

測定の形式

電圧及び電流の高調波測定に関する推奨事項については,別途規定する。特殊な測定(高調波の位相角,

全高調波ひずみ,重み付け高調波ひずみ,対称成分測定など)についても考慮する。


33

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

JA.5

計装の全形式に対する共通要求事項

次の要求事項は,周波数領域で処理するか,又は時間領域で処理するかにかかわらず,すべての形式の

計装に適用する。これらは,定常,変動又は高速変化高調波及び次数間高調波に有効である。

JA.5.1

入力回路の要求事項

JA.5.1.1

電圧入力回路

計測器の電圧入力回路は,解析すべき電源の公称電圧及び周波数に適合し,かつ,公称電圧の 1.2 倍ま

ではその特性及び精度が不変でなければならない。測定には,波高率が 1.5 以上である場合,十分とみな

す。ただし,産業用配電での高ひずみ率負荷については,波高率は 2 以上が必要である。いずれの場合も,

過負荷の表示は必要である。

入力回路に入力電圧の設定値の 4 倍又は実効値 1 kV のいずれか小さい方の交流電圧を 1 秒間入力しても,

計測器が損傷しないことが望ましい。

その他の要求事項は,

JA.11

参照。

ほとんどすべての電力供給システムに対して,計測器を比較的広範に用いることができるようにするた

めには,入力回路は次の公称電圧に設計することが望ましい。

U

N

:100 V,110 V,115 V,200 V,230 V,400 V

注記 1

  外付けの計器用変圧器を併用して用いてもよい。

注記 2

  高感度の入力レンジ (0.1 V,1 V,10 V)  は,外付けの変換器(例えば,

JA.5.1.2

参照)とと

もに動作させると役立つ。このときの波高率は,2 以上が必要となろう。

入力回路の吸収電力は,3 VA を超えてはならない。入力レンジが高感度(50 V 以下)のときは,入力抵

抗は,10 k

Ω/V 以上とする。

基本波(電源周波数)が測定すべき高調波に比較して大きくなっても,計測器の入力段に損傷を与える

ような過負荷状態にならないよう,又は有害な相互変調誤差信号が生じないよう注意する。すなわち,相

互変調誤差は,表示された精度より十分に小さくする。

JA.5.1.2

電流入力回路

電流入力回路は,解析する電流に合致していなければならない。入力回路は,高調波電流の直接測定を

可能とし,また,外部抵抗分流器(又は変流器と抵抗分流器との組合せ)を接続する低圧高インピーダン

ス電圧入力も備えなければならない。この場合の入力回路の最適な電圧範囲は,0.1 V∼1.0 V とする。

直接測定の場合は,公称入力電流 I

N

:0.1 A,0.2 A,0.5 A,1 A,2 A,5 A,16 A(必要な場合,10 A)

の中で幾つかに合った入力回路を用意するのがよい。

電流入力回路の吸収電力は,クラス B の計装では 3 VA を超えてはならない。クラス A の計装では,入

力回路の電圧降下は 0.15 V を超えてはならない。

すべての測定用入力回路は,連続して 1.2 I

N

の負荷に耐えられなければならない。また,10 I

N

の負荷を

1 秒間かけても損傷してはならない。電流入力回路の波高率は,3 が適切であると考えられ,かつ,過負荷

の表示装置が必要である。

実効値に対するピーク電流値(例えば,波高率)が高くなっても,又は基本波(電源周波数)が測定す

べき高調波に比較して大きくなっても,計測器の入力段に損傷を与えるような過負荷にならないよう,又

は有害な相互変調誤差信号が生じないよう注意する。

その他の要求事項は,

JA.11

参照。

注記

  直流成分は,測定するひずみ電流と関連することが多い。入力変流器は,直流成分のために大

きな誤差を生じることがある。


34

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

製造業者は,計装の仕様書に,直流成分による誤差が表示された精度を超えないように,直流成分の最

大許容値を表示しておくとよい。

JA.5.2

計測器の精度要求事項

電圧及び電流高調波を測定する計装の精度クラスは,二つある。

表 JA.1

の最大許容誤差は,製造業者が

表示する定格動作条件(温度範囲,湿度範囲,計測器電源電圧など)において計測器に適用する動作周波

数範囲での単一周波数及び定常信号に関連する。

表 JA.1

最大測定誤差

クラス

測定項目

条件

最大許容誤差

U

m

  ≧ 1 % U

N

5 % U

m

電圧

U

m

  < 1 % U

N

0.05 % U

N

I

m

  ≧ 3 % I

N

 5

%

I

m

A

電流

I

m

  < 3 % I

N

 0.15

%

I

N

U

m

  ≧ 3 % U

N

5 % U

m

電圧

U

m

  < 3 % U

N

0.15 % U

N

I

m

  ≧ 10 % I

N

5 % I

m

B

電流

I

m

  < 10 % I

N

0.5 % I

N

U

m

I

m

は,測定値である(定義参照)。

U

N

I

N

は,計測器の公称入力レンジである。

注記

  機器を

JIS C 61000-3-2

の規定に従って試験する場合,不確定性項目は,この附属書では許容限

度(許容限度の 5 %)

,又は被試験機器の定格電流  (I

r

)  による値 (0.15 % I

r

)  のいずれか大きい

方とする。

定格電流が 5 A を超え,第 15 次を超える高調波を最大精度で評価しなければならない場合は,被試験機

器の定格電流と等しい範囲に合った外部分流器,又は電流変換器を用いるのがよい(

図 JA.1

参照)

高調波だけの測定を目的とした計装では,高調波の周波数にだけ誤差を適用する。

表 JA.1

に示す精度を達成するには,製造業者による表示に従って,内部又は外部の校正器によって計測

器の簡単な調整を行う必要がある。

校正器(内部の場合)による誤差は,分離して得られることが望ましい。最も重要な影響誤差(温度,

補助電源電圧など)は,製造業者によって計測器本体,及び内部校正器がある場合にはそれにも表示して

おくとよい。

JA.5.3

外付けの計器用変圧器及び変流器の精度要求事項

計器用変圧器(以下,VT という。

)及び変流器(以下,CT という。

)の精度は,計測器の精度要求事項

を満たしていなければならない。すなわち,

(測定値に対する)相対誤差は,5 %を超えてはならない。機

器を

JIS C 61000-3-2

の規定に従って試験する場合は,計測器全体の相対誤差は,5 %を超えてはならない

表 JA.1

参照)

電圧又は電流の

(基本波に対する)

相対的高調波量が正常に測定される電力供給システムの調査の場合,

CT 又は VT の公称周波数での精度よりも変換率の周波数特性が重要である。したがって,高調波の周波数

範囲において,変換率の(基本周波数における)公称値からの偏差は,上記推奨値 5 %を超えてはならな

い。

位相角の測定も行う場合,特に高調波電力の流れの方向を特定する場合,例えば,高調波発生源を検出


35

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

するとき(

JA.10.1

参照)には,CT 又は VT の誤差は 5 度を超えてはならない。

約 40 台の VT(電圧範囲は 6 kV∼400 kV)の変換率測定結果を

図 JA.2

に示す。

図 JA.2

では,与えられ

た周波数までに,変換率の偏差の最大が 5 %(又は 5°)となる VT の割合を として示している。CT の

測定は,今までに数が少なく,同様に図示することはまだできない。

測定結果全体から,次の結論が得られる。

− LV では,VT 及び CT は高調波の周波数範囲でよく適合している。

− 5 %の振幅精度だけを考えた場合,MV では,VT は一般に 1kHz まで適合しているように思われる。

すべての VT の約 60 %は,高調波の全周波数範囲を満足している。

−  5°の精度要求事項を追加する場合,MV では,VT は 700 Hz まで適合しているように思われる。すべ

ての VT の約 50 %は,高調波の全周波数範囲を満足している。

− MV−CT の実測定結果は,ほんのわずかしかない。それらのすべては,高調波の周波数範囲での振幅

測定によく適合している。位相角測定の場合には,周波数範囲が 1.5 kHz まで低下する。

−  一般に HV では,VT が 0.5 kHz 以下のときにはよく適合している。変換率を向上させる特別な対策を

行う場合,VT は高調波の全周波数範囲を満足できる。これは,次世代の VT に期待できる。

− EHV では,VT は第 5 次を超える高調波測定には適合しないと考えられる。特別な設計上の対策を行

う場合,少なくとも 1 kHz まで誤差は許容できる。

− HV−CT 及び EHV−CT の測定結果は,わずかしかない。周波数に起因する誤差は非常に大きいが,

通常,CT の誤差は,VT の誤差より小さい。

超精密な電圧測定を行うときは,抵抗分圧器  (U

N

 < 1 kV)  又は容量分圧器  (U

N

  ≧ 1 kV) の使用が望ま

しい。

多くの場合,容量形計器用変圧器 (CVT)(すなわち,容量分圧器と誘導絶縁計器用変圧器との組合せ)

を用いることができる。容量形計器用変圧器は,高調波測定,特に高次高調波測定に常に適合するとは限

らない。VT を回路から分離し,必要な場合,コンデンサを追加挿入することによって,容量分圧器が得

られる。

電子式クリップオン電流変換器の変換率は,高調波の全周波数範囲を満足するが,その絶縁レベルのた

めに低電圧回路(例えば,CT の二次側)でしか用いることができない。これらの変換器の小さなオフセ

ット電流によって,直流成分を測定するときには誤差が生じる。

JA.6

周波数領域の計装に関する規定

JA.6.1

一般事項

一般に,仕様を満たす限り,任意の形式の計測法を適用してよい。例えば,選択増幅器 (selective amplifier),

ヘテロダイン (heterodyne),多重受動フィルタ  (multiple passive filters)  などを用いることができる。

図 JA.3

に,全体構成図を示す。

注記

  エミッション試験では,周波数の自動スイープは行わないほうがよい。定常値を正確に測定す

るためには,スイープレートを極端に遅くしなければならないためである。

JA.6.2

準定常高調波

基本波及び測定対象以外の高調波成分を取り除く必要がある。

この箇条では,第 次高調波成分 f

n

( f

n

nf

1

f

1

:電源周波数)を測定する場合において,隣接する周波

数成分に対する最小減衰量で性能を規定する。

減衰量は,各第 次高調波成分 f

n

ごとに,f

n

と異なる周波数の単一信号を計測器に入力し,f

n

成分がど


36

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

の程度表示,又は記録されるかによって測定する。

表 JA.2

は,電圧及び電流の高調波計測に適用する。

表 JA.2

最小減衰量

注入する単一信号の周波数

f

n

の値

最小減衰量

f

1

  ≦  f

n

  ≦ 12 f

1

30 dB

12 f

1

  <  f

n

  ≦ 20 f

1

20 dB

隣接する高調波

f

n

f

1

と f

n

f

1

20 f

1

  <  f

n

  ≦ 50 f

1

15 dB

0.5 f

n

以下の周波数

すべての f

n

の値 50

dB

60 dB

*

電源の基本波成分  (f

1

)

すべての f

n

の値

70 dB

**

*

すべての電流測定,及びクラス B の電圧測定に用いる。

**

  クラス A の電圧測定に用いる。

注記

表 JA.2

の値は,出力回路に平均値,又は実効値整流回路をもつ周波数領域計測器では,誤差が

側波帯の振幅に比べてはるかに小さいという事実に基づいている。

JA.6.3

変動高調波

計測器は,測定対象高調波 f

n

において,

JA.6.2

の減衰量に関する規定を満足する必要がある。

さらに,−3 dB の帯域幅は,3 Hz∼10 Hz の間に収まらなければならない。

JIS C 61000-3-2

の規定に従ってエミッション試験を行った結果,測定値が限界値に近くて評価に疑問を

生じるときは,この規格で規定する測定器を用いなければならない。その測定器では,−3 dB 減衰点での

帯域幅は,3 Hz±0.5 Hz であり,f

n

+15 Hz 又は f

n

−15 Hz における減衰量は,25 dB 以上である。

JA.6.4

変化が急激な高調波

変化が激しい現象に対しては,周波数領域での測定は行わないほうがよい。

JA.6.5

出力に関する規定

計測器のアナログフィルタ部の出力は整流(平均値整流,又は実効値整流)され,その後,

JA.6.3

に従

って平滑処理することによって,

図 JA.3

の c

n

に該当する出力が得られる。評価のためには(

JA.8

参照)

更に平滑処理が必要となる場合もある。

記録計及び/又は指示計(波形解析器が外付けの場合も)は,この附属書で規定する測定装置の一部と

考えなければならない(例えば,ステップ応答又は選択度の評価の場合。

JA.7

時間領域の計測法についての規定

JA.7.1

高速フーリエ変換

  (

FFT

)

−一般概念

フーリエ級数に基づく離散形フーリエ変換は,次のように定義される。

å

å

=

=

÷

ø

ö

ç

è

æ

=

÷

ø

ö

ç

è

æ

=

1

0

1

0

2

sin

2

2

cos

2

M

k

k

n

M

k

k

n

M

k

n

x

M

b

M

k

n

x

M

a

π

π

高速アルゴリズム

1

)  を用いる DFT,いわゆる高速フーリエ変換 (FFT) を実現する計測器の構成要素は,

図 JA.4

に示すように,次のとおりである。

−  アンチエイリアシングフィルタ

−  サンプル及びホールド回路を含む A/D 変換器


37

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

−  同期装置及びウィンドウ整形器(必要な場合)

−  フーリエ係数 a

n

b

n

を計算する FFT プロセッサ

−  c

n

(各次数の大きさ)と

φ

n

(各次数の位相)とを計算する数値プロセッサ

測定対象信号は,ローパスフィルタを通して,計測器の測定レンジを超える高周波数成分を除外する。

レンジは,直流成分及び n=1∼50 の範囲をカバーすることが望ましい。ローパスフィルタを通過した信号

は,標本化し,A/D 変換の後,保存する。M=2

i

個のサンプルによって幅 T

w

のウィンドウを形成し,それ

に対して FFT 処理を行う  (i=7,8…)。ウィンドウ幅 T

w

は,電源周波数の周期 T

1

の 倍でなければなら

ない。すなわち,T

w

NT

1

。サンプリング周波数は,f

s

=2

i

/(NT

1

)  となる。

FFT を行う前に,ウィンドウ幅 T

w

内にあるサンプルは,特別な形をした対称関数(ウィンドウ形状)に

よって重み付けできる。すべてのサンプルに対して等しく重み付けを行うレクタンギュラウィンドウの使

用が望ましい。sin

2

関数によって重み付けを行うハニングウィンドウもよく用いられる。このほかにも,

幾つかのウィンドウ形状がある。

レクタンギュラウィンドウの場合には,サンプリング周波数とウィンドウ幅 T

w

とは,電源周波数 f

1

に厳

格に同期していなければならない。ハニングウィンドウの場合にはその必要はないが,高調波の基本波に

対する位相を測定する場合には,同期をとる必要がある。

FFT プロセッサによって,f

k

 [Hz] 成分  [=k/T

w

k=0,1,2…2

(i

1)

]  の直交するフーリエ係数 a

k

及び b

k

を計算する。同期が十分にとれていれば,高調波の次数 は,nk/で与えられる。

数値プロセッサによって,高調波の振幅

2

2

n

n

n

b

a

c

+

=

,及び必要な場合には遅れ位相角

φ

  n

=arctan (a

/b

n

)

が計算される。

注記

  上記の FFT は,周波数解析に通常用いる方法である。この方法では,ウィンドウ当たり 

512∼2 048 個のサンプル(サンプリングレートを約 5 kHz と仮定した場合)から,それに対応

する 256∼第 1 024 本のスペクトル線が得られる。電源高調波測定の観点からは,第 40 次以下

の成分を選択すれば十分である。次数間調波を扱う場合だけ,次数の上限を決めずに解析する

必要がある。第 40 次以下であれば,フーリエ級数の定義に従って,直接計算によって求めるこ

とも適切と考えられる。この場合には同期サンプリングとし,レクタンギュラウィンドウを用

いなければならない。

フーリエ級数展開を行う前に,高周波成分をローパスフィルタなどによって除去してもよい。

周波数領域での計装と時間領域での計装とを相互比較するのに,次の記述が役立つ。

JA.7.1.1

準定常高調波

準定常高調波は,連続的にではなく,離散的に測定される可能性がある。したがって,ウィンドウ幅を

決めるのは,選択度だけである。周波数領域で行う計測に比較して,3 dB の等価バンド幅 は,レクタン

ギュラウィンドウの場合,およそ B=0.9/T

w

,ハニングウィンドウの場合,B=1.4/T

w

である。したがって,

例えば,

が 10 Hz から 3 Hz の場合には,ウィンドウ幅は T

w

=0.1 秒∼0.3 秒

(レクタンギュラウィンドウ)

0.15 秒∼0.5 秒(ハニングウィンドウ)となる。

レクタンギュラウィンドウにおいてサンプリング周波数 f

s

=2

i

×f

syn

/が正確に電源周波数に同期してい

る場合 ( f

syn

f

1

),周波数 f

m

での測定が隣接周波数 f

m

±f

k

によって誤差を生じるということはない。限界値

f

syn

|/f

1

=3×10

4

において,周波数領域と同様の選択度(

JA.6.1

表 JA.2

を参照)を要求するには,隣

接周波数成分だけ除去すればよい。| ff

|>f

1

の場合,その他の周波数成分 f,例えば,次数間高調波の場

合は,およそ 30 dB∼40 dB 減衰する。

隣接周波数成分の減衰が大きいので,ハニングウィンドウの場合には,そのような厳密な同期は不要で


38

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

ある。ただし,sin

2

関数による重み付けには,新たな周波数スペクトルを追加するなどの欠点がある。

f

s

/2 より高い周波数成分をもつ信号のスペクトラムは,FFT の伝達関数によって減衰されずに,測定範

囲に折り返される。したがって,そのような周波数成分については,50 dB 以上減衰できるフィルタ(ア

ンチエイリアシングフィルタ)を用いて,折返しを防がなければならない。

JA.7.1.2

変動する高調波及び急激に変化する高調波

変動する高調波及び急激に変化する高調波の計測は,連続的に行う必要がある。エミッション試験の場

合には,特に必要である。

オフライン計測の場合には,十分なメモリ容量をもつデジタル記録装置を用いれば十分である。リアル

タイム計測の場合には,計測中の測定落ちがないようにしなければならない。

一方,被計測信号 f

 

(t)  は,いかなる部分も同じ重みをもたねばならない。この“均等重み付け”は,ウ

ィンドウ形状によって,適切なウィンドウ配列を必要とする。すなわち,レクタンギュラウィンドウにお

いては,時間軸にすき(隙)間及び重複があってはならず,ハニングウィンドウでは,総和が 1 となるよ

うに,時間領域を半分ずつ重ねなければならない。

変動する高調波の計測では,ウィンドウ幅 T

w

=16×T

1

のレクタンギュラウィンドウを用いることによっ

て,3 Hz で−3 dB の等価選択度を得られる。入力値が変化した後,安定した出力の読みが得られるまでの

最大時間は,2×T

w

である。すなわち,電源周波数が 50 Hz の場合には,0.64 秒である。ハニング形状の

場合には,0.4∼0.5 秒のウィンドウ幅が適切である。これらの特性によって変動する高調波に対する周波

数領域での計装と時間領域での計装との等価性を比較できる。

注記

IEC 61000-4-7 

: 1991 では,サンプリングウィンドウの基本波への同期と誤差との関係を述べて

いるが,不明確な表現であるため削除した。

急激に変化する高調波,又は過渡的な高調波(点弧角が急速に変化しているときの電力変換装置が発生

するような)を代表的な結果として測定する場合には,電源周期の約 8 倍の狭いウィンドウを用いること

によって,選択度,時間応答(ステップ応答:t

resp

=2×T

w

期間で最大 2 ステップ)及び過渡現象(特にス

イッチング動作時の)の平滑化がうまくバランスされると考えられる。変動量が大きい対象をよりよく平

滑化したい場合には,

ウィンドウ幅を広げる代わりに,

連続するウィンドウを時間領域で平均化する方法,

又は周波数領域での係数を平均化する方法を用いることができる。ウィンドウ幅は 4×T

1

より狭くしない

方がよい。スイッチング動作時のように被計測信号が急激に変化する場合には,1∼2 ウィンドウ程度の短

い期間継続する高調波部位を追加してしまう。これらの信号は,真の高調波と誤判定される可能性がある

が,スイッチング動作時などの過渡時の信号 f

 

(t)  がウィンドウに取り込まれた場合だけ現れるものである。

これらの短時間の“高調波”は無意味であり,測定結果を誤らせる。

JA.7.2

デジタルフィルタ

FFT を実行する代わりに,

表 JA.2

に従って定義されたアナログ帯域通過をデジタルフィルタを用いて再

現できる。この場合には,要求されている高い選択度が満たされていることを確認する必要がある。アナ

ログフィルタを等価なデジタルフィルタに変更するには,幾つかの別の方法が考えられる。例えば,必要

とする第 40 次以下の高調波をパラレルに計算し,

得られた c

n

図 JA.4

の評価及び分類の部分に転送する。

第 40 次までの成分が基本的に重要であるが,計測器は,次数間調波を含む全スペクトラムを示せるように

なっている必要がある(

JA.10.4

参照)

JA.7.3

操作モード及び出力事項

時間領域の計測では,次の操作モードが可能であることが望ましい。

−  単一ショット(FFT は外部信号でトリガされ,一つのウィンドウのサンプルに対して実行される。測


39

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

定結果は,内部に記憶される。

−  連続計測(繰返し頻度は,例えば,1 分 1 回からギャップなしのリアルタイム計測まで選択される。

また,例えば 5 000 ウィンドウ分の測定結果を蓄積できる内部記憶装置が設置される。

−  連続計測及びトリガ記憶(測定結果は,あらかじめ設定された限界値を超えた場合だけ記憶される。

計測器は,最小限,各高調波の振幅 c

n

又はその実効値

2

/

n

c

を次の形態で出力できなければならな

い。さらに,位相角

φ

 n

,係数 a

n

b

n

を出力の中に含めてもよい。

−  単一ショット後において,選択された高調波次数 に対する c

n

,(a

n

),(b

n

),

φ

 n

を数値表示(大きさは

線形又は対数で示す。

。又は,選択された高調波次数 に対する連続計測中の一つの係数,例えば c

n

を数値表示(線形又は対数の読み。

−  単一ショット後において,又は連続計測中におけるあらかじめ選定された高調波次数すべてをグラフ

ィックにディスプレイ表示(大きさは線形又は対数で示す。

−  プリンタ又はプロッタ(ディスプレイ表示と同様の使い方)

−  コンピュータ,

フロッピーディスク,

記録装置などとのパラレル及び/又はシリアルインタフェース。

JA.8

評価方法

(例えば,

JA.4.1

に分類した)変動高調波電流を電力供給システムに放出する設備のエミッション試験

を行うために,評価プロセスを測定プロセスに追加する。評価プロセスは,原則的に測定プロセスと分離

し,測定値 C

n

を規定する制限値である許容値又は参考値(

図 JA.3

及び

図 JA.4

参照)と比較する方法を用

いる。

JA.8.1

出力信号フィルタ

評価プロセスの一部として,出力信号 C

n

を平滑化し,

n

C

を与えるフィルタを用いる。この方法は,

JIS 

C 61000-3-2

に適合する設備のエミッション試験において,変動電流高調波の評価に必要である。これは,

高速変化高調波が存在した場合でも,その影響が大きくないと考えられる場合に適用できる。

フィルタによる初期平滑化に加え,結果と制限値との比較には

n

C

値を用いる補助評価基準を用いる。

時間領域形計装については,その他の評価方法も可能である。

JA.8.1.1

周波数領域形計測器のためのローパスフィルタ

周波数領域形計装では,ローパスフィルタを用いる初期平滑化プロセスを評価の基本とする。測定され

た高調波の急しゅん(峻)な(ステップ)バーストに対する指示計又は記録計を含むすべての応答は,第

1 次ローパスフィルタの時定数 1.5 秒を示す。通常記録計直前に受動又は能動フィルタを用いることで,最

良条件を達成する。

注記

  周波数領域形計装では,測定設備のすべての応答が最高であっても,測定と評価との差異は明

確でない。しかし,実際には,波形分析器の応答は 0.2 秒以内に定常状態の 90 %に達するよう

にして,また,必要な特性を得るように特殊フィルタを記録計の前に挿入する(

図 JA.3

参照)

ことによって識別は可能である。

JA.8.1.2

時間領域形計測器のフィルタ

FFT 計装の場合,各連続する時間ウィンドウ(

図 JA.4

参照)の C

n

から測定データを得る。連続ウィン

ドウ測定(デジタル形の C

n

値)によるリアルタイムソフトウェア処理は,1.5 秒のアナログ時定数と同等

な特性である。真の指数関数により近い値を得るには,ウィンドウ幅の周波数 1/T

w

より,このデジタル評

価フィルタの内部サイクル率を高く評価することが望ましい。

JA.8.2

将来の方法


40

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

デジタル時間領域形計装は,振幅,次数,出現頻度及び時間並びにこれらの事象の間の時間などの制限

をなくすような追加数値記憶装置によって,エミッション試験の評価にとって 1.5 秒指数平滑化よりも優

れた方法となると推測される(

図 JA.4

参照)

。これらの新試験設備に適合する案は,検討中である。

高速変化高調波を比較的正確に評価する場合,1.5 秒のローパスフィルタは,使用できない。

JA.7.1.2

定義した装置に基礎を置いて,高速変化高調波に対して将来規定する評価方法を指定する必要がある。

JA.9

電力供給システムにおける電圧高調波調査

JA.9.1

測定設備の形式

周波数領域形計装は,将来広く統計的分析に用いられるとは考えられない。しかし,重要な特殊高調波

(例えば,第 5 次又は第 7 次)の長時間の記録は,これらの方法で行うことが可能であろう。

その目的のためには,明確な 1.5 秒時定数の導入が望ましい(

JA.8.1.1

参照)

。この場合,高速変化高調

波の測定は,不可能である。

現象を評価するに当たって,FFT 計測器などの時間領域形計装を最も多く用いる。したがって,測定及

び結果の統計的処理には,次の提言が特にこの種の計装に当てはまる。

JA.9.2

FFT

計装のためのウィンドウ幅及び基本的要求事項

次の必要条件を満足するために,この附属書の始めの方の箇条に適切な測定器の特徴を定義している。

a

)  準安定高調波

b

)  変動高調波

c

)  高速変化高調波

形式

a

)  の計装は,高調波の熱的(長期間)効果を考える場合の電圧高調波調査に適する。形式

b

)  は,

高調波に対する反応が相対的に遅い機器に対する瞬時的な効果の調査に適する。また,形式

c

)  は,高速

反応機器(電子制御装置又はリプル制御受信器など)への瞬間的影響の評価に適する。

JA.7.1

で定義した計測器の必要な特性を,

表 JA.3

に示す。

表 JA.3

FFT

計装の基本的要求事項

高調波の分類

推奨ウィンドウ幅

追加要求事項

準安定

T

w

=0.1 秒∼0.5 秒

ウィンドウ間にすき間が存在してもよい

変動高調波 
JIS C 61000-3-2 による。

T

w

=0.32 秒(レクタンギュラ)

T

w

=0.4 秒∼0.5 秒(ハニング)

すき間なし 
半分ずつ重なる

高速変化

T

w

=0.08 秒∼0.16 秒(レクタンギュラ) すき間なし

JA.9.3

測定値の統計的処理のための時間範囲

高調波測定の統計的処理に含まれる時間範囲は,1 秒未満から 1 週間以上までの範囲にわたることを認

識しなければならない。基本の単一測定(一つのウィンドウインターバル T

w

に対応している。

)から始め

るには,使用及び表示する場合に基礎データを統合するための中間積分時間を導入する必要がある。中間

積分時間の導入は,データに必要な記憶容量の制限にも有効である。

この附属書のために,

“観測時間”と“有効測定時間”とを区別する。

−  有効測定時間は,

測定される高調波の有効時間

(例えば,

連続する重複しないウィンドウの総計時間)

−  観測時間は,有効測定時間と観測時間内における空げき(隙)時間との和に相当する合計実時間推移。

データ圧縮のために,次の時間間隔の使用が望ましい。


41

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

極短時間  (T

vs

) : 3 秒

短時間  (T

Sh

) : 10 分

長期間  (T

L

) : 1 時間

1 日  (T

D

) : 24 時間

1 週間  (T

Wk

) : 7 日

注記

  極短時間(T

vs

)まで,必要な装置が FFT 自体に含まれる。短時間(T

sh

)以後,それらは一般に接続

コンピュータシステムの一部である。T

vs

以後のプロセスは,評価プロセスの一部である。

JA.9.3.1

極短時間

第 積分時間範囲

T

vs

は,有効測定時間と解釈し,3 秒に設定することが望ましい。T

vs

=3 秒に対応する観測時間は,ウィ

ンドウ間の間げき(隙)が認められる場合[

JA.9.2

a

)  の場合],3 秒よりも長いと推定されるが,10 秒

を超えないことが望ましい。時間ウィンドウは,観測時間内に均等に配置しなければならない。

瞬間的な影響が認められる場合には,選択可能な個別の第 次高調波に対して,T

vs

時間内のすべての単

一 FFT 計算値(T

w

の一つに対応する)の最大値 C

nmax

を決定する[

JA.9.2

b

)  及び

c

)  の場合]。

高調波の長期的な影響(熱)評価に関し,すべてのサンプル数 についての単一 FFT 計算値 C

n

の実効

値を求める。

M

C

C

M

k

k

n

n

/

1

,

2

VS

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

å

=

選択可能な個別高調波(n=50 以下が望ましい。

)に対し,時間間隔 T

vs

にわたって決定する。さらに,

合計ひずみ係数 及び

JA.10.2

に定義されたその他のひずみ係数も計算できる。これらの係数は,後で用

いるためにコンピュータに記憶する。

JA.9.3.2

短時間

第 積分時間範囲

選択可能な個別の高調波(n=50 以下が望ましい。

)の累積確率関数を評価するために,計装には少なく

とも 32 等級を備えた分析器を準備することが望ましい。各連続観測時間の設定パーセント [p=1,(10),

50,(90),95,99 %]を超えない高調波値を外部コンピュータによって計算し,記憶する。T

Sh

は観測時間と

し,10 分に選定することが望ましい。この観測時間の間に最低 100 個の C

n

値を得ることが望ましい。

選択した個別の高調波に対して,より特殊な計算に用いるために,全等級(

“即時”ウィンドウ時間値

C

n

に基づく。

)の内容を各短時間ごとに記憶する。

全等級内容のためのメモリを用いることができない場合は,少なくとも,

JA.9.3.1

の中で定義された時

間間隔 10 分間に発生する全 C

nvs

値から,この 10 分間の各連続観測時間間隔にわたる C

nSh

の実効値を計算

する。

JA.9.3.3

長時間

第 積分時間範囲

T

L

は,任意に選択できる。用いる場合には,観測時間を 1 時間に選定することが望ましい。

(周期 T

Sh

又は等級内容のメモリに対する百分率を用いて)p=1,(10),50,(90),95,99,99.9 %に対して,T

L

にわ

たって累積確率関数を計算する。

JA.9.3.4

1

24

時間

この時間間隔は,供給電圧の高調波測定において扱いやすい形の統計的データを得るのに欠くことので

きないものである。例えば,選択した高調波次数の 50 %,95 %,及び 99 %確率値を T

Sh

の期間にわたって

評価し,1 日における時間関数を得ることができる。

さらに,データの圧縮が必要な場合には,次の方法が望ましい。


42

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

a

)  瞬間的効果を必要とする場合は,T

vs

の間隔(

JA.9.3.1

参照)で記録された極大値の最大値を日間隔の

値とし,さらに,これらの T

vs

最大値の累積確率(少なくとも CP95 %及び CP99 %値)を計算する。

b

)  長時間(熱)効果が考慮される場合は,T

vs

の間隔(

JA.9.3.1

参照)における全実効値の最大値を 1 日

の値として保持する。

さらに,これらの T

VS

積分実効値の累積確率(少なくとも CP95 %及び CP99 %値)を計算する。加えて,

すべての C

nSh

T

Sh

=10 分以上で積分した実効値)の最大値 C

nmaxSh

が有効である。

注記 1

  T

Sh

の測定において,連続する 10 分間隔は,ずれ及び重なりはないものとする。

注記 2

  この C

nmaxSh

値を加算することは,CP95 %値が 1 日のうちの 1 時間を超える値となる(CP99 %

値は 1 日のうちの約 15 分を超える。

)ので,有効と考えられていた。しかし,連続 1 時間又

は,合計 24 時間の間に多数に分かれた時間スペースに発生したか否かは示していない。

注記 3

  1 日間隔の期間中のデータ(望ましくは T

Sh

間隔を基本とする。

)を集約して,グラフとして

表示することは,個々に選択した高調波又は合計ひずみ係数の評価において,非常に有効で

ある。

JA.9.3.5

1

週間又は更に長い間隔

特別な推奨はない。日常の収集データに基づいた解析を行う。通常の稼働日と週末日との間には大きな

差異があることを念頭に置く必要がある。

少なくとも 1 週間以上の期間又は更に長い期間の 95 %又は 99 %累積値が有効である。

JA.10

測定の特殊例

エミッション試験は,振幅,すなわち高調波電流の実効値の測定だけを必要とする。電力供給システム

での高調波電圧調査のためには,これで満足できる。高調波電力の流れの情報が不足しているため,通常

は,妨害源は明らかにできない。高調波電源及びシステム装置のインピーダンス及び負荷を含む正確な等

価回路を作成するには,すべての考えられる高調波次数の振幅及び位相遅れの両方を測定しなければなら

ない。提案されたひずみを発生する負荷の効果を予見することを助けるために,高調波インピーダンス計

測器を用いなければ,システムの高調波レベルの将来変化を予測することは,できない。

モータ,コンデンサなどの付加熱損失を評価するために,全体の高調波電圧レベルを要約して記述する

ことが有用である。

三相の電気装置で対称性からの偏位は,故障が発生したことを示していることがある。対称性は,小さ

な故障,例えば,コンデンサバンクの一素子の故障でも,特に高調波周波数範囲においては,強く影響を

受ける。したがって,これを監視することは,これらの故障の検出に有効な場合がある。

将来,工場及び小規模産業において周波数変換器が更に広範囲に用いられることによって,電源供給シ

ステムへの次数間高調波電圧が発生する可能性がある。

上記の特別な測定方法について,これ以上の情報は,

JA.10.1

以降に示す。

JA.10.1

位相角測定

振幅の測定,及び同次数の高調波の電圧と電流との間の位相角(相対位相遅れ)の測定が,次のために

必要である。

a

)  電源供給システムの高調波の負荷の流れの評価

b

)  (妨害)高調波源の検出及び位置特定

c

)  同一のノードに電気的に接続されている場合は,別の妨害負荷から高調波電流の加算係数の評価

d

)  新しい妨害負荷又は対応策(例えば,フィルタの効果)を事前計算するためのシステムの等価回路の


43

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

作成

商用電力系統から産業工場までの給電線上の高調波電流が高い理由には,次の二つがある[

b

)  の場

合に対する一例として。

−  高い高調波電流を発生している工場内の電力変換器

−  商用電力系統からの高調波電流を吸収する工場内のフィルタ回路,コンデンサ又は電池。

注目している高調波次数の有効電力の潮流の方向は,妨害の発生源の探知に有効な場合がある。有

効電力が商用電力系統に流入する場合は,工場がその電流の原因となり,そうでない場合は商用電力

系統自身が原因となる。有効電力を評価するためには,PCC(共通結合点)における高調波電圧と給

電線電流との間の位相角を測定する。高調波電圧及び電流の基本波を基準とした位相遅れ(絶対位相

ϕ

n

)は,この場合,知る必要はない。

位相シフトを生じさせるデルタ・スター変換器がある場合は,位相角測定結果の解釈で特に注意が

必要である。

基本波に対する同期は必要ないので,整流器部分の前の出力が測定でき,かつ,二つの測定チャネ

ルが同等である場合には,アナログフィルタを用いてもよいが,確認が必要である。

通常は,デジタル計装によって位相角度が得られる。位相遅れが直接求められなくても,FFT(高

速フーリエ変換)計測器によって,係数 a

n

及び b

n

JA.3.3

参照)から計算で求められる。両方のチャ

ネルで同時にサンプルが得られる場合,基本波に同期していない計装を用いてもよい。

基本波に対する絶対位相角(

JA.3.3

参照)の測定では,できる限り基本波のシステム電圧のゼロク

ロス点への正確な同期が必要である。周波数領域形計装の使用は,除外される。

(アナログ又はデジタ

ルの)直交相関又は FFT だけが,基本的に必要なフーリエ係数 a

n

及び b

n

を与える。

上述の

a

)∼

d

)  の場合に加えて,絶対位相角測定の利点は,次による。

e

)  同一システムの異なるノード,又は異なるシステムのノードでの測定が比較できる。

f

)  異なるシステム又は局地的に分散するひずみ負荷を接続又は再配置した場合,同位相での重畳によっ

て高調波レベルが増加するか,又は反対位相のために相殺して減少するかが判断できる。

g

)  特に点火制御のない整流器回路については,妨害負荷の“望ましい”位相角が検出できる場合,全体

の妨害の影響の評価,又は対策方法を見出だすことができる。

高調波の絶対位相角の最大測定誤差は,

例えば,

高調波の有効電力の方向を明確に決定するために,

±5°

又は±(n×1°)のいずれか大きい方を超えてはならない。通常,この値は,角度も振幅と同様に同じフーリ

エ係数から求められるから,

JIS C 61000-3-2

の規定に従った測定で要求する振幅の精度クラス A に合致す

る。

JA.10.2

ひずみ測定

計測器は,オプションとして,次のひずみ率及び重み関数の特定出力を設けてもよい。

JA.10.2.1

ひずみ率

妨害を受けているシステムで運転中の電気設備の熱応力を評価するために,システム電圧の総合品質を

特徴付ける 3 個のひずみ率を通常用いる。

a

)  通常ひずみ率

1

40

2

2

/U

U

d

n

n

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

å

=

このひずみ率 は,熱応力及び架空線,ケーブル,変圧器巻線のような付加的な抵抗損失に関係す


44

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

る。それは電圧及び電流の両方に関連するものであり,電流の式は,電圧で示された式と同一である。

ほとんどの適用については,第 2 次∼第 25 次の高調波範囲を考慮すれば十分である。

b

)  インダクタンスに適用される重み付けされたひずみ率

1

40

2

2

ind

/U

n

U

D

n

a

n

å

=

÷÷ø

ö

ççè

æ

=

ここに,

α:

  1...2

ひずみ率

D

ind

は,電圧にだけ用いる。これは,コイル,誘導電動機及び一部の同期発電機のような

インダクタンスによる付加的な熱応力の近似的な数値である。

ほとんどの適用については,第

2

次∼第

20

次の高調波を考慮すれば十分である。

c)

コンデンサに適用する重み付けされたひずみ率

1

40

2

2

cap

/

)

(

U

U

n

D

n

n

å

=

×

=

ひずみ率 D

cap

は,電圧だけに用いる。これは,システムに(直列インダクタンスなしに)直接接続

されたコンデンサによる付加的な熱応力の近似的な数値である。

JA.10.2.2

評価雑音の重み付け

オーディオラインヘの電磁結合の影響を評価するためには,

ITU-T

に従った妨害の評価雑音で重み付け

した出力も役立つことがある。

JA.10.3

対称成分の測定

与えられた周波数 f

n

(すなわち“元のシステム”の)の不平衡三相電圧(又は電流)は,同一周波数の

3 個の“対称システム”の総和によって置き換えることができる。

−  正相分 U

n, pos

 (I

n, pos

)(相順 L1,L2,L3)

−  逆相分 U

n, neg

 (I

n, neg

)(相順 L1,L3,L2)

−  零相分 U

n, 0

 (I

n, 0

)

仮に元のシステムの 3 個の電圧(又は電流)が同一の波形をしている場合,すなわち基本波周期の±1/3

を移動して同一となる場合,すべての高調波に対して唯一の“特性”システムが存在し,次数 n=3×m (m

=1,2,3,…)の高調波だけが零相分を,次数 n=3×m−2 の高調波だけが正相分を,次数 n=3×m−1 の

高調波だけが逆相分を形成する。

現実には,非対称性は常に存在し,また“非特性的”高調波の原因となる。これらは,例えば電線,ケ

ーブル,変圧器など完全には平衡のとれない装置,不均一に分布する単相負荷による微小な非対称性の存

在に敏感である。低電圧主回路(1 000 V 以下)の非特性的高調波電圧は,それらの特性に関係して,それ

ぞれ次数 n≠3×m に対して 20 %まで,次数 n=3×m に対して 50 %まで達することがある。

高調波に関して対称成分を用いる理由を,次に示す。

−  ほとんどすべての負荷及び回路網設備(配線,ケーブル,変圧器)にとって,正相(又は逆相)のイ

ンピーダンスは,零相インピーダンスとは異なっている。したがって,注入された電流によって生じ

た高調波電圧を評価するためには,別のシステムの処理が必要である。

−  零相の電流及び電圧は,通常用いる変圧器(デルタ・スター,又はスター・千鳥)によっては変換さ

れない。

−  デルタ接続負荷(電動機,コンデンサバンクなど)は,零相電圧によって影響されない。例えば,第


45

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

3 次高調波電圧の非特性的成分だけがこれらの電動機に付加的損失を生じさせる。

−  三相機器の対称性を損なう微小事故(例えば,溶断ヒューズの不良又は補償装置の一つのコンデンサ

の不良)は,その相対的な非特性電流を測定することによって容易に検出できる。

対称成分は,よく知られた形式の分解マトリックスを用いる方法,又は特殊な計測器で直接測定する方

法による三相の測定値から計算できる。

JA.10.4

次数間高調波の測定

次数間高調波電流源及び次数間高調波電圧の影響は,

IEC 61000-2-2 

: 1990 で取り扱う。次数間高調波は,

準安定状態といえるが,通常振幅及び/又は周波数が変化する。

a

)  少なくとも固定周波数をもつ準安定状態の次数間高調波は,準安定状態用に指定された計装で測定し

てよい。時間領域形又は周波数領域形の計測器,例えば,ヘテロダイン計測器は,任意の周波数に同

期又は調整可能な場合,用いることができる。

次数間高調波の主要な影響の一つに,リプル制御受信器の動揺の可能性がある。そのため,通常の

リプル制御受信器の帯域幅に対応して,−3 dB において約 5 Hz の帯域幅,すなわち,ウィンドウ幅

T

w

=0.16 s を推奨する。

結果として,f

m

を中心とする各周波数の周辺の次数間高調波成分は測定することができ,また,そ

れがリプル制御の周波数に対応する場合,次数間高調波の妨害レベルを正確に評価できる。

b

)  周波数領域形計測器は,急速に変動する周波数に対して計測器を同期させることが困難なために,揺

動する又は急激に変化する次数間高調波周波数の測定には,通常は適切ではない。

時間領域形計測器は,使用可能である。それは,同様に,測定する次数間高調波周波数と同期して

いる必要はないが,すべての周波数 f

m

m/T

w

(ここで,T

w

は時間ウィンドウ幅,また,m=0,1,2

…)で測定結果が与えられる。したがって,各中心周波数 f

m

の周辺での次数間高調波成分は測定が可

能であり,また,それがリプル制御の周波数に合致している場合,次数間高調波の妨害レベルも正し

く評価できる。上述のウィンドウ幅 0.16 秒は 6.25 Hz のすべての周波数線を与える。これは,望まし

い帯域幅と急激に変化する振幅及び/又は周波数に追従する能力との間の適切な妥協である。

さらに,仮に幾つかの次数間高調波線だけが優位(例えば,6.25 Hz の周波数ウィンドウ内の最大値

の一つの次数間高調波周波数)の場合は,複素平面で

f

f

int

f

m

の差で回転するベクトルとして解釈

できる。ここで,f

int

は次数間高調波の実際の周波数,f

m

は測定された中心周波数である。実際の周波

数 f

int

は再計算してもよく,また,FFT 変換の伝達関数による減衰は,ソフトウェアの操作によって補

正してもよい。

次数間高調波の統計的評価が必要な場合は,

JA.9

の規定に従ってもよい。次数間高調波の場合は,

固定高調波周波数の代わりに周波数範囲を考慮しなければならない。これらの範囲の中心及び幅は,

検討している現象(例えば,リプル制御受信器への影響又はフリッカ効果への影響)に従って選択す

る。

JA.11

周囲条件による影響−イミュニティテスト

製造業者は,次の各項目について,定格動作条件を明示しなければならない。また,これらの周囲条件

が変動した場合に,機器に生じる可能性がある誤差の大きさを明示しなければならない。

−  温度

−  湿度

−  機器供給電圧及びシリースモードの妨害波


46

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

−  機器の接地端子と主電源入力との間のコモンモードの妨害波電圧

−  静電気放電

−  放射電磁界

注記

  安全及び絶縁要件に関して

JIS C 1010-1

を適用する場合,入力回路(電圧及び電流)は,主供

給電圧に直接接続されることを考慮しなければならない。

JA.11.1

温度及び湿度

要求される温度及び湿度範囲は,次による。

−  機器の動作状態での周囲温度:+5  ℃∼+40  ℃

−  機器の保管状態での周囲温度:−10  ℃∼+55  ℃

−  機器の動作状態での相対湿度:40 %∼95 %

JA.11.2

計測器供給電圧

製造業者は,要素が次のように変動した場合に,機器が影響を受ける誤差を示さなければならない。ま

た,この影響誤差は,

図 JA.1

で規定する機器の精度に対して無視できる範囲でなければならない。ここで

示す電源のすべての変動要素は,補助電源装置にも適用する。

−  定格周波数からの偏移:±2 %

−  定格電圧からの偏移:±15 %

−  総合ひずみ:

−  通常用途においては 10 %以下

−  現場測定のように過度なひずみをもった電源で用いる計装は,より高い総合ひずみ耐力が必要とな

る。

−  端子間に重畳する過渡電圧:ピーク値 2 kV(両極性:インパルス波形:1.2/50

µs)

−  瞬時停電:期間 10 ms

注記

  さらに長い瞬時停電  (> 10 ms)  については,記録したデータを安全に保存し,かつ,測定は,

瞬時停電の後,自動的に再開しなければならない。

−  その他の妨害の影響:検討中。

試験は,関連する

IEC

規格によって行う。

JA.11.3

コモンモード妨害電圧

製造業者は,次に示す要素によって受ける影響誤差を明示しなければならない。また,この誤差は,表

示した精度に対して,無視できる範囲でなければならない。

−  主電源周波数で実効値 420 V 未満のコモンモード電圧を,次の各ペアチャネル間に加える。

−  各入力チャネル(電圧又は電流)

−  補助電源供給端子

−  接地された測定機器のきょう体及び出力端子

−  過渡電圧印加:ピーク値 2 kV を機器の接地されたきょう体と外部供給電圧との間に加える(インパル

ス電圧波形:1.2/50

µs)。

−  その他の妨害の影響:検討中。

JA.11.4

静電気放電

JIS C 61000-4-2

の規定に従って試験する。

試験電圧:15 kV(気中放電)

JA.11.5

電磁界


47

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

影響誤差は,電源周波数での 100 A/m の磁界の影響を受けた状態で表示する。

その他の妨害の影響:検討中。

許容誤差:次の値から誘導される最大値。

a)

限度値の 5 %又は

b)  I

r

の 0.15 %

測定−計装の精度:次の値から誘導される最大値。

c)

測定値の 5 %

b)

初期値の 0.15 %

図 JA.1

被試験機器の定格電流に関する許容誤差及び推奨測定器精度


48

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

測定した電圧変圧器の代数:41 台

最大誤差 5 % 
最大誤差 5°

図 JA.2

変換比が周波数 に対して

公称値から

最大 

%

又は 5°未満であった誘導電圧変圧器が

測定した台数の何 

%

あったかの百分率 p

1:入力部 
2:フィルタ部 
3:整流器 
4:低減フィルタ(必要な場合)

5 及び 5°:指示器,記憶器で C

n

及び/又は

n

を示す

図 JA.3

測定及び評価装置のブロック図


49

C 61000-4-7

:2007 (IEC 61000-4-7:2002)

1:アンチエイリアシングフィルタ

6:FFT プロセッサ

2:同期

7:演算プロセッサ

3:サンプル及びホールド

8:過渡高調波評価装置

4:アナログ/デジタル変換器

9:プログラム分類器

5:ウィンドウ形状装置 10:計数器及び蓄積装置

図 JA.4

FFT

のブロック図,評価及び分類装置

参考文献

JIS C 1010-1

  測定,制御及び研究室用電気機器の安全性−第 1 部:一般要求事項

注記

  対応国際規格:

IEC 61010-1

,Safety requirements for electrical equipment for measurement, control,

and laboratory use−Part 1 : General requirements (MOD)

IEC 61000-3

 (all parts),Electromagnetic compatibility (EMC)

IEC 61000-3-4

,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 3-4 : Limits−Limitation of emission of harmonic

currents in low-voltage power supply systems for equipment with rated current greater than 16 A

IEC 61000-4-30

,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4-30 : Testing and measurement techniques−

Power quality measurement methods