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C 61300-3-3:2009 (IEC 61300-3-3:2003) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 概要······························································································································· 2 

3.1 予防措置 ······················································································································ 2 

4 装置······························································································································· 2 

4.1 方法1,方法2及び方法3 ································································································ 2 

4.2 方法4及び方法5 ··········································································································· 5 

5 手順······························································································································· 7 

5.1 単一試料の挿入損失及び反射減衰量のモニタ:方法1 ··························································· 7 

5.2 1×N光ブランチングデバイスを用いた複数試料の挿入損失及び反射減衰量のモニタ:方法2 ······· 7 

5.3 二つの1×N光スイッチを用いた複数試料の挿入損失及び反射減衰量のモニタ:方法3 ················ 8 

5.4 双方向OTDRによる複数試料の挿入損失及び反射減衰量のモニタ:方法4······························· 10 

5.5 単一方向OTDRによる複数試料の挿入損失及び反射減衰量のモニタ:方法5···························· 13 

6 個別に規定する事項 ········································································································· 13 

6.1 方法1 ························································································································· 13 

6.2 方法2及び方法3 ·········································································································· 13 

6.3 方法4及び方法5 ·········································································································· 14 

C 61300-3-3:2009 (IEC 61300-3-3:2003) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人光産業技術振興協会(OITDA)及び財

団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工

業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。 

JIS C 61300の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS C 61300-1 第1部:通則 

JIS C 61300-2-17 第2-17部:低温試験 

JIS C 61300-2-18 第2-18部:高温試験 

JIS C 61300-2-19 第2-19部:高温高湿試験(定常状態) 

JIS C 61300-2-45 第2-45部:浸水試験 

JIS C 61300-2-48 第2-48部:温湿度サイクル試験(予定) 

JIS C 61300-3-3 第3-3部:挿入損失及び反射減衰量変化のモニタ方法 

JIS C 61300-3-20 第3-20部:波長選択性のない光ブランチングデバイスのディレクティビティ測定 

JIS C 61300-3-28 第3-28部:過渡損失測定 

JIS C 61300-3-31 第3-31部:光ファイバ光源の結合パワー比測定 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

C 61300-3-3:2009 

(IEC 61300-3-3:2003) 

光ファイバ接続デバイス及び光受動部品− 

基本試験及び測定手順− 

第3-3部:挿入損失及び反射減衰量変化のモニタ方法 

Fiber optic interconnecting devices and passive components- 

Basic test and measurement procedures- 

Part 3-3:Examinations and measurements- 

Active monitoring of changes in attenuation and return loss 

序文 

この規格は,2003年に第2版として発行されたIEC 61300-3-3を基に,技術的内容及び対応国際規格の

構成を変更することなく作成した日本工業規格である。 

適用範囲 

この規格は,環境的又は機械的な試験に付随し,光受動部品又は光ファイバ接続デバイスの挿入損失及

び/又は反射減衰量の変化を監視する手順について規定する。これを一般的にはアクティブモニタ法と呼

ぶ。多くの場合,挿入損失及び反射減衰量は同時に測定するほうがより効率的である。 

この測定法は,単一試料測定又は複数試料同時測定に適用し,単一波長又は複数波長による測定を規定

し,必要に応じて光ブランチングデバイス又は光スイッチを使用する。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 61300-3-3:2003,Fibre optic interconnecting devices and passive components−Basic test and 

measurement procedures−Part 3-3: Examinations and measurements−Active monitoring of 

changes in attenuation and return loss (IDT) 

なお,対応の程度を表す記号(IDT)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,一致していることを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 61300-1 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品−基本試験及び測定手順−第1部:通則 

注記 対応国際規格:IEC 61300-1,Fibre optic interconnecting devices and passive components−Basic 

test and measurement procedures−Part 1: General and guidance (IDT) 

IEC 61300-3-1,Fibre optic interconnecting devices and passive components−Basic test and measurement 

procedures−Part 3-1:Examinations and measurements−Visual examination 

IEC 61300-3-6,Fibre optic interconnecting devices and passive components−Basic test and measurement 

C 61300-3-3:2009 (IEC 61300-3-3:2003) 

  

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procedures−Part 3-6:Examinations and measurements−Return loss 

IEC/PAS 61300-3-35,Fibre optic interconnecting devices and passive components−Basic test and 

measurement procedures−Part 3-35:Examinations and measurements−Fibre optic cylindrical connector 

endface visual inspection 

概要 

この規格は,各種のアクティブモニタ法を規定する。方法1は,単独の光受動部品の機械/環境試験時

における試験方法についての規定である。方法2及び方法3は,複数の光受動部品の測定法を規定し,方

法4及び方法5は,光パルス試験器(OTDR)を用いた測定法を規定する。方法4及び方法5は,OTDR

アベレージ時間が試験状態の変化時間と比較して十分に短い場合だけに用いる。それぞれの測定法におい

て何らかの測定の不確かさがある場合には,方法1を標準測定法とする。 

すべての測定法は,挿入損失及び反射減衰量の同時測定が可能な構成とすることができる。必要な光学

試験パラメータは個別規格に規定する。 

複数の部品を長期間(数日〜数週間以上)モニタする場合は,自動データ収集装置を用いるのが一般的

である。また,光学特性の変化量が非常に小さい場合は,測定系の長期間の安定性の確保が重要である。 

3.1 

予防措置 

次の要求条件を,満足しなければならない。 

3.1.1 

クラッドモードが測定に影響を与えないように予防措置を講じる。クラッドモードは光ファイバコ

ーティングの機能によって除去する。 

3.1.2 

光ファイバの曲げ損失の変動が測定に影響を与えないように,供試品と測定装置との間の光ファイ

バケーブルが動かないように予防措置を講じる。 

3.1.3 

測定装置の安定度は,供試品の最低挿入損失の0.05 dB又は10 %のうち低い値以下とする。また,

測定中安定度を保持する。測定精度は,マルチモード又はシングルモードにかかわらず,0.01 dBとする。 

3.1.4 

信頼性のあるデータを取得するため,製造業者の指定した方法で,すべての供試品を清掃するとと

もに外観検査する。外観検査は,IEC 61300-3-1及びIEC/PAS 61300-3-35による。 

3.1.5 

光ファイバ中の光パワーは,非線形散乱を生じるレベル以下とする(通常,3 mW以下。)。 

3.1.6 

モニタする供試品自体の偏光依存性は,光ブランチングデバイス,光スイッチ又は光検出器などの

測定装置の構成要素に起因する偏光依存性より小さいこともあるため,偏光度の小さい光源を使用するか,

偏光度を低減する光学系を用いることが一般的である。 

3.1.7 

光合波器,光減衰器などのような波長依存性の大きな部品の測定時は,測定精度に影響を与えない

範囲の波長の光源を使用する。 

3.1.8 

測定装置からの反射量は,測定精度に影響を与えないレベルとする。 

3.1.9 

マルチモード測定時に,光スイッチ又は光ブランチングデバイスを使用する場合は,これらの部品

はモードによって不均一な光パワー分布が生じ,測定値の誤差の要因になることがあるので,特に注意を

する。 

装置 

4.1 

方法1,方法2及び方法3 

方法1,方法2及び方法3に使用する装置を,図1,図2及び図3に示す。 

C 61300-3-3:2009 (IEC 61300-3-3:2003) 

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4.1.1 

光源(S) 光源は,安定性及び光パワーレベルの要求に対し,次の条件を満たす必要がある。 

  中心波長: 別途規定。 

  スペクトル線幅: フィルタ付LED: ≦150 nm FWHM 

           LD 

: <10 nm FWHM 

マルチモード光ファイバにはLEDのような広帯域光源を使用する。 

シングルモード光ファイバにはLED又はLDを使用する。 

注記1 マルチモード光ファイバ中では,コヒーレント光のモード干渉によってスペックル パターン

が生じる。スペックル パターンは,特有の時間が検出器の分析時間よりも長いため,スペッ

クル雑音及びモード雑音を生み,光パワー変動となる。したがって,マルチモード測定にお

いてコヒーレント光では安定な励振条件を実現できない。結果的に,マルチモード部品の測

定にはOTDR光源を含むレーザは避け,LED又は他のインコヒーレントな光源を使用するこ

とが望ましい。 

複数波長の測定法には多くの方法がある。図3はその一例であり,独立した光源が光スイッチ3(SW3)

で結合している。 

注記2 複数波長測定時には,測定装置の波長依存性について考慮することが極めて大切である。例

えば,異なる光スイッチポートが同一の波長依存性をもっていないとする。その場合は,基

準チャンネルと任意の測定チャンネルとの比較測定に影響がある。なぜなら,両者を異なる

光スイッチポートに接続しているからである。したがって,その場合は,測定装置の正確な

波長特性を試験前に測定しておく必要がある。 

4.1.2 

励振条件(E) 特に規定しない場合には,励振条件はJIS C 61300-1の附属書Bに準拠する。励

振条件は,クラッドモードを完全に除去し,定常モード分布とする。 

4.1.3 

モニタ装置 複数測定を行う場合は,複数光路の光をモニタするのに適した装置を用いる。 

図2では,光源からの光を1×N光ブランチングデバイスによってN本の光路に分離して,個々のモニ

タチャンネルに使用している。この方法は,複数の光ブランチングデバイス(2×2)及び光検出器を必要

とするため,供試品の数があまり多くない場合に適している。 

図3では,供試品の光路を光スイッチによって選択する機構を示す。装置は,方向性結合器及び自動制

御機能のある二つの1×N光スイッチで構成する。この方式は,複数の供試品の試験に対応が可能であり,

必要に応じて幾つかのリファレンス光路及びリファレンス反射光路をもつ。 

注記 複数試料の測定システムの設計は,コスト,測定能力などの相反する要因を考慮して決定する。

例えば,マルチモード部品の測定には,モード損失の問題,それにかかる費用などから,光ブ

ランチングデバイス及び光スイッチの使用は適切ではない。しかし,シングルモード部品の測

定には,特に光源及び光検出器のコスト並びに測定安定性を考慮した場合は,光スイッチの使

用はコスト的に有利である。 

規定すべき光スイッチパラメータは,次による。 

a) 再現性 光スイッチのチャンネルごとの挿入損失の再現性は,供試品の挿入損失及び反射減衰量測定

の確度に直接関連するため,高い必要がある。また,一般的に環境試験は長期間かかることがあるの

で,再現性を試験期間全体で保証しなければならない。 

b) 反射減衰量 光スイッチの反射減衰量特性は,方法2及び方法3における測定に過度に影響を与えな

い範囲とする。 

c) 波長依存性 多波長測定を行うときは,方法2及び方法3における測定に過度に影響を与えないよう

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

に,光スイッチの波長依存性を考慮する。 

4.1.4 

光検出器(D) 光検出器は,適切なコネクタプラグと接続が可能で,接続したコネクタプラグか

らの全光量を受光する必要がある。 

安定性及び分解能の規定に加えて,次の条件を満たさなければならない。 

直線性: マルチモード: ±0.25 dB(−60 dBm〜−5 dBm以上 の範囲で) 

    シングルモード: ±0.1 dB(−60 dBm〜−5 dBm以上 の範囲で) 

注記 光パワーメータの直線性は,測定波長において−23 dBmのレベルを基準とする。 

光検出器は,供試品の測定波長範囲において高いダイナミックレンジをもち,ゼロ補正が可能でなけれ

ばならない。 

4.1.5 

ストレス負荷装置 ストレス負荷装置は,供試品に規定のストレスを与えることが可能な構造とす

る。環境ストレス試験においては,一般的にストレス負荷装置は規定の最高・最低温度及び最高・最低湿

度を実現可能な環境チャンバとする。機械ストレス試験は,衝撃試験機,引張り試験機,振動板など試験

仕様に応じた適切なストレス負荷装置とする。 

4.1.6 

光ブランチングデバイス(BD) 光ブランチングデバイスは,分岐比が一定であり,偏光依存性

がないものとする。ディレクティビティは,測定する最大反射減衰量より10 dB以上大きくなければなら

ない。 

4.1.7 

テンポラリジョイント(TJ) 通常,供試品と試験装置との間の一般的な接続には,試験安定性

の要求条件からメカニカルスプライス又は融着接続が望ましい。 

4.1.8 

データ収集装置 データ収集は,手動又は自動で行う。測定は,規定の間隔で行う。測定が自動の

場合は,データ収集装置もそれに適合したものを用いる。 

4.1.9 

基準サンプル 基準サンプルは,試験下のサンプルと直接的な特性比較を行う目的のもので,環境

試験で用いる。基準サンプルは,供試品を実装していないことを除けば,試験下のサンプルと同等とする。

例えば,コネクタが供試品の場合は,基準サンプルは同形式で同等の長さの光ファイバケーブルとする。

基準サンプルはできる限り供試品と近い位置に置くことが望ましい。 

4.1.10 基準光ファイバ 基準光ファイバは,光源の不安定性のモニタ及びその補償に用いる。基準光ファ

イバは,基準サンプルがなく,かつ,光源が不安定で規定の測定精度の確保が難しい場合に用いる。 

図1−方法1 ストレス試験中の単一試料の挿入損失及び反射減衰量のモニタ 

ストレス負荷装置 

供試品 

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図2−方法2 1×N光ブランチングデバイスを用いた複数試料の挿入損失及び反射減衰量のモニタ 

図3−方法3 二つの1×N光スイッチを用いた複数試料の挿入損失及び反射減衰量のモニタ 

4.2 

方法4及び方法5 

方法4及び方法5に使用する装置及び複数の供試品をモニタする構成を,図4及び図5に示す。これら

の測定方法で特別に使用する装置は,次による。 

4.2.1 

OTDR 

方法4及び方法5では,OTDRを自動測定装置として使用する。OTDRは,1種類以上のパルス幅及び

一定速度の繰返し光パルスを発生することができなければならない。詳細特性は別途個別規定に記載する。 

ストレス負荷装置 

1×N 

供試品 

光スイッチ1 

モードフィルタ 

光スイッチ2 

光スイッチ3 

TJ 

ブランチング
デバイス 

光源 

モニタサンプル 

ストレス負荷装置 

基準反射減衰量 

基準光ファイバ 

供試品 

供試品 
供試品 

供試品 

供試品 

供試品 

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注記 反射減衰量の測定には長いアベレージング時間を要するため,連続測定の最小周期時間を制限

することがある。 

4.2.2 

バッファ光ファイバ 

供試品とOTDR装置とを空間的に分離させるために必要な長さの光ファイバをバッファ光ファイバとす

る。 

4.2.3 

光スイッチ 

方法2及び方法3における光スイッチとの主要な相違点は,次による。 

a) 再現性 OTDRは,供試品と光スイッチの特性とを区別することが可能なため,方法4及び方法5に

おいては光スイッチの個々のチャンネルの挿入損失は長時間にわたる高い再現性は必要ない。 

b) 反射減衰量 光スイッチに反射があるとOTDR測定結果の誤差が増大するため,方法4及び方法5に

おいては,光スイッチの反射減衰量は非常に大きい必要がある。 

図4−方法4 双方向OTDRによる複数試料の挿入損失及び反射減衰量のモニタ 

バッファ光ファイバ 

モードフィルタ 

TJ 

光スイッチ1

光スイッチ2 

供試品 

供試品 

ストレス負荷装置 

モニタサンプル 

供試品 

供試品 

供試品 

供試品 

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図5−方法5 単一方向OTDRによる複数試料の挿入損失及び反射減衰量のモニタ 

手順 

5.1 

単一試料の挿入損失及び反射減衰量のモニタ:方法1 

この方法は,光ブランチングデバイスを用いて,ストレス負荷装置中の供試品の挿入損失及び反射減衰

量をモニタする方法を含む。通過光パワー(D1における測定値)及び反射光パワー(D2における測定値)

を基準光パワー(D3における測定値)と比較する。 

注記 短期間の挿入損失のモニタに限り,光ブランチングデバイス(BD)を省略することができる。

この場合は,挿入損失の変動が試験中の供試品によるものであり,試験装置による変動でない

ことを検証する必要がある。そのような供試品の測定は,IEC 61300-3-4に準拠することが望ま

しい。 

5.1.1 

挿入損失のモニタ:方法1 

個別に規定した時間間隔で,D1及びD3の値を読む。D1とD3との比の対数が供試品の挿入損失(dB)に

比例する。ストレス負荷試験における供試品の挿入損失の変化を見るため,このD1/D3比の変化をモニタ

する。通常は,D1/D3比の変化を時間軸上に表示する。 

5.1.2 

反射減衰量のモニタ:方法1 

規定した時間間隔で,D2及びD3の値を読む。D2とD3との比の対数が供試品の反射減衰量(dB)に比例

する。ストレス負荷試験における供試品の反射減衰量の変化を見るため,このD2/D3比の変化をモニタす

る。通常は,D2/D3比の変化を時間軸上に表示する。 

5.2 

1×N光ブランチングデバイスを用いた複数試料の挿入損失及び反射減衰量のモニタ:方法2 

この方法は,1×N光ブランチングデバイス及び多数の1×2又は2×2光ブランチングデバイスを用いて,

モードフィルタ 

光スイッチ1 

バッファ光ファイバ 

TJ 

供試品 

供試品 

供試品 

供試品 

供試品 

供試品 

ストレス負荷装置 

モニタサンプル 

C 61300-3-3:2009 (IEC 61300-3-3:2003) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ストレス負荷装置中の複数の供試品の挿入損失及び反射減衰量をモニタする方法を含む。個々の試料ごと

に,通過光パワー(D1における測定値)及び反射光パワー(D2における測定値)を基準光パワー(D3に

おける測定値)と比較する。 

モニタ測定の確度を把握するため,光源Sと1×N光ブランチングデバイスとを組み合わせて,個々の

出力ポートの分岐比の安定性を測定しておく必要がある。 

5.2.1 

挿入損失のモニタ:方法2 

規定した時間間隔で,個々の供試品のD1及びD3の値を読む。D1とD3との比の対数が供試品の挿入損

失(dB)に比例する。ストレス負荷試験における供試品の挿入損失の変化を見るため,個々の供試品の

D1/D3比の変化をモニタする。通常は,個々の試料のD1/D3比の変化を時間軸上に表示する。 

5.2.2 

反射減衰量のモニタ:方法2 

規定した時間間隔で,個々の供試品のD2及びD3の値を読む。D2とD3との比の対数が供試品の反射減

衰量(dB)に比例する。ストレス負荷試験における供試品の反射減衰量の変化を見るため,個々の供試品

のD2/D3比の変化をモニタする。通常は,個々の試料のD2/D3比の変化を時間軸上に表示する。 

5.3 

二つの1×N光スイッチを用いた複数試料の挿入損失及び反射減衰量のモニタ:方法3 

試験装置が複雑なため,通常装置の幾つかの部分をコンピュータ制御とする。この制御は,必要数の測

定を行うために光源を適切な時間で切り替えるため,1×N光スイッチ同士が同期して動作する機能を備え

る。また,この制御はストレス負荷試験の期間中,個別に規定した条件に従って周期的に手順を繰り返す

機能を備える。 

5.3.1 

挿入損失のモニタ:方法3 

ある時間“t”におけるチャンネル“i”の試験部品の挿入損失の測定は,次による。 

t

i

i

t

i

P

J

L

,

,

=

ここに, 

Pi,t = pi,t−pm,t: 規格化光パワー(dB) 

pm,t: モニタチャンネルを通過した光パワー(dBm) 

pi,t: 光スイッチ1及び2が両方ともチャンネル“i”に 

セットしたときの光パワー測定値(dBm) 

Ji: チャンネル“i”に対する定数(dB) 

基準チャンネルが複数ある場合は,pm,tの値は全基準チャンネルの平均値とする。 

注記1 大文字は規格化光パワーを表し,小文字は測定値を表す。チャンネル“i”の規格化光パワー

は,チャンネル“i”を通過した光パワーから全基準チャンネルを通過した光パワーの平均値

を引いたものである。規格化光パワーを使うことで,光源の強度の変動及び損失の変動を分

離することができる。 

注記2 添え字“t”は,一連の測定,すなわち,特定条件の測定群を参照していることを意味する。 

注記3 図3,図4及び図5の装置において“m”はモニタ試料を表す。モニタ試料は,ストレスチャ

ンバ内の供試品に対して光ファイバ自体で生じる変化をモニタするために用いる。 

Pi,tを決定する一連の測定中には,測定系内の光パワーレベルの変動が生じないように注意を払う必要が

ある。 

定数Jiは,試験手順の完了時にカットバック法によって求める(図6参照)。 

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C 61300-3-3:2009 (IEC 61300-3-3:2003) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c,i

i

i

i

P

A

B

J

+

=

ここに, 

Ai: 光ファイバ“i”中の“a”点で測定したカットバック 

パワー(図6参照) 

Bi: 光ファイバ“i”中の“b”点で測定したカットバック 

パワー(図6参照) 

Pi,c: カットバック測定中のPi,t の値 

図6−カットバック測定位置(透過) 

Jiを求める測定手順は,まず,Pi,cを測定した後,Ai ,Biの順でカットバック測定を行う。Ai及びBiは裸

光ファイバ付の光パワーメータで測定する。 

5.3.2 

反射減衰量:方法3 

光スイッチ1をチャンネル“i”に,光スイッチ2をチャンネル“rev”にセットする。ある時間“t”に

おけるチャンネル“i”の試験部品の反射減衰量の測定は,次による。 

(

)

10

/1

,

,

10

1

log

10

P

i

t

i

t

i

G

P

RL

+

=

ここに, 

RLi,t: 反射減衰量(dB) 

Pi,t=pi,t−pr,t: チャンネル“i”の規格化光パワー(dB) 

Gi: 定数 

注記 反射減衰量の計算において,規格化光パワーはチャンネル“i”の光パワーからチャンネル“r”

の光パワーを引いたものである。Pr,tは,光スイッチ1をチャンネル“r”に,光スイッチ2を

チャンネル“rev”に合わせて測定した光パワーをdBmで表したものである。 

o,

,

1

i

t

i

P

P

P

=

ここに, Pi,t=pi,o−pr,o: 光スイッチ1及び2を部品なしで直接接続した

チャンネル“i”からの光ファイバで測定した
規格化反射光パワー(dB) 

|∆P1| > 10 dBであるときは,反射減衰量は次の近似が成り立つ。 

i

t

i

t

i

G

P

RL

,

,

モードフィルタ 

TJ 

光スイッチ2 

からの光ファイバ 

光スイッチ1 

からの光ファイバ 

供試品 

10 

C 61300-3-3:2009 (IEC 61300-3-3:2003) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

定数Giは,基準反射減衰量で終端した光スイッチ1のチャンネル“i”からの光ファイバで測定した値

で評価する。基準反射減衰量は,既知の反射減衰量で終端した適切な長さの光ファイバ端である。 

(

)

10

/2

r,

10

1

log

10

P

i

i

S

P

G

+

=

ここに, 

S: 基準反射減衰量(dB) 

Pi,r: 基準反射減衰量Sで終端した光スイッチ1のチャン

ネル“i”と“r”との間の規格化光パワー(dB) 

o,

  

s,

2

i

i

P

P

P

=

ここに, 

Pi,s: 基準反射減衰量Sで終端したチャンネル“i”の規格化

光パワー(dB) 

P′i,o: 基準反射減衰量Sと光スイッチ1との間のマンドレル

ラップ(光ファイバをマンドレルに巻く)のような光
ファイバ中の高減衰を用いた規格化反射光パワー 

5.4 

双方向OTDRによる複数試料の挿入損失及び反射減衰量のモニタ:方法4 

試験装置が複雑なため,通常,OTDR装置を含む幾つかの部分をコンピュータ制御とする。この制御は,

必要数の測定を行うために光源を適切な時間で切り替えるため,1×N光スイッチ同士が同期して動作する

機能を備える。また,この制御はストレス試験の期間中,個別に規定した条件に従って周期的に手順を繰

り返す機能を備える。 

5.4.1 

挿入損失:方法4 

ある時間“t”におけるチャンネル“i”の試験部品の挿入損失は,次の式による。 

i

t

i

t

i

t

i

J

Xr

Xf

L

+

+

=

2

,

,

,

ここに, 

Xfi,t: チャンネル“i”にセットした光スイッチ1の試験部

品のOTDRディスプレー上の光パワー変化量 

 
 

Xri,t: チャンネル“i”にセットした光スイッチ2の試験部

品のOTDRディスプレー上の光パワー変化量。 
光スイッチ1はチャンネル“rev”にセットする。 

Ji: チャンネル“i”に対する定数 

Xf及びXrの値は,それぞれ順方向及び逆方向の伝送損失と仮接続の損失とを加えた損失として見える

値である(図7参照)。 

background image

11 

C 61300-3-3:2009 (IEC 61300-3-3:2003) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図7−供試品からの反射による典型的なOTDR軌跡 

注記 これはモニタ試験なので,挿入損失の変化だけが重要である。したがって,Li,tの絶対値よりも,

Li,tの初期値からの変化が重要である。 

定数Jiは,試験手順の完了時にカットバック法によって決定する。 

Jiを決定する測定手順は,まず,Xfi,c及びXri,cを測定した後,2波長光源付のOTDRを置換し,Ai及び

Biのカットバック測定を行う。Ai 及びBiはベア光ファイバ付の光パワーメータで測定する。これらは,

OTDRを使用しない唯一の測定である。 

2

c,

c,

i

i

i

i

i

Xr

Xf

A

B

J

+

=

ここに, 

Ai: 光ファイバ“i”中の“a”点で測定した

カットバックパワー(図8参照) 

Bi: 光ファイバ“i”中の“b”点で測定した

カットバックパワー(図8参照) 

Xfi,c及びXri,c: カットバック測定中の値 

長さ 

OTDRの信号 

Xf,Xr 

background image

12 

C 61300-3-3:2009 (IEC 61300-3-3:2003) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図8−カットバック測定位置(OTDR) 

5.4.2 

反射減衰量:方法4 

光スイッチ1を,反射減衰量を測定するチャンネルにセットする。反射減衰量の測定方法は,次による。 

注記 1 ms以下の短光パルスでは,OTDR光検出器の応答帯域が測定精度を制限する可能性がある。

この場合は,反射減衰量は基準後方反射部品に対して校正する必要がある。 

ある時間“t”におけるチャンネル“i”の供試品の反射減衰量は,次の式による。 

i

H

t

i

K

RL

t

i

+

=

1

10

log

10

5

,

,

ここに, 

Hi,t: OTDR軌跡の反射量の最大値(図7参照) 

Ki: チャンネル“i”に対する定数(dB) 

定数Kiは,次の式によって評価する。 ()

T

B

Ki

log

10

=

ここに, 

T: OTDRパルスの時間幅(ns) 

B: レイリー散乱係数 

Bは,光ファイバ製造業者の推奨値,又はIEC 61300-3-6に規定する計算方法によって求める。表1に

いろいろなタイプの光ファイバのB値の例を示す。 

表1−レイリー後方散乱係数の例 

光ファイバタイプ 

波長(nm) 

B(dB)(Tは ns) 

分散非シフトシングルモード光ファイバ 

1 310 

−80 

1 550 

  −82.5 

分散シフトシングルモード光ファイバ 

1 550 

−81 

コア径62.5 μm,NA 0.275のGI形マルチモード光ファイバ 

  850 
1 300 

−67 
−74 

Hi,t > 5 dBの場合は,反射減衰量は次の近似式による。 

モードフィルタ 

光スイッチ2 

からの光ファイバ 

光スイッチ1 

からの光ファイバ 

供試品 

TJ 

バッファ光ファイバ 

13 

C 61300-3-3:2009 (IEC 61300-3-3:2003) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

i

t

i

t

i

K

H

RL

+

×

=

,

,

2

Ki の代替評価方法は,光スイッチ1のチャンネル“i”からの光ファイバに既知の反射減衰量を接続す

る方法である。この場合は,Kiは次の式による。 

R

K

t

i

H

i

+

=

1

10

log

10

5

,

ここに, 

R: 参照する既知の反射減衰量の値 

5.5 

単一方向OTDRによる複数試料の挿入損失及び反射減衰量のモニタ:方法5 

この方法は,機能的には方法4と同等である。モニタ試験の場合は,双方向OTDRを用いなくても供試

品の特性を精度良く測定することが可能である。図5は,単一方向のOTDRで挿入損失及び反射減衰量の

変化量が測定可能なことを示している。したがって,装置は1×N光スイッチを一つだけ含む。 

時刻“t”におけるチャンネル“i”の供試品の相対挿入損失は,次による。 

t

i

t

i

Xf

L

,

,=

注記 方法4にあるとおり,モニタ測定で重要なのはLi,tの初期値に対する変化量である。 

反射減衰量は,5.4.2によって測定する。 

個別に規定する事項 

6.1 

方法1 

a) 負荷パラメータ 

b) 試験時間,又は繰返し回数 

c) 測定周期 

d) 光源パラメータ 

e) 合否基準 

f) 

この試験法からの変更点 

6.2 

方法2及び方法3 

a) 負荷パラメータ 

b) 試験時間,又は繰返し回数 

c) 測定周期 

d) 光源パラメータ 

e) 光スイッチ,又は1×N光ブランチングデバイス パラメータ 

f) 

1×2又は2×2光ブランチングデバイス パラメータ 

g) 基準サンプル,又は基準光ファイバの仕様 

h) 反射光パワーの低減化手順 

i) 

合否基準 

j) 

この試験法からの変更点 

14 

C 61300-3-3:2009 (IEC 61300-3-3:2003) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.3 

方法4及び方法5 

a) 負荷パラメータ 

b) 試験時間,又は繰返し回数 

c) 測定周期 

d) OTDRパラメータ 

e) 光スイッチパラメータ 

f) 

基準サンプル,又は基準光ファイバの仕様 

g) 光ファイバ長及び特性(バッファ光ファイバ) 

h) 合否基準 

i) 

この試験法からの変更点 

参考文献 IEC 61300-3-4,Fibre optic interconnecting devices and passive components−Basic test and 

measurement procedures−Part 3-4: Examinations and measurements−Attenuation