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C 60721-2-5:2004 (IEC 60721-2-5:1991) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC 60721-2-5:1991,Classification of 

environmental conditions−Part 2 : Environmental conditions appearing in nature−Section 5 : Dust, sand, salt mist

を基礎として用いた。 

JIS C 60721-2-5には,次に示す附属書がある。 

附属書A(参考)じんあい及び砂の濃度(高い濃度の例) 

附属書B(参考)参考文献 

C 60721-2-5:2004 (IEC 60721-2-5:1991) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 一般事項 ························································································································ 1 

4. 自然環境におけるじんあい及び砂 ······················································································· 2 

4.1 じんあい及び砂の分類 ···································································································· 2 

4.2 じんあい及び砂環境の特性 ······························································································ 2 

4.3 じんあい及び砂の環境に及ぼす影響··················································································· 4 

5. 囲われた場所のじんあい及び砂 ·························································································· 5 

5.1 じんあい及び砂の特性 ···································································································· 5 

5.2 じんあい及び砂環境に影響を与える要因············································································· 5 

6. 塩霧 ······························································································································ 6 

6.1 塩霧の特性 ··················································································································· 6 

6.2 塩霧環境に影響を及ぼす要因 ··························································································· 7 

附属書A(参考)じんあい及び砂の濃度(高い濃度の例) ·························································· 13 

附属書B(参考)参考文献 ···································································································· 14 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

C 60721-2-5:2004 

(IEC 60721-2-5:1991) 

環境条件の分類−第2−5部: 

自然環境の条件−じんあい,砂及び塩霧 

Classification of environmental conditions−Part 2 : Environmental 

conditions appearing in nature−Section 5 : Dust, sand, salt mist  

序文 この規格は,1991年に第1版として発行されたIEC 60721-2-5,Classification of environmental 

conditions−Part 2 : Environmental conditions appearing in nature−Section 5 : Dust, sand, salt mistを翻訳し,技術

的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。 

この規格は,製品が使用される環境に応じて,じんあい,砂及び塩霧のきびしさの分類を選択するとき

の情報を示す。きびしさの分類はJIS C 60721-1に規定する。 

じんあい,砂及び塩霧に関する詳細な情報は附属書Bの参考文献に示す。 

1. 適用範囲 この規格は,自然に生じるじんあい,砂及び塩霧の特徴を示し,電気・電子製品の保存時,

輸送時及び使用時に,製品がこれらの環境要因にさらされた場合の影響について規定する。これらの環境

要因による影響は,多くの場合風と密接に結びついており,風によって強められることがある。風に関す

る環境要因はJIS C 60721-2-2で規定しているのでこの規格では扱わない。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide21に基づき,IDT(一致している),MOD(修

正している),NEQ(同等でない)とする。 

IEC 60721-2-5:1991, Classification of environmental conditions−Part 2 : Environmental conditions 

appearing in nature−Section 5 : Dust, sand, salt mist (IDT) 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 60721-1 環境条件の分類 環境パラメータとその厳しさの分類 

備考 IEC60721-1:1990, Classification of environmental conditions−Part 1: Environmental parameters 

and their severities,Amendment 1 (1992) が,この規格と一致している。 

JIS C 60721-2-2 環境条件の分類 自然環境の条件−降水及び風 

備考 IEC60721-2-2:1988, Classification of environmental conditions−Part 2: Environmental conditions 

appearing in nature,Presipitation and wind,が,この規格と一致している。 

3. 一般事項 じんあい,砂,塩霧更に風が加わると,様々な形で製品に影響を与える。最も重要な影響

は,次のものである。 

C 60721-2-5:2004 (IEC 60721-2-5:1991) 

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− エンクロージャ及び封止内へのじんあいの侵入 

− 電気特性の劣化,例:接触不良,接触抵抗の変化,抵抗の変化 

− ベアリング,駆動軸,シャフト及びその他可動部の運動の停止又は障害 

− 表面磨耗(腐食,侵食) 

− 光学表面の曇り 

− 潤滑剤のよごれ 

− 熱伝導の低下 

− 換気口,ブッシング,パイプ,フィルター,オペレーションに必要な装置などの詰まりなど 

じんあい及び砂の存在が水蒸気などの他の環境要因と組み合わさると,腐食,かび増殖などが起こり,

有害な影響をもたらすことがある。高温で湿気のある環境では,化学的に活性なじんあいで製品に腐食が

生じる。空気中に含まれる塩霧によっても同様の影響が生じる。 

融雪用の塩などのイオン伝導性で,かつ腐食性のあるじんあいの影響が考慮されなければならない。 

4. 自然環境におけるじんあい及び砂 

4.1 

じんあい及び砂の分類 次に示すじんあい及び砂の定義は,空気力学的な性質の違いに基づくもの

である。 

− じんあいは,起源又は組成にかかわらず,大きさ1〜150 μmの微粒物質と定義される。直径75μm未

満の粒子は,空気の自然乱流によって長時間大気中に浮遊する。 

− 砂は,岩くずの沈殿物が層をなさずに分離して集積したものに適用される用語であり,本質的に,石

英の球状砂粒で構成される。この用語は,地質学では大きさ100〜1000 μmの粒子に適用される。直

径150 μmを超える粒子は,自然又は人工的な強い気流若しくは乱流に持続的にさらされない限り,

空中に浮遊することがない。 

− 煙又はくん煙は空中に分散しているものであり,1 μmに満たない粒子で構成される。 

4.2 

じんあい及び砂環境の特性  

4.2.1 

じんあい及び砂の種類 自然に生じる多くのじんあい及び砂の主な構成物は石英であり,砂漠又は

砂漠に類似した地域で製品に損傷を引き起こす。石英のきわだった特徴はその硬さであり,製品の特に可

動部に急速に消耗又は損傷をもたらす。ただし,材料に腐食が生じるには,じんあい及び砂並びに高速気

流が長時間組み合わされることが必要である。 

この種のじんあいのもう一つの特徴は,非吸湿性で,かつ化学的に不活性で,大気中の湿気又はガスと

組み合わされて金属に腐食作用を起こす種類のじんあいとは異なることである。 

細かいじんあいの特徴は,非研摩性で,かつ吸湿性があることである。 

4.2.2 

粒子サイズ じんあい及び砂の粒子サイズは,おおむね次の範囲である。 

− 細かいじんあい:75 μmまで 

− 粗いじんあい:75〜150 μm 

− 砂:150〜1000 μm 

じんあい及び砂の粒子サイズの累積分布を,付図1に示す。 

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4.2.3 

粒子の硬さ 粒子の硬さが硬いと,接触の際に対象を傷つけることがある。砂は主に石英結晶又は

他の鉱石の小さな破片で構成されており,一般に,大部分の溶融シリカガラスよりも硬い。したがって,

砂はほとんどのガラス光学装置の表面を傷つける。ガラス表面に付着した砂の粒子に圧力がかかると,ガ

ラス表面を破砕させることがある。数種の一般的物質及びモース硬度に基づく硬さの水準を表1に示す。

硬度等級の高い物質は,硬度等級の低い物質を傷つけることができる。 

表 1 硬度等級 

モース硬度 

基準物質 

代表的な物質 

タルク 

黒鉛,雪花石こう,けい藻土 

石こう 

カオリナイト,方鉛鉱,雲母,(指の爪) 

方解石 

重晶石,大理石,蛇紋石,あられ石,苦灰石 

ほたる石(CaF2)  

りん灰石 

アスベスト,オパール(蛋白石),窓用ガラス 

正長石 

磁鉄鉱,長石,めのう,黄鉄鉱,(鋼鉄の刃) 

石英 

火打ち石,溶融シリカ,かんらん石,紅柱石,電気石 

黄玉 

金剛砂 

鋼玉 

サファイア,炭化けい素,炭化タングステン 

10 

ダイアモンド 

4.2.4 

濃度 濃度は,空気の単位体積に含まれる粒子の質量として測定可能である。 

大気中のじんあい及び砂の濃度は,地理的な場所,気候条件,そこで行われる活動の種類又は程度によ

って著しく異なる。ある条件下では,大量のじんあい及び砂が局地的,一時的に表面から放出されること

があるし,また,浮遊したじんあいは風と共に流動する。 

温帯気候地帯の地域別の典型的な濃度を表2に示す。 

表 2 典型的なじんあい及び砂の濃度 

地域 

じんあい及び砂の濃度 

μg/m3 

田舎及び郊外 

40〜110 

都市 

100〜450 

工業地帯 

500〜2 000 

さらに,高濃度のじんあい及び砂は,ヘリコプターや車両などによって引き起こされる。附属書Aに,

これらの濃度範囲の概略値を示す。 

砂漠における高度別の典型的なじんあい及び砂の濃度を表3に示す。 

じんあい及び砂の濃度と大きい粒子の存在は,風速が増すと増加する。付図2は,この関係を一般化し

て示したものである。これは温度,湿度,粒子の組成など,幾つかの要因によって変化する。150 μmより

大きい粒子は,通常地上1 m以下の空気層に限られる。この層の中で,砂粒の約半分(質量)は地上10 mm

以内,残り半分は地上100 mm以内を移動する。 

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表 3 砂漠における高度別じんあい及び砂の濃度 

視界条件 

高度 

じんあい及び砂の濃度 

μg/m3 

明りょう,視界130 km 
 

150 
300 
600 

1 200 
1 800 

210 
220 
170 
140 

55 

 
 
 
 

じんあい及び砂の嵐 
視界300 m, 
風速10〜15 m/s 
 

150 
300 
600 
900 

1 200 

2 000 

17 400 

7 000 
1 800 

640 

4.3 

じんあい及び砂の環境に及ぼす影響 じんあい及び砂の環境は,地勢,風,温度,湿度,降水など

の要因によって影響を受ける。これらの要因一つだけでは,その地域がじんあいの問題をもつかどうか決

定することはできず,二つ以上の主要な要因の組合せが必要となる。砂漠地帯などのように,自然に生じ

る最も厳しい状況では,すべての要因が高濃度のじんあい及び砂につながる。地勢によっては,強風をあ

おり,じんあい及び砂の嵐を引き起こす。例えば,山の裂け目などの地形では,空気があい路に集中し風

速を増大する。 

砂は,地球の地表に広く分布している。表4に示す主要な砂漠は,自然の風の力で飛ばされるじんあい及

び砂の主な供給源である。主要な砂漠は,全地表面のおよそ5分の1を占める。すべての大陸には様々な

幅の砂浜があり,以前水で覆われていた内陸地の多くには,地表近傍に大量の砂の沈積がある。 

表 4 主要な砂漠 

名前 

位置 

推定面積 

106km2 

サハラ 
オーストラリア 
アラビア 
トルキスタン 
北アメリカ 
パタゴニア 
タール 
カラハリ 
イラン 
アタカマ 
タクラマカン 

北アフリカ 
オーストラリア 
アラビア半島 
トルクメニスタン 
米国及びメキシコ 
アルゼンチン 
インド及びパキスタン 
南アフリカ 
イラン 
チリ及びペルー 
中国 

7.8 
3.4 
2.6 
1.9 
1.3 
0.7 
0.6 
0.6 
0.4 
0.4 
0.3 

じんあい粒子は,砂と異なりいつまでも空中に浮遊することができるが,表面に沈降することもある。

乾燥した条件では,じんあい粒子が質量で9 %以上含まれている土壌は少なくとも中程度にほこりっぽく,

14 %以上の場合には非常にほこりっぽくなる。南極大陸を除く世界中の地表面の40 %以上が湿気不足,

更に季節的に40 %が乾燥していると分類されるから,じんあいは,世界中の地表面の多くで,1年のかな

りの期間存在していることが予想される。 

降水量の多い地域でも,保護カバーが壊れている場所では,じんあいが問題となる。降水量の多い地域

の多くは非常に水はけがよいために,むきだしの土壌の多くが,大雨の後非常に短い期間にじんあいとな

る。 

普通に風のある内陸部における風の発生頻度を付図3に示す。 

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異なる粒子の大きさと沈降速度との関係を付図4に示す。この図から沈降時間を推定することができる。

気流(温度及びその他)の沈降時間への影響は,小さなサイズの粒子の場合に考慮される。 

5. 囲われた場所のじんあい及び砂  

5.1 

じんあい及び砂の特性  

5.1.1 

じんあいの種類 囲われた場所では,石英,セメント,穀粉,有機繊維などあらゆる種類のじんあ

い素材が存在している可能性がある。 

5.1.2 

粒子サイズの分布 粒子サイズの分布は,屋外か,走行中の車か,囲われた場所かで大きく異なる。

囲われた場所では,フィルター効果によって最大の粒子サイズは,風雨から保護されていない場所より小

さい。囲われた場所における最大粒子サイズは100 μm程度である。 

5.1.3 

じんあい沈降度量 地域別のじんあい及び砂沈降量の典型的な数値を表5に示す。じんあい及び砂

の沈降量は屋外から流れ込んでくるじんあい及び砂を表すものであり,囲われた場所における局地的なじ

んあいは考慮しない。例えば,製粉所,セメント製造所,製材所のような場所では製造工程を通して沈降が

おこる。 

表 5 じんあい及び砂の典型的な沈降量 

地域 

じんあい及び砂の沈降量 

mg / (m2・h) 

田舎及び郊外 

0.4〜15 

都市 

15〜40 

工業地帯 

40〜80 

5.2 

じんあい及び砂環境に影響を与える要因  

5.2.1 

一般事項 囲われた場所でのじんあい及び砂が与える影響は,例えば,砂漠地帯で生じる砂あらし,

ほこりっぽい道で走行する車の周囲などの屋外環境とは大きく異なる。囲われた場所に生じるじんあい及

び砂は様々な発生源から生じる。じんあい及び砂として,シリカ,融雪塩,肥料などがあり,ベンチレー

タ及び窓のすき間を通して侵入してくることがある。 

リビングルーム,オフィスなどで通常使用される服又はカーペットから生じる自然若しくは人工素材の

小繊維もじんあいに含まれる。 

その他のじんあいの発生源は,物置及び製粉所にもある。 

素材及び粒子サイズの分布は,じんあいの種類によって異なる。唯一の共通点は,最大粒子サイズであ

る(5.1.2参照)。 

5.2.2 

じんあいの動き 囲われた場所では,空気の動きはごくわずかであるが,次の現象がある。 

a) 沈降 じんあい及び砂の製品への沈降は,四つの異なるメカニズムによって生じる。 

− 停滞した空気中での沈降 

− 覆われた表面への沈降 

− 静電気による集じん 

− 狭い開口部への付着(強制空気循環におけるフィルターなど) 

空気の動きは,じんあい及び砂の沈降を遅延又は阻害することになる。 

b) 侵入  

じんあい及び砂の製品への侵入は,次のようにして生じる。 

− 強制空気循環によって内部に運ばれる。 

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− 空気の熱運動によって内部に運ばれる。 

− 空気の熱膨張,収縮又は大気圧の変化によって内部に入る。 

6. 塩霧  

6.1 

塩霧の特性  

6.1.1 

構成物 海上及び沿岸地域の大気は豊富に塩分を含んでおり,固体粒子の形で,又は塩とその他の

構成物も含んだ溶液の小滴として存在している。 

塩分を含んだ大気の構成成分は,海の構成成分とほぼ同じである。自然海水の塩含量は3.4 %とするこ

とができるが,この値は地理的な場所と気候によって大きく変化する。例えば,紅海ではこの値はおよそ

4 %である。 

塩分濃度 (g/Kg) は,海水1 kgに含まれる塩物質の,グラム単位で表した総量で定義される。このとき,

すべての臭素及びよう素は塩素の同等量と置き換え,すべての炭酸塩は酸化物に置き換え,すべての有機

物質は完全に酸化するものとする。 

海水の主要構成物を,表6に示す。 

表 6 海水の主要構成物 

構成物 

濃度 

g/kg 

構成比 

陽イオン 
 ナトリウム 
 マグネシウム 
 カルシウム 
 カリウム 
 ストロンチウム 
陰イオン 
 塩化物 
 硫酸塩 
 重炭酸塩 
 臭化物 
ほう酸塩 

10.47 

1.28 
0.41 
0.38 

0.013 

18.97 

2.65 
0.14 

0.065 
0.127 

30.4 

3.7 
1.2 
1.1 

0.15 

55.2 

7.7 
0.4 
0.2 

0.08 

備考 一般に,海水は工場又は船舶からの排出物で汚染されている。

これらの排出物はバクテリアの活動を活発化させる。 

6.1.2 

濃度及び沈積量 特定の浮遊している微粒物質の濃度は,空気又は水を一定量抜き取り,そこに含

まれる汚染物質の質量を測定することによって決定することができる。この質量を立方メートル又はリッ

トル当たりのg,mg又はμgで表す。比較的短い期間しか浮遊状態にない粒子の場合には,この質量は一

定期間当たりの平均沈積量を意味する。塩霧の塩分濃度を表す一つの方法は,沈積量の値を示すことであ

る(JIS Z 2382に規定された“ウエットキャンドル法による塩化物の測定”参照)。 

備考 ISO 9225 : 1992, Corrosion of metals and alloys−Corrosivity of atmospheres−measurement of 

pollution  (1992) で規定されている“ウエットキャンドル法による塩化物の測定”が,この規

格と一致している。 

塩分濃度の最大値は,強い蒸発作用にさらされる亜熱帯地方でみられる。パナマ運河地帯のシェルマン

港では,1年間の降雨時の塩の落下量が1400 mg/ (m2・d) にもなったことが報告されている。同じ場所で

1964年の3月に記録された1日平均は,5200 mg/ (m2・d) を超えるものであった。同じ地域の空気汚染デ

ータから,1日当たりの最大塩化物濃度は0.15 mg/ (m2・d) と記録されている。 

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1959〜1962年の間に,イギリスの海岸に近い浜辺で記録された最大値は,136 mg/ (m2・d) であった。

一方,インドではムンバイとコーチンでそれぞれ20 mg/ (m2・d),65 mg/ (m2・d) であった。 

世界の陸地の海塩分布を付図5に示す。図中の地域ごとに与えられた塩沈積量は,広範囲にわたる組織的

な地域ごとの調査に基づくものである。 

6.2 

塩霧環境に影響を及ぼす要因 塩分を含んだ大気の塩分濃度は,海水の蒸発作用の程度と,風など

の散布作用によって影響を受ける。海岸地方と港は,外海より空中塩分濃度が低い。 

波で霧化した塩粒子は,通常,粒子サイズと風の方向及び速度で決定される距離で沈降するため,大気

中の塩分濃度値は,海岸から内陸への距離が大きくなるにつれて急速に低下する。ただし,降雨がほとん

どない乾燥熱帯地帯では,細かい塩が砂及びじんあいと混じって,中程度の風でも数百キロメートル内陸

に運ばれることがある。塩化ナトリウム沈積量と海岸からの距離の関係を付図6に示す。 

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付図 2 風速と最大粒子サイズとの関係 

ズ 

(μm)  

風速 (m/s) 

備考 最大粒子サイズを示す曲線は、地面に近い条件(1m未満)を反映している。  

付図 1 じんあいと砂の粒子サイズ累積分布 

粗いじんあい 

細かいじんあい  

砂  

粒子サイズ (μm)  

量 

(%) 

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風速 (m/s) 

付図 3 適度に風のある内陸部での風の発生期間の割合  

合 

(%) 

background image

10 

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粒子サイズ (μm)  

砂 

粗いじんあい 

細かいじんあい 

備考 この曲線は、気温0 ℃、圧力101.3 kPa での密度1 g/cm3の粒子にあてはまる。 

付図 4 静止空気中での粒子の沈降速度  

の 

度 

(m/s) 

background image

11 

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付図 5 陸地の海塩分布(1年間の平均塩沈積量) 

沈積量 

海洋性,沿岸性地域 

8〜90以上 

湿気のある沿岸性及び内陸性地域 

0.8〜8以上 

やや湿気のある〜湿気のある地域 

0.8〜1.6以上 

乾燥した地域 

0.8未満 

mg/(m2・d) 

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12 

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付図 6 海岸からの距離と塩化ナトリウム沈積量との関係(アフリカで測定)  

量 

mg/ (m2・d) 

海岸からの距離 (km) 

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13 

C 60721-2-5:2004 (IEC 60721-2-5:1991) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A(参考)じんあい及び砂の濃度(高い濃度の例) 

この附属書は,ヘリコプター,車両などによって引き起こされるじんあい及び砂の濃度の概略値に関す

る情報を示す。 

これらの濃度の最大値と考えられる値を,表A.1に示す。 

附属書A. 1 じんあい及び砂の濃度 

種類 

じんあい及び砂の濃度の

概略値 g/m3 

ヘリコプター 
 離陸及び着陸時の空中の最大濃度: 

− ヘリコプター1機 
− ヘリコプター編隊 

 空気取り入れ口での最大濃度 
 ホバリングの地上高度メートル: 
  0.3 
  3 
  25 
車両 
 乗組員室: 
  扉が開いた状態 
  扉が閉じた状態 
 エンジン室 

 
 

1.5 

1.25 

3.0 

1.4〜0.7 
0.6〜0.7 
0.1〜0.3 

 
 

0.2〜0.3 

0.6 

3.0〜6.0 

14 

C 60721-2-5:2004 (IEC 60721-2-5:1991) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B(参考)参考文献 

[1] JIS C 60068-2-68 : 環境試験方法―電気・電子−砂じん (塵)試験  

備考 IEC 68-2-68 : 1994, Environmental testing−Part 2: Tests−Test L : Dust and sand が,この規格と一

致している。 

[2]  JIS Z 2382 : 大気中の腐食性物質を評価するための環境因子,に規定された“ウエットキャンドル法

による塩化物の測定” 

備考 ISO 9225 : 1992, Corrosion of metals and alloys−Corrosivity of atmospheres measurement of pollution 

(1992) で規定されている“ウエットキャンドル法による塩化物の測定”が,この規格と一致し

ている。 

[3] DEF STAN 00-35(Part.4)/1 Chapter 8-01:Corrosive atmospheres 

Chapter 8-02:The effects of corrosives and contaminants 

Chapter 9-01:Dust and sands