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日本工業規格

JIS

 C

0094

-1993

(IEC 355

 : 1971

)

環境試験方法−電気・電子−

大気腐食に対する加速試験−指針

An appraisal of the problems of accelerated testing

for atmospheric corrosion

日本工業規格としてのまえがき 

この規格は,1971 年初版として発行された IEC 355 (An appraisal of the problems of accelerated testing for

atmospheric corrosion)

を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格

である。

なお,この規格で下線(点線)を施してある“参考”は,原国際規格にない事項である。

1.

序文

この規格には,大気腐食の加速試験に関する全般的な見解が述べてある。

次の各項には,加速試験の種々の応用が述べてある。

2

:実使用条件での供試品の性能予測試験

3

:特定材料の品質及びその均一性を調べる試験

4

:異種材料間の相互作用を調べる試験

5

:腐食条件での装置又は部品の動作を調べる試験

6

:加速試験の標準化に関する幾つかの見解

7

:腐食試験に適用可能な一般的結論

2.

実使用条件での供試品の性能予測試験

理想的な一般的腐食試験の定義は,次のように書ける。すなわち,

“短時間内,できれば 2∼3 時間以内,

少なくとも 2∼3 日又は 2∼3 週間以内で,材料,部品又は装置の数年にわたる実使用条件での性能の評価

ができる試験”である。

次に述べる理由によって,上記の理想的な試験は実施できない。

すなわち,

−  実使用条件は,限定できない。非常に広い範囲にわたって変動する。

−  腐食現象を加速するためには,特定の腐食試験条件を厳しくしなければならないが,腐食の機構又

は腐食生成物が実使用条件の場合と異なってくるおそれがある。

−  腐食試験条件を厳しくすると,その影響の現れ方は材料によって著しく異なる。

2.1

実使用条件

実使用条件で,腐食に影響を及ぼす最も重要な要因を次に列記する。


2

C 0094-1993 (IEC 355 : 1971)

a)

気候:例えば,海洋,田園,都市,工業地帯及び熱帯の気候又はこれらの組合せ。

b)

気候条件の不規則な変動:場所による変動,同一場所でも季節による変動だけでなく,年変動,日変

動,更に時間による変動。

c)

暴露条件:例えば,屋内,屋外,更に,屋外であれば遮へいの有無。

d)

大気汚染:例えば,特定の気候に限定されたものを除く砂じん及びすすの粒子,並びに一般的な腐食

性ガス。

e)

供試品の位置:例えば,表面の位置,すなわち,水平か垂直か傾斜しているか,太陽光線の直射を受

けるか,雨に対する遮へいの有無。同じ材料でも,ある面は他の面より著しく腐食されることがある。

実使用条件は,上記のように様々であるので,実使用条件での部品又は装置の腐食状況を予測する一般

的な加速腐食試験方法は明らかに制定不可能である。一つの試験方法で試験時間を変えることによって厳

しさを変える方法,例えば,田園地帯で使用する場合は 1 日,海洋雰囲気で使用する場合には 4 日という

ような試験では,気候条件が異なれば腐食要因も異なるので,実使用条件で発生すると予想される腐食状

況の実態は把握できない。

例えば,海洋気候に対しては塩水噴霧試験を行う,工業地帯の気候では二酸化硫黄を含んだ湿度の高い

空気中で試験を行うなど,気候条件が異なる場合は試験方法を変えた方がより一層実際に近い結果が得ら

れる。

しかし,残念ながら前に述べた a)e)の要因があるので,この方法によっても加速試験方法の問題点が

解決されるわけではない。

これらの種々の一般的腐食試験は,その結果の解釈の仕方によっては多くの誤った結論を導き出すこと

になるので大変に危険である。

2.2

腐食過程の加速法

短時間内に必要な試験結果を得るためには,腐食過程を加速しなければならない。加速は,供試品をさ

らす雰囲気条件を変えて行う。普通に行われる加速の条件は,次のとおりである。

−  温度の上昇

−  相対湿度の上昇

−  凝縮の増加

−  腐食性物質の濃度の増加

−  腐食条件を負荷する繰返し数の増加

−  電圧又は電流の負荷

−  機械的応力負荷

−  温度サイクル負荷

備考  腐食状況に対する測定感度が十分向上すれば,更に短時間内に必要な試験結果を得られるが,

この測定感度の向上は,現状では非常に困難である。したがって,通常は腐食過程の加速が必

要となる。

2.2.1

温度

温度上昇によって新しい反応が始まるか,又は別の反応が加速されることがなければ,温度が 10℃上昇

すると今着目している化学反応速度は一般には 2∼3 倍に加速される。しかし,腐食速度に影響を与える数

多くの要因は,温度の変化に伴って変動する。幾つかの例を次に述べる。

a)

水に対するガスの溶解度は,温度が上昇すると通常は減少する。凝縮にあるような特定の条件では,

温度が上昇すると腐食速度は低下する。


3

C 0094-1993 (IEC 355 : 1971)

b)

もし,正常な実使用条件で腐食生成物が金属の表面に保護膜を形成するとすれば,

より高い温度では,

この保護膜が形成されないこともある。このような場合は,高温での腐食速度は著しく増加し,腐食

の見掛けの状況は,正常な実使用条件の場合とは全く異なってくる。

c)

もし,正常な実使用条件で金属が徐々に通常の腐食だけを受けるとするならば,より高温では,別の

実用上更に危険な状態をもたらす可能性のある腐食が生じると予想される。

例えば,孔食の生成又は応力腐食などが生じる。

d)  2

種類の金属が接触していると,より卑な金属が他方をカソード防食する。しかし,温度を上げると

相互の貴・卑の関係が変わることがある。例えば,鉄は室温ではより卑な亜鉛によってカソード防食

されるが,70℃以上では両者間の貴・卑の関係が逆転し,亜鉛によるカソード防食は不可能となる。

周囲の条件によっては,この例のような貴・卑逆転の現象が生じる。

2.2.2

相対湿度

一般には,相対湿度が高いほど腐食速度は大きい。

2.2.3

凝縮

凝縮が生じる場合と凝縮が生じない場合と比較して腐食速度は,はるかに大きい。大部分の気候条件で

は,凝縮する可能性がある時間帯は,ほとんど常に存在する。一般に,凝縮の程度が大きいほど腐食速度

は増加する。しかし,実使用条件でも加速試験でも凝縮に伴う複雑な現象が存在する。

例えば,

a)

清浄で平滑な表面でないと相対湿度が 100%になる前に凝縮が起こる。

b)

雰囲気中に存在する吸湿性の固体が供試品の表面に析出する場合には,相対湿度が 100%以下でも凝

縮が起こる原因となる。吸湿性の腐食生成物が最初に表面に形成されると全く同様な現象が起こる。

c)

ある部品が完全に密封されていない場合は,遮へい物が緩衝材となり遮へい内部の相対湿度は周囲雰

囲気中よりもゆっくり変化する。このような遮へい構造内での実使用条件下では,凝縮が発生しない

場合がある。しかし,加速試験では凝縮による腐食は極めて短時間内に発生する。

d)

温度や相対湿度が変動しつつある環境では,装置又は部品の熱容量に十分注意する必要がある。供試

品の温度上昇は,周囲雰囲気の温度上昇より遅れるのが普通である。供試品の熱容量が大きい場合に

は,供試品の温度は周囲雰囲気の露点以下となり,凝縮する。一方,熱容量が小さい供試品では,露

点以下とはならず凝縮を起こさない。

既に明らかなように凝縮を強制的に起こさせることだけによって加速試験を行うわけにはいかない。加

速試験中に極端に凝縮を起こさせると,供試品は水洗され,実使用条件で起こる結露による場合よりも腐

食速度は小さくなる。完全に密封されていない部品で凝縮が連続的に起こる条件では,実使用条件では決

して起こらない腐食現象を示すことがある。

2.2.4

腐食性物質の濃度

大気中には,多種多様な腐食性物質が固体,又は気体の状態で存在する。したがって,加速試験の条件

を決定する場合には,腐食性物質を選定しなければならない。一般には大気中によく存在する腐食性物質

を選定する。例えば,海洋の雰囲気での塩化ナトリウム,又は都市及び工業地帯の大気中に存在する二酸

化硫黄である。

腐食性物質を選定したならば,加速試験を行えるように腐食性物質の濃度を実使用条件より大きく設定

する。しかし,腐食性物質の濃度を高くすると腐食の性質は全く変わることがある。例えば,濃度が低い

場合はゆっくりとした通常の腐食反応が進む例でも,濃度が高くなると孔食や応力腐食が発生することが

ある。

ある腐食性物質の濃度が高いと他の腐食性物質の濃度が減少して腐食が進みにくくなることがある。


4

C 0094-1993 (IEC 355 : 1971)

高温での食塩水による腐食が良い例である。すなわち,食塩の濃度が増加すると酸素の溶解度(濃度)が

減少するため腐食は進みにくくなる。

遮へいが気密でない場合は,遮へい内部の腐食性物質の濃度の変化は,実使用条件での周囲雰囲気の濃

度の変化よりもゆっくりと進む。凝縮の場合と全く同様に,加速試験で高濃度の腐食性物質中に常時放置

するとこの緩衝効果はなくなる。

新しい腐食性物質の供給,又は腐食生成物の除去の程度によっても腐食速度は影響を受ける。腐食速度

に影響を及ぼす諸要因は装置が動作中か休止中かによっても変わってくる。

2.2.5

腐食条件を負荷する頻度

毎日短時間厳しい腐食条件にさらされるとか,毎年わずかな期間だけ厳しい腐食条件にさらされる場合

は,厳しい腐食条件にさらす頻度を増加させれば,実使用条件での腐食条件で加速試験ができる。確実な

試験結果を得るためには,次に述べる諸事項に注意しなければならない。

a)

自然界では,腐食の条件が変わればそれに応じて腐食の機構も変わる。

例えば,水中に完全に浸せきされている鉄は,工業地帯の雰囲気中で間欠的に凝縮する条件に置か

れている鉄のように速やかに腐食されることはない。この種の条件の変動は加速試験でも起こるに違

いない。

b)

自然界に存在する数々の腐食の機構は,変動する種々の腐食条件の各々にさらされる時間の割合で決

まる。塩水噴霧試験がその一例である。すなわち,塩水噴霧中に連続的にさらした場合は,塩水噴霧

と湿気を交互にさらした場合とは相当異なる結果を示す。塩水噴霧中に短時間さらした後,塩化物を

含まない不飽和の湿気に長時間さらすことを繰り返すと,自然界で通常経験する腐食に更に近い腐食

が観察できる。

c)

実使用条件で,2 種類の非常に異なった環境にさらされる場合は,どちらの環境に最初にさらされる

かが非常に重要な意味をもつ。例えば,ニッケルが硫化水素雰囲気に最初にさらされ,次に二酸化硫

黄雰囲気にさらされると,逆の場合よりも腐食速度は小さい。

d)

白金族の金属接点が有機物の蒸気を含む雰囲気にさらされると,接点表面に炭素の皮膜をつくる触媒

作用を示す場合がある。接点間でアーク放電を起こしている時間と放電していない時間との比率がこ

の現象の発生を支配している。この現象はほとんど加速できない。

e)

暴露期間の終わりまで故障が発生する兆候はないにもかかわらず,暴露後一定の期間経過してから致

命的な故障が起こる場合が多々ある。腐食の現象が隠ぺいされているためと推定される。

2.3

腐食性要因を厳しくしたときの(材料による)影響の差

試験中の腐食性要因を厳しくすると,その影響の現れ方は材料によって異なってくる。若干の例を次に

示す。

a)

二酸化硫黄の濃度を高めると,ニッケルの腐食は他の金属の場合よりも加速される。

同じことが硫化水素にさらされた銀についてもいえる。

b)

塩水噴霧試験,例えば,JIS C 0023[環境試験方法(電気・電子)塩水噴霧試験方法]-1989 の試験で

は,亜鉛はカドミウムよりもはるかに速やかに腐食されるが,海洋の雰囲気中では,この差は非常に

わずかである。海洋の雰囲気中での暴露試験の結果では亜鉛の腐食速度の方が遅い例が非常に多い。

参考  JIS C 0023-1989 は,IEC 68-2-11 : 1981 Basic environmental testing procedures Part 2 : Tests−Test

Ka : Salt mist

と同等である。

c)

塩水噴霧試験で塩化ナトリウムの濃度を 3wt%から 20wt%に増加させると,亜鉛の腐食速度は大きく

なるが,鉄の場合は腐食速度は小さくなる。


5

C 0094-1993 (IEC 355 : 1971)

加速試験の結果に基づいて材料を選定すると,誤った選定を行う結果になる場合がある。それらの結果

は,実使用条件では少しも問題ではなく,除外しなければならない特殊な材料を示すだけである。

2.4

材料の表面状態

腐食の進み方は,材料の表面状態によって左右される。

例えば,

a)

表面粗さ

b)

表面の清浄度

c)

不動態

d)

吸着層

によって腐食の進み方は異なる。したがって,暴露する前の供試品の履歴,特に供試品の機械的及び化学

的表面処理並びに輸送中及び保管中の環境条件が腐食の進み方に重要な影響を与える。2.2.3 で既に述べた

ように,表面状態が異なれば凝縮が始まる相対湿度も,また,異なる。

他の 2 例を次に示す。

1)

鉄の例:表面を清浄にしてから,固体微粒子又は腐食性ガスが存在しない相対湿度の低い大気中に保

存した鉄と,表面を清浄にした直後の同一の鉄とを,相対湿度の高い大気中で試験した場合,腐食速

度は,後者の方がはるかに大きい。

2)

ニッケルの例:二酸化硫黄が存在する相対湿度の低い大気中に保存したニッケルと,二酸化硫黄が存

在しない相対湿度の高い大気中に保存した同一のニッケルとを,二酸化硫黄の存在しない相対湿度の

高い大気中で試験した場合,腐食速度は,前者の方がはるかに大きい。

3.

特定材料の品質及びその均一性の試験

この問題は,特定の材料の評価に適用できる試験方法の選択であるから,今まで述べてきた問題よりも

はるかに簡単に取り扱える。

この試験は,対象となる材料間の品質の差だけを確認する方法である。一般に品質が異なれば,試験方

法が異なっても試験結果には同等の差が現れる。例えば,カドミウムをめっきして表面を保護した製品の

試験では,湿度試験,塩水噴霧試験又は揮発性有機酸を含んだ雰囲気試験が適切な試験方法である。試験

後の見掛けの状態は試験方法によって全く異なる。しかし,

湿度試験後に主として黒点の現れる供試品は,

他の二種類の試験後は主として白色又は薄い黄色の腐食生成物ができるように,腐食生成物が生成する点

では共通の結果を示している。

他の一例は,ニッケル又は銅の金めっきした接点で,めっき層の多孔性を調べる試験である。この試験

は,大抵摩耗試験と組み合わせて行われる。不良品か良品かの区別は二酸化硫黄試験及びニッケル又は銅

に対する指示薬を入れた電解質溶液中での陽極試験の結果で行う。特定の材料又は表面処理の製造工程管

理及び受入検査では,加速腐食試験は,有効であると同時に実施する必要がある試験である。

4.

異種材料間の相互作用の試験

材料の中には他の材料の腐食に影響を及ぼすものがある。三つの例を次に述べる。

a)

異種金属間接合:相対的に見て,より卑な金属は,より貴な金属を防食する。異種金属間の特定の組

合せを決める前に,個々の環境下で適用できるかどうかの情報を得るために金属の組合せに関する表

を調べるとよい。

備考  代表的な表が “Electroplating”,March,1954,90 ページに記載されている。


6

C 0094-1993 (IEC 355 : 1971)

b)

ある種の有機材料は,劣化すると揮発性物質を生成する。この物質は,金属,特に亜鉛及びカドミウ

ムを腐食する可能性がある。密閉された容器内に設置される装置ではこの事実に十分注意する必要が

ある。

c)

ある種の有機材料は,水蒸気又は他の揮発性物質を吸収する。この種の有機材料が金属と接触してい

ると金属の腐食に影響を及ぼすことがある。

構造物で上記のような欠点があるかどうかを確認するためには,材料だけを試験した結果とその材料を

使用した部品又は装置で行った試験結果との間の差を調べればよい。相対湿度の高い環境中で試験を行え

ば十分な回答が得られる場合が多い。

5.

装置及び部品の動作試験

装置又は部品は,実使用条件で長期間にわたって動作し続けなければならない。腐食と動作状況とは,

幾つかの面で相互に影響を及ぼしている。

例えば,

a)

可動部分の動作が腐食生成物によって異常となる場合がある。可動部分が腐食されるているとは限ら

ず,モータや電磁リレーの例のように,部品又は装置の他の部分の腐食生成物が可動部分に付着して

劣化することがある。

b)

機械的摩耗によって表面保護膜が取り除かれると金属の腐食が始まることがある。金めっき接点を使

ったスイッチでは,金めっき接点だけの腐食試験では全く腐食しないが,スイッチを何回か動作した

後では金めっき層が損傷を受け,下地金属が腐食し,接触特性が劣化する場合がある。

c)

接点の表面がわずかに腐食されても接触抵抗が増加し,回路動作が異常となる場合がある。銀接点を

使ったウェーハスイッチで接点の表面が硫化水素によって腐食された場合が一例である。

d)

ある種の装置では,直流又は交流の高電圧が腐食生成物を作り,これが絶縁破壊の原因になることが

ある。

e)

ある種の装置で使用される電圧,特に直流電圧は電気分解による腐食の原因となる場合がある。表面

リーク電流によって絶縁材料中で陽極側の接続部に発生する腐食は,この一例である。

f)

装置は電力を消費するため内部の温度は,周囲雰囲気の温度より高くなる。したがって,装置内部の

相対湿度は周囲雰囲気より低く凝縮は起こらない。この事実から装置が動作している限りは腐食は進

行しにくいか又は起こらないといえる。

以上に述べた例のほとんど全部で,腐食生成物ができたための外観上の異常は,動作の異常又は動作不

能と比較するほどの問題ではない。しかし,目に見える腐食生成物ができると,その装置又は部品の性能

の持続性に対する使用者の信用を失う場合がある。

腐食の加速試験は,短時間内に行われるので,故障に対する評価又は判定基準は厳しくしなければなら

ない。加速試験よりも緩和された厳しさの条件で,より長時間試験を行えば腐食生成物の量は更に増える

からである。

腐食生成物が装置や部品を動作不能にするか,若しくは動作することが腐食の原因となるのか,又は腐

食を防止するかを調べるために試験することがある。その試験方法は,使用の可否が問題視されている材

料の評価にできる限り適切であり,かつ,装置の予想される実使用条件に適合するように選ばなければな

らない。

6.

腐食試験の標準化


7

C 0094-1993 (IEC 355 : 1971)

標準的試験方法は,適用方法が正しければ,次の諸事項に対する判断基準として使える。すなわち,

a)

比較,例えば,2 か所又はそれ以上の供給元から供給された同一材料の比較

b)

メーカとユーザ間との調整

c)

受入検査

である。

標準的試験方法に要求される最も重要な事項は,その方法による試験結果の再現性である。腐食機構は

複雑であり,環境条件は多種多様であるので再現性が良い試験結果は得にくい。再現性のよい試験結果を

得るためには,次の各点を十分考慮に入れる必要がある。

1)

試験方法は明解に,かつ,誤解されないように記述されていなければならない。供試品の表面状態及

び環境条件の諸要因は十分合理的に,かつ,実行できるように標準化されていなければならない。

試験装置を規定する必要はないし,むしろ規定することは望ましくない。しかし,試験方法は,必

要条件を満足している装置を用いるならば,どの装置でも測定精度の範囲内で,同一の結果が得られ

るように記述されていなければならない。

2)

複雑な方法,例えば,大気条件の種々のパラメータの変化を実現するように作成した複雑なプログラ

ムによる温湿度サイクルは,避けるべきである。複雑な方法を採用すると試験結果の再現性が悪くな

る。

3)

規定した条件から外れるような要因があってはならない。例えば,試験槽中の供試品に対する電気的

負荷は,槽内の環境条件を変えないように,例えば,腐食性物質を消耗させたりしないように,許容

限界を規定しなければならない。一方,狭い許容限界内で制御されている一定の相対湿度の試験では,

温度を厳密に制御しなければならない。温度がわずか変動しても相対湿度は相当変化するからである。

この点は相対湿度が高い条件の場合は,特に重要である。相対湿度の変動は凝縮に著しく影響するか

らである。

7.

結論

7.1 

1

種類の一般的腐食試験結果,又は複数の異なった気候を代表するために適用した若干の試験結果か

らでは,材料,部品又は装置の耐食性は予測できない。

7.2

供試材料に適切な試験方法が適用できるならば,腐食試験は,特定の材料又は表面保護層の品質を

調べるのに非常に有効であり,実施する必要がある。

7.3

一つの材料が他の材料の耐食性に影響を及ぼす可能性がある場合は,一般には異種材料を組み合わ

せて腐食試験を行う必要がある。その場合,着目している材料の評価に適切な試験方法を選択しなければ

ならない。さらに,この実験結果をその材料を単独で試験したときの耐食性と比較して考察しなければな

らない。一般的な湿度試験を行えば十分な場合が多いが,更に特別な手法を加味しなければならない場合

も一部にはある。

7.4

供試品の機能が腐食生成物によって左右されるか,又はその機能がある材料の耐食性を左右するの

かを確かめるために装置又は部品の腐食試験が必要になる。この場合,適切な試験方法の選定が非常に重

要な要素となる。供試品の機能は,腐食試験後の見掛けの状態よりはるかに重要である。

7.5

試験結果を相互に比較できるようにするために,腐食試験の標準化が望まれる。標準的試験方法に

要望される最も重要な要素は,試験結果の再現性が良いことである。

8.

あとがき


8

C 0094-1993 (IEC 355 : 1971)

腐食の問題の著名な専門家である Uhlig の言葉がこの規格の適切な結論になると考える。

“実験室の試験では,結果の解釈には十分注意する必要がある。試験結果は,せいぜい定性的な結果を

示しているにすぎず,十分な常識及び経験に基づいて試験結果を解釈して初めて技術者に役立つ結果とな

る。

”この点に一言注意しておく。

環境試験方法 JIS 原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

森  川  貞  重

財団法人日本電子部品信頼性センター

(幹事)

高  久      清

工業技術院電子技術総合研究所

青  園  隆  司

タバイエスペック株式会社

岩  田      武

東京特殊印刷工業株式会社

大  口  卓  男

日本開閉器工業株式会社

岡  本  英  男

沖エンジニアリング株式会社

織  田  好  雄

財団法人日本ガス機器検査協会

柿  本  光  敏

シャープ株式会社

加  藤  敏  男

横河電機株式会社

栗  原  正  英

社団法人日本プリント回路工業会

黒  木  勝  也

財団法人日本規格協会

小  金      実

日本電気計器検定所

児  島  幸次郎

財団法人日本写真機光学機器検査協会

後  藤  恒  人

財団法人機械電子検査検定協会

酒  井  善  治

アイエムブイ株式会社

佐々木  喜  七

財団法人日本電子部品信頼性センター

篠  崎  輝  夫

財団法人日本ガス機器検査協会

清  水  英  範

社団法人日本電機工業会

杉  本  俊  二

防衛庁

鈴  木  俊  雄

財団法人日本電気用品試験所

瀧  澤      清

財団法人神奈川高度技術支援財団

武  田  克  巳

株式会社三菱電機サービスセンター

立  川      明

社団法人日本電子機械工業会

千  葉  宣  臣

財団法人日本電気用品試験所

辻  本      治

財団法人機械電子検査検定協会

永  田  邦  博

工業技術院標準部電気規格課

中  村  國  臣

工業技術院電子技術総合研究所

中  村  英  夫

財団法人鉄道総合技術研究所

西  山  和  夫

日本開閉器工業株式会社

羽  田  善  英

株式会社村田製作所

久  永  建  樹

株式会社ビクターデータシステム

福  島      彰

財団法人日本船舶標準協会

松  木      明

財団法人日本電子部品信頼性センター

三  上  和  正

東京都立工業技術センター

山  本  圭  一

進工業株式会社

若  林  宗  平

ミツミ電機株式会社

渡  辺      博

株式会社東芝

(事務局)

鳴  神  長  昭

財団法人日本電子部品信頼性センター

備考  *印は小委員会委員を兼任