>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

C 60068-3-2

:2004 (IEC 60068-3-2:1976)

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日

本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC 60068-3-2:1976,Basic environmental

testing procedures Part 3:Background information Section Two

−Combined temperature/low air pressure tests を基

礎として用いた。


C 60068-3-2

:2004 (IEC 60068-3-2:1976)

(2)

目  次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

1

2.

  この試験を規定した背景理由

1

3.

  環境の影響

2

4.

  試験設備

3

5.

  環境パラメータの測定

3

5.1

  温度測定

3

5.2

  空気圧力の測定

3

 


日本工業規格

JIS

 C

60068-3-2

:2004

(IEC 60068-3-2

:1976

)

環境試験方法−電気・電子−第3−2部:

温度/減圧複合試験を理解するための必す(須)情報

Basic environmental testing procedures Part 3 : Background information

Section Two

−Combined temperature/low air pressure tests

序文  この規格は,1976 年に第 1 版として発行された IEC 60068-3-2:1976,Basic environmental testing

procedures Part 3 : Background information Section Two

−Combined temperature/low air pressure tests を翻訳し,

技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。

1.

適用範囲  この規格は,電気・電子機器に対する,温度/減圧複合試験を理解するための必須情報に

ついて規定する。この規格で規定する温度/減圧複合試験は,地上又は航空機にも適用できる気圧範囲を

考慮している。気圧が 10 hPa より低い場合は,この試験の適用範囲外である。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD(修

正している)

,NEQ(同等でない)とする。

IEC 60068-3-2:1976

,Basic environmental testing procedures Part 3 : Background information Section

Two

−Combined temperature/low air pressure tests (IDT)

参考  原国際規格では気圧の単位に“bar”を用いているが,SI 単位系 (Pa) に換算した。

2.

この試験を規定した背景理由  空気密度の範囲を考えると,分子の平均自由行程は,常に 1 mm の何

分の 1 かである。空気の熱伝導率と絶対粘性率とは,実質的には圧力と関係がない。空気の流れは一般的

には粘性形か乱流であり,したがって,常圧における法則が適用できる。

自由又は強制された空気対流による熱伝達の基本的な法則は,常圧と同様である。結果として,JIS C 

60068-3-1

に記載した対流に関するすべての考察は,少なくとも一般的には,減圧時の試験にも適用するこ

とが可能である。

参考  JIS C 60068-3-1 : 1995  は,IEC 60068-3-1 : 1974 及び Amendment No.1 : 1978 Basic environmental

testing procedures

−Part3 : Background information Section One−Cold and dry heat tests  に一致して

いる。

しかし,空気密度ρの減少は,対流係数の値α

c

にかなり影響する。α

c

ρ

n

の関数であり,n=0.5∼0.7

(自由対流及び強制対流の両方に対して)である。

対象とするすべての圧力範囲において,発熱供試品の試験の場合,強制空気循環は,自由空間状態と比

較して供試品の表面温度をかなり低減できる。

図 に示したように,均質な供試品の表面平均温度は,空

気速度及び圧力によって変化する(消費電力及び空気温度が一定の場合)


2

C 60068-3-2

:2004 (IEC 60068-3-2:1976)

結論として,発熱供試品の試験方法では,自由空間状態(強制空気循環がない状態)又は,空気速度が

十分低くその冷却効果が小さい状態を規定した。

対流による熱伝達は無視できないが,特に圧力低下を考慮すると,空気密度の低下によるα

c

の減少は,

放射による熱放散が主要となる。

特に,低い空気圧においては放射が主要となるため,槽壁の放射率特性及び温度には注意深い制御が要

求される。

低い空気圧では熱放射が主要となるため,同一試験槽内の異なる発熱供試品間の熱的相互作用が大きく

なり,試験の再現性に影響を及ぼすかもしれない。

これを避けるために,空気の温度を監視する方法では,発熱供試品の試験手順において同時に試験する

供試品は 1 個に制限される。

発熱供試品の試験に使用する自由空間槽の寸法の要求事項は,通常の気圧での試験に使用される図表を

基礎にしている。その理由は,分子の平均自由行程は槽の寸法に対しなおごくわずかであることによる。

3.

環境の影響

3.1

温度と減圧を組み合わせることによって,供試品に対し次の影響が考えられる。

a)

低空気圧(低空気密度)における対流係数α

c

の減少によって,発熱供試品の表面温度及び温度変化率

は,試験 A(低温試験)又は試験 B(高温試験)によって得られた値に比較して増大する。表面温度

の上昇分については,通常気圧においてより高温で試験することによってその温度に到達することも

できるが,この試験温度の値は,適切性を確立することができないし,また,正確な温度変化率は低

圧との複合なしには達成することができない。

b)

圧力及び温度による空気の絶縁性能(空気の密度及びイオン移動度の影響)の変化による,供試品の

機能特性と安全特性の変化。低圧においては,特に高温と複合した場合,アーク,表面放電又はコロ

ナ放電が発生する危険性が増大し,空気の絶縁強度が著しく低下する。

表 は,5 mm よりも大きいエアーギャップをもつ平行電極・平板電極間で生じる火花放電電圧を求め

るための係数(乗数)を示す。標準状態(25  ℃,1 013 hPa)における値から,

表 に示す圧力及び温度に

おける値に換算する係数である。

  1

温度

圧力

hPa

-40 –20 0  20 40 60

170

340

510

675

850

0.26

0.47

0.68

0.87

1.07

0.24

0.44

0.64

0.82

0.99

0.23

0.42

0.60

0.77

0.93

0.21

0.39

0.56

0.72

0.87

0.20

0.37

0.53

0.68

0.82

0.19

0.24

0.50

0.64

0.77

c)

低温又は高温による材質特性(もろさ,可塑性)の変化は,シールされた装置又はパッケージが,低

圧下において形状変化又はクラックを起こしたりする危険性を増大させる。

3.2

基本的には温度による影響であるが,低圧によって著しく加速される上記以外の影響(通常の圧力

下の試験で同様な影響を与えるには,非常に長い時間が必要となる試験)としては,次のようなものがあ

る。

a)

可塑剤及びプラスチックから劣化生成物が揮発することによって,供試品を構成する個別の部品の機


3

C 60068-3-2

:2004 (IEC 60068-3-2:1976)

械的,電気的特性の変化をもたらす。さらに,これらの蒸発生成物は,近傍の部品表面に凝縮し,特

性の変化,又は腐食及び劣化を生じる。

b)

潤滑材の蒸発によって,可動部品の機能障害を起す。この過程は,温度による寸法変化によって評価

が可能である。

c)

液体物質からの溶解ガスの放出。圧力減少下の低温沸騰による,液体もれの発生。

さらなる低圧(すなわち,大気圏外におけるような)においては,他の現象が非常に重要となる。この

ような状態においては,特別な試験思想を用いなければならない。

4.

試験設備  試験槽内の大気組成は,一般には自然状態を忠実に代表していない。この組成は主として

減圧のために使用されるポンプの形式によって決まる。一般的には,かなりの量の水蒸気が存在する(こ

の湿度は露点計で測定可能)

。自然環境と模擬的空気組成との差に起因する対流係数α

c

の誤差は,10 %を

超えない。

次の各因子は,供試品に対する二次作用の可能性があるので,更に重要である。

a)

ポンプ作動液の揮発成分及び試験槽の付帯機材(バルブ類,断熱材など)から発生する揮発成分によ

る槽内雰囲気の汚染。

b)

圧力を常圧に戻すときの空気によってもたらされる,粉じん又は水分による汚染。

5.

環境パラメータの測定

5.1

温度測定  α

c

の低下と共に,試験空気及び温度モニタ用温度計の感熱素子間の熱交換効率は低下す

る。その結果として次の影響がある。

a)

温度変化に対する温度計の応答時間は,常圧時より大きくなる。

b)

温度計と試験槽外面間との熱伝導に起因する誤差が重要になる。

発熱供試品を試験する場合,常圧下よりも低圧下においてより大きくなる,別の測定誤差(α

c

値の低下

によって引き起こされる)が存在する。すなわち,温度計が供試品からの放射熱で影響を受ける場合,不

正確な指示値を与えることになる。温度計周囲に放射カバ−を使用することで,この種の誤差を少なくす

ることができる。

5.2

空気圧力の測定  対象の圧力範囲における試験槽内部の圧力は,一般的に有効空間とチュ−ブで接

続された複数のマノメ−タで測定する。固定条件の場合,マノメ−タと有効空間にたとえ大きな温度差が

あっても,これらのチュ−ブが顕著な誤差を与えることはない。しかし,マノメ−タの温度が校正温度に

比べてかなりの差がある場合,試験槽内の気体による加熱と冷却に伴う検知素子の弾性特性の差異によっ

て誤差が発生する。この点で,短くて太い接続チュ−ブは不適切である。

マノメ−タの指示遅れは,圧力の変化過程において長尺,及び/又は小径のチュ−ブによって引き起こ

されることがある。


4

C 60068-3-2

:2004 (IEC 60068-3-2:1976)

⊿t=常圧(100 kPa)における供試品表面温度(平均値)との差

p

=試験槽内における空気圧

空気温度: 45 ℃ 
放射率:

槽内壁面:

ε=1

供試品表面:  ε=0.7

供試品表面積:  0.12 m

2

供試品発熱量: 43 W

この図は,McAdams 著“熱伝達”

(McGraw-Hill,1954)にある公式に従って計算されたものである。

  1  供試品表面温度に対する空気圧及び風速の複合的影響