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C 60068-2-80

:2009

(1)

目  次

ページ

序文

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

2

3

  用語及び定義

2

4

  試験装置に関する要求事項

8

4.1

  一般

8

4.2

  制御システム

8

4.3

  基本運動

8

4.4

  横運動

8

4.5

  取付け

8

4.6

  測定系

9

5

  混合モード振動試験に関する要求事項

9

5.1

  振動の許容差−ランダム振動

10

5.2

  振動の許容差−正弦波

13

5.3

  制御方法

14

5.4

  振動応答検査

14

6

  厳しさ

15

6.1

  広帯域ランダム振動

15

6.2

  狭帯域ランダム振動

15

6.3

  正弦波成分

16

7

  前処理

17

8

  初期測定

17

9

  試験

17

9.1

  一般

17

9.2

  初期振動応答検査

18

9.3

  試験前の等化のための低レベル予備加振

18

9.4

  混合モード振動試験

18

9.5

  最終振動応答検査

19

10

  中間測定

19

11

  後処理

19

12

  最終測定

19

13

  製品規格で示す情報

19

14

  試験報告書に記載する情報

20

附属書 A(参考)混合モードに関する一般情報

22

附属書 B(参考)混合モード信号のランダム振動に関する指針

28


C 60068-2-80

:2009  目次

(2)

ページ

附属書 JA(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

35


C 60068-2-80

:2009

(3)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人日本電子部品信頼性センター (RCJ)

及び財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。

JIS C 60068-2

の規格群には,次に示す規格がある。

JIS

C

60068-2-1

  低温(耐寒性)試験方法

JIS

C

60068-2-2

  高温(耐熱性)−試験方法

JIS

C

60068-2-6

  正弦波振動試験方法

JIS

C

60068-2-7

  加速度(定常)試験方法

JIS

C

60068-2-11

  塩水噴霧試験方法

JIS

C

60068-2-13

  減圧試験方法

JIS

C

60068-2-17

  封止(気密性)試験方法

JIS

C

60068-2-18

  第 2-18 部:耐水性試験及び指針

JIS

C

60068-2-20

  はんだ付け試験方法

JIS

C

60068-2-21

  端子強度試験方法

JIS

C

60068-2-27

  衝撃試験方法

JIS

C

60068-2-29

  バンプ試験方法

JIS

C

60068-2-30

  温湿度サイクル(12+12 時間サイクル)試験方法

JIS

C

60068-2-31

  面落下,角落下及び転倒(主として機器)試験方法

JIS

C

60068-2-32

  自然落下試験方法

JIS

C

60068-2-38

  温湿度組合せ(サイクル)試験方法

JIS

C

60068-2-39

  第 2-39 部:低温,減圧及び高温高湿一連複合試験

JIS

C

60068-2-40

  低温・減圧複合試験方法

JIS

C

60068-2-41

  高温・減圧複合試験方法

JIS

C

60068-2-42

  接点及び接続部の二酸化硫黄試験方法

JIS

C

60068-2-43

  接点及び接続部の硫化水素試験方法

JIS

C

60068-2-45

  耐溶剤性(洗浄溶剤浸せき)試験方法

JIS

C

60068-2-46

  接点及び接続部の硫化水素試験−指針

JIS

C

60068-2-47

  第 2-47 部:動的試験での供試品の取付方法

JIS

C

60068-2-48

  第 2-48 部:保存の影響をシミュレートするために,環境試験方法に関する JIS 規格

群の試験を適用する場合の指針

JIS

C

60068-2-49

  接点及び接続部の二酸化硫黄試験−指針


C 60068-2-80

:2009  目次

(4)

JIS

C

60068-2-50

  発熱供試品及び非発熱供試品に対する低温/振動(正弦波)複合試験

JIS

C

60068-2-51

  発熱供試品及び非発熱供試品に対する高温/振動(正弦波)複合試験

JIS

C

60068-2-52

  塩水噴霧(サイクル)試験方法(塩化ナトリウム水溶液)

JIS

C

60068-2-53

  発熱供試品及び非発熱供試品に対する低温・高温/振動(正弦波)複合試験の指針

JIS

C

60068-2-54

  はんだ付け試験方法(平衡法)

JIS

C

60068-2-57

  時刻歴振動試験方法

JIS

C

60068-2-58

  表面実装部品 (SMD) のはんだ付け性,電極の耐はんだ食われ性及びはんだ耐熱性

試験方法

JIS

C

60068-2-59

  サインビート振動試験方法

JIS

C

60068-2-60

  混合ガス流腐食試験

JIS

C

60068-2-61

  一連耐候性試験

JIS

C

60068-2-64

  広帯域ランダム振動試験方法及び指針

JIS

C

60068-2-65

  第 2-65 部:音響振動

JIS

C

60068-2-66

  高温高湿,定常(不飽和加圧水蒸気)

JIS

C

60068-2-67

  基本的に構成部品を対象とした高温高湿,定常状態の促進試験

JIS

C

60068-2-68

  砂じん(塵)試験

JIS

C

60068-2-70

  第 2-70 部:指及び手の擦れによる印字の摩滅試験

JIS

C

60068-2-75

  第 2-75 部:ハンマ試験

JIS

C

60068-2-77

  表面実装部品 (SMD) の本体強度及び耐衝撃性試験方法

JIS

C

60068-2-78

  第 2-78 部:高温高湿(定常)試験方法

JIS

C

60068-2-80

  第 2-80 部:混合モード振動試験方法(試験記号:Fi)

JIS

C

60068-2-81

  第 2-81 部:衝撃応答スペクトル合成による衝撃試験方法


日本工業規格

JIS

 C

60068-2-80

:2009

環境試験方法−電気・電子−

第 2-80 部:混合モード振動試験方法(試験記号:Fi)

Environmental testing-Part 2-80 : Tests-Test Fi : Vibration-Mixed mode

序文

この規格は,2005 年に第 1 版として発行された IEC 60068-2-80 を基に作成した日本工業規格であるが,

対応国際規格に様式上の問題(重要な用語を定義せずに使用するなど)があるため,技術的内容を変更し

て作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,

附属書 JA に示す。

この混合モード振動試験には,広帯域ランダム振動のデジタル制御技術を必要とする。さらに,広帯域

ランダム振動に正弦波振動及び/又は規定の狭帯域ランダム振動を重畳させる技術も必要とする。

この規格は,広帯域にわたり複合した応答を再現する必要がある部品,機器及びその他の製品に一般的

に適用することを意図したものである。

この試験方法は,振動試験装置として使えるコンピュータ制御器を備えた動電式又はサーボ油圧式の振

動発生機を使うことを前提としている。

混合モード振動試験では,技術的な判断を必要とし,製品の供給者と購入者との双方が,それを理解し

ていることが重要である。製品規格の作成者は,供試品及びその用途に適した試験手順及び厳しさの値を

選択することが求められる。

この規格を利用する製品規格作成者及び試験技術者が理解するための参考情報として,混合モードに関

する情報を

附属書 に,混合モード信号のランダム振動に関する情報を附属書 にそれぞれ記載した。

1

適用範囲

この規格は,混合モード振動試験方法について規定する。

この試験の目的は,広帯域にわたり複合した応答を再現する必要がある部品,機器及びその他の製品(以

下,

“供試品”という。

)が,その機能的及び/又は構造的な能力を許容できないほど劣化させることなく,

規定の混合モードの振動に十分耐えられることを実証することにある。この試験は,実際の環境から測定

したデータを用いて,混合モードの試験条件を仕立てる場合に特に有効である。

この規格は,広帯域ランダム振動に正弦波振動及び/又は狭帯域ランダム振動を混合した振動が引き起

こす応力の累積作用,並びにその結果として生じる機械的欠陥及び特定の性能の劣化を明らかにし,製品

規格と関連させて供試品の合否を判定するのに役立つ。この規格は,供試品の機械的強度の実証にも使用

できる。

この規格は,不規則性振動に不規則性及び/又は規則性の振動が混合した振動(例えば,航空機,宇宙


2

C 60068-2-80

:2009

船などにおける輸送又は実際の環境に起因する振動)を受ける供試品について適用する。また,輸送コン

テナに収納されていて,そのコンテナが供試品自体の一部と考えられる場合についても適用する。

この規格は,電気・電子製品について使用することを意図するが,他の分野の供試品に使用してもよい。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 60068-2-80 : 2005

,Environmental testing−Part 2-80 : Tests−Test Fi : Vibration−Mixed mode

(MOD)

なお,対応の程度を表す記号 (MOD) は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,修正していることを

示す。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

)は適用しない。

JIS B 0153 : 2001

  機械振動・衝撃用語

注記  対応国際規格:ISO 2041 : 1990,Vibration and shock−Vocabulary (MOD)

JIS C 60068-1 : 1993

  環境試験方法−電気・電子−通則

注記  対応国際規格:IEC 60068-1 : 1988,Environmental testing−Part 1 : General and guidance (IDT)

JIS C 60068-2-6 : 1999

  環境試験方法−電気・電子−正弦波振動試験方法

注記  対応国際規格:IEC 60068-2-6 : 1995,Environmental testing−Part 2-6 : Tests−Test Fc : Vibration

(sinusoidal) (IDT)

JIS C 60068-2-47 : 2008

  環境試験方法−電気・電子−第 2-47 部:動的試験での供試品の取付方法

注記  対応国際規格:IEC 60068-2-47 : 1999,Environmental testing−Part 2-47 : Test methods−

Mounting of components, equipment and other articles for vibration, impact and similar dynamic

tests (IDT)

JIS C 60068-2-64 : 1997

  環境試験方法−電気・電子−広帯域ランダム振動試験方法及び指針

注記  対応国際規格:IEC 60068-2-64 : 1993,Environmental testing−Part 2-64 : Test methods−Test Fh :

Vibration, broadband random (digital control) and guidance (IDT)

JIS C 60068-3-8 : 2006

  環境試験方法−電気・電子−第 3-8 部:振動試験方法の選択の指針

注記  対応国際規格:IEC 60068-3-8 : 2003,Environmental testing−Part 3-8 : Supporting documentation

and guidance

−Selecting amongst vibration tests (IDT)

IEC 60050-300 : 2001

,International Electrotechnical Vocabulary−Electrical and electronic measurements and

measuring instruments

Part 311 : General terms relating to measurements

Part 312 : General terms relating to electrical measurements

Part 313 : Types of electrical measuring instruments

Part 314 : Specific terms according to the type of instrument

IEC 60068-5-2 : 1990

,Environmental testing. Part 5 : Guide to drafting of test methods−Terms and definitions

3

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 0153JIS C 60068-1JIS C 60068-2-6JIS C 60068-2-64

IEC 60050-300

及び IEC 60068-5-2 によるほか,次による。


3

C 60068-2-80

:2009

3.1

横運動  (cross axis motion)

加振した方向以外の運動。一般に加振する軸に直交する 2 軸で規定する。

3.2

実際の運動  (actual motion)

基準点の変換器からの応答で,広帯域信号によって表される運動。

3.3

固定点  (fixing point)

供試品が通常使用中に固定されている点で,取付具又は振動台に接している供試品の部分。実際の取付

け構造物の一部を取付具として使用するときは,固定点は供試品上の点ではなく,取付け構造物上の点と

する。

3.4

制御点  (control point)

試験の制御に使用する点。次に定義する 2 種類の制御方法があり,基準点(3.6.2 参照)又は架空の基準

点(3.6.3 参照)ともいう。

3.4.1

1

点制御  (single point control)

基準点の変換器からの信号を用いて,この点を規定のレベルに保つ制御方法。

3.4.2

多点制御  (multipoint control)

監視点での各変換器からの信号を用いる制御方法。これらの信号は,製品規格に従って,連続的に算術

平均するか又は比較方法を用いて処理する(3.9 参照)

3.5

g

n

地球の重力による標準加速度。地球上の加速度は,高度及び緯度によって変化する。

注記  この規格では,g

n

の値を 10 m/s

2

に丸める。

3.6

計測点  (measuring points)

試験を実施するときにデータを収集する点。計測点には,次に定義する監視点,基準点及び応答点の 3

種類がある。

3.6.1

監視点  (check point)

取付具,振動台又は供試品上の点で,固定点の一つに可能な限り近い点。いずれの場合も取付具,振動

台又は供試品と強固に結合している点。

注記 1  試験要求事項を確実に満たす手段として,複数の監視点を使用する場合がある。

注記 2  固定点が 4 点以下の場合は,それぞれの近傍の点を監視点として使用するのがよい。固定点

が 4 点を超える場合は,製品規格で代表的な固定点の近傍の 4 点を監視点として規定するの

がよい。

注記 3  供試品が大きいか又は複雑なため,固定点に近傍した点を監視点とすることができないよう

な特別な場合は,製品規格で監視点を規定するのがよい。


4

C 60068-2-80

:2009

注記 4  多数の小形の供試品を 1 個の取付具に付ける場合又は幾つかの固定点がある小形の供試品の

場合は,制御信号を取り出すための監視点(すなわち,基準点)を 1 点としてもよい。した

がって,この信号は,供試品の固定点よりも,むしろ取付具に関係していることになる。こ

の方法は,供試品を取り付けた状態の取付具の最低共振振動数が,試験上限振動数よりも十

分高いときに限り使用できる。

3.6.2

基準点  (reference point)

監視点から選んだ点。基準点の信号をこの規格の要求事項を満たすように,試験の制御に使用する。

3.6.3

架空の基準点  (fictitious reference point)

この規格の要求事項を満たすように試験を制御するために使用する点で,複数の監視点から手動又は自

動で引き出した架空の点。

3.6.4

応答点  (response points)

振動応答検査のためのデータを収集する供試品上の特定の点。

注記  応答点は,監視点でも基準点でもない。

3.7

推奨試験軸  (preferred testing axes)

供試品の最も弱い軸を含む直交する 3 軸。

3.8

サンプリング周波数  (sampling frequency)

時刻歴をデジタル形式で記録又は表現するための,離散値の 1 秒間当たりの数。

3.9

多点制御方法  (multipoint control strategies)

多点制御(3.4.2 参照)を使用する場合に,基準となる制御信号を計算する方法。次の振動数領域制御方

法が利用できる。

3.9.1

平均値制御  (averaging)

2

点以上の監視点の信号値(3.31 参照)の振動数ごとの算術平均で,基準となる制御信号を決定する方

法。

3.9.1A

重み付き平均値制御  (weighted averaging)

2

点以上の監視点の信号値(3.31 参照)に重みを付けた算術平均で,基準となる制御信号を決定する方

法(5.3.1.2 参照)

3.9.2

極値制御  (extremal)

各監視点の信号値(3.31 参照)の振動数ごとの最大値又は最小値で,基準となり得る制御信号を決定す

る方法。

3.10

最大値法,MAX


5

C 60068-2-80

:2009

ランダム・オン・ランダム振動の厳しさを定義するときの,狭帯域 ASD(3.14 参照)値の定義方法の一

つ。広帯域 ASD 値と狭帯域 ASD 値とで,いずれかの大きい値をとって,厳しさとする方法。

3.10A

加算値法,SUM

ランダム・オン・ランダム振動の厳しさを定義するときの,狭帯域 ASD(3.14 参照)値の定義方法の一

つ。広帯域 ASD 値と狭帯域 ASD 値とを加算した値を厳しさとする方法。

3.11

波高率  (crest factor)

混合モード波形の,rms 値に対するピーク値の比率(JIS B 0153 参照)

3.12

重畳方法  (super positional strategy)

各振動数ラインにおける基準加速度スペクトル密度を,正弦波成分及びランダム ASD から計算する手順

を定義する方法。

3.13

3 dB 帯域幅,B (−3 dB bandwidth,  B)

単一の共振ピークがあるとき,最大応答の 0.708 倍となる振動数応答関数上の 2 点間の振動数の幅。

3.14

加速度スペクトル密度,ASD (acceleration spectral density,  ASD)

ある中心振動数の狭帯域フィルタを通過した加速度信号の二乗平均値で,単位帯域幅当たりで表し,帯

域幅をゼロに近付け,かつ,平均化時間を無限大に近付けたときの極限値。

3.15

偏り誤差  (bias error)

ランダム信号の場合は,実際に使用する有限の振動数分解能に起因する加速度スペクトル密度の推定値

の系統的誤差。正弦波信号の場合は,平均化時間に起因する混合モード信号内の正弦波成分の振幅推定値

の系統的誤差。

3.16

制御加速度スペクトル密度  (control acceleration spectral density)

基準点又は架空の基準点で測定した加速度スペクトル密度。

3.17

制御システムループ  (control system loop)

次に示す一連の動作。

−  基準点から取り出したアナログ混合モード信号のデジタル化。

−  必要な処理の実施。

−  振動試験装置の電力増幅器に対して,更新されたアナログ混合モード信号を出力(B.1 参照)

3.18

駆動信号クリッピング  (drive signal clipping)

波高率で表現した,駆動信号の最大値の制限。

3.19

有効振動数範囲  (effective frequency range)

初期傾斜及び最終傾斜に起因する,f

1

未満の実際の振動数から f

2

を超える実際の振動数までの振動数範


6

C 60068-2-80

:2009

囲(

図 参照)。

3.20

加速度スペクトル密度誤差  (error acceleration spectral density)

規定の加速度スペクトル密度と制御加速度スペクトル密度との差。

3.21

等化  (equalization)

加速度スペクトル密度誤差の最小化。

3.22

最終傾斜  (final slope)

規定の加速度スペクトル密度の f

2

以上の部分(

図 参照)。

3.23

振動数分解能  (frequency resolution)

加速度スペクトル密度の振動数間隔を,ヘルツ (Hz) で表した幅。

注記  これは,デジタル解析を用いて表示加速度スペクトル密度を計算するために切り出す時刻歴レ

コード長の逆数に等しい。振動数ラインの本数は,与えられた振動数範囲内の振動数間隔の数

に等しい。

3.24

表示加速度スペクトル密度  (indicated acceleration spectral density)

解析器が表示する値から読み取った,真の加速度スペクトル密度の推定値。計器誤差,偶然誤差及び偏

り誤差を含む。

3.25

初期傾斜  (initial slope)

規定の加速度スペクトル密度の f

1

以下の部分(

図 参照)。

3.26

計器誤差  (instrument error)

制御システムへ入力する各アナログ回路及び制御システムのアナログ回路に起因する誤差。

3.27

偶然誤差  (random error)

加速度スペクトル密度の推定値間のばらつきによる誤差。この誤差は,平均化時間及びフィルタの実際

の帯域幅に影響される。

3.28

レコード  (record)

高速フーリエ変換の計算で使用する時間領域で,等間隔に採取したデータの集合。

3.29

再現性  (reproducibility)

同一の測定量を,次の条件で測定した場合の測定結果間における一致の度合い。

−  異なる方法。

−  異なる測定器。

−  異なる測定者。

−  異なる試験所。


7

C 60068-2-80

:2009

−  1 回の測定時間に比べ,十分長い時間が経過した後の測定。

−  測定器の使用条件の違い。

注記  “再現性がある”という用語は,これらの条件の一部だけを考慮した場合にも適用する(IEC 

60050-300

参照)

3.30

rms

  (root-mean-square value)

f

1

と f

2

との間の区間全体にわたり平たん(坦)なスペクトルの場合は,この区間全体にわたる関数の二

乗平均の平方根(

図 参照)。

注記  この試験方法では,加速度,速度及び変位の rms 値は,ランダム振動だけ又は混合モードのサ

イン・オン・ランダム振動 (SoR) 及びランダム・オン・ランダム振動 (RoR) について計算で

きる(B.2.4 参照)

3.31

信号値  (signal value)

混合モード信号のランダム成分の場合は,加速度スペクトル密度。混合モード信号の正弦波成分の場合

は,振幅値。

3.32

標準偏差,σ (standard deviation)

偏差の二乗平均の平方根。振動理論では,振動の平均値はゼロに等しいため,ランダム波の時刻歴の場

合,標準偏差は rms 値に等しくなる。

3.33

統計的確度  (statistical accuracy)

表示加速度スペクトル密度に対する真の加速度スペクトル密度の比。

注記  混合モード信号のランダム成分だけにかかわるものである。

3.34

統計的自由度  (statistical degrees of freedom)

ある量を推定するときの独立変数の数(JIS B 0153 参照)

時間平均法によってランダムデータの加速度スペクトル密度を推定する場合,

有効な統計的自由度数は,

振動数分解能及び有効平均化時間から求める。

3.35

掃引サイクル  (sweep cycle)

規定振動数範囲を 1 回往復する動作(JIS C 60068-2-6 参照)

例 5

Hz

→ 500 Hz → 5 Hz

注記  “掃引サイクル”と対照的に,1 掃引とは,上昇又は下降のいずれか一方向だけを示す。

3.36

掃引速度  (sweep rate)

正弦波振動で振動数が掃引する速度。1 分間当たりのオクターブ数(オクターブ/min)又は 1 秒間当た

りのヘルツ (Hz/s) で表す。

3.37

真の加速度スペクトル密度  (true acceleration spectral density)

供試品に作用するランダム波の加速度スペクトル密度。


8

C 60068-2-80

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4

試験装置に関する要求事項

4.1

一般

この要求事項は,電力増幅器,振動発生機,試験用取付具及び制御システムを含む,動電式又はサーボ

油圧式の振動試験システム全体に適用する。

基本運動及び横運動は,制御器の追加モニタチャネル入力を使用して,試験の開始前又は試験中に確認

する。製品規格には,この試験レベル及び手順を記載する。

標準的な試験方法は,次の試験手順で構成され,供試品の互いに直交する軸のそれぞれについて適用す

る。

a)

低レベルの正弦波加振又はランダム加振を用いた,初期振動応答検査(5.4 及び 9.2 参照)

b)

負荷試験又は耐久試験としての混合モード加振。

c)

初期振動応答検査の結果との比較,

及び動的挙動の変化による潜在的な機械的故障を検出するための,

最終振動応答検査(5.4 及び 9.5 参照)

ただし,供試品の動的挙動が分かっているか又は重要な意味をもたない場合には,製品規格で応答検査

に関する要求事項を省略してもよい。

4.2

制御システム

制御システムには,ランダム・オン・ランダム振動又はサイン・オン・ランダム振動を分析及び制御す

る能力をもつ,特別なソフトウェアが必要になる。

4.3

基本運動

製品規格で規定し,同一の運動をしなければならない供試品の固定点の運動は,直線運動でなければな

らない。複数の固定点が,実質的に同一の運動をすることが困難な場合は,多点制御を使う。

基本運動の特性は,基本的に,ランダム振動の場合は,正規(ガウス)分布であり,また,周期的成分

の場合は,正弦波でなければならない。

4.4

横運動

横運動は,試験前に製品規格で規定するレベルの正弦波振動若しくはランダム振動で調査するか,又は

試験中に追加モニタチャネルを利用して監視することが望ましい。

規定の軸に直交する各軸の監視点での各振動数の信号値は,500 Hz を超える振動数では基本運動の規定

値を超えてはならず,また,500 Hz 以下では規定値の−3 dB 以下とする。また,規定の軸に直交する各軸

の rms 値は,規定した軸に対する rms 値の 50 %以下とする。例えば,小形の供試品のような場合,製品規

格で,横運動の許容値を,基本運動の−3 dB 以下に制限してもよい。

大形の若しくは質量の大きな供試品,又はある振動数においては,これらの値を実現することが困難な

場合がある。また,製品規格に,広いダイナミックレンジをもつ厳しさを要求する場合にも,同じように

困難なことがある。そのような場合,次の要求事項のいずれを適用するかを製品規格に規定する。

a)

この箇条で規定する値を超える横運動を監視し,試験報告書に記載する。

b)

横運動の監視を必要としない。

4.5

取付け

供試品は,JIS C 60068-2-47 に従って取り付ける。通常,防振装置とともに使用する供試品を,防振装

置のない状態で試験する必要がある場合は,

そのことを考慮して,

加振レベルを修正しなければならない。

この場合,JIS C 60068-2-6 

付図 A.1 から該当する伝達率曲線を選択して,規定の加速度スペクトル密度

に,この曲線から得た値を二乗するか,又は正弦波の場合は曲線から得た値をそのまま乗じる。


9

C 60068-2-80

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4.6

測定系

測定系の特性は,基準点の試験軸方向で測定した振動レベルが,試験で要求する許容差内であることを

判断できる特性とする。

センサ,シグナルコンディショナ及びデータ収集・処理装置を含む計測系全体の振動数応答は,測定の

精度に重大な影響を与える。測定系の振動数範囲は,試験振動数範囲内の最低振動数  (f

1

)

の 0.5  倍から最

大振動数  (f

2

)

の 2.0  倍より広くする(

図 参照)。測定系の振動数応答は,この振動数範囲において,±5 %

以内で平たんとする。

図 1−加速度スペクトル密度に対する境界(5.1.1 参照)

5

混合モード振動試験に関する要求事項

この規格は,広帯域ランダム振動に狭帯域ランダム振動及び/又は正弦波振動を重畳させて適用する試

験方法について規定する。狭帯域ランダム成分及び正弦波成分は,製品規格で規定した振動数範囲を掃引

してもよい。混合モード振動試験では,次の点を考慮する。

製品規格には,狭帯域 ASD 値が最大スペクトルレベルであるか(最大値法)又は広帯域 ASD 値に加算

するか(加算値法)を記載する。

加速度スペクトルは,次のいずれであってもよい。

a)

正弦波成分がフーリエスペクトルラインでしか発生できない制御システムの場合は,広帯域ランダム

振動,狭帯域ランダム振動及び正弦波成分を重畳させた加速度スペクトル。

b)

正弦波成分が振動数領域で連続的に発生する制御システムの場合は,正弦波成分は単独に規定し,広

帯域ランダム振動と狭帯域ランダム振動とを重畳させた加速度スペクトル。


10

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5.1

振動の許容差−ランダム振動

5.1.1

監視点及び基準点

監視点及び基準点の規定の軸方向での試験振動数範囲内(

図 の f

1

と f

2

との間)の表示加速度スペクト

ル密度は,計器誤差を含んで規定値の加速度スペクトル密度の±3 dB 以内とする。偶然誤差及び偏り誤差

は,この許容差に含めない。f

1

と f

2

との間で測定又は計算した加速度 rms 値は,規定の加速度スペクトル

密度に基づく rms 値の±10 %以内とする。これらの値は,基準点及び架空の基準点のいずれの場合にも適

用する。

ある振動数において,これらの値を実現することが困難な場合がある。また,大形の供試品又は質量の

大きな供試品の場合にも,これらの値を実現することが困難なことがある。このようなとき,製品規格に,

より広い許容差を規定してもよい。

初期傾斜は+6 dB/オクターブ以上,最終傾斜は−24 dB/オクターブ以下とする(B.2.3 参照)

狭帯域ランダムを掃引した試験の場合,掃引した成分に関する許容差は,広帯域成分に対するものと同

じ許容差とする。ただし,掃引速度によって,これらの許容差を実現できない場合,これらの成分に関す

る許容差の要求事項を製品規格に記載する。

5.1.2

分布

基準点における加速度瞬時値は,

図 に示すように,ほぼ正規(ガウス)分布でなければならない。こ

のことを,通常のシステム校正時に確認する。正弦波をもつ混合モード信号については,

図 を参照する。

図 2−確率論的な励振,信号クリッピング及びガウス(正規)確率の表現

駆動信号クリッピングは,2.5 以上とする。製品規格に特に規定がない限り,基準点における加速度波形

の波高率を調べて,信号が規定の rms 値の 3 倍以上のピークを含むことを確認する。

架空の基準点を制御に使用する場合,波高率の要求事項は,制御加速度スペクトル密度の計算に用いる

すべての監視点に適用する。

確率密度関数は,試験時間の最初,中間及び終了時にそれぞれ 2 分間,基準点について計算する。

5.1.3

統計的確度

統計的確度は,統計的自由度及び信頼水準から求める(

図 参照)。統計的自由度は,式 (1) によって

求める。

a

e

d

2

T

B

N

×

=

 (1)


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ここに,

N

d

統計的自由度

B

e

振動数分解能

T

a

有効平均化時間

統計的自由度は,製品規格に特に規定がない限り,120 以上とする。製品規格が試験中に信頼水準を満

たすように規定する場合には,

図 を使用して統計的確度を計算するとよい。

図 3−種々の信頼水準及び統計的自由度に対する加速度スペクトル密度の統計的確度


12

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正弦波 120 Hz,50 m/s

2

と異なった ASD 値をもつ帯域幅 20 Hz∼200 Hz のランダム波を

重畳させた場合(rms 値は,m/s

2

で表示)

図 4−正弦波信号,サイン・オン・ランダム信号及びランダム信号の分布(確率密度)

5.1.4

振動数分解能

真の加速度スペクトル密度と表示加速度スペクトル密度との差を最小にするために,必要な振動数分解

能は,式 (2) によって求める。

n

f

B

high

e

=

 (2)

ここに,

B

e

振動数分解能 (Hz)

f

high

デジタル振動コントローラの振動数範囲 (Hz)

n

振動数帯域幅を超えて

f

high

まで均等に分散し

ているスペクトルラインの本数

f

high

は,振動数 2.0

f

2

を超えるのがよい。すなわち,

f

high

≧2.0

f

2

であることが望ましい(

図 参照)。

振動数分解能は,製品規格による。

5.1.4.1

ランダム・オン・ランダム

振動数分解能

B

e

は,次のようにして選択する。

−  振動数ラインが

図 の振動数

f

1

と一致し,また,最初の振動数ラインが

f

1

の 0.5 倍以下とする。

−  2 本の振動数ラインが最初の掃引狭帯域の初期傾斜を定義する。

これによって,二つの異なる値が得られた場合は,小さい方の

B

e

を選択する。

注記

B

e

を小さくして,制御ループタイムを遅くすることと,ランダム・オン・ランダムスペクトル

をより正しく定義することとの間で妥協点を見つける。同様に,掃引速度を上げる場合,掃引

帯域幅全体に対して制御を維持するために,振動数分解能を大きくすることが必要になること

がある。


13

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5.1.4.2

サイン・オン・ランダム

振動数分解能

B

e

は,次のように選択する。

振動数ラインが

図 の振動数

f

1

と一致し,かつ,最初の振動数ラインが

f

1

の 0.5 倍以下とする。

正弦波は,連続的に掃引することが望ましい。正弦波の掃引が 1 本の振動数ラインから次の振動数ライ

ンへと移動する方式の制御システムでは,

B

e

は,

f

high

の 0.1 %未満であることが望ましい。

5.2

振動の許容差−正弦波

5.2.1

基準点

ランダム振動と掃引正弦波とを混合した試験の場合,通常,正弦波振幅を推定するためにデジタルトラ

ッキングフィルタを使用する。トラッキングフィルタは,信号のランダム波成分の低減も行う。ただし,

正弦波振幅の推定値は,正弦波振動数を中心とする信号のランダム波成分からの寄与分も含む。同様に,

正弦波 rms 値の二乗に対するランダム信号 ASD 値の比率(以下,

“パワー比”という。

)が大きくなると,

それだけ大きな偶然誤差が発生するようになる。トラッキングフィルタの帯域幅を小さくすると,偶然誤

差は小さくなる。ただし,このトラッキングフィルタがより狭い帯域幅では,平均化回数を増やす必要が

ある。

供試品が鋭く大きな共振をもつ場合,平均化回数を多く設定すると,偏り誤差が大きくなる。この偏り

誤差は,平均化によって求められた正弦波振幅と真の応答との差である。

サイン・オン・ランダム振動試験における正弦波成分に対する振動許容範囲は,偶然誤差,偏り誤差,

制御誤差及び計器誤差を複合した誤差より大きくなければならない。

図 に,次の仮定に基づいてパワー比の関数としての推奨掃引速度を示す。

−  フーリエ積分によるデジタルトラッキングフィルタを使用する。

−  正弦波振幅を推定するために,指数平均を使用する。

−  供試品の減衰比が 0.01 である。

E

sor

は,偶然誤差と偏り誤差との複合誤差であり,制御誤差,計器誤差などの他の誤差は含まれない。

−  複合誤差の指示値を,標準偏差とする。

合計誤差は,式 (3) によって求める。

2

c

2

i

2

sor

t

E

E

E

k

E

+

+

=

 (3)

ここに,

E

t

合計誤差

k

拡張係数(信頼水準 95 %の場合は 2)

E

sor

偶然誤差と偏り誤差

E

i

標準偏差としての計器誤差

E

c

標準偏差としての制御誤差

5.2.2

振動数の許容差

振動数許容差は,次による。

a

)

掃引振動数の場合

5 Hz

∼50 Hz は,±1 Hz

50 Hz

を超える場合は,±2 %

b

)

固定振動数の場合

±2 %

5.3

制御方法


14

C 60068-2-80

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5.3.1

1

点制御及び多点制御

製品規格には,1 点制御又は多点制御のどちらを使用するかを規定する。さらに,多点制御を使用する

場合,製品規格には,監視点の信号の平均値,又はある選択した点(例えば,最大振幅をもつ点)での信

号値のどちらで制御するかを規定する。1 点制御を実施できない場合は,監視点における信号の平均値又

は極値を用いた多点制御を使用する。これら多点制御のいずれの場合にも,これらの点は架空の基準点で

ある。使用した方法は,試験報告書に記載する。

多点制御では,次の方法を利用することができる。

5.3.1.1

平均値制御

この方法では,制御信号を各監視点からの信号によって計算する。監視点からの信号値を,振動数ごと

に算術平均をとり,

制御信号とする。

この算術平均をとった制御信号が規定信号値となるように制御する。

5.3.1.2

重み付き平均値制御

各振動数の制御信号は,複数の監視点からの信号値に重みを付け,算術平均によって求める[式 (4) 参

照]

(

)

(

)

n

n

n

w

w

w

a

w

a

w

a

w

a

+

+

+

×

+

+

×

+

×

=

Λ

Λ

2

1

2

2

1

1

c

 (4)

ここに,

a

c

各振動数の制御信号

a

n

監視点ごとからの信号値

w

n

監視点ごとの重み付け

n

監視点の数

重み付き平均値制御では,各振動数の制御信号に対する,監視点ごとの影響度合いを変えることができ

る。

5.3.1.3

極値制御

極値制御では,制御信号を,各監視点で測定した各振動数ラインの信号値の最大値又は最小値から求め

る。各振動数の制御信号は,各監視点からの信号値を包絡する関数,又は信号値の下限値の関数として求

める。

5.3.2

複数基準制御

製品規格で規定する場合は,異なる監視点又は測定点ごとに,複数の基準スペクトルを規定できる。さ

らに,力による制限を加えた振動試験のような,異なる制御量について,複数基準スペクトルを定義して

もよい。

複数基準制御を指定する場合,次のどちらかによって制御方法を規定する。

−  制限:すべての制御信号を該当する基準スペクトルの下にする。

−  優先:すべての制御信号を該当する基準スペクトルの上にする。

5.4

振動応答検査

振動応答検査は,正弦波振動については,JIS C 60068-2-6 に,ランダム振動については,JIS C 60068-2-64

による。

なお,振動試験方法の選択は,JIS C 60068-3-8 を参照するとよい。

6

厳しさ

試験の厳しさは,次のパラメータを組み合わせて決定する。


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C 60068-2-80

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−  広帯域ランダム振動の試験振動数範囲

−  広帯域加速度スペクトル密度

−  加速度スペクトル密度曲線の形状

−  試験時間

−  狭帯域ランダム振動

−  正弦波成分

−  掃引速度

各パラメータは,製品規格で規定し,次のいずれかで求める。

a

)  6.1

6.3 に示す値から選択する。

b

)  6.1

6.3 に示す値が既知の環境と著しく異なる場合は、既知の環境から求める。

注記  ランダム振動及び正弦波振動のレベルを測定データから求める場合,採用したデータ解析技術

が様々な信号の振幅に重大な影響を与えることが考えられるので,注意することが望ましい

JIS C 60068-3-8 参照)

6.1

広帯域ランダム振動

6.1.1

試験振動数範囲

試験振動数範囲は,可能な限り次の値から選択し,製品規格に規定する。

1

,2,5,10,20,50,100,200,500,1 000,2 000 及び 5 000 (Hz)

下限振動数

f

1

は,最低の場合 1 Hz から開始し,上限振動数

f

2

は 5 000 Hz を超えてはならない。

6.1.2

広帯域加速度スペクトル密度

図 の,

f

1

f

2

との間の加速度スペクトル密度は,(m/s

2

)

2

/Hz

又は m

2

/s

3

で表す次に近い値から選択し,

製品規格に規定する。

0.01

,0.02,0.05,0.1,0.2,0.5,1,2,5,10,20,50 及び 100[(m/s

2

)

2

/Hz

又は m

2

/s

3

最低値は 0.01 で,最高値は 100 とする。

6.1.3

加速度スペクトル密度曲線の形状

この試験では,平らな水平部分をもつ加速度スペクトル密度を規定する(

図 参照)。任意の加速度スペ

クトル密度曲線を規定してもよいが,この場合,製品規格にはこの形状を振動数の関数として規定する。

振動数の関数としてレベル及びそれらに対応する振動数範囲は,すなわち,折れ点(ブレークポイント)

を可能な限り,6.1.1 及び 6.1.2 に示す値から選択する。さらに,製品規格には,レベル間の傾斜も規定す

る。

6.1.4

試験時間

試験時間は,可能な限り次のシリーズの値から選択して,分 (min),時 (h) 又は日 (d) で表し,許容範

囲を+5 %として製品規格に規定する。

…1,2,5,10…(min,h 又は d)

6.2

狭帯域ランダム振動

広帯域ランダム振動に重畳させる狭帯域ランダム振動の本数を,製品規格に規定する。

各狭帯域ランダムについて,次の事項を規定する。

a

)

狭帯域ランダムの帯域幅は,広帯域ランダムの帯域幅の 0.5 %以上 10 %以下とすることが望ましい。

下限は,振動数分解能の 2 倍以上とする。

b

)

掃引開始振動数及び終了振動数。

c

)

掃引速度(オクターブ/min 又は Hz/s)

,又は 1 掃引サイクルにおける掃引時間。


16

C 60068-2-80

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d

)

掃引サイクル数又は狭帯域ランダムの持続時間。

e

)

対数掃引又は直線掃引。

f

)

各帯域における掃引の開始方向。

g

)

下限振動数

f

1

から上限振動数

f

2

の範囲内における,各狭帯域ランダムの規定スペクトル。

h

)

広帯域ランダムに重畳させる狭帯域ランダムの定義方法[加算値法 (SUM) 又は最大値法 (MAX)]

6.3

正弦波成分

広帯域ランダム振動に重畳させる正弦波成分の本数を,製品規格に規定する。

各正弦波成分について,次の事項を規定する。

a

)

各正弦波成分相互の関連付け,及びそれらの位相関係。

注記 1  位相関係は,コントローラからの出力に関するものである。加速度信号の位相関係は,振動

発生機及び/又は取付具,並びに供試品の伝達関数によって変化する。

b

)

掃引の開始振動数及び終了振動数。

c

)

掃引速度(オクターブ/min 又は Hz/s)

,又は 1 掃引サイクルにおける掃引時間。

注記 2  掃引速度は,5.2.1 及び図 に従って,できるだけ遅くすることを推奨する。掃引速度を速く

すると,その結果,正弦波成分を十分正確に制御できなくなる。

d

)

各成分における掃引の開始方向,開始時間及び停止時間。

e

)

各成分の振幅と振動数との関係。

f

)

正弦波成分の掃引サイクル数又は持続時間。

g

)

対数掃引又は直線掃引。

h

)

固定正弦波の振動数。

i

)

固定正弦波の振幅。

正弦波を掃引しない場合は,b),c),d),f)  及び g)  のパラメータを規定する必要はない。製品規格には,

正弦波成分を掃引するか,又は固定するかを規定する。


17

C 60068-2-80

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注記  パワー比とは,正弦波 rms 値の二乗値に対するランダム信号 ASD の比率(5.2.1 参照)。

図 5−複合誤差  (E

sor

) 

をパラメータとしたパワー比の関数としての推奨正弦波掃引速度

7

前処理

製品規格で前処理及びその条件を規定する。

8

初期測定

製品規格に従って,供試品の目視,寸法,機能及びその他の検査を実施する。

9

試験

9.1

一般

試験は,製品規格で規定する順序に従って実施する。試験手順は,次による。

a

)

初期振動応答検査(規定されている場合)

b

)

等化のための低レベル予備加振。

c

)

混合モード振動試験。

d

)

最終振動応答検査(規定されている場合)

製品規格に特に規定がない限り,供試品を各推奨試験軸で順次加振する。加振する軸の順序は,製品規

格に特別な規定がなければ任意でよい。供試品を通常の使用する姿勢の軸だけで試験する場合は,製品規

格に規定する。

基準点における各振動数の制御値は,1 点制御の場合は 1 か所の監視点から,多点制御の場合は複数の

監視点から導く。

多点制御の場合,規定のレベルに制御する値が,次の e)  g)  のいずれであるかを製品規格に規定する。

e

)

各監視点の信号の平均値(平均値制御)

f

)

各監視点の信号に重み付けした平均値(重み付き平均値制御)

g

)

全監視点における各振動数の最大又は最小値(極値制御)

これらの多点制御のいずれの場合も制御スペクトルは,実際の監視点ではなく,架空の基準点に対する

スペクトルとなる。

通常,防振装置とともに使用する供試品を,防振装置のない状態で試験する必要がある場合は,特別な

措置が必要である(JIS C 60068-2-47 参照)

9.2

初期振動応答検査

製品規格で規定する場合,規定した振動数範囲内で供試品の 1 点以上における動的応答を検査する。応

答点の数及び位置は,製品規格に規定する。

初期振動応答検査は,試験振動数範囲内で,また,製品規格で規定する試験レベルで,正弦波振動又は

ランダム振動を用いて実施する。正弦波振動については JIS C 60068-2-6 に,ランダム振動については JIS 

C 60068-2-64

による。各方法の長所,短所及び詳細については,JIS C 60068-3-8 による。

初期振動応答検査の試験レベルは,混合モードでの試験中に比べて供試品の応答が小さく,かつ,臨界

振動数を検出できるだけの十分な大きさのレベルを選択して,応答検査を実施する。

正弦波振動による,初期振動応答検査は,1 オクターブ/min を超えない掃引速度で実施するが,より

正確な応答特性を得るために,この掃引速度を下げてもよい。ただし,過度な耐久時間となる掃引速度は,


18

C 60068-2-80

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避けることが望ましい。

ランダム振動による初期振動応答検査は,応答の確率的変動を小さくするために,必要な時間を確保し

て実施する。応答ピーク(最も狭い−3 dB 帯域幅)を的確に決定できるように,振動数分解能を十分高く

する必要があるので注意する。また,最も狭い−3 dB 帯域幅に 5 本以上のスペクトルラインが含まれてい

ることが望ましい。

製品規格で規定する場合,供試品は,この検査中動作させる。供試品が動作しているために機械的振動

特性を評価できない場合は,供試品を動作させない状態での,初期振動応答検査を別に実施する。供試品

の臨界振動数は,供試品を調査して決定し,試験報告書に記載する。

9.3

試験前の等化のための低レベル予備加振

規定したレベルで混合モードの振動試験をする前に,信号の等化及び予備解析のために,実際の供試品

を用いた,より低いレベルでの予備ランダム加振をする必要がある。この段階では,加速度スペクトル密

度のレベルを最低限にすることが重要である。

予備ランダム加振の許容持続時間は,次による。

a

)

規定した加速度 rms 値の−12 dB 未満の場合,時間制限はない。

b

)

規定した加速度 rms 値の−12 dB 以上−6 dB 未満の場合,規定した試験時間の 1.5 倍以下。

c

)

規定した加速度 rms 値の−6 dB 以上 0 dB 以下の場合,規定した試験時間の 10 %以下。

予備ランダム加振の持続時間は,混合モード振動試験で規定する試験時間に含めない。

9.4

混合モード振動試験

9.4.1

一般

実際の振動環境には,ローターブレード,ギア,プロペラ,ピストン,発砲などの往復動又は回転動を

する,構造物及びメカニズムからの準周期的励振によって特徴付けられることがある。この形態の励振が

優勢な場合は,実環境と等価な混合モード振動が適切である。混合モード振動は,広帯域振動に重畳させ

た狭帯域ランダム振動又は正弦波振動を特徴とする。

9.4.2

ランダム・オン・ランダムによる試験

この試験は,広帯域ランダム振動に掃引された狭帯域ランダム振動を重畳させた混合モード振動試験で

あり,広帯域ランダム振動に一つ以上の狭帯域ランダム振動を一定の振動数範囲で掃引して重畳させる。

この場合の厳しさは,広帯域ランダム振動及び掃引された狭帯域ランダム振動を,6.1 及び 6.2 のパラメ

ータで定義する。

狭帯域ランダム振動を掃引しないことがあり,この試験の場合は,JIS C 60068-2-64 で定義する広帯域

ランダム振動の適用と本質的に同じである。製品規格には,狭帯域ランダム成分を掃引するか,又は固定

するかを規定する。

9.4.3

サイン・オン・ランダムによる試験

この試験は,広帯域ランダム振動に掃引された正弦波振動を重畳させた混合モード振動試験であり,広

帯域ランダム振動に一つ以上の正弦波を一定の振動数範囲で掃引して重畳させる。

この場合の厳しさは,広帯域ランダム振動及び掃引された正弦波成分を,6.1 及び 6.3 のパラメータで定

義する。

正弦波を掃引しない場合,6.3 の b),c),d),f)  及び g)  のパラメータを規定する必要はない。製品規格

には,正弦波成分を掃引するか,又は固定するかを規定する。

9.4.4

サイン・オン・ランダム・オン・ランダムによる試験

これは,9.4.2 と 9.4.3 とを組み合わせたものである。製品規格には,どの組合せが必要かを規定する。


19

C 60068-2-80

:2009

9.5

最終振動応答検査

製品規格で初期振動応答検査を規定する場合,初期振動応答検査の後で変化又は故障が発生したかどう

かを確認するために,混合モード振動試験の完了時に,追加の振動応答検査が必要になることがある。こ

の場合,最終振動応答検査は,初期振動応答検査と同じ方法で,同じ応答点において,同じパラメータを

使用して実施する。製品規格には,2 回の検査で異なった結果が得られた場合にとる措置を規定する。

10

中間測定

製品規格に規定がある場合,規定した混合モード振動試験の間,供試品を動作させその性能を調べる。

11

後処理

製品規格に規定がある場合,供試品を初期測定のときと同じ条件(例えば,温度)にするために,試験

後の最終測定の前に,一定の時間が必要なことがある。

12

最終測定

製品規格に従って,供試品の目視,寸法,機能及びその他の検査を実施する。

製品規格には,供試品の合否判定基準を規定する。

13

製品規格で示す情報

この試験を製品規格に規定する場合,適用可能な限り,次の事項を規定しなければならない。アスタリ

スク(*)付きの事項は,必す(須)とする。

参照箇条番号又は細分箇条番号

a

)

基本運動*

4.3

b

)

固定点*

4.3

c

)

横運動

4.4

d

)

供試品の取付け*

4.5

e

)

振動の許容差

5.1

及び 5.2

f

)

波高率及び駆動信号クリッピング*

5.1.2

g

)

統計的確度

5.1.3

h

)

振動数分解能

5.1.4

i

)

試験振動数範囲*

6.1.1

j

)

広帯域加速度スペクトル密度*

6.1.2

k

)

加速度スペクトル密度曲線の形状*

6.1.3

l

)

試験時間*

6.1.4

m

)

狭帯域ランダム振動

6.2

n

)

正弦波成分及び掃引速度

6.3

o

)

前処理

箇条 7

p

)

初期測定*

箇条 8

q

)

多点制御

9.1

r

)

試験軸及び試験順序

9.1

s

)

初期及び最終振動応答検査

9.2

及び 9.5


20

C 60068-2-80

:2009

t

)

動作及び機能の確認

9.4

u

)

中間測定

箇条 10

v

)

後処理

箇条 11

w

)

最終測定*

箇条 12

14

試験報告書に記載する情報

試験報告書には,少なくとも,次の事項を記載する。

a

)

顧客

(氏名及び所在地)

b

)

試験場所

(名称及び所在地)

c

)

試験報告書の識別

(発行日及び固有の番号)

d

)

試験日

e

)

試験の種類

(サイン・オン・ランダム,ランダム・オン・ランダム又

  はサイン・オン・ランダム・オン・ランダム)

f

)

試験の目的

(開発試験,認定など)

g

)

試験規格及びその版

(関連試験手順)

h

)

供試品の説明

(識別番号,図面,写真,数量など)

i

)

供試品の取付け

(取付具の識別,図面,写真など)

j

)

試験装置の性能

(横運動など)

k

)

測定系,センサの位置

(概要,図面,写真など)

l

)

測定系の不確かさ

(校正データ並びに前回及び次回の校正日)

m

)

制御方法

(1 点制御,多点制御及び複数基準制御)

n

)

初期,中間又は最終測定

o

)

要求の厳しさ

(試験仕様から)

p

)

実施した試験の厳しさ

(測定点,統計的自由度及び試験スペクトル)

q

)

試験結果

(供試品の状態に関するコメント)

r

)

試験中の観察事項及び行った処置

s

)

試験の要約

t

)

試験管理者

(氏名及び署名)

u

)

配付先

(報告書の受領者リスト)

注記  試験を文書に記録する場合,例えば,試験パラメータを併記した時系列の試験実施リスト,試

験中の観察事項及び実施処置,並びに測定のデータシートは,試験について試験実施記録を作

成することが望ましい。この試験実施記録を,試験報告書に添付してもよい。


21

C 60068-2-80

:2009

附属書 A

参考)

混合モードに関する一般情報

序文

この附属書は,製品規格作成者及び試験技術者のための情報として,本体に関連する事項を補足するも

のであって,規定の一部ではない。

A.1

ランダム・オン・ランダム及びサイン・オン・ランダム

A.1.1

概要

JIS C 60058-2-6

(正弦波)

JIS C 60068-2-64(ランダム波)及び JIS C 60068-3-8(選択の指針)で検討

した多くの信号処理の問題を別にしても,ランダム波形と固定又は掃引のランダム波形及び/又は正弦波

波形とが混合したものを含む信号を取り扱う場合,特定の問題点を認識する必要がある。現在,市販され

ているデジタル制御システムは,単なるランダム波又は正弦波とランダム波との混合だけでなく,ランダ

ム波の上に別のランダム波及び正弦波の両者を混合させるような,非常に複雑な方法を実施できる。さら

に,掃引正弦波成分は,相互に交差できるうえに掃引ランダム帯域と交差できる。これらの機能を実行す

るために必要な非常に複雑な数学を別にしても,妥協点を求めるための全体的プロセスにはある程度の限

界がある。

A.1.2

固定振動数の狭帯域ランダム波と広帯域ランダム波との混合モード

このタイプの振動は,JIS C 60068-2-64 で検討した広帯域ランダム振動と基本的に同じであり,更に特

別な方法が必要になることはない。

許容範囲も,スペクトルの狭帯域部分全体にわたって同じであるが,広帯域から狭帯域へ遷移する部分

のスペクトルについては,考慮が必要になる。この遷移部分が 1 本又は 2 本のスペクトル線で,かつ,二

つの ASD 値の差が大きい場合は,試験を実施できるように許容範囲を調整する必要がある。また,この調

整した許容範囲を試験報告書に記録することが望ましい。

A.1.3

掃引振動数の狭帯域ランダム波と広帯域ランダム波との混合モード

狭帯域ランダム波の掃引速度が速すぎる場合,また制御ループタイムが長い場合にスペクトルの染み出

しという現象が起こる。すなわち,1 本のスペクトル線からのエネルギーが,隣接するスペクトル線に分

散されてしまい,掃引帯域の方形形状が失われる。この場合,制御が不良となり,また,制御システムは,

許容範囲を外れたスペクトル線を多く検出すると試験を中止してしまうことがある。

制御システムは,安定な制御を得るために複数のフレームの平均値,例えば,指数平均した値を制御 ASD

の演算に用いる。統計的自由度 (DOF) は,通常,幾つかの平均化係数によって決定し,また,この統計

的自由度が多くなれば何らかの変化(制御を受けている加速度スペクトル密度を除く。

)に対して,安定す

るまでの時間がそれだけ長くなる。

狭帯域を掃引させるため,処理アルゴリズムによって考慮される以前の値に,大きな値を含むことがあ

る。その結果,中断レベルを逸脱し,制御が破たん(綻)することがある。こうした問題を解決するため

には,平均化係数を小さくし平均回数を少なくして,制御ループの応答時間を短縮することが望ましい。

ただし,平均化係数を小さくしすぎると制御ループが不安定になり,この場合も制御が破たんすることが

ある。


22

C 60068-2-80

:2009

したがって,それぞれの個別状況に応じて,これらのパラメータについて適切な妥協点を見つけること

が必要になる。

試験所で適切な機器が利用できる場合,より高度なスペクトル分析をオフラインでできるように,制御

点からの時刻歴波形を記録するとよい。これによって,試験中に達成した試験レベルだけでなく,試験中

の詳細な挙動まで試験報告書に含めることができる。

A.1.4

固定振動数正弦波と広帯域ランダム波との混合モード

正弦波成分を,正弦波とランダム波とが複雑に混合したものから分離することは困難である。この分離

は,ランダム rms 値に対する正弦波の振幅の比率が大きければ,比較的容易である。この比率が小さい場

合は,正弦波成分を正確に抽出することが難しくなる。この点は,次の結果が実証している。

この結果は,最新のデジタル制御システムを 3 タイプ使用して調査した。各制御システムの試験パラメ

ータは,次のとおりである。

a

)

ランダム波

振動数範囲: 10

Hz

∼2 000 Hz

ASD

レベル: 0.5,1.0,5.0 (m/s

2

)

2

/Hz

(フラット)

振動数分解能: 1

Hz

(又は最大値が使用できる。

統計的自由度: 120(又は最大値が使用できる。

b

)

正弦波

レベル:

50

m/s

2

振動数:

20

,160,380 Hz

ASD

レベルと各正弦波の振動数を組み合わせ,各 60 秒以上の記録をとった。

制御システム(閉ループで動作)の出力をデジタルテープレコーダに接続して,サンプリング周波数 12.5

kHz

で記録した。このデータをコンピュータに転送して,ASD スペクトルを算出した。分析パラメータは,

次のとおりである。

振動数範囲:

10

Hz

∼2 000 Hz

振動数分解能:

l Hz

統計的自由度:

120

期間:

60

1

台の制御システムについて,正弦波の振動数が異なる場合の ASD スペクトルをプロットした例を,

A.1

及び

図 A.2 に示す。

表 A.1 に,三つの ASD 値と三つの振動数の正弦波とを組み合わせた測定結果を示す。これらの値から,

rms

値の大きさを算出し,また,理論値からの偏差をパーセントで表示した。この偏差は,信号に含まれ

る正弦波成分の品質に関するパラメータとして使える。この場合,rms 値だけを比較しているので,正弦

波の“形状”に関しては確定できない。

信号中の正弦波がどの程度の周期性をもっているかの情報を得るために,各信号の 5 秒間に自己相関関

数を適用した。2 種類の異なるランダム波レベルに関してプロットした例を,

図 A.3 に示す。

さらに,正確に正弦波 5 周期後の振幅の二乗値を自己相関関数から読み取り,

表 A.2 に表示した。また,

理論値からの偏差をパーセントで表示した。

これらの値は,正弦波振動数が固定されており,かつ,高速フーリエ変換 (FFT) ライン上に存在すると

きにだけ該当する。正弦波振動数が FFT ライン上にない場合,スペクトルの漏れ損失が生じ,これは正弦

波振動数が FFT ラインの中間にあるときに正弦波ピークの 17 %にも高くなることがある。ただし,漏れ


23

C 60068-2-80

:2009

損失は系統誤差であり,また,これを補正する方法は,複雑ではあるが幾つか存在する。

A.1.5

掃引振動数正弦波と広帯域ランダム波との混合モード

この組合せについても,

A.1.4

で取り上げたものと同じ問題が生じる。さらに,

正弦波成分を掃引すると,

ASD

算術平均アルゴリズムがランダム信号成分だけに使用することを意図しているために,重大な誤差が

加わるおそれがある。この方法によって掃引正弦波の振幅を推定することは,実質的に不可能である。し

たがって,正弦波成分は独立して分析し,表示することが必要となる。

A.1.6

固定及び掃引振動数正弦波,狭帯域ランダム波と広帯域ランダム波との混合モード

この試験方法は,正弦波成分が相互に交差するだけでなく,掃引している狭帯域ランダム成分とも交差

することから,非常に複雑な状況を表している。

この試験方法は,最終確認としてだけ実施し,しかも,その場合でも多くの経験を積んだ知識のある試

験担当者が実施に当たるようにすることが望ましい。そうしないと,試験の妥当性及びその再現性に疑義

が生じやすくなる。

図 A.1160 Hz 正弦波

図 A.2380 Hz 正弦波


24

C 60068-2-80

:2009

図 A.3−自己相関−160 Hz 正弦波


25

C 60068-2-80

:2009

表 A.1APD 計算による正弦波の決定

制御システム

信号のタイプ:

正弦波 50 m/s

2

peak

−ランダム

(m/s

2

)

2

/Hz

の混合

 

Hz

 

m/s

2

 rms

偏差

%

 20

35.6

0.6

160 35.6  0.7

0.5

380 35.6  0.6

 20

35.4

0.1

160 35.7  0.9

1.0

380 35.4  0.2

 20

36.0

1.8

160 35.8  1.1

1

5.0

380 35.6  0.6

 20

34.9

−1.2

160 35.2

−0.4

0.5

380 35.1

−0.7

 20

34.9

−1.3

160 35.2

−0.4

1.0

380 35.3

−0.3

 20

35.5

0.5

160 35.3  0

2

5.0

380 35.1

−0.7

 20

35.1

−0.8

160 35.3

−0.2

0.5

380 35.4  0.1

 20

35.0

−1

160 35.4  0.2

1.0

380 35.2

−0.5

 20

35.2

−0.4

160 35.1

−0.6

3

5.0

380 35.8  1.4

正弦波 50 m/s

2

peak

合成

35.3

−0.2

正弦波 50 m/s

2

peak

理論的

35.4

0.0


26

C 60068-2-80

:2009

表 A.2−自動補正計算による正弦波の決定

制御システム

信号のタイプ:

正弦波 50 m/s

2

peak

ランダム (m/s

2

)

2

/Hz

の混合

 

Hz

 

 

s

5

における A

2

(m/s

2

)

2

偏差

%

 20

0.05

1 245

−0.4

160 0.006

24 1

271  1.7

0.5

380 0.002

64 1

265  1.2

 20

0.05

1 267

1.4

160 0.006

24 1

288  3.0

1.0

380 0.002

64 1

311  4.9

 20

0.05

1 337

7.0

160 0.006

24 1

198

−4.2

1

5.0

380 0.002

64 1

323  5.8

 20

0.05

1 200

−4.0

160 0.006

24 1

232

−1.4

0.5

380 0.002

64 1

219

−2.5

 20

0.05

1 197

−4.2

160 0.006

24 1

285  2.8

1.0

380 0.002

64 1

230

−1.6

 20

0.05

1 233

−1.4

160 0.006

24 1

169

−6.5

2

5.0

380 0.002

64 1

323  5.8

 20

0.05

1 214

−2.9

160 0.006

24 1

230

−1.6

0.5

380 0.0

8  1

233

−1.4

 20

0.05

1 221

−2.3

160 0.006

24 1

247

−0.2

1.0

380 0.0

8  1

207

−3.4

 20

0.05

1 201

−3.9

160 0.006

24 1

363  9.0

3

5.0

380 0.0

8  1

071

−14.3

 20

0.05

1 237

−1.0

160 0.006

24 1

248

−0.2

360 0.002

77 1

249

−0.1

正弦波 50 m/s

2

peak

合成

380 0.002

62 1

249

−0.1

 20

0.05

1 250

0

160 0.006

25 1

250  0

360 0.002

78 1

250  0

正弦波 50 m/s

2

peak

理論的

380 0.002

63 1

250  0


27

C 60068-2-80

:2009

附属書 B

参考)

混合モード信号のランダム振動に関する指針

序文

この附属書は,製品規格作成者及び試験技術者のための情報として,本体に関連する事項を補足するも

のであって,規定の一部ではない。

B.1

概略

再現性を高めることは容易ではない。ランダム信号の統計的性質,供試品の複雑な応答及び解析過程で

発生する誤差のために,供試品に対するランダム入力の真の加速度スペクトル密度が,あらかじめ規定さ

れた許容差内で,表示加速度スペクトル密度に一致するかどうかを確実に予知することは不可能である。

試験の後で,複雑な時間のかかる解析が必要であり,オンラインでの確認は不可能である。

ランダム振動及び混合モード振動試験で採用される可能性のあるデジタル振動制御機器は,ほとんどが

同じ性能をもつと考えられる。振動制御機器の選択可能なパラメータを使用することで,表示加速度スペ

クトル密度と真の加速度スペクトル密度との差に対する不確かさを推定するために,予備計算を行うこと

ができる。この場合,GUM(計測における不確かさの表現ガイド)を参照している JIS Q 17025 で定義す

る他の不確かさの発生源は考慮に入れていない。したがって,これらのパラメータは相互に依存している

ために,二つの加速度スペクトル密度の最適な一致が得られるように選択することができる。

規定の加速度スペクトル密度を得るための等化には,制御ループを何回か繰り返すことが必要であり,

その時間は,ハードウェアの構成,系全体の伝達関数,規定の加速度スペクトル密度の形状,制御アルゴ

リズム,試験前に調節可能な試験パラメータなど幾つかの要因が影響する。その試験パラメータは,解析

最高振動数,振動数分解能及び駆動信号クリッピングである。

ランダム振動の制御アルゴリズムには,制御精度と制御ループタイムとの間には相反する関係があり,

それらは例えば,ループ当たりのレコード数が影響する。高い制御精度を必要とすれば,より多くの入力

データ,つまり,より長いループタイムが必要となり,実際の加速度スペクトル密度の変化に対する応答

が遅くなる。同様に,振動数分解能も誤差及びループタイムに重大な影響を与える。通常,振動数分解能

を狭めると高い制御精度が得られるが,長い制御ループタイムを必要とする。供試品の真の加速度スペク

トル密度と表示加速度スペクトル密度との偏差を最小限にするために,上記の試験パラメータの最適化が

必要である。

振動応答検査は,供試品と振動発生機の相互作用に関する基本的な情報を与える。例えば,この検査で

は,試験用取付具の極端な振動応答倍率又は取付具と供試品との重複した共振を明らかにする。

この附属書は,全体として,混合モード信号のランダム部分にかかわる問題点に焦点を当てる。混合モ

ード信号の正弦波部分にかかわる問題点については,JIS C 60068-2-6 を参照する。掃引,掃引速度,トラ

ッキングフィルタなどの問題については,JIS C 60068-2-6 

附属書 を参照する。

B.2

試験に関する要求事項

B.2.1

1

点制御及び多点制御

試験要求事項は,基準点で測定した混合モード信号から計算した信号値で確認する。


28

C 60068-2-80

:2009

例えば,部品の試験のように,剛性の高い供試品若しくは小形の供試品の場合,又は供試品の動的影響

が低く,かつ,試験取付具が試験振動数範囲内では剛体であることが分かっている場合は,監視点が一つ

あればよく,これが基準点になる。

例えば,かなり離れた固定点をもつ機器のように,大形又は複雑な供試品の場合,一つの監視点又は架

空の点を基準点として規定する。架空の基準点の場合,加速度スペクトル密度は,複数の監視点で測定し

た混合モード信号から計算する。大形及び/又は複雑な供試品の場合,架空の基準点を使用することを推

奨する(3.6.3 参照)

B.2.1.1

1

点制御

測定は一つの基準点で行い,また,各振動数の制御値を各振動数の規定値と直接比較し制御する。

B.2.1.2

多点制御

多点制御が規定されているか又は必要である場合は,2 種類の振動数領域の制御方法がある。

B.2.1.2.1

平均値制御

この方法では,各監視点の信号から制御値を計算する。複合した信号値は,これら監視点における各振

動数の信号値の算術平均をとって求める。

次に,各振動数の算術平均値を,各振動数の既定値と比較する。

B.2.1.2.2

極値制御

この方法では,複合した信号値を,各監視点で測定した信号値の各振動数の最大値又は最小値から計算

する。

最大値を選択した場合,

各監視点におけるすべての振動数の値の包絡線を表す値を生成するので,

“最大

値制御方法”ともいう。

B.2.2

分布

B.2.2.1

瞬時値の分布

試験に用いるランダム波の駆動信号の瞬時値の分布は,正規分布又はガウス分布として知られており,

式 (B.1) で求める。

2

)

/

(

2

/

1

2

1

)

(

σ

χ

π

σ

χ

=

e

p

(B.1)

ここに,

P

(

χ

)

確率密度

σ

駆動信号の rms 値=標準偏差

χ

ランダム波の駆動信号瞬時値

ランダム波駆動信号時刻歴の平均値は,ゼロと仮定している。

ランダム・オン・ランダム及び狭帯域ランダム・オン・ランダムの場合の正規確率密度関数を,

図 

示す。サイン・オン・ランダムの場合の正規確率密度関数は,

図 に示す。

B.2.2.2

波高率

波高率は,rms 値に対する最大の瞬時値の比率によって,励振(制御)信号の分布を特徴付ける(

図 2

参照)

システム,すなわち,電力増幅器,振動発生機,試験用取付具及び供試品がもつ非線形性によって,監

視点におけるランダム波形が変形してしまうことがあるため,波高率は,デジタル振動制御システムの出

力,すなわち駆動信号にだけ適用する。これらの非線形性を広帯域にわたって制御することは,一般に不

可能である。


29

C 60068-2-80

:2009

この規格では,波高率を 2.5 以上と規定している(5.1.2 参照)

。正規分布のランダム波の場合,波高率

2.5

は,駆動信号の全瞬時値の約 99 %が電力増幅器へ入力されることを意味する。

B.2.3

初期傾斜及び最終傾斜

この規格では,

f

1

f

2

との間で平たん(坦)又は任意の形状の加速度スペクトル密度を規定する(

図 1

参照)

。しかし,実際の試験では,初期傾斜及び最終傾斜が付く。加速度 rms 値を可能な限り既定値に近付

けるためには,傾斜を可能な限り急しゅん(峻)にすればよい。通常,初期傾斜は,6 dB/オクターブと

する。

f

1

における加速度スペクトル密度が高く,また,変位振幅を振動試験装置の能力まで下げる必要が

ある場合は,初期傾斜を大きくしてもよい。ランダム波の変位振幅の計算は,B.2.4 の c)  を参照する。

一般に,デジタル振動制御機器では,隣接する二つの振動数ライン間で,加速度スペクトル密度に関し

て 8 dB 程度のダイナミックレンジをもっている。より急しゅんな傾斜を実現するためには,もともと定義

されているよりも狭い振動数分解能を使用することが必要になる。

狭い振動数分解能を使用できない場合,

又は最大可能な傾斜にしても必要な変位低減ができない場合には,加速度スペクトル密度の負側の許容差

を下方の振動数範囲で修正することが必要になるときがある。

これらの問題は,

f

2

を超える規定の加速度スペクトル密度の一部として定義されていない最終傾斜には

あてはまらない。この傾斜は,−24 dB/オクターブ,又はそれ以上の傾斜とすることが望ましい。

B.2.4

加速度,速度及び変位の rms 値の計算

有効振動数範囲に対する加速度,速度及び変位の rms 値は,加速度スペクトル密度,傾斜及び振動数範

囲から求める各部分の二乗平均値を合計した平方根である。

これら二乗平均値は,式 (B.2) ∼式 (B.8) によって求める(

図 B.1 参照)。

a

)

加速度の二乗平均値

M

≠−3,かつ,

M

≠0 の場合



⎟⎟

⎜⎜

×

+

=

+

+

+

3

/

1

1

1

2

3

3

M

n

n

n

n

n

f

f

f

f

M

S

a

(B.2)

M

=−

3

の場合

⎟⎟

⎜⎜

×

×

=

+

+

+

1

1

1

2

ln

)

(

)

(

n

n

n

n

f

f

f

S

a

(B.3)

M

0

の場合

)

(

1

2

n

n

n

f

f

S

a

×

=

+

(B.4)

ここに,

a

2

加速度の二乗平均値

 [(m/s

2

)

2

]

S

加速度スペクトル密度

 [(m/s

2

)

2

/Hz]

M

傾斜(

dB

/オクターブ)

注記 1

 (B.3)

において,

ln

は自然対数である。

b

)

速度の二乗平均値

M

3

の場合



⎟⎟

⎜⎜

×

×

×

=

+

+

+

3

/

1

1

1

2

2

1

1

3

3

2

1

M

n

n

n

n

n

f

f

f

f

M

S

v

π

(B.5)


30

C 60068-2-80

:2009

M

3

の場合

⎟⎟

⎜⎜

×

×

=

+

+

+

n

n

n

n

f

f

f

S

v

1

1

1

2

2

ln

2

1

π

(B.6)

ここに,

v

2

速度の二乗平均値

 [(m/s)

2

]

S

加速度スペクトル密度

 [(m/s

2

)

2

/Hz]

M

傾斜(

dB

/オクターブ)

注記 2

 (B.6)

において,

ln

は自然対数である。

c

)

変位の二乗平均値

M

9

の場合



⎟⎟

⎜⎜

×

×

×

⎟⎟

⎜⎜

=

+

+

+

3

/

1

3

3

1

1

2

2

3

2

1

1

9

3

4

10

M

n

n

n

n

n

f

f

f

f

M

S

d

π

(B.7)

M

9

の場合

⎟⎟

⎜⎜

×

×

⎟⎟

⎜⎜

=

+

+

+

n

n

n

n

f

f

f

S

d

1

3

1

1

2

2

3

2

ln

4

10

π

(B.8)

ここに,

d

 2

変位の二乗平均値

 (mm

2

)

S

加速度スペクトル密度

 [(m/s

2

)

2

/Hz]

M

傾斜(

dB

/オクターブ)

注記 3

 (B.8)

において,

ln

は自然対数である。

これらの式は,両対数プロットの直線に基づいている。この適用での傾斜は,式

 (B.9)

によって求める。

⎟⎟

⎜⎜

⎟⎟

⎜⎜

=

+

+

n

n

n

n

f

f

S

S

M

1

1

log

log

3

(B.9)

ここに,

S

加速度スペクトル密度

 [(m/s

2

)

2

/Hz]

M

傾斜(

dB

/オクターブ)

混合モード信号の場合の加速度の

rms

値は,式

 (B.10)

によって求める。

2

S

2

R

MM

rms

rms

rms

+

=

(B.10)

ここに,

rms

加速度の

rms

MM

混合モード

R

ランダム

S

正弦波


31

C 60068-2-80

:2009

混合モード信号の場合の加速度の振幅値は,式

 (B.11)

によって求める。

S

R

MM

Amp

rms

CF

Amp

+

×

=

(B.11)

ここに,

Amp

加速度の振幅値

CF

波高率。通常,

3

(これは通常,試験仕様

書でランダム波形のクリッピングレベル
について規定する値である。

MM

混合モード

R

ランダム

S

正弦波

図 B.1−加速度スペクトル密度及び振動数の関係

B.3

試験手順

試験の目的が適切な加振レベルで供試品が耐える能力及び作動する能力を単に実証するためである場合,

試験は,規定振動数範囲で,この要求事項を実証するのに十分な試験時間を実施すればよい。例えば,疲

労及び機械的変形のような,振動の累積効果に供試品が耐える能力を実証する場合,試験時間は,必要な

応力サイクルを累積するために十分長くすることが望ましいが,これによって試験時間が 6.1.4 に規定す

る値を超えることがある。

通常,防振装置に取り付けられる機器の耐久性試験では,常に防振装置を取り付けて試験する。適切な

防振装置を使用して試験を実施できない場合,例えば,機器が他の機器と共通の取付装置に組み込まれる

ような場合,機器を防振装置なしで,規定された別の厳しさで試験をしてもよい。試験の厳しさは,試験

に使用する防振装置の各軸方向の伝達率を考慮して決定することが望ましい。防振装置の特性が未知の場

合,B.4.1 を参照することが望ましい。

製品規格で,供試品が最低限許容できる構造的強度を実証するために,外付きの防振装置を取り外した

試験又は働かないように固定した試験を追加することがある。この場合,製品規格で適用する厳しさを規

定することが望ましい。


32

C 60068-2-80

:2009

B.4

通常防振装置付きで使われる機器

B.4.1

防振装置に対する伝達率係数

JIS C 60068-2-47

は,防振装置付きで試験を実施することが望ましいが,防振装置を試験で利用できな

い場合について,詳細に説明している。

B.4.2

温度の影響

防振装置の多くが,温度依存性をもつ材料を用いていることに注意する必要がある。防振装置上の供試

品の基本共振振動数が試験振動数範囲内にある場合,適用する試験時間を決定するときに注意が必要であ

る。状況によっては,回復なしで連続して試験することが適切でない場合がある。基本共振振動数で励振

される実際の時間配分が既知の場合は,それをシミュレーションするように試みることが望ましい。実際

の時間配分が未知の場合は,技術的判断によって試験時間を分割することで,過度の加熱を避けることが

望ましい。

B.5

試験の厳しさ

この規格で規定した振動数範囲,広帯域ランダムの加速度スペクトル密度及び正弦波振幅,又は狭帯域

ランダムの加速度スペクトル密度は,広い範囲の用途に適用できるように選択したものである。供試品が

一つの用途にだけ使用される場合,実環境の振動特性が既知であれば,その厳しさを基準にすることを推

奨する。

供試品に適用する試験の厳しさは,可能な限り輸送中又は使用中に供試品がさらされる環境に関連付け

ることが望ましく,試験の目的が機械的強度の評価である場合は,設計要求事項に関連付けることが望ま

しい。

試験の厳しさを決定するときは,その厳しさと実環境条件との間に適切な安全余裕を設定することを考

慮することが望ましい。

幾 つ か の 環 境 条 件 に つ い て , 標 準 入 力 ス ペ ク ト ル を ISO 16750

 (all parts)

, MIL-STD-810F 

RTCA/DO-160D

,自動車及び電子関連の製造会社の社内仕様書など,様々な仕様書から得ることができる。

B.6

機器の能力

試験中又は適切な段階で,供試品の機能条件を代表するような方法で供試品を作動させることが望まし

い。

例えば,リレーの動作に対する干渉のように,振動がスイッチオン及びスイッチオフ機能に影響を与え

る可能性がある供試品の場合,試験振動数範囲に関して性能を満足することを実証するために,そのよう

な機能の点検を繰り返すことが望ましい。

試験の目的が供試品の耐久性評価だけの場合,供試品の作動性能は振動試験終了後に評価するとよい。

B.7

初期測定及び最終測定

初期測定及び最終測定の目的は,供試品に対する振動の影響を評価するために,特定のパラメータを比

較することである。

測定には,目視検査と同様に,電気的作動並びに機械的作動,及び構造上の特性を含むことがある。


33

C 60068-2-80

:2009

参考文献

JIS Q 17025 

: 2000

  試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項

注記

対応国際規格:ISO/IEC 17025 

: 1999

General requirements for the competence of testing

and calibration laboratories (IDT)

ISO 16750 

(all parts)

Road vehicles

Environmental conditions and testing for electrical and electronic

equipment

Guide to the expression of uncertainty in measurement 

[計測における不確かさの表現ガイド]

BIPM/IEC/IFCC/ISO/IUPAC/IUPAP/OIML

, 1993

(修正及び再刷,

1995

MIL-STD-810F

Test method standard for environmental engineering considerations and laboratory

tests

RTCA/DO-160D 

: 1997

Environmental conditions and test procedures for airborne equipment


34

C 60068-2-80

:2009

附属書 JA

参考)

JIS

と対応する国際規格との対比表

JIS C 60068-2-80 : 2009

  環境試験方法−電気・電子−第 2-80 部:混合モード振動試

験方法(試験記号:Fi)

IEC 60068-2-80 : 2005

,Environmental testing−Part 2-80 : Tests−Test Fi : Vibration

−Mixed mode

(Ⅰ)JIS の規定

(Ⅲ)国際規格の規定

(Ⅳ)JIS と国際規格との技術的差異の箇条

ごとの評価及びその内容

箇 条 番 号
及び名称

内容

(Ⅱ)

国 際 規
格番号

箇条
番号

内容

箇 条 ご と
の評価

技術的差異の内容

(Ⅴ)JIS と国際規格との技術的差

異の理由及び今後の対策

3.3

固定点 (fixing

point)

3.4 NOTE

変更

注記を本文に変更した。

次回 IEC 規格改正時に IEC への反
映を提案する。

3.4

制御点 (control

point)

3.4

追加

定義文を追加した。

次回 IEC 規格改正時に IEC への反
映を提案する。

3.9.1A

重み付き平均値

制御 (weighted

averaging)

追加

用語及び定義を追加した。

次回 IEC 規格改正時に IEC への反
映を提案する。

3.10

最大値法,MAX

3.10A

加算値法,SUM

3.10 MAX/SUM

変更

理解を容易にするため,MAX
と SUM を個別に定義した。 
注記を本文に変更した。

技術的差異はない。

3.32

標準偏差,σ

(standard deviation)

3.32

JIS

にほぼ同じ

追加

理解を容易にするため,定義文
を追加した。

技術的差異はない。

3

用 語 及

び定義

3.34

統計的自由度

(statistical degrees of

freedom)

3.34

JIS

にほぼ同じ

追加

理解を容易にするため,定義文
を追加した。

技術的差異はない。

13

製品規

格 で 示 す

情報

t)

動作及び機能の確認

13

t)

Performance

and

functional check

変更

製品規格への規定事項を変更。 国際規格の規定事項は中間測定の

内容を指すため,適切な表記に変

更した。次回 IEC 規格改正時に

IEC

への反映を提案する。

附属書 B

(参考)

B.1

概略に GUM を引

 B.1

ENV 13005 

を引用 

変更

追加

ENV 13005

は欧州暫定規格で

あ り 現 在 入 手 困 難 な た め ,

GUM

に変更した。

図 B.1 を追加した。

次回 IEC 規格改正時に IEC への反

映を提案する。

34

C

 600

68
-2

-80


20
09

34

C 600

68
-2

-80


20
09


35

C 60068-2-80

:2009

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 60068-2-80 : 2005,MOD

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。

    −  追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
    −  変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。

    −  MOD………………国際規格を修正している。

35

C

 600

68
-2

-80


20
09

35

C

 600

68
-2

-80


20
09