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C 60068-2-65

:2006 (IEC 60068-2-65:1993)

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人日本電子部品信頼性センター (RCJ)

/財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

  制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC 60068-2-65 : 1993,Environmental

testing

−Part 2 : Methods of test−Test Fg : Vibration, acoustically induced を基礎として用いた。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任をもたない。

JIS C 60068-2-65

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(参考) 試験要求事項に関する指針

附属書 B(参考) 参考文献


C 60068-2-65

:2006 (IEC 60068-2-65:1993)

目  次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲及び目的

1

2.

  引用規格

2

3.

  定義,記号及び省略記号

2

3.1

  定義

2

3.2

  記号及び省略記号

5

4.

  試験の音響環境及び要求事項

5

4.1

  試験の音響環境

5

4.2

  音源

5

4.3

  測定装置

6

4.4

  試験要求事項

6

5.

  厳しさ

7

6.

  前処理

8

7.

  初期測定

8

8.

  試験

8

8.1

  標準試験

8

8.2

  加速試験

8

9.

  中間測定

8

10.

  後処理

8

11.

  最終測定

8

12.

  製品仕様に規定する情報

8

附属書 A(参考)試験要求事項に関する指針

15

附属書 B(参考)参考文献

20

 


日本工業規格

JIS

 C

60068-2-65

:2006

(IEC 60068-2-65

:1993

)

環境試験方法−電気・電子−第 2-65 部:音響振動

Environmental testing

Part 2-65 : Vibration, acoustically induced

序文  この規格は,1993 年に第 1 版として発行された IEC 60068-2-65,Environmental testing−Part 2 :

Methods of test

−Test Fg : Vibration, acoustically induced を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更する

ことなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。

音響雑音は,部品及び機器に無視できない振動を引き起こすことがある。音響雑音場では,圧力の変動

が供試品に直接伝わるので,その応答は機械的励振によるものとは異なることがある。

音響雑音に特に敏感な部品には,比較的軽量の部品が含まれる。これらの部品の寸法は,試験振動数範

囲の音波の波長と類似しており,単位面積当たりの質量は小さい。これらの部品としては,パラボラアン

テナ,太陽電池パネル,電子デバイス,プリント配線板,電線,光学素子などが挙げられる。

この試験は,高い音圧レベルの条件にさらされる部品,機器及びそのほかの製品(以下,

“供試品”とい

う。

)及び/又はその条件下で機能することが要求される供試品に適用する。使用状態においては,供試品

は機械的な励振と音響的な励振とに同時にさらされることがあるので,注意が必要である。

高い音圧レベルは,ジェットエンジン,そのほかの航空機エンジン,ロケットエンジン,高出力ガス循

環器などによって発生する。この規格は圧縮性気体を用いる音響試験を規定しているので,高速分離流に

よる乱流が引き起こす励振応答のシミュレートにも適用できる。

音響雑音によって発生する振動の影響に関する試験では,ある程度の技術的判断を必要とする。このこ

とは,供試品の製造業者(供給者)及び購入者双方が認識しなければならない。製品仕様の作成者は,こ

の規格に基づいて,供試品の性質及び使用目的を考慮して,適切な試験方法及び厳しさの値を選択するこ

とが望まれる。

試験で発生する音響レベルは人間の聴覚に害を与えるおそれがあるので,準備作業及び試験に従事する

者が雑音にさらされる度合いを,聴覚保護の観点から許容可能とみなされるレベルまで下げるための適正

な措置を講じる必要がある。

1.

適用範囲及び目的  この規格は,供試品がさらされる又はさらされやすい特定の音圧レベルの環境に

供試品が耐える能力を決定するための音響試験の標準的手順及び指針について規定する。この規格は,120

dB

未満の音圧レベルの環境の場合には,適用しない。

この規格は,供試品の機械的弱点及び/又は性能劣化を決定し,この情報を製品仕様とともに用いて供

試品の合否を判定することを目的とする。供試品の機械的堅ろう性又は耐疲労性を確立する手段としてこ

の試験方法を用いてもよい。

この規格は,試験の実施及び音響雑音場の音圧レベルの測定手順を規定し,供試品の規定の点での振動

応答の測定に対する必要性を考察する。音響雑音環境,スペクトル,音圧レベル及び試験時間の選択のた


2

C 60068-2-65

:2006 (IEC 60068-2-65:1993)

めの指針を

附属書 に示す。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

IEC 60068-2-65 : 1993

,Environmental testing−Part 2 : Methods of test−Test Fg : Vibration,

acoustically induced (IDT)

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発効年又は発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格

の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。

  JIS C 1509-1 : 2005  電気音響−サウンドレベルメータ(騒音計)−第 1 部:仕様

備考  IEC 61672-1 : 2002  Electroacoustics−Sound level meters−Part 1 : Specifications が,この規格と

一致している。

  参考  IEC 60068-2-65 : 1993 に引用されている IEC 60651 : 1979,Sound level meters は 2003 年に廃

止,IEC 61672-1 : 2002 に変更されている。JIS においてもそれぞれに対応して JIS C 1515 :

1988

,精密騒音計が廃止され,JIS C 1509-1 が制定されている。

JIS C 60068-1 : 1993

  環境試験方法−電気・電子−通則

備考  IEC 60068-1 : 1988  Environmental testing−Part 1 : General and guidance が,この規格と一致し

ている。

JIS W 0822 : 1994

  航空機用機器の環境試験−第 3.4 部:音響振動

備考  ISO 2671 : 1982  Environmental tests for aircraft equipment−Part 3.4 : Acoustic vibration が,この

規格と一致している。

JIS Z 8106 : 2000

  音響用語

備考  IEC 60050-801 : 1994  International Electrotechnical Vocabulary (IEV)−Chapter 801 : Acoustics

and electroacoustics

が,この規格と一致している。

IEC 60050-151 : 1978

  International Electrotechnical Vocabulary (IEV)−Chapter 151 : Electrical and

magnetic devices

ISO 266 : 1975

  Acoustics−Preferred frequencies for measurements

ISO 2041 : 1990

  Vibration and shock−Vocabulary

3.

定義,記号及び省略記号  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

なお,ISO 2041 又は,JIS Z 8106 及び JIS C 60068-1 から引用又は修正したものである場合は,そのこ

とも示す。

3.1

定義

3.1.1

音響ホーン  (acoustic horn)  (JIS Z 8106 の 801-27-12 修正)  最大のエネルギーが伝達するように

音響源と試験室,例えば,残響室とを接続するために使う,一端の断面積が他端の断面積よりも大きく,

通常断面積が指数関数的に変化する管。

備考  各音響ホーンは,音響スペクトルに影響を与える固有の伝達特性をもっている。

3.1.2

分析積分時間  (analysis integration time)  信号を平均処理する時間間隔(附属書 A.8 参照)。

3.1.3

帯域幅 (bandwidth)  ISO 2041 の B.19 と同等。)  公称遮断振動数の上限値と下限値との差。


3

C 60068-2-65

:2006 (IEC 60068-2-65:1993)

備考  この帯域幅は,次のいずれかで表現できる。

a)

ヘルツ

b)

通過帯域の中心振動数に対する割合

c)

公称遮断振動数の上限値及び下限値間の間隔(オクターブ単位)

3.1.4

全音圧レベル  (overall sound-pressure level)  (OASPL)  1/3 オクターブ又は 1 オクターブ帯域音圧レ

ベル L

i

から次の式で計算した値。

å

=

=

m

i

i

L

L

1

10

/

10

G

10

log

10

 (1)

ここに,  L

G

:  全音圧レベル (dB)

L

i

:  番目の 1/3 オクターブ又は 1 オクターブ帯域の音圧レベル

m: 1/3 オクターブ又は 1 オクターブ帯域の数

3.1.5

中心振動数  (center frequency)  ISO 2041 の B.31 と同等。)  通過帯域両端の公称遮断振動数の幾

何平均。

備考1.  ISO 2041 では,フィルタ帯域幅の公称遮断振動数の上限値及び下限値を,フィルタの最大応

答の振動数より高い振動数及び低い振動数で,正弦波信号の応答が最大応答より 3 dB 下回る

振動数と定義している。

2.

幾何平均は,遮断振動数を f

1

及び f

2

としたとき,  (f

1

f

2

)

1/2

となる。

3.1.6

定帯域幅フィルタ  (constant-bandwidth filter)  ISO 2041 の B.21 と同等。)  ヘルツで表したときに

フィルタの中心振動数に関係なく,一定の帯域幅をもつフィルタ。

3.1.7

音響ホーンの)遮断振動数  [cut-off frequency (of acoustic horn)]  それ未満では音響ホーンが次第

に効果を失っていく振動数。これは音響ホーンの主要特性である。

3.1.8

拡散音場  (diffuse sound field)  JIS Z 8106 の 801-23-31 と同等。)  一定の領域で統計的に一様な

エネルギー密度をもち,任意の点で伝搬の方向がランダムに分散するような音場。

備考  拡散音場の場合,指向性マイクロホンで測定した音圧レベルはどの方向でも同じになる。

3.1.9

電気空圧又は油圧空圧式変換器  (electro or hydraulic-pneumatic transducer)  強音響雑音の使用環境

で発生する音圧レベルをシミュレートするために最も一般的に使用されている試験用音響雑音源。これは,

加圧気体を動電式又は油圧式バルブで変調する空気圧式変換器からなっている。

備考  このタイプの変換器は,振幅がランダムに分布し,広い振動数帯域にわたってエネルギーが連

続するスペクトルを出力し,更に,音響試験の規定を満たす整形スペクトルを出力できる(

属書 A.5 参照)。

3.1.10

振動数間隔  (frequency interval)  JIS Z 8106 の 801-30-07 と同等。)  二つの振動数の比。

3.1.10.1

オクターブ (octave)  振動数の比が 2 の二つの振動数の間隔。

3.1.10.2

  1/3

オクターブ  [one-third octave (1/3)]  2

1/3

に等しい比をもつ二つの振動数の間隔。

備考  1 オクターブ及び 1/3 オクターブ振動数帯域は,ISO 266 の中心振動数の定義を用いる。

3.1.10.3

  1/12

オクターブ  [one-twelfth octave (1/12)]  2

1/12

に等しい比をもつ二つの振動数の間隔。

3.1.11

測定点 (measuring points)  試験を実施するためにデータを収集する特定の点。これらの点には,次

に定義する二つの種類がある。

備考  試験中の供試品のふるまいを評価するために供試品内の点で測定することがあるが,これらの

点はこの規格では測定点とはみなさない。


4

C 60068-2-65

:2006 (IEC 60068-2-65:1993)

3.1.11.1

監視点  (check-points)  供試品を囲んでいる仮想面上の,供試品から一定の距離の点。

3.1.11.2

基準点  (reference points)  この規格の要求事項を満足するように,試験を制御する信号を取り出

すために監視点から選択した点。

3.1.12

多点制御  (multipoint control)  複数の基準点の信号の平均値を用いて実施する制御(3.1.11.2 参照)。

備考  多点制御を用いるとき,各マイクロホンの信号は 1 か所の音圧レベルである。平均音圧レベル

L

AV

は,JIS Z 8106 の 801-31-36 によって計算でき,次に示す。

å

=

n

i

L

n

L

1

10

/

10

AV

10

1

log

10

 (2)

ここに,  L

AV

平均音圧レベル (dB)

n: 基準点の数

L

i

番目の 1/3 オクターブ又は 1 オクターブ帯域の音圧レベル

この方法とは別に,音圧レベルの差が小さいとき,算術平均値を使用すれば平均音圧レベル

を近似できる。例えば,差が 6 dB の場合,算術平均を行うと,誤差が約 0.5 dB となる。

3.1.13

狭帯域フィルタ  (narrow band frequency filter)  一般に,通過帯域が 1/3 オクターブより小さい帯域

フィルタ。

3.1.14

広帯域フィルタ  (broad band frequency or wide band filter)  通過帯域が比較的広い帯域フィルタ。一

般に,1 オクターブより広い。

3.1.15

進行波管  (progressive wave tube)  音響ホーンを介して試験区域に接続され,これに沿って音波が

音源から伝搬していく管。

備考  試験振動数範囲の音響進行波の反射を最小にするために試験区域の端に音響吸収終端部を配置

する(

附属書 の A.2 参照)。

3.1.16

比例帯域幅フィルタ  (proportional-bandwidth filter)(ISO 2041 の B.22 と同じ。)  振動数に比例する

帯域幅をもつフィルタ。

備考  1 オクターブ帯域幅,1/3 オクターブ帯域幅などは,代表的な比例帯域幅フィルタである。

3.1.17

残響室  (reverberation room)(JIS Z 8106 の 801-31-13 修正)  音場が拡散するように堅く,高反射

性の表面をもつ部屋。

3.1.18

吸音率  (sound absorption coefficient)(JIS Z 8106 の 801-31-02 修正)  一定の振動数で,かつ,規定

の条件の下で材料に入射する音響パワーに対する材料の表面から反射しない音響パワーの比。

備考  吸音は,音のエネルギーを熱に変換する材料及び物体がもつ特性である。

3.1.19

音圧 P (sound-pressure P)(次の備考を除いて JIS Z 8106 の 801-21-20 と同等。)  特に規定がなけれ

ば,一定の時間間隔における瞬時音圧の実効値(rms 値)

備考  音圧の特徴は,気体の乱れで発生した圧力の変動である音波によって引き起こされた,静圧の

回りの圧力の変化である。

3.1.19.1

音圧レベル L

P

(sound-pressure level L

p

)

JIS Z 8106 の 801-22-07 と同等。

)  次の式で表す。

0

10

p

log

20

P

P

L

=

 (3)

ここに,

P

音圧

P

0

国際基準音圧

  (P

0

20 µPa)

3.2 参照)

3.1.20

定在波管 

(standing wave tube)

  直接伝搬する音波と同じ振動数の反射した音波とが重なった結果,

空間に一定の分布をもつ周期的音波が発生する管。

備考

定在波の特徴は,空間に固定された完全な又は部分的な音圧の節及び腹が存在することである。


5

C 60068-2-65

:2006 (IEC 60068-2-65:1993)

音源は,音響ホーンで定在波管に接続され,定在波の振動数を同調させるために軸方向に調整

できる音響的に堅い反射面で終端されている。定在波管の使用は,離散的振動数の高い音圧レ

ベルを得ることができる効果的な方法である(

附属書 の A.4 参照)。

3.2

記号及び省略記号  この規格では,次の記号及び省略記号を使用する。必要に応じて,定義の相互

参照を示す。

OASPL:

全音圧レベル(JIS Z 8106 の 801-22-07 から得られたレベル,3.1.4 参照)

L

G

 :

dB

単位の全音圧レベル(3.1.4 参照)

L

i

 :

i

番目の

1/3

オクターブ又は

1

オクターブ帯域の音圧レベル(3.1.4 参照)

L

p

 :

dB

単位の音圧レベル(3.1.19.1 参照)

L

AV

 :

dB

単位の平均音圧レベル(3.1.12 参照)

: N/m

2

又は

Pa

単位の音圧の実効値(

rms

値)

3.1.19 参照)

P

0

 :

空気中では

2

×

10

-5

Pa

又は

20 µPa

に標準化された国際基準音圧

  (

JIS C 1509-1

)

,他の媒体

では

1 µPa

4.

試験の音響環境及び要求事項

4.1

試験の音響環境  音響振動試験は,供試品が規定の高いレベルの音響雑音場で動作又は残存する能

力を決定するために実施する。

実際の環境の圧力変動は,

進行波と残響場との複雑な組合せの場合がある。

雑音にさらされる構造物及び空洞内で発生する定在波は,共振し,非常に高い局部音圧レベルを発生する

ことがある。したがって,供試品に対して最も適切な音響試験を選択する必要がある。この選択は,実際

の環境又は飛行試験から得た実際の測定データに基づいて行うか,又は例えば,

付図 1,付図 及び付図 3

に示すような特定の機器の適用に関して規定する一般的レベルから行うことができる。適用する試験スペ

クトルは,これらの図に示す振動数を超える振動数及び未満の振動数のエネルギーを含んでいてもよい。

備考

航空機環境に関連する音圧レベルについての詳細は,JIS W 0822 による。

4.1.1

残響音場試験  残響音場は,通常,密閉した空間に配置する供試品の圧力変動が一様な場合に用い

る。しかし,この残響音場は,密閉容器自身,例えば,大形打上げロケットのノーズコーンフェアリング

などの場合のように,より適切な他のシミュレーションが不可能な場合の試験にも使用できる。残響音場

は,気体乱流又は表面はく(剥)離流による境界構造物の励振,推進音の放射,及び例えばガス冷却原子

炉圧力容器内で発生する励振によって密閉容器内で発生する(

附属書 の A.1 参照)。

4.1.2

進行波試験  進行波試験は,音響エネルギーが供試品の表面を通過する場合に用いる。このような

環境の発生の例として,航空機の外部運搬品,ロケットエンジンの耐熱遮へい(蔽)

,航空機パネル又は尾

翼表面が挙げられる(

附属書 A.2 参照)。

4.1.3

空洞共鳴試験  空洞共鳴試験は,空洞上の乱流の結果又は空洞が音響励振にさらされたときに共鳴

する空洞内の高音圧レベルの状態をシミュレートするために用いる。例として,着陸のために車輪を下げ

たときの航空機着陸装置の空洞又は燃焼室が挙げられる(

附属書 の A.3 参照)。

4.1.4

定在波試験  定在波試験は,純音の非常に高い音圧レベルを発生させるために使用できる。この試

験は,通常,狭帯域の非常に高密度な雑音にさらされる傾向にある部品の評価及び開発に使用される(

属書 の A.4 参照)。

4.2

音源  試験に使用する適切な音源の選択のための指針を,附属書 の A.5 に示す。

4.3

測定装置  供試品の周囲の音場の監視,及び必要に応じて,音響によって供試品に発生する振動測

定のために測定装置が必要となる。これらの測定では,振動数成分に関する分析を行う必要がある(4.3.3

参照)


6

C 60068-2-65

:2006 (IEC 60068-2-65:1993)

4.3.1

音響測定  監視用測定系は,

1

オクターブ又は

1/3

オクターブ帯域のいずれかで,振動数範囲が

22.4

Hz

11 200 Hz

で,中心振動数が

31.5 Hz/25 Hz

1

オクターブ/

1/3

オクターブ)∼

8 kHz/10 kHz

の音圧レ

ベルを測定できなければならない。

この測定系は,

表 に示す許容差内の振動数応答をもたなければならない。

  1  音響測定の許容差

振動数範囲

Hz

許容差

dB

              22.4

∼  125

            126

∼ 2 500

     2 501

∼11 200

±1

±2 
±3

使用するマイクロホンは,無指向性で,少なくとも最大定格実効値(

rms

値)の

3

倍のピーク値の測定

が可能でなければならない。

測定系は,規定の試験レベルよりも少なくとも

10 dB

高い音圧レベルの測定が可能でなければならない。

これは全体レベル及び個別の振動数帯域に適用する。

4.3.2

振動応答測定  供試品の振動の監視は,必要に応じて,加速度及び/又はひずみ測定によって実施

する(必要に応じて,変位又は速度応答を監視してもよい。

監視系は,少なくとも振動数範囲

16

2 000 Hz

で全体振動応答の測定が可能でなければならない。この

測定系は,必要とする振動数範囲で名目上,平たん(坦)な振動数応答をもち,測定の方法及び種類に適

していなければならない。

4.3.3

結果の分析  4.3.1 及び必要に応じて 4.3.2 から得られた測定データは,振動数成分に関する分析を

行わなければならない。

a

)

音響測定の分析は,少なくとも

1

オクターブ帯域又はなるべく

1/3

オクターブ帯域の分解能で行う。

b

)

振動応答測定は,通常,より高い分解能での分析を必要とし,その分析は比例帯域幅フィルタ,例え

ば,

1/12

オクターブ帯域又は定帯域幅フィルタ,例えば

10 Hz

のいずれかを用いて行う。

4.4

試験要求事項

4.4.1

設備の種類  シミュレートすべき音場の実際の環境の空間及び時間のふるまいは,試験方法の選択

に影響を与える。試験区域の提供に現在用いている主な設備は,残響室である。次の試験要求事項は,こ

の設備に関するものである。この規格の適用の対象となる別の種類の設備については,

附属書 を参照す

る。設備の種類に関する要求事項は,製品仕様に規定しなければならない。

供試品が高密度音響環境及び他の環境パラメータ(例えば,極端な温度)とに同時にさらされるような

複合試験が必要な場合,音響試験は,この規格に従って実施しなければならない。

4.4.2

取付け  供試品は,壁(床及び天井を含む。)と供試品の主要な表面との間に,平行な関係が作ら

れないように残響室の中央に配置する。供試品は,残響室内部に弾性的に支持するか,又はつるす。製品

仕様では,必要に応じて,推奨する取付け点を規定する。

つるされている供試品の共振振動数は,

25 Hz

未満又は最低試験振動数の

1/4

の振動数の低い方の振動数

とする。

監視点と供試品の表面との間の距離は,最低試験振動数の波長の半分又は壁から供試品の距離の半分の

短い方よりも長い距離とする。この距離が得られず,波長の半分よりも近い箇所にマイクロホンを置かな

ければならない場合は,雑音レベルの測定値は,供試品からの反射のために,大きな影響を受けることが


7

C 60068-2-65

:2006 (IEC 60068-2-65:1993)

あるので,このことを試験の結果を評価するときに考慮する必要がある。

供試品と弾性支持具との間に,又は弾性支持具自体を取り付けるために,構造部材が必要な場合は,雑

音場のひずみ又は外来振動の侵入を避けるための注意が必要である。

供試品に接続するもの,例えば,ケーブル,パイプなどは,供試品が実際の環境に置かれたときに受け

るのと同様の拘束力及び質量がかかるように配置する。この状態を実現するためには,ケーブル,パイプ

などを取付け具に固定する必要がある場合がある。

4.4.3

供試品の測定  必要に応じて製品仕様に,供試品に適用する変換器(加速度ピックアップ,マイク

ロホン,ひずみゲージなど)の数,種類及び位置を規定する。

各変換器の校正証明書を入手しなければならない。

4.4.4

残響室の準備

4.4.4.1

監視点の数及び位置  供試品周囲の音圧のレベルを測定するための制御用マイクロホンを少な

くとも

3

本用意する。供試品の主要直交軸と仮想面との交点に置くマイクロホンの数及び位置を,製品仕

様に規定しなければならない(

付図 参照)。

スペクトルの整形にダミーモデルを使用する場合,後続の試験で同一のマイクロホン位置を使用する。

4.4.4.2

スペクトルの制御  各制御用マイクロホンの応答は,製品仕様に規定されたオクターブ又は

1/3

オクターブによる分析を行う。各帯域の平均レベルは,3.1.12 に従って得なければならない。次に全体平

均値を帯域レベルから算出する。平均スペクトルの各帯域レベル及び全体レベルは,

付図 1,付図 又は

付図 に規定する限界内の値又は製品仕様に規定されたスペクトル値でなければならない。平均値は,試

験時間の間,規定限界内の値でなければならない。

製品仕様に規定する分析積分時間は,確実な統計的信頼性が得られるように,十分に長くなければなら

ない(

附属書 の A.8 参照)。

試験時間が十分に長い場合,音圧レベルが規定限界値内のレベルであることを確実にするために,試験

中,間隔をおいて制御用マイクロホンの応答の実時間分析を実施しなければならない。

備考1.

各マイクロホンで測定する帯域レベル及び全音圧レベルの最大許容変動値は,製品仕様に規

定してもよい。

2.

製品仕様に

1/3

オクターブ分析を規定している場合,

1/3

オクターブスペクトルも準備する必

要がある。

4.4.4.3

スペクトルの整形  音場に供試品を過剰にさらすことを避けなければならない場合は,供試品に

代わるダミーモデルで音場を確立する。さらに,残響室の容積に比べて供試品の容積が小さいときには,

空の残響室を用いてもよい。

5.

厳しさ  音響の厳しさは,全音圧レベル

 (OASPL)

,スペクトルの形状及び試験時間で規定する。製品

仕様では,

表 から

OASPL

及び最小試験時間,並びに

付図 1,付図 及び付図 からスペクトルの形状を

選択する。これらの適用のための指針を

附属書 の A.6 に示す。

  2  全音圧レベル及び試験時間

全音圧レベル

dB

試験時間


8

C 60068-2-65

:2006 (IEC 60068-2-65:1993)

120

±1

130

±1

140

±1

150

±1

160

±1

170

±1

   60 
   60

   30 
   30 
   30

      2

6.

前処理  供試品を安定(熱的,機械的など)させるために,室内の大気状態での前処理を,製品仕様

で要求してもよい。

7.

初期測定  製品仕様の規定に従って,供試品の目視検査,寸法検査及び機能検査を実施する。

8.

試験

8.1

標準試験  製品仕様の要求に合わせて変換器を付けた供試品を,4.4.2 に従って取り付ける。

4.4.4.1

の規定に従って配置した監視点を用いて,試験を実施する。スペクトルの整形は 4.4.4.3,スペク

トルの制御は 4.4.4.2 による。厳しさは,5.  に従って規定した製品仕様による。

制御用マイクロホン及び供試品の変換器からの信号は,後で行う分析のために記録してもよいが,4.4.4.2

を参照する。

8.2

加速試験  供試品の動作寿命から,標準試験が適当でないほど長い試験時間が必要な場合,加速試

験を実施してもよい。加速試験では,試験時間を短縮するために,供試品が実際にさらされるレベルより

高い音圧レベルを適用する。

加速試験に関して明確に定義されたルール又は手順はない。

使用する手順は,

製品仕様で規定する。加速試験に関する一般的な推奨事項を,

附属書 の A.7 に示す。

9.

中間測定  製品仕様に規定がある場合,供試品は,試験中動作させて性能を検査しなければならない。

10.

後処理  製品仕様に規定がある場合,試験後の最終測定の前に,供試品の,例えば温度を初期測定と

同じ条件にするために,一定の時間を与えることがしばしば必要になる。

11.

最終測定  製品仕様の規定に従って,供試品の目視検査,寸法検査及び機能検査を実施する。

試験実施の間,制御用マイクロホン及び必要に応じて供試品測定用変換器から得た信号を処理して,こ

の規格及び製品仕様の要求事項が満たされていることを確認する。

製品仕様に,供試品の合否判定基準を規定する。

12.

製品仕様に規定する情報  この試験が製品仕様に規定されている場合,適用可能な限り次の事項を規

定しなければならない,特にアスタリスク

 (*)

付の事項は,常に必要であるので特別の注意を払う。

a

)

フィルタ帯域幅

*................................................................................................

4.3.3

b

)

設備の種類

*........................................................................................................

4.4.1

c

)

取付け

*................................................................................................................

4.4.2

d

)

供試品測定用変換器

..........................................................................................

4.4.3

e

)

監視点の数及び位置

*........................................................................................

4.4.4.1

f

) 1/3

オクターブ及び

1

オクターブ帯域の分析

*..............................................

4.4.4.2


9

C 60068-2-65

:2006 (IEC 60068-2-65:1993)

g

)

スペクトルの形状

*............................................................................................

4.4.4.2

及び 5.

h

)

分析積分時間

*....................................................................................................

4.4.4.2

i

)

帯域レベルの最大許容変動値

..........................................................................

4.4.4.2

j

) 1/3

オクターブ帯域分析のスペクトル

............................................................

4.4.4.2

k

) OASPL*...............................................................................................................

5.

l

)

最小試験時間

*....................................................................................................

5.

m

)

前処理

..................................................................................................................

6.

n

)

初期測定

*............................................................................................................

7.

o

)

加速試験の手順,必要な場合

..........................................................................

8.2

p

)

中間測定

..............................................................................................................

9.

q

)

後処理

..................................................................................................................

10.

r

)

最終測定

*............................................................................................................

11.

s

)

合否判定基準

*....................................................................................................

11.


10

C 60068-2-65

:2006 (IEC 60068-2-65:1993)

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

付図  1  航空機適用の 1/3 オクターブ帯域スペクトル

 

下 限 値

上 限 値

下 限 値

上 限 値

軸 流 ブ ロワ

遠 心 ブ ロ ワ

1 オ ク タ ーブ 帯域 中 心 振動 数   (Hz)















  
  
  
  1












(dB)

付図  2  ブロワの オクターブ帯域スペクトル(附属書 

[

4

]

より)

上限値

下限値

(dB)

試験







オク


ブ帯



1/3

10 dB/

オクターブ

3 dB/

オクターブ

−3 dB/オクターブ

−10 dB/オクターブ

遠心ブロワ

1/3

オクターブ帯域中心振動数  (Hz)


11

C 60068-2-65

:2006 (IEC 60068-2-65:1993)

上限値

下限値

1 オクターブ帯域中心振動数  (Hz)

試験用

全音

圧レ

ベル

を基

準とす



クタ

ーブ

帯域音圧

レベ

(dB)

付図  3  高雑音産業用機械の オクターブ帯域スペクトル(附属書 

[

4

]

より)

1 オクターブ帯域中心振動数  (Hz)

上限値

下限値

試験







オク


ブ帯



1

(dB)


12

C 60068-2-65

:2006 (IEC 60068-2-65:1993)

供試品

ホーン

から

残響ルームまでの 
スムーズな移行

d

=λ/2 又は,

d

=

D

/2(どちらか小さい方)

ここに, 
λ:当該最低振動数の波長

付図  4  供試品周囲のマイクロホンの標準的配置

dλ/2 又は,d=D/2(いずれか小さい方)

ここに,

λ:当該量最低振動数の波長

音響ホーンから

残響ルームまでの

スムーズな移行

ホーン

供試品


13

C 60068-2-65

:2006 (IEC 60068-2-65:1993)

供試品

仮想面

M;マイクロホン

付図  5  供試品周囲の仮想面上の監視点マイクロホン

(

1

6

)

の標準的位置

M

:マイクロホン


14

C 60068-2-65

:2006 (IEC 60068-2-65:1993)

M :  マイクロホン
L  :  供試品の長さ

付図  6  長い円筒状供試品の監視点マイクロホンの標準的配置

M

:マイクロホン

L

:供試品の長さ


15

C 60068-2-65

:2006 (IEC 60068-2-65:1993)

附属書 A(参考)試験要求事項に関する指針

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

A.1

残響室の試験

A.1.1

  概要  理想的な残響室は,広帯域雑音で励振されたとき,音圧の

2

乗の時間平均値がどこでも同じ

になる拡散音場を提供する部屋である。しかし,実際には,理想的な状態からの逸脱を受け入れる必要が

ある。

室内の複数の共振モードが成長することによって,音圧レベルが高くなる性質がある。共振モードの数

が十分あり,それが振動数に関して一様に分布していて,供試品の共振が適切に励起されることが最も重

要である。

部屋の壁の音響伝達率は,低いことが望ましく,部屋の容積と供試品の容積との比は,約

10

1

以上が

望ましい。ある状況下では,

10

1

よりも小さい比は,許容されることがあるが,その試験から得た結果

の評価の場合は注意を払う必要がある。部屋の壁と供試品との距離は,可能なら,最低試験振動数の波長

の半分より長いことが望ましい(本体の

付図 参照)。

A.1.2

  残響室の容積

1

オクターブ帯域の試験最低中心振動数と残響室の必要容積との間の関係を

附属書

A

表 に示す。これらの条件が満たされる場合,試験の最も低い

1

オクターブ帯域でも,適正な拡散音場

が得られる。

附属書   1  オクターブ帯域及び残響室容積の関係

試験最低中心振動数

(1 オクターブ帯域)

Hz

必要な残響室容積

m

3

    31.5

125

250

500

≧1 000

≧  200

≧      70

≧        5

A.1.3

  残響室の形状  部屋の形状を変則的なものとし,床及び天井を含む壁を平行にならないようにする

のが望ましい。断面が一様でない五角形の天井が傾斜している部屋では,良好な共振モードの密度が得ら

れる。雑音源は,音響ホーンの口がなるべく一つの壁を占有するように,残響室と接続することが望まし

い(本体の

付図 参照)。残響室内のすべての表面は,室内の音響拡散を損なわないようにするために,平

らで凹凸がないことが望ましい。

振動数及び空間に関する室内の最適の分布が得られるように適正な割合を選択すれば,長方形の形状を

うまく使用できる。この条件が満たされるのは,任意の二つの寸法の比が,整数に等しくないか又はごく

近い値でない場合である。

1

2

1/3

4

1/3

の割合がよく使用される。容積が約

200 m

3

以上の部屋の場合に良

好であることが分かっている,長方形の部屋の寸法のその他の比を

附属書 表 に示す(附属書 

[1]

[3]

参照)


16

C 60068-2-65

:2006 (IEC 60068-2-65:1993)

附属書   2  残響室の寸法比

L

y

/L

x

L

z

/L

x

1

2

3

4

5

0.83

0.83

0.79

0.68

0.70

0.47

0.65

0.63

0.42

0.59

L

x

L

y

L

z

は,X 軸,Y 軸及び Z 軸の残響室の寸法。

小さな残響室の音場は,耐久性のある反射面を室内につるすことによって部屋の表面積を増すと,拡散

度をより高くすることができる。この場合,部屋をより小さな容積に効果的に分割することによって,部

屋の低振動数特性を損なわないようにするために,パネルの寸法を部屋の壁の寸法より小さくするとよい。

小さな部屋での音場の拡散を改善する別の方法には,室内の反射経路を絶えず変えるために,変則的な形

状の回転体をつるす方法がある。これらの装置は,低振動数試験が必要な場合に特に有用である。

さらに注意すべき点は,低振動数試験は,わずかの離散的な位置での測定から得られた試験データに基

づいている場合が多く,大きな標準偏差に支配されることがある,という点である。この制約条件は,低

振動数試験を実施し,その結果を評価するときに考慮する必要がある。

A.1.4

  残響室の吸音  残響室表面の吸音率は,残響音場の生成を可能にする長い残響時間を確保するため

に小さいことが望ましい。残響室のすべての表面の平均吸音率は,試験振動数範囲で

0.06

未満であること

が望ましい。これは,部屋の壁を金属製又は表面の滑らかなコンクリート製とし,それらをエポキシ樹脂

又は他の非吸音塗料で被覆することで実現できる。壁が金属製の場合,その壁は,十分な質量があり,堅

く,試験振動数範囲での共振を避けるために,減衰度が高い(エネルギーを吸収するので)ことが望まし

い。

A.1.5

  監視点  監視点と供試品の表面との間の距離は,最低試験振動数の波長の半分又は供試品から部屋

の壁までの距離の半分のいずれか短い方よりも長くすることが望ましい。波長の半分よりも短い箇所にマ

イクロホンを置かなければならない場合,結果の評価に当たっては,供試品からの反射の影響を考慮する

よう注意するとよい。

本体

付図 に供試品周囲のマイクロホンの一般的な配置を示す。本体付図 に供試品周囲の仮想面上の

監視点の標準的な位置を示す。

本体

付図 に長い円筒状供試品周囲のマイクロホンの標準的な配置を示す。

マイクロホンの位置は,常に,試験要求事項を満たすことが望ましい。

マイクロホンの要求事項は,本体 4.3.1 に示した。マイクロホンの受感面の直径は,上限試験振動数の波

長の

20

%以下が望ましい。

10 kHz

の場合,直径

6.35 mm

のマイクロホンが適している。

A.2

  進行波管の試験  進行波管の場合,音波は音源から管に沿って伝搬する。管の断面積が一定の場合,

管の長さに沿った音圧レベルは,供試品又は管壁によるエネルギー吸収の影響は別として,みかけ上は一

定である。進行波管は,進行波が管に沿って反射しないように吸音性媒体,例えば,ガラス繊維製くさび

で終端することが望ましい。進行波管を主残響室に接続する場合,前記の反射を避けることが望ましい。

試験のとき,供試品を,進行波管の側面に取り付けるか,又は側面の一部をなすようにしてもよい。こ

のようにすれば,供試品の

1

側面だけが移動する雑音にさらされることになる。代わりに,供試品の両側

を同時にさらすことをシミュレートするために,供試品を管の試験領域内に置いてもよい。


17

C 60068-2-65

:2006 (IEC 60068-2-65:1993)

進行波管で達成できる音圧レベルは,入力音響パワーが等しい場合,残響室で得られるレベルよりも高

い。得られるレベルは,音源の音響パワー並びに管の断面積及び形状によって異なる。通常,大きな部屋

で得られるよりも少なくとも

10 dB

高いレベルが実現できる。

A.3

  空洞共鳴の試験  空洞共鳴試験の候補となり得る空洞の幾つかの種類を,次に示す。

飛行時に開いている航空機のコンパートメント又は貨物室(ストア)は,空洞を気流にさらす。空洞の

共振振動数で定在波が生成されることが多い。別の例として,固体燃料ロケットの中空の中央燃焼室が挙

げられる。ロケットの燃料が燃焼するに従い,空洞は,サイズが変わり,共振し,ロケットの構造を励振

する非常に高い音圧レベルを発生する。

空洞共鳴の試験は,機器の特定の部品に関して実施する。この試験は,空洞共鳴に同調した正弦波励振

又は狭帯域ランダム励振を使用すると一番よく実施できる。試験は,通常,既存の音響設備に必要な追加

を行って実施する。

供試品は,試験される空洞だけに,音響エネルギーが直接当たるように,試験室につるす。供試品の他

の表面は,表面の音圧レベルが少なくとも

20 dB

低くなるように保護することが望ましい。空洞内のマイ

クロホンの位置は製品仕様で規定する必要がある。この位置は,空洞の形状及び容積並びに予測される共

振モードによって異なる。

A.4

  定在波管の試験  定在波管は,

1

波長より短い横の寸法をもつ堅い閉じた管であり,定在波がその長

さ方向に沿って発生する。定在波管の場合,音源を音響ホーンで試験区域に接続してもよい。供試品は,

音響源と反対側にある管の端に取り付ける。励振は純音で行い,振動数は管の長さの固有振動数の一つに

同調させる。管の振動数を調整する必要がある場合は,管の長さを変えるための手段を設ける。

定在波管の使い方の例を,次に示す。

非常に高い音圧レベル(約

165 dB

)のガス冷却原子炉で使用する吸音装置の関発

ジェットエンジン入口部フェアリングに使用する炭素繊維パネルの評価

広帯域及び同調吸音装置の吸音特性の測定

これらの定在波管は,一般に材料のサンプルの試験,特殊吸音装置の開発などに使用する小形装置であ

る。

A.5

  音源の選択  音響による疲労試験は,最初ジェットエンジンからの排気ガスを音響エネルギー源とし

て使用することによって研究された。これは非常に高価で,かつ,限定的なものであった。

音響環境に関する試験の要求事項の発展に従って,幾つかの音源に関する構想が採用された。音響試験

用設備の建設のときに最大の注目を浴びたこれらの音源を

附属書 A  表 に示し,次に要約する。

A.5.1

  電気空圧式変換器  電気空圧式変換器は,おそらく,試験所用の高強度雑音を発生するために最も

広く使用されている装置である。これらの装置では,大容量の低圧気体流を変調することによって,制御

可能な高音響パワーレベルを得ることができる。これらの装置は,擬似正弦波又はランダム音響振動を発

生させるために使用でき,例えば,変換器出力

30 000

音響ワットの高い音響パワーを出力できる。

A.5.2

  電気油圧式変換器  電気油圧式変換器は,試験所用の非常に高い強度の雑音を発生させることがで

きる。これらの装置では,大容量の低圧気体流を変調することによって,制御可能な非常に高い音響パワ

ーレベルを得ることができる。これらの装置は,擬似正弦波又はランダム音響振動を発生させるために使

用でき,最大

200 000

音響ワットの非常に高い音響パワーが可能である。


18

C 60068-2-65

:2006 (IEC 60068-2-65:1993)

A.5.3

  ダイナミックスピーカ  直接放射スピーカは,低レベルの音響調査,振動数応答試験及び部屋の音

響特性の測定などに使用できる。これらのスピーカは,比較的安価で,制御しやすく,更には広い振動数

帯域の制御可能な音響を出力できる。一般的にスピーカの上限は,約

10

音響ワットである。

A.5.4

  広帯域サイレン  広帯域サイレンも,比較的安価で,中間的な音響パワーレベルの正弦波又は擬似

ランダム音を発生できる。サイレンには,低圧で小容量の圧縮空気が供給され,通常,約

5 000

音響ワッ

トを出力できる。これらのサイレンは,特定の適用分野に合う出力スペクトルで長期間にわたる音響耐久

試験を実施する場合に使用される。

A.5.5

  ガスジェット  ガスジェットは,高強度,高振動数のランダム雑音に使用できる。音響を発生する

ためのこの方法は当初,制御可能な高音響パワーレベルの音響発生器が開発される前に試験所で使用され

た。ガスジェットには,大量の圧縮ガスを必要とし,簡単に制御できないという欠点がある。

附属書   3  音源並びにその波形及び代表的出力パワーの例

音源

波形及び代表的出力パワー

電気空圧式変換器

    擬似正弦波又はランダム: 
    高出力,最大 30 000 W

電気油圧式変換器

    擬似正弦波又はランダム: 
    非常に高い出力,最大 200 000 W

ダイナミックスピーカ

    正弦波又はランダム: 
    低出力,約 10 W

広帯域サイレン

    正弦波又は擬似ランダム: 
    中間出力,約 5 000 W

ガスジェット

    高振動数ランダム: 
    低出力

A.6

  厳しさ  様々な適用分野の試験時間に対する全音圧レベル

 (OASPL)

の幾つかの標準値を,

附属書 A

表 に示す。これらの値は,同等の適用分野から実際の試験データが入手できない場合に用いることが望

ましい。しかし,産業分野を含むすべての場合に,製品仕様では,入手可能な情報を考慮に入れる必要が

ある。

附属書   4  代表的 OASPL 及び試験時間

適用分野

OASPL

dB

試験時間

音響スペクトル図

高雑音産業用機械 120

60

3

高出力ブロワ 120

60

2

消音器より後方の産業用ガスタービンの排気系 120

60

1

航空機内の一般的区域 130

60

1

産業用ガス配管内部 130

60

*

航空機内の機器設置場所,消音器なしの産業用ガスタービンの排気雑音

140 30

1

航空機内の雑音源近傍 150

30

1

原子力発電所のガス配管内部 150

30

*

航空機の外部ストア 160

30

1

循環機近くのガス配管の内部 160

30

*

ロケットエンジン又はブースタ周辺の機器 170

2

1

*

特定の適用分野から得られた又はその分野で測定したデータだけを用いる。


19

C 60068-2-65

:2006 (IEC 60068-2-65:1993)

附属書 表 に関して,製品仕様で,

OASPL

が動作レベルを表すのか,又は例えば,他の目的のため

に値を大きくしているのかどうかを明確に定義することが望ましい。

A.7

加速試験  加速試験では,機器が実際の動作中に受けるレベル,すなわちデューティサイクル

**

を上

回るレベルで試験を行う。加速の方法は,構造物の材料の

SN

曲線(繰返しひずみと疲労回数との関係)

に基づいて行う。デューティサイクルが

100

時間の場合,供試品の

SN

曲線を用いて,試験音圧レベルを

高くし,試験時間を,例えば,

10

時間に短縮できる。

一般に共振モードが高い応力にさらされたとき,構造物内に最初の疲労破壊が発生することが繰返し実

証されている。したがって,加速試験中に監視すべき共振モードを決定するための事前の検討を行うこと

が望ましい。

動作時の音圧を超える音響試験音圧にする場合,適用する音圧とその結果の構造物のひずみとの間の線

形関係が維持されるように注意する必要がある。最初に非線形の関係が明らかになるレベルは,音響試験

の加速が可能な限界値である。この圧力/ひずみの非線形の兆候は,構造物の応力分布が動作音圧レベル

の分布から変化したことを示しており,この変化によって,別の破壊モードが発生し,試験が無効になる

ことがある。

加速試験中に狭帯域トラッキングフィルタを通してひずみゲージの応答を監視すると,破壊の始まりを

早期に検出できる。破壊が進展し始めると,監視している共振振動数に変化(通常下向きに変化する。

)が

見られることが経験から分かっている。さらに,そのひずみレベルを維持するには,より強いパワーが必

要であることが多い。そのとき,試験を中断し,供試品を点検するとよい。

**

“デューティサイクル”は,構成部品,装置又は機器が経験する一連の動作条件と定義される(IEC 

60050-151

の 151-04-06

A.8

分析積分時間  ランダム信号の振動数分析を行う場合,統計学的信頼性及び再現性のある結果が得ら

れるように,信号の平均化時間を長くすることが望ましい。必要な積分時間を決めるために,再現性が得

られるまで時間を長くしながら,信号の振動数分析をするとよい。低振動数では,高振動数での積分時間

よりも長い積分時間が必要である。詳細は,

附属書 

[2]

参照。


20

C 60068-2-65

:2006 (IEC 60068-2-65:1993)

附属書 B(参考)参考文献

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

[1]  SEPMEYER L.W. : The computed frequency and angular distribution of the normal modes of vibration in

rectangular rooms, JASA, March 1965.

[2]  BENDAT J.S. and PIERSOL A.G. : Measurement and analysis of random data, Wiley, 1966.

[3]  PUJOLLE J. : Les meilleures dimensions d'une salle rectangulaire, Revue d'Acoustique, No.52. 1980.

[4]  BERANEK L.L. : Noise reduction, McGraw/Hill, 1960.