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日本工業規格

JIS

 C

0052

-1995

 (IEC 68-2-45

: 1980

)

環境試験方法−電気・電子−

耐溶剤性(洗浄溶剤浸せき)試験方法

Environmental testing procedures of electronic and electrical

resistance to solvents (immersion in cleaning solvents)

日本工業規格としてのまえがき 

この規格は,1980 年初版として発行された IEC 68-2-45 (Basic environmental testing procedures Part 2 : Tests

Test XA and guidance : Immersion in cleaning solvents)

及び Amendment 1 (1993-02)  を翻訳し,技術的内容を

変更することなく作成した日本工業規格である。ただし,様式については,IEC の修正票 (Amendment 1) の

内容は,編集して本体と一体としたことと,修正票で変更された項目内容については,この規格では原国

際規格にあった事項も一部削除した。

なお,この規格で下線(点線)を施してある箇所及び/又は参考は,原国際規格にない補足事項である。

1.

適用範囲  この規格は,供試品を規定の洗浄用溶剤の中に規定温度で,規定の時間浸せきする試験方

法について規定する。

製 品 規 格 に 規 定 が あ る 場 合 は , 供 試 品 を 溶 剤 に 浸 せ き 及 び 乾 燥 を 行 っ た 後 に 脱 脂 綿 又 は 薄 葉 紙

(Wrapping tissue paper)

で,ラビング (Rubbing) を行う。

試験の指針 (Guidance) を

附属書 に規定する。

2.

目的  この規格は,プリント配線板に装着する電子部品又は他の部品を洗浄用溶剤に浸せきした場合

に,その溶剤が及ぼす影響を調べることを目的とする。

備考  この試験は,実際のプリント配線板への装着の際の洗浄の取扱いをシミュレート (Simulate) す

ることではない。

3.

試験用溶剤の種類及び試験条件

3.1

溶剤  共通的に使用される 2 種類の溶剤をこの試験の目的に対して規定する。

備考  この試験で好結果を得ても,他の溶剤に耐えるとは限らない。

3.1.1

この規格で規定した 1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン (R113, ISO/R 817-1974)  とイソプロピ

ルアルコールとの混合液は,環境破壊のおそれがあるので,3.1.2 に規定の溶剤を使用する。

参考  上記の規定は,IEC 68-2-45 の Amendment 1 (1993-02)  で,3.1.2 に規定の溶剤で十分である場合

は,3.1.1 の溶剤を使用してはならないとの規定によって使用しないこととした。

3.1.2

2-

プロパノール(イソプロピルアルコール)

参考  この溶剤は,JIS K 1522[プロピルアルコール(イソプロパノール)]に規定のイソプロピルア


2

C 0052-1995 (IEC 68-2-45 : 1980)

ルコールと同等である。通常国内では,JIS K 8839[2−プロパノール(試薬)

]に規定のプロ

パノールが使用されている。

備考  この溶剤は,化学製品の製造者から最終製品として入手できる。

3.1.3

導電率 2mS/m 以下,抵抗率 500

Ωm 以上の蒸留水又は脱イオン水。

備考  他の溶剤が技術的に上記溶剤と同等の作用がある場合には,それぞれの製品規格の規定によっ

て用いてもよい。

3.2

試験条件

3.2.1

溶剤の温度  3.1.2 に規定する溶剤の温度は,23±5℃,3.1.3 に規定する溶剤の温度は,55±5℃と

する。

備考  他の溶剤(3.1.3 の備考参照)の温度は,製品規格の規定によって 23±5℃又は沸点温度とする。

参考  3.1.1 の規定によって,混合液の沸点の説明を削除した。

3.2.2

浸せき時間  いかなる場合も 5 分±0.5 分間とする。

4.

初期測定  供試品の表示,外装,塗装などの影響を調べるために,この試験を行う場合は,目視によ

って外観を調べる。

供試品の特性上の影響を調べるためにこの試験を行う場合は,製品規格に規定の電気的測定及び/又は

機械的点検を行う。

5.

供試条件  製品規格に,次の二つの方法のうちいずれを用いるかを規定する。

5.1

方法 1(ラビングを伴う)  供試品を 3.1 に規定するいずれかの溶剤に 3.2.1 に示すそれぞれの温度

で 3.2.2 に規定する時間,完全に浸せきする。

溶剤から供試品を取り出した後,5 分間以上乾燥を行う。その後,表示部分は,脱脂綿又は薄葉紙を用

いてラビングを行い表示の耐久性を評価する。ラビングにどの材料を用いるかは製品規格に規定する。

ラビングは,表示部分に約 1cm

2

の面積当たり 5±0.5N の力を加え,1 秒間に 1 往復の割合で,5 往復行

う。

推奨する試験ジグは,

附属書 の A2.3 に示す。

各供試品の試験に用いる脱脂綿と薄葉紙は,新しいものを用いる。

備考  脱脂綿は,一般市販の医薬用を使用する(日本薬局方脱脂綿)。

薄葉紙は,ISO 4046-1978 の 6-86 に規定されているものを使用する。

この ISO 規格には,こと紙を 12g/m

2

から 25g/m

2

までのもので,こわれやすい品物を包装す

るのに通常使用する薄くて柔らかく,比較的強い紙と規定している。一般的に入手できる柔ら

かなペーパナフキンも,また,適している。

5.2

方法 2(ラビングを伴わない)  供試品を 3.1 に規定するいずれかの溶剤に 3.2.1 に規定するそれぞ

れの温度で,3.2.2 に規定の時間完全に浸せきする。

6.

後処理  製品規格に,電気的測定及び/又は機械的点検の規定があるときは,供試品を溶剤から取り

出した後,1∼2 時間又は製品規格に規定する時間,試験のための標準大気条件に保つ。

参考  試験のための標準大気条件は,JIS C 0010 の 5.3 の測定及び試験のための標準大気条件(標準

状態)と同じである。


3

C 0052-1995 (IEC 68-2-45 : 1980)

7.

最終測定  供試品の表示,外装,塗装などの表面の影響を調べるために,この試験を行う場合は,目

視によって外観を調べる。

供試品の特性上の影響を調べるために,この試験を行う場合は,製品規格に規定の電気的測定及び/又

は機械的点検を行う。

8.

製品規格に規定する事項  製品規格には,次の事項を規定する。

8.1

使用する溶剤(3.1)

8.2

溶剤の温度(3.2.1)

8.3

初期測定(4.)

8.4

供試条件  方法 1 又は方法 2(5.)

8.5

ラビングの材質(脱脂綿又は薄葉紙)(5.1)

8.6

もしも 1∼2 時間と異なる場合の後処理時間(6.)

8.7

最終測定(7.)

8.8

許容基準

8.8.1

表面の影響について

8.8.2

電気的及び/又は機械的パラメータ


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C 0052-1995 (IEC 68-2-45 : 1980)

附属書 A  耐溶剤性試験の指針

A1.

概要  プリント配線板に実装される電子部品又は他の部品の多くのものは,組立て後,溶剤によって

洗浄が行われる。

この洗浄作業の影響をシミュレートし,かつ,電子部品及び他の部品の耐溶剤性を確認するために耐溶

剤性試験を適用する。

この試験には,次に示す二つの目的がある。

1.

  供試品の表示,外装,塗装などの表面の影響を調べる。

2.

  供試品の特性上の影響を調べる。

ある種の表示用インクは,大気中で硬化するので,この試験は表示後,少なくとも 48 時間以内に実施し

なくてはならない。

A2.

洗浄

A2.1

基本的な考え方:方法・溶剤  プリント配線板に部品をはんだ付けで実装したもの,すなわちプリ

ント配線板は,洗浄のための洗浄液中に短時間浸せきしても,この浸せきに耐えるものでなければならな

い。

一般に洗浄に使用する溶剤は,はんだ付けに用いるフラックスの種類によって決まる。

A2.1.1

コロホニ (Colophny) (ロジン系)フラックスを使用したプリント配線板  はんだ付けにコロホニ

フラックスを使用したプリント回路のフラックス及びその浅さ(渣)を除去するために,通常次のいずれ

かの方法で処理する。

−  常温(特に加熱せず周囲温度のまま)の溶剤中に浸せきする。

−  沸騰している溶剤中に浸せきする。

−  常温の溶剤中と沸騰している溶剤中に順次続けて浸せきする。

A2.1.2

水溶性のフラックスを使用したプリント配線板  はんだ付けに水溶性フラックスを使用したプリ

ント配線板のフラックス及びその残さ(渣)を除去するために温水を吹き付けるか,又は温水中に浸せき

して洗浄する。

A2.2

試験用溶剤と試験条件の選定

A2.2.1

溶剤  コロホニ(ロジン系)フラックス及びフラックス残さを除去するために,いろいろの洗浄用

有機溶剤が使用されているが,それらのあるものは,高度に効き目がありすぎたり,発炎性があったり又

は有毒性であったりする。

R113

とアルコールとの混合液は,比較的穏やかな溶剤で,良好な洗浄効果を示し,ほとんどの種類の電

子部品及び他の部品に悪影響を与えないが,地球環境を形成するオゾン層を破壊するおそれがあるので,

使用しないこととした。

備考  ゴム封止が行われている部品(例えば,電解コンデンサ)は,ハロゲン系の溶剤中で試験又は

洗浄を行うと封止のゴムを通して溶剤が侵入し,寿命に悪影響を及ぼすことがある。

この規格では,上記の件を考慮して,次の二つの溶剤を選定することにした。

−  イソプロピルアルコール

−  水:蒸留水又は,純水で導電率が 2mS/m 以下のもの。

他の溶剤が,技術的にこの推奨溶剤と同等の影響力があると認められる場合には,それを製品規格に規


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C 0052-1995 (IEC 68-2-45 : 1980)

定し,使用してもよい。

備考  他の洗浄用有機溶剤,すなわち,ある種の炭化水素(石油,アルコール,ベンゼン,トルエン

など)

,又は塩素系の溶剤[トリクロロエタン,トリクロロエチレン  (JIS K 1508)  ,パークロ

ロエチレン,ジクロロメタンなど]は,毒性事故及び/又は発炎事故のおそれがあり,安定性

が不十分であり,また,多くの部品と材料を過渡に浸し,障害を与えるおそれがあるので,洗

浄用として推奨できない。

A2.2.2

試験条件  製品の洗浄条件の種類が多いのでこれを限定し,附属書 表 に示す試験条件を選定

した。

附属書 表 1  試験条件

溶剤

溶剤温度  ℃

浸せき時間  分

機械的処理

イソプロピル

アルコール

23

±5 5±0.5

ラビング

(必要な場合)

水 55±5

備考1.  疑義が生じるおそれがある場合には,試験ごとに新しい溶剤を用いる。

2.

溶剤に浸せき中,超音波エネルギーを加えることはしない。

その理由は,この試験の供試条件では,超音波エネルギーの効果をシミュレートすること

を期待していないからである。

参考1.  超音波洗浄ストレスにさらされた場合の諸問題については,IEC 653 [IEC 653 (1979) General

consideration on ultrasonic cleaning]

に規定されている。

2.

試験温度は,通常の洗浄手順に基づいて規定した。

3.

一般に製造工程中の洗浄では,プリント配線板を溶剤中に 0.5∼2 分間浸せきする。このため

若干強めのストレスを加えるために浸せき試験時間を 5 分間とした。

電子部品又は他の部品を溶剤に浸せき中,溶剤の温度を測定する必要がある。その温度は,

規定された範囲内になければならない。

A2.3

ラビング  実際の製造工程中には,プリント配線板は,洗浄に使用する溶剤に浸せきした後,不溶

解残さ又は汚れを取り除くために,はんだ付け面のラビング又はブラッシングを行うことがある。

このため,製品規格の耐溶剤性試験方法にラビングの要求がある場合には,乾いた表面についてだけ行

い,ぬれた表面では,再現性に乏しい結果を招くおそれがあるために行わない。

ラビングは,プリント配線板の洗浄工程後,通常の取扱い作業中に表示の判読が維持できるかどうかを

確かめるために行うことである。

再現性がよく,試験者による差がないラビング方法は,適切な試験ジグを使用することによって達成す

ることができる。推奨するジグは,硬い円板(金属又はプラスチック)又は棒の先に直径 11.3cm(約 1cm

2

厚さ 5mm,ショア硬度 HS30∼40 のゴムの円板を取り付けた試験チップを使用する。

試験チップは,脱脂綿又は柔らかい薄葉紙で,規定の力が加わった際に約 1mm の厚さになるように覆

う。この組合せジグは,10N まで計れるばねばかりを測定装置としたものが適切である。

小さな部品の場合は,ゴムチップの直径を 5mm(約 0.2cm

2

)に縮小したジグと印加する力を 1N とする

ことを規定してもよい。

再現性を確保するため,脱脂綿又は薄葉紙が適切である(本体の 5.1

。これらの材料は,よく規格化さ

れていて,容易に入手でき,非常に再現性の良いラビング条件を具備している。必要がある場合,供試品

の大きさが許すならば,ラビングの 1 往復の長さは,およそ 10mm ぐらいが適切である。


6

C 0052-1995 (IEC 68-2-45 : 1980)

A3.

実施上考慮すべき問題  溶剤を使用する場合には,安全上の注意事項を守らなければならない。

同一種類の電子部品又は他の部品を異なる試験条件又は方法で試験するときは,各試験に対してそれぞ

れ別の供試品を用いる。

絶縁スリーブ,例えば,収縮性プラスチックチューブをかぶせた電子部品又はケースに細長い溝がある

ような電子部品は,吸収した溶剤が長時間付着していることによる影響が出てくる。

異なる種類の電子部品を同時に試験してもよいが,浸せき中,電子部品が他の部品又はプリント配線板

と接触してはならない。それは,再現性を損なう機械的影響又は溶剤をトラッピング (Trapping) するよう

な悪影響を避けるためである。

試験に際し,電子部品を基板及び他の部品から適切な間隔をあけてプリント配線板に取り付けてもよい。

又は,ある長さの線で接続してもよい。


7

C 0052-1995 (IEC 68-2-45 : 1980)

附属書 B  沸騰溶剤試験用装置の例

形式 

形式 


8

C 0052-1995 (IEC 68-2-45 : 1980)

原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

 

森  川  貞  重

財団法人日本電子部品信頼性センター

(幹事)

 

高  久      清

電子技術総合研究所

 

青  園  隆  司

タバイエスペック株式会社

(途中,山本敏男と交替)

石  田      進

三菱電機株式会社

岩  田      武

東京特殊印刷工業株式会社

 

岡  本  英  男

沖エンジニアリング株式会社

加  藤  敏  男

横河電機株式会社

加  山  英  男

財団法人日本規格協会

川  中  龍  介

ソニー株式会社

栗  原  正  英

社団法人日本プリント回路工業会

小  金      実

日本電気計器検定所

後  藤  恒  人

財団法人日本品質保証機構

斉  藤  武  雄

日本電信電話株式会社

 

佐々木  喜  七

財団法人日本電子部品信頼性センター

佐  藤  政  博

財団法人日本電気用品試験所

清  水  英  範

社団法人日本電機工業会

 

曽我部  浩  二

株式会社村田製作所

瀧  澤      清

財団法人神奈川県高度技術支援財団

立  川      明

社団法人日本電子機械工業会

 

倉  重  有  幸

通商産業省工業技術院

中  西  忠  雄

防衛庁

 

中  村  國  臣

電子技術総合研究所

中  村  英  夫

財団法人鉄道技術総合研究所

 

西  前  仁  也

株式会社日立製作所

福  島      彰

財団法人日本船舶標準協会

 

三  上  和  正

東京都立工業技術センター

 

山  本  圭  一

進工業株式会社

 

若  林  宗  平

ミツミ電機株式会社

(事務局)

鳴  神  長  昭

財団法人日本電子部品信頼性センター

備考

印は小委員会委員を兼任