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令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業
規格”を“日本産業規格”に改めた。 

日本産業規格          JIS 

C 0090 1993 

(IEC 68-2-42 : 1982) 

環境試験方法−電気・電子− 

接点及び接続部の二酸化硫黄試験方法 

Basic environmental testing procedures 

Part 2 : Tests 

Test Kc : Sulphur dioxide test for contacts and connections 

日本産業規格としてのまえがき 

この規格は,1982年第2版として発行されたIEC 68-2-42 (Basic environmental testing procedures Part 2 : Tests

−Test Kc : Sulphur dioxide test for contacts and connections) を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更す

ることなく作成した日本産業規格である。 

なお,この規格で下線(点線)を施してある“参考”は,原国際規格にない事項である。 

1. 適用範囲 

この規格は,二酸化硫黄によって汚染された大気による接点及び接続部の腐食効果を評価するための加

速的試験方法について規定する。 

この試験は,特に比較情報を得るためのものである。 

この試験は,はん(汎)用的な腐食試験としては必ずしも適切ではない。すなわち,工業雰囲気中での

接点及び接続部の挙動を予測しないこともあり得る。 

備考 この試験から得られるデータの評価に際しては,加速的腐食試験から得られる限られた情報で

あることを考慮し,この規格の指針であるJIS C 0091(環境試験方法−電気・電子−接点及び

接続部の二酸化硫黄試験−指針)-1993に特に注意を払うこと。 

参考 JIS C 0091-1993は,IEC 68-2-49 : 1983 Basic environmental testing procedures Part 2:Tests−

Guidance to Test Kc : Sulphur dioxide test for contacts and connectionsと一致している。 

また,JIS C 0094(環境試験方法−電気・電子−大気腐食に対する加速試験−指針)-1993を

参照すること。 

参考 JIS C 0094-1993は,IEC 355 : 1971 An Appraisal of the Problems of Accelerated Testing for 

Atmospheric Corrosionと一致している。 

2. 目的 

a) 貴金属及び貴金属被覆接触の接触特性に及ぼす二酸化硫黄雰囲気の影響を判定することを目的とする。

ただし,銀及び銀合金からなる幾つかの接点を除く。 

b) ラッピング接続又は圧着接続の密着性又は有効性を調べることを目的とする。 

すべての試験での,主要な性能評価尺度は二酸化硫黄雰囲気への暴露によって生じる接触抵抗の変化で

C 0090 1993 (IEC 68-2-42 : 1982) 

ある。 

3. 試験槽 

試験槽及びその附属部分は二酸化硫黄に対し反応も吸収もせず,また,試験雰囲気の腐食効果に影響を

与えない材料のものとする。試験槽を通る空気と二酸化硫黄との混合ガスの総流量が1時間当たり3〜5

回入れ換わるように,直径が十分大きい径の管で試験槽に給排気することとし,試験槽からの排気は実験

室内に漏れ出さないようにする。 

試験雰囲気の作製方法を含め試験槽の詳細な構造は,次の条件を満たせば任意でよい。 

a) 試験槽内の供試品占有部分の雰囲気条件は規定範囲内とする。 

b) 試験中,供試品が流入するガス流に直接さらされないような構造とする。 

c) 試験雰囲気中を平均20m/h〜60m/h(約6mm/s〜17mm/s)の速度で供試品を動かすか,又は雰囲気を

静かにかくはん(攪拌)して,雰囲気と供試品との間で同じ相対速度が得られるようにする。 

d) 凝縮が試験槽内に生じないようにする。 

試験槽の概略図の一例を附属書Aに示す。 

4. 試験雰囲気 

試験槽内雰囲気の組成条件は,次のようにする。 

二酸化硫黄(1) :25±5・ [106vol/vol (ppm)] 

温度 

:25±2℃ 

相対湿度 

:75%(2) 

注(1) これは,総硫黄酸化物をSO2で表したときの計量値とする。SO2以外の混入硫黄酸化物(例えば,

SO3)は,総硫黄酸化物の最高1%まで許される。 

(2) 相対湿度は,できる限り75%に近いこと。ただし,いずれの場合でも80%を超えたり,70%未

満に低下したりしないこととする。 

試験雰囲気は,均一な混合ガスを確実に得る方法で,必要な成分を直接混合して作る(少量の二酸化硫

黄を均一に分布させるには,二段階以上の混合が必要であるかもしれない。)。このような方法の一例を附

属書Aに示す。 

参考 実環境条件が高温高湿(例えば,日本を含めた東南アジア地域など)のため,上記条件では適

切な加速的腐食特性が得られないおそれがある場合,次の条件を用いることもある。 

二酸化硫黄 :25±5・ [10-6vol/vol (ppm)] 

温度    :40±2℃ 

相対湿度  :(80±5) % 

5. 初期測定 

供試品は,製造業者の指示,製品規格又は受渡当事者間の協定がある場合を除いて,いかなる場合も洗

浄してはならない。 

製品規格には,試験前後で接触抵抗の測定及び機械的試験(例えば,衝撃試験又は振動試験)を組み合

わせて行うように規定してもよい。 

製品規格に規定がある場合は,供試品の接触抵抗の測定,機械的検査及び機械的耐久試験を行う。 

接触抵抗は,接触表面に形成された皮膜の損傷を防ぐため,低電圧・低電流法(例えば,IEC 130-1 : 1988 : 

C 0090 1993 (IEC 68-2-42 : 1982) 

Connectors for Frequencies below 3MHz, Part 1 : General Requirements and Measuring Methods, Sub-clause 14.1

を参照)によって測定を行う。 

参考 IEC 130-1 : 1988の14.1の内容は,JIS C 5441(電子機器用スイッチの試験方法)の5.1(接触

抵抗)と同等である。 

6. 試験 

試験開始に先立ち,二酸化硫黄濃度,温度及び相対湿度の条件が安定していることを,適切な測定によ

って確認する。これらの条件を維持するため試験中,定期的に確認する。 

供試品は,互いに接触したり,試験雰囲気を遮へいし合ったりしないような位置に注意して置く。試験

期間中は,接点の接触状態が変わらないように十分な注意を払う。製品規格の規定に従い,供試品の接点

を開及び/又は閉の状態にして暴露する。製品規格に規定がある場合,供試品を負荷状態又は動作状態と

する。供試品は,製品規格の規定に従って4日間,10日間又は21日間,試験雰囲気に連続暴露する。 

7. 最終試験 

供試品を試験槽から取り出し,1時間以上2時間以内標準後処理条件に放置した後,接触抵抗を測定す

る。 

放置している間,接触状態が変わらないよう十分注意する。接触抵抗の測定は,初期測定と同一の方法

で行う。 

備考 所定の測定が規定時間内にできない場合,標準後処理条件での放置時間を最大24時間まで延長

してもよい。その場合は,放置時間を報告書に記載する。 

一般に,接点を閉状態で暴露した供試品は,接点を開状態とする前に接触抵抗を測定する。接点を開状

態で暴露した供試品は,1回目の閉状態で接触抵抗を測定する。 

最終測定前の接点の取扱方法及び測定の詳細は,製品規格の規定による。 

製品規格に規定がある場合,供試品の目視検査を行う。 

8. 製品規格に規定する事項 

製品規格には,次の事項を規定する。 

a) 試験前に行う測定,検査及び機械的耐久試験 

5.参照 

b) 試験中の接点の状態,例えば,閉(結合)状態か,又は開(分離)状態か 

6.参照 

c) 供試品の負荷又は動作状態。ただし,適用する場合 

6.参照 

d) 試験時間 

6.参照 

e) 試験後に行う測定,検査及び目視検査 

7.参照 

C 0090 1993 (IEC 68-2-42 : 1982) 

附属書A 二酸化硫黄と空気との直接混合による試験雰囲気の調整 

この附属書Aは,必要な成分を直接混合して,試験雰囲気を調整するのに適切な装置の一例を示している。

ただし,この規格の規定を満足すれば,他の装置,混合方法及び調整方法を用いてもよい。 

附属書A図1に示す試験装置は,空気調節装置,定量ポンプ付ガス供給系,試験槽,排気ガスから二酸化

硫黄を除去するガス洗浄瓶,空気流量計及び吸上ポンプで構成する。空気調節装置及び試験槽は,市販さ

れている耐候性試験槽と一般的に似ている。市販のボンベ詰高純度ガスを,通常は希釈してガス源として

使用できる。腐食性ガスは減圧弁,定量注入ポンプ及び注入器によって,空気調節装置からの(調温調湿

された)空気と混合する。 

試験槽内では,じゃま板によってガスを一様に分布させる。試験ガスは吸上ポンプで試験槽から排出し,

ガス洗浄瓶を通して腐食性ガス成分を除去する。 

冷却トラップをガス洗浄瓶と吸上ポンプとの間に入れる。空気流量計で空気流を測定し所定の値に調節す

る。 

参考 試験槽内の二酸化硫黄の濃度は,よく知られている分析方法によって定期的に調べるとよい。 

background image

C 0090 1993 (IEC 68-2-42 : 1982) 

附属書A図1 試験装置の概略図の一例 

参考 図の一部の表示は,原国際規格と少し異なっている。じゃま板,ガスの入口及びガスの出口を槽壁と

区別し,空気の流れが分かりやすくなるように変更した。 

C 0090 1993 (IEC 68-2-42 : 1982) 

環境試験方法JIS原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

* 森 川 貞 重 

財団法人日本電子部品信頼性センター 

(幹事) 

* 高 久   清 

工業技術院電子技術総合研究所 

* 青 園 隆 司 

タバイエスペック株式会社 

* 岩 田   武 

東京特殊印刷工業株式会社 

大 口 卓 男 

日本開閉器工業株式会社 

* 岡 本 英 男 

沖エンジニアリング株式会社 

織 田 好 雄 

財団法人日本ガス機器検査協会 

柿 本 光 敏 

シャープ株式会社 

* 加 藤 敏 男 

横河電機株式会社 

栗 原 正 英 

社団法人日本プリント回路工業会 

黒 木 勝 也 

財団法人日本規格協会 

小 金   実 

日本電気計器検定所 

児 島 幸次郎 

財団法人日本写真機光学機器検査協会 

後 藤 恒 人 

財団法人機械電子検査検定協会 

酒 井 善 治 

アイエムブイ株式会社 

* 佐々木 喜 七 

財団法人日本電子部品信頼性センター 

* 篠 崎 輝 夫 

財団法人日本ガス機器検査協会 

清 水 英 範 

社団法人日本電機工業会 

杉 本 俊 二 

防衛庁 

鈴 木 俊 雄 

財団法人日本電気用品試験所 

* 瀧 澤   清 

財団法人神奈川高度技術支援財団 

* 武 田 克 巳 

株式会社三菱電機サービスセンター 

立 川   明 

社団法人日本電子機械工業会 

* 千 葉 宣 臣 

財団法人日本電気用品試験所 

* 辻 本   治 

財団法人機械電子検査検定協会 

* 永 田 邦 博 

工業技術院標準部電気規格課 

* 中 村 國 臣 

工業技術院電子技術総合研究所 

中 村 英 夫 

財団法人鉄道総合技術研究所 

* 西 山 和 夫 

日本開閉器工業株式会社 

* 羽 田 善 英 

株式会社村田製作所 

* 久 永 建 樹 

株式会社ビクターデータシステム 

* 福 島   彰 

財団法人日本船舶標準協会 

* 松 木   明 

財団法人日本電子部品信頼性センター 

* 三 上 和 正 

東京都立工業技術センター 

* 山 本 圭 一 

進工業株式会社 

* 若 林 宗 平 

ミツミ電機株式会社 

* 渡 辺   博 

株式会社東芝 

(事務局) 

鳴 神 長 昭 

財団法人日本電子部品信頼性センター 

備考 *印は小委員会委員を兼任