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C 6850:2006  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,財団法人光産業技

術振興協会(OITDA)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべき

との申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS C 6850:2001は改正され,この規格に置き換えられる。 

改正に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC 60794-1-1:2001,Optical fibre cables

−Part 1-1: Generic specification−Generalを基礎として用いた。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準審査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

JIS C 6850には,次に示す附属書がある。 

附属書A(参考)光ファイバケーブル布設のための指針 

附属書B(参考)光ファイバケーブル中の水素の影響に関する指針 

附属書C(参考)適用領域ごとに規定されたケーブル後の光ファイバ伝送損失に関する指針 

附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表 

C 6850:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 定義 ······························································································································ 2 

4. 光ファイバケーブル ········································································································· 2 

5. 材料 ······························································································································ 4 

6. 光ファイバケーブルの構造 ································································································ 5 

7. 試験方法(一般) ············································································································ 5 

8. 寸法試験方法 ·················································································································· 5 

9. 機械特性試験方法 ············································································································ 6 

10. 電気特性試験方法 ·········································································································· 6 

11. 伝送特性及び光学特性試験方法 ························································································· 6 

12. 環境特性試験方法 ·········································································································· 7 

13. ケーブル部材特性試験方法 ······························································································ 8 

附属書A(参考)光ファイバケーブル布設のための指針 ······························································ 9 

附属書B(参考)光ファイバケーブル中の水素の影響に関する指針 ··············································· 21 

附属書C(参考)適用領域ごとに規定されたケーブル後の 光ファイバ伝送損失に関する指針 ············ 23 

附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ·································································· 24 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

C 6850:2006 

光ファイバケーブル通則 

General rules of optical fiber cables 

序文 この規格は,2001年に第2版として発行されたIEC 60794-1-1:2001,Optical fibre cables−Part 1-1: 

Generic specification−Generalを翻訳し,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変更の一覧

表をその説明を付けて,附属書1(参考)に示す。 

1. 適用範囲 この規格は,電気通信装置及び同様の技術を採用した機器とともに使用する光ファイバケ

ーブル及び光ファイバと電気用導線とを複合したケーブルに適用する試験項目について規定する。 

この規格の目的は,光ファイバケーブルの構造特性,伝送特性,材料特性,機械特性,エージング(環

境暴露)及び耐候特性,また,必要な場合には電気的特性に関する統一的要求事項を確立する。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD

(修正している),NEQ(同等でない)とする。 

IEC 60794-1-1:2001,Optical fiber cables−Part 1-1: Generic specification−General (MOD) 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 3005 ゴム・プラスチック絶縁電線試験方法 

備考 IEC 60502-2:1994,Extrated solid didectric insulated power cables for rated voltage from 1 kv up to 30 

kvからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

JIS C 3660-1-1 電気・光ケーブルの絶縁体及びシース材料の共通試験方法−第1-1部:試験法総則−

厚さ及び仕上寸法の測定−機械的特性試験 

備考 IEC 60811-1-1:2001,Common test methods for insulating and sheathing materials of electric and 

optical cables−Part 1-1: Methods for general application− Measurement of thickness and overall 

dimensionsl−Tests for determining the mechanical propertiesからの引用事項は,この規格の該当事

項と同等である。 

JIS C 3665-1 電気ケーブルの難燃試験−第1部:絶縁電線又はケーブルの一条垂直試験 

備考 IEC 60332-1:1993,Test on electric cables under fire conditions−Part 1: Test on a single vertical 

insulated wire or cableからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

JIS C 6820 光ファイバ通則 

備考1. IEC 60793-1-1:2002,Optical fibres−Part 1-1: Measurement methods and test procedures−General 

and Guidanceからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

C 6850:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2. IEC 60793-2:2003,Optical fibres−Part 2: Product specificationsからの引用事項は,この規格の

該当事項と同等である。 

JIS C 6822 マルチモード光ファイバ構造パラメータ試験方法 

備考 IEC 60793-1:1992,Optical fibres−Part 1: Generic specificationからの引用事項は,この規格の該

当事項と同等である。 

JIS C 6823 光ファイバ損失試験方法 

備考 IEC 60793-1-4:1995,Optical fibres−Part 1: Generic specification−Section 4: Measuring methods for 

transmission and optical characteristicsからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

JIS C 6824 マルチモード光ファイバ帯域試験方法 

備考 IEC 60793-1-4:1995,Optical fibres−Part 1: Generic specification−Section 4: Measuring methods for 

transmission and optical characteristicsからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

JIS C 6825 シングルモード光ファイバ構造パラメータ試験方法 

備考 IEC 60793-1:1992,Optical fibres−Part 1: Generic specificationからの引用事項は,この規格の該

当事項と同等である。 

JIS C 6827 シングルモード光ファイバ波長分散試験方法 

備考 IEC 60793-1-42:2001,Optical fibres−Part 1-42: Measurement methods and test procedures−

Chromatic dispersionsからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

JIS C 6838 テープ形光ファイバ心線 

備考1. IEC 60794-3:1994,Optical fibre cables−Part 3: Telecommunication cables−Sectional specification

からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

2. IEC 60794-1-2:1999,Optical fibre cables−Part 1-2: Generic specification−Basic optical cable test 

proceduresからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

JIS C 6851 光ファイバケーブル特性試験方法 

備考 IEC 60794-1-2:1999,Optical fibre cables−Part 1-2: Generic specification−Basic optical cable test 

proceduresからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。 

JIS C 6861 全プラスチックマルチモード光ファイバ機械特性試験方法 

備考 IEC 60794-1:1993,Optical fibre cables−Part 1: Generic specificationsからの引用事項は,この規格

の該当事項と同等である。 

JIS C 6862 全プラスチックマルチモード光ファイバ構造パラメータ試験方法 

JIS C 6863 全プラスチックマルチモード光ファイバ損失試験方法 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS C 6820による。 

4. 光ファイバケーブル 光ファイバケーブルは,布設用途によって次のように分類する。 

4.1 

直埋用ケーブル  

4.2 

ダクト布設用ケーブル  

4.3 

トンネル内布設用ケーブル  

4.4 

架空用ケーブル  

4.5 

湖沼,河川横断などの水底ケーブル  

4.6 

屋内用ケーブル  

C 6850:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.7 

可搬形ケーブル  

4.8 

機器用ケーブル  

4.9 

その他(特殊用途ケーブルを含む。)  

参考 光ファイバケーブルは,光ファイバ構造,ケーブルコア構造及び機能によって,次のように分

類することもできる。 

a) 光ファイバ構造による分類 

− テープ形光ファイバ心線を使用するもの 

− 光ファイバ素線又は心線(単心)を使用するもの 

− 光ファイバコードを使用するもの 

− その他 

b) ケーブルコア構造による分類 

− 層より形 

− ユニットより合せ形 

− 溝形(スロット形) 

− ルースチューブ形 

− その他 

c) 機能による分類 

− 防水形 

− 難燃形 

− 外装形 

− 自己支持形 

− その他 

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5. 材料  

5.1 

光ファイバの材料 光ファイバは品質が均一で,その特性は,JIS C 6820,JIS C 6822,JIS C 6823,

JIS C 6824,JIS C 6825,JIS C 6827,JIS C 6861,JIS C 6862,及びJIS C 6863 の要求事項に適合しなけ

ればならない。室温における各種光ファイバのケーブル化後の光ファイバ伝送損失最大値は,ほかに仕様

が規定されていない場合は,表1による。 

表 1 ケーブル化後の光ファイバ損失最大値 

単位 dB/km 

光ファイバの種類 

波長(nm) 

650 

850 

1 300 

1 310 

1 550 

1 625 

石英系マルチモードグレーデッドイ
ンデックス形(SGI 50/125) 

− 

3.5 

1.5 

− 

− 

− 

石英系マルチモードグレーデッドイ
ンデックス形(SGI 62.5/125) 

− 

3.5 

1.5 

− 

− 

− 

石英系マルチモードグレーデッドイ
ンデックス形(SGI 100/140) 

− 

7.0 

4.5 

− 

− 

− 

石英系マルチモードステップインデ
ックス形(SSI) 

− 

UC 

UC 

− 

− 

− 

石英系マルチモード擬似ステップイ
ンデックス形(SQI) 

− 

UC 

UC 

− 

− 

− 

プラスチッククラッド 
マルチモード形(RSI) 

UC 

UC 

− 

− 

− 

− 

全プラスチック 
マルチモード形(PSI) 

UC 

− 

− 

− 

− 

− 

多成分系マルチモード形 
(CSI,CQI,CGI) 

− 

UC 

− 

− 

− 

− 

石英系シングルモード1310nm ゼロ
分散形(SSMA) 

− 

− 

− 

0.40 

0.35 

0.40 

石英系シングルモード1550nm 
カットオフシフト形(SSMA・T)  

− 

− 

− 

NA 

0.30 

UC 

石英系シングルモード1310nmゼロ分
散・低OH形(SSMA・U)  

− 

− 

− 

0.40 

0.35 

0.40 

石英系シングルモード1550nm 分散シ
フト形(SSMB) 

− 

− 

− 

0.50 

0.35 

UC 

石英系シングルモード分散フラット
形(SSMC) 

− 

− 

− 

1.00 

0.50 

NA 

石英系シングルモードノンゼロ分散
シフト形(SSMD) 

− 

− 

− 

NA 

0.35 

0.40 

備考1. 表中のUCは「検討中」を,NAは“適用外”を示す。 

2. 光ファイバの種類で,SQI,RSI,PSI,CSI,CQI,CGI,SSMA・Uについては,原国際規格に記載さ

れていないが,JISとして種類に追加した。SSMA・Uは,光ファイバの伝送特性としてはIEC規格
(IEC 60793-2-50)に規定されており,各波長(1 310,1 550,1 625 nm)における光ファイバ損失規
格がSSMAと同じなので,ケーブル化後の損失値も暫定的に同じ値とした。 

5.2 

電気用導線 電気用導線は,品質が均一で欠陥があってはならない。その特性は,個別仕様書に記

載する規格による。 

5.3 

その他の材料 光ファイバケーブルのその他の構成材料は,光ファイバケーブルの物理的及び光学

的特性に適合するものとし,個別仕様書に規定する規格による。 

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5.4 

環境に対する特性要求事項 要求された場合には,ケーブル及びケーブル材料の環境への影響に関

する情報を与えねばならない。この情報には,ケーブルの製造・使用段階における環境への影響に加え,

ケーブル耐用期間中の環境への影響を含む。製造業者は、製品使用終了時の環境への負荷低減を規定した

法規を満足しなければならない。 

6. 光ファイバケーブルの構造 各種類の光ファイバケーブルの構造,寸法,質量,機械特性,光学特性

電気特性及び環境特性は,個別仕様書又は受渡当事者間の協定による。 

7. 試験方法(一般) すべての試験がすべてのケーブルには,適用しない。 

光ファイバ固有の特性は,通常,ケーブル製造業者では測定しない。当該の数値は,光ファイバ製造業

者が一元的又は統計的値として与える。 

要求がある場合,又は個別仕様書に規定のある場合には,試験はエージングを受けたサンプルについて

実施することもある。 

8. 寸法試験方法 光ファイバ,電気用導線及び光ファイバケーブルの寸法は,試験サンプルを表2から

選択した試験に供することによって検証する。適用する試験,合否判定基準及びサンプル数は,個別仕様

書又は受渡当事者間の協定による。 

表 2 寸法試験方法 

試験項目又は試験方法 

試験方法で規定する特性 

適用JIS 

対応国際規格(試験番号) 

屈折ニヤーフィールド法(1) 

コア径(3)(4)(5) 

JIS C 6822の5. 

IEC 60793-1-20( method A) 

クラッド径 

非円 

側面干渉法 

偏心 

JIS C 6822の9. 

IEC 60793-1-20( method B) 

ニヤーフィールドパターン法(2) 

コア径(3)(4)(5) 

JIS C 6822の7. 

IEC 60793-1-20 (method C) 

クラッド径 

非円 

偏心 

一次被覆側面観察法 

一次被覆径 

IEC 60793-1-21 (method A) 

一次被覆非円 

一次被覆偏心 

機械的直径測定法 

クラッド径 

JIS C 6822の9. 

IEC 60793-1-20( method D) 

一次被覆径 

バッファ直径 

非円 

伝送及び/又は反射パルス遅延法 

光ファイバ長 

JIS C 6822の9. 

IEC 60793-1-22( method A) 

OTDR法(パルス試験法) 

光ファイバ長 

JIS C 6823の9. 

IEC 60793-1-22 (method B) 

機械的測定法 

電気導線径 

JIS C 3005 

IEC 60189-1 

機械的測定法 

絶縁厚 

JIS C 3660-1-1 

IEC 60811-1-1 

シース厚 

JIS C 3005 

IEC 60189-1 

全体寸法 

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注(1) 屈折ニヤーフィールド法は,屈折率分布に基づいて直接的にコアを定義する方法である。この方法によれば屈

折率分布によって寸法及びNA(開口数)を算出することができる。 

(2) ニヤーフィールドパターン法によって得られる寸法は,屈折率分布と相関があるが,厳密にコア径を規定する

ものではない。 

(3) シングルモード光ファイバの伝送部に相当する寸法(すなわち,モードフィールド径,モードフィールド偏心)

については,JIS C 6825を参照する。 

(4) 実用上の理由から,シングルモード光ファイバのコア径は通常規定しない。 
(5) シングルモード光ファイバのコア径の定義は,検討中である。 

9. 機械特性試験方法 光ファイバケーブルの機械特性は,試験サンプルを表3から選択した試験に供す

ることによって検証する。適用する試験,合否判定基準及びサンプル数は,個別仕様書又は受渡当事者間

の協定による。 

備考 すべての試験をすべてのケーブルには適用しない。 

表 3 機械特性試験方法 

試験項目又は試験方法 

試験方法で規定する特性 

適用JIS 

対応国際規格(試験番号) 

引張り 

機械的強度 

JIS C 6851の5. 

IEC 60794-1-2(method E1) 

摩耗 

JIS C 6851の6. 

IEC 60794-1-2(method E2) 

圧壊 

JIS C 6851の7. 

IEC 60794-1-2(method E3) 

衝撃 

JIS C 6851の8. 

IEC 60794-1-2(method E4) 

散弾銃による損傷 

JIS C 6851の16. 

IEC 60794-1-2(method E13) 

張力下での曲げ(しごき試験) 

JIS C 6851の20. 

IEC 60794-1-2(method E18) 

微風振動 

JIS C 6851の21. 

IEC 60794-1-2(method E19) 

繰返し曲げ 

取扱い容易性 

JIS C 6851の10. 

IEC 60794-1-2(method E6) 

ねじり 

JIS C 6851の11. 

IEC 60794-1-2(method E7) 

フレキシング 

JIS C 6851の12. 

IEC 60794-1-2(method E8) 

キンク 

JIS C 6851の13. 

IEC 60794-1-2(method E10) 

曲げ 

JIS C 6851の14. 

IEC 60794-1-2(method E11) 

耐切断特性 

JIS C 6851の15. 

IEC 60794-1-2(method E12) 

コンパウンド・フロー(ドリップ)  

JIS C 6851の17. 

IEC 60794-1-2(method E14) 

しみ出し(Bleeding)及び蒸発 

JIS C 6851の18. 

IEC 60794-1-2(method E15) 

硬さ(曲げ剛性) 

JIS C 6851の19. 

IEC 60794-1-2(method E17) 

ケーブルコイル取り特性 

JIS C 6851の22. 

IEC 60794-1-2(method E20) 

10. 電気特性試験方法 電気導線が光ファイバケーブルに含まれている場合には,各種の電気特性の検証

が必要となることがある。代表的な試験を表4に示す。適用する試験及び合否判定基準は,個別仕様書又

は受渡当事者間の協定による。 

表 4 電気特性試験方法 

試験項目又は試験方法 

試験方法で規定する特性 

適用JIS 

対応国際規格 

導体抵抗 
絶縁体の絶縁耐力 
絶縁抵抗 

絶縁電気導線の特性 

JIS C 3005 

IEC 60189-1 
IEC 60885-1 

11. 伝送特性及び光学特性試験方法 ケーブル中の光ファイバの伝送特性及び光学特性は,表5に示す試

験から選択したものを実施することによって検証する。適用する試験及び合否判定基準は,個別仕様書又

は受渡当事者間の協定による。 

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C 6850:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表 5 光ファイバの伝送特性及び光学特性 

マルチモード及びシングルモード光ファイバの試験方法 

試験項目又は試験方法 

試験方法で規定する特性 

適用JIS 

対応国際規格(試験番号) 

カットバック法 

損失 

JIS C 6823の7. 

IEC 60793-1-40 (method A) 

挿入損失法 

JIS C 6823の8. 

IEC 60793-1-40( method B) 

OTDR法(パルス試験法) 

JIS C 6823の9. 

IEC 60793-1-40 (method C) 

屈折ニヤーフィールド法 

屈折率分布 

JIS C 6822の5. 

IEC 60793-1-20 (method A) 

側面干渉法 

JIS C 6822の9. 

IEC 60793-1-20 (method B) 

ニヤーフィールドパターン法 

JIS C 6822の7. 

IEC 60793-1-20 (method C) 

OTDR法(パルス試験法) 

異常点 

JIS C 6823の9. 

IEC 60793-1-40 (method C) 

光導通・損失変動試験法 

光学的連続性 

JIS C 6823の11. 

OTDR法(パルス試験法) 

JIS C 6823の9. 

IEC 60793-1-40 (method C) 

位相法 

波長分散 

JIS C 6827の5. 

IEC 60793-1-42 (method A) 

パルス法 

JIS C 6827の6. 

IEC 60793-1-42 (method B) 

伝送パワーのモニタ法 

機械試験及び環境試験中の
伝送光の変動 

JIS C 6823の13. 

IEC 60793-1-46 (method A) 

OTDRによるモニタ法 

JIS C 6823の14. 

IEC 60793-1-46 (method B) 

マルチモード光ファイバの試験方法 

試験項目又は試験方法 

試験方法で規定する特性 

適用JIS 

対応国際規格(試験番号) 

パルス法 

帯域 

JIS C 6824の7. 

IEC 60793-1-41 (method A) 

周波数掃引法 

JIS C 6824の6. 

IEC 60793-1-41 (method B) 

ファーフィールドパターン法 

NA(開口数) 

JIS C 6822の6. 

IEC 60793-1-43 

シングルモード光ファイバの試験方法 

試験項目又は試験方法 

試験方法で規定する特性 

適用JIS 

対応国際規格(試験番号) 

伸長ドラム法 

マイクロベンド損失 

JIS C 6823の15. 

固定径ドラム法 

JIS C 6823の15 

曲げ損失 

マクロベンド損失 

JIS C 6823の16. 

IEC 60793-1-47 

微分位相法 

波長分散 

JIS C 6827の7. 

IEC 60793-1-42 (method C) 

干渉法 

JIS C 6827の8. 

IEC 60793-1-42 (method D) 

カットオフ波長 

カットオフ波長 

JIS C 6825の7. 

IEC 60793-1-44 (method A) 

ケーブルカットオフ波長(7) 

ケーブルカットオフ波長 

IEC 60793-1-44 (method B) 

ジャンパケーブルカットオフ波長
(7) 

ファーフィールド走査法 

モードフィールド径 

JIS C 6825の6. 

IEC 60793-1-45 (method A) 

バリアブルアパーチャ法 

JIS C 6825の6. 

IEC 60793-1-45 (method B) 

ニヤーフィールド走査 

JIS C 6825の6. 

IEC 60793-1-45 (method C) 

注(7) 検討中 

12. 環境特性試験方法 機械特性又は光学特性を損わずに環境特性要求事項を満足する光ファイバケーブ

ルの性能は,サンプルを表6から選択した試験に供することによって検証する。適用する試験,関連する

温度及び条件,サンプル数及び合否判定基準は,個別仕様書又は受渡当事者間の協定による。 

表 6 環境特性測定方法 

試験項目又は試験方法 

試験方法で規定する特性 

適用JIS 

対応国際規格(試験番号) 

温度サイクル 

気候的特性 

JIS C 6851の23. IEC 60794-1-2(method F1) 

火災条件 

火災条件下でのケーブル特性 JIS C 3665-1 

IEC 60331-11, -21 

JIS C 3521 

IEC 60332-1 

JIS K 7228 

IEC 60754-1,-2 

IEC 61034-1,-2 

シースの完全性(8) 

シースの欠陥 

JIS C 6851の24. IEC 60794-1-2 (method F3) 

background image

C 6850:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試験項目又は試験方法 

試験方法で規定する特性 

適用JIS 

対応国際規格(試験番号) 

透水 

透水に対する耐性 

JIS C 6851の25. IEC 60794-1-2 (method F5) 

放射線照射 

耐放射線特性 

JIS C 6851の26. IEC 60794-1-2 (method F7) 

ガス流動抵抗 

ガス圧特性 

JIS C 6851の27. IEC 60794-1-2 (method F8) 

エージング(8) 

環境暴露 

JIS C 6851の28. IEC 60794-1-2 (method F9) 

水底ケーブル耐水圧 

水底用ケーブルの耐水圧特性 JIS C 6851の29. IEC 60794-1-2 (methodF10) 

ケーブル化された光ファイバの被
覆除去力安定性 

光ファイバ被覆除去性 
 

JIS C 6851の9. 

IEC 60794-1-2 (methodF5) 

短絡試験 

短絡時のケーブル特性 

JIS C 6851の32. IEC 60794-1-2  (method H1) 

電力線に沿わせた光架空ケーブル
の直流アーク試験 

耐雷撃特性 

JIS C 6851の33. IEC 60794-1-2  (method H2) 

注(8) 検討中 

13. ケーブル部材特性試験方法 表7に示す試験は,ケーブルスプライスの目的のために,異なる種類の

ケーブル構成材料の特性を検証する。 

表 7 ケーブル部材特性の試験方法 

試験項目又は試験方法 

試験方法で規定する特性 

適用JIS 

対応国際規格(試験番号) 

ケーブル構成部材の曲げ 

スプライス 

JIS C 6851の30. IEC 60794-1-2  (method G1) 

テープ寸法と構造−端面観察法 

JIS C 6838の7. 

IEC 60794-1-2  (method G2) 

テープ寸法−開口ゲージ法 

JIS C 6838の7. 

IEC 60794-1-2  (method G3) 

テープ寸法−ダイヤルゲージ法 

JIS C 6838の7. 

IEC 60794-1-2  (method G4) 

テープ引裂き(分離性) 

JIS C 6838の7. 

IEC 60794-1-2  (method G5) 

テープねじり 

JIS C 6838の7. 

IEC 60794-1-2  (method G6) 

チューブキンク 

JIS C 6851の31. IEC 60794-1-2  (method G7) 

C 6850:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A(参考)                          

光ファイバケーブル布設のための指針 

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。 

A1. 一般 光ファイバケーブルは高性能な通信線路であるが,布設が不適切であるとその特性が劣化する

ことになる。この附属書は,IEC 60794シリーズ仕様書が対象とする光ファイバケーブルの布設に関する

一般的な事項並びに空気圧送技術の特殊な事項に関して使用者及び布設者を支援する指針である。光ファ

イバケーブルは,可能な限り,通常の布設手法及び装置を使用できるように設計されている。しかし,一

般にはそのひずみ限度はメタルケーブルよりも多少小さくなっており,布設を正常に行うためには特別な

注意と準備が必要となることもある。重要なことは,ケーブル製造業者が決めているケーブルごとの布設

上の制約事項を守ることであり,そのケーブルの許容張力を超えないことである。布設中における超過荷

重によって生じる損傷は,すぐには判明せず,後々耐用年数の低下を招くことにもなる。この指針は,電

力の供給,鉄道などある種の危険な環境に適用できる追加関連規格及び要求事項に取って代わるものでは

ない。 

A2. 布設計画  

A2.1 布設仕様 光ファイバケーブルが正常に布設できるかどうかは,綿密な計画と使用者の作成する布

設仕様とによって左右される。布設仕様には土木設備の状況,ケーブル布設ルート,安全作業上の注意箇

所及び布設環境を記載するとともに,ケーブル,コネクタ及びクロージャについての材料表及び技術的要

求事項を記載する。もし,用地使用又は立入りに制限がある場合には,責任及び契約窓口を明確にし,布

設仕様に土木工事,布設準備及び必要な調査について詳細に記載する。 

再布設,予備品,付帯サービス及び規制事項に関する布設後の要求事項も対象とする。 

A2.2 ルート検討 光ファイバは,従来のメタルケーブルよりも軽く,長距離に布設されるが,基本的に

同様の布設ルートの検討事項を適用する。ルートの立案とケーブルの取扱方法では,布設する個々の光フ

ァイバケーブルの規定最小曲げ半径と最大引張荷重を慎重に検討する。これは,潜在的に障害を引き起こ

す光ファイバの損傷を避けるためである。 

光ファイバケーブル布設での最大の問題は地下管路にある。管路ルートの状態と形態が最も重要である。

状態のよくない管路がある場合,急激な曲がりがある場合,管路内に既にケーブルが布設されている場合

又は方向が急激に変わっているアクセスポイントがある場合には,それらに応じて最大布設距離が減少す

ることになる。 

地下管路又は架空環境に長いケーブルを布設する場合には,中間けん引作業又は“8の字取り”工法の

ための中間点でケーブルへのアクセスを必要とする布設方法が求められることがある。時間及び障害の要

因も検討の対象とする。長時間にわたる布設の場合及び時刻,騒音レベルによっては,布設機器が必要と

なることもあり,車両の通行規制も考慮する。 

光ケーブル用地下管路の状態は特に注意を要するため管路が良好な状態にあり,できるだけ清潔な状態

を維持できるように常に配慮する。また,良好な布設環境,ケーブルの離隔,特別な機械的保護及び改善

された保守手順を提供するために単独又は複数の予備管路ルートを準備することも考慮する。予備管路は,

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特に長い場合,普通サイズの管路よりもロープ又はケーブルの作業が難しく,ケーブル外径と予備管路内

径との比率を検討する必要がある。 

架空ルート部分に関する非常に重要な検討事項は,使用中のケーブルの動きを極力少なくすることであ

る。熱変化,ケーブル質量,氷雪荷重,風などによって生じるケーブルの動きは悪影響を与える。したが

って,起こり得る動きを少なくするのに重要なことは,頑丈な電柱をできる限りしっかり建てることであ

り,光ファイバケーブルによく合った電柱への取付方法を検討することである。 

一般に光ファイバケーブルは軽量であるが,既存のつり線に増設すると,光ファイバが許容ひずみ限度

を超えるため,布設前に弛度と伸びの増加を計算する。 

長い光ファイバケーブルを直接埋設又は暗きょ(渠)に布設する計画の場合には,暗きょ布設に該当す

る部分を特別な切断機又は溝掘り機を使って事前に準備しておくことが望ましい。 

A2.3 ケーブル布設張力の予測 非常に長い光ファイバケーブルを布設する可能性がある場合には,特に

地下管路においてはその布設作業が正常に達成されるという見通しが必要であり,最大けん引張力を計算

することによってよい指針が得られる場合がある。この最大張力はケーブルの規定された機械特性と比較

でき,その値が接近していれば,ケーブルのルート短縮,ルート,方向の変更,代替ケーブルの設計など

の方法,又は中間けん引機の設定若しくは特定箇所における特別な予防対策によって,より高い安全率を

設定する方法を検討できることになる。計算に関する検討事項については,附属書A図1に示す。 

A2.3.1 最大けん引張力 けん引張力を計算する場合には,次に示す主要な寄与要因を検討する必要がある。 

− 単位ケーブル長当たりの質量 

− ケーブルシース及びその接触面との間の摩擦係数 

− 曲がり及び傾斜 

一例として附属書A図1にルート及び一般的な張力の公式使用例を示す。 

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付属書A図1 ケーブルの張力計算 

A2.3.2 総張力 附属書A表1に示すルートの一方の端から他の端までの各区間全体について累積方式で

計算できる(この例の場合,μは0.55,ωは0.92kg/mと仮定されている。)。 

附属書A表1 

区間 

長さ 

区間の最初で

の張力T1 

傾斜 

rad 

曲がり 

rad 

式 

区間の最後で

の張力(累積) 

− 

− 

− 

− 

A〜B 

250 

0.100 

− 

1 460 

− 

1 460 

− 

1.571 

3 464 

B〜C 

160 

3 464 

0.165 

− 

4 484 

− 

4 484 

− 

− 

− 

4 484 

C〜D 

100 

4 484 

− 

− 

4 980 

− 

4 980 

− 

− 

− 

4 980 

D〜E 

20 

4 980 

− 

0.785 

7 669 

− 

7 669 

− 

− 

− 

7 669 

E〜F 

60 

7 669 

− 

− 

7 967 

− 

7 967 

− 

0.524 

10 628 

F〜G 

200 

10 628 

−0.124 

− 

11 390 

備考 管路当たり2本以上のケーブルを布設すると,張力が大幅に上昇するため,曲がり箇所での計算に係数をか

けることによってこの点を考慮する必要がある。係数はケーブル本数,シース・ケーブル材質,ケーブル・
管路サイズ,ケーブル可とう性などに応じて変動する。係数の値は2本のケーブルに対しては1.5から2,3
本のケーブルに対しては2から4,4本のケーブルに対しては4から9である。 

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A2.4 周囲の条件 布設手順は,周囲の条件によって影響されるため特に長い光ファイバケーブルを布設

する場合には,温度がケーブル製造業者が設定している範囲内にあるときに行うことがよいやり方である。 

光ケーブルの機械特性は温度と構成材料にも左右される。通常,構成材料にポリ塩化ビニル(以下,PVC

という。)を含むケーブルは,温度が0 ℃未満のときには布設すべきではないが,ポリエチレンを含むケ

ーブルは温度が−15 ℃までの範囲であれば布設できる。多くのケーブルの場合,布設温度の上限は50 ℃

である。特別な対策を講じない限り,ケーブルは布設前に規定の布設温度範囲外の温度に12時間以上さら

してはならない。 

A2.5 知識及び訓練 布設時に用いた光ファイバケーブル取扱方法は,物理的損傷又は伝送損失増加を即

時には発生させなくても長期の伝送特性には影響することがある。布設に携わる作業者は,適用する正し

い方法及び正しくない方法を適用した場合に生じる可能性のある結果を熟知し,ファイバの損傷なしにケ

ーブルを布設できる十分な知識をもち,訓練を受けていなければならない。 

特に,布設作業者は最低限の曲げ基準を理解している必要があり,更に,手で布設した場合にはこれら

の基準にいかに違反しやすいかをよく理解しておくことが望ましい。 

A3. ケーブル布設方法  

A3.1 一般的検討事項 光ファイバケーブルはメタルケーブルに用いるのと同一又は類似の一般的な方法

を使って布設できるが,長尺の場合及びケーブルの曲げ,ひずみなどの面に関してはより注意を払う必要

がある。また,特定の方法又は機器を使用しなければならない状況もある。光ファイバは,布設時に軸方

向又は曲げで生じる過度のひずみから保護する必要があり,これを行う各種の方法がある。光ファイバケ

ーブルの設置に関するすべての方法及びシステムの目的は,光ファイバケーブルをできるだけひずみのな

い状態で布設し,接続可能とすることにある。 

その他の一般的予防措置としては,次の事項がある。 

− 現場へのケーブルの搬入を監視し,車両からの荷降ろし中に機械的損傷が生じないようにする。 

− 保管条件は,機械的及び環境面の注意事項に配慮し,適切なものとする。 

− 文書を点検し,搬入ケーブルが調達仕様書に適合していることを確認する。 

− 適切な保護キャップを光ケーブルの端末に取り付ける。端末キャップは取付け時に損傷を与えないよ

うに慎重に取り扱い,損傷したキャップは修理又は交換する。 

A3.2 狭い場所での安全 光ファイバケーブルを布設するときは,空気の循環がよくない,又は出入りの

困難なマンホール,地下通路,トンネル,ケーブル路,区域などのような狭い場所で作業を行わなければ

ならないことがある。 

狭い場所で作業を行う可能性がある場合,爆発性,窒息性,有毒ガス,鉛,アスベストなどが存在する

可能性など健康及び安全上の危険性を検討し,作業開始前に安全装置及び指示を確実に追加することが必

要となる。 

A3.3 布設前の手順 布設者は,布設を開始する前に次の点検を実施する。 

− 布設規格に規定されているルートに布設計画どおりにアクセスできるとともに,そのルートが利用で

きることを確認する。布設者は使用者にすべての変更案を伝達する。 

− ルート内の環境条件及び使用する布設方法が,布設する光ケーブルの設計に合致していることを確認

する。 

− 光ファイバケーブル内の光ファイバに,布設後に応力が直接加わらないようにする必要な対策を決定

する。長く垂直な距離の布設が提案されている場合には,光ファイバケーブルを製造業者が推奨する

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間隔で垂直線から回避させる必要がある(短い水平距離,ループ又は支持物を取り入れる) 

− 布設計画の段階においてドラム(又はリール)を配置する場所を提案,決定し,その場所が使えるか

どうかを確認する。 

− 余長ループの設置場所を特定し,布設計画どおりに施工できるかどうかを確認する。 

− 必要なすべての布設材料が入手できることを確認する。 

− クロージャの設置場所を特定し,布設計画どおりに施工できるかどうかを確認する。クロージャは布

設済ケーブルの後日の修理,拡大又は延長に対し中断を最小限にするとともに安全に実施できるよう

に配置する。 

A3.4 地下管路への光ケーブルの布設  

A3.4.1 適用範囲 この適用範囲が対象となる代表的な適用例を附属書A図2に示す。 

附属書A図2 光ファイバケーブルの地下管路への布設 

A3.4.2 ケーブル過大張力防護方法 光ファイバケーブルに過大な張力が加わらないよう布設ルート,ガイ

ド装置などに可能な限りの対策を施したとしても,布設作業は動いていることからいつ過大な張力がかか

るか分からないので,過大張力防護装置を設けるのがよりよい対策である。この防護を設ける機器には,

主若しくは中間けん引機側に配置する機器又はケーブルとけん引ロープとの接続点側に配置する機器の2

種類がある。けん引機側の機器としては(けん引機タイプによるが),あらかじめ定めた負荷に設定できる

機械式クラッチ,停動モータ,油圧式バイパス弁及びけん引機制御用のフィードバックを行う動力計で構

成するケーブル張力監視形タイプがある。ケーブルとけん引ロープとの接続点側の機器は,機械式ヒュー

ズ(張力又はせん断)及びけん引機制御情報を提供する検出装置で構成する。これらのすべてのシステム

は,ケーブルに加えられる負荷が損傷レベルに近づくと,けん引作業を制限したり停止する目的をもって

いる。 

A3.4.3 ケーブルの曲げ及びガイドシステム ケーブル及び光ファイバが許容値を超える曲げ応力を受け

るのを避けるには,引張り及び布設時に,曲げ径に関するケーブル製造業者が決めている許容値を守るこ

とが必要である。ガイド装置はケーブルルートにおける曲げ箇所及び管路口で使用し,ケーブル固有に規

定されている最小曲げ径を順守する。 

布設時に張力が加わった状態で光ファイバケーブルを曲げるときには注意を要する。ガイドシステム及

びガイド装置は,使用目的に適合しているか調査し,製造業者の規定曲げ基準に配慮する。一般にケーブ

ル外径の約20倍の最小曲げ直径が適切とみなされているが,張力が加えられた状態で布設するときは,こ

の比率を2倍(すなわち,ケーブル外径の40倍の曲げ直径)にすることを推奨する。大多数のガイド装置

は,光ファイバケーブルとメタルケーブルの両方に使用できるが,長い区間の布設では,多数のガイド装

置が必要であり,軽さと摩擦が低いという特性を必要とする。 

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A3.4.4 けん引装置及びロープ ケーブルに過大な張力が負荷されないように留意しておけば,通常の速度

制御されたケーブルけん引装置が光ファイバケーブルを管路に布設するのに適している。これらの装置と

しては各種の主動力付き先端けん引機,長距離方式用中間けん引機及び必要な場合は,動力式ケーブル送

り装置がある。中間けん引機(キャプスタン式又はキャタピラ式)及び/又は動力式ケーブル送り装置を

使用する場合,過度のファイバひずみを防止するための同期方式を採用し,一部の中間キャプスタン式け

ん引機ではケーブルにねじれを生じることがある点に留意する。光ファイバケーブルのけん引には比重が

小さく,弾性係数が高いロープが必要である。長いロープを配置することは難しいが,通常,普通の布設

方法を連続して使用すれば,達成できる。管路に既に光ファイバケーブルが布設されている場合は,ロー

プは注意して配置しなければならず,結び目を避けなければならない。 

ケーブルけん引機は,特にスタート時の低速時にロープ速度を制御でき,校正済みのけん引機動力計を

装備しているものとする(又は張力センサ及び機械式ヒューズをケーブルの先端に取り付けられるものと

する。)。最大布設張力はけん引機動力計又はケーブルの先端にある張力センサ側で測定される安全作動張

力に制限する。けん引機には,布設張力があらかじめ設定した張力限度を超えたとき,けん引機を自動停

止させる安全装置を装備しなければならない。機械式ヒューズを使用する場合には,ケーブルの最大許容

張力において切れるように設計する。 

キャプスタン式中間けん引機を使用する場合には,キャプスタンの直径はケーブルの最小曲げ直径と同

等以上とする。 

布設におけるねじれを減らすため,ケーブルの引張り端をねじれ補償装置,例えば,回転式シャックル

及びより返し金物を介してけん引ロープの端に接続するとよい。けん引機を使ってケーブルをけん引する

ときは,低速度で引張りを開始することが望ましい。けん引速度は,ケーブルの最大許容張力を超える危

険がないとき,徐々に最高75 m/分まで上げることができる。 

工場で取り付けるプーリングアイは,その定格引張荷重でケーブルを支障なく引っ張ることができるも

のとする。ケーブルにプーリングアイが付いていない場合は,ケーブルグリップをケーブルのけん引端に

取り付け,更に回転式シャックルによってけん引ロープに取り付ける。その最大安全作動張力はケーブル

最大許容張力よりも大きいものとする。ケーブルグリップは,ケーブルのシースが抗張力体に内部的に固

定されている場合,シースに直接取り付ける。抗張力体がシースに十分に結合されていない場合で,高い

引張荷重が予想されるときは,それに対応できる接続部を設ける。 

プーリングアイ及びケーブルグリップは,ケーブルに引張荷重がかかっているとき,キャプスタン又は

プーリの周囲を通らないようにする。 

A3.4.5 ケーブル摩擦及び潤滑剤 光ファイバケーブルを布設するときは,摩擦及び潤滑剤に特に注意を払

う。克服しなければならない摩擦力は幾つかの要因,主としてケーブルシース,管路,ケーブル布設ロー

プ及びガイド装置の材質及び仕上がりに関係があり,それらすべてが必要な総布設張力を増す一因となっ

ている。潤滑剤は,必要とする総布設張力を減らすのによい効果があり,ロープと管路及びケーブルと管

路接触面の両方に注意を払い,ロープ及びケーブルの取付箇所の動きが滑らかとなるように手段を講じる。

採用するどのような潤滑剤もケーブル,ロープ,管路の材料と長期の適合性をもち,職業上の健康面から

も安全でなければならない。 

A3.4.6 布設長を最大にするためのケーブル取扱方法 張力の制限から先端けん引だけで長い光ファイバ

ケーブルを布設することが不可能な場合には,ケーブル長手方向に張力を分割する方法の採用が必要とな

ることがあり,これは,状況に応じて,静的又は動的方法によって実施できる。 

最も一般的な方法は,“8の字取り”として知られている方法である。この手順では,ケーブルドラムを

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中間点に配置し,ケーブルを通常の先端けん引法によってルートの一方向に引っ張る必要がある。残りの

ケーブルはドラムから外し,8の字パターンで地面に配置する。けん引機は,8の字取りされたケーブルが

同じ先端けん引法によって引っ張られる区間の他方の端まで移動させる。この方法では,8の字取り箇所

で適切な空間が必要となる。 

動的に張力を分散させることは,一段と複雑であり,更に装置とその設置が必要となるが,ドラムから

一方向へ布設を真っすぐに行える利点がある。このプロセスでは,特別なケーブルけん引機や駆動装置が

中間点に採用され,ケーブルの最大張力はこれらの中間点相互間の距離によって決まる。留意すべき点は,

中間けん引の場合,すべての布設張力がケーブルシースを通して伝えられるため,この方法によって布設

されるケーブルの設計ではこのことに配慮すべきである。中間又は分散けん引システムでは,中間点相互

間の良好な調整,同期,通信が必要となる。キャプスタン式中間けん引機ではケーブルの付加的なねじれ

を招くことがある。 

手引き法は,長い光ファイバケーブルの布設における中間点に採用できるが,規定の曲げ及びその他の

機械特性規定に反しないように十分な注意を要する。 

A3.4.7 必要接続長 光ファイバケーブルを地下管路に布設するときは,試験又は接続のためのアクセス箇

所に,適切なケーブル余長に対応する適切な準備をすることが重要である。ケーブル端部におけるこのよ

うな余長は,メタルケーブルに許容される長さよりも通常長く,この長さには,けん引のためのロープ取

付けに使用されるような接続に使えない部分は含まれない。この余長は,クロージャ製造業者によって,

又は特に工事車両で接続を行う場合には接続手順によって設定される。 

A3.5 架空光ファイバケーブルの布設  

A3.5.1 適用範囲 光ファイバとの複合架空地線(一般にはOPGWとして知られている。)は,この附属書

の適用範囲から除外する。 

この適用範囲が対象とする代表的な適用例を附属書A図3に示す。 

附属書A図3 架空光ファイバケーブルの布設 

A3.5.2 布設方法 一般に架空メタルケーブルの布設で使用される方法及び検討事項は,架空光ファイバケ

ーブルにも採用できる。これらは,既設のつ(吊)り線,自己支持システムにバインドする,ハンガ掛け

する又は既存の架空ケーブルにバインドする通常の手法,又は光ファイバケーブル自体を巻き付けるよう

な特殊な設計のケーブル及び装置を用いる手法である。また,架空光ファイバケーブルの軽量・細径とい

う特長を生かして,安全の観点から,地上から操作する布設方法も有効である。機械的応力,つまり架空

ケーブル布設時に経験するひずみは,一般に地下布設時に生じるものよりは少ないので,地下/架空混合

ルートにおいては,地下ケーブルを架空区間に使用できる。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

先端引き及び/又は中間けん引機を使用する場合,架空ルート上の非常に長い連続区間を引っ張ること

もあり,それに使用できる適切なパワーのある十分な装置があることを確認する必要がある。 

A3.5.3 ケーブル保護方法 一般に先端けん引又は分散けん引法を使用する場合には,ケーブル布設におけ

る過度のひずみから保護するため,地下管路布設(本体の3.4参照)のような各種の方法が架空ケーブル

に適用でき,ケーブルのバックテンションが常に慎重に制御されていることを確認することもよい手法で

ある。 

あらかじめ張られたつ(吊)り線又は既存のメタルケーブルにバインドする場合には,架空光ファイバ

ケーブルがバインドに耐えられるように設計しなければならない。ラッシングワイヤの張力を制御する必

要がある。架空ルートの布設においてケーブルを取り扱うときは,注意が必要である。 

A3.5.4 けん引及びガイド装置 過大な張力及び過度の曲げがケーブルに加わらないように留意していれ

ば,先端引きけん引機を含む最も一般的な架空ケーブル布設けん引装置,ケーブル繰り出し装置などが使

用できる。先端けん引又は分散けん引システムを使用する長い布設の場合には,重要なことは方向が急激

に変わる位置に適切なガイド装置を設けたり,けん引作業を均等な速度で行うよう最大の努力を払うこと

である。 

A3.5.5 布設長を最大にする方法 ルートへのアクセスに比較的制限がない場合,多くの場合多様な一般的

方法を使って非常に長い架空光ファイバケーブルを布設することができる。この場合,唯一の制限はケー

ブルドラムの容量である。しかし,道路又は他の物と交差する関係で,余分な接続を受け入れられない場

合,この区間を引き通すシステムを工夫しなければならない。また,けん引法を使用する場合,累積の摩

擦の影響が布設長を制限するので,地下システムの場合のように,中間けん引システムを採用できる。 

A3.5.6 必要接続長 架空光ファイバケーブルを布設するときは,試験及び接続のため電柱上に適切な長さ

のケーブル余長を設けることが重要である。ケーブルの各端におけるこの長さは,接続箇所及びクロージ

ャを作業しやすい位置に設けるために十分な長さとし,地上での作業用に余分の長さを確保できるように

することが必要となる場合もある。 

A3.5.7  運用中に考慮する事項 ケーブルを布設するときは,光ファイバのひずみを最小にする注意を要

し,特に架空ルートの場合には,運用中においてもひずみレベルが製造業者の推奨値の範囲内に収まるよ

うに手段を講じる必要がある。ケーブル質量,熱変化,氷雪負荷,風など,その原因にかかわりなく,あ

らゆる種類の動きがひずみを発生させるため,このような事項に配慮し,可能な限り最小にするように努

める。特にメタルタイプよりも長い距離にわたり動きを減衰させる,適切な光ファイバの電柱取付方法を

採用する。 

A3.6 直埋ケーブルの布設  

A3.6.1 布設方法 光ファイバケーブルが特別に直埋用に設計されていれば,一般にすき(鋤)式布設(プ

ラウイング)(直接布設,振動又はけん引),溝式布設(トレンチング),推進式布設(モーリング)を含む

通常の直埋ケーブル布設方法を光ファイバケーブルの直埋に使用できる。通常,メタルケーブルと深さが

同じカバーが適切であるが,交通量及びその他安全保護の面からより深いことが必要となる場合もある。

溝式工法を使用する場合には,埋戻し材料及び手法に関しこの作業中に光ファイバのひずみ限界に達しな

いようにするための特別な配慮が必要なこともある。 

A3.6.2 溝内のケーブル ケーブルを溝に布設するときは,次の予防措置を順守する。 

− ケーブル溝の底部は,締固め土壌など良好な基礎とし,石がないものとする。石があれば,砂又は目

の細かな粒状土壌を約15cmの厚さで追加する。 

− (溝底部までの)布設深さは附属書A表2に示すとおりであり,適用及び交換費用に伴うリスクを反

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映させる。 

附属書A表2 最小布設深さ 

単位 m 

適用 

布設深さ 

高速伝送/高密度(幹線系) 

0.8 

中速伝送/中密度(配線系) 

0.6 

低速伝送/低密度(加入/引落し系) 

0.5 

備考 布設深さは,特定の障害物又は地面の条件から深く掘れない場所及び浅

くすることに反対する理由がない場所では浅くなることもある。深さが
附属書A表2に示す深さよりも浅い場合には,ケーブルに特別な保護を
設ける(例えば,ケーブル管路による保護など。)。 

− ケーブルを道路の下,道路に沿って直接埋めることは,例外的な場合に限る。道路の交差点又は道路

に添わせた方向の布設では,ケーブルをケーブル管路によって保護する。ケーブルが道路とほぼ並行

となるときは,溝間の管路は道路と約45 ℃角度で交差し,引張力を減少させるようにする。 

− ケーブル溝に障害物がなく,現地の条件が許す場合には,ケーブルは,溝に沿って駆動されるケーブ

ル搬送トレーラから繰り出し,溝内に布設することができる。ドラムからのケーブル繰り出しは,車

両の前進に対応して徐々に行うことが望ましく,適切なブレーキ装置でケーブルを繰り出しすぎない

ようにすることができる。ケーブルは,繰り出されたとき,適度に張力がかかっていることが望まし

く,それによって溝の底部で真っすぐにできる。 

− 場所の条件から溝を掘る前にケーブルを地上に配置する場合には,十分に大きな曲げ径で配置し,過

度な曲げ,ねじれ,キンク,圧縮及び摩耗が生じないようにする。 

− ケーブルけん引機を使ってケーブルを溝に引き込む場合には,十分な数量のケーブルローラとコーナ

ローラを設け,ケーブルが溝の底部又は側壁に触れないようにし,布設中に許容値を超える曲げ応力

にさらされないようにする。布設張力はケーブルの安全な使用範囲に制限する。 

− 地盤沈下が生じる区域では特別な対策を講じる。ケーブルが建物又は管路に入る区域では,ケーブル

周辺の地盤が沈下すると,建物又は管路でケーブルがキンクしたり,折られたりする危険がある。こ

のような障害は,ケーブルループ,詰め物,接続箱,高密度の埋戻しなどの予防対策によって防止で

きる。 

− 石及びスラグを含まない充てん材(土,砂など)を,溝底部に平らになっているケーブルよりも最低

15 cm上までの深さに施し,軽くたたいて詰めてならす。 

− 布設区域又は危険が増す区域内の砂に埋められたケーブルは,ケーブル保護カバー又はケーブル保護

板によって障害から保護することができる。 

− ケーブル溝が充てんされているとき,締固め機械を使用するのは,ケーブルの深さが最低30 cmであ

るときに限る。道路地帯内のケーブル溝を充てんするときは,地域の規則に適合しなければならない。 

− 耐食性の材料,例えば,軟質PVCの警告板をケーブルから30〜40 cm上の距離に置く。 

A3.6.3 すき(鋤)式工法によるケーブル布設 すき式工法を使用するときは,ケーブルドラムとケーブル

布設ガイド間とのガイド装置の設計で規定のケーブル曲げ基準を慎重に検討し,光ファイバの過剰なひず

みを防止するよう低い摩擦値を確保する。通常,ケーブル過大張力を防ぐシステムは不要であるが,大形

すき(鋤)式布設機械を使用し,駆動ケーブルドラム及びガイドホイールがある場合には,引張装置を組

み込むことができる。道路又はケーブルの交差箇所,若しくは外傷の可能性が高い状況においては,現場

での機械的保護が必要と考えられることもある。 

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一般的に,布設ルートを明確にし,必要な深さを達成できるようにルートを設ける。最低ケーブル深さ

を附属書A表2に示す。 

耐食性の材料,例えば,軟質PVCの警告板をケーブルから30〜40 cm上の距離に同時に置く。 

A3.6.4 布設長を最大にする方法 適切な準備が行われていれば,通常,光ファイバケーブルの直埋布設を

制限するのは,障害物及びドラム巻量だけであり,ドラム巻量については,その度合いは小さい。しかし,

長い直埋布設では石又は岩がある区間ではすき式工法が困難な場合もあり,溝式工法による準備の方が有

利である。可動ドラム法を使用して布設する長さを最大にすることもできる。 

A3.6.5 必要接続長 直埋用光ファイバケーブルを布設する場合には,試験と接続のため区間との両端に適

切なケーブル余長を設けるようにすることが重要である。この長さは,接続作業及びクロージャ取付作業

を都合のよい位置で行うために十分なものとする。 

A3.7 特殊な状況での布設  

A3.7.1 洞道及び建物内への引込み 光ファイバケーブルを先端けん引又は分散けん引法によって洞道又

は建物へ引き込むことは,管路へのケーブル布設の特別な場合とみなすことができ,本体の3.4に示す方

法と検討事項が適用される。しかし,ケーブルを布設し,トレイ又は支持物へ人力で処理する場合には,

支持形状と取扱い作業が規定曲げ基準に反しないように注意が必要である。光ファイバケーブルに使用す

る留め具又は固定方法が適切なものでなければならない。 

A3.7.2 建物用ケーブルラック 建物の垂直ケーブルラックに光ファイバケーブルを布設することは,通常

の方法で可能であるが,留め具及び固定方法が特別にこの種のケーブル用に設計されており,応力をファ

イバに伝えないことを確認する必要がある。 

A3.7.3 橋りょう メタルケーブルの布設に関する通常の注意事項が光ファイバケーブルにも適用される

が,更に必要な注意としては,急こう(勾)配の区間又は垂直区間におけるケーブルの動きに対処するこ

とである。交通の振動によって生じるこの種の動きは,過度な光ファイバひずみをもたらすため,ケーブ

ルの動きに対する適切な抑止策を講じる。 

A3.7.4 水底 光ファイバケーブルを河の横断箇所又は湖底に布設する必要がある場合には,ケーブルをこ

の目的に合った構造にする。可能な限り,連続した長さとし,水中での接続を避けるようにする。さらに,

河床又は湖岸に添わせたケーブルルートの傾斜はできるだけ緩やかにしてケーブル内の光ファイバが動か

ないようにする。水底ケーブルはあらゆる面において大きな動きを受け,光ファイバに過大なひずみを発

生させるため,溝,土のう(嚢),管路などを使用してこの動きを抑止する対策を講じる。 

A3.8 屋内ケーブルの布設  

A3.8.1 一般的検討事項 建物内では各種の光ファイバケーブル構造を使用できるので,屋内ネットワーク

の各部分に最適なタイプを使用するようにすることが重要である。引込みケーブルの曲げ基準は屋内タイ

プよりも厳しい場合もあり,可能であれば,建物のケーブル引込み口又はケーブルラックの近くに成端装

置を配置する方が有利である。 

A3.8.2 ケーブルルート ケーブルルートが床に沿っている場合,急激な曲げを避けるため,ケーブルを壁

の周辺ではなく短い直線ルートで通すことが望ましい。床内布設の場合,通常,フリーアクセスフロアで

十分である。非外装ケーブルはトランク又はトレイに布設するのが最良であるが,ケーブルの曲げ基準に

適合するように曲がり箇所を適切に構築することが必要である。管路布設の場合には,ケーブルは押し込

まずに引っ張り入れるようにして,キンクを避けるようにする。 

ケーブルを壁に直接取り付ける場合には,適切な留め具とひもを使用し,締めすぎないように注意する。

屋内光ファイバケーブルの布設は人力作業で行われることが多いが,この作業に付随する光ファイバの過

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剰ひずみというリスクに留意する。 

ケーブル布設段階において布設又は開放された防火管路,ガスシール,フロア通路及び建物引込み口は,

ガス,水及び異物が進入しないように承認された方法で密閉する。すべての遮へい物の保全性を維持する。 

A3.8.3 狭い場所 狭い場所で作業する可能性がある場合には,本体の3.2に規定する予防措置を順守する。 

A3.9 空気圧送システム 空気圧送システムでは,ネットワーク基盤は最適なケーブル布設法によって空

のプラスチックパイプの1本又は束を布設することによって構築される。その後,配線の必要が生じたと

きに,光ファイバ又はケーブルは圧縮空気によってパイプへ吹き出される。一般に光ファイバは特殊な形

で被覆,保護されている。 

空気圧送システムには数種類あるが,一般にどのシステムでも光ファイバ,ケーブル,パイプ及び空気

圧送方法の組合せが正しいことが必要である。パイプ及び光ファイバ,又はケーブルの布設段階だけでは

なく,最大ルートの長さ,曲がりの数,曲がり間の距離を考慮してルート計画を立てる場合にも製造業者

の推奨を忠実に守る。通常,布設は2段階で実施する。第1段階はパイプの布設であり,第2段階は光フ

ァイバの布設である。 

A3.9.1 パイプの布設 一般に屋内用の空気圧送光ファイバシステム用パイプは軽量であり,ルートは比較

的短いため,布設ではけん引装置を使用する必要はなく,平均的な長さは人手で布設できる。 

屋外パイプは,屋内パイプよりも堅固で,重く,大きく及び長い距離にわたって布設される。屋外パイ

プは標準的な布設手順で布設できる。 

一部のパイプの場合には,内面の保全性を維持するために特別な処理手順が必要であるが,一般に次の

予防措置を順守する。 

− パイプの上には乗らない。乗るとパイプを押しつぶすことになり,光ファイバ空気圧送段階において

問題を発生させることになる。 

− パイプを製造業者が指定している径よりも小さい径で曲げない。 

− 過度な長さを布設しようとしたり,間違った繰出し装置を使ってパイプを伸ばさない。 

− パイプをねじったり,ドラムを回転させて繰り出したり又はドラムのつば越しに繰り出したりしない。 

− パイプを水又は汚物で汚染させない。必要があれば,布設の前にパイプを密閉する。 

− 布設の後に成端していないパイプを再密閉する。 

− 長尺パイプの布設の場合,ケーブルの場合よりも大きな面積が必要となることがある。 

− ロープによって引っ張るときは,必ずより返し金物を使用する。 

− 先端と後端とにおけるパイプを識別し,ラベルを付ける。 

− ケーブルの固定は,パイプを所定位置に固定できるように十分に締め付けるが,パイプを変形させて

はならない。 

A3.9.2 光ファイバ及びケーブルの布設 光ファイバを布設する前に,パイプルートが完全なものであるこ

とを確認するのがよい。これは,パイプ壁が完全であり,パイプ内径が均一であることを実証するために

空気試験と通過試験を実施することによって達成できる。圧縮空気を使用して,特にパイプ内径を小形の

球(屋内パイプ)又はより大形のシャトル(屋外パイプ)によってチェックする場合には,次の予防措置

を順守する。 

− 試験現場を適切に監視し,警告標識を掲示する。 

− 安全めがねを着用する。 

− 加圧供給ホースを確実に固定する。 

− 指定圧力を超えない。 

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− 空気圧送球又はシャトルの試験は,球又はシャトルを遠端側で捕そく(捉)する用意がされているこ

と,及び被試験パイプが両端で明確に識別されていることを最初に確認してから,実施する。 

光ファイバ又はケーブルをパイプネットワークに効率よく布設する場合には,特別設計の光ファイバ又

はケーブルを使用したり,空気供給装置,挿入工具,繰出しなど特別設計の装置を使用しなければならな

いことが多い。通常,製造業者がコンプレッサの圧力,容量,キンク及び座屈を防止する技術,潤滑材の

使い方に関する指示を与えてくれる。 

ケーブルを長いパイプルートに布設するときは,ケーブルの先端に取り付けられているプリングシャト

ルを使用することが必要である。このようなシャトルは長さを短くし,独立した動きができるように取り

付ける。代わりに,シャトルの使用を避ける場合には,各空気圧送箇所の間のパイプ長さを短くした附属

書A図4に示す空気圧送直列法が使用できる。 

附属書A図4 空気圧送直列法による光ファイバケーブル布設 

A3.10 ケーブル布設位置 構造上金属材料をほとんど含まない場合,又はノンメタリック光ファイバケー

ブルを直埋布設する場合,後日に位置を探索する場合の問題を布設時点に考慮する。地上掲示システムを

採用する,ケーブルとともに探索用ワイヤを埋め込む,又は接続点に個別のマーカーを使用することが適

切である。 

A.4 耐雷保護  

A4.1 一般事項 光ファイバは雷サージの影響を受けにくいが,金属材料を含むケーブルの場合は影響さ

れることがよくある。そのため,ノンメタリックケーブル設計を採用する場合は別として,光ファイバケ

ーブルを保護するために用いる方法は,長いメタルケーブルに通常適用される方法と同一種類の方法とな

り,ITU−T勧告K.25を順守する。 

A4.2 参考文献 ITU−T勧告K.25 : 2000,光ファイバケーブルの耐雷保護 

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附属書B(参考)                          

光ファイバケーブル中の水素の影響に関する指針 

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。 

1. 一般 光ファイバケーブルは,多年にわたり安定した伝送特性を提供してきたために,陸上及び海底

用に世界中で広範囲に使用されている。 

1980年代初期には,あるケーブル構造内の幾つかの光ファイバ設計には,水素によって損失が増加する

傾向があることが分かっていた。水素によるロス発生のメカニズムはすぐに確立され,広範囲な研究開発

の後,その影響を最小限に抑えるように光ファイバは設計された。ケーブル設計者は適切な設計規定を確

立し,ケーブル材料の選定を規定することで,ケーブル耐用期間中の水素による損失増加の影響を最小限

に抑えた。 

水素による影響の大きさは,そのケーブルの種類(光ファイバの設計を含む。)及び使用環境に依存する。

適切に設計された陸上用シングルモード光ファイバケーブルの場合,光損失増加を引き起こす著しい水素

に対して,ケーブル試験でいかなる要求も必要としないほど十分な実績がある。 

部分圧が104 Pa(98.692×10−6)に及ぶ水素によるシングルモード光ファイバのロス増は,1 310 nmで

0.03 dB/km以下,1 550 nmで0.06 dB/km以下である。 

ハーメチック層のない陸上用ケーブル内の水素の動的均等圧は,104 Paより著しく小さいため光学的な

信頼性は確保される。管路用ケーブルでは,布設後数年間にわたり測定されてきた代表値は,40.5 Pa(400×10

−6)である。このような水素分圧では,損失増加は問題とならない。 

2. 水素による影響の評価 ケーブルの種類及び予定された使用環境によっては,水素による影響の評価

は妥当である場合とそうでない場合がある。附属書B表1は,水素による損失増加に対するケーブル評価

の必要性の指針を示している。 

附属書B表1 シングルモードとマルチモード光ファイバケーブル用の評価基準 

ケーブル構造 

適用環境 

直埋 

ダクト 

架空 

水底(3) 

海底 

SM 

MM 

SM 

MM 

SM 

MM 

SM 

MM 

SM 

MM 

メタリック形 

×(1) 

 × 

 × 

 × 

 × 

 × 

 ○ 

 ○ 

 ○ 

− 

ノンメタリック形 

× 

 × 

 × 

 × 

 × 

 × 

 × 

 ○ 

− 

− 

異種金属構成形(4) 

× 

 × 

 × 

 × 

 × 

 × 

 ○ 

 ○ 

 ○ 

− 

ハーメチックコート 
(金属パイプ) 

○(2) 

○ 

 ○ 

 ○ 

 ○ 

 ○ 

 ○ 

 ○ 

 ○ 

 ○ 

注(1) ×は評価不要。 

(2) ○はケーブル構造の研究開発段階で評価することを推奨。 
(3) 河川横断―短距離(水素を吸収する材料がケーブル内に含まれる場合,評価不要) 
(4) 異種金属構成形とは,ケーブル構成材に2種以上の金属を含むケーブル構造を示す。 

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3. 光ファイバケーブル中の水素の影響 シングルモード光ファイバケーブル及びマルチモード光ファイ

バケーブルは,その寿命期間にケーブル構造内に水素ガスが蓄積されると,光学的に劣化する。 

その影響の度合いは,次の要因による。 

・光ファイバの種類,ドープ材の組成・濃度,水素への本質的な感応性 

・耐用期間中にケーブル内で発生した水素ガス(部分的圧力)のレベル 

・ケーブルの設計,特にケーブル内に使用される材料の選択及び組合せ 

・使用温度を含む布設環境 

次のことからケーブル内部で水素ガスは発生する。 

・ケーブル材料の長期エージング結果と関連する構成材からの水素発生 

・ケーブル内に送り込まれる圧搾空気内の水素 

・湿気による金属材料の腐食 

・バクテリアを減らす硫酸塩による生物腐食 

水素による光損失発生のメカニズムは以下のように分類する。 

・可逆性の影響は,石英ガラスファイバ中へのH2分子の拡散に関係する。その影響はすべての種類の

光ファイバ(マルチモード及びシングルモード)において非常に似ており,その拡散は水素の分圧に

比例する。 

・永久な化学的影響は,拡散した水素分子と石英ガラスファイバ中の欠陥とが化学的に結合することに

よる水酸化物の生成に依存する。 

シングルモード光ファイバは,マルチモード光ファイバと比較して,H2による永久な化学的影響に対

して2〜3段階感度が低く,好ましくない環境で25年間使用された後も,永久的なロスは格子間ロス

よりもはるかに小さい。このことは,マルチモード光ファイバの場合とは全く対称的である。 

・シングルモード光ファイバ中で,高温(60 ℃以上)でだけ発生する波長依存性損失もまた,周囲温

度下で観察される格子間ロスよりもはるかに小さい。 

・1 240 nmと1 380 nmの波長におけるロス増加を監視することによって,内在する影響及び永久な化学

的影響をうまく知ることができる。 

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附属書C(参考)                          

適用領域ごとに規定されたケーブル後の 

光ファイバ伝送損失に関する指針 

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。 

附属書C表1 適用領域ごとに規定されたケーブル化後の光ファイバ伝送損失 

規格 

適用領域(1) 

ケーブル化後の光ファイバ最大伝送損失 

波長:850/1 300 nm 

dB/km 

IEEE 802.3:1000BASE-SX&LX 

Gigabit Ethernet 

        ≦3.5/≦1.5 

ISO/IEC 8802-3 10BASE FL&FB 

10BASE-F(2) 

        ≦3.75/≦適用外 

ISO/IEC 9314-3 

FDDI(3) (4) 

         適用外 

ISO/IEC 14165 

Fiber channel(4) 

         適用外 

ATM LAN 622-08M bit/sec 

ATM(4) 

         適用外 

EIA/TIA 568B3 

TIA 568B3 

        ≦3.5/≦1.5 

ISO/IEC 11801 

ISO/IEC 11801 

        ≦3.5/≦1.5 

注(1) 伝送損失に適用される要求値は,ケーブルの伝送損失値である。 

(2) 10BASE-Fは,850 nm波長でだけ規定 
(3) FDDIは,1 300 nm波長でだけ規定 
(4) 伝送損失が規定されていない場合は,代わりに光パワーレベルで規定される。 

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C 6850:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1(参考) JISと対応する国際規格との対比表 

JIS C 6850光ファイバケーブル通則 

IEC 60794-1-1: 2001, 光ファイバケーブル−第1-1部:総則仕様書−一般 

(Ⅰ) JISの規定 

(Ⅱ) 国際
規格番号 

(Ⅲ) 国際規格の規定 

(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異
の項目ごとの評価及びその内容 
 表示箇所:本文の左側 
 表示方法:傍線 

(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策 

項目 
番号 

内容 

項目 
番号 

内容 

項目ごと
の評価 

技術的差異の内容 

1. 適用
範囲 

IEC  
60794-1-1 

JISに同じ 

IDT 

− 

2. 引用
規格 

14規格を引用 

JISにほぼ同じ 

MOD/追
加 

JIS C 6862を追加 
JIS C 6863を追加 

引用規格にJISを用いたものであり技
術的差異はない。 

3. 定義 

JISに同じ 

IDT 

− 

4. 光フ
ァイバケ
ーブル 

JISにほぼ同じ 

MOD/追
加 

ケーブル分類の追加 

“参考”で補足説明を加えたものであ
り技術的差異はない。 

5. 材料 

JISにほぼ同じ 

MOD/追
加 

表1の光ファイバの種
類 
にSQI,RSI,PSI,CSI,
CQI,CGI ,SMA・U
を追加 

JIS C 6820との整合をとるために追加
したものであり,値は暫定値とした。
IECの動向によって見直しを行う。 

6. 光フ
ァイバ
ケーブ
ルの構
造 〜 
13. ケ
ーブル
部材特
性試験
方法 

6  〜 
13 

JISに同じ 

IDT 

− 

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25 

C 6850:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A
〜C 

附属書A
〜C 

JISに同じ 

IDT 

− 

 
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD 

 
備考1. 
 

項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。 

  ― IDT……………… 技術的差異がない。 
  ― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
2. 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。 

  ― MOD…………… 国際規格を修正している。