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C 6824

:2009

(1)

目  次

ページ

序文

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義

2

4

  測定方法の分類

2

5

  試験状態

2

6

  装置

2

6.1

  光源

2

6.2

  励振系

3

6.3

  検出装置

5

6.4

  記録装置

5

6.5

  計算装置

5

6.6

  全測定系の性能

6

7

  サンプル

6

7.1

  被測定光ファイバ

6

7.2

  基準サンプル

6

7.3

  端面処理

6

7.4

  被測定光ファイバの設定

6

7.5

  被測定光ファイバの位置合せ

6

8

  手順

6

8.1

  周波数掃引法

6

8.2

  パルス法

7

9

  結果の計算及び解釈

8

9.1

  −3 dB 周波数  (f

3 dB

)

8

9.2

  任意の記録項目に対する計算

8

10

  長さの表記

9

11

  結果

9

11.1

  各測定ごとに記録する情報

9

11.2

  要求に応じ記録する情報

9

12

  追加の情報

9

附属書 A(規定)モード内分散因子及び規格化モード間分散限界

10

附属書 B(規定)光ファイバの伝達関数,H(f)

13

附属書 C(規定)その他の計算方法

14

附属書 D(参考)この規格と ITU 勧告との比較

15


C 6824

:2009  目次

(2)

ページ

附属書 E(規定)GI 形マルチモード石英系光ファイバに対する全モード励振用モードスクランブラに関す

る要求事項

16

附属書 F(参考)参考文献

20

附属書 JA(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

21


C 6824

:2009

(3)

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本

工業規格である。

これによって,JIS C 6824 : 1997 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。


C 6824

:2009  目次

(4)

白      紙


日本工業規格

JIS

 C

6824

:2009

マルチモード光ファイバ帯域試験方法

Test methods for bandwidth of multimode optical fibers

序文

この規格は,2003 年に第 2 版として発行された IEC 60793-1-41 を基に作成した日本工業規格であるが,

技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,

附属書 JA に示す。

1

適用範囲

この規格は,石英系マルチモード光ファイバ,多成分系マルチモード光ファイバ,プラスチッククラッ

ドマルチモード光ファイバ及び全プラスチックマルチモード光ファイバの単位長さ当たりの帯域の試験方

法について規定する。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 60793-1-41 : 2003

,Optical fibres−Part 1-41 : Measurement methods and test procedures−

Bandwidth (MOD)

なお,対応の程度を表す記号 (MOD) は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,修正していること

を示す。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 6820

  光ファイバ通則

JIS C 6822

  光ファイバ構造パラメータ試験方法−寸法特性

注記  対応国際規格:IEC 60793-1-20 : 2001,Optical fibres−Part 1-20 : Measurement methods and test

procedures−Fibre geometry (MOD)

JIS C 60068-1

  環境試験方法−電気・電子−通則

注記  対応国際規格:IEC 60068-1 : 1988,Environmental testing−Part 1 : General and guidance (IDT)

IEC 60793-1-42 : 2001

,Optical fibres−Part 1-42 : Measurement methods and test procedures−Chromatic

dispersion

IEC 60793-1-43 : 2001

,Optical fibres−Part 1-43 : Measurement methods and test procedures−Numerical

aperture


2

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3

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 6820 によるほか,次による。

3.1

全モード励振  (overfilled launch)

被測定光ファイバの伝搬モード全部を励振させる励振方法。

3.2

限定モード励振  (restricted mode launch)

被測定光ファイバの伝搬モードの一部を選択して励振させる励振方法。

3.3

入射ビームスポット  (launch spot)

光ファイバ入射端面上での光ビームの強度分布。

3.4

半値幅  (width at half maximum)

山形の分布を表す曲線において,最大値の半分となる分布の幅。幅全体を半値全幅 (Full Width at Half

Maximum, FWHM),その半分を半値半幅  (Half Width at Half Maximum, HWHM)  という。

3.5

3 dB 帯域  (−3 dB bandwidth)

光ファイバのベースバンド伝達関数の絶対値が,直流の値に対し−3 dB に減衰するまでの最低の変調周

波数帯域。

4

測定方法の分類

ベースバンド周波数応答は,正弦波変調された光に対する光ファイバの応答から周波数領域で直接測定

することができる。又は,狭い光パルスの広がりからも測定可能である。これら二つの手法を,それぞれ

次のように呼ぶ。

−  周波数掃引法

−  パルス法

いずれの手法も,全モード励振又は限定モード励振のいずれかの励振条件で行う。

基準測定法は周波数掃引法とし,代替測定法はパルス法とする。厳密に測定するときは,基準測定法を

用いるが,支障がない場合は,代替測定法で測定してもよい。

注記  これらの測定法は,生産又は研究開発において一般的に用いられるが,実用現場での実施は困

難である。

5

試験状態

試験は,規定がない限り,JIS C 60068-1 の 5.3[測定及び試験のための標準大気条件(標準状態)

]に規

定の標準状態で行う。ただし,標準状態で試験することが困難な場合は,判定に疑義を生じない限り,標

準状態以外の状態で試験を行ってもよい。

6

装置

6.1

光源

6.1.1

周波数掃引法の場合


3

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光源には,CW インジェクションレーザダイオードなどを用いる。周波数掃引法には,光源の光を電気

的,光学的又は機械的に変調する機能を必要とする。

6.1.2

パルス法の場合

短い間隔でスペクトル幅の狭いパルス列を発生できる光源(例えば,インジェクションレーザダイオー

ド)を用いる。パルス法には,光源の光を電気的,光学的又は機械的にオン/オフする機能を必要とする。

6.1.3

両手法に共通な事項

周波数掃引法及びパルス法に共通な事項は,次による。

a)

波長が既知で,中心波長が規定の波長に対し±10 nm 以内の光源を用いる。インジェクションレーザ

ダイオードの場合,光ファイバに入射する励起光の光強度は,自然放出光の光強度の 15 dB 以上でな

ければならない。

b)

帯域の測定値が,多モードひずみによる帯域の 90 %以上を保証できるように,十分に線幅の狭い光源

を用いる。そのためには,規格化モード間分散限界(NIDL

附属書 参照)を計算すればよい。ただ

し,全プラスチックマルチモード光ファイバでは,レーザダイオードの線幅は帯域測定への影響を無

視できるほど十分に狭いため,考慮する必要はない。

c)

石英系マルチモード光ファイバ,多成分系マルチモード光ファイバ及びプラスチッククラッドマルチ

モード光ファイバでは,各測定波長に対し,光源のスペクトル幅から規格化モード間分散限界を,次

の式によって計算する。ただし,規格化モード間分散限界は 1 200 nm 以上 1 400 nm 未満の波長領域

では規定しない。

この波長領域内では,

光源のスペクトル半値全幅は 10 nm 以下でなければならない。

λ

Δ

=

/

IDF

NIDL

ここに,

NIDL

規格化モード間分散限界 (GHz・km)

Δ

λ

光源のスペクトル半値全幅 (nm)

IDF

光源波長に対するモード内分散因子 (GHz・km・nm)

附属書 参照)

注記  NIDL の値が許容されるか否かは,個別ユーザの検査仕様による。例えば,0.5 GHz・km とい

う NIDL の値は,その光ファイバの帯域の最小値が 500 MHz・km 弱よりも大きいことを確認

するためには十分かもしれないが,最小値が 500 MHz・km よりも大きいことの確認には不十

分となる。

NIDL

が非常に低すぎる場合は,よりスペクトル幅の狭い光源を必要とする。

d)

光源は,単一のパルス発生期間及び全測定期間にわたって安定していなければならない。

6.2

励振系

6.2.1

全モード励振

6.2.1.1

石英系マルチモード光ファイバに対する全モード励振

光源の放射特性に依存しない制御された励振を行うため,光源と被測定光ファイバとの間にモードスク

ランブラを設置する。モードスクランブラからの出射光は,

附属書 に従って被測定光ファイバの入射端

に結合しなければならない。被測定光ファイバは,測定の間,安定して静置しなければならない。光ファ

イバのアライメントを確認するために観察システムを使用してもよい。

試料からのクラッドモードパワーを除去する手段を設ける。光ファイバの被覆がこの機能を果たす場合

がある。そうではない場合には,被測定光ファイバの両端近傍にそれぞれクラッドモード除去器を設置す

る。被測定光ファイバをクラッドモード除去器の上に小さなおもりで固定する場合は,マイクロベンドが


4

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発生しないように注意する。

注記  全モード励振による帯域測定値は,石英系マルチモード光ファイバを 850 nm 又は 1 300 nm の

LED で使用する場合に特に対応する。レーザによる用途にも場合によって適用できるが,リン

ク長が短くなる(850 nm の場合)

,又はレーザ光源の種類が制約される(1 300 nm の場合)こ

とが考えられる。

6.2.1.2

多成分系マルチモード光ファイバ,プラスチッククラッドマルチモード光ファイバ及び全プラス

チックマルチモード光ファイバに対する全モード励振

全モード励振は,レンズ,アパーチャなどを組み合わせ,入射 NA が被測定光ファイバの NA 以上で,

入射ビームスポットの大きさが被測定光ファイバのコア径以上となる状態で行う。

6.2.2

限定モード励振

6.2.2.1

石英系マルチモード光ファイバに対する限定モード励振

限定モード励振条件は,

附属書 に規定する条件で,全モード励振された限定モード励振用光ファイバ

によって作る。その全モード励振条件は,入射光の広がりが限定モード励振用光ファイバに対して角度及

び径方向に十分大きければよい。限定モード励振用光ファイバは,コア径が 23.5±0.1 μm,NA が 0.208±

0.01 となる。また,屈折率分布パラメータが約 2 の GI 形であり,波長 850 nm 及び 1 300 nm における全モ

ード励振による帯域が,700 MHz・km 以上でなければならない。接続の簡易性のため,クラッド外径は 125

μm とする。限定モード励振用光ファイバは,漏れ光モード成分を除去するために 1.5 m 以上の長さで,か

つ,過剰な損失を防ぐために 5 m 以下とする。上記の条件によって励振された限定モード励振用光ファイ

バを,被測定光ファイバに接合する。

クラッドモードを除去するために,光ファイバにコーティングを施す,及び/又は被測定光ファイバの

両端近傍にそれぞれクラッドモード除去器を設置する。被測定光ファイバをクラッドモード除去器の上に

小さなおもりで固定する場合は,マイクロベンドが発生しないように注意する。

最高の精度を得るために,限定モード励振用光ファイバの構造寸法及び屈折率分布には厳しい公差を要

求する。また,最高の測定再現性を得るために,限定モード励振用光ファイバは,高精度で被測定光ファ

イバの中心に位置合わせして接続しなければならない。

注記  IEC 60793-2-10 のカテゴリ A1b (62.5/125 μm)  光ファイバについて,この限定モード励振によっ

て得られる波長 850 nm での帯域の値は,ある特定の励振条件を満たす波長 850 nm のレーザ送

信器を用いた場合の実際の帯域と相関があることが示されている。より明確にいえば,カテゴ

リ A1b の光ファイバについて,

“波長 850 nm での限定モード励振による帯域≧385 MHz・km”

とは,次の三つの励振条件を満たす光源に対し,最小で 385 MHz・km の実効帯域をもつことで

ある。

a)

公称動作波長:850 nm

b)

半径 4.5 μm でのエンサークルドフラックス:25 %以下

c)

半径 15 μm でのエンサークルドフラックス:75 %以上

なお,エンサークルドフラックスは,IEC 61280-1-4 に従って測定する。

6.2.2.2

プラスチッククラッドマルチモード光ファイバに対する限定モード励振

プラスチッククラッドマルチモード光ファイバの場合,限定モード励振条件は,レンズ,アパーチャな

どの組合せによって作る入射 NA が 0.3 のときとする。

入射ビームスポットの大きさは,被測定光ファイバのコア径以上とする。


5

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6.2.2.3

全プラスチックマルチモード光ファイバに対する限定モード励振

全プラスチックマルチモード光ファイバの場合,限定モード励振条件は,

図 に示すような円柱に巻き

付けたモードフィルタを,全モード励振することによって作る。このモードフィルタは,被測定光ファイ

バと同一種類の光ファイバで作る。不要な損失を避けるため,このフィルタ作製に用いる光ファイバの長

さは,1 m とする。円柱の直径は,光ファイバのクラッド外径の 20 倍とし,巻き数は,5 回とする。

図 1−円柱巻き付け形モードフィルタ

注記  光ファイバを円柱に巻き付けるときに,過剰な力を加えてはならない。巻き付けた光ファイバ

は接着剤などで円柱に固定する。巻かれていない部分は,真っすぐに置く。

6.3

検出装置

検出感度に顕著なモード依存性が出ないように,被測定光ファイバからのすべての出射光が検出装置の

検出部に当たるようにする。検出装置は測定する光パワーの全範囲にわたり線形に応答しなければならな

い。検出装置に入る光強度を調節するために,光アッテネータを使用してもよい。

検出装置は,

6.6

を満たす十分な安定度及び再現性を保てるサンプル出射端保持機構をもたなければなら

ない。

検出装置は,測定波長において振幅応答が線形で,部位による感度のばらつきが 10 %以内であり,かつ,

すべての出射光を検出するために十分な大きさでなければならない。

検出した光信号は,

例えば,

周波数掃引法の場合は電気のスペクトルアナライザのような適切な装置で,

パルス法の場合は掃引レートを校正した高速のサンプリングオシロスコープで,

表示しなければならない。

プリアンプ又は検出系の電子回路も,信号レベルの全範囲にわたり振幅応答は線形(5 %以下の非線形度)

でなければならない。

6.4

記録装置

周波数掃引法の場合,検出装置からの高周波変調信号の振幅を検出して表示及び記録するために,トラ

ッキングジェネレータと電気スペクトルアナライザとを組み合わせるか,

又はそれと同等の装置を用いる。

この場合,高調波ひずみは 5 %未満に抑えなければならない。

パルス法の場合,検出したパルスの振幅を時間の関数として記録するために,デジタルプロセッサなど

の記録装置を接続したオシロスコープを用いる。その記録装置によって記録されたデータを測定値とし,

オシロスコープの画面から読み取ったデータは参考とする。

6.5

計算装置

パルス法の場合,波形記録装置に記録したパルス波形をフーリエ変換できる計算機を用いる。計算機に

は,各種の高速フーリエ変換のうちのいずれか,又は他の適切なアルゴリズムが組み込まれており,その

他の信号処理又は波形のアベレージング若しくは記録にも役立つ。


6

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6.6

全測定系の性能

周波数掃引法(8.1 参照)及びパルス法(8.2 参照)における,測定又はシステム校正期間にわたるシス

テムの安定性の検証方法を,次に示す。

測定系の安定性は,周波数掃引法の場合には入力の周波数応答を,パルス法の場合には入力パルスのフ

ーリエ変換を,

ある時間間隔を置いて比較することによって調べることができる。

附属書 に示すとおり,

帯域の測定では光ファイバ出力パルスの変換をシステム校正変換によって規格化することになる。被測定

光ファイバの代わりに基準サンプルを測定すれば,その結果得られる応答 H(f)  は,時間間隔を置いた前後

での測定系自身の比較を表すことになる。この規格化されたシステム振幅安定度によって,SSFL (System

Stability Frequency Limit)  を決める。

SSFL とは,システム振幅安定度が,一定値から 5 %外れる最少の度数である。被測定光ファイバから基

準長さ分を切り出す方法による帯域測定の場合,SSFL は,実際の測定に要するのと同じ時間を置いた後

に再測定を行って決める。被測定光ファイバとは別に基準サンプルを用意する測定の場合,SSFL は,実

際上周期的なシステム校正で適用するのと同じ時間間隔で決める。

SSFL を決めるに当たっては,検出装置に到達する光信号強度を,被測定光ファイバによる損失に 3 dB

加えた量以上減衰させる。そのためには,信号の規格化及び比較に使用する減衰器を既に設置していなけ

れば,光路内に減衰器を置く必要がある。また,SSFL を決めている間中,パルスの位置及び振幅,又は

周波数応答のずれは,視認できなければならない。

7

サンプル

7.1

被測定光ファイバ

被測定光ファイバは,長さが既知の光ファイバ又は光ケーブルとする。

7.2

基準サンプル

基準サンプルは,被測定光ファイバと同一種の短い光ファイバ又は被測定光ファイバから切り出す。全

プラスチックマルチモード光ファイバ以外では,基準サンプル長は,被測定光ファイバの長さの 1 %未満

又は 10 m 未満のいずれか短い方とする。

全プラスチックマルチモード光ファイバでは,基準サンプル長は,1 m∼2 m とする。限定モード励振の

場合,モードフィルタからの出力が基準となる。

7.3

端面処理

光ファイバ軸に直角で滑らかな鏡面になるように,端面処理を行う。

7.4

被測定光ファイバの設定

被測定光ファイバは,張力がかからずマイクロベンドを極力抑えるように設置し保持する。

全プラスチックマルチモード光ファイバの場合,張力がかからない状態で,被測定光ファイバを直径が

300 mm 以上の束状に巻く。被測定光ファイバにはマクロベンド又はマイクロベンドが発生してはならな

い。また,励振系の出力のエネルギー分布は,十分に安定していなければならない。

7.5

被測定光ファイバの位置合せ

被測定光ファイバの入射端を,6.2 の励振条件を作る励振系の出射端に対し,位置合わせして固定する。

8

手順

8.1

周波数掃引法

8.1.1

一般


7

C 6824

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周波数掃引法の手順は,次による。

a)

直流での基準ゼロレベルを得るために十分低い周波数から,3 dB 帯域を超える周波数まで,光源の変

調周波数 を掃引する。測定系から出る変調された相対強度を,の関数として記録する。この強度を

P

out

(f)  とする。

注記  例えば,log P

out

(f)  のような P

out

(f)  の関数も,9.1 で最終的に (f)  を求めるために記録して

もよい。

b)

基準サンプルからの出射光を測定し,被測定光ファイバに対する入射変調信号を求める。出射光は,

被測定光ファイバから基準長分を切り出す方法(測定結果に食い違いが生じているような場合には,

こちらが望ましい。

)又は同種の光ファイバから作製した基準長のサンプルを用いる方法で測定する。

8.1.2

被測定光ファイバから基準長分を切り出す方法

被測定光ファイバを入射端側から切断し,

7.3

に従って新たな出射端面を平滑に処理する。必要であれば,

出射端からのクラッドモードを除去する。

この基準短尺光ファイバの励振条件に影響を与えてはならない。

8.1.3

同種の光ファイバから基準長のサンプルを用いる方法

同種の光ファイバから基準長のサンプルを用いる方法は,次による。

a)

被測定光ファイバの入射端が,モードスクランブラの出射端上に位置していたのと同一の位置に光フ

ァイバ端を設置できる器具がある場合,被測定光ファイバと同一の特性をもつ光ファイバの短い切片

を,基準サンプルとしてもよい。基準光ファイバを,被測定光ファイバと入れ替えて設置する。必要

に応じてクラッドモード除去器を用い,出射端を検出器に対し軸合わせして結合する。

b)

直流での基準ゼロレベルを得るために十分低い周波数から,3 dB 帯域を超える周波数まで,光源の変

調周波数 を掃引する。測定系から出た変調された相対強度を,の関数として記録する。この強度を

P

in

(f)  とする。

注記  例えば,log P

in

(f)  のような P

in

(f)  の関数も,9.2 で最終的に (f)  を求めるために記録しても

よい。

8.2

パルス法

8.2.1

パルス法の入射パルス測定

パルス法の入射パルス測定の手順は,次による。

a)

被測定光ファイバに信号を入射し,オシロスコープの画面上に被測定光ファイバから出射された光パ

ルス全体を表示するように,光アッテネータ及び/又は検出回路を調節する。光パルス全体とは,振

幅ピークの 1 %,すなわち−20 dB 以上の立上り及び立下りのエッジを含む。

b)

検出した振幅及び校正した掃引レートを記録する。

c)

光ファイバの出射パルスを記録し,そのパルスのフーリエ変換を,

附属書 に従って算出する。

d)

基準サンプルの信号を測定し,被測定光ファイバへの入射パルスを求める。基準サンプルの信号は,

被測定光ファイバから基準長分を切り出す方法又は同種の光ファイバから作製した基準長のサンプル

を用いる方法で測定する。

8.2.2

被測定光ファイバから基準長分を切り出す方法

被測定光ファイバから基準長分を切り出す方法は,次による。

a)

被測定光ファイバを,7.2 に従って入射端側から切断する。出射端面を,新たに 7.3 に従って処理し,

光検出器に対して,8.1.1 a)  に示すように設置する。入射端に影響を与えてはならない。

b)

必要があれば,クラッドモード除去器を用いる。

c)

光アッテネータを使用する場合,表示するパルスの振幅を,8.1.1 a)  に示すように再調節する。


8

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d)

被測定光ファイバの場合と同じ掃引レートで入力パルスを記録し,

附属書 に従って入力パルスのフ

ーリエ変換を算出する。

8.2.3

繰返し使用可能な基準サンプルを用いる方法

繰返し使用可能な基準サンプルを用いる方法は,次による。

a)

繰返し使用可能な基準サンプルを用いる測定方法は,SSFL(6.6 参照)を決める場合と同一の時間間

隔で行わなければならない。適切なモードスクランブラ,レーザダイオード及び軸合せ器具を用いれ

ば,被測定光ファイバから切り出していないものを基準サンプルとしてもよい。

b)

被測定光ファイバと同一の種類で,かつ,光学的寸法公称値が同一である基準サンプルの入射端及び

出射端を,7.3 に従って処理する。

c)

入射端と出射端を,7.5 に示すように位置合せをする。光アッテネータを使用している場合,適切なパ

ルス振幅を表示するように調節する。

d)

入力パルスを,被測定光ファイバの場合と同じ掃引レートで記録し,

附属書 に従って入力パルスの

フーリエ変換を算出する。

9

結果の計算及び解釈

9.1

3 dB 周波数  (f

3 dB

)

周波数応答 H(f)  を算出する。

附属書 に従って,−3 dB 帯域 f

3 dB

を算出する。

測定した−3 dB 周波数が,6.1.3 で算出した NIDL を光ファイバ長 L  (km)  で除した値よりも大きい場合

は,測定結果を記録する。この場合,

例 で示すように,測定結果が測定装置によって制限されている可

能性があることを明記することが望ましい。

例 1  長さ 2.2 km の光ファイバで単位長さ当たりの−3 dB 周波数の測定値が 2.2 GHz・km,測定系の

NIDL

がその測定波長で 2 GHz・km とする。この場合,測定結果は,

“>規格化測定値”

(この例

の場合,

“>2.2 GHz・km”

)と書くことが望ましい。同様に,実際の測定値としては“>測定値”

(この例の場合,

“>1.0 GHz”

)と書くことが望ましい。

“>”の記号は,測定系が測定値を制

限している可能性があることを示す。測定した−3 dB 周波数が,6.6 で規定した SSFL を超える

場合は,

例 に示すようにそのことを記載しなければならない。

例 2  長さ 2.2 km の光ファイバで−3 dB 周波数の測定値が 0.95 GHz (2.09 GHz・km)  であり,この値

は測定系の SSFL である 0.9 GHz(この光ファイバ長に対し 1.98 GHz・km)よりも大きかったと

する。その場合は,結果を,

“> (SSFL)”

(この例の場合,

“>0.9 GHz”

)と記録する。また,

単位長さ当たりの結果は,

“>[SSFL×サンプル長 (km)]

(この例の場合,

“>1.98 GHz・km”

と記録する。

“>”の記号は,測定系が測定値を制限している可能性があることを示す。

9.2

任意の記録項目に対する計算

詳細仕様によっては,f

3 dB

ではなく他の項目の記録が必要となる場合もあるので,次の附属書を参照す

る。

附属書 B:光ファイバの伝達関数:H(f)

附属書 B:光ファイバの周波数応答:|H(f)|

附属書 C:光ファイバのインパルス応答:h(t)

附属書 C:RMS インパルス応答:周波数掃引法の場合−自乗差

附属書 C:RMS インパルス応答:パルス法の場合


9

C 6824

:2009

10

長さの表記

帯域又はパルス幅広がりを,GHz・km 又は ns/km のように単位長さで表記する必要があることがある。

帯域又はパルス幅広がりを,単位長さで表記する場合は,そこで用いた長さ依存性を示す式を記さなけれ

ばならない。

11

結果

11.1

各測定ごとに記録する情報

各測定について,次の事項を記録する。

a)

規格番号及び測定方法の分類(周波数掃引法又はパルス法)

b)

励振条件(限定モード励振又は全モード励振)

c)

測定日

d)

被サンプルの詳細

e)

測定結果:f

3 dB

 (9.1)  又は詳細仕様で要求する他の項目

f)

光源の波長(公称値又は実測値)

g)

サンプル長

h)

長さの規格化式(使用した場合)

11.2

要求に応じ記録する情報

次の事項は,要求に応じて記録する。

a)

光源の種類,波長,スペクトル半値全幅の最大値又は実測値。測定していない場合は,その旨記載す

る。

b)

モードスクランブラ及び励振系の詳細

c)

各測定波長に対する規格化モード間分散限界  (NIDL)

d)

検出器の種類及び動作条件

e)

帯域又は他の記録項目の算出法の詳細

f)

クラッドモード除去の方法

g)

測定系の最近の校正日

h)

試験の名称

i)

測定者名

12

追加の情報

詳細な仕様書では,次の事項を明示する。

a)

検査するサンプルの種類及び数

b)

規格番号

c)

9.1

以外の記録項目を指定する場合,その項目

d)

測定波長


10

C 6824

:2009

附属書 A

規定)

モード内分散因子及び規格化モード間分散限界

A.1

  モード内分散因子  (IDF)

この試験法の目的は,光ファイバの多モード分散による帯域を測定することである。しかし,レーザの

スペクトルと光ファイバの波長分散特性との相互作用によって,測定値が小さくなる可能性があるので,

IDF

の目的は,この測定誤差を抑える方法を与えることである。IDF は,GHz・km・nm の単位をもち,光

源の線幅 (nm)・光ファイバ長 (km) 当たりの帯域測定値が,多モード分散による帯域の 90 %に落ちる周

波数である。IDF の算出方法は,A.3 に示す。

カテゴリ A1 光ファイバの最大の IDF を,

表 A.1 に示す。1 200 nm よりも短い波長では,最大の

λ

0

をも

つ光ファイバ(NA が 0.29 の光ファイバ)の IDF が最大となる。また,1 400 nm よりも長い波長では,最

小の

λ

0

をもつ光ファイバ(NA が 0.20 の光ファイバ)の IDF が最大となる。

なお,ここで

λ

0

は,ゼロ分散波長を表す。IDF は,1 200 nm∼1 400 nm の波長では使用しない。

表 A.1A1 光ファイバの最大の IDF

波長

λ

 (nm)

IDF (GHz

・km・nm)

波長

λ

 (nm)

IDF (GHz

・km・nm)

波長

λ

 (nm)

IDF (GHz

・km・nm)

780 1.31 990  3.37

1

400

23.18

790

1.37

1 000

3.54

1 410

21.15

800

1.44

1 010

3.71

1 420

19.49

810

1.50

1 020

3.90

1 430

18.09

820

1.57

1 030

4.09

1 440

16.90

830

1.64

1 040

4.30

1 450

15.87

840

1.72

1 050

4.52

1 460

14.98

850

1.79

1 060

4.76

1 470

14.20

860

1.88

1 070

5.02

1 480

13.50

870

1.96

1 080

5.30

1 490

12.89

880

2.05

1 090

5.60

1 500

12.33

890

2.14

1 100

5.92

1 510

11.83

900

2.24

1 110

6.27

1 520

11.37

910

2.34

1 120

6.65

1 530

10.96

920

2.45

1 130

7.07

1 540

10.58

930

2.56

1 140

7.53

1 550

10.23

940

2.68

1 150

8.03

1 560

9.91

950

2.80

1 160

8.59

1 570

9.61

960

2.93

1 170

9.22

1 580

9.34

970

3.07

1 180

9.92

1 590

9.08

980

3.22

1 190

10.71

1 600

8.84

注記  次の前提による。 

S

0

=0.095 62 ps/nm

2

・km

 NA が 0.29 の典型的なマルチモード光ファイバについて

λ

0

=1 344.5 nm

ここで,S

0

λ

0

での分散スロープであり,

λ

0

はゼロ分散波長である。


11

C 6824

:2009

A.2

  規格化モード間分散限界  (NIDL)

ある試験系によって得られる最大の帯域は,NIDL によって制限される。NIDL は,6.1.3 によって,

A.1

の IDF の値を用いて各測定波長ごとに算出する。計算に用いる光源スペクトル幅は,製造業者の仕様

最大値を用いてもよいが,実測値を用いることが望ましい。

NIDL

は IDF に基づくため,NIDL に等しい長さで規格化された帯域の測定値は,実際の多モード分散に

よる帯域よりも 10 %小さい。この帯域測定値の誤差は,NIDL よりも小さい場合は減少し,NIDL 以上では

急速に増大する。ただし,サンプルの実際の帯域は,IDF で用いるものよりもやや小さく,また光源波長

幅も大きめに見積もられている可能性があるため,実際の誤差は,通常それより数  %小さい。このような

近似及び光源スペクトルの不安定性があるため,波長分散の校正には適さない。

波長が 1 200 nm∼1 400 nm のレーザによる測定の場合,光ファイバのモード内分散は無視できるため,

この波長範囲では,NIDL は規定しない。

A.3

  IDF の算出

IDF

の算出に当たっては,次の事項はガウス分布するものと仮定する。

a)

波長及びモードに起因するパルスの時間軸広がり

b)

すべての周波数応答(振幅)

c)

Δ

λ

s

で標記される光源スペクトル(nm,半値全幅)

分散と帯域との関係は,式 (A.1) によって計算する。

BW

k

D

=

(A.1)

ここに,

D

分散

k

187 (ps)

BW

波長分散 (GHz)

波長分散及びモード分散は,互いに独立であると仮定すると,分散は,式 (A.2) によって計算する。

2

modal

2

chrom

meas

D

D

D

+

=

(A.2)

ここに,

D

meas

分散

D

chrom

波長に起因するパルスの時間軸広がり

D

modal

モードに起因するパルスの時間軸広がり

式 (A.1) 及び式 (A.2) から,式 (A.3) を計算する。

1

2

modal

2

meas

2

chrom

2

meas

=

⎟⎟

⎜⎜

+

⎟⎟

⎜⎜

BW

BW

BW

BW

(A.3)

ここに,

BW

meas

波長分散による帯域測定誤差 (GHz)

BW

chrom

波長に起因する波長分散 (GHz)

BW

modal

モードに起因する波長分散 (GHz)

 
∑ は,式 (A.4) のように,波長分散による帯域測定誤差を表す。

modal

meas

)

1

(

BW

BW

Σ

=

(A.4)


12

C 6824

:2009

波長分散を,式 (A.5) によって計算する。

s

chrom

)

(

440

λ

Δ

λ

L

D

BW

=

(A.5)

ここに,

D(

λ

): 波長

λ

での波長分散係数 (ps/nm・km),IEC 60793-1-42

で定義

L

光ファイバの長さ (km)

Δ

λ

s

光源スペクトル (nm)

440: BW

chrom

を求めるための単位の変換係数

IDF

は,式 (A.3),式 (A.4) 及び式 (A.5) を組み合わせて,式 (A.6) によって計算する。

)

(

2

440

2

s

meas

λ

ε

ε

λ

Δ

D

L

BW

IDF

=

=

(A.6)

ここに,

IDF

モード内分散因子

 (GHz

km

nm)

ε

誤差

特に,

ε

0.1

(すなわち誤差

10 %

)の場合を,式

(A.7)

に示す。

)

(

192

λ

D

IDF

=

(A.7)


13

C 6824

:2009

附属書 B

規定)

光ファイバの伝達関数,H(f)

ゼロ周波数での値によって規格化した入力パルス及び光ファイバ出力パルスのフーリエ変換は,式

(B.1)

及び式

 (B.2)

によって計算する。

+

+

=

dt

)

(

dt

e

)

(

)

(

-

t

a

t

a

f

A

ft

j

(B.1)

+

+

=

dt

)

(

dt

e

)

(

)

(

-

t

b

t

b

f

B

ft

j

(B.2)

ここに,

A(f)

規格化した入力パルスのフーリエ変換

B(f)

規格化した出力パルスのフーリエ変換

a(t)

時間軸での入力パルス

b(t)

時間軸での出力パルス

時間領域法では,光ファイバの伝達関数は,式

 (B.3)

によって計算する。

)

(

)

(

)

(

f

A

f

B

f

H

=

(B.3)

ここに,

H(f)

光ファイバの伝達関数

周波数領域法では,光ファイバの伝達関数は,式

 (B.4)

のように簡略化できる。

=

)

(

)

(

log

)

(

in

out

10

f

P

f

P

f

H

(B.4)

ここに,

P

in

(f)

8.1.3

で測定した入力の周波数応答

P

out

(f)

8.1.1

で測定した出力の周波数応答

光パワーで−

3 dB

の周波数

f

3 dB

は,|

H(f)

|=

0.5

となる最低の周波数で決まる。


14

C 6824

:2009

附属書 C 

規定)

その他の計算方法

C.1

  光ファイバのインパルス応答,h

(

t

)

被測定光ファイバのインパルス応答は,式

 (C.1)

によって計算する。

+

=

df

e

)

(

)

(

π

ft

j

f

H

t

h

(C.1)

ここに,

h(t)

被測定光ファイバのインパルス応答

H(f)

光ファイバの複素伝達関数(

附属書 参照)

注記  この計算を,周波数掃引法に対して行うには,インパルス応答を正確に計算するために位相の

情報も取得しなければならないが,ネットワークアナライザを用いれば,それが可能となる。

C.2

  RMS インパルス応答,厳密法

RMS インパルス応答は,C.1 の被測定光ファイバのインパルス応答を用い,式 (C.2) によって計算する。

(

)

2

/

1

2

1

2

rms

C

C

=

σ

(C.2)

ここに,

σ

rms

RMS インパルス応答

+

=

0

n

dt

)

(t

h

t

C

n

(C.3)

ここに,

n

1,2

t

時間

h(t)

被測定光ファイバのインパルス応答

C.3

  RMS インパルス応答,自乗差による近似

RMS インパルス応答は,入力パルスと出力パルスとの自乗平方根差に基づいて式 (C.4) によって計算す

る。

(

)

2

/

1

2

A

2

B

rms

σ

σ

σ

=

(C.4)

ここに,

σ

rms

RMS インパルス応答

σ

A

自乗平方根光ファイバ入力パルス幅

σ

B

自乗平方根光ファイバ出力パルス幅

σ

A

は式 (C.3) の h(t)  を時間軸での入力パルス a(t)  に,

σ

B

は式 (C.3) の h(t)  を時間軸での出力パルス b(t)

にそれぞれ置き換えて,計算する。


15

C 6824

:2009

附属書 D 

参考)

この規格と ITU 勧告との比較

序文

この附属書は,この規格と ITU 勧告との比較について記載するものであって,規定の一部ではない。

ITU-T

勧告 G.651 では,パルス法又は周波数掃引法のいずれか一方を基準測定法とするように定めてい

る。したがって,この規格による試験法は,ITU の基準測定法と同一である。ただし,技術的な要求項目

及び報告を要求する項目に,若干の相違点はある。

ITU-T

勧告 G.651 では,周波数応答曲線の全体を提示するように求めているが,この規格では要求しな

い。また,同勧告は周波数応答曲線に近似関数を当てはめることを許容しているが,この規格では許容し

ない。

実際には,限定した励振が一般的に用いられるが,それが ITU-T 勧告 G.651 に合致しない場合もある。

現時点では,検討中の文書の中に既存の ITU 勧告に影響を及ぼすものは見当たらない。


16

C 6824

:2009

附属書 E

規定)

GI

形マルチモード石英系光ファイバに対する全モード励振用

モードスクランブラに関する要求事項

E.1

  概要

この附属書は,レーザダイオード又はその他の光源によって,被測定光ファイバに対し均一な全モード

励振を与える励振条件について規定する。モードスクランブラを用いることで,その励振条件を得る。モ

ードスクランブラは,光源と被測定光ファイバとの間に設置し,光源の空間的放射特性にかかわらず被測

定光ファイバに対し,そのコア及び開口数よりも大きい放射光分布を与える。

しかし,多くのモードスクランブラの設計では,光源とモードスクランブラとの整列状態又は光源とコ

ネクタ若しくは結像光学系などが介在する光学系との相互作用の影響を受ける。したがって,光源又は光

学系を変更した場合には,性能の評価をやり直さなければならない。伝送容量の測定に用いる場合には,

全モード励振は良い測定再現性を与えるが,接続した長さに対して必ずしも最大の帯域を与えることは,

意図しない。さらに,ある特定の光源とモードスクランブラとの組合せは,ある一つのコア径及び開口数

をもつ被測定光ファイバに適していても,他の光ファイバにも適するとは限らない。

E.2

  装置

E.2.1

  光源

光源には,レーザダイオードなどを用いる。

E.2.2

  モードスクランブラ

モードスクランブラは,光源と被測定光ファイバとの間に設置し,励振条件を制御する装置である。モ

ードスクランブラの特定のデザインは規定しない。モードスクランブラの特性は,実際に用いる励振光学

系又は光ファイバの構造(コア径及び開口数)に依存する。

モードスクランブラの例として,二つの構成を次に示す。要求特性を満たせば他の構成でもよい。

例 1 S-G-S 形モードスクランブラ

図 E.1 に示す S-G-S 形モードスクランブラは,それぞれ長さ 1 m ずつの SI 形,GI 形及び SI

形光ファイバを順次接続した構成である。S-G-S 形モードスクランブラの製法については,

考文献 [1] 及び [2] を参照する。

例 2  曲げを付与した SI 形モードスクランブラ

図 E.2 に示す曲げを付与した SI 形モードスクランブラは,ある長さの一本の SI 形光ファイ

バを用いる(IEC 60793-1-40 の A.1.3 及び A.1.4 参照)

。例えば,光ファイバを蛇行させてマク

ロベンドを与えるか又はマンドレルに数回巻き付けることによって,レーザダイオードとの接

合状態に依存しにくいモードスクランブラを造ることができる。

E.2.3

  モードスクランブラの性能評価

モードスクランブラの性能を評価するためには,E.2.1 に記載の光源に接続し,出射光のニアフィールド

パターン及びファーフィールドパターンを測定する必要がある。そのための測定系は,JIS C 6822 による。

モードスクランブラ出射光の像によって性能評価試験を行う場合,それに適した測定系は,JIS C 6822 

規定したものとは異なる可能性がある。


17

C 6824

:2009

E.2.4

  微動軸合せ装置/光学系

モードスクランブラからの光を被測定光ファイバに結合するために,モードスクランブラの出射光を被

測定光ファイバの入射端に結合する光学系とともに用いる,微動軸合せ装置などを用いればよい。又は,

モードスクランブラの出射端と被測定光ファイバの入射端とを一時的に突き当てて結合させてもよい。

E.2.5

  クラッドモード除去器

モードスクランブラを損失測定に使用する場合には,被測定光ファイバのコーティングがクラッド伝搬

光を十分に除去できない限り,クラッドモード除去器を用いる。

E.3

  サンプル

サンプルは,光源,モードスクランブラ,微動軸合せ装置,組み込まれているコネクタ,結像光学系な

どの光学部品及び測定系で使用する光ファイバを含む。

E.4

  手順

E.4.1

  モードスクランブラの性能評価

モードスクランブラは,E.4.1.1E.4.1.2 及び E.4.1.3 の励振条件を作り出せなければならない。被測定光

ファイバの励振条件が,一連の測定にわたって安定的に要求した励振条件を満たす場合,モードスクラン

ブラの性能評価は,実際の測定系に組み込んだ状態で行う必要はなく,また,モードスクランブラを使用

した各々の測定ごとに行う必要もない。そのような高い安定性は,例えば,光源に対してモードスクラン

ブラを恒久的にピッグテール形態にするか,又は恒久的に結合することによって得られる。しかし,多く

のモードスクランブラの設計では,光源とモードスクランブラとの整列状態又はコネクタ若しくは結像光

学系などの介在する光学系との相互作用の影響を受ける。したがって,光源又は光学系を変更した場合,

性能評価をやり直さなければならない。

E.4.1.1

  被測定光ファイバの入射端への励振スポット

モードスクランブラを構成する光ファイバに結合した光源の被測定光ファイバのコアを励振するニアフ

ィールドパターンの変動は,被測定光ファイバのコア領域において 25 %以下でなければならない。被測定

光ファイバのコア径が未知の場合は,励振スポットは JIS C 6822 による。モードスクランブラを被測定光

ファイバに直接結合する場合は,

被測定光ファイバのコアを励振するニアフィールドパターンを測定する。

また,モードスクランブラの出力を光学的に被測定光ファイバの入射端に結像する場合は,励振するニア

フィールド分布を規定し,JIS C 6822 に定義したものと照合しなければならない。

E.4.1.2

  被測定光ファイバに対する励振放射角

モードスクランブラを形成する光ファイバに結合した光源の,被測定光ファイバを励振する光強度の角

度分布を測定しなければならない。励振した光強度の角度分布において,最大値の 5 %に減少する角度の

半値角のサインで定義する励振開口数は,被測定光ファイバの 5 %開口数より大きくなければならない。

被測定光ファイバの 5 %開口数が未知の場合は,IEC 60793-1-43 の手順のうちの一つによって規定しなけ

ればならない。モードスクランブラを被測定光ファイバに直接結合する場合には,被測定光ファイバのコ

アを励振するモードスクランブラからの出射光強度の角度分布を,IEC 60793-1-43 に従って測定する。ま

た,モードスクランブラの出力を光学的に被測定光ファイバの入射端に結像する場合には,励振した光強

度の角度分布を規定し,IEC 60793-1-43 に定義したファーフィールドと照合しなければならない。

E.4.1.3

  限定した条件での測定用の励振に対する付加的な要求事項

真に均一な励振分布を得るためには,次のいずれかの試験を行い,その要求事項を満たさなければなら


18

C 6824

:2009

ない。この細分箇条は,E.4.1.1 及び E.4.1.2 の測定に対する追加事項である。その試験方法とは,モード

スクランブラを励振するファーフィールドが限定した状態でのニアフィールドの追加測定  (E.4.1.3.1),又

はモードスクランブラを励振するニアフィールドが限定した状態でのファーフィールドの追加測定

(E.4.1.3.2)  のいずれかである。

E.4.1.3.1

  限定したファーフィールドでのニアフィールド測定

E.4.1.1

の要求事項(励振スポット)は,モードスクランブラによる励振開口数(すなわち,励振角)が

50 %以下に減少した場合でも満足しなければならない。このことを試験する適切な方法は,(典型値が 0.3

であるモードスクランブラの開口数の半分より小さい)約 0.1 の開口数をもつ,標準的なシングルモード

光ファイバを用いることである。ニアフィールドが,E.4.1.1 の要求事項を依然として満たすことを確認す

るために,このシングルモード光ファイバをモードスクランブラの出射端に沿って走査することによって

ニアフィールドの付加的な測定を行う。

E.4.1.3.2

  限定したニアフィールドでのファーフィールド測定

E.4.1.2

の要求事項(励振放射角)は,モードスクランブラによって励振する空間的領域(すなわち,ス

ポットサイズ)が 50 %以下に減少した場合でも,満足しなければならない。このことを試験するためには,

モードスクランブラ出射端の像面に設置したアパーチャを用いる。ファーフィールドが,E.4.1.2 の要求事

項を満たすことを確認するために,アパーチャでスポットを部分的に遮りながらファーフィールドの付加

的な測定を行う。

E.4.2

  モードスクランブラの出射端と被測定光ファイバとの接合位置合せ

E.4.1

の性能試験をモードスクランブラ出射光の像によって行った場合は,接合の位置合せに E.4.2.1 

示す方法 A を用いる。また,モードスクランブラの出射光を直接測定した場合には,方法 B 又は方法 C

E.4.2.2 及び E.4.2.3 参照)のいずれかを用いる。

E.4.2.1

  方法 A−結像光学系

モードスクランブラの出射光を被測定光ファイバに結像させる励振光学系を用いる場合(

図 E.1 参照)

は,微動軸合せ装置とレンズ系とによって被測定光ファイバのコアをモードスクランブラ出射光の像の中

心に設置する。モードスクランブラの性能評価試験には,像の大きさ又は励振角度のような結像光学系に

よる影響を含まなければならない。何らかの矛盾が生じる場合は,方法 A 又は方法 B を選択する。

E.4.2.2

  方法 B−取外し可能なスプライス

励振光学系を用いない場合は,モードスクランブラの出射端は,モードスクランブラのコア及び被測定

光ファイバのコアを整列させ,

両者の端面同士を密着させた一時的なスプライスによって接続してもよい。

この場合,モードスクランブラのコア径は,被測定光ファイバのコア径と同一又はそれよりも大きくなけ

ればならない。

E.4.2.3

  方法 C−突当て結合

励振光学系を用いず,かつ,

被測定光ファイバをモードスクランブラの出射端に突当て結合する場合は,

結合光量が最大となるように,被測定光ファイバを光軸及び垂直方向に動かして調整する。

E.4.3

  試験

モードスクランブラの性能評価後に,その出射端を方法 A,方法 B 又は方法 C によって被測定光ファイ

バに結合し,光ファイバの各種測定を開始する。

E.5

  結果の計算又は解釈

モードスクランブラの性能評価には,E.4.1.3 に示す合否判定条件を適用する。更なる計算は,不要とな


19

C 6824

:2009

る。

E.6

  結果

E.6.1

  各測定ごとに提出する情報

次の事項を,測定ごとに記録する。

a)

測定日

b)

使用した方法

c)

サンプルの詳細

d)

モードスクランブラの接合位置合せ方法:方法 A,方法 B 又は方法 C

e)

測定波長

E.6.2

  要求に応じ提出する情報

次の事項は,要求があった場合に記録する。

a)

モードスクランブラ及び光源に関する詳細

b)

励振スポット及び励振開口数が,被測定光ファイバのコア径にわたり均一であることを示すモードス

クランブラ性能評価データ

c)

測定者名

d)

測定に使用した装置及びその最終校正日

図 E.1−例 1S-G-S 形モードスクランブラ

図 E.2−例 2:曲げを付与した SI 形モードスクランブラ


20

C 6824

:2009

附属書 F

参考)

参考文献

[1]  HORIGUCHI, M., OHMORI, Y. and TAKATA, H., Profile Dispersion Characteristics in High-Bandwidth

Graded-Index Fibres. Applied Optics Vol. 19, 15 Sept. 1980, No. 18, p.3159

[2]  LOVE, WF., Novel mode scrambler for use in optical-fibre bandwidth measurements, Tech. Digest, Topical

Meeting on Optical Fibre Communications, March 6-8, 1979, Washington, D.C.; Paper ThG2, p. 118

[3]  KOBAYASHI,I., Bandwidth measurement in multimode optical fibres. Tech. Digest, Symposium on Optical

Fibre Measurements, Nat. Bur. Stand. (U.S.) Spec. Publ. 597, 1980, p. 49-54

[4]  TANIFUJI, T., et al, Baseband-frequency-response measurement of graded-index fibre using step-index fibre as

an exciter. Electron. Lett., March 29, 1979, No. 7, p.204

[5]  FRANZEN, DL. and DAY, GW., Measurement of optical fibre bandwidth in the time domain. Nat. Bur. Stand.

(U.S.) Tech. Note 1019; Feb. 1980

[6]  ITU-T  Recommendation G.651 : 1998,Characteristics of a 50/125 μm multimode graded index optical fibre

cable

[7]  IEC 60793-1-40 : 2001,Optical fibres−Part 1-40 : Measurement methods and test procedures−Attenuation 
[8]  IEC 60793-2-10,Optical fibres−Part 2-10 : Product specifications−Sectional specification for category A1

multimode fibres

[9]  IEC 60793-2-30 : 2002,Optical fibres−Part 2-30 : Product specifications−Sectional specification for category

A3 multimode fibres

[10]  IEC 60793-2-40 : 2002,Optical fibres−Part 2-40 : Product specifications−Sectional specification for

category A4 multimode fibres


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C 6824

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附属書 JA

参考)

JIS

と対応する国際規格との対比表

JIS C 6824 : 2009

  マルチモード光ファイバ帯域試験方法

IEC 60793-1-41 : 2003

  Optical fibres−Part 1-41 : Measurement methods and test

procedures−Bandwidth

(I) JIS の規定

(III) 国際規格の規定

(IV) JIS と国際規格との技術的差異の箇条

ごとの評価及びその内容

箇 条 番 号

及び名称

内容

(II)

国際規格
番号

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

(V) JIS と国際規格との技術的差

異の理由及び今後の対策

1  適 用 範

マ ル チ モ ー ド 光 フ
ァ イ バ の 帯 域 試 験

方法を規定

1

JIS

にほぼ同じ

追加

JIS

では,多成分系マルチモー

ド光ファイバを追加。

実質的な差異はない。

3  用 語 及
び定義

3.1  全モード励振 
3.2  限定モード励振 
3.3  入射ビームスポ

ット

3.4  半値幅

3

−3 dB 帯域

追加

JIS

では,3.1∼3.4 を追加。

国際規格には記載のない用語を

追加した。 
実質的な差異はない。

4  測 定 方
法の分類

測 定 方 法 の 分 類 に

ついて規定

追加

国際規格には記載のない測定方

法の分類を追加した。 
実質的な差異はない。

5  試 験 状

試 験 状 態 に つ い て
規定

追加

国際規格には試験状態に関する
記載がないため,JIS を引用した。

なお,国際規格については総則に

試験状態の記載があり,実質的な
差異はない。

6  装置

多 成 分 系 マ ル チ モ

ー ド 光 フ ァ イ バ に
対 す る 全 モ ー ド 励
振について規定

4

JIS

にほぼ同じ

追加

JIS

では,多成分系マルチモー

ド光ファイバを追加。

実質的な差異はない。

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 60793-1-41 : 2003,MOD

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C

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4


2

009

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C

 682

4


20
0

9


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注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。

    −  追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。

    −  MOD……………  国際規格を修正している。 

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