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C6804:2008 (IEC 60825-12:2005) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 2 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 要求条件························································································································· 6 

4.1 一般的条件 ··················································································································· 6 

4.2 区域分類に対するアクセスレベル及びクラス分けの要件 ························································ 7 

4.3 クラス分け ·················································································································· 14 

4.4 アクセスレベルの決定 ··································································································· 16 

4.5 設置付加保護システム(IPS) ····························································································· 16 

4.6 鏡面反射 ····················································································································· 16 

4.7 組織に対する要件 ········································································································· 17 

附属書A(参考)応用及び計算例 ··························································································· 20 

附属書B(参考)危険及び安全性分析の方法············································································· 28 

附属書C(参考)設置業者,サービス組織及び運用組織への手引き··············································· 29 

参考文献 ···························································································································· 31 

C6804:2008 (IEC 60825-12:2005) 

(3) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人光産業技術振興協会(OITDA)及び財

団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工

業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格              JIS 

C6804:2008 

(IEC 60825-12:2005) 

レーザ製品の安全− 

情報伝送のための光無線通信システムの安全 

Safety of laser products-Safety of free space optical communication 

systems used for transmission of information 

序文 

この規格は,2005年に第1版として発行されたIEC 60825-12を基に,技術的内容を変更することなく

作成した日本工業規格である。 

適用範囲 

この規格は,ポイントツーポイント(point to point:一対一)又はポイントツーマルチポイント(point to 

multipoint:一対多)の光無線データ伝送用のレーザ製品及びシステムに関して,それらの製造及び安全な

使用のための要求事項及び具体的な指針について規定する。この規格は,装置又はシステムから放射され

たビームを対象とする。装置又はシステムの一部が保護きょう体による制限範囲を拡張するような光ファ

イバ部分を含む場合,その部分にはJIS C 6803:2006で規定する製造及び安全に関する要件を適用する。 

この規格は,材料加工用又は医療用のために光パワーを伝達することを目的として設計されたシステム

には適用しない。 

この規格は,引火性又は爆発性雰囲気内で使用されるシステムには適用しない。 

この規格で,用語“レーザ”が用いられている場合には,発光ダイオード(LED)を含む。 

この規格の目的は,次のとおりである。 

− 危険性の程度に応じて,技術的手段及び要件,並びに運用上の措置及び作業要領を規定することによ

って,光無線通信システム(以下,“FSOCS”という。)から放出される潜在的に危険な光放射から保

護するための情報を提供する。 

− 適切な予防策が講じられるように,製造業者,設置業者,サービス組織及び運用組織に対し,手順を

確立し,文書化された情報を提供するための要件を規定する。 

光無線又は自由空間での情報伝送システムとして知られるFSOCSは,その性質上,設置,運用,保守,

サービスなども製造と同様に最大の注意を払い,システムの安全な配備及び使用を保証しなければならな

い。この規格は,通信装置及び/又はシステムの製造業者に,安全な使用方法に関する適切な情報を提供

するための要件及び製品の確実な安全要件に対する責任を負わせる。設置業者及び/又は運用組織に対し

て,これらのシステムを安全に配備する責任を負わせる。設置及びサービスの実行中は,設置業者及びサ

ービス組織に対して,運用及び保守の実行中は,運用組織に対して,安全指示を守る責任を負わせる。 

この規格の使用者は,上記の製造業者,設置業者,サービス組織及び運用組織というカテゴリの一つ又

は複数に該当する。 

C6804:2008 (IEC 60825-12:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

すべてのレーザ製品は,次の条件をすべて満たせば,この規格の要件を免除される。 

− 運用,保守,サービス及び故障のすべての条件下において,JIS C 6802:2005に準じた製造業者のクラ

ス分けによって,放射レベルがクラス1の被ばく放出限界(AEL)を超えない旨を示しているとき。 

− 組み込まれたレーザが,クラス1を超えないとき。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 60825-12:2005,Safety of laser products−Part 12 : Safety of free space optical communication 

systems used for transmission of information (IDT) 

なお,対応の程度を表す記号(IDT)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,一致していることを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)には適用しない。 

JIS C 6802:2005 レーザ製品の安全基準 

注記 対応国際規格:IEC 60825-1:2001, Safety of laser products−Part 1: Equipment classification and 

requirements (IDT) 

JIS C 6803:2006 レーザ製品の安全−光ファイバ通信システムの安全 

注記 対応国際規格:IEC 60825-2:2004, Safety of laser products−Part 2: Safety of optical fibre 

communication systems (OFCS) (IDT) 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 6802:2005によるほか,次による。 

3.1 

アクセスレベル (access level) 

FSOCSの設置によって,人の立入りの可能なすべての場所において考えられる潜在的な危険性のレベル。 

注記1 このアクセスレベルは,例えば,ビーム光路内に立ち入るなど合理的に予測できる状況下で

被ばくを受け得る光放射レベルに基づいている。これは,JIS C 6802:2005のクラス分け手順

と密接に関連している。 

注記2 実際には,光学器具とビームの軸とが完全に一致するには2秒又はそれ以上を要するので(そ

れは非制限区域で起こる場合がある。),その遅れ時間をアクセスレベルの決定方法に含めて

いる。 

3.2 

アクセスレベル1 (access level 1) 

合理的に予測される状況下で,人体の被ばくするレーザ放射が,使用する波長及び放出持続時間におい

てクラス1の被ばく放出限界 (AEL)を超えないアクセスレベル。 

3.3 

アクセスレベル1M (access level 1M) 

合理的に予測される状況下で,人体の被ばくするレーザ放射が,使用する波長及び放出持続時間におい

てクラス1Mの被ばく放出限界 (AEL)を超えないアクセスレベル。 

注記 アクセスレベル1Mの適用限界が,アクセスレベル3Rの限界値よりも大きくアクセスレベル

3Bの限界値よりも小さい場合,アクセスレベル1Mを適用する。 

C6804:2008 (IEC 60825-12:2005) 

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3.4 

アクセスレベル2 (access level 2) 

合理的に予測される状況下で,人体の被ばくするレーザ放射が,使用する波長及び放出持続時間におい

てクラス2の被ばく放出限界 (AEL)を超えないアクセスレベル。  

3.5 

アクセスレベル2M (access level 2M) 

合理的に予測される状況下で,人体の被ばくするレーザ放射が,使用する波長及び放出持続時間におい

てクラス2Mの被ばく放出限界 (AEL)を超えないアクセスレベル。 

注記 アクセスレベル2Mの適用限界が,アクセスレベル3Rの限界値よりも大きくアクセスレベル

3Bの限界値よりも小さい場合,アクセスレベル2Mを適用する。 

3.6 

アクセスレベル3R (access level 3R) 

合理的に予測される状況下で,人体の被ばくするレーザ放射が,使用する波長及び放出持続時間におい

てクラス3Rの被ばく放出限界 (AEL)を超えないアクセスレベル。 

注記 アクセスレベル1M又は2Mの適用限界が,アクセスレベル3Rの限界値よりも大きくアクセス

レベル3Bの限界値よりも小さい場合,アクセスレベル1M又は2Mを適用する。 

3.7 

アクセスレベル3B (access level 3B) 

合理的に予測される状況下で,人体の被ばくするレーザ放射が,使用する波長及び放出持続時間におい

てクラス3Bの被ばく放出限界 (AEL)を超えないアクセスレベル。 

3.8 

アクセスレベル4 (access level 4) 

合理的に予測される状況下で,人体の被ばくするレーザ放射が,使用する波長及び放出持続時間におい

てクラス3Bの被ばく放出限界 (AEL)を超えるアクセスレベル。 

3.9 

自動パワー減衰(APR : automatic power reduction) 

公称障害領域 (NHZ)又は光学器具使用公称障害領域 (NHZ-Aided)に人が立ち入るというように,最大許

容露光量 (MPE)を上回る光放射を人体が受ける可能性が生じたとき,公称障害領域(NHZ)又は光学器具使

用公称障害領域(NHZ-Aided)内での被ばくし得るパワーを,規定した時間内に規定した値以下に低減させる,

システム機器製造業者によって提供されるFSOCS送信部の特徴的機能。FSOCSでは,この機能は,送信

器の製造業者がクラス分けを決定するために使用される。 

3.10 

ビーコン (beacon) 

光学システムの照準又は軸合せを支援するための光源。 

3.11 

組込形レーザ製品 (embedded laser product) 

JIS C 6802:2005の3.29参照。 

3.12 

エンドツーエンドシステム (end-to-end system) 

空間中のある地点から他の地点へ効率的にデータ伝送するため,一つ以上の送信部及び一つ以上の受信

C6804:2008 (IEC 60825-12:2005) 

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部並びにその他必要な周辺機器によって構成されるFSOCS。 

3.13 

光無線通信システム (FSOCS:free space optical communication system) 

レーザ又はLEDによる変調された光放射の大気中の通過を介して,一般に音声,データ又はマルチメデ

ィア通信及び/又は制御目的の用途に使用される,固定設置された,可搬の又は仮設置されたシステム。

“光無線”は,指向性及び無指向性の光の屋内外での無線応用を意味する。発光部及び受光部は,分離し

ているもの及びしていないものがある。 

注記 この規格のすべての要件から免除されるクラス1のFSOCS製品は,箇条1を参照。 

3.14 

FSOCS送信器 (FSOCS transmitter ;transmitter) 

光を大気中に放出し,FSOCS内で使用される光送信器。 

3.15 

設置業者 (installation organization ;installer) 

FSOCSの設置に責任を負う組織又は個人。 

3.16 

設置付加保護システム (IPS:installation protection system) 

設置業者又は運用組織の提供する設置場所に付加された機能で,次の2点の機能をもつ。 

a) 制限区域若しくは管理区域における公称障害領域(NHZ)又は非制限区域における光学器具使用公称

障害領域(NHZ-Aided)の被ばく可能な範囲内への人の立入りを検知する。 

b) このような立入りを検出すると,規定した時間内に規定した値以下に,レーザによる被ばく出力レベ

ルを低減する。 

3.17 

区域 (location) 

人が立ち入っている又は立入り可能な,地点又は場所。 

注記 他の規格では区域分類(3.18〜3.21)と同じ用語を違う意味で用いていることもある。 

3.18 

非アクセス空間 (location of inaccessible space ;inaccessible space) 

通常は人が位置することができない場所。非制限区域,制限区域及び管理区域のいずれにも属さないす

べての開放空間。すなわち,いかなる非制限区域からも2.5 m以上の水平方向の隔たりをもち,かつ,非

制限区域の底面から上方に6 m以上の隔たり及び制限区域の底面から上方に3 m以上の隔たりをもつ空間

である。 

注記 非アクセス空間には,例えば,飛行物体などが入ることがあり得る。 

3.19 

管理区域 (location with controlled access ;controlled location) 

立入りが管理された区域。技術的又は管理的手段を施すことによって,適切なレーザ安全訓練を受けた

認定要員以外は立ち入ることができないようにした区域。 

3.20 

制限区域 (location with restricted access ;restricted location) 

立入りが制限された区域。レーザ安全訓練を受けていない者であっても,特別に許可された人[例えば,

外側からの窓ふ(拭)きを含む保守・サービス要員]は立ち入ることができるが,技術的又は管理的手段

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を施すことによって一般の人々(直接近くにいる作業者,来場者,居住者などを含む。)は,通常は立ち入

ることのできないようにした区域。 

3.21 

非制限区域 (location with unrestricted access ;unrestricted location) 

立入りを制限しない区域。送信・受信用機器及び放出光へのアクセスが制限されていない区域(一般の

人々も立ち入る。)。 

3.22 

製造業者 (manufacturer) 

光学部品及びその他の部品を組み合わせてFSOCSの製作及び改造を行う組織又は個人。 

3.23 

公称障害領域 (NHZ:nominal hazard zone)及び光学器具使用公称障害領域 (NHZ-Aided) 

a) 公称障害領域 (NHZ):直接光,反射光又は散乱光の放射レベルが,適用するMPE(JIS C 6802:2005

で示す条件での計測による。)を超える領域。公称障害領域(NHZ)境界外の被ばく量は,適用するMPE

よりも小さくなる。 

b) 光学器具使用公称障害領域 (NHZ-Aided):光学器具を使用した場合の直接光,反射光又は散乱光の放

射レベルが,適用するMPEを超える領域。光学器具を使用した場合,光学器具使用公称障害領域

(NHZ-Aided)の境界外の被ばく量は,適用するMPEよりも小さくなる。 

注記1 APRを4.3の条件下でのクラス分けに使用する場合を除いて,公称障害領域(NHZ)及び光学

器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)の領域は,IPS又はAPRのいずれも動作することなしに

定める。 

注記2 公称障害領域(NHZ)及び光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)の実例を,A.2に示す。 

3.24 

運用組織 (operating organization ;operator) 

FSOCSの運用及び保守に責任を負う組織又は個人。 

3.25 

光学器具による観察 (optically-aided viewing) 

光学的な補助器具(例えば,双眼鏡,拡大鏡)を用いた発光源のビーム内観察。 

注記1 コリメートされたビームのビーム内観察は,双眼鏡又は望遠鏡を用いた場合,遠方からの観

察でも目の障害を増大させる可能性がある。 

注記2 携帯式拡大鏡又はルーペは,大きく発散する光源を近接して観察すると,目の障害を増大さ

せる可能性がある。 

3.26 

主ビーム (primary beam) 

変調信号(データ)を伝送するビーム。 

3.27 

合理的に予測される事象 (reasonably foreseeable event) 

発生の可能性を無視することができない,十分あり得る事象又は条件。 

3.28 

サービス組織 (service organization) 

FSOCSのサービスに責任を負う組織又は個人。 

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3.29 

特殊工具 (special tool) 

一般消費者向けの金物店などで容易に入手することができない工具。 

注記 この範ちゅうに入る典型的な工具は,取り外しにくい止め具などに使用するものである。 

3.30 

スピルオーバ (spillover) 

受信端で受光されずに後方へ伝搬する放射エネルギー。 

注記 発光ビームは広がりながら受光部に到達するが,すべての光が受光部に入るわけではない。そ

の受光部から外れ,実際には無効となる光のことをいう。 

3.31 

光学器具を使わないビーム内観察 (unaided viewing ;without optical aids) 

拡大鏡又はその他補助的な光学器具を用いない裸眼による発光源のビーム内観察(視力矯正のための眼

鏡及びコンタクトレンズは光学器具とはみなさない。)。 

要求条件 

4.1 

一般的条件 

FSOCSでは,設置場所の区域分類に従ってこの規格の制限が課せられる。設置場所の区域分類によって

許容される製品のクラス及びアクセスレベルを,表1に示す。 

放射が送信,横切り又は受信される場所では,それぞれの場所での露光状態を個別に評価する必要があ

る。さらに,公称障害領域(NHZ)又は光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)内にあって放射被ばくの可能

性があるビーム光路に沿った場所も,許容アクセスレベル(表1)内にあるかを評価し,適用される適切

な管理基準を評価しなければならない。ビーム光路にある窓からの部分的反射が横切る場所についても,

放射がアクセスレベル1又は2を超える可能性があれば評価する必要がある。ある場所において,光無線

装置の設置及び運用に適用する4.2の制約は,その場所での送信又は受信する放射のいずれかの,より危

険な方によって決定しなければならない。  

例1 アクセスレベル1又は2の放射を受けるが,逆の方向へ向かってクラス1Mの送信器を使用し

ている場合,この複合条件は制限区域においては許容されるが,非制限区域においては,4.2.1.1

の規定のように,送信器が送信のアクセスレベルを1又は2まで低減しない限り許容されない。 

例2 スピルオーバのレベルがアクセスレベル1M又は2M,すなわち,光学器具使用公称障害領域

(NHZ-Aided)内にあるシステムでは,そのスピルオーバ(及び受信器の受信軸の周辺,例えば,

受信器の前において,人が被ばくし得る放射)は制限区域内,管理区域内,4.2.1.1に準じた非

制限区域内又は非アクセス空間に限定されなければならない。 

管理区域に設置されたクラス3B又は4の送信器に関して,非アクセス空間を含めて,管理区域以外の

区域を通過し得る全ビーム光路は,表1のアクセスレベルに対する制限に従わなければならない。幾つか

の応用においては,公称障害領域(NHZ)全体を絶えず監視し,人がビーム光路を遮ったときに,速やかに

自動パワー減衰を行うことによって,この条件を満たすことができる。 

公称障害領域(NHZ)のレベルに相当するあらゆるスピルオーバ(及び受信器の受信軸の周辺,例えば,

受信器の前において,人が被ばくし得る放射)は,管理区域内又は非アクセス空間に限定されなければな

らない。光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)のレベルに相当する付加的なスピルオーバは,制限区域内,

管理区域内,4.2.1.1に準じた非制限区域内又は非アクセス空間に限定されなければならない。 

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この規格では,危険度が増加する順に1,2,1M,2M,3R,3B,4というアクセスレベルの順位を適用

しなければならない。 

注記 アプリケーション上の理由によって,JIS C 6802:2005で使われている順位とは異なる。 

表1−製品のクラス及びアクセスレベルに対する制限 

区域分類 

許容される製品のクラス及び設置条件 

許容アクセスレベル 

非制限区域 

クラス1又は2 ‒ 要求条件なし 
クラス1M又は2M ‒ 4.2.1.1参照 
クラス3R ‒ 4.2.1.2参照 

1又は2 

制限区域 

クラス1,2,1M又は2M ‒ 要求条件なし 
クラス3R ‒ 4.2.2.1参照 

1,2,1M又は2M 

管理区域 

クラス1,2,1M,2M又は3R ‒ 要求条件なし 
クラス3B又は4 ‒ 4.2.3.1参照 

1,2,1M,2M又は3R 
 
3B又は4 ‒ 4.2.3.1参照 

非アクセス空間 

適用対象外 

1,2,1M,2M又は3R 

運用組織は,エンドツーエンドシステムの設置,サービス,保守及び安全使用に対して,最終的な責任

を負う。特に,次の事項を含む。 

−受信器の受光エリア外へのスピルオーバ,経路中に存在する窓からの部分的反射を含めた,人が被ばく

し得る全伝送経路のあらゆる場所における区域分類を特定する。 

−それらの区域分類において,表1に示す製品のクラス分け,アクセスレベル要件及び設置条件が満たさ

れていることを保証する。 

−設置,保守及びサービスが,4.2の要件を満たす能力をもつ組織だけによって実行されることを保証する。 

送信器製造業者,設置業者及びサービス組織に対する要件も,この規格に含む。 

4.2 

区域分類に対するアクセスレベル及びクラス分けの要件 

FSOCSの区域分類によって,放射の許容アクセスレベル,使用される装置のクラス分け及びそれによる

管理様式を定める。表1に,異なる区域分類に対して許容される製品のクラス及びアクセスレベルを示す。

図1及び図2に,この細分箇条で規定する商業施設及び居住地域の区域分類を示す。 

background image

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管理区域

管理区域

非アクセス空間

3m制限区域

3m非制限区域




施錠されたドア

非制限区域

管理区域

管理区域

非アクセス空間

3m制限区域

3m非制限区域




施錠されたドア

非制限区域

図1−商業施設 

制限区域

3m
非制限区域

非制限区域

制限区域

3m
非制限区域

非制限区域

図2−居住地域 

2.5 m 

3 m 

3 m 

3 m 

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4.2.1 

非制限区域における要件 

非制限区域とは,普通に人々の出入りができる区域をいう(例えば,屋上の出入りが制限されていない

区域,地上の公共の場所並びにオフィス及び工業用敷地の解放された区域)。開放できる窓及び囲われてい

ないバルコニーに関しては,図3に示すように非制限区域を周囲境界線から1 m水平に延長する。非制限

区域では,そこを横切る又は受信されるFSOCSの放射は,アクセスレベル1又は2でなければならない。 

FSOCSで使われ,かつ,追加条件なしで非制限区域に設置される空間ビームレーザ送信器は,クラス1

又はクラス2でなければならない。 

openable

window

public

rooftop

porch

volume under and within dashed line is unrestricted
volume under and within gray line is restricted

volume outside of gray line is inaccessible space

3 m

3 m

3 m

3 m

3 m

3 m

3 m

2,5 m

2,5 m

2,5 m

1 m

residential

or

office space

unrestricted

restricted

inaccessible

space

restricted

inaccessible

space

unrestricted

restricted

1 m

unrestricted

unrestricted

unrestricted

1 m

公共の屋上

制限区域

制限区域

制限区域

非アクセス空間

非アクセス空間

非制限区域

非制限区域

非制限区域

非制限区域

非制限区域

開放できる窓

バルコニ

居住又は

オフィス区域

破線の下及び内側は非制限区域

この線の下及び内側は制限区域

この線の外側の空間は非アクセス空間

openable

window

public

rooftop

porch

volume under and within dashed line is unrestricted
volume under and within gray line is restricted

volume outside of gray line is inaccessible space

3 m

3 m

3 m

3 m

3 m

3 m

3 m

2,5 m

2,5 m

2,5 m

1 m

residential

or

office space

unrestricted

restricted

inaccessible

space

restricted

inaccessible

space

unrestricted

restricted

1 m

unrestricted

unrestricted

unrestricted

1 m

公共の屋上

制限区域

制限区域

制限区域

非アクセス空間

非アクセス空間

非制限区域

非制限区域

非制限区域

非制限区域

非制限区域

開放できる窓

バルコニ

居住又は

オフィス区域

破線の下及び内側は非制限区域

この線の下及び内側は制限区域

この線の外側の空間は非アクセス空間

図3−屋外の区域分類例  

4.2.1.1 

非制限区域でのクラス1M及びクラス2Mレーザ製品の使用 

非制限区域では,クラス1M又は2Mの送信器の設置及び使用は,次のすべての条件が満たされる場合

だけに許される。 

a) 送信器は,次のうち少なくとも一つの条件を満たすように設置しなければならない。 

1) 光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)内での光学器具の使用が,合理的に予測される事象ではない。 

− 平行ビーム送信器 JIS C 6802:2005の表10の条件1を満たさない平行ビーム送信器は,送信器

2.5 m 

2.5 m 

2.5 m 

バルコニー 

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10 

C6804:2008 (IEC 60825-12:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

から2 m以上の距離にある光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)で,双眼鏡又は望遠鏡を用いた

観察ができるように設置してはならない。例えば,クラス1M又は2Mの装置を非制限区域の屋

上の端に置くことは,2 m以上送信器から離れた光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)内のすべ

てのポイントが制限区域内(図3に示すように屋上の端に接する非制限区域を1 m延長した地点

の外側)にある場合には,許容される。この条件を,図4に示す。 

注記1  送信器から2 m以内の距離での双眼鏡又は望遠鏡の使用は,合理的に予測される事象

とみなさない。ただし,送信器はできる限り窓の近く又は屋上の端に置くのがよい。 

− 発散ビーム送信器 JIS C 6802:2005の表10の条件2を満たさない発散ビーム送信器は,送信器

から100 mm以内の距離にある光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)で,ルーペ又は拡大鏡を用

いた観察ができるように設置してはならない。例えば,クラス1M又は2Mの無線装置を天井に

設置することは,送信器から100 mm以内にあるビーム光路内からの観察を窓又は他の仕切りな

どが遮る場合には,許容される。 

注記2 合理的に予測される事象は,運用組織の責任で判断する(例えば,ISO 14121は,リス

クアセスメント規格である。)。 

2)  送信器は,図5に示すとおり,被ばくし得るエネルギーがアクセスレベル1又は2に制限されるよ

うに,設置時に設置付加保護システム(IPS)に連動するインタロックコネクタを備えなければなら

ない。 

b) 設置は,アクセスレベル1又は2を超えるレーザエネルギーが非制限区域内に(例えば,窓から)反

射して入り込まないことを保証しなければならない。 

c) 送信器及び/又はシールドは,それを移動又は取り外すときには特殊工具を必要とし,更に,送信器

又はシールドの移動前後における危険を警告する明りょうなラベルをはらなければならない。又は送

信器及び/又はシールドは,インタロックを備えていなければならない。 

クラス1M又は2M
のFSOCS送信器

非制限区域の屋上

<2m

制限区域
又は
非アクセス空間

非制限区域を屋上端から
1 m延長

クラス1M又は2M
のFSOCS送信器

非制限区域の屋上

<2m

制限区域
又は
非アクセス空間

非制限区域を屋上端から
1 m延長

図4−非制限区域の屋上の端近くに設置されたクラス1M又は2Mの送信器 

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11 

C6804:2008 (IEC 60825-12:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

FSOCS送信器

NHZ-Aided

PIPS

天井

MPE(光学器具使用)より小さい領域

(NHZ-Aided外)

PIPS=設置付加保護システム(IPS)監視領域

FSOCS送信器

NHZ-Aided

PIPS

天井

MPE(光学器具使用)より小さい領域

(NHZ-Aided外)

PIPS=設置付加保護システム(IPS)監視領域

 クラス1M送信器の光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)を監視する

設置付加保護システム(IPS)の例。監視領域への侵入を検知すると,光パワ
ーは光学器具使用時のMPEレベル以下まで低下する。 

図5−非制限区域におけるクラス1Mの送信器 

4.2.1.2 

非制限区域でのクラス3Rレーザ製品の使用 

非制限区域では,クラス3RのFSOCS送信器の設置及び使用は,次のすべての条件が満たされる場合だ

けに許される。 

a) 送信器は,次のうち少なくとも一つの条件を満たすように設置しなければならない。 

1) 公称障害領域(NHZ)内での目への露光,及び光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)内での光学器具

の使用が,合理的に予測される事象ではない。 

2) 送信器は,図5に示すとおり,被ばくし得るエネルギーがアクセスレベル1又は2に制限されるよ

うに,設置時に設置付加保護システム(IPS)に連動するインタロックコネクタを備えなければなら

ない。 

注記 合理的に予測される事象は,運用組織の責任で判断する(例えば,ISO 14121は,リス

クアセスメント規格である。)。 

b) 設置は,アクセスレベル1又は2を超えるレーザエネルギーが非制限区域内に(例えば,窓から)反

射して入り込まないことを保証しなければならない。 

c) 送信器及び/又はシールドは,それを移動又は取り外すときには特殊工具を必要とし,更に,送信器

又はシールドの移動前後における危険を警告する明りょうなラベルをはらなければならない。又は送

信器及び/又はシールドは,インタロックを備えなければならない。 

4.2.2 

制限区域における要件 

制限区域とは,一般の人々は立ち入ることができないが,レーザ安全訓練を受けていなくても特別に許

可された者が立ち入ることができる区域をいう。光学器具を使用した観測状態が合理的に予測されるとこ

ろでは,表2に示すように,適切な警告標識を提示しなければならない。 

PIPS 

PIPS 

12 

C6804:2008 (IEC 60825-12:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

屋内での制限区域の例には,オフィス内又は工業用建物内の設備室又は物置,及び施錠した又は専用の

部屋がある。屋内の制限区域にはFSOCSのレーザ安全訓練を受けていない保守・サービス要員又は引率

された訪問者が立ち入ることができる。 

制限区域は,屋外にも存在している。建物の外部側面の制限区域は,図3に示すように,建物の外表面

から外側へ2.5 mまで,又はバルコニー若しくは階段から外側へ1 〜3.5 mの範囲までとする。屋外での

制限区域の例には,商業施設又は工業施設屋上の立入りの制限された区域,電柱又は足場が存在する場所

がある。屋外の制限区域には,FSOCSのレーザ安全訓練を受けていない窓清掃員又は保守・サービス要員

が立ち入ることができる。 

屋外区域は,次の条件のどちらか一方を満たしている場合は制限区域とみなす。 

a) 非制限区域の底面から上方の3〜6 mの範囲内 

b) 非制限区域から水平距離2.5 mの範囲内で,かつ,適用可能であれば,直下の非制限区域の底面から

上方3 m以上となる範囲 

制限区域では,そこを横切る又は受信される自由空間光信号は,アクセスレベル1M又は2Mを超えて

はならない(すなわち,光学器具を使用しないでMPE限界以下)。 

FSOCSで使用され,追加条件なしに制限区域に設置する空間ビームレーザ送信器は,クラス1,2,1M

又は2Mでなければならない。 

4.2.2.1 

制限区域でのクラス 3Rレーザ製品の使用 

制限区域におけるクラス3Rの送信器の設置及び使用は,次のすべての条件が満たされる場合だけに許

される。 

a) 送信器は,次のうち少なくとも一つの条件を満たすように設置しなければならない。 

1) 公称障害領域(NHZ)内での目への露光及び光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)内での光学器具

の使用が,合理的に予測される事象ではない。 

2) 送信器は,図6に示すとおり,被ばくし得るエネルギーがアクセスレベル1,2,1M又は2Mに制

限されるように,設置時に設置付加保護システム(IPS)に連動するインタロックコネクタを備えな

ければならない。 

b) 設置は,アクセスレベル1M又は2Mを超えるレーザエネルギーが制限区域内に(例えば,窓から)

反射して入り込まないことを保証しなければならない。 

c)  送信器及び/又はシールドは,それを移動又は取り外すときには特殊工具を必要とし,更に,送信器

又はシールドの移動前後における危険を警告する明りょうなラベルをはらなければならない。又は送

信器及び/又はシールドは,インタロックを備えていなければならない。 

d) 光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)のレベルをもち,受信器外にはみ出すスピルオーバは,制限区

域内に限定しなければならない。スピルオーバが非制限区域にはみ出す場合には,4.2.1.1の条件に従

わなければならない。 

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13 

C6804:2008 (IEC 60825-12:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

FSOCS送信器

NHZ

PIPS

天井

MPE(光学器具不使用)より小さい領域

(NHZ外)

PIPS=設置付加保護システム(IPS)監視領域

屋外

屋内

FSOCS送信器

NHZ

PIPS

天井

MPE(光学器具不使用)より小さい領域

(NHZ外)

PIPS=設置付加保護システム(IPS)監視領域

屋外

屋内

 クラス3R送信器の公称障害領域(NHZ)全体を監視する設置付加保護システ

ム(IPS)の例。監視領域への人の侵入を検知すると,光パワーは光学器具不
使用時のMPEレベル以下まで低減する。公称障害領域(NHZ)が屋内から
屋外までわたる場合には,更に注意が必要である。 

図6−制限区域内におけるクラス3Rの送信器 

4.2.3 

管理区域における要件 

管理区域は,適切なレーザ安全訓練を受けて任命された者を除いて,通常立ち入ることができない区域

(例えば,塔上に設置された通信装置,屋上の囲いで守られた領域,厳重に入室管理される施錠された部

屋など)である。 

管理区域では,クラス1,2,1M,2M及び3R送信器の設置及び使用は,条件の付加なしに許可される。 

管理区域では,そこを横切る又は受信されるFSOCSの放射は,4.2.3.1の条件を除き,アクセスレベル

1M,2M又は3Rを超えてはならない。 

4.2.3.1 

管理区域でのクラス 3B及びクラス4レーザ製品の使用 

一般に, FSOCS装置の設置及び使用時には,アクセスレベル3B及び4を避けるような方策が望ましい。 

ただし,アクセスレベル1M,2M又は3Rを超える領域が管理区域に制限されれば,工業規格の安全な対

策(例えば,JIS C 6802:2005)が,アクセスレベル3B及び4の人体への被ばくを防止する方策として許

可される。アクセスレベル3B又は4は,管理区域の外では許可されないことに注意する。 

管理区域では,次のすべての条件が満たされるなら,クラス3B及び4の空間ビームレーザ送信器を設

置及び使用してもよい。 

a) IPSが,管理区域の境界の外側に広がる公称障害領域(NHZ)全体を含む空間への人の侵入を検知し,か

つ,規定の時間内に規定のレベルにレーザパワーを減少させるように設置付加保護システム(IPS)を配

置する(4.5参照)。 

PIPS 

PIPS 

14 

C6804:2008 (IEC 60825-12:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 誤差要因又は光軸ずれを含めて,公称障害領域(NHZ)を決定することに注意することが望ま

しい。 

b) 受信装置を公称障害領域(NHZ)内に配置する場合,公称障害領域(NHZ)のレベルに相当する受信器から

のいかなるスピルオーバも管理区域内に含まなければならない。 

c) 光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)のレベルに相当する受信器からあふれた余分なスピルオーバ

も,4.2.1.1を満たさない限り,非制限区域内に入ってはならない。 

d) 運用組織に属するレーザ安全管理者(JIS C 6802:2005参照)は,管理区域内でのレーザ障害に対する

安全対策を確立して実行する責任がある。 

4.2.4 

非アクセス空間での要件 

非アクセス空間は,非制限,制限又は管理区域に含まれないすべての区域を含む。この区域は,次によ

る。 

a) 建物の外側面から水平方向に2.5 mの距離,又は建物の占有区域(例えば,バルコニー,階段,開閉

可能な窓)から水平方向に3.5 mの距離を隔てて外側に延長される区域。 

b) 制限区域の境界線から水平方向に外側へ延長され,かつ,非制限区域の底面から上方向に6 mの距離,

又は制限区域の底面から上方向に3 mの距離を隔てて,垂直方向に上側へ延長される区域。これらの

条件を,図3に示す。 

非アクセス空間では,自由空間光放射による被ばくは,アクセスレベル1M,2M又は3Rを超えてはな

らない。 

FSOCS送信器による公称障害領域(NHZ)が航行可能空域と重なる場合は,適切な航空当局に届出をしな

ければならない。可視レーザビームが空港の近くで使われる場合は,付加的な規制要件が存在することが

ある。 

4.3 

クラス分け 

FSOCS送信器のクラス分けは,JIS C 6802:2005で規定するように,被ばくし得る光放射量の測定又は評

価に基づき,製造業者が決定する。製品をクラス分けする場合,及び表1に示すように適切な区域での使

用を決定する場合に,運転中に被ばくし得る主ビーム及びアライメント用又はビーコン用ビームの両方を

考慮しなければならない。検証試験は,適切な条件,例えば,JIS C 6802:2005で規定する限界開口及び持

続時間を用いて,被ばくし得る位置で実施しなければならない。 

FSOCS機器は,公称障害領域(NHZ)又は光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)内へ人が侵入すると,

放射パワーを減少させるAPRシステムが作動するように設計してもよい(4.3.1参照)。FSOCSへの適用に

ついては,FSOCS送信器のクラス分けを決定すること,及び最初の人体への被ばくが生じてから2秒以降

に被ばくされる放射に基づきアクセスレベルの分類を決定することが許可されている。光学器具なしでの

観測条件で測定された露光量は,2秒間でクラス1,2,1M及び2Mに分類される装置に対するAELを超

えてはならない。光学器具を用いない観測条件は,JIS C 6802:2005の表7による。APRシステムは,それ

を動作させたとき,クラス1,2,1M又は2Mに分類される送信器にだけ許可される。 

注記 2秒の根拠 人が双眼鏡又は他の光学器具を用いて2秒以内に完全に自由空間光ビームに対し

て軸合せをするのは困難なため,人が2秒以内にビームの全パワーを目に入れることは合理的

に予測可能ではないためである。 

4.3.1 

自動パワー減衰 (APR) 機構 

APRシステムは,人体がビーム全体を遮断,又はビームのごく一部分(JIS C 6802:2005の表10に示す

15 

C6804:2008 (IEC 60825-12:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

50 mm,25 mm,7 mm,3.5 mm又は他の開口に含まれる部分)を遮断するときのように,人体が,適用さ

れるMPEを上回る被ばくを受ける事象が生じるときはいつでも,被ばくパワーを規定の時間内に規定の

レベルに引き下げるように製造業者がFSOCS送信器に備える機能をいう。 

APRシステムの動作は,4.4に示すように,FSOCS送信器のクラス分け及び監視される区域でのアクセ

スレベルに影響を与える。APRは,公称障害領域(NHZ)又は光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)を監視

し,パワーを減少させる機構をいう。APRシステムは,非制限,制限及び管理区域内で被ばくを制限する

ために使用する設置付加保護システム (IPS)には拡張されない。 

APRシステムがなければクラス4であるFSOCS送信器は,APR故障時に非制限区域内でアクセスレベ

ル4とならないように設置する。 

4.3.1.1 

APR性能要件 

APRは,次の項目を達成しなければならない。 

a) APRによって低減したアクセスレベルに応じて,公称障害領域(NHZ)全体又は光学器具使用公称障害

領域(NHZ-Aided)全体を監視する。 

b) 公称障害領域(NHZ)又は光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)への人体の侵入を検知し,規定の時間

内に規定のレベルへ被ばくパワーを減少し,危険のおそれのある期間,規定のレベル又はそれ以下に

パワーを維持する。 

c) パワーを減少させるために許容される2秒間においても,クラス1,2,1M又は2M製品に対しては,

遮断点において,露光量が光学器具なしのMPE(JIS C 6802:2005に示すような)を超えないようにす

る。 

d) すべてのサブシステム(例えば,スイッチ,エレクトロニクス,ソフトウェア及びセンサを含む。)に

十分な信頼性をもたせて単一故障耐性を備えさせる。例えば,システムの単一故障が複数発生する場

合に,クラス1 若しくは2製品において,光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)範囲内でそれぞれ

アクセスレベル1 若しくは2を超える被ばくエネルギーが生じるときに,又はクラス1M若しくは2M

製品において,公称障害領域(NHZ)範囲内でそれぞれアクセスレベル1M若しくは2Mを超える被ばく

エネルギーが生じるときに,APRの安全機能を実行する。 

注記1  附属書Bに,信頼性評価試験の幾つかの例を示す。 

e) 設置又はサービス作業のためにAPR解除機構が装備されている場合,APRが解除されている間は,

通常動作の再開を抑止しなければならない。さらに,視覚的又は聴覚的な警告によって,APRが解除

されていることを明確に示さなければならない(JIS C 6802:2005インタロック解除要件に基づく。)。 

f) 

APRシステムがない場合に,クラス3B又は4となる送信器において単一故障が発生した場合,APR

システムの安全機構は,次の二つの機能を起動させなければならない。 

1) 故障発生から2秒以内に,非制限区域に設置されている場合はクラス1又は2に,制限区域又は管

理区域のいずれかに設置されている場合はクラス1,2,1M又は2Mに,それぞれ送信器の放射レ

ベルを減少する(2秒間の減少期間中,光学器具なしのMPEを超えてはならない。)。 

2) ネットワークモニタリングシステムによって,運用組織へ単一故障状態を通知する。 

g) 検知可能な方法が多岐にわたるために,製造業者は,APRを動作させる検知システムの性能を十分に

確認するための試験方法を決めなければならない。試験は,子供から大人まで考慮するのがよい(た

だし,区域の種類によって年齢が限定される場合を除く。)。同様に,試験は,想定される設置区域に

おいて合理的に予測されるビームへの侵入速度を考慮するのがよい。 

注記 パワー減少が2秒未満で実行されるならば,その持続時間内でのMPEを用いてもよい。 

16 

C6804:2008 (IEC 60825-12:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試験及び評価は,合理的に予測される故障条件の下で実行しなければならない。幾つかの複合システム

では,光出力は他の構成要素の完全性並びに回路及びソフトウェアの性能に依存しており,危険・安全評

価のための他の認められた方法を使用する必要がある(附属書B参照)。 

APRが安全条件を決定すれば,送信器の全開出力運転は許可される。 

APRを組み込んだFSOCSのクラス分け及びアクセスレベル評価は,すべての適用可能な時間基準で開

始時及び再開時の条件を考慮しなければならない。安全条件が確立されるまで,その設置区域における適

切な放出及び被ばく限界を超えてはならない。 

4.4 

アクセスレベルの決定 

アクセスレベルの決定は,運用組織に最終的な責任がある。保守・設置業者及びサービス組織が,それ

を決定してもよい。アクセスレベルの適合性を判断する方法は,次のa)〜c)を除き,JIS C 6802:2005のク

ラス分けで規定したものと同じとする。 

a) 指定区域内でのアクセスレベルは, アクセスレベルが最大となる場所及びシステムに介在する窓のよ

うな要素に影響される場所など,FSOCS送信器に関連したあらゆる場所において決定しなければなら

ない。 

b) アクセスレベルは,IPS又はAPRシステムの作動に依存する場合がある。 

c) IPS又はAPRがアクセスレベルを決定しようとする区域を監視している場合,人の立入り直後の2秒

間は,被ばくし得る放射がMPEを超えてはならない。IPS又はAPRによる区域の監視がない場合は,

JIS C 6802:2005のクラス分けに使用する同じ方法を,アクセスレベルの決定にも使用する。光学器具

なしでの観測条件は,JIS C 6802:2005の表7を参照する。 

注記 2秒の根拠 人が双眼鏡又は他の光学器具を使用して,2秒以内に,完全に自由空間光学ビー

ムに対して軸合せをするのは困難であるため,人が2秒以内にビームの全パワーを受光する

ことはあり得ないためである。人の立入り後2秒の間に,人体のどの部分も1,2,1M,2M

又は3Rのアクセスレベルに対し光学器具なしのMPEを超えて被ばくしないであろう。 

アクセスレベルの検証試験は,APR及び/又はIPSが使用されれば,適正に作動していることを保証す

るために,合理的に予測される単一故障条件の下で実行されなければならない。直接測定を実行すること

が困難な状況では,アクセスレベルの評価は計算に基づいてもよい。適用されるAELを超える放射が限定

された時間内だけに生じるような故障,及び製品の運転休止前又はAEL以下への調整前における人への被

ばくが合理的に予測可能でないような故障を,考慮する必要はない。 

4.5 

設置付加保護システム(IPS) 

IPSは,APRシステムと同様に機能することが特徴であるが,製造業者によってFSOCS送信器に組み込

まれるものではない。その代わり,設置業者がFSOCS送信器にIPSを組み込んで,適用されるMPEを上

回る放射を人体が被ばくするような事象が生じたときに,定められた区域での被ばくパワーを規定の時間

内に規定のレベルに引き下げるようにすることができる。APRシステムのための要件(4.3.1.1参照)は,

IPSに適用可能であるが,送信器のクラス分けは,IPSの動作に基づいて決定してはならない。 

IPSとFSOCS送信器間とは,送信器の製造業者によって提供されたリモートインタロックコネクタ又は

それと同等の機能のもので接続しなければならない。リモートインタロックコネクタ又は同等のものを備

えていないFSOCS送信器は,IPSを使用してはならない。 

4.6 

鏡面反射 

FSOCSを設置して動作させるときは,主ビーム及びビーコン又はアライメント用送信器ビームの意図し

ない反射(全体及び/又は一部)を防ぐように注意しなければならない(これは良い作業慣行の例として,

17 

C6804:2008 (IEC 60825-12:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

すべてのレーザクラスに適用したほうがよい。)。レーザビームの偶発的な誤方向への照射及び予期しない

反射の可能性は,アクセスレベル及び公称障害領域(NHZ)の評価において,システムの設置業者及び/又

は運用組織が適切に考慮しなければならない。 

4.7 

組織に対する要件 

4.7.1 

完成されたFSOCS伝送装置又は即使用可能なシステムの製造業者に対する要件 

FSOCS送受信装置又は即使用可能なエンドツーエンドシステムの製造業者は,次の要件を満たさなけれ

ばならない。 

a) 装置が,次に列挙するJIS C 6802:2005の製造要件を満たすことを保証しなければならない。 

1) 製品のクラス分け 

2) 技術的特徴(例えば,放射標識,リモートインタロックコネクタなど) 

3) クラス分けに対応したラベル,手引書及びその他適切な書類 

b) FSOCSが送信器又は受信器からの延長用として光ファイバを使用する場合,装置がJIS C 6803:2006

の製造要件を満たすことを保証しなければならない。 

c) 次に示す付加情報を提供しなければならない。 

1) アクセスレベル1,2,1M,2M又は3Rを超える放射露光を防止するために,製品に組み込んだ技術

的設計の特徴に関する十分な記述。 

2) 適切な組立,調整,保守及びアクセスレベル1,2,1M,2M又は3Rを超える放射の被ばくを防止す

るための予防策に関する,明りょうな警告を含めた安全使用のための適切な取扱説明。 

3) 被ばく放射が4.2の要件を超えないように,製品が設置され,かつ,サービスされることを保証する

ための,設置業者及びサービス組織への十分な取扱説明。これらは水平及び垂直方向のスペースに関

する要件,非制限区域・制限区域・管理区域及び非アクセス空間の定義又は要件,更に,許されるの

であれば,起こり得る被ばくを低減する目的でビーム広がりを増加又は減少させるために必要なあら

ゆる調整に適用される手順及び予防措置を含む。 

4) APR又はIPSを製造業者が提供する場合には,それらの反応時間及び動作パラメータ(例えば,目標

とするアクセスレベルに達するまでの時間)。 

5) 設置時又はサービス時にAPR又はIPSを無効にすることが要求される場合は,パワー減衰システム又

は侵入検知が無効となる期間,安全な作業慣行及び予防措置に関する情報,並びにそのシステムの回

復及び試運転に関する安全な手順等の情報を含めなければならない。 

6) 設置業者又は運用組織が,送信器に関係するあらゆる位置において,最大アクセスレベルを決定でき

るようにするため,FSOCS機器の製造業者は,十分な情報を提供しなければならない。 

7) IPSをリモートインタロックコネクタ又は等価的な伝送インタフェースに接続するための取扱説明。 

8) クラス分けの基となった条件を記す情報(JIS C 6802:2005の表10の条件1又は2)。 

9) 製品がクラス1M又は2Mを超えている場合は,公称障害領域(NHZ)を示さなければならない。 

10) クラス1以外のすべての製品には,光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)があれば,記述しなけれ

ばならない(A.2の例題参照)。 

11)FSOCS製品の安全使用に関連したその他の情報。 

4.7.1.1 

製造業者による追加の取扱説明 

製造業者はこの規格の定義に従って,設置手引書中に設置区域の種類を明確に定義し,非制限区域,制

限区域又は管理区域のいずれかにそのFSOCSの設置を意図したかを明示しなければならない。 

注記 APRを備えた製品は,4.3.1.1 f)によって設置場所が制限されることがある。 

18 

C6804:2008 (IEC 60825-12:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

設置手引書には,次に示す語句を含めなければならない。 

“注意 − この手引書に明記された以外の制御,調整又は手順は,危険な放射露光をもたらす可能

性があります。” 

“航行可能空域を公称障害領域(NHZ)が横切る場合,適切な航空当局に届出をしなければならない。” 

4.7.1.1.1 送信器 

設置手引書は,FSOCSのクラスごとに次の語句を含まなければならない。 

クラス1 FSOCS送信器 “これはクラス1のFSOCS送信器であり,この手引書中で定義した,非制限区

域,制限区域又は管理区域に設置することができます。” 

注記 この記述は,箇条1に記した免除事項を満たす送信器には要求しない。 

クラス1M FSOCS送信器 “注意,これはクラス1M のFSOCS送信器であり,この手引書中で定義した,

非制限区域,制限区域又は管理区域に設置することができます。非制限区域での使用に対する設置制限を

参照。” 

クラス2 FSOCS送信器 “注意,これはクラス2のFSOCS送信器であり,この手引書中で定義した,非

制限区域,制限区域又は管理区域に設置することができます。” 

クラス2M FSOCS送信器 “注意,これはクラス2MのFSOCS送信器であり,この手引書中で定義した,

非制限区域,制限区域又は管理区域に設置することができます。非制限区域での使用に対する設置制限を

参照。” 

クラス3R FSOCS送信器 “注意,これはクラス3RのFSOCS送信器であり,この手引書中で定義した,

非制限区域,制限区域又は管理区域に設置することができます。非制限区域での使用に対する設置制限を

参照。” 

クラス3B FSOCS送信器 “注意,これはクラス3BのFSOCS送信器であり,この手引書中で定義した,

管理区域に設置することができます。” 

クラス4 FSOCS送信器 “注意,これはクラス4のFSOCS送信器であり,この手引書中で定義した,管

理区域に設置することができます。” 

4.7.1.1.2 

受信器 

受信器又は受信位置に送信器を備えていないシステムに関して,その受信器が光学器具使用時のMPE

を超える光放射の受信を必要とするかどうかに関して,及びその受信器をどのように適切に配置するかに

関して,適切な情報を提供しなければならない。 

4.7.2 

設置業者及びサービス組織に対する要件 

FSOCSの設置業者及びサービス組織は,被ばく放射が4.2の要件を満たすことを保証するように,機器

の設置時及びサービス時において,製造業者の提供する取扱説明書に従わなければならない。 

クラス1及び2以外のシステムに対しては,設置業者及びサービス組織は次の事項に従わなければなら

ない。 

a) 設置及びサービスを行う人員に対して,十分なレーザ安全教育を提供する。 

b) 適切なアクセス管理及び警告標識が,表2に従って実施されることを保証する。警告標識を要求する

各区域は,“アクセスレベルxx,JIS C 6804”という文字を含める。 

警告標識は,表2に示すように,(危険領域への侵入に対して十分に警告するため)装置に隣接した

位置及び入口のドア横にはり付ける。 

c) IPSモニタを使用する場合,その目的の防御機能を確実に提供する。 

d) クラス3B及び4のFSOCSでは,非制限区域及び制限区域で受信される放射並びに管理区域で受信又

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19 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

は送信される放射に対して4.2で規定したアクセスレベル制限を,ビーム調整の安定性及び据付けの

制約を考慮した,合理的に予測される状況の下で満たすことを,解析又は試験によって実証する。 

表2−警告標識に関する要件 

アクセスレベル 

区域分類 

非制限区域 

制限区域 

管理区域 

なし 

なし 

なし 

なし 

なし 

なし 

1M a)  

適用されない b) 

なしc) 

なしc) 

2M a) 

適用されないb) 

装置隣接 

装置隣接 

3R 

適用されないb) 

適用されないb) 

装置隣接及び入口 

3B 

適用されないb) 

適用されないb) 

装置隣接及び入口 

適用されないb) 

適用されないb) 

装置隣接及び入口 

注a) アクセスレベル1M又は2Mにおいて,警告標識を提示する場合,“光学器具(双眼鏡又は望遠鏡)

を使用してはならない”という語句を含めなければならない。製品が,JIS C 6802:2005の表10の
条件2(高発散ビーム)を満たさないために1M又は2Mにクラス分けされる場合は,“(双眼鏡又
は望遠鏡)”を“(拡大鏡)”に置き換える。 

b) この区域では,各アクセスレベルが許容されていないため適用しない(表1参照)。 

c) 制限区域又は管理区域においてアクセスレベル1M用の警告標識を示さない場合,代替となる管理

的手段によって危険な光学器具による観察を効果的に防止することを保証するのは,運用組織の責
任である。 

4.7.3 

運用組織に対する要件 

運用組織は,エンドツーエンドシステムの安全に対して最終的な責任をもつ。これには特に,次の事項

を含む。 

a) 光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)内にあって,かつ,人体への被ばくが可能となる全伝搬経路に

おけるすべての箇所において,区域の種類を決定する。 

b) クラス分け及びアクセスレベルの要件が,それぞれの区域に対する要件を超えないことを保証する。 

c) 4.2及び4.7.2の適用要件を満たす能力を備えた組織だけが,設置及びサービスを実行することを保証

する。 

d) 制限区域及び管理区域へのアクセスが,レーザ安全に関して適切に言及されていることを保証する。 

e) 運用,設置,サービス及び安全に関する要件が,遵守されていることを保証する。 

f) 

クラス3B又は4の機器をもつ管理区域では,レーザ安全管理者を選任していることを保証する。 

g) APRシステムがない場合にクラス3B又は4となるFSOCS送信器において,そのAPRシステムの故

障通知を受けたあとは,故障状態の修理を,二次的な障害の発生が合理的に防止できる時間内に行う。 

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附属書A 

(参考) 

応用及び計算例 

序文 

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。 

A.1 鏡面反射光の観察 

光線が,建物の窓を透過して放出される場合,クラス1M及びそれ以上のクラスにおいて,幾つかの場

合で,正反射(鏡面反射:フレネル反射)が問題になることがある。光線がもう一方の建物の送受信装置

場所に向けて放出されるとき,ガラスと空気との各境界面において,鏡面反射が発生する。一面当たりの

典型的な反射率は0.04である(ただし,屈折率に依存する。)。したがって,一枚窓への近法線(垂直)ビ

ーム入射においては4 %+4 %,すなわち,8 %が反射される。光線の放射照度がMPEの1/0.08倍,す

なわち,12倍を超える場合,反射光線の放射照度はMPEを超える。さらに,フレネルの反射法則によっ

て,非垂直(斜)入射角における反射率は増大する。したがって,さらなる安全面での評価が必要となる。

光送信装置室の占有空間への反射戻り光の方向を決定することが重要である。光送受信器側又は受信器側

に入射する光ビームによる反射に関しては,その入射光ビームの放射照度がMPEを大幅に超えることは

通常考えにくいので,したがって,それが空間に戻る反射光については,ほとんど考慮しなくてもよい。

ただし,設置業者はこのことを考慮するのがよい。 

例 波長1.15 μm,ビーム直径 (a) 0.2 m,4 Wで動作するクラス3Bの自由空間レーザからの平行ビー

ムが,事務所の建物の窓に対して,垂直から20度の角度で外に向けられたとする。送信器側の室

内への反射戻り光を評価する。 

2

2

2

m

W

127

)

m

2.0(

W

08

.5

27

.1

φ

=

=

×

=

a

E

この波長における連続観察(>10 s)に対するMPEは,50 W・m−2である。 

窓の反射率は,50/127=0.39より非常に小さいので,反射ビームの放射照度はMPEを下回る。しかし,

反射光線はクラス1Mと同等であり,(防護フィルタのない)望遠鏡が反射光線の光路に沿って窓に向けら

れた場合は,光学器具での観察による危険が存在し得る。 

この種のガラスのこの角度における反射率は,0.10 (10 %)と測定されている。したがって,反射光線の

放射照度は13 W・m−2となり,

13

/

50

以上の拡大率をもつ減衰機能のない望遠鏡に対しては危険を及ぼす。

いうまでもなく,反射光の光軸からの角度ずれを評価しなければならない。光送信器は,窓ガラスの至近

距離に設置されるか,窓ガラスと光送信器の開口部との間をチューブで囲うのが最もよい。建物の外への

反射は,クラス1Mの光線を発生することがあり,評価しなければならない。 

A.2 公称障害領域 (NHZ)及び光学器具使用公称障害領域 (NHZ-Aided)の例 

公称障害領域(NHZ)及び光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)の概念は,定義だけからいつもすぐに理

解できるものではないので,ここでは,理解の一助とするため,幾つかの具体例を挙げる。この規格の正

確な解釈もまた,この規格で定義されているアクセスレベルに対する読者の明確な理解によるところであ

る。例えば,クラス1M製品(これは光学器具を使用する観察条件で潜在的に危険である。)は,合理的に

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予測される状況下では,光学器具による観察が生じないように設置することが可能である(4.2.1.1)。この

場合,光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)が存在するが,設置自身はアクセスレベル1である。 

次の例は,解析を単純化するため,また,概念を例証するため,幾つかの仮定がなされている。 

他の波長及びより典型的でよくある放射強度形状,すなわち,ガウシアンビームを考慮した更に関連した

例は,JIS C 6802:2005の附属書Aに記載されている。 

a) 例A.2-1 最初に,クラス1M製品の平行ビームについて考察する(これは,JIS C 6802:2005の表10

の条件1を満足しない。)。この場合,公称障害領域 (NHZ)は存在せず,光学器具使用公称障害領域

(NHZ-Aided)は,人が最も近づける点から2 mから始まる。これは,限定された焦点調節範囲をもつ

典型的な望遠光学器具(例えば,双眼鏡)を使用した場合,合理的に予測される最短距離は2 mであ

ると考えられることによる。2 mの限度を超える光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)の範囲は,製

品の更なる詳細仕様,すなわち,波長,視角,放射パワーの時間依存性,ピークパワー,ビーム広が

り,最小ビーム径及び放射照度分布に依存する。 

b) 例A.2-2 次に,発散ビームをもつクラス1M送信器について考察する(これは,JIS C 6802:2005の

表10の条件2を満足しない。)。この場合も,公称障害領域 (NHZ)は存在せず,光学器具使用公称障

害領域(NHZ-Aided)の範囲は,アパーレント光源の位置から14 mm〜100 mmの間の領域に限定される。

これは14 mm及び100 mmが,条件2に適用される最小及び最大の距離であるからである。前述の例

と同様に,この距離範囲は拡大鏡のような短焦点距離の光学器具での,合理的に予測される使用法を

理論的根拠としている。前述の例と同様に,アパーレント光源からの14 mm〜100 mmの領域におけ

る光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)の拡張に関する更なる詳細は,光送信器の諸特性に依存する。 

c) 例A.2-3 最も限定的な条件2のクラス3B製品。 

特に,次の点を考慮する。 

− 放射アパーチャー直径 d0=1 mmをもつ均一放射照度ビーム 

− 広がり全角 φ=0.1 rad 

− 波長 1 500 nm  

− 平均CWビームパワー P=360 mW 

単純化のため,ここでは,放出開口からの任意の定められた距離において,ビーム放射照度はビー

ム広がり円すいの中では一定であり,円すいの外ではゼロであるとする。 

任意の距離rにおけるビーム直径は,次の式で得られる。 

d(r)=d0+2r・tan(2φ)≒d0+rφ 

公称障害領域(NHZ)の最大値は,JIS C 6802:2005で公称眼障害距離 (NOHD)として言及されており,

補助光学器具なしの観察に適用される測定開口(JIS C 6802:2005の表10参照)内の平均放射照度が

MPEを下回る距離を計算することで定義される。これは測定開口で集光される光パワーを,クラス1

及びクラス1MのAELに設定することと等価である(JIS C 6802:2005の表1参照)。この例の均一放

射照度の仮定を用いると,この集光パワーは,ビームエリアに対する測定開口エリアの比率で定義さ

れる。 

AEL =10 mW =P[d

dUM(NOHD)]2 

ここで,dUM=3.5 mmは適用される,補助光学器具なしでの測定開口直径である。 

公称眼障害距離 (NOHD)の解を得るために上の式を用いて, 

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C6804:2008 (IEC 60825-12:2005) 

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φ

0

UM

d

AEL

P

d

NOHD

=

mm

200

mm

1.0

1

10

360

5.3

=

×

=

NOHD

したがって,公称障害領域 (NHZ)はアパーレント光源位置から100 mmに始まり,200 mmの距離

まで拡張される。 

光学器具使用公称障害領域 (NHZ-Aided)には,JIS C 6802:2005の表10の条件1及び2のそれぞれ

に立脚した二つのパートがある。条件2によって定義される光学器具使用公称障害領域 (NHZ-Aided)

は,公称障害領域 (NHZ)より小さく,単に14 mmから100 mmまで拡張される(アパーレント光源位

置からの測定)。 

条件1で定義されるパートは,補助光学器具ありの観察に適用される測定開口(JIS C 6802:2005の

表10参照)によって集光されるパワーが,クラス1及びクラス1MのAELを下回る距離を計算する

ことで定義される(JIS C 6802:2005の表1参照)。この距離は,JIS C 6802:2005において“拡張NOHD

(公称眼障害距離)”として参照される。光学器具使用公称障害領域 (NHZ-Aided)の解析は,測定開口

直径を新たにdAM=25 mmとすること以外は公称障害領域 (NHZ)と同じである。 

これを上記の式に代入することで,次の式を得る。 

  

mm

490

1

mm

1.0

1

10

360

25

 extended

=

×

=

NOHD

この距離は2 mより短いので,条件1で定義した光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)による

寄与はない。 

A.3 発散,拡散赤外送信器の例 

この例では,会議室内でのブロードキャスト(ポイントツーマルチポイント)通信に用いられる赤外レ

ーザダイオード光放出器について考察する。光送信器仕様として,次を用いる。 

−ピーク波長 

940 nm 

−スペクトル幅 

4 nm(半値全幅) 

−広がり角 

120度(半値全幅,ランベルトのコサイン分布) 

−放射強度 

400 mW・sr−1(最大軸上放射) 

まず,光源サイズが未知の場合を考察し,したがって,最も制限的な光源視角を仮定しなければならな

い。JIS C 6802:2005の表1を参照すると,適用されるAELは1.18 mWである。 

クラス1の条件を満足するためには, 14 mmの距離及び直径7 mmの開口で測定したとき,このデバイ

スの出力は,このAELを超えてはならない。同様にクラス1Mに対しては,100 mmの距離及び直径7 mm

の開口で測定したときに,デバイスの出力はこのAELを超えてはならない。 

精巧な(そして費用のかかる)測定を実施する前に,適用されるAEL及び測定条件を,部品のデータシ

ートの代表値仕様と直接比較できる放射強度限界値に変換することで,JIS C 6802:2005の内容を理論的に

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確認することが望ましい。このために次に示す“逆自乗則”が適用できる。 

2

r

I

E=

ここで,Eは光源距離rにおける放射照度(又は放射露光),Iは放射強度である。 

AEL及び直径7 mmの測定開口(A=3.85×10−5 m2の面積)に対応する放射照度は,上記から次の式のよ

うになる。 

EAEL =(

)

(

)

2

5

3

m

10

85

.3

W

10

18

.1

×

×

=30.6 W・m−2 

これは,JIS C 6802:2005の表6におけるMPEに一致する。この放射照度からの適切な最大許容放射強

度を決定するために,“逆自乗則”の上の式は,次のように変形される。 

IAEL = EAELr2 

これに,前述の測定距離を代入することで,次の結果を得る。 

− クラス1 

IAELclass 1 = 6.00 mW・sr−1 

− クラス1M   

IAELclass 1M = 306 mW・sr−1 

− クラス3R ( 5×クラス1) 

IAELclass 3R = 30.0 mW・sr−1 

“IRED(赤外発光ダイオード)光源”を使ったほとんどの応用例では,この点光源の手法で十分である。

しかし,ここでの放射強度=400 mW・sr−1の例では,上記のクラス1,1M及び3Rの限界を超えており(こ

れは光源視角がαmin未満であるものに適用される,ここで αmin =1.5 mrad),この光送信器は,クラス3B

であると考えられる。 

同様の考察をA.2の例に適用すると,公称障害領域(NHZ)は,光源を基準として,100 mmから114 mm

の微小な領域に限定される値となることに注意する。表1から,クラス3BのFSOCS送信器は管理区域の

中でだけ許可される。 

前述の解析は,非常に制限的な条件をもたらすので,送信器の光源視角(又はアパーレントサイズ)を

考慮することが重要である。ここで,光源サイズ(総放出光パワーの63 %が含まれる。)はD = 1 mm

とする(これは市場で入手できる素子の代表値である。)。100 mmの距離から見て,対応する視角は,α

=0.01 radである(JIS C 6802:2005では視角を定義するために,距離100 mmを規定している。)。 

前述の微小光源AELは,ここで,係数C6 = α/αmin=6.67(αmin=1.5 mrad)によって増大され,AELは

7.87 mWになる。対応する放射照度限界は,EAEL=204 W/m−2である。 

クラス1及び3Rに対しては,光源と7 mm開口との測定距離もまた増大され,32.3 mmとなる(これは

JIS C 6802:2005の表10において数式で規定されている。)。クラス1Mに対する適用測定距離は100 mmの

ままである。 

ここで,再度上記の数式を最大許容放射強度に適用すると: 

− クラス1 

IAELclass 1 =  213 mW・sr−1 

− クラス1M   

IAELclass 1M = 2.04 W・sr−1 

− クラス3R ( 5×クラス1) 

IAELclass 3R = 1.06 W・sr−1 

これら放射強度(ここでは,10 mradの光源視角を適用する)と例示の素子の放射強度(400 mW・sr−1)と

を比較すると,この素子はクラス1Mに該当するように見え,事実クラス1Mの放出限界の20 %しか放

出していない。非制限区域では,このような送信器に対する適切な条件は,遵守されなければならない

(4.2.1.1参照)。光学器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)は,光源から32.3 mmと45 mmとの間の微小な領

域だけに限定される。 

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C6804:2008 (IEC 60825-12:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

この例が示すように,波長範囲400 nm〜1 400 nmに対して,光源の視角は公称障害領域(NHZ)及び光学

器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)を決定するために重要である。一般的に,光学的拡散材は,よくコリメ

ートされたビームが要求されない限り,光源視角を拡大するために使用できる。 

注記1 “逆自乗則”は,光源が点光源とみなせる場合にだけ使用できる,例えば,おおまかには,

光源までの測定距離が最大光源寸法の5倍より大きい場合である。測定距離は,光源サイズ

によって増大するので(JIS C 6802:2005の表10における数式に従う。),この条件は常に満

足される。 

注記2 上記の計算は,特に理想的なランバート(又はコサイン則)光源に対して成り立つ。空間的

な発光分布がより狭い(半角が約30度より小さい)場合は,0.5の安全係数を計算上の上限

値に適用するのがよい。 

A.4 二つの制限区域間を接続するFSOCS 

図A.1に示すように,接続され遠く離された2台のFSOCS端末の配置について考察する。この安全規

格の重要原則を説明しつつ,例を単純化する目的で,双方の端末は,ビーム広がり円すいの内側において

一定の放射照度でレーザビームを送信し,円すいの外側には放射しないとする。端末Aを,制限区域に設

置する。端末Aの前方にある開かない建物の窓は,TW=0.3の透過をもち,この例では,窓の反射率は, 

1−TW=0.7で表される。一般的に窓の透過及び反射特性は,波長,入射角並びに窓の層数及び偏光状態に

依存する点に注意が必要である。端末A から端末Bまでの距離は,接続距離RL=300 mである。端末B

は,管理区域である屋上に設置される。各端末の設置場所の他に,この例では,考慮する次の5か所があ

る。 

−端末A前方の窓から部分的に反射する端末A のビームが横切る場所 

−端末Aが位置する建物の窓のすぐ外側の場所 

−ビーム光路が垂直2 mの上方にある,端末Aと端末Bとの双方からRINT=140 mに位置する中間のビル

の屋上 

−端末Aからのスピルオーバ放射を受ける光路上にあって,端末Bの後方距離RS=50 mにある非制限区

域の建物 

−端末Aのすぐ前面の窓で反射する端末Bの放射を受ける直線上にあって,端末Aからの距離RR=75 m

にある非制限区域の場所 

RINT

RL

RS

RR

RINT

A

B

図A.1−二つの遠く離れた場所の間の接続 

RINT 

RR 

RINT 

RL 

RS 

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C6804:2008 (IEC 60825-12:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

これらの端末の送信器の特徴は,次のとおりである。 

端末A送信器 

−クラス1M 

−広がり円すい内で均一な放射照度分布 

−送信器のビーム直径 DA=100 mm 

−軸対称なビーム広がり全角 φA=2 mrad 

−波長 λ=1 550 nm 

端末B送信器 

−クラス3B 

−広がり円すい内で均一な放射照度分布 

−送信器のビーム直径 DB=10 mm 

−軸対称なビーム広がり全角 φB=1 mrad 

−波長 λ=1 550 nm 

最初に,ビーム光路に沿って安全性限界が課せられる,端末A の送信パワーに対する制限について考察

する。この端末はクラス1Mの装置であり,放射ビームは,1 550 nmにおいて光学器具なしでMPEを超え

ない。この波長で,光学器具なしのMPEは,1 000 W・m−2である。この場合に対して適用される測定条件

は,送信開口の直前に置かれた3.5 mmの測定開口内に入るパワーが,10 mWを超えないということであ

る。したがって,均一な放射照度をもつ最大送信開口内に入る全ビームパワーは,(DA/3.5 mm)2×(10 mW) 

=8.16 Wに制限される。この例では,アパーレント光源は,(DA/φA)=50 m程度となる送信開口の後方遠

方に位置しており,測定開口は,アパーレント光源から確実に2 m以上離れている。 

端末A からの送信ビームに沿っていくと,ビームは制限区域内の窓で部分的に反射する。この例では,

パワーの70 %が,端末Aが設置された制限区域の中へ向かって反射され,その大きさは光学器具の使用

でMPEを超える可能性がある。したがって,端末A が設置された制限区域では,制限区域を出て非制限

区域に入るような反射ビームを防ぐための,十分な手段を提供しなければならないという点に注意するこ

とが重要である。この条件は,遮光性(又は高拡散性)をもつパーティションで制限区域を囲うことによ

って,一般的には満足できる。同様に,運用組織の管理方法は,通常閉鎖されたままの非制限区域内への

入口ドア又は通路を備えなければならない。 

窓を通過した端末Aからのビームは,端末Aが設置された建物に隣接する空間に入る。この空間が非制

限区域の底面から垂直3 m以内であるならば,この場所でのレーザ光ビームは,光学器具の使用でMPE

を超えてはならない。このように短い送信器からの距離では,(2 mradで与えられる広がり角で,)ビーム

直径の拡大はごくわずかで,窓のすぐ外側での最大ビームパワーは,(DA/25 mm)2×(10 mW)=160 mWに

制限される。窓の透過損失を考慮すると,端末Aの送信パワーは(160 mW)/TW=530 mWに制限される。

一方,ビームが,非制限区域の底面から3 m以上にある窓のすぐ外側の建物に隣接した区域を横切るとす

れば,その区域は制限区域と考えられる。ビームサイズが送信器から著しく拡大していないとすれば,最

大許容のビームパワーは,この場所で再び8.16 Wとなる。窓の透過損失を考慮すると,この条件は,端末

Aの送信パワーを(8.16 W)/TW=27.2 Wに制限する。この場合,端末A送信器のクラス1M限界は,より限

定的である。 

端末Aのビーム光路に沿った考察における次の区域は,光路の中間に位置する屋上である。屋上が公共

の駐車場又は展望デッキのような非制限区域の場合,非制限区域の底面に対し垂直3 m以内であるので,

ビームは光学器具の使用でMPEを超えてはならない。この場所のビームの直径は,DA+RINT×φA=380 mm

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C6804:2008 (IEC 60825-12:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

である。この場所の全ビームパワーの限界は,(これまでどおり,均一な放射照度の仮定を用いて,)(380 

mm/25 mm)2×(10 mW)=2.3 Wとなる。窓ガラスでの損失を考慮すると,この中間にある屋上の制約によ

って許可される最大放射パワーは,(2.3 W)/TW=7.6 Wとなる。一方,中間にある屋上が制限区域であると

すると,端末Aは最大のクラス1Mパワーで動作させることができる。 

端末Aの光ビームは,端末Bの受信開口部によって部分的に遮られる。端末Bが管理区域内にあるの

で,受信光は,単に光学器具なしでのMPEを超えなければよい。したがって,この場合は,端末A クラ

ス1M送信器のパワーは制限されない。 

端末Bによって受光されない端末Aのスピルオーバ放射は,端末Bを越えて距離RS離れた非制限区域

に到達する。この部分的に遮光されたスピルオーバ・ビームの直径は,DA+(RL+RS)×φA =800 mmであ

る。この場所における全ビームパワーの限界は,(端末Bが存在しないと仮定して,) (800 mm / 25 mm)2 × 

(10 mW)=10.2 Wである。窓ガラスでの損失を考慮すると,この非制限区域での制限によって許可される

最大放射パワーは(10.2 W)/TW=34 Wとなる。したがって,この制約は,端末A クラス1M送信器のパワ

ーを制限しない。 

先の検討では,端末Aの最大送信パワーは,窓のすぐ外側の場所が制限区域か又は非制限区域か,及び

中間にある場所が制限区域か又は非制限区域であるかに依存することを示す。端末Aの最大送信パワーは,

これらの基準に依存して,530 mW,7.6 W,又は(クラス1Mの条件から定まる)8.16 Wとなる。 

次に,端末Bから放射されるビームについて同様の解析を行う。端末がクラス3Bであり,かつ,DB<

25 mmであることは,送信開口部の開始点で,ビームパワーが500 mWに制限されていることを意味する。 

クラス3B又は4のFSOCS送信器に課された条件は,放射が遮られる場合に,放射されたパワーが光学

器具なしのMPE以下に減らされることを保証するために,すべての公称障害領域(NHZ)をモニタすること

である。均一な放射照度ビームをもつこの例では,公称障害領域(NHZ)の範囲は,ビームがMPEを超えな

くなる直径Dminに広がる距離を求めることによって,又は式(Dmin / 3.5 mm)2 × (10 mW)=500 mWによっ

て決定される。公称障害領域(NHZ)におけるビーム直径の解を求めると,Dmin=24.7 mmが得られる。この

直径は,また,ビーム広がり角及び公称障害領域(NHZ)の範囲を用いて,Dmin=DB + RNHZ × φBのように

表すことができる。公称障害領域(NHZ)範囲の解を求めると,RNHZ=14.7 mが得られる。 

端末Bのビーム光路に沿って更に移動すると,中間の屋上に到達する。この場所に達するビームの直径

は,DB + RINT × φB=150 mmである。この場所が非制限区域の場合,全ビームパワーの限界は,(これ

までどおり,均一な放射照度の仮定を用いて,) (150 mm / 25 mm)2 × (10 mW) = 360 mWである。一方,

中間にある屋上が制限区域の場合は,中間にある場所が公称障害領域(NHZ)である14.7 mを超えているの

で,クラス3B送信器の最大パワーは許可される。 

端末Bのビーム光路に沿った次の重要な領域は,端末Aが設置された建物のすぐ外側である。この場所

に達するビーム直径は,DB + RL × φB=310 mmである。この場所が非制限区域の場合の全ビームパワー

の限界は,(310 mm / 25 mm)2 × (10 mW)=1.53 Wとなる。これは,クラス3B送信器の最大パワーを超え

ているので,この条件はパワー限界を制限しない。 

さらに,端末Bのビームは,受信される端末Aの前方の窓を通って部分的に透過し,また,距離RR離

れた非制限区域の方向へ,窓で部分的に反射される。この場所に達するビームの直径は,DB + (RL + RR) × 

φB=385 mmである。窓の反射を考慮すると,この場所の送信ビームパワーの限界は,(385 mm / 25 mm)2 × 

(10 mW) / (1−TW)=3.38 Wである。この場合も,クラス3B送信器の最大出力を超えるため,懸案はない。 

上記の解析は,中間にある屋上が制限区域である場合,端末Bからの最大送信パワーは500 mWである

ことを示す。中間にある場所が非制限区域の場合には,最大送信パワーは360 mWに減少する。端末Aの

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C6804:2008 (IEC 60825-12:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

場所及び端末Aの前方の窓から反射されたビームの行き先は,ビーム放射照度が光学器具使用でのMPE

より低くなるので,懸案の範囲でない。 

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C6804:2008 (IEC 60825-12:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

危険及び安全性分析の方法 

序文 

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。 

幾つかの危険及び安全性分析方法は,次のとおりである。 

a) 回路解析を含む予備的な危険分析 (PHA)。これは,それ自体の価値で使用されると考えられるが,他

の危険及び安全性評価法を適用する場合の基本的な第一段階である。 

b) 結果分析(JIS C 0508規格群参照)。 

c) 故障モード解析及び影響解析 (FMEA)。 

d) 故障モード解析,影響解析及び臨界解析 (FMECA)(IEC 60812参照)。 

e) 故障ツリー解析 (FTA)。 

f) 

事象ツリー解析。 

g) 危険及び操作可能性調査 (HAZOPS)。 

必要な場合は,常に解析を補助するように適切な試験を実行するのがよい。解析方法及びその実行のと

きに行った仮定は,製造業者又は運用組織によって提示されるのがよい。 

故障解析方法の適用例は,JIS C 6803:2006の附属書Dを利用できる。 

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C6804:2008 (IEC 60825-12:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(参考) 

設置業者,サービス組織及び運用組織への手引き 

序文 

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。 

C.1 FSOCSのための一般的な作業慣行 

C.1.1に記述する一般的な作業慣行は,いかなるFSOCSをサービス及び設置するときにも適用する予防

措置である。さらに,C.1.2に詳述した作業慣行を,適切に適用するのがよい。 

C.1.1 一般的な作業慣行 

次の作業慣行は,いかなるFSOCSを使用するときにも適用するのがよい。 

調整       システムの調整,設置及び試験は,可能な限りシステムの動作出力パワーを低くし, 

必要に応じて,クラス1M又は2Mを超えないようにして,実行する。 

保守/運用    製造業者が提供するシステムの運用及び定期保守に関する指示書にだけ従う。 

サービス/設置  製造業者が提供するシステムの設置,サービス及び修理の指示書にだけ従う。安全機 

構の解除はできるだけ少なくする。システムが通常の使用に戻される前に安全な機構 

が回復することを保証する。 

清掃       レーザ装置の光学部品の清掃では,可能であれば,製造業者の提供する清掃方法だけ 

を使用する。これは通常,機器の機能を無効にすること,又は少なくともレーザ放射 

を止めることを含む。 

改造       どのようなシステム又は関連装置にも,許可なく改造を加えてはならない。 

ラベル損傷    安全ラベルを損傷又は紛失したときは,設備の保守に指名された者に報告する。 

かぎの管理    かぎ管理された設備においては,安全な使用,保管及び総合的な管理を保証する立場 

の管理者によって指名された者が,かぎを管理する。スペアキーは,認可された者が 

厳格に管理保持する。設置業者及び運用組織が適宜,認可を与える。 

試験装置     運用組織によって認可された校正済みの試験装置(例えば,光パワーメータなど)だ 

けを使用する。 

標識       サービスを行う間に一時的な警告標識を設けるなど,ある状況下では特定の場所に補 

足的な警告標識を設置することが適切である。 

光ファイバ    光ファイバのインタフェース又はコネクタをもつ装置は,JIS C 6803:2006に従うこと 

が望ましく,そこで規定する詳細な作業慣行を,その装置の光ファイバを使う部分に 

適用する。 

C.1.2 クラス/アクセスレベル1M,2M,3R,3B及び4に対する追加の作業慣行 

クラス/アクセスレベル1M,2M,3R,3B及び4の光エネルギーにアクセスする可能性があれば,次

に追加する作業慣行に従うのがよい。 

− C.1.1に示すすべての一般的な作業慣行に従う。 

− クラス/アクセスレベルが1M又は2Mの場合を除き,訓練を受けた人員だけが,システムの空間

ビームの部分へのアクセスができるようにする。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 裸眼又は他の光学器具でレーザビームを見つめてはならない(ただし,設置業者又は運用組織のレ

ーザ安全管理者が認可する場合を除く。)。レーザビームを人に向けてはならない。 

− 使用するすべての観測手段及び調整機器は,有効に校正され,安全性ラベルがてん(貼)付され,

適用波長帯域でMPEレベルを超える被ばくを防ぐフィルタのような技術的手段を備える。 

− 可能であれば,調整及び試験は,クラス/アクセスレベル1又は2を用いて行う。 

− アクセスレベル1M,2M及び3Rより多いエネルギーにさら(曝)すことは,避ける。 

− 運用組織のレーザ安全管理者は,設置担当者が実用的で適切な目及び皮膚の保護具を,確実に利用

できるようにする。 

C.2 教育及び訓練 

FSOCSの近くにいる人を含めて,設置,運用,保守及びサービスを行う組織は,適宜,ラベル,標識及

び訓練をとおして,危険を通知するのがよい。さらに,クラス3B及び4のレーザを設置及び保守する者

は,少なくとも次の内容を知っておくのがよい。 

a) FSOCSの予備知識 

b) レーザのクラス分けのシステム及びアクセスレベルの識別に関する安全性の情報 

c) レーザの被ばくによる生物学的影響並びに目及び皮膚への潜在的危険性についての知識 

d) これらのシステムの安全な設置及び保守に必要な守らなければならない手順 

e) 安全性の規則を守らないときに起こり得る影響の説明 

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C6804:2008 (IEC 60825-12:2005) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献 

JIS C 0508(規格群) 電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全 

IEC 60050-845 International Electrotechnical Vocabulary (IEV)−Chapter 845: Lighting 

IEC 60812 Analysis techniques for system reliability−Procedure for failure mode and effects analysis (FMEA) 

ISO 14121 Safety of machinery−Principles of risk assessment