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C 62301:2016  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 試験の一般条件 ················································································································ 4 

4.1 一般 ···························································································································· 4 

4.2 試験室 ························································································································· 4 

4.3 電源 ···························································································································· 4 

4.4 電力測定機器 ················································································································ 5 

5 測定······························································································································· 6 

5.1 一般 ···························································································································· 6 

5.2 製品の準備 ··················································································································· 7 

5.3 手順 ···························································································································· 7 

6 試験報告書 ····················································································································· 10 

6.1 製品詳細 ····················································································································· 10 

6.2 試験条件 ····················································································································· 11 

6.3 該当する各製品モードの測定結果····················································································· 11 

6.4 試験及び試験所の詳細 ··································································································· 11 

附属書A(参考)選択した製品タイプのモード及び機能に関する指針 ············································ 12 

附属書B(参考)低電力モードの測定に関する注意事項 ······························································ 19 

附属書C(参考)電力値の電力量への変換 ··············································································· 27 

附属書D(参考)測定不確かさの求め方 ·················································································· 29 

参考文献 ···························································································································· 34 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 36 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本電機工業会(JEMA)及び

一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があ

り,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

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家庭用電気機器−待機時消費電力の測定方法 

Household electrical appliances-Measurement of standby power 

序文 

この規格は,2011年に第2版として発行されたIEC 62301を基とし,主に我が国の電源事情を考慮した

ため,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,低電力モード(オフモード,スタンバイモード及びネットワークモード)での消費電力の

測定方法について規定する。この規格は,単相の場合には,定格入力電圧が交流100 V〜250 V,その他の

場合には,交流130 V〜480 Vの範囲にある家庭用電気機器に適用する。 

この規格の目的は,一般に機器がアクティブモードにない場合(主機能を実行していない状態)の,該

当する低電力モード(3.4参照)にある多様な機器の消費電力を決定するための測定方法を提供することに

ある。 

この規格は,安全性要求事項を規定しない。また,性能の最低値,及び電力又は消費電力量の最大値に

ついても規定しない。 

注記1 意図した使用状態における製品の消費電力量及び性能の測定は,一般に該当する製品規格で

規定されており,この規格では対象としない。 

注記2 この規格において,“機器”という用語は,国際電気標準会議(International Electrotechnical 

Commission,IEC)の専門委員会TC59“家庭用及びこれに類する電気機器の性能”の適用範

囲内にある家庭用電気機器又は他の電気機器など,電力を消費する機器を意味する。ただし,

測定方法は,その他の製品にも適用することができる。 

注記3 性能規格又は手順書において,この規格の試験手順を適用する低電力モード(3.4参照)を定

義し,指定することが望ましい。 

注記4 対応国際規格では,直流電源機器を含めることが検討されている。 

注記5 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 62301:2011,Household electrical appliances−Measurement of standby power(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

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引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

IEC 60050-131,International Electrotechnical Vocabulary (IEV) −Part 131: Circuit theory 

IEC 60050-300,International Electrotechnical Vocabulary (IEV) −Electrical and electronic measurements and 

measuring instruments 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,IEC 60050-131及びIEC 60050-300によるほか,次による。 

3.1 

機能(function) 

電力を消費する製品が実行する所定の動作。機能は,使用者の操作,外部の技術システムからの操作,

その製品自体からの操作,周辺環境からの測定可能な入力及び時間によって制御することができる。 

この規格では,機能は次の四つの主な種類に分類する。各機能に関連する製品モードを示す。 

− 使用者が任意に選択できる二次機能(スタンバイモード) 

− ネットワーク関連の二次機能(ネットワークモード) 

− 主機能(アクティブモード,この規格では規定しない。) 

− その他の機能(モードの分類に影響しない機能) 

注記 製品の代表的な機能を,附属書Aに記載する。該当する製品モードにおける機能の正確な記録

及び文書化は重要である(6.3参照)。機能の種類は,一般的に,主機能と二次機能(リモート,

ネットワーク,検知及び保護)とに分類される。 

3.2 

モード(mode) 

機能が存在しない状態,一つの機能が存在する状態,又は複数の機能の組合せが存在する状態。 

注記1 この規格における低電力モード区分は,対象製品のモードの具体的な定義をするための指針

を提供する。 

注記2 附属書Aに,製品タイプのモード及び機能に関する指針を示す。 

なお,これらはモードを定義するものではない。また,附属書Aは,特定の製品のモード

定義に関しての,指針を記載する。 

注記3 該当する各モードの継続時間が既知の場合,各電力測定結果から総消費電力量を計算する方

法については,附属書Cを参照する。 

3.3 

製品モード(product mode) 

何らかの機能が存在しているモードで,それらの機能が動作するか否かは個別の製品の構成に依存する

モード。 

注記 製品モードの適切な名称の決定は,該当する製品個別の事項である。製品モードの名称は,一

般に,動作している機能を反映したものであることが望ましいが,製品モードが“スタンバイ”

又は“ネットワーク”のモード区分に含む場合であっても,それらの語句を含む必要はない。 

3.4 

低電力モード(low power mode) 

製品モードの中の,次のモード区分に該当するモード。 

− オフモード 

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− スタンバイモード 

− ネットワークモード 

注記1 低電力モードは,該当する各モードにおいて存在し動作する機能に基づいて,上記のモード

区分のいずれかに分類される(該当する場合)。製品モードに,3.1に示す“その他の機能”

が存在する場合でも,それらの機能はモード分類に影響を及ぼさない。 

注記2 低電力モード区分は,この規格の使用者に指針を提供するため,また,低電力モードの開発

のための首尾一貫した手順を提供するために定められている。 

注記3 使用者の操作によって,又は自動的に生じるモード間の遷移は,低電力モードとはみなされ

ない。 

注記4 全ての製品に全ての低電力モード区分が存在するわけではない。 

製品によっては,各々の低電力モード区分の中に,動作する機能の異なる組合せを伴う複

数の製品モードをもつ。各々の低電力モードの消費電力は,製品の設計,及び個々のモード

内で動作する機能によって決まる。 

3.5 

オフモード(off mode) 

電力を消費する製品を主電源に接続している状態で,スタンバイモード,ネットワークモード又はアク

ティブモードのいずれも提供せず,通常は他のモードに切り替わるまで持続する製品モード。製品がオフ

状態にあることを使用者に示す目的で用いる表示は,オフモードの分類に含まれる。 

注記 モード及び機能に関する指針は,附属書A参照。 

3.6 

スタンバイモード(standby mode) 

電力を消費する製品を主電源に接続している状態で,次に示す使用者が任意に選択できる機能又は保護

機能を一つ又は複数提供し,通常は他のモードに切り替わるまで持続する製品モード。 

− リモートスイッチ(リモートコントロールを含む。),内部センサ及びタイマによって他のモードへの

切替え(アクティブモードの開始又は終了を含む。)を容易にするための機能 

− 連続機能:時計を含む情報又は状態の表示 

− 連続機能:センサに基づく機能 

注記 モード及び機能に関する指針は,附属書A参照。タイマは規則的な定時タスク(スイッチング

など)を提供し,連続的に動作する時計機能である(ディスプレイ表示を行う場合及び行わな

い場合がある)。 

3.7 

ネットワークモード(network mode) 

電力を消費する製品を主電源に接続している状態で,一つ又は複数のネットワーク機能は(例えば,ネ

ットワークコマンド又はネットワークインテグリティモードによる通信を介して再起動するような状態

で)起動しているが,主機能は動作していない製品モード。ネットワークインテグリティモード(Network 

integrity mode)は,低電力モードの一つであって,そのモードの間,機器は,機器の外部への通信路を維

持,又はその接続の再起動を容易にする。 

注記 ネットワーク機能をもつ場合であっても,それが起動していない場合,及び/又はネットワー

クに接続されていない場合,このモードは適用しない。ネットワーク機能は,時間設定に従っ

て,又はネットワーク要求に応答して,断続的に起動する場合がある。ここでの“ネットワー

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ク”には,個別に給電する複数の装置又は製品間の通信が含まれる。ネットワークに接続する

個別の製品をネットワークと関係なく制御する専用の一つ又は複数の制御装置は含まれない。

ネットワークモードは,一つ又は複数のスタンバイ機能を含めることができる。 

3.8 

アクティブモード(active mode) 

電力を消費する製品を主電源に接続している状態で,一つ又は複数の主機能が動作する製品モード。 

注記 このモードは,“オン(On)”,“使用中”及び“通常動作”という一般用語によっても示される。 

3.9 

非接続モード(disconnected mode) 

電力を消費する製品を主電源に接続していない状態。 

注記 このモードは,“プラグを抜く”又は“電源を遮断する”という一般用語によっても示される。

このモードは,低電力モード区分には含まれていない。 

3.10 

定格電圧(rated voltage) 

製造業者が指定する電源電圧(範囲)。 

3.11 

定格周波数(rated frequency) 

製造業者が指定する電源周波数(範囲)。 

3.12 

取扱説明書(instructions for use) 

製品の使用者に製造業者が提供する製品情報。 

注記 取扱説明書には,ユーザマニュアルが含まれており,印刷物又は電子媒体の場合がある。特に,

試験を目的として,製品供給者が試験所に提供する特別な指示は,取扱説明書には含まれてい

ない。 

試験の一般条件 

4.1 

一般 

試験は,特に規定がない限り,4.2〜4.4で規定する試験条件及び測定装置で行う。 

4.2 

試験室 

試験は,被試験製品近傍の気流速度が0.5 m/s以下の室内で実施する。室温は,(23±5)℃に維持する。 

製品が消費電力に影響する周辺光センサをもつ場合,周辺光の条件を制御して試験を実施する。試験手

順又は取扱説明書で照度を別途指定している場合は,それらの値を用いる。照度を指定していない場合は,

10ルクス未満,及び300ルクスを超える基準照度を用いる。 

上記の照度を確保するために用いる方法に関する情報は,適宜,試験報告書(6.3参照)に記載する。照

度を指定している場合は,できる限り,製品の光センサの近傍で測定する。 

注記 一部の製品及びモードでは,測定した電力測定値は,周囲条件(例えば,照度,温度など)の

影響を受ける場合がある。 

4.3 

電源 

4.3.1 

供給電圧及び周波数 

この規格が,別の規格で引用される場合,その規格で規定する試験電圧及び周波数を全ての試験に適用

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

する。 

試験電圧及び周波数を,別の規格で規定していない場合,試験電圧及び周波数は,商用電源電圧及び商

用電源周波数を用いて,許容差は,±1 %とする。 

注記1 これらの要求事項を満たすには,安定化電源が必要な場合がある。 

注記1A 

対応国際規格の表1(一部の地域の標準的な公称電源供給の詳細)は,世界の国々及び地

域の公称電源を規定しているため,この規格では不要とし,表1を削除した。 

4.3.2 

電源電圧の波形 

指定するモードで製品を試験する場合,電源電圧の第13次高調波成分までの全高調波成分(総合高調波

ひずみ率,THD,Total Harmonic Distortion)は2 %を超えてはならない。高調波成分は,基本波に対する各

次高調波成分の二乗平均平方根(r.m.s.)の比率とする。電源の高調波成分の値は,試験時に記録し,試験

報告書に記載する(6.2参照)。 

上記に加え,製品への給電時,試験電圧の実効値(r.m.s.)に対するピーク値の比(波高率)は,1.34〜

1.49でなければならない。 

注記 JIS C 61000-3-2のA.2(測定用電源)に適合する電源は,上記の要求事項を満たす場合が多い。 

4.4 

電力測定機器 

注記 多くの電力測定器は,4.3.2で規定する高調波成分を記録することができる。 

4.4.1 

電力測定の不確かさ 

外部分流器など,製品への入力電力を測定する機器による不確かさの要件を規定する(詳細は附属書D

参照)。 

測定の最大許容不確かさは,負荷の大きさ及び負荷の特性によって異なる。最大許容不確かさを決定す

る負荷の主要特性は,最大電流比(MCR,Maximum Current Ratio)で,次の式(1)によって求める。 

PF

CF

MCR=

 ·············································································· (1) 

ここに, 

CF: 波高率 

PF: 力率 

波高率(CF,Crest Factor)は,製品に流れる電流のピーク値を,電流の実効値(r.m.s.)で除した値であ

る。力率(PF,Power Factor)は,製品によって消費する電力の特性であり,測定した皮相電力に対する有

効電力の比である。 

最大電流比(MCR)が変わることによる許容不確かさを,次に示す。 

a) 最大電流比が10以下の場合の許容不確かさ 1.0 W以上の電力測定値の場合,電力測定器による最大

許容相対不確かさ(Umr)は,信頼度が95 %であって,電力測定値の2 %以下でなければならない。 

1.0 W未満の電力測定値の場合,電力測定器による最大許容絶対不確かさ(Uma)は,信頼度が95 %

であって,0.020 W以下でなければならない。 

b) 最大電流比が10を超える場合の許容不確かさ 最大許容不確かさ(以下,Upcという。)は,次の式(2)

によって求める。 

{

}

(

)

[

]

10

MCR

08

.0

1

02

.0

pc

×

+

×

=

U

 ················································· (2) 

1.0 W以上の電力測定値の場合,電力測定器によって生じる最大許容相対不確かさは,信頼度が95 %

であって,Upc以下でなければならない。 

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1.0 W未満の電力測定値の場合,許容絶対不確かさは,信頼度が95 %であって,Upcを絶対不確かさ

として表したときの値,すなわちUpcに電力測定値を乗じた値(W),又はUma(0.020 W)のいずれか

大きい方でなければならない。 

注記1 電力測定機器は,アウトオブレンジの条件を検出,表示,伝達,及び記録することが望まし

い。“アウトオブレンジ”とは,選択された電力測定機器の測定レンジに対して,実際の電力

が過小又は過大となる状態をいう。 

注記2 詳細は,附属書D及びTS Z 0033を参照。 

注記3 許容する波高率に関する電力測定器の仕様は,含まれていないが,測定した波形のピーク電

流が,選択した範囲について許容する測定可能ピーク電流を超えないことが重要である。ピ

ーク電流を超えた場合,上記の不確かさ要求事項が達成できない。Upcの計算例及び詳細につ

いては,B.1.2を参照。 

複数の相に接続する製品の場合,電力測定機器は,接続する全ての相の総電力の測定ができなければな

らない。 

電力量累積法(5.3.3参照)を用いて電力量を測定する場合,算出した電力測定値の不確かさは,上記の

要求事項を満たすものでなければならない。 

4.4.2 

電力測定の周波数応答 

電力測定機器は,次の事項を測定する場合,4.4.1の要求事項を満たさなければならない。 

− 直流電力 

− 周波数が10 Hz〜2 000 Hzの交流電力 

注記 電力測定器は,帯域幅制限フィルタを含む場合,測定回路から取り出すことが望ましい。 

4.4.3 

電力測定の長期平均に関する要求事項 

5.3.3に従って測定を実行することが必要な場合,電力測定機器は,次のいずれかを行うことができなけ

ればならない。 

− 任意に選択した運転期間における平均電力の測定 

− 任意に選択した運転期間における電力量の累積 

注記 データ記録機能(サンプリング),コンピュータ又は情報記録装置への出力は,5.3.2で規定す

るとおり,最も望ましい機能である(B.2.5参照)。 

測定 

5.1 

一般 

この測定方法の目的は,該当する製品モードにおいて持続的であるか,又は限られた期間のものかのい

ずれかの消費電力を決定することにある。電力値が一定の場合,又は不特定の期間,規則的な順序で発生

する幾つかの電力値がある場合,モードは持続的とみなす。 

注記1 あるモードから別のモードへの移行時(自動又は手動のいずれかの場合),一部の製品は,移

行のタスクを実行する間,回路に電圧を加える間,又は回路の電圧を除く間,高い電力状態

で待機するときがあって,安定状態に入るために,ある程度時間を要する場合がある。 

注記2 製品モードが自動的に変わる場合,試験結果の記録及び報告の前に,自動シーケンスを通じ

て製品を何回か試験的に動作し,そのシーケンスを完全に理解して,文書化することが必要

となる場合がある。個別の製品モードのシーケンスも,規則的な電力値のパターンを示すこ

とがある(附属書B参照)。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記3 限られた期間のモードは,この規格の測定方法を用いて文書化することができるが,そのモ

ードの結果は,消費電力量(Wh)及び期間として報告書に記載することが望ましい。また,

使用者が操作しない場合であっても,安定した製品モードが持続することが望ましい。 

5.2 

製品の準備 

この規格の試験は,単一の製品で行う。 

製品の準備は,この規格と該当する製品の性能規格の要求事項との間の不一致の場合を除き,取扱説明

書に従って行う。取扱説明書がない場合は,工場出荷時の設定又は“初期(default)”設定を用いて行う。

設定の指示がない場合は,製品を供給した状態で試験を行う。 

注記 対応国際規格の注記の内容は,適切なIEC規格を記載しているが,この規格では不要と判断し,

注記を削除した。 

製品の準備は,製品を選択し,試験の準備を整えて,次の手順によって行う。また,適宜,試験報告書

に記載する。 

a) 製品をこん(梱)包容器から取り出す(該当する場合)。 

b) 取扱説明書の指示に従って製品を設置する。 

c) 周辺光センサのように,測定結果に影響するセンサが製品に含まれていないか確認する。 

d) 製品が二次電池(以下,電池という。)をもっているかを確認する。電池をもっている場合,充電回路

をもっているかを確認する。適用する条件を規定する法規の有無を確認する。該当する法規がない場

合は,次の事項を適用する。充電回路を含む製品の消費電力の測定を次に示す。 

− オフモード及びスタンバイモードでは,電池を取外すか,取外しができない場合は,電池を満充電

状態に保ち,試験中に電池が充電されないような措置をした後に,測定する。 

− メンテナンスモード(A.2参照)では,測定前に電池を取り付け,満充電状態にした後に測定する。 

e) 製品試験手順書,別途定めた要求事項(例えば,規則)又は取扱説明書を参照して試験を行う製品モ

ードを指定する。試験を行う製品モードは,消費者の通常使用を代表するものであることが望ましい。

取扱説明書で複数の構成オプションを提供している場合,各オプションの測定は,個別に行うことが

望ましい。アクティブモードは,製品の性能規格に従って試験を行うことが望ましい。 

f) 

5.3の手順に従って,製品モードの試験を行う。 

g) 試験する各製品モードを,低電力モード区分(3.4参照)又は該当する他のモードに分類する。 

5.3 

手順 

5.3.1 

一般 

この規格では,消費電力の決定は,次のいずれかの方法を用いる。 

− サンプリング法(Sampling method) 測定期間を通じ,一定間隔で電力測定値を記録する測定器を用

いる方法である(5.3.2参照)。サンプリング法は,この規格のあらゆるモード及び製品タイプで望ま

しい測定方法である。電力が安定しない(周期的に変動する,又は不安定な状態)モード,又は発生

期間が限られたモードでは,サンプリング法が,この規格で許容する唯一の測定方法である。 

− 平均読取法(Average reading method) 電力値が安定し,かつ,モードが安定している場合に,期間

内における複数の電力測定値の読取値を平均するか,又は規定期間の消費電力量を記録し,時間で除

する方法である(この方法が有効な場合の詳細は,5.3.3を参照)。 

− 電力測定器直読法(Direct meter reading method) 電力値が安定し,かつ,モードが安定している場

合に,測定した電力の読取値を記録する方法である(この方法が有効な場合の詳細は,5.3.4を参照)。 

注記 期間において累積した電力量から平均電力を決定することが,これらの方法と同等である。電

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力量累積装置(Energy accumulators)は,規定した運転期間における電力を平均する機能よりも

一般的に用いられる。 

5.3.2 

サンプリング法 

電力が安定しない(周期的に変化する,又は不安定な状態)場合,又はモードの発生期間が限られてい

る場合には,サンプリング法を用いる。この方法は,モードが安定している場合は,最も速い試験方法で

ある。この方法は,全てのモードで使用可能であって,この規格の全ての測定に推奨する。製品の動作又

はモードの安定性に関して疑義がある場合は,この方法を用いることが望ましい。 

製品は,電源及び電力測定機器に接続する。測定する製品モードを選択し,電力の記録を開始する。選

択した製品モードによっては,製品が自動的に測定するモードに入るまで待つことも含め,一連の操作が

必要な場合がある。 

1秒以下の等間隔で,指定する最短期間における電力測定値に加え,電圧,電流などその他の主なパラ

メータを記録する。 

注記1 負荷が不安定の場合,又は規則的若しくは不規則的な電力の変動がある場合には,0.25秒以

下の等間隔のデータ収集が望ましい。 

モード内の消費電力の変化が周期的でない場合の平均電力を求めるときは,次による。 

a) 製品は,15分以上電圧を印加する。これを総時間とする。 

b) 総時間の最初の3分の1のデータは,破棄する。総時間の残り3分の2に記録したデータを,安定し

た状態かどうかの確認に用いる。 

c) 安定性の確立は,総時間の残り3分の2に記録した平均電力によって確認する。1 W以下の入力電力

の場合は,総時間の残り3分の2の全電力測定値の線形回帰において,回帰直線の傾きが10 mW/h未

満の場合に安定しているとみなす。1 Wを超える入力電力の場合は,総時間の残り3分の2の全電力

測定値の線形回帰において,回帰直線の傾き(W/h)の値,すなわち1時間当たりの電力変化率が,

測定した平均電力値(W)の1 %未満の変化率(W/h)の場合に安定しているとみなす。 

d) 総時間15分において,c)の要求事項を満たさない場合,総時間の残り3分の2の時間を,要求事項を

満たすまで延長する。 

e) 要求事項を満たした時点で,結果は,総時間の残り3分の2に延長した時間を加えた時間に消費した

平均電力とみなすことができる。 

注記2 3時間の総時間内に要求事項を満たすことができない場合,生データを評価し,断続的又は

周期的なパターンの存在の有無を確かめることが望ましい。取扱説明書,仕様書,測定結果

などによって,消費電力が周期的でない変動をすることが既知のモードでは,総時間の全デ

ータの累加平均の中で,総時間の残り3分の2の間にある全累加平均が,±0.2 %の帯域の範

囲内に入るまで,十分な期間の記録を行う。このモードの試験を行う場合,総時間は60分以

上とする。 

あるモード内の消費電力が周期的である場合(数分又は数時間において生じる電力状態が一定のシーケ

ンスである場合),平均電力は,4周期以上で,次のとおり算定する。 

f) 

10分以上の初期運転の間,製品に電圧を印加する。この期間のデータは,製品の消費電力の評価には

用いない。 

g) 二つの期間の比較を行うため,十分な期間,電圧を印加する。各期間は,2周期以上を含む10分以上

の時間とする。比較する期間には,それぞれ同数の周期を含める。 

C 62301:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

h) それぞれの比較期間の平均電力を,算出する。 

i) 

それぞれの比較期間の中間点までの経過時間を時間単位で,算出する。 

j) 

h)で算出した二つの比較期間の平均電力の差を,i)で算出した経過時間の差で除した値が,次のいずれ

かの傾き未満の場合,安定しているとみなす。 

− 入力電力が1 W以下の製品の場合は,10 mW/h 

− 入力電力が1 Wを超える製品の場合は,h)で算出した平均電力(W)の値の1 % 

k) j)の要求事項を満たさない場合,要求事項を満たすまで,各々の比較期間にさらなる周期を等しく追

加する。 

l) 

要求事項を満たした時点で,消費電力は,両方の比較期間の全測定値の平均として決定する。 

電力が安定しない,又は不規則な場合,モードの消費電力を適切に評価するための十分なデータ測定(10

周期以上)を行うことが望ましい。 

注記3 どの測定の場合にも,ウォームアップ時間,周期のパターン,不安定期間及び安定期間の確

定に役立てるためにデータ記録期間の電力をグラフ化することが望ましい。 

取扱説明書,仕様書,測定結果などによって,発生期間が限られている既知のモードは,期間全体につ

いて記録する。モードの試験結果は,モードの発生期間が限られている旨の記載とともに,消費電力量(Wh)

及び期間を報告書に記載する。 

注記4 上記の測定を行うときは,測定結果の記録の前に,製品の最低期間の初期運転を行わなくて

もよい。 

複数の製品モードが規則的なパターンで生じる製品の場合,この規定及びパターン内の各々のモードの

既知の配列及び期間を記載した文書に従って電力レベルを決定する(附属書B参照)。 

5.3.3 

平均読取法 

平均読取法は,周期的に変化する負荷を伴うモード又は発生期間を限られたモードには,用いてはなら

ない。 

注記1 サンプリング法を用いる場合,測定期間を短縮できるときがある(5.3.2参照)。 

製品は,電源及び電力測定機器に接続する。測定する製品モードを選択し,電力を観測する。選択する

製品モードによっては,製品が自動的に測定するモードに入るまで待つことも含め,一連の操作が必要な

場合がある。製品を30分間以上安定させ,隣接した二つの測定期間の安定性を評価する。測定期間の平均

電力は,次のとおり,電力平均法又は電力量累積法のいずれかを用いて決定する。 

a) 各々10分以上の期間からなる二つの比較期間(それらの期間は,ほぼ同じ時間とする。)を選択し,

各期間の開始時刻及び経過時間を記録する。 

b) 各比較期間の平均電力を,決定する。 

c) b)で算出した二つの比較期間の平均電力の差を,二つの期間の中間点の時間差で除した値が,次のい

ずれかの傾き未満の場合,安定しているとみなす。 

− 入力電力が1 W以下の製品の場合は,10 mW/h 

− 入力電力が1 Wを超える製品の場合は,b)で決定した入力電力値(W)の1 % 

d) c)の要求事項を満たさない場合,要求事項を満たすまで,ほぼ同等の延長期間を各比較期間に追加す

る。 

e) 要求事項を満たした場合,双方の比較期間の読取値(電力測定値)の平均で,電力を決定する。 

f) 

各々30分の長さの比較期間で要求事項を満たすことができない場合は,5.3.2のサンプリング法を用い

る。 

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電力平均法は,電力測定機器が選択した運転期間の真の平均電力を記録することが可能な場合,選択す

る期間は,10分以上とする。 

電力量累積法は,電力測定機器が選択した運転期間の電力量を測定することが可能な場合,選択する期

間は10分以上とする。積算期間は,電力量及び時間の記録値の合計が,電力量及び時間に対する電力測定

器の分解能の200倍を超えるものとする。測定した電力量を観測した期間の時間で除することによって,

平均電力を決定する。 

注記2 単位の一貫性を確実にするため,ワット時(Wh)及び時間(h)を用いて電力を得ることが

望ましい。 

注記3 例えば,機器の時間分解能が1秒の場合,機器の積分には200秒以上必要である。 

注記4 例えば,機器の電力量の分解能が0.1 mWhの場合,電力量の累積には20 mWh以上必要であ

る。時間及び電力量の分解能要求事項並びに上記で指定した最小記録期間(10分)を満たす

ことが望ましい。 

5.3.4 

電力測定器直読法 

電力測定器直読法(以下,直読法という。)は,モードが変化せず,測定器に表示する電力測定値が安定

している場合に限って用いることができる。この方法は,検証を目的として用いてはならない。この方法

の測定結果に疑義がある場合は,5.3.2又は5.3.3で規定する方法を優先する。 

注記 サンプリング法を用いる場合,測定期間を短縮できるときがある(5.3.2参照)。 

直読法を用いた消費電力は,次のとおり評価する。 

a) 試験を行う製品は,電源及び電力測定機器に接続し,測定を行うモードを選択する。 

b) 30分間以上,製品を動作する。電力が安定した状態で,電力測定値を読み取る。電力測定値がまだ変

動している場合,安定性が得られるまで,運転時間を延長する。 

c) 電力が安定した状態で,更に,10分以上後に,電力測定値を読み取り,電力測定間隔を時間単位で記

録する。 

d) 結果は,二つの読取値の平均値とする。ただし,二つの読取値の電力の差を二つの読取時間の時間差

で除した値が,次のいずれかの値未満であることを条件とする。 

− 入力電力が1 W以下の製品の場合は,10 mW/h 

− 入力電力が1 Wを超える製品の場合は,c)で測定した入力電力値(W)の1 % 

e) d)の基準を満たさない場合は,直読法を用いてはならない。 

試験報告書 

6.1 

製品詳細 

試験報告書には,次の事項を記載する。 

a) メーカ名,ブランド名,機種名,形式,製造番号など 

b) 必要に応じて,製品の詳細 

c) 定格電圧及び周波数 

d) 製品に表示した製造業者の詳細 

e) 製品モードを定めるために用いる情報源(取扱説明書),並びに該当する場合,測定するモードの選定

及び除外するモードに関する技術的妥当性 

複数の機能又は追加モジュール若しくは附属品を含めるオプションをもつ製品の場合,試験を行う製品

の構成を試験報告書に記載する。 

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6.2 

試験条件 

試験中は,次の値を測定し,記録する。試験中,測定値が変わった場合は,最小値及び最大値を記録す

る。 

a) 周囲温度(℃) 

b) 試験電圧(V)及び周波数(Hz) 

c) 電力供給システムの総合高調波ひずみ率THD 

d) 電気的試験に用いる機器の構成,設置,設定及び回路に関する情報及び文書 

6.3 

該当する各製品モードの測定結果 

試験報告書には,次の情報を記載する。 

a) 製品モードの説明,使用者の選択による機能の説明,又はその他のアクティブな機能の説明,及びそ

れらの機能がどのように開始したかを説明する文書 

b) 製品は,自動的にモードを変更する場合,モードに達するための一連の動作(sequence of events) 

c) 平均電力値(W)は,小数第3位を四捨五入し,小数第2位までとする。10 W以上の負荷は,有効数

字3桁以上で報告書に記載する。 

d) 測定器に起因する算出した結果の不確かさ(Ue)(附属書D参照),及び結果が4.4.1の要求事項に適

合するか否かの判定 

e) 使用した測定方法(5.3.2,5.3.3,又は5.3.4参照)。5.3.3の場合は,電力平均法又は電力量累積法のい

ずれを用いたかを記載する。 

f) 

測定値のサンプリング間隔,合計測定時間及び安定期間(5.3.2において,該当する場合) 

g) 累積電力量及び測定時間(秒,分又は時間)(5.3.3において,該当する場合) 

h) 発生期間が限られたモードの電力量及び期間。自動的に連続して操り返すモードのパターンを説明す

る文書。 

i) 

製品の動作に関する注意 

j) 

測定中の照度レベルのように電力測定値の読取りに影響する周囲の条件 

k) 測定した製品モードの分類。箇条3のモード区分の一つ,又は適用可能な他のモード。 

注記1 皮相電力(VA),力率,及び波高率も有益なパラメータであって,報告書に記載することが

望ましい。サンプリングで収集したデータは,グラフ形式で表示することが望ましい。 

注記2 結果の総合不確かさ(Utotal)を算出し,報告書に記載することが望ましい(附属書D参照)。 

6.4 

試験及び試験所の詳細 

試験報告書には,次の情報を記載する。 

a) 試験報告書番号及び参照情報 

b) 試験日 

c) 試験所の名称及び所在地 

d) 試験担当者 

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附属書A 

(参考) 

選択した製品タイプのモード及び機能に関する指針 

A.1 一般 

この規格を用いる場合,この規格で規定した区分の範囲内で,該当する機能を反映した製品モードの名

称を考案することが重要である。 

この規格は,低電力モードの測定手順について規定している。総消費電力量の決定には,アクティブモ

ード,非接続モード,及び可能性がある各々の低電力モードの頻度,時間などを考慮すると同様に,使用

者の挙動についても考慮が必要であるが,アクティブモード及び非接続モードは,この規格の対象ではな

い。 

A.2 製品モード 

製品には,この規格で規定した各々のモードを含む場合,及び含まない場合がある。また,該当するそ

れぞれのモードを複数含む場合がある。機能に関する情報をA.3に記載する。 

非接続モードとは,製品が使用者によって相当な期間,主電源から取り外している状態である。この状

態では,主電源の消費電力量は“ゼロ”であり,この規格では測定について規定しない。ただし,このモ

ードの普及は,使用者の習慣又は慣行に依存し,製品の総消費電力量に影響を与えるものであるため,こ

の用語の定義は規定している。 

オフモードは,製品に複数含む場合,及び一切含まない場合がある。製品上のスイッチの,電源(power),

オン・オフ(on・off),スタンバイ(standby)などの表示は,この規格で規定するモードの定義と異なる

場合がある。 

スタンバイモードでは,製品本体のスイッチは,どのような技術のものでも,使用者が任意に選択する

機能とは考えない。製品本体上にないリモートスイッチ(例えば,リモートコントロール,低電圧リモー

トスイッチなど。)は,リモート操作の機能とするのが望ましい。したがって,通常はスタンバイモードに

含まれる。ただし,製品への主電源を制御することによって,主電源電圧でリモートスイッチが動作する

場合は,非接続モードとみなすのが望ましい。電磁両立性(EMC)に適合するためのコンポーネントは,

使用者が任意で選択する機能とはみなさないため,製品モードの決定には関連しない。 

記憶維持,使用履歴,使用者による選択などを考慮した機能は,オフモード,停電時及び非接続モード

でも保持すること(例えば,不揮発性メモリ内に保存する場合。)が望ましいため,スタンバイモードの下

での機能とはみなさない。 

保護用でない機能及び/又は取扱説明書若しくはその他の情報で検証できない機能は,スタンバイモー

ドの下での機能とみなさないことが望ましい。 

ネットワークモードでは,このモードで消費電力の正確な測定値を得るための試験の場合,適切に構成

したネットワークが利用可能であって,製品に接続しているか否かの確認に注意が必要である。このモー

ドでは,幾つかの電力レベルが考えられる(例えば,電力は,ネットワークの接続速度,ネットワーク接

続の数及び種類の影響を受ける場合がある。)ため,注意が必要である。また,モード内での消費電力は,

定期的に変化する場合がある。無線ネットワークでは,無線機器が接続を探すときとネットワーク接続を

実際に確立したときとの消費電力に差がある場合がある。ネットワーク環境では,電力を消費する製品の

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消費電力量は,製品設計,使用者との相互作用及びネットワークの相互作用の影響を受ける場合があるこ

とを考慮することが必要である。 

多くの場合,アクティブモードの消費電力量は複雑であって,使用者との相互作用の影響の分析,及び

共通タスクの範囲とともに,製品の動作状態の詳細な分析が必要である。アクティブモードの消費電力量

を取り扱う特定の製品規格があって,利用する場合,それらを参照するのが望ましい。ただし,箇条5に

規定する測定方法を,比較的低電力で安定した消費電力のアクティブモードに適用する場合がある。 

充電式電池付きのポータブル製品の該当する低電力モードは,次の場合による。 

a) 充電器又はドッキングステーション若しくはベースステーションを主電源に接続するが,製品は,取

り外す場合(電池は,接続しない状態)。 

b) 製品を取り付け,完全に充電している状態であって,充電器又はドッキングステーション若しくはベ

ースステーションを主電源に接続している(フロート又はメンテナンスとも呼ばれる状態)場合。 

電池を充電するモード(フロートモード及びメンテナンスモードとは区別される。)は,この規格では規

定しない。 

個別の製品の最小電力の低電力モード(最低電力モード)は,同等の機能をもつ製品にとって有効なベ

ンチマークとなり得る。 

注記0A 

対応国際規格の待機モードに関する規定は,この規格の適用範囲のモードではないため,

この規格では,関連する記述を削除した。 

A.3 機能 

機能は,3.1に定義する。 

機能は,一般的に主機能又は二次機能のいずれかに分類する。二次機能には,リモートスイッチング機

能,ネットワーク機能,検知機能及び保護機能を含む場合がある。主機能は,製品の主目的に関連する。

一部の製品では,ネットワーク機能又は検知機能が主機能の場合がある。主機能は,複数存在する場合が

ある。 

動作負荷(図A.1参照)は,製品の主機能である。一定の条件を維持するため,動作負荷を制御するサ

ーモスタット又は温度制御装置は,通常,電源スイッチ又は二次機能ではなく,動作負荷(主機能)の一

部とみなされる。 

二次機能の例を,次に示す。 

a) 動作負荷への電力のリモートコントロール(通常は,リモート電力スイッチを指す。)。通常は,製品

に附属しており無線又は低電圧を用いる。 

b) 負荷の制御(オートオフ,遅延スタート,又は遅延オフ) 

c) 光,人感,熱,煙,温度,水流などのセンサ(動作負荷を制御するサーモスタットは,この状況では

センサとみなされないことに注意する。) 

d) 表示(モード,ステータス,プログラム,状態又は時計の可能性がある。) 

e) メモリ及びタイマ機能 

f) 

電子制御,ロック及びスイッチ 

g) ネットワーク機能(有線,無線及び赤外線) 

h) 電池充電(装置の主機能でない場合。) 

i) 

電磁両立性(EMC)フィルタ 

j) 

製品及び/又は使用者保護のためのセンサ 

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機能及び各モードの分類の例を,表A.1に示す。 

一部の低電力モードで消費電力が生じる場合がある理由を理解するには,二次機能を,一次負荷又は主

機能に対して独立したモジュールと考えるのが有益である。一部の設計形態の下では,二次機能は少量の

電力を消費する。二次機能は,一部の製品モードで主電源を遮断する独立したスイッチをもつ場合がある。

二次機能のモジュールと想定できる多様な構成を,図A.1に示す。 

A.4 電源スイッチ 

使用者は,電源スイッチによって,主機能の動作又は停止をすることができる。電源スイッチは,通常,

製品上にある。主機能が停止した場合,一部の二次機能は動作し続けるか,又は動作を開始する場合があ

る。製品によっては,複数の電源スイッチをもつ(一部のスイッチは二次機能だけに作用する。)場合があ

る。製品には,電源スイッチがない場合もある。電源スイッチは,この規格では機能として分類しない。

電源スイッチには,次のように,考えられる種類が多数ある。 

a) 主電源スイッチ 使用者が操作する,主機能への電源供給を主電圧で制御するスイッチ。主機能が停

止した場合,一部の二次機能は動作し続けるか,又は動作を開始する場合がある。 

b) 低電圧又は“ソフト”電源スイッチ 使用者が操作する,主機能への電源供給を低電圧又はソフトで

制御するスイッチ。主機能が停止した場合,一部の二次機能は動作し続けるか,又は動作を開始する

場合がある。 

c) タイマ又は自動スイッチ 使用者によって直接的な操作ではなく,製品内で主機能を制御するスイッ

チ[自動的に(例えば,タスク完了時),又は使用者のプログラムによって一定の時間若しくは選択し

た期間,電源をオン又はオフしたり,電力管理を含めたりすることが可能] 

d) リモートコントロールスイッチ 主機能が使用者又は別の装置によって,遠隔操作するスイッチ 

e) 電源制御スイッチ 調光器又はサイリスタなど,何らかの電力制御装置を含んだ電源スイッチ 

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表A.1−装置,機能,関連モードの表 

装置 

内容 

二次機能の種類 

関連モード 

注釈及び問題点 

リモートスイ

ッチ 

低電圧(有線),電波又は赤外線(無

線)を用いるリモートスイッチ 

使用者が任意に

選択 

スタンバイ 

リモート機能は,アクティブでなければならない。製品から離れてもつ場合のある主電源ス

イッチは含まない。消費者製品及び一部の電気器具(例えば,ヒータ)には,一般的な,通

常のリモートコントロールを含む。 

ローカルスイ

ッチ 

明白な使用者の任意な選択による機

能の動作を伴わず,製品をあるモード

に設定するスイッチ 

その他 

オフ 

製品上にあるスイッチ。リモートスイッチ及びネットワーク機能に優先する。スイッチによ

っては,全ての機能を停止するわけではなく(例えば,時計,リモートなど),スタンバイ

モードとなる。 

チャイルドロ

ック 

子供が誤って製品を動作させるのを

防止する装置 

使用者が任意に

選択 

オフ(注記1

参照) 

一般的には,製品がオフモードを維持するための電気式ロック(機械式の場合もある。)。LED

に関連付けることが多い。オフの変形であるが,多少電力を必要とする場合がある。 

オフモードを 

知らせるLED 

製品がオフであることを使用者に示

す発光ダイオード(LED) 

その他 

オフ 

オフモードとみなすのが望ましい特殊な場合(3.5参照)。リモートスイッチが依然として有

効な場合は含まない(リモートスイッチ参照)。 

安全スイッチ 

漏電残留電流装置,漏電遮断器,又は

アーク短絡保護遮断器 

その他 

注記3参照 

電気故障の場合に電源を切り,使用者又は製品を保護する保護装置で,使用者が意識してい

ないことがある。 

EMCフィルタ  電磁両立性フィルタ 

その他 

オフ 

他の装置との干渉を制限するため,EMCフィルタが必要である。製品がオフのときは,接

続又は切断する場合がある。 

水あふれ防止

装置 

ソレノイドの故障によって水あふれ

が生じないようにするための検知シ

ステム(例えば,洗浄製品) 

その他 

オフ(注記2

参照) 

ソレノイドは,一旦適切に閉じた場合,再び開く可能性は低い。サイクルの終わりにソレノ

イドが閉じて,漏れが生じないことを確実にすることが望ましい(設計は多様)。 

逆サイホン 

作用防止装置 

製品から本管給水への水の逆流を防

止(例えば,洗浄製品) 

その他 

オフ 

多くの製品に含めることが望ましく,多くの場合,機械装置である(電力なし)。給水に接

続する他の使用者を保護する。 

不動作時 

停止スイッチ 

一定期間動作しない場合に製品を停

止(例えば,アイロン) 

その他 

アクティブ 

アクティブからオフ又はスタンバイモードへの自動変更。正常な動作状態ではなく,正常な

使用では一般的でない,偶発的な製品の誤用の場合に,資産を保護する。この機能は,定義

上,アクティブモードの使用に関連付ける。消費電力量に関係しないことが望ましい。装置

は資産を保護する。 

遅延オフスイ

ッチ 

一定期間の後(使用者による選択可

能),製品を低位状態に切替え 

使用者が任意に

選択 

スタンバイ 

低位状態に電力が切り替わると,その結果のモードは,有効な機能に依存する(例えば,リ

モートコントロールが有効か否か。)。消費電力量に関連する。 

最終的な製品モードは,存在し,かつ,動作する機能(装置)の組合せに依存する。 

注記1 

製品が明らかにオフであって,かつ,使用者によってオフとみなされているため,オフモードであることが望ましい。ただし,電気式ロックを有効に保つには電力が必要な場

合があるので,特殊なオフモードとみなすことが必要である。この機能の一部のオプションは,機械式であって,消費電力が不要な場合がある。 

注記2 

一部の設計では,例えば,管又は接続部の漏れなど,ソレノイドの前方の漏れを検出することによって,追加の保護を提供する。ただし,機能の全ては,使用者には分からず,

使用者は,通常のオフモードと区別できない場合もある。ただし,これらは実際の機能であって,多少の電力を必要とする場合がある。これは,様々な意見が存在する領域で

あって,具体的な場合を検討する必要がある。この装置は資産を保護する。 

注記3 

モード区分を決定する場合は,安全スイッチを無視するのが望ましいが,ユーザマニュアルに記載している場合は,スタンバイモードとして分類することができる。この装置
は使用者を保護する。 

3

C

 6

2

3

0

1

2

0

1

6

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16 

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A.5 製品タイプ 

この箇条では,一般的な製品構成の一部,及びこれらが低電力モードで幾らかの電力を消費する可能性

の有無を図式で示す。各タイプ(A〜G)の幾つかの例,及び消費電力に影響する製品の主な構成要素につ

いて,次に示す(図A.1参照)。次の各タイプ(A〜G)の製品の例は,特定の方法で構成する典型的な製

品の例を示すためのものであって,必ずしも可能な製品の正確な分類ではない。 

注記 それぞれのタイプに付けられた文字は,任意に割り当てられている。 

Aタイプ 

このタイプの製品は,二次機能及び電源スイッチをもたない。このタイプの製品は,電源に接

続すると動作する。何らかの内部的な負荷の制御が存在する場合がある(例えば,サーモスタ

ット又は温度制御装置)。低電力モードはもたない。 

Aタイプの製品の例には,電気ポット(カットアウトなし),一部の小形台所用機器,貯湯式

電気温水器,暖房器,冷凍冷蔵庫などがある。 

Bタイプ 

このタイプの製品は,電源スイッチをもつ。製品の主機能は,手動で電源スイッチを入れると

動作し,電源スイッチを切ると停止する。電源スイッチは,オートオフタイプ(動作完了時に

自動的に電源を切る。)の場合がある。二次機能はもたないため,低電力モードは,通常,僅

かな電力消費,又は電力を消費しない。 

Bタイプの製品の例には,電気ヒータ(サーモスタットなし),へアドライヤ,トースタ,電

気ポット(ボイルカット付き),一部の大形電気機器(一部の食器洗機,電気洗濯機及び衣類

乾燥機),多くの小形台所用機器,クッキングヒータ,一部のオーブンなどがある。 

Cタイプ 

このタイプの製品は,電源スイッチをもたないが,主機能を制御するか,又は何らかの関連機

能を実行する二次機能をもつ。また,リモートコントロール又は低圧電源スイッチをもつ場合

がある。低電力モードの電力量は,二次機能に関連付けられる。 

Cタイプの製品の例には,製パン機械,一部の小形台所用機器,一部の大形電気機器(一部の

食器洗機,電気洗濯機及び衣類乾燥機),一部の電子レンジ,リモートコントロールをもち,

ハードオフスイッチをもたない製品,“ソフト”(電子式)電源スイッチをもつ製品などがある。 

Dタイプ 

このタイプの製品は,主機能を遮断する電源スイッチ,及び常時電源に接続する二次機能をも

つ。また,低電力モードの電力量は,二次機能に関連付けられる。 

Dタイプの製品の例には,スチームコンベクションオーブン,一部のヒータ,電子レンジ,二

次機能(時計,ディスプレイ,タイマなど)に何らかの電力を必要とする製品などがある。 

Eタイプ 

このタイプの製品は,主機能を遮断する電源スイッチをもつ。これには,常時電源に接続する

二次機能及び/又は電源スイッチから遮断する二次機能を含む場合がある。低電力モードの電

力量は,常時接続する二次機能に関連付けられる。その他の低電力モードは,切替式二次機能

に関連付けられる。 

Eタイプの製品の例には,一部の電子レンジ,一部の大形電気機器(一部の食器洗機,電気洗

濯機及び衣類乾燥機),一部のヒータ,二次機能(時計,ディスプレイ,タイマなど)に幾ら

かの電力を必要とする製品,恒久的に接続する電子フィルタ又はEMCフィルタ,低電圧スイ

ッチ及びコントロール,又は有線リモートコントロールをもつ製品などがある。 

Fタイプ 

このタイプの製品は,製品に電力を給電する外部電源をもつ。給電は,通常,交流又は直流の

50 V未満の低電圧であって,プラグによって接続する。製品の内部構成は,上記A〜Eタイプ

の場合がある。全ての機能で,外部電源を電源に接続する必要がある。消費電力量は,電源と

関連しており,数多くの低電力モードをもつ場合がある。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

Fタイプの製品の例には,一部の小形パーソナルケア製品,一部の小形台所用機器,通常,外

部電源を通じて電源に接続する製品などがある。 

Gタイプ 

このタイプの製品は,主に電池充電のため,製品に電力を供給する外部電源をもつ。製品の主

機能は,通常,電源から切り離した製品の主要部分(電池式製品及びポータブル製品)で動作

するが,製品によっては,電源を接続したまま使用する場合がある。給電は,通常,交流又は

直流の50 V未満の低電圧であって,取外しできるプラグによって接続する。これらの種類の

製品では,電池は,製品内に組み込んだまま,若しくは製品に接続している間に充電(この場

合,電源はプラグによって製品に取り付けるか,又は製品を使用しない間,製品を充電する専

用のクレードルに乗せて置いておくことができる。),又は充電のために,製品から取り外すこ

とができる(専用又は汎用の充電装置を要する場合がある。)。消費電力量は,(例えば,製品

を接続していない場合でも)通常,電源に関連付けられ,電池の充電及び製品の使用に関連し

た低電力モード及び/又はアクティブモードをもつ場合がある(A.2参照)。 

Gタイプの製品の例には,電池式電気かみそり,電動歯ブラシ,ポータブル掃除機など,可搬

形電池式製品がある。 

background image

18 

C 62301:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 専用クレードルは,一部の製品構成だけに提供する。 

図A.1−タイプ別の回路図イメージ 

19 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

低電力モードの測定に関する注意事項 

B.1 

低電力測定の問題 

B.1.1 一般 

主に低電力モード(通常,10 W未満)には,非常に小さい負荷の電力測定に関連した問題が,多数存在

する。問題の多くの場合は,低電力モードに頻繁に発生する非正弦波電流の波形に対する電力測定器の応

答能力に関係する。考慮する必要がある重点を,次に記載する。 

この規格の目的は,各々の該当する製品モードにおける電力を測定することにある。ただし,多くの低

電力モードでは,電流の波形が正弦波になる場合は少ないため,電力測定器は,例えば,パルス又はスパ

イクのような,通常,発生する電流波形を確認するのに十分な走査周波数をもつ必要がある。電力を決定

するために,電力測定器は,1サイクル(約15 ms)当たり数百回,瞬時電流値及び瞬時電圧値をサンプリ

ングして,乗算しなければならない。多くのデジタル機器は,これらの値を累積し,1秒間に1〜2回,平

均電力を表示する。低電力モードでは,多くの製品の電力は,10 W未満になる(一部は,非常に小さい値

となる場合がある。)ことに注意が必要である。これは,電流レベルの低さが原因の一つであるが,電流の

波形が電圧の波形と著しく異なることにも起因する場合がある。 

B.1.2 波高率(クレストファクタ)の影響 

波高率(クレストファクタ)は,電流実効値に対する電流波形のピーク値の比,又は,電圧実効値に対

する電圧波形のピーク値の比として定義する。純粋な正弦波の波形では,波高率は1.414であり,滑らか

な一定の直流負荷では,波高率は1.0である。4.3.2の要求事項を満たす電源では,電圧波形は一般に正弦

波であるため,考慮する必要があるパラメータは,電流波形となる。 

測定時は,電力測定器の波高率の測定能力が実際の負荷の波高率を上回っていることが不可欠であって,

電力測定器の性能が不足した場合,電流のピーク値が“切り落とされ”,電力の積算が正確でなくなる。多

くの電力測定器には,各々の“電流レンジ”に関係する波高率,又は許容ピーク電流を示している。通常,

選択した定格入力レンジに対して実際の負荷が小さくなった場合,電力測定器の波高率は,増大する。た

だし,選択したレンジが大き過ぎる場合,測定の確度及び分解能は低下して,不確かさが増す。より高い

波高率の電流測定能力をもつ電力測定器では,より小さな電流レンジを選択することが可能であって,波

高率の高い負荷を測定する場合に,不確かさの改善ができる。 

この規格に従って測定を行うためには,そのレンジの許容ピーク電流を超えた場合にアウトオブレンジ

の状態を表示するような電力測定器を用いることが重要である。低電力モードでは,電流波形は一般的に

波高率が3〜10,場合によってはそれを超える値であることから,アウトオブレンジの表示を確認するこ

とが必要である。 

非常に高い波高率及び/又は非常に低い力率をもつ負荷については,4.4.1の要求事項では,例えば,非

常に確度の高い電力測定器を用いても,これらの種類の負荷を読み取るのは,技術的に困難であることを

認めており,測定の不確かさの要求値を修正している。4.4.1の不確かさUpcを決定する計算の例を,次に

示す。 

− 製品の消費電力(電力測定値)P:0.2 W 

− 1 W未満の負荷の場合の最大許容絶対不確かさUma(4.4.1参照):0.020 W 

20 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 力率PF:0.12 

− 製品の電流波高率CF:13 

最大電流比(MCR):4.4.1の式(1)によって,次の式(B.1)となる。 

3.

108

12

.0

13

PF

CF

MCR

=

=

=

 ························································· (B.1) 

最大電流比(MCR)が10を超える場合,Upcは,4.4.1 b)の式(2)によって,次の式(B.2)となる。 

{

}

(

)

[

]

%

7.

17

177

.0

86

.8

02

.0

10

3.

108

08

.0

1

02

.0

pc

=

=

×

=

×

+

×

=

U

 ··········· (B.2) 

すなわち,許容相対不確かさ(Umr=2 %)の約8倍となる。 

この負荷で許容する絶対的不確かさは,Upcに電力測定値Pを乗じた値,又は0.020 Wのいずれか高い

方の値とする。 

W

4

035

.0

W

2.0

177

.0

pc

=

×

=

×P

U

 ·············································· (B.3) 

式(B.3)で求めた0.035 4 Wは,0.020 Wを上回るため,許容不確かさは,0.035 4 Wとなる。 

注記 不確かさのより詳細な計算は,附属書Dを参照。 

B.1.3 低い力率の影響 

低い力率の負荷は,幾つかの点で測定の不確かさを高める場合がある。低い力率の負荷は,有効電力(W)

よりも,算出する皮相電力(VA)は,はるかに大きくなる。アウトオブレンジの状態を生じることなく,

この相対的に大きな電流を正確に測定するには,電力測定機器でより高い電流レンジを選択することが必

要な場合があるが,実際の電力は依然として低いため,これは,電力レンジの僅かな割合だけで機器が動

作していることを意味する。電力レンジの僅かな割合だけ利用しているため,測定の不確かさは比例的に

高くなる。 

もう一つの影響は,電力測定機器の動作の方法によって,低い力率は,電力測定の読取値に直接的な不

確かさを生じる場合がある。この影響は,電力測定機器ごとに,また,電力測定機器製造業者によって異

なる。これらの影響は,力率が非常に低いときは大きくなる場合がある。 

B.1.4 大容量のクラスXコンデンサをもつ製品 

特定の製品は,電磁エミッションを限度値以下にするため,相間にコンデンサ(クラスXコンデンサ)

を用いる。コンデンサの容量が十分大きい場合,入力電流は正弦波となるが,入力電圧との位相がずれる

場合がある。これは,算出する皮相電力(VA)が測定した有効電力(W)をはるかに上回ることを意味す

る。この場合には,アウトオブレンジの状態にならないような電流のレンジを選択する必要がある。測定

電力の測定不確かさの基準が確実に満たされるように注意を払うことが望ましい。 

B.1.5 試験時,製品によって発生するスパイク又は変動の影響 

電力レベルのスパイク又は変動は,あるモードの最中に短時間生じることがある。これらのスパイクを

追跡する必要がある場合,正しいレンジを設定するように注意する必要がある。 

なお,時間幅が非常に短いスパイクは,測定する電力に大きな影響を及ぼさないため,無視することが

できる。 

B.2 

測定装置の検討事項 

B.2.1 電力測定のための機器 

電力測定機器に関して,一般的に推奨する事項を記載する。電力測定器は,次の能力をもつことが望ま

しい。 

− 有効電力,実際の電圧実効値及び電流実効値,並びにピーク電流を測定できる能力 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 1 mW以下の電力量分解能 

− レンジ定格値で利用可能な電流波高率が3以上 

− 最小電流測定レンジが10 mA以下 

− 得られた測定結果には,周波数応答に関連した測定期間を通して,全ての収集データを考慮する能力 

− アウトオブレンジの状態を感知する能力 

− オートレンジを停止する能力 

注記 非抵抗性の時間的に変動する負荷を測定する場合は,アウトオブレンジ又はレンジの自動切替

のいずれかを防ぐため,オートレンジ機能を停止することが必要な場合がある。 

電力測定機器の購入を検討する場合は,測定の全体的な不確かさに対する多様なパラメータの影響を考

慮する必要がある。電圧,電流及び電力の不確かさに加え,力率及び波高率といった要素は,電力測定機

器の読取値の全体的な不確かさに影響を及ぼし得る。一部の負荷は,力率が0.05程度に低く,波高率は,

10程度に高い場合がある(小さな容量性負荷については,それ以上の場合もある。)。 

この規格では,製品は,消費電力及び経時的な消費電力の変化の有無を決定するため,定めた期間にお

いて測定を行う。したがって,いかなる電力測定機器も,経時的な電力を決定するために必要な共通する

基本性能を備えていなければならない。電力測定機器を選択する場合は,電力測定機器の経時的な電力測

定のばらつきを考慮することが望ましい。約1 Wで校正した負荷を用いて試験を行ったとき,8時間で電

力測定の変動が0.1 %未満であることが望ましい。また,製造業者の指示に従って,測定の前に,測定機

器(電源及び電力測定機器)の始動及びウォームアップを行うことが重要である。 

電力測定機器の分解能が,結果の正確な記録に不十分である場合,電力測定の総合不確かさに重大な影

響を及ぼす場合がある。電力測定の総合不確かさへの影響を最小限とするためには,利用する分解能は,

電力測定の総合不確かさを大きく上回る能力をもつことが望ましい。 

電力測定器の能力は,測定値をサンプルし,このデータを1秒以下の間隔で,コンピュータ又はデータ

レコーダにリアルタイムで出力することが最も望ましい。関連するパラメータは,全て同時に出力するの

が望ましい(例えば,電圧,電流,電力,皮相電力,波高率など。)(B.2.5参照)。電力測定機器は,操作

者が選択した時間間隔で電力を正確に平均できることが望ましい場合もある(これは,通常,電力測定機

器内部で累積した電力量を時間で除すという電力測定器内部の数学的計算で行い,これは最も正確な方法

である。)。電力測定機器は,0.1 mWh以下の電力量分解能をもち,操作者が選択した時間間隔において電

力量積算が可能で,1秒以下の分解能で積算時間を表示できるものであってもよい。 

B.2.2 周波数応答要求事項(高調波) 

電流の波形が,例えば,抵抗加熱負荷のように電圧の波形と同相の滑らかな正弦波の場合,電流波形に

高調波成分を含まない。ただし,低電力モードに関連した一部の電流波形では,著しくひず(歪)み,電

流は,典型的な交流サイクル上に,一連の短いスパイク,又は一連のパルスのように発生する場合がある。

実際には,基本周波数(50 Hz又は60 Hz)の倍数である幾つかの高調波で電流波形を構成することを意味

する。多くのデジタル電力アナライザは,低電力モードによって生じる,より高次の電流高調波を問題な

く正確に測定する。電力測定機器は,2.5 kHzまでの高調波成分を測定する能力をもっていることが望まし

い。一般的に,第49次高調波(50 Hzの供給電源で2 450 Hz)よりも大きな高調波成分には,それらに伴

う電力の発生がほとんどないことに注意する。通常,電力測定機器の走査周波数は,それに伴う有意な電

力をもつ最高次高調波の周波数の2倍以上であることが望ましい。 

B.2.3 周期的負荷及びパルス負荷のサンプリング要求事項 

一部の低電力モードでは,負荷は本質的に周期的又はパルス状となる。そのような負荷の場合,低電力

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

モードの電力を測定するために,電力測定器から,電力値の読取りを行うことはできない。したがって,

5.3.2に規定する方法によって,1秒以下の等間隔でデータをサンプリングし,記録することのできる電力

測定器を用いる(B.2.5も参照)。製品によっては,規則的なパターンで発生する個別に異なる製品モード

の配列を示す場合がある。 

一部の製品モードは,ある期間(時々,数分間)安定し,その後,電力量の状態が,短期間上がるか,

又は下がるといった周期性がある。製品によっては,不定期間隔で電力パルスが発生する場合がある。し

たがって,測定が開始される前に,製品の挙動を理解しておくことが必要である。異なる電力量の状態で

“規則的”なサイクルがある場合に,平均電力を決定するときは,全てのサイクルを調べることが望まし

い。製品の挙動について,理解をするためには,負荷の著しい変化でトリガするように設定したオシロス

コープを用いて,負荷の変動パターンを調べるのが有益な場合がある。 

製品によっては,規則的なパターンで自動的に生じる,一連の異なる製品モードを示す場合がある。し

たがって,個々の製品モードを,別々に識別して測定し,その期間を記録することが望ましい。 

一つの製品モードが周期的な電力のパターンを示しているのか,又はその製品に規則的なパターンで生

じる一連の異なる製品モードがあるのかを決定するため,判定を必要とする場合がある。判定の主な決定

要件は,異なる電力レベルで有効又は無効になる異なる機能があるか否かであって,異なる機能がある場

合は,別々の製品モードとして取り扱うのが望ましい。 

モード内の周期的な負荷は,通常,数秒から数十分の期間で,数秒から数分間に電力レベルを変えるの

が一般的である。また,モードパターンは,通常,数時間から数日ごとに,数分間から数時間にわたって

電力の状態を変える。ただし,第三者が詳細な文書なしでそれぞれの場合を識別することは,必ずしも容

易ではない場合がある。 

製品モード内の周期的な電力パターンの例を,次に示す。 

− 動作状態を維持するため,周期的に運転するヒータ 

− 特定の動作状態に機能を維持するコンデンサの再充電に必要な,短時間の電力使用 

一連のモードを示す製品の例は,大部分の時間は低電力モードで,1日に1〜2回,ネットワークに接続

して運転情報をダウンロードするために短時間(例えば,2分〜30分程度)動作する製品である。この場

合,製品は他の低電力モードにはないネットワーク関連機能を動作し,明確に異なる期間眼定モードに入

る。 

B.2.1に記載した,測定器がコンピュータにデータ出力を提供する必要性は,この理由による。 

B.2.4 直流負荷成分の測定 

電源の構成及び設計によっては,ある程度の小さな負荷(低電力モードに関連するものなど。)が,非対

称電流(交流電圧サイクルの正又は負いずれかの部分の電流)だけを引き出す場合がある。これは,実質

的に,交流電圧源によって供給する直流電力負荷成分である。 

多くのデジタル電力アナライザは,電力測定時,低周波数及び直流成分を適切に処理することができる。

ただし,直流を伝達することができない交流専用の変流器(カレントトランス)を用いた場合は,電流波

形の正確な測定を保証することはできない。したがって,どんな電力測定機器も電流を測定するために直

接シャント入力又はDCCT(DC current transformer)といった,直流からの電流測定が可能な測定方式を用

いることが重要である。円盤形の電力測定器は,直流負荷による制動トルクが発生し,更に不正確さを増

長するため,この種のいかなる大きさの負荷にも不適切である。 

注記 従来の円盤形のキロワット時電力量計を用いて,この規格の要求事項(必要とする精度又は測

定方法)を満たすことは,通常,不可能である。低電力モードの負荷(10 W未満)では,円盤

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

形の電力量計の動作に必要な始動トルクに達することが不可能な場合が多く,したがって,そ

のような負荷は0 Wと判断される場合がある。これは要求に満足するものではない。 

B.2.5 自動化ソフトウェアの検討事項 

電力測定値のサンプリングは,データロガー(各種の電気信号を読み取り,後にコンピュータに転送す

るため,内部メモリにそのデータを保持することができる装置)を用いるか,又は一定の間隔でデータを

直接記録することのできる電力測定機器とコンピュータとの間の直接的な接続によって行うことができる。

後者の構成は,最新の研究所で最も一般的な設定であるが,多様な構成が可能である。多くのデジタル電

力アナライザは,全ての主なパラメータを直接コンピュータ又はその他の研究所のデータ収集装置に一定

の間隔で記録するためのインタフェース(例えば,GPIB又はシリアルインタフェース)をもつ。 

多くの電力測定機器は,現在,非常に動作が柔軟であって,操作者は,動作及びロギング機器,又はコ

ンピュータとの連動の仕組について,十分理解しておく必要がある。特に,一つの共通課題は,外部から

制御する場合の,デジタル電力アナライザの使用に関連する。多くのデジタル電力アナライザでは,デー

タロガー又はコンピュータと外部インタフェースとを接続し,動作を開始し,データ収集を始めると,通

常,オートレンジ機能は無効になる。研究所の技術者が,計測期間に起こり得る電力範囲及び波高率を予

測し,データの記録に先立ち,手動で電力測定器の電力レンジ及び電流レンジの両方を正しく設定する必

要があることを意味している。したがって,電力測定器を正しく設定するため,アウトオブレンジでの測

定値を避けるための試行が望ましい。また,自動化ソフトウェアは,電力測定器がアウトオブレンジの状

態に入ったか否かを検知及び表示・記録することが望ましい(B.1.2〜B.1.4参照)。 

B.3 

規格の適用 

この規格は,関連する低電力モードを評価するため,単一の製品に実施する測定方法を規定する。この

規格は,各製品に指定したサンプリングによる,製造のばらつき判定の目安を提供するものではない。適

合性評価のため,適切なサンプリングプランを開発することが望ましい。 

B.4 

電気機器の接続 

B.4.1 接続配置の決定 

十分な精度を達成し,試験所間のばらつきを最小化するには,電力測定機器を一貫した方法で接続する

ことが重要である。電力測定器の電圧測定回路の入力抵抗は有限であって,電流測定シャントの抵抗はゼ

ロにはならない。求められる精度のレベルを達成するには,これらの因子を考慮する必要がある。したが

って,電力測定器の電圧及び電流測定部は,各々の測定で,測定器の内部消費電力の影響を,最小にする

ように構築することが望ましい。 

電圧計は,低電力負荷では電流測定部に対して電源側(供給側)(B.4.2参照),高電力負荷では電流測定

部に対して製品側(負荷側)(B.4.3参照)に接続する。 

接続構成を設定する場合は,次のように選択する。 

− 負荷の測定実効電流Imが,ブレークポイント電流Ibp以下である場合,B.4.2の低電力負荷の場合の接

続配置を用いる。 

− 負荷の測定実効電流Imが,ブレークポイント電流Ibpを超える場合,B.4.3の高電力負荷の場合の接続

配置を用いる。 

ブレークポイント電流Ibpは,次の式(B.4)で算出する。 

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v

a

s

bp

1

R

R

V

I

×

×

=

 ··································································· (B.4) 

ここに, 

Vs: 供給電圧(V) 

Ra: 選択された電流レンジの電流シャント抵抗を含む電力測定器

の内部抵抗(Ω) 

Rv: 電圧計の抵抗(Ω) 

ブレークポイント電流Ibpは,電圧測定部の内部抵抗による損失と電流測定部のシャント抵抗による損失

とが等しくなる電流である。 

実際には,同じ製品で異なるモードを測定するとき,電流レンジ(B.2.5参照)の変更が必要となる場合

があって,これはRaの値に影響を及ぼす。したがって,接続構成は変わる場合がある。接続構成は,各測

定ごとに評価する必要がある。 

加えて,電力測定器の電圧及び電流測定構成要素の電力損失を考慮することが可能な場合,測定の精度

は,更に改善することができる。これを行うには,電力測定器の内部特性に関する詳細な文書が必要にな

る。一部の機器は自動的に内部電力補正を行う場合があって,この場合,手動による補正は適用しないこ

とが望ましい。 

式(B.4)を用いて接続配置を決定するための計算例を,次に示す。 

− 負荷電力 P:10.0 W 

− 力率 PF:0.5 

− 供給電圧 Vs:230 V 

− 電流シャント抵抗を含む電力測定器の内部抵抗 Ra:350 mΩ(0.350 Ω) 

特に,高い波高率及び/又は低い力率の製品の場合,電流シャントが過負荷にならないように,ま

た,電力測定器がアウトオブレンジの状態にならないように,注意する。 

− 電圧入力抵抗 Rv:1.4 MΩ(1 400 000 Ω) 

− 測定実効電流 Im:0.086 7 A 

電源側(供給側)の電圧測定のブレークポイント電流Ibpは,式(B.4)によって次の式(B.5)のように求め

る。 

A

329

.0

43

001

.0

230

000

400

1

350

.0

1

230

1

v

a

s

bp

=

×

=

×

×

=

×

×

=

R

R

V

I

 · (B.5) 

したがって,負荷電流(測定実効電流)が計算値を下回るため,電圧計は電源側(供給側)(B.4.2参照)

に接続することが望ましい。この例では,力率及び電流シャントについて,電圧計の接続配置を変更する

負荷は,約37 Wとなり,これを超えた場合,より高いB.4.3の高電力負荷設定を用いることが望ましい[電

圧測定は製品側(負荷側)で行う。]。 

B.4.2 低電力負荷:供給側電圧測定 

B.4.1に従って決定した低電力負荷の場合の,交流電源から直接給電する製品の接続配置を図B.1に示す。

また,外部電源によって給電する製品の接続配置を図B.2に示す。電圧は,操作者によって,設定が可能

な,電力測定器の電流測定部(電流センサ)に対して電源側で測定することが望ましい。 

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A: 電力測定器の電流測定部 
V: 電力測定器の電圧測定部 

図B.1−交流電源から直接給電する製品の接続配置(低電力負荷の場合) 

図B.2−外部電源装置を介して給電する製品の接続配置(低電力負荷の場合) 

1 W以下の入力電力を測定する場合は,干渉によって,接続配置が誤った測定値を示さないように注意

することが望ましい。したがって,影響を最小化するため,リード線は可能な限り,全て短くし,また,

電流測定部(図B.1及び図B.2で“A”と示す箇所)へのリード線は,より合わせることが望ましい。 

B.4.3 高電力負荷:負荷側電圧測定 

B.4.1に従って,決定した高電力負荷の場合,交流電源から直接給電する製品の接続配置を,図B.3に示

す。また,外部電源によって給電する製品の接続配置を,図B.4に示す。電圧は,操作者によって,設定

が可能な電力測定器の電流測定部(電流センサ)に対して製品側で測定することが望ましい。 

被試験製品

電源 

電力測定器

V

外部電源 

電源

電力測定器

A

V

外部電源 

装置 

装置に 

よって給電 

される製品 

被試験製品

background image

26 

C 62301:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A: 電力測定器の電流測定部 
V: 電力測定器の電圧測定部 

図B.3−交流電源から直接給電する製品の接続配置(高電力負荷の場合) 

図B.4−外部電源装置を介して給電する製品の接続配置(高電力負荷の場合) 

被試験製品

電源 

電力測定器

A

V

外部電源 

電源

電力測定器

A

V

外部電源 

装置 

装置に 

よって給電 

される製品 

被試験製品

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附属書C 
(参考) 

電力値の電力量への変換 

この附属書は,この規格で規定した電力測定値の消費電力量への変換に関する指針を記載する。 

電力量は,平均電力に時間を乗じたものである。 

電力量は,一般的に,ワット時(Wh)又はキロワット時(kWh)で表す。電力量は,ジュール(J)で

表すこともある。1ワット(W)は,1 J/sの仕事率である。1 kWhは,3.6 MJに相当する。 

電力を電力量(例えば,年間消費電力量)に変換する場合には,一定期間の各モードの動作時間を推測

しなければならず,また,各モードの平均電力も既知でなければならない。大部分の製品は多くのモード

で動作することが可能であって,また,使用のパターン及びプロファイルは,国によって大きく異なる場

合がある。この規格で規定した電力測定値を消費電力量に変換することには,潜在的に困難が伴う。 

最も単純な,一つの動作モードしかない製品は,1年間一定の電力であると想定することによって,年

間の消費電力量に変換することができる。1年は8 760時間(うるう年は無視する。)とし,例えば,一定

の待機電力が5 Wの製品は,年間43 800 Wh,つまり,43.8 kWhを消費することになる(他のモードでの

使用はないものとする。)。 

年間消費電力量は,1年間の各モードの電力にそれぞれの使用時間(1〜8 760時間)を乗じた値を合計

することによって,より複雑な使用パターンについても決定が可能である。 

総消費電力量を検討する場合は,最低限,“オン”又はアクティブモードの時間,及びサイクル当たりの

消費電力量の数値が必要である。一部の製品では,想定する1年間の使用数(サイクル数),及び低電力モ

ード(一般的には,オフモードをいう。)の電力で十分な場合がある。アクティブモードが大きく異なる場

合のある,より複雑な製品については(例えば,ヒータ,エアコンなど),より詳細な情報を必要とする。

製品によっては,消費者は,使用していない時間,製品を電源から取り外す場合がある。また,消費者の

選択又は使用のパターン及び行動に依存する低電力モードが幾つか存在する場合もある。 

注記 使用パターンと製品とは,かなり異なる場合があるため,次の二つの例における使用回数及び

電力は,計算の例を示すための仮想的な値と考えることが望ましい。 

a) 例1 電気洗濯機は,洗濯行程1サイクルのプログラム時間が85分で1サイクル当たりの消

費電力量が0.95 kWh(アクティブモード),及びオフモードにおいて1.30 Wの電力を消費す

る。1年当たりの300サイクル(回)の年間消費電力量を,次に示す(遅延スタートは使用

せず,“持続オン”モードの電力は,オフモードの消費電力に等しいものとする。)。 

− アクティブモードでの使用時間tact: 

h/yr

425

min/h

60

cycle/yr

300

/cycle

min

85

act

=

÷

×

=

t

 ························· (C.1) 

− オフモード時間toff: 

h/yr

335

8

h/yr

425

h/yr

760

8

off

=

=

t

············································ (C.2) 

− アクティブモードの消費電力量Wact: 

kW/yr

285

kWh/cycle

0.95

cycle/yr

300

act

=

×

=

W

 ······························· (C.3) 

− オフモードの消費電力量Woff: 

kW/yr

10.836

W/kW

000

1

W

1.30

h/yr

335

8

off

=

÷

×

=

W

 ······················ (C.4) 

− 総消費電力量Wtotal: 

28 

C 62301:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

kWh/yr

295.836

kWh/yr

10.836

kW/yr

285

off

act

total

=

+

=

+

=

W

W

W

 ·········· (C.5) 

b) 例2 製パン機械が標準的な700 gのパン1斤(1 loaf)を焼くのに4時間かかり,製造過程

で0.33 kWhを消費する。製パン機械は,週に3斤(3 loaves)のパンを焼くのに用いる。そ

れ以外の時間は,プラグを差し込んだままである。これは,2 Wのスタンバイモード電力を

消費する。1年当たりの156(3斤×52週)サイクル(回)の消費電力量を,次に示す。 

− アクティブモードの時間tact: 

h/yr

624

weeks

52

k

loaves/wee

3

h/loaf

4

act

=

×

×

=

t

 ···························· (C.6) 

− スタンバイモードの時間tstb: 

h/yr

136

8

h/yr

624

h/yr

760

8

stb

=

=

t

 ············································ (C.7) 

− アクティブモードの消費電力量Wact: 

kWh/yr

51.48

k

loaves/wee

3

week/yr

52

kWh

33

.0

act

=

×

×

=

W

 ················ (C.8) 

− スタンバイモードの消費電力量Wstb: 

kWh/yr

16.272

W/kW

000

1

W

2.0

h/yr

136

8

stb

=

÷

×

=

W

 ······················ (C.9) 

− 総消費電力量Wtotal: 

kWh/yr

68

kWh/yr

752

.

67

kWh/yr

272

.

16

kWh/yr

48

.

51

stb

act

total

=

=

+

=

+

=

W

W

W

·························································································· (C.10) 

29 

C 62301:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書D 
(参考) 

測定不確かさの求め方 

D.1 測定不確かさの決定 

測定不確かさは,合理的に,測定量起因と考えられる値の分散を特徴付ける,測定結果に関連したパラ

メータである。 

測定の総合不確かさを決定するには,一つの製品を測定するとき,次による数多くのパラメータを考慮

する必要がある。 

− 電力測定機器 

− 配線 

− 電源の電圧及び全高調波ひずみ(歪)THD 

− 測定する製品の周囲温度 

測定不確かさは,次による製品個体のばらつきによって生じる場合がある。 

− 一貫しない製品の挙動,例えば,電池の状態,時間依存性 

− 例えば,構成要素のばらつきによる製造のばらつき 

これら後者の不確かさは,製品の電力仕様の不確かさの一因となるが,単一製品の電力測定の不確かさ

には含まれない。 

測定不確かさを報告書に記載する場合は,報告書に記載する測定不確かさの値を決めることが重要であ

る(例えば,外部の規格又は規則で規定する要求事項があるため。)。例えば,4.4.1の制限値は,電力測定

器だけに当てはまる。 

箇条5に規定する手順に従って,特定の時間,試験する特定の製品の総測定不確かさを決定する。外部

の規格又は規則で総不確かさの決定が求められていない場合,次の方法及びD.2で示す例は,必要に応じ

て適用する。試験報告書では,考慮した不確かさの要因を明確に識別しなければならない。 

総測定不確かさの決定は,次の手順で実施する。 

a) 電力測定機器に関連した不確かさ(Ue)を算出する。 

電力測定器の測定の不確かさは,通常,次の項目に依存する。 

− 電力測定値(読取値) 

− 電力レンジ(電圧レンジに電流レンジを乗じた値) 

− 力率 

− 電力測定器及びシャントの温度 

これらの依存関係は,電力測定器の仕様書に明確に示すことが望ましい。 

注記1 上記の手順は,4.4.1に示す。不確かさ要求事項との適合性を検証するために提供される。 

注記2 力率が低い又は波高率が高い入力電流波形では,電力レンジは測定した値に対して高くな

り,その結果,測定不確かさが高くなる。 

b) 接続方法及び配線に起因する不確かさ(Uw)を計算又は試算する。 

これは,主にシャント又は電圧計の損失に起因し(附属書B参照),測定ごとの電力測定器の構成

及び電力測定器の特性に依存する。測定値に含まれる上記の損失を部分的に補正することが可能であ

る。補正がなされない場合,この損失全部が測定不確かさとみなされる。  

30 

C 62301:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

この補正がなされる場合,補正にも不確かさがあることから,不確かさは残る。 

c) 電源に起因する不確かさ(Us)を推定する。 

電源の電圧及びTHDの影響は,製品の種類によって異なる。抵抗性の負荷(抵抗負荷)について

は,入力電圧の1 %の変化で,製品の電力に2 %の変化を生じる。この入力電圧と電力との関係が正

確に分かれば,測定値を補正することができる。ただし,この関係は,通常,不明瞭であって,結果

として生じる測定不確かさを予測しなければならない。製品の入力電圧及び電力損失の補正に関する

情報が入手できない場合,結果として生じる測定不確かさは,1 %の電圧許容誤差につき,2 %以上を

想定する。 

注記1 高い相関があると推測するときは,調査が必要となる場合がある。電圧と消費電力との関

係は,多様な供給電圧での実験によって確定する場合がある。 

注記2 一部の製品では,正弦波の一部が平たん(坦)化した電圧波形が電力に比較的大きな影響

を及ぼす場合がある。 

注記3 より正確に制御される電源を使用すれば,より小さな測定不確かさが実現される。 

d) 製品の温度の変動による不確かさ(Ut)を推定する。 

損失が完全に銅の内部の場合,1 ℃の温度差では,約0.4 %の電力の変化を与える。これは,例え

ば,多くの損失がEMCフィルタ内の銅損である場合,低い力率で製品内で生じ得る。この場合は,

±5 ℃の範囲では,2 %の測定不確かさを生じる。ただし,周囲温度が非常に安定している場合,多

くの用途において温度の影響は無視する。 

e) その他の不確かさ(Ux)の要因を考慮する。 

上記a)〜d)に記載していない状況における不確かさの要因を考慮する。 

f) 

総測定不確かさ(Utotal)を計算する。 

総測定不確かさは,次の式(D.1)を使用して算出する。 

2

x

2

t

2

s

2

w

2

e

total

U

U

U

U

U

U

+

+

+

+

=

················································· (D.1) 

注記1 不確かさは,全て95 %の信頼度であることが望ましい。 

注記2 TS Z 0033によって,追加の詳細を得ることが望ましい。 

D.2 計算例 

架空の製品及び電力測定機器について検討する。この中で,式(D.2)及び式(D.6)は電力測定器製造業者に

よって,その測定器ごとに固有に与えられるものであり,測定器ごとに異なるため,実際には使用する測

定器ごとに確認が必要である。 

架空の製品及び電力測定機器の条件は,次のとおりである。 

− 電力測定値(読取値) P:0.5 W 

− 力率 PF:0.1 

− 波高率 CF:3 

− 供給電圧 Vs:交流229〜231 V(230±1 V)の範囲で変動 

− 電源の全高調波ひずみ(歪) THD:0 % 

− 供給電圧の測定不確かさ:0.3 V 

− 周囲温度 Tamb:22〜24 ℃(23±1 ℃)の範囲で変動 

− 周囲温度の測定不確かさ:1 K 

31 

C 62301:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 測定器製造業者が定めた電力測定器の測定不確かさUe: 

(

)

001

.0

01

.0

PF

/

01

.0

15

.0

r

e

×

+

×

+

×

=

P

P

U

 ······································ (D.2) 

ここに, 

Pr: 電力レンジ(W) 

− 測定器製造業者が定めた電圧測定の入力抵抗 Rv:1.5 MΩ 

− 測定器製造業者が定めた電流シャント抵抗 Ra:400 mΩ(0.40 Ω) 

− 各レンジ内の最大許容電流波高率 CF:3.5 

測定の総合不確かさの算出手順をa)〜g)に記載する。 

a) 測定機器に関連する測定不確かさ(Ue)を算出する。 

製品の動作による電流実効値Imは,次の式(D.3)で算出する。 

mA

22

A

7

021

.0

1.0

230

5.0

PF

s

m

=

=

×

=

×

=VP

I

 ··································· (D.3) 

この電流に対する測定機器の最小電流レンジは,50 mAレンジである。機器供給者が,この電流レ

ンジで正確に測定可能な最大連続ピーク電流は,150 mAである。製品によって引き出すピーク電流

Ipがこの許容範囲内であることを確認する。ピーク電流Ipは,次の式(D.4)で算出する。 

mA

65

A

065

.0

1.0

230

3

5.0

PF

CF

s

p

=

=

×

×

=

×

×

=VP

I

 ······································ (D.4) 

50 mAの最小電流レンジの許容範囲,すなわち50 mAに最大許容電流波高率3.5を乗じた値175 mA

の範囲内にピーク電流65 mAがあることよって,50 mAの電流レンジは,この場合の測定及び不確か

さの計算に妥当であることが確認できる。 

注記1 ピーク電流が許容ピーク電流を超える場合,そのピーク電流に対応できる,より高い電流

レンジを選択しなければならない。これは,測定の不確かさが増大することになる。 

電力測定器の電圧レンジは,交流300 Vに設定されている。 

結果として得る,電力レンジPrの計算値は,次の式(D.5)のように求める。 

W

15

A

0.05

V

300

r

=

×

=

P

 ························································· (D.5) 

電力測定器に起因する測定不確かさは,式(D.2)によって次の式(D.6)のように求める。 

(

)

W

0.016

0.001

W

15

01

.0

0.01/0.1

0.15

W

5.0

e

=

×

+

×

+

×

=

U

 ················ (D.6) 

注記2 電圧測定及び電流測定の不確かさは,規定の電力測定の全体的な不確かさに含められる。 

電力測定器の周囲温度は,電力測定器による不確かさの算定に用いた値の範囲内でなければならな

い。 

b) 配線に起因する測定の誤差及び不確かさ(Uw)を計算又は推定する。 

ブレークポイント電流Ibpの値は,B.4.1の式(B.4)によって次の式(D.7)のように求める。 

A

297

.0

29

001

.0

230

000

500

1

40

.0

1

230

1

v

a

s

bp

=

×

=

×

×

=

×

×

=

R

R

V

I

·· (D.7) 

負荷電流の実際の実効値Im(0.022 A)は,式(D.7)で計算したIbpの値(0.297 A)を下回るので,可

能な場合,図B.1の配線配置を用いることが望ましい。 

32 

C 62301:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

電力測定に含まないシャントの電力損失は,次の式(D.8)で求める。 

μW

1.9

mW

89

0.001

W

10

89

.1

40

.0

230

5.0

6

2

shunt

2

s

w

=

=

×

=

×

=

×

=

R

V

P

U

··························································································· (D.8) 

ここに, 

P: 被試験製品の電力測定値(W) 

Vs: 供給電圧(V) 

Rshunt: 電力測定器のシャント抵抗(Ω) 

この場合,電流シャントの電力損失は微少(1.9 μW)であるため無視できる。したがって,測定値

に対する系統的補正は必要ない。推定するシャント抵抗の小さな誤差は,全体的な結果に大きく影響

しないため,この値の不確かさも無視する。 

注記3 推奨する図B.1の代わりとして,図B.3の配置を測定に用いた場合,電圧計(1.5 MΩ)の

電力損失に起因する誤差は,次の式(D.9)によって計算する。 

W

035

.0

10

5.1

230

6

2

v

2

s

=

×

=

R

V

 ··························································· (D.9) 

機器によって自動的に行われない場合,測定値は,電力測定機器の読取値からこの値を

差し引いた系統的誤差で補正する。 

この系統的誤差にも不確かさが含まれており,製造業者が電圧計の抵抗(インピーダン

ス)の不確かさを提供することはまれであるため,推定する。この場合,例えば,1.3〜1.7 

MΩの範囲にある入力抵抗は,次の式(D.10)で求める0.009 6 Wの不確かさ(Uw)に対応す

る。これは重大である。 

W

6

009

.0

1

031

.0

7

040

.0

10

7.1

230

10

3.1

230

6

2

6

2

=

=

×

×

 ···························(D.10) 

抵抗が既知の精度であった場合,又は例えば,校正時に測定されていた場合,この不確

かさは減少する。この例は,配線による不確かさを最小化するように,可能な限り,電力

測定器を正しく配置することの重要性を示すものである。 

c) 電源に起因する測定の不確かさ(Us)を推定する。 

公称値と電源との最大差は,次の式(D.11)で求める。 

V

3.1

V

3.0

V

229

V

230

=

+

 ····················································· (D.11) 

これは,供給電圧230 Vの0.57 %に等しい。 

特定の製品の電力と電圧との関係が不明瞭な場合は,負荷が実質的に抵抗の性質であって,電力測

定の不確かさに対する影響は,供給電圧の不確かさの2倍であると想定するのが最も確実な前提であ

る。したがって,Usは次の式(D.12)のようになると推定する。 

W

7

0.005

W

5.0

7

005

.0

2

s

=

×

×

=

U

 ·············································(D.12) 

d) 製品の温度に起因する測定不確かさ(Ut)を推定する。 

電力損失の分布に関する情報がないため,主要部分は銅損と推定する。 

周囲温度と公称温度との最大差は,次の式(D.13)となる。 

K

2

K

1

K

23

K

24

=

+

 ····························································(D.13) 

その結果,測定不確かさは次の式(D.14)によって0.8 %となる。これは,式(D.15)のとおり0.004 W

に等しい。 

33 

C 62301:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

%

8.0

/K

%

4.0

K

2

=

×

 ······························································(D.14) 

W

0.004

0.008

W

5.0

t

=

×

=

U

 ·····················································(D.15) 

e) その他の不確かさ(Ux)の原因は,不明瞭であるため,Uxはゼロに設定する。 

f) 

総測定不確かさ(Utotal)は,次の式(D.16)で求める。 

W

4

017

.0

000

.0

004

.0

7

005

.0

000

.0

016

.0

2

2

2

2

2

2

x

2

t

2

s

2

w

2

e

total

=

+

+

+

+

=

+

+

+

+

=

U

U

U

U

U

U

 ···············(D.16) 

g) a)〜f)で求めた,測定器に関連する実際の不確かさが,4.4.1の許容限度の範囲内であることを確認す

る。 

− 製品によって消費する電力測定値 P:0.5 W 

− 1 Wを下回る負荷の場合の最大許容絶対不確かさUma(4.4.1参照): 0.020 W 

注記4 測定機器に関連する不確かさUeは,Umaの値を下回るため,測定は適合している。ただし,

次の計算は,この特定の測定の最大許容不確かさUpcを示す。 

− 力率 PF:0.1 

− 製品の電流波高率 CF:3 

− 最大電流比 MCR:式(1)によって次の式(D.17)のように求める。 

0.

30

1.0

00

.3

PF

CF

MCR

=

=

=

 ··························································(D.17) 

4.4.1で規定するとおり,MCRの値が10を超える場合に限り,次の式(D.18)によってUpcを求める。 

{

}

(

)

[

]

%

2.5

052

.0

6.2

02

.0

10

0.

30

08

.0

1

02

.0

pc

=

=

×

=

×

+

×

=

U

 ··············(D.18) 

この負荷に許容する絶対不確かさは,式(D.19)のようにUpcに電力測定値Pを乗じた値,又は0.020 W

のいずれか大きい方の値である。 

W

0.026

W

5.0

052

.0

pc

=

×

=

×P

U

 ···············································(D.19) 

式(D.19)で求めた0.026 Wは,0.020 Wを上回るため,この負荷の許容不確かさは0.026 Wとなる。 

Ueは,4.4.1で規定する,測定機器に求められる最大許容不確かさ(Upc)を下回るため,この測定

は容認できる。 

34 

C 62301:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献 

この参考文献には,家庭用電化製品の電力量及び性能の測定に関連した規格及び他の報告書を記載して

いる。次に含まれる全ての製品に低電力モードがあるわけではない。 

JIS C 61000-3-2,電磁両立性−第3-2部:限度値−高調波電流発生限度値(1相当たりの入力電流が20 A

以下の機器) 

注記 対応国際規格:IEC 61000-3-2,Electromagnetic compatibility (EMC) −Part 3-2: Limits−Limits for 

harmonic current emissions (equipment input current ≦16 A per phase)(MOD) 

IEC 60299,Household electric blankets−Methods for measuring performance 

IEC 60311,Electric irons for household or similar use−Methods for measuring performance 

IEC 60312,Vacuum cleaners for household use−Methods of measuring the performance 

IEC 60350,Electric cooking ranges, hobs, ovens and grills for household use−Methods for measuring 

performance 

IEC 60379,Methods for measuring the performance of electric storage water-heaters for household purposes 

IEC 60436,Electric dishwashers for household use−Methods for measuring the performance 

IEC 60442,Electric toasters for household and similar purposes−Methods for measuring the performance 

IEC 60456,Clothes washing machines for household use−Methods for measuring the performance 

IEC 60508,Methods for measuring the performance of electric ironing machines for household and similar 

purposes 

IEC 60530,Methods for measuring the performance of electric kettles and jugs for household and similar use 

IEC 60531,Household electric thermal storage room heaters−Methods for measuring performance 

IEC 60535,Jet fans and regulators 

IEC 60619,Electrically operated food preparation appliances−Methods for measuring the performance 

IEC 60661,Methods for measuring the performance of electric household coffee makers 

IEC 60665,A.C. electric ventilating fans and regulators for household and similar purposes 

IEC 60675,Household electric direct-acting room heaters−Methods for measuring performance 

IEC 60705,Household microwave ovens−Methods for measuring performance 

IEC 60879,Performance and construction of electric circulating fans and regulators 

IEC 61121,Tumble dryers for household use−Methods for measuring the performance 

IEC 61176,Hand-held electric mains voltage operated circular saws−Methods for measuring the performance 

IEC 61254,Electric shavers for household use−Methods for measuring the performance 

IEC 61591,Household range hoods−Methods for measuring performance 

IEC 62087,Methods of measurement for the power consumption of audio, video and related equipment 

IEC 62552,Household refrigerating appliances−Characteristics and test methods 

TS Z 0033,測定における不確かさの表現のガイド 

EN 50229,Electric clothes washer−dryers for household use. Methods of measuring the performance 

COOK,RR.Assessment of uncertainties of measurement for calibration and testing laboratories. National 

Association of Testing Authorities (NATA),Australia,1999 

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C 62301:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

IEEE 1621,Standard for User Interface Elements in Power Control of Electronic Devices Employed in 

Office/Consumer Environments 

注記 IEEE 1621は,電源制御ユーザインタフェースの設計に関する,製品設計者にとって有用な場

合がある情報を提供する。 

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C 62301:2016  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS C 62301:2016 家庭用電気機器−待機時消費電力の測定方法 

IEC 62301:2011,Household electrical appliances−Measurement of standby power 

(I)JISの規定 

(II)国際 
規格番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

4.3.1 

試験供給電圧及び
周波数 

4.3.1 

JISとほぼ同じ。 

削除 

対応国際規格の表1(一部の地域の
標準的な公称電源供給の詳細)は,
我が国以外の国及び地域の公称電
源を規定しているため,この規格で
は不要とし,表1を削除した。 

この規格では,海外の公称電源電
圧及び周波数の記載は不要である
ため,表1を削除した。 

A.2 

製品モード 

A.2 

JISとほぼ同じ。 

削除 

対応国際規格の記載内容の説明を
削除した。 

対応国際規格の記載内容について
の説明文であるため,この規格で
は不要と判断し,削除した。 

B.2.4 

低電力モードの測
定に関する注意事
項 

B.2.4 JISとほぼ同じ。 

追加 

直流を伝達することができない交
流専用の変流器(カレントトラン
ス)を用いた場合に留意すべき事項
を追加した。 

測定原理の明確化及び現状適用可
能な測定方式(DCCT)を追加し
た。参考の追記であり特段の対応
は不要。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 62301:2011,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

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C

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2

3

0

1

2

0

1

6

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。