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C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

(1)

目  次

ページ

序文 

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

2

3

  用語及び定義 

2

4

  校正の準備 

9

4.1

  組織

9

4.2

  トレーサビリティ

9

4.3

  測定及び校正に関する注意事項

10

4.4

  使用者への推奨事項

10

5

  光パワーの絶対値の校正 

11

5.1

  校正条件の設定

12

5.2

  校正手順 

13

5.3

  校正不確かさ 

13

5.4

  結果の報告 

19

6

  校正済光パワーメータの測定不確かさ 

19

6.1

  基準条件での不確かさ 

19

6.2

  動作条件での不確かさ 

19

7

  非直線性の校正 

26

7.1

  重ね合せ法に基づく非直線性の校正 

26

7.2

  校正された光パワーメータとの比較に基づく非直線性の校正 

29

7.3

  光減衰器との比較に基づく非直線性の校正

30

7.4

  ハイ光パワー測定のための光パワーメータの校正 

30

附属書 A(規定)数学的基礎 

31

附属書 B(参考)参考文献

33


C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人光産業技

術振興協会(OITDA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべ

きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS C 6186:1999 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。


日本工業規格

JIS

 C

6186

:2008

(IEC 61315

:2005

)

光ファイバ用光パワーメータ校正方法

Calibration of fiber optic power meters

序文 

この規格は,2005 年に第 2 版として発行された IEC 61315 を基に,技術的内容及び対応国際規格の構成

を変更することなく作成した日本工業規格である。

光ファイバ用光パワーメータは,光ファイバ用光源から出力される光パワーをできるだけ正確に測定す

るように設計されている。その性能は,校正手順に大きく依存する。他のタイプの測定器と比較すると,

光ファイバ用光パワーメータによる測定結果は,通常,多くの測定条件に依存する。校正条件は,校正手

順における測定条件であって,これは校正手順の中で厳密に示す必要がある。

この規格では,校正条件を明らかにし,校正を実行し,不確かさを計算し,不確かさ,校正条件及びト

レーサビリティを報告するまでのすべての校正手順を各段階にわたって規定する。

光パワーの絶対値の校正では,入力光パワーと光パワーメータの指示値との相関の決定法を示す。その

相関を表す比例定数を補正係数と呼ぶ。補正係数の測定の不確かさは,

附属書 に規定するように,参照

標準器,被測定器,測定系の構成及び測定手順を総合的に組み合わせて求める。

補正係数の測定の不確かさを計算によって求めるためには,それぞれの要素の不確かさを細かく分析す

ることになるが,次の注意を必要とする。

a)

各不確かさの評価が妥当である。

b)

詳細な不確かさの分析は,同じ型番の光パワーメータに対して行い,同じ型番の複数の光パワーメー

タに対する校正に対して,校正時に評価された適切なタイプ A の不確かさを繰り返し適用できる。

c)

幾つかの種類の不確かさについては,チェックリストに代表値を記載すればよく,各々の値をそれぞ

れリストに記入しなくてもよい場合がある。

この規格では,箇条 に規定した校正について報告しなければならない。

箇条 は,基準条件及び動作条件のもとで動作する校正済の光パワーメータの測定の不確かさの評価に

ついて規定する。その評価は,5.3 によって計算される光パワーメータの校正の不確かさ,校正条件及びそ

の校正条件依存性で行う。この不確かさの評価は,通常,光パワーメータの製造業者が光パワーメータの

仕様を決めるために行うもので,この規格では,この不確かさの評価を報告することは義務付けない。こ

の不確かさの原因の一つである非直線性は別途規定する(箇条 参照)

注記  光パワーメータは,光ファイバ端の空気中での光パワーを測定し,表示する。ガラス(N=1.47)

と空気との境界でのフレネル反射によって,光ファイバ中の光パワーに比べて約 3.6  %だけ小

さいので注意が必要である。

適用範囲 

この規格は,光ファイバ通信に用いる一般的な光源から放射される光パワーを測定する測定機器の校正


2

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

方法について規定する。これらの光源には,レーザダイオード,LED 及び光ファイバ出力の光源を含み,

拡散放射又は平行ビームの双方に対応できる。この規格は,校正機関又は光パワーメータの製造業者が用

いることを想定している。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 61315:2005

,Calibration of fibre-optic power meters (IDT)

なお,対応の程度を表す記号(IDT)は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,一致していることを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

には適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 1005

  電気・電子計測器の性能表示

注記  対応国際規格:IEC 60359:2001,Electrical and electronic measurement equipment−Expression of

performance (IDT)

JIS Q 17025

  試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項

注記  対応国際規格:ISO/IEC 17025:2005,General requirements for the competence of testing and

calibration laboratories (IDT)

IEC 60027-3:2002

,Letter symbols to be used in electrical technology−Part 3: Logarithmic and related

quantities and their units

IEC 60050-300:2001

,International Electrotechnical Vocabulary−Electrical and electronic measurements and

measuring instruments−Part 311: General terms relating to measurements−Part 312: General terms

relating to electrical measurements−Part 313: Types of electrical measuring instruments−Part 314:

Specific terms according to the type of instrument

IEC 60793-1-43:2001

,Optical fibres−Part 1-43: Measurement methods and test procedures−Numerical

aperture

IEC 60793-2:2003

,Optical fibres−Part 2: Product specifications−General

IEC 61300-3-12:1997

, Fibre optic interconnecting devices and passive components − Basic test and

measurement procedures−Part 3-12: Examinations and measurements−Polarization dependence of

attenuation of a single-mode fibre optic component: Matrix calculation method

IEC/TR 61931:1998

,Fibre optic−Terminology

BIPM,IEC,IFCC,ISO,IYPAC,IUPAP and OIML:1993

,International vocabulary of basic terms in metrology

(VIM)

BIPM,IEC,IFCC,ISO,IUPAC,IUPAP and OIML:1995

, Guide to the expression of uncertainty in

measurement (GUM)

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

3.1 

認定された校正機関 (accredited calibration laboratory)

適切な国の機関の認定の下,規定した最小不確かさの範囲で,国家標準へのトレーサビリティを保証す


3

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

る校正証明書を発行できる校正機関。

3.2 

調整 (adjustment) 

被測定対象について,ある任意の値に対応する測定指示値を表示するために,測定機器に対して行う一

連の操作(IEC 60050-300 及び VIM, 4.30 を参照)

注記  被測定対象の値が 0 で,対応する測定指示値も 0 となるように調整する場合,その操作を特に

ゼロ点調整という。

3.3 

校正 (calibration) 

測定機器が表示した値と標準器が示す標準値との関係を,規定した条件の下に確立する一連の操作。

注記 1  校正の結果,測定対象のパラメータの値を測定指示値に合わせて表示する場合,及び逆に測

定指示値を訂正する場合がある。

注記 2  校正によっては,例えば測定環境に影響されて変動する変動係数のような,何らかの計測要

因係数を決定することもある。

注記 3  校正結果は,校正証明書又は校正報告書のような文書に記録されることもある。

3.4 

校正条件 (calibration conditions) 

校正に際して行う測定の条件。

3.5 

中心波長 (center wavelength)

λ

center

真空中における光源の光パワー分布を重み付け平均した波長。

連続スペクトルのセンタ波長は,次の式で定義する。

( )

ò

×

×

=

λ

λ

λ

λ

d

p

P

total

center

1

総光パワーは

( )

ò

×

=

λ

λ d

p

P

total

ここに,

P(

λ)

光源の光パワースペクトル密度,例えば

W/nm

で表す。

光源が複数の線スペクトルで構成される場合,中心波長は,次の式で定義する。

å

å

×

=

i

i

i

center

P

P

λ

λ

ここに,

P

i

番目の線スペクトルの光パワー,例えば

W

で表す。

λ

i

番目の線スペクトルの真空中の波長

注記

上記の積分又は積算は,理論上は,光源のスペクトル全域にわたるが,通常は,光パワー密度

P

(

λ)

又は光パワーP

i

が最大値の

0.1

%以上の領域で積分又は積算すれば十分である。

3.6 

補正係数 (correction factor)CF 

システム誤差を補正するため,補正前の測定結果に乗じる数値(VIM, 3.16 を参照)


4

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

3.7 

デシベル (decibel)dB 

対数上で,光パワーレベルを表すのに用いる単位。光パワーレベルは,常に基準光パワーP

0

に対する相

対値として次の式で表す。

÷÷ø

ö

ççè

æ

×

=

0

10

P

/

P

log

10

0

P

P

L

 (dB)

ここに,及び P

0

は,同一の線形単位とする。

基準値は,常に報告しなければならない。例えば,基準 1 mW に対する 200 µW は,L

P/1mW

=−7 dB 又は

L

P

(re 1 mW)=−7 dB と表現する。

一方で,二つの放射光パワーP

1

P

2

の線形比 R

lin

は,光パワーレベル差としてデシベル(dB)で表示でき

る。

( )

(

)

( )

( )

2

10

1

10

2

1

10

lin

10

P

log

10

log

10

/

log

10

log

10

P

P

P

P

R

L

=

=

=

同様に,相対的不確かさ U

lin

又は相対偏差は,次のようにデシベル(dB)で表示できる。

lin

lin

dB

34

.

4

10

ln

10

U

U

U

×

=

 (dB)

注記

JIS Z 8202-2

及び IEC 60027-3 を,更に詳細に調査するとよい。IEC 60027-3 では,単位記号に

文字を追加できない。しかし,

dBm

という単位記号は,

1 mW

を基準とする相対光パワーレベ

ルを表すのに広く使われ,光パワーメータでもよく表示されている。

3.8 

検出器 (detector) 

光の放射光パワーを測定可能な,通常電気量に変換する光パワーメータの変換素子。この規格では,検

出器は,一つの光路を通じて光入力端子に接続されているものと仮定している(IEC 61931 及び VIM

, 4.15

を参照。

3.9 

偏差 (deviation)

被測定器による測定値

P

DUT

と基準光パワー

P

ref

との差の相対値。

ref

ref

DUT

P

P

P

D

=

3.10 

励振(光ファイバの)[excitation (fiber)] 

光ファイバ内の伝搬モード間の光パワー分布。マルチモード光ファイバでは,次のように規定する。

a)

光ファイバ端面でのスポット径

b)

光ファイバ出射光の開口数

(NA)

全モード励振とは,光ファイバのコア径とほぼ等しいスポット径,及び光ファイバの開口数

(NA)

とほぼ

等しい開口数

(NA)

による励振を意味する。

シングルモード光ファイバは,一般的に一つのモード(基本モード)だけが励振される。

3.11 

測定器の状態 (instrument state) 

測定器(光パワーメータ)の(状態を完全に規定する)選定可能な一連のパラメータ群。

注記

測定器の状態に関する一般的なパラメータは,測定光パワーレンジ,波長設定,表示モード[ワ


5

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

ット

(W)

又はデービーエム

(dBm)

]及び測定結果が得られる出力形態(例えば,ディスプレイ,

インタフェースバス及びアナログ出力)とする。

3.12 

放射照度 (irradiance) 

光学的基準面上のある点で,微小面要素に入射する放射光パワーをその微小面要素で除したもの。

)

(W/m

2

A

P

E

=

IEC 61931,修正された定義

 2.1.15

3.13 

測定結果 (measurement result)y 

ウォームアップ,ゼロ点調整,波長校正など取扱説明書に示すすべての行為が完了した後の光パワーメ

ータ(又は標準器)のワット(

W

)単位の(表示又は電気的)出力。

不確かさの解析のためには,その他の単位,例えば,ボルト(

V

)などで表示した測定結果は,ワット

に変換することが望ましい。デシベル(

dB

)での測定結果も,ワットに変換するのが望ましい。全不確か

さの累積は,ワットで表示した測定結果に基づく。

3.14 

測定範囲 (measuring range) 

測定機器の誤差が指定された限界内に収まらなければならない測定量の値の集合(VIM

, 5.4

注記

この規格では,測定範囲とは測定値の不確かさが規定されている放射光パワー(動作範囲の一

部)の範囲である。ダイナミックレンジという用語は,この規格において用いないほうがよい。

3.15 

国家(測定)標準  [national (measurement) standard] 

国が定め,認知した標準。国内で当該量の他の標準に数値を値付けする基礎となるもの(VIM

, 6.3

3.16 

国立標準機関 (national standards laboratory) 

国家標準を維持管理する機関。

3.17 

非直線性 (nonlinearity)NL 

任意の光パワー

P

に対する感度と基準光パワー

P

0

に対する感度との相対的差分。具体的には,次の式で

表す。

( )

( )

1

0

P

/

P

0

=

P

r

P

r

NL

また,デシベル表示の場合は次の式で表す。

( )

( )

(dB)

log

10

0

10

P

/

P

0

P

r

P

r

NL

×

=

注記 1

基準値(基準光パワー)における非直線性は,

0

に等しい。

注記 2

“ローカルな非直線性”という用語は,非線形性の校正時に得られた二つの異なる光パワー

レベル(

3.01 dB

の差がある)の測定値の相対的な差異を意味する。一方,

“グローバルな非

直線性”という用語は,

“ローカルな非直線性”の和を意味し,ここで定義した非直線性と同

義語である。


6

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

3.18 

開口数(NA(numerical aperture) 

光源からのビーム広がりを表現するパラメータ。この規格では,開口数

(NA)

は,放射照度が最大放射照

度の

5

%となる点のなす角の半分(ただし,線形表示での半分)のサイン値(正弦値)

注記

この定義は,IEC 60793-1-43 

GI

型マルチモード光ファイバの開口数

(NA)

の定義を適用して

いる。この規格では,この定義はすべての拡散光に適用する。

3.19 

動作条件 (operating conditions) 

測定機器の測定値の不確かさを規定するための,その測定に関連する様々なパラメータの動作範囲の規

定。通常,測定の標準的条件として提示する基準条件より広い範囲に設定される(VIM, 5.5 を参照)

注記

動作条件及びその条件下の測定値の不確かさは,通常,測定器の製造業者が使用者の便宜のた

めに規定する。

3.20 

動作範囲 (operating range) 

ある動作条件に対応して規定する数値範囲。

3.21 

光入力端子  (optical input port) 

光ファイバ端又は光パワーを接続するための光パワーメータ(又は,標準器)の物理的入力部。光路(光

線の経路で途中にレンズ,絞り又は光ガイドが介在することもある。

)は,光入力端子及び光パワーメータ

の検出器を接続している。

3.22 

光学的基準面 (optical reference plane) 

ビームスポット径を規定するために用いる光入力端子の近傍又は光入力端子上にある平面。

注記

光学的基準面は通常光軸に垂直とし,機械的寸法は,光パワーメータの光入力端子の寸法と比

較できるように記述することが望ましい。

3.23 

偏光依存感度 (polarization dependent response)PDR 

入力光のすべての偏光状態に対する光パワーメータの感度(指示値)の変動。通常,デシベルで表示す

る。

(dB)

log

10

min

max

10

÷÷ø

ö

ççè

æ

×

=

r

r

PDR

ここに,

  r

max

及び

r

min

: すべての偏光状態に対する感度の最小値及び最大値

3.24 

光パワーメータ(光ファイバ用)[power meter (fiber-optic)] 

光ファイバ通信に用いる一般的な光源から放射される光パワーを測定する機器。一般的な光源は,レー

ザダイオード,

LED

及び光ファイバ出力の光源を含み,拡散放射又は平行ビーム放射の双方に対応できる。

放射光は,規定する範囲内の光学的基準面に入射する。光パワーメータには,一体形と受光部が測定器本

体から分離している分離形とがあって,後者では,受光部を独立させて校正するのがよい。

注記 1

(分離形の場合)特に測定器本体内にアナログ回路が用いられていると,測定結果は測定器

本体によって影響を受けることがある。そのような場合,検出ヘッドは測定器本体とともに


7

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

校正をしなければならない。

注記 2

光パワーメータは,通常,変調された光の時間平均光パワーを測定できる。変調光のピーク

光パワー又はデューティサイクルによって,測定の不確かさが増すことがある。

注記 3

この規格で用いる標準器は,すべて光パワーメータである。

3.25 

放射光パワー (radiant power)P 

光放射の形態で放出,伝搬又は受光される光パワー(

附属書 

[A]

を参照)

。単位はワット

(W)

3.26 

基準条件 (reference conditions) 

測定機器の性能の試験及び測定結果の相互比較のための前提条件(VIM, 5.7 を参照)

注記

基準条件には,測定機器の動作に影響を及ぼす影響量の基準値又は基準範囲を通常含む。

3.27 

参照標準器 (reference meter) 

被測定器の校正に参照基準として使用する標準器。

3.28 

参照標準 (reference standard) 

一般に,任意の地域又は機関で得られる最も質の高い計測の基準を提供する標準。そこで行う測定の基

準となる(VIM, 6.6 を参照)

3.29 

感度 (response)r 

任意の測定条件下で,光パワーメータの測定結果

y

を光パワーメータの光学的基準面上の放射光パワー

P

で除した値。

P

y

r

= (W/W)

注記

理想的な光パワーメータの感度は,すべての動作条件下で

1

となる。

3.30 

スペクトル感度 [(spectral) responsivity]R 

検出器の出力電流

I

を入力の単色光パワー

P

で除した値。

P

I

R

=

(A/W)

注記

スペクトル感度は,波長,温度などに依存する(

図 参照)。


8

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

400

500

600

700

800

900

1000 1100 1200 1300 1400 1500 1600 1700

波長 (nm)

スペ

クトル感度

R

 (A

/W

)

シリコン Si

ゲルマニウム Ge

インジュウムガリウムひ素 InGaAs

図 1−光電型器の典型的な感度

3.31 

スペクトルバンド幅 (spectral bandwidth)B 

光源のスペクトルにおける半値全幅(

FWHM

。スペクトルが連続でない場合,例えば,縦モードがマ

ルチモードのレーザダイオードの場合,スペクトルバンド幅は,

RMS

スペクトルバンド幅

B

rms

で定義する。

(

)

å

å

å

å

=

×

×

=

i

i

i

i

P

P

M

P

P

M

B

M

B

i

2

er

cent

i

i

2

er

cent

i

2

i

i

rms

λ

λ

λ

λ

ここに,

M

2 2ln2

 2.35

(ガウス分布スペクトルで計算)

P

i

番目の線スペクトルの電力,例えば,

W

で表す。

λ

i

番目の線スペクトルの真空中の波長

λ

center

: 中心波長

注記 1

単一波長(単一縦モード)の光源ではスペクトルバンド幅<

1 nm

のように,スペクトルバン

ド幅の上限を規定すればよい。

注記 2

通常は,最大光パワーの

0.1

%以上の積分又は積算範囲を考慮すれば十分である。

3.32 

スポット径 (spot diameter) 

光学的基準面の照射された,最大放射照度の

5

%の放射照度となる領域を,近似的に円とみなした場合

の円の直径。

注記 1

開口数

(NA)

の定義との整合上,

5

%を採用した。レーザビームに対しては,例えば,

1/e

2

1/e

のように,

5

%以外の基準を用いることもしばしばある。その場合はスポット径の値

とともに,その基準とした比率を記述する。

注記 2

すべての光パワーを測定するため,光学的基準面の直径は,スポット径より大きい必要があ

る。


9

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

3.33 

被測定器 (test meter) 

参照標準器との比較に基づいて,校正する光パワーメータ(又は標準器)

3.34 

トレーサビリティ (traceability) 

測定の結果又は標準値をもつ性質であって,各段階の不確かさ(誤差)が分かっている比較を,途切れ

ることなく続けることで成り立つ一本の連鎖によって,つながりをもつ状態。具体的な標準器(通常,国

家標準又は国際標準)の値と関連付けることで実現ができる(VIM, 6.10 を参照)

3.35 

トレーサビリティの連鎖 (traceability chain) 

途切れない比較の連鎖(

図 及び VIM, 6.10 を参照)。

国家標準

                            国立標準機関

実用標準

                                                  認定された校正機関

仲介標準

                            民間の校正機関

実用標準

被測定器

                                注記  仲介標準は VIM, 6.8 を参照。

図 2−トレーサビリティの連鎖の例

3.36 

実用標準 (working standard) 

測定機器を日常的に校正又は確認するために用いる標準(VIM, 6.7 を参照)

注記

実用標準は,通常,参照標準で校正する。

3.37 

ゼロ点誤差 (zero error) 

光入力端子に光を入力しない状態における光パワーメータの測定結果(VIM, 5.23 を参照)

校正の準備 

4.1 

組織 

校正機関は,JIS Q 17025 の要求を満たす必要がある。各校正のステップごとの作業指示及び使用する装

置を文書化した測定手順書をもたなければならない。

4.2 

トレーサビリティ 

トレーサビリティは,JIS Q 17025 の要求を満たす必要がある。

校正手順で使用するすべての標準器は,あらかじめ,国立標準機関又は認定された校正機関で,トレー


10

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

サビリティを確認された手順書に従って校正する。校正手順の各々の階層ごとにそれぞれ,複数の標準器

を準備することが望ましい。そうすることによって,標準器の性能を同一水準での比較によって確認する

ことができる。

校正結果に少なからず影響を及ぼす試験装置は,

すべて校正済であることを確認する必要がある。

また,

要求に応じてこれらの試験装置のトレーサビリティの連鎖及び校正の頻度(校正間隔)を規定し文書化し

なければならない。

4.3 

測定及び校正に関する注意事項 

ここでは,光パワーメータ又は光ファイバ用光パワーメータのすべての校正及び測定に関する一般的な

注意事項を示す。

温度制御機能のない検出器を用いる場合,

校正は,

23

℃に調整された温度制御室で行うことを推奨する。

湿度に敏感な検出器を用いる場合又は装置に結露の可能性のある場合は,湿度制御環境が必要となる。研

究室の湿度の変更は,空気の吸収を変え,それによって光パワーを変える可能性がある。この効果は,空

間ビーム校正時に

1 360 nm

及び

1 410 nm

の間で時系列的に湿度が変わるとき,特に顕著となる。参照標

準器及び被測定器を,

ほぼ等距離の空間ビーム光路で時間並列的に測定する場合は,

湿度の変動の影響は,

校正結果においてほぼ無視できる。

測定室はクリーンに保ち,コネクタ及び光入力端子は,測定前に清掃して,検出器側のコネクタの性能

及び清潔度は常に確認する。測定中は必要に応じて光ファイバをベンチに固定するなどして,光ファイバ

の動きを極力抑えなければならない。光ファイバを動かさずに,検出器を光ファイバに近づけなければな

らない。

光パワーメータの励振に使用する光源は,中心波長及びスペクトルバンド幅で規定し,十分狭いスペク

トルバンド幅の光源を用いて,

測定値が広い波長域にわたり平均化されないよう注意しなければならない。

光源の安定性を確認するため,例えば,独立に光パワーをモニタすることなどが有効となる。

レーザダイオードは,

戻り光に敏感なので安定性を増すため,

レーザダイオード及び被測定器の中間に,

光減衰器又は光アイソレータを用いるとよい。レーザダイオードは,スペクトルバンド幅が狭いので,マ

ルチモード光ファイバを用いると光学的基準面上にスペックルパターンを生じ,測定の不確かさが増すこ

とがある。

光ファイバコネクタ及びアダプタは,光源側と光入力端子又は検出器側との間で多重反射を生じ,測定

結果(

附属書 

[B]

を参照)に誤差を生む可能性があるので,光ファイバコネクタ及びアダプタは,校

正用には低反射のものが望ましい。そうでなければ,補正係数の導入及び不確かさの増加を考慮する必要

がある。

参照標準器では,検出器の直径は

3 mm

以上とし,平行ビームを受光しやすく,また,ごみ及びほこり

の影響も抑えやすくすることが望ましい。参照標準器の表面反射は可能な限り小さく,光源が拡散光を放

射する場合,参照標準器は,積分球タイプが望ましい。平面検出器及び数学的補正を組み合わせることも

可能で,放射されたファーフィールド分布に参照標準器の検出器の角度依存性の測定値を乗じ,ファーフ

ィールド放射角の領域にわたって積分して補正する。

検出器は,ある波長域で顕著な温度依存性を示すので,高精度測定には,検出器の温度制御を採用する

ことが望ましい。

4.4 

使用者への推奨事項 

光パワーメータの使用者は,少なくとも,参照標準器を

1

台もって,当該の参照標準器で比較及び確認

することが望ましい。これによって,再校正に出される前後の光パワーメータの比較が特に重要となる。


11

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

なぜなら,その比較に従って使用者は,光パワーメータが校正から戻ってきた後に,例えば,輸送によっ

て,その指示が変わったかどうかの判断が可能になる。

校正のたびに,補正係数又は測定値表示の偏差を常に比較し把握していれば,過剰な経時劣化を見極め

ることができ,校正の間隔を適正化することができる。

光パワーの絶対値の校正 

光パワーメータの校正は,通常,被測定器及び不確かさが既知の校正済光パワーメータ(参照標準器)

の両方に放射光を照射し,参照標準器の測定結果を被測定器に値付けすることによって行う。

許容できるスペクトルバンド幅は,被測定器のスペクトル感度に依存する。すなわち,波長依存性が強

ければ強いほど光源のスペクトルバンド幅は狭くなる。通常スペクトル幅は,

15 nm

以下とし,スペクト

ル幅の比較的広い

LED

などは,校正に使用しない。したがって,光パワーメータの校正には,レーザダイ

オード,又は“白色”光源及び狭帯域フィルタ(例えば,モノクロメータ)を組み合わせたものを一般的

に使用する。

校正方法は,光源の種類及び励振ビームの形状によって,現在,

表 に示すような四つの方法に大別さ

れる。

表 1−一般的な校正方法及び対応する光パワーレベル 

光源

空間ビームでの校正

光ファイバ出射ビームでの校正

フィルタ付“白色”光源

P

≈ 10 µW

P

≈ 10 nW∼0.3 µW (MM)

a)

P

≈ 2 nW (SM)

b)

レーザダイオード

P

≈ 10 µW∼1 mW

P

≈ 10 µW∼1 mW[SM

b)

及び MM

a)

a)

 MM: マルチモード光ファイバ(通常 GI ファイバ)

b)

 SM:  シングルモード光ファイバ

また,交互測定法(

sequential

)及び同時測定法(

parallel

)に区分けされる。被測定器及び参照標準器を

光源でそれぞれ交互に照射するとき,放射光パワーは,例えば,適切な安定化を行うなどして,できるだ

け一定に保つことが望ましい。同時測定法で校正する場合には,ビームスプリッタ又は分岐デバイスを使

用して,被測定器及び参照標準器を二つのビームで同時に励振する。この場合,ビームスプリッタ又は分

岐デバイスの分岐比をできるだけ正確に決定するとともに,その安定性を確認しておくことが望ましい。

一例として,交互測定法による光ファイバを用いた校正のための測定系を

図 に示す。クラッドモード

除去及び適切なモード励振のための励振器は,測定系に含める。


12

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

S

dB

Attenuator

(optional)

Power meter

under test

Source

Cladding

mode

stripper

Reference

power meter

図 3−光ファイバを用いた交互測定法の校正測定系

5.1 

校正条件の設定 

校正条件は,校正手順における測定条件とし,校正条件の設定及び保持は,校正の重要な部分とする。

これらの条件が少しでも変化すると,測定結果に誤差を生じる。校正条件は,意図する動作条件に極めて

近似した条件にすることが望ましい。これによって,動作環境で(追加される)不確かさを最小限に抑え

ることができる。校正条件は,必要ならば不確かさを付記した公称値の形式で規定することが望ましい。

この規格の要求を満たすために,校正条件には少なくとも次の項目を含める。

a)

校正年月日

b)

周囲温度及びその不確かさ:

23

℃±

1

c)

周囲の相対湿度。校正に影響する場合に示し,規定がない場合は,結露点以下の相対湿度とする。

d)

光学的基準面への公称放射光パワーレベル

e)

光ビーム形状

1)

空間ビーム(

例  平行ビーム),光学的基準面でのスポット径,ビームの開口数

(NA)

,ビームの放

射分布を規定。典型的な放射分布には,一様分布,ガウス分布及び不規則分布(スペックル状態)

がある。

2)

光ファイバの種類及び必要ならば励振の度合い(

例  全モード励振)

f)

コネクタ及びアダプタ対:

(必要ならば)発光源の一部として採用するコネクタの種類,研磨状態及び

アダプタ

g)

発光源の中心波長及びその不確かさ

h)

発光源のスペクトルバンド幅及びその不確かさ

i)

偏光状態:

“無偏光”又は“偏光状態が不明の偏光”

。後者を選択した場合,5.3.2 及び 5.3.4 において

偏光依存感度による不確かさを考慮する必要がある。

校正条件は,上記の項目に限定するものではないことに留意する。測定の不確かさに大きな影響を及ぼ

すパラメータがある場合は,それらも報告する必要がある。

空間ビームを使用した校正では,光パワーメータの光学的基準面の受光径よりも直径の小さなビームを

使用し,光学的基準面の中心に照射することが望ましい。

光ファイバを使用する校正では,シングルモード光ファイバ,マルチモード光ファイバのいずれを使用

してもよい。再現性のよいビーム特性をもつことからシングルモード光ファイバが望ましいが,すべての

波長には適用できない。マルチモード光ファイバを使用する場合は,励振の再現が比較的容易な全モード

参照標準器

    光源

      光減衰器

    (オプション)

クラッドモード除去器

被測定器


13

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

励振が望ましい。適切な励振を得るために,励振器が必要となる場合がある。マルチモード光ファイバを

レーザダイオードで駆動した場合は,不規則なビームパターン(スペックルパターン)が生じることに留

意する。この場合,不確かさが増加することになる。クラッドの中の光パワー(クラッドモード)は,必

要な場合は,適切なモードストリッパ又は励振器で除去することが望ましい。

基準コネクタ及びアダプタ対は,光ファイバを使用した校正を想定している場合,すなわち,空間ビー

ムを使用しない場合にだけ報告する。基準コネクタ及びアダプタは,光パワーメータへの戻り反射が十分

に小さい組合せのものを使用することが望ましい。

5.2 

校正手順 

1)

適切な校正条件を設定し,記録する(5.1 参照)

。すべての機器のスイッチを入れ,動作が十分安定す

るまで待つ。

2)

取扱説明書に従って,参照標準器及び被測定器の機器状態を設定する。すべての機器の波長を光源波

長に設定する。適切な光パワーレンジを選択する。両測定器の機器状態を記録する。必要ならば,両

測定器のゼロ点調整を行う。

3)

参照標準器で光パワーP

std,1

を測定する。参照標準器が調整済でない場合は,参照標準器の校正証明書

に記載されている補正係数 CF

std

を測定結果に乗じる。必要ならば,5.3.3 で算出した補正係数 CF

change

も乗じる。測定結果 P

ref,1

P

std,1

×CF

std

×CF

change

を記録する。これは,真の光パワーに最も近い推定値

となる。

4)

被測定器で光パワーを測定する。取扱説明書に従って必要な補正を行う。測定結果 P

DUT,1

を記録する。

5)

一連の補正係数の最初の係数を式

(1)

で算出する。

1

DUT,

1

ref,

1

,

comparison

P

P

CF

=

 (1)

6)

ステップ 3)から 5)までを 回繰り返し,その都度 CF

comparison,1

から CF

comparison,n

までの補正係数を算出

する。

7)

個々の補正係数から,平均補正係数 CF

DUT

を式

(2)

で算出し,記録する。

å

×

=

n

i

CF

n

CF

1

i,

comparison

DUT

1

 (2)

必要ならば,偏差 は補正係数から,式

(3)

で算出する。

1

1

DUT

=

CF

D

 (3)

算出後,被測定器の利用に当たっては,測定結果に CF

DUT

を乗じる。又は,補正係数が

1

となるよ

うに被測定器を調整してもよいが,その場合は,確認のため,比較を反復することが望ましい。

5.3 

校正不確かさ 

校正不確かさは,補正係数 CF

DUT

の測定不確かさである。

合成標準不確かさを,式

(4)

で算出する。

(

)

2

DUT

2

ref

2

setup

DUT

u

u

u

CF

u

+

+

=

 (4)

ここに,

u

setup

設定による不確かさ

(

5.3.1

)

u

ref

参照標準器の不確かさ

(

5.3.2

)

u

DUT

被測定器による不確かさ

(

5.3.4

)

注記

(4)

は,入力量が独立又は相関がない場合にだけ正しい。幾つかの入力量にかなりの相関があ


14

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

る場合には,その相関を考慮する必要がある(GUM を参照)

次に,拡張不確かさを,式

(5)

で算出する。

(

)

(

)

DUT

DUT

CF

u

k

CF

U

×

=

 (5)

ここに,

k: 包含係数(附属書 を参照)

5.3.1 

測定系による不確かさ 

測定系によって,次の不確かさが発生する。

a)

光源の光パワーの不安定性による不確かさ:出力光パワーの固有の経時変化に加えて,レーザ光源の

光パワーは,反射戻り光の変動及び反射戻り光の偏光状態の変動に応じて不安定になることがある。

b)

ビームスプリッタ又は分岐デバイスの分岐比(同時測定法の場合)による不確かさ:例えば,それら

のデバイスの偏光依存性に起因する。

c)

測定系及び測定方法によっては,上記のほかにも不確かさを考慮する必要がある。

光源光パワーの不安定性及びビームスプリッタ,又は分岐デバイスの分岐比(同時測定法の場合)の不

安定性は,補正係数の測定にばらつきをもたらす。これらの不安定性による不確かさは,校正中に測定し

た補正係数 CF

comparison,1

CF

comparison,n

[式

(1)

]の実験的な標準偏差から算出できる。この不確かさを減少さ

せるために,比較の回数は多くすることが望ましい。

不確かさタイプ

A

の評価の詳細は,

附属書 に規定する。

(

)

n

CF

s

u

comparison

typeA

setup,

 (6)

ここに,

s

(

CF

comparison

)

: 補正係数の実験的な標準偏差

n: 校正手順における測定サイクルの回数

この不確かさは,測定によって評価した標準偏差から算出し,すべての校正に用いることもできるし,

タイプ

B

の評価から算出することもできる。したがって,不安定性は,校正ごとに大幅には変化しないし,

また,被測定器には依存しない。式

(6)

の は,常に現在の校正手順における測定サイクルの回数である。

また,このタイプ

A

で評価された不確かさは,交互測定法を使用する場合の接続の再現性,又は校正手順

におけるわずかな測定条件の変化の影響を受ける。それは,参照標準器

(

5.3.2

)

又は被測定器

(

5.3.4

)

に起因す

る不確かさも(ある程度)考慮に入れることが望ましい。不確かさの要因は漏れなく考慮するが,二重カ

ウントしてはならない。

ここに示したすべての部分不確かさを合成して,測定系による不確かさを式

(7)

で算出する。

å

=

=

m

i

u

u

1

2

setup

i

setup,

 (7)

5.3.2 

参照標準器の不確かさ 

参照標準器の不確かさは,主として,その校正及び現在の校正条件の不確かさ並びにこれらの校正条件

における参照標準器の依存性に起因する。

次の不確かさを評価する必要がある。この評価は,測定若しくは推定又は両者の組合せで行う。不確か

さの計算は,

附属書 に,校正条件の依存性の測定は,6.2.1 に規定する。

a)

参照標準器の校正の不確かさ。これは,校正証明書から得る。

b)

参照標準器の

,

(以前)校正したときの条件と 5.3.3 で算出する現在の校正条件 u

change

との差異による不

確かさ。

c)

参照標準器の温度依存性による不確かさ。


15

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

d)

参照標準器の相対湿度依存性による不確かさ。積分球を備えた光パワーメータは,狭帯域レーザ光源

を使用する場合には,特に水の吸収ピークに敏感である。

e)

参照標準器のビーム形状の依存性による不確かさ。

f)

多重反射の依存性による不確かさ。多重反射は,光入力端子と放射光源(例えば,コネクタ及びアダ

プタ対)との間に発生することがある。器具が異なると,測定光パワーは変わる場合がある。

g)

参照標準器の波長依存性による不確かさ。

h)

参照標準器のスペクトルバンド幅依存性による不確かさ。

i)

参照標準器の偏光状態の依存性による不確かさ。ただし,無偏光又は無偏光化された光を用いた場合

を除く。

j)

光学干渉による不確かさ。検出器表面及び検出器窓の表面並びにコネクタ端面の間にファブリーペロ

ー共振器が形成されることがある。

k)

参照標準器の分解能による不確かさ。参照標準器の分解能が

δ

y

ref

ならば

標準不確かさは,式

(8)

で算

出する(GUM

F.2.2.1

を参照)

ref

resolution

ref,

3

2

1

y

u

δ

=

 (8)

l)

参照標準器のその他の依存性による不確かさ。参照標準器の種類によっては,上記以外の不確かさも

あり得る。これらは,測定又は推定する必要がある。経時変化は,状態の変化と理解し,時間が,状

態に影響を与えていることに留意する。

参照標準器を校正したときと被測定器の校正に使用するときとの経過時間

は,既知であるので,その

不確かさは u

(

t

)

0

となる。参照標準器の経時変化による不確かさは,5.3.3.1 で算出し,b)で考慮する。

参照標準器の合成標準不確かさは,標準不確かさから式

(9)

で算出する。

2

change

1

2

i

ref,

ref

u

u

u

n

i

+

=

å

=

 (9)

5.3.3

から決定するように,u

change

は,校正条件の変更による不確かさである。

5.3.3 

補正係数及び条件の変化による不確かさ 

参照標準器は,現在の校正条件とは異なる条件で校正するので,校正時とは異なる感度を示すことがあ

る。現在及び以前の測定条件の差異例を次に示す。

平行及び拡散放射ビーム,光源スペクトルの差異

,

非反射及び多重反射設定,測定間隔が大きい場合の

標準器の経時変化。

参照標準器を校正するときの条件が名目上現在の校正条件と同一であり(ただし,それらの不確かさは

異なる場合がある。

,参照標準器の経時変化が無視できる場合は,ここは,省略してよい

(

CF

change

1)

図 に示すように,それぞれの変化は,条件の公称の変化及び不確かさの変化を含む。


16

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

図 4−条件と不確かさの変化

5.3.3.1

5.3.3.8 に示す各々の潜在的な誤差要因に対し,補正係数を算出する必要があるかを判断するこ

とが望ましい。

方法

A

は,補正係数を算出する方法で比較的小さな不確かさとなる。方法

B

は,補正係数を適用しない

方法であり(CF

change

1

,最悪条件を包含するように,更に大きな不確かさを考慮することが望ましい。

方法

A

を選択する場合には,

(累積)補正係数は,式

(10)

又は式

(11)

で算出する。

current

previous

change

r

r

CF

=

 (10)

又は,

r

CF

= 1

change

(11)

ここに,

r

previous

以前校正した条件での参照標準器の励振に対する感度

r

current

現在の校正条件での参照標準器の励振に対する感度

r: 感度の相対変化

r=(r

previous

r

current

)/r

current

部分補正係数 CF

change,i

を累積することによって,参照標準器の(累積)変化に関連した補正係数を算出

する。部分補正係数については,5.3.3.15.3.3.8 に概説している。各影響量 X

i

に対しては,部分補正係数

を,式(12)で算出する。

i

i

change,

1

r

CF

=

 (12)

感度の相対変化

r

i

は,

“前”の校正条件から“現在”の校正条件への影響量の変化を直接測定するか又

は影響量

x

i

,の公称変化及び参照標準器の影響量

x

i

,に対する公称相対依存性から,式(13)で算出する。

i

i

i

change,

1

x

c

CF

×

=

 (13)

ここに,

c

i

相対感度の影響量 X

i

での偏微分であり,感度係数と呼ぶ。

i

0

i

1

x

r

r

c

=

 (14)

感度係数が明確でない場合には,後述する不確かさタイプ B を考慮しなければならない。

( )

i

i

i

change,

x

c

u

u

×

=

 (15)

ここに,

u(c

i

): 感度係数の標準不確かさであり,その依存性の測定は,6.2

で規定する。


17

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

最後に,  上記の各不確かさ要因から参照標準器の累積補正係数を,式(16)を用いて算出する。

=

=

n

i

CF

CF

1

i

change,

change

 (16)

また,校正条件の変化による合成標準不確かさは,式(17)で算出する。

å

=

=

n

i

u

u

1

2

i

change,

change

 (17)

この補正係数は,測定条件の差異に起因する参照標準器の感度変化(既知)であり,参照標準器の読取

値の補正係数である(5.2 参照)

5.3.3.1 

経時変化 

経時変化は,5.3.2 で規定したように,条件変化の一つである。参照標準器の経時変化係数が既知であり,

その係数が長期間にわたり安定な場合以外は,補正係数は算出しない(CF=1)

。不確かさ u

change,t

は,参照

標準器を校正してから被測定器の校正に使用するまでの経過時間

を,参照標準器の経時変化係数の不確

かさ u(c

t

)に乗じて算出することが望ましい。

( )

t

c

u

u

×

=

t

t

change,

 (18)

例  経時変化の限界だけが既知で,±0.1  %/年の場合:

附属書 に従って,経時変化係数は,c

t

=0  %/年であり,その不確かさは  u(c

t

)=0.1/ 3  %/年

となる。

したがって,校正後 1 年における参照標準器の経時変化による不確かさは,次のようになる。

( )

06

.

0

1

/

3

/

1

.

0

t

t

change,

=

×

=

×

=

t

c

u

u

 (19)

5.3.3.2 

温度変化に起因する補正係数 

補正係数 CF

change,θ

は,

“前”の温度と“現在”の温度との公称温度差

θ 及び参照標準器の温度感度係数

c

θ

(例えば,%/°C)に基づいて算出することが望ましい。

θ

×

=

θ

θ

change,

c

CF

 (20)

5.3.3.3 

光パワーレベルの変化に起因する補正係数 

不確かさは,参照標準器の“前”の光パワーレベルと“現在”の光パワーレベルとの非直線性から算出

することが望ましい。

必要に応じて,補正係数は,式(21)を用いて算出する。

10

NL

change,

10

NL

CF

=

 (21)

ここに,

NL: 非直線性であり,デシベル(dB)で表示する。非直線性の測定

は,箇条 に示す。

5.3.3.4 

ビーム形状の変化に起因する補正係数 

補正係数は,ビーム形状を変えたときに測定する感度変化から算出する。

5.3.3.5 

多重反射の依存性に起因する補正係数 

一般に,参照標準器の光入力端子には,反射が生じるものと想定するのが望ましい。こうした反射は,

発光源に戻って,再度反射され,表示する光パワーレベルが増加することになる。したがって,補正係数

(通常<1)が必要となり,不確かさ増大の原因となる。

例えば,参照標準器の校正で非反射性の光源を使用し,被測定器の校正で(光コネクタに起因する)反


18

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

射性をもつ光源を使用した場合は,参照標準器に表示される総光パワーは二次反射分だけずれる。この二

次反射が,総光パワーを 5  %増加させると仮定した場合,それぞれの補正係数は 0.95 となる。この種類の

誤差は,高吸収率のエンクロージャをもち,低反射率のコネクタ及びアダプタ対を組み込んでいる光源を

使用することによって低減することができる。

5.3.3.6 

波長変化に起因する補正係数 

補正係数は,波長の公称変化

∆λ

,及び,波長に対する参照標準器の公称波長依存性 c

λ

に基づいて算出

することが望ましい。

λ

λ

λ

×

=

c

CF

1

change,

 (22)

5.3.3.7 

スペクトルバンド幅変化に起因する補正係数 

補正係数は,スペクトルバンド幅の公称変化及びスペクトルバンド幅に対する参照標準器の公称依存性

に基づいて算出することが望ましい。発光源のスペクトルバンド幅内で(未補正の)波長依存性が線形で

ある限り,補正係数は 1 となることに留意する。波長依存性が曲線の場合は,参照標準器の波長依存性,

及び両光源(参照標準器の校正で使用した光源及び被測定器の校正で使用した光源)のスペクトルに基づ

いて補正係数を算出する。

5.3.3.8 

その他の補正係数 

参照標準器の種類及び校正条件によっては,その他の補正係数が必要となる場合がある。これらについ

ても,上記と同様の測定又は推定を行うことが望ましい。

5.3.4 

被測定器に起因する不確かさ 

被測定器に起因する不確かさは,主に校正条件の不確かさ及びその条件における被測定器の依存性が原

因である。次の不確かさを評価する必要がある。これらの決定は,5.3.2 と同様である。不確かさの算出は,

附属書 に規定し,条件の依存性の測定は,6.2.1 に規定する。

a)

被測定器の温度依存性による不確かさ。

b)

被測定器の相対湿度依存性による不確かさ。積分球を備えた光パワーメータは,狭帯域レーザ光源を

使用する場合には,特に水の吸収ピークに敏感である。

c)

ビーム形状の依存性による不確かさ。  この不確かさは,被測定器の光入力端子の不均一性及び角度依

存性に起因する。

d)

多重反射の依存性による不確かさ。多重反射は,光入力端子と放射光源(例えば,コネクタ及びアダ

プタ対)との間に発生することがある。器具が異なると,測定光パワーは変わる場合がある。

e)

被測定器の波長依存性による不確かさ。

f)

被測定器のスペクトルバンド幅依存性による不確かさ。

g)

被測定器の偏光状態の依存性による不確かさ。ただし,無偏光又は無偏光化された光を用いた場合を

除く。

h)

光学干渉による不確かさ。検出器表面及び検出器窓の表面並びにコネクタ端面の間にファブリーペロ

ー共振器が形成されることがある。

i)

被測定器の分解能による不確かさ。被測定器の分解能が,δy

DUT

である場合には,標準不確かさは式(23)

のようになる(GUMF.2.2.1 を参照)

DUT

resolution

DUT,

3

2

1

y

u

δ

=

 (23)

j)

被測定器のその他の依存性による不確かさ。被測定器の種類及び校正手順によっては,不確かさを引

き起こすその他の条件がある。


19

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

以上から,被測定器の合成標準不確かさは,標準不確かさから算出する。

å

=

=

n

i

u

u

1

2

i

DUT,

DUT

 (24)

5.4 

結果の報告 

各校正結果は,JIS Q 17025 に準拠して報告することが望ましい。この規格に準拠した校正証明書又は校

正報告書には,少なくとも,次の情報を含む必要がある。

a)  5.1

で規定したすべての校正条件。

b)

被測定器が調整されていない場合には,被測定器の補正係数又は偏差。

c)

被測定器が調整済の場合は,被測定器の調整前の補正係数(又は偏差)及び調整後の補正係数(又は

偏差)

d)  5.3

で規定した拡張不確かさの形式における校正不確かさ。

e)

校正中の,被測定器の機器状態

f)

トレーサビリティの証拠[JIS Q 17025 の 5.10.4.1 c)参照]

校正済光パワーメータの測定不確かさ 

校正済光パワーメータの測定不確かさは,校正不確かさよりも大きい。それは,校正不確かさ及び光パ

ワーメータの測定条件に対する依存性による不確かさの組合せとなる。

基準条件又は動作条件において使用する校正済光パワーメータの測定不確かさの決定は,校正手順には

含まない。それは,例えば,仕様を規定するために,光パワーメータの製造業者が実施する。また,それ

は,校正証明書又はこの規格に準拠した校正報告書の必す(須)事項ではない。

6.1 

基準条件での不確かさ 

基準条件は,光パワーメータの性能試験又は相互比較に使用する。それらは,通常,測定機器の最小の

不確かさを規定するのに製造業者が定義付けするため,校正条件と同一又はそれに近い条件になることが

多い。

基準条件の不確かさは,基準条件で動作している校正済で,かつ,調整済の光パワーメータによる測定

結果の不確かさとなる。それは,光パワーメータの校正不確かさ及び基準条件並びに光パワーメータの基

準条件に対する依存性に依存する。これが,基準条件の不確かさが校正の不確かさより常に大きい理由で

ある。基準条件が校正の条件(条件の変更による不確かさはなし)と同じでも,基準条件への被(光パワ

ー)測定器の依存性は,別の時間のために校正の不確かさに加え(求積法において)なければならない。

校正済光パワーメータの基準条件における不確かさの算出は,5.3.2 に規定した参照標準器の校正条件にお

ける測定不確かさの算出と同様である。

(

)

2

DUT

DUT

2

ion

ref_condit

DUT,

u

CF

u

u

+

=

 (25)

ここに,

u

(

CF

DUT

): 5.3 で決定する被測定器の校正不確かさ

u

DUT

5.3.4

で決定する被測定器の基準条件の依存性による不

確かさ

基準条件の記載は,5.1 に規定した校正条件と同様に行うことが望ましい。

6.2 

動作条件での不確かさ 

動作条件での不確かさ(又は動作不確かさ JIS C 1005 の 3.2.11 参照)は,動作条件の範囲内で動作する


20

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

校正済で,かつ,調整済の光パワーメータによる測定結果の不確かさとなる。それは,校正不確かさ及び

動作条件並びに光パワメータの動作条件に対する依存性に依存する。

(

)

2

extension

DUT

2

operating

DUT,

u

CF

u

u

+

=

 (26)

ここに,

u

(

CF

DUT

): 5.3 で決定する被測定器の校正不確かさ

u

extension

式(27)で決定する光パワーメータの動作条件依存性に
よる拡張不確かさ

5.1

に規定した校正条件の場合と違って,各動作条件は,可能であれば範囲で記載することが望ましい。

一連の動作条件は,次に規定する。

a)

再校正の最大時間間隔

b)

周囲の温度範囲

c)

光パワーレベルの範囲(測定範囲)

d)

スポット径及び開口数(NA)によって記載するビーム形状の範囲又は適用可能な光ファイバタイプ

e)

適用可能なコネクタ及びアダプタ対(存在する場合)

f)

光源の波長の範囲

g)

光源の最大スペクトルバンド幅

特に規定がない限り,動作条件には,とり得るすべての偏光状態を含む。また,結露点以下の相対湿度

を想定している。

上記の条件は,光パワーメータの製造業者又は動作条件での校正を行う校正機関のいずれかが指定する

ことができる。拡張不確かさを算出するためには,各条件に対する依存性によるすべての不確かさを合算

する。

å

=

=

n

i

u

u

1

2

i

extension,

extension

 (27)

ここに,

u

extension,i

拡張不確かさに寄与する項目

n

寄与する項目の総数

6.2.1 

測定条件依存性の決定 

個々の依存性は,動作範囲内で,関連条件を変化させることによって光パワーメータの感度の相対変化

を記録することが望ましい。試験の間,その他のすべての条件を校正条件に保持することが望ましい。ゼ

ロ点の決定は,校正条件での感度によって定義する。この方法で,正及び負の最大感度変化によって定義

する範囲について,各依存性を規定することができる。通常,

図 に示すように,ゼロ点に対して非対称

な範囲が得られる。

図 5−拡張不確かさの決定及び記録


21

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

高い測定精度を得るために,箇条 のガイドラインを守ることが望ましい。測定中の不確かさは可能な

限り小さくすることが望ましい。なぜなら測定結果には,その不確かさを含むからである。既知の物理的

な関連性,又は同形の被測定器での十分に多くの特性試験に基づいて推定する場合は,測定の代わりに推

定値を使用することができる。

動作条件における被測定器の合成標準不確かさを決定するためには,個々の依存性を定量化した限界値

を,式(A.6)を用いて標準不確かさに変換する必要がある。

個々の不確かさは,通常,独立していると仮定する。ただし,一部の事例では,不確かさが複数の条件

に強く依存することがある。幾つかの例を,6.2.46.2.6 及び 6.2.7 に示す。

(指定動作範囲内の)その他の

動作条件を変化させることによって拡張不確かさが実質的に増大する場合は,大きい方の不確かさを記録

する。その後,不確かさの算出はこの大きい方の不確かさを基に行わなければならない。

6.2.2 

経時変化 

経時変化は,ある期間内の感度の相対変化である。それは,同一条件における光パワーメータの連続的

な校正の結果又は製造業者の指示によって決定することができる。

製造業者にとって,ある期間における感度の相対変化の決定は,測定器が注意深く使用されると仮定し

て決定する。光パワーメータは,その典型的な環境条件の下で試験するのが望ましい。例えば,実験室の

機器は,23±1  ℃の周囲温度で,光入力端子には光を照射しないで,12 時間の電源オン及び 12 時間の電

源オフの連続反復サイクル試験を行う。総試験時間は,その試験期間に等しくする。感度の変化は,実用

標準との比較によって測定するのが望ましい。実用標準の経時変化を排除するには,実用標準の規則的で

トレーサブルな再校正が必要になる。ここで,測定不確かさ,この場合は主に実用標準の不確かさを考慮

するのが望ましい。

前記の規定に従い,経時変化の不確かさをく(矩)形分布から算出することを推奨する(箇条 A.2 参照)

例えば,特定の波長で検出器が 1 年当たり最大 0.1  %の割合で感度を増大することが知られている場合,

経時変化の不確かさは,0  %(時点 0 のとき)から+0.1  %(時点 1 年のとき)まで広がるく(矩)形分

布によって表す。

6.2.3 

温度依存性 

校正条件における感度の相対変化は,動作温度範囲内で温度を変化させることによって測定するのが望

ましい。感度における正負の最も大きい相対変化によって,不確かさのく(矩)形分布を決定する。この

場合,温度の関数としての感度の最大最小であって,温度の最高最低での感度ではないことに注意する(

5

参照)

なお,半導体検出器の感度の温度に対する感度係数は,波長に依存することに注意する。

6.2.4 

光パワーレベル依存性(非直線性) 

校正光パワーレベルにおける感度の相対変化は,箇条 に従って測定するのが望ましい。

6.2.5 

光ファイバの種類又はビーム形状依存性 

光ファイバ光パワーメータは,光ファイバ又は空間ビームを受光できるように設計する。光パワーメー

タの感度は,例えば,光パワーメータの光入力端子の不均一性及び角度依存性のために,光ビームの形状

に依存すると考えられる。感度の相対変化は,次の条件を満足する実用標準を使用して測定するのが望ま

しい。

a)

角度依存性が無視できる。

b)

表面反射が無視できる。

c)

光ファイバビーム又は空間ビームを受光するのに十分に大きい受光面である


22

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

十分に評価された積分球を備えた光パワーメータを実用標準として使用することは,一つのよい方法で

ある。

図 6−空間感度測定のための光学的基準面を 10×10 個の正方形の分割区分 

もう一つの方法は,被測定器の光学的基準面の不均一な空間感度に起因していると考えられるすべての

不確かさを,数学的解析によって評価することである。これを行うには,光学的基準面としての受光面を

正方形,例えば,

図 に示す 10×10 個に細分するのが望ましい。

次の二つのタイプの測定を実施することが望ましい。

a)

適切なビーム形状によって発生する光学的基準面上の空間光パワー密度及び入射角度の測定

b)

被測定器の光学的基準面上での斜め入射角依存性(角度依存性)を表す適切な乗数で補正された被測

定器の空間感度の測定。この空間感度は,細分割された正方形の一辺の長さに等しい直径をもつ光ビ

ームで測定するのが望ましい。

必要な測定結果のモデル化に基づき,

(空間の)光パワーレベルに空間感度を乗じ,これらすべての積を

加算することによって,ビームパラメータの変化に対する感度の変化を評価することができる。空間感度

は,通常,波長に依存することに留意する。

6.2.5.1 

光ファイバ依存性の測定 

光ファイバに関係する不確かさの測定では,測定の対象である光ファイバは,コアの直径及び開口数

(NA)の両方について十分に励振するのが望ましい。光ファイバの長さは,約 2 m を推奨する。必要であれ

ば,クラッド中の光パワー(クラッドモード)を適切なモードストリッパで除去するのが望ましい。光フ

ァイバは,校正条件によって定められるコネクタ及びアダプタ対によって結合するのが望ましい。コネク

タ及びアダプタ対並びに検出器の間の多重反射が測定結果に影響を与えないようにするためには,コネク

タ及びアダプタが共に低反射率であるのが望ましい。また,光源のスペクトルバンド幅は広範囲の波長に

わたっての平均化を避けるために十分狭くするのが望ましい。

ステップ 1:  基準光ファイバの出力を実用標準及び被測定器の両方で測定し,その差を(数学的に)補

正して 0 にする。

ステップ 2:  上記の手順を次に適用する。

a)

  IEC 60793-2 によって定義する標準シングルモード光ファイバ

b)

  (指定された)最大のコア径をもつ光ファイバ,及び/又は最大の開口数(NA)をもつ

光ファイバ


23

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

この試験の意図は,被測定器の光ファイバの種類及び光ファイバ内を伝搬しているモード数を測定する

ことである。

光ファイバに関係する不確かさを決定するためには,ステップ 1 に対する感度の最大相対変化(正又は

負)を用いるのが望ましい。この不確かさには,実用標準で光ファイバ出力を測定するときの不確かさ,

例えば,不均一性及びビーム拡散放射並びに実用標準の多重反射を原因とする不確かさを含む。

これらの測定では,光入力端子の不均一性に関連した“スペックル”を原因として,著しいタイプ A 不

確かさが生じることがある。スペックルは,マルチモード光ファイバ中の異なったモード間の干渉によっ

て生じる不規則な照射分布である。この効果は,レーザダイオードからの(高度のコヒーレンスをもつ)

放射によって光ファイバが励振されるときに,顕著である。この不確かさは,光ファイバをわずかに移動

させるごとに測定された一連の測定結果を平均化することで減少できる。

光ファイバの移動は,スペックルパターンを変化させる。この光ファイバの移動は,総放射光パワーの

変化が伴うことがあることに留意する。総放射光パワーが変化する原因は,反射光パワー変動及びレーザ

ダイオードの反射戻り光依存性に起因している。

励振波長が,光ファイバのカットオフ波長よりも十分に長い場合,シングルモード光ファイバ中には,

スペックルは存在しない。スペックルパターンを除去する可能性がある別の方法は,LED 又は(フィルタ

された)

“白色”放射光源のようなコヒーレンスの少ない光源を用いることである。

6.2.5.2 

空間ビーム依存性の測定 

光ファイバの依存性の測定と同様に,空間光ビームのスポット径及び開口数(NA)への依存性は,均一な

大面積検出器をもち,角度依存性を無視することができる実用標準との比較によって評価することができ

る。スポット径及び開口数(NA)への依存性の組合せの問題に対処するために,次の事項を評価する。

a)

指定する最小のスポット径,最小の開口数(NA)で励振することによる(校正条件の感度に対する)

感度の相対変化。

b)

指定する最大のスポット径及び最大の開口数(NA)で励振することによる感度の相対的変化。

6.2.6 

コネクタ及びアダプタ対依存性 

この規格では,光入力端子及び放射光源間の多重反射に対する被測定器の依存性について規定する(例

えば,光源及び光入力端子との間のビーム経路中にある光コネクタ又はその他の機械的な部品)

。反射が正

反射又は拡散反射になることがあることに留意する。

角度依存性及び表面反射が無視できる実用標準を用いて,感度の相対変化を測定することが望ましい。

光ファイバは校正条件の一つとすることが望ましい。測定中,曲げによって誘発される光パワーレベルの

変化を避けるため,光ファイバの端を定位置に保持することが望ましい。

ステップ 1:  基準コネクタ及びアダプタ対とともに,(基準光ファイバに対応する)基準ビーム形状に

対して,実用標準及び被測定器の両方で光パワーを測定し,差を(数学的に)補正して 0

にする。

ステップ 2:  不確かさタイプ A を減少させるため,各接続を数回繰り返すことによって,上記手順を,

指定するすべてのコネクタ及びアダプタ対に適用する。

不確かさを決定するためには,ステップ 1 に対する感度の最大相対変化(正及び負)を

使用することが望ましい。不確かさには,また,実用標準との様々な組合せを測定中の不

確かさタイプ B に含む。不確かさタイプ B は,例えば,実用標準における多重反射を原因

として生じるものである。

6.2.1

の最後のパラグラフを参照すると,6.2.5.1 に列記したような,最高次モードの光ファイバで依存性


24

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

を追加測定することが必要な場合がある。

高次モードの光ファイバは,

光学的基準面上に大きな像を作り,

したがって,更に明確な位置決め精度の限界が生じる可能性がある。この場合,増加した依存性を記録す

るのが望ましい。

6.2.7 

波長依存性 

校正波長における感度に対するスペクトル感度の相対変化を測定することが望ましい。この測定は,通

常,スペクトル弁別器,例えば,モノクロメータ,多数のスペクトルフィルタなどを透過し,集光したス

ペクトル連続光源で行う。測定結果が正確であることを保証するためには,迷光,すなわち,選択した波

長以外の光の存在も評価することが望ましい。迷光の中心波長及びスペクトルバンド幅も測定することが

望ましい。帯域幅は狭いことが望ましい。帯域幅が広いと,被測定器の波長依存性の急しゅん(峻)なカ

ーブと関連して誤った測定結果を生じることがある。

スペクトルバンド幅が極端に狭いと,光学干渉の問題,すなわち,ビーム経路に 1 個又は複数の光共振

器が含まれる場合,くし状の波長依存性の原因となることがあるので留意する。

ビーム形状は,校正条件の一つであることが望ましい。レンズ及びアパーチャの組合せを使用して,光

ファイバビームと代替することができる。この場合,照射したスポット径及び光学的基準面上の位置と,

光ファイバ入力を使用して得られるものとを整合させるように注意することが望ましい。また,光入力端

子からの後方反射が,測定結果にタイプ B 不確かさを加えることがないことを保証するためにも注意を払

うことが望ましい。

測定は,置換法を使用することによって,実用標準との直接比較によって実施することが望ましい。実

用標準の相対スペクトル感度は,校正していることが望ましい。

この測定は,比較的低い光パワーレベルで行うため,両光パワーメータのゼロ点調整が必要である。測

定器が,例えば,校正カーブ又はメモリ中に記憶された補正テーブルをもっている場合には,補正後の感

度からの相対偏差を測定する。

温度変化は,波長依存性に大きい影響を及ぼすことがある。例えば,波長 1 550 nm でのゲルマニウムホ

トダイオードの 0  ℃での波長依存性は,室温での波長依存性よりもはるかに大きい。一般に,波長の不確

かさは,最大の波長依存性,この場合は,0  ℃での波長依存性を基礎として算出する。

6.2.7.1 

ファブリーペロー形干渉による波長依存性 

狭いスペクトルバンド幅のレーザ(B << 1 nm)を使用する場合には,

図 に示すように,スペクトル感度

は波長に対して急激に変化する場合がある。これは,通常,検出器までの光路中に形成されたファブリー

ペロー共振器で生じる。ファブリーペロー共振器は,検出器の窓の両表面間,窓の一つの表面と検出器自

体との間又は光ファイバ使用の場合は,光ファイバ端面とその他の表面との間に形成される。


25

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

1535

1540

1545

1550

1555

1560

波長 (nm)

相対感度

 (d

B)

図 7−ファブリーペロー形干渉による感度の波長依存性 

図 では,ピーク・トゥ・ピークの変動は

dB

=0.2 dB (

=4.6  %)  に達し,非常に重大である。光学

干渉に起因する標準不確かさは,正弦波パターンの標準偏差とし,式(28)となる。

6

.

1

2

2

1

int

=

×

=

u

 (28)

6.2.8 

スペクトルバンド幅依存性 

この依存性は,検出器の波長依存性の曲線形状に伴って増加する。光源のスペクトルバンド幅の関数で

ある感度の相対変化はスペクトルバンド幅の指定範囲内で試験する。

スペクトルバンド幅を可変するために,モノクロメータを使用することができる。実際の光パワーレベ

ルは,波長依存性を無視することができる実用標準で測定する。被測定器のスペクトル感度及び光源のス

ペクトル分布が分かっている場合には,

スペクトルバンド幅依存性を,

数学的解析によって求めてもよい。

6.2.9 

偏光依存性 

被測定器の偏光依存感度(

PDR

)は,異なった偏光状態において,光パワーメータの感度測定を複数回

行うことによって評価する。ほぼ

100

%に偏光した安定な光源又は

図 8

に示すような光源の後に偏光子を

入れて使用する。偏光制御器は,固定した入力偏光状態を任意の偏光状態に変換するために使用する。

図 8

光パワーメータの偏光依存性測定の設定

光源光パワーの不安定性及び偏光制御器の損失変化は,被測定器の偏光依存性よりも十分に小さいこと

が望ましい。これは,被測定器を,偏光依存感度が非常に低い検出器と置き換えて確認する。

注記

レーザ光源は,偏光状態が変動している光が後方反射する場合に出力光パワーが不安定となる

S

Power meter

Source

Polarization

controller

Polarizer

光パワーメータ

光源

偏光子

偏光制御器


26

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

ので,光源と偏光制御器との間に光減衰器又はアイソレータの挿入を必要とする場合がある。

別の

PDR

測定方法であるマトリクス法は,

  IEC 61300-3-12

で規定する偏光依存損失

(PDL)

の測定方法を

適用する。

6.2.10 

その他の依存性 

被測定器の種類によっては

,

その他のパラメータへの依存性がある。これらは,校正条件での感度に対

する感度の相対変化として求めるのが望ましい。

一例としては,変調周波数及びデューティサイクルの範囲を規定することによって強度変調された光信

号を,動作条件に含めることがある。その場合,変調に起因する不確かさタイプ

B

を評価する。

極端なデューティサイクルは,光検出器及び電子機器又はいずれか一方を飽和させる場合があることに

注意する。

非直線性の校正 

校正レベルから離れた光パワーレベルでの高精度測定,又は,損失若しくは利得といった相対値の高精

度測定を行うには,光パワーメータの非直線性を校正する必要がある。校正は,光パワーレベルを増減す

ることで行う必要がある。これは各増幅器の測定レンジの境界における非直線性を盛り込むためで,これ

らの境界における非直線性を検出すること,又は可能ならばいつでも各測定レンジの境界の両側での測定

結果を含めるのが目的である。検出器の非直線性が波長依存性によることについても注意が必要である。

例えば,

InGaAs

の検出器は,

1 310 nm

及び

1 550 nm

で直線性があるが,

850 nm

で非直線性の可能性があ

る。

幾つかの校正方法が可能であるが,重ね合せ法は最も高精度で参照標準を必要としない試験法(自己校

正方法)である。しかし,測定ごとに

2

倍(約

3 dB

)の光パワーレベルに可変することから,増幅器の境

界領域における非直線性を測定するには,刻み幅が大きすぎることがある。この制約は,幾つかの異なる

基準の光パワーを出発点にして校正を開始するか又は増幅器のレンジ切り換えの異なる境界領域において

同じ光パワーレベルの測定を行うことによって,回避できることがある。

すべての方法で光パワーレベルが選択可能な光源を使用する。

(安定化)

レーザダイオード光源と可変減

衰器とを組み合わせたものが一例である。その光パワーレベルは,規定の測定範囲をカバーしなければな

らない。測定において光入力端子に許容される最大照度は,シングルモード光ファイバで励振する条件下

で,かつ,測定範囲の上限の光パワーとして定義する必要がある。

検出器の飽和光パワーレベルは,ビームの幾何学的条件に依存する。小さいスポット径のほうがより大

きいスポット径より低光パワーで,検出器を飽和状態にする。

注記

極端な周囲温度では,非直線性が増す可能性がある。

6.2

で規定した“一つ以上の動作条件への

依存性”については,動作温度範囲の上下限で非直線性を追加測定し,動作条件での不確かさ

の増加量を記録する必要がある。

7.1 

重ね合せ法に基づく非直線性の校正 

高精度な非直線性の校正は,重ね合せ法(相加法とも呼ばれる。

)で行うことができる。光ファイバを用

いた空間ビーム二重開口法(

附属書 B

[F]

を参照)としてシングルモード光ファイバを使用する。測定系

の一例を,

図 9

に示す。

光パワーは,シャッタを設けた二つの異なった経路に分けられ,被測定器の光パワーメータの前で再結

合される。


27

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

図 9

重ね合せ法に基づく非直線性の校正

この規格では,安定で光アイソレータ(反射の影響を抑圧するための)をもつ

DFB

レーザを用いること

ができるが,絶対校正の手順と同様に線幅を広げてコヒーレンスを適度に調整する。測定系中の二つに分

岐した経路では(マッハツェンダ形の)干渉による強度変動を避けるために光路長を異なる長さにし(

DFB

レーザの場合,約

 100 m

,分岐デバイスの開放端は無反射終端しなければならない。この方法は,挿入

損失が大きい欠点がある。概算すると,最初の減衰器で約

1.5 dB

,最初の分岐デバイスで

0.5 dB

,二番目

の減衰器がそれぞれ

1.5 dB

,再結合用の分岐デバイスで約

3.5 dB

,合計で約

7 dB

である。よりハイ光パワ

ーの測定では,光源と最初の減衰器との間に(

1 550 nm

用の

EDFA

のような)光増幅器をオプションとし

て挿入してもよい。

7.1.1 

手順 

1)

どちらの経路からでも光パワーメータで測定する光パワーが等しくなるように,二つの経路の減衰

器を調整する。

2)

両方のシャッタを開き,同時に両方の経路からの総光パワーP

ab,i

を測定する。

3)

経路

b

のシャッタを閉じ,経路

a

からの光パワーP

a,i

を測定する。

4)

経路

a

のシャッタを閉じ,経路

b

のシャッタを開け,経路

b

から光パワーP

b,i

を測定する。

5)

個々の光パワーの測定値の和が総光パワーに等しくないならば非直線性であり,その値は式

(29)

ように表される。

i

b,

i

a,

i

ab,

10

i

log

10

P

P

P

NL

+

×

=

(dB)  (29) 

6) 

最初の減衰器で,光パワーを半分(

10 log

10

 2

 3.01 dB

)に減衰させ,総光パワーが前のステップの

個々の光パワーのレベルになるようにする。

7) 

測定したいレンジ全域について,

2)

6)

を繰り返す。

8) 

最終的には,デシベル

(dB)

で表示のすべてのローカルな非直線性の合計としてグローバルな非直線

性を算出する。ここに,ローカルな非直線性は,非直線性が

0

(高次の項は無視する

)

となる基準の

光パワーレベルから計算して求める。

シャッタ

光減衰器

分岐デバイス

光減衰器

分岐デバイス

光減衰器

S

dB

dB

dB

光源

シャッタ

参照標準器

被測定器


28

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

( )

å

1

0

i

n

global

=−

n

i

NL

P

NL

n

=−1,−2,−3,…)  (30)

( )

0

0

global

=

P

NL

(基準の光パワー)

( )

å

=

+

=

n

i

NL

P

NL

1

i

n

global

n

=1, 2, 3,…)

ここに,

n

<0:

基準の光パワーより低い光パワーレベルを示す。

n

>0:

基準の光パワーより高い光パワーレベルを示す。

NL

i

ステップ 1 の個別の非直線性(

P

ab

が基準の光パワーに一致

するステップに対して

i

=0 とする。

以上の結果,

表 で示すように,3.01 dB ごとのステップで刻んだ全光パワー領域のグローバルな

非直線性のリストを得る。

表 2−非直線性

i P

a,i

(W)

P

b,i

(W)

P

a,i

P

b,i

(W)

P

ab,i

(W)

NL

i

(dB)

NL

global

(P

ab,i

)

(dB)

2   

NL

2

NL

1

NL

2

1   

NL

1

NL

1

0      P

0

NL

0

 0

−1

  

NL

1

NL

0

−2

  

NL

2

NL

0

NL

1

基準の光パワーに対する最大の非直線性は,式(31)で表される。

(

)

max

global

max

NL

NL

±

=

(dB)  (31)

非直線性の校正の結果は,5.4 に規定の被測定器の校正証明書又は校正報告書に含める。必要ならば,次

で計算するように,

NL

max

は,適用できる不確かさとともに別々に報告することがある。

7.1.2 

不確かさ 

この方法における典型的な不確かさには,一連の三つの測定を行っているときの光パワー変動を含む。

それらは,ドリフト又は反射戻り光の変化に敏感な光源の揺らぎ及び可干渉性が大きいレーザによる不安

定性及び偏光依存性並びに光パワーメータの分解能である。各ステップでのこれらの誤差は累積して,そ

の後のステップで生じる誤差に加算する。

もう一つの不確かさは,それぞれのステップで二本の経路の光パワーがアンバランスとなり,また,次

のステップにおける総光パワーが,前のステップでの片方の経路の光パワーに一致しないことで生じる。

個々の光パワーが,適切にバランスしていなければ測定結果は信頼できない。この前記理由から,

図 

示すように各経路でオプションの光減衰器を使うことが望ましい(通常,シャッタは,光減衰器に含む。

各々の光減衰器によって,測定開始時から各経路の光パワーをバランスさせることができる。別の測定系

としては,このアプローチを活用し,それぞれ第 2,第 3 の光減衰器と直接つながる二つのレーザ光源を

使う方法がある。この方法は,より高い光パワーで測定を始められる利点があるが,両方の光減衰器を各

ステップに調節するために被測定器とのやり取りを必要とする。

最初に,すべての標準不確かさの二乗和平方根をとって各ステップごとのローカルな非直線性

u

(

NL

i

)に

対する合成標準不確かさを計算する。次に,グローバルな非直線性の標準的不確かさを,式(32)から求め

る。


29

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

(

)

( )

i

global

NL

u

n

NL

u

×

=

 (32)

ここに,

n

基準レベルから繰り返した 3.01 dB ごとのステップ数

7.2 

校正された光パワーメータとの比較に基づく非直線性の校正 

一つの方法として,

図 10 に示したような置換法によって,被測定器と参照標準器とを直接比較する測定

法がある。参照標準器で出力光パワーを測定した後,参照標準器を被測定器に置き換える。両方の測定器

の測定結果を記録する。ここでの誤差は,光減衰器の再現性,光減衰器の偏光依存損失,光源光パワーの

安定性,参照標準器の非直線性などに起因する。参照標準器の非直線性は,できるだけ高精度な方法で校

正しておく。

実用標準で,測定値のドリフトを繰り返しチェックすることは望ましい。また,光パワーレベルの低い

領域まで測定範囲を拡張するために,参照標準器には低ノイズの検出器を使用するのがよい。

置換法の代わりに,ビームスプリッタ又は分岐デバイスを用いて,被測定器及び参照標準器を同時に測

定することもできる。非対称な分岐比のビームスプリッタ若しくは分岐デバイスを使用するか,又は第 2

の光減衰器を使用すれば,光パワーの測定の範囲拡大ができる。光パワーレベル又は偏光変動に依存する

かを調査する必要がある。

図 10−比較による非直線性の校正のための測定の設定

7.2.1 

手順 

1)

基準の光パワーを第 1 の減衰器で必要なレベルに設定する。

2)

標準器

P

ref,0

及び被測定器

P

DUT,0

を照射光パワーでそれぞれ測定する。

3)

第 1 の減衰器で,光パワーを増加(又は減少)して標準器

P

ref,i

及び被測定器

P

DUT,i

の光パワー測定

値を記録する。

4)

非直線性を計算する。

0

ref,

i

ref,

10

0

DUT,

i

DUT,

10

i

log

10

log

10

P

P

P

P

NL

×

×

=

(dB)  (33)

5)

光パワー測定範囲をカバーするまで,ステップ 3)及び 4)を繰り返す。

7.2.2 

不確かさ 

考えられる測定不確かさの要因を,次のリストに示すが,完全ではないかもしれない。追加の不確かさ

の要因は,測定系及び手順に依存することを考慮しなければならない。

不確かさの計算及び記述は,

附属書 に示す数学的根拠による。

分岐デバイス

光減衰器

dB

光減衰器

dB

光源

S

参照標準器

被測定器


30

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

a)

直線性の標準の非直線性(通常,重ね合せ法で校正する。

b)

光源の不安定性(反射戻り光が,光源の不安定性を引き起こす可能性がある。

c)

光の干渉(光源の可干渉距離は,反射点間の距離よりも小さいことが必要。

d)

コンポーネントの偏光依存性

e)

被測定器の分解能

f)

ビームスプリッタ又は分岐デバイスを使用する場合の分岐比の安定性

g)

手順によっては,光減衰器の再現性

7.3 

光減衰器との比較に基づく非直線性の校正 

非直線性の測定で最も簡単であるが最も精度の低い方法は,校正済の減衰器で光パワーレベルを変えて

測定することである。ここで用いる減衰器の校正については,トレーサビリティの連鎖を決めておく必要

がある。減衰器の校正は,それ自体,校正された光パワーメータの直線性に基づいているので,不確かさ

の計算には注意が必要である。この方法は,2 番目の光パワーメータを必要としない。そのかわり,基準

の光パワーレベルを,減衰器の既知の減衰量を用いて計算すればよい。主な誤差は,可変減衰器の非直線

性並びにシングルモード光ファイバの場合は可変減衰器の PDL 及び光源の光パワーの安定性から生じる。

また,減衰器の再現性及び波長依存性にも注意が必要である。高精度を必要としない場合は,この方法は

簡単であるので有益である。挿入損失が少ないので(減衰器の損失だけ)

,他の方法に比べてハイ光パワー

の測定が可能である(減衰器が直線性を維持できる最大入力光パワーまで)

7.4 

ハイ光パワー測定のための光パワーメータの校正 

ほとんどの光電検出器は,約 10 mW 以上の光パワーで非直線性になる。よりハイ光パワーな測定ができ

る検出器は,検出器の前に減衰器を組み込んでいる。

ハイ光パワーでの絶対光パワー校正が必ずしもできるとは限らない。そこで,ハイ光パワーまで光パワ

ーメータの非直線性を校正することは必要である。この場合,ハイ光パワーとは 10 mW を超える光パワー

と定義される。幾つかの光部品は非直線性を示す可能性があるので,7.3 に規定した同じ測定系を使用でき

るとは限らない。校正時の測定系に用いるすべての部品(コネクタ,減衰器,分岐デバイスなど)のハイ

光パワーでの特性をよく調査する必要がある。重ね合せ法は参照標準に頼らないという点で望ましいが,

測定系の一経路における長尺ファイバの使用はハイ光パワーでは非線形光学効果を引き起こす可能性があ

り,光パワーメータの非直線性を引き起こすので,注意が必要となる。


31

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

附属書 A

(規定)

数学的基礎

序文 

この附属書では,測定の不確かさの要約及び評価を集積して報告する形態を示す。これは,GUM の“計

測における不確かさの表現の指針”に基づくが,この附属書は,上記指針に記載されている詳細内容を十

分には反映していない。

標準として,測定の不確かさの評価方法について二つのタイプを規定する。タイプ A は,同じ測定に対

する一連の繰り返し測定を統計的に分析し,不確かさを評価する方法である。タイプ B は,他の知識に基

づいて,不確かさを評価する方法である。

A.1 

タイプ 評価の不確かさ 

タイプ A 評価の標準不確かさは,同じ測定条件の下で,個別の独立した測定の場合に適用できる。

X

について,

n

回の独立な測定で得られた

X

k

に対しての算術平均は,式(A.1)で算出する。

å

=

=

n

k

X

n

X

1

k

1

(A.1)

この平均は,その量の推定値とされる。つまり,

X

x

=

とする。測定に基づいて実験の標準偏差は,式(A.2)

で算出する。

( )

(

)

2

/

1

1

2

k

1

1

ú

û

ù

ê

ë

é

=

å

=

n

k

X

X

n

X

s

(A.2)

ここに,

X

:  測定された値の算術平均。

X

k

:  一連の測定の測定サンプル。

n

:  測定の回数で,例えば,

n

≧10 のような大きな数字を想定する。

推定値を

x

とするとき,タイプ A の標準不確かさ

u

typeA

(

x

)は,式(A.3)で算出し,実験の平均値における

標準偏差で表す。

( )

( )

( )

n

X

s

X

s

x

u

=

=

typeA

(A.3)

A.2 

タイプ 評価の不確かさ 

タイプ B 評価の標準不確かさは,一連の測定の統計的な分析以外によって不確かさを評価する方法であ

る。ここでは,数値の変動に関して得られるあらゆる情報に基づいた科学的な判断によって評価する。

X

の推定値

x

が,製造業者の仕様,校正証明書,ハンドブック又は他の情報源から得られ,その引用

した不確かさ

U

(

x

)が,標準偏差の

k

倍ある場合,標準不確かさ

u

(

x

)は,単に,式(A.4)となる。

( ) ( )

k

x

U

x

u

/

=

(A.4)

X

について,上限及び下限の値,

X

max

,

X

min

が評価できる場合(例えば,製造業者の仕様又は温度範囲

のような)

,く(矩)形状の確率分布を推定して,推定値

x

は,式(A.5)で算出する。

(

)

min

max

2

1

X

X

x

+

=

(A.5)


32

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

標準不確かさは,式(A.6)で算出する。

( )

(

)

min

max

3

2

1

X

X

x

u

=

(A.6)

出力推定値

y

及び関連付けられる標準不確かさへの寄与で,入力推定値

x

及び関連する標準的不確かさ

が要因となって生じるものは,

( )

( )

x

u

c

y

u

×

=

(A.7)

ここに,

c

は,入力推定値

x

及び関連付けられる感度係数であって,これは,モデル関数

y

(

x

)の入力推定

x

に関する偏導関数である。

x

y

c

=

(A.8)

感度係数

c

は,出力推定値

y

が,入力推定値

x

の変化によってどの程度影響されるかを示す。感度係数

c

は,出力推定値

y

の変化分であって,それは,入力推定値

x

の変化からモデル関数

y

(

x

)から計算できる。

また,式(A.8)又は数値計算でも計算できる。

x

の変化によって生じる出力推定値

y

の変化は,実験で求め

るのがよい。

A.3 

標準不確かさの集積 

集積された標準不確かさとは,個々の不確かさを集めて一つの量にまとめたものである。

標準不確かさは,個々の不確かさが統計上互いに独立であるとして,タイプ A 及びタイプ B によって見

積もったすべての不確かさの二乗和の平方根をとって集積する。

( )

( )

å

=

n

i

y

u

y

u

1

2

i

c

(A.9)

ここに,

i

個々の要因の数

u

i

(

y

): それぞれの標準不確かさ

n

不確かさの数

注記  この式では,最大の不確かさ(ばらつき量)の 1/10 以下の不確かさは,二乗すると 1/100 以下

となるので無視してもよい。

上記の量を基に,更に,詳細に不確かさを計算する場合は,集積した標準不確かさ

u

c

を基準として,式

(A.9)に再投入すればよい。ここに,

u

c

は,部分的にはタイプ A の性格を帯びているが,タイプ B の不確か

さを示している。

A.4 

報告 

校正報告書及び技術的なデータシートから集計した標準不確かさは,適用できる信頼水準とともに拡張

不確かさの形で報告する。それぞれの補正係数又は偏差も報告する。拡張不確かさ

U

は,標準不確かさ

u

c

(

y

)

に包含係数

k

を乗じることによって得る。

( )

y

u

k

U

c

×

=

(A.10)

約 95  %の信頼水準を推定値(デフォルト)として選択すれば,

k

=2 となる。約 99  %の信頼水準を選

択すれば,

k

=3 となる。

k

の値は,幾つかの条件の下で適合する(GUM を参照)

。これらの条件が満たさ

れなければ,より大きい包含係数は,これらの信頼水準を達成するために使うことが望ましい。


33

C6186

:2008 (IEC 61315:2005)

附属書 B

(参考) 
参考文献

序文 

この附属書は,本体及び附属書に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

[A]  IEC 61040:1990,Power and energy measuring detectors, instruments and equipment for laser radiation 
[B]  VAYSHENKER, I., LI, X., KEENAN, DA., and SCOTT, TR., Errors due to connectors in optical fibre

power meters, Tecnical Digest, Symposium on Optical Fibre Measurement, 1996, pp. 49-52

[C]  IVES, DJ., Measurement of Polarisation Dependent Responsivity of optical fibre power meters and optical

spectrum analysers. Technical digest of the 6th Optical Fibre Measurement Conference, pp. 13-16, 2001

[D]  BUDDE W., Multidecade linearity measurements on Si photodiodes. Applied Optics, 15 May 1979, Vol. 18,

No. 10, pp. 1555-1558

[E]  BOIVIN, LP., Automated Absolute and Relative Spectral Linearity Measurements on Photovoltaic detectors.

Metrologia, 1993, 30, pp. 355-360

[F]  VAYSHENKER, I., YANG, S., LI, X., SCOTT, TR. and CROMER, CL., Optical Fibre Power Meter

Nonlinearity Calibrations at NIST. NIST Special Publication, August 2000, 250-56

[G]  CORREDERA, P., HERNANZ, ML., CAMPOS, J., FONTECHA, JL., PONS, A. and CORRONS, A.,

Application of an addition method to obtain the non-linearity of optical fibre instrumentation. Technical

Digest of the 4th Optical Fibre Measurement Conference, 1997, pp. 146-149

[H]  HALL, SRG., JONES, TCE., and RODDIE, AG., Traceability for high power fibre optic measurements.

Technical Digest of the 6th Optical Fibre Measurement Conference, 2001, pp. 77-80

[I]  JIS C 6802  レーザ製品の安全基準

注記  対応国際規格:IEC 60825-1:2001, Safety of laser products−Part 1: Equipment classification,

requirements and user's guide (IDT)

[J]  JIS C 6803  レーザ製品の安全−光ファイバ通信システムの安全

注記  対応国際規格:IEC 60825-2:2004, Safety of laser products−Part 2: Safety of optical fibre

communication systems (IDT)

[K]  IEC 60050-731:1991 , International Electrotechnical Vocabulary (IEV) − Chapter 731: Optical fibre

communication

[L]  IEC 60793-1-1:2002,Optical fibres−Part 1-1: Measurement methods and test procedures−General and

guidance

[M]  JIS Z 8202-2  量及び単位−第 2 部:周期現象及び関連現象

[N]  IEC 60027-3:2002,Letter symbols to be used in electrical technology−Part 3: Logarithmic and related

quantities, and their units