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C 61300-3-23

:2013 (IEC 61300-3-23:1998)

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1

  概要 

1

1.1

  適用範囲  

1

1.2

  測定方法の概要  

1

2

  装置 

2

2.1

  方法 1  表面粗さ計法  

2

2.2

  方法 2  干渉計式 次元形状測定法  

3

2.3

  方法 3  干渉計式 次元形状測定法  

4

3

  手順 

6

3.1

  測定領域  

6

3.2

  方法 1  表面粗さ計法  

6

3.3

  方法 2  干渉計式 次元形状測定法  

8

3.4

  方法 3  干渉計式 次元形状測定法  

10

4

  個別に規定する事項  

11

4.1

  方法 1  表面粗さ計法  

11

4.2

  方法 2  干渉計式 次元形状測定法  

11

4.3

  方法 3  干渉計式 次元形状測定法  

12

附属書 A(参考)光ファイバ引込み量又は突出し量の求め方  

13


C 61300-3-23

:2013 (IEC 61300-3-23:1998)

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般財団法人光産業技術振興協会(OITDA)

及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出

があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS C 61300

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS C 61300-1

  第 1 部:通則

JIS C 61300-2-1

  第 2-1 部:正弦波振動試験

JIS C 61300-2-2

  第 2-2 部:繰返しかん合試験

JIS C 61300-2-5

  第 2-5 部:光ファイバクランプ強度試験(ねじり)

JIS C 61300-2-9

  第 2-9 部:衝撃試験

JIS C 61300-2-12

  第 2-12 部:落下衝撃試験

JIS C 61300-2-14

  第 2-14 部:光パワー損傷のしきい値試験

JIS C 61300-2-15

  第 2-15 部:結合部ねじり試験

JIS C 61300-2-17

  第 2-17 部:低温試験

JIS C 61300-2-18

  第 2-18 部:高温試験

JIS C 61300-2-19

  第 2-19 部:高温高湿試験(定常状態)

JIS C 61300-2-21

  第 2-21 部:混合温湿度サイクル試験

JIS C 61300-2-22

  第 2-22 部:温度サイクル試験

JIS C 61300-2-26

  第 2-26 部:塩水噴霧試験

JIS C 61300-2-45

  第 2-45 部:浸水試験

JIS C 61300-2-46

  第 2-46 部:湿熱サイクル試験

JIS C 61300-2-47

  第 2-47 部:熱衝撃試験

JIS C 61300-2-48

  第 2-48 部:温湿度サイクル試験

JIS C 61300-3-1

  第 3-1 部:外観検査及び機械的検査

JIS C 61300-3-2

  第 3-2 部:シングルモード光デバイスの光損失の偏光依存性

JIS C 61300-3-3

  第 3-3 部:挿入損失及び反射減衰量変化のモニタ方法

JIS C 61300-3-4

  第 3-4 部:損失測定

JIS C 61300-3-6

  第 3-6 部:反射減衰量測定

JIS C 61300-3-7

  第 3-7 部:シングルモード光部品の光損失及び反射減衰量の波長依存性測定

JIS C 61300-3-11

  第 3-11 部:結合力及び離脱力測定

JIS C 61300-3-15

  第 3-15 部:球面研磨光ファイバコネクタのフェルール端面の頂点偏心量測定

JIS C 61300-3-16

  第 3-16 部:球面研磨光ファイバコネクタのフェルール端面の曲率半径測定

JIS C 61300-3-17

  第 3-17 部:斜め研磨光ファイバコネクタのフェルールの端面角度測定


C 61300-3-23

:2013 (IEC 61300-3-23:1998)

(3)

JIS C 61300-3-20

  第 3-20 部:波長選択性のない光ブランチングデバイスのディレクティビティ測定

JIS C 61300-3-23

  第 3-23 部:フェルール端面からの光ファイバ引込み量測定

JIS C 61300-3-24

  第 3-24 部:偏波面保存光ファイバ付き光ファイバコネクタのキー位置精度測定

JIS C 61300-3-26

  第 3-26 部:光ファイバとフェルール軸との角度ずれの測定

JIS C 61300-3-27

  第 3-27 部:多心光ファイバコネクタプラグの穴位置測定

JIS C 61300-3-28

  第 3-28 部:過渡損失測定

JIS C 61300-3-30

  第 3-30 部:多心光ファイバコネクタ用フェルールの研磨角度及び光ファイバ位置

測定

JIS C 61300-3-31

  第 3-31 部:光ファイバ光源の結合パワー比測定

JIS C 61300-3-32

  第 3-32 部:光受動部品の偏波モード分散測定

JIS C 61300-3-34

  第 3-34 部:ランダム接続時の挿入損失

JIS C 61300-3-36

  第 3-36 部:光ファイバコネクタフェルールの内径及び外径の測定

JIS C 61300-3-43

  第 3-43 部:光ファイバ光源のモードトランスファファンクション測定


日本工業規格

JIS

 C

61300-3-23

:2013

(IEC 61300-3-23

:1998

)

光ファイバ接続デバイス及び光受動部品−

基本試験及び測定手順−第 3-23 部:

フェルール端面からの光ファイバ引込み量測定

Fiber optic interconnecting devices and passive components-

Basic test and measurement procedures-Part 3-23:

Examinations and measurements-Fiber position relative to ferrule endface

序文 

この規格は,1998 年に第 1 版として発行された IEC 61300-3-23 を基に,技術的内容及び構成を変更する

ことなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

概要 

1.1 

適用範囲 

この規格は,球面研磨フェルール端面からの光ファイバ引込み量(+w

[及び突出し量(−w

]の測定

方法について規定する。

注記 1  が負の値となる場合は,突出しとなるため,−を光ファイバ突出し量とする。

注記 2  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 61300-3-23:1998

,Fibre optic interconnecting devices and passive components−Basic test and

measurement procedures−Part 3-23: Examinations and measurements−Fibre position relative 
to ferrule endface(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”

ことを示す。

1.2 

測定方法の概要 

球面研磨フェルールの光ファイバ引込み量+又は光ファイバ突出し量−は,光ファイバ端面と球面

研磨フェルール端面の仮想球面との平均距離と定義する。フェルール中心付近の端面は,実際には非球面

となっている場合が多いが,球面と仮定する。


2

C 61300-3-23

:2013 (IEC 61300-3-23:1998)

a)

  光ファイバの引込み+w 

b)

  光ファイバの突出し−w 

注記  が負の値となる場合は,突出しとなるため,−を光ファイバ突出し量とする。

図 1−球面研磨フェルールからの光ファイバ引込み量及び突出し量

この規格には,光ファイバ引込み量の次の三つの測定方法について規定する。

a)

方法 1:表面粗さ計法(基準となる測定方法である。

b)

方法 2:干渉計式 3 次元形状測定法

c)

方法 3:干渉計式 2 次元形状測定法

装置 

2.1 

方法 1  表面粗さ計法 

装置は,

図 に示すように,フェルールホルダ,微動台及び表面粗さ計で構成する。その装置は,次の

ものを用いる。

2.1.1 

フェルールホルダ 

フェルールを垂直に固定する適切な保持具とする。斜め研磨フェルールを測定する場合には,適切なそ

の角度に固定する保持具とする。

2.1.2 

微動台 

フェルールホルダを固定し測定領域に移動できる微動台とする。その微動台は,ナノメートル精度の測

定を行うために十分な剛性をもっていなければならない。


3

C 61300-3-23

:2013 (IEC 61300-3-23:1998)

図 2−表面粗さ計測定装置

2.1.3 

表面粗さ計 

表面粗さ計は,フェルール端面の表面形状を±10 nm よりも高い精度で測定できなければならない。表

面粗さ計は,表面形状測定部,表面データ処理部及びモニタによって構成する。

表面形状測定部は,フェルール中心軸に対して垂直にトレースできるくさび形のプローブを備えていな

ければならない。

表面データ処理部は,表面形状データから光ファイバの引込み量又は突出し量を求める。表面データ処

理部は,測定した表面形状データから球面研磨フェルール端面の仮想円を計算する。そして仮想円を基準

にして,測定した表面形状データから変換した端面形状を表面データ処理部にて計算する。

モニタには,測定した表面形状及び計算した端面形状を表示する。

2.2 

方法 2  干渉計式 次元形状測定法 

装置は,

図 に示すように,フェルールホルダ,微動台及び干渉計式 3 次元形状測定装置で構成する。

その装置は,次のものを用いる。

2.2.1 

フェルールホルダ 

フェルールを垂直に固定する適切な保持具とする。斜め研磨フェルールを測定する場合には,適切なそ

の角度に固定する保持具とする。

2.2.2 

微動台 

フェルールホルダを測定領域に移動できる微動台とする。その微動台は,ナノメートル精度の測定を行

うために十分な剛性をもっていなければならない。

2.2.3 

干渉計式 次元形状測定装置 

干渉計式 3 次元形状測定装置は,フェルール端面の表面形状を±10 nm よりも高い精度で測定できなけ

ればならない。装置は,顕微鏡部,表面形状データ処理部及びモニタによって構成する。

顕微鏡部は,干渉式顕微鏡,アクチュエータ及びイメージスキャナで構成する。対物レンズを装着した

干渉式顕微鏡は,フェルール中心軸に対して平行移動できるように配置する。アクチュエータは,対物レ


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C 61300-3-23

:2013 (IEC 61300-3-23:1998)

ンズを垂直方向に移動できる機構とする。イメージスキャナは,干渉しま(縞)信号を位置データに変換

する。

表面形状データ処理部は,位置データから光ファイバの引込み量又は突出し量を計算によって求める。

表面形状データ処理部は,球面研磨フェルール端面にフィットする仮想球面を測定した表面形状データか

ら計算する。そして仮想球面を基準にして,測定した表面形状データから変換した端面形状を表面形状デ

ータ処理部にて計算する。

表面形状データ処理部は,光ファイバの屈折率とフェルールの屈折率との違い,及び光ファイバの吸収

係数とフェルールの吸収係数との違いを考慮して表面形状データを補正する。

モニタには,測定した 3 次元表面形状及び計算した 3 次元表面形状を表示する。

図 3−干渉計式 次元形状測定装置

2.3 

方法 3  干渉計式 次元形状測定法 

装置は,

図 に示すように,フェルールホルダ,微動台及び干渉計式 2 次元形状測定装置で構成する。

その装置は,次のものを用いる。

2.3.1 

フェルールホルダ 

フェルールを垂直に固定する適切な保持具とする。斜め研磨フェルールを測定する場合には,適切なそ

の角度に固定する保持具とする。

2.3.2 

微動台 

フェルールホルダを測定領域に移動できる微動台とする。その微動台は,ナノメートル精度の測定を行


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C 61300-3-23

:2013 (IEC 61300-3-23:1998)

うために十分な剛性をもっていなければならない。

2.3.3 

干渉計式 次元形状測定装置 

干渉計式 2 次元形状測定装置は,フェルール端面の表面形状を±10 nm よりも高い精度で測定できなけ

ればならない。装置は,モノクロ光源を装備した顕微鏡部,画像データ処理部及びモニタで構成する。

顕微鏡部は,画像データ処理部のビデオボードにフェルール端面の干渉しま(縞)の画像データを出力

できるビデオカメラを備えた干渉式顕微鏡とする。

画像データ処理部は,光ファイバ直径を通る画像データの画素列(又は,狭い線を網羅する画素列群)

を処理する。画像データ処理部は,理論関数を用いて測定データをフィッティングすることによって,解

析した画素列の光強度曲線の特性パラメータ(周波数及び位相)を計算する。光ファイバの引込み量又は

突出し量は,フェルール領域の干渉しま(縞)に対して光ファイバ領域の干渉しま(縞)の位相差から求

める。測定システムは,2π の位相差を認識できなければならない。画像データ処理部は,光ファイバの屈

折率とフェルールの屈折率との違い,及び光ファイバの吸収係数とフェルールの吸収係数との違いを考慮

して表面形状データを補正する。

モニタには,干渉しま(縞)の光強度曲線,フィッティング関数及び測定結果を表示する。

図 4−干渉計式 次元形状測定装置


6

C 61300-3-23

:2013 (IEC 61300-3-23:1998)

手順 

3.1 

測定領域 

フェルール端面に,次の三つの測定領域を定義する(

図 参照)。

a)

フィッティング領域:フェルール端面にて直径 の円形領域から直径 の測定範囲外領域を除いた領

域とする。フィッティング領域は,光コネクタがかん合したときに,フェルール端面が接触する部分

を含んでいなければならない。

b)

測定範囲外領域:光ファイバ端面及び接着剤領域を含み,直径 の円形領域とする。

c)

平均化領域:光ファイバ端面であり,直径 の円形領域とする。

三つの領域は,フェルール中心軸をセンタとする。直径 125 μm の光ファイバ及び曲率半径 8 mm∼25 mm

の球面研磨フェルールを用いる光コネクタにおいては,直径 D及び は次の値とする。

D=250 μm 
E=140 μm 
F=50 μm

図 5−フェルール端面及び測定領域

3.2 

方法 1  表面粗さ計法 

注記  装置によっては,輪郭のトレースは,表面の仕上げ状態を示し,表面の曲率を正確に示さない

場合もある。

3.2.1

端面に近いフェルールの部分をフェルールホルダにて保持する。その場合,フェルールホルダのフ

ェルール接触部分の長さは,フェルール直径の 2 倍以上とする。


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C 61300-3-23

:2013 (IEC 61300-3-23:1998)

3.2.2

表面形状測定部のプローブを調整し,プローブ底面をフェルール中心軸に対して垂直にする。

3.2.3

測定ラインがフェルールの直径を通過するようにフェルールホルダを調整する。

3.2.4

表面形状測定部は,フェルール端面をトレースし,表面形状処理部に形状データを記録する。

3.2.5

測定形状データからフィッティング領域の形状データを取り込み,フィッティング領域にフィット

する仮想円を求め,を求める。推奨する計算手順は

附属書 に記載のとおりであり,一般的な測定手順

は,次による。

a)

仮想円を基準にして,形状測定データから変換した端面形状を求め,モニタに表示する。フェルール

端面が理想球面の場合,変換した端面形状のフィッティング領域は,直線となり,仮想円の基準線と

一致する(

図 参照)。

b)

フェルール端面が理想球面でない場合,変換した端面形状のフィッティング領域は,仮想円の基準線

と一致しない

図 参照)。この場合,仮想円の直径を変更して変換した端面形状の PV 値(peak-to-valley

値)が最も小さくなるように手順 a)を続ける。

c)

変換した端面形状から光ファイバ上の平均化領域の平均高さ及びフェルール上のフィッティング領域

の平均高さを求める(

図 参照)。光ファイバの引込み量+又は突出し量−は二つの平均高さの差

として求める。

参考として,引込み量又は突出し量の計算に用いた,変換した端面形状と仮想円の曲率半径とを表示す

る。

a)

  光ファイバ引込み量+w 

b)

  光ファイバ突出し量−w 

図 6−変換したフェルール端面形状


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C 61300-3-23

:2013 (IEC 61300-3-23:1998)

a)

  タイプ 

b)

  タイプ 

図 7−各種の変換したフェルール端面形状

3.3 

方法 2  干渉計式 次元形状測定法 

注記  フェルールと光ファイバとの屈折率の差,及びフェルールと光ファイバとの吸収係数の差を考

慮せずに,3.3 にて規定する手順で測定した場合,光ファイバの引込み量又は突出し量は,必ず

しも正確な値とはならないため,表面形状データの処理時には,これらの差を考慮することが

望ましい。

3.3.1

端面に近いフェルールの部分をフェルールホルダで保持する。その場合,フェルールホルダのフェ

ルール接触部分の長さは,フェルール直径の 2 倍以上とする。

3.3.2

フェルール中心軸に平行に顕微鏡部が移動するように調整する。干渉式顕微鏡の中心軸とフェルー

ル中心軸とが一致するようにホルダの位置を調整する。

3.3.3

顕微鏡(部)を調整して,フェルール端面が(干渉式)顕微鏡のワーキングディスタンスに入るよ

うに調整する。

3.3.4

3 次元形状測定器でフェルール端面を測定し,3 次元形状測定データを表面形状データ処理部に記

録する(

図 参照)。

3.3.5

光ファイバの屈折率とフェルールの屈折率との違い,及び光ファイバの吸収係数とフェルールの吸

収係数との違いを考慮して表面形状データを補正する。

3.3.6

測定形状データからフィッティング領域の形状データを取り込み,フィッティング領域にフィット

する仮想球面を求め,を求める(

図 参照)。求めるアルゴリズムは,方法 1 と同じとする(附属書 A

参照)

。一般的な手順は,次による。

a)

仮想球面を基準に形状補正データから変換した端面形状を求め,モニタに表示する。変換した端面形

状のフィッティング領域は,フェルール端面が理想球面の場合,平面となる(

図 10 参照)。

b)

フェルール端面が理想球面でない場合,変換した端面形状は,仮想球面の基準平面と一致しない。こ

の場合,仮想球面の半径を変更してフィッティング領域の変換した端面形状の PV 値が最も小さくな

るように手順 a)を続ける。

c)

変換した端面形状から,光ファイバ上の平均化領域の平均高さ及びフェルール上のフィッティング領


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C 61300-3-23

:2013 (IEC 61300-3-23:1998)

域の平均高さを求める。

図 11 に示すように,光ファイバの引込み量+又は突出し量−は,二つの

平均高さの差として求める。

d)

参考として,引込み量又は突出し量の計算に用いた変換した,端面形状及び仮想円の曲率半径とを表

示する。

図 8−フェルール端面の表面形状

図 9−フェルール端面のフィッティング領域及び平均化領域

図 10−フェルール端面全体の変換した端面形状(図 参照)

図 11−測定範囲外領域を除いた変換した端面形状(図 参照)

平均化領域

測定範囲外領域

フィッティング領域

光ファイバ引込み量+w

光ファイバ突出し量−w

又は

平均化領域

測定範囲外領域

フィッティング領域


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C 61300-3-23

:2013 (IEC 61300-3-23:1998)

3.4 

方法 3  干渉計式 次元形状測定法 

注記 1  フェルールと光ファイバとの屈折率の差,及びフェルールと光ファイバとの吸収係数の差を

考慮せずに,3.4 にて規定する手順で測定した場合,光ファイバの引込み量又は突出し量は,

必ずしも正確な値とはならないため,表面形状データの処理時には,これらの差を考慮する

ことが望ましい。

注記 2  3.4 にて規定する測定及び解析手順は,フィッティングするパラメータを適切に選択している

ため,フェルールと光ファイバとの屈折率の差,及びフェルールと光ファイバとの吸収係数

の差は考慮されている。

3.4.1

端面に近いフェルールの外周部分をフェルールホルダで保持する。その場合,フェルールホルダの

フェルールの外周に対する接触部分の長さは,フェルール直径の 2 倍以上とする。

3.4.2

フェルールホルダの位置を調整して,光ファイバを含むフェルール端面の画像を顕微鏡対物レンズ

の視野に捕らえ,モニタに表示する。

3.4.3

フェルール端面上に干渉しま(縞)が現れるように,干渉計を調整する。

3.4.4

光強度分布の解析線が,測定する光ファイバの中心を通り,かつ,干渉しま(縞)に対して垂直に

なるように干渉計を調整する。

3.4.5

画像を取得・解析する干渉しま(縞)の列を選択する。そして選択した干渉しま(縞)の列の光強

度分布を記録する(

図 12 上部参照)。

3.4.6

フィッティング領域に対応する部分の光強度分布にフィットする理論関数のパラメータを求める

図 12 下部参照)。

マイケルソン干渉法による理論関数を次に示す。

( )

(

)

[

]

φ

+

+

=

2

0

M

cos

x

x

F

B

A

x

P

  (1)

R

F

λ

π

2

M

=

  (2)

ここに,

x

x

0

解析線上の位置。

x

0

X

軸の原点[理想球面の場合,

x

0

の位置は干渉しま(縞)の中心と一致する。

R

フェルール端面の曲率半径

φ: 干渉しま(縞)の位相補正量

λ

顕微鏡のモノクロ光源の波長

A

及び

B

定数

フィッティングは,五つのパラメータ

A

B

F

M

[干渉しま(縞)の間隔に関連する]

φ(位相オフセ

ット)及び

x

0

x

軸の原点)を調整することにより行う。

注記

対応国際規格では,フィッティングするパラメータとして,

F

M

が記載されているが,式

(2)

では,

λ

が定数であるため,実質的には,

R

がフィッティングするパラメータとなる。

3.4.7

平均化領域に対応する部分の光強度分布にフィットする理想関数のパラメータを求める。パラメー

F

M

及び

x

0

は,3.4.6 にて求めた値を用い,フィッティングするパラメータは,

A

B

及び

φ

とする。フィ

ッティング領域の位相補正量

φ

fit

と平均化領域の位相補正量

φ

ave

との位相変位

Δ

φ(

Δ

φ

φ

fit

φ

ave

)が光

ファイバ引込み量+

w

又は突出し量−

w

に関係する(

図 12 下部参照)。

3.4.8

光ファイバ引込み量+

w

又は突出し量−

w

は式

(3)

によって求める。

(

)

π

4

ave

fit

φ

φ

λ

=

w

  (3)

ここに,

φ

fit

フィッティング領域における理論関数の位相補正量


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C 61300-3-23

:2013 (IEC 61300-3-23:1998)

φ

ave

平均化領域における理論関数の位相補正量

注記  図上部の画像中央の,周囲より暗い円は,光ファイバに相当し,直径 125 μm である。

平均化領域は,この円の内側の,直径 50 μm の部分であり,フィッティング領域は,

この円と同心円の直径 140 μm と直径 250 μm とに挟まれたドーナツ状の領域である。
光強度分布の解析線は,光ファイバの中心を通り,干渉しま(縞)に対して垂直と

なるようにとる。

図下部の点は,解析線上の光強度分布の測定結果を示し,実線は,平均化領域及

びフィッティング領域の,それぞれのフィッティング結果を示している。

図 12−顕微鏡の干渉しま(縞)画像並びに選択した画素列の光強度分布及び 

光強度分布にフィッティングした理論関数

個別に規定する事項 

4.1 

方法 1  表面粗さ計法 

必要に応じて,次の事項を製品規格などに規定する。

プローブのタイプ

接触プローブ−形状及び測定時の接触荷重

非接触プローブ

フェルールホルダ仕様

フィルタリング

フェルールの傾き角度(斜め研磨フェルールホルダを用いた場合)

フィッティング球面の計算方法

フィッティング領域の直径

D

測定範囲外領域の直径

E

平均化領域の直径

F

4.2 

方法 2  干渉計式 次元形状測定法 

必要に応じて,次の事項を製品規格などに規定する。

干渉計の種類

光源−種類及び波長


12

C 61300-3-23

:2013 (IEC 61300-3-23:1998)

フェルールホルダ仕様

フィルタリング

フェルールの傾き角度(斜め研磨フェルールホルダを用いた場合)

フィッティング球面の計算方法

フィッティング領域の直径

D

測定範囲外領域の直径

E

平均化領域の直径

F

4.3 

方法 3  干渉計式 次元形状測定法 

必要に応じて,次の事項を製品規格などに規定する。

干渉計の種類

顕微鏡の倍率

光源波長及びスペクトル幅

フェルールホルダ仕様

フェルールの傾き角度(斜め研磨フェルールホルダを用いた場合)

フィッティング球面の計算方法

フィッティング領域の直径

D

測定範囲外領域の直径

E

平均化領域の直径

F


13

C 61300-3-23

:2013 (IEC 61300-3-23:1998)

附属書 A

(参考)

光ファイバ引込み量又は突出し量の求め方

測定したフェルール端面形状(

図 A.1 参照)を,測定したフェルール端面形状の縦座標

d

1

から,近似円

弧の縦座標

d

2

を除算することによって変換する。変換した端面形状の縦座標を式

(A.1)

によって求める。

d

3

d

1

d

2

  (A.1)

円弧の頂点位置は,光ファイバの引込み量又は突出し量を計算する場合は,無視できる(ただし,垂直

方向の位置及び変換した形状の傾きを計算する場合は,無視できない。

光ファイバの引込み量+

w

又は突出し量−

w

は式

(A.2)

によって求めることができる。

de

3

fg

3

ab

3

2

d

d

d

w

+

=

  (A.2)

ここに,

〉:

添字によって示した区間内の平均

光ファイバ中心

c

に関して平均化を行う間隔を指定するポイントの位置を詳細仕様に規定する。数値例

として,

125 μm

光ファイバを実装した曲率半径

8 mm

25 mm

の球面研磨光ファイバコネクタの場合,推

奨する値は,次による。

c

a

g

c

125 μm

±

5 μm  (A.3-1)

c

b

f

c

70 μm

±

5 μm  (A.3-2)

c

d

e

c

25 μm

±

5 μm  (A.3-3)

125 μm

c

m

n

c

175 μm  (A.3-4)

注記

m

及び点

n

は,点

a

及び点

g

にできるだけ接近して設定することが望ましい。表面粗さのば

らつき及び測定系のノイズの影響を低減するために,

175 μm

まで範囲を拡大することができる。

近似円弧の曲率半径

R

は,区間

m

b

及び区間

f

n

に対して円弧をフィッティングすることによって求

める(最小二乗誤差)

近似円弧の曲率半径

R

は,式

(A.4)

によって求める。

2

1

b

m

b

b

x

x

R

+

+

=

  (A.4)

ここに,

x

m

区間

m

c

の大きさ(区間

c

n

の大きさと同じ)

x

b

区間

b

c

の大きさ(区間

c

f

の大きさと同じ)

2

mb

mb

2

mb

1

mb

mb

1

1

x

x

d

x

d

x

b

=

  (A.5-1)

2

fn

fn

2

fn

1

fn

fn

1

2

x

x

d

x

d

x

b

=

  (A.5-2)

ここに,

〉:

添字によって示した区間内の平均

x: 点

c

からの距離の絶対値

b

1

及び b

2

区間

m

b

及び区間

f

n

において形状を近似する領域の

直線の傾き


14

C 61300-3-23

:2013 (IEC 61300-3-23:1998)

図 A.1−測定フェルール形状及び変換した端面形状