C 61300-3-16
:2012 (IEC 61300-3-16:2003)
(1)
目 次
ページ
序文
1
1
適用範囲
1
2
引用規格
1
3
概要
1
4
装置
2
4.1
方法 1−表面粗さ計法
2
4.2
方法 2−干渉計式二次元形状測定法
3
4.3
方法 3−干渉計式三次元形状測定法
5
5
手順
6
5.1
測定領域
6
5.2
方法 1−表面粗さ計法
7
5.3
方法 2−干渉計式二次元形状測定法
8
5.4
方法 3−干渉計式三次元形状測定法
9
6
個別規格に規定する事項
9
6.1
方法 1−表面粗さ計法
9
6.2
方法 2−干渉計式二次元形状測定法
9
6.3
方法 3−干渉計式三次元形状測定法
9
C 61300-3-16
:2012 (IEC 61300-3-16:2003)
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般財団法人光産業技術振興協会(OITDA)
及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出
があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS C 61300
の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS
C
61300-1
第 1 部:通則
JIS
C
61300-2-2
第 2-2 部:繰返しかん合試験
JIS
C
61300-2-12
第 2-12 部:落下衝撃試験
JIS
C
61300-2-14
第 2-14 部:光パワー損傷のしきい値試験
JIS
C
61300-2-15
第 2-15 部:結合部ねじり試験
JIS
C
61300-2-17
第 2-17 部:低温試験
JIS
C
61300-2-18
第 2-18 部:高温試験
JIS
C
61300-2-19
第 2-19 部:高温高湿試験(定常状態)
JIS
C
61300-2-22
第 2-22 部:温度サイクル試験
JIS
C
61300-2-45
第 2-45 部:浸水試験
JIS
C
61300-2-46
第 2-46 部:湿熱サイクル試験
JIS
C
61300-2-47
第 2-47 部:熱衝撃試験
JIS
C
61300-2-48
第 2-48 部:温湿度サイクル試験
JIS
C
61300-3-2
第 3-2 部:シングルモード光デバイスの光損失の偏光依存性
JIS
C
61300-3-3
第 3-3 部:挿入損失及び反射減衰量変化のモニタ方法
JIS
C
61300-3-4
第 3-4 部:損失測定
JIS
C
61300-3-6
第 3-6 部:反射減衰量測定
JIS
C
61300-3-15
第 3-15 部:球面研磨光ファイバコネクタのフェルール端面の頂点偏心量測定
JIS
C
61300-3-16
第 3-16 部:球面研磨光ファイバコネクタのフェルール端面の曲率半径測定
JIS
C
61300-3-20
第 3-20 部:波長選択性のない光ブランチングデバイスのディレクティビティ測定
JIS
C
61300-3-26
第 3-26 部:光ファイバとフェルール軸との角度ずれの測定
JIS
C
61300-3-27
第 3-27 部:多心光ファイバコネクタプラグの穴位置測定
JIS
C
61300-3-28
第 3-28 部:過渡損失測定
JIS
C
61300-3-30
第 3-30 部:多心光ファイバコネクタ用フェルールの研磨角度及び光ファイバ位置
測定
JIS
C
61300-3-31
第 3-31 部:光ファイバ光源の結合パワー比測定
JIS
C
61300-3-36
第 3-36 部:光ファイバコネクタフェルールの内径及び外径の測定
日本工業規格
JIS
C
61300-3-16
:2012
(IEC 61300-3-16
:2003
)
光ファイバ接続デバイス及び光受動部品−
基本試験及び測定手順−第 3-16 部:球面研磨
光ファイバコネクタのフェルール端面の曲率半径測定
Fiber optic interconnecting devices and passive components-
Basic test and measurement procedures-
Part 3-16: Endface radius of spherically polished ferrules
序文
この規格は,2003 年に第 2 版として発行された IEC 61300-3-16 を基に,技術的内容及び構成を変更する
ことなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規にはない事項である。
1
適用範囲
この規格は,球面研磨又は斜め球面研磨した光ファイバコネクタのフェルール端面の曲率半径を測定す
る手順について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 61300-3-16:2003
,Fibre optic interconnecting devices and passive components−Basic test and
measurement procedures − Part 3-16: Examinations and measurements − Endface radius of
spherically polished ferrules(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,
“一致している”こ
とを示す。
2
引用規格
(対応国際規格では,この箇条において,引用規格の記載はなく,引用規格について定形文の記載だけ
のため,この規格では不要であり,不採用とした。
)
3
概要
フェルール端面の曲率半径 R は,PC 研磨した半球状の先端曲面の半径として規定する。実際には,先
端面が非球面であっても,この規格では球面とみなす(
図 1 参照)。
2
C 61300-3-16
:2012 (IEC 61300-3-16:2003)
図 1−先端面の半径
この規格では,曲率半径の測定方法として,次の三つの方法について規定する。
a)
方法 1:表面粗さ計法
b)
方法 2:干渉計式二次元形状測定法
c)
方法 3:干渉計式三次元形状測定法
方法 3 が,標準的な方法である。
4
装置
4.1
方法 1−表面粗さ計法
測定装置は,
図 2 に示すようにフェルールホルダ,微動台及び表面粗さ計で構成する。
図 2−表面粗さ計法測定装置
3
C 61300-3-16
:2012 (IEC 61300-3-16:2003)
4.1.1
フェルールホルダ
フェルールを垂直に固定する適切な保持具を使用する。斜め研磨タイプのフェルール端面を測定する場
合は,適切な角度で固定する保持具を使用する。
4.1.2
微動台
フェルールホルダを適切な位置に移動できる微動台へ固定する。微動台は,フェルール端面を正確に測
定するために,十分な剛性がなければならない。
4.1.3
表面粗さ計
表面粗さ計は,±0.1 mm 又はより高い精度で曲率半径を測定できなければならない。この測定装置は,
測定部,データ処理部及びモニタで構成する。
測定部は,フェルール中心軸に対して垂直にトレースできるくさび形のプローブを備える。データ処理
部は,表面形状データを処理して曲率半径を求める。すなわち,データ処理部では,測定した表面形状デ
ータから球面研磨フェルール端面の輪郭に当てはまる近似円を求め,その近似円のデータを基に測定デー
タを変換する。
モニタは,実測及び計算後の表面形状を表示する。
4.2
方法 2−干渉計式二次元形状測定法
装置の概要を
図 3 に示す。装置は,フェルールホルダ,微動台及び干渉計式二次元形状測定装置で構成
する。
4
C 61300-3-16
:2012 (IEC 61300-3-16:2003)
図 3−干渉計式二次元形状測定装置
4.2.1
フェルールホルダ
フェルールを垂直に固定する適切な保持具を使用する。斜め研磨タイプのフェルール端面を測定する場
合は,適切な角度で固定する保持具を使用する。
4.2.2
微動台
フェルールホルダを適切な位置に移動できる微動台へ固定する。微動台は,フェルール端面を正確に測
定するために,十分な剛性がなければならない。
4.2.3
干渉計式二次元形状測定装置
干渉計式二次元形状測定装置は,±0.1 mm 又はより高い精度で曲率半径を測定できなければならない。
この測定装置は,モノクロ光源を備えた顕微鏡部,画像データ処理部及びモニタで構成する。
顕微鏡部は,フェルール端面の干渉しま(縞)画像を画像データ処理部のビデオボードへ送るビデオカ
メラを備えた干渉式顕微鏡で構成する。
画像データ処理部は,光ファイバ直径部分を通過する密接して並んだ干渉しま(縞)の画像データを処
理する。この処理部は,理論的に測定データを当てはめることによって,解析後の干渉光の強度曲線の固
有パラメータ(周波数及び位相)を求める。曲率半径は,フェルール上の干渉しま(縞)の位相差から求
める。この測定システムでは,2 π の位相差に対しても認識できなければならない。
モニタは,干渉光の強度曲線,近似球面関数及び測定結果を表示する。
5
C 61300-3-16
:2012 (IEC 61300-3-16:2003)
4.3
方法 3−干渉計式三次元形状測定法
装置の概要を
図 4 に示す。装置は,フェルールホルダ,微動台及び干渉計式三次元形状測定装置で構成
する。
図 4−干渉計式三次元形状測定装置
4.3.1
フェルールホルダ
フェルールを垂直に固定する適切な保持具を使用する。斜め研磨タイプのフェルール端面を測定する場
合は,適切な角度で固定する保持具を使用する。
4.3.2
微動台
フェルールホルダを適切な位置に移動できる微動台へ固定する。微動台は,フェルール端面を正確に測
定するために,十分な剛性がなければならない。
4.3.3
干渉計式三次元形状測定装置
干渉計式三次元形状測定装置は,±0.1 mm 又はより高い精度で曲率半径を測定できなければならない。
この測定装置は,顕微鏡部,表面形状データ処理部及びモニタで構成する。
顕微鏡部は,干渉式顕微鏡,アクチュエータ及びイメージスキャナ(図示なし)で構成する。干渉式顕
微鏡は,フェルール中心軸と平行に移動できるように配置した対物レンズを備える。アクチュエータは,
6
C 61300-3-16
:2012 (IEC 61300-3-16:2003)
対物レンズを垂直方向に移動できる。イメージスキャナは,干渉画像データを位置データに変換する。
表面形状データ処理部は,位置データから曲率半径を求める。すなわち,表面形状データ処理部では,
測定した表面形状データから球面研磨フェルールの端面に当てはまる近似球面を計算し,その近似球面の
データを基に表面形状データを変換する。
モニタは,実測及び計算後の三次元の表面形状を表示する。
5
手順
5.1
測定領域
測定では,フェルール端面上に次の二つの領域を規定する(
図 5 参照)。
a)
フィッティング領域:フェルール端面に,直径 D から直径 E を差し引いた領域として規定したフィッ
ティング領域を設ける。フィッティング領域は,フェルールを接続するときに接触する領域を含むよ
うに規定する。
b)
測定範囲外領域:光ファイバ端面及び接着領域を含む測定範囲外領域は,直径 E で囲まれた円として
規定する。
二つの領域の中心は,フェルール中心軸と一致するように調整する。フェルール端面の球面半径が 5∼
25 mm,直径 125 μm の光ファイバ用の光コネクタにおいては,直径 D 及び直径 E の値は,次の値が望ま
しい。
D=250 µm
E=140 µm
図 5−フェルール端面及び測定領域
7
C 61300-3-16
:2012 (IEC 61300-3-16:2003)
5.2
方法 1−表面粗さ計法
5.2.1
フェルールをフェルールホルダに取り付ける。このとき,フェルールの端面に最も近い部分をフェ
ルールホルダに固定するように調整する。フェルールホルダのフェルール保持部分の長さは,フェルール
直径の 2 倍以上でなければならない。
5.2.2
測定部のプローブを調整し,プローブ底面をフェルール中心軸に対して垂直にする。
5.2.3
測定部がフェルール中心軸を通るようにフェルールホルダを調整する。
5.2.4
測定部がフェルール端面をトレースし,データ処理部にデータを記録する。
5.2.5
測定したデータからフィッティング領域のデータを取り出す。
5.2.6
曲率半径 R は,フィッティング領域を円弧に当てはめて求める。
∅D
∅E
F
G
B
A
R
1
R
2
C
x
y
注記 1 A 及び G 並びに B 及び F は,それぞれφD 及びφE の端を示す境界線を示す。
注記 2 C は,フェルールの中心軸を示す。
図 6−方法 1 による曲率半径の測定及び計算
曲率半径を計算するための推奨手順には,次の関係式を使用する(
図 6 参照)
⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜
⎝
⎛
+
×
+
=
+
=
2
1
2
1
1
1
4
2
b
b
BC
AC
R
R
R
ここで
CG
AC
=
,
CF
BC
=
2
AB
AB
2
AB
AB
AB
1
x
x
y
x
y
x
b
−
×
−
×
=
2
FG
FG
2
FG
FG
FG
2
x
x
y
x
y
x
b
−
×
−
×
=
8
C 61300-3-16
:2012 (IEC 61300-3-16:2003)
ここに,
:
中に記載した変数の,添え字で規定した領域での平
均。
x
:
中心軸 C からの距離の絶対値。
y
:
x
に対応する縦座標の測定値。
b
1
及び
b
2
:
境界線 A と境界線 B に挟まれた曲線上の領域 AB 及
び境界線 F と境界線 G に挟まれた曲線上の領域 FG
を,最小二乗法で表面形状を近似した直線部の傾きを
示す絶対値。
注記 1
AC
,
CG
,
BC
及び
CF
は,それぞれ,境界線 A,G,B 及び F から中心軸 C までの距離を
示す。
注記 2 対応国際規格では,
x
は,点 C からの距離の絶対値としているが,中心軸 C からの距離の絶
対値の間違いである。
5.3
方法 2−干渉計式二次元形状測定法
5.3.1
フェルールをフェルールホルダに取り付ける。このとき,フェルールの端面に最も近い部分をフェ
ルールホルダに固定するように調整する。フェルールホルダのフェルール保持部分の長さは,フェルール
直径の 2 倍以上でなければならない。
5.3.2
フェルールホルダの位置を調整し,光ファイバ領域のフェルール端面の画像をモニタ上に表示する。
5.3.3
フェルール端面に干渉しま(縞)が現れるように干渉計部を調整する。
5.3.4
干渉しま(縞)がフェルールの測定する直径方向に対して垂直になるように干渉計部を調整する。
5.3.5
2 個のリング:m 及び m+p を規定して,それぞれのリングの直径を測定する。ここで,m は m 番
目のリングを示し,リング m+p は,リング m よりも p だけ大きい順位のリングを示す。リングを規定す
る場合は,フィッティング領域を含むように m 及び m+p を選択する。次の式によって,曲率半径
R
を算
出する(
図 7 参照)。
λ
p
4
2
m
2
p
m
D
D
R
−
=
+
ここに,
R: 曲率半径の計算値
D
m
+
p
:
リング m+p の直径
D
m
:
リング m の直径
p: リング m+p のリング m に対する順位
λ: 測定で使用した干渉光の波長
注記 測定にはどの 2 個のリングを用いてもよい。
測定精度を高める場合,3 個又はそれ以上のリングの直径を測定し,任意の 2 個のリング直径の全ての
組合せから平均半径を求める。
Ring
リング m
リング m + 1
リング m + 2
モニタ
図 7−曲率半径の測定及び計算
9
C 61300-3-16
:2012 (IEC 61300-3-16:2003)
5.4
方法 3−干渉計式三次元形状測定法
5.4.1
フェルールをフェルールホルダに取り付ける。このとき,フェルールの端面に最も近い部分をフェ
ルールホルダに固定するように調整する。フェルールホルダのフェルール保持部分の長さは,フェルール
直径の 2 倍以上でなければならない。
5.4.2
顕微鏡部の移動方向が,フェルール中心軸と平行になるように調整する。また,フェルールホルダ
の位置を,干渉式顕微鏡の中心軸とフェルール中心軸とが一致するように調整する。
5.4.3
顕微鏡を調整し,顕微鏡とフェルール端面との間の距離を測定可能範囲に入れる。
5.4.4
三次元形状測定装置でフェルール端面を測定し,表面形状データ処理部に三次元形状測定データを
記録する。
5.4.5
測定した形状データからフィッティング領域の形状データを取り出し,フィッティング領域に対応
した近似球面を求める。
6
個別規格に規定する事項
6.1
方法 1−表面粗さ計法
必要がある場合,次の事項を製品規格などの個別規格に規定する。
− プローブのタイプ
− 取得したデータの選別加工方法
− 斜め研磨コネクタ用フェルールホルダの傾き角度
− この規格の試験方法との差異
6.2
方法 2−干渉計式二次元形状測定法
必要がある場合,次の事項を製品規格などの個別規格に規定する。
− 顕微鏡の倍率
− 取得したデータの選別加工方法
− 斜め研磨コネクタ用フェルールホルダの傾き角度
− この規格の試験方法との差異
6.3
方法 3−干渉計式三次元形状測定法
必要がある場合,次の事項を製品規格などの個別規格に規定する。
− 顕微鏡の倍率
− 取得したデータの選別加工方法
− 斜め研磨コネクタ用フェルールホルダの傾き角度
− この規格の試験方法との差異