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C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 2 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 記号及び略語 ··················································································································· 3 

5 試験装置························································································································· 3 

5.1 光帯域透過フィルタ ······································································································· 4 

5.2 受信器 ························································································································· 4 

5.3 クロック発信器 ············································································································· 5 

5.4 電気パルス発生器 ·········································································································· 5 

5.5 サンプリングモジュール ································································································· 5 

5.6 信号処理回路 ················································································································ 5 

5.7 監視系パラメータ ·········································································································· 5 

6 手順······························································································································· 6 

6.1 装置接続 ······················································································································ 6 

6.2 しきい値レベルの定義 ···································································································· 6 

7 計算······························································································································· 7 

附属書A(規定)測定精度,信頼性及び感度 ············································································ 10 

附属書B(参考)光帯域透過フィルタのクロストーク及び周波数ずれ ············································ 14 

附属書C(規定)Qaveの上限 ·································································································· 17 

附属書D(参考)ビットレート依存性 ····················································································· 19 

附属書E(参考)フォーマット依存性······················································································ 20 

附属書F(参考)Qave,σ1.ave,| μ1.ave−μ0.ave |及びQの波長分散及びOSNR依存性 ····························· 22 

附属書G(参考)PMDによる劣化があるときのQaveのQ依存性 ·················································· 24 

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人光産業技術振興協会(OITDA)及

び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

また,令和2年6月22日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標準

化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格に従うことは,次の者の有する特許権等の使用に該当するおそれがあるので,留意する。 

− 氏名:日本電信電話株式会社 

− 住所:東京都千代田区大手町二丁目3番1号 

・光信号品質劣化要因監視方法及び装置(特許3772132号) 

・光信号品質モニタ (特許3930886号) 

上記の,特許権等の権利者は,非差別的かつ合理的な条件でいかなる者に対しても当該特許権等の実施

の許諾等をする意思のあることを表明している。ただし,この規格に関連する他の特許権等の権利者に対

しては,同様の条件でその実施が許諾されることを条件としている。 

この規格に従うことが,必ずしも,特許権の無償公開を意味するものではないことに注意する必要があ

る。 

この規格の一部が,上記に示す以外の特許権等に抵触する可能性がある。経済産業大臣及び日本産業標

準調査会は,このような特許権等にかかわる確認について,責任はもたない。 

なお,ここで“特許権等”とは,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新

案登録出願をいう。 

JIS C 61280の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS C 61280-1-3 中心波長及びスペクトル幅測定 

JIS C 61280-2-1 受信感度及びオーバロード測定 

JIS C 61280-2-2 光アイパターン,光波形及び消光比測定 

JIS C 61280-2-8 Q値測定を用いた低ビット誤り率の決定法 

JIS C 61280-2-9 高密度波長分割多重システムの光信号対雑音比測定 

JIS C 61280-2-11 光信号品質評価のための強度ヒストグラム評価を用いた平均化Q値測定 

  

日本産業規格 

JIS 

C 61280-2-11:2010 

(IEC 61280-2-11:2006) 

光ファイバ通信サブシステム試験方法− 

光信号品質評価のための強度ヒストグラム評価を 

用いた平均化Q値測定 

Fiber optic communication subsystem test procedures- 

Averaged Q-factor determination using amplitude histogram evaluation for 

optical signal quality monitoring 

序文 

この規格は,2006年に第1版として発行されたIEC 61280-2-11を基に,技術的内容及び対応国際規格の

構成を変更することなく作成した日本産業規格である。 

適用範囲 

この規格は,平均化Q値の定義及び平均化Q値強度ヒストグラムパラメータを用いて平均化Q値を測

定する手順について規定する。 

平均化Q値強度ヒストグラムパラメータは,既設の光ネットワークの光信号品質変化の監視に有用であ

る。平均化Q値は,従来使用されているQ値と相関がある。 

平均化Q値測定法を用いることで,光信号対雑音比(OSNR)及び波形ひず(歪)みによる光信号品質

の劣化を監視することができる。 

OSNR劣化の要因は,次による。 

− 増幅された自然放出光(ASE)の累積 

− 伝送路の損失 

− チャネル間クロストーク 

波形ひずみの要因は,次による(通常,同時に存在する。)。 

− 波長分散 

− 偏波モード分散(PMD) 

− 非線形光学効果 

注記1 測定データを信号処理することによって,信号品質劣化の要因(OSNR劣化又は波形ひずみ)

を判別できる場合がある。 

注記2 平均化Q値測定法では,タイミングジッタに起因する光信号品質の変化は測定できない。 

注記3 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 61280-2-11:2006,Fibre optic communication subsystem test procedures−Part 2-11: Digital 

systems−Averaged Q-factor determination using amplitude histogram evaluation for optical 

signal quality monitoring(IDT) 

background image

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

  

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

ITU-T Recommendation G.959.1,Optical transport network physical layer interfaces 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1 

平均化Q値(averaged Q-factor) 

デジタル光信号の品質を監視するために,光信号を非同期サンプリングで測定したパラメータ。このパ

ラメータは,従来使用されているQ値[15]と相関がある。 

非同期サンプリングで得られた典型的な非同期アイパターン及び強度ヒストグラムを,図1に示す。図

1によって平均化Q値測定法の原理を説明する。ヒストグラムを構成するサンプリング点の中で,あらか

じめ定めたしきい値μth1よりも高いレベルのサンプリング点は“マーク”レベル(“1”)に属するとし,あ

らかじめ定めたしきい値μth0よりも低いレベルのサンプリング点は“スペース”レベル(“0”)に属すると

する。 

平均化Q値は,式(1)によって求める[13]〜[18]。 

)

(/

ave

.0

ave

.1

ave

.0

ave

.1

ave

σ

σ

μ

μ

+

=

Q

 ··········································· (1) 

ここに, 

Qave: 平均化Q値 

μ1.ave: マークレベル分布の平均値 

μ0.ave: スペースレベル分布の平均値 

σ1.ave: マークレベル分布の標準偏差 

σ0.ave: スペースレベル分布の標準偏差 

非同期サンプリングで得られるデータには,不要なアイパターンのクロスポイントのデータを含む。こ

のデータは,平均化Q値の測定値を劣化させる。このクロスポイントのデータを除くために,二つのしき

い値(μth1及びμth0)を設定する。 

図1−非同期アイパターン及び強度ヒストグラム 

background image

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

平均化Q値測定法は,タイミング抽出を使用せずに非同期アイパターンを評価できるので,信号フォー

マット,変調フォーマット及びビットレートに依存しない品質監視を提供できる。 

記号及び略語 

ASE    増幅された自然放出光 

(amplified spontaneous emission) 

BER    ビット誤り率 

(bit error ratio) 

DGD   群遅延時間差 

(differential group delay) 

EDFA   エルビウム(Er)添加ファイバ増幅器 

(Er-doped fiber amplifier) 

IM-DD  強度変調/直接検波 

(intensity modulation direct detection) 

NRZ   非ゼロ復帰 

(non-return-to-zero) 

OBPF   光帯域透過フィルタ 

(optical bandpass filter) 

OSNR   光信号対雑音比  

(optical signal-to-noise ratio) 

OTN   光トランスポートネットワーク 

(optical transport networks) 

PMD   偏波モード分散  

(polarization mode dispersion) 

RZ    ゼロ復帰 

(return-to-zero) 

SNR    信号対雑音比 

(signal-to-noise ratio) 

WDM   波長多重 

(wavelength division multiplexing) 

Bopt    光フィルタ帯域幅 

Qave    平均化Q値 

試験装置 

平均化Q値の測定に使用する主な機器は,光帯域透過フィルタ,受信器,クロック発信器,電気パルス

発生器,サンプリングモジュール及び信号処理回路からなる(図2参照)。 

平均化Q値測定は,通常,線形中継器,再生中継器,光クロスコネクト又はその他のノードの光増幅器

直後で行う。信号品質測定に使用する信号のパワーは,光増幅器入力におけるOSNRを下回らないように

設定する。 

装置の詳細を,5.1〜5.7に示す。 

図2−平均化Q値測定系の構成 

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

  

5.1 

光帯域透過フィルタ 

光増幅器からの不要なASEを除去し,WDM信号から必要なチャネルを取り出すために,光帯域透過フ

ィルタ(OBPF)を使用しなければならない。光フィルタの帯域幅は光信号のビットレートより広くする。

平均化Q値の光フィルタの帯域幅依存性について,附属書Aに示す。OBPFの形状は,ITU-T G.959.1の

図B.2による。隣接チャネルのパワー抑圧比,中心周波数ずれなどのパラメータへの依存性については,

附属書Bに示す。 

5.2 

受信器 

通常,受信器は,高速フォトダイオードなどの光/電気変換器(O/E変換器)及び電気増幅機能で構成

する。光インタフェース規定点とO/E変換器との接続は,直接又は光ファイバコードを適切な光コネクタ

を通して行う。 

受信器選定の一般的なガイドラインを,a)〜g)に示す。 

a) 適切な許容入力波長範囲をもつ。 

b) 非同期アイパターンを形成するための適切な受信感度をもつ。 

例えば,−15 dBmの平均光パワーで非ゼロ復帰(NRZ)の光データストリームを測定する場合,オ

シロスコープの目盛が10 mV/divのとき,50 mVの非同期アイパターンを形成するためには,790 V/W

の受光感度が必要となる。 

c) 正確に測定可能な十分低い光雑音等価パワーをもつ。 

例えば,−15 dBmの平均光パワーでNRZの光データストリームを測定する場合,測定システムの

有効雑音帯域幅が470 MHz,かつ,実効雑音が非同期アイパターン振幅の5 %以下のとき,光雑音等

価パワーは,145 pW以下にしなければならない。 

d) 高域遮断(−3 dB)周波数,Bre Hzを規定する。 

再現性及び精度を確実にするために,受信器の高域遮断周波数(帯域幅)を規定しなければならな

い。NRZ信号では,受信器の帯域幅は,一般にクロック周波数より狭くなる。入力光がNRZ信号の

場合,−3dB帯域が0.75/T(ここで,Tはデータ信号のビット間隔,単位は秒)の低域通過フィルタ

を使用することが多い。RZ信号では,スペクトル帯域は,同じ信号ビットレートでもNRZより広い。

したがって,受信器の帯域幅は,クロック周波数より広くなる。 

e) 低域遮断(−3 dB)周波数を0 Hzに規定する。 

次の二つの理由から,直流結合とする。最初に,交流結合を使用した場合,直流成分が除去されて

“マーク”(“1”)及び“スペース”(“0”)の各レベルが変化するため,直流結合でなければ消光比測

定は十分正確に測定できない。2番目に,交流結合を使用した場合,測定信号の低周波スペクトル成

分(受信器の低域遮断周波数より低い成分)が,検出した非同期アイパターンの振幅変調に重要なひ

ずみを引き起こす可能性がある。 

f) 

測定を妨げないように,過渡応答時のオーバシュート,アンダーシュート及び他の波形異常を小さく

することが望ましい。 

受信器の高域遮断周波数(帯域幅)は,主としてシステム過渡応答を決定する。 

g) 0 Hzから受信器の帯域幅より高い周波数にかけて,受信器の後段のサンプリングモジュールからの反

射が適切に抑圧されるように,十分高い電気的な反射減衰量をもつ。 

大きな多重反射が存在する場合,時間領域測定は非常に不正確となる可能性がある。受信器の後段

に多くの機器を接続する場合,反射減衰量は15 dB以上が望ましい。信号強度は減衰するが,インラ

イン形の電気減衰器を使用することによって,受信器の反射減衰量を改善することができる。波形の

background image

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

直流成分が変化して平均化Q値測定に誤差が生じないように,反射減衰量の要求は直流にも適用する。 

5.3 

クロック発信器 

クロック発信器は,サンプリング周波数のクロック信号を発生する。このクロック信号を,非同期サン

プリングのために光信号とは同期させずに,電気パルス発生器及び信号処理回路へ送る。クロック信号の

周波数は,1 MHz〜1 GHzの範囲となることがある。 

5.4 

電気パルス発生器 

電気パルス発生器は電気パルス列を発生し,サンプリングモジュールへ供給する。電気パルス列の繰返

し周波数は,サンプリング周波数と一致する。 

5.5 

サンプリングモジュール 

サンプリングモジュールでは,電気パルス発生器で発生した電気パルス列を用いて,既定のサンプリン

グ時間幅(=サンプリング窓)及び既定の繰返し周波数で光信号をサンプリングする。サンプリングで得

られた値は,信号処理回路へ送る。 

平均化Q値の確度の時間分解能依存性を,附属書Aに示す。 

5.6 

信号処理回路 

信号処理回路では,サンプリングモジュールで得た値とクロック信号とを用いて,強度ヒストグラムを

計算する。次に,強度ヒストグラムから平均化Q値を計算する。信号処理の詳細を,箇条6に示す。 

5.7 

監視系パラメータ 

平均化Q値測定を実現するためには,測定系のパラメータを適切に選択しなければならない。処理の対

象である光信号の帯域幅及びOSNRは,光フィルタ帯域幅で決まる。受信器帯域幅は,O/E変換器及び低

域通過フィルタで決まり,受信器から出力される電気信号の波形及びSNRに影響を与える。ゲーティング

処理の分解能である時間分解能は,電気サンプリングパルスの幅で決まる。時間分解能は非同期サンプリ

ングであるため,サンプリングクロックのジッタには依存しない。サンプリング数は,強度ヒストグラム

を形成するために使用するサンプリング点の数を表す。サンプリング数は,全サンプリング時間又は全測

定時間に影響を与える。全サンプリング時間,サンプリング数及びサンプリング周波数の間には,次の式

の関係がある。 

  

samp

samp

samp

R

N

T

=

ここに, 

Tsamp: 全サンプリング時間(s) 

Nsamp: サンプリング数 

Rsamp: サンプリング周波数(Hz) 

これらの監視系パラメータを,表1に示す。 

表1−監視系パラメータ 

Qave 

平均化Q値 

Bopt 

光フィルタ帯域幅 

Bre 

受信器帯域幅 

Tres 

時間分解能 

Nsamp 

サンプリング数 

Rsamp 

サンプリング周波数 

Tsamp 

全サンプリング時間 

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

  

手順 

6.1 

装置接続 

図2に示すように,装置を接続する。伝送路からのパワーが不十分で受信器へ十分高い信号レベルを供

給できない場合,光帯域透過フィルタの前にEDFAを配置する。 

EDFAを用いた場合,EDFAからのASEによってOSNRが変化する。したがって,EDFAを用いても,

6.2及び箇条7に示した平均化Q値測定によって想定する光信号品質の評価が実現できることを確認しな

ければならない。 

6.2 

しきい値レベルの定義 

最初に,あらかじめ定めた時間内に測定した各強度レベルのサンプリング点を数えることによって,強

度ヒストグラムを形成する。ヒストグラムの水平軸はサンプリング点数であり,垂直軸は強度レベルを表

す。典型的な“マーク”信号及び“スペース”信号において,ヒストグラムは図1のように二つのピーク

をもつ。前者は“スペース”レベルに,後者は“マーク”レベルに相当する。 

特定のレベルを上回る振幅のヒストグラムを構成する抽出したポイントの全数は,数値の積分によって

得られる。抽出したポイントの積分した数は,選択する振幅レベルを低下することによって増加する。特

定のレベルで抽出したポイントの数が中間レベルに等しくなるとき,この振幅レベルは中間レベルと呼ば

れる。ここで,中間レベルを上回る抽出したポイント数を,式(2)のように定義する。 

mark

duty

total

middle

R

R

N

N

×

×

=

 ···························································· (2) 

ここに, 

Nmiddle: ポイント数の中間レベル 

Ntotal: 抽出したポイントの数 

Rduty: 光信号のデューティ比(又はデューティ要素:パルス

幅のタイムスロットに対する比) 

Rmark: マーク率(すなわち,強度変調直接検波デジタル送信

信号にマークレベルが現れる確率) 

次に,二つのピークをもつヒストグラムにおける,低いレベルのピークポイントに一致する振幅レベル

は,平均値として確定される。マークレベルの平均値は,式(3)によって見積もることができる。 

ave

.0

ave

.0

m

ave

1.

)

(

2

μ

μ

μ

μ

+

=

 ·························································· (3) 

ここに, 

μ1.ave: マークレベルの平均値 

μm: 振幅の中間レベル 

μ0.ave: スペースレベルの平均値 

実際の光伝送システムでは,複数の伝送劣化要因が抽出したパワーレベルの分布を拡大するため,二つ

のピークをもつヒストグラムのマークレベルと一致するピークは,鋭いピークとして明確には示されない。

さらに,マークレベルの分布のピークを確認することは,NRZ信号よりもRZ光信号の方がより困難とな

る。 

上記の方法では,拡大したパワー分布の場合でも簡単にマークレベルの平均値を確認することができる。 

ヒストグラムで“スペース”と“マーク”とを識別するスペースしきい値及びマークしきい値は,それ

ぞれ式(4)及び式(5)によって求める。 

)

(

ave

.0

1.ave

0.ave

th0

μ

μ

α

μ

μ

+

=

 ....................................................................... (4) 

)

(

ave

.0

1.ave

1.ave

th1

μ

μ

α

μ

μ

=

 ....................................................................... (5) 

ここに, 

μth0: スペースしきい値 

μth1: マークしきい値 

α: しきい値設定係数,0<α<0.5 

ここで,マークしきい値より高いレベルのポイントは“マーク”(すなわち“1”)に属し,スペースしき

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

い値より低いレベルは“スペース”(すなわち“0”)に属す。 

計算 

マークレベルの分布から次に示す方法によって,平均及び標準偏差(μ1.ave及びσ1.ave)を計算する。スペ

ースレベル分布の平均及び標準偏差(μ0.ave及びσ0.ave)も同様に計算する。 

その後,平均化Q値Qaveは式(1)によって計算できる。 

計算によって求まる,異なるαにおけるQaveのQ依存性の例を,図3に示す。QはSNRに依存するた

め,図3はQaveのSNRに対する依存性を示す。QaveとQとの線形近似曲線は,最小二乗法を用いて計算し

た。Qaveの値のばらつきは,QaveとQとの相関係数Rを用いて推定できる。 

平均化Q値測定法は,光信号品質の相対値及び絶対値のモニタに活用できる。光ネットワークにこの測

定法を適用する前に,QaveとQとの間の関係(図3参照)を測定することによって,Q及びBERの絶対値

を推定できる。その関係について情報がない場合でも,相対的なモニタ(Qの劣化検出)は可能となる。 

Boptがビットレートの4倍(Bopt=4×B Hz)であるαに対するRの依存を示す計算例を,図4に示す。

この図からαが0.1から0.5までのどの値であってもRは高い値を維持する。αが小さくなるに従って,平

均及び標準偏差の値を決定するポイントの数が不十分になる。一方,αが大きくなると,アイパターン中

のクロスポイントがマーク及びスペースレベルに含まれるため,平均及び標準偏差の値は変動する。また,

αが0.5に近づくに従って,Qに対するQaveの感度が低下し,線形近似曲線の傾斜は小さくなる。Qave測定

のあいまい(曖昧)さを少なくするためには,Boptがビットレートの4倍(Bopt=4×B Hz)の場合,αは約

0.3に設定するのがよい。αの最適値はBoptに依存する。 

αの最適値のOBPF帯域Bopt依存性を,図5に示す。ここでビットレートBを10 Gbit/sに設定した。Bopt

が狭くなると,信号波形の上昇時間(慣用的には“立ち上がり時間”ともいう。)及び下降時間(慣用的に

は“立ち下がり時間”ともいう。)はフィルタリングする前よりも増加し,マーク又はスペースのレベルに

含まれるクロスポイントのサンプル数が増加する。平均値及び標準偏差値の変動を低減するためには,α

を大きな値に設定するのがよい。したがって,αの最適値はBoptが減少するに従って増大する。例えば,

40 GHz及び240 GHzのBoptに対し,αの最適値はそれぞれ約0.3及び約0.2となる。 

αが0.1から0.5までの間のどのような値のときにも,Rは0.99を超える高い値を維持するが,可能な限

りQaveの測定のあいまい(曖昧)性を排除するために,αの値は図5を参照して選ぶことが望ましい。 

Qaveの上限は附属書Cに示すように,α及び信号の上昇(下降)時間に依存する。この測定法の特徴は,

タイミングの再生を使わず,非同期なアイパターンを評価することとなる。この特徴によって,信号フォ

ーマット,変調フォーマット及びビットレートに依存しない測定が可能となる(附属書D及び附属書E参

照)。波長分散依存性,OSNR依存性及びPMD依存性を,附属書F及び附属書Gに示す。 

background image

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

  

計算の条件は,次による。 

Tr=1/4×Tslot s 
Bre=0.75×B Hz 
Bopt=4×B Hz 
Tres=1/256×Tslot s 
Nsamp=16 384 (=214) 

図3−異なるαにおけるQaveのQ依存性 

計算の条件は,次による。 

Tr=1/4×Tslot s 
Bre=0.7×B Hz 
Bopt=4×B Hz 
Tres=1/256×Tslot s 
Nsamp=16 384 (=214) 

図4−Rのα依存性 

background image

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

計算の条件は,次による。 

Tr=1/4×Tslot s 
Bre=0.75×B Hz 
Tres=1/64×Tslot s 
Nsamp=16 384 (=214) 
B=10 Gbit/s 

図5−αの最適値のBopt依存性 

background image

10 

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

  

附属書A 

(規定) 

測定精度,信頼性及び感度 

測定精度は,測定信頼性の影響を受ける。 

測定したQave及びQの変化量を,それぞれΔQave及びΔQとして定義し,Q及びQaveの線形近似傾斜を

slopeと定義する。ΔQave,ΔQ及びslopeは,それぞれ測定精度,測定信頼性及び測定感度のパラメータを

意味する。 

図A.1から,ΔQは式(A.1)で表せる。 

slope

Q

Q

ave

 ∆

=

 ................................................................................................ (A.1) 

ここに, 

ΔQ: 測定信頼性 

ΔQave: 測定精度 

slope: 測定感度 

図A.1−ΔQave及びΔQの定義 

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11 

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

計算の条件は,次による。 

Tr=1/4×Tslot s 
Bre=0.7×B Hz 
Bopt=4×B Hz 
Tres=1/256×Tslot s(0.3 s以下) 
Q=16 dB 

図A.2−Qaveの標準偏差のNsamp依存性 

測定信頼性は,サンプリングポイント数であるNsampに依存する。図A.2は,複数回測定の変動のNsamp

に対する依存性を示す。縦軸は,一例として式(A.1)のΔQaveに関係する八つの測定ポイントの標準偏差を

表す。Nsampが増大するに従って,8ポイントの標準偏差は,縮小する。 

Q評価はクロスポイントデータを含まないが,Qave評価はクロスポイントデータの一部を含むので,一

般に,slopeの値は1より小さい。図A.3に示すように,slopeの値は密接にBoptに依存する。 

式(A.1),図A.2及び図A.3を用いてBopt及びNsampを決める。例えば,ΔQの要求値が0.60(BERの10−10

と10−9との間の違いに一致する。)であるとき,ΔQaveのslopeに対する比は,同様に0.60よりも小さくな

ければならない(ΔQave/slope=<0.60)。Boptが20×Bのとき,slopeは図A.3から0.56に設定され,ΔQave

は式(A.1)から0.34より小さくなければならない。ΔQaveが2×(標準偏差)とすると,許容する標準偏差

値は0.17よりも小さい。したがって,図A.2から測定信頼性を維持するためのNsampへの要求値は,13 000

ポイント以上となる。 

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12 

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

  

計算の条件は,次による。 

Tr=1/4×Tslot s 
Bre=0.7×B Hz 
Tres=1/256×Tslot s 
α=0.3 

図A.3−Qave及びQの線形近似slopeのBopt依存性 

時間分解能(サンプリング窓)Tresの複数回測定の変動の依存性を,図A.4に示す。縦軸は,8回の測定

のQave値の標準偏差である。サンプリングポイント数と同様の解析を用いると,測定信頼性を維持するた

めには,図A.4からNRZ信号では1/8×1/B sより小さいTres値にしなければならない。 

以上のように,図A.2及び図A.4で,パラメータを決めることができる。 

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13 

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

計算の条件は,次による。 

Tr=1/4×Tslot s 
Bre=0.75×B Hz 
Bopt=4×B Hz 
Nsamp=16 384(=214) 
α=0.3 

図A.4−Qaveの8回測定の標準偏差のTres依存性 

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14 

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

  

附属書B 

(参考) 

光帯域透過フィルタのクロストーク及び周波数ずれ 

平均化Q値法の特性は,OBPFの帯域幅及び隣接チャネルのパワー抑圧比に依存する。三つの10 Gbit/s 

NRZ光信号の光スペクトラム及びOBPFの周波数応答を,図B.1に示す。中心チャネルのQ及びQaveを

OBPFを用いたフィルタリングの後で検査する。OBPFの3 dB帯域幅Δfobpf,隣接チャネルのパワー抑圧比

Y及びWDM信号のチャネル間隔∆fWDMを,図B.1に示すように定義する。OBPFの周波数応答にはガウス

関数を用い,数値シミュレーションを実行する。 

図B.1−WDM信号及びOBPFの周波数応答の定義 

ΔfWDMが100 GHz,50 GHz及び25 GHzのときの,Q,Qave及びYのΔfobpf依存性を,図B.2に示す。隣

接チャネルのWDMクロストークは,高いQ及びQaveを維持するために−20 dBより小さくするのがよい。

Δfobpfの上限は0.8×ΔfWDMであり,10 Gbit/sのNRZ光信号に対してΔfWDMが100 GHz,50 GHz及び25 GHz

のとき,80 GHz,40 GHz及び20 GHzに対応する。ΔfWDMが25 GHzの結果は,100 GHzのΔfWDMで40 Gbit/s 

のNRZ光信号にも適用する。Δfobpfが10 GHzより狭くなるとQ及びQaveが急速に減少する理由は,Δfobpf

が10 Gbit/s NRZ信号のすべての光スペクトラム成分を通過するには小さすぎるためである。したがって,

Qave値を偏差1 dB未満に維持するためのΔfobpfの範囲は,中心周波数のずれが無視できるとき,1.5×B以

上,かつ,0.8×ΔfWDM以下である。 

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15 

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

a) ΔfWDMが100 GHzのとき 

b) ΔfWDMが50 GHzのとき 

c) ΔfWDMが25 GHzのとき 

図B.2−ΔfWDMに対するQ及びQaveのΔfobpf依存性 

次に,この測定法のOBPFの中心周波数ずれδfcの特性を計算する。中心周波数のずれδfcを,図B.3で

定義する。ΔfWDMが100 GHz,50 GHz,25 GHzのときのQaveのδfc依存性を,図B.4に示す。 

中心周波数のずれは,測定するチャネルのパワーの抑圧と隣接チャネルのパワーの増大とを引き起こす。

測定するチャネルのパワー透過率を高く保つために,Δfobpfを広くすることは効果的である。しかし,Δfobpf

が広すぎると隣接チャネルからのクロストークによる劣化を引き起こす。図B.4 a)及び図B.4 b)から,ΔfWDM

が10 Gbit/s NRZ光信号に対し各々100 GHz,50 GHz,25 GHzであるとき,中心周波数の許容範囲を広く

するための∆fobpfの最適な範囲は,0.4×ΔfWDM以上,かつ,0.6×ΔfWDM以下である。図B.2 c)では15 GHz

(1.5×ビットレート)より狭いΔfobpfに対してQaveは急速に減少している。これは,Δfobpfが狭くなりすぎ

ると10 Gbit/s NRZ信号のすべての光スペクトラム成分が通過することができないためである。図B.2 c)及

び図B.4 c)から,ΔfWDMが10 Gbit/s NRZ光信号に対し25 GHzであるとき,中心周波数の許容範囲を広く

するためのΔfobpfの範囲は,1.5×B以上,かつ,0.6×ΔfWDM以下である。 

これらの結果に基づき,Δfobpfをおおよそ0.6×ΔfWDMに設定することによって,Qaveを高く保ち中心周波

数の許容範囲を広くすることが可能となる。この場合,期待される中心周波数の許容範囲は,±1/5×ΔfWDM

である。 

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16 

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

  

図B.3−OBPF中心周波数のずれδfcの定義 

a) ΔfWDMが100 GHzのとき 

b) ΔfWDMが50 GHzのとき 

c) ΔfWDMが25 GHzのとき 

図B.4−ΔfWDMに対するQaveのδfc依存性 

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17 

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

附属書C 
(規定) 

Qaveの上限 

図C.1に示すように,Qaveの測定によって10−24以下の非常に低いBER(Q>20 dB)を評価することが

できる。Qが14 dBから20 dBまでのシミュレーション結果による線形近似曲線を,図C.1に示す。シミ

ュレーションでは,ガウス形雑音を仮定した。Qが20 dBを超える領域では,Qaveには制限がある。この

制限は,Qaveを見積もるためにクロスポイントデータの一部を含むことに起因する。上限は,雑音成分を

無視することによって見積もることができる。従来のQ値測定法では,マーク及びスペースレベルの分布

の標準偏差は,ともにゼロとなるため上限がない(すなわち,Qは無限大である。)。しかし,図C.1に示

す平均化Q値の測定法では,マーク及びスペースレベルの分布の標準偏差は,ともに雑音成分がないとき

でもこの分布にクロスポイントデータの一部分が含まれるため,ゼロにはならない。雑音を無視するとき,

Qaveの上限はα及び電気的なNRZ信号の上昇(下降)時間に依存する。αが0.3のときのQaveの上限とO/E

変換器後の上昇時間との関係を,図C.2に示す。Trが1/4×Tslot s及びBreが0.75×B Hzのとき,O/E変換器

後の上昇時間は0.7 sとなる。図C.2に示すように,O/E変換後の上昇時間が0.7 sのとき,Qaveの上限は

14.5 dBである。この結果は,図C.1に示す結果と一致する。これによって,同期デジタルハイアラーキ

(SDH/SONET)レイヤで可能な測定法より高い感度で信号品質の劣化を検出することができる。言い換え

れば,純粋なデジタル監視及びビット誤り処理では,適度な測定時間内にこのような感度のよい傾向分析

を実現することは,非常に難しい。 

図C.1−Bが10 Gbit/sのときのQaveのQ依存性:Tr=1/4×Tslot s, 

Bre=0.75×B Hz,Bopt=4×B GHz,Tres=1/256×Tslot s,Nsamp=16 384(214),α=0.3 

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18 

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

  

図C.2−αが0.3のときのQaveの上限とO/E変換器後の上昇時間との関係 

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19 

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

附属書D 
(参考) 

ビットレート依存性 

平均化Q値測定法は,基本的にはビットレートに依存しない。Tr,Bre,Bopt及び1/Tresの値は,ビットレ

ートBの倍数で表される。異なるビットレート(B=2.5,10及び40 Gbit/s)に対するTr,Bre,Bopt及びTres

の値を,表D.1に示す。図D.1に示すように,QaveのQ依存性は,ビットレートにかかわらず,おおよそ

同じ特性を示す。 

表D.1−Tr,Bre,Bopt及びTresの値 

ビットレート 

Tr (ps) 

Bre (GHz) 

Bopt (GHz) 

Tres (ps) 

2.5 Gbit/s 

100 

1.75 

60 

1.6 

10 Gbit/s 

25 

240 

0.4 

40 Gbit/s 

6.25 

28 

960 

0.1 

図D.1−異なるビットレートに対するQaveとQとの関係例 

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20 

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

  

附属書E 

(参考) 

フォーマット依存性 

平均化Q値測定法では,NRZ及びRZ光信号の平均化Q値を評価することが可能である。RZ光信号に

対するQaveのQ依存性の例を,図E.1及び図E.2に示す。図E.1及び図E.2に示す例はシミュレーション

結果であり,式(E.1)に示すRZ光信号パルスを光信号源として使う。 

=

20

2

2

exp

)(

t

t

t

f

 ....................................................................................... (E.1) 

ここに, 

f(t): 光信号の時間波形 

t: 時間 

t0: 光信号強度がピーク強度のe−0.5倍となる時間 

式(E.1)は,標準偏差t0のガウス形状のインパルス応答として与えられる。t0は,式(E.2)に示すようにTfwhm

に依存する。 

[

]5.0

0

fwhm

)2

ln(

2t

T

=

 ..................................................................................... (E.2) 

ここに, 

Tfwhm: 光パルスの半値全幅 

図E.1−D=0 ps/nm,Rduty=0.4,Bre=0.6×B Hz,Bopt=240 GHz,Tres=1/64×Tslot s, 

Nsamp=16 384(=214)及びα=0.2又は0.3のときのQaveのQ依存性の例 

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21 

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

図E.2−D=1 020 ps/nm,Rduty=0.4,Bre=0.6×B,Bopt=240 GHz,Tres=1/64×Tslot s, 

Nsamp=16 384(=214)及びα=0.2又は0.3のときのQaveのQ依存性の例 

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22 

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

  

附属書F 

(参考) 

Qave,σ1.ave,| μ1.ave−μ0.ave |及びQの波長分散及びOSNR依存性 

システムの主な劣化要因は,波長分散(D)及びSNRの劣化である。Boptが40 GHzのときの10 Gbit/s NRZ

光信号に対するQave,σ1.ave,|μ1.ave−μ0.ave|及びQの波長分散依存性を,図F.1 a)に示す。変数の評価に使っ

た係数αは0.3である。それぞれの変数を,光増幅器の入力部での光パワーPsが−35 dBm及び波長分散D

が0 ps/nmのとき見られる値によって規格化する。図F.1 a)と同様な規格化を行った同じ変数に対する

OSNR依存性を,図F.1 b)に示す。OSNRは,Psが減少するとともに劣化する。 

a) 波長分散依存性 

b) OSNR依存性 

図F.1−Boptが40 GHz及びαが0.3のとき10 Gbit/s NRZ光信号に対する 

σ1,| μ1−μ0 |及びQaveの波長分散依存性及びOSNR依存性 

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23 

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

a) 波長分散依存性 

b) OSNR依存性 

図F.2−Boptが240 GHz及びαが0.2のとき10 Gbit/s NRZ光信号に対する 

σ1,| μ1−μ0 |及びQaveの波長分散依存性及びOSNR依存性 

図F.1のa)とb)とを比べると,σ1.ave及び|μ1.ave−μ0.ave|が異なる応答をすることは明らかである。σ1.aveは波

長分散の変化(波形のひずみ)に対し,|μ1.ave−μ0.ave|より高い感度で変化する。一方,|μ1.ave−μ0.ave|の変化は,

光増幅器の入力部での光パワーが減少(SNRが劣化)するとき,σ1.aveの変化より大きい。これは,SNR及

び波形ひずみの両方を監視することが可能であり,かつ,BER劣化の起因を区別することが可能であるこ

とを意味する。Qaveの低下が検出された場合,Qaveの低下の原因を認識するためにσ1.ave及び|μ1.ave−μ0.ave|の

変化を調べるだけでよい。 

Boptが240 GHzの場合の10 Gbit/s NRZ光信号に対するQave,σ1.ave,|μ1.ave−μ0.ave|及びQの波長分散依存性

並びにOSNR依存性を,図F.2に示す。このときの変数を評価するための係数αは,0.2である。Bopt及び

αが異なる値の場合でも同じ特性が見られる。 

図F.2 a)に示す波長分散依存性の図では,波長分散による符号間干渉はより複雑になるため,Dが800 

ps/nmを超えるときσ1.aveに限界がある。2.5 Gbit/s及び40 Gbit/sのビットレートに対するDの制限は,各々

約13 000 ps/nm及び50 ps/nmである。 

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24 

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

  

附属書G 
(参考) 

PMDによる劣化があるときのQaveのQ依存性 

偏波モード分散(PMD)は,システムにとって主な劣化の一つである。PMDがあるときの10 Gbit/s NRZ

光信号に対するQaveのQ依存性の例を,図G.1に示す。この例は,シミュレーション結果に基づき,サン

プリング点数は5 000である。このシミュレーションでは,高いPMDリンクに対するモデルとして複屈折

セグメントのランダム接続を用いる。したがって,このPMDモデルはマクスウェル分布に依存する高次

の変化も含む。このシミュレーションでは,PMDなしでの光信号のQは,19 dBである。DGDの平均値

を,タイムスロットの30 %に相当する30 psに設定する。このDGD値は,ITU-T G.691に記載する1 dB

ペナルティに相当する。 

図G.1で実線は,OSNRによる劣化だけのQaveのQ依存性を示す。係数αは0.3であり,他の条件は図

3の条件と同じである。数値シミュレーションに基づくと,図3に示すように平均化Q値と実際のQ値と

の間には,線形の関係が見られる。 

図G.1−平均DGDが30 psのときのQaveのQ依存性 

Qが18.5 dBから18.7 dBまでの範囲にある場合のQaveのヒストグラムを,図G.2に示す。Qaveの平均値

及び標準偏差は,13.3 dB及び0.10 dBである。この標準偏差0.10 dBは,附属書Aに示す値(0.17 dB未満)

と一致する。 

図G.1及び図G.2からPMDによる劣化があるときのQaveのQ依存性は,OSNRによる劣化があるとき

の依存性とおおよそ同じ特性を示す。したがって,Qaveの試験方法は,平均DGDがタイムスロットの30 %

以下のとき,PMDにかかわらず光信号品質の監視に使うことができる。 

background image

25 

C 61280-2-11:2010 (IEC 61280-2-11:2006) 

図G.2−Qが18.5 dB〜18.7 dBの範囲にあるときのQaveのヒストグラム 

参考文献  

[1] JIS C 61280-2-2 光ファイバ通信サブシステム試験方法−光アイパターン,光波形及び消光比測定 

注記 対応国際規格:IEC 61280-2-2,Fibre optic communication subsystem basic test procedures−Part 

2-2: Test procedures for digital systems−Optical eye pattern, waveform, and extinction ratio(IDT) 

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[20] ITU-T Recommendation G.697: 2004, Optical monitoring for DWDM systems 

[21] SHAKE, I. and TAKARA, H. Chromatic Dispersion Dependence of Asynchronous amplitude histogram 

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