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C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 2 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 FARの用途 ····················································································································· 3 

4.1 放射イミュニティ試験における測定量 ················································································ 3 

4.2 放射エミッション測定における測定量 ················································································ 4 

5 FARの検証及び校正手順 ··································································································· 4 

5.1 一般 ···························································································································· 4 

5.2 検証時のセットアップ ···································································································· 4 

5.3 試験設備 ······················································································································ 8 

5.4 FAR検証手順によって決定する量の定義 ············································································ 8 

5.5 FAR検証における測定位置 ······························································································ 9 

5.6 FAR検証手順 ··············································································································· 10 

5.7 検証要求事項 ··············································································································· 12 

6 試験セットアップ ············································································································ 12 

附属書A(規定)放射イミュニティ試験 ·················································································· 17 

附属書B(規定)放射エミッション測定 ··················································································· 22 

附属書C(参考)システム変換係数並びにエミッション及びイミュニティの同時検証方法の背景 ········ 25 

附属書D(参考)測定の不確かさ ··························································································· 28 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人電気学会(IEEJ)及び一般財

団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日

本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS C 61000-4の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS C 61000-4-2 第4-2部:試験及び測定技術−静電気放電イミュニティ試験 

JIS C 61000-4-3 第4-3部:試験及び測定技術−放射無線周波電磁界イミュニティ試験 

JIS C 61000-4-4 第4-4部:試験及び測定技術−電気的ファストトランジェント/バーストイミュニ

ティ試験 

JIS C 61000-4-5 第4-5部:試験及び測定技術−サージイミュニティ試験 

JIS C 61000-4-6 第4-6部:試験及び測定技術−無線周波電磁界によって誘導する伝導妨害に対する

イミュニティ 

JIS C 61000-4-7 第4-7部:試験及び測定技術−電力供給システム及びこれに接続する機器のための

高調波及び次数間高調波の測定方法及び計装に関する指針 

JIS C 61000-4-8 第4部:試験及び測定技術−第8節:電源周波数磁界イミュニティ試験 

JIS C 61000-4-11 第4-11部:試験及び測定技術−電圧ディップ,短時間停電及び電圧変動に対するイ

ミュニティ試験 

JIS C 61000-4-14 第4部:試験及び測定技術−第14節:電圧変動イミュニティ試験 

JIS C 61000-4-16 第4部:試験及び測定技術−第16節:直流から150 kHzまでの伝導コモンモード

妨害に対するイミュニティ試験 

JIS C 61000-4-17 第4部:試験及び測定技術−第17節:直流入力電源端子におけるリプルに対する

イミュニティ試験 

JIS C 61000-4-20 第4-20部:試験及び測定技術−TEM(横方向電磁界)導波管のエミッション及び

イミュニティ試験 

JIS C 61000-4-22 第4-22部:試験及び測定技術−全電波無響室(FAR)における放射エミッション及

びイミュニティ試験 

JIS C 61000-4-34 第4-34部:試験及び測定技術−1相当たりの入力電流が16 Aを超える電気機器の

電圧ディップ,短時間停電及び電圧変動に対するイミュニティ試験 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

C 61000-4-22:2014 

(IEC 61000-4-22:2010) 

電磁両立性−第4-22部:試験及び測定技術− 

全電波無響室(FAR)における 

放射エミッション及びイミュニティ試験 

Electromagnetic compatibility (EMC)- 

Part 4-22: Testing and measurement techniques-Radiated emissions 

and immunity measurements in fully anechoic rooms (FARs) 

序文 

この規格は,2010年に第1版として発行されたIEC 61000-4-22を基に,技術的内容及び構成を変更す

ることなく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

適用範囲 

この規格は,全電波無響室(以下,FARという。)を利用して,電磁放射現象に関わる電気・電子装置

の放射イミュニティ試験及び放射エミッション測定を行うための試験手順要求事項について規定する。 

注記1 この規格は,IEC Guide 107で記載しているように,製品規格を作成するときに用いる基本

EMC規格である。また,製品規格委員会は,この規格を適用すべきかどうかを決定する責

任をもつ。そして,この基本規格を適用する場合,適切な試験レベル及び性能評価基準を決

める責任がある。 

この規格は,同じFARを用いて放射イミュニティ試験及び放射エミッション測定を実施するときの,

共通の供試装置(以下,EUTという。)セットアップ要求事項,及びFARに関する検証手順に適用する。 

この規格は,関連する全ての製品規格委員会に一般的な測定手順を提供することを主な目的とした基本

規格であり,特定の装置又はシステムに適用する試験レベル及びエミッション許容値を規定しない。 

特定の動作環境及び試験条件は,製品規格委員会が規定する。 

この規格で規定する方法は,周波数30 MHz〜18 GHzの範囲における放射エミッション及びイミュニテ

ィ試験に適用する。 

注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 61000-4-22:2010,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4-22: Testing and measurement 

techniques−Radiated emissions and immunity measurements in fully anechoic rooms (FARs)

(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致してい

る”ことを示す。 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)は適用しない。 

JIS C 60050-161:1997 EMCに関するIEV用語 

注記 対応国際規格:IEC 60050-161:1990,International Electrotechnical Vocabulary. Chapter 161: 

Electromagnetic compatibility(IDT) 

CISPR 16-1-1:2010,Specification for radio disturbance and immunity measuring apparatus and methods−

Part 1-1: Radio disturbance and immunity measuring apparatus−Measuring apparatus 

CISPR 16-1-4:2010,Specification for radio disturbance and immunity measuring apparatus and methods−

Part 1-4: Radio disturbance and immunity measuring apparatus−Antennas and test sites for radiated 

disturbance measurements 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 60050-161によるほか,次による。 

3.1 

測定用補助装置(ancillary equipment) 

測定受信器又は(試験)信号発生器に接続し,EUTと測定又は試験装置との間で妨害信号伝送に利用

するトランスデューサ(例えば,電流プローブ,電圧プローブ及び擬似回路網)。 

3.2 

補助装置,AE(associated equipment) 

EUTの動作を補助するために必要な装置。 

3.2A 

システム変換係数,CdB(system transducer factor) 

測定システムの,給電終端点における電力又は受信終端点における受信電圧を,電界強度に変換する係

数。 

注記 システム変換係数は,デシベル毎メートル[dB(1/m)]で表す。 

3.3 

平均システム変換係数,

dB

C(average system transducer factor) 

FAR検証データによって得られる水平及び垂直偏波の各々について,全測定点のシステム変換係数測

定結果を平均した値。 

注記 平均システム変換係数は,デシベル毎メートル[dB(1/m)]で表す。 

3.4 

校正(calibration) 

測定装置又は測定システムが示す物理量の値と,標準器が示す値との関係を,特定の条件下で確立する

一連の作業。 

3.5 

進行波電力,Pf.x(forward power) 

試験領域における単一な任意の測定点xにおける電界強度に対応するFAR試験システムへの電力。 

注記 進行波電力は,ワット(W)で表す。 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.6 

全電波無響室,FAR(fully anechoic room) 

目的の周波数範囲において電磁エネルギーを吸収するために,内部の全面に電波吸収体を張り付けたシ

ールドルーム。 

3.7 

全電波無響室試験システム,FAR test system(fully anechoic test system) 

FARを含む電磁場発生及びそれを測定する手段からなる試験システム。 

注記 最も典型的なシステムでは,FAR,アンテナ,補助装置,ケーブルなどから成る。 

3.8 

測定距離,dmeasurement(measurement distance) 

EUT測定又は試験のために用い,送信又は受信アンテナの基準点からEUTの最も近い点までの距離。 

注記 測定距離は,メートル(m)で表す(図A.1及び図B.1参照)。 

3.9 

正規化進行波電力,Pfn,x(normalized forward power) 

試験領域中の測定点xにおいて,1 V/mの電界強度を発生するのに必要な進行波電力。 

注記 正規化進行波電力は,ワット(W)で表す。 

3.10 

偏波(polarization) 

電磁波が空間を伝搬する場合の電界の振動する方向。 

3.11 

基準距離,dreference(reference distance) 

許容値の決定に用いる距離。 

3.12 

試験領域(test volume) 

EUT及びそのケーブルを配置する可能性がある,FARにおける最大領域(箇条6を参照)。 

3.13 

検証(validation) 

計測器及び制御システム(ハードウェア及びソフトウェア)が,その機能的,性能的及びインタフェー

ス要求事項の全てに合致することを確認する手順。 

3.14 

検証距離,dvalidation(validation distance) 

検証又は校正に用いる,送信又は受信アンテナの基準点から試験領域までの最も近い距離。 

FARの用途 

4.1 

放射イミュニティ試験における測定量 

大部分の電子装置は,何らかの形で電磁放射による影響を受ける。このような電磁放射源には,保守要

員が使用する小形携帯無線トランシーバ,ラジオ及びテレビ放送局,車載ラジオ送信機など様々な電磁放

射源がある。 

この規格が対象とする周波数範囲は,全ての場合において遠方界条件を確立することができるとは限ら

ない(例えば,低い周波数)。したがって,妨害を示すために実際の電磁気現象を模擬する物理量は,“電

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

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界強度”として定義する。 

イミュニティ試験における測定量は,搬送波の電界強度で表し,測定距離dmeasurementにおける平均シス

テム変換係数

dB

Cを用いて算出する。測定量は水平偏波及び垂直偏波各々で取得する。 

4.2 

放射エミッション測定における測定量(附属書B参照) 

FARにおける放射エミッション測定における測定量は,EUTから放射する電界強度とする。これは,

直線偏波アンテナを使用し,測定距離dmeasurementの下で,受信点における最大電圧に対して平均システム

変換係数

dB

Cを適用した値とする。測定は,受信アンテナの水平偏波及び垂直偏波のそれぞれに対して実

施し,製品規格に規定する基準距離dreferenceでの結果として表す。 

FARの検証及び校正手順 

5.1 

一般 

FARにおける性能要求事項,並びに放射エミッション測定及び放射イミュニティ試験に共通の検証手

順を規定する。 

5.2 

検証時のセットアップ 

検証手順として使用可能なセットアップを図1〜図4に示す。全ての検証手順セットアップは,平均シ

ステム変換係数(5.4参照)を決定するための変換基準点(PTR)をもつ。 

これらのセットアップのそれぞれに必要な主な測定器を,次に示す。詳細は,a)〜k)による。 

− タイプ1(図1):信号発生器,電力増幅器,スペクトラムアナライザ又は高周波電力計,及び電界プ

ローブ 

− タイプ2(図2):信号発生器,電力増幅器,スペクトラムアナライザ又は高周波電力計,及び基準ア

ンテナ 

− タイプ3(図3):ネットワークアナライザ及び基準アンテナ 

− タイプ4(図4):ネットワークアナライザ,電力増幅器及び基準アンテナ 

background image

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

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FAR 

PTR 

AC1 

ADC 

FDC 

FFP 

電界 

プローブ 

広帯域アンテナ 

方向性結合器 

電力増幅器 

信号発生器 

コンピュータ 

電界モニタ 

スペクトラムアナライザ 

又は高周波電力計 

AC1 

方向性結合器と,スペクトラムアナライザ又は高周波電力計との間のケーブル減衰量(dB) 

FFP 

電界プローブの校正係数(リニアスケール) 

ADC 

方向性結合器の入出力間の減衰量(dB) 

FDC 

方向性結合器の結合係数(dB) 

PTR 

変換基準点 

図1−タイプ1検証ブロック図 

FAR 

PTR 

AC1 

ADC 

FDC 

FRA 

基準アンテナ 

広帯域アンテナ 

方向性結合器 

電力増幅器 

信号発生器 

コンピュータ 

スペクトラムアナライザ 

スペクトラムアナライザ 

又は高周波電力計 

AC2 

AC1 

方向性結合器と,スペクトラムアナライザ又は高周波電力計との間のケーブル減衰量(dB) 

AC2 

基準アンテナとスペクトラムアナライザとの間のケーブル減衰量(dB) 

FRA 

基準アンテナのアンテナ係数[dB(1/m)] 

ADC 

方向性結合器の入出力間の減衰量(dB) 

FDC 

方向性結合器の結合係数(dB) 

PTR 

変換基準点 

図2−タイプ2 検証ブロック図 

background image

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

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ポート 1 

ポート 2 

FAR 

PTR 

PRA 

AC2 

FRA 

ベクトルネットワーク

アナライザ 

又は 

スカラネットワーク 

アナライザ 

コンピュータ 

広帯域 

アンテナ 

基準 

アンテナ 

 基準アンテナとネットワークアナライザとの間のケーブルの減衰の補正には,ネットワークアナライザのノー

マライズ機能を使ってもよい。(正規化のために基準アンテナの基準点PRAと変換基準点PTRを接続する)その
場合には,式(9)のAC2は0(ゼロ)として計算する。 

FRA 

基準アンテナのアンテナ係数[dB(1/m)] 

AC2 

基準アンテナとスペクトラム(ネットワーク)アナライザとの間のケーブル減衰量(dB) 

PRA 

基準アンテナの基準点 

PTR 

変換基準点 

図3−タイプ3 検証ブロック図 

FAR 

PTR 

PRA 

AC2 

FRA 

ベクトルネット 

ワークアナライザ 

又は 

スカラネットワーク

アナライザ 

コンピュータ 

広帯域 

アンテナ 

基準アンテナ 

方向性結合器 

電力 

増幅器 

AC1 

FDC 

ADC 

AC1 

方向性結合器と,スペクトラムアナライザ又はネットワークアナライザとの間のケーブル減衰量(dB) 

AC2 

基準アンテナと,スペクトラムアナライザ又はネットワークアナライザとの間のケーブル減衰量(dB) 

FRA 

基準アンテナのアンテナ係数[dB(1/m)] 

ADC 

方向性結合器の入出力間の減衰量(dB) 

FDC 

方向性結合器の結合係数(dB) 

PTR 

変換基準点 

PRA 

基準アンテナの基準点 

ネットワークアナライザポート(出力ポートR) 

ネットワークアナライザポート(入力ポートA) 

ネットワークアナライザポート(入力ポートB) 

図4−タイプ4 検証ブロック図 

background image

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

次の構成要素は,FARの検証セットアップの一部である。異なるセットアップのタイプに対して要求

する構成要素の概要リストを,表1に示す。 

a) 全電波無響室(FAR) 試験領域及び検証の距離は,図5(5.5参照),3.12及び3.14による。 

b) 広帯域アンテナ 広帯域アンテナの位置は室内で固定する。 

注記1 アンテナ係数は,この検証及び校正では,FAR試験システムの変換係数の一部として与

えられるため,必要ではない。 

c) 高周波電力計,選択レベル計,又はスペクトラムアナライザ 

d) 方向性結合器 

e) 等方性電界プローブ及び電界モニタ 

f) 

基準アンテナ 基準アンテナは,30 MHz〜1 GHzの周波数範囲に対してはCISPR 16-1-4の5.4.2.3,

1 GHz〜18 GHzの周波数範囲に対してはCISPR 16-1-4の8.3.3.1の各要求事項に従わなければならな

い。 

g) 広帯域アンテナに接続するケーブル 広帯域アンテナまでの配線は固定する。 

注記2 この検証及び校正では,広帯域アンテナに接続するケーブルの減衰は,FAR試験システ

ムの変換係数の一部に含まれる。 

注記3 広帯域アンテナに接続するケーブルの影響を最小限とするため,ケーブルはアンテナから

背面の電波吸収体壁に向けて水平に配置した後,床に向けて垂直に配置することが望まし

い。 

h) 他の高周波ケーブル 他の高周波ケーブルの特性は,事前に校正しなければならない。この校正に利

用したケーブルとその後の試験で使用するケーブルに差異がある場合には,個別に特性を考慮する。 

i) 

信号源 安定した信号を発生できる高周波信号発生器。 

j) 

電力増幅器 出力電力は,この検証及び校正並びにイミュニティ試験[c)及びd)参照]の間監視しな

ければならない。高調波及び利得圧縮特性については,附属書Aを参照。 

k) スカラ又はベクトルネットワークアナライザ 2点間伝達関数(S21)又は2信号の比の測定に用いる

測定器。 

表1−それぞれの検証セットアップに必要な構成 

構成要素a) 

検証セットアップb) 

タイプ1 

タイプ2 

タイプ3 

タイプ4 

a) 全電波無響室(FAR) 

◯ 

◯ 

◯ 

◯ 

b) 広帯域アンテナ 

◯ 

◯ 

◯ 

◯ 

c) 高周波電力計 

◯ 

◯ 

− 

− 

d) 方向性結合器 

◯ 

◯ 

− 

◯ 

e) 等方性電界プローブ及び電界モニタ 

◯ 

− 

− 

− 

f) 基準アンテナ 

− 

◯ 

◯ 

◯ 

g) 広帯域アンテナ接続ケーブル 

◯ 

◯ 

◯ 

◯ 

h) 他の高周波ケーブル 

◯ 

◯ 

◯ 

◯ 

i) 

信号源 

◯ 

◯ 

− 

− 

j) 電力増幅器 

◯ 

◯ 

− 

◯ 

k) ネットワークアナライザ 

− 

− 

◯ 

◯ 

注a) 各項目の初頭記号は,5.2のa)〜k) に対応する。 

b) “◯”は必要な項目,“−”は不要な項目を示す。 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

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5.3 

試験設備 

5.3.1 

一般事項 

FARの検証は,5.3.2〜5.3.8に従って,報告書に写真及び文書を記載する。 

5.3.2 

試験領域 

試験領域は,箇条6に規定するように,EUTに接続したケーブルを含む,EUTの最大寸法を取り囲む

円筒状の空間である。試験領域の直径,底面の位置,上面の位置及び中心位置を明確に定義しなければな

らない。 

5.3.3 

広帯域アンテナ 

広帯域アンテナは,FAR内部の試験領域の外の固定位置に設置しなければならない。アンテナ位置は,

通常,試験領域の中心の高さに設置する。広帯域アンテナは放射エミッション測定では受信アンテナとし

て使用し,検証及び校正並びにイミュニティ試験では送信アンテナとして使用する。検証及び校正は,イ

ミュニティ試験又は放射エミッション測定に用いる様々な周波数範囲に対応したアンテナごとに行う。 

5.3.4 

アンテナケーブル 

アンテナケーブルが反射体になり,FAR試験で得た結果に影響を及ぼす可能性があるので,ケーブル

の配置を考慮する。FAR内の広帯域アンテナに接続したケーブルの長さ及び配置は,FARでの検証及び

製品試験で同一にする。検証に当たってアンテナケーブルにフェライト素子を装着した場合は,EUT試

験でも同一条件とする。 

5.3.5 

セットアップテーブル 

セットアップテーブルは非導電性で,低誘電率の材料で構成することが望ましい。試験領域内に設置す

る可搬形のセットアップテーブルは,5.6に規定する装置の検証では,配置する必要はない。試験領域外

に設置し,常にEUT試験に使用するセットアップテーブルは,FAR装置の一部として考え,5.6の検証

手順でも,設置しなければならない。 

5.3.6 

ターンテーブル 

最少の設備構成として,試験領域内に遠隔操作ターンテーブルを設置することが望ましい。試験設備の

検証及び校正は,ターンテーブル,電力供給線及び通信ケーブルをEUT試験に用いる標準的な配置にし

て行う。 

5.3.7 

自動アンテナ偏波切替機 

試験時間の短縮のため,コンピュータ制御の自動アンテナ偏波切替機を用いることが望ましい。 

5.3.8 

電波吸収体の配置 

検証で用いる電波吸収体の配置は,EUT試験と同じでなければならない。 

5.4 

FAR検証手順によって決定する量の定義 

各検証位置に対し,FAR検証手順から決定する量をこの細分箇条で規定する。位置xにおけるシステム

変換係数CdB,x[dB(1/m)]は,式(1) による。 

=

x

x

x

P

d

f

C

fn,

2

MHz

dB,

log

10

15

)

log(

20

 ·············································· (1) 

ここに, fMHz: 周波数(MHz) 
 

x: 検証位置を示す記号 

dx: 広帯域アンテナの基準点と,電界プローブ又は基準アンテナ 

の基準点との距離(m)(5.5参照) 

Pfn,x: 正規化進行波電力(W)。式(2)による。 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2

f,

fn,

x

x

x

E

P

P

=

·························································· (2) 

 Pf,x: 変換基準点PTRにおける進行波電力(W) 
 Ex: 場所xにおける進行波電力に対応する電界強度(V/m) 

注記 附属書Cに式(1)と式(2)との関係,及び背景を示す。 

平均システム変換係数

dB

C(3.3参照)は,個々の位置xにおけるシステム変換係数CdB,xから,式(3)に

よって算出する。 

=

=

n

x

x

n

C

C

1

,

dB

dB

 ·········································································· (3) 

ここに, 

n: 5.5の手順に従い決定した検証点の数 

収集した位置xにおけるシステム変換係数の標準偏差は,式(4)を用いて,アンテナ偏波ごとに計算す

る。この値は,5.7の検証基準との比較に用いる。 

(

)

=

×

=

n

x

x

C

C

C

n

s

1

2

dB

,

dB

,

dB

1

1

 ····················································· (4) 

この平均システム変換係数の標準偏差

C

s

,

dBは,式(5)を用いて,アンテナ偏波ごとに計算する。この値

は,EUT試験の不確かさ評価に重要となる[例えば,D.1.3のコメント(8)及びD.2.4のコメント(9)

参照]。 

n

s

s

C

C

,

dB

,

dB

=

 ············································································· (5) 

5.5 

FAR検証における測定位置 

この細分箇条で規定する手順では,FARの特性は,試験領域内の複数の位置で測定し,アンテナ偏波

ごとに,平均システム変換係数及び標準偏差(5.4参照)によって表す。 

FARの測定及び検証は,次に示す位置(図5参照)で,水平及び垂直の両方のアンテナ偏波で行う。 

a) 試験領域の三つの位置 下部位置,中央部及び上部位置は,次による。 

1) 下部位置は,底面から上にhBの位置とする。hBは試験領域全体の高さの25 %とする。ただし,試

験領域の高さが80 cm未満の場合は20 cmとし,2 m以上の場合は50 cmとする。 

2) 上部位置は,上面から下にhTの位置とする。hTは試験領域全体の高さの25 %とする。ただし,試

験領域の高さが80 cm未満の場合は20 cmとし,2 m以上の場合は50 cmとする。 

3) 中央部は,試験領域全体の高さの50 %の位置とする。 

b) 三つの位置における平面上の5点 中央及び前後左右の位置は,次による。 

試験領域外側にある広帯域アンテナの高さ位置は,図5に示すように試験領域の中央部に合わせる。 

広帯域アンテナは,傾けてはならない。すなわち,測定の間,広帯域アンテナの主軸方向は,測定

軸に平行に保つ。 

試験領域に設置した電界プローブ又は基準アンテナは,広帯域アンテナに対向するように方向及び

傾きを合わせる。広帯域アンテナの位置(高さを含む。)は,その後に行う装置試験と同じにする。 

広帯域アンテナの基準点と試験領域の前位置との距離は,dvalidationとする。アンテナマスト及びそ

の他の支持構造物は,検証の間,設置したままとする。 

この手順では,試験領域において電界プローブ又は基準アンテナだけを移動させる。広帯域アンテ

ナは,検証時には移動させない。したがって,広帯域アンテナとそれぞれの検証点dxとの実際の距

離は,検証点に依存して変わる。実際の距離は,それぞれの検証点ごとに記録し,式(1)のdxにその

background image

10 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

値を用いる。 

注記 パラメータは5.5に示す。実線で示す円筒形は試験領域を表す。 

図5−FAR検証における測定位置 

5.6 

FAR検証手順 

5.6.1 

一般 

図1,図2,図3又は図4のいずれかに示した測定装置のセットアップを行う。電界プローブ又は基準

アンテナは,図5に示す位置に設置する。 

5.2の四つの(検証)セットアップタイプに用いる手順の詳細は,5.6.2〜5.6.5による。平均システム変

換係数及び標準偏差の算出方法は,5.6.6による。 

5.6.2 

タイプ1の検証セットアップ 

タイプ1の検証セットアップは,次の手順による。 

a) 測定する偏波となるように,電界プローブを単一軸モードに設定する。 

b) 信号発生器を,目的の最初の周波数に設定する。 

c) 信号発生器又は増幅器の出力電力を,適切な検証電界強度Exが得られる一定のCW(連続波)レベ

ルに設定する。ここでの測定結果は,絶対電界強度及び/又は電力レベルとは無関係である。 

注記1 信号発生器及び/又は増幅器は,測定結果への高調波による影響を避けるため,その最大

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出力レベル以下の電力レベルで使用する。 

d) 次のパラメータを記録する。 

− 図1に示す高周波電力計の電力Pf,ind,xʼ(dBm) 

− 電界プローブの電界強度Eind,x(V/m) 

− 広帯域アンテナと電界プローブとの距離dx 

e) 1 %を超えない範囲で周波数を増加する。最後の周波数まで,手順c)及びd)を繰り返す。 

f) 

周波数ごとの位置xにおけるシステム変換係数CdB,xを,式(6)によって計算する。 

)

log(

20

30

)

log(

20

15

)

log(

20

ind,

FP

DC

DC

C1

ind,

f,

MHz

dB,

x

x

x

x

E

F

A

F

A

P

d

f

C

×

+

+

+

=

 ·· (6) 

注記2 式のパラメータは,図1参照。 

g) それぞれの検証位置において,手順a)〜f)を繰り返す。 

h) 垂直偏波で,手順a)〜g)を繰り返す。 

5.6.3 

タイプ2の検証セットアップ 

タイプ2の検証セットアップは,次の手順による。 

a) 信号発生器を目的の最初の周波数に設定する。 

信号発生器又は増幅器の出力電力を適切な検証電界強度Exが得られる一定のCWレベルに設定す

る。ここでの測定結果は,絶対電界強度及び/又は電力レベルとは無関係である。 

注記1 信号発生器及び/又は増幅器は,測定結果への高調波による影響を避けるため,その最大

出力レベル以下の電力レベルで使用する。 

b) 次のパラメータを記録する。 

図2に示す高周波電力計の電力Pf,ind,x(dBm) 

スペクトラムアナライザの表示電圧Vind,x[dB(μV)] 

広帯域アンテナと基準アンテナとの距離dx 

c) 1 %を超えない範囲で周波数を増加する。最後の周波数まで,手順a)及びb)を繰り返す。 

d) 周波数ごとの,位置xにおけるシステム変換係数CdB,xを,式(7)によって計算する。 

x

x

x

x

E

A

F

A

P

d

f

C

ind,

DC

DC

C1

ind,

f,

MHz

dB,

30

)

log(

20

15

)

log(

20

+

+

+

=

 ··· (7) 

ここに,

120

RA

C2

ind,

ind,

+

+

=

F

A

V

E

x

x

 ··············································· (8) 

注記2 式のパラメータは,図2参照。 

e) それぞれの検証位置において,手順a)〜d)を繰り返す。 

f) 

垂直偏波で,手順a)〜e)を繰り返す。 

5.6.4 

タイプ3の検証セットアップ 

タイプ3の検証セットアップは,次の手順による。 

a) ネットワークアナライザの開始及び終了周波数を設定する。周波数のステップfstepは,次による。 

− 30 MHz〜80 MHz: fstep ≦ 1 MHz 

− 80 MHz〜500 MHz: fstep ≦ 2 MHz 

− 500 MHz〜1 GHz: 

fstep ≦ 5 MHz 

− 1 GHz〜18 GHz: 

fstep ≦ 50 MHz 

b) ネットワークアナライザのS21測定のためのノーマライズを行う。 

c) xの位置でS21(単位:dB)を測定し,その値をS21,xとして記録する。 

d) 周波数ごとの,位置xにおけるシステム変換係数CdB,xを,式(9)によって計算する。 

RA

C2

21,

MHz

dB,

)

log(

20

32

)

log(

20

F

A

S

d

f

C

x

x

x

=

 ·························· (9) 

background image

12 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 式のパラメータは,図3参照。 

e) それぞれの検証位置において,手順a)〜d)を繰り返す。 

f) 

垂直偏波で,手順a)〜d)を繰り返す。 

5.6.5 

タイプ4の検証セットアップ 

タイプ4の検証セットアップは,次の手順による。 

a) ネットワークアナライザの開始及び終了周波数を設定する。周波数ステップfstepは,次による。 

− 30 MHz〜80 MHz: fstep ≦ 1 MHz 

− 80 MHz〜500 MHz: fstep ≦ 2 MHz 

− 500 MHz〜1 GHz: 

fstep ≦ 5 MHz 

− 1 GHz〜18 GHz: 

fstep ≦ 50 MHz 

b) ネットワークアナライザのS21測定のためのノーマライズを行う。 

c) 適切な検証電界強度Exを供給するネットワークアナライザの出力電力を選択する。ここでの測定結

果は,絶対電界強度及び/又は電力レベルとは無関係となる。 

d) 信号比B/A(RBA,x,単位:dB)を測定し,記録する。 

e) 周波数ごとの,位置xにおけるシステム変換係数CdB,xを,式(10)によって計算する。 

RA

C2

DC

DC

C1

BA,

MHz

dB,

)

log(

20

32

)

log(

20

F

A

A

F

A

R

d

f

C

x

x

x

+

+

=

 · (10) 

注記 式のパラメータは,図4参照。 

f) 

それぞれの検証位置において,手順a)〜e) を繰り返す。 

g) 垂直偏波で,手順a)〜f)を繰り返す。 

5.6.6 

全てのセットアップタイプに対する

dB

C及びsdB,Cの計算 

各偏波及び周波数について,式(3)を用いて平均システム変換係数

dB

Cを,及び式(4)を用いて収集したサ

ンプルの標準偏差sdB,Cを計算する。 

5.7 

検証要求事項 

FARの検証要求事項は,システム変換係数の標準偏差に基づく。各偏波における標準偏差sdB,Cは,表2

の検証基準を満足しなければならない。 

表2−検証基準 

周波数範囲 

検証基準 

 30 MHz以上 

1 GHz以下 

全ての15サンプル点においてsdB,Cが1.8 dB以下 

 1 GHzを超え 18 GHz以下 

全ての15サンプル点においてsdB,Cが1.8 dB以下,又は
次の両方の基準を満足する。 
− 全ての15サンプル点においてsdB,Cが3 dB以下 
− 試験領域の上部及び中間内の10点が1.8 dB以下 

検証のためのセットアップは,EUT試験において変更せずに使用する。検証セットアップとEUT試験

のセットアップに差異が発生した場合には,再度検証を行う。したがって,検証のための試験セットアッ

プ(アンテナ,吸収体のセットアップ,ケーブルなど)は,詳細に文書化しなければならない。 

試験セットアップ 

試験は,EUTの典型的かつ実用的な最終の使用状態にできるだけ近い構成で行う。ほかに規定がない

限り,ケーブル及び配線は,製造業者の指定に従い,かつ,EUTには全てのカバー及びパネルを取り付

ける。EUTの通常の使用状態との違いは,全て試験報告書に記載する。可能な場合,製造業者の仕様ご

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

とのEUTのセットアップが優先する。この試験セットアップは,試験報告書に記載する。 

EUTが完全に試験領域内にあり,かつ,ケーブルの配置が次の要求事項を満足している場合,卓上形

又は床置形装置のセットアップ時のテーブルの高さは任意とする。 

a) インタフェースケーブル,負荷及び機器は,EUTのポートの種類ごとに一つ以上接続することが望

ましい。また,実用的な場合には,それぞれのケーブルは,機器の典型的な実使用状態の形で,機器

で終端する。EUTが同じ種類の複数のポートをもつ場合,典型的な数のポートに機器又は負荷を接

続する。ただし,例えば事前の試験によって,二つ以上のポートへ接続することによって,著しく妨

害レベルが増加する(2 dBを超える)か,又はイミュニティレベルが低下することがない場合のよ

うに,一つのポートだけに負荷を接続することで十分なことが示されている場合,複数の同一種類の

ポートへの接続は不要とする。ポートの構成及び負荷への接続の理論的根拠は,試験報告書に記載す

る。 

接続する追加のケーブル本数はケーブルを追加することで許容値に対するマージンが大幅に変化

(2 dB)しなくなるまで追加することが望ましい。 

注記1 エミッション及びイミュニティ試験に対して,機能,負荷,インタフェースの種類及びケ

ーブルの最適な配置は,異なる場合がある。この場合,同等のEUTの配置の範囲内で,

構成変更を必要とすることがある。 

ケーブルの配置及び終端は,次による。 

1) 製造業者の設置説明書によって特定のケーブル配置が指定されている場合,ケーブルは,その設置

要求事項に従って配線する。特に指定がない場合,又はケーブルを一般的な配置としてよい場合,

ケーブルは,垂直及び水平偏波の放射を妨げないように配置する。 

2) 製造業者の仕様でより短いケーブルが指定されていない限り,最小長さ1 mのケーブルは,試験領

域内に配置する。1 mを超えるケーブルは,30 cm〜40 cmの長さの束となるようにほぼ中央で束ね

る。通常の使用におけるケーブル配置に関する情報が製造業者によって提供されていない場合,次

の配置を適用する。 

i) 

EUTが卓上形装置(図6及び図7)の場合,試験空間から出るケーブルは,合計で1 m以上の

長さが電磁界にさらされていなければならない。 

ii) EUTが床置形装置(図8及び図9)の場合,“EUT境界”から出るケーブルは,試験領域内で

0.3 m以上の長さを水平に配置した上で,垂直に配置して典型的,かつ,通常の使用状態のよ

うにする(試験領域の底面より上の入出力ポートの高さに依存する。)。 

b) ほかの機器に接続しないケーブルは,次のとおり終端してもよい。 

1) 同軸ケーブルは,同軸終端器で終端する(通常,50 Ω又は75 Ω)。 

2) 一つ以上の内部導体をもつシールドケーブルは,EUTの製造業者の仕様に従って,コモンモード

及びディファレンシャルモードの終端をもつことが望ましい。コモンモードの終端は,内部導体又

はディファレンシャルモードの終端と,ケーブルシールドとの間に適切に接続する。 

3) シールドケーブル以外のケーブルは,製造業者の仕様に従って,ディファレンシャルモードの終端

をもたなければならない。 

c) EUTのセットアップ時には,次の追加事項についても考慮しなければならない。 

1) EUTが固有の動作を行うためにAE(3.2参照)を必要とする場合,AEがエミッション測定及びイ

ミュニティ試験のいずれにも影響しないことを確実にするために特に注意する。部屋の遮蔽を保つ

ための適切な接続方法(接続パネル,コネクタなど)がある場合,AEはFARの外に置いてもよい。

14 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

接続ケーブルを通したFARの内部又は外部へのRF信号の漏れを防止するための措置を取っても

よい。 

注記2 通信網を模擬する機器が,AEの例である。AEは,物理的に試験環境の外部に配置し

てもよい。 

2) AEからの不要なエミッションを抑制するために用いるほかの方法又は装置は,試験室の外部に配

置する。 

3) ケーブルの配置を含む試験セットアップ,附属するケーブル及び終端の仕様,並びに試験領域外部

の測定用補助装置からのエミッションを抑制するための対策は,試験報告書に明瞭に記載する。 

4) EUT境界は,EUTを構成する機器の間のケーブル接続を含む。ただし,試験領域から出ていくケ

ーブルは,EUT境界の一部とはみなさない。試験領域から出ていくケーブルは,この細別に規定

する要求事項を満足しなければならない(図6〜図9参照)。 

background image

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C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

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図6−卓上形装置の試験セットアップ例 

図7−卓上形装置の試験セットアップ例,平面図 

background image

16 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

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図8−床置形装置の試験セットアップ例 

図9−床置形装置の試験セットアップ例,平面図 

17 

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附属書A 

(規定) 

放射イミュニティ試験 

A.1 一般 

この附属書では,FARで行う放射イミュニティ試験の手順について規定する。 

A.2 試験装置 

図1及び図2(5.2参照)に,イミュニティ試験に使用する装置を示す。イミュニティ試験には,電界

プローブ又は基準アンテナは不要である。試験装置の仕様は,次による。 

− 信号発生器 対象の周波数範囲の信号を発生可能で,1 kHzの正弦波による変調度80 %の振幅変調が

できる。 

− 電力増幅器 信号(無変調信号及び変調信号)を増幅し,必要な電磁界強度となるようにアンテナに

電力を供給する。電力増幅器によって発生した高調波は,FAR内に発生する高調波周波数の電界強

度が,基本周波数の6 dB以下とならなければならない。 

− EMCフィルタ 高調波によって発生する問題を避けるために,電力増幅器と方向性結合器との間に

入れた方がよい。フィルタを接続しているラインに余分な共振現象が発生しないことを確認する必要

がある。 

− 方向性結合器 アンテナへの進行波電力及びアンテナからの反射波電力を測定するために必要とな 

る。イミュニティ試験と同様に,通常,検証及び校正には進行波電力だけを使用する。ただし,アン

テナへの未接続又は不完全な接続状態を検出するために,反射波電力を測定することにも意義がある。 

− 進行波及び反射波高周波電力計又はスペクトラムアナライザ 進行波及び反射波電力を測定するため

に,方向性結合器に接続して使用する。 

− 広帯域アンテナ 周波数の要求を満足する,バイコニカル,ログペリオディック,ホーン又は他の直

線偏波アンテナ。 

試験時にEUTを監視するために,必要に応じて追加の装置を用いる。監視に適した装置には次のよう

なものがある。 

− ビデオシステム 

− マイクロホンシステム 

− 電圧及び/又は電流プローブ 

− デジタル信号用プローブ 

監視用装置がFAR内に発生している電界の影響を受けないよう,かつ,EUTの動作に影響を与えない

ように注意する。信号伝送には,光ファイバ又は十分なコモンモードの無線周波減結合特性をもつケーブ

ルを使用することを強く望む。可能な場合,監視用装置はFARの外に置く。 

A.3 電力増幅器の飽和確認法 

電力増幅器が飽和していないことを確認する確認手順は,次による。この確認は,検証中に1回以上行

う。 

18 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 この確認は最も高いレベルについてだけ行う。 

a) 図1又は図2(5.2参照)のようにイミュニティ試験のセットアップを準備した後,広帯域アンテナ

の水平偏波から開始する。 

b) 信号発生器を最初の試験周波数に設定する。 

c) 平均システム変換係数から必要な進行波電力Pf,t,dBmを計算する。 

dB

MHz

t

measuremen

t

dBm

t,

f,

)

log(

20

)

log(

20

)

log(

20

45

C

f

d

E

P

+

+

+

=

 ············· (A.1) 

ここに, 

Et: イミュニティ試験を行う試験レベルの電界強度(V/m) 

dmeasurement: 広帯域アンテナの基準点と,EUT表面の最も近い点との

距離(m)(図A.1参照) 

fMHz: 周波数(MHz) 

dB

C: FAR検証によって決定した平均システム変換係数

(dB/m) 

進行波電力は,変換基準点に注入する電力(PTR,図1及び図2参照)である。注入電力を調節す

る際には,ケーブルの減衰,方向性結合器の結合係数などを考慮に入れる必要がある。 

最小のEUT(最大のdmeasurement)を試験する場合に,進行波電力が最大になるため,飽和の確認は

この最悪条件を考慮して行う。 

d) 高周波電力計の値がc)で計算した進行波電力値の許容誤差範囲内になるように,信号発生器の出力電

力を調節する。 

e) 高周波電力計の読み値を記録する。 

f) 

信号発生器の出力を5.1 dB増加させる(このことは,変調度80 %の振幅変調による,信号包絡線の

ピークの増加分を考慮している。)。 

g) 高周波電力計の読み値を記録して,e)の読み値との差分を求める。この差分が3.1 dB〜7.1 dBの範囲

内の場合,電力増幅器の飽和は許容できる範囲内とみなせる。差分が3.1 dB未満又は7.1 dBを超え

る場合,その電力増幅器は試験に使用できない。 

h) 周波数を現周波数の1 %分増加させて,手順c)〜g)を繰り返す。周波数が試験周波数範囲を超えた時

点でステップを終了する。最終的に最高周波数(例 1 GHz)の測定を実施する。 

i) 

広帯域アンテナの垂直偏波について,手順b)〜h) を繰り返す。 

background image

19 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(a) 広帯域アンテナの基準点に最も近いEUTの面までの距離 
(b) 広帯域アンテナの基準点 

図A.1−イミュニティ試験におけるdmeasurementの定義 

A.4 試験手順 

A.4.1 一般事項 

試験は,試験計画に基づいて実行しなければならない。この試験計画は,技術仕様で指定している

EUTの動作モード及び性能検証法を含まなければならない。 

EUTは,箇条6で規定するように設置しなければならない。また,試験計画で指定する動作モードに

設定しなければならない。 

A.4.2 レベルの設定手順 

各周波数において試験電界強度の生成に必要な進行波電力Pf,t,dBm(PTRにおける搬送波の実効値)は,

平均システム変換係数

dB

Cを用いて計算しなければならない。 

dB

MHz

t

measuremen

t

dBm

t,

f,

)

log(

20

)

log(

20

)

log(

20

45

C

f

d

E

P

+

+

+

=

 ············· (A.2) 

ここに, dmeasurement: アンテナの基準点とEUTの最近接面との間の距離 

制御装置は,計算した進行波電力が電力許容範囲内となるようにRF信号発生器を設定する。 

注記 この電力許容範囲を小さくすると不確かさ(附属書D参照)は小さくなるが,目的の電力を

得るために必要な調整時間が長くなる。 

EUTを回転し,4面を逐次照射する。EUTに上下の設置指定がない場合,底面及び上面も照射する。 

EUTが複数のユニットで構成される場合,それぞれのユニットの配置及び組合せを変更した試験は,

不要とする。 

対象の周波数範囲を,1 kHzの正弦波による変調度80 %の振幅変調で,連続掃引又はステップ掃引する。 

ただし,必要に応じて,RF信号レベルの設定,信号発生器の切替え,及び/又はアンテナの切替えの

ために掃引を休止する。ステップ掃引の場合,ステップサイズは,直前の周波数の1 %を超えてはならな

い。 

各周波数での振幅変調搬送波の滞在時間は,EUTが動作し,反応するのに必要な時間以上とする。た

だし,いかなる場合も0.5秒間以上とする。製品規格が,影響を受けやすい周波数(例 クロック周波

数)についての試験を個別に要求している場合,その要求事項に従って試験する。 

20 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

各アンテナで生成する電界の偏波に対する試験は,EUTの各面について水平偏波及び垂直偏波で行う。 

試験計画で指定したように,試験中のEUTに重要かつ必要な全ての動作を評価しなければならない。 

特別な動作試験プログラムの使用が望ましい。使用したプログラムは,試験報告書に記載する。 

A.4.3 試験計画 

試験計画には,次に示す項目を指定する。 

− EUTの寸法 

− EUTの典型的な動作モード 

− 用いる相互接続線及びそれを接続する(EUTの)インタフェースポートの種類及び数 

− 性能基準 

− EUTを観察するための手法 

− 周波数範囲,滞在時間,及び連続掃引又はステップ掃引 

− 適用する試験レベル 

A.4.4 試験結果の評価 

試験結果は,EUTの機能損失又は性能低下の観点から,その装置の製造業者若しくは試験の依頼者が

定義した性能レベル,又は製品の製造業者と購入者との間の協定で合意した性能レベルと比較して分類す

る。次に示す分類が望ましい。 

a) 製造業者,試験の依頼者,又は購入者が指定する仕様限度内の正常な性能。 

b) 妨害がなくなった後に消滅する一時的な機能損失又は性能低下。操作者が介在することなくEUTが

正常な性能に自己復帰する。 

c) 操作者の介在が必要な,一時的な機能損失又は性能低下。 

d) ハードウェア又はソフトウェアの破壊による修復不可能な機能損失若しくは性能低下,又はデータ損

失。 

EUTへの影響のうち,重要ではないとみなされ,かつ,許容できる影響を,製造業者の仕様書に指定

してもよい。 

この分類は,共通規格,製品規格及び製品群規格の原案作成委員会で性能基準を規定するときの指針と

して,又は適切な共通規格,製品規格及び製品群規格が存在しない場合に製造業者と購入者との間で,性

能基準に対する合意を行うための枠組みとして用いてもよい。 

A.5 試験報告書 

試験報告書には,その試験を再現するために必要な全ての情報を含まなければならない。特に,次に示

す事項を記載しなければならない。 

− A.4.3で要求する試験計画によって規定する項目 

− EUT及び関連装置の識別表示。例えば,商標,製品形式,製造番号 

− 試験を行うために必要な特別な条件 

− 装置の取扱いにおける特定の条件。例えば,適合性を達成するために必要なケーブルの長さ,形式,

遮蔽若しくは接地,又はEUTの動作条件 

− ケーブル配置及び機器の位置及び向きの完全な記述を,試験報告書の中に含めなければならない。場

合によって,写真で十分な場合もある。 

− 製造業者と,試験の依頼者又は購入者との間で指定する性能レベル 

21 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 共通規格,製品規格又は製品群規格で規定する性能基準 

− 妨害の印加中又は印加後に観測したEUTへの全ての影響,及びこれらの影響が持続した期間 

− 合否判定の根拠(共通規格,製品規格若しくは製品群規格で規定する性能基準,又は製造業者と購入

者との間で合意した性能基準に基づく。) 

− 試験装置の識別表示。例えば,商標,製品形式,製造番号 

− 試験を行った特別な環境条件 

22 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(規定) 

放射エミッション測定 

B.1 

一般 

この附属書は,FARにおける放射エミッション測定の詳細について規定する。 

B.2 

試験装置 

放射エミッション測定に用いる試験装置は,次による。 

CISPR 16-1-1の要求事項を満たすスペクトラムアナライザ又は測定用受信機。 

平均システム変換係数

dB

Cを決定するのに使用する広帯域アンテナ,広帯域アンテナ接続ケーブル及び

FAR(箇条5参照)。 

測定結果(電界強度)を,式(B.1)によって計算する。 

+

+

=

reference

t

measuremen

dB

)

μV

(

dB

TR,

)

μV/m

(

dB

log

20

d

d

C

V

E

p

 ································ (B.1) 

ここに, VpTR,dB(μV): 変換基準点PTR(図1〜図4参照)における電圧

[dB(μV/m)] 

dmeasurement: 広帯域アンテナの基準点と,EUT表面の最も近い点との

距離(m)(図B.1参照) 

dreference: 製品規格で規定する基準距離 

平均システム変換係数には,ケーブル損失,アンテナ係数,並びに検証及び校正の過程で決定するサイ

トの特性を含むが,一般的なエミッション及びイミュニティの検証及び校正手順において使用しない機器

の損失及び利得は含まれないことに注意する。例えば,放射エミッション試験で使用する広帯域前置増幅

器(プリアンプ),追加で接続したケーブル及びスイッチが,

dB

Cを決定するときに含まれていない場合,

これらの機器に対して更なる測定値の補正が必要になる。 

background image

23 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 (a)ケーブルを含むEUT境界の最も近い点 

(b)広帯域アンテナの基準点 
 

図B.1−放射エミッション測定におけるdmeasurementの定義 

B.3 

試験手順 

B.3.1 予備試験 

予備試験は,B.3.2で規定する最終試験での周波数を決定するために実施する。予備試験は,最大放射

電界を発生させるEUTの様々な動作モード及び試験配置を決定し,最終測定に使用する。 

EUTの特性に即した現実的な予備試験を必要とする。放射エミッション試験において,最悪条件を示

す周波数及び動作モードを特定する予備試験手順のガイドラインを,次に示す。 

a) せん頭値検波の最大値保持モードを使用し,アンテナの全周波数範囲を掃引する。 

b) 確実に信号を捕捉するために最適な掃引時間を決定する。 

c) 必要であれば,予備試験中にスペクトラムアナライザ又は測定用受信機の表示雑音レベルを低減する

ために,掃引の分解能帯域幅を狭める。これによって広帯域な放射エミッションレベルも下がる可能

性があるため,放射エミッションが広帯域であるか,狭帯域であるかを判断する追加調査が必要な場

合がある。 

d) EUTを360°回転させ,それを他の偏波に対しても繰り返す。EUTは,全方向に対して調査するこ

とが望ましい。ここで各周波数における放射エミッションレベルを求め,最大レベルを発生する周波

数及びEUTの動作モードを特定する。 

e) d) の測定結果が許容値に近い場合,回転台の回転増分をより小さくしたり,より小さい周波数スパ

ンを使用したりして調査する。 

予備試験は,周波数の選択及びEUTの動作モードの最悪条件を決定する根拠を与える。この試験では,

通常,製品規格で規定する許容値を下回るしきい値を設定し,このしきい値以上の全ての周波数において

最終試験を実施する。 

例えば,ある予備試験結果が製品規格で規定する許容値の10 dB以内であった場合,その全ての周波数

で最終試験を実施する。 

B.3.2 最終試験 

24 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

最終試験において,測定用受信機は,予備試験によって決定した周波数に同調させる。最終試験は,測

定用受信機の表示が最も高い値を示すターンテーブルの角度で実施する。 

注記 測定する信号が広帯域,又は変動するなど十分な周波数安定性が得られない場合,放射エミッ

ションレベルの最大値を確実に捕捉するために,追加測定が必要な場合がある。その場合,試

験機器の微調整が必要になることもある。 

B.4 

試験報告書 

試験報告書は,放射エミッション測定に関する次の項目について記載する。 

a) 予備試験によって調査したEUTの構成及び動作モード 

b) 予備試験手順 

c) しきい値及び最終試験を実施する周波数を選択するために使用した手順 

d) 最終試験手順 

e) 最終試験に関する次の項目 

1) 周波数及び振幅 

2) 使用した検波器 

3) 適用した許容値 

4) 周波数ごとのターンテーブルの角度 

5) 測定距離 

6) アンテナの偏波 

f) 

最大放射エミッション[dB(μV/m)] 

25 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(参考) 

システム変換係数並びにエミッション及び 

イミュニティの同時検証方法の背景 

C.1 試験施設の検証方法における放射エミッションと放射イミュニティとの関係 

放射エミッション試験施設の検証方法である伝統的なANSI C63.4によるサイト減衰量(NSA)とJIS 

C 61000-4-3による電界均一面校正方法との間の直接的な関係を説明する。 

NSAは,式(C.1)によって算出する。 

Antenna,2

Antenna,1

site

direct

N

1

1

F

F

V

V

A

×

×

=

 ··················································· (C.1) 

ここに, 

AN: NSAの値 

Vdirect: 給電ケーブルを互いに接続した場合のスペク

トラムアナライザ又は測定用受信機の指示値 

FAntenna,1及びFAntenna,2: NSA測定に使用した送信及び受信アンテナの

自由空間アンテナ係数 

Vsite: 式(C.3)による。 

電力と電圧との関係から,Vdirectは,整合状態の下では,式(C.2)のように表現できる。 

L

F

direct

R

P

V

=

 ········································································ (C.2) 

ここに, 

PF: 校正ポイントでの進行波電力 

RL: 測定用受信機又はスペクトラムアナライザの入力インピーダ

ンス。通常は50 Ω。 

Vsiteは,アンテナ係数によって,式(C.3)のように表現できる。 

Antenna,2

site

F

E

V

=

 ········································································ (C.3) 

ここに, 

E: アンテナ#2(受信アンテナ)での電界強度(V/m) 

FAntenna,2: 受信アンテナの自由空間アンテナ係数 

式(C.2)及び式(C.3)を,式(C.1)に代入することによって,NSAは式(C.4)のようになる。 

Antenna,2

Antenna,1

Antenna,2

L

F

N

1

1

F

F

F

E

R

P

A

×

×

=

 ············································ (C.4) 

式(C.4)から,FAntenna,2は消去できる。さらに,進行波電力,及び電界センサなどを用いた電界強度の測

定ができる場合,FAntenna,1も不要となる。 

これまで記載の内容は,JIS C 61000-4-3の電界均一面校正方法の基本原理である。すなわち,1本の送

信アンテナを使用した,試験領域に発生した電界強度の測定,及びこの電界強度を発生させるのに必要な

進行波電力の測定によって校正を行う。 

進行波電力,電界強度及び1本の自由空間アンテナ係数が分かれば,式(C.1)〜式(C.3)を用いずに,式

(C.4)だけを用いてNSAを計算できる。 

C.2 システム利得GdBi及びシステム変換係数CdBの決定 

この規格で提案している検証及び校正を同時に行う方法は,アンテナ,試験設備,及び給電ケーブルの

全体を自由空間測定システムとみなすことができ,自由空間環境の下では,自由空間アンテナ係数に対す

26 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

る要求事項は不要となる。 

放射イミュニティ試験及び放射エミッション測定に使用するサイト検証方法を共通化する手段として,

等方性送信源による理想的遠方界自由空間特性を用いる。 

これはNSAの計算に用いた理想的微小ダイポールの放射パターンと類似している。 

理想的遠方界自由空間における,電界E(V/m)と電力密度PD(W/m2)との関係を,式(C.5)に示す。 

0

D

2

Z

P

E=

 ············································································· (C.5) 

ここに, 

Z0: 120π(Ω)の自由空間インピーダンス 

等方性送信源による球面上の電力密度PD(W/m2)と,送信源の進行波電力PF(W)との間には式(C.6)

の関係がある。 

2

F

D

π

4d

P

P=

 ············································································ (C.6) 

ここに, 

d: 送信源からの距離(m) 

絶対利得Gをもつ送信源からの電力密度は,式(C.7)になる。 

G

d

P

P

×

=

2

F

D

π

4

 ······································································· (C.7) 

PDに関する式(C.7)を式(C.5)に代入し,検証及び校正時に測定した順方向電力PFの給電点を基準とした

自由空間測定システムに対するシステム利得GdBi(dBi)を,式(C.8)によって導入する。 

=

F

2

2

dBi

30

log

10

P

d

E

G

 ································································· (C.8) 

この規格で用いているシステム変換係数CdB(dB)は,式(C.9)によって,システム利得から計算できる。 

(

)

dBi

MHz

dB

77

.

29

log

20

G

f

C

=

 ·················································· (C.9) 

上記のシステム変換係数CdBは,式(C.3)の自由空間アンテナ係数の用法と同じであり,測定用受信機又

はスペクトラムアナライザの測定電圧から電界Eへの変換に使用できる。 

通常用いる“アンテナ係数”は,アンテナそのものを基準としているが,この規格によって導入された

システム変換係数CdBは,FAR測定システムにおける新しい形式の“アンテナ係数”とみなすことができ

る。 

したがって,FARシステムにおいては,通常のアンテナ係数と区別するために,システム利得(GdBi)

をシステム変換係数に変換する表現としてCdBを用いている[式(C.9)参照]。 

注記 式(C.8)及び式(C.9)の導出に関する背景は,参考文献[5],[6]及び[7]参照。 

C.3 統計的考察 

式(C.8)及び式(C.9)は,単一位置でのシステム利得及びシステム変換係数である。 

実際の利得及び変換係数は,試験領域上の測定点ごとに変化するため,この規格では検証及び校正の手

順を用いて決定した平均値を用いている。 

試験領域中の個々の位置におけるシステム利得及びシステム変換係数の距離変化に対する補正後の値は,

全て同じ結果になることが望ましい。 

実際の試験システムにおける測定結果は試験領域中で変化するため,全測定点の測定値の標準偏差は試

験システム全体の品質に直接関係する。 

したがって,この規格における検証基準は,標準偏差

C

s

,

dB[5.4の式(4)を参照]を用いている。 

しかし,平均システム変換係数に起因する不確かさは,平均値の標準偏差

C

s

,

dB[5.4の式(5)を参照]に

27 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

依存する。 

したがって,附属書Dの例で用いている全体の不確かさは,

C

s

,

dBを基準としている。 

background image

28 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書D 
(参考) 

測定の不確かさ 

D.1 放射エミッション測定における測定の不確かさ 

D.1.1 不確かさの要因 

放射エミッション測定の不確かさの推定のために考慮する要因例を,図D.1に示す。 

図D.1−放射エミッション測定の不確かさの推定のために考慮する要因例 

この附属書に記載する測定の不確かさ及びその要因は,一例である。認証機関は,この附属書に示す影

響の要因については認証機関自身の数値を使わなければならない。不確かさの計算に使用する共通の専門

用語及び概念の追加的説明は,参考文献[4]参照。 

D.1.2 放射エミッション測定における不確かさの推定 

FARでの測定の場合,測定器の不確かさは,表D.1及び表D.2で示す例のように推定することが望まし

い。これらの表で使用する要因に関する詳細を,D.1.3に示す。検証セットアップのタイプについては5.2

参照。 

拡張不確かさ 

測定用受信機 

ケーブル 

− 測定用受信機の読み値 
− CW信号測定の正確さ 
− パルス振幅応答 
− パルス繰返し応答 
− 測定用受信機の雑音 

− 減衰量 
− インピーダンス不整合 

伝達係数 

− システム変換係数 
− 変換係数の補間 
− 電界プローブ校正 
 

又は基準アンテナ校正 

− 交さ(叉)偏波 

− 測定距離 
− 温度 

環境 

background image

29 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表D.1−FARにおける周波数範囲30 MHz〜1 GHzの放射エミッションに関する測定器の不確かさ 

入力量 

xi 

xiの不確かさ 

u(xi) 

 
 

dB 

ci 

[u(xi)]2 

検証時のセットアップの 

タイプ 

dB 

確率分布 

関数 

測定用
受信機 

受信機の読み値(1) 

Vr 

0.10 

k=1 

0.10 

0.01 

0.01 

0.01 

0.01 

正弦波電圧(2) 

δVsw 

1.00 

k=2 

0.50 

0.25 

0.25 

0.25 

0.25 

パルス振幅応答(3) 

δVpa 

1.50 

一様 

0.87 

0.75 

0.75 

0.75 

0.75 

パルス繰返し応答(4) 

δVpr 

1.50 

一様 

0.87 

0.75 

0.75 

0.75 

0.75 

信号対雑音比(5) 

δVnf 

0.50 

k=2 

0.25 

0.06 

0.06 

0.06 

0.06 

ケーブ
ル 

減衰(6) 

Lc 

0.30 

k=2 

0.15 

0.02 

0.02 

0.02 

0.02 

PTRと受信機との間の不整合(7) δM 

1.00 

U字形 

0.67 

0.45 

0.45 

0.45 

0.45 

システ
ム変換
係数 

平均システム変換係数(8) 

dB

0.46 

k=1 

0.46 

0.22 

0.22 

0.22 

0.22 

電界プローブ校正(9) 

δFFP 

1.70 

k=2 

0.85 

0.72 

− 

− 

− 

基準アンテナ校正(10) 

δFRA 

1.00 

k=2 

0.50 

− 

0.25 

0.25 

0.25 

基準アンテナと測定用受信機との
間のケーブル減衰(11) 

δAC2 

0.30 

k=2 

0.15 

− 

0.02 

0.02 

0.02 

基準アンテナと測定用受信機又は
ネットワークアナライザとの間の
不整合(12) 

δMC2 

1.00 

U字形 

0.67 

− 

0.45 

0.45 

0.45 

基準アンテナに接続した測定用受
信機(13) 

δVind 

1.00 

一様 

0.58 

− 

0.33 

− 

− 

周波数補間(14) 

δCf 

0.30 

一様 

0.17 

0.03 

0.03 

0.03 

0.03 

方向性結合器の結合係数(15) 

δFDC 

0.80 

k=2 

0.40 

0.16 

0.16 

− 

0.16 

方向性結合器の挿入損失(16) 

δADC 

0.60 

k=2 

0.30 

0.09 

0.09 

− 

0.09 

方向性結合器と高周波電力計との
間のケーブル減衰(17) 

δAC1 

0.30 

k=2 

0.15 

0.02 

0.02 

− 

0.02 

方向性結合器と高周波電力計との
間の不整合(18) 

δMC1 

1.00 

U字形 

0.67 

0.45 

0.45 

− 

0.45 

スペクトラムアナライザ又は高周
波電力計(19) 

δPind 

0.80 

一様 

0.46 

0.21 

0.21 

− 

− 

ネットワークアナライザ(20) 

δs21 

0.30 

k=2 

0.15 

− 

− 

0.02 

0.02 

交さ(叉)偏波(21) 

δAcp 

0.00 

− 

0.00 

0.00 

0.00 

0.00 

0.00 

環境 

アンテナとの離隔距離(22) 

δdmeas 

0.30 

一様 

0.17 

0.03 

0.03 

0.03 

0.03 

xi:入力推定値 
u(xi):標準不確かさ 
ci:感度係数 
k:包含係数 
uc:合成標準不確かさ 

注記 入力量欄の括弧内の番号は,D.1.3の番号付コメントを参照。 

また,網掛け部は,“拡張不確かさ”を示す。 

uc 

2.06 

2.14 

1.82 

2.01 

k=1.64 

3.37 

3.50 

2.99 

3.30 

k=2 

4.11 

4.27 

3.64 

4.02 

background image

30 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表D.2−FARにおける周波数範囲1 GHz〜18 GHzの放射エミッションに関する測定器の不確かさ 

入力量 

xi 

xiの不確かさ 

u(xi) 

 
 

dB 

ci 

[u(xi)]2 

検証時のセットアップの 

タイプ 

dB 

確率分布 

関数 

測定用 
受信機 

受信機の読み値(1) 

Vr 

0.10 

k=1 

0.10 

0.01 

0.01 

0.01 

0.01 

正弦波電圧(2) 

δVsw 

1.50 

k=2 

0.75 

0.56 

0.56 

0.56 

0.56 

信号対雑音比(5) 

δVnf 

0.70 

k=2 

0.35 

0.12 

0.12 

0.12 

0.12 

ケーブ
ル 

減衰(6) 

δLc,im 

0.30 

k=2 

0.15 

0.02 

0.02 

0.02 

0.02 

PTRと受信機との間の不整合(7) δM 

1.50 

U字形 

0.99 

0.98 

0.98 

0.98 

0.98 

システ
ム変換
係数 

平均システム変換係数(8) 

dB

0.77 

k=1 

0.77 

0.60 

0.60 

0.60 

0.60 

電界プローブ校正(9) 

δFFP 

1.70 

k=2 

0.85 

0.72 

− 

− 

− 

基準アンテナ校正(10) 

δFRA 

1.00 

k=2 

0.50 

− 

0.25 

0.25 

0.25 

基準アンテナと測定用受信機との
間のケーブル減衰(11) 

δAC2 

0.30 

k=2 

0.15 

− 

0.02 

0.02 

0.02 

基準アンテナと測定用受信機又は
ネットワークアナライザとの間の
不整合(12) 

δMC2 

1.50 

U字形 

0.99 

− 

0.98 

0.98 

0.98 

基準アンテナに接続した測定用受
信機(13) 

δVind 

1.00 

一様 

0.58 

− 

0.33 

− 

− 

周波数補間(14) 

δCf 

0.30 

一様 

0.17 

0.03 

0.03 

0.03 

0.03 

方向性結合器の結合係数(15) 

δFDC 

0.80 

k=2 

0.40 

0.16 

0.16 

− 

0.16 

方向性結合器の挿入損失(16) 

δADC 

0.60 

k=2 

0.30 

0.09 

0.09 

− 

0.09 

方向性結合器と高周波電力計との
間のケーブル減衰(17) 

δAC1 

0.30 

k=2 

0.15 

0.02 

0.02 

− 

0.02 

方向性結合器と高周波電力計との
間の不整合(18) 

δMC1 

1.50 

U字形 

0.99 

0.98 

0.98 

− 

0.98 

スペクトラムアナライザ又は高周
波電力計(19) 

δPind 

0.80 

一様 

0.46 

0.21 

0.21 

− 

− 

ネットワークアナライザ(20) 

δs21 

0.50 

k=2 

0.25 

− 

− 

0.06 

0.06 

交さ(叉)偏波(21) 

δAcp 

0.00 

− 

0.00 

0.00 

0.00 

0.00 

0.00 

環境 

アンテナとの離隔距離(22) 

δdmeas 

0.30 

一様 

0.17 

0.03 

0.03 

0.03 

0.03 

xi:入力推定値 
u(xi):標準不確かさ 
ci:感度係数 
k:包含係数 
uc:合成標準不確かさ 

注記 入力量欄の括弧内の番号は,D.1.3の番号付コメントを参照。 

また,網掛け部は,“拡張不確かさ”を示す。 

uc 

2.13 

2.33 

1.92 

2.22 

k=1.64 

3.50 

3.81 

3.14 

3.64 

k=2 

4.26 

4.65 

3.83 

4.44 

31 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

D.1.3 寄与成分に関するコメント 

表D.1及び表D.2における入力量の推定値xiに関連する不確かさは,表に示す周波数範囲内で考え,か

つ,CISPR 16-1-1に規定の測定設備仕様の許容差から導かれる最大の値である。表D.1及び表D.2の入

力量の列の括弧内の番号[(1)〜(22)]は,この箇条のコメントの番号と対応している。 

表D.1及び表D.2の値を得るための仮定は,認証機関によっては適切でない場合がある。認証機関が自

身の測定機器の拡張不確かさUlabを評価するときは,構成機器の特性,校正データの品質及び期限,既知

であるか又は可能性が高い確率分布,並びに規定の測定手順などの,その特定の測定システムについての

情報を考慮する。特に主要な不確かさが特定の周波数範囲において顕著に変化する場合,認証機関は,周

波数範囲を分割して,不確かさを評価してもよい。 

表D.1及び表D.2の最下部に記載している拡張不確かさは,包含係数k=2で評価している。この値は,

通常,真値が95 %の信頼性レベルで測定値の周り(両側)に対称の間隔にあることを示すときに選択す

る。一方の側の確率分布の評価の場合には,包含係数k=1.64を適用してもよいが,望ましくない。 

注記 IEC/TR 61000-1-6では包含係数k=1.64が抹消されているため,k=1.64の使用は望ましくな

い。 

コメントの後の注記は,ここで仮定しているものとは異なる状況又はデータに直面している認証機関の

ためのガイダンスを提供することを意図している。 

(1)受信機の読み値 測定用受信機の読み値は,測定システムの不安定性,測定用受信機内の雑音,メー

タの補間誤差などの理由によって変化する。電圧の推定値Vrは,経験的な標準偏差から得た測定不

確かさを含んだ多くの測定値の平均である。 

(2)正弦波電圧 測定用受信機の正弦波形電圧精度に対する補正電圧δVswの推定値は,拡張不確かさ及び

包含率を含んだ校正報告書から計算できることを前提としている。 

注記1 校正報告書に,測定用受信機の正弦波形電圧精度がCISPR 16-1-1に規定の許容差(±2 

dB)の範囲内であることだけが記載されている場合,補正電圧δVswは,一様確率分布関

数の半値幅2 dBをもつ0(ゼロ)値と仮定する。 

(3)パルス振幅応答 一般に,不完全な測定用受信機のパルス応答特性を補正することは,実用的でない。

測定用受信機のパルス振幅応答は,ピーク,準せん頭値,平均及び実効値検出がCISPR 16-1-1に規

定の±1.5 dBの許容差に適合した校正報告書を利用できることが,前提である。補正電圧δVpaは,一

様確率分布関数の半値幅1.5 dBをもつ0(ゼロ)値と仮定した。 

(4)パルス繰返し応答 パルス繰返し応答は,CISPR 16-1-1に規定の繰返し率及び検出タイプによって

変化する。測定用受信機のパルス繰返し応答は,CISPR 16-1-1に規定の許容差に適合した校正報告

書を利用できることが,前提である。補正電圧δVprは,一様確率分布関数の半値幅1.5 dBをもつ0

(ゼロ)値と仮定した。 

注記2 パルス振幅応答又はパルス繰返し応答が,CISPR 16-1-1に規定のαdB(ここでは,1.5 

dB)以下であることが検証された場合には,その応答性に対する補正は,一様確率分布

関数の半値幅α dBをもつ0(ゼロ)値と仮定してもよい。 

検出器において連続的な波形を発生する妨害の場合には,パルス応答補正は考える必要はない。 

(5)信号対雑音比 CISPR測定用受信機の信号対雑音比は放射妨害測定では無視することはできず,放射

妨害限度値の近傍では,信号対雑音比が測定結果に影響を及ぼす。 

注記3 放射妨害(エミッション)測定に対しては,補正電圧δVnfは,拡張不確かさ0.5 dB及び包

含係数2をもつ0(ゼロ)値と仮定した。 

32 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(6)減衰 変換基準点PTRと測定用受信機の入力との間の減衰量を測定することが必要である。ここでの

測定誤差は,放射エミッション測定結果に大きく影響を及ぼす。 

(7)PTRと受信機との間の不整合 一般に,測定用受信機のポートPTRを2端子回路網のポート1に接続

する。ポート2には反射係数Γrのパワーメータによって終端する。2端子回路網(ケーブル,アッテ

ネータ,並びにケーブル及びアッテネータの組合せか,又はその他の部品の組合せの場合がある。)

は,Sパラメータで表現できる。 

不整合の補正は,式(D.1)で算出する。 

(

)(

)

[

]

r

e

2

21

22

r

11

e

1

1

log

20

Γ

Γ

S

S

Γ

S

Γ

M

=

δ

 ····································· (D.1) 

ここに,ΓeはAMN又はEUTを接続したアブソービングクランプの受信ポートから見た反射係数

か,又は妨害波測定の際に使用したアンテナの出力ポートから見た反射係数である。全てのパラメー

タは,50 Ωに対するものである。 

Sパラメータの大きさだけ,又は大きさの両極の値だけが,製造業者などから提供されている場合

は,δMを計算することは不可能であるが,δMの値は式(D.2)の範囲内に存在する。 

(

)

[

]

2

21

r

e

22

11

r

e

22

r

11

e

1

log

20

S

Γ

Γ

S

S

Γ

Γ

S

Γ

S

Γ

M

+

+

+

±

=

±

δ

 ·········· (D.2) 

δMの確率分布は,上限値δM+及び下限値δM−を限界とするU字分布になり,標準偏差は半値幅以

下である。 

放射妨害測定では,使用するアンテナのVSWRは2.0対1以下と仮定する。その結果,Γeの絶対

値は0.33以下となる。測定用受信機への接続に使用するケーブルはよく整合した(そのS11及びS22

共に1より非常に小さく,かつ,そのS21がほぼ1に近い)ものである。また,その測定用受信機の

RF信号減衰量は,CISPR 16-1-1に規定のVSWRが2.0対1以下という許容差の場合には,Γrの絶対

値は0.33以下とした場合,0(ゼロ)dBと仮定した。 

補正値δMは,偏差(M+−M−)と等価な幅をもったU字の確率分布で,0(ゼロ)値と仮定した。 

注記4 不整合エラーを示すδM及びδM±の値は,測定用受信機とアンテナとの間に50 Ωに整合し

た減衰器を挿入することによって減らすことができる。ただし,測定感度が低下する。 

注記5 式(D.2)の更なる考慮点を,次に示す。 

a) それぞれのパラメータが0(ゼロ)であるか,又は相関性がない場合,二乗総和平方

根に置き換えてもよい。 

b) 通常,反射に関連するパラメータは小さい値であり,近似的に次の式となる。 

dB

)

(

)

(

)

(

7.8

2

2

21

r

e

2

22

r

2

11

e

S

Γ

Γ

S

Γ

S

Γ

M

+

+

±

δ

使用するアンテナによっては,使用する周波数によってそのVSWRが2.0対1以上となる場合が

ある。複雑なアンテナを使用する場合には,測定用受信機からみたインピーダンスがCISPR 16-1-1

に規定の2.0対1以下というVSWRの値に適合しているかについて,注意が必要な場合がある。 

(8)平均システム変換係数 平均システム変換係数は,15個の測定位置から導かれる。測定量が平均シ

ステム変換係数を参照するため,その標準偏差

C

s

,

dBは,不確かさの寄与成分として考慮する必要が

ある。表D.1及び表D.2において,15個の測定位置を考慮し,許容された平均の標準偏差を使用し

ている。 

(9)電界プローブ校正 検証及び校正のタイプ1セットアップでは,平均システム変換係数の評価は,フ

ィールドプローブが基準となる。この寄与成分は,校正の不確かさ,フィールドプローブの不均衡

33 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(異方性),フィールドプローブの周波数応答,及び温度特性の組合せである。通常,このデータは,

プローブのデータシート又は校正証明書から得ることができる。 

(10)基準アンテナ校正 検証及び校正のタイプ2〜4セットアップでは,平均システム変換係数は,基準

アンテナでの測定から導かれる。その自由空間アンテナファクタFRAは,包含係数及び拡張不確かさ

とともに校正報告書から取得することができる。 

(11)基準アンテナと測定用受信機との間のケーブル減衰 “基準アンテナ”と,“検証及び校正で使用す

る測定用受信機又はネットワークアナライザの入力”との間のケーブルの減衰量は,測定する必要が

ある。対応する測定不確かさは,平均的システム変換係数の導出に影響する。この寄与成分は,タイ

プ2〜4セットアップだけに適用する。 

(12)基準アンテナと測定用受信機又はネットワークアナライザとの間の不整合 “基準アンテナ”と,

“測定用受信機又はネットワークアナライザ”との接続は,不整合補正MC2によって考慮する必要が

ある。この寄与成分は,不整合補正に関係し,タイプ2〜4セットアップだけに適用する。 

(13)基準アンテナに接続した測定用受信機 検証及び校正の間,基準アンテナに接続する測定用受信機

はVindを表示する。不確かさの寄与成分は,測定用受信機の読み値と正弦波応答確度とを統合して,

タイプ2セットアップだけに適用する。 

(14)周波数補間 検証及び校正のデータが利用できる周波数測定点以外の中間の周波数について,補間

によって変換係数を計算する場合は,その変換係数に関係する不確かさは,検証及び校正時のポイン

トと変換係数の周波数の変化との間の周波数間隔に依存する。校正した変換係数を図面上に周波数ご

とに表すことは,状況を視覚化するのに役立つ。変換係数の補間エラーのための補正Cfは,半値幅

0.3 dBをもつ一様分布で,0(ゼロ)値と仮定した。 

注記6 校正したアンテナファクタを利用できる周波数では,この補正Cfは考慮する必要はな 

い。 

(15)方向性結合器の結合係数 方向性結合器の信号入力と進行波電力出力との間の結合ファクタは,事

前に測定しておく。これは,この結合ファクタ測定に関係する寄与成分である。それは,異なる方向

性結合器を検証及び校正,並びにイミュニティ試験で使用する場合だけに適用する。これは,タイプ

1,2及び4セットアップに適用する。 

(16)方向性結合器の挿入損失 方向性結合器の信号入力と信号出力との間の挿入損失は,測定する必要

がある。これは,この測定に関係する寄与成分である。これは,タイプ1,2及び4セットアップに

適用する。 

(17)方向性結合器と高周波電力計との間のケーブル減衰 検証及び校正のタイプ4セットアップでは,

方向性結合器の進行波出力とネットワークアナライザとの間でケーブルを用いる。しかし,それはイ

ミュニティ試験における方向性結合器とパワーメータとの間のケーブルと異なる場合がある。平均シ

ステム変換係数の導出では,その減衰を考慮する必要がある。この測定に関係する不確かさへの寄与

成分は,タイプ1,2及び4セットアップに適用する。 

(18)方向性結合器と高周波電力計との間の不整合 方向性結合器の進行波電力出力とネットワークアナ

ライザとの接続は,不整合補正MC1によって考慮する必要がある。この寄与成分は,不整合補正に関

係し,タイプ1,2及び4のセットアップだけに適用する。評価の原理についての詳細は,この細分

箇条のコメント(7)参照。 

(19)スペクトラムアナライザ又は高周波電力計 検証及び校正の間,方向性結合器の出力に接続してい

るスペクトラムアナライザ及びパワーメータは,Pindの値を表示する。その不確かさの寄与成分は,

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

測定用受信機の読み値と正弦波応答確度とを統合したものとなり,タイプ1及び2のセットアップだ

けに適用する。 

(20)ネットワークアナライザ 検証及び校正のタイプ3及び4のセットアップでは,パラメータS21を

測定する。この測定と関連した不確かさは,平均的システム変換係数の導出の不確かさに影響する。 

(21)交さ(叉)偏波 バイコニカルアンテナの交差偏波の応答は,無視できる。対数周期アンテナの交

差偏波応答のための補正δAcpは,半値幅が0.9 dBの一様波の確率分布で,0(ゼロ)値と仮定した。

これはCISPR 16-1-1の交差偏波応答の−20 dBの許容差に相当する。 

(22)アンテナとの離隔距離 分離におけるエラーは,EUTの周辺部,距離測定,及びアンテナマストの

傾きの決定におけるエラーから生じる。分離エラーのための補正δdmeasurementは,0.1 mを最大の分離

エラーとみなして評価した半値幅をもった一様の確率分布で,0(ゼロ)値と仮定した。その電界強

度はその距離マージン上の分離に逆比例する。 

D.2 イミュニティ試験における測定の不確かさ 

D.2.1 一般 

イミュニティ試験の結果は,数値ではなく単に“適合”又は“不適合”で表すため,イミュニティ試験

における測定の不確かさを,放射エミッション測定における測定の不確かさと同じ方法で取り扱うことは

できない。イミュニティ試験では,幾つかのパラメータで特徴付けられる妨害量を,EUTに印加する。

試験結果が適合か不適合かを判定するため,EUTの状態を監視又は観測し,性能評価基準と比較する。 

放射エミッション測定の不確かさは,EUTからの信号測定の不確かさとなる。これに対して,イミュ

ニティ試験の監視プロセスは,EUTに固有であるため,監視システム(観測者)の測定の不確かさとし

て扱うことができない。 

測定の不確かさは,妨害量のパラメータに対して特定できる。この測定の不確かさは,特定の測定器の,

この基本規格の規定への適合性に関係する。イミュニティ試験装置の不確かさは,この規格で規定した電

磁現象と,実際の電磁現象との間の一致度を表していない。したがって,この規格で規定する妨害量に関

する事項は,試験装置の不確かさと関係しない。 

EUTに対する妨害量の影響は未知であり,ほとんどの場合,EUTは非線形の挙動を示すので,個々の

不確さの数値を,全体の不確かさとして決定することはできない。個々の妨害量に対する測定の不確かさ

は,特定の妨害量に固有のものであり,イミュニティ試験の不確かさは複数の不確かさから成る場合もあ

る。 

この附属書では,一つの例としてレベル設定(印加電界強度設定)における測定の不確かさについて記

載する。他の妨害量(例えば,電界均一性,変調,増幅器飽和による高調波)の不確かさについては,記

載しない。 

D.2.2 不確かさの要因 

イミュニティ試験における測定の不確かさの推定のために考慮する要因例を,図D.2に示す。図は,例

であり完全なものではない。 

background image

35 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図D.2−イミュニティ試験における不確かさの推定のために考慮する要因例 

この附属書に記載する測定の不確かさ及びそのバジェットは,一例である。認証機関は,この附属書に

示す影響の要因については認証機関自身の数値を使わなければならない。不確かさの計算に使用する共通

の専門用語及び概念の追加的説明は,参考文献[4]参照。 

D.2.3 イミュニティ試験におけるレベル設定の不確かさの推定 

表D.3及び表D.4に示す不確かさのバジェットは,検証及び校正のセットアップのタイプ(5.2参照)

並びにケーブル及び測定器の選定に強く依存する。例えば,認証機関がタイプ1のセットアップの検証及

び校正を行っており,かつ,イミュニティ試験において同じケーブル及び測定器を用いている場合は,レ

ベル設定の不確かさは最小になる。 

測定器 

− 高周波電力計 
− 電力増幅器 
− ソフトウェアの 
 

レベル設定精度 

ケーブル 

− システム変換係数 
− 変換係数の補間 
− 電界プローブ校正 
 

又は基準アンテナ校正 

− 交さ(叉)偏波 

− 減衰量 
− インピーダンス不整合 

伝達係数 

− 測定距離 
− 温度 

環境 

拡張不確かさ 

background image

36 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表D.3−FARにおける周波数範囲30 MHz〜1 GHzのイミュニティ試験の 

レベル設定に関する測定器の不確かさ 

入力量 

xi 

xiの不確かさ 

u(xi) 

 
 

dB 

ci 

[u(xi)]2 

検証時のセットアップの 

タイプ 

dB 

確率分布 

関数 


高周波電力計(1) 

δPind,t 

0.80 

一様 

0.46 

0.21 

0.21 

0.21 

0.21 

電力増幅器の利得(2) 

δgPA 

0.20 

一様 

0.12 

0.01 

0.01 

0.01 

0.01 

ソフトウェアのレベル設定範囲(3) 

δgSW 

0.60 

一様 

0.35 

0.12 

0.12 

0.12 

0.12 



方向性結合器の結合係数(4) 

δkCLfor,t 

0.80 

k=2 

0.40 

− 

− 

0.16 

− 

方向性結合器の挿入損失(5) 

δkILDC,t 

0.60 

k=2 

0.30 

− 

− 

0.09 

− 

方向性結合器と高周波電力計との間
のケーブル減衰(6) 

δkILC1 

0.30 

k=2 

0.15 

− 

− 

0.02 

− 

方向性結合器と高周波電力計との間
の不整合(7) 

δMC1 

1.50 

U字形 

0.99 

− 

− 

0.98 

− 

方向性結合器とPTRとの間の不整合
(8) 

δMTRP 

1.50 

U字形 

0.99 

− 

− 

0.98 

− 





平均システム変換係数(9) 

dB

0.77 

k=1 

0.77 

0.60 

0.60 

0.60 

0.60 

電界プローブ校正(10) 

δFFP 

1.70 

k=2 

0.85 

0.72 

− 

− 

− 

基準アンテナ校正(11) 

δFRA 

1.00 

k=2 

0.50 

− 

0.25 

0.25 

0.25 

基準アンテナと測定用受信機との間
のケーブル減衰(12) 

δAC2 

0.30 

k=2 

0.15 

− 

0.02 

0.02 

0.02 

基準アンテナと測定用受信機又はネ
ットワークアナライザとの間の不整
合(13) 

δMC2 

1.50 

U字形 

0.99 

− 

0.98 

0.98 

0.98 

基準アンテナに接続した測定用受信
機(14) 

δVind 

1.00 

一様 

0.58 

− 

0.33 

− 

− 

周波数補間(15) 

δCf 

0.30 

一様 

0.17 

0.03 

0.03 

0.03 

0.03 

方向性結合器の結合係数(16) 

δFDC 

0.80 

k=2 

0.40 

− 

− 

− 

− 

方向性結合器の挿入損失(17) 

δADC 

0.60 

k=2 

0.30 

− 

− 

− 

− 

方向性結合器と高周波電力計との間
のケーブル減衰(18) 

δAC1 

0.30 

k=2 

0.15 

− 

− 

− 

0.02 

方向性結合器と高周波電力計との間
の不整合(19) 

δMC1 

1.50 

U字形 

0.99 

− 

0.98 

− 

0.98 

スペクトラムアナライザ又は高周波
電力計(20) 

δPind 

0.80 

一様 

0.46 

0.21 

0.21 

− 

− 

ネットワークアナライザ(21) 

δs21 

0.50 

k=2 

0.25 

− 

− 

0.06 

0.06 

交さ(叉)偏波(22) 

δAcp 

0.00 

− 

0.00 

0.00 

0.00 

0.00 

0.00 


アンテナとの離隔距離(23) 

δdmeas 

0.30 

一様 

0.17 

0.03 

0.03 

0.03 

0.03 

xi:入力推定値 
u(xi):標準不確かさ 
ci:感度係数 
k:包含係数 
uc:合成標準不確かさ 

注記 入力量欄の括弧内の番号は,D.2.4の番号付コメントを参照。 

また,網掛け部は,“拡張不確かさ”を示す。 

uc 

1.39 

1.95 

2.13 

1.82 

k=1.64 

2.29 

3.19 

3.50 

2.99 

k=2 

2.79 

3.89 

4.27 

3.65 

background image

37 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表D.4−FARにおける周波数範囲1 GHz〜18 GHzのイミュニティ試験の 

レベル設定に関する測定器の不確かさ 

入力量 

xi 

xiの不確かさ 

u(xi) 

 
 

dB 

ci 

[u(xi)]2 

検証時のセットアップの 

タイプ 

dB 

確率分布 

関数 


高周波電力計(1) 

δPind,t 

0.80 

一様 

0.46 

0.21 

0.21 

0.21 

0.21 

電力増幅器の利得(2) 

δgPA 

0.20 

一様 

0.12 

0.01 

0.01 

0.01 

0.01 

ソフトウェアのレベル設定範囲(3) 

δgSW 

0.60 

一様 

0.35 

0.12 

0.12 

0.12 

0.12 



方向性結合器の結合係数(4) 

δkCLfor,t 

0.80 

k=2 

0.40 

− 

− 

0.16 

− 

方向性結合器の挿入損失(5) 

δkILDC,t 

0.60 

k=2 

0.30 

− 

− 

0.09 

− 

方向性結合器と高周波電力計との間の
ケーブル減衰(6) 

δkILC1 

0.30 

k=2 

0.15 

− 

− 

0.02 

− 

方向性結合器と高周波電力計との間の
不整合(7) 

δMC1 

1.50 

U字形 

0.99 

− 

− 

0.98 

− 

方向性結合器とPTRとの間の不整合
(8) 

δMTRP 

1.50 

U字形 

0.99 

− 

− 

0.98 

− 





平均システム変換係数(9) 

dB

0.46 

k=1 

0.46 

0.22 

0.22 

0.22 

0.22 

電界プローブ校正(10) 

δFFP 

1.70 

k=2 

0.85 

0.72 

− 

− 

− 

基準アンテナ校正(11) 

δFRA 

1.00 

k=2 

0.50 

− 

0.25 

0.25 

0.25 

基準アンテナと測定用受信機との間の
ケーブル減衰(12) 

δAC2 

0.30 

k=2 

0.15 

− 

0.02 

0.02 

0.02 

基準アンテナと測定用受信機又はネッ
トワークアナライザとの間の不整合
(13) 

δMC2 

1.50 

U字形 

0.99 

− 

0.98 

0.98 

0.98 

基準アンテナに接続した測定用受信機
(14) 

δVind 

1.00 

一様 

0.58 

− 

0.33 

− 

− 

周波数補間(15) 

δCf 

0.30 

一様 

0.17 

0.03 

0.03 

0.03 

0.03 

方向性結合器の結合係数(16) 

δFDC 

0.80 

k=2 

0.40 

− 

− 

− 

− 

方向性結合器の挿入損失(17) 

δADC 

0.60 

k=2 

0.30 

− 

− 

− 

− 

方向性結合器と高周波電力計との間の
ケーブル減衰(18) 

δAC1 

0.30 

k=2 

0.15 

− 

− 

− 

0.02 

方向性結合器と高周波電力計との間の
不整合(19) 

δMC1 

1.50 

U字形 

0.99 

− 

0.98 

− 

0.98 

スペクトラムアナライザ又は高周波電
力計(20) 

δPind 

0.80 

一様 

0.46 

0.21 

0.21 

− 

− 

ネットワークアナライザ(21) 

δs21 

0.50 

k=2 

0.25 

− 

− 

0.06 

0.06 

交さ(叉)偏波(22) 

δAcp 

0.00 

− 

0.00 

0.00 

0.00 

0.00 

0.00 


アンテナとの離隔距離(23) 

δdmeas 

0.30 

一様 

0.17 

0.03 

0.03 

0.03 

0.03 

xi:入力推定値 
u(xi):標準不確かさ 
ci:感度係数 
k:包含係数 
uc:合成標準不確かさ 

注記 入力量欄の括弧内の番号は,D.2.4の番号付コメントを参照。 

また,網掛け部は,“拡張不確かさ”を示す。 

uc 

1.25 

1.84 

2.04 

1.71 

k=1.64 

2.05 

3.02 

3.35 

2.81 

k=2 

2.50 

3.69 

4.08 

3.43 

38 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

D.2.4 寄与成分に関するコメント 

表D.3及び表D.4における入力量の推定値xiに関連する不確かさは,表に示す周波数範囲内で考えられ

る最大の値である。表D.3及び表D.4の入力量の列の括弧内の番号[(1)〜(23)]は,この箇条のコメン

トの番号と対応している。 

表D.3及び表D.4の値を得るための仮定は,認証機関によっては適切でない場合がある。認証機関が自

身の測定機器の拡張不確かさを評価するときは,構成機器の特性,校正データの品質及び期限,既知であ

るか又は可能性が高い確率分布,並びに規定の測定手順などのその測定システムについての情報を考慮す

ることが望ましい。特に主要な不確かさが特定の周波数範囲において顕著に変化する場合,認証機関は,

周波数範囲を分割して,不確かさを評価してもよい。 

表D.3及び表D.4の最下部に記載している拡張不確かさは,包含係数k=2で評価している。この値は,

通常,真値が95 %の信頼性レベルで測定値の周り(両側)に対称の間隔にあることを示すときに選択す

る。一方の側の確率分布の評価の場合には,包含係数k=1.64を適用してもよいが,望ましくない。 

注記 IEC/TR 61000-1-6では包含係数k=1.64が抹消されているため,k=1.64の使用は望ましくな

い。 

コメントの後の注記は,ここで仮定されているのとは異なる状況,又はデータに直面している認証機関

のためのガイダンスを提供することを意図している。 

(1)高周波電力計 イミュニティ試験に使用する高周波電力計及びセンサの不確かさに関連する寄与成分。

不確かさは,製造業者の仕様書,又は校正証明書から導くことができる。ここで,検証及び校正のタ

イプ1セットアップに使用したケーブル及び器具を,EUT試験に使用する場合には,スペクトラム

アナライザ又は高周波電力計(20)のリニアリティ及び繰返し性の寄与を減らすことができる。 

(2)電力増幅器の利得 定常状態に達した後の電力増幅器の短期利得変動の不確かさ。 

(3)ソフトウェアのレベル設定範囲 信号発生器の周波数ステップ,及びイミュニティ試験中におけるレ

ベル設定のためのソフトウェアのレベル設定範囲の不確かさ。ソフトウェアのレベル設定範囲(ソフ

トウェアが目的のレベルと認識するレベル範囲)は,通常,認証機関で調整ができる。 

(4)方向性結合器の結合係数 結合係数測定に関連する不確かさ。一般的に,イミュニティ試験で使用す

る方向性結合器の信号入力と,進行波電力出力との間の結合係数は,事前に測定しておく。検証及び

校正のタイプ1,2及び4セットアップにおいて,検証及び校正並びに試験で,同じ方向性結合器,

ケーブル及び器具を使用する場合は,不確かさを考慮しなくてもよい。 

(5)方向性結合器の挿入損失 方向性結合器の挿入損失測定に関係する不確かさ。イミュニティ試験で使

用する方向性結合器の信号入力と信号出力との間の挿入損失を測定する必要がある。検証及び校正の

タイプ1,2及び4セットアップにおいて,検証及び校正並びに試験で,同じ方向性結合器,ケーブ

ル及び器具を使用する場合は,不確かさを考慮しなくてもよい。 

(6)方向性結合器と高周波電力計との間のケーブル減衰 イミュニティ試験に使用するケーブルに関連す

る不確かさ。高周波電力計と方向性結合器との間に使用するケーブルが検証及び校正とEUT試験と

で異なる場合には,特性を考慮する必要がある。これは典型的には,検証及び校正のタイプ3セット

アップの場合に考慮する。 

(7)方向性結合器と高周波電力計との間の不整合 方向性結合器と高周波電力計との間の不整合に起因す

る不確かさ。方向性結合器の進行波出力を2端子回路網のポート1に接続する。ポート2には反射係

数Γrの高周波電力計によって終端する。2端子回路網はネットワークアナライザのSパラメータで表

現できる。 

39 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

不整合の補正は,式(D.3)で算出する。 

(

)(

)

[

]

r

e

2

21

22

r

11

e

1

1

log

20

Γ

Γ

S

S

Γ

S

Γ

M

=

δ

 ····································· (D.3) 

ここに,Γeは方向性結合器の出力ポートをみた反射係数である。全てのSパラメータ及び反射係数

は,50 Ωに対するものである。 

Sパラメータ又は反射係数の大きさだけ,又は大きさの両極の値だけが,製造業者などから提供さ

れている場合は,δMを計算することは不可能であるが,δMの値は式(D.4)の範囲内に存在する。 

(

)

[

]

2

21

r

e

22

11

r

e

22

r

11

e

1

log

20

S

Γ

Γ

S

S

Γ

Γ

S

Γ

S

Γ

M

+

+

+

±

=

±

δ

 ·········· (D.4) 

δMの確率分布は,上限値δM+及び下限値δM−を限界とするU字分布になり,標準偏差は半値幅以

下である。 

注記1 不整合エラーを示すδM及びδM±の値は,測定用受信機とアンテナとの間に50 Ωに整合し

た減衰器を挿入することによって減らすことができる。ただし,測定感度が低下する。 

注記2 式(D.4)の更なる考慮点を,次に示す。 

a) それぞれのパラメータが0(ゼロ)であるか,又は相関性がない場合,二乗総和平方

根に置き換えてもよい。 

b) 通常,反射に関連するパラメータは小さい値であり,近似的に次の式となる。 

2

2

21

r

e

2

22

r

2

11

e

)

(

)

(

)

(

7.8

S

Γ

Γ

S

Γ

S

Γ

M

+

+

±

δ

ここに, δM±: U字分布の半値幅 

この寄与成分は,一般的には,検証及び校正のタイプ3セットアップにだけ関係する。 

(8)方向性結合器とPTRとの間の不整合 方向性結合器とPTRとの間の不整合に起因する不確かさ。イミ

ュニティ試験のために方向性結合器の出力をPTRに接続する。不整合の補正は,通常,検証及び校正

のタイプ3セットアップに関連する不確かさの寄与成分だけに必要となる。 

(9)平均システム変換係数 平均システム変換係数は,15個の測定位置から導かれる。測定量が平均シ

ステム変換係数を参照するため,その標準偏差

C

s

,

dBは,不確かさの寄与成分として考慮する必要が

ある。表D.3及び表D.4において,15個の測定位置を考慮し,許容された平均の標準偏差を使用し

ている。 

(10)電界プローブ校正 検証及び校正のタイプ1セットアップでは,平均システム変換係数の評価は,

フィールドプローブが基準となる。この寄与成分は,校正の不確かさ,フィールドプローブの不均衡

(異方性),フィールドプローブの周波数応答,及び温度特性の組合せである。通常,このデータは,

プローブのデータシート又は校正証明書から得ることができる。 

(11)基準アンテナ校正 検証及び校正のタイプ2〜4セットアップでは,平均システム変換係数は,基準

アンテナでの測定から導かれる。その自由空間アンテナファクタFRAは,包含係数及び拡張不確かさ

とともに校正報告書から取得することができる。 

(12)基準アンテナと測定用受信機との間のケーブル減衰 “基準アンテナ”と,“検証及び校正で使用す

る測定用受信機又はネットワークアナライザの入力”との間のケーブルの減衰量は,測定する必要が

ある。対応する測定不確かさは,平均的システム変換係数の導出に影響する。この寄与成分は,タイ

プ2〜4セットアップだけに適用する。 

(13)基準アンテナと測定用受信機又はネットワークアナライザとの間の不整合 “基準アンテナ”と,

“測定用受信機又はネットワークアナライザ”との接続は,不整合補正MC2によって考慮する必要が

40 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ある。この寄与成分は,不整合補正に関係し,タイプ2〜4セットアップだけに適用する。 

(14)基準アンテナに接続した測定用受信機 検証及び校正の間,基準アンテナに接続する測定用受信機

はVindを表示する。不確かさの寄与成分は,測定用受信機の読み値と正弦波応答確度とを統合して,

タイプ2セットアップだけに適用する。 

(15)周波数補間 検証及び校正のデータが利用できる周波数測定点以外の中間の周波数について,補間

によって変換係数を計算する場合は,その変換係数に関係する不確かさは,検証及び校正時のポイン

トと変換係数の周波数の変化との間の周波数間隔に依存する。校正した変換係数を図面上に周波数ご

とに表すことは,状況を視覚化するのに役立つ。変換係数の補間エラーのための補正Cfは,半値幅

0.3 dBをもつ一様分布で,0(ゼロ)値と仮定した。 

注記3 校正したアンテナファクタを利用できる周波数では,この補正Cfは考慮する必要はな 

い。 

(16)方向性結合器の結合係数 方向性結合器の信号入力と進行波電力出力との間の結合ファクタは,事

前に測定しておく。これは,この結合ファクタ測定に関係する寄与成分である。それは,異なる方向

性結合器を検証及び校正,並びにイミュニティ試験で使用する場合だけに適用する。 

(17)方向性結合器の挿入損失 方向性結合器の信号入力と信号出力との間の挿入損失は,測定する必要

がある。これは,この測定に関係する寄与成分である。また,これは,異なる方向性結合器を検証及

び校正,並びにイミュニティ試験で使用する場合だけに適用する。 

(18)方向性結合器と高周波電力計との間のケーブル減衰 検証及び校正のタイプ4セットアップでは,

方向性結合器の進行波出力とネットワークアナライザとの間でケーブルを用いる。しかし,それはイ

ミュニティ試験における方向性結合器とパワーメータとの間のケーブルと異なる場合がある。平均シ

ステム変換係数の導出では,その減衰を考慮する必要がある。この測定に関係する不確かさへの寄与

成分は,タイプ4セットアップに適用する。 

(19)方向性結合器と高周波電力計との間の不整合 方向性結合器の進行波電力出力とネットワークアナ

ライザとの接続は,不整合補正MC1によって考慮する必要がある。この寄与成分は,不整合補正に関

係し,タイプ2及び4のセットアップだけに適用する。評価の原理についての詳細は,この細分箇条

のコメント(7)参照。 

(20)スペクトラムアナライザ又は高周波電力計 検証及び校正の間,方向性結合器の出力に接続してい

るスペクトラムアナライザ及びパワーメータは,Pindの値を表示する。その不確かさの寄与成分は,

測定用受信機の読み値と正弦波応答確度とを統合したものとなり,タイプ1及び2のセットアップだ

けに適用する。この細分箇条のコメント(1)とともに,同じパワーメータをイミュニティ試験に使

えば,パワーメータの繰返し性及び直線性に関する不確かさを減らすことができる。 

(21)ネットワークアナライザ 検証及び校正のタイプ3及び4のセットアップでは,パラメータS21を

測定する。この測定と関連した不確かさは,平均的システム変換係数の導出の不確かさに影響する。 

(22)交さ(叉)偏波 バイコニカルアンテナの交差偏波の応答は,無視できる。対数周期アンテナの交

差偏波応答のための補正δAcpは,半値幅が0.9 dBの一様波の確率分布で,0(ゼロ)値と仮定した。

これは,CISPR 16-1-1の交差偏波応答の−20 dBの許容差に相当する。 

注記4 ダイポールアンテナを使用する場合,補正δAcpは無視できる。 

(23)アンテナとの離隔距離 分離におけるエラーは,EUTの周辺部,距離測定,及びアンテナマストの

傾きの決定におけるエラーから生じる。分離エラーのための補正δdmeasurementは,0.1 mを最大の分離

エラーとみなして評価した半値幅をもった一様の確率分布で,0(ゼロ)値と仮定した。その電界強

41 

C 61000-4-22:2014 (IEC 61000-4-22:2010) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

度はその距離マージン上の分離に逆比例する。 

参考文献 

[1] IEC Guide 107:2009,Electromagnetic compatibility−Guide to the drafting of electromagnetic 

compatibility publications 

[2] JIS C 61000-4-3:2012 電磁両立性−第4-3部:試験及び測定技術−放射無線周波電磁界イミュニテ

ィ試験 

注記 対応国際規格:IEC 61000-4-3:2006+A1:2007,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4-

3: Testing and measurement techniques−Radiated, radio-frequency, electromagnetic field 

immunity test(IDT) 

[3] CISPR/TR 16-4-1:2009,Specification for radio disturbance and immunity measuring apparatus and 

methods−Part 4-1: Uncertainties, statistics and limit modelling−Uncertainties in standardized EMC tests 

[4] TS Z 0033 測定における不確かさの表現のガイド 

注記 対応国際規格:ISO/IEC Guide 98-3,Uncertainty of measurement−Part 3: Guide to the 

expression of uncertainty in measurement (GUM: 1995)(IDT) 

[5] ANSI C63.4-2009,American National Standard for Methods of Measurement of Radio-Noise Emissions 

from Low-Voltage Electrical and Electronic Equipment in the Range of 9 kHz to 40 GHz 

[6] Kraus, John Daniel, Antennas, 2nd ed., McGraw-Hill, 1988, Section 2-25. 

[7] Lee, Kai Fong, Principles of Antenna Theory, Wiley, 1984, Section 4-4.