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C 60695-8-1

:2004 (IEC 60695-8-1:2001)

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日

本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC 60695-8-1:2001,Fire hazard testing

−Part 8-1: Heat release−General guidance を基礎として用いた。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。


C 60695-8-1

:2004 (IEC 60695-8-1:2001)

目  次

ページ

序文 

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

2

3.

  定義

2

3.1

  発熱(heat release) 

2

3.2

  発熱率・発熱速度(heat release rate)

2

3.3

  燃焼熱(heat of combustion) 

2

3.4

  総燃焼熱(gross heat of combustion)

2

3.5

  真燃焼熱(net heat of combustion) 

3

3.6

  有効燃焼熱(effective heat of combustion)

3

4.

  発熱測定の原理 

3

4.1

  酸素消費量法による発熱 

4

4.2

  二酸化炭素生成量法による発熱

6

4.3

  ガス温度上昇法による発熱 

6

5.

  試験方法選択のための検討 

6

5.1

  着火源

6

5.2

  試験試料の種類

6

5.3

  試験条件の選択  

6

5.4

  試験装置  試験装置は 

7

6.

  発熱データの関連性

7

6.1

  最大炎の広がりの推定 

7

6.2

  自己伝ぱ燃焼しきい値の決定

7

6.3

  フラッシュオーバに達する確率

8

6.4

  発熱試験の価値

8

参考文献

9

 


日本工業規格

JIS

 C

60695-8-1

:2004

(IEC 60695-8-1

:2001

)

耐火性試験−電気・電子−第8−1部:

発熱−一般指針

Fire hazard testing

−Part 8-1: Heat release−General guidance

序文  この規格は,2001 年に第 1 版として発行された IEC 60695-8-1:2001,Fire hazard testing−Part 8-1: Heat

release

−General guidance を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規

格である。

火災は,熱の発生(熱危険)

,有毒化合物,腐食性化合物及び/又は煙による視界不良の結果として生命

及び財産に対する危険を生じる原因となる。火災リスクは発熱が増加するにつれて増大し,フラッシュオ

ーバ火災につながる可能性がある。

耐火性試験における最も重要な測定項目の一つは発熱の測定であり,それは火災危険を決定する際の重

要な要因として用いられ,また,火災安全工学の諸計算におけるパラメータの一つとしても用いられる。

発熱データの測定及び使用は,その他の火災試験データと合わせて,火災の可能性(又は火災の諸影響)

を減少させることになり,電気・電子製品の異常な使用方法,誤用又は故障のような場合に発生するかも

しれない火災でさえも減少させることができる。

材料が何らかの外部熱源によって加熱されるとき,加熱分解放出物が生成し,空気と混合して発火し燃

焼が始まることがある。この過程において放出された熱は,燃焼放出物と空気の混合物によって運ばれて

放散するか,又は固体材料に伝達されて更なる加熱分解生成物を生成する。このようにしてこの燃焼過程

が継続していくことになる。

また,熱は近くにある他の部品又は製品に伝達し,それが燃えるとまた更に熱と燃焼放出物とが発生す

る。

燃焼時に発熱(熱)エネルギーが放出される割合は,発熱率として定義されている。発熱率は,炎の広

がり及び二次火災の開始に影響するので重要である。発火性,着火性,炎の伝ぱ及び火災の二次効果(IEC 

60695

規格群参照)などの諸特性もまた重要である。

1. 

適用範囲  この規格は,電気・電子製品及びそれらを構成している材料の発熱評価についての指針に

ついて規定する。発熱データは,火災危険性評価の一環として,また,JIS C 60695-1-1  に規定するような

火災安全工学に使用する。個別製品規格作成に際しては可能な限り基本的安全規格を使用する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

IEC 60695-8-1:2001

,Fire hazard testing−Part 8-1: Heat release−General guidance (IDT)


C 60695-8-1

:2004 (IEC 60695-8-1:2001)

2. 

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発効年(又は発行年)を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの

規格の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。

JIS C 60695-1-1:2000

  環境試験方法−電気・電子−耐火性試験    電気製品の火災危険評価指針−一般

指針

備考 IEC 

60695-1-1:1999

,Fire hazard testing−Part 1-1: Guidance for assessing the fire hazard of

electrotechnical products

−General guidelines  からの引用事項がこの規格と同等である。

なお,JIS C 60695-1-1:2000  は,IEC 60695-1-1:1995  と一致している。

ISO/IEC 13943:2000

,Fire safety−Vocabulary

3. 

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,ISO/IEC 13943  によるほか,次による。

3.1 

発熱(heat release)  規定の条件で,物品の燃焼によって発生する熱エネルギー。

備考  発熱は,ジュールで表す。

(ISO/IEC 13943

,  定義 87 参照)

3.2 

発熱率・発熱速度(heat release rate)  規定の条件で,燃焼している間に物品によって単位時間当たり

に発生する熱エネルギー。

備考  発熱は,ワットで表す。

(ISO/IEC 13943

,  定義 88 参照)

3.3 

燃焼熱(heat of combustion)  物質の単位質量の燃焼によって発生する熱エネルギー。

備考  燃焼熱は,キログラム当たりのジュールで表す。

(ISO/IEC 13943

,  定義 86 参照)

3.4 

総燃焼熱(gross heat of combustion)  材料又は製品が完全に燃焼し,燃焼生成物が標準状態にあると

きの,単位質量当たり放出された熱エネルギー。

備考  物質の標準燃焼熱は,熱化学の用語では,1 モルの物質が標準状態で完全燃焼したときのエン

タルピー変化として規定している。燃焼学の分野では,燃焼熱は“総発熱量”又は“総燃焼熱”

といわれる。そして,ここで用いられる単位はモル当たりのエネルギーよりも,質量当たりの

エネルギーが用いられる。燃焼生成物の水は,液体状態にあると考えられる。炭素と水素を含

有する化合物にとって,例えば,完全燃焼はすべての炭素が二酸化炭素ガスになり,すべての

水素は液体状態の水になることを意味している。

総燃焼熱は,酸素ボンブ熱量計法によって測定する。砕いた少量の材料をボンブの中に入れ

純粋酸素を圧力をかけて封入し,電気火花で点火する。このようにして,試料全体が完全に酸

化物になる。実際の燃焼では,このようなことはほとんどないことに注意しなければならない。

可燃材料は,しばしば,チャー(炭状物)となって残り,また,煙の中のすす及び/又は一酸

化炭素のように,部分的に酸化される。

3.5 

真燃焼熱(net heat of combustion)  物質が完全に燃え,そして蒸気状態にあると考えられる水以外の

燃焼生成物が標準状態にあるときの単位質量当たりの発生熱。

備考  真燃焼熱は,常に総燃焼熱よりも小さい。なぜならば,水蒸気の凝縮によって放出される熱が

含まれていないからである。


C 60695-8-1

:2004 (IEC 60695-8-1:2001)

3.6 

有効燃焼熱(effective heat of combustion)  定められた時間内に発生した熱を,同一の時間内に燃焼し

た試料から失われた質量で除して計算する。

備考  多くの場合,有効燃焼熱は同じ試料の真燃焼熱と同一にはならない。有効燃焼熱が同一となる

唯一の場合は,試料全体が使われ(すなわち,すべてが揮発性の燃料に変換され)また,燃焼

生成物が完全に酸化されているときである。

次の例で真燃焼熱と有効燃焼熱との違いを説明する。

例 1:  トルエン

トルエンの真燃焼熱は 40.99 MJ/kg であって,次の式で表わされる化学反応によって発

生する熱エネルギーの量である。

C

7

H

8

(液体)+ 9O

2

(気体)→ 7CO

2

(気体)+ 4H

2

O

(気体)

トルエンがコーンカロリメータ内で燃やされると不完全燃焼して,すす,一酸化炭素及

びその他の部分酸化物を生成する。外部からの熱流束がない場合,トルエンの有効燃焼熱

の代表的な値は不完全燃焼であることを反映して約 36 MJ/kg である。この例の場合,試料

全体が揮発する。その結果,揮発燃料の有効燃焼熱は試料の有効燃焼熱と同一になる。試

料の一部が残さとして残ればそうはならない(

例 を参照)。

例 2:  木材

100 g

の木材が燃えて,20 g の炭素質炭状物が残り,960 kJ の熱を発生したとする。有効

燃焼熱は 12 MJ/kg(すなわち,960 kJ/80 g)となり,80 g の揮発分解生成物が燃えたとき

のキログラム当たりに発生する熱量である。これは,試料 1 キログラム当たりに発生する

9.6 MJ/kg

(すなわち,960 kJ/100 g)という熱とは異なる。木材の真燃焼熱は,かなり高い

数字であって一般には 16 MJ/kg と 19 MJ/kg との間であり,木材が完全燃焼してすべて

酸化生成物となったときの熱量であることに注意しなければならない。

4. 

発熱測定の原理  発熱は,次の方法のいずれか一つを用いて測定する。

a) 

酸素消費量法

b) 

二酸化炭素生成量法

c) 

ガス温度上昇法

これら三つの方法は,すべて火災の際に発生する熱量は,例えば,酸素ボンブ熱量計で測定される真燃

焼熱とは異なることがありえるという考えに基づいている。ボンブ熱量計の中の反応によって発生する熱

量は,材料の理論的燃焼熱と燃焼する材料の質量との積である。火災では完全燃焼はほとんどなく,材料

又は製品は,通常理論的燃焼熱よりも小さい有効燃焼熱を示す。

4.1 

酸素消費量法による発熱  大部分の有機物は,完全燃焼で消費する単位酸素量に対して,多かれ少

なかれ一定量の熱を発生する。[1]  この一定量の平均値は,13.1MJ/酸素 1kg であって,この値は小規模及

び大規模の両方の試験に実際に使用されている。もし,ある材料の正確な発熱量が分かっている場合は,

その値を発熱計算に使用すべきである。この酸素量と発熱の関係は,発熱量を測定し決定するためには,

燃焼の際に消費される酸素量及び排気ダクト中の質量流量速度を測定すれば十分であることを示している。


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表 に燃焼熱(真燃焼熱)の例を示した。[2]  エチレン,アセチレン,ポリオキシメチレン以外は,消

費酸素 1 kg 当たりの計算燃焼熱は 12.51 MJ と 13.6 MJ との間にある。

表 に示す値は完全燃焼したも

のとして計算してある。しかし,上述したように,ハゲットは不完全燃焼効果を検討し幾つかの例につい

Δ

Hc

(生成熱)の値を計算している。例えば,セルロースの燃焼において CO に対する CO

2

の比が 9:1

となる場合では,

(C

6

H

10

O

5

) + 5.7O

2

→ 5.4CO

2

 + 0.6CO + 5H

2

O

Δ

Hc =

−13.37 MJ/O

2

 1 kg

また,かなり多量の炭素質炭状物が生成する燃焼では,

(C

6

H

10

O

5

) + 3O

2

→ 3CO

2

 + 3CO + 5H

2

O

Δ

Hc =

−13.91 MJ/O

2

 1 kg

完全燃焼の場合では,

(C

6

H

10

O

5

) + 6O

2

→ 6CO

2

 + 5H

2

O

Δ

Hc =

−13.59 MJ/O

2

 1 kg

である。

ハゲットは,その他の幾つかの例についても検討し,消費される単位量の酸素当たりの発熱量は一定で

あるという想定がほとんどの場合十分に正しいであろうと結論している。

もちろん,特定の材料に対して酸素 1 kg 当たりの

Δ

Hc

(生成熱)の正しい値が分かっている場合は,

この値を概略値の代わりに用いることが望ましい[3]。


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 1a  各種燃料の燃焼熱(MJ/kg)と MJ/消費酸素 1 kg  との関係

Δ

Hc*

燃料

化学式

MJ/kg MJ/

酸素 1kg

メタン  (g) CH

4

 50  13

エタン  (g) C

2

H

6

 47  13

ブタン  (g) C

4

H

10

 46  13

オクタン  (l) C

8

H

18

 44  13

エチレン  (g) C

2

H

4

 47  14

アセチレン  (g) C

2

H

2

 48  16

ベンゼン  (l) C

6

H

6

 40  13

ポリエチレン -(-C

2

H

4

-)

n

- 43

13

ポリプロピレン -(C

3

H

6

-)

n

- 43

13

ポリイソブチレン -(-C

4

H

8

-)

n

- 44

13

ポリブタジエン -(-C

4

H

6

-)

n

- 43

13

ポリスチレン -(-C

8

H

8

-)

n

- 40

13

PVC -(CH

2

CHCl-)

n

- 16

13

PMMA -(-C

5

H

8

O

2

-)

n

- 25

13

PAN -(-C

3

H

3

N-)

n

- 31

14

ポリオキシメチレン -(-CH

2

O-)

n

- 15

15

PET -(-C

10

H

8

O

4

-)

n

- 22

13

ポリカーボネート -(-C

16

H

14

O

3

-)n- 30

13

セルローストリアセテート -(-C

12

H

16

O

8

-)n- 18

13

ナイロン -(-C

6

H

11

NO-)

n

- 30

13

セルロース -(-C

6

H

10

O

5

-)

n

- 16

14

綿 -

16

14

紙(新聞紙) -

18

13

木材(カエデ) -  19 13

かっ炭 -

25

13

石炭(れき青炭) -

35

14

注* 25℃における反応物と生成物,生成物はガス状態 
備考1.  (g) =  ガス,(l) =  液体

2.  3

列目の値の大部分は,熱力学データから計算して求めた。4 列目の値は,完全燃焼を仮定して 3 列目のデー

タを用いて計算した。

表 1b  各種絶縁油の燃焼熱(MJ/kg)と MJ/消費酸素 1 kg  との関係

Δ

Hc*

絶縁油

化学式

MJ/kg MJ/

酸素 1 kg

シリコーン油  (

1

) -  25  14.5

ペンタエリスリトールエス
テル  (

2

)

- 36.8 **

モノ-及びジペンジルトル
エン  (

3

)

- 39.5 **

鉱物パラフィン  (

4

) -

46.1

**

注* 25℃における反応物と生成物,生成物はガス状態            注**  現在,データなし 
(

1

)

変圧器用液体シリコーン,種別 T1,  IEC 60836 [4]

備考    第 10 技術委員会は種々の資料から燃焼熱の値が 25 MJ/kg から 27 MJ/kg であると了解している。

(

2

)

変圧器用エステル油,種別 T1,  IEC 61099 [5]

(

3

)

コンデンサ用絶縁油,IEC 60867 [6]

(

4

)

変圧器及び開閉装置用鉱物油,IEC 60296 [7]


C 60695-8-1

:2004 (IEC 60695-8-1:2001)

4.2 

二酸化炭素生成量法による発熱  この方法は,燃焼方法の化学量論の観点において,消費酸素の 1

分子当たりに発生したエネルギーは生成した二酸化炭素 1 分子当たりに発生したエネルギーにほぼ等しい

という考えに基づいている。そのようにして,燃焼が完全であるならば(例えば,CO/CO

2

比が非常に小

さい)反応物としての酸素の消費率は,生成物としての二酸化炭素の生成率に等しくなければならない。

この二つの率は,発熱の量を表しているはずである。この常数に対する平均値は,生成した二酸化炭素に

ついて 13.3 MJ/kg である。材料(燃料)又は製品(生成物)に対して,より正しい値が分かっている場

合は,その値を発熱の計算に用いることが望ましい。

一般に,二酸化炭素生成量法で測定された発熱の値は,酸素消費量法で測定された発熱率とよく一致し

ている。

4.3 

ガス温度上昇法による発熱  ガス温度法は,熱損失がなく,また,燃焼で生じた熱のすべてが空気

と燃焼放出物の熱い混合流の温度を上昇させるのに使われるので,その温度が燃焼域の下流で測定できる

という考えに基づいている。主として熱放射による熱損失が無視できるならばガス温度上昇法(熱電対列

法,サーモパイル法ともいう。

)は,酸素消費量や二酸化炭素生成量法と同じ発熱の値を示すであろう。発

熱は,熱電対列の位置で,通常は周囲温度を基準温度としてガス温度の上昇値を測定して決める。ガス温

度上昇値は,空気と燃焼放出物との全流量を測定する手段によって,適切な空気温度における混合物の比

熱を用いて発熱に変換できる。又は,メタンのような発熱値既知の物質の一定流量を用いて補正するとい

う方法で簡単に求めることもできる。

一般に,温度測定によって求めた発熱の値は,酸素消費量や二酸化炭素生成量法で求めた発熱の値より

も小さい。なぜならば,熱損失を通常は無視できないからである。小規模試験では,試験装置をできるだ

け断熱状態とするよう試みることによって熱損失を最少にできる。

5. 

試験方法選択のための検討

5.1 

着火源  着火源は,対象とする火災シナリオを代表とすると同時にできるだけ再現性があるように

選ばなければならない。

このことは着火源が次のいずれかにさらすことと同等の効果をもつものでなければならないことを意味

している。

a)

電気・電子機器又はシステムの中の,異常に偏った位置にある内部エネルギー源

b)

電気・電子機器又はシステムの外部にある,外部熱源又は外部火源

5.2 

試験試料の種類  試験試料の形状,大きさ及び配置を限定することが望ましい。装置の能力に応じ

て 3 種類の試験試料がある(試験方法によっては適用できる試料の種類が限られる)

a)  

製品試験    試験試料は製造製品とする。

b) 

模擬製品試験    試験試料は,コンポーネント又は製品機能を模擬したものとする。

c)

材料又は複合材料試験  試験試料は,基礎的材料(固体,液体又はガス)又は材料の単純な複合物と

する。

5.3 

試験条件の選択  大規模試験においては,製品の発熱試験条件を決める前に検討すべき幾つかの項

目がある。着火源の正しい選択に加えて,試験区画内配置(試験試料,着火源及び排気装置のそれぞれの

大きさと位置)

,その他のそこにある(例えば,その他の関連する燃焼性質の測定のために用いられる)設

備,換気の程度などが考慮されなければならない。

燃焼の換気は,換気の程度が異なる燃焼を表すように変動させる。例えば,換気良好の燃焼や換気不良

(換気を制御された)[8]  小規模試験においては,時として,正常の大気中の条件とは異なる条件の下で


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発熱を測定することもまた関心がもたれる(例えば,汚染雰囲気や,宇宙船内のような高酸素雰囲気の影

響を調べること,また,酸素を増やしたことによる熱放出の効果を模擬することなどである)

5.4 

試験装置  試験装置は 5.2 で規定した試験試料の中の一つの種類を水平位置又は垂直位置のいずれ

かで試験する能力をもっているものとする。選択する配置は,実際の製品とその製品の設置状態に関連す

る火災安全工学計算式に入力するために最も適切なデータを取得するようにすることが望ましい。

5.4.1 

小規模試験装置  試験装置は,試験試料の被照射面に均一な放射熱流束を課せる装置をもつものと

する(均一な熱流束を放射できる設備をもっているものとする)

。炭化けい素,タングステン-石英又は金

属巻線などの発熱要素をもつ電気的放射ヒータは,試験試料に均一な熱流束を照射可能であることが見い

出されている。試験装置は,試験試料表面に熱流束を当てることによって生じた燃焼放出物に点火できる

装置を用意するべきである。典型的な点火装置は,電気火花式点火装置又は小さな混合ガス炎であって,

両者とも十分に点火に役立つものである。

小規模試験装置は,燃焼放出物と排気の混合物全部を捕集する排気処理装置を備えていなければならな

い。質量流速と温度の測定を含む種々の測定装置も要求される。酸素消費量法に対しては十分な感度をも

つ酸素分析器,二酸化炭素生成量法に対しては十分な感度をもつ二酸化炭素と一酸化炭素分析器,ガス温

度上昇法に対しては十分な感度をもつ熱電対や熱電対列といった特殊な設備が必要である。

備考  試験設備は,多くの場合,試料の質量損失測定用ロードセル,煙による遮り測定のための排気

ダクト中に設けた光学装置,燃焼生成物濃度測定のための排気ダクト中に設けたガス分析器,

微粒子測定のためのすす収集装置,種々の位置に設けた温度・圧力測定機器のような,同時に

測定できる関連測定設備をもっている。また,当然試験装置を適切に校正できる装備をしてお

く。

5.4.2 

大規模試験装置  大規模試験装置は,少なくとも,発熱測定のための適切な装置をもつ排気ダクト

が正しく設置されていなければならない。その他の装置・機器も,試験の要求項目に応じて設備される。

小規模試験のところで述べた装置と同じ種類のものは,大規模試験に対しても役に立つものである。

5.4.3 

小規模試験方法と大規模試験方法との比較  発熱は,実火災における火災危険評価に対して必す

(須)の入力データであることが明らかになっている。火災危険評価に対する入力データは,大規模試験

装置や小規模試験装置から得られる。外部熱流束やその他の条件を適切に選択することで,小規模試験か

ら得られる種々の外部熱流束の水準における発熱と質量損失率の測定結果は,大規模試験で得られた測定

値と条件によってはよい相関がある。

6. 

発熱データの関連性  発熱データは,JIS C 60695-1-1 に規定したように,火災危険評価と火災安全工

学の一部に用いられている。

実火災や大規模火災試験における発熱率は,火災の大きさの尺度である。そのため,大規模試験におけ

る発熱率は,電気・電子製品を巻き込んでいる火災の激しさを評価するために用いられる。

6.1 

最大炎の広がりの推定  発熱率の測定や発熱試験装置で測定可能なその他の燃焼特性の測定から,

最大炎の広がり(おそらく,炎の広がり速度も)を,コンピュータ火災モデル,又は場合によっては簡単

な経験則を用いて推定可能であることが分かっている。

6.2 

自己伝ぱ燃焼しきい値の決定  発熱率は,抑制される燃焼と,衰えずに燃焼しつづける(すなわち,

自己伝ぱするようになる)燃焼とのしきい値を場合によっては識別できることが分かっている。自己伝ぱ

のしきい値に対応する発熱率を決定することも重要である。


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:2004 (IEC 60695-8-1:2001)

6.3 

フラッシュオーバに達する確率  電気・電子製品が火災に巻き込まれているとき,製品の量と発熱

と発熱率・発熱速度がフラッシュオーバに達する可能性のある火災の激しさに大いに寄与する。

6.4 

発熱試験の価値  新組成(例えば,難燃剤の添加や重要な化学的成分の変更などによる材料の新組

成)

,新しい設計(例えば,電気・電子製品の形状や寸法の変更による製品の設計)

,また,全体系の中で

の個々の製品の幾何学的配置を有効に用いることなどが火災安全の改善になる。発熱測定は上述の例にお

いて有益なデータとなる。


C 60695-8-1

:2004 (IEC 60695-8-1:2001)

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