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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本電子部品信頼性センター(RCJ)

/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC 60068-2-68:1994,Environmental 

testing―Part 2:Test―Test L:Dust and sandを基礎として用いた。 

 JIS C 0098には,次に示す附属書がある。 

  附属書A (参考) 一般的手引き 

  附属書B (参考) 関連規格 

C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ·················································································· 1 
1. 概要  ············································································· 1 
1.1 適用範囲及び目的  ································································ 1 
1.2 試験Lの種類  ···································································· 2 
2. 引用規格  ········································································· 2 
3. 定義  ············································································· 3 
4. 試験La:非研削性の細かい粉じんによる試験  ········································ 3 
4.1 試験方法La1:空気圧サイクル試験  ················································ 3 
4.2 試験方法La2:一定空気圧試験  ···················································· 5 
4.3 試験Laのためのガイダンス  ······················································· 7 
5. 試験Lb:降じん試験  ····························································· 14 
5.1 目的  ··········································································· 14 
5.2 試験方法Lb  ···································································· 14 
5.3 試験Lbのためのガイダンス  ······················································ 15 
6. 試験Lc:粉じん吹付け試験 ························································ 20 
6.1 試験方法Lc1:循環式試験槽試験 ·················································· 20 
6.2 試験方法Lc2:砂じんの任意吹付け試験 ············································ 23 
6.3 試験Lcのためのガイダンス ······················································· 25 
 
附属書A (参考) 一般的手引き ························································ 34 
附属書B (参考) 関連規格 ···························································· 41 

C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

                                      日本工業規格                      JIS 

C 0098:2002 

(IEC 60068-2-68:1994) 

環境試験方法―電気・電子― 

砂じん(塵)試験 

Environmental testing―Electrotechnical products―Dust and sand test 

序文 この規格は,1994年に第1版として発行されたIEC 60068-2-68,Environmental testing―Part 2:Test

―Test L:Dust and sandを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格

である。  

 なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。 

 この規格に記載する試験は,製品規格に評価の査定基準を規定する可能性のある効果に関する情報を与

えるものである。その効果とは次のものである。 

a) エンクロージャ(封入物,箱,覆い,こん包など製品を囲い込むもの,及び囲い込まれている製品の総

称)への粉じん(塵)の侵入  

b) 電気的特性の変化(例えば,接触不良,接触抵抗の変化,回路抵抗の変化) 

c) 拘束,すなわち,ベアリング,心棒,シャフトや他の可動部品の動きへの障害 

d) 表面の摩耗(侵食) 

e) 光学部品の表面の汚れ;潤滑油の汚れ 

f) 稼働上又はその他で必要な換気窓,ブッシング,管,フィルタ,絞りの目詰まり 

 この規格には電気・電子製品の構造的な完全性を検証するために利用するかもしれないいろいろな状況

を検討するために,又は使用中の動作条件を模擬するために,幾つかの異なった試験を規定する。  

 また,試験は微粒子物質を運ぶ空気の流れ方と微粒子物質の種類によって違うので,各試験ごとにそれ

ぞれの方法を規定する。 

1.   概要 この概要ではこの規格に規定するじん(塵)あい(埃)試験の全体構成を説明している。試験の全

体構成と各試験の特徴の概要を図1及び表1に示す。JIS C 0920の粉じん試験は,ここで提案する方法

La2と同等であることに注意されたい。附属書A参照。 

1.1   適用範囲及び目的 この規格は,空気中に浮遊している粉じんと砂が電気・電子製品に及ぼす影響を

調べるための試験方法を規定する。  

 この規格で規定する試験方法は,エアフィルタの試験に適用する意図はない。方法Lc2だけが高速(100 

m/sを超える)の砂による侵食効果を模擬するのに適した方法である。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

 なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD(修

正している),NEQ(同等でない)とする。 

background image

C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

IEC 60068-2-68:1994 Environmental testing―Part 2:Test―Test L:Dust and sand (IDT) 

1.2   試験Lの種類 粉じんと砂の試験は,次の3種類に分けられる。 

 La:研削性のない細かい粉じんによる試験。 

 この試験の第一の目的は,供試品の密閉性を調査することである。供試品をタルク粉末又は同等

の粉じんにさらす。供試品の内部と外部の圧力差を生じることになる温度サイクルの効果を再現す

る。 

 Lb:降じん試験。 

 この試験は,室内などの囲いのある場所での影響を調べるのが目的である。供試品を粉じんが小

量ずつ間欠的に吹き出して自然降下するように作られる低濃度の粉じん環境にさらす。 

 Lc:粉じん吹き付け試験。 

 この試験は,屋外や自動車の走る場所を想定した状況における密閉性と侵食の影響を調べるのが

目的である。供試品をある一定量の粉じん,砂又はそれらを混合したものを含んだ乱流又は層流の

空気の流れにさらす。 

表1 試験方法一覧 

種類 

粉じん/砂の種類 

粒子径 

粉じん/砂の濃度 

備考 

試験La 
 方法La1 
 
 
 
 方法La2 

 
タルク(1)又は 
FE粉末(2) 
 
 
タルク(1)又は 
FE粉末(2)  

 
<75 μm 

 
 
 
<75 μm 

 
600 g/m2/h 
(1時間に1 ㎡面積当たりの質
量) 
基準表面上のたい(堆)積量 
2 kg/m3(試験槽体積) 

 
試験槽内の空気圧の周
期的変化を含む。 
 
 
供試品内の空気圧を低
下させることがある。 

試験Lb 

カンラン石, 
石英, 
長石 

<75 μm 

6 g/m2/d 
(1日に1 m2面積当たりの質量)
基準表面上のたい積量 
 

自然降下粉じん 

試験Lc 
 方法Lc1 
 
 
 
 方法Lc2 

 
カンラン石, 
又は石英, 
又は長石 
 
カンラン石, 
又は石英, 
又は長石 

 
<75 μm, 
又は<150 μm, 
又は<850 μm 

 
<75 μm, 
又は<150 μm, 
又は<850 μm 

 
1 g/m3 
又は3 g/m3 
又は10 g/m3 
 
1 g/m3 
又は3 g/m3 
又は10 g/m3 

 
吹き付ける粉じんと砂
循環式試験槽。 
 
 
自然に吹き付ける粉じ
ん。 

 参考(1) タルク:滑石(けい酸マグネシウム水和物)の粉末  

   (2) FE粉末:消火用粉末(炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムの混合物) 

2.   引用規格 次に掲げる規格はこの規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。

これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成す

るものであって,その後の改正版・追補には適用しない。 

  JIS C 0920:1993 電気機械器具の防水試験及び固形物の侵入に対する保護等級 

備考 IEC 60529:1989 Degree of protection provided by enclosures (IP code)がこの規格に含まれてい

る。 

  IEC 60721-2-5:1991  Classification of environmental conditions―Part 2:Environmental conditions 

C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

appearing in nature―Section 5:Dust,sand,salt mist 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

3.1 粉じん (dust) 1 μmから150 μmの大きさの,不特定の物質又は混合物の微粒子物質(3.7の後の

備考参照)。 

3.2 粉じん濃度 (dust concentration) 空気中,単位体積当たりの粉じんの全質量。 

3.3 湿度 (humidity) 相対湿度,すなわちある温度の空気の飽和蒸気圧に対するその同じ温度の空気中

における実際の蒸気圧との比である。 

3.4 吸湿性 (hygroscopic) 湿気を吸収する性質。 

3.5 粒子寸法 (particle size) 粒子の形状が球体であることを前提にして,普通,ふるいによって測定す

るか,降下速度から計算するか又は顕微鏡画像の面積から求める粉じん(塵)粒子の一般的寸法。 

3.6 砂 (sand) 大きさが100 μmから2 000 μmで,形が球状から角張ったものまでいろいろ変わって

いる粒。ただし,環境試験においては,普通大きさを150 μmから850 μmに限定する。(3.7の後の備考

参照) 

3.7 ふるい(正方形の網目)[sieve (square-meshed)] ふるい分けによって物質の粒子の大きさを分別,調

整するものであり,試験用ふるいの標準規格に適合するもの。 

  備考 この規格の試験Lcについての記述では,砂は粉じんの中に含めている。 

4. 試験La:非研削性の細かい粉じんによる試験 

4.1 試験方法La1:空気圧サイクル試験 

4.1.1 目的 細かい粉じんの侵入に対する電気・電子製品の保護度合いを決定する。 

4.1.2 試験の概要 方法La1は,研削性のない75 μm未満の一定粒子径の粉末を空気で循環させた場所

に供試品をさらすものである。  

 空気は,垂直で下向きに流れるようにする。 

 ある種類のエンクロージャに対しては,粉末を侵入しやすくするために試験槽内の圧力を周期的に変化

させる。 

4.1.3 試験装置 試験槽は,規定量の試験粉じんを含む,主に縦方向であって層流でない空気流に,供試

品をさらさなくてはならない。このためには,粉じんをかき混ぜ,密閉した試験槽内に吹き入れなければ

ならない。4.1.4.6で規定する試験槽内の圧力サイクルができるようにしなければならない。  

 試験槽の底にたまった粉じんは循環して使用しなければならない。  

 供試品の体積は,試験槽体積の25 %以下でなければならない。その底面積は,試験槽有効空間の水平

断面積の50 %以下でなければならない。  

 供試品の大きさがこの規定に合わない場合は,次の方法のどれを適用するかを製品規格に規定しなけれ

ばならない。 

a) その供試品の密閉構造が幾つかの区分に分けられる構造の場合,その区分ごとに試験する。 

b) ドア,換気窓,いす,シャフトシールなどのような部品を含む製品の場合,端子,集電子などのよう

な製品の壊れやすい部分のある代表的な部品について,試験時に正規の取付け位置に取り付けて試験

する。 

c) 供試品と細かい点まで同じに設計された小形供試品によって試験する。 

 適切な試験装置の一例を図3に示す。 

4.1.4 試験条件 

C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.1.4.1 試験用粉じん 試験用粉じんは,研削性がなく乾燥した細かい粒子の粉末とし,大きさは50 μm

径の線で75 μm間隔の正方形に編まれたふるいを通過する粉末でなければならない。  

 タルク粉末は,この要求を満たしている。4.3.4.2を参照。  

 試験用粉じんは,20回までしか使用してはならない。その細かさを維持するために,粉末は乾燥させて

おくよう注意するのが望ましい。使用前に80 ℃で2時間加熱乾燥する。 

4.1.4.2 粉じん濃度 試験用粉じんの量は,試験槽内の基準面に毎時,1 m3当たり600±200 gの粉末が均

一にたい積する程度の量でなければならない。 

4.1.4.3 気流 試験槽内の空気を全体として上から下へ,層流にならないように流す。 

4.1.4.4 風速 試験槽内に粉じんを均一に分布できるような風速とする。 

4.1.4.5 湿度 試験槽内の相対湿度は,25 %未満でなくてはならない。これは試験槽内空気温度を上昇さ

せることで実現できる(附属書A.3参照)。 

4.1.4.6 供試品内部の空気圧 動作状態によって,供試エンクロージャは二つのカテゴリに分けられる。 

 カテゴリ1

     :エンクロージャ内部の気圧が,例えば,稼働中の熱サイクル効果によって周囲の大気圧と

異なる場合。 

 カテゴリ2

     :エンクロージャ内部の気圧が,周囲の大気圧と同じ場合。  

 製品規格には,エンクロージャのカテゴリ及び減圧量について規定する。 

4.1.4.6.1  カテゴリ1の供試品は,試験槽内に通常の使用状態で設置しなければならない。図2に規定する

周期の圧力変化を,真空ポンプを用いて行わなければならない。槽内圧力(減圧)は,製品規格の規定に従

い,周囲より2 kPa(20 mbar)又は5 kPa(50 mbar)低くなければならない。  

 粉じんは,図2に示すように各サイクルごとに噴き出させなければならない。 

4.1.4.6.2  カテゴリ2のエンクロージャは,試験槽内に通常の使用状態で設置する。この場合,真空ポンプ

を使用してはならない。 

4.1.4.7 試験の厳しさ 試験の厳しさは,試験槽内の空気圧と試験時間で決められる。それはエンクロー

ジャのカテゴリ(4.1.4.6を参照)に依存することであり,製品規格で規定しなければならない。  

 カテゴリ1

     :製品規格に減圧量2 kPa(20 mbar)又は5 kPa(50 mbar)を要求する場合は,試験時間は2時

間である。  

 カテゴリ2

     :大気圧の場合は,試験時間は4時間である。 

4.1.5 前処理 製品規格において前処理を要求してもよい。 

4.1.6 初期測定 供試品は,製品規格に従って目視検査,寸法測定及び機能的点検を行う。 

4.1.7 試験 試験槽内の空気は,相対湿度を25 %又はそれ以下に保つために十分高い温度にする。供試

品は試験室内周囲温度にした後,試験槽内に入れ,包装を取り去り,スイッチを切り,使用待機状態にし

て,通常使用状態又は製品規格で決められた姿勢に設置する。複数の供試品の場合は,供試品どうしが触

れないように,また粉じんの影響をお互いが妨げないように注意しなければならない。 

 試験中に供試品のスイッチをオンにするか,及び/又は動作状態にするかを製品規格に規定してもよい。  

 粉じんを試験槽内に入れ,カテゴリ1では決められた噴出時間の間,また,カテゴリ2では試験時間中

規定の濃度を保たなければならない。  

 試験終了後,供試品は粉じんが降下するまで,扉を閉じたまま試験槽内に放置する。 

4.1.8 中間測定 製品規格において試験中又は試験終了時,供試品を試験槽内に置いたままの状態での測

定を要求してもよい。その場合は,製品規格に測定内容及び測定時間,又は測定間隔を規定する。 

4.1.9 後処理 製品規格に他の規定がなければ,供試品は回復のために標準大気条件で2時間放置してお

C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

かなければならない。 

4.1.10  クリーニング 製品規格によっては,最終測定の前に供試品の外表面に付着した粉じんを除去する

よう指示する場合がある。 

4.1.11 最終測定 後処理後,供試品は製品規格に従って目視検査,寸法測定及び機能的点検を行う。 

4.1.12  製品規格に規定する事項 製品規格にこの試験を含める場合,適用可能な範囲で次の詳細事項を

規定しなければならない。製品規格では,次の項目に必要な情報を提供する。ここで,(*)印の付いた事

項は,必す(須)事項であり,特に注意して規定する。 

項目 

a) 供試品の大きさが,この規格に合わない場合に適用する試験手順 

4.1.3 

b) エンクロージャのカテゴリと減圧法* 

4.1.4.6 

c) 厳しさ* 

4.1.4.7  

 試験槽内の気圧* 

 試験時間* 

d) 前処理  

4.1.5 

e) 初期測定* 

4.1.6 

f) 供試品の状態,試験中の電気的負荷又は動作状態* 

4.1.7 

g) 通常の稼働姿勢と異なる場合の供試品の姿勢 

4.1.7 

h) 中間測定 

4.1.8 

i) 後処理 

4.1.9 

j) 供試品のクリーニング 

4.1.10 

k) 最終測定* 

4.1.11 

4.2 試験方法La2:一定空気圧試験  

4.2.1 目的 この試験は,細かい粉じんの侵入に対する電気・電子製品の保護の度合い決定することを目

的とする。 

4.2.2  概要 試験方法La2は,供試品を非研削性の75 μm未満の粒子径の粉末が大量に激しく流れる環

境にさらすものである。この試験は,自然環境又は自然に誘引されて起こるような環境を模擬するもので

はない。 

 この試験で規定する空気の流れは,垂直で下向きである。  

 規定したカテゴリのエンクロージャは,粉末を侵入しやすくするためにその内部の気圧を周囲空気圧よ

り低くして試験する。 

 規定量の粉末は,粉じん濃度が極めて高く,均一になることを保証するものである。粉じん濃度の監視

方法は規定していない。 

4.2.3 試験装置 試験槽は,供試品を,規定量の試験用粉じんを含んだ,主に垂直で下向きの層流になら

ない空気流にさらすものである。そのために,粉末をかく(撹)はん(拌)し,密閉した試験槽内に吹き込む。

製品規格に規定がある場合,供試品のすき間,ブッシングなどのようなところから粉じんを含んだ空気が

侵入できるように,真空ポンプを使用し供試品から空気を抜き取る。減圧は,調節可能で,かつ監視をし

なければならない。吸引速度も測定しなければならない。  

 試験槽の底にたまった粉じんは,循環して使うために運び戻さなければならない。  

 供試品の体積は,試験槽の体積の25 %以下でなければならない。また,供試品の底面積は,試験槽の

有効空間の水平断面積の50 %以下でなければならない。  

C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 供試品の大きさがこの規格に合わない場合は,次の方法のどれを適用するかを製品規格に規定しなけれ

ばならない。 

a) その供試品の密閉構造が幾つかの区分に分けられる構造の場合,その区分ごとに試験する。 

b) ドア,換気窓,いす,シャフトシールなどのような部品を含む製品の場合,端子,集電子などのよう

な製品の壊れやすい部分のある代表的な部品について,試験時に正規の取付け位置に取り付けて試験

する。 

c) 供試品と細かい点まで同じに設計された小形供試品による試験。 

 適切な試験装置の一例を,図4に示す。 

4.2.4 試験条件 

4.2.4.1 試験用粉じん 試験用粉じんは,試験方法La1の4.1.4.1で規定するものと同じとする。 

4.2.4.2 粉じん濃度 試験用粉じんの量は,試験槽の体積1 m3当たり少なくとも2 kgでなければならない。 

4.2.4.3 気流 試験槽内の空気の流れは,主に上から下への垂直方向とする。また,層流でないほうがよ

い。 

4.2.4.4 風速 試験槽内に粉じんを均一に分布できるような風速とする。 

4.2.4.5 湿度 試験槽内の相対湿度は,25 %未満でなければならない。これは試験槽内の空気温度を上げ

ることで実現できる(附属書A.3参照)。 

4.2.4.6 供試品内部の空気圧 動作状態によって,供試エンクロージャを二つのカテゴリに分ける。  

 カテゴリ1

     :エンクロージャ内部の気圧が,例えば,稼働中の熱サイクル効果によって周囲の大気圧と

異なる場合。  

 カテゴリ2

     :エンクロージャ内部の気圧が,周囲の大気圧と同じ場合。  

 製品規格には,エンクロージャのカテゴリ及び減圧量について規定する。 

4.2.4.6.1  カテゴリ1のエンクロージャのある供試品を,試験槽内に通常の使用状態で設置する。そして周

囲空気圧より供試品内部の気圧を低く保つために真空ポンプに接続する。このためにエンクロージャに適

切な孔をあけることが望ましい。供試品に凝縮水用の抜き取り孔があるものはこれにパイプをつなぐ。こ

の場合には,試験用に別の孔をあける必要はない。エンクロージャに凝縮水用の孔が幾つかある場合は,

真空パイプをどれか一つにつなぎ,他の孔は試験中ふさいでおく。 

4.2.4.6.2  カテゴリ2のエンクロージャのある供試品は,試験槽内に通常の使用状態で設置する。開口部は

すべてそのままにしておく。 

4.2.4.7 厳しさ 試験の厳しさは,エンクロージャのカテゴリ(4.2.4.6参照)に対応した,空気圧及び試験

時間で決定される。それらは製品規格にあらかじめ規定しなければならない。 

 カテゴリ1: 

 空気圧 :

   

 ― 2 kPa(20 mbar),5 kPa(50 mbar) 又は10 kPa(100 mbar) 

 試験時間:

     ― 製品規格に規定する最大の減圧圧力において,もしも空気流量が1時間当たりエンクロー

ジャ容積の40倍以下の場合は,80倍に達するまで試験を延長するか,又は8時間での停

止を一つの試験時間とする。 

― 空気流量が1時間当たりエンクロージャ容積の40倍から60倍が得られる場合,試験時

間は2時間とする。 

 この試験の目的は,供試品のエンクロージャ内空間を占める空気体積の少なくとも80倍に相当する空

気を,供試品のエンクロージャを通して吸引することにある。しかし,その流量は1時間当たりその体積

の60倍を超えてはならない。 

C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 カテゴリ2: 

 空気圧 :― 常圧 

 試験時間:― 8時間 

4.2.5 前処理 製品規格に前処理を要求してもよい。 

4.2.6 初期測定 供試品は,製品規格に従って目視検査,寸法測定及び機能的点検を行う。 

4.2.7 試験 試験槽内の空気は,相対湿度を25 %又はそれ以下に保つために十分高い温度にする。供試

品は試験室内周囲温度にした後,試験槽内に入れ,包装を取り去り,スイッチを切り,使用待機状態にし

て,通常使用状態又は製品規格で規定する姿勢に設置する。複数の供試品の場合は,供試品どうしが触れ

ないように,また粉じんの影響をお互いが妨げないように注意しなければならない。  

 試験中に供試品のスイッチをオンにするか,及び/又は動作状態にするかを製品規格に規定してもよい。  

 供試品が試験槽内に設置されたなら,真空ポンプを接続し(カテゴリ1)要求があればスイッチを入れる。  

 試験は,試験用粉じんの注入をもって開始とする。  

 試験終了時に真空ポンプを停止し(カテゴリ1),供試品は粉じんの降下が終わるまで扉を閉じたままの

試験槽内に放置する。 

4.2.8 中間測定 製品規格に試験中又は試験終了時,供試品を試験槽内に置いたままの状態での測定を要

求してもよい。その場合は,製品規格に測定内容及び測定時間,又は測定間隔を規定する。 

4.2.9 後処理 製品規格に他の規定がなければ,供試品は回復のために標準大気条件で2時間放置してお

かなければならない。 

4.2.10  クリーニング 製品規格には,最終測定の前に供試品の表面に付着した粉じんを除去するように指

示してもよい。 

4.2.11 最終測定 後処理後,供試品は製品規格に従って目視検査,寸法測定及び機能的点検を行う。 

4.2.12  製品規格に規定する事項 製品規格にこの試験を含める場合,適用可能な範囲で次の詳細事項を

規定しなければならない。製品規格では,次の項目に必要な情報(IEC 60068-5-1 11参照)を提供する。こ

こで,(*)印の付いた事項は,必す事項であり,特に注意して規定する。 

項目 

a) 供試品内部における減圧の生成 

4.2.3 

b) 供試品の大きさがこの規格に合わない場合に適用する試験手順 

4.2.3 

c) エンクロージャのカテゴリ及び減圧圧力* 

4.2.4.6 

d) 厳しさ* 

4.2.4.7 

― 空気圧力* 

― 試験時間* 

e) 前処理 

4.2.5 

f) 初期測定* 

4.2.6 

g) 供試品の状態,試験中の電気的負荷又は動作状態 

4.2.7 

h) 通常の稼働姿勢と異なる場合の供試品の姿勢 

4.2.7 

i) 中間測定 

4.2.8 

j) 後処理 

4.2.9 

k) クリーニング 

4.2.10 

l) 最終測定* 

4.2.11 

4.3 試験Laのためのガイダンス  

C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.3.1 電気・電子製品のじんあいの侵入に対する保護度合の検証方法 試験方法における主要因は,次の

二つである。 

a) 供試品の周りの大量に非研削性粉塵を含む空気 

b) 周囲環境又は供試品内部の,模擬する圧力変化 

 ここに示す方法は,密閉性試験として設計したもので,自然の粉じん環境の模擬試験に適したものでも

意図したものでもない。 

 基本的考え方と試験条件の発生方法を記述し,代替の試験用粉じんについても論じる。 

 更に,厳しさと再現性に影響する要因について論じ,試験結果の解釈と安全のための予防策を与える。 

 試験方法La2の試験装置は,4.3.3.3 に規定するがJIS C 0920の附属書で明確に述べられている粉じん密

閉性試験のための試験装置と全く同様である。 

4.3.2 試験La,非研削性の細かい粉じんによる試験の基本的考え方 

4.3.2.1 概要 試験Laに従って実施する試験の目的は,電気・電子製品への細かい粉じんの侵入に対する

エンクロージャの保護度合いを決定することである。 

 試験Laに従って実施する試験は,第一には供試品の粉じん密閉性を検証することで,第二には供試品

に侵入したあらゆる粉じんの有害な影響を検証することである。供試品へ侵入する粉じんの安全性と危険

性もまた,この粉じん試験方法によって検証できる。 

 粉じんが原因となる,電気・電子製品が被る安全性及び危険性は,電導性粉じんによって生じる感電又

は可燃性粉じんによって引き起こされる火災と爆発であろう。 

 この試験に必要な条件と限界を分析するために,粉じん源,作用及び効果についての考察を次項で述べ

る。 

4.3.2.2 粉じんの発生源 電気・電子製品の周囲に現れる粉じんは,幾つかの原因で生じる。例えば,通

気孔又は漏れのあるエンクロージャを通して製品内に侵入する石英,石炭,融雪塩,肥料などである。 

 居間や事務所で普通に使われている布又はじゅうたんから発生する綿又は羊毛(天然又は人造)の小さな

繊維もまた粉じんとなる。 

 他の発生源としては,納屋内の種子や製粉場でひかれた小麦粉からの粉じんがある。 

 粒子の大きさは,1 μmの断片から数100 μmまで様々である。 

4.3.2.3 粉じんの挙動及び影響  

4.3.2.3.1 侵入 試験品への粉じんの侵入は,次のようにして生じる。 

― 強制的に循環された空気によって運び込まれる。例えば,冷却目的の循環空気。 

― 空気の上昇気流動作によって運び込まれる。 

― 気温変化による大気圧の変動で空気が圧入される。 

― 風によって吹き込まれる。 

4.3.2.3.2 一次的影響 粉じんは,それ自身次の一つ又はそれ以上の有害な影響を及ぼすことがある。 

a) 可動部品の拘束 

b) 可動部品の摩耗 

c) 可動部品への付着によるアンバランスの発生 

d) 電気絶縁性の低下 

e) 誘電特性の低下 

f) エアフィルタの目詰まり 

g) 熱伝導度の低下 

C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

h) 光学的特性への障害 

4.3.2.3.3  二次的影響及び複合効果 粉じんが存在すると,他の環境要因と複合して試験品に有害な影響

をもたらすことがある。  

 例えば,腐食やかびの成長などである。特に温湿度環境は,化学的に活性な粉じんと結びついて腐食を

引き起こす。さらに,フィルターの目詰まり及び換気又は冷却能力の低下は,過熱と火災の危険を引き起

こす可能性がある。 

 管理されていない腐食性の粉じん,例えば,融雪塩などが及ぼす影響の調査は,実際の活性物質を混合

した試験用粉じんを使った粉じん試験に続けて温湿度試験を実施することで調べることができる。 

 しかし,再現性を維持するためには,中性の粉じんを使った粉じん試験とその後の標準化された腐食試

験とに調査を分けることを検討するのが望ましい。 

 吸湿性の粉じん物質が引き起こす影響を調査するためには,綿の糸くずを試験用粉じんに混合させて,

粉じん試験に続いて腐食試験を行ってもよい。 

4.3.2.4 粉じんに対する密閉性を検証するための試験 

4.3.2.4.1  供試品内部への空気の移動 供試品内への粉じんの侵入メカニズムに注目すると(4.3.2.1参照),

空気が供試品内に出入りする動きが試験方法として必要であることがわかる。 

 空気の移動は,供試品の構造によるが,一時的若しくは連続的に供試品を動作させるか,又はファンで

空気の流れを作り発生させる。また空気の移動は,減圧装置を使って供試品内部の圧力を連続的又は周期

的に変化させて外部との差圧を作り発生させることもできる。 

 この試験では後者の方法を採用しているが,その理由は試験の目的が粉じん密閉性の検証であり,再現

性を高精度で確保するためである。そして,空気の動きを簡単に作れるからでもある。しかし,ある場合

には試験結果に対する評価がむずかしくなることもある(4.3.8参照)。 

4.3.2.4.2  試験槽内の粉じん濃度 この試験の目的は,供試品の粉じん密閉性を検証することであり,供試

品が使用される実際の粉じん環境を想定したものではない。 

 したがって,試験槽内の必要条件は,供試品の周りを大量に粉じんを含んだ空気にすることだけである。

この粉じん濃度は,自然であれ人工環境であれ,実際の使用環境に比べて大変高い濃度であり,粉じんの

侵入を確認するに十分な濃度である。 

 参考までに,この試験の粉じんたい積率は(モニターしてないが),試験方法Lb降じん試験のたい積率

のおよそ1万倍である。 

4.3.2.4.3 一定圧力対周期的圧力 非研削性粉じん試験Laでは供試品の内外に模擬的な圧力差を作ること

を必要としている。 

 試験方法La1では,圧力差は周期的であり,試験槽内の圧力を変化させて行う。 

 試験方法La2では,圧力差は一定に保ち,真空ポンプを供試品につないで行う。 

 試験方法La1の利点は, 

― 圧力差は周期的であり,それは通常の使用環境でも見られる。 

― 周期的な圧力変化は一定圧力を用いたときに見られるように粉じんによってすき間をふさぐことがな

い。 

― 周期的な圧力変化が槽内圧力の変化で達成されるので,供試品の原形を損なう,つまり,供試品を傷つ

けることがなく,更に,ポンプに接続する孔をどれにするか選択に迷うこともないことである。 

 試験方法La2の利点は, 

― 試験方法La2は多くの試験機関に承認されており,他のIEC規格でも定着して採用されていることで

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ある。 

4.3.2.4.4  粉じんの大きさの選択 供試品の密閉性を評価するためには,任意の種類の粉じんを用いて試験

してもよい。しかし,最も重要なのは,粒子の大きさの分布(粒子径分布)であり,実使用場所に認められ

る最小の粒子を含んでいる必要がある。粉じん密閉性を調べるにはやわらかい材料である必要がある。そ

の理由は供試品に摩耗の影響を及ぼさないようにするためである。 

4.3.2.5 試験中の供試品の動作状態 粉じんの侵入は,試験中の供試品の動作状態によって変わり,それ

は供試品の防じん方式及び特性に依存する。 

 密閉構造で発熱を伴う供試品に起こるポンプ作用は,試験槽空気圧装置で作り出せるので,供試品はス

イッチオフの状態にして置くことができる。 

 例えば,モータシャフトや押しボタンのような可動部品のシールは動きに影響されることがあるので,

供試品は結局動作状態で試験しなければならない。 

 この粉じん試験方法は,開放構造の供試品,例えば,強制冷却用開口部のある供試品や対流式冷却用換

気口のある供試品には当てはまらない。それは,試験槽の粉じん濃度があまりにも高く試験結果の合理的

評価ができないからである。 

4.3.3 試験条件を作り出す方法 

4.3.3.1 一般的要求事項 再現可能な試験条件を作り出すために,次のパラメータについて一般的な要求

事項を満たさなければならない。 

a) 粉じん濃度 

b) 粉じん分布の均一性 

c) 温度 

d) 相対湿度 

e) 発生する静電気 

f) 供試品に加える模擬の気圧 

g) 粉じんの特性 

 パラメータa)からf)までは試験装置の設計で制御できるものである。 

 試験装置の設計に関する手引きを4.3.3.2と4.3.3.3に示す。試験用粉じんの選択に関する手引きを4.3.4

に示す。 

4.3.3.2 試験方法La1用の周期的な圧力変化を作り出す試験装置  

4.3.3.2.1  試験槽 適切な試験槽の一例を図3に示す。試験槽の内面は導電性のあるもので作り,静電気の

発生をさけるために接地する。もし試験品への粉じん侵入に関する静電気の影響が試験の目的であるなら

ば,供試品は試験槽に対して電位差を付けなければならない。 

 湿度は,試験槽の温度を上げることによって最も簡単に制御できる。試験槽内を等温状態にする一つの

方法は,アルミニューム製の槽を作り,その回りを断熱材で作った外槽で囲むことである。一定温度の加

熱空気を試験槽の内槽と外槽の間の空間に循環させる。空気の流れを均等に分布させるため,空気案内板

をこの空間に設置する。この原理は,十分な広さをもった温度差がなく対流のない試験槽の原理と同じで

ある。 

 供試品に対する周期的な圧力変化は,試験槽内の圧力の変化で実現できる。 

 そのため,試験槽は規定圧力に耐える適切な強度の構造を必要とする(4.3.3.2.3 参照)。 

4.3.3.2.2  粉じん噴出装置 粉じん噴出装置は試験槽内に適切な濃度の粉じんを均一に浮遊させることが

できなければならない。この機能は,試験槽の底から上部に粉じんを運びあげるスクリュー式コンベアで

C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

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実現できる。粉じん濃度は,スクリュー式コンベアの速度で制御できる。試験槽の底の形と粉じんの浮遊

特性によっては,スクリュー式コンベアの入り口に粉じんを導くかくはん器が必要になることもある。浮

遊粉じんの均一性は,スクリュー式コンベアの出口に水平においたファンで制御できる。 

4.3.3.2.3  空気圧周期的変化システム 自然な圧力変化を模擬し,結果として,供試品へ粉じんが侵入する

可能性を増大させるために,周期的な空気圧変化を供試品に与えなければならない。 

 周期的な空気圧変化は,試験槽内の圧力を周期的に変化させて実現する。 

 試験槽内圧力を低圧にする段階とそれに続く大気圧とする段階で1サイクルである。 

 試験の1サイクルごとに,大気圧に戻るときなどの気圧が増加する間に供試品の内部へ外側の空気が送

り込まれ,入換えが行われる。 

 供試品の内圧を変化させる代わりに,試験槽内の圧力を変化させる方法の長所は供試品に試験用の加工

をしなくてすむことである(4.3.2.4.3 参照)。 

4.3.3.3  試験方法La2用の一定空気圧で行う試験装置 試験方法La2の一定空気圧で行う試験装置は,JIS 

C 0920の附属書で規定している試験装置と同じである。 

 試験は,タルク粉末を高速の空気流で浮遊させた試験槽内に,供試品を置いて行う。供試品内部の空気

圧は周囲より低い圧力で一定に保つ。試験時間は供試品の大きさ,全漏えい量に依存する,それによって

交換される空気量が決まる。 

 試験装置に対する要求事項及び主な特徴を次に述べる。 

4.3.3.3.1  試験槽 適切な試験槽の一例を図4に示す。温度・相対湿度及び静電気に対して再現性を確保す

るための試験槽の構造についての必要事項は,4.3.3.2.1に示す。 

4.3.3.3.2  粉じん噴出装置 粉じん噴出装置は試験槽内に適切な濃度の粉じんを均一に浮遊させ続けるこ

とができなければならない。この機能は粉じんを循環させるファンを取り付けた空気循環システムを使う

ことによって実現できる。また,粉じんを均一にたい積させるには試験槽の上部にもう一つファンをつけ

る方法がある。この機能は,4.3.3.2.2に述べたようにスクリュー式コンベアシステムとファンを使っても

できる。 

4.3.3.3.3  一定空気圧システム 供試品に一定の空気圧を加えるには,供試品に真空ポンプを接続して行う。

そのために場合によっては供試品に孔をあける必要が生じ,供試品の原形を損なう,つまり,供試品を傷

つけることもある。(4.3.2.4.3参照) 

4.3.4 試験用粉じん 供試品の粉じん密閉性を評価するためにタルク粉末が標準化されているが,任意の

粉じんを用いても試験することができる。 

 最も重要なのは粒子径分布を決めることであり,実使用環境にある最小の大きさの粒子を含めなければ

ならない。1 μm未満のものが質量にして平均35 %あることがいろいろな場所で観察されている。 

 なお,粉じん密閉性試験ではやわらかい材料であることが必要である。その理由は供試品に摩耗の影響

を及ぼさないようにするためである。 

4.3.4.1 粉じんの組成 次の五つの特性が試験用粉じんの品位を選択するとき重要である。 

a) 入手可能性 

b) 硬さ 

c) 吸湿性 

d) 化学的不活性 

e) 健康への潜在危険性 

 試験La用粉じんとして,容易に入手できるものにタルクがある。タルクはマグネシウムけい酸塩でモ

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ース硬度1のものであり最もやわらかい材料である。 

 タルクは,吸湿性が高いので粉じん粒子の凝集を避けるために試験前に材料の乾燥が必要である。同じ

理由で,粉じん試験は試験槽内の相対湿度を少なくとも25 %より低く保つために温度を高めて実施する。

タルクは化学的には不活性である。 

 試験La用の粉じん材料として他に消火用の粉末(FE)がある。FE粉末は,金属ステアリン酸でコートし

た炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)又は炭酸水素カリウムか(顆)粒である。 

 この利点は,粉末の粒子を封止することに起因する吸湿性の低さである。それはまた,FE粉末を流れや

すくもしている。欠点は,F.E粉末の中には化学的に活性なものがあることで,粉じん試験のあと高湿度

環境にさらすと有害な影響を供試品に与える恐れがある。したがって,その点に関してF.E粉末の製造業

者に確認することが必要である。F.E粉末のモース硬度は約3である。 

 健康への潜在危険性については,附属書A.5参照。 

4.3.4.2 粒子径分布 この試験規格で必要な試験用粉じんは公称線経50 μmで公称線間75 μmの正方形

網のふるいを通過できるものである。 

 代表的なタルク粉末は,光学的分析によれば次のようなサイズ分布であった。 

― 63 μm未満 

質量で100 % 

― 40 μm 

45 % 

― 20 μm 

9 % 

― 10 μm 

0.9 % 

―  5 μm未満 

0.2 % 

 また,あるFE粉末では次のとおりであった。 

― 85 μm未満 

質量で100 % 

― 40 

26 % 

― 20 

5 % 

― 10 

0.7 % 

―  5 μm未満 

0.2 % 未満 

 二つの粉末とも小さな粒子径の成分は非常に少ないことがわかる(5 μm未満が0.2 %未満)。自然の粉

じんはその大きさ以下のものが含まれる率が高いので,この結果は更に研究が必要であることを示してい

る。 

 しかし,タルク粉末は再循環の間にすりつぶされるので,2回循環したときは小さな粒子を多く含むよ

うになる。 

 粒子のサイズの分布測定には幾つかの方法がある。その幾つかは粉じん試料の光学的分析に基づく方法

である。 

4.3.5 試験の厳しさ 

4.3.5.1 試験方法La1 試験方法La1の厳しさは,試験時間(圧力サイクルの数)と供試品の内部と外部の

差圧に比例する。 

 厳しさは,この二つのパラメータを適切に選択することで変化できるが,実際の最大差圧は供試品と試

験槽の強度によって限定される。 

4.3.5.2 試験方法La2 試験方法La2の厳しさは,試験時間と供試品の内部と外部の差圧に比例する。 

 厳しさは,この二つのパラメータを適切に選択することで変化できるが,実際の最大差圧は供試品の強

度によって限定される。 

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4.3.5.3 厳しさの指定 試験時間と差圧は供試品の特性(開放型か密閉型か)に合わせて決める。 

4.3.6 試験の再現性 非研削性の細かい粉じんによる試験の再現性は,次のパラメータによって決まる。 

― 相対湿度 

― 粉じん濃度 

― 粉じんの均質性 

― 粉じんの特性 

― 模擬空気圧 

― 試験時間 

4.3.6.1 試験方法La1,La2 相対湿度は,試験槽内温度を上げることによって通常25 %以下に保つ。こ

れは粉じん粒子が凝集しないようにするためである。高湿度環境ではこの条件を満たすために除湿装置が

必要になる場合もある。 

 粉じん濃度は非常に高いので再現性に与える影響は無視できる。 

 粉じんの均一性は再現性に大きな影響をもつので,均一性を保つための十分な注意が必要である。 

 粉じんの特性も再現性に大きな影響を与える。特に,粒子径分布は小さな粒子径のものの含有率を確認

する(4.3.4.2参照)。 

 試験時間又は圧力サイクル数は再現性に大きな影響がある。 

4.3.6.2 試験方法La1 差圧は使用場所において通常見られるように,周期的である。 

 周期的差圧であれば,一定圧を用いたときに見られるような,粉じんによってすき間が埋められること

がない。 

 試験方法La2と異なり,周期的差圧は試験槽圧力の変化で作り出される。このため,供試品の原形を確

保できる。ポンプ接続用の孔をあける必要もないし,ポンプ接続用孔をどれにするか選択に疑問を生じる

ことがない。 

 これらの要素は,試験方法La1の再現性を高めるのに寄与するものである。 

4.3.6.3 試験方法La2 試験方法La2は多くの試験機関で承認されていて,IEC規格にも採用されている。  

 しかし,この方法は,試験方法La1と比較した場合の不都合が解決されていない(4.3.6.2参照)。  

 一方,前述した不都合を知っている熟練した試験担当者であれば,試験方法La2の規格に従っても再現

性のある試験をすることができる。 

4.3.7 試験の適用限界 ここに述べた試験方法は,密閉性試験として設計したものであり,自然の粉じん

環境を再現しようと意図したものでもないし,それに適したものでもない。  

 柔らかい粉じんだけが供試品の密閉性を検査するのに必要であり,理由は供試品を傷つけないようにす

るためである。  

 したがって,耐摩耗性はこの試験方法で評価することができない。 

4.3.8 結果の解釈 細かい研削性のない粉じんによる試験の結果の解釈は多少難しい。特に粉じんが侵入

した供試品に対する有害性の解釈がそうである。次に,幾つかの特殊なケースの解釈について説明してお

く。 

4.3.8.1 粉じんの侵入がない場合 この場合の解釈は問題ない。 

4.3.8.2 粉じんの侵入がある場合 この場合は少しむずかしい。試験技術者は供試品に障害が発生したか

否かを調べなければならないし,その原因が侵入した粉じんであることも評価しなければならない。 

4.3.8.3  試験品に対する有害な影響 4.3.2.3.2及び4.3.2.3.3に述べたように,粉じんがひとつ又はそれ以上

の有害な影響を与え得るので,その影響がその供試品にとって問題ないか,適用できるかどうかを査定す

C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

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る必要がある。 

5. 試験Lb:降じん試験 

5.1 目的 この試験の目的は,電気・電子製品上への細かい粉じんの自然降下による影響を定めることに

ある。試験は,特別に粉じんを発生することがなく,粉じんが長期間かけて蓄積するような,空気の流れ

を無視できる密閉空間(例えば,居間,事務所,研究所,軽作業室,倉庫など)の中の環境を模擬すること

に適用する。 

5.2 試験方法Lb 

5.2.1 概要 この試験では,低濃度の規定の粉じんを一定間隔で試験槽に吹き込み,供試品上に降下させ

る。粉じんのたい積速度は規定の値以下に保ち,空気流速は,ほぼゼロ近くに保持し,より細かい粉じん

粒子の降下を妨げないようにする。試験槽内温度は,低い相対湿度を維持するために周囲温度以上とする。 

5.2.2 試験装置 試験装置は,次の特性を持った試験槽で構成する。 

― 試験槽の水平断面は,供試品上に降下する粉じんが規定値内で,しかも均一性を保つのに十分な大きさ

でなければならない。 

― 試験槽の高さは,試験中,供試品の周囲の空気流速をゼロ近くに保つために十分に高くなければならな

い。 

― 試験槽の内面は,導電性とし,静電気の蓄積を避けるため接地しなければならない。 

― 試験槽内の相対湿度は,25 %未満でなければならない。この状態は,試験槽空気温度を上昇させるこ

とによって達成できる(附属書A.3参照)。 

 試験用粉じんは,試験槽上部へ水平空気流で吹き込む。その注入部位は,粉じんを拡散させ,供試品上

に規定された一様な粉じんたい積を作るのに十分な高さでなければならない。粉じんを吹き込む際の空気

流は,供試品設置場所において流速0.2 m/sを超えてはならない。 

 粉じんの降じん量と均一性は,供試品に近い位置に,適切なサンプル板を水平に置いて測定しなければ

ならない。サンプル板は,試験の前後で計量しなければならない。試験空間にたい積する規定の粉じんた

い積量は,24時間で6±1 g/cm2でなければならない。 

 適切な試験装置の一例を図5に示す。 

5.2.3 試験用粉じん 試験用粉じんは,6.1.4.1,種類1細かい粉じんに規定する。 

 他の粉じんとして,例えば,混合粉じん(糸くず,土,セメントを含めた)などは,特定の試験に対して

は必要となるであろう。これらは,附属書Aに記載のガイダンスに基づいて,注意深くテイラーリングを

行わなければならない。 

 試験用粉じんの再利用は不可とする。 

5.2.4 試験の厳しさ 試験の厳しさは試験時間で指示し,製品規格に規定しなければならない。 

 試験時間: 

1日 

3日 

10日 

30日 

5.2.5 前処理 製品規格において前処理を要求してもよい。 

5.2.6 初期測定 供試品は,製品規格に従って目視検査,寸法測定及び機能的点検を行う。カバー,封止

部分,フィルタなどの試験結果に影響を及ぼすと思われる部分については,従うべき製品規格に従ってい

ることを確認しなければならない。 

5.2.7  試験 試験装置は,試験室の室温状態になければならない。供試品は,開こんして,“スイッチオフ”

C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

かつ,いつでも運転可能の状態にあるか,又は製品規格に規定された他の状態で試験槽内に設置しなけれ

ばならない。供試品の取付け姿勢を特定する場合には,製品規格に記載しなければならない。試験槽の温

度を40±2 ℃に上昇させる。温度上昇こう配は,0.1 ℃/分を超えないようにするか,又は試験槽を少なく

とも2時間かけて熱的に安定させる。次に規定の粉じんを試験槽に1分間吹き込んだ後,59分間自然降下

させる。吹込みの周期は,規定のたい積率になるように調節しなければならない。 

 試験終了後,試験槽の温度を標準大気状態の範囲にまで降下させる。温度降下こう(勾)配は,5分を超

えない期間の平均で1 ℃を超えてはならない。(作業者の)粉じん吸入のリスクを最小限に抑えるために,

試験槽内空間の粉じんが降下し終わるまで閉じておかなければならない。このための試験槽閉鎖の期間は,

ほぼ12時間を要するであろう。 

5.2.8 中間測定 製品規格によっては,試験の途中で供試品の測定を要求してもよい。しかし,試験途中

で供試品を試験槽から取り出して測定することは許されない。 

5.2.9 後処理 製品規格に他の規定がなければ,供試品は回復のために標準大気条件で2時間放置してお

かなければならない。 

5.2.10  最終測定 供試品は製品規格に従って目視検査,寸法測定及び機能的点検を行わなければならない。

供試品にダメージを与えそうな,又は機能不全を生じさせるような,供試品外部や内部の粉じんのたい積

には,特別な注意を払わなければならない。 

5.2.11  製品規格に規定すべき事項 製品規格にこの試験を含める場合,適用可能な範囲で次の詳細事項を

規定しなければならない。製品規格では次の項目に必要な情報を提供する。ここで,(*)印の付いた事項

は,必すであり,特に注意して規定する。 

項目 

a) 粉じんの種類(標準品以外のものを使う場合) 

5.2.3 

b) 厳しさ* ― 試験時間 

5.2.4 

c) 前処理 

5.2.5 

d) 初期測定* 

5.2.6 

e) 供試品の取付け状態 

5.2.7 

f) 標準的な動作位置と異なる場合の取付け位置 

5.2.7 

g) 中間測定 

5.2.8 

h) 後処理 

5.2.9 

i) 最終測定* 

5.2.10 

5.3 試験Lbのためのガイダンス 

5.3.1 シミュレーションの方法 ここでは部品や機械に粉じんが自然に降り積もった場合の影響を試験で

きるように設計したシミュレーションの方法についてのべる。 

 この試験の特徴は,屋内や閉め切った場所にあるようなほこりを想定して細かい粉じんを使い,それが

空気の動きに影響されることなく自然に落ちてつもる状況で行う点にある。 

5.3.2 屋内及び閉めきった場所での粉じんの特性と影響 

5.3.2.1 粉じんの発生源 屋内や閉め切った場所に発生する粉じんの発生源には幾つかある。粉じんは石

英,融雪塩,化学肥料などであり,屋内や閉め切った場所に,例えば,換気ダクトや窓のすき間から侵入

する。 

 粉じんはまた,綿,毛,天然又は人造の小さな繊維であることもあり,居間や事務所で普通使っている

じゅうたんや衣類から出る。 

C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 他には納屋の種とか粉引き機から発生する粉じんがある。 

 その成分と粒子径の分布は各粉じんで違う。しかし,粒子径の最大値で分類できる(5.3.3.2及び5.3.4.3

参照)。 

5.3.2.2 粉じんと砂の特性 空気の動きを無視できる屋内や密閉場所では次のような挙動及び影響が認め

られる。 

5.3.2.2.1 降下 供試品の上への粉じんの降下は,次の四つの異なったメカニズムで発生する。 

a) よど(淀)んだ空気中での降下 

b) おお(被)いの表面上への降下 

c) 静電気による付着 

d) 狭い開口部への侵入 

 粉じんの降下を妨害したり抑制するような空気の動きは,試験槽内の作業空間では起きないようにしな

ければならない。 

 狭い空間への侵入は,強制空冷装置を取り付けた供試品のフィルタに発生する。 

5.3.2.2.2 侵入 供試品内への粉じんの侵入は,以下のように発生する。 

― 例えば,冷却のための強制循環空気によるもの 

― 対流によるもの 

― 温度変化による熱膨張と大気圧力の変化による吸入 

5.3.2.2.3 一次的影響 粉じんはそれ自身次の一つ又はそれ以上の有害な影響を及ぼすことがある。 

a) 可動部品の拘束 

b) 可動部品の摩耗 

c) 可動部品への付着によるアンバランスの発生 

d) 電気絶縁性の低下 

e) 誘電特性の低下 

f) エアフィルタの目詰まり 

g) 熱伝導度の低下 

h) 光学的特性への障害 

5.3.2.2.4  二次的影響及び複合効果 他の環境因子と結びついた粉じんは供試品に対して,例えば,腐食と

かかびをはびこらせもする。特に温湿度環境は化学的に活性な粉じんと結びついて腐食を起こす。さらに,

詰まったフィルタ及び換気や冷却能力の低下は,過熱と火災を引き起こす危険を秘めている。 

5.3.3 試験Lb 降じん試験の基本的考え方 粉じんが供試品に及ぼすと思われる影響を全部試験するため

には多くのパラメータを検討しなければならない。 

5.3.3.1 場所 例えば,砂漠でおきる砂あらし,ほこりっぽい道路を走る自動車の周囲などの屋外の粉じ

んは,空気の動きによって供試品に影響を与える。それは屋内や閉め切った場所の粉じんが与える影響と

はかなり違っている。 

5.3.3.2 粉じんと砂の特性 粉じんと砂の特性は,場所によってはっきりした違いがある。 

 屋内や閉め切った場所での粉じんにはおそらくあらゆる種類の物質,例えば,石英,粉,セメント,有

機繊維などが含まれている。 

 粒子の大きさとその分布は,屋外の自動車が行き交うところか屋内かでかなり変化する。屋外では,最

大粒径は囲いのフィルタ効果のある屋内や密閉場所より大きくなる傾向がある。屋内や密閉場所の粒径は

100 μmのオーダである。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.3.3.3 屋内又は密閉場所以外へのこの試験方法の適用 以上を考慮した結果として,この試験方法は,

主として隔離又は密閉した場所に置かれた供試品に対する粉じんの影響への適合を確認することを目的と

して設計された。しかし,場合によっては,その他の場所に置かれた供試品に対する粉じんの影響への適

合を確認するために使用することも可能である。  

 一例として,この試験方法は,屋外使用の空気汚染物質採取器の内部に設置したエアフィルタの品質を

検証するために使用することができる。 

5.3.3.4 試験中の供試品の動作状態 供試品への粉じんの捕そく及び侵入の状況は,供試品の動作状態に

影響される。それは,供試品の種類及び特性によって異なる。 

 狭い空間への粉じんの捕そくは,強制空気冷却装置を備えた供試品のフィルタに生じる。したがって,

そのような装置は,空気冷却装置の電源を入れた状態で試験を行うことが望ましい。 

 粉じんの侵入は,冷却のための対流通気開口部がある発熱供試品で生じる。そのような試供品は,電源

を入れた条件で試験を行うことが望ましい。 

 密閉構造の発熱供試品は,熱サイクルによるポンプ作用(空気の膨張収縮による空気の出入り)を期待し,

間欠的に動作させることが望ましい。 

5.3.4 試験条件を作り出す方法 

5.3.4.1 一般的要求事項 再現可能な試験条件を作り出すために,次のパラメータについて一般的な要求

事項を満たさなければならない。 

a) 粉じん堆積濃度 

b) 粉じん降下の均一性 

c) 供試品周囲の空気流速度 

d) 温度 

e) 相対湿度 

f) 静電気荷電の集積 

g) 粉じん特性 

 a)〜f)のパラメータは,試験装置の設計によって制御できる。試験装置の設計に関する手引きは5.3.4.2

に示す。試験用粉じんの選択に関する手引きは5.3.4.3に示す。 

5.3.4.2 試験装置 斜体で記載した文は,5.2で記述したLb降じん試験方法からの引用である。試験装置

は次の二つの主要部分から構成される。 

― 試験槽 

― 粉じん注入システム 

5.3.4.2.1  試験槽 試験槽の水平断面は,供試品上に降下する粉じんが規定値内で,しかも均一性を保つの

に十分な大きさでなければならない。 

 粉じん降下の均一性は,粉じん注入システムによって制御される。試験槽水平断面の全領域で,均一性

を規定された範囲に維持できるような粉じん注入システムを設計することは非常に困難である。 

 経験から,試験槽の水平断面面積は供試品の水平断面面積の2倍以上が適切であることが分かっている。 

 試験槽の高さは,試験中,供試品の周囲の空気流速をゼロ近くに保つために十分に高くなければならな

い。 

 空気速度は,独断的にほぼゼロの0.2 m/sを選択している。粉じん注入システムによって生じる供試品

周囲の空気の動きを避けるためには,試験槽の高さは,水平断面の縦横の長さが同じでない場合,長い方

の4〜5倍とすることが必要である。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 試験槽の内面は,導電性とし,静電気の蓄積を避けるため接地しなければならない。 

 静電気荷電の集積による試験条件への影響を抑制するために,試験槽自体は電気的に伝導性があるもの

とし,接地する必要がある。供試品への粉じんたい積に対する静電気的効果が試験の目的である場合,供

試品は試験槽に対して電位差(荷電)をもたせなければならない。 

 試験槽内の相対湿度は,25 %未満でなければならない。 

 湿度の影響は,試験槽内の温度を上げることによって最も簡便に抑制される。塔型の試験槽内に等温条

件を確立する一つの方法は,アルミニウム製の内槽を断熱材で作られた外槽で覆う設計とする。 

 温度制御された空気を試験槽の内槽と外槽の間の空間に循環させる。空気の流れを均等に分布させるた

め,空気案内板をこの空間に設置する。この原理は,十分な広さをもった温度差がなく対流のない試験槽

と同じである。 

 試験槽内の相対湿度に関しては,附属書A.3を参照。 

5.3.4.2.2  粉じん注入システム 試験用粉じんは,試験槽上部へ水平空気流で吹き込む。その注入部位は,

粉じんを拡散させ,供試品上に規定された一様な粉じんたい積を作るのに十分な高さでなければならな

い。 

 粉じん注入システムの設計に関する手引きの幾つかを次に示す。 

 粉じん収集プレートによって測定して,規定された一様性 (1日当たり6±1 g/m2) を得るためには,試

験槽1 m3当たりおよそ0.01 m3の空気を1分間の注入期間の間に循環させなければならない。注入システ

ムによる適切な風速はおよそ2 m/sである。 

 10 m3の大きさの試験槽では,上記の数値を満たす粉じん注入管の直径は33 mmである。粉じんたい積

の一様性を最終調整する可能性を残すために,可変速度のファンを選ぶことが薦められる。さらに,導入

翼は注入システム出口に位置している必要がある。扇風機の使用を最小にするため,注入システムヘの粉

じん送入はファン出口で行う。 

 粉じんの投与量は難しい問題である。次のシステムは,うまく作動することが証明されている。シリン

ダーガラス器具の中に粉じんを入れ,ふたには,圧縮した空気が細い孔を通してガラス器具の中に導入さ

れるように多岐管が付いている。 

 空気の流れが粉じんを巻き上げ,粉じんは管を通して粉じん注入システムに導入される。 

 注入する粉じんの量を次のパラメータで制御する: 

a) 単位時間当たりの圧縮空気体積(気圧と孔の入り口の総面積によって与えられる) 

b) 孔の入り口と粉じんの最上部との間の間隔(この距離は,粉じんの高さと比べて長くなければならな

い) 

c) 圧縮空気の供給時間 

 特定の粉じんたい積と一様性は,適切な粉じん採取板を供試品の近くの場所に水平に置くことによって

測定できる。 

 試験槽に注入された粉じんの量は,粉じん容器の減量分を測定することによって確認できるが,この確

認はおよその目安にすぎない。 

 注入された粉じんの一部は試験槽の壁に付着する傾向があるためである。この付着効果は,試験槽の水

平断面の面積が,見掛け上大きくなったように影響を及ぼし,実際の試験槽の設計に依存する。 

5.3.4.3 試験用粉じん 降じん試験に選ぶ粉じんは,供試品が使用される環境から収集した実際の粉じん

か,標準試験用粉じんのいずれかである。再現性のためには,標準試験用粉じんを試験方法に対して選択

するほうがよい。この試験用粉じんは6.1.4.1種類1,細かい粉じんで規定する。 

background image

C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 かんらん石 [(Mg, Fe)2SiO4] 類は,鋳物やサンドブラストで使われる一般に入手可能な工業用鉱石であ

る。 

 長石類はシリカ(二酸化けい素),アルミナ(酸化アルミニウム),酸化アルカリの化合物である。火山の

ガスや水の作用で分解されることがなければ,これらの鉱石は石英とほぼ同程度に硬い。 

 粒子サイズ分布の測定には4.3.4.2の方法を推奨する。 

5.3.5 試験の厳しさ 厳しさは試験時間によって表し,製品規格の中で定義されていなければならない。

試験の厳しさは試験時間にだけによって与えられる。1日当たりの粉じんたい積量は6 g/m2である。 

 厳しさと実際の状態との関係を決定することは困難である。 

 実際の状態は相当に変化する,そして試験の目的は再現性のある方法で供試品の防じん性を示すことで

あり,実際の状態を模倣する必要性はない。供試品の機能の重要性によって厳しさの選択が限られること

さえある。 

 したがって,ガイドラインでは,試験の厳しさのレベルと実際の状態の幾つかの数値の間の関係につい

ての考え方を示せるだけである。 

5.3.5.1 参考値 表2はIEC 60721-2-5から転載したものである。数値はmg/m2/hからg/m2/dに変換し

てある。 

表2 典型的な粉じん及び砂の降下速度 

地域 

粉じん及び砂の降下速度g/m2/d 

田園及び郊外 

0.01-0.36 

市街地 

0.36-1.00 

工業地 

1.00-2.00 

 これらの数値に基づき,およそのガイドラインとして,表3に示す加速係数が得られた。 

表3 加速係数 

地域 

加速係数 

田園及び郊外 

600-17 

市街地 

17 - 6 

工業地 

6 - 3 

5.3.6 試験の再現性 降じん試験の再現性は,次の試験パラメータに依存している。 

 温度 

 相対湿度 

 粉じん濃度 

 粉じん組成 

 試験時間 

 温度は,規定限界内に容易に制御される。 

 相対湿度は,試験を(40±2) ℃で行うことによって通常25 %より低く保たれる。暖かく湿気のある地

域では,この条件を満たすためには除湿装置を使用する必要があるかもしれない。 

 粉じん濃度と均質性を規定限界内に保つためには,ある程度の経験と技術を必要とする。パラメータの

測定(粉じん採取版の質量増加)は高精度を要求される。 

 粉じん組成は供試品にかかわる影響を与えるため,規定されたものと異なる試験用粉じん,粉じんの組

成又は他の材質を使用する場合には必ず規定しなければならない。 

 試験時間は,再現性に大きく寄与する。 

5.3.7 試験の適用限界 試験の適用限界は,第一にこの試験方法が自然降下粉じんで行われるということ

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

である。  

 結局,例えば,衝撃による侵食,ひび割れ及びショットピーニングなど,供試品への強制風による侵食

の影響はこの試験では評価できない。 

参考 ショットピーニング:球状微物(ショット)を鋼材の表面に噴射し表面層に残留圧縮応力を生じ

させ,かつ加工硬化させながらある程度の仕上げ度を保持させる金属表面処理方法(JIS H 0400 

電気めっき及び関連処理用語による)。 

5.3.8 結果の解釈 降じん試験の結果の解釈には,粉じんのたい積と侵入の二つの原因で起こる障害があ

ることを考慮しておく必要がある。次に,幾つかの特殊なケースの解釈の手引きを示す。 

5.3.8.1 供試品に対する有害な影響 粉じんは5.3.2.2.3及び5.3.2.2.4で述べたように幾つかの有害な影響

を与える要素を持っているので,これらについて適切に評価しておかなければならない。 

5.3.8.2 粉じんのたい積と侵入がある場合 有害な影響(5.3.2.2.3 参照) a),b)及びc)は,供試品を関連し

た仕様書のとおりに動作させて試験した後に目視で評価する。 

 影響d)及びe)は,粉じんを導電性のもの,ぬ(濡)れているか化学的に活性のときはイオン導電性のもの

と仮定して評価する。試験後に解釈の信頼性を証明するため湿度試験か腐食試験を行うこともある。 

 有害な影響f),g)及びh)は,温度上昇の測定を含めた機能試験で確認する。 

5.3.8.3 粉じんのたい積しかなかった場合 外側にたまった粉じんの影響を検証するには,供試品の機能

試験(つまみとキー操作を含む)が必要である。 

 外側の冷却した表面のたい積による影響を評価するには,供試品の温度上昇を測定する必要があるであ

ろう。 

6. 試験Lc:粉じん吹き付け試験 この試験では,砂を含めて粉じんという。 

6.1 試験方法Lc1:循環式試験槽試験  

6.1.1 目的 この試験の目的は,空気の流れで運ばれる特定の物質の,電気・電子製品に対する有害な影

響を調べることである。この試験はまた,自然界や自動車が巻き起こすような人為的な妨害によって発生

する屋外のほこりっぽい状況を想定した試験にも使うことができる。 

 また,電気・電子製品の侵入粉じんに対する保護性の試験を行う試験Laの代わりとしても使用可能で

ある。 

6.1.2 試験の概要 試験方法Lc1は,供試品を一定の粒子径の粉末を含んだ空気中にさらすものである。  

 この試験では,水平方向の空気の流れを規定しているが,それは風の動きと機械製品の主な動きが通常

の場合は水平方向であるからである。  

 また,粉じん濃度の連続的な監視と制御を規定している。 

6.1.3 試験装置 試験装置は,次の特性をもつ試験槽を装備する。 

― 試験槽は規定量の試験粉じんを含んだ一定の水平方向の空気の層流を発生できなければならない。 

― 試験槽は,ほぼ立方体であるのが望ましい。空気流断面内の辺の長さはそれぞれ,流れ方向に垂直な断

面内の供試品の縦と横の最大の長さの少なくとも3倍なければならない。試験槽は加熱又は冷却がで

きることが望ましい。 

― 粉じん濃度の制御は,センサ(反射光検出型など)と調節弁制御装置で行う。粉じんは空気回路の調節

弁を通して間欠的に噴出する。 

― 供試品取付板を設備する。取付け板は供試品の各面を粉じんにさらせるように回転できるようにする。 

― 試験中,供試品を動かしておけるようにしておく必要があるならそれなりの設備をする。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

― 試験機の材料は,温度及び粉じんに耐えるものを使う。材料は粉じんの特性に影響するものであっては

ならない。 

 供試品の大きさがこの規定に合わない場合は,次の方法の一つを適用する。 

a) その供試品が幾つかに仕切られていたら仕切ごとに試験する。 

b) 壊れやすい部品(端子類,集電子などのようなもの)からなる構成品(ドア,換気窓,シート,軸シール

など)でできている製品については,代わりの部品を用いて試験する。 

c) 製品をそっくり同じまま小形化したものによる試験。  

  適合する試験装置の一例を,図6に示す。 

6.1.4 試験条件  

6.1.4.1 試験用粉じん 粉じんは炭素質又は他の不純物を含まないもので乾燥状態のものを使う。 

 粉じんは,かんらん石,石英又は変質しない長石からなるものとする。 

 粒子径の分布は,次の範囲内でなければならない。 

種類1:細かい粉じん 

75 μm以下  

100 %から 

96 %(質量で) 

40  

87 

81 

20  

70 

64 

10  

52 

46 

 5 

38 

32 

 2 

20 

15 

種類2:粗い粉じん 

150 μm以下 

100 %から 

99 %(質量で) 

105 

86 

76 

75  

70 

60 

40 

46 

35 

20  

30 

20 

10  

19 

11 

 5 

11 

 5 

 2 

 5 

 1.5 

種類3:砂 

850 μm以下 

100 %から 

94.5 %(質量で) 

590  

98.3 

93.3 

420 

83.5 

74.5 

297 

46.5 

43.5 

210 

17.9 

15.9 

149 

 5.2 

 4.2 

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 混合粉じん(例えば糸くず,土,セメント)は,用途に応じて考慮する必要がある。これらは注意して作

らなければならない。これについての解説は,附属書Aに示す。 

6.1.4.2 粉じん濃度 製品規格で要求する試験用粉じんの濃度は,次の値から選択する。 

  1 g/m3±0.3 g/m3 

  2 g/m3±0.5 g/m3 

  5 g/m3±1.5 g/m3 

 10 g/m3±3 g/m3 

6.1.4.3 気流 試験槽内の気流は,主として層流でなければならない。すなわち,乱流と水平方向の流れ

は少しあるだけである。 

6.1.4.4 風速 製品規格で要求する風速は,次の値から選択する。 

    V 

 V2 

 1.5 m/s±0.2 m/s 

2.25 

 3.0 m/s±0.3 m/s  

 5.0 m/s±0.5 m/s 

25 

 10 m/s±1 m/s  

100 

 15 m/s±1.5m/s 

225 

 20 m/s±2 m/s 

400 

 30 m/s±3 m/s 

900 

 粗い粉じんでは,5 m/s以下は適用しない。砂は20 m/s及び30 m/sだけを適用する。 

 特に高い風速を用いる場合,供試品の最大動作温度を超えないように注意する。 

6.1.4.5 供試品内部の空気圧 規格の動作状態によって,供試品のエンクロージャは二つの異なるカテゴ

リになる。 

 カテゴリ1:供試品内部の気圧が,周囲の大気圧と異なる場合(減圧)。 

 カテゴリ2:供試品内部の気圧が,周囲の大気圧と同じ場合。 

 6.3.4.2.3を参照する。 

 製品規格には,供試品エンクロージャのカテゴリと減圧(カテゴリ1)を規定する。 

6.1.4.6 湿度 試験槽内の相対湿度は,25 %未満とする。これは試験槽内温度を上げることで達成される

(A.3参照)。 

6.1.4.7 試験時間 試験時間は,試験装置のスイッチオンから測定する。試験時間は,次から選択する。 

  2h 

  4h 

  8h 

 24h 

 又は製品規格の規定による。 

6.1.4.8 取付け 供試品は通常動作位置で試験槽の取付け板に取り付ける。又は,製品規格に他の方法を

記述する。 

6.1.4.9 厳しさ 厳しさは,次の要素で定義し,製品規格で要求する。 

 粉じん密度 (6.1.4.2参照) 

 風速    (6.1.4.4参照) 

 試験時間  (6.1.4.7参照) 

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 気圧 

 カテゴリ1:2 kPa(20 mbar),5 kPa(50 mbar)の減圧,又は製品規格に記載する。 

 カテゴリ2:周囲気圧 

6.1.5 前処理 製品規格において前処理を要求してもよい。 

6.1.6 初期測定 供試品は,製品規格に従って目視検査,寸法測定及び機能的点検を行う。 

6.1.7 試験 試験槽内の空気は,相対湿度を25 %又はそれ以下に保つために十分高い温度にする。 

 供試品は試験場所で包装を取り去り,スイッチは切り,使用待機状態で,試験槽内に通常使用状態又は

製品規格に規定する状態に配置する。複数の供試品の場合は,供試品どうしが触れないように,また粉じ

んの影響をお互いに妨げないように注意する。 

 製品規格の規定で供試品を,試験中スイッチを入れた状態,及び/又は動作状態にするように指示するこ

ともある。試験は粉じんの噴き出したとき始まる。 

 試験終了後,供試品は試験槽内の粉じんが落ちつくまで放置する。 

6.1.8 中間測定 製品規格に試験の途中又は試験の終了時,供試品が試験槽内にあるとき,測定の指示が

ある場合がある。その場合は,製品規格に測定項目,経過時間又は間隔を規定する。 

6.1.9 後処理 製品規格に他の規定がなければ,供試品は回復のために標準大気条件で2時間放置してお

かなければならない。 

6.1.10  クリーニング 製品規格によっては,最終測定の前に供試品の外表面に付着した粉じんを除去す

るように指示する場合がある。 

6.1.11 最終測定 回復後,供試品は製品規格に従って目視検査,寸法測定及び機能的点検を行う。 

6.1.12  製品規格に規定する事項 製品規格にこの試験を含める場合,適用可能な範囲で次の詳細事項を

規定する必要がある。製品規格では,次の項目に必要な情報を提供する。ここで,(*)印の付いた事項は,

必す事項であり,特に注意して規定する。 

項目 

a) 粉じんのタイプ* 

6.1.4.1 

b) エンクロージャのカテゴリ* 

6.1.4.5 

c) 厳しさ  

粉じん濃度* 

6.1.4.2  

速度* 

6.1.4.4  

試験時間* 

6.1.4.7  

気圧* 

6.1.4.9 

d) 前処理 

6.1.5 

e) 初期測定* 

6.1.6 

f) 供試品の状態,試験中の動作 

6.1.7 

g) 通常と異なる場合の取付け位置 

6.1.4.8 及び 6.1.7 

h) 中間測定 

6.1.8 

i) 後処理 

6.1.9 

j) クリーニング 

6.1.10 

k) 最終測定 

6.1.11 

6.2 試験方法Lc2:砂じんの任意吹きつけ試験  

6.2.1 目的 この試験の目的は,空気流で運ばれる特定の粒子物質によって,電気・電子製品に及ぼす有

C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

害な影響を調べることである。この試験はほこりっぽい屋外の状況を仮想した試験に適用でき,Lc1によ

る試験が不可能なサイズが大きい供試品の試験にも適用できる。Lc2はまた,高い風速を発生する能力を

備えているので,粉じんと砂による磨耗の影響を模擬できる。 

6.2.2 試験の概要 試験方法Lc2は,供試品を規定の粒子径の粉末を含んだ空気中にさらすことである。

この試験では,風の動きと製品の動きが,実際の場合多くは水平方向であるから,水平方向の主として層

流の空気流を規定している。  

 粉じん濃度を試験中常に監視することを規定している。 

6.2.3 試験装置 この試験に絶対必要な装置は,次のとおりである。 

 無理のない程度に一様な水平方向の層流を発生できるように装備した,一つ又は複数の送風機。装備は

風雨の影響を防ぐために適切に作られていなければならない。 

 送風機は,図7に示すような試験用粉じん注入システムを備えていることが望ましい。 

 試験用粉じんを平均的注入し,濃度をセンサ(反射光の測定など)を使って制御できていなければならな

い。 

 風速が弱い場合(10 m/s未満)は,送風機はファンでよいが,それ以上の風速の場合は,圧縮空気で動か

す排出型がより適している。 

6.2.4 試験条件  

6.2.4.1 試験用粉じん 製品規格の規定によるが,粉じんの組成と粒径分布は,6.1.4.1に規定する。 

6.2.4.2 粉じん濃度 試験用粉じんの濃度は,6.1.4.2から選ばなければならない。 

6.2.4.3 気流 試験槽内の空気流は主として層流で,すなわち,乱流成分は小さく,水平方向でなければ

ならない。 

6.2.4.4 風速 風速は,6.1.4.4から選択しなければならない。ただし,Lc2では,次の二つを追加し,規

定する。 

     V 

  V2 

50 m/s 

±5 m/s 

 2 500 

100 

 10 

10 000 

6.2.4.5 湿度 この試験は,相対湿度には敏感ではないが,粉じんによる目詰まりと固まりの付着を防ぐ

ために,粉じんと空気中に粉じんを送り込む装置は,乾燥状態にしておくことが重要である。 

6.2.4.6 試験時間 粉じんにさらす時間は,試験装置をスイッチオンしたときから測定しなければならな

い。  

 試験時間は,次から選択しなければならない。 

  2h 

  4h 

  8h 

 24h 

 又は,製品規格に規定されている場合はその時間に従う。 

6.2.4.7 据付け 供試品は,製品規格に規定されていない限り,取付け台又は通常の位置に据え付けなけ

ればならない。 

6.2.4.8 厳しさ 厳しさは,次の要素で定義し,製品規格で要求する。 

― 粉じん濃度 

(6.2.4.2参照) 

― 風速 

(6.2.4.4参照) 

C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

― 試験(暴露)時間 

(6.2.4.6参照) 

6.2.5 前処理 製品規格において前処理を要求してもよい。 

6.2.6 初期測定 供試品は,製品規格に従って目視検査,寸法測定及び機能的点検を行う。 

6.2.7 試験 供試品は,試験室又は試験場所に類似の周囲温度にする。供試品は,包装を取り去りスイッ

チを切った使用準備状態で試験槽内に入れ,通常使用状態又は製品規格で規定する姿勢に設置する。供試

品が複数の場合は,供試品どうしが触れたり,粉じんの影響を互いに妨げることのないように注意しなけ

ればならない。 

 製品規格に要求がある場合には,供試品をスイッチを入れた状態又は動作させた状態で試験をしなけれ

ばならない。その場合は,粉じんを噴き出した時点が試験の始まりである。 

 終了後,供試品は試験槽内に粉じんが落ちつくまでそのままにしておかなければならない。 

6.2.8 中間測定 製品規格に,試験の途中又は試験終了後供試品が試験環境にある状態での測定を指定し

てもよい。そのような測定を要求する場合には,製品規格には,測定内容と測定を行うまでの期間又は周

期を定義しなければならない。 

6.2.9 後処理 製品規格に他の規定がなければ,供試品は回復のために標準大気条件で2時間放置してお

かなければならない。 

6.2.10  クリーニング 製品規格には,最終検査の前に供試品の表面に付着した粉じんを除去するように記

載する場合がある。 

6.2.11 最終測定 回復後,供試品は製品規格に従って目視検査,寸法測定及び機能的点検を行う。 

6.2.12  製品規格に規定すべき事項 製品規格にこの試験を含める場合,適用可能な範囲で次の詳細事項を

規定しなければならない。製品規格では,次の項目に必要な情報を提供する。ここで,(*)印の付いた事

項は,必す事項であり,特に注意して規定する。 

項目 

a) 試験用粉じん* 

6.2.4.1 

b) 厳しさ* 

― 粉じんの濃度* 

6.2.4.2  

― 風速* 

6.2.4.4  

― 試験時間* 

6.2.4.6 

c) 前処理 

6.2.5 

d) 初期測定* 

6.2.6 

e) 供試品の状態,試験中の動作 

6.2.7 

f) 正常動作位置と異なっていれば,据付け位置 

6.2.4.7及び6.2.7 

g) 中間測定 

6.2.8 

h) 後処理 

6.2.9 

i) 供試品のクリーニング 

6.2.10 

j) 最終測定* 

6.2.11 

6.3 試験Lcのためのガイダンス 

6.3.1 シミュレーション方法 ここでは,装置や機械に吹き付ける粉じんや砂の影響をシミュレーション

する方法について述べる。  

 想定される環境の特徴は,ほこりのある場所や車などによって引き起こされる粒子が吹き付ける状態で

ある。 

C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.3.2 吹き付ける粉じん及び砂の特性と影響  

6.3.2.1 原因 吹き付ける粉じんや砂は幾つかの原因によって発生する。しかし,最も一般的なものはほ

とんどあらゆる土地にある石英と土である。  

 成分と粒径分布は,粉じんの種類によって異なる。それらに共通していることは最大粒子径である

(6.3.3.2と6.3.4.4参照)。 

6.3.2.2 粉じん及び砂の挙動と影響 吹き付ける粉じんや砂(自然発生のもの又は誘発されたものがある)

にさらされる装置に対する粉じんや砂の挙動と影響には,次のものがある。 

6.3.2.2.1 侵入 試験品の中への粉じんや砂の侵入は,次のようにして起こる。 

― 風によって吹き込む。 

― 冷房機のような空気の強制循環によって運び込まれる。 

6.3.2.2.2 一次的影響 粉じん及び/又は砂は,それ自身次の一つ又はそれ以上の有害な影響を及ぼすこと

がある。 

a) 可動部品の拘束 

b) 可動部品の摩耗 

c) 可動部品への付着によるアンバランスの発生 

d) 電気絶縁性の低下 

e) 誘電特性の低下 

f) エアフィルタの目詰まり 

g) 熱伝導度の低下 

h) 光学的特性への障害 

6.3.2.2.3  二次的影響及び複合効果 粉じんは,他の環境因子と結びついて,供試品に対して,例えば,腐

食及びかびの成長といった有害な影響を及ぼす。特に温湿度環境は化学的に活性な粉じんと結びついて腐

食を引き起こす。さらに,フィルタの目詰まり,及び換気又は冷却能力の低下は,過熱及び火災を引き起

こす危険を秘めている。 

6.3.3 吹き付ける粉じん及び砂の特性と影響 粉じん及び砂が供試品に及ぼす可能性のあるすべての影響

をカバーするためには,多くの要因を考慮しなければならない。 

6.3.3.1  場所 屋外の粉じん及び砂の環境(例えば,砂漠で起きる砂あらし,ほこりのある地域で走行する

自動車又は飛行機の周辺環境)は,空気の流れによって供試品に影響を及ぼす。 

6.3.3.2 粉じん及び砂の挙動と影響 粉じん及び砂の特性は場所によって違う。粉じんは,ほとんどが石

英及び長石であるが,他の粉じん物質(例えば,セメント,石灰岩,粘土など)も,それらが混じったもの

である。 

6.3.3.3 試験中の供試品の動作状態 供試品の形式及び特性によって,供試品の動作状態は,粉じんの捕

捉及び粉じんの侵入に影響を与える。 

 粉じんがすき間へ挟まるようなことは,強制空冷装置に組み込まれた供試品のフィルタで起こる。 

 したがって,そのような装置は,空冷装置のスイッチを入れた状態で試験するのがよい。 

 粉じんの侵入は,対流式の空冷装置の換気口のある発熱供試品で起こる。そのような供試品は,スイッ

チを入れた状態で試験するほうがよい。 

 密閉構造の発熱供試品は,熱サイクルによるポンプ効果を得るためになるべく間欠運転をするのが良い。 

6.3.4 試験条件を作り出す方法 

6.3.4.1 一般的要求事項 再現可能な試験条件を作り出すために,次のパラメータについて一般的な要求

C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

事項を満たさなければならない。 

a) 粉じん又は砂じんの濃度 

b) 粉じん濃度の均一性 

c) 供試品周囲の風速 

d) 温度 

e) 相対湿度 

f) 静電気の蓄積 

g) 粉じん特性 

 パラメータa)からf)は,試験装置の設計によって制御できる。試験装置の設計についての解説は,6.3.4.2

及び6.3.4.3に記載する。試験用粉じんの選択についての解説は,6.3.4.4に記載する。 

6.3.4.2 試験方法Lc1用の試験装置 試験装置は,次の三つの部分で構成する。 

― 試験槽 

― 注入システム 

― 供試品圧力制御システム 

6.3.4.2.1  試験槽 試験槽は,ほぼ立方体であるのが望ましい。空気流断面内の辺の長さはそれぞれ,流れ

方向に垂直な断面内の供試品の縦と横の最大の長さの少なくとも3倍なければならない。試験槽は加熱又

は冷却ができることが望ましい。試験槽は,供試品を規定した量の粉じんを含む一定で水平方向の,主に

層流の空気の流れにさらせなければならない。 

 試験槽は,供試品を置く試験槽の上流部に前置槽(pre-chamber)を装備し,その二つの槽の横断面は同じ

でなければならない。前置槽に導く空気通路の入り口開口部のすぐ後ろに付けた空気案内弁の完全な調整

によって,水平な層流を作り出すことができる。試験装置内の空気流を作る送風機は,試験槽のすぐ後ろ

に設置する。その送風機は,試験槽から空気を吸い出し,空気通路を通して前置槽に戻す役目をする。 

 試験槽の下に粉じん収集タンクを設置する。これによって循環する粉じんを減らせるので,粉じん濃度

の制御が容易にできる。 

 供試品を設置するためのプレートを装備している。そのプレートは,供試品のすべての面を粉じんにさ

らせるように回転できなければならない。 

 試験装置の材料は,温度,湿度及び試験用粉じんに対して耐性がなければならない。その材料は,試験

用粉じんの特性に影響してはならない。 

6.3.4.2.2 注入システム 試験用粉じんは調節弁によって間欠的に空気配管中に注入される。 

 試験用粉じんの貯蔵容器は,詰まりや凝集が避けられるように設計されなければならない。これは貯蔵

容器に暖かい乾燥圧縮空気を吹き込むことによって得られる。 

 粉じん濃度の制御は,センサと調節弁を連続的に制御する装置によって得られる。 

 センサとして使用可能なものとしては,試験槽に光を導く光ファイバと,粉じんによって反射された光

をセンサのフォトセルに導く別の光ファイバとを備えた装置がある。 

6.3.4.2.3  供試品内部の空気圧 製品の使用状態によって,供試品のエンクロージャは二つのカテゴリがあ

る。 

 カテゴリ1:このカテゴリの供試品の,エンクロージャの内部では,作動中の熱サイクル効果によって,

空気圧が周囲の大気圧より低くなる場合がある。 

 カテゴリ1の供試品のエンクロージャは,試験槽内に設置するときに真空ポンプに連結され,供試品内

部の気圧を大気圧より低く維持する。このために供試品のエンクロージャには適切な孔が必要である。供

C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試品の壁に凝縮水用のドレイン孔が既にあるものは,この孔に真空ポンプからのパイプを連結する。この

場合は試験用に別な孔をあける必要はない。供試品の壁にドレインの孔が一つ以上ある場合は,どれか一

つにつなぎ,他の孔は試験中はふさいでおく。 

 差圧の値は,製品規格に規定しなければならない。 

 カテゴリ2:このカテゴリの供試品の内部では,気圧が周囲の大気圧より低くなることはない。 

 このカテゴリの供試品のエンクロージャには,真空ポンプをつながない。 

 試験する電気・電子製品についてはすべて,そのカテゴリを製品規格に規定しなければならない。 

 製品規格によっては,試験中,供試品を回転取付板上に置くように規定する場合がある。そうすれば供

試品の側面への粉じんの影響はより均質化される。 

6.3.4.3 試験方法Lc2用試験装置 この試験装置は,二つの部分から構成される。 

― 空気の流れを発生させる機械(送風機) 

― 注入システム 

6.3.4.3.1 送風機 規定の風速を発生するために,二つの送風機が適している。  

 10 m/s以下の風速の場合は,可変速ファンが使われる。 

 それ以上の風速が必要な場合は,圧縮空気で動く送風機が適切である。この送風機は“コアンダ効果”

を利用したものである。 

 屋外で試験する場合,自然風が干渉するのを避けるため,送風機と供試品は適切な方法で囲わなければ

ならない。この措置によって,降雨が試験に影響を与えるのを防ぐことができる。 

参考 コアンダ効果:流体(気体,液体)が壁の形に添って流れる効果 

6.3.4.3.2  注入システム 試験用粉じんは,空気流中に注入される。実用的な注入システムを図7に示す。

試験用粉じんは,目詰まりや凝集を防ぐように管理された乾燥状態の雰囲気中におく。粉じん又は砂は,

小さなバケットエレベータで傾斜のあるテーブルに運ばれ,加振器の振動によって排出装置に送られる。

注入システムは空気流を妨げないところに設置する。粉じん濃度の制御は,センサ(例えば,反射光測定)

で行う。 

6.3.4.4 試験粉じん/砂 2種類の標準粉じんと1種類の標準砂が規定され使われる。しかし,製品仕様書

によっては,他の粉じんや砂が指定されることがある。試験用の粉じんと砂の詳細は6.1.4.1に記載する。

粒径分布を測定する方法は数種類ある。粉じんや砂のサンプルを光学的に分析するという方法がある。 

6.3.5 試験の厳しさ 試験時間は,試験装置の電源を入れた時点から測る。試験時間は2,4,8,24時間

から選ぶか,製品規格の指示による。 

6.3.5.1 試験方法Lc1 試験方法Lc1の厳しさは,試験時間と試験槽内の風速に比例する。 

6.3.5.2 試験方法Lc2 試験方法Lc2の厳しさは,試験時間と供試品周囲の風速に比例する。 

6.3.6 試験の再現性 粉じん吹き付け試験の再現性は,次の諸因子に依存する。 

a) 温度 

b) 相対湿度 

c) 粉じん濃度 

d) 粉じんの均一性 

e) 粉じんの性状 

f) 試験時間 

 方法Lc1の場合,試験温度は規定値内に容易に制御できるが,方法Lc2を屋外で実施する場合は,かな

り困難であり不可能に近い。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 相対湿度は25 %より低く維持する必要がある(Lc1)。温暖で多湿地域においては,除湿装置の必要が余

儀なくされる(A.3参照)。 

 粉じん又は砂じんの均一性は,更に結果の再現性によって大きく影響し,良好な粉じんや砂じんの均一

性確保には十分な配慮を要する。 

 粉じんの性状は,再現性に対して一つの大きな影響力をもっている。微細な粒子の混入量を確認するた

め,粒子径分布の測定が重要である。 

 試験時間も,再現性を大きく左右する。 

6.3.7 試験の適用限界 この試験法の適用限界は,何よりもまずこの試験が粉じんを吹き付けることで実

施されるという点にある。 

6.3.8 結果の解釈 粉じん吹き付け試験結果の解釈には,侵入した粉じんによる有害な影響を考慮しなけ

ればならない。次に,幾つかの特殊事例における結果の解釈に対する手引きを示す。 

6.3.8.1 供試品に対する有害な影響 粉じんには,次の有害な影響の一つ又はそれ以上がある。 

a) 可動部分の拘束 

b) 可能部分の摩滅 

c) 電気絶縁の低下 

d) 電気的特性の低下 

e) 空気フィルタの目詰まり 

f) 過熱や発火原因となる熱伝導率の低下 

g) 光学的障害 

h) 表面のエロージョン又は摩滅 

 有害な影響のうちa)及びb)は,試験後における検査,すなわち,供試品を定められた詳細仕様に準拠

して稼動することによって評価する。 

 c)及びd)の影響は,粉じんの電気伝導性,水ぬれ時におけるイオン電導性の有無を想定しながら評価す

る。粉じん試験の後,解釈の信頼度向上のため湿度試験や腐食試験を実施することもある。 

 有害な影響e),f)及びg)は試験後において,おそらく,温度上昇特性を含む供試品の機能試験で適合を

確認する。 

 影響h)は,目視検査が適用できる。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図1 試験方法の構成 

図2 試験槽内における圧力サイクル―カテゴリ1 

砂じん試験 

降塵(こうじん) 

Lb 

粉じん吹き付け 

Lc 

 非研削性の 
 細かい粉じん 

La 

方法 La 1 

空気圧サイクル 

方法 La 2 

一定空気圧 

方法 Lc 1 

循環式試験槽 

方法 Lc 2 

 砂じん 
 任意吹き付け 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図3 方法La1に適切な試験槽の事例 

図4 方法La2に適切な試験槽の事例 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図5 試験Lbに対する試験装置の事例 

図6 方法Lc1用試験装置の原理図 

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図7 方法Lc2の粉じん注入システムの事例 

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附属書A (参考) 一般的手引き 

A.1 試験用粉じんの特性 

 備考 この規格中,用語“粉じん”を用いるときは随所において砂じんの意味を含む。 

A.1.1 試験用粉じんの種類 試験Lにおける試験用粉じんの種類は,次のとおりである。 

a) 結晶性鉱物類,例えば,石英,かんらん石又は長石 

b) タルク(滑石)粉末 

c) FE(消火用)粉末 

 予期しない干渉効果を避けるため,試験用粉じんには各種不純物,特に塩類及び生物的物質が混入して

いないことが重要である。 

 結晶性鉱物は,自然界で発生する多くの粉じんの主構成物質であるので,試験用としてよく指定される。

そのため,砂漠及びこれに類似の場所における製品に見られる多くの損傷現象を再現する。これらの物質

の顕著な特長はその硬さであり,各種製品,特に可動部分に対する短時間での研削,固着又は破損を引き

起こす性質である。 

 この種の粉じんの他の重要な性質として,非吸水性であること及び化学的不活性であることがある。し

たがって,他の種類の粉じんが,大気中の水分又は汚染ガスと共存したときに見られるような金属腐食は

再現しない。 

 石英(SiO2)は,一般的な基準となる鉱物である。石英の代替品として指定でき類似の性質をもつ他の試

験用粉じんとしては,非分解性の(安定化した)長石及びかんらん石がある。 

 市販されている産業用鉱石の一つである長石 [(Mg,Fe)2SiO4] は,鋳造所及び砂吹きつけ研磨に使用

されている。 

 長石類は,シリカ,アルミナ及び塩基性酸化物の化学合成物質である。火山性ガス又は水の作用で安定

化されると,これらの鉱物はほぼ石英に近い硬度になる。 

 タルク(けい酸マグネシウム水和物)は,試験Laに規定されていて,電気製品に対する試験法のJIS C 

0920の附属書において数年間使用されていた粉じんである。この粉じんのもつ顕著な性質は,非研削性及

び吸湿性である。この粉じんは,電気製品のエンクロージャにおける封止性能に対して適度の厳しさを与

える試験の一つとして適用されているが,その吸湿性のためにエンクロージャ容器内のすき間に目詰まり

が生じないよう,粉じんを乾燥状態に維持することが重要である。 

 本来の試験要求事項が石英のような硬質材である以上,この粉じん材のもつ非研削性は一般目的用試験

粉じんとしてはその使用から除外する。 

 FE粉末とは,一種の消火用粉末で,主に炭酸水素ナトリウム又はカリウムから成り,流動性を補助し,

目詰まり防止のため,少量のマグネシウムステアリン酸塩を粒子表面に結合させたものである。タルク粉

末と同等の粒径範囲のものが入手できるが,非吸湿性とモース硬度が滑石の1.0に比べて2.0前後と幾分

高い。異なるFE粉末間において硬度の違いがあること,及び一番硬いもの(粒子)は軟質材表面に対して

研磨的になる可能性があることに注意を要する。 

A.1.2 粒子径 この試験に含まれる粒子径の範囲は,次のとおりである。 

a) 石英,長石,かんらん石:細かい粉じん 

< 75 μm 

  粗い粉じん 

<150 μm 

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C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

  砂 

<850 μm 

b) タルク粉末 

< 75 μm 

c) 消火用(FE)粉末 

< 75 μm 

 a)の粒子径分布は,付図A.1に示した。 

 粉じんの粒子径を考慮する場合には,最初に,製品が保護用エンクロージャをもっているかどうかを考

える。エンクロージャがある条件では,電気的エンクロージャの密閉能力を効果的に調べる方法として確

立された特別な粉じん,すなわち,タルク粉末又はFE粉末,又は粒子状物質の侵入によって起こり得る

有害な影響を調査するために適切な粒子径の範囲にある石英粉じんから選択する。後者の場合,石英は,

細かい粉じん及び粗い粉じんの両方とも小さな粒子を含むが,これに反して,砂は主に大きな粒子を含む。

そのために,保護用のケース又はエンクロージャの適性を単に決める試験要求のときには,予想される実

在自然環境に相当するのに十分な小さい粒子を含んでいる粉じんを選択することが望ましい。 

 次に,エンクロージャの保護なしで粉じん環境に直接さらされる製品を考察する。一般に粒子径範囲の

選択は,実際の環境の最も代表的なものにする。この試験で規定した粉じん及び砂は,個々に又は組み合

わせて考察すると,実際の環境状態の大多数に相当するように選択されている。 

A.1.3 粒子硬度 個々の粒子の硬度は,接触したときに対象物を引っかく能力で決められる。結晶状の石

英又は他の鉱物がごく小さく壊れたかけらを主とする砂は,一般にほとんどの溶融シリカガラス組成物よ

りも硬い。そのために,大概のガラス光学装置の表面に引っかき傷をつけることができる。捕そくされた

砂粒子の上からかけた圧力は,破砕を起こす原因となる。表A.1に,普通の物質及びモース硬度(鉱物の硬

度基準)に従った硬度水準を示す。数値の高い物質は,それよりも数値の低い物質を傷つけることができる。 

表A.1 硬度等級 

モース硬度 

基準物質 

その他 

タルク(滑石) 

黒鉛,雪花石こう,けい藻土 

せっこう 

カオリナイト,方鉛鉱,雲母 

方解石 

重晶石,大理石,蛇紋石,アラレ石,苦灰石 

ほたる石(CaF2) 

― 

りん灰石 

石綿,オパール(たんぱく石),ガラス繊維 

正長石 

磁鉄鉱,長石,メノウ,黄鉄鉱 

石英 

火打ち石,溶融シリカ,かんらん石,紅柱石,電気石 

黄玉 

エメリー(金剛砂) 

鋼玉 

サファイア,炭化けい素,炭化タングステン 

10 

ダイアモンド 

― 

A.2  他の粉じん “混合試験用粉じん”(例えば,短繊維の綿毛,土壌又はセメントを含む)のような他の

試験用粉じんを,特殊用途用として考慮してもよい。しかし,それは,次で説明するガイダンスを用いて

注意深く組み立てなければならない。 

A.2.1  イオン電導性物質 例えば,融雪塩などのイオン電導性粉じん及び腐食性粉じんの影響調査は,実

際の侵略的な物質を混合した試験用粉じんを使用した粉じん試験と,それに続く温湿度試験で実施するこ

とができる。 

 しかし,再現性を維持するためには,中性粉じんを用いた粉じん試験と,それに続く標準化された腐食

試験とに調査を分けたほうがよい。 

A.2.2  吸湿性物質 吸湿性の粉じん物質の引き起こす影響を調査するためには,短繊維の綿毛を試験用粉

じんに混合し,粉じん試験に続いて腐食試験を行うことがある。 

C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A.2.3  繊維状物質 通風孔に置かれた織物繊維が詰まる影響を調査するために,短繊維の綿毛が使えるこ

とがある。 

A.3 試験用粉じんへの湿度の影響 

A.3.1  試験用粉じんの目詰まりを防ぐためには,試験槽内の相対湿度を25 %よりも低く保つ必要がある

ことが分っている。試験装置には,相対湿度の監視又は制御は要求されていない。試験室の温度及び相対

湿度に応じて,試験槽内の空気を熱するだけで十分である。温度を40 ℃より高く上げることは薦められ

ないので,この方法は,暑くて湿気の多い気候では適用できない。そのような場合,試験室の空調又は試

験槽内の空気の除湿を行う必要がある。付図A.2は,温度を40 ℃まで上昇することで相対湿度を25 %

RHまでに減らすことができる,与えられた温度下における最大湿度を示している。 

A.4 電気・電子製品への影響 

A.4.1  序文 粉じん及び砂は,物理的作因として,又は化学反応成分として,又はその両方によって,装

置の機能及び材料の劣化を促進する。また,機械の可動部に異常な摩耗を引き起こす。さらに,静止部表

面でも,吹き付けられる粒子の研削作用によって損傷されることがある。その影響は,粉じん粒子が接触

している物質の性質及び粉じん粒子の物理的及び化学的性質のどれか一つには依存する可能性がある。例

えば,金属表面に存在する皮膜は腐食作用を加速するかもしれず,また一方で,絶縁物表面への付着物は,

電気特性を悪化させる。 

A.4.2  研削効果 強い風の動的な作用によって,粉じん及び砂は,静止部表面を研削し損傷を与える。そ

して車両の運動の結果巻き上げられ瞬時に飛行する粒子は,保護膜をはがすか,腐食生成物の準保護的な

覆膜を妨害することによって金属表面の腐食を早める。 

 表面の研削度合いは,表面に衝突する物質の速度に依存する。60 mの高さで,290 m/sから320 m/sの

速度で,北アフリカの砂漠を飛行したとき,航空機の風防ガラスに光学的品質の著しい低下が起こったこ

とが報告されている。 

 風に運ばれる粉じん及び砂は,絶縁物の表面をざらざらにして,表面の電気特性を劣化させてしまうこ

とがある。表面がざらざらになったフエノール樹脂の表面の導電率は,滑らかで理想的な材料の10倍(相

対湿度50 %で)になったことが測定された。 

A.4.3 金属の腐食 

A.4.3.1 一般 粉じん及び砂は湿気のような他の環境要素と結びついて,金属腐食の引き金及び加速の原

因になる場合がある。金属表面にたい積する微粒子物質の皮膜は,化学的に活性な粒子,不活性な粒子,

吸湿性のある粒子又は吸湿性のない粒子の混合物であって,腐食の様子は複雑である。 

A.4.3.2 化学的に不活性な粒子 吸湿性のある不活性な粒子は,相対湿度が低いときにも,雰囲気中の湿

気及びすべての腐食性蒸気を吸収し始める。この場合,粒子は電解液の媒介物として働き,それによって

大気腐食の電気化学反応が進み,また高められる。 

 不活性で非吸収性の粒子は,湿度を保つのを助けたり,接触部で金属接触をさえぎったり,表面の酸素

濃度に差異を生じさせたりすることを除いては,腐食の過程にほとんど影響しない。その差異が局部的に

強い腐食を発生する原因になることがある。 

A.4.3.3 化学的に活性な粒子 自然界又は工業原料から発生する粒子は,化学的に活性で,分解したとき

腐食性の電解物質をつくる。自然の屋外の粉じんの主要な発生源である多くの粘土は,アルミニウムの水

酸化けい酸塩であって,アルカリ反応を示す。一方では,土壌粒子に含まれている幾つかの溶解性塩類は,

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

硫酸塩であって酸性反応を示す。 

 鉄さびは,硫酸アンモニウムの粒子があると進行する。これは都市郡で発生する粉じんの一種である。 

 貝殻の破片である炭酸カルシウムは,さんご島での粉じんの主要成分であって,腐食性があることが知

られている。また,火山灰は鉄さびを促進する。 

A.4.4  電気絶縁物表面の汚染 絶縁物表面にたまる砂及び粉じんの多くは,湿気がないところでは不良導

体である。しかし,湿気があると可溶粒子を分解し,導電性電解物質を作り出す。不溶解性の粒子がある

と,表面の電解物質を保有して湿気皮膜の有効厚さを増す。このような皮膜の形成は,乾燥しほこりっぽ

い時期と湿気の多い時期が繰り返される環境で特に増進される。 

 そのような表面皮膜の導電性のために,汚染された電力線の絶縁物の漏れ電流は,きれいで乾いた絶縁

物の値の100万倍になる。 

 例えば,電力線の絶縁物のように絶縁物が強電界中にあると空中を飛んできた粒子が電界こう配の急な

ところに衝突することによっても皮膜の形成が増進される。 

A.4.5 その他の影響 

A.4.5.1 かび発生の助長 物質表面に付着する粉じんは,微小生物の食料となる有機物を含んでいること

がある。通常の粉じんがないときは,微小生物の攻撃に影響されないセラミックス及び光学ガラスのよう

な物質の表面に,かび又は藻がはびこることがある。 

A.4.5.2 電気接点及びコネクタ 前に述べたように,砂及び多くの粉じんは乾燥時には不良導体であるの

で,スイッチ,リレー又は電気接点上にたい積した粒子は接触抵抗を増加して動作に影響を与えることが

ある。 

 コネクタに蓄積した粉じん及び砂は,かん合又は抜去を困難にする。 

A.4.5.3 冷却装置 絶縁層の形成によって熱伝導率の低下が生じ,冷却システムの効率を低下させること

がある。 

A.4.5.4 静電気効果 砂のあらしが立ちこめている中で,粒子の摩擦によって起こる静電気は,装置の動

作を妨げ,しばしば人に危険を及ぼすことがある。絶縁体,トランス及び避雷器の絶縁破壊並びに車の点

火装置の故障は,帯電によって発生することが知られている。 

 誘起する静電気の電圧は大きく,150 kV程度の電圧が砂あらしの間電信電話を使用不能にしたことがあ

る。 

A.5 安全対策 

A.5.1 有害な影響 供試品に対するいろいろな有害な影響によって,人間が危険にさらされる場合がある。 

 したがって,その粉じん試験が安全性評価の一部なら,粉じんのたい積又は侵入の観察は,最大限の注

意をして行う必要がある。その解説がA.4に述べられているので,各種安全性試験での経験を生かしてこ

れを利用するべきである。その場合,最悪の状態を考えて利用する。 

参考 試験中は,試験槽内の圧力を負圧にする。 

A.5.2  健康への潜在危険 対策は,粉じんの吸引による健康に対するあらゆる危険性を回避することであ

る。対策には,次の事項も含まれる。 

― 試験槽の十分なシール。 

― 試験槽の扉を開ける前に粉じんを十分に降下させる。 

― 適切な防護マスク及び衣服の着用。 

― 効果的なフィルタをもった装置,例えば,真空掃除機で適切に掃除,サービス及び保守を行う。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A.5.2.1 タルク粉末 タルク粉末を過度に吸引すると,急性肺炎を引き起こす可能性がある。せき,たん

及び息切れを伴う呼吸状態は,長時間吸った後に出てくる。 

 なお,タルクが関連する他の広範囲の物質の研究ため,その医学文献では純粋にタルクだけに関係する

条件を明確に区別されていない。 

暴露制限 

 タルク濃度は,空気中の全タルク粉末が10 mg/m3を超えないようにし,呼吸できる粉じん量は1 

mg/m3(8時間での質量による平均濃度)であるように制御するのが望ましい。 

A.5.2.2 他の粉じん(塵)及び砂 石英粉は,けい(珪)肺症や,重い肺の病気を引き起こし,肺がんと間違

われることがある。 

備考 かんらん石は,1 %以下程度の結合していない酸化けい素を含んでいるが,危険の少ない鉱物

と考えられている。 

 綿糸くずはアレルギ源であり,アレルギ症の人には呼吸器系の障害を起こすことがある。 

 このような事情なので,これまでに引用した健康への危険予防措置を遵守することが重要である。 

 重要であると思われる二つの要因を次に示す。 

a) ガラスのようなアモルファス材料は結晶鉱物よりも危険性が小さい。 

b) 粉じんの粒子径が0.5 μmから5 μmのものが最も危険である。 

 かんらん石及び長石は,結晶鉱物である。 

 今日の時点での結論は,無害な試験用粉じん物質を発見することが不可能だということである。そのた

め,防じんマスク,ゴーグルなどの保護用具を着用することが望ましい。 

A.5.3 爆発の危険性 タルク粉末を試験用粉じんとして使用するならば,爆発の危険はないが,他の粉じ

んを使う場合は,次の事実を念頭に入れておく必要がある。 

― 細かい粉じん状の可燃性の材料は,大気中で20 g/m3以上の濃度になると爆発する。 

A.6 試験L及びJIS C 0920の附属書の比較 JIS C 0920の附属書(エンクロージャの保護構造の種類)

は,保護状態を文字及び数字で表している。保護構造の表示は,大文字IPに2数字を付けている。最初の

数字は,固形物及び粉じんに対するエンクロージャが保証する保護性を表す。2番目の数字は,水の有害

な侵入による障害を防ぐエンクロージャの保護性を表す。第1数字の示す保護等級を,適用試験方法につ

いての参照番号を添えて表A.2に示す。 

 この試験に関しては,IEC 60068の視点から試験方法La.2は,一種の製品規格と考えられる。 

表A.2 試験方法の比較 

試験L 

試験方法 

JIS C 0920の附属書 

第一数字 

内容 

JIS C 0920の附属書の 

試験方法の項目 

試験なし 

保護なし 

試験なし 

試験なし 

>50 mmの固形物からの保護 

13.2 

試験なし 

>12.5 mmの固形物からの保護 

13.2 

試験なし 

>2.5 mmの固形物からの保護 

13.2 

試験なし 

>1 mmの固形物からの保護 

13.2 

La1又はLa2 

粉じんに対する保護 

13. 4及び13.5 

La1又はLa2 

粉じんに対する密閉性 

13. 4及び13.6 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

    表示以下の粒子径の質量パーセント 

     % 

付図A.1 粒子径分布 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付図A.2 温度に対応する相対湿度(例) 

(40 ℃まで加熱することで試験可能となる試験室内の温湿度条件の範囲) 

C 0098:2002(IEC 60068-2-68:1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B (参考) 関連規格 

試験方法La2と同様の粉じん試験が,次の規格に記載されている。 

IEC 60034-5:1991 Rotating electrical machines―Part 5:Classification of degrees of protection provided by 

enclosures of rotating electrical machines (IP code) 

IEC 60947-1:1988 Low-voltage switchgear and controlgear―Part 1:General rules 

備考 IEC 60529(引用規格に記載)の試験方法は,IEC 60034-5及びIEC 60947-1の内容を含む。