C 5402-23-3
:2005 (IEC 60512-23-3:2000)
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)から,
工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経
済産業大臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC 60512-23-3:2000,Connectors for
electronic equipment - Tests and measurements - Part 23-3: Screening and filtering test - Test 23c: Shielding
effectiveness of connectors and accessories
を基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性格をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS C 5402
の規格群は,JIS C 5402-1-100:試験一覧による。
C 5402-23-3
:2005 (IEC 60512-23-3:2000)
(2)
目 次
ページ
序文
1
1.
適用範囲
1
2.
引用規格
2
3.
試験方法
2
3.1
試験要求事項
2
3.2
試験スクリーン径
3
3.3
適用周波数範囲
3
4.
試験機器
3
5.
試料の準備
4
5.1
丸形コネクタ
4
5.2
角形コネクタ
5
5.3
プリント配線板用コネクタ
5
5.4
1 次回路及び 2 次回路のインピーダンス整合
6
5.5
2 次回路の準備
6
5.6
1 次回路の適合条件
6
5.7
測定回路の校正
6
6.
シールド効果の測定
7
6.1
測定
7
6.2
減衰量計算の方法
7
7.
要求事項
8
8.
個別規格に規定する事項
8
日本工業規格
JIS
C
5402-23-3
:2005
(IEC 60512-23-3
:2000
)
電子機器用コネクタ―
試験及び測定―第 23-3 部:スクリーニング
及びフィルタリング試験―
試験 23c:コネクタ及びアクセサリのシールド効果
Connectors for electronic equipment -
Tests and measurements - Part 23-3: Screening and filtering test -
Test 23c: Shielding effectiveness of connectors and accessories
序文 この規格は,2000 年に第 1 版として発行された IEC 60512-23-3,Connectors for electronic equipment -
Tests and measurements - Part 23-3: Screening and filtering test - Test 23c: Shielding effectiveness of connectors and
accessories
を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。
1.
適用範囲 この規格は,電子機器用コネクタ(以下,コネクタという。)の能力を評価するための標準
的試験方法について規定する。コネクタ,すなわちアクセサリを取付け,ケーブルを接続したコネクタの
シールド効果を測定するための標準的試験方法について規定する。ここでいう完全な組立品とは,その全
長に渡って 360 度連続的にシールド機能をもつものである。
この試験方法は, コネクタ/アクセサリ/ケーブル組立品の固有のシールド特性は,外部シェル上を流
れる電流に関連するシールド内部の軸方向電圧として表すことが可能な表面伝達インピーダンスである
という原理を利用する。
この試験方法は,インピーダンス整合した二つの回路に基づいている。測定原理を
図 1 に示す。供試コ
ネクタは,2 次回路 02 に組み込まれている。1 次回路 01 のインピーダンス整合されたインジェクションラ
インは,試験中の試料と並行して取り付けられ,電磁場を発生する。
この試験方法は,データバスシステムに使用するシールド付ツイストペアケーブルを接続したトライア
キシャル コンタクトを組み込んだコネクタのシールド効果測定に適している。
2
C 5402-23-3
:2005 (IEC 60512-23-3:2000)
Z01
特性インピーダンス,1 次回路
Z02
特性インピーダンス,2 次回路
L
結合部の長さ
P1
パワー,1 次回路
P2
パワー,遠端,2 次回路
P3
パワー,近端,2 次回路
図 1 インジェクションライン法の原理図
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)
,MOD
(修正している)
,NEQ(同等でない)とする。
IEC 60512-23-3:2000
,Connectors for electronic equipment - Tests and measurements - Part 23-3:
Screening and filtering test - Test 23c: Shielding effectiveness of connectors and accessories (IDT)
2.
引用規格 次に揚げる引用規格は,この規格に引用されることによってこの規格の規定の一部を構成
する。発行年を付記してある次の規格は,記載の年の版だけがこの規定を構成するものであって,その後
の改訂版・追補は適用しない。
IEC 60096-4-1:1990
Radio-frequency cables - Part 4: Specification for superscreened cables - Section 1:
General requirements and test methods
3.
試験方法
3.1
試験要求事項 この方法は IEC 60096-4-1 に基づくものであり,また試料は,ケーブルを取り付けて
試験する。
ただし,電気的短絡長を維持し,かつ,試料の全周にわたって 4 か所以上の測定を確実にするためには,
IEC60096-4-1
の 12.1.6.1 及び 12.1.6.3 を参照する。
この試験方法は,外部シールド機能をもつコネクタ及びアクセサリに適用が可能である。次に示す種類
のコネクタが試験可能である。
−丸形コネクタ
−角形コネクタ
−プリント配線板用コネクタ
−コネクタ用アクセサリ
このインジェクションライン法は,二つの平衡/整合伝送線路を得る手段を提供する。これは,試料に
3
C 5402-23-3
:2005 (IEC 60512-23-3:2000)
関係する 50Ωにできる限り近い値にインピーダンス整合するために,試料中を通過する内部引出し伝送線
路を選択することにより達成できる。
第 2 外部伝送線路は,試料の長手方向にインジェクションワイヤを配置することで達成でき,これはま
た,試料に関係する 50Ωにできる限り近い値にインピーダンス整合するように調整されている。
信号源と測定器との間にアースループが存在しないようにすることが重要である。
3.2
試験スクリーン径 試験用に取り付けたスクリーン(ケーブルの外部導体)の表面伝達インピーダ
ンスは,
表 1 の要求事項に適合しなければならない,また,試験スクリーン外径は,ケーブルクランプの
ケーブル引出し口内径の 90 %以上とする。
表 1 伝達インピーダンス要求値
試験スクリーン径
mm
スクリーンの最大表面伝達インピーダンス
m
Ω/m(30 MHz における値)
2
〜 4.9
70
5
〜 9.9
45
10
〜 17.9
35
18
〜 23.9
20
24
〜 29.9
10
30
〜 40+
5
備考 これらの値はシールドの漏えいが全体の結果に影響しないよ
うに選択されたものである。
3.3
適用周波数範囲 適用周波数範囲は 10kHz から 1GHz である。最大適用周波数は,測定回路(test
set-up
)及び試料の寸法に依存する。周波数の上限は,次の式で計算することができる。
1
2
r
r
L
c
f
ε
ε
π
−
×
×
=
ここに, C=3×10
8
m/s
L
:
試料の長さ
ε
r1
:
1
次回路の誘電率
ε
r2
:
2
次回路の誘電率
4.
試験機器
−ネットワークアナライザ又は信号発生器及びレシーバ
−パワー分配器(必要とする場合)
−減衰器(必要とする場合)
−終端負荷
−テストアダプタ
−タイムドメインリフレクトメータ(TDR)
4
C 5402-23-3
:2005 (IEC 60512-23-3:2000)
− 絶縁付銅箔又はインジェクションライン用多心リボンケーブル
A1
結合ボックス
A2
終端ボックス
D
インジェクションライン用発信部
F 1
次回路用供給ケーブル
図 2 試験構成図
5.
試料の準備 アクセサリを試験するすべての場合において,シールディングチューブは,供試アクセ
サリと交換する。
5.1
丸形コネクタ コネクタシェルを,耐高周波シールディングチューブに取り付ける。
試料の全長は,結合部としての役割をする。
図 3 に丸形コネクタ試験構成(test set-up)例を示す。インジェクションラインとの結合は,信号発生器
の供給ケーブル用の適切な終端負荷の付いたセミリジット同軸ケーブルによって行う。セミリジット同軸
ケーブルの外部導体とシールディングチューブとは,はんだで接続する。
インジェクションラインは,コネクタシェルの導電性のある表面から離しておく必要がある。したがっ
て,インピーダンス整合のために,適切な誘電体を選択しなければならない。
図 3 丸形コネクタの試験構成例
5
C 5402-23-3
:2005 (IEC 60512-23-3:2000)
5.2
角形コネクタ シールド付シェル内の角形コネクタに関しては,シールディングチューブ又は同等
のシールド付ケーブルを耐高周波コネクタシェルのケーブル保持部に結合する。
結合部は,信号経路の方向で両シェルの全長に及んでいる。
コネクタインタフェースがシールド付シェルの片面だけに取り付けられている場合,
アダプタには,
個々
の外部シールディングがなければならない。
図 4 にシールド付角形コネクタ試験構成例を示す。セミリジット同軸ケーブルは,インジェクションラ
インとの結合のために使用し,また同ラインは,適切な誘電体を介して試料から離しておく(必要とする
場合)
。
図 4 シールド付角形コネクタの試験構成例
5.3
プリント配線板用コネクタ プリント配線板用コネクタは,配線板に外部シールディング構造が追
加されている場合には,インジェクションライン法を用いた場合だけ,試験することができる。外部シー
ルディング構造は,適切なシールド付ボックス,両面がシールドされているプリント配線板,又は同等の
構造によって実現できる。
図 5 に,プリント配線板用コネクタ試験構成例を示す。分離用の適切な誘電体を取り付けてインピーダ
ンス整合したインジェクションラインを,セミリジット同軸ケーブルに結合する。終端には 50Ω表面実装
タイプの抵抗を使用し,これを結合部より離れたプリント配線板上に取り付ける。
シールディングチューブの代わりに両面がシールドされ,かつ,インピーダンス整合されたストリップ
ライン技術をもつ多層基板を使用する。
6
C 5402-23-3
:2005 (IEC 60512-23-3:2000)
図 5 シールド付プリント配線板用コネクタの試験構成例
5.4 1
次回路及び 2 次回路のインピーダンス整合 供試コンタクト又は試験中のコンタクトグループ(2
次回路)及びインジェクションライン(1 次回路)は,インピーダンス値が 50Ω±10Ωの範囲となるよう
に,選択し調整する。
1MHz
以下の周波数においては,より大きな公差値であってもよい(50Ω±20Ω)
。
5.5 2
次回路の準備 供試コンタクトは,個別規格に規定する。その他のコンタクトは接続しない。
インジェクションラインに沿ったインピーダンス測定は,タイムドメインリフレクトメータ(TDR)を
使用する。
5.6 1
次回路の適合条件 インジェクションラインの規定周波数範囲に対して要求されるインピーダン
スは,適切に設計された銅箔又は適正な導体数のリボンケーブルを使用することにより実現できる。同時
に,インピーダンス整合は,TDR(立ち上がり時間<100ps)で測定する。
インジェクションラインは,コネクタの中で選択したコンタクトに対して,並行に取り付ける。
コネクタ コンタクトとインジェクションライン間との距離は,可能な限り短くする。結合部分は,試料
の長さに制限する。
5.7
測定回路の校正 校正手順については,図 6 に測定回路を示す。短絡回路の校正手順の場合,ネッ
トワークアナライザの出力信号は,試料を経由して入力チャネルに接続する。
7
C 5402-23-3
:2005 (IEC 60512-23-3:2000)
A1
結合ボックス
A2
終端ボックス
D
インジェクションライン用発信部
図 6 測定回路の校正
6.
シールド効果の測定
6.1
測定 測定は,IEC 60096-4-1 の 12.1.6.3 に従う試験構成及び図 2 から図 5 による試験構成を使用
する。
6.2
減衰量計算の方法 表面伝送インピーダンス及びシールド効果は,次の関係式によって計算するこ
とができる。
備考 Z
T
の値は,試料に関する絶対値である(ただし,試料が単位長さのケーブルでない場合,結果
を修正する必要がある。
)
。
電流(I)がコネクタ/アクセサリ/シールディング内に誘起されるとき,
(
)
(
)
40
−
=
emf
sg
V
dB
V
A
dB
I
μ
μ
ここで,V
sg
は,電源電圧である。最後の項は,電源インピーダンス及び直列につながる附属品の抵抗に
より生じる回路の 100Ωインピーダンスに起因する。
V
out
が 50Ω系の内部導体上で測定した電圧の場合,その時には伝達インピーダンスは,次のように表現
できる。
表面伝達インピーダンス
(
)
(
)
40
6
−
−
+
=
Ω
sg
out
T
V
V
dB
Z
ここで,V
out
及び V
sg
の単位は,dBμV である。
126dB
μV の電源電圧を使用する場合は,
(
)
80
−
=
Ω
out
T
V
dB
Z
シールド効果
( )
( )
T
L
Z
R
10
10
log
20
log
20
−
+
=
ここで,
Ω
= 50
L
R
8
C 5402-23-3
:2005 (IEC 60512-23-3:2000)
測定結果は,両対数目盛により直線状の曲線に描かれる。縦軸に相対シールド減衰量を,横軸に周波数
を示す(
図 7 参照)。
図 7 シールド減衰量プロット例
7.
要求事項 表面伝達インピーダンスは,ミリオーム(mΩ)で表すか,又は,デシベル(dB)でシー
ルド効果に換算され,個別規格で規定する値を超えてはならない。
8.
個別規格に規定する事項 個別規格には,次の事項を規定する。
a)
供試コンタクト又はコンタクトグループ
b)
シールド効果の最小値(dB)又は伝達インピーダンスの最大値(Z)
c)
周波数又は周波数範囲
d)
試験に使用するケーブルのスクリーン外径寸法
e)
この試験法と相違する事項