>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

日本工業規格

JIS

 C

4604

-1988

高圧限流ヒューズ

High

−Voltage Current−Limiting Fuses

1.

適用範囲  この規格は,三相回路で公称電圧 3.3kV 又は 6.6kV の電路に使用する高圧限流ヒューズ(以

下,ヒューズという。

)について規定する。

備考1.  単相回路へ適用する場合は,ヒューズの定格電圧は,使用回路の最高線間電圧以上であり,

回路の各極にヒューズを使用するものとする。

2.

高圧カットアウト用ヒューズには,この規格は適用しない。

引用規格:

JIS C 0201

  ヒューズ用語

JIS C 4620

  キュービクル式高圧受電設備

JIS Z 8721

  三属性による色の表示方法

対応国際規格:

IEC282-1

  High-voltage fuses−Part 1 : Current-limiting fuses

2.

用語の意味  この規格で用いる主な用語の意味は,JIS C 0201(ヒューズ用語)によるほか,次のと

おりとする。

(1)

断路形ヒューズ  垂直切断路器のブレードのように,ヒューズリンクが開閉できる構造をもち,開路

した場合,断路器と同等の断路距離をもつヒューズ。

(2)

定格電圧  規定の条件の下で,ヒューズを使用できる回路電圧の上限値(実効値)。

(3)

定格耐電圧  規定の条件の下で,ヒューズが耐え得る電圧の限度で,対地耐電圧,異相主回路間の耐

電圧及び断路形ヒューズの開路時の同相主回路端子間の耐電圧の総称。

備考  定格耐電圧は,絶縁階級(号)で表すことがある。

(4)

定格電流  規定の条件の下で,規定の温度上昇限度を超えないで,ヒューズに連続して流し得る電流

の限度(実効値)

(5)

定格周波数  ヒューズの設計の基準となる周波数。

(6)

定格遮断電流  規定の条件の下で,ヒューズが遮断し得る固有電流の上限値。

(7)

時間−電流特性  規定の条件の下で電流を流したときの,ヒューズの許容時間,溶断時間又は動作時

間と固有電流との関係を表す曲線。

(8)

繰返し過電流特性  規定の条件の下で,ヒューズが繰り返し耐え得る電流,通電時間及び通電回数の

組合せ。

(9)

最大動作 I

2

t

  限流範囲における動作時間中の I

2

t

の最大値。

(10)

アーク電圧  アーク時間中にヒューズの端子間に現れる電圧。

(11)

固有過渡回復電圧  回路の一点において,その回路の正弦波交流電流が,その自然零値でアークを発


2

C 4604-1988

生することなく,また,回路の過渡現象特性に何らの影響を与えず,遮断された場合の過渡回復電圧。

(12)

過渡回復電圧波高値  過渡回復電圧波形における幾つかの極大値のうち,その最大値。

(13)

過渡回復電圧波高時間  過渡回復電圧が現れ始めてから、その過渡回復電圧波高値に至る時間。

(14)

過渡回復電圧規約波高時間  過渡回復電圧波形のオシログラムから求められた過渡回復電圧波高時間

7.10(2)(f)参照]

(15)

過渡回復電圧上昇率  過渡回復電圧の時間的増加率。

(16)

過渡回復電圧規約上昇率  過渡回復電圧波形のオシログラムから求められた過渡回復電圧上昇率[7

10(2)(f)

参照]

(17) 

過渡回復電圧遅れ時間  過渡回復電圧波形の初期上昇分の停滞を表し,過渡回復電圧波形のオシログ

ラムから求められた時間[7.10(2)(f)参照]

(18)

短絡力率  短絡電流の交流分基本波とその遮断時の商用周波回復電圧の交流分基本波との間の相差角

の余弦。

(19)

投入位相角  電流が流れ始めた瞬時の電源電圧の位相角。

(20)

発弧位相角  ヒューズエレメントが溶断してアークが発生した瞬時の電源電圧の位相角。

3.

使用状態

3.1

標準使用状態  標準使用状態とは次の状態をいい,ヒューズは,特に指定されない限り,この状態

で使用されるものとする。

(1)

周囲温度が−20∼+40℃の範囲を超えない場所で使用する場合。

(2)

標高が 1 000m 以下の場所で使用する場合。

3.2

特殊使用状態  特殊使用状態とは,次のいずれかに該当する使用状態をいい,この使用状態の場合

は,特に指定しなければならない。

(1)

周囲温度及び標高が 3.1 に定める場所以外の場所で使用する場合。

(2)

潮風を受けることが著しい場所で使用する場合。

(3)

常時湿潤な場所で使用する場合。

(4)

過度の水蒸気又は過度の油蒸気がある場所で使用する場合。

(5)

爆発性,可燃性,その他有害なガスがある場所及びそのガスによって危険の及ぶおそれがある場所で

使用する場合。

(6)

過度のじんあいがある場所で使用する場合。

(7)

異常な振動又は衝撃を受ける場所で使用する場合。

(8)

氷雪が特に多い場所で使用する場合。

(9)

以上のほか,特殊な条件の下で使用する場合。

4.

定  格

4.1

定格電圧  定格電圧は,表 に示す値とする。

表 1  定格電圧

単位 kV

公称電圧

定格電圧

3.3 3.6

6.6 7.2


3

C 4604-1988

4.2

定格耐電圧  耐電圧値及び絶縁階級は,表 に示す値とする。

表 2  耐電圧値及び絶縁階級

単位 kV

各相主回路端子間及び主回路端

子と大地間の耐電圧値

同相主回路端子間の耐電圧値

定格電圧

絶縁階級の種類

雷インパルス

(標準波形)

乾  燥

商用周波

乾燥(1 分間)

注水(10 秒間)

雷インパルス

(標準波形)

乾  燥

商用周波

乾燥(1 分間)

注水(10 秒間)

3

号 A

45 16 52

3.6

3

号 B

30 10 35

19

6

号 A

60 22 70

7.2

6

号 B

45 16 52

25

備考1.

同相主回路端子間の耐電圧値は,断路形ヒューズに適用する。

2.

屋内用は乾燥状態だけ,屋外用は乾燥・注水の両状態が適用される。

3.

標高 1 000m を超える場所に使用されるヒューズの耐電圧を通常の標高の場所で試験する

場合は,

附属書 による。

4.3

定格周波数  定格周波数は,50Hz 若しくは 60Hz 又は 50Hz/60Hz 共用とする。

4.4

定格電流  定格電流は,表 の値及び表 の R10 数列の値とする。

なお,

表 と表 にわたって選定してもよい。

表 3  定格電流

単位 A

定格電流

1 1.5 3 5 7.5 10 15 20 30 40

50 60 75 100 150 200 250 300 400

表 4  定格電流(R10 数列)

単位 A

定格電流(R10 数列)

1 1.25 1.6 2 2.5 3.15 4 5 6.3 8

備考1.  表4の値の10の整数乗倍の値も標準と

して認められる。

2.  400A

を超える値は,

表 の R10 数列か

ら選定する。

4.5

定格遮断電流  定格遮断電流は,表 に示す値とする。

表 5  定格遮断電流

定格電圧 kV

定格遮断電流 kA

三相遮断容量(参考値)MVA

16 100

25 160

3.6

40 250

12.5 160

20 250

31.5 390

7.2

40 500

4.6

最小遮断電流  最小遮断電流は,製造業者が明示した値とし,それに対応する動作時間を明示する。

5.

性  能


4

C 4604-1988

5.1

端子間及びヒューズリンク接触部間の抵抗値  7.2 によって試験を行ったとき,製造業者があらかじ

め設定した値の範囲内になければならない。

5.2

無電圧開閉性能  断路形ヒューズは,7.3 によって試験を行ったとき,開閉操作が円滑で衝撃が少な

く,かつ,締付け部分の緩みなどの支障がいずれの部分にもあってはならない。さらに,5.1 の規定に適合

しなければならない。

5.3

温度上昇  7.4 によって試験を行ったとき,各部の温度上昇は,表 の値を超えず,かつ,5.1 の規

定に適合しなければならない。周囲温度が 40℃を超える場所に使用されるものに対しては,

表 に示す値

から周囲温度が 40℃を超える温度を減じた値をその温度上昇の限度とする。

表 6  温度上昇限度

単位℃

測定箇所及び種別

温度上昇限度

最高許容温度

銅又は黄銅接触

35 75

銀接触 65

105

ばね加圧

すず接触 55

95

銅又は黄銅接触

50 90

ヒューズリンク接触部

ボルト締付け

銀又はすず接触

65 105

銅又は黄銅接触

50 90

端  子

銀又はすず接触

65 105

A

種 65

105

E

種 80

120

B

種 90

130

F

種 115

155

H

種 140

180

ヒューズリンクの絶縁部分

C

種 140 を超える値 180 を超える値

備考1.  基準周囲温度の限度は,40℃とする。

2.

標高 1 000m を超える場所に使用されるヒューズの温度試験を通常の標高の
場所で行う場合又は定格電流を補正して使用する場合は,

附属書 による。

5.4

ワット損  7.5 によって試験を行ったとき,製造業者が明示する値以下でなければならない。

5.5

耐  電  圧  7.6 によって試験を行ったとき,地絡,フラッシオーバを生じることなく、かつ,ヒュー

ズの各部に異常があってはならない。

5.6

溶断特性  7.7 によって試験を行ったとき,個々の溶断特性は,製造業者が明示する特性曲線に対し

て,電流座標で±20%の範囲を超えず,かつ,

表 の規定を満足しなければならない。

なお,溶断特性は,規約時間によって平均値で明示するものとする。

5.7

許容時間−電流特性  7.8 によって試験を行ったとき,次の各項に適合しなければならない。

なお,許容時間−電流特性は,許容時間の最小値を明示するものとする。

(1)

許容時間−電流特性上の 60 秒に対応する電流を 60 秒間通電し,これを 3 回繰り返した後,60 秒溶断

電流における溶断時間が溶断特性の電流座標で±20%の範囲内であること。

(2)

許容時間−電流特性上の 60 秒に対応する電流を 60 秒間通電し,これを 100 回繰り返しても溶断しな

いこと。

5.8

繰返し過電流特性  7.9 によって試験を行ったとき,表 に適合しなければならない。


5

C 4604-1988

表 7  溶断特性

単位 A

溶断特性

ヒューズの種類

不溶断電流

I

f7200

/I

n

I

f60

/I

n

I

f10

/I

n

I

f0.1

/I

n

G

(一般用)

I

f7200

/I

n

≦2

2

I

f10

/I

n

≦5

75

.

0

1

.

0

75

.

0

100

20

/

100

7

÷

ø

ö

ç

è

æ

÷

ø

ö

ç

è

æ

n

n

f

n

I

I

I

I

T

(変圧器用)

定格電流の 1.3 倍の電流で 2 時間

以内に溶断しないこと。

− 2.5≦I

f10

/I

n

≦10 12≦I

f0.1

/I

n

≦25

M

(電動機用)

6

I

f10

/I

n

≦10 15≦I

f0.1

/I

n

≦35

C

(コンデンサ用)

定格電流の 2 倍の電流で 2 時間以

内に溶断しないこと。

I

f60

/I

n

≦10

備考1.  I

f7200

I

f60

I

f10

I

f0.1

I

n

:2 時間溶断電流(平均値) 
:60 秒溶断電流(平均値) 
:10 秒溶断電流(平均値)

:0.1 秒溶断電流(平均値) 
:定格電流

2.

ヒューズの種類 G における 0.25 乗の計算値を

附属書 に示す。

3.  JIS C 4620

(キュービクル式高圧受電設備)の高圧限流ヒューズ・高圧交流負荷開閉器形(PF・S 形)キュ

ービクルに使用するヒューズは,種類 G を適用する。

4.

計器用変圧器用ヒューズの溶断特性は,種類 T とする。

表 8  繰返し過電流特性

ヒューズの種類

繰返し過電流特性

G

(一般用)

T

(変圧器用)

定格電流の 10 倍の電流を 0.1 秒間通電し,これを 100 回繰り
返しても溶断しないこと。

M

(電動機用)

定格電流の 5 倍の電流を 10 秒間通電し,

これを 10 000 回繰り

返しても溶断しないこと。

C

(コンデンサ用)

定格電流の 70 倍の電流を 0.002 秒間通電し,これを 100 回繰
り返しても溶断しないこと。

備考  表 に規定した以上の繰返し回数が必要な場合は,使用者と製造業者の

協議による。

5.9

遮断性能  7.10 によって試験を行ったとき,次の各項に適合しなければならない。

(1)

ヒューズリンクが爆発したり,動作後引き続き再使用する部分に溶着,破損などがないこと。ただし,

再使用しない部分の実用上支障がない破損,き裂などは,許容される。

(2)

限流値,動作 I

2

t

及び溶断 I

2

t

は,製造業者が明示する値以下であること。

(3)

動作過電圧は,

表 に示す値以下であること。

表 9  動作過電圧

単位 kV

定格電圧

動作過電圧(波高値)

3.6 12

7.2 23

(4)

高温気体がヒューズから噴出しないこと。ただし,表示器及びストライカからの少量の高温気体の放

出は,許容される。

(5)

表示器又はストライカ付ヒューズは,その表示器又はストライカが正常に動作すること。


6

C 4604-1988

6.

構  造

6.1

構造一般  ヒューズは,電気的及び機械的に十分な耐久性をもち,保守点検が安全,かつ,容易に

できる構造でなければならない。

なお,断路形ヒューズは,開閉に際して衝撃が少なく,円滑かつ確実に操作できなければならない。

6.2

塗装及びめっき  さびの発生が予想される部分には,十分なさび止めを施した後,塗装を行うこと。

なお,めっきを施す部分については,十分な前処理を行い,めっきを施すこと。

6.3

    色  屋内用ヒューズの塗装色は,JIS Z 8721(三属性による色の表示方法)に規定する色相,

明度及び彩度によることとし,原則として 5Y7/1 とする。

7.

試験方法

7.1

構造試験  構造試験は,6.及び 10.に規定する事項について調べる。

7.2

抵抗試験  抵抗試験は,端子間及びヒューズリンク接触部間の抵抗を直流電圧降下法で測定する。

7.3

無電圧開閉試験  無電圧開閉試験は,断路形ヒューズについて,使用状態になるべく近い状態で,

無電庄で 50 回(受渡検査では 5 回)の開閉を行い,各部の状態を調べる。

その後,7.2 の試験を行う。

7.4

温度試験  温度試験は,通風の影響がない場所で行い,接触部,端子及びヒューズリンクに対して

行う。

供試ヒューズは,使用状態になるべく近い状態に取り付ける。

(1)

試験電圧,電流及び周波数  試験電圧は,定格電圧以下であってもよい。試験電流は,定格電流とし,

試験周波数は,48∼62Hz とする。ただし,種類 C ヒューズの試験電流は,定格電流の 1.5 倍の電流と

する。

(2)

周囲温度  特に指定のない限り常温 (5∼35℃)  で行い,40℃を超えないものとする。

周囲温度は,高さが導電部の中央で,距離が 1∼2m の位置に,約 0.5の油に浸した温度計を 3 か所

以上置き,この温度の読みの平均を取るものとする。

また,温度試験中に周囲温度の変化があるときは,全試験期間の最後の

4

1

の間における温度の平均

をもって周囲温度とする。

(3)

接続導体  ヒューズの両端に表 10 に示す銅線又は銅帯を接続する。

表 10  接続導体

接続導体

定格電流

A

断面積 mm

2

長さ m

 25

以下

20

∼   30

25

を超え    60 以下

40

∼   60

60

を超え   100 以下

80

∼  100

100

を超え 200 以下 120∼  160

200

を超え 400 以下 250∼  350

400

を超え 630 以下 500∼  600

630

を超え 1 000 以下 800∼1 000

1

以上

(4)

温度上昇の測定  温度上昇の測定は,温度計法によるものとし,水銀温度計,アルコール温度計又は

埋込みをしない抵抗温度計若しくは熱電温度計のいずれかの測温部を,外部から接近しやすい部分の

うち最高温度と推定される箇所の面に接触させ,適量のパテなどで包むものとする。

温度上昇は,最終の一定温度を確認できるよう十分な時間をかけて測定するが,実際上 1 時間につ


7

C 4604-1988

き 1℃を超える変化が認められないときは,この温度を最終温度としてもよい。

(5)

抵抗測定  温度上昇測定後、供試ヒューズを放置,冷却した後,7.2 の試験を行う。

7.5

ワット損試験  ワット損試験は,温度試験と同一条件の下で,定格電流の 50%,100%及び 150%(種

類 C ヒューズに限る。

)の電流を通電し,最終温度に達した後,ヒューズリンク両端間のワット損を測定

する。

7.6

耐電圧試験  耐電圧試験は,商用周波耐電圧試験と雷インパルス耐電圧試験とからなる。

(1)

印加部分とヒューズの状態  印加部分とヒューズの状態は,表 11 のとおりとする。

表 11  印加部分とヒューズの状態

印加部分

ヒューズの状態

各相主回路端子間

ヒューズ 3 極を製造業者が指示する最小相間寸法に取り付け,閉路状態で行う。

主回路端子と大地間

閉路状態で行う(断路形ヒューズは,開路状態でも行う。

同相主回路端子間

断路形ヒューズについて,開路状態で行う。

(2)

商用周波耐電圧試験における試験電圧の波形及び周波数  試験電圧の波形は、なるべく正弦波とし,

周波数は 48∼62Hz とする。もし,波形が正弦波と著しく異なる場合には,その試験電圧の波高値は,

規定の試験電圧に 2 を乗じた値以上でなければならない。

(3)

雷インパルス耐電圧試験における試験電圧の波形及び試験回数  波形は,±1.2/50

µs(波形の裕度は,

波頭長で±30%,波尾長で±20%とする。

)とし,試験回数は,正負極性別に各 3 回とする。

(4)

試験電圧  各部に加える試験電圧は,表 の値とする。

(5)

商用周波耐電圧試験における試験電圧の印加方法  乾燥試験の場合は,試験電圧の

2

1

以下の電圧を加

え,それから試験電圧まで電圧計にそのときどきの電圧を表示することができる範囲で,できるだけ

早く上昇させ,試験電圧に達した後,1 分間連続印加する。

注水試験の場合は,試験電圧までできるだけ早く上昇させ,試験電圧に達した後 10 秒間連続印加す

る。

(6)

注水試験  水圧一定の下に,噴水口から噴射させ,水滴はなるべく細かく,かつ,一様で,注水範囲

は,試験品を十分に包含できる広さであること。各部への注水密度は,なるべく一様で,その注水角

度は,試験品のほぼ中央部で垂直方向に対して約 45 度とする。注水量は,その垂直成分で毎分約 3mm

とする。

また,注水の抵抗率は,原則として 10 000

Ω・cm±20%とする。

7.7

溶断特性試験  溶断特性試験は,5.6 の溶断特性を確かめるために行うものとし,通風の影響がない

場所で,あらかじめ通電加熱しない新品のヒューズについて,次の各項によって行う。

(1)

周囲温度  特に指定がない限り常温で行い,40℃を超えないものとする。

(2)

試験品の取付け  7.4 の温度試験と同じ状態に取り付けて行う。接続導体は,表 10 による。

(3)

試験電圧,周波数及び電流波形  試験電圧は,定格電圧以下であってもよい。試験周波数は,48∼62Hz

とし,電流波形は,なるべく正弦波とする。

(4)

時間の測定  時間の測定は,ストップウオッチ,オシログラフ,その他適切な計器で行う。

(5)

通電電流の測定

(a)

通電電流の測定は,指示電流計,オシログラフ,その他適切な計器で行う。

(b)

直流分の含有又は交流分の減衰などで電流が一定でない場合は,

附属書 に示す方法又はこれと等

価と考えられる方法で求めた I

2

t

から換算する。

(6)

試験電流及び試験回数  試験のために通じる電流は,表 12 の値とし,試験回数は,各項日ごとに各 1


8

C 4604-1988

回とする。

なお,遮断試験の電流が

表 12 の電流に近い場合は,遮断試験で得たデータを用いてもよい。

表 12  溶断特性試験の通電電流

G

(一般用)

T

(変圧器用)

M

(電動機用)

C

(コンデンサ用)

不溶断電流

不溶断電流

不溶断電流

不溶断電流

定格電流×2.0

最小遮断電流(

1

)

定格電流×10

 600s

溶断電流

600s

溶断電流

600s

溶断電流

10s

溶断電流 10s

溶断電流

10s

溶断電流

10s

溶断電流

0.1s

溶断電流 0.1s

溶断電流

0.1s

溶断電流

0.1s

溶断電流

0.01s

溶断電流 0.01s 溶断電流

0.01s

溶断電流

0.01s

溶断電流

(

1

)

最小遮断電流の試験は,最小遮断電流における溶断時間が600秒を超える

場合だけ実施する。

備考1.  不溶断電流の値は,表7による。

2.

表 12 中の溶断電流は,溶断特性曲線上の指定時間に対する電流値とし,
実際の通電電流は,その±10%とする。

7.8

許容時間−電流特性試験  許容時間−電流特性試験は,5.7 の許容時間−電流特性を確かめるために

行うものとし,通風の影響がない場所であらかじめ通電加熱しない新品のヒューズについて,次の各項に

よって行う。

(1)

周囲温度  特に指定がない限り常温で行い,40℃を超えないものとする。

(2)

試験品の取付けと個数  7.4 の温度試験と同じ状態に取り付けて行う。接続導体は,表 10 による。試

験品の個数は,試験の種類ごとに各 3 台とし,直列に接続して行ってもよい。

(3)

試験電圧,周波数及び電流波形  試験電圧は,定格電圧以下でもよい。試験周波数は,48∼62Hz とし,

電流波形は,なるべく正弦波とする。

(4)

通電時間  通電時間は,60 秒とする。

(5)

通電電流  通電電流は,許容時間−電流特性上の 60 秒に対応する電流とする。

(6)

通電間隔  通電間隔は,30 分間隔又はそれ以下とする。

(7)

通電回数  通電回数は,次による。

(a)

試験の種類 A  繰り返し 3 回通電した後,60 秒溶断電流によって溶断特性試験を行う。

(b)

試験の種類 B  繰り返し 100 回通電し,溶断の有無を調べる。

7.9

繰返し過電流特性試験  繰返し過電流特性試験は,5.8 の繰返し過電流特性を確かめるために行うも

のとし,通風の影響がない場所で,あらかじめ通電加熱しない新品のヒューズについて,次の各項によっ

て行う。

(1)

周囲温度  特に指定がない限り常温で行い,40℃を超えないものとする。

(2)

試験品の取付けと個数  7.4 の温度試験と同じ状態に取り付けて行う。接続導体は,表 10 による。試

験品の個数は 3 台とし,直列に接続して行ってもよい。

(3)

試験電圧,周波数及び電流波形  試験電圧は,定格電圧以下でもよい。試験周波数は,48∼62Hz とし,

電流波形は,なるべく正弦波とする。

(4)

通電時間  通電時間は,ヒューズの種類によって表 13 に示す時間とする。

(5)

通電電流  通電電流は,ヒューズの種類によって表 13 に示す電流とする。

(6)

通電回数及び通電間隔  通電回数は,ヒューズの種類によって表 13 に示す回数とし,通電間隔は,30

分間隔又はそれ以下とする。


9

C 4604-1988

表 13  繰返し過電流特性試験の条件

ヒューズの種類

通電時間

通電電流

A

通電回数

T

(変圧器用)

 0.1

ヒューズ定格電流の 10 倍 100

M

(電動機用)

10

ヒューズ定格電流の 5 倍 10

000

C

(

2

(コンデンサ用)

 0.002

ヒューズ定格電流の 70 倍 100

(

2

)

13に示す通電時間及び通電電流による試験が困難な場合は,こ

れと熱的に等価と考えられる可能な限り短い通電時間及びそれ

に対応する通電電流を選んで試験してもよい。

7.10

遮断試験  遮断試験は,ヒューズの定格遮断電流,最小遮断電流,限流特性,動作過電圧などを確

かめるために行うものとし,

あらかじめ通電加熱しない新品のヒューズについて,

次の各項によって行う。

(1)

試験品の状態  ヒューズは,完全に組み立てられ,できる限り実際の使用状態に近い据付け状態で試

験を行う。

(2)

試験回路及び測定方法  遮断試験は,図 に示す単相回路でその都度 1 個のヒューズを用いて試験す

る。

最小遮断電流など小電流領域の遮断試験の回路要素で,リアクトルと抵抗器を並列に接続する場合

の並列抵抗値は,リアクタンスの 30 倍以上とする。

固有遮断電流,電流電圧などは,次の各項による。


10

C 4604-1988

図 1  遮断試験回路

(a)

固有電流  固有電流の測定は,オシログラフを使用するものとするが,最小遮断電流などのヒュー

ズの溶断に長時間を要する領域の電流測定には,指示電流計(

3

)

を使用してもよい。

なお,小電流領域の遮断試験の場合は,固有電流測定時にヒューズを導体で短絡しなくてもよい。

遮断試験における供試ヒューズの発弧瞬時に相当する時点の固有電流の値を固有遮断電流とする。

ただし,発弧時点が短絡開始から 0.5 サイクル以内のときは,短絡開始後 0.5 サイクルの点における

値とする(

図 2,図 参照)。

(

3

)

電流測定に指示電流計を使用してもよい場合は,溶断までの期間の大部分一定電流に保つこと

ができ,指示電流計が応答して指針が実際の電流を的確に指示し得る場合に限るものとする。

(b)

電源電圧  電源電圧は,短絡前に供試ヒューズの電源側に印加されている線間電圧の実効値で表す。

電源電圧の波形の狂い率(

4

)

は,10%を超えないこと。

(c)

回復電圧  回復電圧は,供試ヒューズが消弧した瞬時から

f

2

1

f

1

秒(ただし は回復電圧の周波数)

の間で求める(

図 2,図 参照)。

回復電圧の波形の狂い率(

4

)

は,10%を超えないこと。


11

C 4604-1988

(

4

)

波形の狂い率の決定方法については,

附属書4による。

図 2  大電流遮断時の固有遮断電流及び回復電圧

図 3  小電流遮断時の固有遮断電流及び回復電圧

(d)

短絡力率  短絡力率は,附属書 に示す方法によって求める。

(e)

試験周波数  試験周波数は,48∼62Hz とし,短絡前の周波数を測定する。

(f)

試験回路の固有過渡回復電圧  系列 1 及び 2 の試験に際しては,試験回路の固有過渡回復電圧の波

形のパラメータをそのオシログラムから

附属書 に示す方法によって求め,これを記録する。パラ

メータの測定に際しては,低電圧電源を使用してもよい。

波形は,

表 14 に規定された標準値になるべく近いこと。

表 14.1  系列 の試験回路の固有過渡回復電圧

定格電圧

(E)

kV

波高値

(

5

)

(U

c

)

kV

規約上昇率

(Uc/t

3

)

kV/

µs

規約波高時間

(t

3

)

µs

遅れ時間

(t

d

)

µs

3.6 6.2  0.16

39  5

7.2 12.3  0.32

39

5

(

5

)

表中の Uc を求める計算式は,次のとおりである。

E

U

c

3

5

.

1

2

4

.

1

×


12

C 4604-1988

表 14.2  系列 の試験回路の固有過渡回復電圧

定格電圧

(E)

kV

波高値(

6

)

(Uc)

kV

規約上昇率

(Uc/t

3

)

kV/

µs

規約波高時間(

7

)

(t

3

)

µs

3.6 6.6  0.055

以下 160 以下

7.2 13.2  0.084

以下 208 以下

(

6

)

表中の U

c

を求める計算式は,次のとおりである。

E

U

c

3

5

.

1

2

5

.

1

×

(

7

)

定格電流が著しく小さいヒューズリンクの試験の際には,特別
な手段を講じない限り,波高時間が標準値を著しく超す場合が

ある。しかし,使用者と製造業者の協議によって,これらの値
を特に調整しなくてもよい。

(g)

動作過電圧

  動作過電圧は,ブラウン管オシログラフによって測定する。ただし,小電流領域の試

験では,球ギャップによって検証してもよい。

備考

試験回路に過電圧保護装置を設けてあるときは,ヒューズの動作時に放電してはならない。

(3)

遮断試験条件

  遮断試験条件は,次のとおりとする。

(a)

試験系列

  ヒューズの遮断試験は,

表 15

に示す 3 系列に区分して行う。

表 15  遮断試験系列

試験の系列番号

試験目的

1

定格遮断電流 I

1

における遮断性能の検証

2

発弧時電流波高値が固有遮断電流(交流分実効値)の 85∼106%となる固有遮断電
流 I

2

における遮断性能の検証

3

最小遮断電流 I

3

における遮断性能の検証

ヒューズエレメントの一部分に非限流ヒューズと同じ遮断方式の部分をもつヒューズでは,

上記のほかに I

3

I

2

間の電流値における試験を行うこと。その値は,製造業者の指定による。

(b)

試験条件

  ヒューズの遮断試験は,

表 16

に示す条件によって行うものとする。

表 16  遮断試験条件

試験の系列番号

試験条件

1 2 3

回復電圧 0.87×定格電圧以上 1.0×定格電圧以上

固有過渡回復電圧

7.10(2)(f)

による。

短絡力率(遅れ) 0.07∼0.15(

8

) 0.4

∼0.6

固有遮断電流

定格遮断電流 I

1

以上

I

2

最小遮断電流 I

3

以下

発弧時電流波高値

− 0.85I

2

∼1.06I

2

投入位相角(

9

)

0

∼20 度

(

10

)

発弧位相角(

9

) 40

∼65 度

65

∼90 度

試験回数 1

2

3

回復電圧の継続時間

15

秒以上 60 秒以上

(

8

)

短絡力率は,使用者と製造業者との協議によって0.07以下としてもよい。

(

9

)

投入及び発弧位相角は,電圧零点から測定する。

(

10

)

系列 3 の試験において,溶断時間が 2 秒以下の試験については,投入位相角
を制御して遮断電流に直流分を含まないようにするものとする。

備考1.  系列3の試験においては,次の二つの切換え試験方法のいずれかで行っても

よい。


13

C 4604-1988

(

1

)

試験時間の大部分を低電圧で I

3

以下の電流を通電し,溶断前に高圧の規定

の電圧の回路に切り換える。ただし,切換えのために電流を中断する時間は,

0.2

秒を超えないものとし,また,切換え後発弧までの時間は,電流の直流

分がなくなり,オシログラムから電流値を測定できるよう十分長いこと。

(

2

)

電流調整用の抵抗器に並列にリアクトルを接続して試験時間の大部分を低

力率電流とし,溶断前にこのリアクトルの接続を外して規定の力率の電流に
切り換える。ただし,低力率時の電流は,I

3

以下とする。

また,切換え後発弧までの時間は,電流の直流分がなくなり,オシログラ

ムから電流値を測定できるよう十分長いこと。

2.

回復電圧の印加方法は,次の方法によってもよい。

図 に示すバックアップ遮断器 D と並列に電源保護用リアクトルを接続

しておき,同遮断器開放後も引き続き同リアクトルを通じ電圧を印加する。
この場合,リアクトルのインピーダンスは,ヒューズ短絡時 100A 以上を流
し得るものであること。

3.

系列 2 の固有遮断電流 I

2

の実効値は,次のような条件を満たす大きさであ

る。

すなわち,その電流値において投入位相角 0 度から 20 度の範囲で試験し

た場合,発弧瞬時の電流波高値が 0.85I

2

∼1.06I

2

の範囲に入る。

I

2

の概略値は,次に示す二つの方法のうち,いずれかによって求められる。

(1)

溶断時間が 0.5 サイクルである溶断電流(実効値)の 3∼4 倍の固有遮断電

流。

(2)

系列 1 の試験で発弧位相角が 90 度に近い場合の試験結果を用いて,次式に
よって求められる。

1

1

1

2

I

i

i

I

ここに,I

2

=系列 2 の試験の固有遮断電流

I

1

=系列 1 の試験の固有遮断電流

i

1

=系列 1 の試験の発弧時電流波高値

ただし,上式は,I

2

が I

1

より小さい場合に使用できる。I

2

が I

1

より大きく

なる場合には,

備考 4.(3)によって試験を行う。

4.

試験系列及び試験条件の適用

(1)

系列 1 の試験で,投入位相角 0∼10 度で試験しても発弧位相角が 65 度を超
えるヒューズでは,発弧位相角 40∼65 度の試験は行わず,発弧位相角 65∼

90

度の試験の回数 2 を 3 として行う。

(2)

系列 1 の試験のうち系列 2 の条件を満足する試験がある場合には,その回数
だけ系列 2 の試験回数を省略できる。

(3)

系列 1 の固有遮断電流 I

1

が系列 2 の固有遮断電流 I

2

の下限よりも小さい場

合は,系列 1 及び 2 の試験は,固有遮断電流を I

1

として投入位相角が 0 度

から 180 度の間にできるだけ等間隔に配分される 6 回の試験に置き換えて行

うものとする。この場合,回復電圧の継続時間は,60 秒以上とする。 

(4)

同形ヒューズリンクの遮断試験  同形ヒューズリンク(以下,同形ヒューズという。)は,各定格電流

ごとに試験を行わなくても,

表 17 の試験を行えば,他の系列の試験は,省略できる。

(4.1)

同形ヒューズの条件

(a)

定格電圧,定格遮断電流及び定格周波数が等しいこと。

(b)

すべての材料が同じであること。

(c)

ヒューズエレメント

1

本の断面積と並列数以外のすべての寸法が等しいこと。

(d)

  1

本のヒューズリンクにおいて,並列に使用されるヒューズエレメント(表示器用又はストライカ

用のエレメントは除く。

)がすべて同一であること。

(e)

ヒューズエレメントの長さ方向に対する断面の変化の度合いが等しいこと。


14

C 4604-1988

(f)

ヒューズエレメントの厚さ,幅及び本数のうち,変化するものは,定格電流の増加に伴って,単調

に増大しなければならない。したがって,ヒューズエレメントの並列本数を減らし,断面積を増し

てバランスをとること及びこの逆も許されない。

(g)

定格電流の増大に伴ってヒューズエレメント数が増加するときは,ヒューズエレメント間の間隔及

びヒューズエレメントと筒の距離は,定格電流の増大に対して単調に減少しなければならない。

(h)

表示器用又はストライカ用の特殊ヒューズエレメントは,(e)(f)から除外される。ただし,このエ

レメントは,すべてのヒューズに対して共通していること。

(4.2)

同形ヒューズの試験項目  同形ヒューズは,表 17 の試験系列について○印のものに対して試験を行

う。

表 17  同形ヒューズの試験項目

試験するヒューズ

試験の系列番号

A B C

1

2(

11

)

na

nbnc

sa

sbsc

3(

12

)

(

13

)

1

2(

11

)

n

が等しくて

sa

sbsc

3

1

2

s

が等しくて

na

nbnc

3(

12

)

(

11

)  A

及び C に対する系列2の試験電流 I

2

は,A 及び

C

の定格電流に従ってそれぞれ選ぶこと。

(

12

)

ヒューズエレメントの並列数の最低は,2 とす
る。

ただし,表示器用及びストライカ用の特殊な

ヒューズエレメントは,この中には加えない。

(

13

)

ヒューズエレメントの並列数が C よりも少ない

場合に試験を行う。

表中の記号の意味は,次のとおりである。

A

:定格電流が最小の同形ヒューズ

B

:定格電流が

A

C

の間にある同形ヒューズ

C

:定格電流が最大の同形ヒューズ

sa

,

sb

,

sc

:同形ヒューズ

A

B

C

のヒューズエレメント

1

本の断面積

na

,

nb

,

nc

:同形ヒューズ

A

B

C

のヒューズエレメントの並列数 

(4.3)

最小遮断電流の決定方法  試験を省略したヒューズの最小遮断電流値 I

3

は,系列

3

の試験結果から

次のようにして求める。

(a)

n

が一定で が増すとき

A

B

ヒューズの I

3

は,

C

ヒューズの I

3c

の時間に対応する I

3A

I

3B

とする(

図 参照)。

(b)

s

が一定で が増すとき

A

C

ヒューズの動作特性上の I

3A

I

3c

に対応する点を直線で結んで,

B

ヒューズの特性との交点

の電流 I

3B

B

ヒューズの I

3

とする(

図 参照)。

図 4  最小遮断電流決定方法

図 5  最小遮断電流決定方法


15

C 4604-1988

(5)

種類 ヒューズの組合せ遮断試験  種類

C

ヒューズの組合せ遮断試験は,次の各項によって行う。た

だし,定格電流が

50A

を超えるものは,この試験を行わなくてもよい。

なお,ここに記載していない事項は,(1)

(4)の規定による。

(5.1)

供試品の組合せ  ヒューズ定格電流に対応した最大適用容量のコンデンサと組み合わせるものとす

る。

(5.2)

試験回路  組合せ遮断試験は,図 に示す三相回路でその都度

3

個のヒューズを用いて行う。ただ

し,動作しない相のヒューズは,あらかじめ導体で短絡しておいてもよい。

(5.3)

固有遮断電流  固有遮断電流は,供試ヒューズを無視し得る程度の低いインピーダンスの導体に置

き換え,

図 

RS

相間を短絡して測定した固有電流から求める。

図 6  遮断試験回路

(5.4)

遮断試験条件  遮断試験条件は,次のとおりとする。

(a)

試験系列  ヒューズの遮断試験は,表 18 に示す系列番号

4

及び

5

について行う。

表 18  組合せ遮断試験系列

試験の系列番号

試験目的

4

固有遮断電流 I

4

が定格遮断容量に等しい場合の遮断性能の検証

5

発弧時電流波高値が固有遮断電流(交流分実効値)の 85∼

106%

となる固有遮断電流 I

5

における遮断性能の検証

(b)

試験条件  組合せ遮断試験は,表 19 に示す条件によって行う。


16

C 4604-1988

表 19  組合せ遮断試験条件

試験の系列番号

試験条件

4 5

回復電圧 1.0×定格電圧以上

固有過渡回復電圧

7.10(2)(f)

による。

短絡力率(遅れ) 0.07∼0.1

(14)

固有遮断電流

I

4

I

5

発弧時電流波高値

− 0.85I

5

∼1.06I

5

投入位相角

(

15

)

0

∼20 度

発弧位相角

(

15

)

30

∼90 度

試験回数

3

回復電圧の継続時間

15

秒以上 60 秒以上

(

14

)

短絡力率は,使用者と製造業者との協議によって

0.07

以下としてもよい。

(

15

)

投入及び発弧位相角は,電圧零点から測定する。

(6)

同形ヒューズの遮断試験  同形ヒューズは,最大定格電流のヒューズに対して試験を行う。

8.

検  査

8.1

形式検査  形式検査は,一つの形式について,7.によって次の項目の検査を行ったとき,5.6.及び

10.

に適合しなければならない。

(1)

構  造

(2)

抵  抗

(3)

無電圧開閉性能(断路形ヒューズに限る。

(4)

ワット損

(5)

温度上昇

(6)

(7)

溶断特性

(8)

許容時間−電流特性

(9)

繰返し過電流特性

(10)

遮断性能

8.2

受渡検査  受渡検査は,7.によって次の項目の検査を行ったとき,5.

,

6.

及び 10.に適合しなければな

らない。ただし,受渡当事者間の協定によって,検査項目及び内容を省略してもよい。

(1)

構  造

(2)

抵  抗

(3)

無電圧開閉性能(断路形ヒューズに限る。

(4)

耐電圧(主回路端子と大地間の商用周波耐電圧に限る。

9.

製品の呼び方  製品の呼び方は,名称,定格電圧,種類,定格電流及び定格遮断電流による。

例:高圧限流ヒューズ

7.2kV

T20A

12.5kA


17

C 4604-1988

10.

表  示

10.1

ヒューズホルダの表示  ヒューズホルダには,見やすい適当なところに,次の事項を容易に消えな

い方法で表示しなければならない。

(1)

名  称

(2)

形  式

(3)

屋内,屋外用の別

(4)

定格電圧(

kV

又は

V

(5)

絶縁階級

(6)

定格電流

 (A)

(7)

(8)

製造業者名又はその略号

10.2

ヒューズリンクの表示  ヒューズリンクには,見やすい適当なところに,次の事項を容易に消えな

い方法で表示しなければならない。ヒューズリンクのキャップに刻印してもよい。

(1)

形  式

(2)

定格電圧(

kV

又は

V

(3)

種類を示す記号(

G, T, M

又は

C

(4)

定格電流

 (A)

(5)

定格遮断電流

 (kA)

(6)

製造年又はその略号

(7)

製造業者名又はその略号

11.

明示事項  製造業者は,次の事項を技術資料その他何らかの方法で明示しなければならない。

(1)

溶断特性[溶断特性は平均値で表し,溶断時間は規約時間を用い,

0.01

秒から最小遮断電流に対応す

る動作時間まで表示する。ただし,最小遮断電流に対応する動作時間が

600

秒以下の場合

は,

600

秒まで表示し,最小遮断電流に対応する動作時間を超える部分は,破線で表示す

る(

図 及び図 参照)。]

(2)

動作特性[動作特性は,動作時間の最大値を表示する。動作時間は,規約時間を用い,

0.01

秒から最

小遮断電流に対応する動作時間まで表示する。ただし,最小遮断電流に対応する動作時間

600

秒以下の場合は,

600

秒まで表示し,最小遮断電流に対応する動作時間を超える部

分は,破線で表示する(

図 及び図 参照)。]

(3)

許容時間−電流特性[許容時間−電流特性は,許容時間の最小値を表示し,少なくとも

0.01

秒から

60

秒まで表示する(

図 及び図 参照)。]

(4)

最小溶断 I

2

t

(溶断 I

2

t

の最小値の保証値を表示する。

(5)

最小遮断電流及びそれに対応する動作時間

(6)

限流特性[限流値の保証値を表示する(

図 参照)。]

(7)

最大動作 I

2

t

(8)

ワット損


18

C 4604-1988

図 7  最小遮断電流に対応する 

動作時間が 600 秒を超え 

るヒューズの時間−電流 

特性の表示方法

図 8  最小遮断電流に対応する 

動作時間が 600 秒以下の 

ヒューズの時間−電流特 

性の表示方法

図 9  限流特性の表示方法


19

C 4604-1988

附属書 1  標高 1000m を超える場合の耐電圧と温度上昇

標高が

1 000m

を超える場所で使用されるヒューズに対して,耐電圧若しくは温度上昇を通常の標高の

場所で試験する場合又は定格電流を補正して使用する場合は,次のとおりとする。

(1)

耐電圧試験値の補正  表 に示す耐電圧の標準値に附属書 表に示す補正係数

 (a)

を乗じた値を耐電

圧試験値として試験する。

(2)

温度上昇限度又は定格電流の補正  表 に示す温度上昇限度に附属書 表に示す補正係数

 (b)

を乗じ

た値を温度上昇限度として試験をするか又は定格電流を

附属書 表に示す補正係数

 (c)

を乗じた値に

補正して使用する。

附属書 表  標高に対する補正係数

標高

m

耐電圧試験値の補正係数

(a)

温度上昇限度の補正係数

(b)

定格電流の補正係数

(c)

000

1.0 1.0 1.0

500

1.05 0.98 0.99

000

1.25 0.92 0.96

備考 1

000m

と 1 500m 又は 1 500m と 3 000m の間の標高に対する補正係数は,直線内挿法

によって求めるものとする。


20

C 4604-1988

附属書 2  種類 ヒューズの溶断特性について

定格電流ごとに

25

.

0

25

.

0

100

20

100

7

÷

ø

ö

ç

è

æ

÷

ø

ö

ç

è

æ

n

n

n

I

I

I

及び

を計算した結果を

附属書 表に示す。

附属書 

n

n

n

n

I

I

I

I

÷÷

ø

ö

çç

è

æ

÷÷

ø

ö

çç

è

æ

25

.

0

25

.

0

100

20

100

7

及び

の計算値

単位 A

定格電流

In

n

n

I

I

÷

ø

ö

ç

è

æ

25

.

0

100

7

0.1

秒溶断電流

I

f

0.1

n

n

I

I

÷

ø

ö

ç

è

æ

25

.

0

100

20

1 2.2

6.3

1.5 3.6

10.5

3 8.7

25.0

5 16.6

47.3

7.5 27.4

78.5

 10

39.4

113

 15

65.3

187

 20

93.6

268

 30

 155

444

 40

 223

636

 50

 295

841

 60

 370

 1 056

 75

 488

 1 396

100

 700

 2 000

150 1

163

3

320

200 1

664

4

757

250 2

200

6

288

300 2

763

7

896

400 3

960

I

f

0.1

11 314

例:  定格電流100A のヒューズは

700A

≦0.1 秒溶断電流≦2 000A

を満足しなければならない。


21

C 4604-1988

附属書 3  I

2

t

の求め方

1.

溶断時間が 10 サイクル以上の場合の溶断 I

2

t 

  附属書 図 は,電流オシログラムである。

電流の包絡線

AA'

及び

BB'

間の縦線に平行な距離の

2

等分

CC'

を描き,時間軸上の溶断時間 

10

等分

し,次の式によって溶断 I

2

t

を求める。

(

) (

)

[

]

10

10

10

10

10

1

1

1

1

1

0

0

0

0

0

2

10

2

10

10

2

1

2

1

1

2

0

2

0

0

2

10

2

8

2

6

2

4

2

2

2

9

2

7

2

5

2

3

2

1

2

0

2

10

1

0

2

2

2

2

4

30

F

Y

E

F

X

F

Y

E

F

X

F

Y

E

F

X

Y

X

I

Y

X

I

Y

X

I

I

I

I

I

I

I

I

I

I

I

I

t

t

I

Μ

Μ

Μ

Μ

Μ

Μ

Μ

Μ

Μ

÷÷ø

ö

ççè

æ

÷÷ø

ö

ççè

æ

÷÷ø

ö

ççè

æ

附属書 図 1  電流オシログラム


22

C 4604-1988

2.

溶断時間が 1.5 サイクル以上 10 サイクル未満の場合の溶断 I2t  附属書 図 は,電流オシログラム

である。

附属書 図 2  電流オシログラム

各半波について最大値を境とした左右の区間をそれぞれ 2 等分し,次の式によって I

2

t

を求め,その合計

を溶断 I

2

t

とする。

t

1

区間

(

)

2

2

2

1

1

1

2

4

6

i

i

t

t

I

t

2

区間

(

)

2

3

2

2

2

2

2

4

6

i

i

t

t

I

t

10

区間

(

)

2

20

2

19

2

18

10

10

2

4

6

i

i

i

t

t

I

3.

溶断時間が 1.5 サイクル未満の場合の溶断 I

2

t 

  附属書 図 3

は,電流オシログラムである。

附属書 図 3  電流オシログラム


23

C 4604-1988

各半波について最大値を境とした左右の区間をそれぞれ 3 等分し,次の式によって I

2

t

を求め,その合計

を溶断 I

2

t

とする。

t

1

区間

(

)

2

3

2

2

2

1

1

1

2

3

3

8

i

i

i

t

t

I

t

2

区間

(

)

2

5

2

4

2

3

2

2

2

3

3

8

i

i

i

t

t

I

t

4

区間

(

)

2

12

2

11

2

10

2

9

4

2

2

3

3

8

i

i

i

i

t

t

I

ただし,t

4

区間が短い場合は,この区間を 2 等分して次の式によって求めてもよい。

(

)

2

12

2

2

9

4

4

2

4

6

i

i

i

t

t

I

ここに,  i:  t

4

区間を 2 等分したときの電流値

4.

動作 I

2

t

附属書 図 は,電流オシログラムである。

附属書 図 4  電流オシログラム

4.1

溶断 I

2

t

  溶断時間 t

1

を 3 等分し,次の式によって求める。

(

)

2

3

2

2

2

1

1

1

2

3

3

8

i

i

i

t

t

I

+

+

=

4.2

アーク期間中の I

2

t

  電流波形の変曲点を境として 2 個又は 3 個の区間に分け,それぞれの区間を 3

等分し,次の式によって求め,その合計をアーク期間中の I

2

t

とする。

t

2

区間

(

)

2

6

2

5

2

4

2

3

2

2

2

3

3

8

i

i

i

i

t

t

I

+

+

+

=

t

3

区間

(

)

2

8

2

7

2

6

3

3

2

3

3

8

i

i

i

t

t

I

+

+

=

5.

電流波形が直線で近似できる場合

5.1

三角波の場合  附属書 図 は,電流オシログラムの一部分である。


24

C 4604-1988

附属書 図 5  電流オシログラムの一部分

5.2

台形波の場合  附属書 図 は,電流オシログラムの一部分である。

附属書 図 6  電流オシログラムの一部分


25

C 4604-1988

附属書 4  波形の狂い率決定方法

波形の狂い率を求めるには,次に示す直角座標,極座標のいずれを用いてもよい。

1.

直角座標からの求め方

附属書 図 1  半サイクルの波形

附属書 図 の A 曲線を半サイクルの波形とする。波形の横軸を 等分し,その中間における波形の瞬

時値を a

1

a

2

a

3

,……,a

n

とすれば,A 曲線の実効値 は,

n

a

a

a

a

a

n

2

2

3

2

2

2

1

Λ

Λ

となる。 2 を最大値とし,半波長 DE が A 曲線の 0の長さに等しい正弦波 B が等価正弦波である。A,

B

両曲線の瞬時値の最大差が最小になるように重ね合わせたとき,その最大差を とすると,狂い率は,

次のように算出される。

波形の狂い率 (%) =

100

2

×

a

d

2.

極座標からの求め方  附属書 図 を極座標で表した半サイクルの波長とする。

附属書 図 2  半サイクルの波形

この図形の面積を求め,

A

(

)

π

4

×

図形の面積


26

C 4604-1988

とすれば,は等価正弦波の最大値となる。

A

を直径とし原点 0 を通る円を描き,この円と元の半サイクルの波形との最大差(0 を通る直線上で測

る。

)が最小になるように重ね合わせるとき,その最大差を とすると,狂い率は,次のように計算される。

波形の狂い率 (%) =

A

d

×100


27

C 4604-1988

附属書 5  短絡力率の決定方法

1.

直流分から求める方法  この方法は,短絡力率が比較的小さいときに推奨される方法で,遮断試験回

路の固有電流を記録したオシログラム(

附属書 図 1)において,固有電流の直流分

i

d

が次式の時間変化

をとるものとみなして,その減衰時定数

T

から求める。

i

d

I

d

exp

÷

ø

ö

ç

è

æ

T

t

ここに,

I

d

:  直流分

i

d

の投入瞬時における値

このとき,

T

R

L

であるから,試験周波数を

f

とすれば,

短絡力率=

(

)

(

)

2

2

2

1

1

/

2

1

1

T

f

R

L

f

π

π

=

ここで,減衰時定数

T

は,次のようにして求める。

附属書 図 において,固有電流波形の包絡線 AA'及び BB'間の縦軸に平行な距離の 2 等分線を CC'とす

れば,CC'は直流分

i

d

を示し,その投入瞬時において縦軸との交点を C とすれば 0C は直流分の投入瞬時の

I

d

である。

そして,

附属書 図 において,投入瞬時から適当な時間

t

1

f

2

1

f

1

秒程度が便利である。

)及び

t

1

時間

の 2 倍の

t

2

における直流分

i

d1

i

d2

を求めると,

i

d1

I

d

exp

÷

ø

ö

ç

è

æ

T

t

1

i

d2

I

D

exp

÷

ø

ö

ç

è

æ

T

t

1

2

となるから,

T

÷÷ø

ö

ççè

æ

2

1

1

d

d

i

i

In

t


28

C 4604-1988

附属書 図 1  固有電流のオシログラム

附属書 図 2  固有電流のオシログラム

記号は,

附属書 図 と同じ。

2.

回路定数から求める方法  この方法は,力率が比較的大きい場合に推奨される方法で,インピーダン

Z

と抵抗

R

とから

短絡力率=

Z

R

として求める。

ここで,試験回路の抵抗値

R

は,直流を用いて測定する。もし,回路に変圧器が入っていれば,

R

R

2

R

1

/

n

2

として算出する。

ここに,

R

2

:  二次側の抵抗値

R

1

:  一次側の抵抗値

n

:  変圧器の変圧比

また,インピーダンス

Z

は,

附属書 図 に示すように,固有電流と遮断試験時の回復電圧を記録した


29

C 4604-1988

オシログラムから,

( )

( )

A

A

V

b

I

E

Z

1

1

として求める。

ここに,

E

:  回復電圧

I

:  固有電流

附属書 図 3  固有電流と回復電圧のオシログラム

3.

パイロット発電機による方法  試験用発電機の軸にパイロット発電機を取り付ければ,オシログラム

上で,パイロット発電機の電圧と試験用発電機の電圧又は電流との位相を比較して,試験用発電機の電圧

と電流の位相角

θを求めることができるので,

短絡力率=cos

θ

として求められる。


30

C 4604-1988

附属書 6  過渡回復電圧規約値の決定方法

過渡回復電圧のパラメータの規約値は,以下に示す作図法によって求めるものとする。

ここに,

U

c

波高値 (kV)

3

t

U

c

規約上昇率 (kV/

µs)

t

3

規約波高時間  (

µs)

t

d

遅れ時間  (

µs)

1.

単一周波の波形の場合  附属書 図 は,過渡回復電圧のオシログラムである。

附属書 図 1  過渡回書電圧のオシログラム

2.

指数関数波形の場合  附属書 図 は,過渡回復電圧のオシログラムである。

附属書 図 2  過渡回復電圧のオシログラム


31

C 4604-1988

参考 1  投入位相角の決定方法

遮断試験の系列 1 における試験条件では,発弧位相角が規定されている。

ヒューズエレメントの材質にかかわらず,固有遮断電流に応じて,

参考 図から求められる位相角で投

入することによって,ほぼ目標とする位相で発弧させることができる。

なお,

It

/

2

は,溶断時間が

2

1

サイクルとなる電流値を表す。

参考 図  投入位相角の決定方法


32

C 4604-1988

参考 2  発弧瞬時電流の求め方

遮断試験の系列 1 及び 2 における試験条件では,発弧瞬時の電流値を予測しておくことによって,オシ

ログラフの感度調整を適切に行うことができる。

ヒューズエレメントの材質にかかわらず,固有遮断電流と目標とする発弧位相角を定めれば,

参考 

から発弧瞬時電流の概略値を求めることができる。

なお,

I

η2

は,溶断時間が

2

1

サイクルとなる電流値を表す。

参考 図  発弧瞬時電流の求め方


33

C 4604-1988

参考 3  繰返し過電流特性について

ヒューズに電動機の始動電流が流れる回数,変圧器の励磁突入電流が流れる回数及びコンデンサの突入

電流が流れる回数は,使用条件によって大きく異なるが,

表 では種類 M ヒューズは 10 000 回,種類 T

及び C ヒューズは 100 回と規定した。これは,それぞれ数回/日,数回/年の繰返しを考慮したものであ

る。

さらに多い繰返し回数が必要な場合には,製造業者から指示された

参考 図 に例を示すような繰返し

回数

N

と係数

S

との関係を示す特性から,適切な大きさの定格電流のヒューズを選定すればよい。

ここに,係数

S

参考 図 に示すように溶断特性から,次の式によって求める。

係数

S

( )

( )

m

I

t

I

t

秒における溶断電流

秒間通電電流

参考 図 1  繰返し回数と係数の関係

参考 図 2  溶断特性


34

C 4604-1988

参考 4  高圧限流ヒューズの適用方法

1.

はしがき  高圧限流ヒューズ(以下,ヒューズという。)は,主として回路及び機器の短絡保護用に使

用され,正常にその責務を果たすためには,性能の優れた製品を使うことはもちろんであるが,ヒューズ

の定格,特性についてよく吟味し,最適なものを選定し,適正な据付け,取扱い及び保守をしなければな

らない。

もし,使い方を誤ると,満足な働きを期待し得ないばかりでなく,高価な装置に重大な障害を与える結

果となることもある。

特に,ヒューズは,同じ過電流保護装置である遮断器に比べると,特異な点をもっているので,その特

性を把握した上注意して適用することが必要である。

以下にヒューズの適正な使い方について注意すべき点を述べる。

2.

ヒューズと遮断器の相違点

2.1

ヒューズの特長・利点  ヒューズは,遮断器に比べて次のような特長・利点があるので,この特長

を生かして使用すべきである。

(1)

価格が低廉である。

(2)

小形,かつ,軽量で設置が容易である。

(3)

小形で定格遮断電流の大きなものができる。

(4)

保守が簡単である。

(5)

高速度遮断をする(

1

)

(6)

動作音,放出ガスなどは,実用上無視し得る程度である。

(7)

顕著な限流効果を表す(

1

)

(

1

)

遮断器で短絡保護する場合には,継電器の動作時間を含めた遮断時間が数サイクルを要するの

で,回路の導体及び機器は,大きな短絡強度をもつ必要があるが,ヒューズを用いると,大電

流を非常に早く,ばらつきなく遮断するので,回路及び機器の熱的短絡強度は,低くてもよい。

その限流値や動作

I

2

t

が製造業者によって定量的に明示されているので,その値を基準とすれば,

回路及び機器は.熱的及び機械的短絡強度が低くてもよく,経済的に設計できる。

2.2

ヒューズの適用上注意すべき事項  2.1 に述べたように,ヒューズは,遮断器に比べて種々の特長・

利点をもっているが,その動作原理から,以下に述べるような短所もある。

しかし,

ヒューズの定格及び特性に合わせた適切な使い方をすれば,

これらの短所は実用上避けられる。

製造業者は,ヒューズについて,詳細な定格及び特性を発表するとともに(この規格では特に重要な事項

については,保証値を明示することを義務付けた。

,懇切に使用方法を解説し,また,使用者は,製造業

者の技術資料などを参考とし,適切な使い方をすることが望ましい。

(1)

再投入ができない点について  ヒューズは,そのエレメントが溶断,蒸発及び発弧することによって

遮断動作を行うものであるから,

遮断器のように再投入ができないのは,

やむを得ないところである。

したがって,しばしば過負荷電流を遮断したり,ヒューズ動作後再投入が必要な箇所には,ヒューズ

を用いないようにすべきである。ヒューズの使用に当たっては,次の注意が必要である。

(a)

ヒューズの動作は,主として短絡事故時に限るよう適切なヒューズ定格を選定する。


35

C 4604-1988

(b)

必ず予備ヒューズを用意する。

(2)

過渡電流について  遮断器は,継電器の動作時間以内に消滅する過渡電流にはどんな大電流でも動作

しないが,ヒューズでは,瞬時に消滅する過渡電流でも,その

I

2

t

がヒューズの溶断

I

2

t

より大きい場

合には溶断し,たとえ溶断

I

2

t

を超えなくとも,流通

I

2

t

がある値以上となり,その過渡電流が何度も

繰返し流れると,ヒューズエレメントは,損傷劣化し,電気的又は機械的に溶断又は切断を生じる。

このような過渡電流のうち代表的なものは,変圧器の励磁突入電流,電動機の始動電流,コンデン

サの突入電流などである。これらの過渡電流でヒューズが動作及び損傷しないよう,次の点に注意す

る必要がある。

(a)

負荷の過渡電流値とその持続時間を十分把握し,それらが製造業者が保証するヒューズの繰返し過

電流特性以内にあるよう,適切なヒューズの定格電流を選定する。

(b)

標準的な過渡電流−時間特性をもつ変圧器,電動機及びコンデンサに対するヒューズの選定は,ヒ

ューズ製造業者が準備した適用表を参考にする。

(3)

ヒューズの動作特性について  ヒューズの動作特性は,個々のヒューズに固有,かつ,固定なもので,

遮断器の継電器のように自由に調整できない。

一方,ヒューズの使用範囲の拡大と技術の進展によって,ヒューズの動作特性も多様化が図られて

いるので,使用計画に当たっては,用途及び回路特性を考慮して,最適な動作特性をもつ適切な定格

電流のヒューズを調査選定することが望ましい。

(4)

小電流の遮断について  ヒューズには,一定値以下の小電流範囲において,溶断しても遮断できない

ものがある。このため,ヒューズでは,製造業者の保証値として最小遮断電流を明示することが規定

されている。したがって,

(a)

この最小遮断電流以下で動作をしないような適切な定格電流のヒューズを使用する。

(b)

最小遮断電流以下は,他の機器で保護する。

などの注意が必要である。

備考  最小遮断電流は,ヒューズを小形経済的に製作するために定格電流の数倍にとるのが普通で,

G

種ヒューズでは,定格電流の 3∼5 倍となるものが多い。

なお,変圧器・電動機・コンデンサなど始動時に数倍∼数十倍の過渡電流が流れる回路に G

種ヒューズを適用する場合は,回路の定常負荷電流は,ヒューズの定格電流よりかなり小さく

適用されるので,ヒューズの最小溶断電流(又は最小遮断電流)の回路の定常負荷電流に対す

る倍率は,上記の数字より一層大きくなる。したがって,このような回路の普通の過負荷領域

の保護をヒューズに期待することは,一般に無理である点に注意を要する。

また,T,M 及び C 種ヒューズでは,回路の定常負荷電流にほぼ等しい定格電流のヒューズ

を適用できるが,定格電流に対する最小遮断電流の倍率が G 種ヒューズより大きくなり,G 種

ヒューズと同様に過負荷領域の保護は期待できない。したがって,回路の過負荷領域を保護す

るときには,最小遮断電流の更に低いヒューズを使用するか,最小遮断電流以下の電流域の保

護を分担する過電流遮断装置を直列に組み合わせて使用することが必要である。

(5)

ヒューズエレメントの劣化について  ヒューズでは,過電流とその通電時間及び繰返しによって,溶

断しなくてもヒューズエレメントの劣化変質を生じる範囲があり,不測の溶断を生じ,欠相を生じる

危険がある。しかし,(2)に述べた注意に従って,十分裕度をとってヒューズの定格電流を選定すれば,

実用上はほとんど問題となることはない。

ヒューズが短絡電流を遮断したときに,三相とも動作しないで一相又は二相のヒューズが未溶断で


36

C 4604-1988

残ることがある。このような場合は,残ったヒューズも劣化しているおそれがあり,それをそのまま

使っていると,負荷電流通電時に自然溶断して欠相を起こすことがあるので,全相の取換えを推奨す

る。そのため,予備ヒューズは,三相分を 1 組として準備する必要がある。

備考  ヒューズエレメントは,今日では純度の高い銀が一般に用いられており,酸化による劣化は,

特別の場合を除いて問題としないでもよいが,銀(溶融温度 960℃)は,約 600℃以上に繰返し

加熱されると,組織の結晶化が進み,結晶界面から破断を生じ,また,通電電流の変化による

発生応力の繰返しによって,疲労劣化して破断する。

したがって,製造業者から提示された適用表,許容時間−電流特性,繰返し過電流特性など

から適切な大きさの定格電流のヒューズを選定すべきである。

(6)

小溶断電流の溶断時間について  ヒューズの溶断特性は,小溶断電流域ほど,通電電流の変化に対す

る溶断時間の変化が大きく,したがって,そのばらつきも大きい。

このような小溶断電流域において.機器などの過負荷保護をヒューズに期待することは,適切でな

く,欠相運転を生ずる原因ともなる。

また,このような領域でのヒューズの適用は,(5)にも述べたように,ヒューズエレメントの劣化を

生じやすい適用にも通じるので,十分注意を要する。したがって,ヒューズは,短絡保護だけとして,

過負荷はできる限り他の機器で保護するのが最も基本的な用法ということができる。

(7)

限流ヒューズの動作過電圧について  限流ヒューズは,動作時に動作過電圧を発生するので,回路の

耐電圧がヒューズの動作過電圧より高いことを確認して適用する必要がある(

表 参照)。

特に,

回路電圧より一段上の定格電圧のヒューズを使用することは,

一般的には避けるべきである。

3.

ヒューズの定格電流の選定

3.1

一般的な選定基準  ヒューズの定格電流は,次の各項を満足するように選定する。

(1)

常時通電電流によるヒューズエレメントの劣化の回避

(a)

回路又は機器の全負荷電流よりヒューズの定格電流が大きくなるようにする。

(b)

回路又は機器の許容過負荷電流以内のしばしば予想される過負荷電流は,その繰返し回数が 100 回

以下の場合には,ヒューズの許容時間−電流特性以内になるようにする。

100

回を超える高頻度の場合には,製造業者と協議する。

(c)

使用上避けられない過渡電流は,

表 に規定したヒューズの繰返し過電流特性以内になるようにす

る(これを超える場合は,

参考 参照。)。

備考  ヒューズの時間−電流特性及び繰返し過電流特性は.定格電流値が同一であっても,その形式,

製造業者によって相当異なるものである。

このために,ヒューズを使用する上で定格電流値の選定が比較的容易に行えるよう,溶断特

性の種類 G,T,M 及び C を規定してある(

表 参照)。

このうち,種類 T,M 及び C は,負荷の定格電流と等しい定格電流のヒューズが選定できる

ように,種類 T は変圧器,M は電動機,C はコンデンサの過渡電流を考慮した時間−電流特性

及び繰返し過電流特性となっている(

表 7,表 参照)。ただし,単相変圧器のように,負荷に

よっては,この規格で考慮した以上の大きな過渡電流が流れるものもあるので,製造業者は,

各用途別の標準使用状態における最適定格電流推奨表を作成し,使用者への便宜を図ることが

望ましい。

なお,種類 G は過渡電流を特に考慮していないので,製造業者の技術資料などによって選定


37

C 4604-1988

する必要がある。

(2)

機器・回路との動作協調

(a)

ヒューズの動作特性が被保護機器及び回路の過電流特性より下になるようにするとともに,ヒュー

ズの限流値による電磁力及び動作

I

2

t

による発生熱量が回路や機器の短絡強度より小さくなるよう

にする。

(b)

電源側保護機器の動作時限よりヒューズの動作時間が早く,負荷側保護機器の動作特性よりヒュー

ズの許容時間−電流特性が遅くなるようにする。

負荷側保護機器がヒューズの場合には,上記に加えて,負荷側ヒューズの最大動作

I

2

t

よりも大きな

最小溶断

I

2

t

になるようにする。

(c)

ヒューズを保護機器のバックアップ用に使用する場合は,ヒューズの最小遮断電流以下の電流では,

保護機器の動作特性がヒューズの許容時間−電流特性よりも早くなるようにする。

なお,三相回路に使用するヒューズは,上記によって選定された定格電流が各相で異なった値にな

っても,三相とも同一定格電流のものにしなければならない。

3.2

用途別選定方法

3.2.1

変圧器用ヒューズ

(1)

変圧器用ヒューズの定格電流を選定する上で特に注意すべき事項は,次の 3 項目で,それ以外は,3.1

の一般的な選定基準を参照のこと。

(a)

変圧器の許容過負荷でヒューズエレメントが劣化しないよう,十分な定格電流のヒューズを選定す

る。

(b)

変圧器の入り切り回数が 100 回以下の場合には,励磁突入電流−時間がヒューズの許容時間−電流

特性以内になるような定格電流のヒューズを選定する(入り切り回数が 100 回を超える場合は,

考 参照。)。

選定方法としては,次のような,励磁突入電流倍数と減衰時定数から実効電流とその継続時間を

算出して選定する簡易選定方法がある。

[簡易選定方法]

励磁突入電流倍数と減衰時定数から実効電流

I

と継続時間

T

を次の式によって求める。

実効電流

I

 (A)

I

K

I

0

α

ここに,

K

:  励磁突入電流倍数=

(

)

(

)

波高値

変圧器定格電流

波高値

励磁突入電流

I

0

:  変圧器定格電流 (A)

α

:  実効電流換算係数(

参考 表 参照)

また,継続時間

T

 (S)

T

= (2

t

−1)  ×

f

2

1

ここに,

t

:  減衰時定数(サイクル)

f

:  周波数 (Hz)


38

C 4604-1988

参考 表 1  実効電流換算係数

α

減衰時定数

(サイクル)

三相変圧器

単相変圧器(

2

)

2 0.649 0.590

3 0.575 0.523

4 0.543 0.494

5 0.527 0.479

6 0.516 0.469

7 0.508 0.462

8 0.502 0.456

9 0.496 0.451

10 0.494 0.449

11 0.491 0.446

(

2

)

単相変圧器は,三相変圧器に比べて励磁
突入電流の半波持続時間が短いので,三

相変圧器の1/1.1としてある。

この実効電流

I

と継続時間

T

とをヒューズの許容時間−電流特性曲線図上にプロットし,こ

の点よりも許容時間−電流特性が上にくるようなヒューズを選定する。

ヒューズの種類が

T

のものは,変圧器の励磁突入電流を考慮した溶断特性となっているので,

励磁突入電流の実効電流を算出したときに,この値がヒューズ定格電流の 10 倍以内であり、か

つ,その継続時間が 0.1 秒以内であれば,入り切り回数が 100 回以下の場合のヒューズの定格

電流を次の式によって容易に選定できる(3.1 

備考参照)。

T

種ヒューズの定格電流≧変圧器の定格電流

(c)

変圧器の二次側短絡時に一次側ヒューズが動作して変圧器を保護するように,ヒューズの定格電流

を選定する。この場合,ヒューズでは,その最小遮断電流が短絡時の一次側電流より小さくなるよ

うな定格電流を選定する。

(2)

  2

台以上の変圧器を一括保護する場合

(a)

各相ごとに常時流通電流(予想される過負荷電流,過渡電流を含む。

)を算出し,(1)の選定基準に

よってそれぞれ最適定格電流を求めた上,

そのうちの最大定格電流のヒューズを三相とも適用する。

(b)

各変圧器の二次側短絡時の変圧器の保護について,(1)(c)の条件を満足するように選定を行うが,

これが不可能な場合には,各変圧器ごとに適切なヒューズを使用する必要がある。

(3)

計器用変圧器用ヒューズ  計器用変圧器用ヒューズは,その負荷電流を基準に選定すると,その定格

電流が非常に小さくなるが,小さな定格電流のヒューズは,ヒューズエレメントが細く,機械的に断

線しやすいので,製作に限界がある。したがって,計器用変圧器用ヒューズは,一般には,その負荷

電流に比べて大きい定格電流で機械的断線の心配のないものを使用し,計器用変圧器の二次側短絡に

対する保護は考えずに,計器用変圧器の破壊時や一次側短絡時の回路の保護用として 3.1(2)(a)の回路

の強度との協調がとれるように選定する。

[図  解]

参考 図 は,上記変圧器用ヒューズの選定基準における各電流−時間の関係を図示したもので,変圧

器一次側にヒューズ,二次側に遮断器又は低圧ヒューズを設置した場合の動作協調図である。

(1)

二次側保護装置を考慮しない場合,図において,各電流値及び時間−電流曲線は,次の関係を満足す

る必要がある。


39

C 4604-1988

(a)

I

To

は,

の左側にあること。また,

I

0

I

F

であること。

(b)

  P

点は,

の左側にあること。

(c)

I

s2

I

FM

であり,Q 点は

I

s2

の左側にあること。

(d)

I

s1

I

Fs

であること。

図において保護関係を考慮すれば,

①の範囲は,ヒューズが電源側を短絡から保護する。

②の範囲は,ヒューズが変圧器を保護する。

③の範囲は,ヒューズの不動作範囲である。

④の範囲は,ヒューズは溶断するが,遮断が保証されない。

⑤の範囲は,ヒューズの遮断が保証されているが,変圧器を保護しない。

したがって,このような適用では,最小遮断電流 IFM が十分小さく最小溶断電流 IFL に近いヒュ

ーズの場合でも,④の範囲が小さくなるだけで,変圧器を保護しない③+④+⑤の範囲は変化しな

い点に留意を要する。このような不利を幾らかでも解消する一つの方法は,二次側に適当な遮断器

又は低圧ヒューズを用いてヒューズと動作協調をとることである。

(2)

二次側に遮断器又は低圧ヒューズを用いる場合,(1)(a)(d)の条件のほか,次の関係を満足する必

要がある。

(a)

  Q

点より小さい電流範囲で

の左(下)側にあること。

(b)

Is

2

より小さい電流範囲で

の左(下)側にあること。

(c)

Is

2

I

BS

であること。

この場合,⑥の範囲の二次側事故は,二次側遮断器又は低圧ヒューズによって除去される。二次側

遮断器又は低圧ヒューズは,各分岐回路ごとに設置したものが(a)(c)の条件を満足すればよい。

しかし,二次側の保護装置を設置した場合も,ヒューズと二次側遮断器又は低圧ヒューズとの間で

発生する回路事故及び変圧器の内部事故に対し③+④+⑤の範囲の電源側及び変圧器に対する保護の

不備は解消しない点に留意を要する。このような事故は,発生の確率が少ないとも考えられるが,万

全を期するためには,3.2.3 に示すように一次側にこの範囲を保護する高圧接触器などを置く必要があ

る。


40

C 4604-1988

参考 図 1  変圧器用ヒューズの選定基準における各電流−時間の関係


41

C 4604-1988

3.2.2

電動機用ヒューズ  変圧器用ヒューズの場合と同様,主として短絡時の保護用として定格電流を選

定するものとし,特に注意すべき事項は,次の 3 項目である。それ以外は,3.1 の一般的な選定基準を参照

のこと。

(1)

電動機の許容過負荷でヒューズエレメントが劣化しないよう,十分な定格電流のヒューズを選定する。

(2)

電動機の入り切り回数が 100 回以下の場合には,始動電流−時間がヒューズの許容時間−電流特性以

内になるような定格電流のヒューズを選定する。

(3)

頻繁な始動停止又は逆転をする電動機用ヒューズは,(2)によって選定する定格電流よりも大きな定格

電流とする必要がある(選定に当たっては,

参考 参照。)。

ヒューズの種類が M のものは,電動機の始動電流を考慮した溶断特性となっているので,始動電流がヒ

ューズ定格電流の 5 倍以内であり,かつ,その継続時間が 10 秒以内であれば,入り切り回数が 10 000 回

以下の場合のヒューズの定格電流を次の式によって容易に選定できる(3.1 

備考参照)。

M

種ヒューズの定格電流≧電動機の全負荷電流

3.2.3

書圧接触器と組み合わせるヒューズ  ヒューズの許容時間−電流特性と接触器の動作特性との交

点がヒューズの最小遮断電流以上で,ヒューズの動作特性と接触器の最小動作特性(開極特性)との交点

が接触器の定格遮断電流以下になるような定格電流のヒューズを選定する。

[図  解]

参考 図 は,上記選定基準における各電流−時間の関係を図示した動作協調図である。

図において,各電流値及び時間−電流曲線は,次の関係を満足する必要がある。

(a)

I

o

I

F

I

S1

I

FS

I

LT

I

CS

であること。

(b)

  P

点は,

及び

の下(左)側にあること。

(c)

は,

の下(左)側にあること。

(d)

  Q

点は,

I

FM

の右側にあり,R 点は,

I

CS

より左側にあること。

この場合,Q 点より小さい電流域は接触器によって保護され,R 点より大きい電流域はヒューズ

によって保護される。


42

C 4604-1988

参考 図 2  電動機用ヒューズの選定基準における各電流−時間の関係

3.2.4

コンデンサ用ヒューズ  高圧コンデンサ回路にラインヒューズとして使用するヒューズの定格電

流を選定する上で特に注意すべき事項は,次の 4 項目である。これ以外は,3.1 の一般的な選定基準を参照

のこと。

(1)

コンデンサ回路の許容過負荷で,ヒューズエレメントが劣化しないよう十分な定格電流のヒューズを

選定する。

(2)

コンデンサの入り切り回数が 100 回以下の場合には,突入電流−時間がヒューズの許容時間−電流特

性以内になるような定格電流のヒューズを選定する。

コンデンサの突入電流は,回路に直列リアクトルがある場合と直列リアクトルがない場合とで異な

るので,それぞれの場合の突入電流に対応する許容時間−電流特性をもつヒューズを選ぶこと(入り

切り回数が 100 回を超える場合は,

参考 参照。)。

(3)

コンデンサが内部短絡して,ヒューズが動作したとき,コンデンサケースを破壊しないようなヒュー

ズを選ぶこと。


43

C 4604-1988

(4)

並列コンデンサがある場合には,投入時に並列コンデンサからの流れ込みがあるために,これと電源

からの突入電流を加えた突入電流に耐える定格電流のヒューズを選ぶこと。

ヒューズの種類が C のものは,直列リアクトルがない場合のコンデンサの突入電流を考慮した溶断特性

となっているので,突入電流がヒューズ定格電流の 70 倍以下であり,かつ,その継続時間が 0.002 秒以内

であれば,

入り切り回数が 100 回以下の場合のヒューズの定格電流を次の式によって容易に選定できる

3.1

備考参照)。

C

種ヒューズの定格電流≧コンデンサの定格電流

なお,コンデンサ回路に直列リアクトル (6%) がある場合は,過渡電流をコンデンサ定格電流の 5 倍の

電流が 0.1 秒間継続するものとして選定する。

4.

定格電圧の選定

(1)

ヒューズの定格電圧は,使用回路の最高線間電圧以上であること。

なお,三相回路用として 3 極それぞれにヒューズを使用することを前提として,この規格はできて

いるので,単相回路にも 2 極それぞれにヒューズを使用しなければならない。

(2)

低レベルの絶縁階級のものは,下記の条件の場合に使用できる。

(a)

直撃雷や近接雷を考慮する必要がないような場所に設置するとき(例えばケーブル系統など)

(b)

直撃雷や近接雷による被害を防止する設備となっており,また連接接地などによって接地抵抗の影

響が低減されている場合。

(c)

避雷器の制限電圧が低く,大電流放電時においても雷インパルス耐電圧と制限電圧の間に相当な余

裕をもつ場合。

(d)

ヒューズと避雷器との距離が十分に近い場合。

(3)

限流ヒューズは,動作時に動作過電圧を発生するので,回路電圧より一段上の定格電圧のヒューズを

使用することは,一般的には避けるべきである[2.2(7)限流ヒューズの動作過電圧の項及び本体 5.9 

表 動作過電圧参照]。

(4)

中性点非接地の三相回路に適用する場合で,ヒューズの電源側と負荷側での異相地絡による遮断及び

一線地絡時の充電電流による遮断は,発生の機会が少なく,この規格では,これらの条件における性

能は考慮されていないので,ヒューズによる遮断は期待できない。

5.

定格遮断電流の選定  ヒューズは,定格遮断電流が不足すると,ヒューズリンクの爆発を起こす危険

があるので,十分な定格遮断電流をもったものを使用しなければならない。

5.1

回路の短絡電流  回路の短絡電流は,ヒューズの電源側に入っている発電機,変圧器及び電動機(ヒ

ューズ回路と並列に設備されている場合)の誘導起電力と,それら機器から短絡点までのインピーダンス

によって定まる。特に,ヒューズは動作が速いので,短絡電流に対する電動機の寄与分の流入を無視でき

ない点に注意を要する。

5.2

所要定格遮断電流  回路の短絡電流を求め,それ以上の定格遮断電流をもつヒューズを選定する。

6.

    

(1)

据付け前に,輸送途中で壊れたり,ねじが緩んでいたりしないか点検する。

(2)

ヒューズは,適当な対地距離,相間距離又はバリヤとの間隔をおかないと,不測のフラッシオーバ事

故を起こす危険があるので,製造業者指示の寸法を守って据え付ける。


44

C 4604-1988

(3)

断路形ヒューズは,ヒンジ側を負荷側に接続するのを標準とする。

フック操作形はフック操作に便利なように,ドロップアウト形はドロップアウト可能なように,据

え付ける必要がある。ドロップアウト形は,ドロップアウトすることによる害が電気的にも操作者に

もないように据え付ける。

(4)

据付け方向について製造業者の指示がある場合は,指示に従って据え付ける。

7.

断路形ヒューズの操作

(1)

ヒューズを操作する場合は,電流を開閉しないことを原則とする。

(2)

ヒューズリンクの正面から必要以上の力を入れずに軽く開閉する。必要以上の力で操作すると,ヒュ

ーズリンクがその衝撃で破損することがある。

(3)

閉路した場合は,ヒューズリンクが閉路位置に正しく位置して確実に閉路されているかどうか確認す

る。

8.

保守点検

(1)

ヒューズは,使用状態によってその汚損劣化程度が大きく変わるので,保守点検の頻度は,一律には

定められないが,少なくとも年に 1 回程度の点検が望ましい。

(2)

予備のヒューズリンク又は取換えユニットは,吸湿及び損傷しないように,しかも必要なときには迅

速,かつ,確実に使用できる状態で準備保管する。

その個数は,三相回路用としては 3 本一組,単相回路用としては 2 本一組として準備する。

(3)

ヒューズ動作時,三相回路用 3 本,単相回路用 2 本のうち,溶断せずに残ったヒューズについてもヒ

ューズエレメントが劣化しているおそれがあるので,3 本又は 2 本一組全部を取り換えることを推奨

する。

(4)

保守点検項目

(a)

支持がいしにひび割れなどの異常がないかを点検し,塩分,煙じんなどの異物が付着しているとき

は清掃する。

(b)

接触部の異常の有無を点検し,アークのこん跡があったり変色したものは取り換える。

(c)

ヒューズリンクの外面の変色や汚損状態を調べて清掃し,もし,劣化しているヒューズリンクがあ

れば取り換える。

(d)

締付け部分の緩みの有無及び掛合部分の良否を点検する。


45

C 4604-1988

高圧限流ヒューズ工業標準改正原案調査作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

広  瀬  淳  雄

東京電気大学

横  江  信  義

通商産業省機械情報産業局

古  沢  喜  彦

資源エネルギー庁公益事業部

前  田  勲  男

工業技術院標準部

木  下  英  敏

自治省消防庁

川  上      茂

建設省大臣官房官庁営繕部

横  山  眞  一

社団法人日本電気協会

清  水  芳  萃

電気保安協会全国連絡会議

小  熊  修  蔵

東京電力株式会社

渡  辺      誠

中部電力株式会社

長  坂      進

関西電力株式会社

林      保  一

新日本製鐵株式会社

村  野  佳  大

株式会社関電工

新  原  重  信

社団法人日本配電盤工業会

鈴  木  茂  男

株式会社宇都宮電機製作所

伊  藤  鋭  一

エナージサポート株式会社

久保木  茂  雄

株式会社東芝

吉ヶ江  清  久

富士電機株式会社

秋  定  三津男

三菱電機株式会社

(事務局)

赤  嶺  淳  一

社団法人日本電機工業会