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C 3660-1-1

:2003 (IEC 60811-1-1 : 1993    Amendment 1 : 2001)

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人  日本電

線工業会(JCMA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調

査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS C 3660-1-1:1998 は改正され,この規格に置き換えられる。

改正に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC 60811-1-1:1993,Common test

methods for insulating and sheathing materials of electric and optical cables - Part 1-1 : Methods for general

application - Measurement of thickness and overall dimensions - Tests for determining the mechanical properties

基礎として用いた。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS C 3660-1-1

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(参考)試験片作製機の代表的な動作原理

JIS C 3660

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS

C

3660-1-1

第 1-1 部 : 試験法総則−厚さ及び仕上寸法の測定−機械的特性試験

JIS

C

3660-1-2

第 1-2 部 : 試験法総則−熱老化試験方法

JIS

C

3660-1-3

第 1-3 部 : 試験法総則−密度測定の方法−耐水性試験−収縮試験

JIS

C

3660-1-4

第 1-4 部 : 試験法総則−低温試験

JIS

C

3660-2-1

第 2-1 部 : エストラマーの特性試験方法−オゾン,ホットセット及び耐油試験

JIS

C

3660-3-1

第 3-1 部 : ビニルコンパウンドの試験方法−加熱変形試験−巻付加熱試験

JIS

C

3660-3-2

第 3-2 部 : ビニルコンパウンドの試験方法−加熱減量試験−熱安定性試験

JIS

C

3660-4-1

第 4-1 部 : ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドの試験方法−耐環境応力き

裂性−熱老化後の巻付試験−溶融指数の測定−PE中のカーボンブラック及び無機充てん剤の含

有量測定

JIS

C

3660-4-2

第 4-2 部 : ポリエチレン及びポリプロピレンコンパウンドの試験方法−前処理後の破

断時の伸び−前処理後の巻付試験−熱老化後の巻付試験−長期安定性試験(附属書A)−銅触媒

の酸化劣化試験(附属書B)

JIS

C

3660-5-1

第 5-1 部 : 充てんコンパウンドの試験方法−滴下点−油分離−低温ぜい化−全酸価−

腐食性試験−23℃誘電率−23℃と 100℃の直流固有抵抗


C 3660-1-1

:2003 (IEC 60811-1-1 : 1993    Amendment 1 : 2001)

(2)

目  次

ページ

序文 

1

1.

  総則

1

1.1

  適用範囲 

1

1.2

  引用規格 

1

2.

  試験値

2

3.

  適応性

2

4.

  形式試験及びその他の試験 

2

5.

  前処理

2

6.

  試験温度

2

7.

  定義

2

7.1

  最大引張力 

2

7.2

  引張応力 

2

7.3

  引張強さ 

2

7.4

  破断伸び 

2

7.5

  中央値

2

8.

  厚さ及び仕上寸法の測定 

2

8.1

  絶縁体厚さの測定

2

8.2

  非金属シース厚さの測定 

3

8.3

  仕上寸法の測定

4

9.

  絶縁体及びシースの機械的特性の測定試験

5

9.1

  絶縁体

5

9.2

  シース

8

附属書 A(参考)試験片作製機の代表的な動作原理

15

 


日本工業規格   

JIS

 C

3660-1-1

:2003

(IEC 60811-1-1

:1993  Amendment 1:2001

)

電気・光ケーブルの絶縁体及びシース材料の共通試

験方法−第 1-1 部:試験法総則−厚さ及び仕上寸法

の測定−機械的特性試験

Common test methods for insulating and sheathing materials of electric and

optical cables - Part 1-1 : Methods for general application - Measurement of

thickness and overall dimensions - Tests for determining the mechanical

properties

序文  この規格は,1993 年に第 2 版として発行された IEC 60811-1-1:1993,Common test methods for

insulating and sheathing materials of electric and optical cables - Part 1-1 : Methods for general application -

Measurement of thickness and overall dimensions - Tests for determining the mechanical properties

及 び

Amendment 1

(2001)を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格である。ただし,

追補(Amendment)については,編集し,一体とした。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。

1.

総則

1.1

適用範囲  この規格は,配電用,通信用及び海上設備用の電気・光ケーブルなどの,絶縁体及びシ

ース材料の試験方法について規定する。

この規格は,一般的な絶縁体及びシース用コンパウンド(エラストマー,ビニル,ポリエチレン,ポリ

プロピレンなど)の厚さ,仕上寸法の測定及び機械的特性の試験について規定する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD(修

正している)

,NEQ(同等でない)とする。

IEC 60811-1-1:1993

,Common test methods for insulating and sheathing materials of electric and

optical cables - Part 1-1 : Methods for general application - Measurement of thickness and overall

dimensions - Tests for determining the mechanical properties

及び Amendment 1 (2001)(IDT)

1.2

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発効年を付記していない引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用

する。

JIS C 3660-1-2

  電気・光ケーブルの絶縁体及びシース材料の共通試験方法−第 1-2 部:試験法総則−

熱老化試験方法

備考  IEC 60811-1-2 : 1985, Common test methods for insulating and sheathing materials of electric and

optical cables - Part 1-2 : Methods for general application - Thermal ageing methods

並びに


2

C 3660-1-1

:2003 (IEC 60811-1-1 : 1993    Amendment 1 : 2001)

Amendment 1 (1989)

及び Amendment 2(2000)が,この規格と一致している。

JIS C 3660-1-3

  電気・光ケーブルの絶縁体及びシース材料の共通試験方法−第 1-3 部:試験法総則−

密度測定の方法−耐水性試験−収縮試験

備考  IEC 60811-1-3 : 1993, Common test methods for insulating and sheathing materials of electric and

optical cables - Part 1-3: General application - Methods for determining the density - Water

absorption tests - Shrinkage test

及び Amendment 1(2001)が,この規格と一致している。

JIS C 3660-2-1

  電気・光ケーブルの絶縁体及びシース材料の共通試験方法−第 2-1 部:エラストマー

の特性試験方法−オゾン,ホットセット及び耐油試験

備考  IEC 60811-2-1 : 1998, Insulating and sheathing materials of electric and optical cables - Common

test methods - Part 2-1 : Methods specific to elastomeric compounds - Ozone resistance, hot set and

mineral oil immersion test

及び Amendment 1(2001)が,この規格と一致している。

2.

試験値  この規格は,試験条件(温度,期間など)及び試験要求事項のすべてを規定するものではな

い。それらは,各々の関連個別ケーブル規格の規定による。

この規格で規定した試験条件は,ケーブル独自の要求に適合するよう関連個別ケーブル規格で修正する。

3.

適応性  試験条件及び試験パラメータは,一般用のケーブル,電線及びコードの,絶縁体及びシース

コンパウンドについて規定した。

4.

形式試験及びその他の試験  この規格の試験方法は,形式試験用に作成したものである。ある種の試

験で,形式試験及びその他の一般用試験(出荷試験)との間に根本的な相違がある場合は,これらの相違

を示す。

5.

前処理  すべての試験は,絶縁体及びシースコンパウンドの押出し後,又は加硫がある場合は加硫(又

は架橋)後,16 時間以上経過した後に行う。

特に規定がない限り,

老化処理の有無にかかわらず,すべての試験片は,

23

±5℃で 3 時間以上保持する。

6.

試験温度  特に規定がない限り,試験は,常温で行う。

7.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

7.1

最大引張力    試験中に試験片に加えられた最も高い力

7.2

引張応力    伸ばされていない試験片の単位断面積当たりの引張力

7.3

引張強さ    破断点で試験片が示した最大引張応力

7.4

破断伸び    破断時の試験片の標線長さの増加分を伸ばされないときの標線長さに対する百分率と

して表した値

7.5

中央値    試験結果の値を上位順又は下位順に並べたとき,有効な測定値の数が奇数の場合は中心値,

偶数の場合は二つの中心値の平均値

8.

厚さ及び仕上寸法の測定

8.1

絶縁体厚さの測定


3

C 3660-1-1

:2003 (IEC 60811-1-1 : 1993    Amendment 1 : 2001)

8.1.1

総則  絶縁体厚さの測定は,それ独自の試験として行うか,又は他の試験を実施する過程で,例え

ば,機械的特性を測定する場合などに行う。

いずれの場合でも,試料の抜取方法は,関連ケーブル規格による。

8.1.2

測定器具  測定器は,マイクロスコープ又は 10 倍以上の倍率をもつ投影器を用いる。どちらの測

定器も 0.01mm まで読み取れるもので,規格値が 0.5mm 以下のときは,小数点以下 3 けたまで読み取るこ

とができるものとする。

疑義が生じた場合は,マイクロスコープによって測定する。

8.1.3

試験片の準備  絶縁体上のすべての外部被覆を取り去った後,絶縁体を損傷しないよう注意して導

体(もし,セパレータがあれば,一緒に)を引き抜く。内部半導電層,外部半導電層が絶縁体に密着して

いる場合は,特に取り除く必要はない。

個々の試験片は,絶縁体の薄片からなる。薄片は,導体の軸に直角な断面に沿い,適切な道具(鋭いナ

イフ,カミソリの刃など)で切断する。

シースなし平形コードの線心は,切り離してはならない。

絶縁体に表示が押印されて,部分的に厚さの減少を生じている場合,試験片は,その表示部を含むよう

に採取する。

8.1.4

測定手順  試験片は,測定器具の光軸に垂直になるように切断面を置く。

a)

試験片の切断面の内側が円形のときは,

図 のように半径方向に 6 箇所を測定する。

また,扇形線心の場合は,

図 のように 6 箇所を測定する。

b)

絶縁体をより線導体から採取した場合は,

図 又は図 のように半径方向に 6 箇所を測定する。

c)

切断面の外周が平滑でないときは,

図 のように測定する。

d)

絶縁体の内部又は外部に,はく離できない遮へい層がある場合は,マイクロスコープを用いて測定す

る。

e)

シースなし平形コードの場合は,

図 のように測定する。導体間の厚さは,直接測定して 2 等分する。

いずれの場合でも最初の測定は,最小厚さのところを選んで行う。

絶縁体に表示が施されている場合には,平均厚さの計算は,その測定値は含めない。表示を施した位置

の厚さは,関連ケーブル規格に規定する最小厚さを満足しなければならない。

測定値は,絶縁体厚さが 0.5mm 以上の場合は,ミリメートル (mm) 単位で小数点以下 2 けた,0.5mm

未満の場合は,小数点以下 3 けたを読み取る。

8.1.5

測定結果の評価  結果の評価は,関連ケーブル規格の試験要領の規定による。

機械的特性の場合,各試験片[9.1.4 の方法 b)1)参照]の厚さの平均値

δ

は,その試験片について 6 箇所

を測定したものから計算する。

8.2

非金属シース厚さの測定

8.2.1

総則  シース厚さの測定は,それ独自の試験として行うか,又は他の試験を行う過程で,例えば,

機械的特性を測定する場合などのときに行う。この試験方法は,厚さの許容差が規定されるシース,例え

ば,外部シースと同様に内部シースの測定にも適用する。

いずれの場合でも,試料の抜取方法は,関連ケーブル規格による。

8.2.2

測定器具  (8.1.2 参照)

8.2.3

試験片の準備  シースの内部と外部にあるすべての材料を取り除いた後,ケーブルの軸に垂直な断

面に沿い適切な道具(鋭いナイフ,カミソリの刃など)を用い,試験片を切り出す。

シースに表示が押印されて,部分的に厚さの減少を生じている場合,試験片は,その表示部分を含むよ


4

C 3660-1-1

:2003 (IEC 60811-1-1 : 1993    Amendment 1 : 2001)

うに採取する。

8.2.4

測定手順  試験片は,測定器に切断面が光軸に垂直になるように置く。

a)

試験片の切断面の内部が円形の場合,

図 のように 6 箇所を測定する。

b)

切断面の内側が不規則な形状か,又は平滑でない場合,

図 のように半径方向にシースが薄い部分の

6

箇所を測定する。

c)

切断面の内側が線心によって深い溝ができている場合には,

図 のように線心によって作られた溝の

底部について半径方向に測定する。

溝の数が 6 箇所を超えるときは,b)を採用する。

d)

保護テープ,波付シースなどの外部が平滑でない場合には,

図 のように測定する。

e)

シース付き平形コードの場合は,

図 10 のように各線心の位置で短径にほぼ平行な線上及び直径の点で

測定する。いずれの場合でも,最も薄い位置を測定する。

f)

6

線心以下の平形ケーブルの場合は,

図 11 のように測定する。

−断面の長径に沿った両端の円形部分

−両フラット面で最初と最後の線心上と,これらの測定値に最小値が含まれていない場合には,その最

小値(反対側のシース厚さも)を加える。

6

線心を超えるケーブルについても上述の方法を適用するが,偶数線心の場合は二つの中央線心のいず

れか一つを,奇数線心の場合は中央線心を追加して測定する。

いずれの場合も,最も薄い場所を測定する。

シースに表示が施されている場合は,平均厚さの計算には,その測定値は含めない。

表示を施した位置の厚さは,関連ケーブル規格に規定する最小厚さを満足しなければならない。

測定値は,ミリメートル(mm)単位で小数点以下 2 けたを読み取る。

8.2.5

測定結果の評価  結果の評価は,関連ケーブル規格の試験要領の規定による。

機械的特性の場合,各試験片の厚さの平均値

δ

9.2.4 参照)は,その試験片の測定結果から計算する。

8.3

仕上寸法の測定

8.3.1

総則  絶縁体又はシースの寸法の測定は,それ独自の試験として行うか,又は他の試験を実施する

過程で行う。

特殊な試験のために異なる方法又は選択可能な方法を規定しない限り,8.3.2 以下の方法は,一般的に使

用する。

いずれの場合でも試料の抜取方法は,関連ケーブル規格による。

8.3.2

測定手順

a)

コード及びケーブルの仕上寸法が 25mm 以下の場合は,マイクロメータ,投影器又はこれらと同等以

上の装置を用いて,お互いに垂直な 2 方向を測定する。

出荷試験の場合は,ダイヤル式マイクロメータ又はノギスを圧力の限度に注意して使用してもよい。

b)

円形のコード又はケーブルで仕上外径が 25mm を超える場合は,巻尺を用いて測定し,直径に換算す

る。

直接直径が読み取れるダイヤメータテープを用いてもよい。

c)

平形のコード及びケーブルについては,マイクロメータ,投影器又はこれらと同等以上の装置を用い

て長径及び短径について測定する。

測定値は,関連ケーブル規格で規定されない限り,25mm 以下の場合は小数点以下 2 けたまで,25mm

を超えるものについては小数点以下 1 けたまで読み取る。


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C 3660-1-1

:2003 (IEC 60811-1-1 : 1993    Amendment 1 : 2001)

8.3.3

試験結果の評価  結果の評価は,関連ケーブル規格の試験要領の規定による。

9.

絶縁体及びシースの機械的特性の測定試験

9.1

絶縁体

9.1.1

総則  この試験は,完成品ケーブル(老化処理なし。)の絶縁材料(半導電層を除く。)及び関連ケ

ーブル規格に規定された 1 回又はそれ以上の加速老化処理を行った絶縁材料の破断時における引張強さと

伸びを測定する。

エアオーブン,加圧空気又は加圧酸素による熱老化試験方法は,JIS C 3660-1-2 の 8.に規定されている。

老化処理を行う試験片は,老化なしの試験片に隣接した位置から採取し,老化なし及び老化ありの試験

片の引張試験は,連続して行う。

備考  老化なし及び老化ありの試験で信頼性を上げることが必要なときは,同一試験方法,同一試験

装置,同一試験室で,同一試験員によって行うことを推奨する。

9.1.2

試料採取  試験のための各線心又は各線心から採取する絶縁体試料は,老化なしの引張試験用と,

要求される各老化処理後の引張試験用として,それぞれ最小 5 試験片を準備するために十分な寸法でなけ

ればならない。各試験片の長さは,100mm とする。

平形コードの線心は,分離してはならない。

きずのついた試料は,試験に使用してはならない。

9.1.3

試験片の準備及び調整  試験片の準備を行う前に 9.1.3 c)を先に読むことを推奨する。

a)

ダンベル状試験片  試験片は,可能な限り,ダンベル状試験片を使用する。試験片は,線心方向に切

開し,導体を取り除いた絶縁体の試料から準備する。絶縁体の内部及び/又は外部に半導電層がある

場合には,溶剤を使用しないで機械的に取り除く。

各絶縁体の試料は,適切な長さの小片に切断する。小片は,切断された試料と,もとの試料中での

相互の関連した位置を識別するために印を付ける。

絶縁体の小片は,後述する標線間の平行な滑らかな面を得るために,加熱しないように注意して,

研磨又は研さくをする。試験片作製機の例を,

附属書 に示す。

ポリエチレン (PE) 又はポリプロピレン (PP) の絶縁体は,研磨なしで研さくだけを使用する。研

磨又は研さく後,バリの取り除きを含めて,小片の厚さは,0.8mm 以上で,かつ,2.0mm を超えては

ならない。

初期試料から 0.8mm の厚さが取れない場合は,最小 0.6mm としてもよい。

図 12 によってダンベル状試験片は,準備した絶縁体の小片から打ち抜き,可能な限り,二つのダン

ベル状試験片は,並べて打ち抜く。

結果の信頼性をあげるために,次のことを推奨する。

− 試験片の欠点を最小にするために,打抜器の刃は,非常に鋭利なものとする。

− 小片と基板との間には,厚紙又は他の適切な支持物を置く。支持物には,打ち抜きによって,刃

の跡が残ってもよいが,完全に切れてはならない。

− 試験片の両サイドのばりは取り除く。

打ち抜きによって,ばりの生じた材料は,次の方法を行ってもよい。

1)

打抜器の各々の端は,約 2.5mm 幅,約 2.5mm 深さの溝をもっている(

図 14 参照)。

2) 9.1.3a)

によって,あらかじめ準備された細長く切り取られた小片で,打ち抜いたダンベル状試験片

の両端は,小片に付けたままにする(

図 15 参照)。


6

C 3660-1-1

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3)

附属書 の機械で,ダンベル打ち抜きで生じる可能性のあるばりを取り除くために 0.10mm〜

0.15mm

の厚さに研さくし,切り取ることができる。この操作が終わった後で,ダンベル状試験片

の両端を小片から切り離す。

線心の外径が小さく,

図 12 のダンベル状試験片が得られない場合は,図 13 によって小形ダンベル

状試験片を準備した小片から打ち抜く。

各試験片には,引張試験をする直前に,大形ダンベルに対して中央 20mm,小形ダンベルに対して

10mm

の標線を付ける。

標線の間で破断が生じた場合は,端が不十分なダンベル状試験片も認める。

b)

管状試験片  管状試験片は,線心が小さい寸法でダンベル状試験片が準備できない場合にだけ使用す

る。

線心の試料は,約 100mm の長さに切断し,絶縁体を損傷しないように,導体とすべての外部被覆

物を取り除く。管状試験片は,準備した試料と,試料中での相互の関連した位置を識別するために印

を付ける。

導体の除去は,次の作業の一つ又は組合せによって行う。

1)

硬い導体を伸ばす。

2)

小さな機械的な力の下での絶縁線心を転がす。

3)

より線導体,可とう導体の場合,中心部のより線又は素線の 1 本以上を最初に抜き取る。

導体の除去後,セパレータがある場合は除去する。セパレータの除去が困難な場合は,次の作業の

一つを行ってもよい。

− 紙のセパレータの場合,水中に浸せきさせる。

− ポリエチレンセパレータの場合,エチルアルコールへ浸せきさせる。

− 滑らかな表面上で絶縁体を転がす。

  引張試験を行う直前に,中央に 20mm の標線を付ける。

引張試験の伸びの間において,試験片の内側に残っているセパレータの破片によって,試験片が不

整な形態を見せた場合は,結果を無効とする。

c)

試験片の調整  試験片の調整は,次によって行う。

1) 

高温での調整  関連ケーブル規格において,高温での調整が必要な場合又は疑義が生じて再試験を

行う場合には,次の段階で試験片の調整を行う。

−ダンベル状試験片

(A)

ケーブルから絶縁体及び半導電層(もしあれば)をはぎ取り,小片を切り出す前に行う。

(B)

平滑な面を得るために研磨(又は研さく)した後で行う。

研磨(又は研さく)の必要がない場合には,試験片の調整は,(A)  の段階で行う。

−管状試験片の場合には,試験片の調整は導体及びセパレータを取り除き,引張試験用の標点を付

ける前に行う。

関連ケーブル規格に高い温度での調整が与えられている場合には,試験片の調整は規格に示され

る時間と温度によって行う。再試験を行う場合には,  試験片の調整は 24 時間,70±2℃で行う。こ

のときの温度は,導体最高許容温度を超えてはならない。

2)

周囲温度での調整  断面積の測定を行う前に,すべての試験片は,日光の直射を避けて,3 時間以

上,23±5  ℃で保持する。ただし,熱可塑性の絶縁体は,23±2℃で保持する。

9.1.4

絶縁体の断面積の決定


7

C 3660-1-1

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a)

ダンベル状試験片  各々の試験片の断面積は,次に規定する共通の幅,測定する個々の最小厚さの結

果による。

−共通の幅は,ランダムに選んだ三つの試験片の最小幅である。

−幅の均一性に疑義が生じた場合,三つの試験片の標線間で 3 箇所を測定する。

3

箇所の測定結果は,各々の位置の測定値を平均して算出する。共通の幅は,3 試験片から求め

た九つの平均値の最小値である。

−さらに,疑義が生じた場合,幅は,個々の試験片を測定する。

厚さ

−個々の試験片の厚さは,標線間内において測定した 3 箇所の厚さの最小値とする。

測定は,0.07N/mm

2

を超えない接触圧力をもった光学的な装置又はダイヤルゲージによって行う。

測定装置は,厚さ 0.01mm 以下の誤差で,幅は 0.04mm 以下の誤差を測定することができるもの

とする。

疑義が生じた場合,技術的に可能な場合は,光学的な装置を使用する。代わりとして最大接触圧

力が 0.02N/mm

2

のダイヤルゲージを使用してもよい。

備考  ダンベル状試験片の中央部分が曲がっている場合は,ダイヤルゲージの適切な曲面の基部を使

用してもよい。

b)

管状試験片  準備した試験片の試料の中央で,次に示す方法によって測定し,試験片の断面積 Amm

2

を求める。疑義が生じた場合は,2)による。

1) 

寸法から求める場合は,次の式による。

A

π

(D

δ

)

δ

ここに,

δ

:  絶縁体平均厚さ (mm)  8.の試験方法によって測定し,小数点

以下 2 けたに丸める(8.1.4 参照)

D

:  試験片の平均外径 (mm)  8.3.2 によって測定し,小数点以下 2

けたに丸める。

2) 

密度,質量及び長さから求める場合は,次の式による。

l

d

m

A

×

=

000

1

ここに,

m

試験片の質量

 (g)

  小数点以下

3

けたに丸める。

l

長さ

 (mm)

  小数点以下

1

けたに丸める。

d

密度

 (g/cm

3

)

  同一絶縁体(老化なし。

)の追加試料で JIS C 

3660-1-3

の 8.によって測定し,小数点以下

3

けたに丸める。

3) 

体積と長さから求める場合は,体積はエチルアルコールに浸せきする方法によって決め,次の式に

よる。

l

V

A

=

ここに,

V

体積

 (mm

3

)

  小数点以下

2

けたに丸める。

l

長さ

 (mm )

  小数点以下

1

けたに丸める。

浸せきの間,試験片に気泡が付かないようにする。


8

C 3660-1-1

:2003 (IEC 60811-1-1 : 1993    Amendment 1 : 2001)

c)

絶縁体が導体と一緒に老化される場合を除き,老化される試験片の断面積は,

老化処理前に測定する。

9.1.5

老化処理  老化処理は,関連ケーブル規格に規定された条件で,JIS C 3660-1-2 の 8.によって,

5

試験片(9.1.2 参照)について行う。

9.1.6

予備

9.1.7

引張試験の手順

a)

試験は,

23

±

5

℃で行う。熱可塑性の絶縁体で疑義が生じた場合,試験は,

23

±

2

℃で行う。

b)

グリップ間隔及び引張速度

引張試験機のグリップは,セルフタイトニング形又はノンセルフタイトニング形のいずれかを使用

する。

グリップ間の全長は,

図 13 に示すダンベルに対して

34mm,

図 12 に示すダンベルに対して

50mm,

セルフタイトニング

T

形で試験する管状に対して

50mm,

ノンセルフタイトニング形で試験する管状に対して

85mm,

引張速度は,ポリエチレン

 (PE)

とポリプロピレン

 (PP)

を除き,

250

±

50mm/min

とする。疑義が

生じた場合は,

25

±

5mm/min

とする。

PE

PP

又はこれらの材料を含んだ絶縁体の引張速度は,

25

±

5mm/min

とする。ただし,出荷試験

では,

250

±

50mm/min

までの引張速度としてもよい。

c)

測定  最大引張力は,試験中測定し記録する。破断時の標線間の距離は,同一試験片で測定する。

グリップ部での損傷によって,試験片が破壊した場合の結果は無効する。引張強さ及び伸びを計算

するために,

4

個以上の有効な結果を必要とする。有効な結果を得るために,繰り返し試験を行う。

9.1.8

結果の表し方  7.3 及び 7.4 の定義によって,破断時の引張強さ及び伸びを計算する。結果は,中

央値で表す。

9.2

シース

9.2.1

総則  この試験は,完成品ケーブルのシース材料の破断時における引張強さ及び伸びを測定するも

ので,要求があれば

1

回又はそれ以上の加速老化処理後に行う。

試験片(JIS C 3660-1-2 の 8.1.3 又は JIS C 3660-2-1 の 10.)に老化処理を施す場合,老化処理を行う試験

片は,老化なしの試験片に隣接した位置から採取し,老化なし及び老化ありの試験片の引張試験は,連続

して行う。

備考

さらに試験の信頼性を上げることが必要なときは,老化及び老化なしの試験は,同一試験方法,

同一試験装置,同一試験室で同一試験員によって行うことを推奨する。

9.2.2

試料採取  試験のためのケーブル若しくはコード又はケーブルから取り除いたシースの試料は,対

象の関連ケーブル規格のシース材料に対して規定された各老化後の引張試験で要求された試験片の数と老

化なしの引張試験用として,それぞれ最小

5

試験片を準備するために,十分な寸法でなければならない(各

試験片の長さは,

100mm

とする)

機械的損傷が見受けられる試料は,試験に使用してはならない。

9.2.3

試験片の準備及び調整  試験片は,9.1.3 の絶縁体の規定と同様な方法で,シースの試料から準備

する。

ダンベル状試験片は,ケーブルの軸方向にシースから小片を切り取る。ケーブルの他の構成物は,小片

から取り除く。小片にうねり又はこん跡があるときは,研磨又は研さくして除く。


9

C 3660-1-1

:2003 (IEC 60811-1-1 : 1993    Amendment 1 : 2001)

ポリエチレン又はポリプロピレンのシースは,研さくだけとする。

備考

ポリエチレンシースにおいて,試験片の両面を平滑にするために十分なシース厚さがある場合

は,ダンベル状試験片の厚さは

2.0mm

以上とする。

管状試験片の準備では,ケーブルを構成しているシース内面のすべての線心を含め,介在物,内部被覆

物などを取り除く。

試験片の調整は,9.1.3c)による。

9.2.4

シースの断面積の決定  各試験片の断面積は,次に示す管状試験片に修正及び 9.1.4 に規定された

絶縁体と同様な方法によって決定する。

厚さについては 8.2.4,外径については 8.3.2 によって測定し,その結果を 9.1.4b)1)の方法で処理する。

密度は,9.1.4b)2)の方法で同一シースの追加試験片で測定する。

備考

9.1.4b)2)

の方法は,多層の材料には使用してはならない。

9.2.5

老化処理  老化処理は,関連ケーブル規格に規定されている条件で JIS C 3660-1-2 の 8.によって,

5

試験片(9.2.2 参照)で行う。

9.2.6

予備

9.2.7

引張試験手順  9.1.7 による。

9.2.8

結果の表し方  9.1.8 による。


10

C 3660-1-1

:2003 (IEC 60811-1-1 : 1993    Amendment 1 : 2001)

図 1  絶縁体及びシース厚さの測定

図 2  絶縁体厚さの測定

(扇形導体)

図 3  絶縁体厚さの測定

(より線導体)


11

C 3660-1-1

:2003 (IEC 60811-1-1 : 1993    Amendment 1 : 2001)

図 4  絶縁体厚さの測定

(より線導体)

図 5  絶縁体厚さの測定

(外側が平滑でないもの)

図 6  絶縁体厚さの測定

(シースのない 2 心平形のコード) 


12

C 3660-1-1

:2003 (IEC 60811-1-1 : 1993    Amendment 1 : 2001)

図 7  シース厚さの測定

(内側が平滑でないもの)

図 8  シース厚さの測定

(内側が円形でないもの)


13

C 3660-1-1

:2003 (IEC 60811-1-1 : 1993    Amendment 1 : 2001)

図 9  シース厚さの測定

(外側が平滑でないもの)

図 10  シース厚さの測定

(シース付き

2

心平形コード) 

図 11  シース厚さの測定

(単線心の平形コード)


14

C 3660-1-1

:2003 (IEC 60811-1-1 : 1993    Amendment 1 : 2001)

図 12  ダンベル状試験片

図 13  小形ダンベル状試験片

図 14  打ち抜きの端の溝

図 15  溝の付いた打抜器での試験片のカット


15

C 3660-1-1

:2003 (IEC 60811-1-1 : 1993    Amendment 1 : 2001)

附属書 A(参考)試験片作製機の代表的な動作原理

この附属書(参考)は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

関連規格

JIS C 3005

  ゴム・プラスチック絶縁電線試験方法