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C 2556

:2015

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

2

2A

  用語及び定義  

2

3

  一般的原理(励磁電流法)  

3

3.1

  測定の原理  

3

3.2

  単板試験器  

5

3.3

  空隙補償  

6

3.4

  試験片  

6

3.5

  励磁電源  

7

4

  鉄損の測定(励磁電流法)  

7

4.1

  測定の原理  

7

4.2

  測定器  

7

4.3

  測定の手順  

8

5

  磁界の強さ,励磁電流及び皮相電力の測定(励磁電流法)  

10

5A

  一般事項  

10

5.1

  測定の原理  

10

5.2

  測定器  

11

5.3

  測定の手順  

12

5.4

  特性値の計算法  

12

5.5

  再現性  

14

附属書 A(規定)ヨーク製作に関する必要条件  

15

附属書 B(参考)単板試験器による測定値のエプスタイン相当値への換算法  

16

附属書 C(参考)方向性電磁鋼帯におけるエプスタイン測定値と SST 測定値との相関関係  

17

附属書 D(参考)デジタルサンプリング法による磁気特性測定  

18

附属書 JA(規定)コイル法の単板試験器による電磁鋼帯の磁気特性の測定方法  

21

附属書 JB(参考)コイル法の単板試験器におけるヨーク構造  

31

附属書 JC(規定)単板試験器による測定値のエプスタイン相当値への換算法  

33

附属書 JD(参考)JIS と対応国際規格との対比表  

37


C 2556

:2015

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人日本

電機工業会(JEMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を

改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格で

ある。これによって,JIS C 2556:1996 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


日本工業規格

JIS

 C

2556

:2015

単板試験器による電磁鋼帯の磁気特性の測定方法

Methods of measurement of the magnetic properties of electrical steel strip

and sheet by means of a single sheet tester

序文 

この規格は,1992 年に第 2 版として発行された IEC 60404-3,Amendment 1(2002)及び Amendment 2

(2009)を基に,我が国で一般的となっている技術と整合させるため,技術的内容を変更して作成した日

本工業規格である。

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,

附属書 JD に示す。

適用範囲 

この規格は,単板試験器を用いた電磁鋼帯の磁気特性の測定方法の一般的原理及び技術的細目について

規定する。

この規格は,商用周波数における次の磁気特性の測定方法に適用する。

a) 

方向性電磁鋼帯 

1) 1.0

T から 1.8 T までの磁束密度の波高値

Jˆ

における,次の磁気特性。

−  鉄損 P

s

−  皮相電力 S

s

−  磁界の強さの実効値

H

~

2)

 1

000

A/m

以下の磁界の強さの波高値

Hˆ

における,次の磁気特性。

磁束密度の波高値

Jˆ

磁界の強さの波高値

Hˆ

b) 

無方向性電磁鋼帯 

1)

 0.8

T

から

1.5 T

までの磁束密度の波高値

Jˆ

における,次の磁気特性。

鉄損

P

s

皮相電力

S

s

磁界の強さの実効値

H

~

2)

 10

000

A/m

以下の磁界の強さの波高値

Hˆ

における,次の磁気特性。

磁束密度の波高値

Jˆ

磁界の強さの波高値

Hˆ

単板試験器は,いかなる等級の電磁鋼帯から採取した試験片にも適用できる。磁気特性は,誘起電圧が

正弦波となる励磁条件下(以下,正弦波磁束励磁条件という。

)において,磁束密度の波高値

Jˆ

及び励磁周


2

C 2556

:2015

波数を指定して測定する。

測定は,

(23

±

5)

℃の周囲温度において,消磁された試験片で行う。

注記 1

磁化の強さの指標について,この規格の対応国際規格である IEC 60404-3

:2009

においては,

IEC 60050-221

:1990

で定義される“磁気分極(

magnetic polarization

”の用語が用いられてい

るが,一部の IEC 60404 シリーズの規格では,

“磁束密度(

magnetic flux density

”の用語が

使用されていた。この規格では,我が国で一般的な,後者の用語を用いる。

注記 2

この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 60404-3

:1992

Magnetic materials

Part 3: Methods of measurement of the magnetic properties

of magnetic sheet and strip by means of a single sheet tester

Amendment 1:2002

及び

Amendment 2:2009

MOD

なお,対応の程度を表す記号“

MOD

”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“修正している”

ことを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 2550-1

  電磁鋼帯試験方法−第

1

部:エプスタイン試験器による電磁鋼帯の磁気特性の測定方法

JIS C 2550-5

  電磁鋼帯試験方法−第

5

部:電磁鋼帯の密度,抵抗率及び占積率の測定方法

JIS C 2552

  無方向性電磁鋼帯

JIS C 2553

  方向性電磁鋼帯

2A 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

2A.1 

磁界の強さ,H

magnetic field strength

試験片を磁化しようとする磁場の大きさ。一般的に,磁界の強さ

H

は,式

(1)

によって求める。

1

1

d

I

N

l

H

=

  (1)

ここに,

H

磁界の強さ(

A/m

l

磁路の長さ(

m

N

1

磁路に巻かれた励磁コイルの総巻数

I

1

励磁電流(

A

磁界の強さ

H

を求める方法には,励磁電流法と

H

コイル法とがある。

2A.2 

励磁電流法(

magnetizing current method

磁界の強さ

H

を,励磁電流から求める方法。磁界の強さ

H

が磁路の一部の試験片の既定の長さ

l

m

では

一様で,その他の磁路においてはゼロと仮定する。磁界の強さ

H

は,式

(1)

から導出される式

(2)

によって

求める。

m

1

1

l

I

N

H

=

  (2)

ここに,

l

m

既定の磁路長(

m


3

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2A.3 

H

コイル法(

H coil method

磁界の強さ

H

を,試験片表面に近接して置いた空芯の磁界の強さ検出コイル(以下,

H

コイルという。

の誘起電圧によって検出する方法。

注記

  H

コイル法による磁気特性の測定方法を

附属書 JA に,

H

コイル法における試験器構造を

附属

書 JB に示す。

2A.4 

既定の磁路長,l

m

conventional magnetic length

磁界の強さ

H

が一様でない磁気回路において,励磁電流法で用いる,磁界の強さ

H

を一様と仮定した特

定部分の磁路の長さ。

注記

単板試験器では,ヨーク両端磁極間の内側寸法に等しい

0.45 m

を既定の値とする。

2A.5 

磁束密度,B

magnetic flux density

一様に磁化された試験片の,単位断面積(

m

2

)当たりの磁束量。単位はテスラ(

T

2A.6 

磁気分極,J

magnetic polarization

一様に磁化された試験片の,単位断面積(

m

2

)当たりの磁化の強さ。単位はテスラ(

T

注記

単板試験器において,二次コイル及び空隙補償用の相互誘導器を用いて測定される値は,磁気

分極

J

である。磁束密度

B

と磁気分極

J

とは,磁気定数を

μ

0

[4π

×

10

7

 (H/m)]

とすると,

B

J

μ

0

H

の関係にある。電磁鋼帯などの高透磁率材料では,磁束密度

B

と磁気分極

J

とは,ほ

ぼ等しい。我が国では,一般的に磁気分極

J

と磁束密度

B

とを区別せずに用いることが多い。

2A.7 

実効質量,m

a

effective mass

磁気回路を構成する鉄心のうち,既定の磁路長

l

m

に相当する試験片の長さの部分が鉄損

P

s

に寄与すると

して求めた,既定の磁路長

l

m

の試験片の質量(4.3.1 参照)

。単位はキログラム(

kg

2A.8 

空隙補償(

air flux compensation

二次コイルの誘起電圧から,コイル内に試験片がない状態で二次コイルに誘起する電圧を差し引くこと

によって,二次コイルの誘起電圧を磁気分極

J

の微分値に対応させること(3.3 参照)

2A.9 

鉄損,P

s

specific total loss

正弦波磁束励磁条件によって励磁したときに,試験片中で消費されるエネルギーの,試験片の実効質量

m

a

で除した値(4.3.3 参照)

。単位はワット毎キログラム(

W/kg

2A.10 

皮相電力,S

s

specific apparent power

正弦波磁束励磁条件によって励磁したときの,励磁電圧の実効値と励磁電流の実効値

1

~

I

との積を試験片

の実効質量

m

a

で除した値(5.4.4 参照)

。単位はボルトアンペア毎キログラム(

VA/kg

一般的原理(励磁電流法) 

3.1 

測定の原理 


4

C 2556

:2015

鉄損特性,交流磁化特性及び皮相電力特性の測定は,試料に加えられた磁界と磁束とを同時に検出する

方法によって行う。試料は

1

枚の電磁鋼板で,

2

個の巻線の中に置き,ヨークとともに閉磁気回路を構成

する。

2

個の巻線は,外側に巻かれた励磁コイルと内側に巻かれた

B

コイルとである。ヨークは,試料に

加わる磁界の分布と試料内の磁界の分布とを均一に近付けるために用いる。

単板試験器による電磁鋼帯の磁気特性の測定原理には,

励磁電流法及び

H

コイル法の二つの方法がある。

励磁電流法についての測定原理は,次による。

H

コイル法についての測定原理は,

附属書 JA に示す。

励磁電流法は,試験片を挿入した単板試験器を無負荷変圧器と捉え,試験片及びヨークを含め磁路長全

体の総合的な磁気特性が検出されるが,これを規定の磁路長

l

m

の試験片の磁気特性と等価と仮定して算出

する。励磁電流法は,測定再現性がよい長所がある。しかし,JIS C 2552 及び JIS C 2553 の特性表の数値

と比較するためには,

附属書 JC に規定する規定の磁路長

l

m

,試験片とヨークとの間のギャップの磁気抵

抗及びヨークの損失に関する補正が必要である。

注記 1 JIS 

2552

及び JIS C 2553 では,磁気特性の表の数値について,JIS C 2550-1 に規定するエ

プスタイン法による電磁鋼帯の磁気特性の測定方法を適用している。エプスタイン法の測定

原理は励磁電流法であり,実効磁路長を規定の値とするが,ヨークを使用せず試験片だけで

磁気回路を構成するため,試験片の磁気特性だけを測定している。

試験片は,

1

枚の電磁鋼帯の切板とし,次の

2

個のコイルの内側に挿入する。

外側に,一次コイル(励磁コイル)

内側に,二次コイル(

B

コイル)

2

個の同形状のヨークを用いて,閉磁路を形成する(

図 参照)。ヨークの断面積は,試験片の断面積よ

りも十分に大きくなければならない。

注記 2

ヨークを用いることによって,試験片に加わる磁界の分布及び試験片内の磁束分布が均一に

近付く。

図 1−単板試験器の概要 

試験片に加わる圧力による影響を最小限とするため,3.2.1 に従い,上側ヨークの質量の一部を相殺する

機能のある懸架装置を用いる。


5

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温度の変化は,熱膨張収縮によって試験片に応力が発生しない範囲に保持する。

3.2 

単板試験器 

3.2.1 

ヨーク 

各ヨークはコの字形状で,

絶縁された方向性電磁鋼板又は鉄−ニッケル合金薄板で構成する。

ヨークは,

磁気抵抗が低いものとし,その鉄損

P

s

は,

1.5 T

及び

50 Hz

において

1.0 W/kg

以下とする。ヨークは,

属書 の必要条件に基づいて製作する。

ヨークは,渦電流効果を抑えてヨーク内の磁束がより均一な分布となるように,一対の接着した積層鋼

板鉄心で製作する。ヨークのコーナー部は,交互積みの突合せ接合とする(

図 参照)。

注記 1

積層鋼板の接着又は支持によってヨーク内に発生する応力は,極力小さくすることが望まし

い。

単位  mm

図 2−ヨークの寸法 

ヨークの磁極面の幅は,

25 mm

±

1 mm

とする。

それぞれのヨークの二つの磁極面は,

0.5 mm

以内で同一平面となるようにし,二つのヨークの対向する

磁極面の隙間は,可能な限り小さく,かつ,均一な状態とする。

ヨークは,試験片内に機械的応力を発生させないよう,高い剛性をもたなければならない。

各ヨークの高さは

90 mm

から

150 mm

までの間とする。

ヨークの幅は

500

0

5

+

mm

とし,

内側寸法は

450 mm

±

1 mm

とする(

図 参照)。

注記 2

磁極面間の隙間の均一性は,上側ヨーク及び下側ヨークの対向する磁極面の間に感圧シート

を挟み,上側ヨークの荷重をかけたとき,磁極面が不均一に接触する場合に現れる発色の偏

在がないことによって,確認できる。

注記 3

試験結果の比較性能を証明できる場合には,他のヨーク寸法を採用できる。

ヨークの脚の間に,試験片を載せる絶縁非磁性体の支持台を配置する。支持台は,試験片がヨークの磁

極面と隙間なく接触するように,磁極面と同じ平面の中心に配置する(

図 参照)。

上側ヨークは,試験片を挿入しやすいように,上方向に移動できる状態にする。また,試験片を挿入し

た後,上側ヨークは下側ヨークと正確に再整列できなければならない。上側ヨークの懸架装置は,ヨーク


6

C 2556

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質量の一部を相殺できるものとし,

試験片に加わる力が

100 N

から

200 N

までの間となるように調整する。

注記 4

正方形のヨークを採用すれば,無方向性電磁鋼帯の材料を

1

枚の試験片で測定できる。正方

形の試験片を

90

°回転することによって,圧延方向及び直角方向の特性の測定が可能となる。

3.2.2 

コイル 

一次コイル及び二次コイルは,

440 mm

以上の長さとし,絶縁非磁性体の四角形の巻枠に巻く。巻枠の

寸法は,次による。

長さ

 445

mm

±

2 mm

内側幅

 510

mm

±

1 mm

内側高さ

5

2

0

mm

外側高さ

 15

mm

以下

一次コイルは,次のいずれかによって製作する。

  5

個又は

5

個以上の同じ寸法で同じ巻数のコイルを,並列に接続して並べて全長とする(

図 参照)。

例えば,

5

個のコイルであれば,直径

1 mm

の銅線を

5

層に巻いて,

400

ターンとする。

  1

個の全長にわたって連続かつ均一に巻いたコイルとする。例えば,直径

1 mm

の銅線を

1

層又は多

層に巻いて,

400

ターンとする。

二次コイルの巻数は,測定機器の特性に合わせて設定してよい。

注記

一次コイル及び二次コイルは,巻枠の同じ側から巻き始めて,同じ周方向に巻くことが望まし

い。

図 3−一次コイルの 個のコイルの接続図 

3.3 

空隙補償 

空隙磁束の効果は,補償しなければならない。例えば,相互誘導器によって行える。相互誘導器の一次

コイルは,単板試験器の一次コイルと直列に接続し,相互誘導器の二次コイルは,単板試験器の二次コイ

ルと逆極性で直列に接続する(

図 参照)。

注記

単板試験器の一次コイルの内側に,空隙補償用の二次コイルを設置し,相互誘導器の二次コイ

ルと同じ作用をさせることができる。

相互誘導係数の調整は,単板試験器に試験片がない状態で一次コイルに交流電流を流したときに,単板

試験器及び相互誘導器の二次コイルの非共有端子間で測定した電圧が,単板試験器の二次コイル単独の両

端間に現れる電圧の

0.1 %

を超えないように行う。

この調整によって,連結した二次コイルに誘起される電圧の整流平均値は,試験片内の磁束密度の波高

Jˆ

に比例する。

3.4 

試験片 

試験片の長さは,

500 mm

以上とする。磁極面の外側に出た試験片の部分は,測定に大きな影響を及ぼ


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:2015

さないが,試験片の出し入れを容易にするのに必要な最小限の長さとする。

試験片の幅は,可能な限り大きいものとし,ヨーク幅の

60 %

以上,ヨーク幅以下とする。

試験片は,過剰な切断かえり及び機械的な変形が生じないように切断する。試験片は,平たんでなけれ

ばならない。試験片を切断する場合には,鋼帯の母材の縁を基準方向とする。圧延方向と切断方向との角

度の許容差は,次による。

方向性電磁鋼帯については,±

1

°

無方向性電磁鋼帯については,±

5

°

無方向性電磁鋼帯については,試験片が正方形の場合を除き,圧延方向に平行な試験片

1

枚及び直角な

試験片

1

枚の,

2

枚の試験片を切断する。試験片が正方形の場合は,試験片

1

枚でよい。

3.5 

励磁電源 

励磁電源は,内部インピーダンスが低く,かつ,電圧及び周波数の安定性の高いものを使用する。測定

時において,電圧及び周波数の精度は,±

0.2 %

以上とする。

さらに,二次コイルに誘起する電圧の波形は,可能な限り正弦波とする。二次電圧の波形率は,

1.10 %

1.12 %

とすることが望ましい。例えば,電子負帰還制御の電力増幅器を用いるなど,幾つかの方法によ

って達成できる。

注記

二次電圧の波形率“

1.10 %

1.12 %

”を,対応国際規格では“

1.111

±

1 %

”と表記している。

鉄損の測定(励磁電流法) 

4.1 

測定の原理 

試験片を挿入した単板測定器は,無負荷の変圧器に等しく,その鉄損

P

s

図 に示す測定回路を用いて

測定する。

4.2 

測定器 

4.2.1 

電圧計 

注記

デジタルサンプリング法の適用は,

附属書 を参照。

4.2.1.1 

平均値形交流電圧計 

単板試験器の二次電圧の整流平均値は,平均値形交流電圧計で測定する。入力インピーダンスが

1 MΩ

以上で,±

0.5 %

の精度以上のデジタル電圧計が望ましい。

注記

このような電圧計は,通常,

1.111

を整流平均値に乗じた値で表示されている。

二次側回路の負荷は,可能な限り小さくする。このため,平均値形交流電圧計の内部抵抗は,

1 000 Ω/V

以上とする。

4.2.1.2 

実効値交流電圧計 

実効値に応答する電圧計を使用する。入力インピーダンスが

1 MΩ

以上で,±

0.5 %

の精度以上のデジタ

ル電圧計が望ましい。

4.2.2 

周波数計 

±

0.1 %

の精度以上の周波数計を使用する。


8

C 2556

:2015

Hz

V

2

V

1

W

A

M

試験片

一次

コイル

二次
コイル

S

1

S

2

S

3

 Hz

:周波数計

 A

:電流計

 W

:電力計

 M

:空隙補償用の相互誘導器

V

1

  :平均値形交流電圧計

V

2

  :実効値交流電圧計

S

1

,S

2

及び S

3

  :スイッチ

図 4−鉄損の測定回路 

4.2.3 

電力計 

電力計は,実際の力率及び波高率において±

0.5 %

の精度以上をもたなければならない。

注記 1

電圧回路の入力抵抗が

1 MΩ

以上のデジタル電力計が望ましい。

注記 2

デジタルサンプリング法の適用は,

附属書 を参照。

電力計の電圧回路の入力抵抗は,全てのレンジにおいて

100 Ω/V

以上とする。必要に応じて,二次側回

路の損失を読取値から差し引く。

注記 3

二次側回路に接続する計器に,入力インピーダンスが十分高いデジタル電圧計及びデジタル

電力計だけを使用する場合は,二次側回路の損失を無視できる。また,レンジの

1/4

以下の

値の読取りは,可能な限り行わないことが望ましい。

電圧回路のリアクタンスを補償する機能のある電力計を除き,電力計の電圧回路の入力抵抗は,そのリ

アクタンスの

5 000

倍以上とする。

測定回路内に電流計が含まれている場合は,二次電圧を調整して損失を測定している間,電流計を短絡

する。

4.3 

測定の手順 

注記

デジタルサンプリング法の適用は,

附属書 を参照。

4.3.1 

測定の準備 

試験片の長さを±

0.1 %

の精度以上で測定し,その質量を±

0.1 %

の精度以上で測定する。試験片をコイ

ル内に挿入してコイルの縦横軸の中央に置き,質量の一部を相殺した上側ヨークを降ろす。

測定前に,試験片は,測定時よりも十分高い初期磁場から減衰する交流磁界で消磁する。

磁気回路の既定の磁路長

l

m

は,

0.45 m

を既定の値とする。したがって,試験片の鉄損

P

s

及び皮相電力

S

s

の計算に用いる実効質量

m

a

は,式

(3)

による。


9

C 2556

:2015

m

l

l

m

m

a

=

  (3)

ここに,

m

a

試験片の実効質量(

kg

l

m

既定の磁路長(

m

l

m

0.45

l: 試験片の長さ(

m

m: 試験片の質量(

kg

4.3.2 

励磁電源の調整 

励磁電源は,二次電圧の整流平均値が所要値に達するまで,出力を徐々に増加させる。この値は,式

(4)

による。

J

A

R

R

R

N

f

U

ˆ

4

t

i

i

2

2

+

=

  (4)

ここに,

2

: 二次コイルの誘起電圧の整流平均値(

V

f: 励磁周波数(

Hz

N

2

二次コイルの巻数

R

i

二次回路内の計器の合計抵抗(

R

t

二次コイルと相互誘導器との直列抵抗(

A: 試験片の断面積(

m

2

Jˆ

磁束密度の波高値(

T

二次回路内の計器に入力インピーダンスが

1 MΩ

以上のデジタル電圧計及びデジタル電力計を用い,二

次回路内の計器の合計抵抗 R

i

が二次コイル及び相互誘導器の直列抵抗 R

t

に比べ十分に大きい場合は,

(4)

は式

(5)

に置き換えることができる。

J

A

N

f

U

ˆ

4

2

2

=

  (5)

実効値表示された平均値形電圧計の読みを用いる場合は,式(5)の右辺の係数を

π

2 とした,式(6)を用

いる。

J

A

N

f

U

ˆ

2

2

2

π

=

  (6)

試験片の断面積は,式(7)による。

m

ρ

l

m

A

=

  (7)

ここに,

A: 試験片の断面積(m

2

m: 試験片の質量(kg)

l: 試験片の長さ(m)

ρ

m

試験片の規定の密度,又は JIS C 2550-5 に従って測定された
値(kg・m

3

4.3.3 

鉄損の測定 

一次回路に電流計が含まれている場合は,電流計の値を観察し,電力計の電流回路が過負荷にならない

ように注意する。その後,電流計を短絡して,改めて二次電圧を調整する。

二次電圧波形をオシロスコープで観察し,基本波以外の成分を含まないことを確認した後,電力計の値

を読み取る。電力計で測定した電力は,二次側回路内の計器によって消費された電力を含んでいる。二次

電圧は基本的に正弦波状であるため,この二次側の損失電力は一次近似として,

(

)

i

2

2

/

111

.

1

R

U

に等しい。

このため,合計損失 P

c

は,式(8)による。


10

C 2556

:2015

(

)

i

2

2

m

2

1

c

111

.

1

R

U

P

N

N

P

=

  (8)

ここに,

P

c

合計損失(W)

N

1

一次コイルの巻数

N

2

二次コイルの巻数

P

m

電力計によって測定された電力(W)

2

: 二次コイルの誘起電圧の整流平均値(V)

R

i

二次回路内の計器の合計抵抗(Ω)

鉄損 P

s

は,合計損失 P

c

を試験片の実効質量 m

a

で除して求め,式(9)によって算出する。

m

c

a

c

s

ml

l

P

m

P

P

=

=

  (9)

ここに,

P

s

鉄損(W/kg)

P

c

合計損失(W)

m

a

試験片の実効質量(kg)

l: 試験片の長さ(m)

m: 試験片の質量(kg)

l

m

既定の磁路長(m)

l

m

=0.45)

注記  研究報告によれば,既定の磁路長(l

m

=0.45 m)としたヨークの内側寸法は,異なる磁束密度 B

における,方向性電磁鋼帯の実効磁路長(l

m

>0.45 m)及び無方向性電磁鋼帯の実効磁路長(l

m

<0.45 m)の平均値に近い。

エプスタイン試験器による鉄損測定値を基準として,単板試験器の測定結果を補正する場合の補正方法

の詳細を,

附属書 JC に示す。

無方向性電磁鋼帯においては,JIS C 2552 の鉄損規定値と対比する目的の測定では,圧延方向及び直角

方向について測定した二つの鉄損値の算術平均を報告する。その他の測定では,圧延方向及び直角方向に

ついて測定した鉄損値を個別に報告する。

4.3.4 

鉄損測定の再現性 

この箇条で規定した測定方法における鉄損測定の再現性は,方向性電磁鋼帯については,1 %の相対標

準偏差,無方向性電磁鋼帯については,2 %の相対標準偏差とする。

磁界の強さ,励磁電流及び皮相電力の測定(励磁電流法) 

5A 

一般事項 

この箇条では,次の特性を判定するための測定方法を規定する。

−  磁束密度の波高値

Jˆ

−  励磁電流の実効値

1

~

I

−  磁界の強さの波高値

Hˆ

−  皮相電力  S

s

5.1 

測定の原理 

5.1.1 

磁束密度の波高値 

磁束密度の波高値

Jˆ

は,

4.2.1.1

及び 4.3.2 の規定に従い,

二次コイルの誘起電圧の整流平均値から求める。

5.1.2 

励磁電流の実効値 

励磁電流の実効値

1

~

I

は,

図 に示す回路内の実効値交流電流計によって測定する。


11

C 2556

:2015

Hz

V

2

V

1

A

M

試験片

一次

コイル

二次
コイル

 Hz

:周波数計

 A

:実効値交流電流計

 M

:空隙補償用の相互誘導器

V

1

 :平均値形交流電圧計

V

2

 :実効値交流電圧計

図 5−磁界の強さの実効値の測定回路 

5.1.3 

磁界の強さの波高値 

磁界の強さの波高値

Hˆ

は,励磁電流の波高値

1

ˆI

から得る。励磁電流の波高値

1

ˆI

は,

図 に示すように,

既知の値の精密抵抗器 R の両端に生じる電圧降下を,波高値交流電圧計又は校正済みのオシロスコープを

用いて測定する。

Hz

V

2

M

試験片

一次

コイル

二次
コイル

R

V

1

 Hz

:周波数計

 R

:精密抵抗器

V

1

 :波高値交流電圧計又は校正済みのオシロスコープ

 M

:空隙補償用の相互誘導器

V

2

 :平均値形交流電圧計

図 6−波高値電圧計を用いた磁界の強さの波高値の測定回路 

5.2 

測定器 

5.2.1 

平均値形交流電圧計 

平均値形交流電圧計は,4.2.1.1 による。

5.2.2 

電流の実効値測定器 

励磁電流の実効値

1

~

I

測定には,±0.5 %の精度以上の低インピーダンスの実効値電流計で測定するか(

5

参照)

,又は,一次コイルに直列に接続した無誘導精密抵抗器両端の電圧降下を実効値交流電圧計を用い


12

C 2556

:2015

て測定し,電流値に換算する。

5.2.3 

電流の波高値測定器 

高感度の波高値交流電圧計,又は校正済みのオシロスコープで,一次コイルに直列に接続した無誘導精

密抵抗器両端の電圧降下の波高値を測定する(

図 参照)。

使用する装置のフルスケール誤差は,±3 %以内とする。

5.2.4 

励磁電源 

励磁電源は,3.5 による。

5.2.5 

抵抗器 

±0.5 %の精度以上の,既知の値の無誘導精密抵抗器を使用する。

抵抗値は,波高値電圧計の感度に応じて選定する。誘起電圧波形のひずみ(歪)を最小限に抑えるため,

抵抗値は 1 Ω を超えてはならない。

注記  一般的には,0.1 Ω∼1 Ω の範囲の値をもつ 0.1 %の精度以上のものを用いる。

5.3 

測定の手順 

5.3.1 

測定の準備 

測定の準備は,4.3.1 による。

5.3.2 

測定 

通常は,一組又は複数組の磁束密度の波高値

Jˆ

及び磁界の強さ(波高値又は実効値)の値を測定する。

磁界の強さ を指定して磁束密度の波高値

Jˆ

を測定する場合は,所要の磁界の強さ となるように励磁

電流を調整し,二次電圧の整流平均値を平均値形交流電圧計を用いて測定する(4.3.2 参照)

磁束密度の波高値

Jˆ

を指定して磁界の強さ を測定する場合は,4.3.2 によって,所要の磁束密度の波高

Jˆ

となるように二次電圧の値を調整する。

磁界の強さの実効値

H

~

の測定においては,励磁電流の実効値

1

~

I

を,5.1.2 によって測定する。

磁界の強さの波高値 Hˆ の測定においては,励磁電流の波高値

1

ˆI

を,5.1.3 によって測定する。この測定

においては,二次電圧の波形率は規定の値(3.5 参照)を超えてもよい。

5.3.3 

無方向性電磁鋼帯 

無方向性電磁鋼帯において,圧延方向及び直角方向について測定した二つの磁束密度の波高値

Jˆ

の算術

平均を求め,それと JIS C 2552 

表 又は表 の磁束密度 の規定値とを対比する。

5.4 

特性値の計算法 

5.4.1 

磁束密度の波高値の測定 

磁束密度の波高値

Jˆ

は,式(10)による(4.3.2 参照)

i

t

i

2

2

4

1

ˆ

R

R

R

U

A

N

f

J

+

=

  (10)

ここに,

Jˆ

磁束密度の波高値(T)

f: 励磁周波数(Hz)

N

2

二次コイルの巻数

A: 試験片の断面積(m

2

2

: 二次コイルの誘起電圧の整流平均値(V)

R

i

二次回路内の計器の合計抵抗(Ω)

R

t

二次コイルと相互誘導器との直列抵抗(Ω)

注記 1  二次回路内の計器に入力インピーダンスが十分大きいデジタル電圧計及びデジタル電力計を

用い,二次回路内の計器の合計抵抗が二次コイル及び相互誘導器の直列抵抗に比べ十分に大


13

C 2556

:2015

きい場合は,式(10)は次の式に置き換えることができる。

2

2

4

1

ˆ

U

A

N

f

J

=

注記 2  実効値表示された平均値形電圧計の読みを用いる場合は,上式の右辺の分母の係数を

π

2 と

した,次の式を用いる。

2

2

2

1

ˆ

U

A

N

f

J

π

=

5.4.2 

磁界の強さの実効値の測定 

磁界の強さの実効値

H

~

は,式(11)による。

1

m

1

~

~

I

l

N

H

=

  (11)

ここに,

H

~

磁界の強さの実効値(A/m)

N

1

一次コイルの巻数

l

m

既定の磁路長(m)

l

m

=0.45 m)

1

~

I

励磁電流の実効値(A)

複数組の磁束密度の波高値

Jˆ

及び磁界の強さの実効値

H

~

の測定によって,磁界の強さの実効値

H

~

に対

する磁束密度の波高値

Jˆ

の磁化曲線を描くことができる。

5.4.3 

磁界の強さの波高値の測定 

磁界の強さの波高値 Hˆ は,式(12)による。

                     (12)

ここに,

Hˆ : 磁界の強さの波高値(A/m)

N

1

一次コイルの巻数

l

m

既定の磁路長(m)

l

m

=0.45 m)

1

ˆ: 励磁電流の波高値(A)

R

n

無誘導精密抵抗器の抵抗値(Ω)

m

ˆ

U

無誘導精密抵抗器の両端の電圧降下の波高値(

V

注記

振幅透磁率

μ

a

は,次のように表すことができる。

1

ˆ

ˆ

0

a

+

=

H

J

μ

μ

5.4.4 

皮相電力の測定 

合計皮相電力

S

は,式

(13)

を用いて算出する。

   (13)

ここに,

S

合計皮相電力(

VA

1

~

I

励磁電流の実効値(

A

2

~

U

二次電圧の実効値(

V

N

1

一次コイルの巻数

N

2

二次コイルの巻数

注記

2

2

2

2

~

U

U

π

=

の関係は,

U

2

が正弦波電圧の場合にだけ成り立つ。

皮相電力

S

s

は,合計皮相電力

S

を試験片の実効質量

m

a

で除して求め,式

(14)

によって算出する。

m

m

n

1

1

m

1

ˆ

ˆ

ˆ

U

l

R

N

I

l

N

H

=

=

2

1

2

1

2

1

2

1

~

2

2

~

~

N

N

U

I

N

N

U

I

S

π

=

=


14

C 2556

:2015

S

ml

l

m

S

S

m

a

s

=

=

   (14)

ここに,

S

s

皮相電力(

VA/kg

S

合計皮相電力(

VA

m

a

試験片の実効質量(

kg

l

試験片の長さ(

m

m

試験片の質量(

kg

l

m

既定の磁路長(

m

l

m

0.45

5.5 

再現性 

この箇条で規定する測定方法の再現性は,

3 %

以内の相対標準偏差とする。


15

C 2556

:2015

附属書 A

(規定)

ヨーク製作に関する必要条件

ヨーク製作に関する必要条件を,次に示す。

a)

ヨークでの損失を確実に,低く,かつ,不変にすることが重要である。励磁周波数

50 Hz

で測定した

ときの典型的な損失値は,磁束密度

40 mT

において

1 mW/kg

である。鋼板間の短絡は,ヨークでの損

失が高くなる一つの要因となる。ヨークに一次コイルと二次コイルとを巻くことによって,ヨークで

の損失を測定できる。それぞれのコイルの巻数は,

25

ターンで十分である。

b)

ヨークの鋼板間の絶縁抵抗は,抵抗計及びプローブを用いて検査する。

c)

ヨークの製作の手順は,次による。

1)

切断した鋼板を応力除去焼なましする。

2)

鋼板を接着してヨークを組み立てた後,磁極面を機械加工する。ヨークの組立ては,高い圧力を加

えないで行わなければならない。

3)

磁極面の平行度を適切な計器で確かめ,上側ヨークと下側ヨークとの磁極面間のエアギャップの均

一度を感圧シートを用いてチェックする。

4)

感圧シートの発色濃淡分布が一様となり,エアギャップが十分均一であることが示されるまで,カ

ーボランダム及びダイヤモンドペーストを使って研磨する。上側ヨークを使用時の正規の状態で下

側ヨークの上に置き,僅かの距離で往復させて研磨してもよい。

d)

研磨によって金属流動が起こり,鋼板間に短絡を生じることがある。この金属流動層を非酸化性酸(例

えば,塩酸)を用いて,注意深いエッチング処理して除去することが重要である。この処理は,金属

流動層が除去されるまで酸を染ませた布で磁極面を擦って行う。その後,注意深く洗浄及び酸の中和

を行うことが重要である。

e)

d)

の処理による損失の減少を確認するため,研磨及びエッチング処理の前後でヨークでの損失の測定

を行うことは有効である。

f)

磁極面のエッチング及び洗浄処理の後に,鋼板間の絶縁抵抗の最後の確認を行う。

g)

ヨークを使用する前に,使用時に生じる最大の磁束密度より大きい初期磁束密度から,注意深く消磁

する。


16

C 2556

:2015

附属書 B

(参考)

単板試験器による測定値のエプスタイン相当値への換算法

(対応国際規格を不採用とした。


17

C 2556

:2015

附属書 C 
(参考)

方向性電磁鋼帯におけるエプスタイン測定値と SST 測定値との相関関係

(対応国際規格を不採用とした。


18

C 2556

:2015

附属書 D 
(参考)

デジタルサンプリング法による磁気特性測定

D.1 

一般原理 

デジタルサンプリング法は,この規格の電気関連の測定に多く使用されている。二次電圧

U

2

(t)

及び励

磁コイルに直列に接続された無誘導精密抵抗器(

図 参照)の両端の電圧降下

U

1

(t)

のデジタル化,並び

にこれらのデータから数値処理によって試験片の磁気特性を判定することを特徴としている。この目的の

ため,電圧の時間関数から

j

の添え字をもつこれらの電圧の瞬時値

u

2j

及び

u

1j

を,サンプル−ホールド回

路によって,等しい時間間隔でそれぞれサンプリングする。サンプリングされた電圧の瞬時値は,アナロ

グ−デジタル変換器(

ADC

)によって,デジタル値に変換する。

1

周期又は複数周期にわたって採取した

データによって,この規格で要求する全ての磁気特性をコンピュータ処理で求めることが可能である。

デジタルサンプリング法は,

図 4∼図 の計器の全ての機能を,データ捕捉装置とソフトウエアとの組

合せによって実現する。二次電圧の正弦波制御もデジタル法によって可能となる。

デジタルサンプリング法は,不確かさを低くするが,不適切な使用方法によっては,大きな誤差をもた

らす。

D.2 

技術的詳細及び要求事項 

デジタルサンプリング法の原理は,電圧及び時間の離散化にある。すなわち,無限小の時間間隔

dt

を式

(D.1)

によって算出する有限の時間間隔

Δt

で置き換える。

s

1

1

f

fn

n

T

t

=

=

=

Δ

  (D.1)

ここに,

Δt

サンプリング点の間隔(

s

T

励磁周期の長さ(

s

f

励磁周波数(

Hz

n

1

周期の間にサンプリングされた瞬時値の個数

f

s

サンプリング周波数(点

/s

不確かさを低くするためには,励磁周期長さをサンプリング間隔で除した値が整数(ナイキスト条件)

で,サンプリング周波数

f

s

が入力信号帯域の

2

倍より大きいことが望ましい。

平均値形交流電圧計に倣い,磁束密度の波高値

Jˆ

は,

1

周期の間に採取された

u

2j

の値の合計から,式

(D.2)

によって算出する。

=

=

T

t

t

t

U

T

A

N

f

J

0

2

2

d

)

(

1

4

1

ˆ

=

1

0

2

2

s

4

1

n

j

j

u

A

N

f

  (D.2)

鉄損 P

s

は,u

2j

及び u

1j

を 1 点ごとに掛け算して,1 周期の間を合計することから,式(D.3)によって算出

する。

=

=

T

t

A

RN

l

N

t

t

U

t

U

T

A

RN

l

N

P

0

m

2

m

1

2

1

m

2

m

1

s

d

)

(

)

(

1

ρ

ρ

=

1

0

2

1

n

j

j

j

u

u

  (D.3)

ここに,

Jˆ : 磁束密度の波高値(T)

f: 励磁周波数(Hz)

n: 1 周期の間にサンプリングされた瞬時値の個数

A: 試験片の断面積(m

2


19

C 2556

:2015

T: 励磁周期の長さ(s)

f

s

サンプリング周波数(点/s)

u

2

二次電圧(V)

j: 瞬時値の連続番号

N

1

一次コイルの総巻数

l

m

規定の磁路長(m)

l

m

=0.45)

R: 励磁コイルに直列に接続された無誘導精密抵抗器の抵抗値

(Ω)

P

s

試験片の鉄損(W/kg)

N

2

二次コイルの総巻数

ρ

m

試験片の密度(kg・m

3

u

1

無誘導精密抵抗器の両端の電圧降下(V)

注記  磁界の強さの波高値 Hˆ 及び皮相電力 S

s

は,それぞれ次の式によって算出できる。

=

=

=

n

j

j

n

j

j

u

n

u

n

A

RN

Rl

N

S

U

Rl

N

H

0

2

2

0

2

1

m

2

m

1

s

m

1

1

1

ˆ

ˆ

ρ

及び

u

2j

及び u

1j

の演算は,コンピュータ又はデジタル信号処理器(DSP)によって処理できる。ナイキスト条

件を成り立たせるには,サンプリング周波数 f

s

及び励磁周波数 を,共通の高い周波数のクロックで生成

することが必須であり,この場合,必然的に整数比の f

s

 / が得られる。ナイキスト条件が成り立つ場合に

は,1 周期 128 点のサンプリング数で,十分な精度をもって波形を測定できる。1 周期 128 点の数は,シャ

ノン定理に基づき,H(t)  が通常 41 次以上の周波数の高調波を含んでいないことによって導かれる。ただ

し,市販のデータ捕捉装置には励磁周波数と同期できないものがあり,この場合,必然的に f

s

 / 比は整数

とはならず,ナイキスト条件が成り立たない。ナイキスト条件が成り立たない場合,真の励磁周期の長さ

とサンプリングされた周期との相違を最小とするために,サンプリング周波数を十分高く(1 周期に 500

サンプル以上)する必要がある。ナイキスト条件を成立させることは,高い周波数の測定(例えば,この

規格の範囲に含まれる 400 Hz)では決定的に有利である。また,デジタルサンプリング過程で生じるエリ

アシングノイズの原因となる,無関係な高周波成分を除去するために,ローパス・アンチエリアシングフ

ィルタを使用することを推奨する。

振幅の分解能については,12 ビットより低い場合はデジタル化誤差が無視できない。このため,測定波

形の振幅に対して最低 12 ビットの分解能をもつことを推奨する。さらに,二つの電圧信号測定チャンネル

間の位相差を,鉄損測定の誤差がこの規格に規定する値(0.5 %)を超えないように,十分小さくすること

が望ましい。位相差の問題は,低い力率 cos(φ

φ は,二つの信号の基本周波成分間の位相差)の場合に,

より重要となる。この理由によって,二つの電圧信号の瞬間値を異なる時間でサンプリングする方式であ

る,マルチプレクサを用いた計器は推奨しない。

信号調整に用いる増幅器は,低い周波数での位相シフトを防ぐために,a.c.結合ではなく d.c.結合である

ことが望ましい。しかし,増幅器の d.c.オフセットは,数値計算の値に大きな誤差をもたらす場合がある。

この d.c.オフセットの影響を除く方法には,計算による補正消去法が適用できる。

D.3 

校正 

この規格の繰返し性及び再現性要件を満たすには,測定装置の適切な校正が必要である。増幅器と ADC

とを含む二つの電圧信号測定チャンネルについては,標準交流電源を用いて校正することが可能である。

さらに,二つのチャンネルの位相特性とその周波数特性とを確認することが望ましい。これらの特性は,


20

C 2556

:2015

コンピュータでの補正計算に使用できる。いずれの場合においても,校正用サンプルを用いて校正する方

法では不十分である。なぜなら,校正用サンプルによる校正は,その材料と測定条件との組合せのときに

だけ,有効であるためである。


21

C 2556

:2015

附属書 JA

(規定)

H

コイル法の単板試験器による電磁鋼帯の磁気特性の測定方法

JA.1 

一般的原理(コイル法) 

JA.1.1 

測定の原理 

H コイル法による単板試験器の測定原理には,本体に規定する励磁電流法に比べて,試験片の磁気特性

を直接測定できる特長がある。

H コイル法は,試験片表面に近接して置いた空芯コイル(H コイル)を用いて,試験片にかかる磁界の

強さ を直接測定し,

二次コイルで検出する磁束密度 から試験片の磁気特性を直接測定する。

このため,

励磁電流法における

附属書 JC に規定する補正を必要としない長所がある。励磁電流法に比べ,H コイル

及び二次コイルの誘起電圧の増幅器及び積分器を追加する必要がある。

H コイル法の試験器は,ヨーク,一次コイル,H コイル,二次コイル及び空隙補償コイルで構成する。

一次コイル内の均一な磁界の強さ の領域に,二次コイル及び H コイルを配置する。H コイルは,試験片

表面に可能な限り近接して置く。H コイルの誘起電圧を積分することによって,試験片が置かれた磁界の

強さ を検出することができる。試験片の単位体積当たりの鉄損 P

0

及び磁化特性は,H コイルで検出し

た磁界の強さ 及び二次コイルで検出した磁束密度 から求める。また,皮相電力 S

s

は,検出された磁界

の強さの実効値

H

~

及び二次電圧の実効値から求める。

試験片の単位体積当たりの鉄損 P

0

は,磁界の強さ 及び磁束密度 を軸とする二次元空間に,磁界の

強さ 及び磁束密度 の時間関数が描く,ヒステリシスループの面積と励磁周波数との積として,式(JA.1)

で表せる。

=

B

H

f

P

d

0

  (JA.1)

ここに,

P

0

単位体積当たりの鉄損(

W/m

3

f

励磁周波数(

Hz

H

磁界の強さ(

A/m

B

磁束密度(

T

単位体積当たりの鉄損

P

0

は,式

(JA.1)

による

H

積分方式のほか,式

(JA.2)

B

積分方式でも求めること

ができる。

=

H

B

f

P

d

0

  (JA.2)

試験結果の比較性能を示すことができれば,単位体積当たりの鉄損

P

0

B

積分方式によって求めてもよ

い。

JA.1.2 

単板試験器 

JA.1.2.1 

一般事項 

H

コイル法においては,

一次コイルによって磁化された単板の試験片の磁束密度

B

及び磁界の強さ

H

を,

それぞれ二次コイル及び

H

コイルで検出することによって,試験片の磁気特性を求めることのできる

100

mm

幅単板磁気器又は

500 mm

幅単板試験器を使用する。

試験結果の比較性能を示すことができる場合には,他のヨーク構造(

附属書 JB 参照),ヨーク寸法及び

試験片サイズを採用できる。


22

C 2556

:2015

JA.1.2.2 100 

mm

幅単板試験器 

JA.1.2.2.1 

ヨーク 

ヨークは,平たんなコの字形状で,絶縁された方向性電磁鋼帯又は鉄−ニッケル合金薄板で構成する。

ヨークは,磁気抵抗が低いものとし,その鉄損

P

s

は,

1.5 T

及び

50 Hz

において

1.0 W/kg

以下とする。

渦電流効果を抑えてヨーク内の磁束分布を一様にするため,ヨークは,接着された積層鋼板鉄心からな

るものとし,ヨークのコーナー部は,交互積みの突合せ接合とする(

図 JA.1 参照)。積層鋼板の接着又は

支持によってヨーク内に発生する応力は,極力小さくする。

ヨークの二つの磁極面は,

0.5 mm

の精度以上で同一平面となるようにする。漏れ磁束を抑えて試験片に

加わる磁界の分布と試験片内の磁束の分布との均一性を図るため,試験片及びヨークの接触部は,十分な

面積をもち,試験片の全幅をヨークに接触させる。

単位  mm

図 JA.1100 mm 幅単板試験器の例(横形単ヨーク) 

ヨークを構成する薄板の寸法精度については,幅は±

0.2 mm

,長さは±

0.5 mm

とする。薄板は,コイル

巻枠の長さに合わせ積層する。ヨークの磁極間内側寸法は,

300 mm

とし,積層高さは,

7 mm

以上とする。

試験片を載せるヨーク間の支持台は,絶縁非磁性体とする。支持台は,ヨークの両磁極間の中心に磁極面

と同一平面となるように配置し,試験片が磁極面と隙間がないように接触させる。

H

コイル法においては,ヨークは試験片に加わる磁界の強さ

H

及び磁束密度

B

の均一化のため,補助的

に使用される。

JA.1.2.2.2 

コイル 

一次コイル及び二次コイルは,絶縁非磁性体の巻枠に巻く。

H

コイルは,巻枠の内側に配置する(

図 JA.2

参照)

。巻枠寸法は,次による。

長さ

294

±

0.5 mm

内側幅

102

0

5

.

0

+

 mm

内側高さ

6

±

3 mm

高さ

15 mm

以下


23

C 2556

:2015

一次コイルは,例えば,直径

1 mm

の銅線を巻枠の全長

294 mm

の間に均一に

3

層に巻いて並列接続と

する。巻数は,各層

240

ターンとする。

二次コイルは,

例えば,

直径

0.5 mm

の銅線を巻枠の長さ方向の中心に対して対称に長さ

200 mm

±

0.5 mm

間に

1

層に均等に巻く。巻数は

140

ターンとする。

一次コイル及び二次コイルの巻数は,測定機器の特性に合わせて設定してよい。

H

コイルは,例えば,厚さ

1

±

0.1 mm

,幅

85

±

0.2 mm

,長さ

250

±

1 mm

の絶縁非磁性体の板状巻枠に密

着して,φ

0.2 mm

銅線を長さ

200

±

0.2 mm

の間に

1

層に均一に巻く。

H

コイルは,試験片表面に近接して

コイル面と試験片表面とが平行となるように置き,長さ方向の位置を二次コイルに一致させる。

H

コイル

のエリアターンの経時変化を防止するため,

H

コイルは板状巻枠に樹脂などで固定することが望ましい。

H

コイルは,支持台にその上面が支持台の上面と同一平面となるように埋め込み,支持台及び

H

コイルの

上面を薄いガラスクロステープなどで覆ってもよい。このとき,ガラスクロステープの表面は,ヨークの

磁極面と同一平面とする(

図 JA.2 参照)。

注記

  H

コイルは,出力電圧を大きくするため,巻数を多くしてエリアターンを大きくしている。

なお,励磁コイル,二次コイル及び

H

コイルは,各巻枠の同じ側から同一巻方向で巻くこと

が望ましい。

単位  mm

図 JA.2100 mm 幅単板試験器コイル構成の例 

JA.1.2.3 500 

mm

幅単板試験器 

JA.1.2.3.1 

ヨーク 

ヨークは,3.2.1 による。


24

C 2556

:2015

JA.1.2.3.2 

コイル 

一次コイル及び二次コイルは,絶縁非磁性体の巻枠に巻く。

H

コイルは,巻枠の内側に配置する(

図 JA.3

参照)

。巻枠の寸法は,次による。

長さ

445

±

2 mm

内側幅

510

±

1 mm

内側高さ

5

2

0

 mm

高さ

15 mm

以下

一次コイルは,例えば,直径

1 mm

の銅線を巻枠の全長

400 mm

の間に均一に

3

層に巻いて並列接続と

する。巻数は,各層

400

ターンとする。

二次コイルは,

例えば,

直径

0.5 mm

の銅線を巻枠の長さ方向の中心に対して対称に長さ

200 mm

±

0.5 mm

間に

1

層に均等に巻く。巻数は

140

ターンとする。

一次コイル及び二次コイルの巻数は,測定機器の特性に合わせて設定してよい。

H

コイルは,例えば,JA.1.2.2.2 に適合するものを

4

枚使用し,直列に接続する(

図 JA.3 参照)。

単位  mm

図 JA.3500 mm 幅単板試験器コイル構成の例 

JA.1.3 

空隙補償 

空隙補償は,3.3 による。


25

C 2556

:2015

JA.1.4 

試験片 

試験片は,3.4 による。

JA.1.5 

励磁電源 

励磁電源は,3.5 による。

JA.2 

鉄損の測定 

JA.2.1 

測定の原理 

試験片の鉄損

P

s

は,

図 JA.4 に示す測定回路の電力計によって測定する。

注記

デジタルサンプリング法の適用は,

附属書 を参照。

Hz

V

2

V

1

W

M

試験片

一次

コイル

二次
コイル







V

1

V

2

Hコイル

Hz  :周波数計 
W  :電力計 
M  :空隙補償用の相互誘導器 
V

1

  :平均値形交流電圧計

V

2

  :実効値交流電圧計

図 JA.4コイル法による単板磁気特性測定回路 

JA.2.2 

測定器 

JA.2.2.1 

平均値形交流電圧計 

平均値形交流電圧計は,4.2.1.1 による。

JA.2.2.2 

実効値交流電圧計 

実効値交流電圧計は,4.2.1.2 による。

JA.2.2.3 

周波数計 

周波数計は,4.2.2 による。

JA.2.2.4 

電力計 

電力計は,4.2.3 による。

JA.2.2.5 

増幅器及び積分器 

増幅器は,コイルの誘起電圧の測定に影響を及ぼさない程度に入力インピーダンスが高く,出力インピ

ーダンスが低くなければならない。増幅器は,周波数特性のよい飽和しないものを使用することが必要で

ある。


26

C 2556

:2015

積分器は,高精度の演算増幅器によって構成されたミラー形の積分器を用いる。積分器の回路定数は,

50 Hz

の正弦波信号を用いたとき,入力電圧と出力電圧との比が

1

となるように設定する。

増幅器及び積分器の総合性能は,次の性能とする。

入力インピーダンス

500 kΩ

以上

出力インピーダンス

15 Ω

以下

増幅率の精度

:±

 0.3 %

以上(

30 Hz

2 kHz

において)

位相誤差

3

分以内(

47 Hz

400 Hz

において)

JA.2.3 

測定方法 

JA.2.3.1 

測定の準備 

測定の準備は,4.3.1 による。

JA.2.3.2 

励磁電源の調整 

励磁電源は,二次電圧の整流平均値が所要値に達するまで,出力を徐々に増加させる。この値は,式

(JA.3)

による。

J

A

N

f

U

ˆ

4

B

2

2

α

=

  (JA.3)

ここに,

2

U

二次コイルの誘起電圧の整流平均値(

V

f

励磁周波数(

Hz

N

2

二次コイルの巻数

A

試験片の断面積(

m

2

α

B

B

増幅器の増幅率

Jˆ

磁束密度の波高値(

T

注記 1

二次回路内の計器の合計抵抗が二次コイル及び相互誘導器の直列抵抗に比べ十分に大きいた

め,式

(JA.3)

の右辺の補正係数

t

i

i

R

R

R

+

は省略している[式

(4)

参照]

注記 2

実効値表示された平均値形電圧計の読みを用いる場合は,式

(JA.3)

の右辺の係数を

π

2

とし

た,次の式を用いる。

J

A

N

f

U

ˆ

2

B

2

2

α

π

=

試験片の断面積は,式

(7)

による。

JA.2.3.3 

鉄損の測定(コイル法) 

JA.2.3.2

で調整した磁束密度の波高値

Jˆ

に対する試験片の単位長さ当たりの損失

P

l

は,電力計の読みか

ら式

(JA.4)

を用いて算出する。

(

)

m

B

H

2

H

H

0

l

P

N

A

N

P

α

α

μ

τ

=

  (JA.4)

ここに,

P

l

試験片の単位長さ当たりの損失算出値(

W/m

τ:

H

積分器の時定数(

s

μ

0

磁気定数[

4

π×

10

7

H/m

N

H

A

H

H

コイルのエリアターン(

m

2

N

2

二次コイルの巻数

α

H

H

増幅器の増幅率

α

B

B

増幅器の増幅率

P

m

電力計によって測定された電力(

W


27

C 2556

:2015

注記

積分器の時定数は,

50 Hz

の正弦波信号を用いて入力電圧と出力電圧との比が

1

となるように

回路定数を選択した場合は,

50

2

1

×

=

π

τ

s

)となる。

鉄損

P

s

は,試験片の単位長さ当たりの損失

P

l

を,試験片の単位長さの質量(

m/l

)で除して求め,式

(JA.5)

によって算出する。

m

l

P

P

l

s

=

  (JA.5)

ここに,

P

s

試験片の鉄損(

W/kg

P

l

試験片の単位長さ当たりの損失算出値(

W/m

l

試験片の長さ(

m

m

試験片の質量(

kg

JA.2.3.4 

鉄損測定の再現性 

この箇条に規定する測定方法の鉄損測定の再現性は,

1 %

以内の相対標準偏差とする。

JA.3 

磁界の強さ及び皮相電力の測定(コイル法) 

JA.3.1 

一般事項 

この箇条では,次の特性の測定方法を記載する。

磁束密度の波高値

Jˆ

磁界の強さの波高値

Hˆ

皮相電力

S

s

JA.3.2 

測定の原理 

図 JA.4 に示す測定回路を用いて測定する。

JA.3.2.1 

磁束密度の波高値 

磁束密度の波高値

Jˆ

は,

図 JA.4 に示す測定回路を用い,二次コイルの誘起電圧の整流平均値から求める。

JA.3.2.2 

磁界の強さの波高値 

磁界の強さの波高値

Hˆ

は,

図 JA.4 に示す測定回路を用い,

H

コイルの誘起電圧の整流平均値から求め

る。

JA.3.3 

測定の手順 

JA.3.3.1 

測定の準備 

測定の準備は,5.3.1 による。

JA.3.3.2 

測定 

通常,一組又は複数組の磁束密度の波高値

Jˆ

及び磁界の強さ(波高値又は実効値)の値を測定する。

磁界の強さを指定して磁束密度の波高値

Jˆ

を測定する場合は,指定の磁界の強さ

H

となるように励磁電

源を調整し,二次電圧の整流平均値を平均値形交流電圧計を用いて測定する(JA.2.3.2 参照)

磁束密度の波高値

Jˆ

を指定して磁界の強さを測定する場合は,JA.2.3.2 の規定に従い,所要の磁束密度

の波高値

Jˆ

となるように二次電圧の値を調整する。

磁界の強さの実効値

H

~

の測定においては,

H

コイル回路の積分器の出力電圧の実効値を,実効値交流電

圧計を用いて測定する。

磁界の強さの波高値

Hˆ

の測定においては,

H

コイル回路の増幅器の出力電圧の整流平均値を,平均値形

交流電圧計を用いて測定する。この測定においては,二次電圧の波形率は規定の値を超えてもよい(5.3.2


28

C 2556

:2015

参照)

JA.3.4 

特性値の計算法 

JA.3.4.1 

磁束密度の波高値の測定 

磁束密度の波高値

Jˆ

は,式

(JA.6)

による(JA.2.3.2 参照)

2

2

2

4

1

ˆ

U

A

N

f

J

α

=

  (JA.6)

ここに,

Jˆ

磁束密度の波高値(

T

f

励磁周波数(

Hz

N

2

二次コイルの巻数

A

試験片の断面積(

m

2

α

2

二次コイル回路の増幅器の増幅率

2

U

二次コイルの誘起電圧の整流平均値(

V

なお,実効値表示された平均値形電圧計の読みを用いる場合は,式

(JA.6)

の右辺の分母の係数を

π

2 と

した,式

(JA.7)

を用いる。

2

2

2

2

1

ˆ

U

A

N

f

J

α

π

=

  (JA.7)

JA.3.4.2 

磁界の強さの実効値の測定 

磁界の強さの実効値

H

~

は,式(JA.8)による。

(

)

H

H

H

H

0

~

~

U

A

N

H

α

μ

τ

=

  (JA.8)

ここに,

H

~

磁界の強さの実効値(A/m)

τ: 積分器の時定数(s)

μ

0

磁気定数[4

π×10

7

(H/m)

N

H

A

H

H コイルのエリアターン(m

2

α

H

H コイル回路の増幅器の増幅率

H

~

U

H コイルの誘起電圧の実効値(V)

複数組の磁束密度の波高値

Jˆ

及び磁界の強さの実効値

H

~

の測定によって,磁界の強さの実効値

H

~

に対

する磁束密度の波高値

Jˆ

の磁化曲線を描くことができる。

JA.3.4.3 

磁界の強さの波高値の測定 

磁界の強さの波高値

Hˆ

は,式(JA.9)による。

(

)

H

H

H

H

0

2

1

ˆ

U

A

N

f

H

α

μ

π

=

  (JA.9)

ここに,

Hˆ

磁界の強さの波高値(A/m)

μ

0

磁気定数[4

π×10

7

(H/m)

N

H

A

H

H コイルのエリアターン(m

2

α

H

H コイル回路の増幅器の増幅率

H

: H コイルの誘起電圧の整流平均値(V)

注記  振幅透磁率 μ

a

は,次のように表すことができる。

1

ˆ

ˆ

0

a

+

=

H

J

μ

μ

JA.3.4.4 

皮相電力の測定 


29

C 2556

:2015

試験片の単位体積当たりの皮相電力 S

v

は,式(JA.10)による。

(

)

2

H

2

H

2

H

H

0

v

~

~

~

~

U

U

N

A

N

A

J

H

S

α

α

μ

τ

=

=

   (JA.10)

ここに,

S

v

試験片の単位体積当たりの皮相電力(VA/m

3

H

~

磁界の強さの実効値(A/m)

J

~

磁束密度の実効値(T)

μ

0

磁気定数[4

π×10

7

(H/m)

A: 試験片の断面積(m

2

N

H

A

H

H コイルのエリアターン(m

2

N

2

二次コイルの巻数

α

H

H コイル回路の増幅器の増幅率

α

2

二次コイル回路の増幅器の増幅率

τ: 積分器の時定数(s)

H

~

U

H コイルの誘起電圧の実効値(V)

2

~

: 二次電圧の実効値(V)

皮相電力 S

s

は,試験片の単位体積当たりの皮相電力 S

v

を,試験片の密度で除して求め,式(JA.11)によっ

て算出する。

(

)

2

H

2

H

2

H

H

0

m

v

s

~

~

U

U

N

A

N

m

l

S

S

α

α

μ

τ

ρ

=

=

  (JA.11)

ここに,

S

s

試験片の皮相電力(VA/kg)

S

v

試験片の単位体積当たりの皮相電力(VA/m

3

ρ

m

試験片の規定の密度,又は JIS C 2550-5 に従って測定された
値(kg・m

3

l: 試験片の長さ(m)

τ: 積分器の時定数(s)

m: 試験片の合計質量(kg)

μ

0

磁気定数[4

π×10

7

(H/m)

N

H

A

H

H コイルのエリアターン(m

2

N

2

二次コイルの巻数

α

H

H コイル回路の増幅器の増幅率

α

2

二次コイル回路の増幅器の増幅率

H

~

: H コイルの誘起電圧の実効値(V)

2

~

U

二次電圧の実効値(V)

JA.3.5 

再現性 

この箇条で規定した測定方法における再現性は,3 %以内の相対標準偏差とする。

JA.4 

校正 

H コイル法は,試験片にかかる磁界の強さと試験片内の磁化の強さとを直接測定しているため,附属書

JC

による換算の必要はない。

JA.4.1 H

コイルのエリアターンの校正 

H コイル誘起される電圧の計算に必要な,コイルのエリアターン(実効断面積×巻数)の校正は,次の

ような方法によって±0.5 %の精度以上で行う。

a)

H コイルと 0.2 %の精度以上で知られたエリアターンをもつ標準コイルとの一様な交流磁界によるコ

イル誘起電圧を測定して求める。


30

C 2556

:2015

b)

ソレノイドコイル中の一様な磁界領域の磁界の強さは,交流磁界によるコイル誘起電圧を測定して求

める。この場合,ソレノイドコイルに流す電流値は,標準抵抗による電圧降下を入力インピーダンス

が 1 MΩ 以上で,±0.5 %の精度以上のデジタル電圧計で求める。

注記 JA.1.2.2.2 に規定した H コイルにおいて,巻数が約 850 ターンの場合,エリアターンは,約 1 050

×10

4

 m

2

となる。

JA.4.2 

増幅器の校正 

二次コイル回路及び H コイル回路の増幅器の増幅率の校正は,既知の周波数の正弦波信号を入力端子に

入力し,出力電圧をデジタル電圧計で読んで行うことができる。増幅率は±0.3 %の精度以上とする。

JA.4.3 

積分器の校正 

積分器の校正は,増幅器との総合性能とし,次による。既知の周波数の正弦波信号を増幅器の入力端子

に入力し,増幅器の入力電圧 e

in

及び積分器の出力電圧 e

out

をデジタル電圧計で読む。積分器の出力電圧 e

out

と増幅器の入力電圧 e

in

との関係は,式(JA.12)で表す。

τω

α

τ

α

in

H

in

H

out

d

e

t

e

e

=

=

  (JA.12)

ここに,

e

out

積分器の出力電圧(

V

α

H

H

コイル回路の増幅器の増幅率

e

in

増幅器の入力電圧(

V

τ: 積分器の時定数(

s

ω:

2

πf

s

1

(JA.12)

から

H

増幅器の増幅率を含む

α

H

/τ

が求まる。

この回路の位相の誤差は,

α

H

/τ

の周波数特性の測定で調べられる。すなわち,

e

out

/e

in

が所定の周波数範

囲で周波数に対して反比例の関係にある場合は,位相の誤差は無視できる。


31

C 2556

:2015

附属書 JB

(参考)

H

コイル法の単板試験器におけるヨーク構造

JB.1 

ヨーク構造 

試験器は,試験片に加わる磁界と磁束の分布とが測定範囲にわたって均一となるよう,ヨークを用いて

試験片を通る磁束に対して閉磁路を形成する。

横形ヨークと縦形ヨークとがある。

JB.2 

横形ヨーク 

横形ヨークの試験器を,

図 JB.1 に示す。窓寸法は,磁束の偏りがエプスタイン試験器と同程度となるよ

うに寸法を決定する必要がある。

注記

横形ヨークは,積鉄心変圧器と同様な磁気回路を構成しており,窓内側と外側とで磁路長が異

なることから,試験片幅方向の磁束分布が不均一の場合があるが,これは,従来から広く用い

られているエプスタイン試験器においても起こっている。

横形複ヨークの場合は,ヨークだけでも磁路が閉じるため,残留磁束が残りやすい。このため,横形複

ヨークの場合には,測定前にヨークの消磁を行う必要がある。

なお,試験片寸法に応じてヨーク寸法を変更する場合は,決定された窓寸法に対して比例して拡大又は

縮小するとよい。

図 JB.1−横形ヨーク単板試験器の構成 

JB.3 

縦形ヨーク 

縦形ヨークの試験器枠を,

図 JB.2 に示す。縦形単ヨークは,縦形複ヨークに比べて,試験片との接触部

付近の漏れ磁束が大きいため,縦形複ヨークに比べヨーク極間距離を長くするか,又は,試験片とヨーク

との接触面を大きくとる必要がある。縦形複ヨークは,上側ヨークによって試験片に機械的なひずみが生

じないように注意する必要がある。


32

C 2556

:2015

図 JB.2−縦形ヨーク単板試験器の構成 


33

C 2556

:2015

附属書 JC

(規定)

単板試験器による測定値のエプスタイン相当値への換算法

JC.1 

一般 

この附属書では,この規格で規定する単板試験器によって得られた方向性電磁鋼帯の磁気特性値を,エ

プスタイン相当値へ換算する方法を規定する。

JC.2 

一般的原理 

この規格に基づく単板試験器による鉄損

P

s

の測定値は,同じ鋼帯に対して JIS C 2550-1 に基づきエプス

タイン試験器で測定した鉄損値に対して,

2 %

から

10 %

大きいことが一般的に知られている。この原因は,

単板試験器で測定される損失にヨークでの損失が含まれていること及び規定の磁路長

l

m

よりも実効磁路長

が方向性電磁鋼板では長いためと推定される。

方向性電磁鋼帯の磁気特性測定においては,エプスタイン試験器による測定では試験片を応力除去焼き

なましするが,単板試験器による測定では試験片に応力除去焼きなましを行わない。試験片の応力除去焼

きなましによって,試験片を切断したときに生じた応力が除去されるとともに,鋼帯中に存在していた製

造時の残留応力も除去される。試験片に残る応力によって,磁気特性が劣化することは,一般的に知られ

ている。このため,同じ供試材の隣接部位からエプスタイン試験器の試験片及び単板試験器の試験片を採

取して,前者に応力除去焼きなましを行い,後者に応力焼きなましを行わない状態で,それぞれ JIS C 

2550-1

及びこの規格に基づき測定を行っても,異なる磁気特性の材料の測定となる可能性があり,エプス

タイン試験器による測定値と,単板試験器による測定値との正しい相関係数を求めることができない。

この附属書では,エプスタイン試験器による測定値と単板試験器による測定値との正しい相関係数を求

めるため,同じ試験片を用いて JIS C 2550-1 及びこの規格の測定手順に従い,エプスタイン試験器と単板

試験器とで測定する。求めた相関係数を用いることによって,単板試験器の測定値をエプスタイン相当値

に変換する。

JC.3 

試験片の準備 

試験片の準備は,次による。

a)

方向性電磁鋼帯の供試材の圧延方向の長さ約

500 mm

及び幅約

500 mm

の領域から,圧延方向に長い

16

枚の長さ

 (500

±

0.5) mm

及び幅

 (30

±

0.2) mm

の試験片を長辺のエッジが隣接するように切断採取

する。このとき,試験片を再配列することを容易とするために,試験片に番号を付与するか,又は切

断前の供試材の表面に目印となる斜線などの模様を描く。

b)

試験片を切断する場合には,

鋼帯の母材の圧延方向を基準方向とする。

圧延方向との角度の許容差は,

±

1

°とする。

c)

試験片は,過剰な切断かえり及び/又は機械的な変形が生じないように切断する。試験片は平たんで

なければならない。

d)

試験片は,切断後に製造業者の推奨する条件で応力除去焼きなましを行う。供試材が応力除去焼きな

ましによって磁区制御効果が失われる磁区制御材の場合には,応力除去焼きなましを行った試験片に

磁区制御処理を行う。


34

C 2556

:2015

注記

応力除去焼きなましでは,試験片の温度分布が均一となるよう注意するとともに,試験片中に

ひずみが残留しないように,徐冷することが望ましい。

JC.4 

エプスタイン試験器による測定 

JIS C 2550-1

の測定手順に従って,エプスタイン枠に試験片を挿入し,磁気特性を測定する方法は,次

による。

a)

試験片の長さは規定の長さよりも長いが,エプスタイン枠に試験片の中央部が配置されるように挿入

する。

b)

試験片が重なりあった部分において,試験片の間の隙間をできるだけ狭くするように,重なり合った

試験片の表面に約

1 N

の力がかかるように絶縁非磁性体の重しを置き,枠からはみ出した試験片の部

分が水平となるように,絶縁非磁性体で支える。

c)

磁気特性は,磁束密度

1.7 T

における鉄損

P

s

を,励磁周波数

50 Hz

及び

60 Hz

で測定する。また,磁

界の強さの波高値

Hˆ

800 A/m

における磁束密度の波高値

Jˆ

を,励磁周波数

50 Hz

又は

60 Hz

で測定

する。

方向性電磁鋼帯のグレードは,

1.7 T

での鉄損値で区分される。普通材に対しては

1.5 T

での鉄損値が参

考として示されるため,

1.7 T

に加えて

1.5 T

での鉄損

P

s

を測定してもよい。

箇条 に示す磁束密度の波高値

Jˆ

,及び磁界の強さの波高値

Hˆ

の範囲において,鉄損

P

s

及び磁束密度

B

を測定することもできる。

JC.5 

単板試験器による測定 

16

枚の試験片を,切断時の試験片の配列に密接して並べ,接着力の弱いテープで貼り合わせ,長さ

500

mm

及び幅

480 mm

の単板試験片とする。一体化した試験片を,この規格の試験手順に従って単板試験器

に挿入し,エプスタイン試験器による測定と同じ励磁条件で測定する。

16

枚の試験片を一体化して取扱いを容易とするため,複数の試験片の上面にまたがるように絶縁非磁性

体の薄板を置き,粘着力の弱いテープで貼り付けてもよい。

JC.6 

エプスタイン試験器による測定値と単板試験器による測定値との相関係数の決定 

エプスタイン試験器による測定値と単板試験器の測定値との相関を求める。相関係数は,同じ母材の供

試材に対して

50 Hz

及び

60 Hz

の励磁周波数で測定した鉄損値のデータに対して,最小二乗法で相関係数

を求める。相関係数の式は,式

(JC.1)

によって求める。

B

EP

s,

A

SST

s,

C

P

C

P

+

=

  (JC.1)

ここに,

P

s,SST

単板試験器による鉄損測定値(

W/kg

P

s,EP

エプスタイン試験器による鉄損測定値(

W/kg

C

A

単板試験器における,実効磁路長と規定の磁路長との比に
関わる相関係数

C

B

単板試験器における,ヨークでの損失に関わる相関係数

W/kg

注記 1

 60

Hz

でのヨークでの損失は,

50 Hz

での損失に比べ約

20 %

大きいが,試験片の鉄損値に比

較してヨークでの損失値が十分小さい場合には,この差異は鉄損値の測定ばらつきに対して


35

C 2556

:2015

小さくなり,ヨークの損失を

C

B

で代表できる。

所要の磁界の強さの波高値

Hˆ

における,磁束密度の波高値

Jˆ

に対する相関係数は,式

(JC.2)

によって求

める。

D

EP

C

SST

C

B

C

B

+

=

   (JC.2)

ここに,

B

SST

単板試験器による所要の磁界の強さの波高値における磁束
密度の波高値(

T

B

EP

エプスタイン試験器による所要の磁界の強さの波高値にお
ける磁束密度の波高値(

T

C

C

試験片の透磁率に関わる相関係数

C

D

単板試験器における,ヨーク及びヨークと試験片との間のギ
ャップの磁気抵抗に基づく,磁束密度測定値の低下量(

T

注記 2

磁界の強さ

H

を指定した磁束密度

B

の測定値に対しては,エプスタイン試験器と単板試験器

との相違は,ヨークの磁気抵抗及びヨークと試験片との間のギャップの磁気抵抗の大きさに

依存して,励磁電流法で求めた試験片に加わる磁界の強さが小さいために生じる。このため,

単板試験器では,エプスタイン試験器での測定よりも低い磁界の強度で磁束密度

B

が測定さ

れることになり,磁界の強さ

H

の差と指定された磁界の強さ

H

における試験片の透磁率との

積の分だけ,磁束密度

B

の値が小さく測定される。

JC.7 

単板試験器による測定値のエプスタイン測定の相当値への換算 

(JC.1)

で求めた相関係数を用いて,単板試験器で測定した鉄損値は,式

(JC.3)

によってエプスタイン試

験器による鉄損測定の相当値に換算できる。

(

)

A

B

SST

s,

EPeq

s,

C

C

P

P

=

  (JC.3)

ここに,

P

s,EPeq

エプスタイン試験器による鉄損測定の相当値(

W/kg

P

s,SST

単板試験器による鉄損測定値(

W/kg

C

A

単板試験器における,実効磁路長と規定の磁路長との比に
関わる相関係数

C

B

単板試験器における,ヨーク損失に関わる相関係数(

W/kg

(JC.2)

で求めた相関係数を用いて,単板試験器で測定した所要の磁界の強さの波高値

Hˆ

における磁束

密度の波高値

Jˆ

は,式

(JC.4)

によってエプスタイン試験器による磁束密度測定の相当値に換算できる。

(

)

C

D

SST

EPeq

/

C

C

B

B

=

   (JC.4)

ここに,

B

EPeq

エプスタイン試験器による所要の磁界の強さの波高値にお
ける磁束密度の波高値測定の相当値(

T

B

SST

単板試験器による所要の磁界の強さの波高値における磁束
密度の波高値(

T

C

C

試験片の透磁率に関わる相関係数

C

D

単板試験器における,ヨーク及びヨークと試験片との間の
ギャップの磁気抵抗に基づく,磁束密度測定値の低下量(

T

JC.6

で求める相関係数は,鋼帯の呼称厚さ及び透磁率に依存するため,式

(JC.3)

及び式

(JC.4)

の適用に当

たって,供試材に対応した相関係数を用いることが必要である。


36

C 2556

:2015

参考文献

IEC 60050-221

:1990

International Electrotechnical Vocabulary (IEV)

Chapter 221: Magnetic

materials and components

IEC 60404-2

Magnetic materials

Part 2: Methods of measurement of the magnetic properties of

electrical steel strip and sheet by means of an Epstein frame

IEC 60404-8-4

Magnetic materials

Part 8-4: Specifications for individual materials

Cold-rolled

non-oriented electrical steel strip and sheet delivered in the fully-processed state

IEC 60404-8-7

Magnetic materials

Part 8-7: Specifications for individual materials

Cold-rolled

grain-oriented electrical steel strip and sheet delivered in the fully-processed state

IEC 60404-13

Magnetic materials

Part 13: Methods of measurement of density, resistivity and

stacking factor of electrical steel sheet and strip

J. D. Sievert, Determination of AC Magnetic Power Loss of Electrical Steel Sheet: Present Status and

Trends, IEEE Trans. Mag. Vol. 20, No. 5 (1984) 1702-1707.


37

C 2556

:2015

附属書 JD

(参考)

JIS

と対応国際規格との対比表

JIS C 2556:2015

  単板試験器による電磁鋼帯の磁気特性の測定方法

IEC 60404-3:1992

,Magnetic materials−Part 3: Methods of measurement of the

magnetic properties of magnetic sheet and strip by means of a single sheet tester,
Amendment 1:2002 及び Amendment 2:2009

(I)JIS の規定

(II)

国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条

ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差

異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

2A  用 語
及び定義

規定なし

追加

JIS

では,IEC 60050-221 の用

語の定義を追加した。

IEC

規格での磁気分極 に対応す

る用語として JIS では我が国で一

般的である磁束密度 を用いた

が,実質的に等しい。これ以外は

IEC 60050-221

と整合している。

3  一 般 的
原理(励磁

電流法)

3.1  測定の原理

3.1

主に測定法を記載してい

る。

追加

測定の原理を記載した。技術的

差異はない。

3.2.1  ヨーク

3.2.1

ヨークは一対の C コア又

は積層接着コアとしてい
る。

変更

JIS

では,C コアを削除した。

C コアは形状安定性が乏しいた
め,推奨できない。

対向する磁極面の間隔は

任意の点で 0.005 mm を

超えてはならないとして
いる。

削除

JIS

では,数値を削除し,

“可

能な限り小さく,かつ,均一な

状態とする”と変更した。

磁極面の 0.005 mm の間隔を測定

することは実際上困難である。

3.5  励磁電源

3.5

二 次 電 圧 の 波 形 率 を
1.111±1 %としている。

変更

JIS

では,二次電圧の波形率を

1.10 %∼1.12 %に変更した。 

市販励磁電源から判断して,IEC

規格の二次電圧の波形に合わせ

ることは難しい。

4  鉄 損 の
測定(励磁

電流法)

4.2.1.1  平 均 値 形 交
流電圧計

4.2.1.1

精度を“±0.2 %の精度”
としている。

変更

JIS

では,精度を±0.5 %以上,

かつ,入力インピーダンスが 1 
MΩ 以上と変更した。

市販測定器の精度の状況から判
断して,IEC 規格の精度に合わせ

ることは難しい。

37

C

 255

6


2

015


38

C 2556

:2015

(I)JIS の規定

(II) 
国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

4  鉄 損 の
測定(励磁
電 流 法 )

(続き)

4.2.1.2  実 効 値 交 流
電圧計

4.2.1.2

精度を“±0.2 %の精度”

としている。

変更

JIS

では,精度を±0.5 %以上,

かつ,入力インピーダンスが 1 
MΩ 以上と変更した。

市販測定器の精度の状況から判

断して,IEC 規格の精度に合わせ
ることは難しい。

4.3.1  測定の準備

4.3.1

記載なし。

追加

JIS

では,JIS C 2550-1 との整

合性を高めるため,実効質量の

計算式を追加した。

内容の変更はない。

4.3.2  励磁電源の調

4.3.2

記載なし。

追加

JIS

では,実効値形と平均値形

との差に注意を促すため,平均

値形電圧計を使用する場合の

式を記載した。

内容の変更はない。5.4.1 について
も同様。

4.3.3  鉄損の測定

4.3.3

鉄損の計算式を記載。

変更

技術的差異はない。

エプスタイン試験器に対
する補正方法を注記に記

変更

JIS

では附属書 JC 参照とした。 IEC/TC 68 に IEC 規格の改定を提

案した。

5  磁 界 の
強さ,励磁
電 流 及 び

皮 相 電 力

の測定(励
磁電流法)

5.1.2  励磁電流の実
効値

5.1.2

図 5 の回路に空隙補償コ

イルを含まない。

変更

JIS

では二次電圧の空隙補償を

考慮した。

JIS

の方が磁気測定の基本である

IEC 60404-2

と整合している。

5.1.3 磁界の強さの
波高値

5.1.3

図 6 の回路に空隙補償コ
イルを含まない。

変更

JIS

では二次電圧の空隙補償を

考慮した。

JIS

の方が磁気測定の基本である

IEC 60404-2

と整合している。

波 高 値 交 流 電 圧 計 を 記

載。

変更

JIS

では,オシロスコープも使

用できるようにした。

JIS

の方が現状の技術に則してい

る。IEC 規格の改定を提案する。

5.3.1  測定の準備

5.3.1 4.3.1 と同じ内容の記載が

ある。

変更

技術的差異はない。

5.3.2  測定

5.3.2

記載なし。

追加

二次電圧の波形率は規定の値
を超えてもよいことを明記し

た。技術的差異はない。

5.4.1 磁束密度の波
高値の測定

5.4.1

磁束密度の波高値の計算

式を記載。

変更

計算式を修正しているが,技術

的差異はない。

5.4.3 磁界の強さの
波高値の測定

5.4.1

磁界の強さの波高値の計
算式を記載。

変更

計算式を修正しているが,技術
的差異はない。

5.4.4 皮相電力の測

5.4.1

皮 相 電 力 の 計 算 式 を 記

載。

変更

計算式を修正しているが,技術

的差異はない。

38

C

 255

6


2

015


39

C 2556

:2015

(I)JIS の規定

(II) 
国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

附属書 A

(規定)

書 A

(規定)

エアギャップの分布測定

にエンジニアリングブル
ーの使用を規定

変更

JIS

では,現在では一般的でな

いエンジニアリングブルーに
替わり,一般的な感圧シートの

使用を規定した。

JIS

の方が現状の技術に則してい

る。IEC 規格の改定を提案する。

附属書 B

(参考)

書 B

(参考)

附属書 C 
(参考)

書 C

(参考)

附属書 D

(参考)

書 D

(参考)

附属書 JA

(規定)

追加

JIS

では,H コイル法を規定し

た。

我が国では一般的であり,規定し

た。

附属書 JB
(参考)

附属書 JC

(規定)

追加

JIS

では,IEC 規格の附属書 B

に記載される校正ではなく,相

関係数に基づく実践的な換算
方法を記載した。

IEC/TC 68

に IEC 規格の改定を提

案した。

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:

IEC 60404-3:1992,Amd.1:2002,Amd.2:2009,MOD)

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。

    −  削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
    −  追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

    −  変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。

    −  MOD……………  国際規格を修正している。

39

C

 255

6


2

015