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C 2550-4:2019  

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 測定原理························································································································· 1 

3 試験片···························································································································· 3 

4 測定装置························································································································· 3 

4.1 接触子アセンブリ ·········································································································· 3 

4.2 電源供給 ······················································································································ 3 

4.3 電流測定 ······················································································································ 4 

4.4 加圧力の測定 ················································································································ 4 

5 校正······························································································································· 4 

6 測定手順························································································································· 4 

7 表面絶縁抵抗の評価 ·········································································································· 4 

8 試験報告書 ······················································································································ 5 

附属書JA(参考)表面絶縁抵抗試験装置の例 ············································································ 6 

附属書JB(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 9 

C 2550-4:2019  

(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

電機工業会(JEMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を

改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格で

ある。 

これによって,JIS C 2550-4:2011は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS C 2550の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS C 2550-1 第1部:エプスタイン試験器による電磁鋼帯の磁気特性の測定方法 

JIS C 2550-2 第2部:寸法・形状の測定方法 

JIS C 2550-3 第3部:中間周波磁気特性の測定方法 

JIS C 2550-4 第4部:表面絶縁抵抗の測定方法 

JIS C 2550-5 第5部:電磁鋼帯の密度,抵抗率及び占積率の測定方法 

日本工業規格          JIS 

C 2550-4:2019 

電磁鋼帯試験方法− 

第4部:表面絶縁抵抗の測定方法 

Test methods for electrical steel strip and sheet- 

Part 4: Methods of test for the determination of  

surface insulation resistance of electrical strip and sheet 

序文 

この規格は,1991年に第1版として発行されたIEC 60404-11,Amendment 1:1998及びAmendment 2:2012

を基に,我が国で一般的となっている技術と整合させるため,技術的内容を変更して作成した日本工業規

格である。ただし,追補(amendment)については,編集し,一体とした。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JBに示す。 

適用範囲 

この規格は,電磁鋼帯の表面絶縁抵抗の測定方法について規定する。 

この測定方法は,片面又は両面に絶縁が施された電磁鋼帯に適用し,絶縁皮膜を塗布する製造の管理用

途に適している。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 60404-11:1991,Magnetic materials−Part 11: Method of test for the determination of surface 

insulation resistance of magnetic sheet and strip,Amendment 1:1998及びAmendment 2:2012

(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

測定原理 

この測定原理は,当初,Franklin 1) が記述した方法に基づくものであり,皮膜が施された面ごとに測定

することが特徴である。 

注1) Franklin, R.F., “Measurement and control of interlaminar resistance of laminated magnetic cores”, 

ASTM Bulletin, no. 144, January 1947. p.57 

装置の配置を,図1に示す。一定の面積内に配置された10個の金属接触子電極を,鋼帯の試験片の片側

の皮膜面に接触させ,規定の電圧及び圧力を印加する。 

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C 2550-4:2019  

図1−表面絶縁抵抗測定装置の構成 

各接触子電極には,安定化電源から個別に電流が供給される。電流の供給方法は,この規格で規定する

次の二つの測定法のいずれかによる。 

a) A法(図2参照) 抵抗(5 Ω±1 %)の電源側とドリル接点との間の電圧を,接触子電極を流れる電

流が0〜1 Aの範囲で,500 mV±0.5 %に安定化する。二つのドリルは,試験片金属部の電流端子の機

能をもつ。 

b) B法(図3参照) 個々の電極電流を検出するために,各々の接触子電極とドリル接点との間の電圧を,

接触子電極を流れる電流が0〜2.5 Aの範囲で,250 mV±0.5 %に安定化する。二つのドリルは別々の

機能をもつ。一つのドリルは,試験片金属部の電流端子の機能をもつ。他方のドリルは,電圧安定化

制御用の電圧検出端子となる。この方法によって,電流端子ドリルと試験片金属部との間の接触抵抗

の変動の影響が除去される。 

図2及び図3に示すように,安定化電圧を保持する範囲の外側で個々の接触子電極と直列に接続した補

助抵抗器Rsの電圧降下で電流を検知する。 

電流経路が接触子電極と試験片金属部との間にあるため,この試験は,真の層間抵抗の測定ではないが,

表面絶縁品質についての有用な指標を得ることができる。 

図2−表面絶縁抵抗測定装置の構成(A法) 

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図3−安定化回路の構成(B法) 

試験片 

単板又は鋼帯から,各試験片を作製する。試験片の幅及び長さは,箇条4に規定する接触子アセンブリ

の幅及び長さよりも,それぞれ大きくする。この測定は破壊試験であり,接触子電極及びドリルを押し当

てた表面の同じ部分を,再度測定してはならない。 

代表的な結果を得るために,鋼帯の全幅から試験片を採取する。 

測定装置 

4.1 

接触子アセンブリ 

試験片は,基板と接触子アセンブリとの間に圧力を加える。接触子アセンブリは,取付けブロック内に

垂直に取り付けられた10本のコイルばねとともに軸方向に移動できるように構成する。通常,これらの

10本の接触子棒は2列に配置するが,便宜的にこれらの10本の接触子棒を一列に配置してもよい。各々

の金属棒は,青銅又は他の適切な材料(例えば,ステンレス鋼)の接触子電極を備えるとともに,取り付

けている装置架台から電気的に絶縁する。 

注記1 接触子棒の軸と電極とを分割して間に鋼球を入れ,電極下面が自由に動くようにすることは,

接触子電極と試験片との接触を改善する。 

10個の接触子電極は,各々64.5 mm2±1 %の接触面積をもち,10個の接触子電極で合計645 mm2±1 %

の接触面積とする。 

コイルばねで加圧した直径約3 mmのドリル2個を絶縁皮膜を貫通することによって,試験片金属部と

の電気的な接触を得る。 

注記2 装置の例を,附属書JAに示す。 

4.2 

電源供給 

電源供給は,次による。 

− A法 接触子電極1個当たり0.1 A(10個の合計で1 A)の電流で,接触子電極間に500 mVの安定し

た電圧を供給できる直流電源を使用する。 

− B法 接触子電極1個当たり2.5 Aの電流で,接触子電極に250 mVの安定した電圧を供給できる直流

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電源を使用する。1個の電源と1個の電流検知用抵抗器とを,各接触子電極へ順次切り替えて使用す

るか,又は10個の出力を備えたシステムによって,個々の接触子電極に同時に,かつ,独立して供給

する。 

4.3 

電流測定 

接触子電極に流れる電流は,±2 %の精度で測定する。この測定は,低い抵抗値(例えば,0.2 Ω)の抵

抗器を,電源と接触子電極との間の,安定化回路の接続点の外側に挿入し,適切な電圧計でこの抵抗器の

電圧降下を測定することによって可能となる。 

安定回路及び電流測定システムの構成を,A法及びB法について,それぞれ図2及び図3に示す。 

4.4 

加圧力の測定 

試験片に加圧する接触子電極の合計圧力は,±5 %の精度で測定する。 

校正 

システムに対して,次の3種類の校正を行う。 

a) 接触子電極及びドリルを,清浄な銅板に公称試験圧力で押し当てる。A法では,10個の接触子電極を

流れる合計電流は,1.0 A±3 %とする。B法では,接触子電極とドリルとの間の電圧は,接触子電極

に2.5 Aの電流を流した状態で25 mV未満とする。25 mV未満にならない場合には,接触子電極が清

浄な状態か確認し,ドリルの切れ具合及び接触抵抗を確認する。 

b) 白い紙に重ねたカーボンペーパ又は感圧紙の上から,接触子電極を公称試験圧力で押し付け,得られ

たそれぞれの圧痕によって,力が均一に加わっていることを確認する。 

c) ドリルと各々の接触子電極との間に,0.1 Ω,1 Ω,10 Ω及び100 Ωの標準抵抗器を順次接続し,電圧

の安定化が十分であり,必要な電流レベルに達していることを確認する。 

測定手順 

試験片は,基板と10個の接触子電極との間に置き, 1.29 kN±5 %の力を徐々に加える。この力は,645 

mm2の接触面積の場合,2 MPaの圧力に相当する。 

A法及びB法とも,安定化電源を接触子電極に接続し,電圧を徐々に印加して電流を個別に読み取る。 

試験片が片面だけ絶縁皮膜をもつ場合には,10個の接触子電極を,1枚の試験片の代表的な部分10か所

に,又は10枚の試験片に押し当て,10か所分の読取り値を記録する。 

試験片が両面とも絶縁皮膜をもつ場合には,各面について10個の接触子電極を,表面及び裏面の各面に

ついて,試験片の代表的な部分5か所,又は5枚の試験片に押し当て,10か所分の読取り値を記録する。

このとき,接触子電極を押し当てた反対側の同じ部分を試験に使用してはならない。 

表面絶縁抵抗の評価 

記録された電流値から,絶縁抵抗の報告値を,次の方法で算出する。 

a) A法では,10個の接触子に並列に流れる全電流値の10か所の測定値を(片面から10か所全て,又は

両面皮膜の場合には各面から5か所ずつ),式(1)に代入して,表面絶縁抵抗係数を算出する。 

=

=

5.0

10

1

5.0

645

10

10

1

10

1

A

10

1

A

I

R

I

U

A

C

 ····································· (1) 

background image

C 2550-4:2019  

ここに, 

C: 表面絶縁抵抗係数(Ω・mm2/片面) 

A: 10個の接触子電極の合計面積(mm2) 

U: 接触子電極と5 Ωの抵抗器との間に印加する電圧(V) 

IA: 10個の接触子電極に流れる全電流測定値(10か所の測

定値)(A) 

R: 各接触子電極に直列に接続した抵抗器,R=5 Ω 

注記1 各表面からの5個の測定値を使用する場合,Cの値は一つの表面についての表面絶縁抵抗

係数であり,製品の両面の平均値を表す。 

注記2 層間抵抗係数は,二つの表面が関わるため,Cの2倍の値になる。層間抵抗係数は,10個

の接触子電極に流れる全電流値から,式(2)によって算出する。層間抵抗は,隣接する鋼帯

の相対する二つの皮膜面が接触した状態での抵抗値を指す。 

=

=

1

10

1

1

10

10

1

2

10

1

A

10

1

A

A

I

A

R

I

U

A

R

 ······································· (2) 

ここに, 

RA: 層間抵抗係数(Ω・mm2) 

A: 10個の接触子電極の合計面積(mm2) 

U: 接触子電極と5 Ωの抵抗器との間に印加する電圧(V) 

IA: 10個の接触子電極に流れる全電流測定値(10か所の測

定値)(A) 

R: 各接触子電極に直列に接続した抵抗器,R=5 Ω 

b) B法では,100個の接触子電極電流値の各々から,式(3)を用いて,表面絶縁抵抗を算出する。 

B

B

25

.0

I

R=

 ················································································ (3) 

ここに, 

RB: 表面絶縁抵抗(Ω) 

IB: 個別の接触子電極電流(A) 

100個の抵抗値を小さい順に並べる。試験結果は,R16及びR50を指標値として示す。ここで,R16は

16番目の値であり,R50は50番目の値である。 

注記 測定結果の技術的考察のために,∑

10

1

A

I及び∑

100

1

B

Iを記録してもよい。 

データ処理は,マイクロプロセッサで制御されたシステムで行うのが便利である。このようなマイ

クロプロセッサを使用することによって,二つの絶縁を貫通するドリル間の抵抗値を測定して,試験

片金属部と十分に接触していることを確認することができる。 

B法では,電圧安定化制御システムによって,電流端子ドリルと試験片金属部との間の接触抵抗値

を約1.5 Ωまで一定にすることができる。電圧安定化制御システムは,これらの条件の下で,接触子

電極と試験片金属部との間の供給電圧を,250 mVに保持可能であることが望ましい。 

試験報告書 

(我が国の現状に合わせ,試験報告書は試験方法の規格で規定しているため,この規格では不採用とし

た。 

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附属書JA 

(参考) 

表面絶縁抵抗試験装置の例 

JA.1 

表面絶縁抵抗試験装置で使用する加圧装置及び電極の例 

JA.1.1 

加圧装置 

加圧装置は,次による。 

a) 容量約9.8 kNの油圧ジャッキ若しくは水圧ジャッキを利用した加圧機又はこれに類する加圧機を使用

する。 

b) 試験片と電極とが衝突するのを避けるため,加圧部の動きはゆっくりと,かつ,一様であるような構

造とする。 

c) 試験片を載せる定盤は,平らで,かつ,試験圧力に耐えるものを使用する。 

JA.1.2 

電極 

JA.1.2.1 構造 

電極は,試験圧力において,たわみの生じない絶縁板上に,次のように組み立てる。 

a) 鉛直方向に動かせるようにした10本の黄銅棒を5本ずつ2列にし,この軸にコイルばねを入れて,そ

れぞれの軸の先に接触子電極を取り付ける。接触子電極下面の高低差は,0.5 mm以内とする。 

b) 接触子電極と試験片とが平行に密着するように軸と接触子電極とを分割して,間に鋼球を入れ,接触

子電極下面が自由に動くようにするか,又はこれと類似の構造とする。その具体例を,図JA.1に示す。 

c) それぞれの電極は互いに絶縁し,支持枠からも絶縁する。 

d) 電極と別に直径約6 mmのドリル2本をらせん形管に取り付ける。このドリルを,加圧と同時に回転

させ,絶縁皮膜を破り,測定器と試験片金属部とを電気的に接続する。 

JA.1.2.2 材質及び寸法 

加圧装置並びに電極の材質及び寸法は,次による。 

a) 接触子電極はJIS G 4303に規定するSUS304のもので,接触面の粗さは1.5 S,硬さは300 HV以下の

ものを用い,直径9.06 mm±0.03 mmとする。 

b) コイルばねは,規定の力におけるたわみ代が12 mm以上のものを用い,各ばね定数のばらつきは1 %

以内とする。 

c) 可動部分に使用する導線は,可とう性で抵抗の小さいものを使用する。 

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C 2550-4:2019  

単位 mm 

① 絶縁板 
② ドリル(2本) 

③ 接触子電極(10本) 
④ 定盤 

⑤ 加圧機 
⑥ 戻しばね 

⑦ 圧力ゲージ 

a) 加圧機構部全体図 

b) 接触子電極全体図 

c) 接触子電極部図 

図JA.1−表面絶縁抵抗試験装置の例 

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参考文献 JIS G 4303 ステンレス鋼棒 

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C 2550-4:2019  

附属書JB 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS C 2550-4:2019 電磁鋼帯試験方法−第4部:表面絶縁抵抗の測定方法 

IEC 60404-11:1991,Magnetic materials−Part 11: Method of test for the determination of 
surface insulation resistance of magnetic sheet and strip,Amendment 1:1998及び
Amendment 2:2012 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規 
格番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

3 試験片 

試験片の測定箇所
を規定している。 

試験片は一度だけ使用可
能と規定している。 

変更 

実際は,一度測定した箇所とは位置
を変えて,同じ試験片で測定するこ
とが広く行われており,実態に整合
させた。 

IEC規格は修正される予定。 

8 試験報告
書 

− 

この試験方法に基づく試
験報告書について規定し
ている。 

削除 

我が国の一般的な取引では製品に
試験成績表を添付するため,従来か
ら,JISでは製品規格に試験成績表
を規定し,試験方法の規格から,試
験報告書の規定を削除している。 

我が国で一般的となっている取引
と整合させた。IEC規格の変更は
提案予定なし。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:(IEC 60404-11:1991,Amd.1:1998,Amd.2:2012,MOD) 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

2

C

 2

5

5

0

-4

2

0

1

9