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C 2550-1

:2011

(1)

目  次

ページ

序文 

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

2

3

  用語及び定義 

2

4

  交流磁気測定の一般的原理 

3

4.1

  エプスタイン試験法の原理 

3

4.2

  試験片

3

4.3

  エプスタイン試験器

4

4.4

  空隙補償 

6

4.5

  励磁電源 

6

4.6

  交流電圧測定 

7

4.7

  交流電流測定 

7

4.8

  周波数測定 

8

4.9

  電力測定 

8

5

  鉄損測定の手順 

8

5.1

  測定回路 

8

5.2

  測定の準備 

8

5.3

  励磁電源の調整

8

5.4

  電力の測定 

9

5.5

  鉄損の測定 

9

5.6

  鉄損測定の再現性

9

6

  磁束密度の波高値,磁界の強さの実効値,磁界の強さの波高値,及び皮相電力の測定手順 

9

6.1

  試験片

10

6.2

  測定原理 

10

6.3

  再現性

12

7

  直流磁気測定の一般的原理 

13

7.1

  エプスタイン試験器法の原理

13

7.2

  試験片

13

7.3

  エプスタイン試験器

13

7.4

  空隙補償 

13

7.5

  励磁電源 

13

7.6

  装置の精度 

13

8

  磁束密度の直流測定手順 

13

8.1

  測定準備 

13

8.2

  磁束密度の測定

14


C 2550-1

:2011  目次

(2)

ページ

8.3

  ヒステリシスループの測定 

15

8.4

  磁束密度測定の再現性 

15

附属書 A(参考)デジタルサンプリング法による磁気特性測定

16

附属書 JA(参考)試験片の切断方法及び試験機器仕様 

19

附属書 JB(参考)JIS と対応国際規格との対比表 

22


C 2550-1

:2011

(3)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人日本電機工業会(JEMA)及び

財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

これによって,JIS C 2550:2000 は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS C 2550

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS C 2550-1

  第 1 部:エプスタイン試験器による電磁鋼帯の磁気特性の測定方法

JIS C 2550-2

  第 2 部:寸法・形状の測定方法

JIS C 2550-3

  第 3 部:中間周波磁気特性の測定方法

JIS C 2550-4

  第 4 部:表面絶縁抵抗の測定方法

JIS C 2550-5

  第 5 部:電磁鋼帯の密度,抵抗率及び占積率の測定方法


日本工業規格

JIS

 C

2550-1

:2011

電磁鋼帯試験方法−

第 1 部:エプスタイン試験器による電磁鋼帯の

磁気特性の測定方法

Test methods for electrical steel strip and sheet-

Part 1: Methods of measurement of the magnetic properties of electrical

steel strip and sheet by means of an Epstein frame

序文 

この規格は,2008 年に第 3.1 版として発行された IEC 60404-2 を基とし,我が国で一般的となっている

技術と整合させるため,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,

附属書 JB に示す。

適用範囲 

この規格は,方向性電磁鋼帯及び無方向性電磁鋼帯の 400 Hz までの交流励磁下での磁気特性の測定方法

及び直流励磁下での磁気特性の測定方法に適用する。

この規格の目的は,エプスタイン試験器による電磁鋼帯の磁気特性の測定方法についての,一般的原理

及び技術的細目を規定することにある。

エプスタイン試験器は,

いかなる等級の電磁鋼帯から採取した試験片にも適用できる。

交流磁気特性は,

誘起電圧が正弦波となる励磁条件下(以下,磁束正弦波励磁条件という。

)において,磁束密度の波高値及

び周波数を指定して測定する。

測定は,

(23±5)℃の周囲温度において,消磁された試験片について行うものとする。

400 Hz より高い周波数での測定は,JIS C 2550-3 に規定する試験方法を適用する。

注記 1  この規格の対応国際規格である IEC 60404-2:2008 においては,IEC 60050-221 で定義される

“磁気分極(magnetic polarization)

”の用語が用いられているが,一部の IEC 60404 シリーズ

の規格では,

“磁束密度(magnetic flux density)

”の用語が使用されていた。この規格では,

我が国で一般的な,後者の用語を用いる。

注記 2  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 60404-2:2008

,Magnetic materials−Part 2: Methods of measurement of the magnetic properties

of electrical steel strip and sheet by means of an Epstein frame(MOD)

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“修正している”

ことを示す。


2

C 2550-1

:2011

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 2550-3

  電磁鋼帯試験方法−第 3 部:中間周波磁気特性の測定方法

注記  対応国際規格:IEC 60404-10,Magnetic materials. Part 10: Methods of measurement of magnetic

properties of magnetic sheet and strip at medium frequencies(MOD)

JIS C 2550-5

  電磁鋼帯試験方法−第 5 部:電磁鋼帯の密度,抵抗率及び占積率の測定方法

注記  対応国際規格:IEC 60404-13,Magnetic materials−Part 13: Methods of measurement of density,

resistivity and stacking factor of electrical steel sheet and strip(MOD)

JIS C 2552

  無方向性電磁鋼帯

注記  対応国際規格:IEC 60404-8-4,Magnetic materials−Part 8-4: Specifications for individual

materials−Cold-rolled non-oriented electrical steel sheet and strip delivered in the fully-processed

state(MOD)

JIS C 2553

  方向性電磁鋼帯

注記  対応国際規格:IEC 60404-8-7,Magnetic materials−Part 8-7: Specifications for individual

materials−Cold-rolled grain-oriented electrical steel sheet and strip delivered in the fully-processed

state(MOD)

IEC 60404-4:2008

,Magnetic materials−Part 4: Methods of measurement of d.c. magnetic properties of

magnetically soft materials

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

3.1

磁界の強さ(magnetic field strength)

試験片を磁化しようとする磁界の強さ。一般的に,磁界の強さ は,式(1)によって求まる。

=

1

1

I

N

Hdl

 (1)

ここに,

H

磁界の強さ(A/m)

l

磁路の長さ(m)

N

1

磁路に巻かれた励磁コイルの総巻数

I

1

励磁電流(A)

25 cm エプスタイン試験器(以下,エプスタイン試験器という。)においては,磁界の強さ

H

が全磁路に

わたって一様と仮定して,実効磁路長

l

m

を既定の値に設定する。したがって,磁界の強さ

H

は,式(2)に

よって求める。

m

1

1

l

I

N

H

=

 (2)

ここに,

l

m

実効磁路長(m)

l

m

=0.94

3.2

実効磁路長(effective magnetic length)

磁界の強さが一様でない磁気回路を,全磁路にわたって一様と仮定して求めた,等価的な磁路の長さ。


3

C 2550-1

:2011

注記  エプスタイン試験器では,0.94 m を既定の値とする。

3.3

磁束密度(magnetic flux density)

一様に磁化された試験片の,単位断面積当たりの磁束量。単位はテスラ(T)

3.4

磁気分極(magnetic polarization)

一様に磁化された試験片の,単位断面積当たりの磁化の強さ。単位はテスラ(T)

注記  エプスタイン試験器において,二次コイルと空隙補償用の相互誘導器を用いて測定される値は,

磁気分極

J

である。磁束密度

B

と磁気分極

J

とは,真空透磁率を

μ

0

 [=4π×10

7

 H/m]とすると,

B

J

μ

0

H

の関係にある。電磁鋼帯などの高透磁率材料では,磁束密度

B

と磁気分極

J

とはほ

ぼ等しい。我が国では,一般的に磁気分極と磁束密度とを区別せずに用いることが多い。

3.5

実効質量(effective mass)

磁気回路を構成する鉄心のうち,実効磁路長に相当する長さの部分が鉄損に寄与するとして求めた等価

質量(4.3 参照)

。単位は(kg)

3.6

空隙補償(air flux compensation)

二次コイルの誘起電圧から,コイル内に試験片がない状態で二次コイルに誘起する電圧を差し引くこと

によって,二次コイルの誘起電圧が磁気分極

J

の微分値に対応させること(4.4 参照)

3.7

鉄損(specific total iron loss)

正弦波磁束励磁条件によって励磁したときに,試験片中で消費されるエネルギーの,試験片の実効質量

1 kg 当たりの値(5.5 参照)。単位は(W/kg)。

3.8

皮相電力(specific apparent power)

正弦波磁束励磁条件によって励磁したときの,励磁電圧の実効値と励磁電流の実効値との積を試験片の

実効質量で除した値(6.2.4 参照)

。単位は(VA/kg)

3.9

初磁化曲線(normal magnetization curve)

試験片を消磁した後,試験片に印加する直流磁界の強さを零から増加させたときに,試験片の磁束密度

と磁界の強さとの関係を示す曲線(8.2 参照)

交流磁気測定の一般的原理 

4.1 

エプスタイン試験法の原理 

エプスタイン試験器は,一次コイル,二次コイル及び鉄心として組み立てられた試験片とで構成され,

無負荷変圧器を形成する。この無負荷変圧器の交流磁気特性を,次に規定する方法に従い測定する。

4.2 

試験片 

試験片は,その端部が一枚ずつ交互に重なり合うようにして(

図 参照),正方形に組み,長さと断面積

の等しい 4 個の辺を形成する。


4

C 2550-1

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単位  mm

図 1−試験片の長さが 280 mm の場合の試験片の端の交互積層方法(double-lapped joints 

試験片は,個別の製品規格(JIS C 2552JIS C 2553)の規定に従い採取する。

注記  試験片の切断方法については,附属書 JA を参照。

試験片は,著しいかえりが発生しない方法によって切断し,特に指定がある場合には,対応する製品規

格に従い熱処理を行う。試験片は,次の寸法とする。

−  幅  30 mm

−  長さ  280 mm 以上 320 mm 以下

試験片の幅は±0.2 mm 以内,長さは±0.5 mm 以内の許容差で切断する。

試験片を,圧延方向に対して平行又は直角に切断する場合には,鋼帯の縁を基準方向とする。

指定された方向と実際に切断された方向との角度は,次の許容差内でなければならない。

−  方向性電磁鋼帯については,±1°

−  無方向性電磁鋼帯については,±5°

平たん(坦)な試験片だけを用いる。測定に当たり,試験片の絶縁皮膜以外の絶縁物を付け加えてはな

らない。

鉄心を構成する試験片の枚数は 4 の倍数,かつ,対応する製品規格で指定された数とする。しかしなが

ら,試験片の実効質量[式(3)参照]は,280 mm 長さの試験片に対し 0.24 kg 以上とする。試験片は 12 枚

以上,実効質量は約 0.5 kg を推奨する。各厚さに対する推奨枚数を

表 に示す。

表 1−試験片の推奨枚数 

厚さ

mm

枚数

0.23 36 
0.27 28 
0.30 28 
0.35 24 
0.50 16 
0.65 12

4.3 

エプスタイン試験器 

エプスタイン試験器は,4 個のコイルで構成され,これらのコイル内に,試験片を挿入し鉄心を組み立

てる(

図 参照)。

注記 1  エプスタイン試験器の例を附属書 JA に示す。


5

C 2550-1

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図 2−エプスタイン試験器(試験片の長さ 280 mm の場合) 

エプスタイン試験器には,空隙補償用の相互誘導器を含む。

コイルを支える巻枠は,フェノール樹脂等の硬質絶縁材料で製作する。巻枠は長方形の断面をもち,枠

内の空間幅は 32 mm である。巻枠の高さは,約 10 mm(枠内の空間高さは約 6 mm)を推奨する。

コイルは正方形を形成するように,非磁性の絶縁体基板に固定する(

図 参照)。鉄心として組み立てら

れた試験片の内側の縁が形成する正方形の辺の長さは,220

1

+

0

 mm とする(図 参照)。

4 個のコイルは,それぞれ二巻線を備える。

−  外側に,一次コイル(励磁コイル)

−  内側に,二次コイル(電圧コイル)

注記 2  一次コイルと二次コイルとの間に,静電遮蔽を設けてもよい。

一次コイル及び二次コイルは,190 mm 以上の長さに均一に分布させて巻き,各コイルは総巻数の 1/4 の

巻数とする。

4 個のコイルの個々の一次コイルは,直列に結線し,二次コイルも同様とする。一次コイル及び二次コ

イルの巻数は,励磁電源,測定機器及び周波数に合わせて設定してよい。

注記 3  一般的に使用され,推奨される総巻数は,700 である。

コイルのインピーダンスの影響をできる限り低減するために,以下の要件を満たさなければならない。

6

2

1

1

10

25

.

1

N

R

6

2

2

2

10

5

N

R

9

2

1

1

10

5

.

2

N

L

9

2

2

2

10

5

.

2

N

L

ここに,

R

1

一次コイルの抵抗(Ω)

R

2

二次コイルの抵抗(Ω)

L

1

一次コイルのインダクタンス(H)

L

2

二次コイルのインダクタンス(H)

N

1

一次コイルの総巻数

N

2

二次コイルの総巻数

注記 4

  例えば,次の特徴をもつコイルを使用すれば,これらの要件は満たされる。


6

C 2550-1

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−  総巻数:N

1

=700,N

2

=700

−  一次コイル:公称断面積が約 1.8 mm

2

の銅線を 2 本並列に結線したものを,4 個の巻枠に

それぞれ 175 ターンずつ,2 本を密着させて三層に巻きつける。

−  二次コイル:公称断面積 0.8 mm

2

の 1 本の銅線を,4 個の巻枠にそれぞれ 175 ターンずつ

一層に巻きつける。

磁気回路の実効磁路長 l

m

は 0.94 m を既定の値とする。したがって,試験片の磁気的に等価な質量である

実効質量 m

a

は,式(3)から算出する。

m

l

l

m

4

m

a

=

 (3)

ここに,

m

a

試験片の実効質量(kg)

l

m

実効磁路長(m)

l

m

=0.94

l: 試験片の長さ(m)

m: 試験片の合計質量(kg)

4.4 

空隙補償 

空隙補償用の相互誘導器は,4 個のコイルに囲まれた空間の中心に配置し,相互誘導器の軸は,4 個のコ

イルの軸が作る平面に対して垂直とする。相互誘導器の一次コイルは,エプスタイン試験器の一次コイル

に直列に接続し,相互誘導器の二次コイルは,エプスタイン試験器の二次コイルに,逆極性で直列に接続

する(

図 3

参照)

Hz  :周波数計 
A  :電流測定計器 
W  :電力計 
M  :空隙補償用の相互誘導器 
V

1

  :平均値形交流電圧計

V

2

  :実効値交流電圧計

図 3

電力計による測定回路 

相互誘導器のインダクタンスの値は,エプスタイン試験器のコイルに試験片を挿入していない状態で,

一次コイルに交流電流を流したときに,接続された二次コイルの非共通端子間の電圧が,エプスタイン試

験器の二次コイル単独の両端に現れる電圧の 0.1 %以下になるように調整する。

このようにして,連結された二次コイルに誘起される電圧の整流平均値は,試験片の磁束密度の波高値

に比例する。

4.5 

励磁電源 

励磁電源は,インピーダンスが低く,電圧及び周波数の安定性の高いものを使用する。測定時において,

電圧及び周波数の変動は,±0.2 %を超えてはならない。

鉄損,皮相電力及び磁界の強さの実効値を測定する場合には,二次電圧の波形率は 1.10 %∼1.12 %

1)


7

C 2550-1

:2011

する。

注記 1

  二次電圧の波形率の制御には,幾つかの方法がある。例えば,電子的に制御された電源,又

は負帰還制御が行える電源増幅器の使用などがある。二次電圧の波形率は,二次電圧の実効

値の整流平均値に対する比率である。

1)

IEC

規格では“1.111±1 %”と表記している。

波形率の測定には,実効値交流電圧計及び平均値形交流電圧計を使用する。

注記 2

  二次電圧の波形をオシロスコープで調べ,基本波以外の成分を含まないことを確認すること

が望ましい。

4.6 

交流電圧測定 

エプスタイン試験器の二次電圧は,入力インピーダンス 1 000 Ω/V 以上の交流電圧計を使用して測定す

る。

注記

  デジタルサンプリング法の適用については,

附属書 A

を参照。

4.6.1 

平均値形交流電圧計 

±0.5 %以内の精度の,整流平均値に応答する電圧計を使用する。

注記

  デジタル電圧計が望ましい。

4.6.2 

実効値交流電圧計 

±0.5 %以内の精度の,実効値に応答する電圧計を使用する。

注記

  デジタル電圧計が望ましい。

4.6.3 

波高値電圧計 

±2.5 %以内の精度の,波高値に応答する電圧計を使用する。

4.7 

交流電流測定 

4.7.1 

実効値電流測定 

次のいずれかの方法で,励磁電流の実効値を測定する。

−  クラス±0.5 %以内の精度の,低インピーダンスの実効値電流計

−  一次コイルに直列に接続した無誘導精密抵抗器両端の電圧降下を,実効値電圧計で測定する。抵抗器

と電圧計の総合的な不確かさは 1 %以下とする。

二次電圧を調整し,損失を測定する場合には,電流計と精密抵抗器との各々を短絡する。

4.7.2 

電流波高値測定 

高感度の波高値電圧計,又は校正済みのオシロスコープで,一次コイルに直列に接続した無誘導精密抵

抗器両端の電圧降下の波高値を測定する。使用する装置のフルスケール誤差を±3 %以下とする。

4.7.3 

抵抗器 

±0.5 %以内の精度の,既知の値の無誘導精密抵抗器を使用する。

抵抗値は,波高値電圧計の感度に応じて選定する。誘起電圧波形のひず(歪)みを最小限に抑えるため,

抵抗値は 1 Ω を超えてはならない。

4.7.4 

相互誘導器 

±0.5 %以内の精度の,校正された相互誘導器を使用する。相互誘導器の一次インピーダンスはできる限

り低くする。誤差を最小限に抑えるために,相互誘導器に接続される測定計器のインピーダンスと比較し

て,相互誘導器インダクターの二次インピーダンスを低くする。

インダクター相互誘導器の校正及び使用中は,エプスタイン試験器又は他の装置の漏れ磁束によって測

定が影響されないように注意する。


8

C 2550-1

:2011

4.8 

周波数測定 

±0.1 %以内の精度の周波数計を使用する。

注記

  デジタルサンプリング法の適用については,

附属書 A

を参照。

4.9 

電力測定 

電力は,実際の力率と波高率において±0.5 %以内の精度の電力計で測定する。可能な限り,レンジの

1/4 以下での読取りはしない。

注記

  デジタルサンプリング法の適用については,

附属書 A

を参照。

電圧回路のリアクタンスを補償している電力計を除き,電力計の電圧回路の抵抗は,そのリアクタンス

の少なくとも 5 000 倍でなければならない。

電流計が測定回路内にある場合には,二次電圧を調整して損失を測定している間,電流計を短絡してお

く。

鉄損測定の手順 

鉄損測定の手順は,次による。

注記

  デジタルサンプリング法の適用については,

附属書 A

を参照。

5.1 

測定回路 

エプスタイン試験器と測定計器とを,

図 3

に示すように結線する。

5.2 

測定の準備 

試験片の合計質量を±0.1 %以内の精度で測定する。ひょう(秤)量後,エプスタイン試験器のコイル内

に試験片を挿入し,角部で 1 枚ずつ交互に重なり合うように積層する。この際,エプスタイン試験器の各

辺内の試験片の枚数は同一とし,

試験片で形成される正方形の内側の長さが 220

1

0

+

 mm になるようにする。

試験片の半数を圧延方向と平行に切断し,半数を直角に切断する場合は,圧延方向に平行に切断した試験

片を,エプスタイン試験器の向かい合う辺に挿入し,直角に切断した試験片を,他の二つの辺に挿入する。

試験片が重なり合った部分において,試験片の間の隙間は,できる限り狭くなるように注意しなければな

らない。それぞれの角部には,重なり合った試験片の表面に垂直に,約 1 N の力をかけてもよい。

次に,試験片は,前の測定に使用したものよりも高い初期磁場から,減衰する交流磁場で消磁する。

5.3 

励磁電源の調整 

励磁電源は,エプスタイン試験器の二次電圧の整流平均値

2

U

が所要値に達するまで,徐々に出力を増

加させる。この間,一次回路内の電流計を観察し,電力計の電流回路が過負荷にならないように注意する。

この値は,磁束密度の所要値から,式(4)によって算出する。

J

A

R

R

R

fN

U

ˆ

4

t

i

i

2

2

+

=

 (4)

ここに,

2

U

二次コイルに誘起された電圧の整流平均値(V)

f

周波数(Hz)

N

2

二次コイルの総巻数

R

i

二次回路内の計器の合計抵抗(Ω)

R

t

二次コイルと相互誘導器の直列抵抗(Ω)

A

各コイルに挿入された試験片の断面積(m

2

Jˆ : 磁束密度の波高値(T)

注記

  二次コイル誘起電圧を,実効値表示された平均値形電圧計の読みを用いる場合は式(4)の係数を

4.444 とする必要がある。式(4)の定数を 4.444 とした式を次に示す。


9

C 2550-1

:2011

J

A

R

R

R

fN

U

ˆ

444

.

4

t

i

i

2

2

+

=

試験片の断面積は,式(5)による。

m

4

ρ

l

m

A

=

 (5)

ここに,

A

試験片の断面積(m

2

m

試験片の合計質量(kg)

l

試験片の長さ(m)

ρ

m

試験片の規定の密度,又は

JIS C 2550-5

に従って測定された

値(kg・m

3

5.4 

電力の測定 

一次回路内の電流計を短絡し,必要に応じて二次電圧を再調整する。二次電圧の波形率を

4.5

に従って

判定し,電力計の読取り値を記録する。

5.5 

鉄損の測定 

電力計によって測定された電力

P

m

は二次回路内の計器によって消費された電力を含んでいる。二次電

圧は基本的に正弦波状であるため,この電力は一次近似では

(

)

i

2

2

111

.

1

R

U

に等しい。このため,試験片の

合計損失算出値

P

c

は,式

(6)

を用いて算出する。

(

)

i

2

2

m

2

1

c

111

.

1

R

U

P

N

N

P

=

 (6)

ここに,

P

c

試験片の合計損失算出値(W)

N

1

一次コイルの総巻数

N

2

二次コイルの総巻数

P

m

電力計によって測定された電力(W)

2

U

二次コイル内で誘起された電圧の整流後の平均値(V)

R

i

二次回路内の計器の合計抵抗(Ω)

鉄損測定値 P

s

は,試験片の合計損失算出値 P

c

を,試験片の実効質量 m

a

で除すことによって算出する。

m

c

a

c

s

4

ml

l

P

m

P

P

=

=

 (7)

ここに,

P

s

試験片の鉄損測定値(W/kg)

P

c

試験片の合計損失算出値(W)

m

a

試験片の実効質量(kg)

l: 試験片の長さ(m)

m: 試験片の合計質量(kg)

l

m

実効磁路長(m)

l

m

=0.94

5.6 

鉄損測定の再現性 

この項に記述した手順から得られる結果の再現性は,磁束密度 1.7 T までの方向性電磁鋼帯の測定,及

び 1.5 T までの無方向性電磁鋼帯の測定において,1.5 %の相対標準偏差とみなされる。

さらに高い磁束密度での測定については,相対標準偏差が増加することが予想される。

磁束密度の波高値

磁界の強さの実効値

磁界の強さの波高値

及び皮相電力の測定手順 

この項目では,以下の特性を判定するための測定方法を記述する。

−  磁束密度の波高値  Jˆ


10

C 2550-1

:2011

−  磁界の強さの実効値

H

~

−  磁界の強さの波高値

Hˆ

−  皮相電力  S

s

6.1 

試験片 

試験片は,

4.2

に適合しなければならない。

6.2 

測定原理 

6.2.1 

磁束密度 J

ˆ

の波高値 

磁束密度の波高値は,箇条

5

に規定したように,測定された二次電圧の整流平均値から求め,式(4)から

算出する。式(4)を変形した式(8)を次に示す。

A

R

R

R

fN

U

J

1

4

1

ˆ

i

t

i

2

2

+

=

 (8)

注記

  二次コイル誘起電圧を,実効値表示された平均値形電圧計の読みを用いる場合は式(4)の係数を

4.444 とする必要がある。式(8)の定数を 4.444 とした式を次に示す。

A

R

R

R

fN

U

J

1

444

.

4

1

ˆ

i

t

i

2

2

+

=

6.2.2 

磁界の強さの実効値 

磁界の強さの実効値は,

図 4

に示す回路内の実効値交流電流計によって測定される,励磁電流の実効値

から算出する。第二法として,精密抵抗器を電流計の位置に接続し,この抵抗器の両端に発生する電圧降

下を,

4.6

の要求事項に適合する実効値交流電圧計を用いて測定する。精密抵抗器は,一般的には 0.1 Ω か

ら 1  Ω の範囲の値をもつ 0.1 %精度のものを用いる。励磁周波数は,所要の値に設定する。磁束密度の波

高値は,エプスタイン試験器の二次電圧を式(4)から算出された所要の値に調整することによって設定する。

このようにして,電流の実効値を測定し,記録する。磁界の強さの実効値は式(9)から算出する。

1

m

1

~

~

I

l

N

H

=

 (9)

ここに,

H

~

磁界の強さの実効値(A/m)

N

1

一次コイルの総巻数

l

m

実効磁路長(m)

l

m

=0.94

1

~

: 励磁電流の実効値(A)

Hz  :周波数計 
A  :実効値交流電流計 
M  :空隙補償用の相互誘導器 
V

1

  :平均値形交流電圧計

V

2

  :実効値交流電圧計

図 4

磁界の強さの実効値の測定回路 


11

C 2550-1

:2011

6.2.3 

磁界の強さの波高値 

磁界の強さの波高値は,励磁電流の波高値から得る。励磁電流の波高値は,

図 5

に示すように,既知の

0.1 %精度の精密抵抗器の両端に生じる電圧降下を,波高値電圧計を用いて測定する。この測定においては,

二次電圧の波形率は規定の値を超えてもよい(

4.5

参照)

磁界の強さの波高値は,式(10)から算出する。

1

m

1

ˆ

ˆ

I

l

N

H

=

 (10)

ここに,

Hˆ : 磁界の強さの波高値(A/m)

N

1

一次コイルの総巻数

l

m

実効磁路長(m)

l

m

=0.94

1

ˆ: 励磁電流の波高値

⎟⎟

⎜⎜

=

R

U

I

ˆ

ˆ

1

(A)

Hz  :周波数計 
A  :電流測定計器 
R  :精密抵抗器 
V

1

  :波高値交流電圧計

M  :空隙補償用の相互誘導器 
V

2

  :平均値形交流電圧計

図 5

波高値電圧計を用いた磁界の強さの波高値の測定回路 

第二法として,励磁電流の波高値

1

ˆは,0.5 %精度の相互誘導器 M

D

の二次コイルの両端に発生する電圧

の整流平均値を測定することによって求めることができる。相互誘導器の一次コイルは,エプスタイン試

験器の一次コイルに直列に接続する。この方法では,相互誘導器の二次コイルの電圧波形に,1 周期当た

り 2 か所を超えるゼロ交差点がないようにする必要がある

(例えば,

オシロスコープでの波形観察による)

図 6

は,この第二法の測定回路を示す。平均値形交流電圧計は,エプスタイン試験器の二次電圧の測定に

使用する計器と同じものでよい。この方法では,磁界の強さの波高値は,式(11)から算出する。

m

v

m

v

m

D

1

4

ˆ

U

R

R

R

l

fM

N

H

+

=

(11)

ここに,

M

D

図 6

に示す回路内の電流波高値検出用の相互誘導器の相互イ

ンダクタンス(H)

l

m

実効磁路長(m)

l

m

=0.94

R

m

M

D

の二次コイルの抵抗(Ω)

R

v

平均値形交流電圧計の内部抵抗(Ω)

m

: M

D

の二次コイルに誘起される電圧の整流平均値(V)

注記

  二次コイル誘起電圧を,実効値表示された平均値形電圧計の読みを用いる場合は式(4)の係数を


12

C 2550-1

:2011

4.444 とする必要がある。式(11)の定数を 4.444 とした式を次に示す。

m

v

m

v

m

D

1

444

.

4

ˆ

U

R

R

R

l

fM

N

H

+

=

Hz  :周波数計 
A  :電流測定計器 
M

D

  :電流波高値検出用の相互誘導器

M  :空隙補償用の相互誘導器 
V  :平均値形交流電圧計

図 6

相互誘導器 M

D

を用いた磁界の強さの波高値の測定回路 

6.2.4 

皮相電力の測定 

磁束密度及び周波数の所要の値に対して,励磁電流の実効値(

6.2.2

参照)とエプスタイン試験器の二次

電圧の実効値とを測定する。二次電圧の実効値は,

4.6

の要求事項に適合する電圧計を,エプスタイン試験

器の二次コイルの両端に接続して測定する。

皮相電力は,式(12)から算出する。

2

m

1

2

1

2

a

1

2

1

s

4

~

~

~

~

N

ml

l

N

U

I

N

m

N

U

I

S

=

=

 (12)

ここに,

S

s

皮相電力(VA/kg)

1

~

: 励磁電流の実効値(A)

l

m

実効磁路長(m)

l

m

=0.94

l: 試験片の長さ(m)

m: 試験片の合計質量(kg)

m

a

試験片の実効質量(kg)

N

1

一次コイルの総巻数

N

2

二次コイルの総巻数

2

~

: 二次コイルの誘起電圧の実効値(V)

6.3 

再現性 

この項で記述した手順から得られる結果の再現性は,測定に用いた計器の精度及び試験片の組立て(

5.1

及び

5.2

参照)などによって本質的に変化する。±0.5 %以内の精度の計器を使用する場合には,再現性は,

皮相電力を除き 2 %程度の相対標準偏差であるとみなされる。皮相電力の再現性は,2 %(磁化曲線の屈曲

部以下の領域での値)から 7 %(磁束密度が飽和に近づく領域での値)の範囲の相対標準偏差であるとみ

なされる。


13

C 2550-1

:2011

直流磁気測定の一般的原理 

7.1 

エプスタイン試験器法の原理 

エプスタイン試験器は,一次コイル,二次コイル及び鉄心として組み立てられた試験片とで構成され,

無負荷変圧器を形成する。この無負荷変圧器の直流磁気特性を,次に規定する方法に従い測定する。

7.2 

試験片 

試験片は,

4.2

に適合しなければならない。

7.3 

エプスタイン試験器 

エプスタイン試験器は,

4.3

に従って構成する。

7.4 

空隙補償 

空隙磁束の影響は,

4.4

に規定したように,相互誘導器によって補償する。

7.5 

励磁電源 

励磁電源は,必要とする最大の磁界の強さを発生させるのに十分な定格電流を備えるものとする。リッ

プル成分は,0.1 %以下とし,電流の安定性は,相対的な磁束の変動において 0.2 %を超えないものとする。

7.6 

装置の精度 

測定装置の精度は,次のとおりとする。

7.6.1 

磁束計

(magnetic flux integrator)

磁束計は,±0.3 %以内の精度のものを使用する。

注記

IEC 60404-4

:2008 の

附属書 B

に記述されている方法の一つによって,

磁束計を校正してもよい。

7.6.2 

直流電流計 

直流電流計は,±0.2 %以内の精度のものを使用する。

磁束密度の直流測定手順 

8.1 

測定準備 

エプスタイン試験器と計器は,

図 7

に示すように結線する。

A  :直流電流計 
S

1

  :励磁電流の極性切替スイッチ

Rv  :励磁電流調整用の可変抵抗器 
M  :空隙補償用の相互誘導器 
Wb  :磁束計(magnetic flux integrator)

S

2

  :磁束計の入力極性切替スイッチ

M

D

  :電流波高値検出用の相互誘導器

I

t

:校正電流

I

m

  :一次コイル電流

図 7

直流試験回路(磁束密度の離散値測定用) 


14

C 2550-1

:2011

5.1

の記述に従い,試験片をひょう(秤)量し,エプスタイン試験器に組み込む。

試験片を,交流磁界を減衰させるか,又はエプスタイン試験器の一次コイル内に流れる直流電流を徐々

に減少させながら反転を繰り返すことによって消磁する。消磁電流によって生成する磁界の強さの初期値

は,前の測定に使用した値よりも高い水準でなければならない。

試験片の断面積は,式(5)を用いて算出する。

8.2 

磁束密度の測定 

磁界の強さに対応した磁束密度の離散値は,

図 7

に示す回路を用いて測定できる。また,一連の離散値

から初磁化曲線を得ることができる。第二法として,連続記録法を用いてもよい。校正された 4 端子抵抗

器を,エプスタイン試験器の一次コイルに直列に結線する。

図 8

に示すように,4 端子抵抗器の電圧端子

を X-Y レコーダの X 入力に接続し,磁束計の出力を X-Y レコーダの Y 入力に接続する。X-Y レコーダの

代わりに,プロッタ又はコンピュータインターフェイスを用いてもよい。

A  :直流電流計 
S

1

  :励磁電流の極性切替スイッチ

Rv  :励磁電流調整用の可変抵抗器 
R  :校正済みの 4 端子抵抗器 
M  :空隙補償用の相互誘導器 
Wb  :磁束計(magnetic flux integrator) 
X-Y :X-Y レコーダ,プロッタ又はコンピュータインターフェイス

図 8

直流試験回路(連続記録法) 

磁界の強さは,エプスタイン試験器内の一次コイルに流れる励磁電流を測定し,式(13)から算出する。

m

1

l

I

N

H

=

 (13)

ここに,

H: 磁界の強さ(A/m)

N

1

一次コイルの総巻数

I: 励磁電流(A)

l

m

実効磁路長(m)

l

m

=0.94

磁束密度の離散値を求めるには,

磁束計を零調整するとともに,

磁界の強さが所要の値に到達するまで,

一次コイルに流す励磁電流を増加する。

励磁電流と磁束計の読取り値の変化を記録する。磁束密度の値は,磁束計の読取り値の変化と,磁束計

の校正定数から,式(14)によって算出する。


15

C 2550-1

:2011

A

N

K

J

2

j

j

α

=

Δ

 (14)

ここに,

Δ

J

磁束密度の変化の算出値(T)

K

j

磁束計の校正定数(Vs)

α

j

磁束計の読取り値

N

2

二次コイルの総巻数

A

試験片の断面積(m

2

8.3 

ヒステリシスループの測定 

必要があれば,ヒステリシスループを,

IEC 60404-4

:2008 に従って測定する。このとき,リングをエプ

スタイン試験器及び試験片に置き換えるものとする。

8.4 

磁束密度測定の再現性 

この箇条に規定した手順で得られた結果の再現性は,1.0 %の相対標準偏差であるとみなされる。


16

C 2550-1

:2011

附属書 A

(参考)

デジタルサンプリング法による磁気特性測定

A.1 

一般原理 

デジタルサンプリング法は,この規格の測定手順の電気関連に多く使用されている。二次電圧

U

2

(

t

)及び

励磁コイルに直列に接続された無誘導精密抵抗器(

図 5

参照)の両端の電圧降下

U

1

(

t

)のデジタル化,並び

にこれらのデータから数値処理によって試験片の磁気特性を判定することを特徴としている。この目的の

ため,電圧の時間関数から

j

の添え字をもつこれらのそれぞれ電圧の瞬時値

u

2j

及び

u

1j

を,サンプル−ホ

ールド回路によって,

等しい時間間隔でそれぞれサンプリングする。

サンプリングされた電圧の瞬時値は,

アナログ−デジタル変換器(ADC)によって,デジタル値に変換される。一周期又は複数周期にわたり採

取されたデータから,この規格で要求される全ての磁気特性をコンピュータ処理で求めることが可能であ

る。

デジタルサンプリング法は,

図 3

図 8

の計器の全ての機能を,データ捕捉装置とソフトウエアとの組

合せによって実現する。二次電圧の正弦波制御もデジタル法によって可能である。

デジタルサンプリング法は不確かさを低くするが,

不適切な使用法によっては,

大きな誤差をもたらす。

A.2 

技術的詳細及び要求事項 

デジタルサンプリング法の原理は,電圧及び時間の離散化にある,すなわち無限小の時間間隔

dt

を有限

の時間間隔 Δ

t

で置き換える。

s

1

1

f

fn

n

T

t

=

=

=

Δ

(A.1)

ここに,

Δ

t

サンプリング点の間隔(s)

T

励磁周期の長さ(s)

f

励磁周波数(Hz)

n

1 周期にサンプリングされた瞬時値の個数

f

s

サンプリング周波数(点/s)

不確かさを低くするためには,励磁周期長さをサンプリング間隔で除した値が整数(ナイキスト条件)

で,サンプリング周波数

f

s

が入力信号帯域の 2 倍より大きいことが望ましい。

平均値形交流電圧計に倣い,磁束密度の波高値は,1 周期の間に採取された

u

2j

の値の合計から,次のよ

うにして算出する。

=

=

=

1

0

j

2

2

s

0

2

2

4

1

)

(

1

4

1

ˆ

n

j

T

t

u

A

N

f

dt

t

U

T

A

fN

J

(A.2)

鉄損は,

u

2j

及び

u

1j

を 1 点ごとに乗じて,1 周期の間の合計することから,次のように算出する

2)

=

=

=

1

0

j

2

j

1

m

2

m

1

0

2

1

m

2

m

1

s

)

(

)

(

1

n

j

T

t

u

u

A

RN

l

N

dt

t

U

t

U

T

A

RN

l

N

P

ρ

ρ

(A.3)

ここに,

J

ˆ : 磁束密度の波高値(T)

f

励磁周波数(Hz)


17

C 2550-1

:2011

N

1 周期の間にサンプリングされた瞬時値の個数

A

試験片の断面積(m

2

T

励磁周期の長さ(s)

f

s

サンプリング周波数(点/s)

u

2

二次電圧(V)

j

瞬時値の連続番号

N

1

一次コイルの総巻数

l

m

実効磁路長(m)

R

励磁コイルに直列に接続された無誘導精密抵抗器の抵抗値
(Ω)

P

s

試験片の鉄損(W/kg)

N

2

二次コイルの総巻数

ρ

m

試験片の密度(kg・m

3

u

1

無誘導精密抵抗器の両端の電圧降下(V)

2)

  磁界の強さの波高値,及び皮相電力はそれぞれ次の式によって算出する。

U

Rl

N

H

ˆ

ˆ

m

1

=

及び

=

=

n

j

n

j

u

n

u

n

A

RN

Rl

N

S

0

2

j

2

0

2

j

1

m

2

m

1

s

1

1

ρ

u

2j

及び

u

1j

の演算はコンピュータ又はデジタル信号処理器(

DPS

)によって処理できる。ナイキスト条件

を成り立たせるには,サンプリング周波数

f

s

及び励磁周波数

f

を,共通の高い周波数のクロックで生成す

ることが必須であり,この場合,必然的に整数比の

f

s

/f

が得られる。ナイキスト条件が成り立つ場合には,

1

周期

128

点のサンプリング数で,十分な精度をもって波形を測定できる。

1

周期

128

点の数は,シャノン

定理に基づき,

H(t)

が通常

41

次以上の周波数の高調波を含んでいないことによって導かれる。しかし,市

販のデータ捕捉装置には励磁周波数と同期できないものがあり,この場合,必然的に

f

s

/f

比は整数とはな

らず,ナイキスト条件が成り立たない。ナイキスト条件が成り立たない場合,真の励磁周期の長さとサン

プリングされた周期との相違を最小とするために,サンプリング周波数を十分高く(

1

周期に

500

サンプ

ル以上)する必要がある。ナイキスト条件を成立させることは,高い周波数の測定(例えば,この規格の

範囲に含まれる

400 Hz

)では決定的に有利である。また,デジタルサンプリング過程で生じるエリアシン

グノイズの原因となる,無関係な高周波成分を除去するために,ローパス・アンチエリアシングフィルタ

を使用することを推奨する。

振幅の分解能については,

12 bit

より低い場合はデジタル化誤差が無視できない。このため,測定波形

の振幅に対して最低

12 bit

の分解能をもつことを推奨する。さらに,二つの電圧信号測定チャンネル間の

位相差を,鉄損測定の誤差がこの規格で規定している値,

0.5 %

を超えないように,十分小さくすることが

望ましい。位相差の問題は,低い力率

cos(φ)

φ

は二つの信号の基本成分間の位相差)の場合により重要

となる。この理由によって,二つの電圧信号の瞬間値を異なる時間でサンプリングする方式である,マル

チプレクサを用いた計器は推奨できない。

信号調整に用いる増幅器は,低い周波数での位相シフトを防ぐために,

a.c.

結合ではなく

d.c.

結合である

ことが好ましい。しかし,増幅器の

d.c.

オフセットは数値計算の値に大きな誤差をもたらすことがある。

この

d.c.

オフセットの影響を除く方法には,計算による補正消去法を適用することができる。

A.3 

校正 

この規格の繰返し性及び再現性要件を満たすには,測定装置は適切に校正する必要がある。増幅器及び

ADC

を含む二つの電圧信号測定チャンネルについては,標準交流電源を用いて校正することが可能である。


18

C 2550-1

:2011

さらに,二つのチャンネルの位相特性とその周波数特性を確認することが望ましい。これらの特性は,コ

ンピュータでの補正計算に用いることができる。いずれの場合においても,校正用サンプルを用いて校正

する方法では不十分である。なぜなら,校正用サンプルによる校正はその材料と測定条件の組合せにおい

てだけ有効であるためである。


19

C 2550-1

:2011

附属書 JA

(参考)

試験片の切断方法及び試験機器仕様

JA.1 

試験片の切断方法 

試験片は,特に指定がなければ

図 JA.1 a)

d)

のように,鋼板の特性を代表するように,半分は圧延方向

に平行(縦目)に,半分は圧延方向に直角(横目)に採取するのがよい。その材料について,特に規定が

ある場合には又は受渡当事者間の協定によって,圧延方向に平行な試験片だけを使用するときには,

JA.1 e)

g)

のように採取する。その他の特殊な方法によったときには,試験成績書に切断方法を明記する。

図 JA.1

試験片の切断方法 

JA.2 

試験機器仕様 

JA.2.1 

商用周波用エプスタイン試験器仕様 

試験器の仕様は,

表 JA.1

のようにするのがよい。

図 JA.2

にその例を示す。


20

C 2550-1

:2011

表 JA.1

商用周波用エプスタイン試験器仕様 

項目

仕様

内断面

幅 32 mm,高さ 6 mm(推奨)

材質

非磁性の絶縁体

コイル巻枠

長さ

各コイルとも 190 mm 以上巻ける長さ

一次コイル

4 個の枠にそれぞれ均一に巻き,巻数は,通常各 175 ターンとする。

二次コイル

4 個の枠の一次コイルの内側に均一に巻き,巻数は通常各 175 ターンとする。

組立

4 個のコイルが正方形磁路を形成する試験片の各辺を囲むように組み立てる。

単位  mm

図 JA.2

商用周波用エプスタイン試験器の例 

JA.2.2 

空隙補償用の相互誘導器 

空隙補償用の相互誘導器は,試験器に適合するものを用い,その仕様は

表 JA.2

のようにするのがよい。


21

C 2550-1

:2011

表 JA.2

空隙補償用の相互誘導器仕様 

項目

仕様

寸法

直径 55 mm×長さ 25 mm

つば板寸法 120

mm×120 mm

管状巻枠

材質

非磁性の絶縁体

一次コイル

励磁に必要な巻数(約 40 ターン)

二次コイル

試験器に試験片がない場合の二次誘起電圧を打ち消すのに必要な巻数を一次
コイルの外側に巻く。

設置位置

正方形に組み立てられた試験器の中央に,その軸が試験器の面に直角になる

ように置く。

JA.2.3 

電流波高値検出用相互誘導器 

相互誘導器は,測定する磁界の強さ

H

の大きさによって,

1 A

形及び

10 A

形を用い,その仕様は,

JA.3

及び

図 JA.3

のようにするのがよい。

表 JA.3

電流波高値検出用相互誘導器仕様 

項目 1

A 形 10

A 形

管状巻枠  ①

外形 100 mm,内径 80 mm,長さ 120 mm

外形 100 mm,内径 80 mm,長さ 40 mm

つば板  ②

厚さ 8 mm,直径 210 mm

厚さ 8 mm,直径 210 mm

内側一次コイル

JIS C 3104

の 4 号平角銅線 2.4 mm×3.5 mm

を絶縁して用いる。30 ターン×4 層。

JIS C 3104

の 4 号平角銅線 3 mm×4 mm を絶

縁して用いる。8 ターン×2 層。

二次コイル  ④

絶縁銅線 0.4 mm,8 640 ターン。

絶縁銅線 0.4 mm,3 200 ターン。

外側一次コイル 

JIS C 3104

の 4 号平角銅線 2.4 mm×3.5 mm

を絶縁して用いる。30 ターン×4 層。

JIS C 3104

の 4 号平角銅線 3 mm×4 mm を絶

縁して用いる。8 ターン×2 層。

電気的特性

一次インダクタンス

約 5 mH

一次抵抗

約 0.24 Ω

二次インダクタンス

約 7.4 H

二次抵抗

約 660 Ω

相互インダクタンス

約 180 mH

一次・二次コイル間の

絶縁抵抗 100

MΩ以上

一次インダクタンス

約 0.14 mH

一次抵抗

約 0.04 Ω

二次インダクタンス

約 1.7 H

二次抵抗

約 230 Ω

相互インダクタンス

約 13 mH

一次・二次コイル間の

絶縁抵抗 100

MΩ 以上

単位  mm

図 JA.3

電流波高値検出用相互誘導器 

参考文献  JIS C 3104

  平角銅線


22

C 2550-1

:2011

附属書 JB

(参考)

JIS

と対応国際規格との対比表

JIS C 2550-1:2011

  電磁鋼帯試験方法−第 1 部:エプスタイン試験器による電磁

鋼帯の磁気特性の測定方法

IEC 60404-2:2008

  Magnetic materials − Part 2: Methods of measurement of the

magnetic properties of electrical steel strip and sheet by means of an Epstein frame 

(I)JIS の規定

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容

箇条番号 
及び題名

内容

(II) 
国際

規格
番号

箇条
番号

内容

箇条ごと 
の評価

技術的差異の内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

3  用語及び
定義

この規格で使用されている
用語の定義について規定。

規定なし

追加

JIS

では IEC 60050-221 の用語の

定義を追加した。

IEC

規格での磁気分極 に対応す

る用語として JIS では我が国で一
般的である磁束密度 を用いた

が,実質的に等しい。これ以外は

IEC 60050-221

と整合している。

4.2  試験片

試験片は 12 枚以上,実効質
量は約 0.5 kg を推奨する。
各厚さに対する推奨枚数を

表 1 に示す。

 3.2

規定なし

追加

JIS

では試験片枚数の最小値及び

推奨値を追加した。

精度上好ましい試験片枚数を示し
た。

4.3  エ プス
タイン試験

推奨する総巻数を 700 ター
ンとしている。

 3.3

推奨する総巻数を 700
ターン又は 1 000 ター

ンとしている。

削除

JIS

では推奨総巻数 1 000 ターン

を削除した。

国内では総巻数 1 000 ターンは一
般に使用されていない。

4.6.1  平 均
値形交流電
圧計

精度を“±0.5 %以内の精

度”としている。

 3.6.1

精度を“±0.2 %又はそ

れ以内の精度”として
いる。

変更

JIS

では精度を±0.5 %以内と変更

した。

市販測定器の精度の状況から判断

して,IEC 規格の精度に合わせる
ことは難しい。

4.6.2  実 効
値交流電圧

精度を“±0.5 %以内の精

度”としている。

 3.6.2

精度を“±0.2 %又はそ

れ以内の精度”として
いる。

変更

JIS

では精度を±0.5 %以内と変更

した。

市販測定器の精度の状況から判断

して,IEC 規格の精度に合わせる
ことは難しい。

4.6.3  波 高
値電圧計

精度を“±2.5 %以内の精
度”としている。

 3.6.3

精度を“±0.5 %又はそ
れ以内の精度”として
いる。

変更

JIS

では精度を±2.5 %以内と変更

した。

市販測定器の精度の状況から判断
して,IEC 規格の精度に合わせる
ことは難しい。

4.7  交 流電
流測定

規定なし

追加

JIS

では交流電流測定に関わる記

述をまとめた項目を追加した。

内容の変更はない。

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C

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0-

1


20
1

1


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C 2550-1

:2011

(I)JIS の規定

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容

箇条番号

及び題名

内容

(II) 
国際
規格

番号

箇条

番号

内容

箇条ごと

の評価

技術的差異の内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

5.3  励 磁電
源の調整

励磁電源の調整方法につい

て。

 5.3

記載なし。

追加

JIS

では実効値形と平均値形の差

に注意を促すため,注記として平
均値形電圧計を使用する場合の式
を記載した。

内容の変更はない。 
6.2.1,6.2.3 についても同様。

7.5  励 磁電

リップル成分は,0.1 %以下
としている。

 6.5

リップル成分は,1 %
以下としている。

変更

JIS

ではリップル成分を 0.1 %以下

と変更した。

直流電源の性能が向上しているの
でリップル 0.1 %以下を採用。

9

試験成績書に記載する
内容。

削除

項目自体を削除した。

試験規格で成績書の内容を規定す
る必要はないため。

附属書 JA

(参考)

試験片の切断方法及び試験

機器仕様

規定なし

JIS

では参考として試験片の切断

方法と試験機器の仕様について示
した。

鋼板の特性を代表するような試験

片の採取方法を示し,縦目試験片
及び横目試験片を分かりやすく表
示した。また,推奨する試験機器

仕様を示した。

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 60404-2:2008,MOD

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

−  削除 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。

−  追加 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

−  変更 国際規格の規定内容を変更している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

−  MOD  国際規格を修正している。 

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