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C 2535:2017  

(1) 

目 次 

ページ 

1 適用範囲 1 

2 引用規格 1 

3 用語及び定義  1 

4 一般的原理  3 

4.1 測定の原理  3 

4.2 試験片  4 

4.3 単板試験器  5 

4.4 励磁電源  6 

4.5 測定計測器  6 

5 測定の手順  7 

5.1 測定の原理  7 

5.2 測定の準備  7 

5.3 励磁電源の調整  7 

6 磁気特性の計算法  8 

6.1 磁束密度  8 

6.2 磁界の強さ  8 

6.3 鉄損  8 

6.4 皮相電力  8 

7 再現性 9 

附属書A(参考)デジタルサンプリングによる磁気特性測定法 10 

附属書B(参考)鉄基アモルファス帯用の単板試験器  12 

附属書C(参考)デジタル法による波形制御  14 

 

 


 

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(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本電機工業会(JEMA)及び

一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があ

り,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

 

 


 

 

日本工業規格          JIS 

 

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単ヨーク形単板試験器による鉄基アモルファス帯の

交流磁気特性の測定方法 

Methods of measurement of the a.c. magnetic properties of Fe-based 

amorphous strip by means of a single sheet tester using a single yoke 

 

適用範囲 

この規格は,鉄基アモルファス帯(以下,アモルファス帯という。)に対する,縦形単ヨーク形単板試験

器を用いた周波数400 Hz以下の交流磁気特性の測定方法について規定する。 

交流磁気特性は,誘起電圧が正弦波となる励磁条件(以下,正弦波磁束励磁条件という。)の下で,磁束

密度の波高値及び励磁周波数を指定して測定する。 

測定は,(23±5)℃の周囲温度において,消磁した状態の試験片で行う。 

注記1 複ヨーク形単板試験器によるアモルファス金属の磁気特性測定方法は,JIS H 7152に規定が

ある。 

注記2 この規格の単ヨーク形単板試験器は,ナノ結晶軟磁性帯などの,アモルファス帯と類似する

磁気特性及び物理特性をもつ材料にも適用可能である。電磁鋼帯用の単板試験器は,JIS C 

2556に規定がある。 

注記3 磁化の強さの指標について,IEC規格ではIEC 60050-221:1990に定義する“磁気分極(magnetic 

polarization)”の用語が用いられているが,この規格では,我が国で一般的に用いられ,一部

のIEC 60404の規格群にも用いられている,“磁束密度(magnetic flux density)”の用語を用

いる。 

 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 2534 鉄基アモルファス帯 

 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1 

磁界の強さ,H(magnetic field strength) 

試験片を磁化しようとする磁場の大きさ。一般的に,磁界の強さHは,式(1)によって励磁電流I1との関

係を表すことができる。 

 


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1

1

d

I

N

l

H=

  (1) 

ここに, 

H: 磁界の強さ(A/m) 

 

l: 磁路の長さ(m) 

 

N1: 磁路に巻かれた励磁コイルの総巻数 

 

I1: 励磁電流(A) 

磁界の強さHを求める方法には,励磁電流法とHコイル法とがある。 

3.2 

励磁電流法(magnetizing current method) 

磁界の強さHを,励磁電流から求める方法。磁界の強さHが磁路の一部の試験片の既定の長さlmでは

一様で,その他の磁路においてはゼロと仮定する。磁界の強さHは,式(1)から導いた式(2)によって求め

る。 

m

1

1

l

I

N

H=

  (2) 

ここに, 

lm: 既定の磁路長(m) 

3.3 

Hコイル法(H coil method) 

磁界の強さHを,試験片表面に近接して置いた空芯の磁界の強さ検出コイル(以下,Hコイルという。)

の誘起電圧によって検出する方法。 

3.4 

既定の磁路長,lm(conventional magnetic path length) 

磁界の強さHが一様でない磁気回路において,励磁電流法で用いる磁界の強さHを一様と仮定した特定

部分の磁路の長さ。単位は,メートル(m)。 

注記 単板試験器では,ヨーク両端磁極間の内側寸法に等しい長さを既定の磁路長としている。 

3.5 

磁束密度,B(magnetic flux density) 

一様に磁化した試験片の,単位断面積(m2)当たりの磁束量。単位は,テスラ(T)。 

3.6 

磁気分極,J(magnetic polarization) 

一様に磁化した試験片の,単位断面積(m2)当たりの磁化の強さ。単位は,テスラ(T)。 

注記 単板試験器において,二次コイル及び空隙補償用の相互誘導器を用いて測定する値は,磁気分

極Jである。磁束密度Bと磁気分極Jとは,磁気定数をμ0=[4π×10−7(H/m)]とする場合,

B=J+μ0Hの関係にある。アモルファス帯などの高透磁率材料では,磁束密度Bと磁気分極J

とは,ほぼ等しい。我が国では,一般的に磁気分極Jと磁束密度Bとを区別せずに用いること

が多い。 

3.7 

実効質量,ma(effective mass) 

磁気回路を構成する鉄心のうち,既定の磁路長lmに相当する試験片の長さの部分が鉄損Psに寄与すると

して求めた,既定の磁路長lmの試験片の質量。単位は,キログラム(kg)。 

3.8 

空隙補償(air flux compensation) 


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二次コイルの誘起電圧から,コイル内に試験片がない状態で二次コイルに誘起する電圧を差し引くこと

によって,二次コイルの誘起電圧を磁気分極Jの時間微分値に対応させること(4.3.4参照)。 

3.9 

鉄損,Ps(specific total loss) 

正弦波磁束励磁条件によって励磁したときに,試験片中で消費される,単位質量当たりのエネルギーの

値。単位は,ワット毎キログラム(W/kg)。 

3.10 

皮相電力,Ss(specific apparent power) 

正弦波磁束励磁条件によって励磁したときの,励磁電圧の実効値と励磁電流の実効値との積を試験片の

実効質量maで除した値。これは,磁束密度の実効値と磁界の強さの実効値との積を試験片の密度で除した

値に角周波数2πfを乗じた値に等しい。単位は,ボルトアンペア毎キログラム(VA/kg)。 

 

一般的原理 

4.1 

測定の原理 

測定は,Hコイル法を採用し,デジタルサンプリングによる方法を適用する。 

注記1 デジタルサンプリングによる方法は,附属書A参照。 

注記2 Hコイル法を採用する理由は,附属書B参照。 

試験片は,1枚のアモルファス帯の切板とし,次のように構成した2個のコイルの内側に挿入する。 

− 外側に,一次コイル(励磁コイル) 

− 内側に,二次コイル(Bコイル) 

Hコイルは,4.2に規定する試験片が置かれている磁界の強さを測定するため,試験片の下面の近くに設

置する。 

1個の縦形ヨークを用いて,閉磁路を形成する(図1参照)。ヨークの断面積は,試験片の断面積よりも

十分に大きくする。 

 

 

図1−単ヨーク形単板試験器の概要 

 

注記3 縦形複ヨークは,試験片に上側ヨークの質量による影響が磁わい(歪)の大きな材料ほど大

きく,アモルファス帯の測定には適さない。ただし,ヨークを消磁するとき,ヨークの損失

を測定するとき及びHコイルのエリアターン値を測定するときには,上側ヨークを下側ヨー

クの上に置いてもよい。 

図2に示すように,計測器とコイルとを接続する。 

 


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〜: 励磁電源(通常,コンピュータ制御の任意波形発生器と電力増幅器とからなる。) 

 

Hz: 周波数計 

 

N1: 一次コイル 

 

N2: 二次コイル 

 

H: 

Hコイル 

 

Rn:  無誘導精密抵抗器 

 

D: 

測定計測器(通常,プリアンプ,デジタイザ及びデジタル信号演算器からなる。) 

 

U2(t): 二次コイルの誘起電圧 

 

UH(t): Hコイルの誘起電圧 

 

U1(t): 無誘導精密抵抗器Rnの両端電圧 

 

図2−Hコイル法による測定回路 

 

測定計測器を用いて,次の信号を時間関数の波形データとして測定する。 

− 二次コイルの誘起電圧 U2(t) 

− Hコイルの誘起電圧 UH(t) 

− 一次コイルに直列に接続した,無誘導精密抵抗器の両端子間の電圧 U1(t) 

一つの励磁周期で測定したU2(t),UH(t)及びU1(t)のデータ組合せには,測定の全ての情報が含まれてい

る。 

U2(t)及びUH(t)から,磁界の強さH(t),磁束密度B(t),鉄損Ps及び皮相電力Ssを,計算によって求める

(箇条6参照)。 

注記4 U1(t)及びこれから計算で求めた励磁電流I(t)は,演算処理による空隙補償(附属書A参照)

及びデジタル法による波形制御(附属書C参照)に用いる。 

4.2 

試験片 

試験片は,JIS C 2534に基づき,アモルファス帯から採取する。 

注記 アモルファス帯の呼称幅は,142.2 mm,170.2 mm及び213.4 mmと規定されている(JIS C 2534

参照)。 

試験片の長さは,ヨークの磁極面間の外側寸法の280 mm以上とする。磁極面の外側に出た試験片の部

分は,測定に大きな影響を及ぼさないが,試験片の出し入れを容易にするのに必要な最小限の長さとする。 

試験片は,アモルファス帯から,過剰な切断かえり及び機械的な変形が生じないように切断する。試験

片は,平たん(坦)な長方形とする。 

試験片は,測定前に,製造業者の推奨する条件で,鋳造方向に平行な直流磁界中で磁場中焼きなましを

施す。磁場中焼きなましの間,試験片は平たんに保つ。 

通常,試験片は,磁場中焼きなましによってもろ(脆)くなるため,磁場中焼きなまし後の試験片の取


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扱いにおいては,試験片の破損又は試験片内部にひず(歪)みを加えないように注意する。 

4.3 

単板試験器 

4.3.1 

一般事項 

単板試験器は,コイル及びヨークで構成する(図1参照)。 

温度変化による試験片の熱膨張収縮によって試験片内部にひずみを加えないように注意する。 

4.3.2 

ヨーク 

ヨークはコの字形状とし,ソフトフェライトで構成する(図1参照)。ヨークは,残留磁束密度,磁気抵

抗及び鉄損ができるだけ低いものとする。 

注記1 ヨークの品質が悪い場合,試験片の磁気特性が悪く測定される(附属書B参照)。 

ヨークの磁極面の幅は,20 mm±1 mmとする。 

ヨークの二つの磁極面は,0.1 mm以内で同一平面となるようにする。ヨークは,試験片内部にひずみが

加わらないように,高い剛性をもつものとする。 

ヨークの高さは,80 mm〜120 mmとする。ヨークの幅は220 mm±1 mmとし,内側寸法は240 mm±1 mm

とする(図3参照)。 

 

単位 mm 

 

図3−ヨークの寸法 

 

注記2 試験結果の比較性能を証明できる場合には,他のヨーク寸法を採用できる。 

注記3 ヨークの損失は,上側ヨークと下側ヨークとを組み合わせた状態で,ヨークに巻いた一次コ

イル及び二次コイルを用いて測定できる。これらのコイルの巻数は25ターンで十分である。 

ヨークの脚の間に,試験片を載せる絶縁非磁性体の支持台を配置する。支持台は,試験片がヨークの磁

極面と隙間なく接触するように,磁極面と同じ平面の中心に配置する。 

注記4 支持台と磁極面との間に段差がある場合,試験片の磁気特性は実際よりも悪く測定される。 

4.3.3 

コイル 

一次コイルは,230 mm以上の長さとする。二次コイルは,一次コイルの内側の中央部に設置し,100 mm

〜120 mmの長さとする。一次コイル及び二次コイルは,絶縁非磁性体の四角形の巻枠に巻く。巻枠の寸

法は,次による。 

− 長さ 

235 mm±5 mm 

− 内側高さ 3 mm±1 mm 

− 外側高さ 12 mm以下 


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一次コイルは,全長にわたって連続かつ均一に巻いたコイルとする。例えば,直径1 mmの銅線を1層

又は多層に巻いて,220ターンとする。 

二次コイルは,100 mm〜120 mmの長さにわたって連続かつ均一に巻いた1層のコイルとする。二次コ

イルの巻数は,測定計測器の特性に合わせて設定する。 

Hコイルは,二次コイルと同じ長さとし,一次コイルの内側の中央部に設置する。Hコイルは,絶縁非

磁性体の巻板に巻く。巻板の幅は100 mm〜120 mmとし,厚さは約3 mmとする。 

Hコイルは試料支持台に埋め込み,支持台の表面とHコイルの表面との距離は1 mm以下とする。 

4.3.4 

空隙補償 

磁界の強さの波高値を設定して磁束密度の波高値を測定する場合は,二次コイル電圧に及ぼす空隙磁束

の効果を補償する。ただし,アモルファス帯の鉄損測定においては,磁界の強さが弱いため,空隙補償は

必要ない。 

空隙補償は,演算処理によって行う(A.4参照)。 

4.3.5 

無誘導精密抵抗器 

無誘導精密抵抗器の抵抗値は,±0.1 %以内の精度とする。磁束密度の波形のひずみを最小限に抑えるた

め,抵抗値は,1 Ω以下とする。 

十分な電力容量をもつ四端子の抵抗器を用いる。二つの電流端子は一次コイルに直列に接続し,二つの

電圧端子を測定計測器の信号チャンネルに接続する(図2参照)。 

4.3.6 

磁気シールド 

地磁気及び外部磁場によって試験片が不用意に磁化することを防ぐことができる程度の,簡易な磁気シ

ールドを単板測定器に施すことを推奨する(附属書B参照)。 

4.4 

励磁電源 

励磁電源は,通常,コンピュータ制御の任意波形発生器及び電力増幅器で構成する。これらの機能を統

合してもつ機器を用いてもよい(図2参照)。 

任意波形発生器は,外部プログラムで生成された励磁の波形,振幅及び周期のデータから信号を合成す

る。測定計測器でのエリアシングを防ぐため,任意波形発生器と電力増幅器との間に,ローパスフィルタ

を挿入する。 

注記 外部プログラムによる励磁の波形の生成法については,附属書Cを参照。 

周波数の精度は,±0.1 %以上とする。 

二次コイルに誘起する電圧の波形は,可能な限り正弦波とする。二次電圧の波形率を,1.111の±1 %以

内とするとともに,二次電圧に含まれる高調波成分をできるだけ抑制することが望ましい。例えば,附属

書Cに示すデジタル法を用いるなど,幾つかの方法によって達成できる。 

電力増幅器は,内部インピーダンスが低く,かつ,電圧及び周波数の安定性が高い,低ノイズのものを

用いる。測定中,電圧及び周波数は,±0.2 %以上の精度で維持する,周波数及び電圧の帯域が広いバイポ

ーラタイプとする。 

4.5 

測定計測器 

測定計測器は,通常,校正されたプリアンプ,デジタイザ及びデジタル信号演算器からなる。測定計測

器は,任意波形発生器の読出しクロックと同期したサンプリングクロックに基づき同時動作する,U2(t),

UH(t)及びU1(t)に対応する三つの独立した信号チャンネルをもつものでなければならない(図2参照)。 

信号チャンネルは,二次コイルに負荷を加えないように,十分に高い入力インピーダンス(通常は,1 MΩ

及びこれに並列に約100 pF)とする。信号チャンネル間の位相の相違は,最も低い力率における測定にお


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いても十分小さくする。 

プリアンプは,入力信号を高い信号対ノイズ比でデジタル化するのに適した電圧に,増幅する。 

デジタイザの分解能は,デジタル化による誤差を小さくするため,十分高くする。12ビット又はそれ以

上の分解能を推奨する。サンプリングクロックは,励磁周期当たり512サンプル以上とする。 

デジタル信号演算器は,デジタイザで生成された数値データの組合せの信号波形から,箇条6記載の式

によって,磁気特性を算出する。 

電力の測定精度は,実際の力率及び波高率において,±0.5 %以上とする。電圧の測定精度は,±0.5 %

以上とする。 

注記 デジタル信号演算器は,パーソナルコンピュータ(PC),又は十分な数の高速デジタル乗算器

及び加算器からなるデジタル信号プロセッサ(DSP)を用いてもよい。 

デジタル信号演算器には,二次電圧波形を正弦波に制御するためのデジタル帰還信号を作成し,任意波

形発生器に送る機能をもたせてもよい。 

 

測定の手順 

5.1 

測定の原理 

図2に示すように,測定計測器とコイルとを接続する。 

二次コイルの誘起電圧U2(t)及びHコイルの誘起電圧UH(t)を,測定計測器を用いて,時間関数の波形デ

ータとして測定する。 

U2(t)及びUH(t)から,磁界の強さH(t),磁束密度B(t),鉄損Ps及び皮相電力Ssを計算によって求める。 

5.2 

測定の準備 

試験片の長さを±0.1 %以上の精度で測定し,試験片の質量を±0.1 %以上の精度で測定する。試験片を

コイル内に挿入してコイルの縦横軸の中央に置く。 

試験片の断面積は,式(3)による。 

m

l

m

A=

  (3) 

ここに, 

A: 試験片の断面積(m2) 

 

m: 試験片の質量(kg) 

 

l: 試験片の長さ(m) 

 

ρm: 試験片の既定密度(kg/dm3) 

試験片は,測定前に,測定時よりも十分高い初期磁場から緩やかに減衰する交流磁界で消磁する。 

5.3 

励磁電源の調整 

一つの励磁周波数における一組又は複数組の磁束密度の波高値Bˆ又は磁界の強さの波高値Hˆを指定す

る。 

鉄損Ps,皮相電力Ss,磁界の強さの実効値H~及び磁界の強さの波高値Hˆの測定では,励磁電源を調整

して磁束密度の波高値Bˆを設定する。 

磁束密度の波高値Bˆの測定では,磁界の強さの波高値Hˆを設定する。 

Hˆ及びBˆの値は,それぞれ一つ又は複数の励磁周期について測定したUH(t)又はU2(t)から計算する。 

励磁電源は,Hˆ又はBˆが所要値に到達するまで,出力を徐々に増加させる。測定中は,励磁電源の出力

電圧を下げない。 

二次コイルの誘起電圧U2(t)の波形を調べ,正弦波であることを確認する。さらに,H(t)とB(t)とで形成


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するヒステリシスループ形状の対称性を確認する。 

 

磁気特性の計算法 

6.1 

磁束密度 

磁束密度B(t)は,式(4)による。 

t

t

t

U

A

N

t

B

0

0

2

2

B

d)

(

1

)

(

=−

  (4) 

ここに, 

B(t): 磁束密度(T) 

 

N2: 二次コイルの巻数 

 

A: 試験片の断面積(m2) 

 

U2(t): 二次コイルの誘起電圧(V) 

 

0B: 磁束密度B(t)の励磁周期での平均値がゼロとなるように

設定した定数(T) 

6.2 

磁界の強さ 

磁界の強さH(t)は,式(5)による。 

t

t

t

U

A

N

t

H

0

0

H

H

H

0

H

d)

(

)

(

1

)

(

=−

  (5) 

ここに, 

H(t): 磁界の強さ(A/m) 

 

μ0: 磁気定数[4π×10−7(H/m)] 

 

(NHAH): Hコイルのエリアターン[巻数NH×実効断面積AH(m2)] 

 

UH(t): Hコイルの誘起電圧(V) 

 

0

H: 磁界の強さH(t)の励磁周期での平均値がゼロとなるよう

に設定した定数(A/m) 

注記 Hコイルのエリアターンの測定については,附属書B参照。 

6.3 

鉄損 

試験片の鉄損は,磁界の強さH(t)と磁束密度B(t)とで形成するヒステリシスループの面積に相当し,式

(6)による。 

t

t

U

t

H

A

N

f

t

t

t

B

t

H

f

P

T

t

T

t

d)

(

)

(

d

d

)

(

d

)

(

0

2

2

m

0

m

s

  (6) 

ここに, 

Ps: 鉄損(W/kg) 

 

ρm: 試験片の規定密度(kg・m−3) 

 

f: 励磁周波数(Hz) 

 

T: 励磁周期[1/f(s)] 

 

N2: 二次コイルの巻数 

 

A: 試験片の断面積(m2) 

 

H(t): 磁界の強さ(A/m) 

 

B(t): 磁束密度(T) 

 

U2(t): 二次コイルの誘起電圧(V) 

6.4 

皮相電力 

皮相電力Ssは,式(7)による。 

B

H

f

S

~

~

π

2

m

s

  (7) 


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ここに, 

Ss: 皮相電力(VA/kg) 

 

ρm: 試験片の規定密度(kg・m−3) 

 

f: 励磁周波数(Hz) 

 

H~: 磁界の強さの実効値(A/m) 

 

B~: 磁束密度の実効値(T) 

 

再現性 

鉄損の再現性の相対標準偏差は,最大磁束密度が1.3 T及び1.4 Tのとき,3 %以内とする。 

磁束密度の再現性の相対標準偏差は,磁界の強さの波高値が80 A/mのとき,約1 %以内とする。 

皮相電力の再現性の相対標準偏差は,約6 %以内とする。 

 


10 

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附属書A 

(参考) 

デジタルサンプリングによる磁気特性測定法 

 

A.1 一般的事項 

デジタルサンプリング法は,現在の軟質磁性材料の磁気特性測定に多く用いられている。 

Hコイル法に適用する場合,二次電圧U2(t)及びHコイルに誘起する電圧UH(t)をデジタル化し,これら

のデータを用いて軟質磁性材料の磁気特性を求めることを特徴としている。 

これらの電圧の時間関数からjの添え字をもつこれらの電圧の瞬時値u2j及びu1jを,サンプル ホールド

回路によって,等しい時間間隔でそれぞれサンプリングする。サンプリングした電圧の瞬時値は,アナロ

グ デジタル変換器(ADC)によって,デジタル値に変換する。1周期又は複数周期にわたって採取したデ

ータによって,この規格で測定する全ての磁気特性をコンピュータ処理で求めることが可能である。 

この規格では,デジタルサンプリングによる測定法を採用する。デジタルサンプリング法は不確かさを

低くすることができるが,不適切な使用方法によっては,大きな誤差をもたらす。 

注記 デジタルサンプリング法の原理及び適用法については,多くの文献がある。 

 

A.2 技術的詳細及び要求事項 

図2に示すように,測定計測器とコイルとを接続する。励磁電源は,通常,コンピュータ制御の任意波

形発生器及び電力増幅器からなる。測定計測器でのエリアシングを防ぐため,任意波形発生器と電力増幅

器との間に,ローパスフィルタを挿入する。任意波形発生器は,外部プログラムで生成した励磁の波形,

振幅及び周期のデータから信号を合成する。測定計測器は,校正したプリアンプ,デジタイザ,及びデジ

タル信号演算器(通常は,パーソナルコンピュータ)からなる。 

二次コイルの誘起電圧U2(t)及びHコイルの誘起電圧UH(t)の波形を,同時にデジタルサンプリングする。 

不確かさを低くするためには,励磁周期をサンプリング間隔で除した値が整数(ナイキスト条件)で,

サンプリング周波数fsが入力信号帯域の2倍よりも大きいことが望ましい。 

磁束密度B(t)は,式(4)による。 

磁界の強さH(t)は,式(5)による。 

鉄損Psは,磁束密度B(t)と磁界の強さH(t)とのヒステリシスループの面積として,式(6)による。 

 

A.3 校正 

測定計測器は,トレーサビリティが確保された標準交流電源を用いて校正することが可能である。測定

計測器の信号チャンネルの各入力に標準交流電源を接続することによって,各信号チャンネルの増幅率,

二つのチャンネルの位相差及びこれらの周波数特性が確認できる。このように校正した測定計測器は,デ

ジタル信号演算器での特性計算プロセスに適用してもよい。 

 

A.4 演算処理による空隙補償 

演算処理による空隙補償は,空隙補償コイルの原理と同様である。Hコイルを用いる場合は,式(A.1)に

よる。 

)

(

)(

)

(

H

m

2

c

2

t

U

C

t

U

t

U

  (A.1) 


11 

C 2535:2017  

 

ここに, 

U2c(t): 空隙補償された二次コイルの誘起電圧(V) 

 

U2m(t): 二次コイルの誘起電圧(V) 

 

C: 補正係数 

 

UH(t): Hコイルの誘起電圧(V) 

補正係数Cは,試験片を挿入しない状態で一次コイルに電流を流したとき,空隙補償された二次コイル

電圧の最大値が,二次コイル誘起電圧の0.1 %以下となるように調整する。 


12 

C 2535:2017  

 

附属書B 

(参考) 

鉄基アモルファス帯用の単板試験器 

 

B.1 

試験片の形状 

単板試験器の中では,試験片は平たんとするのがよい。アモルファス帯は,磁わい特性が大きいため,

僅かな変形によっても磁気特性は大きく劣化する。 

IEC 60404-6に規定するトロイダルコア試験片を用いる測定方法は,試験片の直径の僅かな変形を防ぐ

ことが難しく,単板試験器を用いた測定よりも劣る磁気特性が得られることがあるため,不適切である。 

 

B.2 

Hコイル法 

電力計法(励磁電流法)による測定では,ヨークの磁気特性も含まれる。このため,アモルファス帯の

ような薄い低鉄損の材料には不適切である。これに比較して,Hコイル法は,ヨークの磁極から離れた部

分の試験片の磁気特性を測定する。このため,電力計法で測定した鉄損値は,通常,Hコイル法で測定し

た値よりも高い値を示す。 

Hコイル法を適用する上で重要なことは,Hコイルの信号出力の片側と二次コイルの信号出力の片側と

を接続することである。これによって,Hコイルに重畳する高周波ノイズを効果的に軽減できる。また,

Hコイルのエリアターンを大きくし,その信号出力を低ノイズの高品質プリアンプで増幅することも重要

である。電源周波数ノイズを防ぐために,プリアンプは高品質の直流電源で駆動することが望ましい。 

数回の励磁周期にわたり同期平均することによって,電源周波数と同じ周波数で励磁した場合の電源周

波数のノイズを除き,信号のノイズを効果的に減らすことができる。 

 

B.3 

ヨーク 

ヨークは,試験片の偏磁を防ぐため,残留磁束密度,磁気抵抗及び鉄損ができるだけ低くなる材質とす

る。ソフトフェライトが適切である。 

単ヨークは,複ヨークよりも適切である。アモルファス帯の磁気特性は,ひずみに非常に敏感である。

上側ヨークは試験片の磁極付近の部分にひずみを加え,その結果,磁気特性が劣化する。さらに,試験片

の両端がヨークの磁極で挟まれ固定されるため,アモルファスの大きな磁わい特性によって,試験片には

大きな圧縮ひずみが生じる。これらの効果は,単ヨークの磁極近くの試験片の部分での面内渦電流の及ぼ

す効果よりも大きいと考えられる。 

 

B.4 

結線 

Hコイルに誘起する電圧は低く,高周波ノイズを拾いやすい。Hコイルの信号出力に重畳するノイズを

減らすために,コイルと測定計測器とは図2にように結線する。各結線対の片側は,測定計測器の前で接

続し,アースには接続しない。 

 

B.5 

磁気シールド 

アモルファス帯の磁気透磁率は,異方性がなく非常に高いため,単板測定器に磁気シールドを施すこと

が望ましい。単板試験器の磁化軸を地磁気に直角に設置した場合でも,地磁気によって試験片は磁化軸と


13 

C 2535:2017  

 

直角方向にある程度磁化する。磁気シールドは,外部磁場によって試験片が不用意に磁化することを防ぐ

ことができる程度の簡易なものでよい。 

 

B.6 

Hコイルのエリアターンの測定 

Hコイルのエリアターンは,Hコイルを巻線枠に組み込む前に,Hコイルが入る領域に均一な磁場を発

生させるために十分な径及び長さをもつ,ソレノイドを用いて測定する。 

Hコイルを巻線枠に組み込んだ後は,そのHコイルで測定した磁界の強さの波高値と,コイルの中に試

験片がない状態で,コイルの中心に置いた既知のエリアターンの標準Hコイルで測定した磁界の強さとの

波高値を比較することで求められる。 

他の方法として,コイルの中に試験片がない状態でのHコイルの信号による磁界の強さの波高値と,励

磁電流法で求めた磁界の強さの波高値との比較で求めることができる。励磁電流法による磁界の強さの波

高値は,式(B.1)による。 

1

m

1

MC

ˆ

ˆ

U

R

l

N

H=

  (B.1) 

ここに, 

MC

ˆH

: 励磁電流法による,磁界の強さH(t)の波高値(A/m) 

 

N1: 一次コイルの巻数 

 

lm: 既定の磁路長[0.24(m)] 

 

R: 励磁電流を測定するために一次コイルに直列に接続され

た無誘導精密抵抗器の抵抗値(Ω) 

 

1ˆU: 一次コイルに直列に接続した,無誘導精密抵抗の両端子

間の電圧の波高値(V) 


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附属書C 
(参考) 

デジタル法による波形制御 

 

指定する磁束密度の正弦波形を,従来のアナログ帰還技術で実現することは,困難な場合がある。磁化

曲線の変曲点を超える高い磁束密度では,不安定性及び自動発振の問題が起きやすい。デジタル法によっ

て,自動発振の効果が解消されることが期待できる。 

任意波形発生器に供給する電圧Ug(t)は,擬似的な容量効果を無視すると,式(C.1)で計算できる。 

 

)

(

d

)

(

d

d

)

(

d

1

)

(

d

)

(

d

d

)

(

d

1

)

(

s

m

1

1

0

1

s

1

0

1

g

2

t

I

R

t

t

I

l

N

A

t

t

B

AN

G

t

I

R

t

t

H

A

t

t

B

A

N

G

t

U

  (C.1) 

ここに, 

Ug(t): 任意波形発生器に供給する電圧(V) 

 

G: 電力増幅器の増幅率 

 

N1: 一次コイルの巻数 

 

B(t): 指定する磁束密度(T) 

 

H(t): 磁界の強さ(A/m) 

 

I(t): 一次電流(A) 

 

A: 試験片の実効断面積(m2) 

 

A1: 一次コイルの実効断面積(m2) 

 

lm: 既定の磁路長[0.24(m)] 

 

μ0: 磁気定数[4π×10−7(H/m)] 

 

Rs: 一次回路の総抵抗値(Ω) 

繰返し演算方法による信号制御も可能である。この場合,任意波形発生器に供給する(i+1)ステップ

の電圧Ui+1(t)を,式(C.1)の代わりに,式(C.2)で計算することができる。この場合,磁界の強さの関数を設

定せず,電圧Ui+1(t)を,二次コイル誘起電圧の測定値U2(t)と,目標とする二次コイル誘起電圧の求める設

置値UJ(t)との差分から計算する。磁束密度の波形率が1.111の±1 %以内となるまで,繰返し演算する。 

(

)

(

K

)

(

)

(

2

J

2

1

1

t

U

t

U

GN

N

t

U

t

U

i

i

  (C.2) 

ここに, 

Ui(t): 任意波形発生器にiステップで供給する電圧 

 

Ui+1(t): 任意波形発生器に(i+1)ステップで供給する電圧(V) 

 

UJ(t): 指定する磁束密度が達成された場合,二次コイルに誘起する電圧(V) 

 

U2(t): 二次コイルの誘起電圧(V) 

 

N1: 一次コイルの巻数 

 

N2: 二次コイルの巻数 

 

K: 負帰還の定数,1.0以下の正数 

 

G: 電力増幅器の増幅率 

デジタル法による信号制御は,励磁,信号の獲得,消磁及び波形の変形の繰返しであるため,信号制御

に要する総所要時間はアナログ法よりも長くなる。二つの波形Ui(t)とUi+1(t)とを継ぎ目なく切り替えられ

る特殊な任意波形発生器を用いることによって,総所要時間を短縮することができる。 

 

 

 

 


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参考文献  

JIS B 0021 製品の幾何特性仕様(GPS)−幾何公差表示方式−形状,姿勢,位置及び振れの公差表示方式 

JIS C 2556 単板試験器による電磁鋼帯の磁気特性の測定方法 

JIS H 7152 アモルファス金属単板磁気特性試験方法 

IEC 60404-6,Magnetic materials−Part 6: Methods of measurement of the magnetic properties of magnetically soft 

metallic and powder materials at frequencies in the range 20 Hz to 200 kHz by the use of ring specimens