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日本工業規格

JIS

 C

2526

-1994

金属抵抗材料の電気抵抗−

温度特性試験方法

Testing method for electrical resistance-temperature

characteristics of metallic resistance materials

1.

適用範囲  この規格は,金属抵抗材料などの温度による抵抗の変化率及び抵抗温度係数の試験方法に

ついて規定する。

備考  この規格の引用規格を,次に示す。

JIS Z 8401

  数値の丸め方

JIS Z 8703

  試験場所の標準状態

2.

用語の定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。

(1)

金属抵抗材料  電気抵抗特性を利用する金属導電材料。

(2)

導体抵抗  均一な断面積をもつ電気導体の長さ方向における所定長さ当たりの電気抵抗  (

Ω)  。一般に,

1m

当たりの電気抵抗  (

Ω/m)  又は 1km 当たりの電気抵抗  (Ω/km)  。

導体抵抗の記号:R

c

(3)

体積抵抗率  単位断面積,単位長さの電気抵抗  (

Ω/m)  。単に,抵抗率ということもある。体積抵抗率

の記号は,次による。

体積抵抗率の記号:

ρ

t

℃における体積抵抗率の記号:

ρ

t

(4)

一次温度係数及び二次温度係数  電気導体の温度による電気抵抗変化率を温度の二次関数として求め

る場合,温度の一次項の係数を一次温度係数,二次項の係数を二次温度係数。一般に,温度係数に用

いる記号は,次による。

t

℃における一次温度係数の記号:

α

t

二次温度係数の記号:

β

(5)

平均温度係数  電気導体の温度による電気抵抗変化率を所定の温度区間における温度差で除した値。

一般に,温度係数に用いる記号は,次による。

平均温度係数の記号:

α

t

a

℃と t

b

℃  (t

a

t

b

)

の平均温度係数の記号:

α

a, b

(6)

抵抗比  ある温度 t℃における抵抗値 R

t

,

基準とする温度 t

O

℃における電気抵抗 R

to

との比:

to

t

R

R

主として測温抵抗体用素線,電熱線,一般電気抵抗線などの電気抵抗特性の表示などに用いる。

(7)

抵抗最大温度  適用温度範囲内で抵抗値が最大になる温度。


2

C 2526-1994

抵抗最大温度の記号:t

max

(8)  4

端子  試験片の両端に各 2 個の端子を取り付け,内側の一組を電圧端子,外側の一組を電流端子と

して使用するもの。

(9)

測定用導線  試験片の端子と測定器を結ぶ導線。

3.

試験片

3.1

試験片の採取方法  試験片の採取方法は,製品から切り取り,そのままのものを試験片とする。製

品がそのままのものでは,試験片とならない寸法の場合には,同一溶解単位の中間工程から別に採取した

試験片を使用する。線又は棒ではこれを伸線若しくは引抜きし,帯又は板では,これを長さ方向に裁断す

るなど適切な方法で試験片を作製する。

3.2

試験片の処理方法  試験片の処理方法は,次のとおりとする。

(1)

製品とは別に伸線,引抜き又は裁断によって作製した試験片は,適当な熱処理を施して伸線,引抜き

又は裁断によって生じたひずみを除去しておかなければならない。

(2)

試験片の表面に酸化皮膜又は絶縁被覆がある場合には,試験片の両端の皮膜又は被覆を除去して,金

属面を露出させておかなければならない。

(3)

精密な特性を要求される抵抗材の試験片は,曲げ加工などの機械的ひずみを除去するために,それぞ

れの材質に適した熱処理を施さなければならない。

(4)

採取した試験片には,張力,曲げなどを加えてはならない。

また,汚れ,じんあい(塵挨)などが付着しないよう慎重に取り扱わなければならない。

(5)

ニッケルクロム電熱材の試験片は,使用者から熱処理の要望があった場合は,約 800℃の温度に 30 分

間保持した後に空冷する熱処理を施すことができる(ニッケルクロム電熱材は,仕上げ焼なましで急

冷されると抵抗値が数%小さくなる特性があるからである。

3.3

試験片の寸法  試験片の寸法は,線又は棒の場合には,直径 4mm 以下,帯又は板の場合には,幅

4mm

以下とする。

3.4

試験片の抵抗  試験片の抵抗は,原則として 0.1

Ω以上で,試験片の長さは,できるだけ長いものを

用いることが望ましい。

3.5

試験片の形状  試験片の形状は,次のとおりとする。

(1)

試験片をコイル状にする場合は,その直径は,3cm 以上とする。この場合,インダクタンスによって

誤差を生じるおそれがあるときは,無誘導巻きとする。ただし,試験片は絶縁に注意し,また,線が

細く形を保ちにくいときは,絶縁物の枠を用いて形を保ってもよい。

(2)

帯又は板の試験片を U 字形又はコイル状に曲げる場合は,わん曲部の直径は,5cm 以上とする。

4.

試験条件

4.1

試験場所の温度  試験は,JIS Z 8703 に規定する常温 (20±15℃)  で行う。

4.2

測定電流  測定電流は試験片の自己加熱によって抵抗値の変化をきたさない値とする。これを確か

めるには,その試験片を常温において抵抗を測定し,次に電流を

2

倍にして再び抵抗を測定する。精密

抵抗材(電気抵抗用銅マンガン材及び電気抵抗用銅ニッケル材など)の場合,両測定値の差が

0.001%

を超

えなければ,最初の電流で測定してよい。ただし,下記 5.(1)(b)の測定器では両側測定値の差が

0.01%

を超

えなければ,最初の電流で測定してよい。


3

C 2526-1994

5.

測定装置  抵抗の測定は,ダブルブリッジ法,ホイートストンブリッジ法,又は電圧比較法などで行

い,その測定装置は,

参考図 1-1(抵抗測定器による

4

端子測定の場合)

1-2(電圧比較法による

4

端子抵

抗測定の場合)又は 1-3(抵抗測定器による

2

端子測定の場合)のように,電圧端子,電流端子,測定用

導線,直流電流計,測定器,標準抵抗器などを組み合わせて使用する。

(1)

測定器  測定器は,次のとおりとする。

(a)

抵抗の測定には,必要な測定範囲で抵抗値の

0.001%

以下の変化を検出できる測定器を使用する。

(b)

一次温度係数

  (

α

23

)

又は平均温度係数

( )

α

の値が

1 000

×

10

-6

K

-1

より大きい場合,抵抗値の

0.01%

以下の変化が検出できる測定器を用いてもよい。

(2)

端子  端子は,次のとおりとする。

(a)

試験片と測定用導線を接合する場合は,はんだ付け,銀ろう付け又は溶接とし,測定に疑義を生じ

るおそれがない場合は,ねじ止め式の端子で代用してもよい。

(b)

この端子は,原則として,

4

端子を設けなくてはならない。ただし,抵抗比を測定する場合などで,

試験片の抵抗値が測定用導線と比較して十分高く測定に疑義を生じるおそれがない場合は,

2

端子

で測定してもよい。

(3)

標準抵抗器  抵抗の標準を必要とする場合は,測定の間,その抵抗値の変化が抵抗値の

0.001%

以内の

安定度であることが確認された標準抵抗器を使用する。標準抵抗器は,その温度を測定し,温度によ

る抵抗値変化を補正して使用する。

(4)

恒温槽  容器の中に粘度の低い液体を入れ,これを加熱又は冷却するとともに十分かきまぜて所要の

温度を均一,かつ,一定に保つようにしたものとする。ただし,

250

℃以上の場合には,温度分布の均

一な電気炉を使用してもよい。試験片に近接する部分の保持温度及び温度分布の均一性は,

表 のと

おりとする。

表 1  試験片の保持温度及び温度分布の均一性

単位

試 験 片 に 近 接 す る
部分の保持温度

均一性

熱を伝える物質(参考)

温度計(参考)

−55∼ 0

未満

±0.5

アルコール類

0

∼ 50

未満

±0.1

水,絶縁油,流動パラフィン

 50

∼ 100 未満

±0.2

シリコーン油,種油

 100

∼ 250 未満

±1

シリコーン油

液体温度計

 250

∼ 500 未満

±5

抵抗温度計

 500

∼ 800 未満

±10

塩類(

1

)

,気体(

1

)

 800

±20

気体(

1

)

熱電温度計

(

1

)

塩類又は気体を使用する場合,試験片が腐食,酸化などを受け,測定値に影響を及ぼすこ
とがないよう注意する。

5.5

温度計  測定に使用する温度計は,表 のとおりとする。

表 2  温度計

単位

試験片に近接する部分の保持

温度

温度計の最小目盛

−55∼ 100 未満 0.1

 100

∼ 250 未満 0.5

 250

∼ 500 未満 5

 500

∼ 10


4

C 2526-1994

5.6

測定用導線  一次温度係数

  (

α

23

)

及び平均温度係数

( )

α

測定の場合,測定用導線の抵抗値が試験片

の抵抗値の

0.02%

を超えるときは

4

端子測定で測定する。

ダブルブリッジ法によるとき,測定用導線の抵抗値は

0.01

Ω以下であること。

6.

測定方法

6.1

測定準備  測定準備は,次のとおりとする。

(1)

測定器は予備通電し,正常な状態にあることを確認する。

(2)

恒温槽又は電気炉を所定の温度に設定し,温度が安定で均一であることを確認する。

6.2

測定方法  測定方法(手順)は,次による。

(1)

測定は,高温測定点から低温測定点へ逐次行う。

(2)

熱伝導による誤差を生じないように試験片を恒温槽又は電気炉に十分深く挿入し,安定したときの値

を読みとる。

(3)

熱起電力の影響を避けるため,測定電流の極性を反転して測定し,その平均値を R

t

とする。

6.3

電気抵抗−温度特性の測定  電気抵抗特性の測定(求め方)は,試験片の所定温度における抵抗を

測定する。求められた抵抗値から,抵抗比,平均温度係数,一次温度係数,二次温度係数及び抵抗最大温

度は,次の方法によって求める。ただし,標準状態の温度は

23

℃とする。

(1)

抵抗比は,次による。

to

t

R

R

ここに,

R

t0

基準温度 t

0

℃における試験片の抵抗値

  (

)

R

t

測定温度 t℃における試験片の抵抗値

  (

)

(2)

平均温度係数は,次の式による。

(

)

a

b

a

a

b

b

,

a

t

t

R

R

R

=

α

ここに,

α

a, b

温度 t

a

t

b

℃間における平均温度係数

 (K

-1

)

R

a

測定温度 t

a

℃における試験片の抵抗値

  (

)

R

b

測定温度 t

b

℃における試験片の抵抗値

  (

)

ただし,t

a

t

b

とする。

(3)

抵抗温度係数  電気抵抗用銅マンガン材などのように温度と抵抗値とが直線関係にない抵抗材の抵抗

値は,所定温度区間内の,

4

温度点(ほぼ等間隔)において測定する。ただし,二次温度係数の絶対

値が

0.2

×

10

6

K

2

より小さいときは,

3

温度点において抵抗値を測定してもよい。

抵抗値は,次の

2

次式で近似することができる。

R

t

R

to

{1

α

o

 (

t

t

o

)

β (

t

t

o

)

2

}

ここに,

R

t

任意の温度 t℃における抵抗値

  (

)

t

o

基準温度

  (

)

(一般には 23℃)

t

適用温度区間における任意の温度

  (

)

R

to

t

o

℃における抵抗値

  (

)

α

o

t

o

℃における一次温度係数

 (K

1

)

β

二次温度係数

 (K

2

)


5

C 2526-1994

抵抗温度係数は,次の式によって算出する。

α

t

α

a, b

β {2

t

  (

t

a

t

b

) }

(

) (

)

b

a

d

c

d

,

c

b

,

a

t

t

t

t

+

+

=

α

α

β

3

温度点の抵抗値の測定の場合の

β

は,次の式によって算出する。

(

) (

)

b

a

b

c

c

,

b

b

,

a

t

t

t

t

+

+

=

α

α

β

ここに,

α

t

定められた適用温度区間の温度 t℃における一次温度係数

(K

1

)

β

二次温度係数

 (K

2

)

α

a, b

: 温度 t

a

t

b

℃間の平均温度係数

 (K

1

)

α

c, d

: 温度 t

c

t

d

℃間の平均温度係数

 (K

1

)

ただし,t

a

t

b

t

c

t

d

とする。

α

b, c

: 温度 t

b

t

c

℃間の平均温度係数

 (K

1

)

ただし,t

a

t

b

t

c

とする。

(4)

抵抗最大温度  抵抗最大温度は,この温度における抵抗温度係数が零

 (0)

であることを利用して,次

の式から求める。

(

) (

)

{

}

(

)

d

,

c

b

,

a

b

,

a

b

a

d

c

b

a

max

2

2

α

α

α

+

+

+

+

=

t

t

t

t

t

t

t

ここに,

t

max

抵抗最大温度  (℃)

α

a, b

温度 t

a

t

b

℃間の平均温度係数 (K

1

)

α

c, d

温度 t

c

t

d

℃間の平均温度係数 (K

1

)

ただし,3 温度点の抵抗値測定の場合は,抵抗最大温度 t

max

は求めない。

(5)

図式による温度係数の求め方  抵抗材の二次温度係数が−0.4×10

-6

・K

-2

より大きい(絶対値)ときは,

一次温度係数  (

α

23

)

,二次温度係数  (

β

)

及び抵抗最大温度  (t

max

)

は,図式によって求めることができ

る。図式によって温度係数を求めるには,次による。

試験片の温度 t

a

t

b

t

c

及び t

d

のときの電気抵抗を R

a

R

b

R

c

及び R

d

とする。ただし,t

a

t

b

t

c

t

d

とする。

温度 t

a

t

b

間の平均温度係数:

α

a, b

温度 t

c

t

d

間の平均温度係数:

α

c, d

温度 t

a

t

b

間の平均温度: t

a, b

温度 t

c

t

d

間の平均温度: t

c, d

直角座標において,温度を横軸に,温度係数を縦軸にとり,座標に点 P ( t

a, b

,

α

a, b

)

及び点 Q ( t

c, d

,

α

c, d

)

の 2 点をとり,この 2 点 P,Q を直線で結び,座標軸と交わるまで延長する。これを

図 に示

す。

温度軸上に 23℃及び 33℃の 2 点をとり,この点に垂線をたて,直線

PQ

との交点を求めると,23℃

及び 33℃の垂線との交点の値が

α

23

及び

α

33

である。

図 1

α

c

と との関係図 


6

C 2526-1994

直線 PQ の延長線と温度軸との交点が一次温度係数ゼロの温度で,抵抗最大温度 t

max

である。

二次温度係数

β

20

33

23

α

α

β

=

として求められる。

  任意の温度 t℃における一次温度係数

α

t

は,一次温度係数の一般式

α

t

α

0

+2

β

 (t

t

0

)

から

(

)

23

10

33

23

23

=

t

t

α

α

α

α

として求められる。

参考図 1-1  測定装置(抵抗測定器による 4 端子測定の場合)


7

C 2526-1994

参考図 1-2  測定装置(電圧比較法による 4 端子抵抗測定の場合)

参考図 1-3  測定装置(抵抗測定器による 2 端子測定の場合) 

電気部会  電気抵抗材料専門委員会  構成表

氏名

所属

(委員会長)

平  山  宏  之

東京都立科学技術大学名誉教授

揖  斐  敏  夫

通商産業省基礎産業局

中  島  一  郎

通商産業省機械情報産業局

倉  重  有  幸

工業技術院標準部

加  藤  仲  司

日本電気抵抗合金工業会

久保田      節

東京特殊電線株式会杜

島  田  次  雄

シルバー鋼機株式会社

立  花  種  則

株式会社古河テクノマテリアル

中  村  恭  之

住友特殊金属株式会社営業本部

清  田  泰  輔

日本金属工業株式会社営業本部

赤  嶺  淳  一

社団法人日本電機工業会技術部

岡  村  郁  生

株式会社精電舎

加  藤  敏  男

横河電機株式会社品質保証部門品管標準

殿  塚  文  彦

同和鉱業株式会社サーモテック事業本部

三  谷      進

日本電信電話株式会社技術協力センター

(事務局)

平  野  由紀夫

工業技術院標準部電気規格課

稲  垣  勝  地

工業技術院標準部電気規格課