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C 2143-4-1

:2014

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

1

3

  用語及び定義  

2

4

  構造上の要求事項  

3

4.1

  一般的事項  

3

4.2

  機械的要求事項  

3

4.3

  換気  

4

4.4

  試験片の取付け  

4

4.5

  温度調節及び表示系統  

4

5

  要求性能  

5

5.1

  温度  

5

5.2

  温度差及び温度変動  

5

5.3

  温度変量  

5

5.4

  最大温度偏差  

5

5.5

  換気率  

5

5.6

  暴露容積  

5

5.7

  時定数  

5

6

  試験方法及び手順  

6

6.1

  一般的事項  

6

6.2

  暴露容積  

6

6.3

  温度及び関連するパラメータ  

6

6.4

  換気率  

7

6.5

  時定数  

7

7

  報告 

7

8

  使用条件及び使用者による稼働中の監視に関する指針  

8

8.1

  使用条件  

8

8.2

  手順  

8

8.3

  稼働中の監視  

8

附属書 A(参考)換気率を測定するための試験方法  

10

附属書 B(参考)温度偏差の計算例  

12

参考文献  

13

附属書 JA(参考)JIS と対応国際規格との対比表  

14


C 2143-4-1

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(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人電気学会(IEEJ)及び一般財団

法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本

工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS C 2143

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS

C

2143-1

  第 1 部:劣化処理手順及び試験結果の評価

JIS

C

2143-2

  第 2 部:熱的耐久性の測定−評価指標の選択

JIS

C

2143-3

  第 3 部:熱的耐久性の計算の手引き

JIS

C

2143-4-1

  第 4-1 部:劣化処理オーブン−シングルチャンバオーブン

JIS

C

2143-4-2

  第 4-2 部:劣化処理オーブン−300  ℃以下の精密オーブン

JIS

C

2143-4-3

  第 4-3 部:劣化処理オーブン−マルチチャンバオーブン

JIS

C

2143-5

  第 5 部:相対熱的耐久性指数(RTE)の求め方

JIS

C

2143-6

  第 6 部:固定時間枠法を用いる絶縁材料の熱的耐久性指数(温度指数及び相対熱的耐久

性指数)の求め方


日本工業規格

JIS

 C

2143-4-1

:2014

電気絶縁材料−熱的耐久性−

第 4-1 部:劣化処理オーブン−

シングルチャンバオーブン

Electrical insulating materials-Thermal endurance properties-

Part 4-1: Ageing ovens-Single-chamber ovens

序文 

この規格は,2006 年に第 4 版として発行された IEC 60216-4-1 を基とし,構成を変更して作成した日本

工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,

附属書 JA に示す。

適用範囲 

この規格は,電気絶縁材料及び電気絶縁システムの熱的耐久性評価に用いる,強制的な気体循環機能の

有無にかかわらず,電気加熱式で,かつ,換気式の単一のチャンバをもつ劣化処理オーブンの最低限度の

要求事項について規定する。

この規格は,周囲温度より 20 K 高い温度から 500  ℃までの全ての温度範囲,又はその一部の温度範囲

で使用するように設計されたオーブンについて規定する。

この規格は,これら劣化処理オーブンの受入試験及び稼働中の監視試験について規定する。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 60216-4-1:2006

,Electrical insulating materials−Thermal endurance properties−Part 4-1: Ageing

ovens

−Single-chamber ovens(MOD)

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“修正している”

ことを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 2143-4-2

  電気絶縁材料−熱的耐久性−第 4-2 部:劣化処理オーブン−300  ℃以下の精密オーブ

注記  対応国際規格:IEC 60216-4-2:2000,Electrical insulating materials−Thermal endurance properties

−Part 4-2: Ageing ovens−Precision ovens for use up to 300  ℃(MOD)

JIS Q 17025

  試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項


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C 2143-4-1

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注記  対応国際規格:ISO/IEC 17025:2005,General requirements for the competence of testing and

calibration laboratories

(IDT)

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

3.1 

換気率,N(rate of ventilation)

室温で,暴露用チャンバ内の空気が 1 時間当たり入れ替わる回数。

3.2 

暴露容積(exposure volume)

温度変動,温度差及び温度変量の要求事項に適合する,暴露用チャンバの中央部分(6.3.1 及び 6.3.3 

照)

3.3 

暴露温度,T(exposure temperature)

温度の影響を求めるデータを得るために劣化処理試験片に選定する温度。

注記  全体暴露温度(3.8)も参照。

3.4 

温度変動,δT

1

(temperature fluctuation)

ある時間にわたる暴露容積中の 1 点で生じる温度変化の最大値。

3.5 

温度差,δT

2

(temperature difference)

ある時点における暴露容積中の任意の 2 点間の温度の差の最大値。

3.6 

温度変量,δT

v

(temperature variation)

ある時間にわたり暴露容積中で測定した最高温度と最低温度との差。

3.7 

全体平均温度(global average temperature)

チャンバ内の暴露容積中に配置した 9 個のセンサを用い,3 時間以上にわたる温度測定結果から計算で

求めた平均温度。

3.8 

全体暴露温度(global exposure temperature)

試験時に試験片が占める場所に設置した温度センサが示す温度。全体平均温度に等しいと考えられる。

注記  “全体暴露温度”の用語は,しばしば“暴露温度”と省略する。

3.9 

(標準試料の)時定数[time constant(of a standard specimen)]

標準試験片の温度が,暴露容積の温度に近づくときに要する時間の尺度。

3.10 

温度偏差,δT

d

(temperature deviation)

温度測定中の温度差,温度変動及び誤差の組合せによる暴露温度と,意図する値との計算で求めた差。

注記  温度偏差の計算例を,附属書 に示す。


3

C 2143-4-1

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3.11 

換気(ventilation)

予熱気体が暴露用チャンバを連続的に通過すること。

3.12 

標準オーブン(standard oven)

(この規格に使われていないので,削除した。

3.13 

精密オーブン(precision oven)

電気加熱式で,かつ,換気式の暴露用チャンバをもち,暴露容積中の温度を JIS C 2143-4-2 に規定する

限度内に維持できるオーブン。

注記  この規格に規定する暴露容積中の温度差及び温度変化の限度は,JIS C 2143-4-2 の規定より緩

やかである。

3.14 

オーブンチャンバ(oven chamber)

試験片の暴露又はアイソボックス(3.15 参照)の収納のための,シングルチャンバオーブンの内部空間。

3.14A 

暴露用チャンバ(exposure chamber)

オーブンチャンバの内壁又はアイソボックスを使用する場合には,その内壁に囲まれた空間。

注記  暴露容積(3.2)は,暴露用チャンバの内側に形成される。

3.15 

アイソボックス(iso box)

オーブンチャンバの中に設置し,オーブンチャンバ中に生じる温度偏差を低減するための暴露用チャン

バとして用いる,密閉扉を備えた金属製の箱。

構造上の要求事項 

4.1 

一般的事項 

オーブンは,

適切な材料で堅ろうに構成し,

許容する温度範囲全域にわたって連続して運転できるよう,

設計する。

全ての電気的附属装置及び他の補助的附属装置は,維持目的で容易に入手できなければならない。

注記  この規格は,全ての安全面を規定してはいない。更なる情報は,JIS C 9335 規格群で参照でき

る。

4.2 

機械的要求事項 

オーブンチャンバ及びその内部構造を構成する材料は,試験片の特性に影響しないものを選ぶ。

注記  アルミニウム合金及びステンレス鋼は,多くの場合に適切と認められている。銅系合金及び例

えばシリコーン樹脂のような,オーブンの温度範囲にわたって影響を及ぼす揮発物を発生する

材料は,使用してはならない。

オーブンの内部は,適切な耐腐食性及び非吸収性の材料で構成し,継ぎ目はいずれも気密で腐食を受け

にくいように組み立てなければならない。チャンバの内壁は,容易に掃除できなければならない。

オーブンチャンバの扉は,効果的な密閉性をもつように,また,パッキングの材質は,試験片の特性に

影響しないようにしなければならない。


4

C 2143-4-1

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4.3 

換気 

オーブンチャンバには,チャンバの片側から他の側に通り抜けるように予熱した換気気体を供給する。

換気する気体は,できるだけチャンバから換気される気体と全域で混合するようにする。

有効な換気率は,5.5 による。

結果への影響を最少にするために,流入する換気気体の純度を適切に保つことが望ましい。

規定がある場合は,入口通気孔は制御された供給源から空気及び/又は他の気体を供給できなければな

らない。

換気気体の供給が途絶えたとき,オーブンの電源を切断する装置及びできれば警報装置を働かせる構造

を備えなければならない。

注記  オーブンからの排気は外部の大気中に排出することが望ましいが,劣化処理した試験片から生

じる揮発性生成物が健康及び環境を害さないように注意することが望ましい。

4.4 

試験片の取付け 

試験片を,暴露容積の中に保持,つり(吊)下げ及び配置できるように準備する。試験片は,互いに接

触することなく,また,チャンバの壁に触れてはならない。試験片及び保持具は,いかなる位置において

も,チャンバのいずれの方向でも横断面積に占める割合は 25 %以下とし,更に,チャンバの実効容積に占

める割合は 10 %以下とする。

注記  実際に,これらの最大限のいずれかを超えることが予想される場合は,供給者及び購入者は,

使用者との間で,性能の評価の間にダミーの負荷を用いるかどうかについて合意するのがよい。

4.5 

温度調節及び表示系統 

暴露容積中の温度は,箇条 の範囲で制御する。

オーブンチャンバには,2 個以上の温度センサを取り付ける。それらのうちの 2 個に番号を付け,それ

ぞれ温度センサ 1 及び温度センサ 2 とする。温度センサ 1 及び温度センサ 2 は,設置する前に,適切な標

準器(以下,温度センサ 3 という。

)との照合によって,測定の不確かさが±1.0 K となるように校正する。

温度の変化に伴う二つの温度センサの間の読みの差を記録する。

温度センサ 3 の不確かさは,±0.5 K とする。

温度センサ 1 は,適切な方法で取り付け,チャンバの温度を表示するために用いる。

注記 1  全ての試験手順において,温度を記録することが望ましい。温度の読みから,試験装置全体

の故障を早期に特定することができる。

温度センサ 2 は,試験片を配置する場所に可能な限り近接して取り付ける。その場所は,明確に位置決

めして容易に再現できるようにする。温度センサ 2 は,測定の後取り外してもよい。

温度制御用に温度センサ 1 及び温度センサ 2 とは別の温度センサを用いてもよい。その温度センサの場

所は,オーブンチャンバの製造業者が自由に決めてよい。制御系統のドリフトは,1 年で 2 K 未満とする。

注記 2  温度センサは,要求事項に適合するものであれば,いかなる形式でもよい(例えば,液体温

度計,抵抗温度計)

注記 3  熱電対は,液体温度計及び抵抗温度計より精度が低いために,温度の測定には望ましくない

が,温度差の測定には使用できる。

液体温度計は,使用時には校正を行ったときと同じ挿入深さになるようにする。

オーブンには,主要な温度制御システムとは別に,温度過昇防止装置を装備する。この装置は,実際の

温度があらかじめ設定した温度を超えた場合,電気ヒータの電源を遮断しなければならない。また,温度

過昇防止装置が作動した場合に警告灯又は他の警報装置の電源が入り,オーブンの温度が設定値より低下


5

C 2143-4-1

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したときに電気ヒータに再び自動的に電源が入ることなく,警告灯を手動で切断した後に,再起動を手動

で行うものでなければならない。

要求性能 

5.1 

温度 

製造業者が指定する温度範囲で,暴露容積の温度は,最大許容温度変量以下で制御できなければならな

い。

5.2 

温度差及び温度変動 

3

時間の連続運転の間における最大許容温度差及び温度変動は,

表 による。

表 1−最大許容温度差及び温度変動 

温度範囲

最大許容温度差及び温度変動

K

80

以下 2

80

を超え 180 以下 2.5

180

を超え 300 以下 3

300

を超え 400 以下 4

400

を超え 500 以下 5

5.3 

温度変量 

3

時間の連続運転の間における最大許容温度変量は,

表 による。

表 2−最大許容温度変量 

温度範囲

最大許容温度変量

K

80

以下 4

80

を超え 180 以下 5

180

を超え 300 以下 6

300

を超え 400 以下 8

400

を超え 500 以下 10

5.4 

最大温度偏差 

暴露容積の中での最大温度偏差は,その温度範囲での最大許容温度変量の 1.25 倍以下とする。

5.5 

換気率 

暴露用チャンバの換気率は,1 時間当たり 5∼20 回とする。換気気体は,暴露用チャンバを通過しなけ

ればならない。

5.6 

暴露容積 

暴露容積は,4.3 に従って試験片を収容するのに十分でなければならない。暴露容積は,オーブンチャン

バの容積の 50 %以上とする。

注記  暴露容積は通常,35∼70 L が使いやすい。

5.7 

時定数 

時定数は,購入契約に指定がある場合,供給者,購入者及び使用者の間で合意した値以下とする。

注記  このパラメータは,短期の熱処理(熱衝撃試験)に使用するオーブンのときにだけ重要である。


6

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試験方法及び手順 

6.1 

一般的事項 

試験の実施中,周囲温度及びオーブンへの供給電圧を,オーブンが正確に動作するために製造業者が指

定する範囲内に制御する。

6.2 

暴露容積 

暴露容積の寸法及び形状は,供給者と購入者との間で合意した換気率において,異なる配置の一連の温

度センサを用いて温度差及び温度変量の一連の測定を行い,その結果から決定する。

注記  試験温度は,オーブンの運転のために設計された最低温度,最高温度及びこれらのおおよそ中

間の 1 点(例えば,50  ℃,250  ℃及び 500  ℃)としてもよい。

6.3 

温度及び関連するパラメータ 

6.3.1 

実施上の要件 

オーブンチャンバの温度,すなわち,暴露容積の温度は,温度センサ 2 を用いて測定する(4.5 参照)

温度差及び温度変動を求めるために,調査対象のオーブンチャンバ中に,一連の時定数 30  秒以下の温

度センサを次のとおり設置する。

−  一つの温度センサは,チャンバ中央から 25 mm 以内に置く。

−  その他の温度センサは,チャンバの 8 か所の隅に,壁から 50 mm±10 mm 離して置く。

表示装置に温度センサを接続するリード線の長さは,オーブンからの熱伝導によって表示温度が影響さ

れないように選ぶ。外部との間では,リード線は熱的に絶縁し,かつ,気密を保つことが重要である。

注記 1  温度差及び温度変動の値を求めるときに,校正した温度センサを利用できない場合は,同じ

熱電対素線の巻枠から同じ方法で作製した熱電対で,最高運転温度の試験用チャンバ中に互

いに隣接して配置したときに,温度差の指示値が 0.4 K 以下になるものを選んで用いてもよ

い。その他の未校正の温度センサについても,同様な手法を用いてもよい。

換気のレベルを,製造業者が指定する最低値に設定する。

チャンバの温度を安定させておく。

3

時間以上にわたり,十分多くの回数,個々のセンサの温度の指示値を 0.1 K の桁まで測定して記録し,

いかなる周期的変化に対しても同じ測定値が得られること,及び全測定時間にわたって最高,最低及び平

均の温度の測定値が一致することを確認する。

注記 2  温度は,連続的に監視することが望ましい。

6.3.2 

計算 

6.3.2.1 

温度変動(δT

1

)の計算 

9

個の温度センサのそれぞれについて,3 時間にわたり記録したデータを調査するとともに,温度の差の

最大値を計算する。これらの差の最大値を確定し,

“1 日目の日内の温度変動”として記録する。

6.3.2.2 

温度差(δT

2

)の計算 

データを調査し,3 時間の間のいずれかの時点での暴露用チャンバ中に生じる温度差の最大値を計算す

る。これを“1 日目の日内の温度差”として記録する。

6.3.3 

結果 

結果が,温度変量の要求事項に適合する場合は,5 日間にわたり毎日測定を繰り返す。

残りのデータについて計算を繰り返し,2 日目,3 日目,4 日目及び 5 日目の日内の温度差を記録する。

これらの値から日内の温度差の最大値を選び,オーブンの温度変量 δT

v

として記録する。

測定したオーブンの温度変量が要求事項の範囲に収まる場合,そのオーブンは特定のチャンバの温度及


7

C 2143-4-1

:2014

び換気レベルにおいて,要求事項に適合するとみなす。暴露容積は,8 か所の隅に置いた温度センサを頂

点とする立体の内側の空間である(5.1 参照)

結果が要求事項に適合しない場合は,温度センサを壁から更に 25 mm 以上遠ざけて再配置し,試験及び

計算を繰り返す(5.1 参照)

適切な換気率を用いて,

別の 2 点のチャンバ温度で,

それら二つの温度での暴露容積を確定するために,

測定を繰り返す。

温度偏差 δT

d

は,

温度差の計算値及び最初の校正から決まる温度センサ 1 と温度センサ 2 との読みの差,

並びに長期間の劣化処理試験の間の温度センサ 1 が示す暴露温度を参照することによって,

附属書 を参

考にして計算する。

6.4 

換気率 

給気量をあらかじめ測定していない場合には,適切な方法を用いて換気率を測定してもよい。

換気口を閉じたときにオーブンチャンバの温度を維持するための電力量に対し,換気口を開けたときに

同じ温度を維持するための電力量の増加を測定して,

換気率を測定する一つの方法を

附属書 に記載する。

給気系及び排気系は,測定した換気率が要求事項に適合するまで,調整する。

6.5 

時定数 

標準試験片は,直径(10±0.1)mm,長さ(55±0.1)mm の黄銅製の円柱で,示差熱電対の二つの接合

点の一方をはんだ付けしたものとする。

オーブンの温度を,200  ℃又は最高設計温度のいずれか低い方に設定し,安定させる。標準試験片を,

周囲温度に 1 時間以上保つ。

製造業者の指示に従って,チャンバを開けて標準試験片を直径 0.25 mm 以下の耐熱性のひもを用いて,

オーブンの幾何学的中央にその軸が垂直になるように手早くつり下げる。

示差熱電対の 2 番目の接合点は,

標準試験片からできるだけ離し,チャンバの壁に接触することなく,かつ,暴露容積内に収まるようにつ

り下げる。チャンバを(60±2)秒間開放した後,チャンバの扉を閉じる。温度差が最大値に達するまで,

10

秒間隔で温度差を続けて記録する。次に温度差が最大値の 10 %未満に低下するまで,30 秒間隔で温度

差を記録する。記録した値の時間(秒単位)変化をグラフにプロットする。

温度差の最大値を 10 で除して,T

10

として記録する。時間に対してプロットした温度のグラフから,温

度差が最大値を通過して T

10

に減少するまでの時間を秒単位で記録し,時定数とする。

報告 

報告は,できるだけ JIS Q 17025 の要求事項に従う。オーブンの供給者は,次の情報を試験報告書に含

める。

a)

表題(例えば,

JIS C 2143-4-1 による試験報告”又は“JIS C 2143-4-1 による校正証明書”

b)

オーブン製造業者の名称及び住所

c)

試験を行った機関の名称及び住所並びに試験及び/又は校正を行った場所の所在地

d)

試験報告書又は校正証明書に固有の識別記号(通し番号など)

,及びその頁が試験報告書又は校正証明

書の一部であることを確認できるような様式の各頁の識別記号(頁番号)

,並びに試験報告書又は校正

証明書の末尾の明確な表示

e)

依頼者の氏名及び住所

f)

試験又は校正した事項の詳細,その条件,及びそれらの明確な識別記号

g)

次に関する様式及び記述


8

C 2143-4-1

:2014

−  オーブンがこの規格に適合するための供給電圧値の範囲

−  最大消費電力

−  オーブンがこの規格に適合するための周囲温度の範囲

−  空のオーブンの総質量及び外形寸法

−  各温度におけるこの規格に適合する温度差,温度変動及び温度変量の要求事項に対応する暴露容積

の表示

−  有効な換気率の範囲

−  箇条 に規定する試験の結果

−  ろ(濾)過,除湿及び適切な測定の方法など,換気気体の品質の管理方法に関する推奨事項

−  必要な場合,時定数の報告

h)

試験報告書又は校正証明書を認定するための,氏名,職務及び署名又は同等な者による証明

i)

必要な場合,結果が試験又は校正された項目の中の特定のものだけに影響する事項があれば,その記

使用条件及び使用者による稼働中の監視に関する指針 

8.1 

使用条件 

使用条件は,次による。

a)

使用中は,オーブンの性能を維持するために,周囲温度及び供給電圧を製造業者が指定した範囲内に

保つように管理する。

b)

特に規定がない場合,換気する空気の品質は,試験結果に顕著な影響を与えてはならない。換気する

媒体の不純物,例えば,水蒸気によって,試験結果が影響を受けるような場合,それを適切に管理す

るとともに報告する。

c)

幾つかの劣化処理オーブンが狭い場所で用いられている場合,あるオーブンからの排気が,他のオー

ブンに侵入して試験片と接触するなどの揮発生成物の相互汚染を防ぐよう注意しなければならない。

注記  各オーブンからの排気は,直接外気に出すことが望ましい。

d)

劣化処理過程で発生する揮発生成物が,健康又は周囲の環境に悪影響を与えないよう,予防措置を確

実に講じる。

e)

温度暴露の間は,試験片は暴露容積からはみ出ることのないように配置し,また,試験片が接触する

のは保持具だけとし,互いに接触してはならない。

8.2 

手順 

長時間の劣化処理試験に先立ち,試験片を置く位置にできるだけ近接して設置した温度センサ 2 で,オ

ーブン室内の温度を規定の暴露温度に調整する。温度センサ 2 の場所は,明確に位置決めして再現できる

ようにする。

液体温度計を用いる場合は,使用時の差込み深さが校正時と同じになるように注意する。

8.3 

稼働中の監視 

それぞれの劣化処理試験の直前に,試験片を収めたオーブンに対して次の試験を行う。

注記 1  これらの試験は,劣化処理試験の開始時に,試験片を収めたオーブンがこの規格の要求事項

に適合することを確認するためのものである。これらの試験では,全体暴露温度及び温度変

量を測定する。

6.3

に規定する概略の手順に従い,次のとおり実施する。


9

C 2143-4-1

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a)  8

個一組の温度センサを,試験する暴露容積の中に収めた試験片の周辺に近接して,オーブン内部に

置く。

b)

オーブンの温度を規定の温度に上げて,安定させる。

c)

3

時間以上にわたる全体平均温度(これを暴露温度の初期値とする。

)及び温度変量を,8 個の温度セ

ンサ及び温度センサ 2 からのデータを用いて測定する。

測定の結果が要求事項に適合しない場合は,劣化処理計画を取りやめ,要求事項に適合することが確認

できるまで,試験片の配列の再配置又は装置のその他の調整を繰り返す。

上記の試験で測定した値よりも精密に暴露温度を測定したい場合には,温度センサ 2 を用いてより長期

の温度を測定し,その平均値を計算することが望ましい。

注記 2  使用者は,測定するデータの精度に関連して,附属書 の内容を吟味することが望ましい。


10

C 2143-4-1

:2014

附属書 A

(参考)

換気率を測定するための試験方法

正確さが同等であれば,他の方法を用いてもよい。

A.1 

一般的な要求事項 

試験の間,A.2 の手順に関する平均周囲温度は,A.3 に関するものと同じとする。

A.2 

密閉したオーブン 

オーブンは,通気口,扉,温度センサ,及び技術的に可能な場合には,送風機の回転軸又は送風機全体

を完全に密閉する。精度±1 Wh の電力量計を給電設備とオーブンとの間に接続する。適切な調節温度を選

び,設定する。

オーブンの温度が安定した後,次の測定を行う。

−  いかなる熱源からも 2 m 離れ,いかなる固形物からも 1 m 以上の距離を置き,かつ,オーブンの換気

口とほぼ同じ高さでの室温。

−  1 時間以上の適切な時間に消費される電気エネルギーE

1

。時間の測定での許容範囲は±3 秒,電力量の

許容範囲は±2 Wh とする。

A.3 

換気したオーブン 

全ての密閉処理を除いた後,給気口の調節弁を必要な換気速度になるように調節する。オーブンの温度

が安定した後,再び A.2 と同じ時間長さで消費される電気エネルギーE

2

を測定する。

A.4

計算

換気率 は,次の式によって計算する。

(

)

(

)

a

0

a

1

2

10

T

T

V

T

P

P

N

=

ここに,

N

換気率

P

1

密閉したオーブンの平均消費電力(

W

。電力量計による

消費エネルギー

E

1

Wh

)の読みを試験期間中の時間で除し

て求める。

P

2

換気したオーブンの平均消費電力(

W

。電力量計による

消費エネルギー

E

2

Wh

)の読みを試験期間中の時間で除し

て求める。

V

0

暴露用チャンバの容積(

L

T

a

周囲の平均温度(

K

T

暴露温度(

K

注記

この計算は,次の前提に基づいている。

周囲温度における気体の密度

d

Ta

kg/L

)は,次の式によって計算する。

a

20

20

Ta

T

T

d

d

=

ここに,

T

20

293 K


11

C 2143-4-1

:2014

密度

d

20

kg/L

)は,次の値である。

3

20

10

5

204

.

1

×

=

d

計算には,180  ℃における気体の比熱容量(J/kg K)の平均値 c

p

として次の値を用いる。

000

1

022

.

1

p

×

=

c

試験期間中の気体流の全質量 M(kg)は,次の式によって計算する。

(

)

(

)

a

p

1

2

600

3

T

T

c

E

E

M

=

気体流が T

a

から まで加熱され,消費エネルギーE

1

A.2 参照)及び E

2

A.3 参照)の電力量

(Wh)を電力量計の読みから求めたとき,試験期間中の気体流の全容積 V(L)は,次の式に

よって計算する。

(

)

(

)

Ta

a

p

1

2

Ta

600

3

d

T

T

c

E

E

d

M

V

=

=

1

時間当たりの気体流の容積

V

h

L/h

)は,次の式によって計算する。

(

)

(

)

Ta

a

p

1

2

h

600

3

d

T

T

c

P

P

V

=

換気率

N

は,次の式によって計算する。

(

)

(

)

(

)

(

)

0

20

20

a

p

a

1

2

0

Ta

a

p

1

2

0

h

600

3

600

3

V

T

d

T

T

c

T

P

P

V

d

T

T

c

P

P

V

V

N

=

=

=

(

)

(

)

0

a

a

1

2

205

.

1

022

.

1

293

600

3

V

T

T

T

P

P

N

×

×

=

(

)

(

)

a

0

a

1

2

0

.

10

T

T

V

T

P

P

N


12

C 2143-4-1

:2014

附属書 B

(参考)

温度偏差の計算例

測定時の誤差 

測定時の最大の誤差は,次の要素から成る。

温度センサ

1

の校正時及び読取時の二度にわたり生じるランダム誤差

u

1

(±

0.5 K

温度センサ

2

の校正時及び読取時の二度にわたり生じるランダム誤差

u

2

(±

0.5 K

温度センサ

3

の系統誤差

u

3

(±

0.1 K

誤差の最大値は,誤差

u

1

u

2

及び

u

3

が全て同じ向きとなり,

3

2

1

1

2

2

u

u

u

T

+

+

=

δ

となる場合である。ただ

し,このように誤差が全て加算的となることは非常にまれであり,最大の誤差の推定値は,それぞれの最

大誤差の二乗和の平方根として求められる。したがって,最も真の偏差らしい値は,最大の測定された変

δT

v

の平方と最もありそうな最大誤差との合計の平方根として求められる(最大の温度変量

δT

v

は,

3

間の間の最大温度変動と最大温度差との和に等しい。

例えば,

1

1

=

T

δ

,かつ,

1

2

=

T

δ

(温度範囲<

180

℃)のとき,温度変量の最大値は,次のとおりとなる。

2

1

1

max

2

max

1

max

v

=

+

=

+

=

T

T

T

δ

δ

δ

これらの前提に立って,暴露温度の温度偏差

δT

d

K

)は,次の式によって計算できる。

2

v

2

3

2

2

2

1

d

2

2

2

T

u

u

u

T

δ

δ

+

+

+

±

=

2

v

d

01

.

1

T

T

δ

δ

+

±

=

可能性が最も大きい温度偏差(

K

)は,上記の式から次のとおりとなる。

4

01

.

1

d

+

±

=

T

δ

2

.

2

d

±

T

δ

その他の温度範囲についての,最大の温度偏差は同様な方法で計算できる。


13

C 2143-4-1

:2014

参考文献

JIS B 7757

  強制循環式空気加熱老化試験機

JIS C 2143-1

:2011

  電気絶縁材料−熱的耐久性−第

1

部:劣化処理手順及び試験結果の評価

注記

対応国際規格:IEC 60216-1

:2001

Electrical insulating materials

Properties of thermal endurance

Part 1: Ageing procedures and evaluation of test results

IDT

JIS C 2143-3

  電気絶縁材料−熱的耐久性−第

3

部:熱的耐久性の計算の手引き

注記

対応国際規格:IEC 60216-3

Electrical insulating materials

Thermal endurance properties

Part 3:

Instructions for calculating thermal endurance characteristics

IDT

JIS C 2143-4-3

  電気絶縁材料−熱的耐久性−第

4-3

部:劣化処理オーブン−マルチチャンバオーブン

注記

対応国際規格:IEC 60216-4-3

Electrical insulating materials

Thermal endurance properties

Part

4-3: Ageing ovens

Multi-chamber ovens

MOD

JIS C 2143-5

  電気絶縁材料−熱的耐久性−第

5

部:相対熱的耐久性指数(

RTE

)の求め方

注記

対応国際規格:IEC 60216-5

Electrical insulating materials

Thermal endurance properties

Part 5:

Determination of relative thermal endurance index (RTE) of an insulating material

IDT

JIS C 2143-6

  電気絶縁材料−熱的耐久性−第

6

部:固定時間枠法を用いる絶縁材料の熱的耐久性指数

(温度指数及び相対熱的耐久性指数)の求め方

注記

対応国際規格:IEC 60216-6

Electrical insulating materials

Thermal endurance properties

Part 6:

Determinstion of thermal endurance indices (TI and RTE) of an insulating material using the fixed time

frame method

IDT

JIS C 3660-1-2

  電気・光ケーブルの絶縁体及びシース材料の共通試験方法−第

1-2

部:試験法総則−熱

老化試験方法

注記

対応国際規格:IEC 60811-1-2

Common test methods for insulating and sheathing materials of electric

cables

Part 1: Methods for general application

Section Two: Thermal ageing methods

IDT

JIS C 9335

(規格群)  家庭用及びこれに類する電気機器の安全性 

注記

IEC 60335

 (all parts)

Household and similar electrical appliances

Safety

MOD


附属書 JA

(参考)

JIS

と対応国際規格との対比表

JIS C 2143-4-1:2014

  電気絶縁材料−熱的耐久性−第 4-1 部:劣化処理オーブン−シ

ングルチャンバオーブン

IEC 60216-4-1:2006

  Electrical insulating materials−Thermal endurance properties−

Part 4-1: Ageing ovens

−Single-chamber ovens

(I)JIS の規定

(II) 
国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

3

用 語 及

び定義

“ 3.12  標 準 オ ー ブ

ン”は使用していな
いので,定義文を削

 3

3.12

“standard oven”

削除

本体で使用していない用語“標

準オーブン”を削除したもので
あり,技術的差異はない。

IEC

へ提案する。

“3.14A  暴露用チャ

ンバ”の定義を追加
し,16 項目を規定

 3

15

項目を規定

追加

本体で用いている用語“暴露用

チャンバ”を追加したものであ
り,技術的差異はない。

IEC

へ提案する。

5

要 求 性

5.3

温度変量

“3 時間の連続運転

の間における”を追

 5.3

JIS

にほぼ同じ。

追加

表 2 の条件を明確にするために

追加した。

IEC

へ提案する。

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 60216-4-1:2006,MOD

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。

    −  追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
    −  削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。

    −  MOD……………  国際規格を修正している。

14

C 21

43-

4-1


20
14