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C 2139

:2008

(1)

目  次

ページ

序文

1

1

  適用範囲

1

1A

  引用規格

1

2

  用語及び定義

1

3

  一般的事項

2

4

  電源

3

5

  測定方法及び精度

3

5.1

  測定方法

3

5.2

  精度

4

5.3

  ガード

4

6

  試験片

5

6.1

  体積抵抗率

5

6.2

  表面抵抗率

5

7

  電極材料

6

7.1

  一般

6

7.2

  導電性銀塗料

6

7.3

  吹付け金属

6

7.4

  蒸着又はスパッタ金属

6

7.5

  液体電極

6

7.6

  コロイド状の黒鉛

7

7.7

  導電性ゴム

7

7.8

  金属はく(箔)

7

8

  試験片の取扱い及び設定

7

9

  状態調節

7

10

  試験手順

8

10.1

  体積抵抗

8

10.2

  表面抵抗

8

11

  計算

8

11.1

  体積抵抗率

8

11.2

  表面抵抗率

9

11.3

  再現性

9

12

  報告

9

附属書 A(参考)測定方法及びその精度の例

15

附属書 B(参考)有効面積 及び有効縁周長 の計算式

18

附属書 JA(参考)受動ガード及び能動ガード

19


C 2139

:2008  目次

(2)

ページ

附属書 JB(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

23

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


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まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人電気学会(IEEJ)及び財団法人日本規

格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会

の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。


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(4)

白      紙


日本工業規格

JIS

 C

2139

:2008

固体電気絶縁材料−

体積抵抗率及び表面抵抗率の測定方法

Solid electrical insulating materials

Methods for the determination of volume resistivity and surface resistivity

序文

この規格は,1980 年に第 2 版として発行された IEC 60093 を基に作成した日本工業規格であるが,我が

国の実情に合わせて技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。

対応国際規格には,引用規格の箇条がないため,この規格においては箇条 1A として追記した。

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,

附属書 JB に示す。

1

適用範囲

この規格は,固体電気絶縁材料の体積抵抗及び表面抵抗の測定手順並びに体積抵抗率及び表面抵抗率を

求めるための計算方法について規定する。

体積抵抗及び表面抵抗の測定は,ともに次の要因の影響を受ける。すなわち,印加電圧の大きさ及び印

加時間,電極の材質及び形状,並びに状態調節時及び測定時における試験片及び周囲環境の温度・湿度で

ある。この規格は,これらの要因についても規定している。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 60093:1980

,Methods of test for volume resistivity and surface resistivity of solid electrical

insulating materials (MOD)

なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,修正していることを示

す。

1A

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

IEC 60212

,Standard conditions for use prior to and during the testing of solid electrical insulating materials

2

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

2.1

体積抵抗(volume resistance

試験片の対向する二つの面上に置いた二つの電極間に印加した直流電圧を,電極間に流れる定常状態の


2

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電流で除した値。表面に沿って流れる電流を含めず,試験片と電極との界面で起こり得る分極現象は無視

する。

注記  特に規定がない限り,一般に体積抵抗は,課電(electrification) 1 分後に測定する。

2.2

体積抵抗率(volume resistivity

絶縁材料内の直流電界の強さを,定常状態の電流密度で除した値。実際には,体積抵抗を単位体積の立

方体に換算したものである。すなわち,単位体積の立方体の対向する二つの平行平面に電極を形成して測

定した体積抵抗に相当する。

注記  体積抵抗率の国際単位系(SI)は,オームメートル(Ω・m)である。実際には,“オームセンチメ

ートル(Ω・cm)

”の単位も用いる。

2.3

表面抵抗(surface resistance

試験片の一つの面上に置いた二つの電極間に印加した直流電圧を,規定の課電時間後に電極間を流れる

電流で除した値。試験片と電極との接触部分で起こり得る分極現象は,無視する。

注記 1  特に規定がない限り,一般に表面抵抗は課電 1 分後に測定する。

注記 2  一般に,電流は,主に試験片の表面層及び表面層に付着する水分,並びに表面の汚染物を通

って流れるが,試験片の内部を流れる成分も含まれる。

2.4

表面抵抗率(surface resistivity

絶縁材料の表面層における直流電界の強さを,電極の単位長さ当たりの電流で除した値。実際には,試

験片表面上の正方形の面に換算した表面抵抗である。すなわち,電極長さと電極間げきとを等しくした正

方形の面で測定した表面抵抗に相当する。ここで,正方形の寸法の大小は関係しない。

注記  表面抵抗率の国際単位系(SI)は,オーム(Ω)である。

2.5

電極(electrodes

測定する試験片に接触する,規定の形状,寸法及び配置の導体。

注記  一般に用いる絶縁抵抗(insulation resistance)は,試験片と接触する二つの電極間に印加した直流

電圧を,電極間の全電流で除した値である。絶縁抵抗は,試験片の体積抵抗及び表面抵抗の両

方に依存する(IEC 60167 を参照)

3

一般的事項

3.1

絶縁材料は,一般に電気機器・系統の部品相互間の絶縁及び大地からの絶縁のために用いる。固体

絶縁材料は,部品を機械的に保持する役目も担っている。これらの目的のために,固体絶縁材料は,一般

にできるだけ高い絶縁抵抗をもち,同時に適切な機械的性質,化学的性質及び耐熱性を併せて備えている

ことが望ましい。

表面抵抗は,湿度によって極めて急速に変化する。一方,体積抵抗は,変化は緩慢であるが,最終的な

変化は表面抵抗より大きい。

3.2

体積抵抗率は,特定の用途に応じて絶縁材料を選択するときの補助手段に利用できる。温度及び湿

度による体積抵抗率の変化は大きい。

このことは,

実使用条件を規定する場合に認識しておく必要がある。

材料の不均一性は,材料の品質に影響を及ぼすことがある。そのような観点から,他の方法では検査が


3

C 2139

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困難な場合に,製造工程及び導電性不純物の混入に起因する材料の不均一性を調べる目的で,体積抵抗率

の測定が行われることがある。

3.3

試験片に密着している電極間に直流電圧を印加したとき,流れる電流は定常状態の値に向かって漸

近的に減少する。時間とともに電流が減少するのは,誘電分極及び移動性イオンの電極への移動による。

体積抵抗率が約 10

10

Ω・m(10

12

 Ω・cm)未満の材料の場合は,一般に 1 分以内に定常状態に達する。したが

って,抵抗は,この課電時間経過後に測定する。体積抵抗率がより高い材料の場合は,電流の減少が数分

間,数時間,数日間,又は場合によっては数週間続くことがある。このような材料には,より長い課電時

間を適用する。適切と判断した場合,このような材料については,体積抵抗率の時間依存性によって特性

を記述する。

3.4

表面抵抗は,ほとんどの場合,多少体積抵抗成分が測定に含まれるため,正確には測定できず,お

よその測定となる。測定値は,大部分が測定時の試験片表面の汚染物の特性である。しかし,試験片の誘

電率は汚染物のたい(堆)積に影響を及ぼし,汚染物の導電性は試験片の表面の特性に影響する。したが

って,表面抵抗率は通常の概念での材料の特性ではないが,汚染物が含まれた場合の材料特性として考え

ることができる。

積層品のようなある種の材料は,表面層と内部とでは全く異なった抵抗率をもっている場合がある。し

たがって,清浄な表面の真の特性を測定することが重要となる。再現性がある結果を得るために,表面特

性に影響する可能性がある溶剤及びその他の要因に十分配慮し,試験片の表面を清浄にするすべての手順

を規定することが望ましい。

特に表面抵抗が高い場合,測定値が不規則に変化することがあり,一般に課電時間に強く依存する。多

くの測定において,課電時間は,通常 1 分間と規定している。

4

電源

電源として,十分安定な直流電圧源が必要である。電源は,電池又は整流器を用いた安定化電源のいず

れかを用いる。

電源の安定度は,

電圧の変動による電流の変化が測定電流に対して無視できる程度とする。

一般に,試験片に印加する規定の試験電圧は,100 V,250 V,500 V,1 000 V,2 500 V,5 000 V,10 000

V 及び 15 000 V とする。このうち 100 V,500 V 及び 1 000 V の試験電圧を用いることが多い。

試験片の抵抗は,印加電圧の極性に依存する場合がある。

抵抗が極性に依存する場合は,そのことを明示することが望ましい。この場合,測定結果として,二つ

の抵抗値の幾何平均(対数の算術平均)を用いる。

試験片の抵抗は,電圧に依存するため,試験電圧を記載することが望ましい。

5

測定方法及び精度

5.1

測定方法

高抵抗の測定に通常用いる方法は,直接法又は比較法のいずれかである。

直接法は,未知の抵抗に印加した直流電圧及びその抵抗に流れる電流を同時に測定する方法である(電

圧計−電流計法)

比較法は,既知の抵抗に対する未知の抵抗の比をブリッジ回路を用いて比較する(ブリッジ法)か,又

は一定の電圧によって抵抗を流れる電流の比較(電流比較法)のいずれかによって求める方法である。

これらの原理を説明する測定回路の例を,

附属書 に示す。

電圧計−電流計法では,適切な精度の電圧計が必要となるが,この測定方法の感度及び精度は,主とし


4

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て電流測定装置である検流計,微小電流計又はエレクトロメータ(電子電圧計)の性能によって決まる。

ブリッジ法は,ゼロ点の表示器としてだけ高い感度をもつ検出器が必要となり,精度は,主として既知

の比例辺抵抗によって決まる。すなわち,比例辺抵抗の抵抗値が広い範囲にわたって高い精度及び安定度

をもつことによって高い測定精度が得られる。

電流比較法の精度は,既知の抵抗の精度,並びに基準抵抗器などを内蔵する電流測定器の安定性及び直

線性によって決まる。

抵抗値が 10

11

 Ω 未満の場合は,電圧計−電流計法に検流計を用いる 10.1 の方法が適している。抵抗値が

10

11

 Ω 以上の場合は,微小電流計又はエレクトロメータを用いることが望ましい。

ブリッジ法では,短絡試験片の電流(短絡電流)を直接測定することはできない(10.1 参照)

電流測定装置を利用する方法は,

電流の自動記録ができるため定常状態の判定が容易となる

10.1 参照)

高抵抗の測定には,特殊な回路及び装置を用いる。これらが十分な精度及び安定度をもつことを前提と

して,必要に応じて試験片を適切に短絡し,課電前に流れる電流を測定できるものを用いた方がよい。

5.2

精度

測定装置は,未知の抵抗値を,抵抗値が 10

10

  Ω 未満の場合は精度±10  %以内で,抵抗値が 10

10

  Ω 以上

の場合は精度±20  %で決定できることが望ましい(

附属書 参照)。

5.3

ガード

測定回路の絶縁に用いる材料は,試験する絶縁材料と同等の特性をもつ場合が多い。このような状態の

下では,絶縁特性の測定における誤差は,次の二つの要因によって生じる。

a)

外部からの電圧によって誘起される漏れ電流。この電流は,通常大きさが定まらず,また,散発的で

ある。

b)

試験片の抵抗,比較用の基準抵抗又は電流測定装置の絶縁物にそれぞれ並列に,これらに用いる絶縁

材料によって形成される不要な電流経路。その経路の抵抗値は不明で,しばしば変動する。

注記  測定回路用部品,電極支持物,端子などには必ず絶縁材料が用いられており,これらの表面

及び内部を経路として漏れ電流が流れ,測定誤差の原因となる。

測定回路を構成するすべての部品の絶縁抵抗をできるだけ高くすることによって,漏れ電流を少なくす

ることができる。しかし,この場合には通常測定装置の取扱いが難しくなり,また,絶縁抵抗が数 10

8

  Ω

以上の試料を測定する場合には,適切ではない。漏れ電流の影響をほぼ完全に取り除くには,ガードの技

術を用いることが有効となる。

ガードを有効に行うためには,誤差の原因となる漏れ電流を取り除くためのガード導体を,漏れ電流が

流れる可能性があるすべての絶縁部に設ける。多数のガード導体をすべて互いに接続してガードシステム

を構成し,一対の測定端子と併せて 3 端子回路を形成する。ガードシステムを適切に接続することによっ

て,漏れ電流を測定したい電流から分離して,測定回路から取り除くことができる。ガードを施した回路

要素(試験片,標準抵抗など)よりも,測定端子とガードシステムとの間の絶縁抵抗(ガード導体上に設

置された電極の支持絶縁物の絶縁抵抗など。

図 JA.2 参照)がはるかに低い場合でも,漏れ電流は,測定回

路からガード導体に分流する。

その結果として,

試験片の抵抗だけが測定端子間の唯一の電流経路となる。

このような方法によって,測定誤差が発生する可能性はかなり減少する。体積抵抗及び表面抵抗の測定に

用いるガード電極の基本的な接続を,

図 1 a)  及び図 1 b)  に示す。

電流測定におけるガードシステムの適切な用い方を,

図 及び図 に示す。これらの図に示すように,

ガードシステムは,電源と電流測定装置とを結ぶ点に接続する。ホイートストンブリッジ法におけるガー

ドシステムを,

図 に示す。この図では,ガードシステムは,二つの低抵抗を結ぶ点に接続している。す


5

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べての場合において効果を発揮させるため,ガードは完全でなければならない。また,測定者は適切にガ

ードシステムを調整できなければならない。

ガード導体とガードされた端子との間に存在する電池作用,接触電位差又は熱起電力については,これ

らがあまり大きくなければ,補償で対処できる。測定するときは,このような起電力又は電位差に注意し

て,誤差を生じないようにしなければならない。

電流測定における誤差は,ガードされた端子とガード系との間の抵抗によって,電流測定装置へ流れる

べき電流が分流されることによっても生じる。

注記  例えば,図 の場合は,電圧計及び標準抵抗が接続されている試験片表面の主電極とガード導

体(ガード電極を含む。

)との間の抵抗である。

したがって,この抵抗は,電流測定装置の入力抵抗の 10 倍以上,できれば 100 倍以上高い値であること

が望ましい。幾つかのブリッジ法では,ガード導体と測定端子とがほぼ同電位になるため,漏れ電流は発

生しない。しかし,ブリッジに内蔵されている標準抵抗には,ガードされていない端子とガードシステム

との間の抵抗によって分流経路が形成されている。

注記  例えば,図 の場合は,対電極(高圧側電極)からガード電極までの間を試験片表面に沿って,

又は試験片内部を通って流れる漏れ電流に対応する抵抗である。

したがって,この抵抗は,比例辺の抵抗(例えば,

図 中の R

B

)の値の 10 倍以上,できれば 100 倍以

上高い値であることが望ましい。

測定装置の動作が満足できるものであることを確認するために,まず電源電圧から試験片までのリード

を接続しない状態で測定するとよい。このとき,装置がその測定感度内で無限大の抵抗値を示せば,ガー

ドが適切に機能していると判断できる。

既知の適切な標準抵抗があれば,測定装置の動作を確認するために用いてもよい。

現在広く用いられている能動ガードについての説明を,

附属書 JA に示す。

6

試験片

6.1

体積抵抗率

体積抵抗率の測定に用いる試験片は,表面を流れる電流の影響による誤差を防ぐための第 3 電極(ガー

ド電極)を備えた実用的な形状のものを用いてもよい。表面に沿って流れる漏れ電流が無視できる試験片

で,ガード電極を省いても体積抵抗の測定結果に与える影響が無視できることが明らかな場合に限り,ガ

ード電極を省いてもよい。

試験片表面上の主電極(ガード電極でガードされた電極)とガード電極との間げきは,幅を一定にし,

また,表面の漏れ電流による測定誤差が生じない範囲で,できるだけ狭くすることが望ましい。通常,実

用上の最小間げきは,1 mm である。

3 種類の電極による電極配置の例を,図 及び図 に示す。

体積抵抗の測定では,電極 1 は主電極,電極 2 はガード電極,電極 3 は対電極(ガードされていない電

極)である。主電極の直径 d

1

図 2)又は長さ l

1

図 3)は,試験片の厚さ の 10 倍以上,実用上は通常

25 mm 以上が望ましい。対電極の直径 d

4

又は長さ l

4

,及びガード電極の外径 d

3

又はガード電極の外側の端

間距離 l

3

は,ガード電極の内径 d

2

又はガード電極の内側の端間距離 l

2

に試験片の厚さ の 2 倍を加えた寸

法以上にすることが望ましい。

6.2

表面抵抗率

表面抵抗率の測定に用いる試験片は,その内部を流れる電流の影響による誤差をガードするための第 3


6

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電極(ガード電極)を備えた実用的な形状のものを用いてもよい。

電極配置は,

図 及び図 に示す 3 種類の電極によるものが望ましい。電極 1(主電極),電極 3(ガー

ド電極)及び電極 2(対電極)を用いて,電極 1 と電極 2 との間の表面間げきの抵抗を直接測定する。測

定した抵抗は,電極 1 と電極 2 との間の表面抵抗及び同じ 2 電極間の体積抵抗を含んでいる。適切な電極

寸法を用いた場合は,体積抵抗の影響は雰囲気条件及び材料特性の広い範囲にわたって無視できる。

図 2

及び

図 の電極配置では,試験片表面の電極間げき が試験片の厚さの 2 倍以上ある場合に,この条件が

満足される。通常,実用上の最小間げきは 1 mm である。主電極の直径 d

1

又は長さ l

1

は,試験片の厚さ h

の 10 倍以上にすることが望ましく,通常,実用上は 25 mm 以上が望ましい。

適切な寸法の真っすぐな電極又はその他の電極配置を用いてもよい。

注記  表面抵抗率の計算値は,試験片の内部を通って流れる電流が影響するため,試験片及び電極の

寸法に強く依存する。したがって,比較試験用には,d

1

=50 mm,d

2

=60 mm,d

3

=80 mm の

2

の電極配置による同一形状の試験片を用いるとよい。

7

電極材料

7.1

一般

絶縁材料に用いる電極は,容易に使用でき,試験片の表面に密着しやすく,電極の抵抗又は試験片の汚

染物による明らかな誤差を生じることがない材料であることが望ましい。電極材料は,試験時の雰囲気条

件の下で耐食性があるものが望ましい。

使用可能な代表的な電極材料を,次に示す。電極は,規定する形状及び寸法の適切な裏打ち板とともに

用いる。

異なる 2 種類の電極材料又は 2 種類の電極形成の方法を試験的に用いて,明らかな誤差が生じるかどう

かを調べることが有益となる。

7.2

導電性銀塗料

市販されている自然乾燥用又は低温焼付け用の高導電性銀塗料は,いずれも十分に多孔質で,塗膜を通

して水分が拡散できるので,電極形成後に試験片の状態調節ができる。これは,温度依存性と同様に抵抗

の湿度に対する依存性を調べる場合に特に有用な特性である。

導電性銀塗料を電極材料に用いる前に,塗料の溶剤が試験片の電気的諸特性に影響を及ぼさないことを

確認しておくことが望ましい。細い毛の筆を用いると,電極の端部を適切,かつ,滑らかに仕上げられる。

円形の電極の場合は,より明りょうな輪郭に仕上げるために,電極の円周をコンパスを用いて描き,その

円の中を筆で塗るとよい。電極形成用の塗料を吹き付けて塗布する場合には,適切なマスクをクランプで

試験片表面に密着させて用いるとよい。

7.3

吹付け金属

金属材料が試験片に十分に密着する場合には,吹付け金属によって電極を形成してもよい。薄く吹き付

けた金属は,吹付け形成を行った直後でも直ちに使用できる利点がある。この電極は,十分に多孔性で,

電極形成後に試験片を状態調節できる。ただし,このことは前もって確認することが望ましい。電極 1 と

電極 2 との間の間げきを形成するために,クランプで試験片表面に密着させるマスクを用いるとよい。

7.4

蒸着又はスパッタ金属

蒸着又はスパッタ金属は,7.3 と同様の条件で用いてもよい。ただし,試験する材料がイオンの衝撃又は

真空処理によって影響を受けないことを前もって確認する必要がある。

7.5

液体電極


7

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(対応国際規格では,液体金属の用い方を規定しているが,一般に金属としては水銀を用いており,我

が国ではこれらの金属を用いることができないので,不採用とした。

7.6

コロイド状の黒鉛

水又は他の適切な媒体に分散したコロイド状の黒鉛は,7.2 と同じ条件で用いてもよい。

7.7

導電性ゴム

導電性ゴムは,電極材料として用いてもよい。導電性ゴムの電極は,試験片への取付け及び取外しが素

速く簡単にできる利点がある。この電極は,測定をするときにだけ取り付けるので,試験片の状態調節を

妨げない。導電性ゴム材料は,適度な圧力,例えば,2 kPa(0.2 N/cm

2

)を加えたとき試験片と確実に接触

するように,十分柔らかいものを用いる。

7.8

金属はく(箔)

金属はくは,体積抵抗測定用の電極として試験片表面にはり付けて用いてもよいが,表面抵抗の測定に

は適さない。一般には,アルミニウム及びすず(錫)のはくを用いる。これらの金属はくは,粘着剤とし

てできるだけ小量のワセリン,シリコーングリース,油又は他の適切な材料を用いてはり付ける。次の組

成及び質量相対比で調合して得られるゼリー状物が,導電性粘着剤として適している。

分子量 600 の無水ポリエチレングリコール 800

    200

軟石けん(調剤用)

  1

塩化カリウム

  

10

電極は,できるだけしわができないように,滑らかに圧力を加えてはり付ける。例えば,指先でこする

のもよい方法である。はく電極の端の方に押し出された余分な粘着剤は,清浄で柔らかいティッシュペー

パなどでふき取る。この方法は表面が十分に滑らかな試験片にだけ使用できる。十分に注意を払って作業

すれば,この方法で粘着剤の層を 2.5 µm 以下に薄くすることができる。

8

試験片の取扱い及び設定

電極間又は測定電極と接地との間の漏れ電流が,測定装置の読みに大きな影響を与えないことが重要で

ある。測定時における電極の形成又は取付け,試験片の取扱い及び試験片の測定装置への取付けには十分

注意し,測定結果に悪影響を与える漏れ電流経路の形成を極力避けなければならない。

表面抵抗を測定する場合,当事者間の合意又は明確な規定がない限り,表面をクリーニングしてはなら

ない。測定する表面部位には,同一材料の他の試験片の,人が手を触れていない表面以外は,一切触れさ

せてはならない。

9

状態調節

試験片に対して行う状態調節は,試験する材料によって決まり,個別製品規格で規定することが望まし

い。

推奨する状態調節の条件は,IEC 60212 の規定による。相対湿度の調整には,各種の塩溶液を用いる方

法,恒温恒湿槽を用いる方法などがある。

体積抵抗率及び表面抵抗率は,いずれも温度変化に特に敏感である。その変化は,指数関数的である。

したがって,体積抵抗及び表面抵抗は,規定の状態の下で測定する必要がある。絶縁体内部への水の吸収

が比較的緩慢な過程であることから,体積抵抗への湿度の影響を測定する場合には,状態調節には長時間

を必要とする。水の吸収は,通常,体積抵抗率を低下させる。試験片の中には,吸湿平衡状態に到達する


8

C 2139

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までに数箇月を要するものがある。

10

試験手順

対応する個別製品規格で規定する数量の試験片を,

箇条 6

箇条 7

箇条 及び箇条 に従って準備する。

試験片及び電極の寸法,並びに試験片表面上の間げき を,精度±1  %以内で測定する。薄い試験片で

は,特別な場合,個別製品規格で異なった測定精度を規定していることもある。

体積抵抗率の測定では,対応する個別製品規格に従って,各試験片表面上の主電極の下になる領域にわ

たって,均一に分布する測定点から平均厚さを求める。

注記  薄い試験片では,厚さの測定は電極を形成する前に行うのがよい。

通常,抵抗は,状態調節のときに用いたのと同じ湿度(液中浸せきによる状態調節を行う場合を除く。

及び温度において測定するのがよい。ただし,状態調節が終了した後,規定の時間内に測定すれば十分な

場合もある。

10.1

体積抵抗

体積抵抗を測定する前に,試験片の帯電などを除いた定常状態にする。すなわち,試験片の電極 1(主

電極)及び電極 3(対電極)

図 1 a)]を電流測定装置を通して短絡し,短絡回路の電流を測定する。その

間,電流測定装置の感度を必要に応じて増す。短絡電流が,課電時に予測できる定常電流に比べて十分小

さい一定の値に達するか,又はその方が適切な場合は課電後 100 分を経過するまで測定を続ける。短絡電

流の極性は反転することがあるので,たとえ電流が小さくなってゼロに達しても,しばらく回路の短絡状

態を維持することが望ましい。短絡電流 I

0

の大きさ及び極性は,それが最終的に一定となるのを待って記

録する。一定になるまでには,数時間を要する場合がある。

その後,試験片の電極の間に規定の直流電圧を印加し,同時に計時装置を作動する。他に規定がない限

り,課電から 1 分,2 分,5 分,10 分,50 分及び 100 分の各段階の経過時間後に測定する。連続した 2 段

階の測定で同じ結果が得られたとき試験を終了し,その測定値を用いて体積抵抗を計算する。最初に前段

階と同じ測定値が得られるまでの課電時間を記録する。100 分以内に定常状態に到達しない場合は,体積

抵抗を課電時間の関数として報告する。

受入試験では,一定の課電時間後の値,例えば,対応する個別製品規格の規定として 1 分間を用いる。

10.2

表面抵抗

試験片表面の測定電極[

図 1 b)  の電極 1(主電極)及び電極 2(対電極)]に規定の直流電圧を印加し,

電極間の抵抗を測定する。抵抗は,電流が必ずしも時間内に定常値に到達しなくても,課電 1 分後に測定

する。

11

計算

11.1

体積抵抗率

体積抵抗率は,次の式によって求める。

h

A

R

ρ

×

=

x

ここに,

ρ: 体積抵抗率(Ω・m 又は Ω・cm)

R

x

10.1

によって測定した体積抵抗(Ω)

A: 主電極の有効面積(m

2

又は cm

2

h: 試験片の平均厚さ(m 又は cm)


9

C 2139

:2008

特定の電極配置の有効面積 を計算する式を,参考として

附属書 に示す。

高抵抗の材料の中には,課電前の短絡電流 I

0

10.1 参照)が課電中の定常状態の電流 I

s

に比較して無視

できないものがある。その場合は,体積抵抗は,次の式によって求める。

(

)

0

s

x

x

I

I

U

R

±

=

ここに,

R

x

体積抵抗(Ω)

U

x

印加電圧(V)

I

s

課電時間中の定常状態の電流,又は課電時間中に電流が
変化する場合は 1 分,10 分及び 100 分後の電流(A)

I

0

課電前の短絡電流(A)

I

0

が I

s

と同じ極性の場合は負の記号を,異なる方向の場合は正の記号を用いる。

11.2

表面抵抗率

表面抵抗率は,次の式によって求める。

g

p

R

σ

×

=

x

ここに,

σ: 表面抵抗率(Ω)

R

x

10.2

によって測定した表面抵抗(Ω)

p: 用いた特定電極配置の主電極の有効縁周長(m 又は cm)

g: 電極間げき(m 又は cm)

特定の電極配置の有効縁周長 を計算する式を,参考として

附属書 に示す。

11.3

再現性

試験条件による試験片の抵抗のばらつき,及び各試験片ごとの材料の不均一さから,通常,試験結果の

再現性は乏しく,互いに±10  %より近い値は得られない。しばしば更に広範囲にばらつくこともある(明

らかに同等の条件下でも,1 けた程度異なる値となることがある。

類似した試験片の測定値を比較するためには,ほぼ等しい電圧こう配で(電界のもとで)測定しなけれ

ばならない。

12

報告

報告には,少なくとも次の事項を記載する。ただし,h)及び i)は,要求に応じていずれか一方でもよい。

a)

材料の種類及び仕様(名称,等級,色,製造業者など)

b)

試験片の形状及び寸法

c)

電極及びガード電極の,形式,材質及び寸法

d)

試験片の状態調節(クリーニングの方法,予備乾燥,状態調節の時間,湿度,温度など)

e)

試験条件(試験片の温度及び相対湿度)

f)

測定方法

g)

印加電圧

h)

体積抵抗率

1)

一定の課電時間が規定されている場合は,その時間を報告し,個々の結果を求め,体積抵抗率とし

て中央値を報告する。

2)

測定を異なる課電時間後に行ったときは,次のように報告する。

それぞれの試験片が同じ課電時間内に定常状態に達した場合は,個々の値を求め,体積抵抗率とし

て中央値を報告する。同じ課電時間で定常状態に達しない試験片があった場合は,その試験片の数


10

C 2139

:2008

を報告し,これらを除いた試験片で得た結果を報告する。測定結果が課電時間に依存する場合は,

その関係を例えば,グラフの形で報告するか,又は 1 分,10 分及び 100 分後の体積抵抗率の中央値

を報告する。

i)

表面抵抗率  課電 1 分後の個々の値を求め,表面抵抗率として中央値を報告する。


11

C 2139

:2008

電極

各電極の役割

電極

各電極の役割

電極 1

主電極

電極 1

主電極

電極 2

ガード電極

電極 2

対電極

電極 3

対電極

電極 3

ガード電極

          a)  体積抵抗率の測定回路                        b)  表面抵抗率の測定回路

図 1−ガード付き電極を用いる場合の基本回路

図 2−平板試験片測定用のガード付き(端子)電極の配置(例)


12

C 2139

:2008

図 3−管状試験片測定用のガード付き(端子)電極配置(例)


13

C 2139

:2008

7.5

  液体電極の項目を削除したため,この図を削除した。)

図 4−液体電極の構成

表面抵抗測定のときは,

図 1 b)  の回路を用いる。

注記  A.1 参照。

図 5−体積抵抗測定用の電圧計−電流計法

表面抵抗測定のときは,

図 1 b)  の回路を用いる。

図 6−体積抵抗測定用のホイートストンブリッジ法


14

C 2139

:2008

表面抵抗測定のときは,

図 1 b)  の回路を用いる。

図 7−体積抵抗測定用の電流計法


15

C 2139

:2008

附属書 A

参考)

測定方法及びその精度の例

序文

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。

A.1

電圧計−電流計法

電圧計−電流計法は,電圧計及び電流計を用い,その読みから未知の抵抗の抵抗値を計算する方法であ

り,

図 に示した回路を用いる。印加電圧の値は,直流電圧計を用いて測定する。回路に流れる電流の値

は,電流測定装置として,検流計(現在はほとんど使用されていない。

)又はエレクトロメータ(電子電圧

計)を用いて測定する。

一般に,試験片が充電されている間は,電流測定装置を短絡し,測定装置の損傷を防止することが望ま

しい。

検流計は,感度が高いため,万能分流器(エアトン分流器としても知られている。

)とともに使用する。

未知の抵抗 R

x

は,次の式によって求める。

α

×

=

k

U

R

x

ここに,

R

x

:  未知の抵抗の抵抗値(Ω)

U:  印加電圧(V)

k:  検流計(分流器付き)の感度(A/1 目盛)

α

:  振れの目盛数

検流計を用いて,印加電圧 100 V で,10

10

 Ω∼10

11

Ω 以下の抵抗を,必要な精度で測定できる。

高い入力インピーダンスをもつエレクトロメータは,既知の高抵抗 R

s

を電流経路に挿入することによっ

て電流測定装置として用いることができる。この場合,電流の値は,既知の高抵抗 R

s

による電圧降下,す

なわち R

s

の両端の電位差 U

s

から求める。

未知の抵抗 R

x

は,次の式によって求める。

s

s

x

U

R

U

R

×

=

ここに,

R

x

:  未知の抵抗の抵抗値(Ω)

U:  印加電圧(V)(R

s

R

x

  と仮定する。)

R

s

:  既知の高抵抗の抵抗値(Ω)

U

s

:  R

s

の両端の電位差(V)

抵抗値が異なる多数の既知の抵抗器 R

s

を装置に内蔵し,電流測定装置にアンペア又はその分数単位で目

盛を付けて電流の値を直読できるようにすることも多い。

必要な精度で測定できる抵抗の最大値は,電流測定装置の性能によって決まる。

電位差 U

s

の測定誤差は,電圧計の指示値の誤差,エレクトロメータに内蔵の増幅器のゼロ点のドリフト

及び利得の安定性によって決まる。適切に設計されたエレクトロメータでは,利得の変動は無視できる。

また,ゼロ点のドリフトも十分小さく,測定時間中,測定結果に影響を及ぼさない程度に保つことができ

る。高感度の電子電圧計における指示値の誤差は,一般に指示計器のフルスケール値の±2  %∼±5  %で

ある。また,10

12

 Ω 以下の抵抗についても,同程度の精度のものが入手できる。


16

C 2139

:2008

エレクトロメータが 10

14

 Ω 以上の入力インピーダンスをもち,入力電圧が 10 mV でフルスケールの場合

は,10

14

 A の電流を,約±10  %の精度で測定できる。

非常に高い抵抗値をもつ精密な抵抗器とエレクトロメータとを組み合わせることによって,電圧 100 V

で,10

16

 Ω の抵抗を必要な精度で測定できる。

A.2

比較法

A.2.1

ホイートストンブリッジ法

ホイートストンブリッジ法では,試験片は,

図 に示すホイートストンブリッジの一つの比例辺に接続

する。それぞれ三つの既知の抵抗からなる比例辺には,この種の抵抗にはやむを得ない誤差の許容範囲内

で,なるべく高い抵抗を用いる。通常,抵抗 R

B

は 10 倍ステップで変化し,抵抗 R

A

はブリッジの平衡点の

微調整に用いる。R

N

は,測定時には固定する。検出器は,いずれの比例辺抵抗と比較しても高い入力抵抗

をもつ直流増幅器を備えたエレクトロメータとする。未知の抵抗 R

x

は,次の式によって求める。

A

B

N

x

R

R

R

R

×

=

ここに,  R

A

R

B

及び R

N

図 による。

抵抗の計算値の誤差百分率の最大値は,平衡点検出器の感度が適切ならば,R

A

R

B

及び R

N

の誤差百分

率の和である。抵抗 R

A

及び R

B

が例えば,1 MΩ 以下の巻線抵抗の場合には,これらの抵抗の誤差は無視

できる。非常に高い抵抗を測定するために,抵抗 R

N

の値が例えば,10

9

 Ω の場合には,その抵抗値は±2  %

の精度で既知の必要がある。比 R

B

/

R

A

を求めるときの精度は,平衡点検出器の感度に依存する。未知の抵

抗 R

x

が R

x

R

N

ならば,比

A

B

R

R

r

=

を求めるときの誤差

r

は,次の式から求める。

U

R

I

r

r

x

g

×

=

ここに,

I

g

平衡点検出器の検出限界電流

U: ブリッジの印加電圧

例えば,入力抵抗が 1 MΩ で,入力電圧 10

5

 V に対してフルスケールとなるエレクトロメータを用いる

と,検知できる電流の最小値 I

g

は,フルスケールの 2  %に対応する約 2×10

13

 A になる。この I

g

の値で,

印加電圧 が 100 V,未知の抵抗 R

x

が 10

13

 Ω の場合,

r

/

は,0.02(すなわち,2  %)の値が得られる。

したがって,ホイートストンブリッジ法によって,印加電圧 100 V で,10

14

 Ω 以下の抵抗を必要な精度

で測定できる。

A.2.2

電流計法

電流計法は,

図 に示す回路を用いる。その構成は,A.1 に記載する回路(図 5)に既知の抵抗 R

N

及び

未知の抵抗の短絡用スイッチを加えたものである。このスイッチが未知の抵抗 R

x

の測定に影響しないため

には,開放状態でのスイッチの絶縁抵抗が未知の抵抗 R

x

より十分高いことが重要である。これは,R

x

を銅

線で短絡し,R

x

の測定時には取り除くことによって,簡単に実施できる。一般に,試験片が絶縁破壊を起

こしたときに流れる電流を制限し,電流測定装置を保護するため,回路には常時抵抗 R

N

を入れておくこと

が望ましい。

スイッチを開放し,計器の振れ

α

及び分流比 F

x

に注意しながら,箇条 10 の規定に従って R

x

及び R

N

流れる電流を測定する。分流比は,計器の振れがフルスケールにできるだけ近づくように調節する。その

後,R

x

を短絡し,計器の振れ

α

及び分流比 F

x

に注意しながら R

N

に流れる電流を測定する。分流比は,最

低の感度から始めて,計器の振れがフルスケールにできるだけ近づくように再調整する。印加電圧 が測


17

C 2139

:2008

定中変動しなければ,未知の抵抗 R

x

は,次の式によって求める。

÷ø

ö

çè

æ

×

×

=

1

x

x

N

N

N

x

F

F

R

R

α

α

x

x

N

N

F

F

×

×

α

α

100

ならば,次の近似式を用いてもよい。

÷ø

ö

çè

æ

×

×

=

x

x

N

N

N

x

F

F

R

R

α

α

この方法では,A.1 に記載した電圧計−電流計法とほぼ同じ精度で

R

x

を測定できるが,電流測定装置を

R

N

の測定のときに回路に接続した状態で確認できる利点があり,

0.1

%又はそれ以上の精度を容易に得ら

れる巻線抵抗を用いることによって,

R

x

の測定誤差は無視できる。したがって,

R

x

を流れる電流を測定す

る方法の信頼性はより高くなる。


18

C 2139

:2008

附属書 B

参考)

有効面積 及び有効縁周長 の計算式

序文

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。

ほとんどの場合,主電極の有効面積

A

及び有効縁周長

p

は,次の近似式によって十分な精度で計算でき

る。

B.1

有効面積 A

a

)

円形電極(

図 2

(

)

4

2

1

g

d

π

A

+

=

b

)

長方形電極

(

)(

)

g

b

g

a

A

+

+

=

c

)

正方形電極

(

)

2

g

a

A

+

=

d

)

管状電極

(

)(

)

g

l

h

d

A

+

=

1

0

π

ここに,

  d

0

d

1

g

h

l

1

図 及び図 に示す寸法(

m

又は

cm

a

b

主電極が長方形又は正方形のときの,長さ及び幅

m

又は

cm

B.2

有効縁周長 p

a

)

円形電極(

図 2

(

)

g

d

π

p

+

=

1

b

)

長方形電極

(

)

g

b

a

p

2

2

+

+

=

c

)

正方形電極

(

)

g

a

p

+

= 4

d

)

管状電極

0

d

π

p

=

ここに,

記号の意味は,B.1 と同じ。


19

C 2139

:2008

附属書 JA

参考)

受動ガード及び能動ガード

序文

この附属書は,この規格本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。

この規格は,国際規格への整合を図るため,対応国際規格である IEC 60093 を基にしている。しかし,

IEC 60093

は,

1980

年に第

2

版が制定されてから既に

30

年近くを経過しているが,その間改正は行われ

ていない。

当然,その間に種々の技術的改良が試みられ,より優れた測定技術が開発されている。特に測定精度に

決定的な影響を及ぼすガードの技術に関しては,受動ガードだけが記載され,近年多用されている能動ガ

ードに関しては,全く記載されていない。

そこで,ここに附属書(参考)を設けて,ガード技術全般について解説する。

JA.1

受動ガード

この規格の対象とする絶縁材料の体積抵抗率及び表面抵抗率の測定では,当然のことながら多くの場合

高抵抗を測定対象としなければならない。したがって,ケーブル,測定器の端子などに用いられる絶縁材

料の漏れ抵抗が無視できなくなり,これが原因となって,しばしば大きな測定誤差を生じる。例えば,

10

9

の抵抗を同じ入力抵抗をもつ測定器又はメータで測定しようとすれば,その誤差は

50

%になる。

受動ガードは,漏れ抵抗を通して流れる微小電流を,測定系を通さずに直接接地又は電源に逃がす回路

を設けることによって,誤差を低減する方法である。

 JA.1 にガードのない

2

端子接続を示す。

この測定系では,

試料の抵抗

R

x

と支持絶縁物の漏れ抵抗

AB

R

とが並列接続されるため,

AB

R

の影響は非常に大きく,測定誤差の最大の要因となる。これに対して,同

じ測定対象にガードを設けた場合を

 JA.2 a

)

に示す。

 JA.2 b

)

はその等価回路で,支持絶縁物

D

及び

E

の漏れ抵抗

A

R

及び

B

R

を流れる漏れ電流は,ガード導体を介して接地

(C)

に分流するため,測定誤差は大

幅に低減される。

この規格の

図 及び図 に示すガード付き電極による測定方法は,上に記述した受動ガードの原理に基

づいている。

現在広く用いられている絶縁抵抗計は,受動ガード回路

(G)

を構成できる測定器の代表的な例である。そ

の基本測定回路を

 JA.3 に示す。同図中,

L

H

間に接続されている抵抗

R

x

が被測定抵抗であり,

H

G

間及び

L

G

間の抵抗は,それぞれ端子

H

及び

L

の支持絶縁物の漏れ抵抗である。この回路によれば,支

持絶縁物の漏れ抵抗による電流は,電流計

A

を通らずに電源(高電圧発生装置)に戻されるため,ガード

端子を使用しない場合に比べて測定誤差が大幅に低減される。

なお,高電圧機器では,

 JA.3 の回路のように,しばしば+側を接地して使われるので注意を要する。

JA.2

能動ガード

JA.1

に記述したように,漏れ抵抗に起因する誤差は受動ガードによって十分に低減される。しかし,近

年,高利得,高入力インピーダンス,低出力インピーダンスの演算増幅器が容易に使用できるようになっ

たために,演算増幅器によってガード導体を駆動して,常に測定電流が流れるリード線(信号線)と同電


20

C 2139

:2008

位に保つことによって,漏れ電流を常にほぼゼロにする方法が広く用いられている。これを能動ガード又

はアクティブガードという。

能動ガードには,漏れ抵抗による誤差を低減する働きばかりでなく,信号線とガード導体との間の静電

容量をほぼゼロにする働きがある。実際に測定を行う場合,試料抵抗と測定器とを接続するリード線とし

て比較的低容量のケーブルを使った場合でも,試料抵抗とケーブル容量との積で与えられる時定数が問題

となる。例えば,

10

13

 Ω

の抵抗を

1 m

当たり

100 pF

の容量をもつケーブルを使用して測定する場合,その

時定数(

R

×

C

の値)は単純計算で

1 000

秒となり,非常に長い。特に自動計測の場合には,セットリング

時間(例えば,最終到達値の±

0.001

%までの到達時間)を考慮しなければならず,その値は時定数の

5

10

倍とされている。すなわち,測定時間は

5 000

秒∼

10 000

秒となり,このままの状態では自動計測は

事実上不可能である。

しかし,測定回路のガード導体を,入力インピーダンスが非常に高く,出力インピーダンスが極めて低

い利得が

1

の演算増幅器によって駆動することで,上記の測定時間を少なくとも

2

けた短縮することがで

きる。また,同時に,漏れ抵抗による電流も原理的にはゼロとすることができる。この方法を能動ガード

と呼び,使用される演算増幅器をしばしば“ユニティ

ゲイン

アンプ”と呼ぶ。

能動ガードの概念を明りょうにするために,まず

図 JA.4 a

)

に示すようなガードが施されていない回路

を考える。この図において,

R

x

は試料の抵抗,

RX

V

は流れた電流(図中省略)によって試料抵抗の両端に

現れる電圧,

M

V

は電圧計によって実際に測定された電圧,

R

LKG

はケーブルの絶縁物の漏れ抵抗に電圧計

の入力抵抗を併せて考慮した等価並列抵抗である。

図 JA.4 b

)

は,

 JA.4 a

)

の等価回路である。この図

から明らかなように,試料抵抗の両端に現れる電圧は

R

x

R

LKG

とによって分圧され,測定される電圧

M

V

は,

÷

ø

ö

ç

è

æ

+

=

LKG

x

x

RX

M

R

R

R

V

V

 (JA.1)

となり,

RX

V

よりも小さくなる。この式から,JA.1 に例示したように,

R

x

及び

R

LKG

がともに

10

9

 Ω

なら

ば,誤差は

50

%となることが分かる。また,

R

LKG

1

けた大きく,

10

10

 Ω

の場合にも,

RX

M

909

.

0

V

V

=

なって,

9

%以上の誤差を生じる。

このような難点は,先に述べた演算増幅器(利得

A

1

)を用い,

 JA.5 a

)

に示すような能動ガード回

路を設けることによって,著しく改善される。この回路の等価回路を,

 JA.5 b

)

に示す。

 JA.4 a

)

は,

LKG

R

の一端はケーブルの外部導体と一緒に接地されていたが,

 JA.5 a

)

では,

LKG

R

の一端とケー

ブルの外部導体はともに演算増幅器の出力に接続され,演算増幅器によって駆動される。この増幅器の利

得は

1

であるから,

LKG

R

の両端の電位は常に等しく保たれるため,

LKG

R

を通る漏れ電流は発生しない。

また,演算増幅器の出力インピーダンスは非常に低いため,出力端子に使われた絶縁体を通る漏れ電流は

測定にほとんど影響を与えない。このような能動ガード回路の働きによって,

RX

V

M

V

との値はほとんど

一致し,測定誤差は極めて小さくなる。

さらに,ケーブルの信号線と外部導体との間の電位差も常にゼロに保たれているため,両者の間に電気

力線は発生せず,ケーブル容量は等価的にほとんどゼロとなる。したがって,試料抵抗とケーブル容量と

の積で与えられる時定数は極めて小さくなり,測定時間は短縮され,自動計測が十分に可能となる。

今日の高抵抗測定においては,能動ガードは必す(須)と考えられている。実際,近年市販されている

微小電流計及びエレクトロメータの多くはユニティ

ゲイン

アンプを内蔵し,その出力をガード端子とし

て備えており,容易に能動ガード回路を構成することができる。


21

C 2139

:2008

図 JA.1端子接続(ガードなし)

a

)

b

)

図 JA.2端子接続(受動ガード付き)

図 JA.3−絶縁抵抗計


22

C 2139

:2008

a

)

b

)

図 JA.4−ガードなし測定回路

a

)

b

)

図 JA.5−能動ガード付き測定回路


23

C

 2139


2

008

23

C

 2139


2

008

附属書 JB

参考)

JIS

と対応する国際規格との対比表

JIS C 2139 : 2008

  固体電気絶縁材料−体積抵抗率及び表面抵抗率の測定方法

IEC 60093:1980

,Methods of test for volume resistivity and surface resistivity of solid

electrical insulating materials

(Ⅰ)JIS の規定

(Ⅲ)国際規格の規定

(Ⅳ)JIS と国際規格との技術的差異の箇条

ごとの評価及びその内容

箇条番号

及び名称

内容

(Ⅱ)

国際規格
番号

箇条番号

内容

箇条ごと

の評価

技術的差異の内容

(Ⅴ)JIS と国際規格との技術的差異

の理由及び今後の対策

1A 引用規格  IEC 60212

 

項目がない。 
PREFACE に記載。

追加

IEC 60212

を記載した。

技術的差異はない。

IEC 60212

の引用があるため,項目

を追記し記載した。

2.4 表面抵抗

表面抵抗率の単位
として国際単位系
(SI)を記載。

2.4 

国際単位系(SI)及び“オー
ム毎平方”の単位を記載。

変更

国際単位系(SI)の記載は一致。
“オーム毎平方”の単位の表し

方を削除した。注記であり,規
定事項ではない。

“オーム毎平方”の単位は,便宜的
なものであり,記載の必要はない。 

5.1  測定方法  測定方法を規定。

5.1

測定方法を規定。

変更

“電圧が一定である限り,電流
の正確な値は必要ない。”の部
分を削除した。

電流の比だけを求めるものである
が,比を正しく求めるためには電流
を正確に求める必要がある。

ガードの方法を記
載。

注記を 3 か所追
記。

一致 

追加

 

内容を補足したものであり,技
術的な差異はない。

比例辺の説明を追

記。

追加

内容を補足したものであり,技

術的な差異はない。

附 属 書 JA の 図
JA.2 の 参 照 を 追
加。

追加

規定内容を補足するために附

属書 JA の図の参照を追記した
ものであり,技術的な差異はな
い。

規定内容を補足するために附属書
JA の図の参照を追記した。

5.3  ガード

能動ガードについ
て,附属書 JA の

参照を記載。

5.3

ガードの方法を記載。 
 

追加

能動ガードについて附属書 JA
の参照を記載。

対応国際規格には,近年用いられて
いる能動ガードが含まれていない

ため附属書を設けて参照した。


24

C

 2139


2

008

24

C

 2139


2

008

(Ⅰ)JIS の規定

(Ⅲ)国際規格の規定

(Ⅳ)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

箇条番号 
及び名称

内容

(Ⅱ) 
国際規格
番号

箇条番号

内容

箇条ごと 
の評価

技術的差異の内容

(Ⅴ)JIS と国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策

6  試験片

体積抵抗率及び表

面抵抗率の試験片
を規定。

6

体積抵抗率及び表面抵抗

率の試験片を規定。 
 
電極を“ガードされた電

極”及び“ガードされて
いない電極”と表現。

一致

規定内容は一致している。

 
 
電極をその役割で,“主電極”

及び“対電極”と表現した。 
電極の呼び方を変えたもので
あり,技術的な差異はない。

 
 
電極の役割によって表したもので

あり,我が国では広く用いられてい
る表現である。

7.5  液 体 電
 

内容を削除した。 
関連して,対応国

際規格にある図 4
を削除した。

7.5

液体による電極の形成方
法及び水銀を用いる場合

の注意事項を規定。

削除

項目の内容を削除した。

一般に電極の材料として水銀を用
いているが,我が国では水銀を用い

ることができない。

9  状態調節 

湿度調節の方法の
例を記載。

9

相対湿度の調整方法とし
て IEC 60260 を引用。

変更

IEC 60260

の規定を削除し,湿

度調節の方法の例を記載した。

IEC 60260

は,現在廃止されている

ため削除した。

図 1

測定回路の図を記
載。

測定回路の図を記載。 
 

電極の記号を“①”のよ
うに記載。

追加 
 

一致

各電極の役割を表として記載
したものであり,技術的な差異
はない。

他の図に合わせた記号の変更
であり,技術的な差異はない。

図 5 及び図 7  測定回路の図を記

載。

測定回路の図を記載。

変更

ガードの範囲を追加した。

試験片までをガードすることが一

般的であるため追記した。

図 6

測定回路の図を記

載。

測定回路の図を記載。

変更

ガードを追加した。

本来ガードが必要であるため追記

した。

附属書 A(参

考)  測定方
法 及 び そ の
精度の例

一致

 
 

 
 


25

C

 2139


2

008

25

C

 2139


2

008

(Ⅰ)JIS の規定

(Ⅲ)国際規格の規定

(Ⅳ)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

箇条番号 
及び名称

内容

(Ⅱ) 
国際規格
番号

箇条番号

内容

箇条ごと 
の評価

技術的差異の内容

(Ⅴ)JIS と国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策

附属書 B(参

考)  有効面
積 及び有
効 縁 周 長 p

の計算式

一致

附属書 JA

(参考)  受
動 ガ ー ド 及
び 能 動 ガ ー

追加

国際規格制定後の新しい技術

を含めて,ガード技術全般につ
いて参考として追加した。

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 60093:1980,MOD

 
注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。

    −  一致……………… 技術的差異がない。 
    −  削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。

    −  追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
    −  変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。

    −  MOD………………  国際規格を修正している。 

参考文献

IEC 60167

Methods of test for the determination of the insulation resistance of solid insulating materials