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C 2134

:2007 (IEC 60112:2003)

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人電気学会

(IEEJ)

/財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出が

あり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS C 2134 : 1996 は改正され,この規格に置き換えられる。

改正に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC 60112 : 2003,Method for the

determination of the proof and the comparative tracking indices of solid insulating materials

を基礎として用いた。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。

JIS C 2134

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(参考)  個別製品規格で考慮すべき要因

附属書 B(参考)  電極材料の選択


C 2134

:2007 (IEC 60112:2003)

目  次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

2

4.

  原理

2

5.

  試験片

3

6.

  試験片の状態調節

4

6.1

  環境条件

4

6.2

  試験片の表面状態

4

7.

  測定装置

4

7.1

  電極

4

7.2

  測定回路

6

7.3

  測定溶液

7

7.4

  滴下装置

7

7.5

  試験片支持台

7

7.6

  電極装置の取付

7

8.

  測定手順

8

8.1

  一般的事項

8

8.2

  準備

8

8.3

  測定手順

8

9.

  浸食の測定

8

10.

  保証トラッキング指数  (PTI)  の測定

9

10.1

  手順

9

10.2

  報告

9

11.

  比較トラッキング指数  (CTI)  の測定

9

11.1

  一般

9

11.2

  100 滴の測定における耐電圧値の測定

10

11.3

  50 滴における最高耐電圧の測定

10

11.4

  報告

11

附属書 A(参考)個別製品規格で考慮すべき要因

13

附属書 B(参考)電極材料の選択

14


日本工業規格

JIS

 C

2134

:2007

(IEC 60112

:2003

)

固体絶縁材料の保証及び比較トラッキング指数の

測定方法

Method for the determination of the proof and the comparative tracking

indices of solid insulating materials

序文  この規格は,2003 年に第 4 版として発行された IEC 60112,Method for the determination of the proof and

the comparative tracking indices of solid insulating materials

を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更す

ることなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。

1.

適用範囲  この規格は,固体絶縁材料の保証及び比較トラッキング指数を測定するために,機器の一

部から採取した試験片及び成形板材料に対して交流電圧を用いて行う測定方法について規定する。

この規格は,浸食の測定が必要な場合のために,浸食の測定方法についても規定する。

備考1.  保証トラッキング指数は,材料及び加工部品の品質管理手段としてはもちろん,製品受入れ

の場合の基準としても使用できる。比較トラッキング指数は,主として材料の基本的特性及

びその比較に使用する。

この規格の測定結果は,電気機器を設計するとき,安全沿面距離の決定に直接使用することはできない。

備考 2.  この測定は,高湿度環境下で使用する可能性のある機器に用いられる材料を,耐トラッキン

グ性が比較的低い材料と,中程度又は良好な材料とに区別する。

屋外で使用する材料の性能評価には,この規格で規定するよりも高い電圧と大きな試験片

とを用いて,長時間のより厳しい条件による測定が必要である(IEC 60587 の斜面平板測定

方法参照)

。傾斜平板方法など他の測定方法で得られる材料の順位は,この規格で規定してい

る滴下測定で得られる結果の順位とは異なる場合がある。

3.

この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

IEC 60112 : 2003

,Method for the determination of the proof and the comparative tracking indices of

solid insulating materials (IDT)

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発効年又は発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格

の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。

JIS K 7151 : 1995

  プラスチック−熱可塑性プラスチック材料の圧縮成形試験片

備考  ISO 293 : 1986,Plastics−Compression moulding test specimens of thermoplastic materials がこの


2

C 2134

:2007 (IEC 60112:2003)

規格と一致している。

JIS K 7152-1 : 1999

  プラスチック−熱可塑性プラスチック材料の射出成形試験片−第 1 部:通則並び

に多目的試験片及び短冊形試験片の成形

備考  ISO 294-1 : 1996,Plastics−Injection moulding of test specimens of thermoplastic materials−Part

1 : General principles, and moulding of multipurpose and bar test specimens

が,この規格と一致し

ている。

JIS K 7152-3 : 2006

  プラスチック−熱可塑性プラスチック材料の射出成形試験片−第 3 部:小形角板

備考  ISO 294-3 : 2002,Plastics−Injection moulding of test specimens of thermoplastic materials−Part

3 : Small plates

が,この規格と一致している。

IEC 60589 : 1977

,Methods of test for the determination of ionic impurities in electrical insulating materials by

extraction with liquids

IEC Guide 104 : 1997

,The preparation of safety publications and the use of basic safety publications and

group safety publications

ISO 295 : 1991

,Plastics−Compression moulding of test specimens of thermosetting materials

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

3.1

トラッキング  (tracking)  固体絶縁材料の表面,内部又はその両方に発生する,電界と電解質汚染と

の複合作用によって,導電路が次第に形成されること。

3.2

トラッキング破壊  (tracking failure)  導通部間のトラッキングによる絶縁破壊。

備考  この測定でトラッキング破壊は,試験片の表面,内部又はその両方を 0.5 A 以上の電流が 2 秒

以上流れて過電流継電器が作動することで表示される。

3.3

電気的浸食  (electrical erosion)  放電作用による絶縁材料の損耗。

3.4

気中アーク  (air arc)  試験片表面上の電極間アーク。

3.5

比較トラッキング指数  (comparative tracking index) (CTI)  5 個の試験片が,50 滴滴下の測定期間にト

ラッキング破壊及び持続炎を発生することなく耐える最高電圧の値であって,同時に 100 滴滴下測定時の

材料挙動に関する記述(100 滴滴下測定に耐える最高電圧の値)も含む(11.4 参照)

備考1. CTI に関する基準として,電気的浸食の程度に関する報告が必要なこともある。

2.

非持続炎は,測定中に発生してもトラッキング破壊を生じない限り許容されるが,ほかによ

り重要と考えられる要素がなければ,炎を全く発生しない材料の方が望ましい。

附属書 

参照。

3.6

持続炎  (persistent flame)  疑義がある場合,2 秒以上燃焼するもの。

3.7

保証トラッキング指数  (proof tracking index) (PTI)  5 個の試験片が,50 滴滴下の測定期間中にトラッ

キング破壊及び持続炎を発生させることなく耐えられる保証電圧をボルトで表示した数値。

備考  非持続炎は,測定中に発生してもトラッキング破壊を生じない限り許容されるが,ほかにより

重要と考えられる要素がなければ,

炎を全く発生しない材料の方が望ましい。

附属書 も参照。

4.

原理  試験片の上面をほぼ水平に支持し,二つの電極間に電界を印加する。電極間の表面に,過電流

継電器が作動するか,持続炎が発生するか,又は測定期間が終了するまで電解液を継続して滴下する。

個々の測定は,短時間(1 時間以内)に,試験片の表面上 4 mm 離した白金電極間に 30 秒間隔で 1 滴が

約 20 mg の電解液を滴下し,50 滴又は 100 滴に達するまで行う。


3

C 2134

:2007 (IEC 60112:2003)

測定中,電極間に 100∼600 V の交流電圧を印加する。

測定中,試験片が浸食され又は軟化して,電極が試験片に沈み込んでもよい。

測定中,試験片を貫通して孔があいた場合は,孔の深さ(試験片の厚さ)も共に報告する。再測定は,

更に厚い試験片で行ってもよいが,試験片の厚さの上限は 10 mm とする。

備考  トラッキングによって破壊を生じるまでに要する滴下数は,通常,印加電圧が低下するに従っ

て増加し,電圧の臨界値以下ではトラッキングは発生しなくなる。

5.

試験片  試験片の表面は,測定中に液滴が試験片の縁から流れ出さない程度に十分に余裕がある面積

が確保されているなら,ほぼ平らな面であれば使用してよい。

備考1.  試験片の縁から電解液が流れ出すことがないように,20 mm×20 mm 以上の平らな表面が望

ましい。電解液の流出がない場合には,これより小さい寸法の試験片,例えば ISO 3167 に規

定されているような 15 mm×15 mm の多目的試験片を用いてもよい。

2.

試験片は,測定ごとに別のものを用いるのが望ましい。もし,同じ試験片で何回かの測定を

行う場合には,測定箇所からの飛まつ(沫)及び炎が,測定に用いる他の箇所を汚染しない

よう測定箇所同士が互いに十分に離れていることを確認するのが望ましい。

試験片の厚さは,3 mm 以上とする。少なくとも 3 mm の規定の厚さを得るために,材料の小片を個々に

重ねてもよい。

備考 3.  厚さ 3 mm 以下の試験片で得られた CTI 値は,薄い試験片を通してガラス製支持体への熱伝

導が,より大きくなるため厚い試験片で得られた値とは比較しないほうがよい。そのために,

試験片の積重ねを許容している。

製品規格で特に規定がない限り,試験片は,すりきず,汚損,異物などの表面欠陥がなく,外見上平ら

でざらつきのない表面のものとする。もし,それが不可能な場合,試験片の表面状態が測定結果のばらつ

きを増すことが考えられるので,試験片の表面状態の説明も含めて測定結果を報告する。

製品から適切な試験片を切り出すことができないような製品の一部分を測定する場合には,同じ絶縁材

料の成形板から切り出した試験片を用いてもよい。

これらの場合には,製品の一部分と成形板とが共に可能な限り,同じ製造工程によって作製されたもの

を入手するよう注意することが望ましい。

最終製造工程の詳細が不明な場合には,JIS K 7151JIS K 7152-1JIS K 7152-3 及び ISO 295 に規定す

る方法を適用してもよい。

備考 4.  異なる製造条件及び/又は製造工程の試験片を用いた場合は,PTI 及び CTI 測定で異なるレ

ベルの結果になることがある。

5.

異なる流れ方向に成形された部品は,PTI 及び CTI 測定で異なるレベルの性能を示すことが

ある。

特別な場合には,平らな表面を得るために試験片を研磨してもよい。

材料の何らかの特異性に関連して電極の配置の方向が重要であることが明らかな場合には,測定は,特

異性のある方向及びそれと直交する方向で行う。特に規定がない限り,低い方の CTI を示す方向を報告す

る。


4

C 2134

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6.

試験片の状態調節

6.1

環境条件  特に規定がない限り,試験片は,23  ℃±5  ℃,相対湿度 (50±10) %で 24 時間以上状態

調節をする。

6.2

試験片の表面状態  特に規定がない限り,次のとおりとする。

a)

測定は,清浄な表面について行う。

b)

清浄にするために実施した手順を報告する。その詳細は,できるだけ受渡当事者間で協定する。

備考  ちり,ほこり,指紋,グリース,油,離型剤又はその他の汚染物質が測定結果に影響する。試

験片を清浄にするときに,材料の膨潤,軟化,擦りきず又はその他の損傷を避けるように注意

を払うことが望ましい。

7.

測定装置

7.1

電極  電極は,純度 99 %以上の白金電極を 2 本使用する(附属書 参照)。

2

本の電極は,縦 5 mm±0.1 mm,横 2 mm±0.1 mm の長方形断面で,一端は角度 30°±2°ののみの刃

先状とする(

図 参照)。鋭利な刃先を除去して,幅 0.01∼0.1 mm のほぼ平らな端面が得られるようにす

る。

備考1.  校正済みの接眼鏡を備えた顕微鏡が,端面の寸法の確認に適している。

2.

電極が,特に端面及び角度に関する必要な許容差を維持できるように,測定後には,機械的

手段によって電極を再研磨することが望ましい。

測定開始時に,電極を垂直面内に対称に配置し,電極間の全体の角度を 60°±5°にして,かつ,対向

する電極面は試験片の平らな水平面上とほぼ直角になるようにする(

図 参照)。測定開始時に,試験片の

表面上の 2 本の電極の間隔を 4.0 mm±0.1 mm にする。

単位  mm

1

白金電極

  1  電極


5

C 2134

:2007 (IEC 60112:2003)

単位  mm

1

白金電極

2

黄銅製の延長部分(任意)

3

4

滴下装置の先端部分

5

試験片

6

ガラス製の試験片支持台

  2  電極及び試験片の配置

薄い金属製の長方形のすき間測定器を用いて電極間隔を確認する。電極は,自由に移動でき,また,各

電極が測定開始時に試験片の表面に加える荷重は,1.00 N±0.05 N とする。測定中,試験片の表面に加え

る荷重が初期レベルを維持できるような構造とする。

電極を試験片上に設定するための代表的な配置の一例を

図 に示す。適切な時間間隔で荷重を確認する。

参考  特に図 の左右いずれか一方の電極を左右に移動しながら,電極間隔を微調整できるようにす

ることが望ましい。

 1

白金電極

2

黄銅製の延長部分(任意)

 3

4

滴下装置の先端部分

 5

試験片

6

ガラス製の試験片支持台

  3  代表的な電極の取付及び試験片の保持の例


6

C 2134

:2007 (IEC 60112:2003)

電極の沈み込みが小さい材料だけの測定を行う場合は,ばねを用いて電極の圧着荷重を発生させてもよ

い。ただし,一般の測定装置では,おもりによって荷重を発生させることが望ましい(

図 参照)。

備考 3.  多くの測定装置では,試験片の軟化又は浸食によって電極が沈下した場合,その先端が円弧

を描いて動くため,電極の間隔が変化する。電極の間隔の変化の程度及び変化の向きは,電

極を支持している支点と電極とが接触している試験片面との高さの相対的な位置によって決

まる。電極の間隔が変化することの重要度は,多分に材料の種類に依存し,一概には決めら

れない。構造設計の違いによって測定装置相互間の差異が生じる。

7.2

測定回路  電極間には,周波数が 48∼62 Hz で,100∼600 V の範囲に調整できる正弦波電圧を印加

する。電圧の測定装置は,実効値指示形で誤差が 1.5 %以下のものとする。電源容量は,0.6 kVA 以上とす

る。測定回路の一例を,

図 に示す。

可変抵抗器は,電極短絡時の電流を 1.0 A±0.1 A に調整することができ,また,電圧計が指示する電圧

は,この電流が流れるときに 10 %を超えて減少してはならない(

図 参照)。短絡電流値を測定する計測

器は,誤差が 3 %以下のものとする。

装置への入力電源電圧は,十分に安定していなければならない。

過電流継電器は,実効値が 0.50 A で,相対的許容差±10 %の電流が,相対的許容差±10 %で 2.00 秒持

続したときに動作する。

 1

スイッチ

2

交流電源 100∼600 V

 3

遅延過電流継電器

4

可変抵抗器

 5

電極

6

試験片

  4  測定回路の例


7

C 2134

:2007 (IEC 60112:2003)

7.3

測定溶液

a)

溶液 A  電導率が 1 mS/m 以下の脱イオン水に分析試薬級で純度 99.8 %以上の無水塩化アンモニウム

(NH

4

Cl)

を質量分率で約 0.1 %溶解し,23  ℃±1  ℃における抵抗率が 3.95

Ωm±0.05  Ωm となるよう

にする。

備考  溶液の抵抗率が必要な範囲になるように,塩化アンモニウムの量を選定する。

b)

溶液 B  電導率が 1 mS/m 以下の脱イオン水に分析試薬級で純度 99.8 %以上の無水塩化アンモニウム

(NH

4

Cl)

を質量分率で約 0.1 %,及びナトリウムジブチルナフタレンスルホン酸塩を質量分率で (0.5

±0.002) %溶解し,23  ℃±1  ℃における抵抗率が 1.98

Ωm±0.05 Ωm となるようにする。

備考  溶液の抵抗率が必要な範囲になるように,塩化アンモニウムの量を選定する。

通常は,溶液 を使用するが,より強力な汚染物質が必要な場合は,溶液 B が望ましい。溶液 B を使

用したことを表示するため,CTI 値又は PTI 値の後に文字 “M” を付ける。

測定溶液の電導率は,周波数範囲が 1∼2 kHz の交流電圧で測定する。

その手順は,IEC 60589 に規定されている。

7.4

滴下装置  測定溶液は,30 秒±5 秒の間隔で試験片の表面に滴下する。液滴は,35 mm±5 mm の高

さから,電極間のほぼ中央に滴下する。

試験片上に 50 滴の液滴を滴下する時間は,24.5 分±2 分とする。

液滴を 50 滴連続して滴下したときの質量は,0.997∼1.147 g とする。液滴を 20 滴連続滴下したときの質

量は,0.380∼0.480 g とする。

備考1.  液滴の質量は,適切な実験室用はかりを用いて測定する。

液滴の質量は,適切な時間間隔で確認する。

備考 2.  測定溶液 A の場合,滴下方式にもよるが,滴下装置の先端用としては,一定の長さをもつ外

径が 0.9∼1.2 mm の薄肉のステンレス鋼管(例えば,皮下注射針)が適していることが確認

されている。

測定溶液 B の場合は,実際に使用されている異なる滴下方式のために,外径 0.9∼3.45 mm

の管が必要であることが確認されている。

3.

2

滴連続の滴下,又は滴下の途切れなど,滴下時間間隔の乱れの有無を確認するため,滴下

計数器を備えた滴下検出器の使用が望ましい。

7.5

試験片支持台  測定中の試験片を支持するために,全体の厚さが 4 mm 以上で適切な大きさの 1 枚又

は複数枚のガラス板を使用する。

備考1.  試験片支持台の清浄の問題を避けるために,試験片支持台の上で,試験片のすぐ下に,使い

捨ての顕微鏡用のスライドガラスを置くことが望ましい。

2.

測定溶液の流失を検出するため,ガラス板の縁を取り巻いて,薄い金属はく導体を使用する

ことが有用である。

7.6

電極装置の取付  試験片及び測定に使用する電極は,測定槽内で,実質的に通風のない空間に設置

する。

備考  測定槽内をほぼ煙のない状態に保つため,ある種の材料では,試験片表面及び電極間にわずか

な空気の流れを起すことが必要である。その場合,測定開始前及び可能であれば測定中 0.2 m/s

程度の風速が適切であることが確認されている。槽内の他の場所の風速は,煙の除去をしやす

くするため,更に速くてもよい。風速は,適切な目盛りをもつ熱線式風速計で測定する。

測定後に槽内を安全に換気できるように,適切な排煙装置を備える。


8

C 2134

:2007 (IEC 60112:2003)

8.

測定手順

8.1

一般的事項  材料が実質的に異方性をもつ場合,その特異性に沿った方向及びそれに直角な方向で

測定する。特に規定がない限り,低い値を示す方向の測定結果を使用する。

測定は,周囲温度 23  ℃±5  ℃で行う。

特に規定がない限り,測定は,汚染されていない試験片で行う。

孔があいた場合の測定結果は,試験片の厚さに関係なく有効とみなすが,孔があいたことを,孔の深さ

(試験片の厚さ又は積層厚さ)と共に報告する。

8.2

準備  測定の終了ごとに電極を適切な溶剤で清浄にし,次に純水ですすぐ。必要であれば,次の測

定の前に電極の形状を修復し,最後に次の測定前にすすぎを行う。

必要があれば,測定の直前に電極を冷却して温度を十分に低くし,試験片の特性に悪影響を与えないよ

うにする。

使用する溶液に肉眼で見えるような汚染がないことを確認し,また,溶液の電導率が必要な値に適合し

ていることを,定期検査又は測定直前の測定によって確認する。

備考1.  以前の測定による残留物が滴下装置に残っていると,溶液が汚染される可能性があり,また,

溶液の蒸発によって濃度が高まる。その結果,測定結果が真の値よりも低くなることがある。

このような場合には,各測定前に,機械的若しくは溶剤,又はその両方で滴下装置の外側を

清浄にし,その後,測定に適合する溶液を流して滴下装置の内側を洗浄することが望ましい。

各測定間の時間間隔にもよるが,通常は,ほんの十数滴∼20 滴を流すことによって,不適合

な液を除去する。

疑義がある場合は,電極及び滴下管を清浄にする手順について受渡当事者間で協定する。

試験片は,測定面を一番上にして,水平に試験片支持台の上に置く。試験片と電極取付装置との高さの

相対位置を調整して,電極を下げて試験片面に接したときに,間隔が 4.0 mm±0.1 mm の正しい配置にな

るようにする。のみの刃先状の先端が,規定の力で,かつ,その幅全体にわたって試験片表面と接触して

いることを確認する。

備考 2.  確認するときは,電極の後方に光源を置くと役に立つ。

測定電圧を,25 V の整数倍の規定の値に設定し,短絡電流が許容差内に入るように回路定数を調整する。

8.3

測定手順  液滴が測定面に落下するように滴下システムを始動し,次のいずれかが発生するまで測

定を継続する。

a)

過電流継電器の作動。

b)

持続炎の発生。

c) 50

(100)

滴目の液滴を滴下した後,a)  又は b)  が発生せずに少なくとも 25 秒が経過

備考  浸食の測定の必要がなければ,50 滴測定に先立って 100 滴測定を行ってもよい。

測定完了後,槽から有毒な煙を排気し,その後試験片を取り出す。

9.

浸食の測定  要求がある場合,50 滴で不合格とならなかった試験片について浸食の測定を行う。試験

片に付着したくず又は軽く付着した分解生成物を清浄にした後,深さ測定器の台の上に置く。各試験片の

最大浸食深さを,直径が 1.0 mm の半球形先端の測定子を用いて,ミリメートル単位で 0.1 mm の精度で測

定する。測定した 5 個の内の最大値を測定結果とする。

1 mm

未満の浸食深さは,“<1 mm”  として報告する。

10. 

による測定で,浸食の測定が必要な場合は,規定の電圧で 50 滴の測定に耐えた試験片について測定


9

C 2134

:2007 (IEC 60112:2003)

する。

11. 

による測定で,浸食の測定が必要な場合は,最高 50 滴電圧で測定した 5 個の試験片について測定す

る。

10.

保証トラッキング指数  (PTI)  の測定

10.1

手順  材料又は電気機器の仕様に関する IEC 規格,若しくはその他の規格において,保証すること

だけが必要な場合は,規定の単一の電圧で,8.  に従って 50 滴測定を行う。必要な数の試験片が,50 滴目

を滴下した後,トラッキング破壊及び持続炎を発生することなく,少なくとも 25 秒の測定時間に耐えなけ

ればならない。

気中アークによる過電流継電器の作動は,トラッキング破壊とはしない。

備考  望ましい試験片の数は,5 個である。

保証電圧は,25 V の整数倍とする。

10.2

報告  報告には,次の事項を記載する。

a)

測定した材料の仕様及び状態調節の詳細。

b)

試験片の厚さ及びその厚さに達するために要した層数。

c)

本来の表面を測定しなかった場合,試験片表面の性状。

1)

清浄処理の詳細。

2)

機械加工処理の詳細,例えば,研磨など。

3)

測定面の塗料の詳細。

d)

測定前の表面の欠陥に関する状態,例えば,擦りきず,汚損,異物など。

e)

電極及び滴下装置に用いた清浄手順。

f)

測定を実質的に通風のない空間で行わなかった場合には,およその風速に関する報告。

g)

既知の材料特性(異方性)に関する電極の向き。

h)

浸食の程度を測定する必要がない場合,保証トラッキング指数測定の結果を次のように報告する。

規定電圧における合否,及び溶液 B の場合は溶液の種類の表示。測定溶液として溶液 B を用いた場

合は,それを表示するため,文字 “M” を付ける。

例  “PTI 175 合格”又は“PTI 175M 不合格”

浸食の測定の要求がある場合は,結果を次のように報告する。

規定電圧における合否,溶液 B の場合は溶液の種類,及び最大浸食深さの表示。測定溶液として溶

液 B を用いた場合は,それを表示するため,文字 “M” の表示を付け,更に  “‐”(ハイフン)の後に

浸食の最大深さをミリメートル単位で付ける。

例  “PTI 250‐3 不合格”又は“PTI 250M‐3 合格”

試験片が炎をあげて燃えたために浸食の報告ができない場合は,その旨を報告する。

試験片を貫通して孔があいた場合,その深さ(試験片の厚さ)と共に,孔があいたことを報告する。

測定が気中アークのため無効となった場合は,その旨を報告する。

11.

比較トラッキング指数  (CTI)  の測定

11.1

一般  比較トラッキング指数の測定は,5 個の試験片が破壊せずに 50 滴の測定時間に耐える最高電

圧の測定,及び 50 滴の測定で得られた最高電圧より 25 V 低い電圧で,試験片が 100 滴の測定に耐えるか

どうかの測定も必要である。もし,耐えない場合は,100 滴の測定に耐える最高電圧を測定する。


10

C 2134

:2007 (IEC 60112:2003)

備考1.  この規格の旧版においては,100 滴耐電圧の測定に先立って,必ず 50 滴最高耐電圧を測定し

なければならないと規定されていた。

2.

最初に 100 滴最高耐電圧の測定を行うことによって,測定費用が低減されることが認められ

たので,この規格ではこの手順が望ましい。

11.2  100

滴の測定における耐電圧値の測定  8.  に規定する基本手順を用い,電圧を選んだ値に設定して,

100

滴目を滴下した後に少なくとも 25 秒経過するまでか,又は 100 滴目を滴下する前に破壊が生じるまで

測定を行う。

試料の特性が不明なときは,測定開始電圧としては 350 V が望ましい。

試験片上での気中アークの発生が原因で,過電流継電器が動作した場合は,その測定は無効とする。装

置を清浄にした後,8.  の規定に従って,新たな試験片又は新たな箇所を用いて,同じ電圧で測定手順を繰

り返す。同様の現象が生じた場合は,適正な破壊が生じるか又は合格するまで,電圧を順次下げて測定を

繰り返す。各測定の詳細を報告する(11.4 参照)

備考1.  ある電圧での測定に耐えながら,その次の最高測定電圧で,気中アーク発生へと直ちに移行

する独特な挙動のために,適正な破壊を生じさせることができない幾つかの材料については,

CTI

を測定することは不可能である。

試験片表面の過大電流の流れが原因で過電流継電器が動作するか,又は持続炎が発生した場合,試験片

は,その測定電圧で破壊したものとする。8.  の規定に従って装置の清浄などを行った後,より低い測定電

圧を用いて,新たな箇所又は新たな試験片で測定を繰り返す。

上記の現象が発生せず,100 滴目を滴下した後,過電流継電器が動作することなく,少なくとも 25 秒経

過した場合は,この測定は有効であり,試験片は合格したとみなす。ある電圧での最初の 5 個の測定で 100

滴目を滴下した後,少なくとも 25 秒の測定時間中に破壊が起こらない最高電圧が得られるまで,順次電圧

を上昇させて,新たな箇所又は新たな試験片で測定を繰り返す。装置を清浄にした後,8.  に規定する手順

に従って,5 個の個別の試験片又は一枚の成形板の 5 か所を使用して測定を行う。

試験片を貫通して孔があいた場合は,孔があいたこと及び孔の深さ(試験片又は積層試験片の厚さ)の

両方に注意しながら結果を記録する。その後上記のとおり測定を続ける。

備考 2.  測定中に孔があいた場合,追加的な情報を得るため,8.  の規定に従って装置を清浄にするな

どを行った後,より厚い試験片(厚さが 10 mm 以下)について追加の測定を行う。

試験片の性質が不明な場合は,400 V 以上の電圧における測定ごとの電圧上昇幅は 50 V を限度とする。

100

滴測定の結果としては,5 個の試験片が破壊せずに 100 滴の測定に耐えた最高電圧を記録する。

引き続いて 50 滴最高耐電圧の測定を行う。

11.3  50

滴における最高耐電圧の測定  新たな箇所又は新たな試験片のいずれかを用いて,100 滴測定の

測定値から推測される適切な電圧で測定を繰り返す。50 滴目を滴下した後,少なくとも 25 秒間試験片が

耐えるかどうかを測定する。

試験片上での気中アークの発生が原因で過電流継電器が動作した場合は,その測定は無効とする。装置

を清浄にした後,8.  の規定に従って,新たな箇所又は新たな試験片を用いて,同じ電圧で測定手順を繰り

返す。同様の現象が生じた場合は,適正な破壊が生じるか又は合格するまで電圧を順次下げて測定を繰り

返す。各測定の詳細を報告する(11.4 参照)

備考1.  ある電圧での測定に耐えながら,その次の最高測定電圧で気中アーク発生へと直ちに移行す

る独特な挙動のため,適正な破壊を生じさせることができない幾つかの材料については,CTI

を測定することは不可能である。


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C 2134

:2007 (IEC 60112:2003)

試験片表面に過大電流が流れて過電流継電器が動作するか,又は持続炎が発生した場合は,その電圧で

試験片は破壊したものとみなす。その後,8.  の規定に従って装置を清浄にするなどを行った後,より低い

測定電圧を用いて,新たな箇所又は新たな試験片で測定を繰り返す。

上記の現象が発生せず,50 滴目を滴下した後,過電流継電器が動作することなく,少なくとも 25 秒経

過した場合は,この測定は有効であり,試験片は合格したとみなす。

測定中に試験片を貫通する孔があかなかった場合には,

ある電圧での最初の 5 個の測定で 50 滴目を滴下

した後,少なくとも 25 秒までの測定時間中に破壊が起こらない最高電圧が得られるまで,順次電圧を上昇

させて,新たな箇所又は新たな試験片で測定を繰り返す。装置を清浄にした後,8.  に規定する手順に従っ

て,5 個の試験片又は一枚の成形板の 5 か所を使用して測定を行う。

試験片を貫通して孔があいた場合は,孔があいたこと及び孔の深さ(試験片又は積層試験片の厚さ)の

両方に注意しながら結果を記録する。その後,上記の測定を続ける。

備考 2.  測定中に孔があいた場合,追加的な情報を得るため,8.  の規定に従って装置を清浄にするな

どを行った後,より厚い試験片(厚さが 10 mm 以下)について追加の測定を行う。

試験片の厚さにかかわりなく,孔があいた場合であっても測定結果は有効とみなす。ただし,孔があい

たことを深さ(試験片又は積層試験片の厚さ)と共に報告する。

50

滴測定の結果として,5 個の試験片が破壊せずに 50 滴測定時間に耐えた最高電圧を記録する。

11.4

報告  報告には,次の事項を記載する。

a)

測定した材料の仕様及び状態調節の詳細。

b)

試験片の厚さ及びその厚さに達するために要した層数。

c)

本来の表面を測定しなかった場合,試験片表面の性状。

1)

清浄処理の詳細。

2)

機械加工処理の詳細,例えば,研磨など。

3)

測定面の塗料の詳細。

d)

測定前の表面の欠陥に関する状態,例えば,擦りきず,汚損,異物など。

e)

電極及び滴下装置に用いた清浄手順。

f)

測定を実質的に通風のない空間で行わなかった場合は,およその風速に関する報告。

g)

既知の材料特性(異方性)に関連する電極の向き。

h)

浸食の程度を測定する必要がない場合,比較トラッキング指数測定の結果を次のように報告する。

−  CTI  5 個の一連の測定で得られた 50 滴測定の最高電圧の値,

(5 個の一連の測定で得られた 100

滴測定の最高電圧の値,ただし,50 滴測定の最高電圧の値より 25 V 以上低い場合)

,測定溶液と

して溶液 B を用いた場合は,それを表示するため,文字 “M” を付ける。

例 “CTI

175”

,“CTI 175 M”  又は  “CTI 400 (350) M”

浸食の測定の要求がある場合は,結果を次のように報告する。

−  CTI  5 個の一連の測定で得られた 50 滴測定の最高電圧の値,

(5 個の一連の測定で得られた 100

滴測定の最高電圧の値,ただし,50 滴測定の最高電圧の値より 25 V 以上低い場合)

,測定溶液と

して溶液 B を用いた場合は,それを表示するため,文字 “M” の表示を付け,更に  “‐”(ハイフ

ン)の後に浸食の最大深さをミリメートル単位で付ける。

例 “CTI

275

‐1.2”,“CTI 375 M‐2.4”  又は  “CTI 400 (350) M‐3.4”

何らかの理由(過大な炎など)で浸食の程度を計測できない場合は,その旨を報告する。

試験片を貫通して孔があいた場合は,孔があいたことを,その深さ(試験片又は積層試験片の厚さ)と


12

C 2134

:2007 (IEC 60112:2003)

共に報告する。

気中アーク発生が原因で,測定が無効になった場合は,その旨を報告する。


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C 2134

:2007 (IEC 60112:2003)

附属書 A(参考)個別製品規格で考慮すべき要因

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

この規格で規定している方法をそのまま用いてもよいが,個別製品規格の中で選択肢を設けてもよい幾

つかの項目がある。

1.

表面が粗い試験片の表面を機械加工,例えば,研磨して平らにしてよいか否か(本体の 5.  参照)

2.

試験片の表面の状態(本体の 6.2 参照)

:清浄(済)か否か。

3.

清浄にするために許容された処理の内容(本体の 6.2 参照)

4.

用いる電解液の種類(溶液 A 又は溶液 B,本体の 7.3 参照)

5.

測定と測定との間に装置を清浄にする方法に関して,何らかの特別な指示が必要か否か(本体の 8.  

照)

6.

材料に異方性がある場合,特に規定がない限り,通常低い値が得られる方向の結果を報告する(本体

の 8.1 参照)

7.

保証測定で用いる試験片の数。通常は 5 個であるが,別の数を選んでもよい(本体の 10.2 参照)

8.

必要な保証測定電圧(本体の 10.2 参照)

9.

保証測定に,最低 100 滴測定電圧を必要条件として含めるのがよいか否か。

10.

浸食深さの測定が必要か否か,必要な場合には,規定すべき限界値(本体の 9.  参照)

11.

特定のニーズのため,許容できる炎の基準が,意図した用途に適していないか否か。適していない場

合は,代替測定方法を開発するか又は使用することが望ましい。


附属書 B(参考)電極材料の選択

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

B.1

  白金は,一般に入手できる最も不活性な材料であることから,比較及び保証トラッキング指数の測定

には白金電極が選ばれている。白金電極は,使用する電解液及び絶縁材料との相互作用が最も少なく,従

って測定対象である絶縁材料の特性が,トラッキング指数の主要な決定要因となる。

B.2

  電気機器で使用するハードウエア及び絶縁システムをシミュレーションし,また,電極コストを低減

するため,時々白金の代わりに銅,黄銅,ステンレス鋼,金,銀などの材料を使用して,特定の電極金属

と絶縁材料との組合せのトラッキング特性を評価することがある。これらの電極材料は,使用する電解液

及び絶縁材料と様々な度合いで相互作用して,測定結果に影響を与える。白金電極に代わる材料を用いた

測定結果は,比較又は保証トラッキング指数とはみなさない。

関連規格  IEC 60587 : 1984  Test method for evaluating resistance to tracking and erosion of electrical insulating

materials used under severe ambient conditions

IEC/TR 62062 : 2002

  Results of the Round Robin series of tests to evaluate proposed amendments to

IEC 60112

ISO 3167 : 2002

  Plastics−Multipurpose test specimens