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C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって,JIS C 2133: 1992 は改正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正では,対応国際規格 IEC 60684-2 Flexible insulating sleeving−Part2 : Methods of test との整合化

を図った。

JIS C 2133

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(参考)  参考資料


日本工業規格

JIS

 C

2133

: 1999

 IEC 60684-2

:

1997

電気絶縁用チューブの試験方法

Flexible insulating sleeving

Part 2 : Methods of test

序文  この規格は,1997 年に第 2 版として発行された IEC 60684-2,Flexible insulating sleeving−Part2 :

Methods of test

を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある

参考

は,原国際規格にはない事項である。

1.

一般事項

1.1

適用範囲  この規格は,主として電気機器の導体,接続部の電気絶縁などに使用される絶縁チュー

ブの試験方法を規定する。この規格に規定する試験は,チューブの一般的な品質特性を管理することを意

図しているが,特殊な用途に対しては十分な妥当性が確立するものではない。

必要に応じて,個々の使用環境に合った適切な補足試験や適合性試験を併用して行う必要がある。

1.2

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成

する。発行の時点では,記載の版が有効であった。引用されている規格は,すべて改正されるものであり,

この規格に基づいて合意した関係者は,次に掲げる引用規格の最新版が適用できるかどうか確かめるよう

推薦する。IEC 及び ISO のメンバーは,現在有効な国際規格の登録簿を保有している。

JIS C 0050 : 1996

  環境試験方法−電気・雷子−はんだ付け試験方法

備考  IEC 60068-2-20 : 1979,  Environmental testing−Par t2 : Tests, Test T : Soldering が,この規格と

一致している。

JIS K 7651 : 1988

  写真−濃度測定  第 1 部  用語,記号及び表記方法

備考  ISO 5-1 : 1984  Photography- Density measurements−Part 1 : Terms, symbols and notations が,こ

の規格と一致している。

IEC 60093 : 1980

  Methods of test for volume resistivity and surface resistivity of solid electrical insulating

materials

IEC 60212 : 1971

  Standard conditions for use prior to and during the testing of solid electrical insulating

materials

IEC 60216

  Guide for the determination of thermal endurance properties of electrical insulating materials

IEC 60216-4-1 : 1990

  Guide for the determination of thermal endurance properties of electrical insulating

materials

−Part 4 : Aging ovens−Section 1 : Single-chamber ovens

IEC 60243-1 : 1988

  Methods of tests for electric strength of solid electrical insulating materials−Part 1 :

Tests at power frequencies

IEC 60250 : 1969

  Recommended methods for the determination of the permittivity and dielectric dissipation


2

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

factor of electrical insulating materials at power, audio and radio frequencies including metre wavelength

IEC 60426 : 1973

  Test methods for determining electrolytic corrosion with insulating materials

IEC 60587 : 1984

  Test methods for evaluating resistance to tracking and erosion of electrical insulating

materials used under severe ambient conditions

IEC 60589 : 1977

  Methods of tests for the determination of ionic impurities in electrical insulating mate-rials

by extraction with liquids

IEC 60684-3

  Flexible insulating sleeving−Part 3  : Specifications requirements for individual types of

sleeving

IEC 60695-6-30 : 1996

  Fire hazard testing−Part 6 : Guidance and test methods for the assessment of

obs-curation hazard of vision caused by smoke opacity from electrotechnical products involved in fires

Section 30 : Small scale static method. Determination of smoke opacity

IEC 60754-1 : 1994

  Tests on gases evolved during combustion of materials from cables − Part 1 :

Determi-nation of the amount of halogen acid gas evolved during the combustion of polymeric materials

taken from the cables

IEC 60754-2 : 1991

  Tests on gases evolved during combustion of materials from cables − Part 2 :

Determi-nation of degree of acidity of gases evolved during the combustion of materials taken from

electric cables by measuring pH and conductivity

ISO 5-2 : 1991

  Photography−Density measurements−Part 2 : Geometric conditions for transmission density

ISO 5-3 : 1995

  Photography−Density measurements−Part 3 : Spectral conditions

ISO 5-4 : 1995

  Photography−Density measurements−Part 4 : Spectral conditions for reflection density

ISO 37 : 1994

  Rubber, vulcanized or thermoplastic−Determination of tensile stress-strain properties

ISO 62 : 1980

  Plastic−Determination of water absorption

ISO 105 : 1989

  Textiles−  ests for colour fastness

ISO 105-A02 : 1993

  Textiles−Tests for colour fastness−Part A02 : Grey scale for assessing change in

col-our

ISO 105-B01 : 1994

  Textiles−Tests for colour fastness−Part B01 : Colour fastness to light : Daylight

ISO 182-1 : 1990

  Plastics−Determination of the density of compounds and products based on vinyl chlo-ride

homopolymers and copolymers to evolve hydrogen chloride and any other acidic products at elevated

temperature

−Part 1 : Congo red method

ISO 182-2 : 1990

  Plastics-Determination of the density of compounds and products based on vinyl chlo-ride

homopolymers and copolymers to evolve hydrogen chloride and any other acidic products at elevated

temperature

−Part 2 : pH method

ISO 974 : 1980

  Plastics- Determination of the brittleness temperature by impact

ISO 1431-1 : 1989

  Rubber, vulcanized or thermoplastic−Resistance to ozone cracking−Part 1 : Static strain

test

ISO 2921 : 1982

  Rubber-Determination of low temperature characteristics − Temperature retraction

proce-dure (TR test)

ISO 3261 : 1975

  Fire tests−Vocabulary

ISO 4589-2-2 : 1984

  Plastics−Determination of flammability−Part 2 : Oxygen index (OI) at room

tempera-ture


3

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

ISO 4589-3 : 1996

  Plastics−Determination of burning behaviour by oxygen index−Part 3 : Elevated

tem-perature test

2.

試験条件

2.1

特に規定のない限り,すべての試験は IEC 60212 に規定される標準環境条件,すなわち,15〜35℃

の温度及び通常相対湿度の下で行わなければならない。

結果に疑いが生じる場合には,23℃±2K 及び相対湿度 (50±5) %の環境で試験を行う。

2.2

試験の手順として高温加熱試験が規定されるときは,IEC 60216-4-1 に適合する均一に加熱した恒温

槽内に規定の時間保持する。

2.3

低温試験が規定されている場合,製品規格で−t℃以下試験を実施するように規定することがある。

この場合,試験者は規定の温度又は,より低い都合のよい温度で試験を行ってもよい。ただし,規定温度

より低い温度で行った試験片が要求事項を満たさなかった場合には,IEC 60212 に規定する温度±3K で再

度試験を行う。

再試験での試験片が規定以上の特性を示せば,それは要求事項を満たすものと判断する。

参考  IEC 60684-2 では IEC 60684-3 と表現されているが,この規格では 製品規格 とした。

3.

内径,厚さ及び偏肉率

3.1

内径

3.1.1

試験片の数  3 個の試験片を試験する。

3.1.2

一般測定方法  適当な直径のプラグゲージ又は,テーパゲージを挿入して内径が規定の最大値及び

最小値の間にあることを確認する。ゲージは,チューブを膨らませることなく挿入する。

チューブの材質によっては,粉末状の潤滑材を測定に使用してもよい。

3.1.3

拡張可能な編組チューブの製品内径  外径がチューブの規定最小製品内径に等しく,長さ 250mm

の金属製マンドレルを選択する。

チューブの長さ 50mm の部分が後端からはみ出すように,

マンドレルをチューブの中に完全に挿入する。

そして,マンドレルが更に先に入らないように,マンドレル先端を超えた位置でチューブを金属線できつ

く縛る。マンドレル先端から後端へ向けてチューブをマンドレル上に十分に延ばし,マンドレル後端を捕

らえるようにチューブをねじり,更に金属線できつく縛る。タイプライター修正液などのチューブの特性

を損なわないマーキング液でチューブ中央部に 200m 間隔の標線を付ける。マンドレル後端部の金属線を

解きチューブに加わった張力を緩和する。標線間隔をミリメートル単位で測定する。測定した標線間隔が

195mm

以上の場合には,そのゲージ値を最大製品内径とする。測定値が 195mm 未満の場合には,漸次大

きなマンドレルを使用して標線間隔が 195mm 以上となるまで繰り返し測定する。

3.1.4

拡張可能な編組チューブの拡張内径  外径が規定の最小拡張内径に等しいプラグゲージを選択す

る。

チューブを垂直に立て,切断端から 50mm の部位を固定する。チューブ端末から 10mm の長さにわたっ

て拡張し,プラグゲージを挿入する。そして更に奥に押し込んだときプラグゲージが抵抗なく挿入可能な

場合は,このゲージ値をチューブの最小拡張内径とする。

プラグゲージが抵抗なく挿入不可能な場合には,

漸次小さなプラグゲージを使用して繰り返し測定する。

3.1.5

結果  すべての測定値を報告する。

3.2

編組チューブの厚さ


4

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

3.2.1

試験片の数  3 個の試験片を試験する。

3.2.2

手順  試験片に無理なく挿入でき,かつ,外径が試験片内径の 80%以上であるプラグゲージ又はマ

ンドレルを挿入する。約 6mm 径の平らなアンビルをもつマイクロメータを用いて,プラグゲージを含む

試験片の外径を測定する。

マイクロメータの測定圧力は,プラグゲージ又はマンドレル上に試験片をぴったり押し付けるのに十分

なものとする。厚さは,試験片の外径からプラグゲージ又はマンドレル直径を差し引いた値の½とする。

3.2.3

結果  すべての測定値を報告する。

3.3

押出チューブの最大厚さ,最小厚さ及び偏肉率

3.3.1

試験片の数  3 個の試験片を試験する。

3.3.2

厚さ  この規格では,この測定に強制的な方法は規定しない。適切な回数の試験を実施し最大厚さ

及び最小厚さを測定する。

備考  適切な試験器として,光学式投影器,光学式比較器及びマイクロメータがある。

結果に疑いが生じる場合には,光学式測定方法を使用する。

3.3.3

偏肉率  個々の試験片の測定値を用いて偏肉率を,次の式によって求める。

100

(%)

×

最大厚さ

最小厚さ

偏肉率

3.3.4

結果  すべての最小厚さ,最大厚さ及び偏肉率を報告する。

4.

密度

4.1

試験片の数  少なくとも 3 個の試験片を試験する。

4.2

手順  0.01g/cm

3

の測定精度を確保できるならば,密度の測定方法は限定しない。

備考  内径の小さい試験片は,測定中の空気の抱き込みを防ぐために軸方向に切り開く。

4.3

結果  密度の測定に使用した方法とすべての測定値を報告する。製品規格に規定がない限り,結果

は中央値とする。

5.

加熱後耐き裂性

5.1

試験片の数  3 個の試験片を試験する。

5.2

試験片の形状  試験片は,輪状に切断し,その長さは厚さに等しいものとする。試験結果に異常が

生じないように,切断面は平滑になるように注意を払う。

備考  厚さに等しい長さに切断することが困難な場合は,長さは最大 2.5mm とする。

5.3

手順  試験は,15±1°の傾斜角をもつテーパマンドレルを使用して行う。

試験片は,製品規格に規定がない限り,70℃±2K の温度で 168±2 時間保持し,23℃±5K の温度に放冷

させる。この試験片にテーパマンドレルを押し込み,製品規格に規定する内径の倍数まで延伸する。試験

片をこの状態で 23℃±5K の温度で 24±1 時間保持した後,き裂の発生の有無を調べる。

5.4

結果  き裂の発生の有無を報告する。

6.

熱衝撃

6.1

試験片の数  5 個の試験片を試験する。

6.2

試験片の形状  長さ約 75mm のチューブを使用する。引張強さ及び破断伸びを測定する場合には,

19.

に規定する試験片を使用する。


5

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

6.3

手順  試験片は,製品規格に規定する温度の恒温槽に 4 時間±10 分間垂直につり下げる。

試験片を恒温槽から取り出し,室温まで冷却させる。試験片は,滴下,クラック又は流動の発生の有無

を調べる。製品規格に規定のあるときは,引張強さ及び破断伸びの試験を行う。

6.4

結果  目視試験の結果のすべてを報告する。また,引張強さ及び破断伸びのすべての測定値を報告

する。製品規格に規定がない限り,結果は中央値とする。

7.

耐はんだ熱

7.1

試験片の数  3 個の試験片を試験する。

7.2

試験片の形状  長さ 60mm のチューブ及びチューブの内径に等しい径の 150mm の,すずめっき銅線

を使用する。

銅線をチューブの公称内径の 3 倍の直径をもつマンドレルの周りに,その中央部で 90 度に曲げる。

チューブを銅線上を滑らせて,曲線部を通過させ,チューブ公称内径の 1.5 倍又は 1mm 以上の長さ分が

銅線の垂直な直線部を覆うようにする(

付図 参照)。

チューブ試験片の先端から 20mm 以上突き出た垂直部分の銅線を切除し,チューブ試験片の他方の先端

から突き出た水平部分の銅線を切除する。銅線を曲げたときから 5 分以上経過後,25 質量%のロジンと 75

質量%の 2−プロパノール(イソプロパノール)又はエチルアルコールから成る高級フラックスを銅線の

下側 6mm まで浸せきする(非活性化ロジン限定とし,酸価は 155mgKOH/g 以上とする。詳細の仕様は IEC 

60068-2-20

附属書 のとおりとする。)。

7.3

手順  23℃±5K の温度で,フラックスに浸せき後 60 分以内に試験を開始する。試験片は曲げ部か

ら少なくとも 25mm 以上離れた水平部で支持する。垂直部は銅線の 6mm が浸せきするように溶融したは

んだ槽の中央に浸せきする。

なお,あらかじめ銅線にマークを付けておくと便利である。銅線を 15±1 秒間又は製品規格に規定され

た時間保持する。

はんだ槽は,

直径 25mm 以上で深さ 12mm 以上のものを使用し,

はんだ温度は試験中 260℃

±5K に維持する。試験片に相当な裂け又は広がりの発生がなければ合格とする。わずかな溶融は許容され

る(

付図 参照)。

7.4

結果  裂け,広がり又は極端な溶融の発生の有無を報告する。

8.

ガラス編組チューブの加熱減量

8.1

試験片の数及び質量  3 個の試験片を試験する。それぞれの試験片は,質量が 5±1g となる長さとす

る。

8.2

手順  試験片は,105℃±2K の温度で 1 時間前処理を行い,室温までデシケーター内で放冷させる。

これを 0.000 2g の単位で質量  (m

1

)

を測定する。次に 600℃±10K の恒温槽で,60〜75 分間加熱する。

加熱完了後,室温までデシケーター内で冷却した後,再び試験片の質量  (m

2

)

を測定する。

8.3

計算  各試験片の加熱減量分は,次の式によって求める。

100

(%)

1

2

1

×

m

m

m

加熱減量

8.4

結果  すべての加熱減量 (%) 値を報告する。製品規格に規定がない限り,結果は中央値とする。

9.

長さの変化率

9.1

試験片の数  3 個の試験片を試験する。


6

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

9.2

試験片の形状  チューブから約 150mm の長さの試験片を切り取り,中央部に 100mm の間隔で試験

片に影響がないインキを使用して 2 本の標線を付ける。標線間距離  (L

1

)

を 0.5mm の精度で測定する。

9.3

手順  試験片が自由に回復できるような支持体の上に試験片を水平に置き,製品規格に規定する温

度及び時間,オーブンの中に維持する。室温まで冷却後,標線間距離  (L

2

)

を再度 0.5mm の精度で測定す

る。

9.4

計算  長さの変化率  (LC)  は,次の式によって求める。

100

1

1

2

×

L

L

L

LC

ここに,  L

1

:  最初の標線間距離

L

2

:  加熱後の標線間距離

9.5

結果  長さ変化率の測定値をすべて報告する。

10.

加熱変形(高温下における加圧抵抗性)

10.1

試験片の数  3 個の試験片を試験する。

試験は,押出し成形終了時から 16 時間以上経過した試験片で行う。

10.2

試験片の形状  各試験片は,チューブを軸方向に切り開いて,約 10mm×5mm(幅が 5mm より小さ

いときは全幅)の形状に,長さ方向がチューブの軸と並行になるよう切り取る。

10.3

装置  装置は,製品規格に規定がない限り,厚さ 0.70±0.01mm の長方形の押さえ刃及び 1.2±0.05N

の測定圧をもつもので,±0.01mm まで正確に測定できる精度をもつものとする。

試験片を V ブロックの上に支持した直径 6.00±0.1mm の金属製マンドレルの上に置く。

装置の概要を

付図 に示す。

この装置を,製品規格に規定がない限り,110℃±2K の温度に保ったオーブンに入れる。振動を最小限

にするため,自然循環式オーブンは適切な制振材料の支持台上に装着する。

10.4

手順  試験片の厚さは,3.2 の方法で測定する。ただし,チューブへ挿入するものはプラグゲージで

はなくマンドレルを使用する。厚さはマンドレルの直径と合計寸法の差として測定する。

製品規格に規定がない限り,装置は試験片を載せないで,110℃±2K 温度のオーブンで 2 時間調整を行

う。押さえ刃を持ち上げ,試験片の長軸がマンドレルと並行になるようにマンドレルに載せ,押さえ刃を

試験片の表面にゆっくり下ろす。

参考  小さい内径のチューブでは,試験片の取扱いが困難になることがある。そのときは,試験片の

上に 1kg のおもりを室温で約 10 分間置いて平らにした後,マンドレルに載せるとよい。

試験片を組み込んだ装置を,規定の温度のオーブン内に 60±5 分間保持する。押さえ刃の位置を記録す

る。試験片を取除き,押さえ刃をマンドレルの上に戻し,再度押さえ刃の位置を記録する。

この 2 回の読みの差を当初の厚さから差し引いたものを,へこみとして記録する。

押さえ刃を直接マンドレルの上に 3 回置いたとき,いずれの 2 回の押さえ刃の位置の差は 0.02mm を超

えてはならない。

10.5

結果  試験片のへこみは,最初の厚さの百分率で表示する。

結果は 3 回の測定の中央値とし,他の二つの値も報告する。


7

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

11.

  PVC

チューブの熱安定性

11.1

原理  この方法では,ポリ塩化ビニル (PVC) ,その共重合物,混和物又は製品を加熱したときに,塩

化水素を放出する時間を測定する。塩化水素の放出は,コンゴーレッド紙の使用  (ISO 182-1)  又は計量セ

ルの塩化カリウムの pH の変化  (ISO 182-2)  のいずれかの方法によって検出する。

11.2

試験片の形状

11.2.1

  ISO 182-1

法  試験片は,2 本の試験管の深さ 50mm を満たすのに十分な量とし,最大寸法を 6mm

として切断し,必要に応じて切り開いたものとする。試験片は意図的に試験管の中に詰め込んではならな

い。

11.2.2

  ISO 182-2

法  チューブを 5〜6mm

2

に切断し,質量 1.0g ずつそれぞれの試験管に入れる。

11.3

手順  試験は,ISO 182-1 又は 182-2 のいずれかの方法によって行う。どちらの方法を使用するか,

試験温度と更に ISO 182-2 の場合は空気以外の担体ガスを使用するかは製品規格に規定のとおりとする。

12.

シリコーンチューブの揮発分

12.1

試験片の数及び質量  10±1g の質量に相当する長さの試験片 3 個を試験する。

12.2

手順  試験片の質量  (m

1

)

を 0.001g の精度で測定し,200℃±3K のオーブン中で 24±1 時間加熱す

る。このとき,針金で試験片をつるすと便利である。デシケーターに入れて冷却し,試験片の質量  (m

2

)

再度測定する。

12.3

計算  試験片ごとの損失百分率を,次の式によって求める。

100

1

2

1

×

m

m

m

12.4

結果  揮発分百分率のすべての測定値を報告する。製品規格に規定がない限り,結果は中央値とす

る。

13.

加熱後曲げ

13.1

試験片の数  3 個の試験片を試験する。試験片は製品規格に規定されるマンドレルに巻き付けるのに

十分な長さとする。

13.2

試験片の形状  公称内径が 2mm 以下の試験片に対しては,チューブ内に軽く接する金属線を挿入す

る。

公称内径が 2mm を超え 15mm 以下(又は製品規格に規定する内径)の場合は,試験片が巻付け時に座

屈しないように複数の金属線を挿入する。

公称内径が 15mm を超え(又は製品規格に規定する内径)の場合は,試験片はチューブを軸方向に切り

開き,6mm 幅に切り取った短冊状のものとする。

13.3

試験手順  試験片は,製品規格に規定された温度の恒温槽に 48±1 時間つるす。試験片を恒温槽か

ら取り出した後,室温まで放冷させる。

冷却後の試験片を無理な力を加えずに,製品規格に規定するマンドレル上にらせん状に 1 回転巻き付け

る。

短冊状の試験片の場合は,チューブの内面がマンドレルに接するように巻き付ける。巻付けは,5 秒以

内に行いそのままの状態で 5 秒間保持する。

試験片をマンドレルに巻き付けたままで目視によってクラック,コーティングのはく離又は層間はく離

の発生の有無を調べる。公称内径 15mm 以下の試験片の 21 電圧法によるクラック検出は製品規格に規定


8

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

のとおりとする。

13.4

結果  クラック,コーティングのはく離又は層間はく離の発生の有無を報告する。

14.

低温曲げ

14.1

試験片の数及び形状  試験片の数及び形状は,13.による。ただし,チューブの公称内径が 6mm を

超える場合は,チューブの縦軸に平行に切断した 6mm 幅の短冊状小片を試験片とする。

製品規格に規定がある場合は,公称内径 6mm 以下の試験片には何も挿入せず試験する。

14.2

手順  試験片を製品規格に規定された温度に維持された恒温槽に,4 時間±10 分間つるす。

次にその温度のままで,試験片を製品規格に規定された径をもつ同じ温度のマンドレルに過度な力を加

えず,密着巻で 1 回転巻き付ける。短冊状の試験片の場合は,チューブの内面がマンドレルに接するよう

に巻き付ける。巻付けは,5 秒以内に行いそのままの状態で 5 秒間保持する。試験片を室温に戻す。

試験片をマンドレルに巻き付けたまま,拡大鏡を使用せずに目視によってクラックの様子,コーティン

グのはく離,層間のはく離発生の有無を調べる。

14.3

結果  クラック,コーティングの分離又は層間のはく離の発生の有無を報告する。

15.

ぜい化温度  試験は,次の試験片を使用して ISO 974 によって行う。

公称内径 4mm 以下のチューブは,40mm の長さに切断したものを試験片とする。

公称内径が 4mm を超えるチューブは,チューブの縦軸に平行に切断した幅 6mm,長さ 40mm の短冊状

小片を試験片とする。

短冊状の試験片は,

ハンマの打撃が試験片の凸側となるように試験機に取り付ける。

16.

保存安定性  この規定は,熱収縮チューブだけに適用する。

16.1

試験の数及び試験片の長さ  長さ約 100mm の試験片 3 個を試験する。

16.2

手順  収縮前の試験片の内径を測定する。製品規格に規定がない限り,40℃±3K の温度の恒温槽に

336

±2 時間保持する。試験片を恒温槽から取り出し,室温まで放冷させ内径を再測定する。

測定後,試験片は製品規格に規定される温度と時間とで完全収縮させる。試験片は室温まで放冷し,収

縮後内径を測定する。

16.3

結果  3 セットの測定値,すなわち,保存安定性試験前後の内径,及び保存安定性試験後の完全収縮

後内径をすべて報告する。

17.

コーティングの加水分解性

17.1

試験の数  3 個の試験片を試験する。

17.2

試験片の形状  チューブを長さ 40〜50mm に切断し,束ねてろ紙で包み,内径 12mm,長さ 125mm

のほうけい酸ガラス製の試験管に軽く押し込む。

チューブ内径が大き過ぎて試験管への挿入が困難な場合には,チューブを軸に沿って切り開き,丸めた

ものをろ紙で包む。

参考  この試験には,爆発と人の負傷の危険を最小とするために,肉厚の厚い試験管の使用が必す(須)

である。さらに,安全措置として試験管と試験観察者との間に保護用の遮へい物を設置するこ

とが望ましい。

17.3

手順  試験片を試験管の底部に押し込み,約 2ml の蒸留水を加える。直径約 0.6mm の銅線の端末を

円形に曲げて試験片を支えられるように直角に曲げて試験管内に挿入する。


9

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

銅線は,試験管端末を封印した後,試験時に倒立させたときに封入蒸留水に試験片がつかるのを防ぐも

のである。また,銅線の長さは密閉された試験管の中に収まる長さとする。

試験管の端末を封印するには,炎を当てながら引き落とすとよい。

封印した試験管の封印部を下にして垂直に保持し,100℃±2K で 72±1 時間加熱する。

17.4

結果  コーティングの流動,チューブとろ紙又はチューブ相互の密着,又はろ紙の変色の発生の有

無を報告する。

18.

柔軟性

18.1

試験片の数と長さ  長さ 150mm の 3 個の試験片を試験する。

18.2

条件  試験片を 23℃±5K で平面上に 24 時間置く。試験片の昇温を避けるため触れる箇所を最小に

する。

18.3

装置  付図 に示す装置を使用する。

縫い糸をマンドレルに取り付け,チューブに通す。試験片は,

付図 に示すようにねじクランプでマン

ドレルに取り付ける。

参考  ポリエチレンテレフタレート製の縫い糸がこの目的に適しているが,0.5mm 内径のチューブで

は,チューブに通すために,吸出し又は引通しが必要な場合もある。

マンドレルは 270 度にわたって回転できる機構をもつものとする。おもりを糸に取り付ける。

重さは,個別の種類のチューブのサイズごとに製品規格に規定する。

チューブを通って垂れ下がる縫い糸は,

偏位測定の mm 単位のスケールにかろうじて触れるようにする。

下げ振子を使ってスケールのゼロが,マンドレルの側面の真下となるようにする。

18.4

試験温度  試験は,チューブ及び装置が 23℃±2K のときに行う。

18.5

手順  マンドレルは,チューブを固定したねじクランプが偏位スケールでゼロの上となるように回

す。

マンドレルをその位置としておもりを取り付け,

付図 に示す位置に約 10 秒で達するように滑らかに

270

度回転させる。回転が終了した 30±5 秒後に偏位を記録する。チューブに曲がりがあるときは,その

曲がりの方向に試験を行い,反対方向には行わないものとする。真の偏位は,記録した偏位からチューブ

の厚さを差し引いたものとする。

参考  チューブが同一垂直面内にあるように,ガイドを使用することが必要なことがある。

18.6

結果  すべての偏位の測定値を報告する。結果は,製品規格に規定がない限り,中央値とする。

19.

引張強さ,100%伸び応力,破断伸び及び 2%伸び応力  製品規格に従って,チューブの材質によって

次のいずれかの試験を行う。場合によっては,同一操作によって複数の試験を実施することもある。

−  引張強さ及び破断伸び(チューブ形状試験片)

−  引張強さ及び破断伸び(ダンベル形状試験片)

−  引張強さ(繊維又はガラス編組チューブ)

− 2%伸び応力

− 100%伸び応力

− 100%伸び応力(高温時)

参考  すべての試験においては,適切なチャックを使用し,かつ,試験片はチャックによる破損を避

ける処置を行う。


10

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

19.1

引張強さ及び破断伸び(チャック形状試験片)

19.1.1

試験の数  5 個の試験片を試験する。

19.1.2

試験片の形状  試験片は,試験機のチャック間距離を 50mm に設定したときに十分な長さとし,チ

ャック間の中央に 25mm の間隔で並行な標線を付ける。標線とするマーキングインキは,材料に影響を及

ぼさないものとし,線の幅はできる限り細くする。並行した標線を同時に取り付けられるジグの使用が望

ましい。

19.1.3

調整  製品規格に規定がない限り,試験片が 23℃±2K になるように,試験の直前まで 23℃±2K

の環境で 1 時間以上維持する。

19.1.4

試験温度  試験は,23℃±2K の温度で行う。

19.1.5

試験手順  試験片の断面積は,3.によって測定した内径及び厚さから計算する。押出チューブの厚

さは,次の式によって求める。

2

最小肉厚+最大肉厚

試験片は,その軸方向を引張試験機の引張方向に合わせて取り付ける。チャックは,製品規格に規定さ

れる速度で,均一に引き離す。試験機のレンジは試験片の最大荷重が目盛の最大値の 15〜85%となるよう

に選ぶ。破断時の標線間距離は,定規,ノギス又は伸び計などを適宜使用して測定する。

試験片の最大荷重は,目盛最大値の 2%の精度で読み取り,破断時の標線間距離は 2mm 以下の単位で測

定する。万一,試験片が標線の外側で破断したときには,これを破棄しほかの試験片を使って測定する。

19.1.6

結果  引張強さは,最大荷重及び試験前断面積から計算し,メガパスカル (MPa) で表す。

A

F

max

(Mpa)

引張強

ここに,  F

max

最大荷重 (N)

A

試験前断面積 (mm

2

)

破断伸びは,標線間隔初期値に対する百分率で表す。

100

(%)

0

0

×


L

L

L

破断伸び

ここに,

L

破断時の標線間距離

L

0

標線間距離の初期値

19.1.7

結果  すべての計算結果を報告する。

製品規格に規定がない限り,各試験の結果は中央値とする。

19.2

引張強さ及び破断伸び(ダンベル形状試験片)  この試験は,次の項目を除き 19.1 と同様に行う。

19.2.1

ダンベル試験片は,チューブの軸方向にそろえて

付図 に示された寸法及び公差で作製する。

チューブは,その軸方向に切り開き,平たんで硬い台上に置いた弾性のある平滑な表面の材料,例えば,

皮革,ゴム又は高品質のダンボールの上に広げる。

試験片は,適切な形状及び寸法の金型を使って

1

回のプレスで打ち抜く。

備考

この形状は,ISO 37 タイプ

2

に規定されるものである。

19.2.2

試験片の中央の標線間で

0.01mm

の単位で幅と厚さを少なくとも

3

か所で測定し,それぞれの最小

値を使用して平均断面積を計算する。

19.2.3

破断時の標線間距離を,

2%

以内の誤差範囲内で測定する。

19.3

引張強さ(繊維又はガラス編組チューブ)  この試験は,次の項目を除き 19.1 と同様に行う。


11

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

19.3.1

チャック間距離初期値は

100

±

10mm

とし,引張速度は

25

±

5mm/

分とする。

破断時の伸びは測定する必要はなく,標線も不要である。

19.3.2

平均断面積は 3.2 によって測定した厚さの

2

倍値,及び次の方法で測定した試験片の偏平時の幅か

ら計算する。

試験片の破断荷重の約

10%

に相当する張力をかけた状態で保持し,

2

枚の板で軽く挟んで偏平にする。

このときの試験片の幅を,板の端面に刻んだ目盛によって測定する。

19.4

2%

伸び応力

19.4.1

試験の数及び形状  チューブ状又はチューブの長さ方向に並行に切り取った短冊状の試験片を

3

個試験する。短冊状の試験片を使用する場合には,幅と厚さの比率は少なくとも

8 : 1

とする。

断面積の計算は,19.2.2 による。

19.4.2

手順

a)

 2%

伸び応力は,チャック間又は標線間距離を

2%

伸ばすのに必要な応力から計算する。

b)

選択する測定方法によって,チャック間又は標線間距離は

100mm

以上,

250mm

以下とする。

c)

伸びは,伸び計又はチャックの移動量によって測定する。伸びの測定は,

2%

の精度で測定する。

d)

引張速度は,チャック間距離

1mm

当たり

0.10

±

0.03mm

/分とする(すなわち,チャック間距離が

250mm

の場合には

25mm

/分)

e)

試験片を取り付ける際,試験片をまっすぐに矯正するために,あらかじめ荷重

  (F)

を加えてもよい。

この荷重は

2%

伸び応力の

3%

を超えてはならない。

f)

チャック間又は,標線間距離の伸びが

2%

に達するまで張力を加える。

2%

伸張に必要な荷重

  (F

1

)

を測

定する。

19.4.3

計算  個々の試験片の

2%

伸び応力は,次の式によって求める。

A

F

F

002

(MPa)

2%

2

伸び応力

ここに,

A

:  平均断面積初期値 (mm

2

)

19.2.2 によって測定したもの。

F

1

: 2%伸びに必要な荷重 (N)

F

:  矯正のために加えた荷重 (N)

19.4.4

結果  すべての測定値を報告する。

製品規格に規定がない限り,結果は中央値とする。

19.5

  100%

伸び応力  試験は,19.1 又は 19.2 のいずれか適切な方法を使い,標線間距離を 100%伸張した

ときの荷重を測定する。

19.5.1

計算  個々の試験片の 100%伸び応力は,次の式によって求める。

A

F

2

(MPa)

100%

伸び応力

ここに,

A

:  初期の平均断面積 (mm

2

)

F

2

100%

伸びに必要な荷重 (N)

19.5.2

結果  すべての計算結果を報告する。

製品規格に規定がない限り,各試験の結果は中央値とする。

19.6

  100%

伸び応力(高温時)  この試験は,製品規格に規定された温度において 19.5 による。

20.

耐ほぐれ試験


12

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

20.1

原理  編組チューブのほぐれは,例えば,取付け又は輸送などの機械的な取扱いの結果として,切

断した先端部分に発生する。この試験は,衝撃を制御した後のチューブ先端部の膨らみを測定することに

よって,チューブの耐ほぐれ性を評価する。

20.2

試験片の数及び長さ  長さ 150mm の試験片 3 個を試験する。試験片は,切断後端末の繊維が乱れな

いよう十分注意して鋭利なはさみを使って切断する(ギロチンカットは避ける)

20.3

手順  スライド投影機を用いてチューブの映像をスクリーンに投影し,映像でチューブの外径が測

定できるようにし,測定を繰り返しても得られる結果が変動しないようにする。

試験片の中央部(先端部から離れた場所)の映像から外径を測定する。チューブを 90 度にわたって回転

させ,測定を繰り返す。測定値を平均し 0.05mm の単位で記録し,これを とする。

チューブの内径より十分に細く,取り付けたときチューブが自由に落下するような直径の長さ 350mm

の鉄棒を選ぶ。試験片を,その上端が垂直に維持した鉄棒の上端と同じ高さになるように鉄棒に沿ってす

べらせる(

付図 参照)。試験片を堅い水平面に自然落下させる。合計 10 回の衝撃を与えるように操作を

繰り返す。鉄棒から衝撃を与えた先端部を乱さないように注意して,試験片を取り外す。

前と同様に,スライド投影機を使って,衝撃を受けて拡大した先端部の映像の直径を測定する。

チューブを 90 度にわたって回転させ測定を繰り返す。測定値を平均し,0.05mm の単位で記録し,これ

を とする。

20.4

計算  ほぐれの百分率を,次の式によって求める。

100

×

d

d

D

ほぐれの百分率

ここに,  D:  試験片の衝撃を受けて拡大した,先端部の平均直径 

d

:  チューブの平均外径

20.5

結果  ほぐれの百分率のすべての値を報告する。製品規格に規定がない限り,結果は中央値とする。

21.

絶縁破壊電圧

21.1

原理  絶縁破壊電圧を測定する三とおりの試験方法を規定する。

a)

ショットバス試験(空気中だけ)

b)

 100mm

はく電極ストレートマンドレル試験

c)

大口径チューブの切出し試験片による試験

いずれの試験方法ともに,室温,高温及び湿熱暴露後の試験が実施可能である。

試験方法は,製品規格のとおりとする。

21.1.1

試験片の数及び形状  3 個の試験片を試験する。チューブの形状はショットバス試験及びストレー

トマンドレル試験では丸チューブとし,大サイズチューブでは切り出した試験片とする。

21.1.2

調節  結果に疑いが生じる場合には,試験は,24 時間以上 50±5%の相対湿度,23℃±2K の温度

で調節した試験片を用いて試験を行う。

21.1.3

電圧の印加  印加電圧は,IEC 60243-1 に従い,その上昇速度は製品規格のとおりとする。

21.1.4

試験方法の変更  絶縁破壊電圧の試験は通常は空気中で行うが,フラッシオーバが問題になる場合

にはより長い試験片を,また,21.3 と 21.4 で行う試験では適切な絶縁油による浸せきを,それぞれ用いて

もよい。

21.1.5

結果  すべての方法の報告と結果の要求事項は,21.7 に規定のとおりとする。

21.2

ショットバス試験(空気中だけ)


13

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

21.2.1

試験片  約 200mm 長さのチューブに平滑でまっすぐな円柱状導体を通し,これを試験片とする。

導体の外径は,チューブの内径の 75%以上の範囲とする。チューブの損傷を防ぐため,導体のすべての

ばりは除去しなければならない。

熱収縮チューブの場合には,規定の最大収縮内径に等しい直径をもつ金属マンドレルの上にチューブを

収縮させたものを試験片とする。

21.2.2

装置

21.2.2.1

容器  試験片は,試験片を取り付けたときその長さ 100mm がショットに浸されるように設計し

た金属製容器に装着する。この長さが守られる限り,容器の寸法は重要ではない。容器を傾けることによ

ってチューブの表面にショットが注がれるように設計した容器が便利であり,その例を

付図 に示す。

21.2.2.2

ショット  ショットは,直径 0.75〜2.0mm のニッケルめっきした鋼又はステンレス鋼であって,

チューブを損傷することなく,かつ,

付図 に示すように,ショットの中央部に挿入した試験電極と容器

の壁の間に 20V の交流電圧を印加したときに破壊が生じるような導電性媒体となるものであれば,規定寸

法範囲内のショットはすべて使用可能である。

21.2.3

手順  試験片の中央部の長さ 100mm の部分がショットに包まれ,試験片が容器のいずれの壁から

も離れるように,容器内にショットを注ぐ。試験片がショットによって損傷を受けないように注意する。

導体とショットの間に 21.1.3 に規定の電圧を印加する。

21.3

  100mm

はく電極ストレートマンドレル試験

21.3.1

試験片  200mm 以上の長さの試験片に円柱状マンドレルを挿入する。

熱収縮チューブの場合には,規定の最大収縮内径に等しい直径をもつマンドレルの上に収縮させたもの

を試験片とする。

21.3.2

電極  内部電極は,チューブにぴったり合う金属マンドレルとする。外部電極は,幅 100mm,厚さ

0.025mm

以下の金属はくをチューブの外面にぴったり巻いたものとする。マンドレルは,試験片の両端か

ら突き出ており,はくと試験片の端の間の距離は,フラッシオーバを防ぐのに十分なものとする(21.1.4

参照)

21.3.3

手順  二つの電極の間に 21.1.3 に規定の電圧を印加する。

21.4

大サイズチューブの切出し試験片による試験

21.4.1

試験片  試験片は,短冊状のチューブで,フラッシオーバを防ぐのに十分なサイズのものとする。

21.4.2

電極  直径 25mm,長さ 25mm の金属製円筒であり,その円筒の直角の角を約 3mm の半径に取り除

いたもの 2 個を,上部及び下部電極として使用する。これらを軸を合わせて垂直に重ね,その円筒の間に

試験片を保持する。

21.4.3

手順  二つの電極の間に 21.1.3 に規定の電圧を印加する。

21.5

高温試験  適切な数の試験片を用意し,試験する。試験片,ショット(21.2 の方法)及び電極をア

ッセンブルした容器を,製品規格に規定の温度に保持したオーブンに 60±5 分間入れる。試験片が規定温

度の状態で 21.1.3 に規定の電圧を印加する。

21.6

湿熱後の試験  試験片を 40〜50℃で予熱した後,IEC 60212 に規定の湿熱条件に 4 日間(すなわち,

40

℃,93%相対湿度に 96 時間)暴露する。

調節槽から試験片を取り出し,75%の相対湿度で室温まで放冷して取り出し,1〜2 時間の間に適切な方

法で試験片を試験する。

21.7

結果  破壊電圧の測定値及び,該当する場合,温度及び湿度の条件をすべて報告する。

製品規格に規定がない限り,結果は中央値とする。


14

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

備考  製品規格において電極の長さが 25mm 及び 250mm だけの要求値を規定している場合は,電極

長さが 100mm に対応するものとして,次の式によって求める。

3

2

3

2

1

V

V

V

+

ここに,  V

1

: 100mm 電極を使用した破壊電圧要求値

V

2

: 250mm 電極を使用した破壊電圧要求値

V

3

: 25mm 電極を使用した破壊電圧要求値

22.

絶縁抵抗

22.1

調節  結果に疑いが生じる場合には,23℃±2K の温度で 50±5%の相対湿度の環境に 24 時間以上暴

露して調整した試料を用いて試験を行う。

22.2

試験片の形状  ぴったりと内接する 1 本の銅線又は銅管をチューブ試験片に挿入する。挿入された

試験片の長さは 230mm 以上とする。拡張可能な編組系チューブ以外の試験片の場合には,挿入を容易に

させるため適切な導電性の潤滑剤を使用してもよい。熱収縮チューブの場合は,試験片をチューブの収縮

後の規定最大内径に等しい径の金属マンドレル上に収縮させる。

付図 に示したように,幅が各 25±1mm

の 3 枚の金属はくを各 50±1mm のチューブ長間隔で中央に一つと,両端に一つずつ試料に巻き付ける。

試料両端の金属はくの巻付けは挿入した銅線又は銅管に接続し,試験中は接地する。接地線は

付図 に示

したように接続する。

参考  塗料の溶剤がチューブに影響を与えなければ,高導電性の金属塗料を代用してもよい。

22.3

絶縁抵抗の測定  各試験片の中央と外側の金属はくの間に 500±15V の直流電圧を印加する。絶縁抵

抗は電圧印加後 1 分以上 3 分以内の間に測定する。

22.4

試験条件

22.4.1

試験片の数  次の各試験条件において,各 3 本の試験片を試験する。

22.4.2

常温試験  22.2 のとおり試験片を準備し,23℃±2K,50±5%の相対湿度の条件下 22.2 の方法で絶

縁抵抗を測定する。

22.4.3

高温試験  22.2 のとおり試験片を準備する。オーブン内に置き,製品規格に規定する温度で 60±5

分間維持する。試験片を規定温度に維持したまま 22.3 の方法で絶縁抵抗を測定する。

22.4.4

湿熱後の試験  22.2 のとおり試験片を準備し,IEC 60212 に規定の湿熱条件に 4 日間(すなわち,

40

℃,93%相対湿度に 96 時間)暴露する。その後に試験を行う。

参考  水分が試験片に凝縮すると異常な試験結果が生じるので注意する。

22.5

結果  絶縁抵抗のすべての測定値及び試験温度を報告する。

製品規格に規定がない限り,結果は幾何平均値とする。

23.

体積抵抗率  この試験は,拡張可能な編組チューブには適用しない。

23.1

調整  結果に疑いが生じる場合には,湿度 50±5%,温度 23℃±2K の環境に 24 時間以上維持した試

験片を用いる。

23.2

試験片の形状  使用する銅線又は銅管は製品規格に規定する量でチューブの内径より小さいものと

する。ある種のチューブでは,挿入を容易にし,チューブとマンドレルとの間の電気接触をよくするため

に,潤滑剤が必要な場合がある。使用可能な潤滑剤は製品規格に規定する。

熱収縮チューブの場合には,収縮後の最大内径に等しい直径をもつ金属マンドレルの上に収縮させたも


15

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

のを試験片とする。

外部電極は,チューブの外側に 200mm の長さに高導電性の金属塗料を塗布したものとする。

IEC 60093

に従い,試験片の両端にガードリングを取り付ける。

23.3

体積抵抗率の測定  抵抗は,IEC 60093 に従い直流 500±15V で 1 分間印加後に測定する。

体積抵抗率

ρは,次の式によって求める。

)

(

]

/

)

2

[(

log

/

7

868

.

0

/

)

2

(

[

ln

/

2

10

m

d

s

d

LR

d

s

d

LR

+

=

+

π

π

ρ

ここに,

L

電極の長さ (m)

R

抵抗測定値(

Ω)

d

チューブの内径 (mm)

s

チューブの厚さ (mm)

ln

自然対数

log

10

常用対数

L

=0.2m とおくと,式は次のようになる。

ρ

=1.257R/ln [ (d+2s) /d]  =0.546R/log

10

 [ (d

+2s) /d] (

Ω・m)

23.4

試験条件

23.4.1

試験片の数  試験条件ごとに 5 個の試験片を試験する。

23.4.2

室温試験  23.2 のとおり試験片を調製し,23.3 の方法で 23℃±2K の温度,50±5%の湿度で体積抵

抗率を測定する。

23.4.3

高温試験  23.2 のとおり試験片を調製し,製品規格に規定する温度に維持したオーブン中で 50±5

分間加熱する。試験片が規定温度を維持している間に 23.3 によって体積抵抗率を測定する。

23.4.4

湿熱後の試験  23.2 のとおり試験片を準備し,IEC 60212 に規定の湿熱条件に 4 日間(すなわち,

40

℃,93%相対湿度に 96 時間)暴露する。その後に試験を行う。

参考  水分が試験片に凝縮すると異常な試験結果が生じるので注意する。

23.5

結果  体積抵抗率の測定値及び,該当する場合,温度及び湿度の条件をすべて報告する。

結果は製品規格に規定がない限り幾何平均値とする。

24.

誘電率及び誘電正接

24.1

試験の数  1 個の試験片を試験する。

24.2

試験片の形状  試験片は,次の規定の電極を作製するのに十分な長さとする。

熱収縮チューブの場合には,内部電極を構成するマンドレルの上に製造業者の指示する収縮条件によっ

て収縮させる。内部電極に使用するマンドレルの直径 d

1

を 0.01mm の単位で測定しておく。

直径 d

1

は,マンドレルの長さ方向及び円周方向に万遍なく 10 か所測定した平均値とする。

24.3

電極  内部電極は,試験片内面に十分に接触する金属棒とする。

熱収縮チューブの場合には,収縮後内径の最大値に等しい直径をもつものとする。

外部電極及び,ガード電極は金属はく又は適切な導電塗料を用いて作製する。

金属はくを使用するときには,

必要最小限の低損失グリース又は油を使用して,試料表面に取り付ける。

ガード電極は 25mm の幅とし,約 1.5mm の間隔をおいて外部電極の両側に取り付ける。外部電極は,静

電容量を十分な精度で測定できる長さを用意する。

内部電極の両端面は,少なくともガード電極の外側両端から十分な距離をもって外側になければならな

い。


16

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

24.4

手順  試験温度は,23℃±2K とする。試験片の外径 d

2

は内部電極を取り付けた後,静電容量を測定

する直前に測定する。外径 d

2

はマンドレルの長さ方向及び円周方向に万遍なく 10 か所測定し,0.01mm の

単位まで求めた平均値とする。誘電率の測定は,IEC 60250 に適合する適当な測定器を使用し,約 1000Hz

の周波数で測定する。

低圧側のリード線は,ガード電極に接続する。

24.5

計算  比誘電率

ε

r

は,次の式によって求める。

]

)

(

/

)

/

(

[

ln

18

1

2

w

l

d

d

C

r

+

=

ε

 

]

)

(

/

)

/

(

[

log

4

.

41

1

2

10

w

l

d

d

C

+

=

ここに,

C

静電容量測定値 (pF)

d

1

マンドレルの直径 (mm)

d

2

試験片の外径 (mm)

l

外部電極の長さ (mm)

w

外部電極とガード電極の間隔 (mm)

ln

自然対数

log

10

常用対数

誘電正接は,IEC 60250 の規定のとおり測定器の目盛から求められる。

24.6

結果  比誘電率及び静電正接の測定値を報告する。

25.

耐トラッキング性  この試験は,IEC 60587 方法 2(判定基準 A)に基づき,購入者と供給者が合意し

た試験片を使用して行う。

26.

炎伝ぱ(播)

26.1

原理  三とおりの試験方法を規定する。試験方法間に厳しさの程度に相違があり,その選択は,製

品規格のとおりとする。

26.2 A

法及び 法  3 個の試験片を試験する。

26.2.1

  A

法の場合,内径が 10mm 以下のチューブ試料だけに適用する。

備考  熱収縮チューブの場合には,この寸法は収縮後内径とする。

非熱収縮チューブの場合:約 450mm の長さのチューブ試験片に対して,それにほぼ内接する 530mm の

長さの鋼棒を挿入する。

熱収縮チューブの場合:上記の試験片をその収縮後内径の規格値に等しい直径の鋼棒の上に収縮させる。

26.2.2

  B

法の場合  長さ約 660mm のチューブ試験片(熱収縮チューブの場合は,収縮後の試験片)に長

さ 900mm の細いピアノ線を通す。煙突効果を防ぐため,チューブの上部を閉じる。使用するピアノ線の

直径は,次のとおりとする。

試験片の直径

線の直径(最大)

0.44mm

以下 0.25mm

0.44

〜0.81mm 0.41mm

0.81mm

を超える 0.75mm

26.3

熱源

26.3.1

ガスバーナ  バーナは,公称口径が 9.5±1mm のものとする。天然ガスの場合は,通常のブンゼン

バーナが使用でき,炎の長さを約 125mm,内部の青炎の長さを約 40mm に調節する。

プロパンガスの場合は,

付図 に示すバーナを使用する。


17

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

小さなパイロット炎付きのバーナを使うと便利である。

26.3.2

バーナ性能のチェック  バーナの台を水平にして,次のようにバーナの性能をチェックする。

100mm

以上の長さの直径 0.71±0.025mm の裸銅線を,青色炎の上端から約 10mm の炎の中に水平に挿入

し,銅線の支持点から反対側のバーナの端の上で銅線が軟化して,その部分が垂直に垂れ下がるようにす

る。銅線が溶けるのに要する時間は,4 秒以上 6 秒以下でなければならない。

26.4

キャビネット及びその内部の配置  試験は,通風から守るため,3 面の金属壁で試験片を囲んだ排気

フード又はキャビネット内で行う。キャビネット内の試験片及びバーナの配置について,A 法は

付図 10

に,B 法は

付図 11 にそれぞれ示す。

試験片は,試験箱内でその軸を垂直に固定する。B 法の場合は,試験片を上部支持棒の中央部に折り曲

げて固定し(紙クリップ又はクランプを使用する。),試験片の上部を閉鎖して試験中の煙突効果を防ぐ。

チューブの下端から出ているピアノ線は,例えば

付図 11 に示すように支持棒に引き留める。

バーナの胴を試験片と同じ面内で垂直から 20±2°傾けてバーナの台を固定するくさび形の台を用意す

る。バーナをこのくさび形の台に固定し,位置調節ジグ内に置く。ジグは,長さ方向の軸を試験片の軸と

並行とし,バーナの胴を試験箱の後面に向ける。ジグは,さらに,A 点が青炎の先端が試験片の前面に当

たる B 点から約 40mm 離れるように調節する。試験片は,B 点が下側クランプ又はほかの試験片の支持な

どから 75mm 以上接近しないように垂直に位置を調節する。

約 3mm の厚さに脱脂綿をくさび形の台及びバーナの脚部を含む試験箱の床に敷く。

脱脂綿の上面は,B 点の下 240mm とする。

厚さ約 0.1mm の片面にガムを塗布した幅 13mm の強化クラフト紙 (80〜100g/m

2

)

を使用して,標示旗を

作製する。接着力を得るためにガムを適宜湿らせる。

ガム面を試験片に向けてその下端が B 点の 250mm 上となる位置に試験片に巻き付け,両端を互いに押

し付け,高さが 20mm となるように先端を切り取って標示旗とし,旗が試験箱の後側に試験箱の側面と並

行になるように向ける(

付図 10 及び付図 11 参照)。

26.5

手順  試験片に 15 秒間炎を当てた後,取り去る。試験片の燃焼が 15 秒以上継続することがなけれ

ば,15 秒後に再び炎を当てる。この操作を 5 回繰り返す。

試験片の燃焼が自然に停止するまでは再び炎を当ててはならない。

26.6

  C

法  5 個の試験片を試験する。

約 560mm の長さのチューブ(熱収縮チューブの場合は,収縮させたもの)に,少なくとも 800mm の長

さの 26.1 の B 法に同じ直径の細いピアノ線を引き入れる。

26.7

熱源  26.3.1 のとおり調節したブンゼンバーナを使用する。

26.8

キャビネット及びその内部の配置  試験は,通風から守るため,排気フード又は金属製キャビネッ

ト内で試験片の 3 方を金属製壁で囲んで行う。試験片及びバーナの配置を

付図 12 に示す。

試験片を,試験箱の中央にその軸を垂直にして固定する。2 本の水平の支持棒を設け,試験片から延び

たピアノ線を水平から 70 度となるように引き留める。上側の支持棒は,キャビネット後面から 50mm 離

す。試験片の上端は,支持棒にクランプで留めて煙突効果を防ぐ。試験片の下側から延びたピアノ線は,

試験中まっすぐに保たれるように十分な張力を与えて下側の支持棒に引き留める。

A

法及び B 法と同じように,バーナの胴を 25±2°傾けて試験片との位置を合わせるくさび形の台を使

用する。C 法においては,標示旗は使用するが,脱脂綿は使用しない。

26.9

手順  試験片に 15 秒炎を当てた後,キャビネットの外でガスの供給を停止して消火する。ガスの炎

が消えた後の試験片の燃焼時間を測定する。燃焼時間は,有炎の燃焼時間とし,無炎の燃焼は含めない。


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C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

燃焼しないで残った部分の長さから 250mm を差し引いて又は実測によって燃焼部分の長さを測定する。

26.10

結果(及び 法)

26.10.1

  A

法及び B 法については,次の事項を報告する。

a)

秒単位で表した各試験片の炎を取り去った後の,有炎又は無炎の燃焼時間

b)

各試験片ごとの,バーナ,くさび形の台又は床の上への有炎若しくは無炎の落下物による脱脂綿の着

火の発生の有無(炎を伴わない脱脂綿の焦げは無視する。

c)

各試験片の標示旗の試験中の燃焼又は炭化の発生の有無(布,指で取り除けるすすや褐色の焦げは無

視する。

26.10.2

  A

法及び B 法の結果は,次のとおりとする。

a)

秒単位で表した炎を取り除いた後の,いずれかの試験片の有炎又は無炎の最大燃焼時間

b)

バーナ,くさび形の台又は床の上の脱脂綿に着火させる有炎若しくは無炎の放出物の発生の有無

c)

3

回の試験中の標示旗の焼失又は褐色の焦げの発生の有無

26.11

結果(法)

26.11.1

  C

法の場合,次の事項を報告する

a)

秒単位で表したすべての燃焼時間

b)

 mm

単位で表したすべての燃焼距離

26.11.2

  C

法の結果は,次のとおりとする。

a)

製品規格に規定がない限り,秒単位で表した燃焼時間の最大値

b)

製品規格に規定がない限り,mm 単位で表した燃焼距離の最大値

27.

酸素指数

27.1

常温酸素指数  この試験は,ISO 4589-2-2 のとおり行い,試験片は,形状 IV を適用し,チューブと

同じ材料を使用して作製した 3±0.25mm 厚のシートとする。

チューブが架橋品である場合には,試験片も同程度に架橋処理を行ったものを使用する。試験片の着火

手順については,製品規格のとおりとする。

27.2

高温酸素指数  この試験は,ISO/DIS 4589-3 のとおり行い,試験片は,形状 IV を適用し,チューブ

と同じ材料を使用して作製した 3±0.25mm 厚のシートとする。

チューブ試料が架橋品である場合には,試験片も同程度に架橋処理を行ったものを使用する。試験片の

着火手順については,製品規格のとおりとする。

28.

透明度

28.1

試験片の数  1 個の試験片を試験する。

28.2

試験片の形状  試験するチューブの内径と厚さは,製品規格に規定する。

チューブは約 100mm の長さとし,軸方向に切り開き,平らにする。

28.3

手順  切り開いたチューブを次の Helvetica Medium8 ポイント文字の印刷物の上に置く。試験片を通

して上記の印字文字が目視で読み取ることが可能かどうか観察する。

Ackldewgymo

28.4

結果  観察したことを結果として報告する。

29.

イオン性不純物


19

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

29.1

一般  IEC 60589 のとおり,抽出水の導電率を測定する。

29.2

結果  製品規格に規定がない限り,結果は中央値とする。

30.

銀変色

30.1

原理  この試験において,チューブの試験片を銀ぱくと接触させたまま双方を高温に暴露する。銀

ぱくの黒さを,濃度計の一部である標準濃度フィルムと比較する。

30.2

試験片の数及び形状  環状の新しい断面が露出するように試験片を切り取る。その長さは,厚さよ

り小さくなく,垂直に立てたとき安定である程度に短いものとする。

30.3

濃度計  濃度計は規定の濃度に黒化するように露光させた一片をもつ長方形の写真フィルムで,こ

れを標準濃度とする。その一片は約 3mm 幅で各サイドから等間隔のところに位置する。

標準濃度は,ISO 5-1 から ISO 5-4 のとおり測定したとき,次の要求事項に適合するものとする。

背景となる露光を行っていない部分の濃度は,タイプ VI-b で 0.050 以下とする。

標準濃度と背景の黒化していない部分の濃度の差は 0.015±0.005 とする。

30.4

手順  各試験片は,新たに切断した断面を下向きとし,分析用銀ぱくを宝石用鉄丹及び水で研磨し

たものを清潔な布でふいて乾かしたものの上に置く。はくは,試験片を載せたまま,製品規格に規定がな

い限り,70℃±2K の温度に維持した適切な空気オーブンに 30±2 分間入れる。

各試験片をはくから取り除き,銀ぱくの黒化の発生の有無を調べる。黒化が観測される場合には,それ

を濃度計の標準濃度近傍の露光していない部分を通して見る。試験片の黒化が標準濃度より黒いかどうか

を観察する。

30.5

結果  観察したことのすべてを,結果として報告する。

31.

電解腐食抵抗性

31.1

一般  この試験は,IEC 60426 に規定の三つの方法の 1 以上の方法によって試験する。使用する方法

は,製品規格に規定する。

31.2

試験片の数  試験片の数は,方法によって次のとおりとする。

a)

目視法:3 試験片

b)

銅線引張法:5 試験片

c)

絶縁抵抗法:5 試験片

32.

銅腐食性及び銅安定性(引張強さ及び破断伸び)

32.1

原理  この試験は,銅とチューブ材料との相互作用を調べるものである。

32.2

試験の数及び形状  少なくとも 150mm の長さの 5 本のチューブをそれぞれ長さ方向に切り開き,こ

れを試験片とする。

試験片をまっすぐで清浄な裸銅マンドレルの上に取り付け,両端を銅線で緊縛してしっかりと固定する。

マンドレルは通常,銅パイプを使用するがチューブの内径が 6mm 以下の場合は,銅棒又は銅線を代用し

てもよい。マンドレルは直径が試験片の内径よりも 10〜20%大きいものを使用する。

32.3

手順  試験片はそれぞれマンドレルに取り付けた状態で,まず温度 23℃±5K,湿度 90%以上の条件で

24

時間の調整を行う。調整終了後,製品規格に規定がない限り,160℃±3K の恒温槽に 168±2 時間保持

する。

恒温槽から取り出した試験片は室温まで冷却する。各試験片をマンドレルから取り外し,マンドレル及


20

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

び試験片の双方についてへこみ,さびなどの化学的な相互作用の発生の有無を目視で調べる。

チューブのマンドレルへの密着や銅の通常の酸化による変色は無視する。

次いで,各試験片を使って 19.の規定によって引張強さ又は破断伸びの両方又はいずれかの試験を行う。

32.4

結果  化学的な相互作用を観察したことすべてを報告する。引張強さ及び破断伸びのすべての測定

値も報告する。製品規格に規定がない限り,結果は中央値とする。

33.

銅腐食

33.1

原理  この試験は,チューブの揮発成分による銅への影響を調べる。

33.2

装置

−  試験管:13mm×300mm

− 6mm 幅,25mm 長さの銅−ガラス鏡

適切に調節したデシケータに保管する。鏡は,銅を真空蒸着したもので,その厚さは波長 500nm の

入射光線で測定した透過率が 10±5%となるものとする。試験には酸化物層の発生がなく銅が損傷し

ていないと判定したものだけを使用する。

−  コルク

−  アルミニウムはく

−  直径 0.25mm 以下の細い銅線

−  温度を±2K 以内に保持できるオイルバス

33.3

試験片の数及び形状  1 回の試験には,チューブ状試験片 2 本をそれぞれ別の試験管に入れたもの,

及びブランクとして更に別の試験管 1 本を,使用する。

内径 3mm 未満のチューブは,合計した外側の表面積が 150mm

2

となるように切り取り,これを試験片と

する。

内径 3mm 以上のチューブは,長手方向に約 6×25mm の寸法に切り取り,これを試験片とする。

33.4

手順  上記の試験片を試験管に入れ,3 番目のものはブランクとする。

33.2

に規定の銅鏡を試験管の底から 150〜180mm 上につるす。このとき,銅鏡の上端を細い銅線で 1 回

巻いて銅線の他端をコルクに取り付けて鏡を支え,鏡が垂直となるようにする。

試験管はアルミニウムはくを巻いたコルクで封をする。3 本の試験管の底部 50mm を製品規格に規定の

温度及び時間オイルバスに浸す。各試験管の鏡を入れている部分の温度は 60℃以下に保つ。冷却した後,

鏡を取り出し,一つずつ白色の背景のものの上に置いて十分な光で調べる。

鏡からの銅のはく離は,腐食を示す。ただし,鏡の下部の銅のはく離は,凝縮もこの状態を引き起こす

可能性があるので,鏡の全面積の 8%を超えない限り無視する。銅の膜の退色又は厚さの減少は,腐食と

は考えない。銅がはく離して鏡が透明となった部分だけを腐食と考える。もし,対照(ブランク)の試験

管内の鏡が腐食した兆候があるときは,再度試験を行う。

33.5

結果  各鏡の腐食の百分率を報告する。結果は,観測された腐食の百分率の平均値とする。

34.

光による退色

34.1

原理  この試験では,規定条件下における色の変化の度合いについて試験片と標準品との比較を行

う。

34.2

試験片  適切な長さのチューブ。


21

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

34.3

手順  チューブ試験片と ISO 105-B01 に規定された羊毛を染色した退色試験標準品をそれぞれ半分

覆い,キセノン又は封入カーボンアーク灯の光源に同時に暴露する。暴露は,その退色試験標準品が ISO 

105-A02

に規定する退色標準の等級 4 に至るまで継続する。その間の温度は 40℃を超えないものとし,湿

度の調節は不要とする。使用する退色標準品の番号は製品規格に規定する。退色標準品を頻繁に観察し,

規定の退色基準を超えないように注意する。

暴露前後の色の変化について試験片と退色標準品とを比較する。この比較は,白色の背景のもとで,か

つ十分に明るいところで行う。

34.4

結果  観測したことを結果として報告する。

35.

耐オゾン性  次の変更を除き,ISO 1431-1 のとおり試験する。

35.1

試験片の数及び形状  約 25mm の長さの試験片 3 個を試験する。

35.2

手順  試験片を,例えば,PTFE のように,摩擦係数が少なく,オゾンに不活性で,かつ,平滑なマ

ンドレルに取り付けて応力を平均化させる。マンドレルの直径は製品規格に規定する量だけチューブの内

径が増加するものを選ぶ。装着したチューブを,製品規格に規定する時間,温度及びオゾン濃度の条件に

さらす。試験片をオゾン暴露環境から取り出し,製品規格に規定のない限り,目視でクラックの発生の有

無を調べる。

35.3

結果  観察事項をすべて結果として報告する。

36.

選定した液体に対する抵抗性

36.1

原理  次の事項を明確にする必要がある。

a)

液体の選択

b)

浸せき温度

c)

浸せき時間

d)

評価方法

36.2

液体の選択  製品規格に規定がない限り,液体は購入者と供給者が合意したものとする。浸せきす

る液体の量は,少なくとも試験片の体積の 20 倍以上とする。

参考  ある種の液体を使用することによる人の健康又は火災の危険から守るため,適切な防護策を措

置する。

36.3

評価方法

a)

21.

による絶縁破壊電圧

b)

  19.

による引張強さ又は破断伸び

c)

目視観察

d)

質量変化

e)

製品規格に規定の他の方法

36.4

試験片の数及び形状  試験片の数は,評価方法によって決める。19.又は 21.によって評価するときは

その規定によるものとし,目視観察又は質量変化によるときは,長さ約 25mm のものを 3 個使用する。ど

ちらか一方を選ぶときは,19.の目視観察又は質量変化による試験片を使用する。


22

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

36.5

手順  試験片は,製品規格に規定がない限り,23℃±2K の温度の液体中に 24±1 時間浸せきする。

試験片を液体から取り出し,製品規格に規定がない限り,45〜75 分間滴下させた後,軽くふき取る。これ

を 36.2 のとおり室温で試験する。質量変化が必要なときは,質量を再度測定し,浸せき前の質量との変化

の百分率を計算する。

備考  引張強さを評価の方法とするときは,断面積は浸せき前に測定する。もし質量変化を用いると

きは,試験片は浸せき前に 0.000 2g まで,質量を測定する。

36.6

結果  結果は規定の評価方法によって,適切に観察したものとする。結果は規定の要求値と対比す

るか,又は対象標準との百分率で表してもよい。

もし,定性評価の追加が必要なときは,試験片を液体から取り出した直後に膨潤,べとつき,くずれ,

割れ,膨れなどの劣化の兆候の有無を観察し報告する。

37.

耐熱性

原理  この試験は,一般に IEC 60216 のとおり行う。個々の試験手順と使用する終点は,製品規格によ

る。

38.

単位長さの質量

38.1

試験片の数  3 個の試験片を試験する。

38.2

手順  供給された状態での試験片の質量を測定する。

特に製品規格に規定がない限り,試験は直角に切断した(切断面が軸方向と直角をなす。

)長さ約 100mm

の試験片について行う。切断の後,長さ を±1mm の精度で測定する。円周の異なる部分で計ったとき,

長さが計算に使用する値から±1mm を超えて変動してはならない。1%又は 100mm の長さのチューブ当た

り 0.01g(いずれか小さい方の値)の精度で測定できれば,質量はどんな方法を使用して測定してもよい。

38.3

結果  1m 当たりの質量 を,次の式で計算する。

)

/

(

000

1

1

m

g

L

m

M

×

=

ここに,

m

1

試験片の質量

 (g)

L

試験片の長さ

 (mm)

単位長さ当たりの質量の値をすべて報告する。製品規格に規定がない限り,結果は平均値とする。

39.

熱老化

39.1

試験片の数及び形状  19.のとおり

5

個の試験片を用意する。

39.2

手順  試験片は,製品規格に規定の温度のオーブン中に

1

端をつるし,製品規格に規定がない限り,

168

2

時間暴露する。試験片をオーブンから取り出し,放冷させる。製品規格に規定のとおり 19.に従い

引張強さ及び,又は伸びの試験を行う。

40.

吸水率

40.1

一般  製品規格に規定がない限り,ISO 62 の方法

1

によって試験を行う。

40.2

結果  すべての測定値を報告する。製品規格に規定がない限り,結果は平均値とする。

41.

制限収縮(無収縮チューブだけに適用)


23

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

41.1

試験片の数 

3

個の試験片を試験する。

41.2

試験片の形状  収縮前のチューブ試料から各約

150mm

長のチューブ片

3

個を切り取り,これを試験

片とする。

41.3

装置  付図 13 に示された形状及び寸法の金属マンドレルを用意する。すべての鋭利な端部を取り除

くように注意する。

41.4

手順  試験するチューブ試料の規定収縮前内径に等しい径

D

及び規定収縮後内径に等しい径

d

を併

せもつ異形マンドレルを選択する。室温でのマンドレルを試験片に挿入し,製品規格に規定された温度に

予熱されたオーブン中に置く。

試験片を十分収縮させ,

更に

30

±

3

分間この温度のオーブン中に保持する。

加熱終了後,マンドレル及び試験片をオーブンから取り出し,室温まで冷却する。

各試料のクラック又は裂けの跡の有無を検査する。

付図 13 の径

D

の部分の上部中央を幅

13mm,

厚さ

0.025mm

以下の導電性はくで覆う。電気接続のために短い長さの自由部分を残して,電気的な接触を確実

にするため,はくの第一層に対して更に第二層をきつく巻き付ける。マンドレルの一端からチューブの部

分を取り除き,二次的な電気接続のために短いはき出し部分を設ける。このとき,耐電圧試験の間のフラ

ッシオーバを避けるために,

十分な長さのチューブが接続点とはく電極の間に残っていなければならない。

参考

代替として,導電性塗料を使用してもよい。

製品規格に規定されたレベルまで

500V

/秒の速度で電極間に試験電圧を印加し,

1

分間保持する。

印加電圧及び絶縁破壊の発生の有無を記録する。

41.5

結果 

3

個の試験片のクラック又は裂けの有無及び耐電圧保証試験の結果を報告する。

42.

熱による色安定性

42.1

試験の数 

3

個の試験片を試験する。

42.2

試験片の形状  チューブ試料から約

100mm

長のチューブ片を切り取り,これを試験片とする。

42.3

手順  製品規格に規定の温度で規定の時間,試験片を恒温槽につるす。

時間の規定がない場合には,

24

±

1

時間とする。

加熱終了後,試験片を恒温槽から取り出し,室温まで冷却する。製品規格に規定する色標準と試験片と

の色を比較試験する。

42.4

結果  使用した温度,時間,及び各試験片の目視評価結果を報告する。

43.

煙指数

43.1

定義  この試験方法では,次の用語を定義する。

a)

煙指数  試験の開始から透過率が

70%

40%

10%

及び最低となるまでの光の透過率の変化率の算術

和。

b)

ISO 3261

に規定の用語の定義も準用する。

43.2

原理  チューブ試料から切り取った短冊状の試験片を,規定の標準加熱燃焼条件に暴露する。発生

した煙の定の容積内への拡散による透過率の変化を試験時間を通じて記録する。得られた透過光量/時間

曲線を煙指数を計算するのに使用する。

43.3

装置  装置は,IEC 60695-6-30 の規定に,次の修正を加えたものとする。

a)

混合扇  小さな混合扇で,槽のほぼ中央の上部に位置して槽内の煙を完全に均一に拡散させる。両先

端までの距離が

250mm,

で最大幅が

70mm

2

枚の羽根を対置して

4

枚取り付けたものとする。

扇は,

60

120r/min

の速度で回転させる。


24

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

b)

バーナ  付図 14 に示す構造の多数の噴出孔をもつバーナで,空気とプロパンガスの混合燃料を使用す

る。バーナは,試験片ホルダの前中央部に位置し,試験片の下端と同じ高さで

10mm

離す。混合燃料

の流速は,校正した流量計で計測して,試験片の下端から約

5mm

の高さで試験の幅

90%

以上に青色

炎が触れるように調節する。

槽の扉を開けることなく遠隔からバーナに点火できる点火システムを用意する。白金熱線,ピエゾ

圧電結晶又はパイロット炎の点火システムが適切である。このシステムは,試験する材料の煙指数の

値に影響を及ぼすものであってはならない。

43.4

試験片の数及び形状  チューブ試料より長さ約

75mm

の短冊状試験片を切り取る。その厚さ及び最

小幅は該当する製品規格のとおりとする。短冊状試験片の数は,試験片ホルダの前面を覆うのに十分なも

のとする。

43.5

調整  短冊状の試験片は,試験片ホルダに取り付ける前に

23

℃±

3K

及び相対湿度

50

±

5%

で少なく

とも

24

時間調整する。

43.6

試験片の取付け  試験中の試験片の極端なねじれ及びゆがみを防ぐために,直径

1.5mm

のステンレ

ス鋼線で作った

12.5mm

の正方形の編目の金網で短冊状の試験片を支える。試験片ホルダの表面を下に向

けて平らな面の上に置き,金網を挿入する。短冊状の試験片を,互いに重ならないように,かつ,相互の

すきまが残らないように試験片ホルダに平行に取り付け,ホルダを試験の位置に設置したときに短冊状試

験片が垂直になるようにする。厚さ約

0.04mm

のアルミニウムはくで絶縁ブロックを完全に包む。

これを試験片ホルダ内に並べた試験片の上に置き,張力ばねの位置を調整し,ロックピンで固定する。

備考

付図 15 の試験片を垂直に取り付けた煙指数試験片ホルダの前面図を参照。

43.7

操作の安全  試験中は,試験片から可燃性又は有害なガスが発生する危険がある。

作業者は,排気ガスヘの暴露を避けるため,適切な予防措置を講じる。

43.8

手順

43.8.1

煙槽を組立て,製造業者の取扱説明書によって IEC 60695-6-30 で要求するすべての校正を行う。

43.8.2

プロパンガス及び空気の供給を開始し,バーナに点火する。ブランクの試験片ホルダを炉の前に置

いて炎が 43.3b)に規定の高さとなるようにガス流量を調節する。流量計の値を記録する。ガスを遮断する。

43.8.3

槽の光窓を清浄にし,補助加熱システムのスイッチを入れる。ベントを開放して槽壁温度が

33

±

4K

となるように装置を安定させる。吸気ベントを閉じる。

43.8.4

炉の出力を

2.5W/cm

2

に安定させ,排気ベントを閉じる。増幅器及び記録計のレベルを

0%

100%

にセットする。

10mm/

分以上の速度で記録計を走らせる。

43.8.5

試験材料を取り付けた試験片ホルダを炉の前に置き,記録計上の点を試験の出発点として記録する。

同時に計時装置を始動させる。

43.8.6

試験の開始から

 (300

+10

0

)

秒後にガスの供給を開始してバーナを点火し,ガス流量を上記 43.8.2 

記録したガス流量に調節する。

43.8.7

材料を,炉及びバーナの炎に

15

分±

15

秒当てる。光透過百分率を連続して記録し,この期間中の

材料の燃焼状態を観察する。もし,試験片がはく離,たるみ,収縮,溶融又はつぶれなどの異常な燃焼状

態を観察したら,そのことを時間とともに試験成績書に記録する。もし,透過率が

0.01%

以下に下がった

ときは,観察窓を閉じ,光路から減光フィルタを外す。

43.8.8

槽を開けずにバーナヘのガスの供給を止め,

attenuator arm

を使って試験片ホルダを炉の前から動か

す。炉と記録計への電流は維持する。製造業者の取扱説明書によって,槽を排気する。光透過率の記録を,

安定な記録が得られるまで継続する。これを清澄光透過率

T

c

とする。


25

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

43.8.9

試験期間中を通じて記録計の光透過率百分率がフルスケールの

10%

以上となるように,光検出器の

増幅システムのレンジを調節する。

43.8.10

試験の終了時に,槽の内部,補助装置及び支持機構を清浄にする。

43.8.11

同じチューブのサンプルの残る

2

個の試験片について試験を繰り返す。

備考

試験装置に,校正に影響したり,又は炎の状態に影響するような調節を行っていなければ,繰

返しの試験は同一の設定で行ってもよい。

43.9

結果の計算

43.9.1

試験操作期間中に光窓に付着物が徐々に,たい(堆)積し,光透過光の値は低下する。したがって,

煙指数を計算する前に記録した値を補正する必要がある。それは,43.9.2 によって透過光一時間の新しい

プロットを描くことによって可能である。

43.9.2

光透過率の補正

43.9.2.1

記録計で得た図形から次の値を得る。

ここに,

T

c

試験操作の終了時の清澄光透過率

T

min

試験操作で得た最小光透過率

43.9.2.2

  T

c

及び

T

min

を対応する煙密度

D

sc

及び

D

smax

に換算する。

ここに,

D

sc

清澄光透過率に対応する煙密度

D

smax

最大煙密度

槽の光透過率から煙密度への換算は,次の式で行う。

T

F

Ds

100

log

)

(

10

×

=

煙密度

ここに,

T

光透過率

F

槽係数=

132

参考

槽係数は,

V/ (A

L)

で得られる。

V

は体積,

A

は試験片の露

出面積,

L

は光路の長さである。

43.9.2.3

もし,

D

sc

D

smax

3%

以下のときは,記録した図形の補正は不要である。

43.9.2.4

  D

smax

から

D

sc

を差し引いて修正最大煙密度

D

smax. c

を得る。

D

smax.c

を光透過率百分率に換算し,こ

の値を記録チャートの同一時刻に修正最小光透過率

T

minc

としてプロットする。

43.9.2.5

もし,

D

sc

D

smax

3%

以上で

T

minc

70%

未満のときは,図形に次の補正を行う。

43.9.2.3

と同様に,

次の補正係数を使用して光透過率を煙密度に換算する。

この値を更に光透過率

 (%)

転換する。同時期に初期の未補正値としてプロットした光透過率補正値から,光透過率と時間の新しいプ

ロットを作成する。

smas

s

sc

D

D

D

Ds

Ds

×

=

ここに,

D

s

煙密度の未補正値

D

c

補正後の煙密度

D

sc

及び

D

smax

43.9.2.2

に規定したとおりである。

43.9.2.6

 70%

透過率の値のときの補正煙密度を得る例(このとき

D

s

20

smas

sc

c

ST

D

D

D

D

20

20

70

×

=

同様に,光透過率が

40% (D

sT40

)

及び

10% (D

sT10

)

のときの補正煙密度も同様に計算できる。

43.9.2.7

43.9.2.6

を使って得られた補正煙密度を再び光透過率百分率に転換する。試験開始から透過率が

70%, 40%

及び

10%

に達するまでの補正後の時間(分)を読み取る。


26

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

43.9.3

煙指数の計算

43.9.3.1

補正した最小光透過率が

70%

以上のときは,煙指数は次の式で計算する。

min

min

t

D

(c)

ST

=

煙指数

ここに,  D

sTmin (c)

: 補正した曲線上の最小光透過率に対応する煙密度

t

min

最小光透過率が記録された時間

43.9.3.2

補正した最小光透過率の値が 70%未満のときは,煙指数は,該当の曲線から次によって計算する。

)

(

min

min)

(

)

min(

)

10

(

)

10

(

)

40

(

)

40

(

)

40

(

)

40

(

)

70

(

)

70

(

Y

X

t

D

t

D

t

D

t

D

t

D

T

X

c

ST

ST

ST

ST

ST

+

+

+

+

=

煙指数

ここに,  D

sT (70)

70%

光透過率に対応する煙密度 (20.0)

D

sT (40)

40%

光透過率に対応する煙密度 (51.9)

D

sT (10)

10%

光透過率に対応する煙密度 (130.5)

t

 (70)

試験開始から 70%の光透過率に達するまでの補正後の時
間(分)

t

 (40)

試験開始から 40%の光透過率に達するまでの補正後の時
間(分)

t

 (10)

試験開始から 10%の光透過率に達するまでの補正後の時
間(分)

t

min

試験開始から最小光透過率が生じるまでの時間(分)

X

試験中に到達した透過率の値の最小の基準点,すなわち,
70%, 40%

又は 10%

Y

試験中に到達した透過率の値の最小の次の参照値,

すなわ

ち,40%, 10%又は 0%

43.10

結果

43.10.1

少なくとも 3 回以上繰り返して行った煙指数測定のそれぞれの値を,小数点以下 1 けたまで報告す

る。

特に製品規格に規定がない限り,結果は中央値とする。

43.10.2

さらに,燃焼挙動の概要(43.8.7)を結果として報告する。

43.10.3

チューブの厚さ及び試験片として使用した短冊状の試験片の幅を報告する。

43.10.4

報告書には,次の文章を加える。

この試験結果だけではこの材料又はこの材料を使用した製品の実際の火災状態での火災危険を評価す

ることはできない。したがって,この試験結果を,この材料又はこの材料を使用した製品の実火災におけ

るクレームを支援するものとして使用してはならない。結果は,研究,開発,品質管理及び材料の仕様書

としてだけ使用する。

44.

毒性指数

44.1

定義  この試験のために,次の用語を定義する。

毒性指数 (Toxicity index) 規定の条件で材料を空気中で完全に燃焼させたときに生じるガスのうち,特定

ガスの毒性係数の和。毒性係数は材料 100g を 1m

3

の空気中で燃焼させたときに発生する各ガス量及びそ

れより人が 30 分間暴露されたときに致死となる濃度の係数として計算したものである(44.9 参照)

30

分を基準として,ある量のガスが致死となる量のガスの係数を 1 として複合毒性指数を算出する。

44.2

原理  試験する材料の有炎の完全燃焼から生じるある種の低分子量ガスの分析データから,30 分を

基準として致死となる暴露レベルを使って計算し,複合毒性指数を算出する。


27

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

44.3

装置

44.3.1

一般事項  実際的である限り,試験槽内の機器すべての表面はできる限り非金属材料で製造又は被

覆し,試験中に材料から発生するガスに不活性化する。

44.3.2

試験槽  試験槽は,乳白色プラスチック材料で被覆し,透明プラスチック窓をはめ込んだ丁番又は

スライド式の扉をもつ容積が 0.7m

3

以上の気密試験箱とする。槽を構成する材料は,試験中に発生するガ

スと反応してはならず,その吸収量は最小でなければならない。

参考  槽のライニングにはポリプロピレンが,窓にはポリカーボネートが適していることが知られて

いる。

槽は,試験中に槽の出口を閉鎖できるような強制換気システムを備えていなければならない。槽内の天

井レベルの中央部に水平に混合扇 (mix fan) を取り付ける。混合扇には,直径が 200mm 以上の 6 枚の羽根

をもち,1 200〜1 500r/min の速度で回転できるものである。槽の外部から混合扇を始動・停止できる手段

を用意する。

44.3.3

バーナ  バーナは,ブンゼンバーナであって,熱量約 30MJ/m

3

のメタンガス(天然ガス)で作動す

るものとする。バーナには,試験中のサンプルの燃焼中の酸素の減少,及びその結果として炎の温度低下

又は消火を防ぐために槽の外から空気を供給するように手直ししたカラーを接続する。バーナは,高さ約

100mm

で,炎の温度が最も高い点で 1 150℃±50K とすることができるものとする。

参考  約 10l/分及び/分のガスと空気の流量が必要な場合には,高さ 125mm,口径 11mm,ガス及び

空気入口の内径が 5mm のブンゼンバーナが好ましい。

槽の外からバーナを点火及び消火する機構を備える。

44.3.4

試験片の支持  厚さ 2〜4mm の不燃性の材料から切り取った外径 100±1mm,内径 75±1mm の環

状の支持材に金網を張ったものとする。金網は耐熱性のもので,正方形の約 10mm の編目のものとする。

44.3.5

計時装置  計時装置は,±1 秒の精度で 5 分まで測定可能のものを使用する。

44.3.6

ガスのサンプリング及び分析装置

44.3.6.1

ガスのサンプリング  測定前の吸収及び凝縮による有毒燃焼生成物の損失を防ぐために,すべて

のサンプリング配管は,できる限り短くする。

槽に取り付けた採取口は,ガス槽の気密性を損なわないようなものにする。

44.3.6.2

分析装置  試験片の燃焼によって生じるガスの分析装置は,44.9 に規定のガスの検出と測定が速

くできるものでなければならない。

カロリーメータ反応管が使用できる。これを使用するときは,槽内に設置する。

44.4

試験片  チューブから,試験中に試験片が全面的に炎に包まれるような寸法と形状に,試験片を切

り取る。試験片の質量は,燃焼生成物の性状と分析方法の感度を考慮して,最適な分析精度が得られるも

のを選ぶ。

備考  熱収縮チューブの場合は,完全に収縮させたものから試験片を切り取る。

3

回の完全燃焼を行わせるため,十分な数の試験片を用意する。

44.4.1

調整  試験片ホルダに装着する前に 23℃±2K,相対湿度 50±5%で 24 時間以上調整する。

44.5

安全への配慮  この試験中,試験片から可燃性又は有毒のガスが発生する危険がある。作業者への

暴露を防ぐために適切な配慮をしなければならない。

44.6

手順

44.6.1

バックグラウンド係数の測定


28

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

44.6.1.1

バーナを,試験槽の床の中央部に置く。扉を閉じ,すべての給排気口を閉じる。バーナに点火し,

炎が 44.3.3 に規定のものとなるようにガス及び空気の流量を調節する。必要に応じ,速やかにこの条件の

再現を容易にするために流量の基準レベルを記録する。バーナを消して槽を換気する。

44.6.1.2

ガスと空気の流量を基準レベルに調節する間に生じたガスを十分排気した後,一酸化炭素,二酸

化炭素及び窒素酸化物の分析を準備する。これらのガスの分析に必要なものを除き,すべての採取口を閉

じる。分析の方法としてカロリーメータ管を使用する場合には,槽内にこれを設置する。

44.6.1.3

扉を閉じる。バーナに点火し,同時に計時装置を始動する。炎の条件をガスと空気の基準レベル

に 1 分±1 秒維持する。炎を消火し,混合扇を始動する。30±1 秒後混合扇を停止し,槽内の空気を採取し,

一酸化炭素,二酸化炭素及び窒素酸化物の濃度を測定する。

44.6.1.4

扉を約 3 分間開放して,槽内からすべての排ガスを強制的に換気する。44.1.6.2 から 44.6.1.3 の操

作を,燃焼条件を 2 及び 3 分±1 秒に変えて繰り返す。

44.6.1.5

一酸化炭素,二酸化炭素及び窒素酸化物の濃度と燃焼時間との曲線をプロットし,バーナ単独の

場合のガスの増加率を求める。二酸化炭素の場合には 0.03%,また一酸化炭素と窒素酸化物の場合には 0%

のレベルをゼロ時間とする。

44.6.2

発生ガスの測定

44.6.2.1

試験片の燃焼中に発生しないガスのための不要な分析を排除するため,予備的定量分析を行って

もよい。試験片にハロゲンが入っていないことを確認できれば,ハロゲンガスの定量分析は省略してもよ

い。同様に,窒素が入っていないときは,窒素を含有するガスの分析は不要である。

44.6.2.2

強制換気によって発生ガスを排出し,3 分以上空気を流通させて槽を清浄にする。

44.6.2.3

試験片を mg 単位で計量し,試験片支持台に載せ,槽の中央部のバーナの上部で温度が 1 150℃±

50K

の温度の炎の先端が達する高さに支持する。

材料が溶融して滴下する場合は,試験中のサンプルの損失を防ぐために薄いグラスウールマットを支持

金網の上に敷く。

44.6.2.4

燃焼生成物の分析の用意をする。分析に必要なもの以外の採取口を閉じる。分析の方法としてカ

ロリーメータ管を使用する場合は,これを槽内に設置する。

44.6.2.5

槽を閉じ,すべての給排気口を閉じる。バーナに点火し,同時に計時装置を始動する。試験片の

燃焼が終了するまで炎の条件をガスと空気の基準レベルに維持する。

この時間を記録する。バーナを消火し,混合扇を始動する。30±1 秒後,混合扇を停止し,直ちに槽内

の空気を採取し,試験片の燃焼によって発生したガスの濃度を測定する。

ハロゲン酸性物質の存在が予想されるときは,分析が遅れると凝縮物の吸収による損失が生じるので,

それを低減するために,その測定を最初に行う。

44.6.2.6

分析が完了した後槽内に残る排ガスを換気し,3 分以上空気を自由に流通させる。

44.6.2.7

試験片の残さを調べ,不完全燃焼の有無を確認する。試験片又はその断片が不完全燃焼によって

残っているときは,別の試験片を使用して試験を繰り返す。

44.7

毒性指数の計算

44.7.1

 100g

の材料を完全に燃焼させ,その燃焼生成物を 1m

3

の体積の空気に拡散したときの各ガスの濃

度を,次のとおりその濃度を計算する。

)

(

100

0

ppm

m

V

C

C

×

×

=

ここに,

C

:  試験槽内のガス濃度 (ppm)


29

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

m

:  試験片の質量 (g)

V

:  試験槽の容積 (m

3

)

一酸化炭素,二酸化炭素及び窒素酸化物の場合は,試験片の燃焼完了時間及び同じ時間バーナだけでプ

ロットして得たバックグラウンドのガス濃度値を の値から差し引いて補正を行う。

44.7.2

それぞれのガスの 3 個の試験片の C

0

値の平均値を使用して,毒性指数を次の式によって求める。

n

n

cf

c

cf

c

cf

c

cf

c

cf

c

0

4

40

3

30

2

20

2

10

・・・

毒性指数

+

+

+

+

=

ここに,  C1

0

C2

0

C3

0

C4

0

,…Cn

0

は 100g の材料から発生したそれぞれのガ

スの濃度 (ppm) であり,Cf

1

Cf

2

Cf

3

Cf

4

,…Cf

n

は 30 分さらされた

ときに人が致死となるそれぞれのガスの濃度 (ppm) である。

44.8

有毒成分  試験片の燃焼生成物の分析には,次のガスの定量測定を含める。

二酸化炭素 (CO

2

)

二酸化硫黄 (SO

2

)

一酸化炭素 (CO)

硫化水素 (H

2

S)

ホルムアルデヒド (HCOH)

塩化水素 (HCl)

窒素酸化物(NO 及び NO

2

アンモニア (NH

3

)

シアン化水素 (HCN)

ふつ化水素 (HF)

アクリロニトリル (CH

2

CHCN)

臭化水素 (HBr)

ホスゲン (COCl

2

)

フェノール (C

6

H

5

OH)

参考  上記の表は,燃焼生成物に見られる可能性があるガスの完全なリストとして用意したもの

ではなく,毒性のデータのベースとして使用できるような共通して生成されるものを表し
ている。

44.9

  Cf

の値  30 分間の暴露で人が死に至ると考えられるガス濃度を Cf (ppm) で表し,それを毒性指数

の計算に使用する。各ガスの Cf は,次のとおりとする。

二酸化炭素 100

000

一酸化炭素 4

000

硫化水素 750

アンモニア 750

ホルムアルデヒド 500

塩化水素 500

アクリロニトリル 400

二酸化硫黄 400

酸化窒素物 250

フェノール 250

シアン化水素 150

ふっ化水素 100

臭化水素 150

ホスゲン 25

44.10

結果及び報告  毒性指数の結果は,この方法で規定する中央値とする。報告には,少なくとも次の

事項を含める。

a)

試験した材料(タイプ,級などの詳細)

b)

この方法で規定する毒性指数

c)

この方法の参照

d)

試験中に検出したガスのリスト

e)

次の記述

この試験結果だけでは,この材料又はこの材料を使用した製品の実際の火災状態での火災危険及び燃

焼生成物を評価することはできない。したがって,この試験結果は,この材料又はこの材料を使用した製

品の実火災におけるクレームを支援するものとはならない。結果は,研究,開発,品質管理及び材料の仕

様書としてだけ使用する。

45.

ハロゲン量


30

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

45.1

低レベルの塩素,臭素及びよう素の測定方法

45.1.1

原理  この方法は,ハロゲンを抽出するための酸素フラスコ技術と,量を見積るためのカロリーメ

ータ手法によっている。塩素・臭素・よう素は,チオシアン化水銀と反応してチオシアン酸イオンを遊離

させ,硫酸第二鉄アンモニウムに反応させてチオシアン酸鉄の色を発現させる。

45.1.1.1

装置

a)

酸素フラスコ

b)

ピペット

c)

目盛付きフラスコ

d)

紫外線−可視光分光光度計

45.1.1.2

試薬

a)

チオシアン化水銀の変性アルコール溶液 [Hg (SCN)

2

]

(100ml の工業用エチルアルコールに 0.3g)

b)

硫酸第二鉄アンモニウム溶液 [NH

4

Fe (SO

4

)

2

12H

2

O]

(100ml の硝酸に 6.0g)

c)

1

規定水酸化ナトリウム溶液

d)

過酸化水素 (30%)

e)

塩素・臭素・よう素の標準液 (1,2,5,7,10

µg/ml)

45.1.2

手順  30mg の試験片を,呼吸液として 1 規定の水酸化ナトリウム 5ml 及び過酸化水素を 3 滴加え

た 1 リットルの酸素フラスコ内で,燃焼させる。霧が晴れ,フラスコが冷えた後,フラスコの柱を外し,

煮沸して残った過酸化水素を分解する。フラスコの内容物を少量の蒸留水を使用して 25ml の目盛付きフ

ラスコに移す。4ml の硫酸第二鉄アンモニウム溶液及び 2ml のチオシアン化水銀溶液をピペットを使って

フラスコに加え,蒸留水を目盛まで加える。この液をかくはんし,色が発現するまで 10 分間静置する。25ml

の目盛付きフラスコに入った 1, 2, 5, 7, 10

µg/ml 塩素の標準液を使用して検量線を作成し,上記の色を発現

させる。また,ハロゲンの代わりに蒸留水を使用したブランク試液も用意する。

波長 470nm で溶液の吸収度を適切な分光光度計で測定し,該当の検量線からハロゲン濃度を求める。

45.1.3

この方法を使用して,0.014%のハロゲンの測定が可能である。

45.2

低レベルのふっ素の測定法

45.2.1

原理  サンプルを酸素フラスコの中で燃焼させ,得られた溶液中のふっ素成分を測定する。測定に

は,次の方法のいずれかを採用する。

A

−イオン選択電極

B

−比色計法で,青−赤オリゴマのふっ素青錯体の生成によるもの

*

*

附属書 A に述べられている

参考文献 [1] 参照

45.2.1.1

装置

a)

酸素フラスコ

b)

ピペット

c)

目盛付きフラスコ

備考  ふっ素濃度の測定に用いる装置は,ふっ素イオンがガラスと反応するので,すべてポリカーボ

ネート又はポリプロピレン製を使用する。

A

法の場合は,イオン選択電極(ふっ素)と適切な mV 計

B

法の場合は,可視光分光光度計

45.2.1.2

試薬

a)

A

法:電極充てん液−電極製造業者が推奨する緩衝溶液


31

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

b)

  B

法:アリザリンふっ素青試薬−2.5g のアリザリンふっ素青錯体を 15ml の 2−プロパノールと 35ml

の水に溶解したもの。使用前にろ過する。

c)

ふっ化ナトリウムで作った標準ふっ素溶液

d)

ドデカノール

e)

 0.5

規定水酸化ナトリウム溶液

45.2.2

手順  材料のサンプルを正確にひょう量し (25〜30mg)  ,1酸素フラスコに入れ,ドデカノールを

2

〜3 滴たらして燃焼を助ける。吸収剤として,0.5 規定水酸化ナトリウム溶液 5ml を加える。サンプルを

燃焼させ,霧が晴れるまで待つ。フラスコの内容物を少量の水を使って 50ml の目盛付きフラスコに移し,

A

法又は B 法に進む。

45.2.2.1

  A

法  イオン選択電極法:サンプル溶液及び洗浄液に推奨された緩衝試薬 5ml を加え,目盛まで

満たす。

製造業者の取扱説明書によって,ふっ素イオン電極の検量線を作る。

サンプル溶液のふっ素濃度を測定し,サンプル中のふっ素濃度を計算する。

45.2.2.2

  B

法  アリザリンふっ素青法:サンプル溶液及び洗浄液にアリザリンふっ素青試薬 5ml を加え,

目盛まで満たす。色が現れるまで静置する。

水を入れた 1cm セルをブランクとして使用して,630nm 溶液における吸収度を測定する。

標準ふっ素溶液を 0〜2

µg/ml の範囲の濃度に,適切に薄めて検量線を作る。また,試薬と水だけ使用し

て試薬ブランクの吸収度も測定する。サンプル中のふっ素濃度を計算する。

45.2.3

この方法を使用して,0.02%を超える値のふっ素レベルが検出可能である。

45.3

ハロゲンの総含有量を測定するには,材料は 45.1 及び 45.2 の両方の試験を行わなければならない。

46.

酸性ガスの発生

46.1

試験は,IEC 60754-1 に規定の方法で実施する。

46.2

試験は,IEC 60754-2 に規定の方法で実施する。

47.

高温伸び及び高温永久ひずみ

47.1

試験片の数及び形状  2 個の試験片を試験する。試験片の形状及び標線は製品規格に従い,チューブ

状試験片を用いる場合には 19.1 に,

またダンベル状試験片を用いる場合には 19.2 にそれぞれ規定されたも

のとする。

47.2

装置  オーブン,上下のクランプ装置及びおもりを使用する。上部のクランプはオーブン内に装着

し,そこから試験片を垂直につるすようにする。下部の脱着可能なクランプは,おもりの取付装置のある

ものを使用する。

参考  クランプ前片端で試験片の中に内径より小さい短い金属棒を挿入することによって,チューブ

断面でのエアーシールを防ぐ。

47.3

手順  試験温度,おもり及び試験片の形状は,製品規格による。

参考  規定の荷重は,下部クランプと取り付けたおもりの合計である。

クランプとおもりを規定温度に加熱する。次に,標線が見えるように試験片を上部及び下部クランプに

取り付ける。下部クランプにおもりを慎重に取り付け,オーブンを安定化させる。オーブンを規定の温度

に 15 分±30 秒維持する。その後,19.1.5 に規定するいずれかの方法で標線間距離を測定する。このとき扉

を明ける必要がある場合には 30 秒以内に測定を行う。19.1.6 又は 19.2 によって,伸び百分率を計算する。


32

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

これを高温伸びとする。下部クランプに取り付けた試験片からクランプとおもりを取り外す。

試験片を規定の温度で 5 分±30 秒維持し,試験片を回復させる。試験片をオーブンから取り出して常温

まで放冷させる。標線間距離を再度測定し,19.1.6 又は 19.2 によって伸び百分率を計算する。これを高温

永久ひずみとする。

47.4

結果  すべての測定値を報告する。結果は高温伸びの中央値と高温永久ひずみの平均値とする。

48.

永久伸び(ゴムチューブにだけ適用する)

48.1

試験片の数及び形状  2 個の試験片を試験する。

チューブ試料の公称内径が 8mm 以下の場合は,長さ 120mm 以上のチューブを試験片とする。8mm を超

える場合は,ISO 37 に適合するダンベル状試験片をチューブ試料から軸方向に切り取り,これを試験片と

する。それぞれの試験片に,両端からほぼ同じ距離の位置に試験片の軸方向と直角方向に 20mm 間げきの

2

本の標線を記す。

48.2

調整  製品規格に規定がない限り,試験片は 23℃±2K に少なくとも 1 時間保つ。

48.3

手順  製品規格に規定がない限り,試験片は 23℃±2K で 10 秒間かけて,標線間距離が 80±2mm と

なるまで引き延ばし,そのままの状態で 10 分±30 秒間保持する。それぞれの試験片について,回復後の

標線間距離を測定し,初期長さからの差の百分率を計算する。

48.4

結果  すべての値を報告する。製品規格に規定がない限り,結果は平均値とする。

49.

引裂き伝ぱ(播)(ゴムチューブだけに適用する)

49.1

試験片の数及び形状  15〜20mm の長さのチューブ試験片を 2 個試験する。

49.2

初期引裂きなし  それぞれのチューブ試験片に適切な非鉄金属のマンドレルを挿入する。与える伸

びは製品規格に規定する。製品規格に規定する温度のオーブン内に規定する時間つるす。規定の時間後,

裂け目の発生の有無を調べる。

49.3

初期引裂きあり  試験を行うのに十分な量のチューブ試験片を,製品規格に規定する温度に保持し

たオーブンで規定の時間老化させる。オーブンから取り出した後,室温で 2 時間±10 分間静置する。それ

ぞれのチューブ試験片に非鉄金属のマンドレルを挿入する。製品規格に別に規定のない限り,マンドレル

の直径はチューブの公称内径の 3 倍とする。容易に挿入するために,マンドレルの上に無害で摩擦係数の

小さな潤滑剤,例えば,PTFE を被覆してもよい。それぞれの試験片に,1 回の試みでマンドレルを挿入し

なければならない。

もし,不成功のときは,チューブは廃棄し,追加の試験片を使用する。挿入してからそれぞれのチュー

ブの一端に厚さを貫通する 1±0.5mm の長さの切込みをマンドレルの軸と並行に入れる。製品規格に規定

がない限り,切込みを入れてから 1 時間後にチューブを観察する。

49.4

結果  試験片の裂け目の有無を,結果として報告する。


33

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

付図 1  耐はんだ熱試験後チューブ判定例 

付図 2  耐はんだ熱試験後チューブ判定例


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C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

付図 3  加熱変形(高温下における加圧抵抗性)試験装置概要


35

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

付図 4  柔軟性試験装置

付図 5  引張強さ試験ダンベル試験片


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付図 6  耐ほぐれ試験装置概略図


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C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

付図 7  絶縁破壊電圧用ショットバスの装置概略図

付図 8  絶縁抵抗試験片


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C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

付図 9  炎伝ぱ(播)試験用標準プロパンガスバーナ(断面図)


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C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

付図 10  炎伝ぱ(播)試験−  試験方法 A


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C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

付図 11  炎伝ぱ(播)試験−試験方法 B


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C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

付図 12  炎伝ぱ(播)試験−試験方法 C

マンドレル寸法

収縮後チューブの呼称最大内径

mm

X

(最小値)

mm

Y

mm

<1.20

*

13

6.4

±0.05

1.20

以上 3.2 以下 13

6.4

±0.05

3.21

以上 9.5 以下 25 12.7±0.05

9.51

以上 58.0 以下 50 50.8±0.05

*

収縮後呼称最大内径が 1.20mm 未満のチューブに対しては,

D

に等しい外径をもつ真直円筒マンドレル

d

:収縮後チューブの最大内径  (

5
0

+

%)

D

:収縮前チューブの最小内径  (

5
0

+

%)

マンドレルにはバリ,とがったへりがないこと。

付図 13  制限収縮試験用マンドレル


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C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

付図 14  煙指数試験用バーナ概略図


43

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付図 15  煙指数試験用(垂直にチューブサンプルを盛り込んだ)サンプルホルダの正面概略図


44

C 2133 : 1999 IEC 60684-2 : 1997

附属書 A(参考)  参考資料

[1]

  Hill & Walsh, Anal. Chi. Acta : 1969

,Volume 45, p.431

[2]

  IEC 60068-2 : Environmental testing

−Part 2 : Tests

[3]

  IEC 60068-2-10 : 1988

,Environmental testing−Part 2 : Test−Test J and guidance : Mould growth

[4]

  IEC 60216-2 : 1960

,Guide for the determination of thermal endurance properties of electrical insulating

materials

−Part 2 : Choice of test criteria

[5]

  IEC 60304 : 1982

,Standard colours for insulation for low-frequency cables and wires

JIS C 2133

原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

金  子      剛

財団法人電気安全環境研究所

(幹事)

与那原  邦  夫

明電ケミカル株式会社

(委員)

伊  藤      章

通商産業省機械情報産業局

橋  爪  邦  隆

通商産業省工業技術院

橋  本  繁  晴

財団法人日本規格協会

須納瀬      司

千葉工業大学

渡  辺  英  紀

都立大学大学院

小  田  英  輔

社団法人日本電線工業会

赤  嶺  淳  一

社団法人日本電機工業会

坂  野  富  明

松下電器産業株式会社

塚  田  潤  二

社団法人日本電子機械工業会

三  井  久  安

株式会社東芝

秋  本      実

日東シンコー株式会社

千  葉  武  雄

明電ケミカル株式会社

藤  波  伸  佳

住友電気工業株式会社

菅  原  泰  男

日立化成工業株式会社

河  野  陽  二

積水化学工業株式会社

高  橋  康  雄

王子製紙株式会社

森  田  昌  康

日立電線株式会社

岡  田  友  雄

日東電工株式会社

小  幡  城  司

大昌電気工業株式会社

田  中  靖  久

信越化学工業株式会社

(事務局)

田  村  元  信

電気絶縁材料工業会

備考  ○印は、分科会委員も兼ねる。