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C 2120 : 1999

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって JIS C 2120 : 1992 は改正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正では,対応国際規格 IEC 60394-2, Vanished fabrics for electrical purposes Part 2 : Methods of test

との整合化を図った。


C 2120 : 1999

(1) 

目次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

2

4.

  試験条件

2

5.

  試験数値の丸め方

2

6.

  外観

2

7.

  厚さ

2

8.

  耐油性

2

8.1

  A 法

2

8.2

  B 法

3

9.

  耐加水分解性

4

9.1

  A 法

4

9.2

  B 法

5

10.

  耐熱性

5

11.

  引張強さ及び伸び

8

12.

  伸長度(バイアステープだけ)

9

13.

  引裂き強さ

9

14.

  端裂抵抗

10

15.

  絶縁破壊電圧

11

15.1

  A 法

11

15.2

  B 法

13


日本工業規格

JIS

 C

2120

 : 1999

電気絶縁用ワニスクロス類

試験方法

Testing method of varnished cloths and tapes for electrical insulation

序文  この規格は,1972 年に第 1 版として発行された IEC 60394-2 : 1972, Varnished fabrics for electrical

purposes Part 2 : Methods of test

を元に対応する試験項目については,対応国際規格を翻訳し,技術的内容を

変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格には規定されていない規定内容を日本工

業規格として追加した。

なお,点線の下線を施してある試験項目は,対応国際規格にない事項である。

1.

適用範囲  この規格は,ワニスクロス類の試験方法について規定する。

なお,この規格の項目のうち,A 法及び B 法の二つの内容が規定されている項目は,一つの製品に対し

てその A 法又は B 法のいずれかを併記された項目すべてについて一貫して適用するものとし,項目によっ

てそのいずれかを適宜選択又は混用して適用することはできない。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

IEC 60394-2 : 1972, Varnished fabrics for electrical purposes. Part 2 : Methods of test

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS B 7502

  マイクロメータ

JIS B 7721

  引張試験機−力の検証方法

JIS C 2110

  固体電気絶縁材料の絶縁耐力の試験方法

JIS C 2320

  電気絶縁油

JIS R 3503

  化学分析用ガラス器具

JIS Z 8401

  数値の丸め方

JIS Z 8703

  試験場所の標準状態

IEC 60243

  Recommended methods of test for electric strength of solid insulating materials at power

frequencies.

IEC 60212

  Standard conditions for use prior to and during the testing of solid electrical insulating materials.

IEC 60296

  Specification for unused mineral insulating oils for transformers and switchgear.

参考  上記 IEC 規格番号は 1997 年 1 月 1 日実施の IEC 規格新番号体系によるものである。これによ

って前に発行された規格については,規格票に記載された規格番号に 60000 を加えた番号に切

り替える。これは,番号だけの切り替えであり,内容は同一である。


2

C 2120 : 1999

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

a)

クロス  綿布,ポリエチレンテレフタレート繊維布及びガラスクロスの基材に絶縁ワニス,シリコー

ンワニス及びシリコーンゴムを含浸加熱乾燥させたもの。ワニスクロス,ワニステレフタレートクロ

ス,ワニスガラスクロス,シリコーンワニスガラスクロス,両面シリコーンゴムガラスクロスなどが

ある。

b)

テープ  クロスを所定の幅に切断したもの。クロスを縦方向に切断したクロステープ及び斜め方向に

切断したバイアステープがある。クロステープにはワニスクロステープ,ワニステレフタレートクロ

ステープ,ワニスガラスクロステープ及びシリコーンワニスガラスクロステープがあり,バイアステ

ープには,ワニスバイアステープ及びワニスガラスバイアステープがある。

c)

ワニスクロス類  クロス及びテープの総称。

4.

試験条件  試験に用いる試料は,あらかじめ次の A, B いずれかの条件で 24 時間以上前処理をしたも

のを用いる。

前処理条件 A:温度 23±2℃,相対湿度 (50±5) %

前処理条件 B:温度 20±2℃,相対湿度 (65±5) %

前処理は室内又は一定の装置内で行い,試験はこの条件の室内で行うが,保持できない場合は,前処理

後 5 分以内に行わなければならない。

なお,特に指定のない場合は,JIS Z 8703 の常温 20±15℃,常湿 (65±20) %の室内で行うことができる。

5.

試験数値の丸め方  試験数値の丸め方は,JIS Z 8401 によって規格値の有効数字に丸める。

6.

外観  外観の試験は,目視によって行う。

7.

厚さ

7.1

装置  測定面の直径が 6〜8mm の外側マイクロメータで測定面の平面度 0.001mm 以下,平行度

0.003mm

以下で,圧力が 10〜20N/cm

2

のもの,又はダイヤル形マイクロメータで平面度,平行度は外側マ

イクロメータと同等であり圧力が 10N/cm

2

のものでダイヤルハウジングに 15N の荷重を加えたとき,フレ

ームの変形が 0.002mm 以下のもの,若しくは,JIS B 7502 に規定する外側マイクロメータ。

7.2

試験片  クロスの場合は幅 25mm で,長さはロールの全幅にわたって 1 枚を採り,テープの場合は,

ロールから原幅で長さ約 1m のもの 1 枚を採る。

7.3

方法  試験片の長さ方向に沿って 75mm 以上の間隔をおいて 9 か所で測定し,その中央値又は平均

値を厚さとする。

8.

耐油性  耐油性は,次の A 法又は B 法によって行う。

8.1

A

8.1.1

トランス油の変化

8.1.1.1

装置  装置は,次による。

a)

三角フラスコ  JIS R 3503 に規定する 300ml の三角フラスコ。

b)

冷却器  JIS R 3503 に規定する蛇管冷却器。

c)

ビューレット  容量 25ml のもの。


3

C 2120 : 1999

d)

ブンゼンバーナ

e)

化学はかり  感量 0.1mg のもの。

f)

恒温槽  熱風循環式又はこれに準じるもの。

8.1.1.2

試験片  約 10g の試験片を採り,面積が約 50mm

2

の小片に切断したもの。

8.1.1.3

方法  小片に切断した試験片をトランス油とともに三角フラスコに入れ,105±2℃の恒温槽で 72

時間加熱する。試験片とトランス油の質量比は 1 : 10 とする。同時にトランス油だけを入れた三角フラス

コも加熱しておく。次に別の三角フラスコにトルエンとエチルアルコールの質量比 2 : 1 の混合溶剤 50ml

を入れ環流コンデンサを取り付けて 5 分間沸騰させた後,フェノールフタレン指示薬を 4,5 滴加え 0.05

モル水酸化カリウムのアルコール溶液で,熱いうちに退色して最初にピンク色になるまで加えて中和させ

る。

これに先に試験片を入れて加熱しておいたトランス油を 8〜10g 加え,環流コンデンサーを取り付けて,

連続的にかくはんしながら 5 分間加熱する。その後フェノールフタレン指示薬 4,5 滴を加えその混合物を

かくはんしながら熱い間に,0.05 モル水酸化カリウムのアルコール溶液で,混合液の下層部がピンク色に

最初に変わるまで滴定する。

同様にブランク試験として試験片を入れないトランス油だけのものについても滴定する。

備考  使用するトランス油は,IEC 60296 に規定するトランス油の要求事項を満たすものとする。

8.1.1.4

計算  計算は,次の式によって行いトランス油 1g 中の酸を中和するのに要した水酸化カリウム

の mg 数を酸価とする。

(

)

m

T

V

V

A

10

.

56

2

1

v

×

×

=

ここに,

A

v

酸価(

mgKOH/g

油)

V

1

試験した油の滴定に使用した水酸化カリウム溶液の体積

 (ml)

V

2

ブランク試験で滴定に使用した水酸化カリウム溶液の体積

(ml)

T

水酸化カリウム溶液の滴定濃度(モル濃度)この場合

0.05

モル/

L

m

試験した油の質量

 (g)

酸価は

2

回滴定を行い平均値を求める。

8.1.2

絶縁塗膜の変化

8.1.2.1

装置  装置は,次による。

a)

ビーカー  JIS R 3503 に規定する

500ml

のビーカー。

b)

ステンレス鋼製丸棒  直径

10

12mm

,長さ約

200mm

c)

恒温槽  8.1.1.1 f)による。

8.1.2.2

試験片  長さ約

125mm

40mm

の試験片を

5

枚採る。テープの場合は原幅とし,ステンレス鋼

製丸棒の長さ

100mm

をハーフラップで巻付けられる長さを採る。

8.1.2.3

方法  各試験片の一端をステンレス鋼製丸棒に固定させハーフラップで巻き付け,約

100mm

長さに覆う。次に,あらかじめ約

400ml

のトランス油をビーカーにとり,

105

±

2

℃に加熱した中に試験片

を浸し

48

時間保持した後取り出し,室温に十分放冷後,試験片を巻き戻し,絶縁塗膜の膨潤,べたつき,

絶縁塗膜の移行がないか目視で調べる。

これらの状態が生じた場合は,絶縁塗膜が侵されたものとし,その内容を記録する。

8.2

B

8.2.1

トランス油の変化

8.2.1.1

装置  装置は,次による。


4

C 2120 : 1999

a)

ビーカー  JIS R 3503 に規定する

500ml

のビーカー。

b)

恒温槽  8.1.1.1 f)による。

8.2.1.2

試験片  クロスの場合は,大きさ約

50

×

50mm

のものを

5

枚,テープの場合は,原幅で長さ約

500mm

のものを

1

枚とる。

8.2.1.3

方法 

2

個のビーカーに各々約

400ml

の JIS C 2320 に規定する絶縁油

1

2

号を入れて,あらか

じめ恒温槽の中で,

105

±

2

℃になるように加熱しておく。次にそのビーカーの一つに試験片を浸し,同温

度で

30

分間保ってから取り出し,試験片を入れない油と分散光を通して比較して見た場合,前者の方に濁

り又は著しい変色があれば塗膜が侵されたものとする。

8.2.2

絶縁塗膜の変化  8.2.1.3 で取り出した試験片を常温で約

30

分間放置してからこれを吸取紙の間に

挟み摩擦しないようにして余分の油を取り,吸取紙上に塗膜が付着していないかどうか,また絶縁塗膜が

侵されていないかどうかを目視で調べる。

9.

耐加水分解性  耐加水分解性は,次の

A

法又は

B

法によって試験を行う。

9.1

A

9.1.1

装置  装置は,次による。

a)

ガフス製試験管  直径

16mm

長さ

125mm

の肉厚のホウケイ酸ガラス製のもの。

b)

すずめっき銅線  直径

0.6mm

のもの。

c)

恒温槽  8.1.1.1 f)による。

9.1.2

試験片  幅

50mm

長さ

125mm

の大きさのもの

1

枚。

9.1.3

方法  試験片を長さ方向に丸めて,試験管の中に押し込み,蒸留水

2ml

を加える。次に

図 のよう

に試験管を逆さまにしたとき,丸めた試験片がずり落ちないように,すずめっき銅線をらせん状に巻き,

適切な長さに切断して止める。この後,ブンゼンバーナで試験管を密封(

1

)

し,十分冷えてから封止した端

を下にして,

105

±

2

℃の恒温槽に入れ,規定の時間加熱する。加熱後常温で十分冷えるまで放置した後,

ワニス皮膜の流れの跡がないかを調べる。流れがない場合は,試験片を試験管から取り出し,ワニス皮膜

のべたつき,巻き戻したときのワニス皮膜の移行及び膨潤がないかを調べる。

(

1

)

試験管の密封による爆発の危険と人体の損傷を防止するため,肉厚の試験管を使用し,試験管

を観察者から遮へいするよう安全対策を講じなければならない。


5

C 2120 : 1999

図 1  耐加水分解性 法試験の状態

9.2

B

9.2.1

装置  装置は,次による。

a)

共栓瓶  容量

250ml

の広口共栓瓶

b)

恒温槽  8.1.1.1 f)による。

9.2.2

試験片  クロスの場合は,幅約

20mm

,長さ約

250mm

,及びテープの場合は,原幅で長さ約

250mm

のもの各

3

枚を採る。

9.2.3

方法  各試験片を径約

25mm

の円筒状に巻いてほぐれないように綿糸で軽く縛り,約

6ml

の蒸留

水を入れた広口共栓瓶中に,試験片が水に触れないようにして

3

枚とも入れて栓をする(

2

)

。次にこれを恒

温槽中に入れ,

表 の温度で表 の時間保った後,試験片を瓶から取り出し,常温で約

30

分間放置する。

これを静かに解き戻したとき,絶縁塗膜が粘着によってはがれないかどうかを目視で調べる。

(

2

)

容器の栓には,適切な気密剤を薄く塗って水蒸気が漏れたり,また栓が緩んだりしないように

する。

表 1  加熱温度及び加熱時間

加熱時間

h

構成

(ワニス−基布)

加熱温度

油性系ワニス−綿布 
油性系ワニス−ポリエチレンテレフタレート繊維布

72

油生系ワニス−ガラスクロス 
アルキット系ワニス−ガラスクロス

80

±2 24

24

10.

耐熱性

10.1

装置  装置は,次による。

a)

耐折曲げ性試験器  図 による。

b)

耐曲げ性試験器  図 による。


6

C 2120 : 1999

c)

恒温槽  8.1.1.1 f)による。

図 2  耐折曲げ性試験器

10.2

試験片  試験片は,次による。

a)

耐折曲げ性  クロスの場合は縦方向から幅

25mm

,長さ約

120mm

,及びテープの場合は原幅で長さ約

120mm

のもの各

3

枚を採る。

b)

耐曲げ性  クロスの場合は縦方向から幅

25mm

,長さ約

150mm

,及びテープの場合は原幅で長さ約

150mm

のもの各

3

枚を採る。

10.3

方法

10.3.1

耐折曲げ性  図 に示すように試験片の中央に

25mm

間隔で直径約

4mm

の孔を

3

個あける。これ

を恒温槽の中に平らに置き,

表 の温度で表 の時間加熱した後取り出し,常温で

2

時間以上放置する。

次に,試験片を三重に折り曲げて

3

個の孔を

図 の試験器の案内棒に通して,上下

2

枚の平円板の間に挟

み,

20

±

2

℃で

表 に示すおもり(

3

)

を静かに載せ,

1

分後におもりを取り去って,絶縁塗膜にひびが入って

いないかどうかを肉眼で調べる。

(

3

)

おもりは,上板の質量を含むものとする。

図 3  耐折曲げ性試験片


7

C 2120 : 1999

表 2  加熱温度及び加熱時間

構成

(ワニス−基布)

加熱温度

加熱時間

h

油性系ワニス−綿布 120±2

油性系ワニス−ポリエチレンテレフタレ−ト繊維布 140±3

24

表 3  おもりの質量

構成

(ワニス−基布)

呼び厚さ おもりの質量 kg(試料幅 mm 当たり)

0.08

0.10

0.12

0.13

0.15

0.18

0.20

0.08

0.25

油生系ワニス−綿布 
油性系ワニス−ポリエチレンテレフタレ−ト繊維布

0.30

0.12

10.3.2

耐曲げ性  試験片を恒温槽中に置き,表 の温度で表 の時間加熱した後取り出し,常温で

1

時間

以上放置する。次に

20

±

2

℃において試験片を

表 に示すスペーサ(

4

)

にかけ

図 に示すように二つ折りと

して,試験片の両下端を止め具で止め,更に

表 に示すおもり(

5

)

を静かに下げ

1

分間経過してからおもり

を取り去って,絶縁塗膜の状態を肉眼で調べる。

(

4

)

スペーサは黄銅板製とし,試験片の当たる部分は,スペーサの厚さを直径とした半円形とする。

(

5

)

おもりは,止め具の質量を含むものとする。

表 4  加熱温度及び加熱時間

構成

(ワニス−基布)

加熱温度

加熱時間

h

油性系ワニス−ガラスクロス 
アルキッド系ワニス−ガラスクロス

180

±3

エポキシ系ワニス−ガラスクロス 215±5

6

シリコーン系ワニス−ガラスクロス

シリコーンゴム系ワニス−ガラスクロス

250

±5 24

表 5  おもりの質量及びスペーサの寸法

スペーサ  mm

呼び厚さ

おもりの質量

kg

(試料幅mm当たり)

厚さ

長さ

0.10 0.028

0.12 0.13 0.15 0.039

2

0.18 0.20 0.053

0.25 0.080

0.30 0.093

3

約 40 約 70


8

C 2120 : 1999

図 4  耐曲げ性試験器

11.

引張強さ及び伸び

11.1

装置  JIS B 7721 に規定する引張試験機(測定値が引張試験機の容量の

15

85%

の範囲内にあるも

の)又はこれに準じるもの。

11.2

試験片  クロスの場合は,縦方向及び横方向から幅

15mm

,長さはつかみ間隔

200mm

を保持できる

ように各

5

枚を採る。各試験片は同じ縦糸を含む同じ方向に

2

枚の試験片を採らないようにする。

テープの場合は,幅

15mm

までは原幅とし,

15mm

を超える場合は

15mm

として長さ約

250mm

のものを

5

枚を採る。テープの原幅で試験をしたときは,その幅を明記するものとする。

11.3

方法  11.1 の装置を用い,つかみ間隔を

200mm

とし,荷重を加え始めてから規格値までの時間が

60

±

10

秒となる速度で引張り,試験片が切断したときの力及び伸びを測定し,

5

個の中央値又は平均値を求

める。ただし,引張速度は

200mm/min

で行ってもよい。引張強さは

10mm

幅当たりの

N

に換算する。

試験の際,つかみのところで切れたもの又はスリップしたものなど試験が正常でないと思われた場合は

これらを除き,さらにこれと同等の試験片を採って追加試験を行う。

継ぎ目の引張強さを測定するときは,継ぎ目が中央になるようにつかむ。伸び応力は,

6%

及び

10%

の伸

びを生じさせるときの荷重の中央値又は平均値で示す。


9

C 2120 : 1999

12.

伸長度(バイアステープだけ)

12.1

装置  つかみ金具及び荷重

12.2

試験片  原幅で長さ約

900mm

の継ぎ目を含まないもの

3

枚を採る。

12.3

方法  試験片のほぼ中央に

500mm

の間隔をおいて標線を記す。これをつかみと標線との距離が約

100mm

になるように一端をつかみに固定し,試験片を

20

±

2

℃に保ち,他端に

表 の力を加える(

6

)

5

後に力を加えたままの状態で標線間の伸びを鋼製巻尺又は金属製直尺によって測定し,

3

個の中央値又は

平均値を求める。

(

6

力を加える方法は,垂直又は水平のいずれの方向でもよい。

表 6  加える力

加える力

N

(試料幅 mm 当たり)

呼び厚さ

0.12 0.51 0.63

0.13 0.56 0.67

0.15 0.79 0.92

0.18 1.04 1.21

0.20 1.08 1.25

0.25 1.21 1.40

13.

引裂き強さ

13.1

装置  装置は,次による。

a)

引裂き試験機  エルメンドルフ形引裂き試験機として,図 による。

b)

恒温槽  8.1.1.1 f)による。

13.2

試験片  試験片は,次による。

a)

常態での引裂き強さ  クロスのたて糸及びよこ糸に平行に長さ約

100mm

,幅

63

±

0.2mm

のものを各

方向から

5

回の試験に必要な枚数を採る。

b)

加熱後の引裂き強さ  加熱後の試験を行う場合は,さらにそれぞれの方向で

10

回の試験に必要な枚数

を採る。

13.3

方法

13.3.1

常態での引裂き強さ  試験片を引裂き試験機のつかみの中央に置き,その長辺がつかみの面の上端

と平行になるように取り付ける。試験片をつかみに挟む枚数は,引き裂いたとき目盛の読みが

20

60

の間

に入るようにする。試験片をつかみに締め付けてから

図 のナイフを動かして切れ目を入れる。切れ目は

つかみの上端と直角であって,切れ残る長さ(引裂く距離)が

43

±

0.5mm

になるようにする。次に振り子

を開始の位置まで引き上げ,指針をその止め金に合わせ,振り子を放し,引裂きが完了するまで振り子止

めをおさえ,振り子が再び戻ってきたとき手で捕らえる。そのときの指針の位置の目盛を読み取る。

13.3.2

加熱後の引裂き強さ  加熱後の試験は規定の温度に調整した恒温槽で半数を

1

時間,残りを

48

間加熱処理して取り出した後,室温まで冷却し,

1

時間以内に 13.3.1 の方法によって測定する。

加熱温度は IEC 60212 のリストから選ぶものとし,各クロス類ごとの規定による。

13.4

結果  結果は,次による。

a)

計算  引裂き強さは,

1

枚の試験片の引裂きに要する力

  (

T

)

を次の式によって算出する。クロスのた

て糸に平行に引き裂いて得た値は縦方向,よこ糸に平行に引き裂いて得た値は横方向の引裂き強さと


10

C 2120 : 1999

する。

16

×

=

S

A

T

ここに,

T

引裂き強さ

 (mN)

A

目盛の読み

S

引裂き枚数

b)

記録  試験の種類及び縦・横方向の

5

回の数値の中央値又は平均値を記録し,参考として最大値,最

小値を併記する。

なお,加熱後の引裂き強さ保持率を求める場合は,次の式による。

100

1

48

×

=

T

T

K

ここに,

K

加熱後の引裂き強さ保持率

 (%)

T

48

 48

時間加熱処理後の引裂き強さ

 (mN)

T

1

  1

時間加熱処理後引裂き強さ

 (mN)

図 5  エルメンドルフ形引裂き試験機

14.

端裂抵抗

14.1

装置  JIS C 7721 に規定する引張試験機(測定値が引張試験機の容量の

15

85%

の範囲内にあるも

の)又はこれに準じる引張試験機の上部のつかみに,

図 に示すジグを取り付けたもの。

14.2

試験片  長さ

300mm

,幅最大

15mm

の試験片を

9

枚採る。

14.3

方法  試験片をジグの孔に通し,両端をそろえて下部のつかみに入れ,いたまないように固定し,

200mm/min

の速さで引っ張り,試験片の端が裂け始めたときの力を読み取り,

9

個の測定値の中央値又

は平均値を

N

で示す。


11

C 2120 : 1999

備考

試験片の幅を記録する。

図 6  端裂抵抗測定用ジグ

15.

絶縁破壊電圧  絶縁破壊電圧は,次の

A

法又は

B

法によって試験を行う。

15.1

A

15.1.1

装置  装置は,次による。

a)

試験装置  試験装置は IEC 60243 の 5.による。

b)

非伸長材用装置及び電極  装置及び電極は IEC 60243 の 6.1.3 によるものとし,図 に示す。

c)

伸長材用装置及び電極  テープを引き伸ばす装置は図 に示すように,

330mm

以上離れて向かい合っ

2

個の類似のクランプを持つ強固なフレームで,一方のクランプにはハンドルで回転できるロッド

が隣接していて,そのロッドに試験片を取り付けることができるようにしたもの。

15.1.2

試験片  試験片は幅

25mm

,長さ

450mm

とする。テープの場合幅が

25mm

未満の場合はフラッシ

オーバを防ぐため,端部にビニルテープなどをはり,全幅を大きくするとよい。

15.1.3

方法

15.1.3.1

常温での絶縁破壊電圧  試験片を温度

23

±

2

℃,相対湿度

 (50

±

5) %

48

時間前処理後,同条件

又は前処理後

5

分以内に試験を行う。試験は IEC 60243 の 7.1 によって行い,絶縁破壊の判定基準は IEC 

60243

の 8.によるものとする。

15.1.3.2

高温での絶縁破壊電圧  15.1.1 b)の装置及び電極を恒温槽に置き,個別規格で規定された温度に

あらかじめ保持する。この中に試験片を入れ,

10

分間加熱後,15.1.3.1 の方法によって高温での絶縁破壊

電圧を測定する。

試験は

5

か所について行い,その中央値又は平均値及び最低値を求める。


12

C 2120 : 1999

15.1.3.3

引き伸ばした材料の絶縁破壊電圧 

3

枚の試験片を採り 15.1.3.1 の条件で前処理後,15.1.1 c)の装

置によって規定の伸びまで引き伸ばし,その試験片を

10

分以上

30

分以下の間,

23

±

2

℃に保ち,同温度又

は同温度から移動後

5

分以内に 15.1.3.1 の方法によって,引き伸ばした材料の絶縁破壊電圧を測定する。

試験は各試験片について

3

か所測定し,合計

9

か所の中央値又は平均値及び最低値を求める。

15.1.3.4

折り曲げ後の絶縁破壊電圧 

5

枚の試験片を採り 15.1.3.1 の条件で前処理後,長さ方向に正しく

折り返し,幅

35mm

,直径

50mm

,質量

20N

のロールを用いて折り目を付けた後,試験片を広げ折り目に

電極を置き 15.1.3.1 の方法によって折り曲げ後の絶縁破壊電圧を測定する。

試験は

5

回測定し,中央値又は平均値及び最低値を求める。

15.1.3.5

吸湿後の絶縁破壊電圧  試験片を温度

23

±

2

℃又は

40

±

2

℃,相対湿度

 (93

±

2) %

96

時間吸湿

後同条件又は同条件から移動後

5

分以内に 15.1.3.1 の方法によって吸湿後の絶縁耐力を測定する。

試験は

5

回測定し,中央値又は平均値及び最低値を求める。

図 7a  装置の一般的配置図

図 7b  上部を浮かせた状態の装置断面


13

C 2120 : 1999

図 8  テープ用引き伸ばし装置付き絶縁破壊電圧試験装置

15.2

B

15.2.1

装置  装置は,次による。

a)

高電圧破壊装置  JIS C 2110 に規定する変圧器,回路遮断器,保護抵抗,電圧調整装置などを使用す

る。

b)

電極  周辺に

1mm

の丸みをもった径

6mm

のよく磨いたきずのない黄銅製円柱電極一対。高温試験に

は上記の電極一対又は下部電極として黄銅製平板を用いてもよい。

15.2.2

試験片  クロスの場合は約

200

×

200mm

のもの

3

枚(うち

1

枚は高温試験用)を採る。テープの場

合は原幅で長さ約

1 000mm

のもの

2

枚(うち

1

枚は高温試験用)を採る。

15.2.3

方法

15.2.3.1

常態での絶縁破壊電圧  試験片を約

0.49N

の圧力が加わるように電極の間に挟み,15.2.1 の装置

を用いて交流電圧を加えて絶縁破壊電圧を測定する。電圧は

0V

から

1 000V/s

の速さで上昇させる。ただ

し,フラッシオーバによって測定不能の場合は,JIS C 2320 に規定する絶縁油

1

2

号中で測定してもよ

い。クロスの場合は,

1

枚について

5

か所ずつ合計

10

か所,テープの場合は

1

枚について

10

か所測定し,

その中央値又は平均値及び最低値を求める。

15.2.3.2

高温での絶縁破壊電圧  試験片をあらかじめ表 の温度に保持した恒温槽(内部に電極を装置し

たもの)中の電極の間に挟み,規定温度に回復してから

10

分間経過後 15.2.3.1 の方法によって高温での絶

縁破壊電圧を測定する。試験は

5

か所について行い,その中央値又は平均値及び最低値を求める。


14

C 2120 : 1999

表 7  試験片の温度

構成

(使用ワニス−基布)

温度  ℃

油性系ワニス−綿布 105±2

油性系ワニス−ポリエチレンテレフタレート繊維布 120±3

油性系ワニス−ガラスクロス 
アルキッド系ワニス−ガラスクロス

130

±3

エポキシ系ワニス−ガラスクロス 155±3

シリコーン系ワニス−ガラスクロス 
シリコーンゴム系ワニス−ガラスクロス

180

±3

15.2.3.3

耐油性試験後の絶縁破壊電圧  8.2.2 の試験を行った試験片について,直ちに 15.2.3.1 の方法によ

って絶縁破壊電圧を測定する。クロスの場合は,各試験片について

1

か所,テープの場合は

5

か所につい

て測定し,その中央値又は平均値及び最低値を求める。

15.2.3.4

耐熱性試験後の絶縁破壊電圧  10.3.2 の耐曲げ性試験を行った試験片について,直ちに 15.2.3.1

の方法によって絶縁破壊電圧を測定する。各試験片について,折れ目部

1

か所,平らな部分

2

か所につい

て測定し,それぞれの中央値又は平均値を求める。

15.2.3.5

伸長度試験後の絶縁破壊電圧  12.の試験を行った試験片について,荷重を取り去ってから約

30

分後に 15.2.3.1 の方法によって各試験片について,それぞれ

3

か所絶縁破壊電圧を測定し,合計

9

か所の

測定値のうちから最低値を求め伸長度試験後の絶縁破壊電圧とする。


15

C 2120 : 1999

JIS C 2120

原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

金  子      剛

財団法人電気安全環境研究所

(幹事)

与那原  邦  夫

明電ケミカル株式会社

(委員)

伊  藤      章

通商産業省機械情報産業局

橋  爪  邦  隆

工業技術院標準部

橋  本  繁  晴

財団法人日本規格協会

須納瀬      司

千葉工業大学

渡  辺  英  紀

東京都立大学大学院

小  田  英  輔

財団法人日本電線工業会

赤  嶺  淳  一

財団法人日本電機工業会

坂  野  富  明

松下電器産業株式会社

塚  田  潤  二

財団法人日本電子機械工業会

三  井  久  安

株式会社東芝

秋  本      実

日東シンコー株式会社

千  葉  武  雄

明電ケミカル株式会社

藤  波  伸  佳

住友電気工業株式会社

菅  原  泰  男

日立化成工業株式会社

河  野  陽  二

積水化学工業株式会社

高  橋  康  雄

王子製紙株式会社

小  林  清  一

株式会社有沢製作所

新  島  悦  雄

日立化成工業株式会社

(事務局)

田  村  元  信

電気絶縁材料工業会

備考  ○が付いている者は,分科会委員も兼ねる。