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C 2110-3:2016 (IEC 60243-3:2013) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 一般的事項 ······················································································································ 3 

5 電極及び試験片 ················································································································ 3 

6 試験前の状態調節 ············································································································· 3 

7 周囲媒質························································································································· 3 

8 電気機器類 ······················································································································ 3 

8.1 電源 ···························································································································· 3 

8.2 電圧の測定 ··················································································································· 4 

9 試験手順························································································································· 4 

10 電圧印加方式 ················································································································· 4 

10.1 絶縁破壊試験 ··············································································································· 4 

10.2 保証試験 ····················································································································· 4 

11 絶縁破壊の判定基準 ········································································································ 5 

12 試験回数 ······················································································································· 5 

13 試験報告 ······················································································································· 5 

C 2110-3:2016 (IEC 60243-3:2013) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人電気

学会(IEEJ)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正す

べきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS C 2110-3:2010は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS C 2110の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS C 2110-1 第1部:商用周波数交流電圧印加による試験 

JIS C 2110-2 第2部:直流電圧印加による試験 

JIS C 2110-3 第3部:インパルス電圧印加による試験 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

C 2110-3:2016 

(IEC 60243-3:2013) 

固体電気絶縁材料−絶縁破壊の強さの試験方法− 

第3部:インパルス電圧印加による試験 

Solid electrical insulating materials-Test methods for electric strength- 

Part 3: Tests using impulse voltage 

序文 

この規格は,2013年に第3版として発行されたIEC 60243-3を基に,技術的内容及び構成を変更するこ

となく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

適用範囲 

この規格は,波形1.2/50 μsのインパルス電圧印加による固体電気絶縁材料の絶縁破壊の強さの試験方法

について規定する。この規格は,JIS C 2110-1の規定に追加が必要な事項について規定する。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 60243-3:2013,Electric strength of insulating materials−Test methods−Part 3: Additional 

requirements for 1,2/50 μs impulse tests(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ

とを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS C 2110-1 固体電気絶縁材料−絶縁破壊の強さの試験方法−第1部:商用周波数交流電圧印加によ

る試験 

注記 対応国際規格:IEC 60243-1:2013,Electric strength of insulating materials−Test methods−Part 1: 

Tests at power frequencies(IDT) 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 2110-1によるほか,次による。 

3.1 

全波インパルス電圧波形(full impulse-voltage wave)(図1参照) 

急激に最大値まで立ち上がり,続いてやや緩慢に0に向かって減衰する非周期性の過渡電圧波形。 

3.2 

ピーク値,Up[peak value (of an impulse-voltage wave)] 

background image

C 2110-3:2016 (IEC 60243-3:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

インパルス電圧波形の電圧の最大値。 

3.3 

規約ピーク値,U1[virtual peak value (of an impulse-voltage wave)] 

インパルス電圧波形上に高周波振動又は多少のオーバシュートがある場合に,記録された波形から導か

れる値。 

3.4 

規約原点,O1[virtual origin (of an impulse-voltage wave)] 

インパルス電圧波形の立ち上がり部分において,ピーク値の0.3倍及び0.9倍の点を結んで引いた直線が

電圧値0の線(横軸)を切る点(図1参照)。 

3.5 

規約波頭長,t1[virtual front time (of an impulse-voltage wave)] 

インパルス電圧波形の電圧がピーク値の0.3倍及び0.9倍の時点間の時間tfの1.67倍に等しい時間値 

(tf:図1参照)。 

3.6 

規約波尾長,t2(virtual time to half-value) 

規約原点O1と,波尾上で電圧がピーク値の0.5倍に減衰した時点との間の時間t2。 

3.7 

インパルス破壊電圧(impulse breakdown voltage) 

絶縁破壊を起こしたインパルス波形の,絶縁破壊を起こさなかった場合の到達公称ピーク電圧。 

注記 絶縁破壊は立ち上がりからピークを経て波尾に至るどの位置でも起こり得る。 

3.8 

耐電圧(withstand voltage) 

絶縁破壊を起こさなかった3個のインパルスの一組に対応する最も高い公称ピーク電圧。 

図1−全波インパルス電圧波形 

C 2110-3:2016 (IEC 60243-3:2013) 

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一般的事項 

インパルス電圧試験では,JIS C 2110-1の箇条4(一般的事項)のほか,次の事項が重要である。 

− 高電圧機器は,例えば,機器の近くに落雷したときに生じるような過渡電圧ストレスにさらされるこ

とがある。このような状況は,電力の送電システム及び配電システムに用いられる変圧器,開閉器な

どの機器において著しい。このような過渡電圧に耐える絶縁材料の性能は,絶縁材料によって絶縁さ

れる機器の信頼性を確保する上で重要である。 

− 雷によって発生する過渡電圧は,正極性,負極性のいずれの場合もあり得る。同じ電極を対向させた

対称分布の電界においては,極性は絶縁破壊の強さに影響を及ぼさない。しかし,異なる電極を用い

る場合には,極性効果が現れることが予想される。試験者が試験する材料に関して前もって経験及び

知識をもたずに非対称の電極を用いる場合には,両極性について比較試験を行うことを推奨する。 

− 標準波形は,1.2/50 μsの波形である。すなわち,約1.2 μsでピーク電圧に到達し,波形の開始点から

約50 μs後にピーク値50 %に減衰する波形である。この波形は,絶縁破壊までは生起することなく機

器が被る雷撃の模擬を意図している。 

注記 試験の対象が誘導性機器の場合は,8.2に規定する振動成分が5 %以下の規定の波形を得るこ

とが困難,又は不可能なことがある。しかし,この規格の試験手順は,本来容量性の試験片

及び電極の構成・形状に適用することを前提としている。より複雑な形状,例えば機器の完

成品,又はこれらの機器を模したコイルとコイルとの間のような場合には,当該機器の仕様

に従って試験を行うことが望ましい。 

− 電圧印加時間が短いため,ほとんどの材料のインパルス試験の時間内における誘電加熱,その他の熱

的効果,及び空間電荷注入の影響はほとんどない。したがって,インパルス試験では短時間交流試験

のピーク電圧よりも高い値となる。インパルス絶縁破壊の強さをより長い時間を要する試験の結果と

比較することによって,供試材料に対する種々の試験の結果として生じる故障の機構を推測できる可

能性がある。 

電極及び試験片 

電極及び試験片は,JIS C 2110-1の箇条5(電極及び試験片)による。 

試験前の状態調節 

試験前の状態調節は,JIS C 2110-1の箇条6(試験前の状態調節)による。 

周囲媒質 

周囲媒質は,JIS C 2110-1の箇条7(周囲媒質)による。 

電気機器類 

8.1 

電源 

電極に印加する試験電圧は,次のような特性及び構成要素をもつインパルス電圧発生装置による。 

− 正,負いずれの極性も選択でき,電極の片側に接続する配線は接地する。 

− インパルス電圧発生装置内部の制御機構は,試験片に印加する電圧の波形を1.2 μs±0.36 μsの規約波

頭長t1及び50 μs±10 μsの規約波尾長t2(図1参照)に調整できなければならない。 

− インパルス電圧発生装置の電圧特性及びエネルギー蓄積容量は,いかなる試験片に対しても,絶縁破

C 2110-3:2016 (IEC 60243-3:2013) 

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壊電圧又は供試材料の仕様書に規定する保証電圧まで,適切な波形のインパルス電圧を供給するため

に十分なものでなければならない。 

− 8.2に規定する条件を満たす場合,電圧のピーク値を規約ピーク値とする。 

8.2 

電圧の測定 

インパルス電圧を試験片に印加したときに,その電圧波形を記録するための装置,並びに規約ピーク電

圧,規約波頭長及び規約波尾長を真の値の±5 %の精度で測定するための装置を備えなければならない。 

電圧波形が,振幅がピーク値の5 %以内で,周波数が0.5 MHz以上の振動を伴う場合には,電圧値の平

均値の曲線を描き,その最大電圧値を規約ピーク値としてもよい。 

振幅がより大きい場合又は周波数がより低い振動を伴う場合には,その電圧波形は,この規格による試

験に用いてはならない。 

試験手順 

試験手順は,JIS C 2110-1の箇条9(試験手順)による。 

10 電圧印加方式 

10.1 絶縁破壊試験 

絶縁破壊試験は,次による。 

− 絶縁破壊試験は,JIS C 2110-1の10.2(20秒段階昇圧試験)による。 

− インパルス電圧は,ピーク電圧が等しいインパルス電圧3個を一組として順次昇圧しながら印加する。

最初の一組のピーク電圧は,予測される絶縁破壊電圧の約70 %とするのがよい。 

− 次の一組のピーク電圧は,最初の一組のピーク電圧の5 %〜10 %高い値とする。JIS C 2110-1の表1

を適用することができる。 

− 連続してインパルス電圧を印加する場合は,インパルス電圧発生器が十分に充電された状態に達する

ために十分な時間を与える。通常は,インパルス電圧発生装置の充電時定数の3倍程度の時間を与え

れば十分である。 

− 一連のパルス間の時間としては,どのような注入空間電荷も消散するために十分な時間を与えること

が望ましい。多くの材料において,インパルス電圧発生装置の充電時間は,通常この時間より長くな

っている。空間電荷保持時間が長い材料では,供試材料の仕様書に必要な時間を規定する。この情報

が不明で,かつ,空間電荷保持時間が長いと疑われる場合には,絶縁破壊電圧に顕著な違いがあるか

どうかを判断するために,インパルスの時間間隔をより長くした追加試験を実施することが望ましい。 

− ある試験片に対して有効と認められる試験では,3番目又はそれ以降の電圧レベルにおいて絶縁破壊

が発生する以前に,少なくとも2段階の電圧レベルを印加してあることが必要である。 

− 絶縁破壊の強さは,絶縁破壊が起きることなく3回の波形が印加された最後の一組の規約ピーク電圧

に基づく値でなければならない。絶縁破壊電圧は,絶縁破壊を生じた次の一組の波形の公称電圧の値

とする。 

− 非対称な電極系を用いる場合には,いずれの極性での絶縁破壊電圧が低いかを判定するために,予備

試験を実施する。この結果,極性によって著しい差異がある場合には,絶縁破壊電圧が低い方の極性

を試験に用いることが望ましい。 

10.2 保証試験 

規定の保証電圧(規約値)の3個のインパルスを一組として,JIS C 2110-1の10.6(保証試験)に従っ

C 2110-3:2016 (IEC 60243-3:2013) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

て試験片に印加する。校正などの目的のため必要な場合には,保証電圧の80 %以下のピーク電圧の3個の

インパルスまでの場合は,保証電圧波形を印加する前に印加してもよい。 

11 絶縁破壊の判定基準 

絶縁破壊の判定基準は,JIS C 2110-1の箇条11(絶縁破壊の判定基準)による。 

12 試験回数 

試験回数は,JIS C 2110-1の箇条12(試験回数)による。 

13 試験報告 

試験報告書には,特に規定がない限り,次の事項を記載する。 

a) 供試材料の詳細な仕様(供試材料の製造元,材料の化学構造,組織,その他詳細な情報),並びに試験

片及びその調製方法の説明 

b) インパルス電圧波形の極性 

c) 絶縁破壊の強さ(kV/mm)及び/又は絶縁破壊電圧(kV)の中央値(保証試験には適用しない。) 

d) 各試験片の厚さ[JIS C 2110-1の5.5(電極間距離)参照]。 

e) 試験中の周囲媒質及びその特性 

f) 

試験用電極,及び二つの電極が異なる場合はそれぞれの電極に対応する極性 

g) 各試験片の絶縁破壊の強さ(kV/mm)及び/又は絶縁破壊電圧(kV)の値(保証試験には適用しない。) 

h) 空気中又はそのほかの気体中で試験した場合は,試験中の温度,気圧及び湿度。液体中で試験した場

合は,周囲媒質の温度 

i) 

試験前の状態調節の方法及び条件 

j) 

個々の試験片における最初の公称ピーク電圧レベル 

k) 絶縁破壊の形態及び位置(例えば,電極縁端部など)並びに個々の試験片において,最後の3個のイ

ンパルスの一組のうち,いずれの波形で絶縁破壊を起こしたかを記載する。 

l) 

個々の試験片において,絶縁破壊を起こした時点での波形上の位置(波頭,ピーク又は波尾) 

参考文献 

一般社団法人電気学会電気規格調査会編 JEC-0202:1994 インパルス電圧・電流試験一般