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C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日

本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC 61786:1998,Measurement of

low-frequency magnetic and electric fields with regard to exposure of human beings - Special requirements for

instruments and guidance for measurements を基礎として用いた。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS C 1910 には,次に示す附属書がある。

附属書 A(規定)校正方法

附属書 B(規定)測定の不確かさの要因

附属書 C(参考)磁界及び電界の一般的性質

附属書 D(参考)磁束密度測定器(磁界測定器)−測定の手引き

附属書 E(参考)電界強度測定器(電界測定器)−測定の手引き

附属書 F(参考)静磁界測定機器

附属書 G(参考)単位

附属書 H(参考)参考文献


目  次

ページ

序文 

1

1.  適用範囲

2

2.  引用規格

2

3.  定義

3

4.  記号

6

5.  交流磁界の測定

8

6.  交流電界の測定

16

附属書 A(規定)校正方法

22

附属書 B(規定)測定の不確かさの要因

32

附属書 C(参考)磁界及び電界の一般的性質 

40

附属書 D(参考)磁束密度測定器(磁界測定器)測定の手引き 

43

附属書 E(参考)電界強度測定器(電界測定器)測定の手引き

56

附属書 F(参考)静磁界測定器

66

附属書 G(参考)単位

67

附属書 H(参考)参考文献 

68


日本工業規格

          JIS

                            C 1910

:2004

(IEC 61786

:1998

)

人体ばく露を考慮した低周波磁界及び電界の測定−

測定器の特別要求事項及び測定の手引き

Measurement of low-frequency magnetic and electric fields with regard to

exposure of human beings - Special requirements for instruments and

guidance for measurements

序文  この規格は,1998 年に第 1 版として発行された IEC 61786:1998,Measurement of low-frequency

magnetic and electric fields with regard to exposure of human beings - Special requirements for instruments and

guidance for measurements を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規

格である。

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。

さまざまな環境における準静的な磁界及び電界への人体のばく露の特性を明らかにすることについて関

心が高まっており,さまざまな特性をもつ測定器が開発され,市場に出回ることになった。準静的な電磁

界の発生源としては,50 又は 60 Hz の商用周波数により動作し,商用周波数及びその高調波成分の電磁界

を発生する機器,及び商用周波数に依存しない電磁界を発生する機器などがある。後者に分類されるもの

としては,

画面表示装置(垂直走査磁界),

電気鉄道

(16 2/3 Hz  及び 25 Hz)

大量輸送システム

(0 Hz∼3 kHz,

可変速駆動装置の特性による)

,民間航空機(400 Hz)

,誘導加熱器(50 Hz∼10 kHz)及び電気自動車など

がある。さまざまな環境における電磁界発生源からの電磁界の性質の違い,すなわち周波数成分,時間的

な変動及び空間的なばらつき,回転電磁界,並びに強度などにより,測定器仕様への要求及び測定手順は

異なったものとなるであろう。市販の測定器には,電磁界を特徴づけるパラメータだけではなく,人体へ

の電磁界ばく露量を測定するものがある。人体ばく露に関する測定器及び測定手順が,この文書の対象と

するところである。準静的な電磁界を表すパラメータ,並びにそのパラメータと電界及び磁界ばく露時の

人体との相互作用メカニズムについては,いまだ明らかになっていないことに注意することが望ましい。

この規格の使用者としては,測定器の製造者,並びにばく露に関連する準静的な磁界及び電界の特徴を

知ることに興味をもつグループ又は個人を想定している。また,測定を行おうとする使用者は,電磁界発

生源及びその性質,並びに測定器に関する多少の知識をもつことが前提となっている。もし,これらの知

識がない場合は,多少の訓練を受けておくことを強く助言する。附属書として技術に関する情報を記載し

たので,この規格は訓練段階のテキストとして用いることもできる。



C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

1.  適用範囲  この規格は,15 Hz  ∼9 kHz  の周波数帯域の準静的な磁界及び電界の定常状態における実

効値測定に関する手引きを規定する。準静的な電磁界の発生源としては,商用周波数で動作し,商用周波

数及びその高調波の電磁界を発生する機器,

並びに商用周波数に依存しない電磁界を発生する機器がある。

この規格が対象とする電磁界強度の範囲は,磁界では 100 nT∼100 mT,電界では 1 V/m∼50 kV/m である。

この範囲を超える測定の場合でも,この規格の規定のほとんどが適用できるであろうが,特定の不確かさ

及び校正手順のような規定については修正が必要となろう。この規格は特に次の項目について記述する。

−  用語の定義

−  電磁界測定器仕様の要求の規定

−  校正手法の規定

−  測定器の不確かさについての要求事項の定義

−  電磁界の一般的な特徴の説明

−  測定器の動作原理の説明

−  人体ばく露に関する明確な目的を達成するための測定手法の説明

校正及び測定時における不確かさの要素についても明示し,これらが全体の測定の不確かさにどのよう

に関連するかの手引きを記す。

電界測定に関しては,

この規格は空間又は導電性がある表面の点において,

ひずみのない電界強度(すなわち測定器及び測定者が入る前の電界)の測定だけを対象とする。

備考1.  規格構成上の理由によって,基準的な測定要求事項が 5.及び 6.に,測定手順の例及び測定の

手引きが附属書 D 及び E に分かれている。

2.  この規格の対応国際規格を次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は ISO/IEC Guide21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD(修

正している)

,NEQ(同等でない)とする。

IEC 61786:1998,Measurement of low-frequency magnetic and electric fields with regard to exposure of

human beings - Special requirements for instruments and guidance for measurements (IDT)

2.  引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることにより,この規格の規定の一部を構成する。

これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 61000-4-2:1999  電磁両立性―第 4 部  試験及び測定技術―第 2 節  静電気放電イミュニティ試

備考 IEC 

61000-4-2:1995/AMENDMENT 1:1998, Electromagnetic compatibility (EMC) − Part 4:

Testing and measurement techniques  −  Section 2: Electrostatic discharge immunity test  が,この規

格と一致している。

JIS C 61000-4-3:1997  電磁両立性  ―  第 4 部:試験及び測定技術  ―  第 3 節:放射無線周波電磁

界イミュニティ試験

備考  IEC 61000-4-3:1995 Electromagnetic compatibility (EMC) − Part 4: Testing and measurement

techniques  − Section 3: Radiated, radio-frequency,  electromagnetic field immunity test  が,こ

の規格と一致している。

JIS C 61000-4-4:1999  電磁両立性―第 4 部  試験及び測定技術―第 4 節  電気的ファストトランジェ

ント/バーストイミュニティ試験

備考  IEC 61000-4-4:1995 Electromagnetic compatibility (EMC) − Part 4: Testing and measurement

techniques  −  Section 4: Electrical fast transient/burst immunity test  が,この規格と一致している。


3

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

JIS C 61000-4-6:1999  電磁両立性―第 4 部  試験及び測定技術―第 6 節  無線周波電磁界によって誘

導された伝導妨害に対するイミュニティ

備考  IEC 61000-4-6:1996 Electromagnetic compatibility (EMC) − Part 4: Testing and measurement

techniques  −  Section 6: Immunity to conducted disturbances,  induced by radio-frequency fields

が,この規格と一致している。

JIS C 61000-4-8:2003  電磁両立性―第 4 部  試験及び測定技術―第 8 節  電源周波数磁界イミュニテ

ィ試験

備考 IEC 61000-4-8:1993/AMENDMENT 1:2000 Electromagnetic compatibility (EMC) −  Part 4:

Testing and measurement techniques  − Section 8: Power-frequency magnetic field immunity test

が,この規格と一致している。

IEC 61000-3-2:1995,  Electromagnetic compatibility (EMC) – Part 3: Limits – Section 2: Limits for harmonic

current emissions (equipment input current  ≦16 A per phase)

CISPR 11:1990,Limits and methods of measurement of electromagnetic disturbance characteristics of

industrial,  scientific and medical (ISM) radio-frequency equipment (工業用,科学用及び医療用 (ISM)

無線周波機器の電磁妨害波の特性の許容値及び測定法)

3.  定義  この規格で用いる主な用語の定義は次による。

備考  この規格においては“磁束密度”及び“磁界”は同義として扱う。

3.1 

試験

3.1.1 

受入試験(acceptance tests)  機器が仕様の条件を満たすことを顧客に示すための契約上の試験。

3.1.2 

形式試験(type test)  1 台以上の機器に対して,設計が仕様を満たすことを示す試験。

備考  この試験は,一般に機器の設計者又は製造者によって行われる。

3.2 

測定器

3.2.1 

交流電界強度測定器(alternating electric field strength meter)  交流電界を測定するように設計され

た測定器。浮遊電位形電界測定器,接地式電界測定器,電気光学式電界測定器の 3 つの形式の電界強度測

定器が利用可能である。

備考  電界測定器は,プローブ又は電界センサ部分,及びプローブからの信号を処理し電界の実効値

をアナログ又はディジタル表示する検波回路部分の 2 つで構成される。

3.2.2 

電気光学式電界測定器(electro-optic meter)  電界の影響により,ファイバ又は結晶中の光の伝ぱが

変化することにより電界強度を測定する測定器。

備考  電界測定については,多くの電気光学的な手法(ポッケルス効果,カー効果,干渉法など)が

あるが,この規格ではポッケルス効果を利用した電気光学式電界測定器だけを想定している。

3.2.3 

浮遊電位形電界測定器(free-body meter)  地上の電界強度を測定するもので,大地と電気的接触が

ない状態で空間に支持される測定器。

備考  浮遊電位形電界測定器は,一般的に,絶縁された 2 つの導体間を流れる誘導電流を測定する。

誘導電流は電界強度の時間微分値に比例するので,電界波形を再現するために検波回路中に積

分回路が含まれることが多い。積分された電流波形は誘導電荷の波形とも一致する。積分回路

は,特に高調波成分をもつ電界の測定にも行えることが望ましい。積分回路(積分の特性)に



C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

より,誘導電流信号における高調波成分の過剰な重みづけが排除されるからである。

3.2.4 

フラックスゲート式磁界測定器(fluxgate magnetometer)  強磁性体磁心を含むプローブ又はセンサ

部の非線形磁気特性を利用して磁界を測定する測定器。

3.2.5 

接地式電界測定器(ground reference meter)  地表面又は地表面近くの電界を測定する測定器。絶縁

された電極と接地の間の誘導電流又は電荷の振動の測定によるものが多い。絶縁された電極は,通常地表

面と同じ高さ又はやや上方に配置される平板である。

備考  誘導電流を測定する方式の接地式電界測定器は,誘導電流と電界との微分の関係を補償する積

分回路を含むことが多い。

3.2.6 

磁束密度測定器(magnetic flux density meter)  磁束密度を測定するように設計された測定器。

備考1.  磁界測定器はプローブ又は磁界センサ部分,及びプローブからの信号を処理し磁界の実効値

をアナログ又はディジタル表示する検波回路部分の 2 つで構成される。

2.  磁界測定器の形式として,コイルプローブを用いるもの,ホール効果プローブを用いるもの,

フラックスゲート式磁界測定器のように強磁性体磁心をもつ 2 つのコイルを用いるものがあ

る。

3.2.7 

簡易式測定器(survey meter)  実時間での読み取りが可能であり,さまざまな場所で簡易な測定を

実施する目的のための,携帯性に優れた,軽量で電池駆動の測定器。

3.2.8 

コイルプローブ(coil probe)  磁界の時間微分値に比例した誘導電圧を発生させる巻線コイルから

構成される磁束密度センサ。

備考1.  誘導電圧は磁束密度の時間微分値に比例するので,センサの検波回路には磁束密度波形を復

元する積分回路が含まれていなければならない。

2.  このプローブを回転させることにより,静磁界(直流磁界)も測定可能である。

3.2.9 

ホール効果プローブ(Hall effect probe)  磁束密度に比例する電圧を発生させる,ホール効果を示す

素子が含まれた磁束密度センサ。

備考  ホール効果プローブは,変動磁界だけではなく静磁界にも応答する。低レベルの商用周波磁界

の測定では,相当量の地磁気の存在により,感度の問題及び飽和の問題に直面するため,ホー

ル効果プローブは交流電力線の磁界測定にはほとんど使用されない。

3.3 

測定器の特性

3.3.1 

波高率(crest factor)  周期関数における波形の波高値(ピーク,最大値)の,実効値に対する比。

3.3.2 

クロストーク(crosstalk)  近接する回路における交流又はパルス性の信号によって生じるノイズ又

は外来信号。

3.3.3 

周波数応答(frequency response)  異なる周波数に対する一定強度の電磁界への電磁界測定器の応

答(指示値)

3.3.4

通過帯域(pass-band)  (1)データ伝送において,小さい減衰で通過できる周波数成分の範囲。(2)回

路及びシステムにおいて,

(阻止帯域のような他の周波数帯域と比べて)

ほとんど減衰せずにフィルタを通

過する周波数帯域。

3.3.5 

(実効値で校正された)平均値整流検波回路[rectified average (calibrated in r.m.s.) detector]3.3.6

参照)  プローブからの信号を整流し,特定の周波数の正弦波的な電磁界の正確な実効値を与えるために

校正された検波回路。

備考  電磁界に高調波が含まれる場合,プローブからの信号が電磁界の時間微分に比例するならば,


5

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

平均値(実効値)整流検波回路は真の実効値を表示しない。検波回路に積分回路が含まれる場

合,この誤差は低減される。またこの誤差は,電磁界の高調波成分と基本波成分との位相関係

に依存する[36][61]。

3.3.6 

真の実効値検波回路(true r.m.s. detector)[(実効値で校正された)平均値整流検波回路参照]  周

期信号 v(t)(周期 T)に対して,次の数値演算を行う回路を含む検波回路。

( )

[ ]

ò

T

dt

t

v

T

0

2

1

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)

備考1. v(t)が電磁界の時間微分に比例する場合,磁束密度の波形を復元するために,検波回路には,

実効値演算の前に積分回路が含まれていなければならない[25], [61]。この形式の検波回路

は,周波数応答が対象の周波数範囲に対して平たんであれば,高調波が含まれていても真の

実効値が得られる。

2.  v(t)中にかなりの強度の高調波が含まれる場合,積分演算が 1 段以上の増幅回路で行われるな

らば,増幅器の飽和の影響の可能性に特別の注意を払うことが望ましい。

3.4 

電磁界の特性

3.4.1 

電界の最大実効値(最大電界)[maximum r.m.s. value of electric field (maximum electric field)]  だ

円軌跡を描く準静的な電界及び磁界において,ある測定点における電界のだ円軌跡の半長径の実効値。

(参

考  下線部の記述は不必要と思われる。

3.4.2 

磁界の最大実効値(最大磁界)[maximum r.m.s. value of magnetic field (maximum magnetic field)]

商用周波数電界及びだ円軌跡を描く準静的な磁界において,ある観測点における磁界のだ円軌跡の半長径

の実効値。

(参考  下線部の記述は不必要と思われる。

3.4.3 

ひずんだ

電磁界(perturbed field)  物体の存在により大きさ又は方向,若しくはその両方が変化し

た電磁界。

備考  物体の表面における電界は,一般に他の物体の存在によって大きくひずむ。商用周波数におい

ては,磁束密度は通常,非磁性物体の存在によって大きくひずむことはない。例外として,磁

界発生源の近くにある厚い導体の表面近傍の場所及び導体から遠く離れた場所がある。これら

の例における磁界のひずみは,導体中に誘導されるうず電流によって発生する逆向きの磁界の

影響によるものである。

3.4.4 

ひずみのない電磁界(unperturbed field)  人間又は持ち込みのできる物体が存在しない場所におけ

る電磁界。

3.4.5 

準静的な電磁界(quasi-static field)  f << c÷l  の条件を満たす電磁界。ここに f は電磁界の周波数,c

は光速度,l は測定対象の代表的な寸法,例えば電磁界発生源と測定点との間の距離である。

備考  電力線及び電気機器周辺における商用周波電界及び磁界は,準静的な電磁界の例である。

3.4.6 

合成電界(resultant electric field)  次式によって与えられる電界。

2

2

2

z

y

x

R

E

E

E

E

+

+

=

・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)

ここに,E

x

,E

y

,E

z

は直交する 3 軸の電界成分の実効値である。

合成電界は次式で表すこともできる。



C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

2

min

2

max

E

E

E

R

+

=

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)

ここに,E

max

及び E

min

はそれぞれ,電界のだ円軌跡の半長径及び半短径の実効値である。

合成電界 E

R

≧E

max

は常に成立する。電界が直線軌跡の場合,E

min

 = 0,E

R

 = E

max

となる。電界が円軌跡の

場合,E

max

 =E

min

,E

R

≒1.41E

max

である。

備考  CENELEC(参考  Comité Européen de Normalisation Electrotechnique:欧州電気標準化委員会)

プレ規格(参考  国際規格ではない)ENV50166-1[5]における“実効電界の強さ”の定義は,

ここでの合成電界と同一である。

3.4.7 

合成磁界(resultant magnetic field)  次式によって与えられる磁界。

2

2

2

z

y

x

R

B

B

B

B

+

+

=

・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)

ここに,B

x

,B

y

,B

z

は直交する 3 軸の磁界成分の実効値である。

合成磁界は次式で表すこともできる。

2

min

2

max

B

B

B

R

+

=

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)

ここに,B

max

と B

min

はそれぞれ,磁界のだ円軌跡の半長径及び半短径の実効値である。

合成磁界 B

R

≧B

max

は常に成立する。磁界が直線軌跡の場合,B

min

 = 0,B

R

 = B

max

である。磁界が円軌跡

の場合,B

max

 =B

min

,B

R

≒1.41B

max

である。

備考  CENELEC プレ規格 ENV50166-1[5]における“実効磁界の強さ”の定義は,ここでの合成磁界

と同一である。

3.5 

測定

3.5.1 

補正係数(correction factor)  補正されていない測定値に対して,既知の誤差を補償するために乗じ

る数値。

備考  既知の誤差を完全に把握することはできないため,補正も完全たりえない。

3.5.2 

補償係数(coverage factor)  拡張した不確かさを得るために,合成標準不確かさに乗ずる数値。

備考  期待値μ

z

,標準偏差σの正規分布に従う量 z に対し,補償係数 k = 1,2,3 に対する区間μ

z

±k

σは,それぞれ分布の 68.27%,95.45%,99.73%を包含する。

3.5.3 

倍率(scale factor)  測定器への入力値を得るために,測定器の指示値に対して乗じる係数。

3.5.4 

スポット測定(ある時刻における測定)[spot measurement (point-in-time measurement)]  ある時刻

及びある場所において行われる測定であり,電磁界の時間的又は空間的な変動に関する情報は与えない測

定。

3.5.5 

標準不確かさ(standard uncertainty)  標準偏差として表現される測定結果の不確かさ。

3.5.6 

測定の不確かさ(uncertainty of measurement)  測定量に寄与すると,合理的に考えられる値のばら

つきを特徴づける測定結果に関係するパラメータ。

備考  測定の不確かさは一般に多くの成分を含む。これらの成分のうち幾つかは,一連の測定結果の

統計的な分布に基づいて評価してもよく,標準偏差で表すことができる。他の成分の評価は,

経験又は他の情報に拠ることができる。

4.  記号


7

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

a

:コイルプローブの半径,球状の電界プローブの半径

2a,2b :長方形コイルの辺長

B

:磁束密度ベクトル

B

f

:磁束密度(基本周波数)

B

j

:j 番目の周波数の磁束密度(j = 1  は基本周波数)

B

RLj

:CENELEC における j 番目の周波数の磁束密度参照レベル

B

0

:交流磁界の振幅

B

R

:合成磁界

B

z

:軸方向の磁束密度

B

x

y

z

:磁束密度の直交成分の実効値

B

max

,B

min

:磁界だ円の半長径及び半短径の実効値

C

:コイルプローブの漂遊容量

c

e

:ポッケルス素子の電気光学的係数

d

:平行平板の間隔;電磁界発生源からの距離

D

:電気変位ベクトル

E

:電界強度

E

i

:i 番目の周波数における電界(i = 1 は基本周波数)

E

RLi

:CENELEC における i 番目の周波数の電界参照レベル

E

R

:合成電界

E

0

:平等電界強度

E'

:ポッケルス素子中の電界

E

x

y

z

:電界の直交成分の実効値

E

max

,E

min

:電界だ円の半長径及び半短径の実効値

I

:磁界測定用コイルに流れる電流

I

i

(電気光学式電界測定器への)入射光

I

t

(電気光学式電界測定器からの)透過光

l

:ポッケルス素子の厚さ

L

:コイルプローブのインダクタンス

n

:屈折率

N

(磁界測定用コイルの)巻線数

Q

:誘導電荷

r

:磁界発生源と測定位置との距離;コイルプローブ及びリード線の抵抗

R

(磁界測定器の)検波回路の近似的な入力インピーダンス

S

(電界測定器の)電極表面の面積

t

:時間

T

:周期信号の周期

V

:電圧

v(t)

:周期的な電気信号

v

p

:コイルプローブの電圧

W

:誘導電圧に対するコイルプローブの電圧の比



C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

Z

:電流注入回路のインピーダンス

α

i

:磁界の第 i 高調波成分の割合

⊿B

max1

 :ダイポール磁界において,単軸プローブの中心磁界と,最大の指示値を与えるときのプローブ

面全体の平均磁界との差の最大値を百分率表示したもの。

⊿B

max3

 :ダイポール磁界において,平均合成磁界と,3 軸プローブの中心における磁界との差の最大値

を百分率表示したもの。

ε

0

:  真空の誘電率

λ

:放射電磁界の波長

μ

0

:真空の透磁率

φ

:磁束

ω

:交流電磁界の角周波数

5.  交流磁界の測定   
5.1

測定器の仕様  準静的な磁界の特徴を把握するための種々の測定器を D.1 に示す。この規格に従っ

た測定,測定器の適切な使い方,測定器適用の可否を使用者が判断できるように,測定器の仕様及び明確

に書かれた取扱説明書を含めた十分な情報が提供されなければならない。複雑な操作手順は避けることが

望ましい。提供及び/又は満たされることが望ましい測定器の仕様を次に示す。

備考  測定器が使用される条件において,この規格に従った測定器を用いて得られる結果と大きく違

わない結果が得られることが実証できれば,この仕様を満足しない測定器を用いてもよい。例

えば,磁界の高調波成分が無視できることが示され,かつ磁界の基本周波数に対する校正がな

された場合には,積分回路の有無にかかわらず,整流平均値検波方式による測定器を用いても

差し支えない。

5.1.1 

測定器の不確かさ  交流磁界の測定システムは,必要であれば補正係数を乗じた後,平等磁界の実

効値を±(指示値の 10% + 20nT)未満の不確かさで指示することが望ましい。

備考1.  測定器の不確かさは,校正における不確かさ,電子回路の温度ドリフト,安定性,外部雑音

源など種々の要因に依存する。ここでの不確かさは,ほぼ平等な磁界中における磁界測定器

の設計及び機能に関連した不確かさである。

“10%”の部分は測定器の周波数帯域(通過帯域)

における校正の際に生じる不確かさに関連するものであり,磁束密度値の不確かさ及び校正

過程における不確かさを含んでいる(5.2.2 参照)

。補償係数は 2 である。

“20nT”の部分は,

最も感度の高いレンジの校正時及び 0.1μT オーダーの磁界の測定時において予想される測

定器の不確かさを表す。

2.  測定不確かさのこの他の原因及び不確かさの取り扱いについてのガイドラインは,それぞれ

B.1 及び 5.3 に示した。

5.1.2 

強度範囲  測定器が許容範囲内の不確かさで動作する強度範囲を明記しなければならない。

5.1.3 

通過帯域  異なる周波数を含む磁界中において測定器を用いるときに,磁界レベルの決定に際して

不確かさを使用者が評価することができるような,測定器の校正結果又は仕様が提供されなければならな

い。使用範囲外,例えば-3dB の周波数に対する測定器の感度の情報も含まれることが望ましい。測定器の

周波数応答においては,測定器の不確かさ(5.1.1 参照)の要求が測定器の使用周波数帯域全体にわたり満

足されるものとする。

備考  測定器の周波数応答に関する不確かさの許容範囲は,小形の個人用ばく露量測定器に対しては


9

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

±20%(補償係数 2)である。小形の個人用ばく露量測定器とは,身につけて携帯でき,商用

周波数及びその高調波の合成磁界を周期的に記録する装置である(D.1 参照)

5.1.4 

動作温度及び湿度の範囲  定められた不確かさの範囲内で測定器が動作する温度及び相対湿度の

範囲は,それぞれ 0∼45℃及び 5∼95%にあることが望ましい。測定器内の結露を招くような急激な温度変

化は避けることが望ましい(B.1 参照)

5.1.5 

電源  電池を用いる場合,電池の状態が磁界測定器の正しい動作に適しているかどうかを表示でき

るようにすることが望ましい。個人のばく露量を記録する測定器は,電池を交換又は充電することなく,

定められた不確かさの範囲内で少なくとも 8 時間は動作することが望ましい。充電可能な電池を用いる場

合,充電中には測定器を動作させないことを推奨する。充電時においては,充電器からの漂遊磁界,電源

からの伝導妨害及び充電器への結線を介した電磁結合が磁界測定に影響しないことを実証することが望ま

しい(5.1.8 参照)

備考  強磁性体の外被をもつ電池をばく露量測定器に用いる場合,その外被が磁界測定器の指示値に

重大な影響を与えないように注意を払わなければならない。

5.1.6

指示値の視認性  簡易式磁界測定器の文字盤の目盛又はディジタル表示は,腕の長さの距離離れた

位置においても容易に読み取れるくらいの大きさであることが望ましい。複数の感度目盛がある場合,選

択された目盛のフルスケール値が示され,単位が直ちにわかることが望ましい。自動レンジ切替えの測定

器については,強度レンジは,例えば取扱説明書に書いてあればよい。測定器には単位を明示することが

望ましい。

備考  この規格の発行以前に発売された測定器で単位が表示されていない場合は,単位を適切に表示

したラベルを貼ることが望ましい。使用者自身がラベルを用意して測定器本体に貼ってもよい

し,製造者が作成したラベルを使用者に提供して使用者が貼ってもよい。

5.1.7 

測定器の寸法  検波回路及び接続用ケーブルを含む筐体の寸法を明記することが望ましい。プロー

ブ又はセンサ部は,測定磁界の場所による変動と比較して適切な寸法であることが望ましい(B.1 参照)

センサ部の面積は 0.01m

2

以下であることが望ましい。3 軸の測定器においては,3 つのセンサ要素が同心

(すなわち,共通の中心点をもつコイルプローブ)であればよい。センサ要素の寸法が 0.05m 以下である

場合は,センサ同士を可能な限り近づけることが望ましい(B.1 参照)

。3 軸コイルプローブを内蔵する筐

体の最大寸法は 0.2m を超えないことが望ましい。コイルプローブの断面は,円形又は方形であることが

望ましいが,同心コイルの交差部などにおいて,コイル形状が若干変形することは差し支えない。

磁界測定器の筐体内に内蔵されるプローブの位置及び向きを,測定器本体又は取扱説明書に明記するこ

とが望ましい。

5.1.8 

電磁両立性

5.1.8.1  イミュニティ

*

参考  電磁妨害に対する耐性

a)  商用周波電界

商用周波数で動作する高電圧機器の近傍で用いる磁界測定器は,20kV/m までの周辺電界によって重大

な影響を受けないこと,すなわち磁界測定器の指示値に及ぼす電界の影響は 20nT 未満であることが望ま

しい。例えば,高電圧送電線の導体の近くなど,100kV/m 程度の強度の電界が存在する特殊な環境におい

ては,このイミュニティに関する要求を緩和しても差し支えない。

備考1.  商用周波電界に対するイミュニティ試験は,A.2 に記した平行平板システムを用いて行って

もよい。


10 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

2.  測定器使用者の近接効果(B.2 参照)のため,電界分布及び磁界測定器と使用者との相対位

置に依存して電界が増減する可能性がある。

b)  放射電磁界

実効値 3V/m レベルの電界に対して,測定器の動作は,80MHz から 1GHz の放射電磁界によって影響さ

れてはならない。測定器の試験は,JIS C 61000-4-3 に規定された方法に従って行うことが望ましい。

測定器の動作は,150kHz から 80MHz の放射電磁界に影響されてはならない。試験は,JIS C 61000-4-6

に規定された方法に従い,実効値 3V の電圧レベルにおいて行うことが望ましい。これら 2 つの試験の間,

測定器は正常に動作を続けることが望ましい。

備考1.  電池駆動の測定器(寸法<λ/4,放射電磁界の波長)で,接地又は他の(非絶縁)機器との接

続がなく,充電中は測定を行わないものについては,JIS C 61000-4-6 に従って試験をする必

要はない。

2.  26MHz から 1GHz までの周波数範囲全体にわたって放射電磁界に対するイミュニティ試験を

行うことが重要である。27MHz の市民バンドの影響を測定器が受ける可能性が高いので,周

波数範囲の下限は重要である。

3.  ラジオ放送用アンテナ及び携帯電話の近傍における測定時のような特殊環境においては,イ

ミュニティに関する要求を緩和しても差し支えない(B.1,表 B.2 参照)

c)  トランジェントに対するイミュニティ  交流電源に接続して用いる測定器は,交流電源ポート(磁界

測定器の外部電源又は交流電源とのインターフェース)において JIS C 61000-4-4(電気的ファストト

ランジエント)に従った試験を行うことが望ましい。この場合の電圧波高値は 2kV である。試験中に

測定器の一時的な性能低下があっても,自己回復可能なものは許容される。

d)  静電気放電(ESD)  ほとんどの測定時において,測定器への,若しくは測定器からの静電気放電は

起こらない。しかし,測定器の筐体ポートは最低 2kV の接触又は気中放電に対するイミュニティをも

つものとし,JIS C 61000-4-2 に規定された試験を行わなければならない。動作機能の低下は生じては

ならない。

5.1.8.2  エミッション   
a)  高調波のエミッション

定格出力 50W 以上の測定器からの高調波のエミッションは,IEC 61000-3-2 の要求を満足しなければな

らない。

b)  伝導妨害  0.15MHz から 30MHz(交流電源に接続される測定器の場合)

交流電源の伝導妨害に対する電圧の限度値は,準ピーク値又は平均値検波を用いて特徴づけてもよく,

周波数の関数として表 1 のように与えられる(CISPR

*

 11,クラス B 参照)。

測定器の試験は,CISPR11 の規定に従って行うことが望ましい。

*

参考  Comittie International Special des Perturbations Radioelectrique,国際無線障害特別委員会

  1  交流電源端子の伝導妨害に対する電圧の限度値

周波数帯

MHz

準ピーク値

dB  (

µV)

平均値

dB  (

µV)

0.15∼0.50 66 から 56 まで,周波数の対数に

比例して減少する。

56 から 46 まで,周波数の対数に

比例して減少する。

0.50∼5 56

46

5∼30 60

50


11

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

c)  放射妨害  30MHz から 1000MHz

9kHz 以上で動作するデバイスをもつ測定器からの電磁界のエミッションは,次の限度値以下に制限され

なければならない(CISPR 11,クラス B 参照)

    10m 離れた点において 30dB(μV/m)  30MHz から 230MHz

    10m 離れた点において 37dB(μV/m)    230MHz から 1000MHz

測定器の試験は,CISPR 11 に規定された方法に従って行うことが望ましい。

備考  上記の試験要求は CISPR 11 によるものであり,見直される可能性がある。規格の最新版に従

って試験を行うことが望ましい。

5.1.9 

波高率  測定システムは,磁界の波高率が 3 の場合においても,磁界の真の実効値を正しく測定で

きることが望ましい(B.1 参照)

備考  実際には大きな波高率を示す磁界が多く,それは検波回路の増幅回路において望ましくない飽

和現象をもたらす可能性がある。

5.1.10  耐久性  測定器及び他のシステム要素は,輸送時の振動及び衝撃に対して十分に耐えられることが

望ましい。キャリングケースがあることが望ましい。

5.1.11  質量  測定器の質量が明記されていることが望ましい。携帯式の測定器の質量は,ある種の工場内

などの,制限された状況下においても手で保持して測定できる程度に現実的に軽くすることが望ましい。

5.2 

校正

5.2.1 

一般事項  測定システムは,その耐久年限までの間,校正を行い,その妥当性を確認しなければな

らない。この規格で示す校正試験は,形式試験及び受入試験である。形式試験は,一般に製造者が 1 台以

上の測定器に対して行う。受入試験は,一般にそれぞれの測定器について製造者が一度だけ行うものであ

る。受入試験は,測定器の大きな改造又は修理を行った場合,再度行う必要がある。検証試験は,測定器

の使用期間においてある間隔をおいて行うものである(5.2.4 参照)

。すべての校正は,不確かさを明確に

して定期的に実施し,その期間にわたって国内規格又は国際規格に対してトレーサビリティが保たれてい

ることが望ましい。

この規格では,次の 3 とおりの校正手法を取り上げる。

−  計算された磁界中へ磁界測定器のプローブを置く校正(コイルの寸法及びコイルシステムへの通電電

流の測定も行う)

−  電圧注入方法を用いる校正

−  参照測定システムとの比較による校正(A.1 参照)

5.2.2 

校正手順  校正は形式試験,受入試験(5.2.1 参照)及び定期的な検証試験(5.2.4 参照)の一部

として行われる。この節の校正手順は,妥当なものとしてすべての場合に適用される。高い強度レンジの

校正(背景磁界により大きな影響を受けないレンジ)においては,磁界測定器のプローブを,コイルシス

テムにより発生させたほぼ一様な磁界中に置くことが望ましい(A.1 参照)

。プローブの軸はコイルシステ

ムの軸と一致させることが望ましい。また,プローブ面全体にわたり,プローブ中心での磁界強度に対す

る最大の差は 1%未満であることが望ましい。

備考1.  長方形,正方形及び円形ループのシステム(ヘルムホルツコイルを含む)から発生される磁

界についての情報は,[17][35][56][69]及び A.1 により得られる。例えば,1m×1m の単一正

方形ループコイル(多重巻線)から発生する磁束密度は,0.10m の直径をもつプローブに対

して,一様性の要求を満たす(A.1 参照)

。プローブの寸法の大小に対しては,プローブ部に


12 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

おける磁界の一様性を満たすようにループコイルの寸法を変えればよい。電圧注入方法や参

照磁界測定器との比較により校正を行ってもよい(A.1 参照)

2.  校正中の磁界の一様性の要求は,一様ではない磁界の平均値を測定するために大きなプロー

ブを用いる場合及び/又は空間的分解能が重要ではない場合については,これを緩和しても

よい。この場合,プローブ面全体において,プローブ中心での磁界強度に対する,最大の差

は 1.5%以下であることが望ましい。例えば,1.3m×1.3m の正方形ループにより発生する磁界

は,0.20m の直径をもつプローブに対して,この一様性の要求を満たす。

単軸の磁界測定器及び 3 軸の磁界測定器の各軸の校正には,測定器の仕様に示された強度及び周波数の,

正弦波磁界又はそれらと等価な電圧を用いること(電圧注入方法)が望ましい。

コイルシステム中の磁束密度は,±3%未満の不確かさ(補償係数 1)でわかることが望ましい。磁界強

度は,コイルの寸法,コイルの巻き数及びコイルの電流の測定に基づき計算で求めるか(A.1 参照)

,測定

の不確かさが十分に小さい,

校正された参照磁束密度測定器を用いて磁界を直接測定により求めてもよい。

校正の一部として電圧注入方法を用いる場合(A.1 参照,測定器の設計によっては,形式試験においてだ

け実施可能である)

,等価的な磁束密度は注入電圧により決められる。

校正の不確かさは,校正システムにおける磁束密度値の不確かさ(±3%;A.1 参照)又は注入電圧の不

確かさ,試験中の測定器の指示値の分解能,並びに試験対象の測定器を校正システムに繰り返し出し入れ

したときの値の変動といった要素によって決まる。背景磁界などの他の要素は,校正の不確かさを更に悪

化させる可能性がある。校正過程全体にわたっての不確かさ(補償係数 1)は±(5% + 10nT)を超えない

ことが望ましい。測定器の不確かさを特定する用途の場合,補償係数は 2 を用いることが望ましい。すな

わちこの場合,測定器の不確かさは±(10% + 20nT)を超えない。校正は,国内規格及び/又は国際規格

に対してトレーサビリティが保たれていることが望ましい。すべての不確かさの扱いのガイドライン及び

不確かさの原因のリストを,5.3 及び B.1 にそれぞれ示す。

アナログ表示の測定器に対しては,測定器の各強度レンジにおいて,フルスケールの 30%から 90%の範囲

において少なくとも 3 つの磁界強度レベルを記録することが望ましい。ディジタル表示の測定器に対して

は,

フルスケールの 10%から 90%の範囲において少なくとも 4 つの磁界強度レベルを記録することが望まし

い。自動レンジ切り替えの測定器に対しては,各レンジにつき,レンジのほぼ全体にわたる 3 つ以上の代

表点において校正を行うことが望ましい。最も感度の高いレンジにおいては,校正ポイントのうちの 1 点

はそのレンジの最大値の 10%付近とするとよい。最も感度の低いレンジにおいては,校正ポイントのうち

の 1 点はそのレンジの最大値の 90%付近とするとよい。少なくとも 1 つの磁界レベルにおいては,通過帯

域のうちの 3 つの周波数において校正を行うことが望ましい。すなわち,通過帯域の最高及び最低の周波

数と,1 つの中間周波数において校正を行うとよい。

3 軸プローブの各軸を校正する場合,各プローブの検波回路間のクロストークの確認と同時にプローブ

の直交性の確認を行うことが望ましい。3 軸のプローブと磁界は,各プローブの軸が磁界方向と同じにな

るように調整するとよい。プローブの軸方向の調整時には,校正する軸以外の 2 軸の出力も測定するとよ

い。これらの出力は,校正軸プローブの信号の 3%未満であることが望ましい。このコイルプローブの直交

性の検査は,1 つの磁界レベルだけで行えばよい。3 軸プローブをもつ磁界測定器の校正では,おおよそ同

じ磁束がすべてのコイル面を通過するような 1 方向においても行うことが望ましい(1 つの周波数及び磁

界レベルでよい)

形式試験においては,ノイズフロア(B.1 参照)は校正する各スケールに対して決定することが望まし

い。ノイズフロアが大きい場合は,これを低減させるか,測定器の不確かさのその他の要素と合成すると


13

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

よい。これは単軸の磁界測定器及び 3 軸の磁界測定器の各軸に対して適用することが望ましい。

校正が共振現象の影響を受けないよう,校正ループの共振周波数は校正周波数よりも十分に高いことが

望ましい(A.1 参照)

接地面近傍における鏡像電流又は強磁性材料の近接効果による校正用磁界のひずみは,無視できる程度

にすることが望ましい(A.1 参照)

校正コイルへの電流には高調波成分がほとんどないこと(1%未満)が望ましい。

5.2.3 

試験成績書  磁界測定器の製造者は,試験結果を文書化し,かつ測定器の仕様に関するデータ

(5.1.1∼5.1.11 参照)に加えて次の情報を提供することが望ましい。

−  試験装置

−  依頼者

−  測定器モデル及びシリアルナンバー

−  固有の試験報告書番号

−  試験日

−  試験報告の技術的責任者

測定器の製造者は,次のすべての情報を含めた校正手順も文書化することが望ましい。

−  磁界コイルの幾何学的配置及び寸法

−  コイルシステムの共振周波数

−  コイルシステムの電流測定のための測定器,測定器の不確かさ,最新の校正検査日

−  電圧測定に用いる測定器(電圧注入方法,A.1 参照)

,測定器の不確かさ,最新の校正検査日

−  分圧比(電圧注入方法,A.1 参照)

,分圧比の周波数依存性,分圧比の不確かさ

−  参照測定システムの不確かさ,プローブの寸法,通過帯域,最新の校正検査日

これらの情報は,依頼者からの要求に応じて提供できることが望ましい。訴訟が予想される状況におい

て測定器が使用される場合,測定器の校正は,別の独立した機関によって,適切な振幅範囲及び周波数範

囲において検証されることが望ましい。

試験を行う実験室は,上記の要求に従うことが望ましい。校正装置の操作者は,ISO Guide 25 [31]に適

合する品質の測定システムを使うことが望ましい。

参考  ISO Guide 25 は,ISO 17025 になっている。

5.2.4 

検証試験  可能であれば,測定器の使用者は,既知の磁界中で磁界測定器の校正を行ったとき又は

その直後に,電圧注入方法を用いて磁界測定器の応答を試験することが望ましい。この試験により,コイ

ルシステムが利用できない場合でも,

電圧注入方法を校正の検証の手段として使用することが可能になる。

ある周波数において,測定器校正の定期的な検証を行うための 2 つめの手段は,手ごろな寸法のコイル

システムを使って忠実に再現され得る磁界中に配置したときの,異なるレベルに対する応答を調べること

である。この手段は,コイルシステム及びプローブの幾何学寸法が変化しないことと,背景磁界レベルが

大きくないことを仮定している。

測定器の使用者が行う校正の検証は,受入試験ほどは徹底的にやる必要はない。例えば,測定対象と関

係のある周波数において,

測定に使用されるであろう磁界測定器の各レンジの 1 点又は 2 点を確認すれば,

倍率の検証には十分である。

備考  試験を行う 1 点は,対象レンジのフルスケールの上半分の範囲に設定することを推奨する。

検証試験の結果は文書化し,容易に入手できることが望ましい。文書には,試験日及び試験者を明記す

ることが望ましい。


14 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

使用が想定される強度レンジの校正の検証は,決められた期間ごとに行うことが望ましい。初期の間隔

としては 12 カ月が目安である。この間隔は,検証を行うごとにどれだけ測定器の指示値がずれたかによっ

て変更すればよい。検証は,測定が数日から 1 週間にわたって行われる場合など,測定器を長期にわたり

使用する場合の前後にも行うことが望ましい。この作業は,後で測定位置へ戻ることが困難な場合,特に

重要である。

5.3 

測定の不確かさ  さまざまな測定環境における,磁束密度の実効値測定に関連する総合不確かさを

決めるために,不確かさのさまざまな要因を適切に評価することが望ましい。5.2 及び B.1 において記述

している,考えられる不確かさの要因は次のようなものである。

−  校正の不確かさ

−  不平等な磁界測定におけるコイルプローブの平均化効果(表 B.1 参照)

−  不平等な磁界中におけるプローブの位置決めの誤差

−  周波数応答又は通過帯域の制限

−  不完全な電界シールド

−  ノイズフロア

−  3 軸コイルの直交性

−  クロストーク

−  測定器の時定数

−  温度

不確かさの要因のうちの幾つかは,無視できるレベルまで低減させることができる。例えば,適切なシ

ールドによって,商用周波電界及び電磁界干渉に対する感受性を無視できるレベルまで低減させることが

できる[24]。同様に,かなり不平等な磁界中で磁界測定プローブを正確な位置に設置するために,絶縁体

で作られた支持棒を用いてもよい。

備考  電磁界干渉に対する適切なシールドが困難なような,極端な測定環境が存在し得る。例えば,

VHF や UHF の放送設備の近傍などである。

既知の補正係数(A.1 参照)を磁界測定器の指示値に乗じることが望ましい。これができない場合,補

正係数の影響を測定の不確かさに加えて扱うことが望ましい。

不確かさの計算を行うとき,幾つかの判断が要求される。例えば,磁界に高調波が含まれる場合,磁束

密度の真の実効値は次の式で与えられる。

⋅⋅

+

+

+

+

=

2

3

2

2

2

1

1

α

α

α

f

B

B

・・・・・・・・・・・・・(6)

ここに,B

f

は基本磁界成分の実効値,

α

i

は i 番目の高調波成分含有率である。

高い次数の高調波のレベルが減少する場合と,磁界測定器の通過帯域が不十分で,高い次数の高調波の

正確な値を把握できない場合でも,(6)式が加算になっていることを考えると,磁束密度の真の実効値は,

制限された周波数応答によって大きく影響を受けることはない。

同様に,電気機器又はその他の電気設備からの磁界を,発生源からの距離の関数として測定する過程で

の不確かさは,発生源からの磁界レベルが背景磁界レベルに近づくにつれて,非常に大きくなり得る(例

えば 100%を超える)ことを認識することが望ましい。この場合,不確かさには,

“背景の百分率”

,略して

“%背景”を追加することが望ましい。ここに“%背景”は,背景磁界と測定磁界の比の百分率に等しい。

不確かさの評価は,ISO/TAG4/WG3 で定めた文書(ISBN 92-67-01075-1)に従って行うことが望ましい。


15

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

これによれば,測定に影響を及ぼす各量に関係する標準偏差は,以前に実施した測定又は経験に基づき決

めなければならない。合成標準偏差は,分散の和の平方根(つまり,標準偏差の 2 乗の和の平方根)とし

て求めなければならない。拡張(全体の)不確かさは,合成標準偏差の k 倍とする。ここに k は補償係数

である。ガウス分布に対しては,補償係数は 2 とする。これは,おおよそ 95%信頼区間に対応する。

5.4

測定結果の記録と報告  測定の記録と報告時に必要な情報は,測定の目的により異なる。測定の目

的は,開始時点に明確にしておくことが望ましい。測定器及び測定に関する次の情報も,すべての場合に

ついて提供されることが望ましい。

−  製造者

−  測定器モデル

−  測定日

−  測定時刻

−  全体の測定の不確かさ

−  報告される磁界の量。例えば,最大磁界,合成磁界,垂直磁界成分,重み付け時間平均(TWA)

,実効

値など(SI 単位系を用いることが望ましい。一般的な単位は括弧付きで記載してもよい)

−  プローブサイズ/幾何学的寸法

−  最新の校正/検証試験の日付

必要であれば,次に示す情報も用意することが望ましい,

−  測定器の通過帯域

−  サンプリング周波数

−  人体へのばく露データを表す場合,行動の記録

−  測定を行ったエリアや位置を表す図

−  統計に関する情報。例えば最大及び最小値,中央値,幾何平均値など。

−  複数の周波数を含む磁界については,スペクトルの周波数分解能

−  測定位置,発生源の特定,気象条件

−  測定者

−  発生源の条件,すなわち負荷電流

5.5

測定手順

5.5.1 

一般事項  磁束密度測定においては,単軸の測定器を用いる特別な理由がある場合を除き,3 軸の

測定器を用いて合成磁界を測定することが望ましい。単軸の測定器を用いる理由としては,磁界の方向や

最大磁界を知りたい場合,又は磁界だ円の方向及び形状を調べたい場合,並びに直線磁界の方向が既知で

ある場合がある。

備考  3 軸測定器には,これらの磁界パラメータが測定可能なものもある(D.1 参照)。

磁界レベルが安定していれば,単軸の測定器を用いて,(3)式又は(4)式を用いて合成磁界を算出しても

よい。この場合,直交する 3 つの軸方向にプローブを向けることができるような,非導電性材料でできた

ジグを用いれば測定がはかどる。

プローブ又はセンサの寸法は,測定する磁界の空間的な変化に対して適切でなければならない。センサ

の面積は 0.01m

2

以下であるとよい(5.1.7 及び B.1.1 参照)

測定器の通過帯域は,測定する磁界の周波数成分に対して適切でなければならない。測定器の通過帯域


16 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

が,指示値に対し強く影響を与えるような磁界の場合(すなわち,複数の周波数の磁界がある場合)

,結果

とともに通過帯域を記録し報告することが望ましい。

磁界が電力設備から発生する場合,周波数としては,通常基本周波数(50Hz 又は 60Hz)に加えて,幾つ

かの低次の高調波がある。このような磁界を測定するためには,通過帯域は最低でも基本周波数から 500Hz

までとすることが望ましい。狭帯域の通過帯域は,測定結果に対して高調波成分が十分に小さいことが示

された場合にだけ用いてもよい。

例えば,

電力線近傍又は狭帯域で測定する特別な理由がある場合である。

備考  CENELEC のプレ規格 ENV 50166-1 [5]に従って評価する場合,全体の通過帯域のうち特定の狭い

通過帯域に対して磁界を測定することが必要である。

電磁界を放射する携帯形の機器(例えば携帯電話)は,磁界測定を行う間,スイッチを切るか,使用し

ないことが望ましい。

電力設備以外から発生する磁界を測定する場合,通過帯域を適切に選択する必要がある。大量輸送シス

テムの発生する磁界には,より低い基本周波数をもつものがあり,一方,誘導加熱器,画面表示装置,旅

客機,船舶及び可変速モータによる高調波は,より高い周波数の磁界を発生する。通過帯域を低周波へ拡

張する場合,静磁界中におけるコイルプローブの振動による誤差を避けるよう注意しなければならない。

この誤差は一般に,コイルを固定することにより避けられる(B.1.5 参照)。

5.5.2 

人体ばく露量の測定  ほぼ一様な磁界中での測定は,その測定時刻にその測定位置にある人体全体

の磁界ばく露に相当することを認識することが望ましい。不平等な磁界における磁界測定については,人

体ばく露を定義する場合,より制限された解釈を要する。すなわち,磁界測定は人体のうち,測定位置に

ある一部分だけのばく露に相当する。測定位置の選択は,磁界発生源及び人体の相対位置に依存してある

程度変えられる。例えば,電気かみそり,ヘアドライヤ,ミシン,溶接機の違いを考えてみればわかる。

磁界への人体ばく露を評価するための測定プロトコルを開発する過程の一部として,測定の目的及びこ

れを達成するための方法を明確にすることが望ましい。測定器及び校正に必要な事項(例えば,測定器の

通過帯域,強度レンジ,周波数校正点)を決定するために,目的を明確に定義することが必要とされる。

測定プロトコルには,どの磁界パラメータを,どこで,どのように測定するかを明示することが望ましい。

一般に,単一の測定プロトコルを,すべての測定の状況に対して適用することはできないことに十分注意

したい。磁界を特徴づけるための目的と方法については,D.3 で更に議論する。CENELEC プレ規格 ENV 

50166-1  [5]に従い,変電所における人体の磁束密度ばく露を考慮した磁界測定プロトコルの例を,D.4 に

示す。

6.  交流電界の測定   
6.1

測定器の仕様  準静的な電界の特徴を把握するための種々の測定器を E.1 に示す。この規格に従っ

た測定,測定器の適切な操作方法,及び測定器適用の可否の判断が使用者にできるよう,測定器の仕様及

び明確に書かれた取扱説明書を含む十分な情報が提供されなければならない。複雑な操作手順は避けるこ

とが望ましい。提供すること及び/又は満たされることが望ましい測定器の仕様を次に示す。

備考  測定しようとする条件において,この規格に従った測定器を用いて得られる結果と大きく違わ

ない結果が得られることが実証できれば,次に述べる仕様を満足しない測定器を用いてもよい。

例えば,電界の高調波成分が無視できることが示された場合,及び電界の基本周波数に対する

校正がなされた場合には,積分回路の有無にかかわらず整流平均値検波方式による測定器を用

いてもよい。


17

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

6.1.1 

測定器の不確かさ  交流電界の測定システムは,必要であれば補正係数を乗じた後,一様電界の実

効値を±(指示値の 10% + 2V/m)未満の不確かさで示すことが望ましい。

備考1.  測定器の不確かさは,校正における不確かさ,電子回路の温度ドリフト,安定性,及び外部

雑音源のような種々の要因に依存する。ここでの不確かさは,ほぼ一様な電界中における電

界測定器の設計及び機能に関連した不確かさである。

“10%”の部分は,測定器の周波数範囲

(通過帯域)における校正の際に生じる不確かさに関連するものであり,電界値の不確かさ

及び校正過程において加わる不確かさを含んでいる

(6.2 参照)

補償係数は 2 である。

“2V/m”

の部分は,最も感度の高いレンジの校正時及び 10V/m オーダーの電界の測定時において予想

される測定器の不確かさを表す。

2.  1V/m から 5V/m の間の電界に対しては,適切な補正係数が適用された後,不確かさは±40%以

下(補償係数は 2)であることが望ましい。

3.  測定の不確かさのこの他の要因及び不確かさの取り扱いについてのガイドラインは,それぞ

れ B.2 及び 6.3 に記す。

6.1.2 

強度レンジ  測定器が許容された不確かさで動作する強度範囲を明記しなければならない。

6.1.3 

通過帯域  さまざまな周波数を含む電界中において測定器を用いるときに,電界レベルの決定に際

して最大の不確かさを使用者が評価できるよう,測定器の校正結果又は仕様を提供しなければならない。

使用範囲外の周波数に対する測定器の感度の情報も含んでいることが望ましい。測定器の周波数応答にお

いては,測定器の不確かさ(6.1.1 参照)の要求が,測定器の使用周波数範囲全体にわたって満たされなけ

ればならない。

6.1.4 

動作温度及び湿度の保証範囲  定められた不確かさの範囲内で測定器が動作する温度及び相対湿

度の範囲は,それぞれ 0℃∼45℃及び 5%∼95%にあることが望ましい。測定器内部及び/又は絶縁棒表面の

結露を招くような急激な温度変化は避けることが望ましい(B.2 参照)

6.1.5 

電源  電池を用いる場合,電池の状態が電界測定器の正しい動作に適しているかどうかを表示する

ことが望ましい。簡易式測定器の場合,電池を交換又は充電することなく,定められた不確かさの範囲内

で少なくとも 8 時間は動作することが望ましい。充電可能な電池を用いる場合(電気光学式電界測定器,

検波回路と光学的に結合された浮遊電位形電界測定器,接地式電界測定器)

,主電源に接続されている間,

測定器は動作させないことを推奨する。この接続が必要な条件下では,主電源からの伝導妨害及び(充電

器への)結線を通じた電磁結合が,電界測定に影響しないことを実証することが望ましい(5.1.8 参照)

浮遊電位形電界測定器については,一切の結線がないことが望ましい。

6.1.6 

指示値の視認性  浮遊電位形電界測定器の文字盤の目盛又はディジタル表示は,測定者の接近によ

る電界の顕著なひずみが起きない程度に十分離れた位置においても,十分に読み取れるくらいの大きさで

あることが望ましい(B.2 参照)

。遠隔表示部をもつ浮遊電位形電界測定器(E.2.1 参照)は遠くから値を

読み取ることの困難さを解決するものである。複数の感度レンジがある場合,選択されたレンジのフルス

ケール値が示され,単位が直ちにわかることが望ましい。自動レンジ切り替えの測定器については,強度

レンジは,例えば取扱説明書に書いてあればよい。測定器には単位を明示することが望ましい。

6.1.7 

測定器の寸法  電界測定器の寸法の定義は,電界測定器の形式に従って次のように与えられる。

a) 浮遊電位形電界測定器:プローブの寸法及び絶縁棒の長さ

b) 接地式電界測定器:プローブ及び検波回路の寸法,並びにこれらを接続する同軸ケーブルの長さ

c) 電気光学式電界測定器:プローブ及び検波回路の寸法,並びに光ファイバ接続部の長さ

6.1.8 

電磁両立性


18 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

商用周波磁界

商用周波数で動作する高電圧機器の近傍で用いる電界測定器は,1mT までの周辺磁界によって重大な影

響を受けないこと,すなわち電界測定器の指示値に及ぼす磁界の影響は 1V/m 未満であることが望ましい。

測定器は,JIS C 61000-4-8 の方法に従い,試験を行うことが望ましい。

備考  商用周波磁界に対するイミュニティ試験は A.1 に記したコイルシステムを用いて行ってもよい。

他のイミュニティ及びエミッションの要求については,5.1.8 参照。

6.1.9 

耐久性  測定器及び他のシステム要素は,輸送時の振動及び衝撃に対して十分に耐えられることが

望ましい。キャリングケースがあることが望ましい。

6.1.10  質量  測定器の質量が明記されていることが望ましい。浮遊電位形電界測定器の質量は,2m まで

の長さの絶縁棒で直接支持できるように,できるだけ軽いことが望ましい。

6.2 

校正

6.2.1 

一般事項  測定システムは,その耐久年限までの間,校正を行い,その妥当性を確認しなければな

らない。この規格で示す校正試験は,形式試験及び受入試験である。形式試験は,一般に製造者が 1 台以

上の測定器に対して行う。受入試験は,一般に測定器のそれぞれについて製造者が一度だけ行うものであ

る。受入試験は,測定器の大きな改造又は修理を行った場合,再度行う必要がある。検証試験は,測定器

の使用期間においてある間隔をおいて行うものである(6.2.4 参照)

。すべての校正は,不確かさを明確に

して定期的に実施し,その期間にわたって国内規格又は国際規格に対してトレーサビリティが保たれてい

ることが望ましい。

6.2.2 

校正手順  校正は形式試験,受入試験(6.2.1 参照)及び定期的な検証試験(6.2.4 参照)の一部

として行われる。この節の校正手順は,妥当なものとして,すべての場合に適用されることが望ましい。

校正においては,電界測定器のプローブは,測定器の形式によって A.2 に記述したような平行平板により

発生されるほぼ一様な電界中に置くことが望ましい。一様電界,すなわち無限長平行平板により発生され

る電界に対する,平行平板の中央における電界値の差は,1%未満であることが望ましい(A.2 参照)

。平行

平板の間隔は,測定器のプローブを平板間に置いたときに,近接効果を避けるのに十分に大きいことが望

ましい(A.2 参照)

。例えば,対角長さが 0.23m 以下の浮遊電位形電界測定器の場合,1.5m×1.5m の平板

を 0.75m の間隔で配置した平行平板の中心において校正すればよい。電界測定器を平板間に設置するため

に,通常,測定時には絶縁棒を使用することが望ましい。平行平板の寸法は,浮遊電位形電界測定器の大

小に応じて変えればよい。

備考  電界発生には,同じ空間体積内に同等の一様性をもつ電界を生じさせる他の方法も許容される。

単軸の電界測定器及び 3 軸の電界測定器の各軸の校正は,測定器の仕様に示された強度及び周波数の正

弦波電界により行うことが望ましい。

平行平板システム中の電界強度は±3%未満の不確かさ(補償係数 1)でわかることが望ましい。電界強

度は,平行平板間隔及び電圧の測定値に基づき計算で求めるか(A.2 参照)

,測定の不確かさが十分に小さ

い,校正された参照電界測定器を用いて直接測定により求めてもよい。

校正の不確かさは,校正システムにおける電界強度の不確かさ(±3%)

,試験対象の測定器の指示値の分

解能,及び校正システム中に試験対象の電界測定器を繰り返し出し入れしたときの指示値の変動などの要

素によって決定する。校正作業における全体の不確かさ(補正係数 1)は,±(5% + 1V/m)以下となるこ

とが望ましい。測定器の不確かさを特定する用途の場合,補正係数は 2 を用いることが望ましい。すなわ

ちこの場合,測定器の不確かさは±(10% + 2V/m)以下となる。校正は国内規格及び/又は国際規格に対


19

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

し,トレーサビリティが保たれていることが望ましい。すべての不確かさの取り扱いについてのガイドラ

イン及び不確かさの要因のリストを 6.3 及び B.2 にそれぞれ示す。

アナログ表示の測定器に対しては,測定器の各強度レンジにおいて,フルスケールの 30%から 90%の範囲

において少なくとも 3 つの電界強度レベルを記録することが望ましい。ディジタル表示の測定器に対して

は,

フルスケールの 10%から 90%の範囲において少なくとも 4 つの電界強度レベルを記録することが望まし

い。自動レンジ切り替えの測定器に対しては,各レンジにつき,レンジのほぼ全体にわたる 3 つ以上の代

表点において校正を行うことが望ましい。最も感度の高いレンジにおいては,校正点のうちの 1 点はその

レンジの最大値の 10%付近とするとよい。最も感度の低いレンジにおいては,校正点のうちの 1 点はその

レンジの最大値の 90%付近とするとよい。プローブ軸の回転が垂直方向の±10°以内のときに,最大の電

界測定値となることが望ましい(浮遊電位形及び電気光学式の測定器の場合。図 A.7 参照)

。指示値が上記

の基準を満たさない測定器は,

不正確と見なすことが望ましい。

少なくとも 1 つの電界レベルにおいては,

通過帯域の全体の中の 3 つの周波数において校正を行うことが望ましい。すなわち,通過帯域の最高及び

最低の周波数と,1 つの中間周波数において校正を行うとよい。

平行平板への課電用電源は,高調波成分をほとんど含まない(2%以下)電圧が出力可能であることが望

ましい。これが不可能な場合,高調波成分を記録し,高調波成分による校正結果への影響が無視できる大

きさであることを示すとよい。

6.2.3 

試験成績書  電界測定器の製造者は試験結果を文書化し,測定器の仕様に関するデータ(6.1.1∼

6.1.10 参照)に加えて,次の情報を提供することが望ましい。

−  試験装置

−  依頼者

−  測定器モデル及びシリアルナンバー

−  固有の試験報告書番号

−  試験日

−  試験報告の技術的責任者

測定器の製造者は,少なくとも次の情報を含めた校正手順を文書化することが望ましい。

−  平行平板の寸法

−  平行平板の電圧を測定するための測定器,測定器の不確かさ,最新の校正検査日

−  参照測定システムの不確かさ,プローブの寸法,通過帯域,最新の校正検査日

これらの情報は,依頼者からの要求に応じて提供できることが望ましい。訴訟が予想される状況におい

て測定器が使用される場合,測定器の校正は,別の独立した機関により,適切な振幅範囲及び周波数範囲

において検証されることが望ましい。

試験を行う実験室は,可能な限り上記の要求に従うことが望ましい。校正装置の操作には,ISO Guide 25

[31]に適合する品質システムを使うことが望ましい。

6.2.4 

検証試験  可能であれば,測定器の使用者は,既知の電界を用いて電界測定器の校正を行ったとき

又はその直後に,電流又は電圧注入方法(A.2 参照)を用いて電界測定器の応答を試験することが望まし

い。この試験により,平行平板が利用できない場合でも,電流又は電圧注入方法を校正の定期的な検証の

手段として用いることが可能になる。

測定器の使用者が行う校正の検証は,受入試験ほどは徹底的にやる必要はない。例えば,測定対象に対

して意味のある周波数において,電界測定器の各レンジの 1 点又は 2 点を確認すれば,倍率の検証には十

分である。


20 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

備考  試験を行う 1 点は,フルスケールの対象レンジの上半分の範囲に設定することを推奨する。

検証試験の結果は文書化し,容易に入手できることが望ましい。文書には,試験日及び試験者を明記す

ることが望ましい。

使用が想定される強度レンジの校正の検証は,決められた期間ごとに行うことが望ましい。初期の間隔

としては 12 カ月が目安である。この間隔は,検証を行うごとにどれだけ測定器の指示値がずれたかによっ

て変更すればよい。検証は,測定が数日から 1 週間にわたって行われる場合など,測定器を長期にわたり

使用する場合の前後にも行うことが望ましい。この作業は,計画上の理由により,測定後に測定位置へ戻

ることが困難な場合など特に重要である。

6.3

測定の不確かさ  さまざまな測定環境における,電界強度の実効値測定に関連する,全体の不確か

さを決めるために,不確かさのさまざまな要因を適切に評価することが望ましい。考えられる不確かさの

要因は,6.2 及び B.2 において記述している。不確かさの多くの要因は無視できる大きさにできるか,電

界測定器の種類によっては,特定の測定の状況では考慮しなくてもよい。高調波を含む電界の通過帯域及

び測定,並びに背景電界レベルの近くでの測定を考慮した 5.3 における議論は,ここでも適用できる。

既知の補正係数(A.2 参照)を電界測定器の指示値に乗じることが望ましい。これができない場合,補

正係数の影響を,測定の不確かさに加えて扱うことが望ましい。

不確かさの評価は,ISO/TAG4/WG3 で定めた文書(ISBN 92-67-01075-1)に従って行うことが望ましい。こ

れによれば,測定に影響を及ぼす各量に関係する標準偏差は,事前に実施した測定又は経験に基づき決め

なければならない。合成標準偏差は分散の和の平方根(つまり,標準偏差の 2 乗の和の平方根)として求

めなければならない。拡張された(全体の)不確かさは合成標準偏差の k 倍とする。ここに k は補償係数

である。ガウス分布に対しては,補償係数は 2 とし,これはおおよそ 95%信頼区間に対応する。

6.4

測定結果の記録と報告  測定結果の記録及び報告時に必要な情報は,測定の目的により異なる。測

定の目的は,初めに明確にしておくことが望ましい。測定器及び測定に関する次の情報も,すべての場合

について提供されることが望ましい。

−  製造者

−  測定器モデル

−  測定日

−  測定時刻

−  全体の測定の不確かさ

−  報告される電界の量。例えば,最大電界,合成電界,垂直電界成分,重み付け時間平均(TWA)

,実効

値などで,SI 単位系を用いることが望ましい。

−  プローブ寸法及び幾何学的寸法

−  最新の校正及び検証試験の日付

必要であれば,次に示す情報も提供されることが望ましい,

−  人体へのばく露データを表す場合,行動の記録

−  測定器の通過帯域

−  測定を行ったエリア及び位置を表す図

−  統計に関する情報。例えば,最大及び最小値,中央値,幾何平均値など。

−  複数の周波数を含む電界について,スペクトルの周波数分解能


21

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

−  測定位置,発生源の特定,気象条件

−  測定者

6.5

測定手順

6.5.1 

一般事項  ひずみのない電界の測定には,電界の強度及び方向を示す測定器を使用しなければなら

ない。例えば,単軸の浮遊電位形電界測定器,電界の方向を示すことができる 3 軸の浮遊電位形電界測定

器,電気光学式電界測定器及び接地式電界測定器(E.1 参照)である。プローブやセンサ部の寸法は,電

界の空間変動及び近傍の導電性平板への近接に対して適切でなければならない(B.2.8 及び B.2.3 参照)

測定器の通過帯域は,測定する電界の周波数成分に対して適切でなければならない。測定器の通過帯域

が,指示値に対し強く影響を与えるような電界の場合(つまり,複数の周波数の電界がある場合)

,結果と

ともに通過帯域を記録し報告することが望ましい。

電界が電力設備,すなわち電力線,変圧器などから発生する場合,支配的な周波数は商用周波数 50Hz

又は 60Hz である。商用周波数付近を中心とする狭帯域の通過帯域をもつ測定器は,このような場合の電界

の実効値を測定するのに適切である。

他の発生源,例えば旅客機,船舶及び幾つかの電気鉄道から発生する電界を測定するときには,基本周

波数が 50Hz/60Hz とは大きく異なるため,通過帯域を適切に選択する必要がある。

電磁界を放射する携帯形の機器(例えば携帯電話)は,電界測定を行う間,スイッチを切るか,使用し

ないことが望ましい。

電界測定時には,測定者の近接効果のみならず,

電界プローブの近傍にある物体の近接効果に対しても,

格別の注意を払うことが望ましい。電界の大きなひずみは,測定に許容できない誤差を生じさせかねない

(B.2 参照)

6.5.2 

人体ばく露量の測定  ほぼ一様な電界中での測定は,その測定時刻にその測定位置にある人体全体

の電界ばく露に相当することを認識することが望ましい。不平等電界における電界測定では,人体ばく露

を定義する場合,より制限された解釈を要する。すなわち,電界測定は人体のうち,測定位置にある一部

分だけのばく露に相当する。測定位置の選択は,電界発生源及び人体の相対位置に依存してある程度変え

られる。例えば,電力線,ヘアドライヤ,ミシン,溶接機の違いを考えてみればわかる。

磁界の場合と異なり,電界は人体によりひずむ。ばく露の限度値がひずみのない電界により表わされて

いること,及びその他の理由(E.3 参照)により,この規格では,ひずみのない電界の特性を記述するこ

とに焦点を当てる。

人体の電界へのばく露を求めるための測定プロトコルを開発する過程の一部として,測定の目的及びこ

れを達成するための方法を明確にすることが望ましい。測定器及び校正に必要な事項(例えば,測定器の

通過帯域,強度範囲,周波数校正点)を決定するために,目的を明確に定義することが必要である。測定

プロトコルには,どの電界パラメータを,どこで,どのように測定するかを明示することが望ましい。一

般に,単一の測定プロトコルを,すべての測定の状況に対して適用することはできないことに十分注意し

たい。電界を特徴づけるための目的及び方法については,E.3 で更に記載する。CENELEC プレ規格 ENV 

50166-1 [5]に従い,変電所における人体の電界ばく露を考慮した電界測定プロトコルの例を,E.4 に示す。


22 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

附属書 A(規定)校正方法

A.1  磁界測定器の校正  磁界測定器の校正は通常,大きさ及び方向が既知のほぼ一様な磁界中にプロー

ブを配置することにより行う。既知の磁界は,円形及び方形のコイルシステムにより発生する[3],[17],

[35],[53],[56],[69]。例えば,ヘルムホルツコイルがこのような磁界発生によく用いられる。正方形

及び円形の単一コイル並びに,正方形及び円形のヘルムホルツコイルにより発生される磁界の一様性の比

較を図 A.1 に示す[17]。図 A.1 は,各コイルシステムの軸からの規格化した距離の関数として,軸におけ

る磁界からのずれを百分率で表したものである。ここに,距離はカルテシアン直交座標系におけるもので

ある(単一正方形ループについては図 A.2 参照)

。距離は円形コイルの半径又は正方形コイルの半辺長に対

する百分率値として与えられる。

空間のすべての位置における磁界計算の方程式を解析的に解くことができ[36],[69],製作も簡単であ

ることから,磁界発生に用いる多重巻線の方形の単一コイルについて,次に述べる。このコイルシステム

では,構造の簡易さにより磁界の一様性が減少するが,校正の目的のためには十分な一様性を容易に得る

ことができる。

各辺

b

2

2

×

の方形ループが,空間の点 P(x,y,z)に作る磁束密度の z 成分は,次式で与えられる[36],

[69]。

( )

( )

[

]

(

)

å

=

+

ú

û

ù

ê

ë

é

+

+

=

4

1

1

0

1

1

4

α

α

α

α

α

α

α

α

α

α

α

π

µ

d

r

r

C

C

r

r

d

IN

B

z

・・・・・・・・・・(7)

ここに,

N

は巻数,

x

a

C

C

+

=

=

4

1

x

a

C

C

=

=

3

2

b

y

d

d

+

=

=

2

1

b

y

d

d

=

=

4

3

(

) (

)

[

]

2

1

2

2

2

1

z

y

b

x

a

r

+

+

+

+

=

(

) (

)

[

]

2

1

2

2

2

2

z

y

b

x

a

r

+

+

+

=

(

) (

)

[

]

2

1

2

2

2

3

z

y

b

x

a

r

+

+

=

(

) (

)

[

]

2

1

2

2

2

4

z

y

b

x

a

r

+

+

+

=

I

は電流の実効値(アンペア)

0

µ

は空気の透磁率,

z

y

x

,

,

は図 A.2 に示す座標

である。


23

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

式(7)の導出においては,電流ループの導体の断面積が無視できることを仮定している。参考のために,

辺長

a

2

の正方形ループの中心における値を記述すると,次のとおりである。

a

IN

B

z

π

µ

2

0

=

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(8)

(7)式を用いて,1m×1m の正方形ループの中心及び中心付近における磁界の値を計算した。中心近傍で

のループ平面及びループ面から上下に 0.03m 離れた平面(括弧付き図中に記述)における磁界を,中心の

磁界強度との差の百分率で表したものを,図 A.3 に示す。図 A.3 には,直径 0.10m のプローブの寸法も示

す。直径 0.10m のプローブ面全体にわたり,中心における磁界の値からのずれは 1%未満である。図 A.4 は,

プローブ,正方形校正ループ及びコイルを駆動する関連回路の概略である。

備考  校正磁界値の不確かさ(補償係数 1)は,

z

B

の計算に関連する不確かさにより決められる。例え

ば,1m×1m の正方形ループの場合(図 A.3 及び図 A.4 参照)

,その不確かさは,電流 I の測定,

ループの辺長,及び磁界の不平等性(直径 0.10m のプローブの場合, 0.5%未満)による不確か

さに依存する。正方形ループの辺長の不確かさは,導体群の断面積が無視できない大きさであ

ることに起因する。辺長は導体群の中心間の距離として解釈する。この場合,不確かさは±(導

体群の“直径”

(図 A.4 参照)に等しい。磁束密度値の合成された不確かさは,平方和の平方

根によって与えられる。例えば電流 I 及び辺長の決定時の不確かさがそれぞれ±0.2%及び±

1.0%である場合,直径 0.10m のプローブに対する校正用磁界値の合成された不確かさは±

[(0.2)

2

+(1.0)

2

+(0.5)

2

]

1/2

すなわち±1.1%である(補償係数 1)

コイルプローブを内蔵する磁界測定器においては,プローブの断面積全体の平均の磁界値を示すことを

理解することが重要である。この平均値とプローブの中心値[(8)式参照]との値の差は,プローブ面のある

点と中心値との差の最大値よりも小さい。例えば,0.10m のプローブの場合(ループ平面において)

,磁界

の中心値との最大の差は 0.63%であり,平均磁界は中心での(校正磁界の)値よりわずかに 0.31%大きいに

とどまる。

ヘルムホルツコイルを用いると,同一の辺長又は直径の場合,正方形ヘルムホルツコイルが円形ヘルム

ホルツコイルよりも,より大きな領域において一様性の高い磁界を得ることができる(図 A.1 参照)

。2 つ

の正方形コイルが発生する磁界を求める式は,式(7)及び重ね合せの理を用いて求められる[50]。正方形ヘ

ルムホルツコイルの必要条件は,コイル間隔が

a

2

5445

.

0

×

に等しいことである。ここに,

a

2

はコイル

システムの辺長である[16]。

ループへ通電する電流の周波数を変えることにより,必要な周波数範囲における磁界測定器の周波数応

答を求めることができる。積分回路をもつ検波回路については,空心プローブの磁界測定器は,周波数が

変化してもほぼ一定の実効値を指示することが望ましい(A.1 の最後の段落,校正コイルの共振周波数の

影響についての議論を参照)

。透磁率の周波数に対する変化が無視できる場合でも,同様の結果が軟質強磁

性材料の磁心をもつコイルプローブに対して得られることが望ましい。

備考  整流平均値(実効値)検波及び真の実効値検波の両方について,平たんな周波数応答をもつと

しても,基本波及び 1 つ以上の高調波を含むような複雑な磁界波形に対する整流平均値(実効

値)検波の応答には,誤差がなお含まれる。

より大きな磁界(すなわち 10µT を超える磁界)に対する測定器のレンジの校正は,通常,コイルシス

テムの発生する磁界を用いて行われる。これは,背景磁界はふつう 0.1µT 以下であり,校正磁界には大き

な影響を与えないためである。しかし,より感度の高いレンジにおいては,校正磁界をひずませる作用に

より,背景磁界の存在は校正の妨げとなる。感度の高いレンジにおける校正の代替手法は,電圧注入方法


24 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

[18]を用いる手法である。

電圧注入方法は磁界測定器の非常に高いレンジ,例えば,コイルシステムで発生させるのは技術的に困

難な 10mT より大きいレンジの校正においても有用である。

備考  測定器の設計による制限のため,電圧注入校正方法は磁界測定器の設計時(形式試験)又は製

作段階(受入試験)においてだけ適用可能である。

この手順により,検波回路の入力に接続された電圧計と背景磁界よりも少なくとも 2 けた大きい磁界を

用いて,

(検波回路に接続された)コイルプローブが発生するボルト/テスラ比を,対象とする各周波数に

対して定めることができる。より感度の高い磁界測定器のレンジを校正するために,小さい磁束密度に対

応する電圧を検波回路に注入する(プローブは接続しない状態)

。検波回路に接続された分圧比が既知の分

圧器,交流電圧源(すなわち信号発生器)

,正確な電圧測定器,並びに適切な電界シールドが,対象とする

周波数範囲に対する既知の電圧を注入するために用いられる[18]。校正を行うために,分圧比の周波数依

存性は既知のものを使用することが望ましい。

図 A.5 は検波回路に接続された電圧注入回路の概略である。

電圧注入方法は,強磁性磁心をもつプローブには適用しないほうがよい。磁心の透磁率が磁界強度によ

って変化し,プローブ感度(ボルト/テスラ比)に影響を与えるからである。電圧注入方法は,磁界測定

器のすべてのレンジの校正を検証する手段としても使用されることに注意するとよい。

測定器を校正する 3 つめの方法は,あらかじめ既知の磁界によるか,又は電圧注入方法によって校正さ

れた参照磁界測定器の指示値との比較を行うことである。この方法を採用する場合,単軸及び 3 軸測定器

の各軸での測定値を,

(コイルシステムにより発生する)

同じ磁界中に置かれた参照磁界測定器の指示値と

の比較する。この場合,次の仮定を満足することが必要となる。(1) 校正対象の測定器のセンサ部の寸法

と参照磁界測定器のセンサ部の寸法は同等程度であること,又は両者のセンサの(センサ断面の全体にわ

たる)平均化効果に顕著な差が現れないくらい十分な磁界一様性をもつこと,(2) 校正対象の測定器の通

過帯域が,参照磁界測定器の通過帯域と同等程度であること,(3) 背景磁界(通常,不安定である)が校

正磁界に対し顕著な影響を与えないこと,である。この比較は,対象とする磁界レベル及び周波数におい

て行う。

参照磁界測定器を,校正作業に用いるコイルシステムの校正の検証に用いてもよい。

備考  校正磁界値と磁界測定器の指示値の比較により,補正係数を定めることができ,これを測定時

の指示値に適用する。又は,この比較により,検波回路の補正のための調整をすることができ

る。いずれの場合においても,上記の校正手順に関連する不確かさは,

(一度補正がなされた後

の)校正磁界の値の不確かさと安定性及び磁界測定器の指示値の分解能に関連する不確かさと

を合成したものに等しくなる。

接地面近傍では,鏡像電流ループにより校正磁界がひずむことがある。例えば,正方形ループ平面が完

全接地面に対し平行な場合,ループ中心での磁界のひずみは,辺長又は辺長の 2 倍の距離の場合,それぞ

れ 2%及び 0.3%となる。このひずみは,ループ平面が接地面に対し直交する場合には減少する。例えば,正

方形ループについて,接地面からの距離が辺長分の場合,ひずみは 0.3%となる。校正磁界のひずみは正方

形ヘルムホルツコイルの方が少ない[17]。

校正磁界のひずみは,強磁性材料が校正ループの近傍に存在することによっても生じる。例えば,キャ

ビネット,机又はテーブルの下の腕金などに使われているスチールのように透磁率の大きな物体がある場

合には,磁束が集中し,校正ループ内の磁界をひずませることがある。校正磁界に対する近傍の強磁性材

料の影響を,試行錯誤により調査することが望ましい。例えば,近傍のリレーラックの磁界への影響を,

校正コイルとの間の距離の関数として調べることである。


25

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

校正は,コイルシステムの共振周波数から十分に離れた周波数で行うことが望ましい。コイルの導体間

の漂遊容量があるため,コイルシステムの等価回路をインダクタンスとキャパシタンスの並列回路として

大まかにモデル化することが可能である。共振周波数又はその近くの周波数では,コイルへの大きな電流

が漂遊容量を通して短絡され,磁界の発生に寄与しなくなる。コイルシステムの共振周波数を見つける一

つの方法は,コイルに流す電流を一定とし,コイルに発生する電圧を周波数の関数として測定することで

ある。共振周波数から十分に離れた周波数では,電圧は周波数に比例して増える。共振周波数近傍では,

コイルシステムのインピーダンスが非線形となり電圧が急増する。

A.2  電界強度測定器の校正  平行平板を用いることにより,校正のためのほぼ一様な電界を発生するこ

とができる。このとき,平板の寸法は平板間の間隔よりも十分に大きい必要がある[3],[27],[65]。端部

の効果を無視すれば,一様電界値 E

0

は V/d で与えられ,ここに V は平板間に与えられる電位差であり,d

は平板間の間隔である。平行平板の寸法を決めるための情報として,一様電界により規格化された平板表

面及び平板間の中間における電界強度 E の計算値(E/E

0

)を,平板端からの規格化された距離(x/d)の

関数として図 A.6 に示す。数値については,表 A.1 に示す。

端部電界に起因する一様電界からの値のずれは,端部から平行平板間隔に相当する距離において,0.1%

まで減少することが表 A.1 より明らかである。有限の大きさの正方形平板に対しては,ひとつの端部の効

果が 0.1%以下であるとき,4 つの端部の効果を重ね合わせの理によって推定することができる。有限の大

きさの平行平板間の電界の数値計算によると,0.04%のずれがある  [65](参考  [65]によると,0.31%のず

れがあると報告されている)

。これらの結果は,接地面近傍でのひずみがない場合に有効である。計算及び

測定[36],[65]は,センタータップ変圧器を介して平行平板へ電圧を印加することで,近傍の接地面に起

因するひずみに対するイミュニティがより有利な電界を得られることを示す。

対角長さが 0.23m 未満の浮遊電位形電界測定器の校正に対して適切であることが証明されている平行平

板システムを,図 A.7 に示す[22],[27]。1.5m×1.5m の金属板又はフレームに固定し強く引き伸ばした金

属製シートによって,間隔 0.75m の平行平板を構成する。信号発生器,電力増幅器,変圧器を組合せてこ

れらの平板に電圧を印加し,安全策として変圧器の出力端子に適切な限流抵抗をつける[57]。例えば,適

切な定格電圧の 10MΩ以上の抵抗は,10kV(すなわち E

≈13kV/m)まで十分な限流ができる。高電圧作業を

行う場合,通常の高電圧実験室の安全指針が遵守されることが望ましい。1%以内の一様性をもつ校正電界

V/d が,先に述べた平行平板システムの中心に発生する(V 及び d の不確かさはその 1%と合成されるのが

望ましい)

。浮遊電位形電界測定器は,測定において通常使用される絶縁性の支持棒によって,平行平板シ

ステムの中央に設置する。

電界測定器を設置することによる平行平板上の表面電荷分布の顕著なひずみを避けるため,電界測定器

の最大対角長さは 0.23m を超えないことが望ましい[44]。さらに,平行平板から最も近い接地面(壁,床

など)までの距離は 0.5m 以上とすることが望ましい。平行平板システムの寸法は,電界測定器の寸法によ

って,適切に変えるとよい。

備考  平行平板の端部でコロナが発生するような場合,表面電界強度を低減するために平板の端部に

沿って金属性の管を取り付ければ,コロナをなくすことができる。

平行平板に印加する電圧の周波数を変化させることにより,電界測定器の周波数応答を求めることがで

きる。

電気光学式電界測定器も,平行平板システムを用いて校正する。電気光学式プローブが小さい場合,平

行平板システムの寸法を小さくしてもよい。


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C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

接地式電界測定器の校正については,図 A.7 の平行平板の底部の平板を接地電位として平形プローブの

支持に使用するよう配置を変更する。プローブと上部平板との間隔が増加するため,プローブ設置による

上部平板における表面電荷分布のひずみは,

(浮遊電位形電界測定器の平板間の中央と比較して)

大きく減

少する。

ひずみが減少することにより,先に示した平行平板間の間隔(0.75m)を狭くすることができ,ほぼ一様

電界となる領域を増加させることができる(図 A.6 及び表 A.1 参照)

。平行平板の間隔はプローブの辺長の

1.5 倍を超えないことが望ましい。また,プローブの端部から底部平板のどの端部までの距離も,2 つの平

板の間隔より大きいことが望ましい。平行平板から最も近い接地面(壁,床など)までの距離は 2 つの平

板間の間隔よりも大きいことが望ましい。ガードバンドは,少なくとも平板の辺長の 6%より幅広であるの

が望ましい。またプローブの厚さは,その辺長の 3.5%未満であることが望ましい。こうした制限事項を満

足することにより,校正電界は 0.5%以内の一様電界 V/d となる(V 及び d の不確かさを 0.5%に合成するこ

とが望ましい)[43]。

備考  校正電界の数値と電界測定器の指示値の比較により,補正係数を定めることができ,これを測

定時の指示値に適用する。又は,この比較により,検波回路の補正のための調整を行うことも

できる。いずれの場合においても,上記の校正手順に関連する不確かさは,校正電界の値の不

確かさ(一度補正がなされた後)と安定性及び電界測定器の指示値の分解能に関連する不確か

さとを合成したものに等しくなる。

浮遊電位形及び接地式電界測定器は,電界への初期応答において,電流測定器とみなすことができる*。

それゆえ,電界測定器の誘導電流と電界の比 I/E が校正によって定められれば,たとえ平行平板が入手不

能な場合でも,電流注入方法を測定器校正を検証する手段として用いてもよい[36]。図 A.8 は,既知の電

流を浮遊電位形電界測定器のセンサ電極へ注入するのに用いる回路である。図 A.8 では,V は信号発生器

により発生される電圧,Z は電界測定器の入力インピーダンスよりも,少なくとも 2 けた大きい既知のイ

ンピーダンスである。Z にはキャパシタ又は抵抗を用いることができるが,抵抗の方がよい。電流注入方

法が異なる周波数に対して適用されたとき,

キャパシタのインピーダンスは変化するからである。

さらに,

電圧源に高調波を含む場合,抵抗を用いた方が誤差を小さくできる。注入電流は,オームの法則により計

算可能である。

さらに,検波回路に積分回路がある場合,電界測定器の指示値は電界の波形に相当する誘導電

荷に比例する。

図 A.8 に示すのと同様の回路を,接地式電界測定器への電流注入に用いることができる。この場合,電

圧源の接地側のインピーダンスが取り除かれ,残ったインピーダンス値は 2 倍となる。

近傍にある電灯又は電気機器のような電界発生源からの信号の混入を最小にするために電流注入方法を

用いる場合には,適切なシールドが必要となる。電流注入回路と電界測定器を接地された金属シートで覆

うことにより,背景磁界源からの信号の混入を無視できる大きさに減らすことができる。電流注入方法の

妥当性は,既知の電界中で電界測定器の校正が行われた直後に I/E 比を求めること及び,校正を行った後

には電界プローブに変更を加えないことを前提としている。

電気光学式電界測定器において,ポッケルス結晶に電気的な接続ができる場合には,いったん既知の電

界中で校正されていれば,測定器の校正を検証するために電圧注入方法が使用可能となる。ポッケルスタ

イプの電界測定器への電圧注入回路は,図 A.8(参考  原文では図 B.8 と記されているが,明らかに A.8

の誤り)とほぼ同様であるが,インピーダンスは切り離すことが望ましい。

 A.1  平板間の中央及び平板表面における規格化した電界の計算値


27

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

平板間の中央

x/d E/E

0

0.0698 0.837 
0.1621 0.894 
0.2965 0.949 
0.4177 0.975 
0.6821 0.995 
0.7934 0.997 
1.0000 0.999

平板表面

1.0000 1.001 
0.7954 1.002 
0.6861 1.005 
0.4376 1.025 
0.2431 1.095 
0.1624 1.183 
0.1230 1.265 
0.0991 1.342 
0.0829 1.414 
0.0452 1.732 
0.0307 2.000 
0.0185 2.449

 

 A.1  単一円形ループ,単一正方形ループ,円形ヘルムホルツコイル,及び正方形ヘルムホルツコイル

の,コイル中心からの規格化した距離の百分率に対する,軸方向磁界の計算値とコイル中心での値との差

の百分率(Frix ら[17])


28 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

 A.2  座標の定義と多重巻線の方形ループの位置((7)式参照)

直径 0.1m のコイルプローブの大きさを描いてある。

 A.3  B

z

の計算値のコイル中心での値に対する差の百分率((8)式参照)


29

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

 A.4  既知の磁界を発生する正方形ループを用いた磁界測定器の校正用回路の概要

信号発生器からの電圧 V は,抵抗分圧器を用いて注入用に分圧される。抵抗分圧器の分圧比が周波数に依存しない

場合,注入電圧 v は Vr/(R+r)で与えられる。R 及び r は抵抗であり,通常 R≫r である。検波回路の入力インピーダン
スは,抵抗 R

D

で近似される。分圧比に大きな影響を与えるのを避けるため,r≪R

D

が満足されなければならない。

 A.5  電圧注入方法の概要


30 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

 A.6  d で規格化した平板端部からの距離に対する,平板間の中央及び平板表面における E

0

で規格化し

た電界の計算値

 A.7  浮遊電位形及びポッケルス形電界測定器の校正用平行平板システム


31

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

Z はキャパシタ又は抵抗を表すが,抵抗の方がよい(A.2 参照)。

 A.8  電流注入方法の概要図


32 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

附属書 B(規定)測定の不確かさの要因

B.1  磁束密度の測定不確かさ  磁界測定器の有効な校正を一度行うことにより,測定誤差の原因となる

メカニズムの多くを減らすことができる。コイルプローブと検波回路は適切な電気的シールド(例えば,

商用周波数及びラジオ周波数の電界に対して)をもつことが望ましい。しかし,測定者の近接効果は無視

できる。必要があれば考慮し,校正の不確かさに合成することが望ましい不確かさの要因を次に示す。

備考 B.1 及び B.2 の幾つかの場合においては,不確かさの定量的評価ができる(例えば,不平等磁

界の影響)が,他の幾つかの場合に対しては,不確かさの決定のために簡単な手引きが与えら

れる(例えば,温度による影響)

。他の不確かさの要因については,その影響の可能性について

の注意を示すにとどめる。

B.1.1  不平等磁界  最も大きな不確かさは,おそらく手動操作により,電気製品のような磁界発生源の近

傍において,非常に不平等な磁界の測定を行ったときに生じる。共通の中心を持たない 3 軸プローブ,例

えば磁界ばく露量計は,異なる位置での磁界を検出していることになる(B.1.2 参照)

。単軸プローブの方

向の不確かさ

(例えば,

最大磁界を測定するとき)

及び発生源とプローブとの間の距離の不確かさにより,

100%以上の測定結果の差を生じることがある[24]。さらに,磁界測定器プローブは,一般にほぼ一様な磁

界中で校正され,距離の 3 乗に反比例して変化する磁界を測定することになる(附属書 C 参照)

。通常,

プローブの中心が測定位置とみなされるが,実際には磁界の指示値は,プローブの断面全体の磁界の直交

成分の平均値である。平均磁界は中心磁界とは大きく異なる場合がある。また,プローブが非常に不平等

な磁界中で回転されると,指示値は余弦の法則からは大きくはずれる。余弦の法則からのずれは,単軸及

び 3 軸プローブによる磁界測定に影響を与えることがある。

磁界測定器プローブを,明確に定めた方向に,より正確に位置決めすることに関する不確かさは,非導

電性物質でできた調整可能なスタンドを用いることで低減される(B.1.10 参照)

。円形コイルプローブの

中心における磁界と平均磁束密度との関係は,磁界発生源との距離 r とプローブ半径 a の比の関数として

計算することができる。表 B.1 は,機器近傍の点における磁界と,単軸プローブを同位置において,最大

の指示値⊿B

max1

が得られるまで回転させることにより得られる平均磁界計算値との最大の差を,r/a の関

数として百分率値で示すものである[46]。

ダイポール磁界の配置は多くの電気製品又は機器の配置を模擬するため,よい近似を得るためにダイポ

ール磁界が計算時に仮定される[39]。ダイポール近似は磁界が距離の 3 乗に反比例することを仮定するも

ので,幾つかの機器の近傍では厳密に正しい値とはならないかもしれない。表 B.1 における負号は,測定

最大値がプローブ中心での磁界の強度よりも小さいことを意味する。

備考  一般に,測定時においては,磁気ダイポールの軸方向は未知である。それゆえ,[46]における

計算と結果においては,プローブ中心における磁界強度と最大の平均磁界との差の最大値が定

まるまでは,固定された r/a の比に対して,磁気ダイポールの異なる方向についても考慮して

いる。

3 軸プローブ(共通の中心をもつ)の中心での磁界値と 3 軸直交の円形コイルプローブの平均(実効値)

磁界値を“ベクトル的に”加算して得られた合成磁界との最大の差⊿B

max3

を,r/a の関数として表したも

のについても表 B.1 に示す[46]。任意の回転で計算される⊿B

max3

の値は,3 軸プローブの最大の差の値で

あり,磁気ダイポールの異なる方向に対する最大の差である[46]。

表 B.1 で与えられる情報は,

測定の不確かさのさまざまな要因を考えるときに考慮することが望ましい。


33

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

例えば,機器からの距離 r の位置における最大磁界を,r/a=5 であるような半径 a の単軸プローブによって

測定するとき,磁気ダイポールの方向は通常未知であるので,測定される最大磁界は最大 5.7%も低くなる

ことがある。この不確かさは測定値を補正するのには使用できないが,総合不確かさへの寄与の最悪ケー

スとして,校正,バンド幅など,他の要因と合成される。

磁気ダイポールの方向と 3 軸プローブの方向が,ほとんどの測定状況では未知であるので,3 軸の磁界

測定器に対して表 B.1 で与えられる情報は,指示値の補正には使用できない。よって,表 B.1 における⊿

B

max3

は,3 つのコイルプローブの平均化効果のために,r/a の関数として計算される最大の測定誤差と考

えられる。

⊿B

max3

の値は,測定の総合不確かさを定めるときに考慮しなければならない。例えば,機器からの距

離 r の位置で標準偏差 10%未満で合成磁界を測定するときには,r/a = 3 となる半径 a の 3 軸プローブをも

つ磁界測定器は不適当であると判断されることが望ましい。r/a = 5 となる半径をもつ 3 軸のプローブは,

他の要因と合計された標準偏差が 3%かそれ以下であれば,6.9 + 3.0=9.9 となり,前述の例より適切であ

ると判断される。ここに,6.9 は表 B.1 から r/a = 5 に対して得られる値である。平均化効果(補償係数 1

及び 2)による合成磁界の測定に関連する不確かさの見積りについても,参考文献[47]に記述されている。

 B.1  磁気ダイポールからの規格化した距離 r/a に対する⊿B

max1

(単軸プローブ)及び⊿B

max3

(3 軸プ

ローブ)の値

r/a

⊿Bmax1

%

⊿Bmax3

%

3 -14.6

-19.6

4 -8.7

-10.8

5 -5.7

-6.9

6 -4.0

-4.8

7 -3.0

-3.5

8 -2.3

-2.7

9 -1.8

-2.1

10 -1.5 -1.7 
11 -1.2 -1.4 
12 -1.0 -1.2 
13 -0.9 -1.0 
14 -0.8 -0.9 
15 -0.7 -0.8

 

B.1.2  センサの分離(軸プローブ)  それぞれのプローブが近接しているが位置の異なる 3 軸測定器は,

非常に不平等な磁界中ではある程度の誤差があるものと考えられる。さらに,感度を高めるためにコイル

プローブに強磁性磁心を使用する場合,3 軸直交プローブの配置において考慮が必要となるかもしれない。

各プローブが非常に近接している場合,強磁性磁心の近接により磁界及び各プローブにより検出される軸

方向磁界がひずむ。この強磁性磁心の近接効果を減らすために,各プローブを離して配置すれば,非常に

不平等な磁界中では,先に記述したようにある程度の誤差を生じることがある。


34 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

B.1.3  電池の近接  他の不確かさの要因は,検波回路を駆動する電源がコイルプローブの近傍に配置され

たときに生じるもので,小型化された磁界ばく露量計において生じる可能性がある。電池の金属外被は強

磁性であることが多く,プローブにより検出される磁界をひずませる可能性がある。例えば,磁界測定器

が,強磁性外被をもつ電池とともに校正された場合,後日,非磁性外被をもつ電池が使われた際には,こ

の校正は無効となる。

B.1.4  ノイズフロア  検波回路における電気的ノイズはノイズフロアを作る。ノイズフロアはより低いレ

ベルの磁界の正確な測定を妨げる。ノイズフロアは,磁界発生源から遠く離れたところ(オープンフィー

ルドの中央など)で測定を行うことにより評価してもよい。

B.1.5  通過帯域の制限  通過帯域を制限することにより測定の不確かさが生じ,測定結果に差異を生じさ

せることがある。例えば,60Hz の磁界測定器(すなわち,60Hz 中心の狭帯域の磁界測定器)を用いた画

面表示装置からの磁界測定では,広帯域の磁界測定器による測定と比較して 20%以上の差を生じさせるこ

とがある[25]。画面表示装置からの磁界は多くの高調波を含むが,60Hz の磁界測定器では検出されないた

めである。商用周波数成分を含まない磁界であれば,この差異又は誤差は更に大きいものとなる。

備考  電気鉄道からの 16 2/3Hz 又は 25Hz の磁界の測定のように,低い周波数での測定を行う必要が

ある場合,地磁気中でのプローブの動きに起因するプローブからの信号を最小にするために,

検波回路のフィルタの高域しゃ断周波数を高くしてもよい。

B.1.6  温度  磁界測定器の動作への温度の影響は,その他の不確かさの要因となる。測定地点での温度が

校正を行ったときの温度と比較して差が大きいと予想される場合,周囲温度の影響又は特性を示すことが

望ましい。温度の影響は,磁界測定器を環境チャンバに入れて,電圧注入方法によって求めてもよい。一

定電圧注入の条件下で,温度の関数として磁界測定器の応答を調べることにより,温度依存性が定量化で

きる。

B.1.7  湿度  湿度の影響について公表されたデータは比較的少ない。アナログ表示の測定器の限られた数

量での試験では,25%から 95%の相対湿度に対して湿度の影響はほとんどない(1%未満)[36]。湿度の悪

影響を避けるために,防湿が施されていない測定器の場合は,気温が露点(結露が生じる)に達したとき

は使用しない事が一般的に望ましい。

B.1.8  波高率  周期信号を実効値に変換する過程で誤差が生じ得る。一般に,この誤差は波高率の増加に

伴い大きくなる。波高率 3 の波形に対する(5.1.9 参照)

,各プローブ/検波回路の組合せの動作は,コイ

ルシステムを用いて作られる磁界により直接,又は電圧注入方法により試験を行ってもよい。後者の方法

を用いる場合,プローブから発生する高調波の増加について正しく認識することが望ましい(D.2 参照)

波高率 3 をもつ波形の例としては,継続時間 2.8ms,繰り返し周波数 79Hz の,ゲート制御された半波正弦

波である。検波回路設計によっては,他の波形がより適切であろう。この試験は,検波回路の対象レンジ

における飽和がマスクされないように,多くのピーク磁界レベルにおいて行うことが望ましい。

B.1.9  電磁イミュニティ  シールドが不適切な場合には,さまざまな発生源からの電磁界が磁界測定器

(又は電界測定器)に望ましくない相互作用を及ぼし,測定に影響を及ぼす。表 B.2 は,最大電界 E

L

が発

生し得る,典型的な電源からの距離 d を,5 つの妨害レベル[23]に対して与えている。最大電界は次の関係

式により与えられる。

d

P

E

L

2

1

7

=

 (9)

ここに,P は放射アンテナの電力(ワット)である。


35

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

高周波及びより高い周波数の電磁界発生源についての詳細は,[23]及び[52]に示されている。

 B.2  いろいろな電界発生源からの最大電界レベルと放射アンテナの電力の例

AM 放送

150kHz∼30MHz

P=500kW

トランシーバ

27MHz∼1,000MHz

P=5W

市民バンド

27MHz 
P=12W

VHF テレビ

48MHz∼223MHz

P=200kW

妨害の

程度

E

L

実効値

V/m

d(m) d(m) d(m) d(m)

1 0.3  15,650 52

80  9,900

2 1  4,950 16  24 3,130 
3 3  1,565 5.2

8

990

4 10

495

1.6

2.4

313

5 30

156

0.5

0.8

99

 

B.1.10  測定位置  不平等磁界(及び電界)の測定時には,測定位置の不確かさに起因して測定の不確かさ

が生じることがある。距離 r に対する測定磁界 B の変化は次の関係により記述される。

÷

ø

ö

ç

è

æ

=

α

r

B

B

c

1

 (10)

ここに,ほとんどの場合,

3

1

α

である(附属書 C 参照)

。B

c

は定数,すなわち交流磁界は一定の実効

値をもつ。

(10)式を r で微分すると,次式となる。

r

r

B

B

÷

ø

ö

ç

è

æ−

=

α

(11)

r の不確かさが方形分布であると仮定すると,r(

∆r)における不確かさに起因する B の標準偏差 s

d

は次

のようになる。

B

r

r

s

d

=

3

α

 (12)

例えば,ダイポール磁界発生源(

α = 3)を仮定すれば,∆r = 2mm,r = 500mm の場合,s

d

 = 0.007B と

なる。

B.1.11  長期ドリフト  測定器の部品は徐々に経時変化するため,磁界測定器の応答に変化が生じることが

ある。定期的な校正の検証(5.2.4 参照)は,長期ドリフトの大きさ及び補正係数を定める手段となる。

B.1.12  測定器の時定数  考慮する不確かさの最後の要因は,検波回路の時定数に起因するものである。例

えば,

ディジタル表示の測定器を高磁界中に置いてすぐに指示値を読んだ場合,

誤りを生じることがある。

また急速に変動している磁界においても,不適切な信号処理時間のために指示値に誤りが生じることがあ

る。

適切な設計及び慎重な校正を行うことで極めて小さくできる測定の不確かさと,時間的及び空間的な変

化に起因する磁界の変動とを区別することが望ましい。磁界の時間的及び空間的な変動は測定器の不確か

さを大きく超えるものであり,D.3 で考察する。

B.2  電界強度の測定不確かさ  磁界測定器の場合と比較して,電界測定中の不確かさの要因は多く,特

に遠隔表示部のない浮遊電位形電界測定器に多い。必要に応じて考慮し,校正の不確かさに組み入れるこ

とが望ましい項目を次に示す。


36 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

B.2.1  測定者の近接効果  電界強度測定において,測定者が近接することは特定の幾何学配置に対して非

常に重要となる。緩やかに変化する,すなわちほぼ一様な垂直方向電界中における,浮遊電位形電界測定

器を用いた測定時の測定者の近接効果について計算及び測定したものを図 B.1 に示す。図 B.1 は測定者の

プローブからの距離及び電界測定器地上高の関数として,電界測定値のひずみを百分率で示している

[14][49]。数値は,500kV 送電線下での身長 1.80m の接地された測定者(両手は体側)により,測定された

ゆがみを意味する。実線は理論的な予測値である。測定者の電位が大地に対する漏れ抵抗及びキャパシタ

ンスによりしばしば接地電位に近くなるため,図 B.1 における近接効果は典型的なものと考えることがで

きる。

浮遊電位形電界測定器に対する他の幾何学配置での測定者の近接効果は,図 B.1 に示したものより大き

い場合も小さい場合もあるが,図 B.2 に示すように電界測定器ハンドルを垂直絶縁柱の上に支持すること

により,実験的に求めることができる。垂直のガラス柱をこの幾何学配置で適用する試験では,柱の存在

が測定に大きく影響を与えることはないことを示している(他の絶縁材料についても,清浄で乾燥してい

れば同様の結果が期待される)

。近接効果は,測定者とプローブ中心からの距離の関数として電界値の変化

を記録することにより求めてもよい。電界測定器のディジタル又はアナログ表示は,試験中,測定者が安

全に見ることができるよう正しい方向に置く。図 B.2 に示した配置は,電界分布が未知の状況における測

定方法として使ってもよい。例えば,測定者が遠くにある課電電極と電界測定器の間の位置に来たかどう

かを示すことができる。

B.2.2  読み取り誤差(アナログ表示の浮遊電位形電界測定器)  特定の測定状況(例えば架空電力線近傍)

では,測定者の近接効果が非常に大きいため,測定者はプローブから 2m 以上離れることが求められるこ

とがある[22],[27]。アナログ表示の浮遊電位形電界測定器を使用する場合,遠くから表示を読み取ること

に起因する不確かさが生じる。プローブから遠く離れた位置において,別の測定者が同時に双眼鏡を使っ

て読み取ることにより,この不確かさを見積もってもよい。アナログ表示をディジタル表示に取り替える

ことにより,読み取り誤差を軽減できることもある。接地式電界測定器及びポッケルス効果による電界測

定器の場合は,幾つかの浮遊電位形電界測定器と同じく,プローブの位置から十分に離れた位置に検波回

路をもつため,読み取り誤差を生じることはない。

B.2.3  導電性平板の近接効果(浮遊電位形電界測定器)  プローブを導電性平板の表面に近づけ過ぎると,

電界測定器プローブと,

近接した導電表面の電荷分布の間に生じる相互作用により,

電界は非常にひずむ。

計算によれば,球形プローブに対するひずみは,接地面とプローブ中心の距離をプローブ半径の 3 倍とす

れば,約 0.5%まで低減される[8]。したがって,プローブと導電性表面との距離としてプローブ直径の 2

倍が確保されれば,球形プローブは顕著な測定誤差を生じるとは考えにくい。方形の形状をもつプローブ

の直径は,プローブの最大の対角長さと見なしてもよい。

B.2.4  プローブ形状の非対称性  電界測定器のプローブ形状の非対称性により,幾何学的軸に対する電気

軸(最大の電気的感受性をもつ軸)の方向が変化することがある。このような測定器を用いた測定は,測

定者の近接効果により指示値が多少増減する[36]。このような場合,電界測定器を測定に用いる前に,測

定者の近接効果を定量的に把握しておくことが望ましい。


37

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

B.2.5  電界測定器の傾斜(アナログ表示の浮遊電位形電界測定器)  アナログ表示における機械的なアン

バランスが,不確かさの要因となる。針の動きが十分にバランスしていない場合には,電界測定器は,校

正において使用した垂直方向と,同一の方向において使用されることが望ましい。この種の誤差の大きさ

の評価は,電界がないところで電界測定器を回転させ,針の変位を観測してもよい。機械的なアンバラン

スに起因する測定誤差は,プローブを(電界測定器前面に直交する軸について)180 度回転させた後,測

定を繰り返し行い,2 つの測定の平均をとることにより低減される。この手順は,幾何学軸及び電気軸が

一致する場合において用いてもよい。アナログ表示の電界測定器をディジタル表示の電界測定器に取り替

えることにより,機械的なアンバランスに起因する不確かさを減らすことができるであろう。

測定器が機械的にバランスしていたとしても,同一の誘導電流に対するアナログ表示の電界測定器の応

答は,測定器の方向に依存する。既知の電界中での校正に用いた際と違う方向で電界測定器を使用したと

き,この効果は測定の不確かさの要因となり得る。この不確かさの大きさは,電界がないところで電界測

定器を回転させ,電流注入方法(A.2 参照)によって求めてもよい。

B.2.6  周囲磁界  一般に磁界は電界と同時に発生するので,電界測定器は測定環境下において予想される

レベルの磁界によって重大な影響を受けないように設計されることが望ましい。磁界に対するイミュニテ

ィを評価するために,磁界の発生のために A.1 に示したコイルシステムを用いてもよい。

B.2.7  支持棒の漏れ(浮遊電位形電界測定器)  接地された測定者と電界測定器の絶縁支持棒の表面の汚

れによる電気の漏れが,電気的に浮いたプローブによる通常の電界のひずみよりも大きなひずみを引き起

こし得る。支持棒からの漏れを評価するために,電界測定器の軸を既知の電界に垂直な方向にすることが

望ましい。重大な電気の漏れによるリスクとしては,正しく零点を指示しない要因となる。この指示値は,

実際の電界に対する百分率で表され,このメカニズムに起因する不確かさの大きさのオーダーとして表さ

れる。この評価においては,電気軸及び幾何学的軸が一致しているものと仮定している。

B.2.8  不平等電界(浮遊電位形電界測定器)  電界測定器はほぼ一様な電界中(A.2 参照)で校正される

が,通常は不平等電界中で測定するため,わずかな不確かさをもつことがある。これは,角周波数

ωで振

動する点電荷 Q(

ωt)により作り出される非常に不平等な電界によって,球形プローブに誘導される電流を

考えるとわかる。近傍に接地面がない場合,誘導電流は次式で与えられる。

úû

ù

êë

é

⋅⋅

+

=

4

2

0

2

24

11

12

7

1

3

β

β

ωε

π

E

a

I

 (13)

ここに,

( )

2

0

4

r

t

Q

E

πε

ω

=

βは a/r, 
a は球形プローブの半径,

r は点電荷とプローブ中心との距離

である。

(13)式はプローブが電界の方向と同じ向きであることを仮定することにより導かれる。

備考  この結果は,[42]の導出なしでも得られる。点電荷の作る電界中に置かれた帯電していない導

電性の球を考え,鏡像法を用いることにより容易に導くことができる。

(13)式を,一様電界により生じる誘導電流の式((20)式及び(22)式参照)と比較すると,a/r の項を無

視すれば, (13)式による誘導電流は,Q(

ωt)/4πε

0

r

2

の強度の一様電界によって生じる誘導電流と同じであ

ることがわかる。したがって,点電荷により作られた非常に不平等な電界中にある 2 つの半球ダイポール


38 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

の間に誘導される電流は,r が十分に大きい場合,同じ強度の一様電界により誘導される電流とほぼ同じ

となる。例えば,a/r が 0.1 の場合,一様電界と非常に不平等な電界により発生する誘導電流(すなわち

電界測定)の違いは 1%未満となる。球の寸法による電界強度の変化は,次のように表される。

  ΔE/E=4a/r = 0.4

プローブが電界の方向を向いていない場合でも,測定誤差はわずかであることが示されている[48]。し

たがって,電界の不平等性に起因する不確かさは,多くの実用上の場合,無視できる大きさである。平板

上の誘導電荷又は誘導電流の差が検波回路により測定されれば,平行平板形状のプローブを,小さいマー

ジンで不平等電界の測定に使用できるということも計算により示される。(13)式との比較により,方形の

幾何学形状をもつ電界測定器の半径は,最大対角長さの半分として安全側で評価してもよい。

B.2.9  湿度  高湿度の条件では,表面の結露の層が電界測定器表面の一部分に形成される。不確かさの主

要因は,支持用絶縁物を通って片方の電極へ流れる漏れによりもたらされる。顕著な場合には,漏れはプ

ローブにおける誘導電流,すなわち電界測定器の指示値を大きく増加させる。2 つのセンサ電極間の漏れ

に起因する不確かさは非常に小さく,電界測定器の指示値を減らす。電界測定器,支持棒,及び内部絶縁

材は,漏れ電流による誤差を最小にするために,清浄で乾燥した状態にしておくことが望ましい。

誘電体の筐体をもつ電気光学式プローブも,高湿度条件下では悪影響を受けるであろう。この場合,表

面結露の層がファラデーケージとしてふるまい,ポッケルス結晶に到達する電界を減衰させる。

電界測定器の動作に対する周囲の湿度の影響は,環境チャンバに電界測定器を置き,電流注入方法(浮

遊電位形電界測定器)

,又は電圧注入方法(電気光学式電界測定器)を適用することにより定めてもよい。

湿度に対する依存性は,注入電流(電圧)を一定に保ち,電界測定器の応答を湿度の関数として観測する

ことにより求められる。

B.2.10  温度  アナログ表示をもつ浮遊電位形電界測定器に対する環境チャンバ試験によれば,0℃から
40℃の温度範囲に対し,電界測定器の指示値は最大 8%変化している[36]。磁界測定器と同じように(B.1.6

参照)

,校正時の温度と比較して測定地点の周囲温度に大きな違いが予想されるとき,温度の効果を知って

おくことが望ましい,又は定量化してもよい。定量化の手順は,電圧注入方法を電流注入方法に置き換え

れば,磁界測定器のときと同じである(B.1.6 参照)

電気光学形のプローブの感度も,温度の変化によって影響を受ける。Bi

12

SiO

20

のポッケルス結晶での試

験では-15℃から 70℃の温度範囲において,±3%未満の温度依存性が示されている[21]。しかし,ポッケ

ルス効果を示す他の結晶は Bi

12

SiO

20

よりも大きな温度係数をもつことが知られており,温度補正が必要と

なる。

B.2.11  長期ドリフト  測定器の部品は経時変化するため,電界測定器の応答の変化が生じることがある。

定期的な校正の検証(6.2.4 参照)により,長期ドリフトの大きさ及び必要な補正係数を定めることができ

る。

B.2.12  電磁界イミュニティ  B.1.9 及び 5.1.8 参照 
B.2.13  測定位置  B.1.10 参照


39

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

曲線は一様磁界中での理論値[14]を表す。データ点は,500kV 送電線下における身長 1.8m の接地した測定者につい

てのものである。地表面上方の 3 つの高さに電界測定器がある場合について,近接効果を示す。

 B.1  電界測定中の測定者の垂直電界に対する近接効果

 B.2  測定者の近接効果の測定に用いる装置の配置


40 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

附属書 C(参考)磁界及び電界の一般的性質

この附属書(参考)は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではな

い。

電力線,電気機器,及び交通システムより発生する磁界及び電界は,強度,周波数,波形(高調波成分)

回転電磁界ベクトル,空間分布及び時間変動などにより特徴づけられる。電磁界の測定に使用される測定

器の要求を特定するのに重要であるので,これらの特徴を手短に述べる。

備考  この規格は一時的な変化(磁界及び電界の周期と比較して短時間で生じる変化)を考慮しない。

これら電磁界パラメータのうちの幾つかは,3 相電力線の磁界を考慮する際に導入されるものである。

このうちの幾つかは,電界を特徴づけるのにも使用される。一般に,空間のある点における磁界は,図 C.1a

に概要を示すように,導体中の電流の各サイクルに対してだ円軌跡を描く回転ベクトルによって表現され

る[10]。図 C.1a において M として与えられる磁界のだ円半長径の実効値の大きさ及び方向は,最大磁界の

大きさと方向を示す。同様に,図 C.1a において m として与えられる半短径の大きさの実効値と方向は,最

小磁界の大きさと方向を表す。このような磁界は,だ円磁界と呼ばれる。

電力線から離れた環境における磁界も,位相が合っていない複数の電流源により発生するため,多くの

状況でだ円磁界となる(例えば,家庭内,職場など)

。導体の配置と電流により,ある位置における磁界の

だ円形状は,図 C.1b 及び図 C.1c に示すように直線状(m = 0)から円状(m = M)まで変化する。多相磁

界のこの議論においては,磁界に高調波が含まれないことを仮定している。大きな高調波を含む磁界のベ

クトル軌跡は,もっと複雑となる[61][40]。

地表面近傍においては,3 相送電線からの磁界強度は測定位置の地上高の関数として緩やかに変化する。

例えば,典型的な 500kV の送電線の場合,地上高約 1m における磁界強度は,線下での測定高さの 10%の変

化に対して,2%未満しか変化しない。より遠方では,磁界の一様性は増加する。電力線から十分に遠方で

は,平衡した又はほぼ平衡した電流の 3 相 1 回線線路からの磁界強度は 1/r

2

で減衰する。ここで r は,線

路導体からの水平距離である(r は相間距離に比べ十分に大きいことを仮定する)[54]。電流の不平衡が

増加すると,磁界の減衰が,1/r

2

から 1/r へ変化する[54],[68]。平衡した,3 相 2 回線低リアクタンス

回路(すなわち,両回線に同等又はほぼ同等な負荷電流があるとき)では,磁界は 1/r

3

で減衰する。ここ

でも,r は相間距離に比べ十分に大きいことが条件である。磁界の時間変動は,負荷電流の変動の関数で

ある。すなわち,電気エネルギーを多く使用しているときは,負荷電流は増加し,より大きな磁界を発生

させる(同時に発生する導体の弛度増加も,磁界レベルの増加に寄与する)

備考  多相電力線下の地表及び地表近傍の磁界は回転ベクトル又はだ円磁界として表されるが,電界

の場合,地表では直線電界となる。

通常遭遇する他の磁界源は,単相電流が流れる直線導体(例えば,接地系及び電極への接続など)

,及び

ほぼ円形の巻線(例えば,変圧器,モータ,画面表示装置などに見られる)である。このような磁界発生

源周辺の代表位置における磁力線及びベクトルを,図 C.2a 及び図 C.2b に示す。磁界は通常直線磁界であ

り,振動するベクトルの時間依存性は電流波形に依存する。正弦波形の電流は高調波を含まない正弦波形

の磁界を生じさせ,正弦波形ではない電流(例えばテレビの偏向コイルからの鋸歯状波など)は,高調波

を多く含む正弦波ではない磁界を発生させる[25]。無限長直線状導体及び円形導体ループに流れる電流に

より発生する磁界強度は,それぞれ 1/r [20]及び 1/r

3

[63]で減衰する。ここで,r は磁界発生源からの


41

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

距離である(後者の場合,r は導体の円形ループの半径より十分大きいことを仮定している)

 C.1a  回転だ円磁界における磁界の大きさ

 C.1b  直線磁界における磁界の大きさ

 C.1c  円磁界における磁界の大きさ

合成磁界 B

R

と最大磁界 M は,直線磁界の場合だけ等しくなる。合成磁界と最大磁界の差が最大となるのは円磁界

のときで,B

R

が M より 41%大きくなる。

 C.1  だ円磁界,直線磁界及び円磁界の場合の振動磁界及び回転磁界の大きさ


42 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

 C.2a  直線導体の電流による磁界

 C.2b  円形導体の電流による磁界

 C.2  直線導体及び円形導体の電流による磁界


43

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

附属書 D(参考)磁束密度測定器(磁界測定器)−測定の手引き

この附属書(参考)は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではな

い。

D.1  磁界測定器の一般的性質  磁界測定器は,2 つの部分から構成される。プローブ又は磁界検出素子,

及びプローブからの信号を処理し,アナログ又はディジタルの表示により磁界の実効値を表示する検波回

路である。電力線からの商用周波磁界の簡易測定には,電気的にシールドされた巻線をもつ磁界プローブ

(すなわち“単軸”プローブ)が,検波回路としての電圧計と組合せて用いられてきた[27]。簡易測定器

の一例である,この種の測定器の概要を図 D.1 に示す。図 D.1 には示していないが,検波回路の構成部品

はプローブに組み込まれることがある。磁界測定器により,振動する(直線磁界)又は回転する(だ円又

は円磁界)磁界ベクトルの,プローブ面に直交する成分を測定する。プローブ面の直交成分は,プローブ

の感度軸に一致する。

高調波磁界成分が無視できない環境における測定(例えば,産業及び居住環境,交通システム)につい

ては,磁界波形を保存するために積分回路(能動的又は受動的)が検波回路の一部を構成する(D.2 参照)

一般にデータ蓄積の機能は持っていないが,市販の記録装置への出力端子が用意されているものもある。

磁界の高調波成分を把握するために,検出信号(磁界波形を反映するもの)は市販の周波数分析器により

調べることができ,基本波と高調波成分の振幅を確認することができる。3 軸の磁界測定器も入手可能で,

商用周波数及び 1 つ以上の高調波成分の実効値を表示させるよう切り替えることができる場合もある。

簡易な磁界測定を行う際,測定者の接近による磁界の大きななひずみを生じさせないように,プローブ

を手で保持することができる。付近にある誘電体の近接効果も重要ではない。小さな非磁性導体への近接

効果は通常小さく,導体表面付近に限られる。すなわち,磁界の時間変動により導体に誘起されるうず電

流に関連する磁界が局所的に磁界をひずませることになる。大きな非磁性金属の構造物は,広い範囲にわ

たって磁界を大きくひずませる。例えば,トレーラハウスの内装などである。磁性物体の近傍における磁

界は,大きくひずんでいる。

長期及び/又は広範囲にわたる測定においては,簡易式磁界測定器が,データ蓄積装置に磁界の指示値

を記録する測定器の代わりに用いられる[25],[61]。あらかじめ指定された時間間隔で,又は使用者や位

置検出装置のような他の信号によるトリガにより,磁界の記録は自動的に行われる。

記録された磁界の値は,解析を行うために,測定終了後コンピュータにダウンロードされる。単純な解

析ならば磁界測定器自身でできる場合もある。

簡易測定器及びデータ蓄積形の測定器の双方とも,単軸又は 3 軸である

(データ蓄積形の測定器の場合,

3 軸のものがほとんどのようである)。3 軸の測定器は 3 つのコイルプローブ又はセンサ部(例えば軸が直

交する円形コイルプローブ)をもち,それぞれが直交する 3 つの軸に沿った磁界を検出する。3 軸測定器

の各センサ部からの信号は,次の 2 つの方法のうちの一つによって,検波回路によって処理される。一つ

めの手段は,検波回路が各空間成分の実効値を検波し,2 乗の和をとり,その平方根をとる。もう一つの

手段は,検波回路が各センサからの信号の 2 乗の和をとり,その平方根をとり,最後にその実効値を求め

るものである。双方とも同じ結果となり,これが(4)式で定義される合成磁界 B

R

である。通常,合成磁界

は最大磁界とは等しくならず,最大磁界の 100%(直線磁界)から 141%(回転円磁界)までの値となる。


44 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

B

R

は,直交成分の位相に関係なく,全磁束密度[33]の実効値となることに注意することが望ましい。位

相に依存しないことは,B

R

は一義には決まらないことを意味する。すなわち同じ合成磁界であっても,異

なる配列の磁界発生源により生じ得るもので,例えば,直交成分 B

0

sinωt 及び B

0

sinωt をもつ直線磁界

と,直交成分 B

0

sinωt 及び B

0

cosωt をもつ回転円磁界とは同じ合成磁界 B

0

となる。

単軸の測定器は磁界の最大値の測定に使用され,最大の指示値が得られるようにプローブを回転させる。

単軸の測定器は,合成磁界を求めるのにも使用される。この場合,直交する 3 軸の空間成分の実効値を測

定し,これらを(4)式にしたがい合成する。この作業の間,磁界の空間成分の実効値の大きな変化がないこ

とが前提である。

最近,小形の個人磁界ばく露量計が開発され,これは個人が携帯し周期的に磁界の 3 軸の空間成分(実

効値)を測定し記録するものであるが,小形のコイルプローブが使われており,感度を上げるために強磁

性体の磁心が使用されることがある[25]。ばく露量計において,互いに直交するように配置されたプロー

ブは,互いに近接しているが共通の中心は持たない。すなわち,プローブは異なる位置に置かれている。

ばく露量計にはコンピュータのインターフェースも備え付けられており,記録された磁界の値を,解析を

行うためにコンピュータへダウンロードすることができる。フラックスゲート磁界測定器[55]など高透磁

率の誘導プローブをもつ他の形式の磁界測定器があり,交流磁界及び/又は静磁界の測定に用いられる。

更に機能の豊富な磁界測定器も入手可能であり,この場合,直交 3 軸成分の磁界波形を同時に,定期的

に記録し,振幅,位相及び周波数の情報が得られるため,回転磁界のだ円の状況や高調波の解析などが可

能である[61]。

ホール効果プローブによる磁界測定器も入手可能で,

 0Hz から数 100Hz における磁束密度を測定できる。

しかしながら,感度の低さと地磁気による飽和の問題により,電力線近傍や住居のような,低レベルの交

流磁界環境には向かない。

D.2  動作原理(コイルプローブ)  図 D.1 に示す磁界測定器の動作原理は,ファラデーの法則に基づく

ものであり,変動する磁界中に置いた導体の開放ループの終端に電圧 V が生じることを予測するものであ

る。すなわち,その電圧はループを鎖交する磁束

ϕの時間微分の負値に等しく,次式で与えられる。

[

]

ò

=

=

A

dA

dt

d

dt

d

V

n

B

ϕ

 (14)

ここに,

B は磁束密度,

n はループ面に直交する単位ベクトル,

dA はループ面の領域 A の面積素,

である。

A 及び B の単位がそれぞれ平方メートル及びテスラであるとき,V の単位はボルトとなる。

磁界に高調波成分を含まない場合,例えば

t

B

B

ω

sin

0

=

であり,プローブ面に直交する場合,

t

A

B

V

ω

ω

cos

0

=

 (15)

となり,ここに角周波数ωは周波数の 2π倍である。

ループの巻数が N のとき,(15)式で与えられる電圧が各巻線に発生し,全電圧は,

t

A

B

N

ω

ω

cos

0

なる。式(15)より,プローブ面積の増加に従い,感度が増加することがわかる。

磁界に高調波が含まれる場合,(15)式の右辺には各高調波に対する項が追加される。微分操作((14)式


45

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

参照)により,追加されたどの項も,高調波次数に関連した重みづけがなされる。例えば 10%の第 3 次高

調波が磁界に含まれていた場合,

( )

t

A

B

ω

ω

3

cos

1

.

0

3

0

が,(15)式の右辺に加えられる。高調波の項の重

みづけのため,信号波形は磁界波形を反映しなくなる。その結果,電圧計検波回路(図 D.1 参照)により

表示される実効値は,磁界の実効値を正しく表示しなくなる。しかしながら,その波形は,導電性物体に

誘導される電圧又は電流の時間変動をよく近似している。

磁界波形を復元するために,検波回路には逆算をとる動作,すなわち積分が必要である。これは,検波

回路

に積分段を設けることにより達成される。例えば,積分回路は受動回路としてプローブと結合され

るか,又は積分動作アンプが検波回路に組み込まれる。プローブと積分検波回路とを組み合わせた部分の

周波数応答は,対象とする周波数範囲において平たんであることが望ましい。不要な信号を除去するため

に,フィルタと適切な電界シールドが検波回路に含まれていることが望ましい。

*

信号がディジタル信号の場合,数値積分ができる。

異なる周波数の磁界への検波回路の応答を考慮することに加え,プローブの周波数応答も考慮すること

が必要である。プローブに内在するインダクタンス,抵抗及びキャパシタンスの存在により,コイルへの

誘導電圧 V((15)式参照)と検波回路に入力される電圧 v

p

の関係は,周波数の関数として扱うことが望ま

しい。コイルプローブの等価回路の単純化した図解を図 D.2 に示す。誘導電圧 V に対するプローブ電圧 v

p

の比│W│は,次式で与えられる[2]。

2

1

2

2

2

ú

ú

û

ù

ê

ê

ë

é

ú

û

ù

ê

ë

é

÷

ø

ö

ç

è

æ +

+

úû

ù

êë

é

+

=

=

Cr

R

L

LC

R

r

R

V

v

W

p

ω

ω

 (16)

ここに,

L 及び r はコイルとリード線のインダクタンス及び抵抗,

C は漂遊容量,

R は検波回路の入力インピーダンスの概算値

である。

│W│の値は 1 に近い値であることが望ましく,

周波数の増加に伴い値が減少する前にピークを有しないこ

とが望ましい。R の値が大きいと,│W│の値は,プローブの共振周波数の近傍でピークを生じ,そのあと急

激に減少する原因となる。R を小さくすれば,周波数の増加に対し│W│の値が徐々に減少するようにできる。

ただしあまり小さいと,更に急激な減少と,周波数応答における不必要な減衰の原因となる[18]。

強磁性磁心を含むプローブをもつ磁界測定器の動作原理は,磁心の強磁性材料の透磁率が磁界の周波数

や振幅により変化するため,空心の場合と比べ複雑である。強磁性磁心を含むプローブをもつ磁界測定器

の動作は,[25]や[55]で議論されている。

D.3  測定の目的と方法  附属書 C で記述したように,磁界(及び電界)は,振幅,周波数,回転電磁界

ベクトルなど多くのパラメータにより特徴づけられる。これらの一つ又は複数のパラメータ,及びこれら

と人体ばく露との関連を定量化することが,測定プログラムにおける目的であろう。磁界測定プロトコル

を開発することに興味をもつ読者の助けのために,この節では,考え得る測定の目的とこれを達成するた

めに考え得る方法のリストを提供する。

測定プログラムの目的は,着手時において,次に考慮するように明確に定義されていることが非常に重

要である。

目的を明確に定義することは,

測定器の選定や校正についての要求を定めるために必要である。

例えば,測定器の通過帯域,強度レンジ,周波数校正点などである。一度目的が定められ,適切な機器が


46 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

得られれば,最終的な測定方法と測定プロトコルを決める前に,対象とする測定環境における先行調査を

するとよい。プロトコルは,測定の目的を達成するために示された可能な手法を用いて,順を追って記述

するものである。プロトコルでは,測定器の要求(通過帯域,プローブの寸法,振幅のレンジなど)

,測定

位置及び測定時間などを明確に指示する。これではじめて,同じプロトコルを用いて,似たような電気的

な環境における測定結果の信頼性のある比較を行うことができる。

測定手法とプロトコルは,目的に依存し,さまざまな測定環境において非常に大きな違いに直面するで

あろうことから,この規格では,それらの推奨の度合いについてはそれほど明確にしていない。測定手法

とプロトコルを開発する場合,可能であれば次の磁界発生源と項目を考慮することが望ましい。

−  設備に供給する電気の供給源

−  変圧器の形式と位置

−  主要なケーブルとしゃ断器の位置

−  供給電圧の大きさとピーク電力となる時間

−  電源と電気機器の周波数(0Hz も含む)

−  既知の磁界発生源に対する人間の位置

−  人体に対する測定位置の相対位置,例えば頭,胴体,骨盤など

−  モータや発電機の存在

−  小形ヒーターの存在

−  接地システムと接続端子

測定において許容される総合的な不確かさを決定することが望ましい(測定器の不確かさの要求は 5.1

に示した)

。測定を行うエリアを適切に記述する,スケッチがしばしば必要となる。オフィスや同様の建物

において磁界発生源を同定するのに,建物の電気回路構成図が有用である。しかし,建物の電気系統の変

更が記録されていない場合もあるので,そういった文書を過度に信用することは避けることが望ましい。

多くの磁界発生源(例えば,頭上の電灯,電気製品など)が目に見えるが,見えないものもある(隣の部

屋や上下階の電気機器など)

。先行調査では,測定間隔,測定位置の高さ,測定点数,データシートの様式,

作業分類のアンケートなどについて決定を行う。人体ばく露量の把握が測定の目的の場合,以下に引用し

た疫学研究において記述されているように,最終の測定プロトコル開発過程の一部として測定手順の検討

をすることを強く推奨する。

人体ばく露量を定めるため,又は一つかそれ以上の磁界パラメータに対する人体ばく露量を見積もるた

めに手引きを提供することがこの規格の主要な目的ではあるが,

応用に関連する他の測定目的も存在する。

例えば,電力線磁界の低減手法の有効性を確認するために,

“前後”の磁界の空間分布の行う場合や,消費

者製品規格[51],[28]への適合性を調べるために電気製品からの磁界の空間分布を測定する場合などが,

その応用例である。

考え得る測定目的及びこれを達成するための手法のリストを次に示す。目的や手法は多岐にわたるので,

このリストがすべてであるとは考えないことが望ましい。どんな目的でも,測定器の通過帯域は対象とす

る周波数を包含するように選択する(目的(g)参照)

。この規格で考慮する磁界パラメータの適用範囲外で

あるが,静磁界の特徴把握も対象とする場合もあるだろう。

目的(a):磁界レベルの把握

周波数の関数として,許容される磁界レベルの限度値が多くの文書において記されているが[5],[29],

これらにおいては,ある特定のエリアにおける最大の磁界レベルの把握を必要としている。測定位置は人

間の頭部,胴体又は骨盤の位置に対応させるのがよいであろう。


47

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

方法:

最大磁界及び合成磁界のスポット測定には,単軸及び 3 軸の磁界測定器がそれぞれ使用できる。

電力線近傍[27]や画面表示装置近傍[28],[51]におけるこのような測定に対しては手引きがある。電力線

近傍におけるスポット測定は負荷電流との相関があり,

異なる負荷電流時の磁界を予測することができる。

電気製品に対する負荷電流は一定であるか,比較的短い時間内に一定の範囲内で周期的に変動することが

多く,最大の“最大磁界”又は“合成磁界”を,比較的少ないスポット測定により把握することができる。

電力線及び電気製品から遠く離れた環境においては,磁界発生源の電流との相関はそれほどはっきりせ

ず,磁界レベルのおおよその特徴把握はスポット測定により行われる[25],[26]。磁界のより完全な測定

が要求される場合,対象位置において,磁界値の最小から最大が発生すると考えられる時刻を含んだ時間

に記録が可能な磁界測定器を使用する。例えば,住居においては,1 年の各季節において 24 時間の記録を

数回繰り返せばよい(目的(c)参照)

目的(b):空間分布の把握

電力線又は一つの特定の発生源から遠く離れた場所における磁界の空間分布は,通常未知である。例え

ば,図 D.3 は,77 軒の住居における予備調査時[62]の,居間及び台所の中心での測定(垂直方向磁界,胸

の高さ)と他の位置における測定との散布図である。同時刻における異なる位置での磁界レベルは把握で

きないものの,このデータは住居の同じ部屋における磁界のばらつきの可能性を示すものである。多くの

環境における交流磁界は,

磁界の空間分布が発生源の電流に依存するため,

不平等となる

(附属書 C 参照)

静磁界についても,住居内ではかなりの空間変動が見られることも重要である[64]。

方法:

  空間分布の測定には場所の関数として磁界成分を記録することが必要である。電力線近傍[27]や

画面表示装置近傍[28],[51]におけるこのような測定については規格がある。この測定には簡易式磁界測

定器が用いられるが,車輪の進行を妨害するような障害物がないような環境においては,磁界の空間分布

を把握するために,

“測定用車輪”がついた測定器も利用できる。車輪が回転すると,3 軸の磁界測定器は

周期的にトリガ信号を受け,合成磁界を記録する。測定器とともに提供されているソフトウェアにより,

磁界空間分布のプロットや,等磁界線の作成,磁界レベルの統計解析などを行うことができる。目的(a)

の観点からは,このようなデータでは,繰り返し測定を行わないと磁界空間分布の時間変動を捉えること

ができない。

目的(c):時間変動の把握

磁界は負荷電流や大地帰路電流により発生し,これらは時間変動が大きい。

(参考  原文では,

“磁界の

時間変動が簡単に 100%を超えてしまう”とあるが,何に対する 100%であるか,読み取れない。

)例えば,

図 D.4 は大都市における居間の中心における 24 時間の背景合成磁界の 2 日分の履歴を示す。この間,天候

状態により負荷電流が大きく変化している[26]。このデータは簡易測定器により床上 1m において 15 秒ご

とに記録したものであり,通過帯域は,商用周波数の基本波とその高調波を把握するのに適切なものであ

った。図 D.4a では,暑く,湿度が高い日に測定が行われたもので,エアコンはフル稼働の状況が推定でき

る。同じ位置での磁界測定が,涼しく,湿度が高くない日についても行われ,この場合,図 D.4b に示すよ

うに磁界分布は大きく異なり,平均磁界レベルは高温で湿度が高い日の半分程度である。このデータは多

分に逸話的ではあるが,負荷電流が大きく変化したとき何が生じるかを示すものである。短い時間におけ

る磁界の時間変動を生じさせるメカニズムは,測定位置の近くを通過する自動車やトラックなどの強磁性

物体の移動によるものである。

方法:

  1 カ所又は複数の箇所での磁界レベルの変動を,時間の関数として記録する,市販のデータ記録

装置に接続できるような出力端子をもつ 3 軸及び単軸の磁界測定器が利用できる。3 軸の磁界ばく露量計

や磁界波形測定器(D.1 参照)についても,磁界レベルを周期的に記録するのに用いられる。磁界レベル


48 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

は日,週,季節変動する負荷電流に依存するので,有効な統計量を得るために,磁界の変動を十分に捉え

ることが可能なように記録装置に対する時間間隔を定める必要がある。対象とする測定環境において,最

初に先行調査を行うことは,測定サンプリング時間に対する疑問を解決するのに有用である。

大容量電気輸送システムや可変速モータが使用される他の環境において測定を行う場合には,さらに考

慮することが望ましい。例えば,地下鉄では,磁界は地下鉄車両の速度の関数となり得る[13]。

目的(d):磁界の時間加重平均の把握

商用周波磁界へのばく露による健康影響の可能性を調べる,職業ばく露及び小児がんに関する多くの疫

学研究において,ばく露の“量”又は“単位”として,磁界の時間加重平均が考えられている[15],[38],

[59],[67]。これらの研究やほかの研究では,磁界の時間加重平均の決定を,適切な測定の目的としてい

る。

方法:

  携帯し,磁界の時間積分を測定する小形の 3 軸ばく露量計が,磁界の時間加重平均を直接測定す

るのに用いられている[32]。磁界を周期的に記録する形式の 3 軸磁界ばく露量計では,記録した磁界値を

解析することにより,磁界の時間加重平均を算出している(D.1 参照)

。対象とする位置において時間加重

平均を測定するのに,携帯式ではない測定器を記録装置と組合せて使用することもある。送電線の負荷電

流と,

送電線に沿った住居の位置の記録を元に,

住居における年間の時間加重平均が評価されている[15]。

目的(e):磁界の間欠性の把握

商用周波磁界への間欠的なばく露が,定常状態の磁界へのばく露に比べ,特定の生物的な反応を引き起

こすのにより効果的であるとの文献における報告がある[7]。このような報告では,磁界レベルの“上昇”

と“降下”に関する何らかの指標が,定量化すべき磁界を特徴付けることを示唆する特性であるとしてい

る。

方法:

  この目的には,磁界を周期的に測定し,これを記録する磁界測定器が使用されることが望ましい。

磁界の値を記録する頻度,又は平均をとる時間間隔については不明確である。例えば,15 秒おきの測定記

録(図 D.4 参照)では,1 時間ごとの平均で特徴づける場合と比べ,よりばらつきが大きくなるであろう

[41]。生物影響研究者たちは,ばらつきの指標の定義の手引きについて意見を聞かれるかもしれない。記

録されたデータが入手可能であるので,例えば,1 分,2 分などの平均磁界を用いた磁界増加及び磁界減少

の数など(決められた百分率値を超えるもの)

,変動に関する異なる指標が計算され,報告され得る。

目的(f):しきい値とされる値を超える磁界レベルの発生と継続時間の把握

生物影響を予測するモデルは,ある作用原因のしきい値があり,この値以下では影響がないことを仮定

している。磁界ばく露による影響のモデルについても同様と類推される。

方法:

  この目的には,磁界を周期的に記録する磁界測定器が使用される。磁界レベルのしきい値として

どの値を用いるかの選択は,生物影響研究者との議論を必要とするであろう。目的(e)について,記録され

たデータが入手可能であるので,測定磁界レベルが 1 つ又は複数のしきい値とされる値を超える頻度がわ

かる。同様に,目的(e)について,この結果は磁界レベルを記録する頻度に依存する。

目的(g):磁界の周波数成分の把握

(1)電気機器からの磁界は商用周波数の高調波成分又は商用周波数に無関係な周波数成分を含むことが

多い,(2)磁界の限度値は周波数の関数[5],[29]とされていることから,周波数成分の把握は,重要な目

的である。多くの高調波を含み,よくある電気製品から発生される磁界の一例を図 D.5 に示す。図 D.5a

では,

動作している 26 インチカラーテレビのスクリーンの正面中心から 0.60m の位置における極低周波磁

界波形のスポット測定を示す[18]。この磁界における高調波成分を図 D.5b に示す。これは,図 D.5a の波

形を周波数分析器で観測した画面である。第 2 次(120Hz)高調波成分は基本波の 45%の強度であり,第 19


49

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

次高調波まで認識できる。

基本波成分だけを検出する磁界測定器によりこの磁界の実効値の測定をすると,

20%以上も小さくなることに注意が必要である。

方法:

  市販の単軸及び 3 軸の磁界測定器において,プローブから信号の積分値を出力する端子が備わっ

ているものがある。このような測定器では,市販の周波数分析器との組合せにより,磁界の周波数成分を

把握することができる。又は,波形測定器においても,記録データをもとに周波数成分の解析を可能とす

るソフトウェアが付属されている。商用周波数の実効値及び 1 つ以上の高調波周波数の実効値の両方を,

スイッチ切り替えにより表示させる測定器もある。

大容量輸送システムのような可変速電気機器から発生する磁界の周波数成分は,速度の関数として変化

することに注意が必要である[13]。

目的(h):回転磁界の特徴把握

磁界の完全な特徴把握のためには,ある周波数における回転磁界に関する情報の把握が必要である(附

属書 C 参照)

。回転磁界は,人体ばく露に関連して興味が持たれている。というのは,例えば異なる回転

磁界軌跡をもち,同一の合成磁界値をもつ場合(D.1 参照)

,生体システム中に,時間的,幾何的特徴が大

きく異なる誘導電界又は誘導電流を生じさせるからである[45]。

方法:

  単軸の磁界測定器,3 軸の磁界測定器(各軸の値を指示することが可能なもの)及び 3 軸の波形

測定システムのすべてが,空間のある位置において回転磁界の特徴把握に必要な,磁界だ円の半長径及び

半短径の実効値の測定に使用できる。附属書 C に記したように,測定手順においては,磁界の単一の周波

数成分だけを測定することを仮定する。他の周波数が含まれる場合,回転磁界ベクトルの軌跡は単純なだ

円ではなくなる[61],[40]。時間及び位置の関数として,回転磁界の状況が変動することを予想すること

が望ましい。

目的(i):人体への磁界ばく露の把握

人体ばく露の観点から関心があると思われる磁界パラメータをはじめに記述するために,この重要な目

的を,目的のリストの最後に持ってきた。

方法:

  磁界パラメータの一つ又は複数を把握することと,これらのパラメータへのばく露を定量化する

ことははっきりと区別することが望ましい。後者については,小形の磁界測定器を,人体のうちの関心の

ある部位に携帯し,関心のある磁界パラメータを周期的に記録することが最良の測定である。特定のエリ

アにおけるある磁界パラメータに対する人体ばく露の評価は,パラメータの空間的,時間的な測定の変動

と,そのエリアにおける人間の行動パターンを記述する情報との組合せにより行うことができる(電界の

場合についての議論は[12]参照)

。この方法では,磁界把握のエリア外で生じるばく露については,扱うこ

とができない。

携帯可能な市販の 3 軸のばく露量計は,幾つかの通過帯域に対し,目的(a)から(f)において定められた

磁界パラメータに対する同時ばく露を測定するのにも使用できる。磁界サンプリング時間や蓄積メモリ容

量及び電池の寿命に依存するが,このような測定器は,数日にわたる期間に対し周期的に合成磁界の値を

記録する。サンプリング間隔はある部分,磁界と被験者との相互作用を仮定するモデルに依存するであろ

う(例えば,目的(e)や(f)を参照)

。収集されたデータはコンピュータにダウンロードされ,測定器に付属

又は特別に開発されたソフトウェアによって,目的(a)から(f)に記述されたパラメータに対するばく露を

評価する。

特定のエリアにおける過去の人体ばく露量は,ばく露量計を携帯する代わりに,そのエリアにおける過

去の行動を評価することによって推定される[59],[60],[67]。この方法は,磁界発生源が時間に対し大

きく変化しないことを仮定している。


50 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

D.4  人体ばく露に関する磁界測定プロトコルの例  変電所における磁束密度への人体のばく露量を測定

するプロトコルの例を次に示す。プロトコル開発の手順の一部として,これを達成するための測定の目的

及び方法を明確に示す。次に示す測定手順は,他の目的で他の環境において使用されるものとは大きく異

なることに注意することが望ましい。例えば,異なるばく露基準及び人体との相対的な測定位置が対象と

なるかもしれないし,

商用周波数以外の周波数及び商用周波数の高調波成分が重要となるかもしれないが,

ここでは人体ばく露を特徴づける測定プロトコルの本質的な要素を記述する。すなわち,目的の明示及び

測定プロトコルの順を追った要求の記述である。磁界を特徴づける目的及び手法については,D.3 で更に

議論している。

備考  同じ測定の目的を達成するためには,他の方法もある。

目的:

  測定の目的は,CENELEC のプレ規格 ENV 50166-1 [5]に記された交流磁界の参照レベルよりも大

きい磁界レベルに,変電所内で作業する人が遭遇するかどうかを調べることである。プレ規格に規定され

ているように,把握する磁界パラメータは,合成磁界及び磁界のさまざまな周波数成分に関連する周波数

である。対象とする測定部位は胴体及び頭部の中心である。

備考 CENELEC のプレ規格 ENV 50166-1 [5]では,不平等な磁界での測定に対し,人間の頭又は胴体

全体での平均をとることを推奨しているが,これが不可能な場合これらの部位の中心での測定

も許容されている。人はまったく動かないことはないので,次の測定プロトコルでは,部位の

ほぼ中心での値を考慮する。

CENELEC のプレ規格 ENV 50166-1 [5]に従う基準では,いずれの電磁界成分 E

i

及び B

j

も,それぞれ関

連する参照レベル E

RLi

及び B

RLj

よりも小さくなければならない。ここに,E

i

及び E

RLi

は i 番目の周波数の

電界(実効)値であり,B

j

及び B

RLj

はそれに対応する磁界値である。さらに,(17)式及び(18)式を満たさな

ければならない。

å

å

j

RLj

j

i

RLi

i

B

B

E

E

1

1

Hz

f

60

0

 (17)

å

å

+

i

j

RLj

j

RLi

i

B

B

E

E

1

kHz

f

Hz

700

60

<

<

 (18)

考慮しているプロトコルの例では,参照レベル E

RLi

及び B

RLj

は,それぞれ(1500/f)kV/m 及び(80/f)

mT の関係により与えられ,ここに f は周波数である。E

i

/E

m

≧0.3 及び B

j

/B

m

≧0.3 となる周波数だけ,加算

に含める必要がある。ここに,E

m

及び B

m

はそれぞれ,Ei 及び Bj の寄与が最大となるものである。

備考 CENELEC のプレ規格 ENV 50166-1 [5]が更新されたときは,次のプロトコルは,新しい要求に

合致するよう修正する必要があるだろう。

次の条件を仮定する:変電所に勤務する人の日常業務は,着席しているだけでなく,変電所内を動き回

ることもある。磁界発生源の位置は,ふつう既知であり,気温及び相対湿度は 5.1.4 に記述した範囲内に

ある。さらに,振幅が大きい最高次の高調波は,商用周波数の第 7 次未満であると仮定する。(17)式及び(18)

式の加算に対する電界の寄与については E.4 で考慮したが,次のプロトコルでは考慮に入れない。

方法:

  はじめに,最大の磁界レベルとなる位置を特定する目的で,磁束密度の空間分布を把握するため


51

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

の予備調査を行うことが望ましい。この予備調査では,合成磁界又は最大磁界のスポット測定を行えばよ

い。スポット測定は電気の使用量が最大レベルに近いとき,すなわち負荷電流が大きいときに行うことが

望ましい。この調査及び/又は磁界発生源の位置から,広範囲の測定を行うことが望ましい場所を特定す

る。より広範囲の測定を行う場所については,次のことを適用することが望ましい。

−  時間及び周波数の関数として変化する合成磁界を測定し記録するために,3 軸の測定器を使うことが

望ましい。これは次のものを用いて実現できる。すなわち,商用周波数及びその高調波を測定するた

めに調整した,幾つかの十分に狭い通過帯域を備えた磁界測定器,周波数分析器に接続できる適切な

出力を備えた磁界測定器,並びに十分に速いサンプリング間隔で磁界波形を記録し,記録した値のフ

ーリエ解析を行う測定器である(測定器の記述については D.1 参照)

備考  磁界にはひとつの主要な周波数成分があること,及びそれ以外の周波数成分が CENELEC のプ

レ規格 ENV 50166-1 [5]における基準を満足するのに十分に小さいこと(すなわち,誘導電流密

度が,J

i

/J

max

 < 0.3 を満たし,これに対応する不等式が B 及び E に対しても存在すること)を確

認できる適切な根拠がある場合,この規格の 5.1.3 及び 5.5.1 に規定したような平たんな周波数

応答特性をもつ磁界測定器を用いて測定してもよい。

−  測定器の周波数分解能は,周波数 f において 0.2f であることが望ましい。

−  測定器の強度レンジは,少なくとも商用周波数の第 7 次高調波の参照レベル[

(80/第 7 次の高調波周

波数)mT]から商用周波数の参照レベル[

(80/商用周波数)mT]までの範囲であることが望ましい。

−  測定器の周波数レンジは,商用周波磁界及び第 7 次までの高調波成分を把握するのに適切であること

が望ましい。

−  測定器の測定の不確かさは,±10%未満であることが望ましい(補償係数 2)

−  プローブの面積は,0.01 ㎡以下であることが望ましい。

−  磁界発生源と測定位置との距離が約 1m 以下である場合,コイルプローブの平均化効果に起因する測

定の不確かさに対する考察を実施することが望ましい

(B.1 及び表 B.1 参照)

不平等磁界においては,

プローブの寸法を報告し,顕著であれば平均化効果に起因する影響を評価することが望ましい。

−  3 軸プローブは胴体及び頭部のほぼ中心付近に置き,より広範囲の測定においては,大きな値が測定

される方の位置を測定位置と決定することが望ましい。

−  時間変動に関する情報を得るために,測定は,電気使用量が最大又はそれに近くなるときに,少なく

とも数日の間,24 時間にわたって 30 秒おきに測定を記録することが望ましい。

備考  主要な磁界発生源がひとつだけあり,負荷電流が時間の関数として既知である場合は,スポッ

ト測定の結果及び負荷電流の時間変動の情報から,磁束密度を時間の関数として求めてもよい。

−  記録したデータは,異なる周波数及び位置における磁束密度レベルの継続時間の計算及び報告に使用

することが望ましい。必要と考えられる場合は,他の統計情報を報告してもよい(5.4 参照)

− CENELEC の参照レベルを超える磁界への人体ばく露は,その位置にいた時間と,同位置において磁

界レベルが参照レベル以上となった時間の双方が一致する時間によって評価する。そのデータを用い

て,(17)式の基準を満たすかどうか,確認することが望ましい。

−  測定結果の報告書の一部として,測定場所の概略図を添付することが望ましい。測定位置を,例えば

×又は・で明示することが望ましい。測定器製造者,機器モデル名,シリアルナンバー,測定の総合

不確かさ(補償係数 2)

,校正又は校正の検証を行った最新の日付,測定日時,気象条件及び測定者を

記すことが望ましい。


52 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

 D.1  コイル形プローブの簡単な磁界測定器

記号 
  L

コイルのインダクタンス

  r

導線の抵抗

  C

漂遊容量

  R

D

検波回路の入力インピーダンス

 D.2  検波回路に接続したコイルプローブの近似的等価回路


53

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

どのデータ点とも,同じ部屋の 2 つの位置での測定を表す。1 つは部屋の中心での測定であり(横軸)

,もう一つは

特定しない他の場所での測定である(縦軸)

。相関係数は,居間及び台所について,それぞれ 0.789 及び 0.642 である。

相関係数 1 の場合,すべてのデータ点は同じ対角線上に乗る。

 D.3  77 軒の居間及び台所における,室内の中心における磁界と同じ部屋の他の場所における磁界の散

布図[62]


54 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

 D.4a  湿度が高く暑い日の測定

 D.4b  乾燥した寒い日の測定

 D.4  居間の中心における磁界の 24 時間測定


55

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

 D.5a  実効値 0.17µT の磁界波形のオシロスコープ画面の表示(垂直軸:0.2

µT/div,水平軸:5ms/div)

 D.5b  図 D.5a に示した波形の規格化した周波数分析器画面の表示(水平軸:200Hz/div)

 D.5  動作中の 26 インチカラーテレビの画面中心から 0.60m の距離における磁界波形のオシロスコー

プ画面及びこの波形の周波数分析器画面の表示


56 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

附属書 E(参考)電界強度測定器(電界測定器)−測定の手引き

この附属書(参考)は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではな

い。

E.1  電界測定器の一般的性質  電界強度測定器は,二つの部分から構成される。プローブ又は電界セン

サ部,及びプローブからの信号を処理し,アナログ又はディジタルの表示により電界強度の実効値をボル

ト/メートルの単位により表示する検波回路である。次の 3 つの形式の電界測定器について,この規格で

取り上げる。

a)  浮遊電位形電界測定器

b)  接地式電界測定器

c)  電気光学式電界測定器

電界強度の測定を行う場合,測定者は,プローブ位置における電界の大きなひずみを避けるために,十

分にプローブから離れることが望ましい(B.2.1 参照)。浮遊電位形電界測定器と電気光学式電界測定器は,

電界を発生させる境界表面,すなわち課電側及び接地側の表面の電荷分布のひずみを生じさせないよう,

十分に小さいことが望ましい。電界測定器は,ほぼ一様な電界中で校正されるが,測定電界はそれほど一

様である必要はない(B.2.8 参照)

。電界測定器は振動する(直線電界)又は回転する(回転だ円電界又は

回転円電界)電界ベクトルのプローブの電気軸(電界への最大感度をもつ軸)上への投影を測定する。合

成電界の測定には,3 軸の浮遊電位形電界測定器も利用できる。

E.2  動作原理   
E.2.1  浮遊電位形電界測定器  浮遊電位形電界測定器は,プローブが電界中に置かれたとき,電気的に絶

縁されたプローブの 2 つの導体電極間の定常状態の誘導電流又は振動する電荷を測定することによって,

電界強度を測定する。市販の浮遊電位形電界測定器では,通常検波回路はプローブに内蔵されているか,

又はプローブの積分回路の部分となっている。プローブ及び検波回路は,絶縁支持棒の端部において電界

中に支持される[11],[27]。浮遊電位形電界測定器は,携帯性に優れ,接地面の上方での測定が可能で,接

地参照電位が不要なことから,簡易な測定に適している。単軸及び 3 軸の浮遊電位形電界測定器が市販さ

れている。浮遊電位形電界測定器は,一般に電池で駆動する。

電界強度を遠隔表示させるように設計された浮遊電位形電界測定器もある。この場合,信号処理回路の

一部はプローブに内蔵され,検波回路の残りの部分は,アナログ又はディジタルの表示部をもつ別の筐体

に内蔵される。光ファイバによりプローブと表示部が接続される[19],[34]。

図 E.1 は,単軸の浮遊電位形電界測定器の形態を示す。浮遊電位形電界測定器の動作原理は,一様電界

E 中に配置した,帯電していない離れた 2 つの電極導体を考えることによって理解できる。電極の 1 つに

誘導される電荷は,次式で表される。

ò

=

2

S

dA

Q

n

D

 (19)

ここに,

は電気変位,


57

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

は電極表面に直交する方向の単位ベクトル,

dA

は全表面積

S

をもつ導体の半分にある面積素

である。

図 E.1a に示すような球形の場合,次のようになる。

E

a

Q

0

2

3

ε

π

=

 (20)

ここに,

0

ε

は真空の誘電率,

a

は球の半径[58]

である。

備考  表面電荷密度は

θ

ε

cos

3

0

E

で与えられる。半球全体にわたる積分によって(20)式が導かれる

([58]参照)

対称ではない形状の場合には次のように表される。

E

k

Q

0

ε

=

 (21)

ここに,

k

はプローブの形状に依存する定数である。

立方体や平行平板(図 E.1b 参照)のようなセンサ電極が用いられている。

t

E

ω

sin

0

のように(

ω

は角

周波数)

,電界強度が正弦波的な時間依存性をもつ場合,誘導される電荷は二つの電極間で振動し,電流は

次のようになる。

t

E

k

dt

dQ

I

ω

ωε

cos

0

0

=

=

 (22)

定数

k

は電界測定器の定数として考えられ,校正により決定される。もれインピーダンスに代表される

支持棒の影響と,測定者によるひずみについては,上記の議論では無視できるものとして扱った。

電界に高調波が含まれる場合には,(22)式の右辺には各高調波に対する項が追加される。(22)式の微分操

作により,追加されたいずれの項も高調波次数に関連した重みづけがなされる。磁界測定器のときと同じ

ように(D.2 参照)

,電界波形を復元するために,検波回路において,逆算,すなわち積分を行う必要があ

る。この操作は積分段を挿入することにより行われる。例えば,積分アンプ又は電圧計に接続された受動

的積分回路などを,検波回路として用いることができる。プローブと積分検波回路とを組合せた部分の周

波数応答は,対象とする周波数範囲にわたり平たんな特性であることが望ましい。対象周波数範囲外の信

号を除去するために,フィルタを用いることが望ましい。

E.2.2  接地式電界測定器  接地式電界測定器は,平らなプローブのセンサ表面の電流又は電荷を測定する

ことにより電界強度を測定する。このような電界測定器は通常,地表面又は接地電位をもつ平らな導体表

面における電界を測定するのに用いられる。2 通りのプローブの形状が用いられている。一つは平らな導

体単体であり,センサ表面としての役割をもつ絶縁された中央の区画をもつものである。この形式のプロ

ーブの小形版が,図 E.2a に示すように 2 層プリント基板を用いて製作されている。もう一つは,薄い絶縁

シートによって絶縁された二つの平行平板から構成される。この場合,上部の平板は図 E.2b に示すように,

センサ表面として働く。ガウスの法則から,面積 A のセンサ表面に誘起される電荷 Q は,次式で表される。

EA

Q

0

ε

=

 (23)


58 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

ここに,

E

はセンサ表面にわたる電界強度の平均値,

0

ε

は真空の誘電率

である。

E

の値が角周波数

ω

(すなわち

t

E

E

ω

sin

0

=

)で正弦波的に変動することを仮定すると,誘導電流は

次のようになる。

t

A

E

dt

dQ

I

ω

ωε

cos

0

0

=

=

 (24)

電界に高調波が含まれる場合,(24)式の右辺には,各高調波に対応する項が追加される。E.2.1 と同様に,

微分操作により,追加の項は対応する高調波の次数によって重み付けがなされる。電界波形を復元するた

めに,逆算,すなわち積分が必要となる。対象とする周波数にわたり,平たんな周波数応答を生じさせる

積分回路と電圧計の組合せは,検波回路として働く。対象周波数範囲外の信号を除去するために,フィル

タも検波回路の一部とすることが望ましい。接地式電界測定器は,電池又は電源で駆動してもよい。

平らなプローブをもつ電界測定器は,電圧を印加された表面と同じ電位で検波回路を動作させたるなら,

電気的に帯電した平らな表面の電界強度を測定するのに用いることができる。このような場合,検波回路

のアナログ表示又はディジタル表示の観測は,目視又は光ファイバーリンクを用いて,遠く離れて行うこ

とが望ましい。

E.2.3  電気光学式電界測定器  この規格で考慮する電気光学式電界測定器は,電界中に置かれたときポッ

ケルス効果を示すプローブを用いている。この形式の電界測定器は,次の点で浮遊電位形電界測定器に似

ている。すなわち,簡易な測定に適していること,地表面の上方でのほとんどの位置で測定可能なこと,

及び接地参照電位が不要なこと,などである。検波回路から切り離されたプローブは,絶縁支持棒によっ

て電界中に支持される。プローブと検波回路は光ファイバによって接続され,検波回路からの光が光ファ

イバを通してプローブを往復。一般に,プローブの寸法は,浮遊電位形電界測定器に較べて小さく(∼

0.02m),表面電荷分布をひずませる作用が小さいので,導体表面近傍での測定を可能としている。しかし,

寸法が小さいとはいえ,ポッケルス効果によるプローブは,電界に対する感度が浮遊電位形電界測定器の

感度(∼1V/m 以上)と比較して低く(∼5kV/m 以上)

,製作費用が高い。

図 E.3 は,ポッケルス効果によるプローブとその構成要素のスケッチを示すものである。検波回路から

発した光は光ファイバを通してプローブを往復して伝送される。電界 E は適切な方向を向いた誘電(ポッ

ケルス)結晶に複屈折を生じさせ,直線偏波光が[21]に示す原理にしたがい変調される。

( )

[

]

2

'

sin

1

F

E

I

I

i

t

+

=

 (25)

ここに,

t

I

は透過光,

i

I

は入射光,

'

E

は結晶中の電界,


59

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

F

I

c

n

e

3

2

π

λ

に等しい,

λ

は光の波長,

n

は屈折率,

I

は結晶の厚さ,

e

c

は結晶の電気−光変換係数

である。

式(25)を考える上で,結晶には固有の光学的な働きがないことを仮定している。

式(25)は,光変調の程度は結晶中の電界の関数,すなわち外部電界

E

に依存することを示している。光

の伝ぱが電界の波形に追随するため,電界中に存在し得る高調波に起因する信号を正しく処理するための

検波回路中の積分回路は不要となる。ポッケルス効果を使って電圧測定を行うために,ポッケルス結晶を

透明な電極で被覆することがある。電気光学式電界測定器は,電池又は電源駆動となる。

E.3  測定の目的と方法  この節では,電界測定プロトコルの開発に関心をもつ読者の助けとし,特定の

測定目的を達成するための,電界測定の異なる手法について記述する。磁界測定計画の作成において考慮

した多くの事柄が,電界測定についてもあてはまるので,D.3 も参照することが望ましい。例えば,測定

の目的を先に定める要求及び先行調査を行う可能性は,先に述べたのと同様の理由により適用できる。

電界への人体ばく露の直接測定は,磁界ばく露を得るのに比べ非常に複雑である。人体の表面で電界を

測定し記録する小形の単軸ばく露量計 [6]は,容易には入手できないからである。また,人体によって電

界がひずんでしまうので,記録された電界の値は,人体上の電界測定器の位置や人体の方向に対して非常

に感度が高くなってしまう。このような測定器は,人体表面上の特定の位置における電界の“集中係数”

を把握するのに用いられてきた。すなわち,垂直電界中の人体の異なる位置や方向に対し,人体表面上の

ひずんだ電界の,ひずみのない電界に対する比である[6]。

備考  上半身全域の平均電界を検知するプローブとして,導電性ベストを着用するばく露量測定シス

テムが,文献に示されている[12]。

垂直電界中の人体及び動物の集中係数が,他の研究者によっても報告されている[11],[66]。集中係数は,

in vivo(参考  生物体内)の生物研究においてばく露条件を検討する際に,動物実験の際の動物種間に対

応する電界のスケーリングにおいて用いられる。in vivo(及び in vitro(参考  試験管内)

)の生物研究のた

めに適切にスケーリングされたひずみのない電界の特徴づけが,商用周波電界へのばく露の影響を調査す

る手段となってきた。ひずみのない電界の測定も,電界ばく露の規制値を定めた文書によって要求されて

いる[5],[29]。このため,この規格においては,ひずみのない電界の把握に焦点を当てる。

備考 [51]及び[28]に書かれている重要な例外は,地表面の上方に設置した接地式電界測定器を用いて

画面表示装置からのひずんだ電界の測定を要求するものである。この方法の原理は,平らな円

形平板である接地されたプローブが,接地された画面表示装置オペレータの表面を近似してい

るということである。ひずんだ電界の測定値とオペレータ表面における電界値との関係は,未

知である(目的(i)も参照)

かつては,主として電力線や関連する高圧機器から発生する垂直電界に関心が集まっていたことに注目

することが望ましい。このような発生源からの電界は,10kV/m を超えることがあり[1](参考  日本にお

いては,特別高圧の架空電線路は,田畑,山林その他の人の往来が少ない場所において,人体に危害を及


60 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

ぼすおそれがないように施設する場合を除き,地表上 1m における電界強度が 3kV/m 以下になるように施

設するよう規定されている。

,一般に住居で典型的に見られる電界よりもはるかに大きいものである。住

居においては,電界値は数百ボルト/メートル(例えば電気毛布近傍)から,電気製品から離れた位置で

の数ボルト/メートル未満の値までに分布する[4]。

次に示すのは,測定の目的のリストとこれらを達成するための考えられる測定手法である。磁界の把握

のときと同じように(D.3 参照)

,目的とその手法は多岐にわたるので,これらのリストが完全であると考

えないことが望ましい。どの目的においても,測定器の通過帯域は,測定対象の周波数を包含するように

選ぶ(目的(g)参照)

目的

(a)

:電界レベルの把握

周波数や方向の関数としての,許容される電界の限度値が,多くの文書に記されているが[5],[29],こ

れらの限度値では,特定のエリアにおける最大の電界レベル及び方向を把握することを要求している。

方法:

  浮遊電位形電界測定器及び電気光学式電界測定器が,最大電界又は合成電界のスポット測定に用

いられる。接地式電界測定器は,地表面又は接地電位の表面における測定に用いることが望ましい。電力

線近傍の地表面付近の,支配的な垂直成分の商用周波電界の測定手引きが存在する[22],[27]。垂直電界が

よく測定されるが,これは,地表面近傍における物体中の誘導効果の計算に用いられる量であることによ

る[9]。電力線からの磁界のスポット測定とは異なり,電界の場合,電圧がほぼ一定であるので,測定値は

それほど大きく変化しない(大きな負荷電流に起因する発熱のために電線がたるむと,電界レベルも高く

なる)

電界の分布が定義しづらい,電力線から離れた位置での商用周波電界の測定に関する幾つかの手引きが

[22]に示されている。近接効果(図 B.2 参照)を規定するのに利用されるのと同様な配置が,測定を行う

際にも利用できる。電界レベルの範囲の評価は,対象エリアにおいて,すべての電気製品及び機器の電源

を入れた状態と電源を切った状態でのスポット測定を行うことによって得られる[4]。

目的

(b)

:空間分布の把握

電力線から離れた位置での電界の空間分布は,一般に未知である。電界発生源(課電導体)の発生する

電界の空間依存性が,幾つかの場合においては磁界と同じであるため,ほとんどの環境において交流電界

は不平等となる。

方法:

  空間分布の測定には,座標位置の関数として電界成分を記録することが求められる。電力線近傍

や[22],[27],画面表示装置近傍[28],[51]におけるこのような電界測定についての規格が存在する。これ

らの測定には簡易式測定器を用いればよいが,

“測定用車輪”をもつ測定器を利用することもでき,車輪の

進行を妨げるものがない環境における,電界の空間分布が把握できる。車輪が回転すると,浮遊電位形電

界測定器に周期的にトリガをかけ,電界(成分)の波形を捕捉し,光ファイバーケーブルを通して,デー

タ保存のために検波回路部へ伝送する。このような測定器に備わるソフトウェアによって,電界強度の空

間分布,等電界線,電界レベルの統計解析値などの図表を作成することができる。これらのデータでは,

繰り返し測定を行わない限り,長期間にわたる電界の時間変動を捉えることはできない。プローブがプラ

スチックや合成繊維など,帯電した面を動いて通過すると,電界の変動が生じることがある。

目的

(c)

:時間変動の把握

一般に電界の時間変動は,磁界ほどは大きくならない。電界は課電された導体から生じる。ある位置に

おける電界は,測定位置の近傍にある,すべての課電導体から発生する電界のベクトル和となる。建材に

よるシールド効果は,天候の条件に左右され(例えば,雨天時の濡れた構造物など)

,変動に寄与する。導

電性物体(自動車やトラックなど)が測定位置の近くを通ったとき,短期的な変動が生じるであろう。


61

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

方法:

  浮遊電位形電界測定器は,空間のある場所において周期的に電界を記録し,時間変動を把握する

ための解析に利用可能である(目的(b)参照)

。接地式電界測定器は,市販のデータ記録装置と共に用いて,

後日の解析のために接地された表面における電界を記録する。対象とする周波数に対して,測定器の通過

帯域は適切であることが望ましい(目的(g)参照)

目的

(d)

:電界の時間加重平均の把握

(参考  記述なし)

目的

(e)

:電界の間欠性の把握

(参考  記述なし)

目的

(f)

:特定の値を超える電界レベルの把握

方法:

  これらのパラメータは,データを記録する機能をもつ電界測定器によって収集されたデータを解

析することにより,対象とする時間間隔に対して,定められる。

目的

(g)

:電界の周波数成分の把握

電界への暴露の限度値が,周波数の関数として定められているので[5],[29],周波数成分の把握は重要

な目的である。

方法:

  電界波形を周期的に記録する市販の浮遊電位形電界測定器には,ソフトウェアが附属され,記録

データから周波数成分を把握することができる。接地式電界測定器からの信号は,周波数分析器と共に,

接地表面における電界の周波数成分を把握するために用いられる。ある周波数に同調した 3 軸の浮遊電位

形電界測定器が開発中である。対象とする周波数に対して,測定器の通過帯域は適切であることが望まし

い。

目的

(h)

:回転電界の把握

電界の完全な把握のためには,ある周波数における回転電界の定量化が必要となる。

方法:

  空間のある位置における回転電界を把握するために,だ円電界の半長径や半短径の実効値を測定

する,単軸の浮遊電位形及び電気光学式の電界測定器が用いられる。回転電界の様相を表示できる 3 軸の

浮遊電位形電界測定器が開発中である。先に述べたように,この手順において,電界のひとつの周波数成

分だけが測定されることを仮定している。電界中に他の周波数がある場合,回転する電界ベクトルは,単

純なだ円軌跡を描かなくなる。電力線近傍での回転電界の様相を把握するための手引きがある[22],[27]。

目的

(i)

:人体への電界ばく露の把握

方法:

  ひとつ又は複数の電界パラメータを把握すること(例えば目的(a)から(h))と,これらのパラメー

タへのばく露を把握することとは区別することが望ましい。先に議論したとおり,電界ばく露量計は簡単

に入手できず,また記録されるデータの解釈は難しいので,電界ばく露の履歴を直接把握することは難し

い。したがって,ひずみのない電界であれば,目的(a)から(h)で考慮したような関心のある幾つかのパラメ

ータにより特徴づけるのがよいであろう。特定のエリアにおけるひとつ以上のパラメータに対するばく露

の評価は,そのエリアにおける空間的,時間的な測定及び人間の行動パターンを記述する情報の組合せに

よって行うことができる。ある研究において,この方法から,

“行動ファクタ”の定義が導かれた。これは,

農業の環境における長期の電界ばく露を評価するための手順の一部として用いられた[12]。人体表面にお

ける電界強度は,対象とする電界分布に対して,先に定義した集中係数を用いることにより評価できる。

固定された電界分布に対して,

人体の動きが制限された場合,人体表面におけるひずんだ電界の強度は,

マネキンの外表面に導電性のコーティングをし,電気的に絶縁された平らなプローブやセンサをマネキン

の関心のある部分の表面に取り付けることにより把握することができる[11]。マネキンとプローブの検波

回路の参照電位は同一に保つ必要があり,実際の環境における一般的な条件にほぼ合致するように,これ

を変化させる。データ記録装置を用いて検波回路からの出力信号を記録することにより,ひずんだ電界の

時間変動に関する情報を得ることができる。


62 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

E.4  電界測定プロトコルの例  変電所における電界に対する人体のばく露量を測定するプロトコルの例

を次に示す。プロトコル開発の手順の一部として,これを達成するための測定の目的及び方法を明確に示

す。次に示す測定手順は,他の目的で他の環境において使用されるものとは大きく異なることに注意する

ことが望ましい。

例えば,

異なるばく露基準及び人体との相対的な測定位置が対象となるかもしれないし,

商用周波数以外の周波数が重要となるかもしれない。しかし,この例は人体ばく露を特徴づける測定プロ

トコルの本質的な要素を記述する。すなわち,目的の明示及び測定プロトコルの順を追った要求の記述で

ある。電界を特徴づける他の目的及び手法に関する補足的な議論は E.3 に示されている。

備考  同じ測定の目的を達成するためには他の方法もある。

目的:

  測定の目的は,交流電界の参照レベル[5]よりも大きい電界レベルに変電所内で仕事をする人が遭

遇するかどうか,及びばく露時間が CENELEC のプレ規格 ENV 50166-1 [5]に記された限度値を越えるかど

うか,を調べることである。把握する電界パラメータは,時間の関数として表した垂直方向及び最大水平

方向のひずみのない電界成分である。人体に平行な電界に対する,CENELEC の電界の参照レベル E

RL

は,

50Hz 及び 60Hz においてそれぞれ 30kV/m 及び 25kV/m である。人体に直交する電界が支配的な場合及び

誘導電流が所定の要求を満たす場合には,この参照レベルを超えてもよい[5]。

CENELEC のプレ規格[5]によれば,D.4 で議論したとおり,周波数の関数として磁束密度の把握と(17)

式,(18)式を満たすことも要求している。

次の条件を仮定する:変電所に勤務する人の日常業務は,着席しているだけでなく,変電所内を動き回

ることもある。電界発生源の位置は,ふつう既知であり,気温と相対湿度は 6.1.4 に記述した範囲内にあ

る。さらに,高調波含有率は 5%未満であり,電界の実効値に対する寄与は無視できることを仮定する。

方法:

  はじめに,高い電界レベルとなる位置を特定するために,合成電界の空間分布のスポット測定を

することにより予備調査を行うことが望ましい。測定には,次の項目を満たす単軸又は 3 軸の浮遊電位形

電界測定器,若しくは電気光学式電界測定器を用いることが望ましい(測定器の記述については,E.1 参

照)

−  通過帯域には商用周波数を含むことが望ましい

−  測定器の強度レンジは,少なくとも数ボルト/メートルから 30kV/m までを含むことが望ましい

−  測定器の不確かさは,±10%未満であることが望ましい(補償係数 2)

−  電界プローブは,地表又は建物の床面から 1m の高さに設置することが望ましい

−  プローブが導体表面からプローブ径の 2 倍以内の距離にある場合,近接効果の鏡像電界に起因する測

定の不確かさを考慮することが望ましい(B.2.3 参照)

−  測定者の近接効果が無視できることが望ましい(B.2.1 参照)

−  合成電界が参照レベルと等しいか,これを超える場所においては,垂直及び最大水平電界成分を把握

することが望ましい

− CENELEC

[5]に従い,電界へのばく露制限は,垂直電界が CENELEC [5]の参照レベル E

RL

を超えるか

どうかに注意して決めることが望ましい

備考  このプロトコルでは,ほとんどの場合,垂直電界は人体に平行であることを仮定している。先

に述べたように,ある条件下では,人体に直交する電界が E

RL

を超えることもある。

−  磁束密度レベルが高くなる場所では,(18)式で与えられる基準に従って,電界の記録値を磁界の値(周

波数の関数として,5.5.2 参照)と共に考慮することが望ましい

−  合成電界が 10kV/m を超える場所においては,CENELEC [5]のばく露時間制限(8 時間の就業時間内に


63

C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

おける)が,測定した電界値と,t≦80/E

R

の関係から決定される。ここに E

R

の単位はキロボルト/メ

ートルであり,t の単位は時間である。

−  測定結果の文書の一部として,

測定を行った場所のスケッチを用意することが望ましい。

測定位置を,

例えば×又は・で明示することが望ましい。製造者,測定器モデル,シリアルナンバー,総合測定不

確かさ(補償係数 2)

,校正又は校正の検証を行った最新の日付,並びに測定者を記すことが望ましい。

 E.1a  球形の浮遊電位形電界測定器

 E.1b  市販の単軸電界測定器

 E.1  単軸の浮遊電位形電界測定器


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 E.2a  2 層プリント基板からなる平板プローブ

 E.2b  絶縁シートで隔てられた平行平板からなる平板プローブ

 E.2  接地式電界測定器とともに用いる平板プローブ


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ポッケルス結晶及び他の光学素子を通過する際の光の振幅変調は,電界 E の尺度となる。

 E.3  ポッケルス効果電界測定器のプローブ


66 
C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

附属書 F(参考)静磁界測定器

この附属書(参考)は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではな

い。

この附属書の目的は,さまざまな測定技術を適用した種々の市販の測定器によって,静磁界の測定が正

しく行われるように記述することである[37]。例えば,フラックスゲート式磁界測定器,核磁気共鳴(NMR)

磁界測定器,ホール効果磁界測定器及び超電導量子干渉素子(SQUID)磁界測定器などが入手できるもの

の一部である。

フラックスゲート式磁界測定器及びホール効果磁界測定器は,規格本文で考慮した測定環境において予

想される範囲の静磁界を把握するのに用いられる。フラックスゲート式磁界測定器は,0.1

µT(又はそれ以

下)から 0.01T の範囲の磁界を測定するに適切な感度をもち,ホール効果磁界測定器は 100

µT から 10T の

レベルの測定を容易に行うことができる[37]。

例えば,0.005T から 2T の比較的強い磁界レベルにおける校正に使用する,標準の参照用マグネットが

市販されている。A.1 に示したようなコイルシステムに直接電流を注入することにより,既知の弱い静磁

界を発生させることができる。しかしながら,校正磁界と比較して背景の静磁界が十分に大きい場合,こ

の影響を考慮することが望ましい。標準の参照用マグネットには,外部磁界によるひずみを防ぐための磁

気シールドが付属している。背景の静磁界は,補助コイルセットを用いることにより打ち消してもよい。

校正コイルシステムの軸を東西方向に向けて設置することにより,地磁気の影響は軽減する。

非常に精度の高い NMR 磁界測定器が参照用の標準として使用できることは,注目すべきことである。


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C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

附属書 G(参考)単位

この附属書(参考)は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではな

い。

G.1  単位  国際単位系(SI 単位)及び SI 単位から導出される単位の使用が推奨される。一般に用いられ

る,SI 単位及び SI から導出される単位を以下に記す。

他の単位については,ISO 10001992 [30]参照。

G.2  SI 単位と SI 単位から導出される単位

時間:    秒(s)

電位:    ボルト(V)

          キロボルト(kV)

電流:    アンペア(A)

抵抗:    オーム(

Ω)

インダクタンス:ヘンリー(H)

電界強度:ボルト/メートル(V/m)

磁束密度:テスラ(T)

磁界強度:アンペア/メートル(A/m)

G.3  便利な物理定数

透磁率定数

µ

0

:4

π×10

-7

H/m

誘電率定数

ε

0

:8.854×10

-12

F/m


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C 1910:2004 (IEC 61786:1998)

附属書 H(参考)参考文献

この附属書(参考)は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではな

い。

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