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C 1400-24

:2014

(1)

目  次

ページ

序文

1

1  適用範囲

1

2  引用規格

1

3  用語及び定義

3

4  記号及び単位

8

5  略語

11

6  風車の雷環境

12

6.1  一般

12

6.2  雷パラメータ及び雷保護レベル(LPL

12

7  雷被害影響評価

13

7.1  一般

13

7.2  風車に影響を与える落雷数の評価

14

7.3  被害リスクの評価

17

8  風車構成部品の雷保護

19

8.1  一般

19

8.2  翼

19

8.3  ナセル及び他の構造用部品

22

8.4  機械的動力伝達装置及びヨーシステム

23

8.5  低圧電気システム並びに電子システム及び装置

25

8.6  高圧電力系統

29

9  風車及びウィンドファームの接地

30

9.1  一般

30

9.2  等電位ボンディング

32

9.3  構造用部品

32

9.4  接地極の形状寸法

34

9.5  ウィンドファーム

35

9.6  接地システムの設計・施工及び保守

35

10  人体の安全性

35

11  雷保護システムの文書化

37

11.1  一般

37

11.2  設計評価のときに必要な文書化

37

11.3  サイト固有の情報

38

11.4  LPS 点検用に提供する文書

39

11.5  マニュアル

39

12  雷保護システムの点検

39


C 1400-24

:2014  目次

(2)

ページ

12.1  点検の範囲

39

12.2  点検の順序

39

12.3  保守

41

附属書 A(参考)風車に関連した雷現象

42

附属書 B(参考)雷被害影響評価

52

附属書 C(参考)翼の保護方法

66

附属書 D(参考)試験仕様書

77

附属書 E(参考)風車における雷保護ゾーン(LPZ)概念の適用

97

附属書 F(参考)風車における協調のとれた SPD 保護の選定及び設置

102

附属書 G(参考)ボンディング,遮蔽及び設置手法に関する追加情報

106

附属書 H(参考)システムレベルのイミュニティ試験の試験方法

110

附属書 I(参考)接地システム

112

附属書 J(参考)測定点の定義例

119

附属書 K(参考)雷被害に関する一般的なアンケート

121

附属書 L(参考)監視システム

124

附属書 M(参考)小規模風車のための指針

125

附属書 N(参考)参考文献

126

附属書 JA(規定)雷電荷量の大きな雷について

130

附属書 JB(参考)JIS と対応国際規格との対比表

132


C 1400-24

:2014

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まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人日本電機工業会(JEMA)から,

工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経

済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS C 1400 の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS C 1400-0  風力発電システム−第 0 部:風力発電用語 
JIS C 1400-1  風車−第 1 部:設計要件

JIS C 1400-2  風車−第 2 部:小形風車の設計要件 
JIS C 1400-3  風車−第 3 部:洋上風車の設計要件 
JIS C 1400-11  風力発電システム−第 11 部:騒音測定方法

JIS C 1400-12-1  風車−第 12-1 部:発電用風車の性能試験方法 
JIS C 1400-21  風力発電システム−第 21 部:系統連系風車の電力品質特性の測定及び評価 
JIS C 1400-22  風車−第 22 部:風車の適合性試験及び認証

JIS C 1400-24  風車−第 24 部:雷保護


日本工業規格

JIS

 C

1400-24

:2014

風車−第 24 部:雷保護

Wind turbines-Part 24: Lightning protection

序文

この規格は,2010 年に第 1 版として発行された IEC 61400-24 を基とし,我が国の設置環境を考慮して

技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,

附属書 JB に示す。また,附属書 JA は対応国際規格にはない事項であ

る。

1

適用範囲

この規格は,風力発電装置及び風力発電システムの雷保護について規定する。小規模風車の雷保護につ

いては,

附属書 に指針を示す。

雷保護,機械及び設備用の低圧及び高圧システム,並びに電磁両立性(EMC)に関する一般的な規格を

引用する。

この規格は,風車に対する雷環境及び風車のリスク評価を行うための適用条件について規定する。翼,

その他の構造部品,並びに電気及び制御システムを,雷による直接的及び間接的な影響から保護するため

の要求事項を規定する。また,適合性を検証するための試験方法を推奨する。

接地を含めた適用可能な雷保護,工業,電気及び EMC 規格の利用に関する指針を示す。

人体の安全性に関する指針を示す。

被害の統計及び報告のための指針を示す。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 61400-24:2010,Wind turbines−Part 24: Lightning protection(MOD)

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“修正している”

ことを示す。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS A 4201  建築物等の雷保護

注記  対応国際規格:IEC 61024-1:1990,Protection of structures against lightning−Part 1: General

principles(MOD)

JIS C 1400-0  風力発電システム−第 0 部:風力発電用語


2

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JIS C 5381-11  低圧サージ防護デバイス−第 11 部:低圧配電システムに接続する低圧サージ防護デバ

イスの要求性能及び試験方法

JIS C 5381-12  低圧サージ防護デバイス−第 12 部:低圧配電システムに接続する低圧サージ防護デバ

イスの選定及び適用基準

注記  対応国際規格:IEC 61643-12,Low-voltage surge protective devices−Part 12: Surge protective

devices connected to low-voltage power distribution systems−Selection and application principles

(IDT)

JIS C 5381-21  低圧サージ防護デバイス−第 21 部:通信及び信号回線に接続するサージ防護デバイス

(SPD)の要求性能及び試験方法

注記  対応国際規格:IEC 61643-21,Low voltage surge protective devices−Part 21: Surge protective

devices connected to telecommunications and signalling networks−Performance requirements and

testing methods(IDT)

JIS C 5381-22  通信及び信号回線に接続するサージ防護デバイスの選定及び適用基準

注記  対応国際規格:IEC 61643-22,Low-voltage surge protective devices−Part 22: Surge protective

devices connected to telecommunications and signalling networks − Selection and application 
principles(IDT)

JIS C 60068(全ての部)  環境試験方法

注記  対応国際規格:IEC 60068 (all parts),Environmental testing(MOD)

JIS C 60364-4-44  低圧電気設備−第 4-44 部:安全保護−妨害電圧及び電磁妨害に対する保護

注記  対応国際規格:IEC 60364-4-44,Low-voltage electrical installations−Part 4-44: Protection for

safety−Protection against voltage disturbances and electromagnetic disturbances(IDT)

JIS C 60364-5-53  建築電気設備−第 5-53 部:電気機器の選定及び施工−断路,開閉及び制御

注記  対応国際規格:IEC 60364-5-53:2001,Electrical installations of buildings−Part 5-53: Selection and

erection of electrical equipment−Isolation, switching and control 及び Amendment 1:2002(IDT)

JIS C 60664-1  低圧系統内機器の絶縁協調−第 1 部:基本原則,要求事項及び試験

注記  対応国際規格:IEC 60664-1,Insulation coordination for equipment within low-voltage systems−

Part 1: Principles, requirements and tests(IDT)

JIS C 61000-4-5  電磁両立性−第 4-5 部:試験及び測定技術−サージイミュニティ試験

注記  対応国際規格:IEC 61000-4-5,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4-5: Testing and

measurement techniques−Surge immunity test(IDT)

JIS Z 9290-4:2009  雷保護−第 4 部:建築物内の電気及び電子システム

注記  対応国際規格:IEC 62305-4:2006,Protection against lightning−Part 4: Electrical and electronic

systems within structures(IDT)

IEC 60060-1:1989,High-voltage test techniques−Part 1: General definitions and test requirements 
IEC 60071 (all parts),Insulation co-ordination

IEC 60071-2:1996,Insulation co-ordination−Part 2: Application guide 
IEC 60099-4,Surge arresters−Part 4: Metal-oxide surge arresters without gaps for a.c. systems 
IEC 60099-5,Surge arresters−Part 5: Selection and application recommendations 
IEC 60204-1,Safety of machinery−Electrical equipment of machines−Part 1: General requirements 
IEC 60204-11,Safety of machinery−Electrical equipment of machines−Part 11: Requirements for HV


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equipment for voltages above 1 000 V a.c. or 1 500 V d.c. and not exceeding 36 kV

IEC 60243-1,Electrical strength of insulating materials−Test methods−Part 1: Tests at power frequencies

IEC 60243-3,Electric strength of insulating materials−Test methods−Part 3: Additional requirements for

1.2/50 impulse tests

IEC 60464-2,Varnishes used for electrical insulation−Part 2: Methods of test

IEC 60587,Electrical insulating materials used under severe ambient conditions−Test methods for evaluating

resistance to tracking and erosion

IEC/TS 61400-23,Wind turbine generator systems−Part 23: Full-scale structural testing of rotor blades

IEC 62153-4-3,Metallic communication cable test methods−Part 4-3: Electromagnetic compatibility (EMC)

−Surface transfer impedance−Triaxial method

IEC 62305-1:2006,Protection against lightning−Part 1: General principles

IEC 62305-2:2006,Protection against lightning−Part 2: Risk management 
IEC 62305-3:2006,Protection against lightning−Part 3: Physical damage to structures and life hazard 
IEC 62561-1,Lightning protection system components (LPSC)−Part 1: Requirements for connection

components

ITU-T K.20,Resistibility of telecommunication equipment installed in a telecommunications centre to

overvoltages and overcurrents

ITU-T K.21,Resistibility of telecommunications equipment installed in customer premises to overvoltages and

overcurrents

3

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS C 1400-0 によるほか,次による。

3.1

受雷部システム(air-termination system)

落雷を捕捉する目的で,突針,メッシュ導体,水平導体などの金属製構成要素を利用した外部 LPS の一

部。

3.2

短時間雷撃電流の波頭しゅん(峻)度の平均値(average steepness of the front of short stroke current)

時間間隔 Δtt

2

t

1

における電流の変化率の平均値。

注記  時間間隔の始まり t

1

及び終わり t

2

の電流値の差 Δii(t

2

)−i(t

1

)を時間間隔 Δtt

2

t

1

で除した値

で表現する(

図 A.3 参照)。

3.3

ボンディング用バー(bonding bar)

金属製工作物,電力線,通信線及びその他のケーブルを LPS に接続することができるバー。

3.4

捕集面積,A

d

(collection area)

構造物の場合,構造物と同じ年間平均落雷数をもつ地表面積。

3.5

コネクティングリーダ(connecting leader)

頭上の電荷雲又は構造物に接近する下向きリーダによって生じる外部電界への反応として,構造物から


4

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発生する雷リーダ。

3.6

等価接地インピーダンス(conventional earthing impedance)

接地電圧のピーク値の接地電流のピーク値に対する比。一般にこれらは,同時には現れない。

3.7

協調がとれた SPD 保護(coordinated SPD protection)

電気及び電子システムの永久故障を低減するために適切に選定し,協調がとれるようにして,設置した

SPD の組合せ。

注記 SPD 保護の協調には,システム全体の絶縁協調を実現するため,接続回路を含める。

3.8

引下げ導線システム(down-conductor system)

雷電流を受雷部システムから接地システムに導くことを意図した外部 LPS の一部。

3.9

下向きの落雷(downward flash)

雲から大地への下向きリーダによって開始する落雷。

注記  下向きの落雷は,第 1 短時間雷撃,及びそれに引続き発生することがある後続短時間雷撃から

なる。一つ以上の短時間雷撃に引続き長時間雷撃が起こることもある。

3.10

接地極(earth electrode)

大地と直接電気的に接触し,雷電流を大地へ放流させるための接地システムの部分又はその集合。

3.11

接地システム(earth termination system)

雷電流を大地へ伝導し,放流するための外部 LPS(3.27 参照)の部分。

3.12

実効的な高さ,H(effective height)

風車の翼が到達する最も高い点の高さ。すなわち,ハブ高さとロータ半径との和。

3.13

外部雷保護システム(external lightning protection system)

受雷部システム,引下げ導線システム及び接地システムで構成する LPS の一部。

注記  引下げ導線は,風車の翼内に配置する場合が多い。

3.14

落雷の電荷量,Q

flash

(flash charge)

放電の継続時間全域に対する雷電流の時間積分。

3.15

基礎接地極(foundation earth electrode)

構造物の基礎の鉄筋又はコンクリート基礎に埋め込む追加の導体で,接地極として用いられるもの。

3.16

落雷密度,N

g

(ground flash density)

構造物が位置する地域において,年間に 1 平方キロメートル当たりに落ちる落雷の数。


5

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3.17

内部雷保護システム(internal lightning protection system)

雷保護等電位ボンディング,及び/又は外部 LPS との電気的絶縁によって構成する,LPS の一部。

注記  離隔距離,及び被保護構造物内部における雷電流による電磁的影響の低減に,適合している場

合,内部雷保護システムの一部として考慮できる。

3.18

捕捉効率(interception efficiency)

LPS の受雷部システムが落雷を捕捉できる確率。

3.19

リーダ結合点(leader connection point)

試験対象と高電圧電極との間の空隙において,正極性リーダ及び負極性リーダが交わって放電が開始す

る場所。

3.20

LEMP 保護対策,SPM 

1)

(LEMP protection measures system)

内部システムのための LEMP に対する保護対策の全システム。

1)

 LEMP 保護対策の略称については,IEC 61400-24 の 3.20 では“LEMP 保護対策(LPMS)”と規

定しているが,IEC 62305 規格群の最新版では,LPMS を SPM に変更している。これを受けて,

JIS Z 9290-1 でも SPM に変更する見込みであることから,この規格でも SPM に変更した。

3.21

雷電流,i(lightning current)

雷撃点に流れる電流。

3.22

雷電磁インパルス,LEMP(lightning electromagnetic impulse)

雷電流によって発生する電磁気的な作用。

注記  伝導サージ及び放射されたパルス状電磁界現象を含む。

3.23

雷保護等電位ボンディング(lightning equipotential bonding)

雷電流によって発生する電位差を低減するために,分離した金属部品を,直接的に導電接続した LPS へ

のボンディング,又はサージ防護デバイスを介して接続した LPS へのボンディング。

3.24

構造物への落雷(lightning flash to a structure)

被保護構造物への落雷。

3.25

落雷(lightning flash to earth)

雲と大地との間に発生する大気中の電気的放電。1 回以上の雷撃からなる。

注記  負極性放電では,負の電荷が雷雲から大地へ下向きに放電する。正極性放電では,結果的に雷

雲から大地へ正の電荷が移動する。

3.26

雷保護レベル,LPL(lightning protection level)

自然界で発生する雷において,想定する最大及び最小設計値を超えない発生確率に関与した雷電流パラ


6

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メータ値の組合せに関係する数値。

注記  雷保護レベルは,関連する雷電流パラメータの組合せによって保護対策を設計するために用い

る。

3.27

雷保護システム,LPS(lightning protection system)

建築物への落雷による物的損傷を低減するための完全なシステム。

注記 LPS は,外部及び内部雷保護システムの両方で構成する。

3.28

雷保護ゾーン,LPZ(lightning protection zone)

雷の電磁気的環境を定義したゾーン。

注記 LPZ のゾーンの境界は,物理的境界(例えば,壁,床及び天井)である必要はない。

3.29

雷撃(lightning stroke)

大地への落雷における 1 回の電気的放電。

3.30

長時間雷撃(long stroke)

継続電流に相当する落雷の一部。

注記  この継続電流の継続時間 T

long

(波頭部 10 %値から波尾部 10 %値までの時間)は,普通 2 ms 以

上 1 s 以下である(

図 A.4 参照)。

3.31

電磁遮蔽(magnetic shield)

電気及び電子システムの故障を低減するために用いる被保護構造物又はその一部を囲う,閉鎖形で金属

製の,格子状又は連続した遮蔽物。

注記  磁界の減衰によって電磁遮蔽の保護効果が得られる。

3.32

金属製工作物(metal installations)

構造内の金属製部品で,ナセル台板,エレベータガイドレール及びワイヤ,はしご,踏み台,相互接続

した鉄筋など,雷電流の経路を形成する可能性があるもの。

3.33

多重雷撃(multiple strokes)

平均 3 回から 4 回の雷撃からなる落雷。雷撃間の代表的な間隔は,50 ms である。

注記  雷撃間の間隔が 10 ms∼250 ms である数十回の雷撃事例の報告がある。

3.34

雷保護システムの構造体利用構成部材(natural component of an LPS)

その目的のために特別に設置したものではないが,雷保護機能を果たす構成部材。

注記  この用語の使用例を,次に示す。

−  構造体利用受雷部

−  構造体利用引下げ導線

−  構造体利用接地極


7

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3.35

構造物への落雷による危険事象数,N

d

(number of dangerous events due to flashes to a structure)

構造物への落雷による危険事象の年間平均落雷数の推定値。

3.36

ピーク値,I(peak value)

雷電流の最大値。

3.37

雷撃点(point of strike)

大地又は突き出た物体の,雷撃があった場所(突き出た物体の例:建築物,LPS,引込線,樹木など)

注記  一つの落雷は,複数の雷撃点をもつことがある。

3.38

レセプタ(receptor)

翼表面を通って引下げ導線システムに接続した個別の金属製スタッドなど,風車翼上の受雷部品類。

3.39

リスク,R(risk)

雷による想定年間損失(人及び物)の平均値。被保護対象物(人及び物)の全体の価値に関係する。

3.40

離隔距離(separation distance)

危険な火花放電が発生しない二つの導電性部品間の距離。

3.41

引込線(service line)

被保護構造物に接続する電力線又は通信線。

3.42

短時間雷撃(short stroke)

インパルス電流に相当する落雷の一部。

注記  この電流は,通常 2 ms 以下の波尾長 T

2

をもつ(

図 A.3 参照)。

3.43

I

imp

で試験をした SPD(SPD tested with I

imp

代表波形 10/350 μs をもつ部分雷電流に対応するインパルス電流 I

imp

に耐える SPD。

注記  電源回路に対し,適切な試験電流 I

imp

は,JIS C 5381-11 のクラス I 試験方法に規定している。

3.44

I

n

で試験をした SPD(SPD tested with I

n

代表波形 8/20 μs をもつ誘導サージ電流に対応する公称放電電流 I

n

に耐える SPD。

注記  電源回路に対する適切な試験電流 I

n

は,JIS C 5381-11 のクラス II 試験方法に規定している。

3.45

比エネルギー,W/R(specific energy)

落雷継続時間全域にわたる電流の二乗の時間積分。

注記  単位抵抗当たりの雷電流によるエネルギー消費量を示す。

3.46

雷サージ(surges)


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LEMP に起因する過渡的な過電圧及び/又は過電流。

注記 1 LEMP に起因する雷サージは,雷電流(全電流及びその一部),配線ループ内での誘導作用及

び SPD の後段側に残留した過電圧から発生することがある。

注記 2  開閉操作,ヒューズ操作などのその他の発生源からサージが生じる場合がある。

3.47

サージ防護デバイス,SPD(surge protective device)

過渡的過電圧を制限し,サージ電流を分流するためのデバイス。1 個以上の非線形素子などからなる。

3.48

年間雷雨日数,T

d

(thunderstorm days)

IKL 図から得られる年間雷雨日の数。

3.49

許容リスク,R

T

(tolerable risk)

被保護対象物について許容することのできるリスクの最大値。

3.50

上向きの落雷(upward flash)

接地した建築物から雲に向かう上向きリーダによって開始する落雷。

注記  上向きの落雷は,第 1 長時間雷撃からなる。この長時間雷撃には,短時間雷撃が多重に重畳す

る場合としない場合がある。一つ以上の短時間雷撃に引続き長時間雷撃が起こることもある。

3.51

電圧防護レベル,U

p

(voltage protection level)

端子の電圧制限において SPD の性能を示すパラメータ。推奨値のリストから選択される。

この値は制限電圧実測値の最大値より大きい値とする。

4

記号及び単位

この規格で用いる主な記号及び単位は,次による。

A

d

独立した構造物への落雷の捕集面積

A

i

引込線付近への落雷の捕集面積

A

l

引込線への落雷の捕集面積

A

m

構造物付近への落雷への影響を受ける面積

c

S

溶融の潜熱

c

t

構造物の通貨単位での総価値

c

W

熱容量

C

可能な損失の平均値

C

e

環境係数

C

d

地形係数

C

t

引込線上の HV/LV 変圧器の補正係数

D1

人命への危険

D2

物的損傷

D3

電気・電子システムの故障

h

Z

特別な危険がある場合の,物的損傷による損失の増加係数


9

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i

電流

I

ピーク電流。電流のピーク値。

I

n

公称放電電流

I

t

ケーブルシールド内の電流

I

imp

インパルス電流

di/dt

電流の時間微分,平均勾配

di/dt

30/90 %

  波頭の 30 %と 90 %のピーク振幅点との間の電流勾配

L

A

人又は家畜への傷害に関連した損失

L

B

物的損傷に関連した構造物における損失(構造物への落雷)

L

C

内部システムの故障に関連した損失(引込線への落雷)

L

c

とは異なる。

L

M

内部システムの故障に関連した損失(構造物付近への落雷)

L

U

人又は家畜への傷害に関連した損失(引込線への落雷)

L

V

物的損傷による構造物における損失(引込線への落雷)

L

W

内部システムの故障による損失(引込線への落雷)

L

c

風車から引込線上の隣接した構造物までの引込線の長さ(L

C

とは異なる。

L

f

物的損傷による損失

L

o

内部システムの故障による損失

L

t

接触電圧及び歩幅電圧による感電による損失

L

x

構造物 x の損失

L

Z

内部システムの故障に関連した損失(引込線付近への落雷)

L1

構造物内での人命の損失

L2

構造物内での公共サービスの損失

L3

構造物内での文化遺産の損失

L4

構造物内での経済的価値の損失

n

p

危険にさらされる可能性がある人(被害者)の数

n

t

構造物内にいる人の合計人数

N

D

構造物への落雷による年間平均危険事象数(年間平均落雷数)

N

x

構造物 x への年間平均危険事象数

N

d

構造物への年間落雷数

N

M

構造物付近への年間平均落雷数

N

L

引込線への年間平均落雷数

N

I

引込線付近への年間平均落雷数

N

D,x

構造物への引込線の末端“x”における年間平均落雷数

N

g

年間平均落雷密度

P

A

構造物への落雷が人畜への感電を引き起こす確率

P

B

構造物への落雷が物的損傷を引き起こす確率

P

C

構造物への落雷によって内部システムの故障が発生する確率

P

LD

引込線への落雷が内部システムの故障を引き起こす確率

P

LI

引込線付近への落雷が内部システムの故障を引き起こす確率

P

M

構造物付近への落雷が内部システムの故障を引き起こす確率


10

C 1400-24

:2014

P

SPD

 SPD 保護が適用されている場合の内部システムの故障の確率

P

U

引込線への落雷が生物への傷害を引き起こす確率

P

V

引込線への落雷が物的損傷を引き起こす確率

P

W

引込線への落雷が内部システムの故障を引き起こす確率

P

x

構造物 x の損傷の確率

P

Z

引込線付近への落雷が内部システムの故障を引き起こす確率

r

a

土壌の種類に応じた人命損失の減少係数

r

f

火災のリスクに応じた,物的損傷による損失の減少係数

r

p

火災の影響を低減するための対策に応じた,物的損傷による損失の減少係数

r

u

床の種類に応じた人命損失の減少係数

R

リスク

R

回転球体半径

R

S

単位長さ当たりのケーブルシールド抵抗

R

T

許容リスク

R

x

リスク要素 x

S

接地棒間の間隔

t

p

危険な場所に人が立ち入る年間時間数

又は T

時間

Δt

時間間隔

t

x

時間パラメータ

t

long

長時間雷撃の継続時間

T

d

年間雷雨日数

u

a

又は u

c

  陽極又は陰極電圧降下

U

C

ケーブルのシールドと線との間の電圧

U

W

インパルス耐電圧

U

p

電圧防護レベル

Q

雷電流の電荷

Q

flash

落雷の電荷量

Q

short

短時間雷撃の電荷

Q

long

長時間雷撃の電荷

W/R

比エネルギー

Z

T

伝達インピーダンス

α

抵抗の温度係数(1/K)

γ

物質密度

μ

0

通気性(真空)

Φ

磁束

ρ

抵抗率

ρ

0

周囲温度時の抵抗率

Θ

温度

Θ

0

開始温度


11

C 1400-24

:2014

Θ

s

溶融温度

Θ

u

周囲温度

A

アンペア

kA

キロアンペア

C

クーロン

セ氏温度

H

ヘンリ

K

ケルビン

S

ジーメンス

g

グラム

kg

キログラム

MJ

メガジュール

μm

マイクロメートル

mm

ミリメートル

cm

センチメートル

m

メートル

km

キロメートル

ms

ミリ秒

オーム

s

μs

マイクロ秒

V

ボルト

Wb

ウェーバ

5

略語

略語は,次による。

LPS

雷保護システム(Lightning protection system)

LPL

雷保護レベル(Lightning protection level)

LPZ

雷保護ゾーン(Lightning protection zone)

LEMP

雷電磁インパルス(Lightning electromagnetic impulse)

SEMP

開閉電磁インパルス(Switching electromagnetic impulse)

SPD

サージ防護デバイス(Surge protective device)

SPM

雷保護対策(Lightning protection measures system)

PE

保護接地(Protective earth)

OCPD

過電流保護装置(Overcurrent protection device)

QA

品質保証システム(Quality assurance system)

GFRP

ガラス繊維強化プラスチック(Glass fibre reinforced plastic)

CFRP

炭素繊維強化プラスチック(Carbon fibre reinforced plastic)

CFC

炭素繊維複合材(Carbon fibre composite)


12

C 1400-24

:2014

6

風車の雷環境

6.1

一般

雷保護システムの寸法設定,分析及び試験に用いる雷電流パラメータ値に関する風車の雷環境は,IEC 

62305-1JIS Z 9290-4 の附属書 JA∼附属書 JF を参照)に規定する。

風車に関連した雷現象に関する参考的な情報を,

附属書 に示す。

6.2

雷パラメータ及び雷保護レベル(LPL

IEC 62305-1 では,4 段階の雷保護レベル(LPL I∼LPL IV)を採用している。LPL ごとに一連の最大及

び最小雷電流パラメータを設定する。

LPL I の雷電流パラメータの最大値を超える確率は,1 %以下である。LPL I の雷電流パラメータの最大

値を,LPL II の場合は 75 %に,LPL III 及び LPL IV の場合は 50 %に低減する(I及び di/dの場合は直

線的,W/の場合は二次曲線的。

。時間パラメータについては変化しない。

表 1LPL による雷パラメータの最大値(IEC 62305-1 の表 5

第 1 短時間正極性雷撃 LPL

電流パラメータ

記号

単位 I  II  III  IV

ピーク電流

kA 200 150

100

短時間雷撃電荷

Q

short

 C  100 75

50

比エネルギー

W/R MJ/Ω 10  5.6

2.5

時間パラメータ

T

1

/T

2

μs/μs 10/350

第 1 短時間負極性雷撃

a)

 LPL

ピーク電流

kA 100 75

50

平均勾配

di/dt kA/μs 100  75

50

時間パラメータ

T

1

/T

2

μs/μs 1/200

後続短時間雷撃

a)

 LPL

電流パラメータ

記号

単位 I  II  III  IV

ピーク電流

kA 50 37.5

25

平均勾配

di/dt kA/μs 200  150

100

時間パラメータ

T

1

/T

2

μs/μs 0.25/100

長時間雷撃 LPL

電流パラメータ

記号

単位 I  II  III  IV

長時間雷撃電荷

Q

long

 C  200 150

100

時間パラメータ

T

long

 s

0.5

放電 LPL

電流パラメータ

記号

単位 I  II  III  IV

落雷の電荷量

Q

flash

 C  300 225

150

a)

  この波形の利用は計算にだけ関係し,試験には関係しない。

各雷保護レベルの雷電流パラメータの最大値は

表 に示しており,これらの値は,雷保護部品の設計(導

体の断面積,金属板の厚さ,SPD の電流耐量,危険な火花放電に対する離隔距離など)及びこのような部

品への雷の影響をシミュレートする試験パラメータを決めるために用いる(

附属書 及び IEC 62305-1 

照)

特に冬季に多数の上向き雷を受ける地域に配置した風車の場合,受雷部システム(レセプタなど)の落

雷の電荷量に対する耐量を,LPL I(Q

flash

=300 C)より高くすることが適切な場合がある。このパラメー

タが材質の摩耗(溶融)を決めることから,受雷部システムの保守の必要性が左右されるためである。我

が国における雷観測の結果から,冬季雷地域に設置する風車に考慮することが望ましい雷パラメータを


13

C 1400-24

:2014

属書 JA に示す。

各 LPL に対する雷電流波高値の最小値を用いて,落雷が到達できない雷保護ゾーン LPZ 0

B

を決定する

ために,回転球体半径を算出する。雷電流パラメータの最小値を,該当する回転球体半径と併せて

表 

示す。これらの値は,受雷部システムの配置及び雷保護ゾーン LPZ 0

B

を決定するために用いる。

表 2LPL に対応する雷パラメータ及び関連する回転球体半径の最小値(IEC 62305-1 の表 6

遮断基準 LPL

項目

記号

単位 I  II  III  IV

最小ピーク電流

kA 3 5 10 16

回転球体半径

m 20 30 45 60

7

雷被害影響評価

7.1

一般

風車は高構造物であり,かつ,雷被害を受けやすい場所に設置することが多い。そのため,雷被害によ

る経済的損失及び収入の減少に対する予防措置,人(主として設備保守要員)及び家畜への危険防止,並

びに保守の軽減手段として,風車には雷保護対策を講じる必要性が広く認識されている。雷被害に関する

一般的なアンケートを,

附属書 に示す。

雷保護システムの設計では,対象構造物への雷の直撃及び/又は雷による損傷のリスクを考慮すること

が望ましい。保護を講じていない風車への落雷は,翼及び機構部分並びに電気及び制御システムに対して

被害を及ぼすことがある。さらに,風車の内部及び周辺にいる人が,落雷によって発生した危険な歩幅電

圧及び接触電圧による感電又は爆発及び火災の危険にさらされる場合もある。

雷保護システムの目的は,これらの危険を許容レベル R

T

まで低減することである。この許容レベルは,

人の安全に関する許容リスクに基づいている。リスクが人に対する許容レベルより低い場合,さらなる保

護の必要性は,純粋に経済的分析に基づいて判断する。この分析は,起こり得る被害のコストに対して雷

保護システムのコストを評価することである。

許容リスクの値の決定は,権限をもつ機関の責任である。落雷が人命の損失又は永久的な負傷を伴う場

合の許容リスク R

T

の代表値は,10

5

/年である。

注記  許容リスクの値は,IEC 62305-2 の表 を参照。

構造物への落雷のリスクは,構造物の高さ,地域の地形及び地域の落雷数レベルに依存する。雷に伴う

リスクは,IEC 62305-2 に従って詳細に評価することができる。ただし,IEC 62305-2 に記載された手順は

極めて複雑であるため,ここでは,個別の風車に対する雷被害評価の簡易な実施方法,並びに風車グルー

プ及びウィンドファームに拡大適用する方法に関する指針を示す。

リスク評価に当たっては,地域的雷条件に関する情報を可能な限り収集することが望ましい(冬季雷が

特別な脅威を及ぼす地域など)

このようなリスク評価については,計算時の入力情報以上には正確にならないことを注意書きとして明

記することが望ましい。さらに,リスク評価は確率論で,雷発生情報は統計的平均値であり,かつ,雷事

象自体は確率的な性質のものであるため,個々の風車又はウィンドファームへの落雷数に対する極めて正

確な短時間予測を期待しないほうがよい。しかし,リスク評価を行うことは,雷保護の適用によるリスク

低減の評価を行うことができ,各種風車プロジェクトのリスクの比較を行うことなどが可能になる。詳細

を,

附属書 に示す。


14

C 1400-24

:2014

7.2

風車に影響を与える落雷数の評価

雷によるリスク解析の第 1 段階は,風車への落雷数の推定である。IEC 62305-2 は,この推定方法に関

する指針を示す。構造物への落雷数の評価を行う場合は,地域的な年間平均落雷密度(N

g

)について詳細

なデータを収集することが必要である。気象庁などの関係機関からこの情報が得られる場合が多い。年間

平均落雷密度を入手できない場合,式(1)の関係を用いて落雷数を推定できる。

N

g

≒0.1×T

d

  (1)

ここに,

N

g

年間平均落雷密度(km

2

/年)

T

d

IKL マップから得られる年間雷雨日数(日/年) 
(一般に気象庁から得られる。

風車が危険となる可能性がある危険事象(落雷)の年間平均数は,次の項目に分けられる。

N

D

  :風車への落雷による年間平均危険事象数(年間平均落雷数)(回/年)

N

M

  :風車付近(250 m 以内)への年間平均落雷数(回/年)

N

L

  :風車に接続する引込線(風車に接続する電力線及び通信線)への年間平均落雷数(回/年)

N

I

  :風車に接続する引込線(風車に接続する電力線及び通信線)付近への年間平均落雷数(回/年)

N

D,b

 :風車又は風車に接続する引込線の(もう一方の)末端“b”に位置する他の構造物への年間平均落

雷数(回/年)

風車への年間平均落雷数は,式(2)のように評価することができる。

N

D

N

g

×A

d

×C

d

×10

6

  (2)

ここに,

A

d

独立した構造物への落雷の捕集面積(m

2

C

d

地形係数

平たんな土地の風車の場合の適切な値は C

d

=1 であり,丘又は尾根に設置した風車の場合は C

d

=2 であ

る。

注記 1  一般に落雷を受けやすいといわれる地域又は特に冬季雷を受けやすいといわれる地域に設置

した風車は,このような条件下で誘発する上向き雷を考慮するため,より高い地形係数 C

d

を指定することができる。

注記 2  洋上に設置した風車は,現実的な落雷数を推定するため,3 から 5 の地形係数 C

d

を指定する

ことがある。

構造物の捕集面積は,構造物への年間平均落雷数と同じ年間平均落雷密度をもつ地表面積として定義す

る。独立した構造物の場合の等価捕集面積は,構造物上端から 1:3 の勾配の直線と地表面との交差位置に

よって得られる境界線で囲まれた面積である。

全ての風車は,ハブ高さとロータ半径との和に等しい高さの高いマストとしてモデル化することが望ま

しい。このことは,ガラス繊維強化プラスチックなどの非導電材料だけの翼を含め,あらゆる種類の風車

に対して推奨する。

平たんな地面に設置した風車による捕集面積は,風車の高さの 3 倍の半径をもつ円となる(

図 参照)。


15

C 1400-24

:2014

図 1−風車の捕集面積

したがって,平たんな地面に設置した風車への年間平均落雷数の推定値は,式(3)による。

N

d

N

g

×A

d

×10

6

N

g

×9π×H

2

×10

6

  (3)

ここに,

H: 風車の高さ(m)

開かれた丘及び尾根上に設置する場合など,より複雑な地形では,風車位置の高さを含めた風車の実効

的な高さを考慮することが適切である(

図 参照)。IEC 62305-2 は,複雑な地形における構造物又は他の

構造物に近接した場合の指針を示す。

図 2−丘の上で孤立した風車の実効的な高さ H

さらに,風車は,式(4)に示すように,風車付近への落雷によって危険となる場合がある。

N

M

N

g

×(A

m

A

d

C

d

)×10

6

  (4)

ここに,

A

m

構造物付近の 250 m の範囲内への落雷の捕集面積(m

2

風車及び風車に接続する引込線に適切な雷保護を適用する場合,その雷保護は,風車付近への落雷,及

び風車に接続する引込線付近への落雷による,風車への被害対策も含むとみなすことができる。

大形風車は,一般に高圧ケーブルによる集電設備に接続し,かつ,一般に通信線経由で外部の制御セン

タに接続しており,これらのいずれの引込線も,引込線又はその付近への落雷によって影響を受ける場合

がある(

図 参照)。通信線が光ファイバ接続(推奨)の場合,通信線への雷被害のリスクは,無視でき

る。

風車に接続する引込線への落雷数は,IEC 62305-2 

附属書 に従って,式(5)で計算できる。

N

L

C

d

×C

t

×N

g

×A

l

×10

6

  (5)

引込線付近(引込線に影響を与える距離)への落雷数は,式(6)で計算できる。


16

C 1400-24

:2014

N

I

C

e

×C

t

×N

g

×A

i

×10

6

   (6)

ここに,

C

d

地形係数。

例  平たんな地域では 1,丘陵地帯では 2。)

C

e

環境係数。農村地域の場合は 1。

C

t

引込線上の HV/LV 変圧器の補正係数(変圧器係数)

A

l

引込線への落雷の捕集面積(m

2

表 を参照。

A

i

引込線付近への落雷の捕集面積(m

2

表 を参照。

雷捕捉点と風車との間に変圧器を設置していない場合は変圧器係数 C

t

=1,設置している場合は C

t

=0.2

である。一般に,大形風車内には高圧変圧器を設置するため,風車を電力系統に接続する高圧(中圧)

 2)

のケーブルの場合は C

t

=0.2 と想定できる(IEC 62305-2 

附属書 を参照)。

2)

  IEC 61000 規格群では,中圧を 1 kV を超え 35 kV 以下の範囲,また,高圧を 35 kV を超え 230 kV

以下の範囲と規定している。

注記 3  海底引込線(海底高圧ケーブル及び通信ケーブル)の場合は,C

d

=0 である。

表 3−架空又は埋設引込線の捕集面積 A

l

及び A

i

IEC 62305-2

の表 A.3 に対応)

捕集面積

架空

埋設

A

l

[L

c

−3(H

a

H

b

)]6H

c

[L

c

−3(H

a

H

b

)]

ρ

A

i

 1

000L

c

 25L

c

ρ

記号は,次による。 
L

c

:  風車から引込線上の隣接した構造物までの引込線の長さ(m)

最大値 L

c

=1 000 m とすることが望ましい。

H

a

:  引込線に接続する風車の高さ(m)

H

b

:  引込線に接続する風車(又はほかの構造物)の高さ(m)

H

c

:  引込線導体の地上高さ(m)

ρ:  引込線を埋設した土壌の抵抗率(Ωm) 

  最大値 ρ=500 Ωm とすることが望ましい。

ケーブル経路に沿った狭い領域 A

l

内への落雷は,ケーブルに到達し直接影響を与える場合があり,か

つ,より広い領域 A

i

内への落雷は,過渡電流を誘発しケーブル絶縁体にピンホールを生じる場合がある。

図 3−高さ H

a

の風車及び長さ L

c

の埋設ケーブルで接続する高さ H

b

の他の構造物の捕集面積

注記  ウィンドファームでは隣接した風車の捕集面積が重なり合う場合が多い。このような場合,風

車間で各風車の上端から 1:3 の勾配の直線が交差する位置で,単純に捕集面積を分割すること

が望ましい。


17

C 1400-24

:2014

我が国の本州日本海側の沖合い及び海岸から約 30 km 内陸までの帯状の地域では,冬季に高構造物から

上向き落雷が頻繁に生じるため,雷雲からの下向きリーダで開始する年間平均落雷密度 N

g

から予測される

夏季の落雷数に比べて,風車をはじめとする高構造物には極めて高い頻度で落雷が生じる。本州日本海沿

岸の風車への冬季の落雷の年間平均落雷数 N

w

を推定する実験式の一例を,次に示す。

(

)

h

at

gw

f

w

013

.

0

48

5

H

L

N

H

N

×

=

ここに,

H

f

風車の高さ(m)

N

gw

冬季の年間平均落雷密度

L

at

風車建設地点の緯度

H

h

標高(m)

この実験式は北緯 40 度以下,標高 600 m 程度以下での適用実績がある。分母の数値が 2 程度より大き

い地点に対して用いる。また,冬季の雷雨日数 T

dw

から冬季の年間平均落雷密度 N

gw

を推定しようとする

場合,N

gw

=0.02×T

dw

が適切である。

7.3

被害リスクの評価

7.3.1

基本式

風車設備に被害をもたらす雷のリスク及びそれによる経済的損失は,多くのリスク要素の和とみなすこ

とができる。各リスク要素は,式(7)で表すことができる。

R

x

N

x

×P

x

×L

x

  (7)

ここに,

N

x

年間平均危険事象数(回/年)

P

x

構造物 x の損傷の確率(さまざまな保護対策に依存)

L

x

構造物 x の損失

この式は,各種の損傷の確率及び損失に基づいた被害リスクの評価に用いる(

附属書 を参照)。

リスクが高すぎる場合,必要な保護対策を適用し,式(8)に表すようにリスクを許容リスク R

T

以下に低

減しなければならない。

R

x

R

T

  (8)

注記  許容リスク R

T

は,当局によって規制している場合がある。

7.3.2

風車への落雷によるリスク要素の評価(S1

風車への落雷に関連したリスク要素の評価については,次の式(9)∼式(11)を適用する。

a)  人畜への被害に関連した要素(D1

R

A

N

D

×P

A

×L

A

  (9)

b)  物的損傷に関連した要素(D2

R

B

N

D

×P

B

×L

B

   (10)

c)  内部システムの故障に関連した要素(D3

R

C

N

D

×P

C

×L

C

  (11)

これらのリスク要素を評価するためのパラメータは,

表 による。

7.3.3

風車付近への落雷によるリスク要素の評価(S2

風車付近への落雷によるリスク要素の評価については,次の式(12)を適用する。

a)  内部システムの故障に関連した要素(D3

R

M

N

M

×P

M

×L

M

  (12)

これらのリスク要素を評価するためのパラメータは,

表 による。


18

C 1400-24

:2014

7.3.4

風車に接続した引込線への落雷によるリスク要素の評価(S3

風車に接続した引込線への落雷によるリスク要素の評価については,次の式(13)∼式(15)を適用する。

a)  人畜への被害に関連した要素(D1

R

U

=(N

L

N

D,b

P

U

×L

U

  (13)

b)  物的損傷に関連した要素(D2

R

V

=(N

L

N

D,b

P

V

×L

V

  (14)

c)  内部システムの故障に関連した要素(D3

R

W

=(N

L

N

D,b

P

W

×L

W

   (15)

これらのリスク要素を評価するためのパラメータは,

表 による。

7.3.5

風車に接続した引込線付近への落雷によるリスク要素の評価(S4

風車に接続した引込線付近への落雷によるリスク要素の評価については,次の式(16)を適用する。

a)  内部システムの故障に関連した要素(D3

R

Z

=(N

I

NLP

Z

×L

Z

  (16)

この評価では,(N

I

N

L

)<0 の場合,(N

I

N

L

)=0 と仮定する。

これらのリスク要素を評価するためのパラメータは,

表 による。

表 4−風車のリスク要素の評価に関連したパラメータ(IEC 62305-2 の表 に対応)

落雷による危険事象の年間平均落雷数(回/年) 
N

D

風車への年間平均落雷数

N

M

風車付近への年間平均落雷数

N

L

風車への引込線に対する年間平均落雷数

N

I

風車への引込線付近に対する年間平均落雷数

N

D,b

構造物の引込線の末端“b”

図 を参照)への年間平均落雷数

風車への落雷が引き起こす確率 
P

A

人又は家畜への被害

P

B

物的損傷

P

C

内部システムの故障

風車付近への落雷が引き起こす確率 
P

M

内部システムの故障

引込線への落雷が引き起こす確率 
P

U

人又は家畜への被害

P

V

物的損傷

P

W

内部システムの故障

引込線付近への落雷が引き起こす確率 
P

Z

内部システムの故障

損失の種類 
L

A

L

U

r

a

×L

t

人又は家畜への被害による損失

L

B

L

V

r

p

×r

f

×h

Z

×L

f

物的損傷による損失

落雷による危険事象の年間平均落雷数 
L

C

L

M

L

W

L

Z

L

o

内部システムの故障

注記  損失値(L

t

L

f

L

o

,損失減少係数(r

p

r

a

r

u

r

f

)及び損失増加係数(h

Z

)を,

属書 に示す。


19

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8

風車構成部品の雷保護

8.1

一般

リスク分析による場合を除き,全ての風車構成部品は LPL I に従って保護することが望ましい。

寿命期間にわたり一定の LPL に適合するためには,サイト固有の保守及び点検を行うことが必要な場合

がある。接地システムを含む雷保護システムの保守及び点検の要求事項を,サービス及び保守マニュアル

に記載することが望ましい。保守及び点検手順の概要については,箇条 12 に記載している。

注記  詳細なリスクの評価の結果,風車及びウィンドファームによっては LPL I より低い保護レベル

が経済的に最適な場合がある。すなわち,風車の翼は高い LPL で保護し,より低コストで修理

及び交換が可能な他の部品は低い LPL で保護するなどの差別化を行うことが好都合な場合であ

る。

8.2

8.2.1

一般

風車の翼は最も露出した部分であり,雷捕捉プロセスに伴う電界,雷電流,及び雷電流に伴う磁界の影

響を最大限受けることになる。

捕捉プロセス並びに続流及び電荷伝導の代表的な説明を,

附属書 に示す。

風車の翼は IEC 62305-1 に従って LPZ 0

A

に配置し,それに従って保護しなければならない。

翼の雷保護に関する各項目については,

附属書 に示す。

8.2.2

要求事項

雷保護は,翼がその機能を損なうような構造的損傷を生じずに,LPL I の落雷(リスク分析によって LPL

II 又は LPL III で十分である場合を除く。)を受けることが十分でなければならない。

雷による被害は,次回の計画保守及び点検まで耐えることができる範囲内に制限しなければならない。

8.2.3

検証

受雷部システム及び引下げ導線システムが落雷を捕捉し,かつ,雷電流を通電する能力について,次の

いずれかの方法で検証しなければならない。

a)  8.2.5 に従った高電圧・大電流試験 
b)  翼形式(設計)について,過去に検証済みの翼形式,又は良好な雷保護を実証した翼形式との類似性

の証明

c)  試験結果又は良好な運転実績をもつ翼保護設計との比較によって,既に検証済みの分析ツールの利用

類似性による検証を行うには,翼が同一の材料構成,同一の雷保護システム,及び同一の構造特性的寸

法をもっていなければならない。雷感受性に影響を与える重大な変更については,検証なしに許可しない

ほうがよい。しかし,既に検証済みの翼設計に対して同一の評価を繰り返す必要はない。

翼の製造業者は,上記のうち採用する方法及び検証結果を記載した文書を作成しなければならない。

8.2.4

保護設計に関する検討事項

8.2.4.0A

翼に関連した雷保護システムの設計・統合を行うために重要な項目について,次に示す。

8.2.4.1  受雷部システム

受雷部システムは,受雷部がない場合にコネクティングリーダが開始する部分と考えられ,落雷捕捉又

はせん(穿)孔が生じる可能性がある翼の表面の領域に配置する。受雷部システムは,翼構造自体の一部

であるか,翼への追加部品,又はそれらの組合せとなる。

IEC 62305-3 に規定した受雷部システムの配置方法(回転球体法,保護角法など)は,風車の翼には適


20

C 1400-24

:2014

用しない。したがって,8.2.3 に従って受雷部システムの設計を検証しなければならない。

製造業者は,受雷部システムが取付け台に正しく固定するよう保証し,かつ,風,水分,粒子などによ

って想定される摩耗に耐えることができるよう,受雷部システムを設計しなければならない。そのような

検証の一環として,疲労試験及びその他の機械的試験に先立って,翼の最終設計時点で受雷部システムを

具備していなければならない。

受雷部システムの全ての内部部分,受雷部の取付け台,引下げ導線への接続部は,これらの部分から発

生する内部放電(ストリーマ及びリーダ)のリスクを最小限に抑えるよう設計しなければならない。

製造業者は,雷又はその他の環境影響によって損傷又は劣化した部分をサービス要員が修理又は交換で

きるように受雷部システムを設計しなければならない。受雷部は,雷アーク発生部が侵食されることによ

って経時的に損耗していく。この侵食は,雷アーク発生部に侵入する電荷,並びに受雷部システムの表面

の材質及び形状に関連している。多数の落雷を受ける翼は,最終的に受雷部の交換が必要になる場合があ

る。適切な材質及び設計を選定することで,受雷部システムの寿命期間を最大限にすることが望ましい。

製造業者は,受雷部システムの修繕・保守の方法に関する指針を提供しなければならない。

受雷部システムを塗装などで覆う場合,翼の寿命期間にわたる機能及び交換可能性を維持しなければな

らない。受雷部の有効性を確認するための推奨試験を,

附属書 に示す。

製造業者は,設計の推定寿命並びにサービス及び交換間隔が達成及び検証可能なように,受雷部システ

ムの定期点検手順を指定しなければならない。

受雷部システムの効率の検証は,8.2.3 による。

8.2.4.2  引下げ導線システム及びその接続部品

引下げ導線システム及びその接続部品は,受雷部システムから翼根の終端部に雷電流を流すためのシス

テムである。

引下げ導線システムへの接続部は,頑丈及び永続的なものとし,かつ,システム全体が雷電流の電気的,

熱的及び電気力学的影響の複合的な衝撃に耐えることができるよう保証しなければならない。雷保護シス

テムが翼内の機械的応力に耐える能力について,可能な場合には翼内にシステムを設置して IEC/TS 

61400-23 の試験を行い検証しなければならない。

引下げ導線の断面積,及び引下げ導線として用いる翼の構造体利用導電部分は,選択した LPL に対応す

る雷電流を流さなければならない。金属導体は,一般に IEC 62305-3 に従って選定しなければならない。

接続部品の試験については,IEC 62561-1 に従って,前処理・エージングなしに実施しなければならな

い。電流試験レベルは,選定した LPL の第 1 短時間雷撃に従って選定することが望ましい。回転リンク,

軸受,火花ギャップなど,非剛体の接続部を用いる場合は,長時間雷撃電流を用いた試験も実施すること

が望ましい。複数の雷電流経路が存在する場合,経路間の電流分布に従って各経路の試験電流波高値を調

整する。

引下げ導線システムの全ての内部部分及び接続部品は,これらの部分から発生する内部放電のリスクを

最小限に抑えるように設計しなければならない。このことは,構造物の外部受雷部システム以外からの放

電の発生を防ぐためであり,これによって,このような内部放電によって翼表皮に穴があくリスクが制限

される。

外部に配置した引下げ導線は,受雷部システムとして定義するため,8.2.4.1 の要求事項を適用する。

製造業者は,使用環境によって劣化した引下げ導線システム及びその接続部品のあらゆる部分の定期点

検手順を指定し,これらの部分の状態,推定設計寿命及びサービス間隔を検証できるようにしなければな

らない。


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引下げ導線及び接続部品の性能を測定するための推奨試験を,

附属書 に示す。

引下げ導線システム及びその接続部品の検証は,8.2.3 に従って実施しなければならない。

8.2.4.3  追加の導電性部品

翼内に追加の導電性部品(導電性構造部品,CFC,おもり,翼端ブレーキワイヤー,センサ用電気ケー

ブル,警告灯など)がある場合,これらの部分は,一般に雷保護システムに接続し,雷電流の分流分を流

すように設計し,かつ,導電部分間のフラッシオーバを防ぐように設計しなければならない。

または,追加する導電性部品,CFC 構造などを,相互及び雷保護システムに接続しなければならないか

どうかを,LPL に対応した試験及び/又は分析によって文書で提供しなければならない。

これらの追加する導電性部品の接続方法は,

8.2.5.2 に示す大電流試験によって証明しなければならない。

導体が翼内部で平行な電流経路を形成する場合,このような導体は IEC 62305-1 に従って相互接続し,

かつ,電気力学的な力の影響に注意しなければならない。

8.2.4.4  複合材料設計への電界応力の影響

風車翼が高さをもち空中に露出すれば,

翼の構造全体を寿命期間中に何度も高電界にさらすことになる。

雷雲が生成する高静電界及び過渡電界によって,翼構造は電界にさらされる。また,雷リーダが接近すれ

ば,翼構造は一層高い電界にさらされる。いずれの場合も,電界によって複合材料の絶縁性が経時的に劣

化する場合がある。したがって,雷保護システムは,高電圧絶縁設計の原理を考慮して設計することが望

ましい。

8.2.5

試験方法

8.2.5.0A

翼の設計全体,又は翼端若しくは積層試験体の附属部分に次の試験方法を適用する。

8.2.5.1  高電圧試験

D.2.1 に示す初期リーダ捕捉試験を用い,翼上の受雷部システムの捕捉効果を評価することができる。

先端レセプタ,側面レセプタ又は同等物周辺の特有の設計詳細の最新情報について,D.2.1 に示す初期リ

ーダ捕捉試験から得ることができる。

翼の積層体が内部放電を防ぎ翼表面のせん(穿)孔を防止する能力について,材料の破壊電界強度を向

上することによって改善することができる。絶縁複合材料及び被覆層の破壊電界強度については,IEC 

60060-1IEC 60243-1IEC 60243-3 及び IEC 60464-2 に従って評価することができる。

絶縁面で放電現象が発生した場合(ストリーマ,表面フラッシオーバなど)

,表面がトラッキング及び電

食と同様に劣化する場合がある。水分を伴う影響を受けると絶縁面の性質が高導電性へと変化し,これに

よって落雷捕捉のリスクが高まる場合がある。IEC 60587 を用いて,さまざまな翼及び塗料の耐トラッキ

ング性の評価及び比較を行うことができる。

8.2.5.2  大電流試験

受雷部システムは,落雷における電荷の影響(雷電流の時間積)を大きく受ける。この現象については,

D.3 の大電流物的損傷試験によって評価する。

接続部品及び引下げ導線部分について,D.3 又は IEC 62561-1 の大電流物的損傷試験によって前処理・

エージングを適用せずに試験できる。

電流試験の波形及びレベルは,選定した LPL に対して規定した第 1 短時間雷撃,及び該当する場合は長

時間雷撃(連続電流)で行うことが望ましい。


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8.3

ナセル及び他の構造用部品

8.3.1

一般

ナセル及び風車の他の構造用部品の雷保護は,受雷部システム,等電位化及び遮蔽,並びに雷電流の接

地システムへの放流に対し,できるだけ大形の金属構造体自体を用いて実施することが望ましい。気象用

計器及びナセルの航空障害灯を保護するために追加する受雷部システム,引下げ導線及びボンディング接

続部などの雷保護部品は,IEC 62305-3 に従って製造し,かつ,寸法設定を行わなければならない。風車

を雷保護ゾーン(LPZ)に分割することが望ましい(

附属書 参照)。

8.3.2

ハブ

大形風車のハブは直径 2 m∼3 m の中空の鋳鉄球体である。このため,この材料厚だけでハブ構造自体

が雷の影響を受けないよう保証している。ほとんどの場合,電気・機械制御装置及びアクチュエータは,

ハブの外側(翼及びナセル)をつなぐ回路とともにハブ内に設置している。ハブは,翼,前面及びナセル

へのハブ内の開口部に電磁遮蔽を備えることでファラデーケージとすることが望ましい(すなわち,ハブ

を LPZ として定義することが望ましい。

。これらの開口部は,翼のフランジプレート及び主軸フランジで

閉鎖している場合が多く,これらは非常に有効な電磁遮蔽とみなすことができる。上述のとおり開口部を

電磁遮蔽で閉鎖している場合,ハブの内容物は特別な雷保護を必要としない。この場合,ハブの雷保護は,

翼のアクチュエータシステムなどハブの外側に設置したシステム,並びにハブの外側に延ばす回路に接続

したハブ内の電気及び制御システムの等電位ボンディング及びサージ保護に,限定する。

8.3.3

スピナ

一般に,ハブは,スピナと呼ばれるガラス繊維カバーを備えており,このカバーはハブに取り付けてハ

ブとともに回転する。スピナ前端への雷捕捉の可能性が回転球体モデルによって常に示唆されていること

から,雷保護を考慮しなければならない。風車の設計によっては,電気・機械制御装置及びアクチュエー

タもハブの外側に配置し,スピナによって覆っている。このような装置は,受雷部システムを用いて雷捕

捉から遮蔽しなければならない。このような装置をスピナの下に配置しない場合,雷によるスピナを経由

したせん(穿)孔のリスク及びスピナの雷保護がないとみなしてよい。ただし,ほとんどの場合,受雷部

システム及びハブへの接続としてスピナに金属製の支持構造物を用いることで,簡単かつ実際的なスピナ

の雷保護を行うことができる。

8.3.4

ナセル

ナセル構造物は,

ナセルへの雷撃を,

その応力に耐えることができる構造体利用金属部分で捕捉するか,

又はその目的のために設計した受雷部システムで捕捉することを保証するような雷保護の一部分となるこ

とが望ましい。GFRP カバー又は同等物を備えたナセルは,受雷部システム及び引下げ導線を具備し,ナ

セル周囲にファラデーケージを形成することが望ましい。このファラデーケージ内の露出導体を含む受雷

部システムは,選定した雷保護レベルに対応する落雷に耐えることが望ましい。ファラデーケージ内の他

の導体は,可能性がある雷電流の分流に耐えるよう寸法設定することが望ましい。ナセル外側の機器など

を保護するための受雷部システムは,IEC 62305-3 の一般的な規定に従って設計し,引下げ導線を上述の

ファラデーケージに接続することが望ましい。

外部の電界及び磁界,並びにメッシュ内を流れる電流からの磁界を遮蔽するために,GFRP カバー付き

のナセルに金属メッシュを適用することができる。または,ナセル内部の全ての回路を,閉鎖した金属コ

ンジット,ケーブルトレイなどに配置することができる。国内規程において義務付けているとおり,かつ,

全ての接地及び等電位ボンディング接続部に対して効果的な等電位面を形成するように,ナセル内及びナ

セル上の主な金属構造物を含めた等電位ボンディングシステムを,確立しなければならない。


23

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翼の雷捕捉による雷電流は,上記のファラデーケージに直接流すことによって,雷電流が翼ピッチ軸受

及び動力伝達装置の軸受を通過するのを完全に防止することが望ましい

(翼及び軸受の保護については 8.2

及び 8.4 を参照)

。軸受から雷電流を分流するため,異なる種類のブラシシステムを一般に用いる。ただし,

この場合,主軸及び軸受システムからナセルの台板への低インピーダンス経路に流れる電流を大幅に低減

するので,十分低インピーダンスのブラシ及び接地線システムを構成することが非常に困難である。その

ため,このような個別のブラシの効果が十分得られない場合がある。

注記  このような電磁遮蔽を備えたナセルカバーは,主軸などナセル内部を流れる雷電流による磁界

の影響から保護することはできない。

8.3.5

タワー

主に大形風車に用いる円筒形の鋼製タワーは,通常,IEC 62305-3 に規定の引下げ導線に必要な寸法を

満足し,かつ,ナセルへの接合部分及び地表面の両方で電磁的にほぼ閉鎖しているため,ほぼ完全な電磁

遮蔽ファラデーケージとみなすことができる。したがって,ほとんどの場合,タワー内部を雷保護ゾーン

の LPZ1 又は LPZ2 と定義できる。タワーをできるだけ電磁的に閉鎖した状態に保つため,タワーの各分

割部のフランジ同士を直接的な電気接続とすることが望ましい。タワー及びその中の全ての主要金属部分

は,ファラデーケージによる保護を最大限活用するために,保護接地(PE)及び等電位ボンディングシス

テムに統合することが望ましい。はしご,ワイヤ,レールなど,タワー内部の金属製構造物及びシステム

のボンディングについては,9.3.5 を参照。

ナセルへの接合部分は,タワーを閉鎖する電磁遮蔽としての役割を果たすこともできる金属製プラット

フォーム及びハッチで一般に閉鎖している(ヨー軸受の雷保護は,8.4.2 を参照)

接地システムへのタワーの接合部分について,箇条 で検討する。タワーが上記のとおりファラデーケ

ージの場合,タワーの内容物は特別な雷保護を必要としない。タワーの雷保護を保証するための課題は,

ナセル内,タワー外側などの他の雷保護ゾーンへ接続する電気・制御回路の等電位ボンディング及びサー

ジ保護に限定する。

ラティスタワーは,タワー内部で多少の磁界減衰及び雷電流低減があるが,本質的にあまり効果的なフ

ァラデーケージとみなすことはできない。ラティスタワー内部は,LPZ0

B

と定義するのがよい。雷電流を

下方へ流すには,タワーの構造体要素を経由することが望ましい。したがって,これらの要素は,平行な

経路間の分流を考慮し,IEC 62305-3 に規定の引下げ導線に必要な寸法を満足しなければならない。タワ

ー内のケーブルの遮蔽は,ケーブルの絶縁破壊を防ぐため,一定の間隔でタワーに接続する必要がある。

これについては計算によって評価を行う(IEC 62305-2 及び

附属書 参照)。

鉄筋コンクリートタワーでは,鉄筋は,十分な断面積をもった鉄筋を用いて,鉛直方向に 2 本∼4 本平

行に配筋し,最高部,底部及びその中間 20 m ごとに水平方向に配筋すれば,雷電流を下方へ流すことが

できる。

鉄筋をこのように接続した場合,タワー内部で極めて効果的に磁界減衰及び雷電流低減できる。

8.3.6

試験方法

予備試験方法について,

附属書 に記載する。

8.4

機械的動力伝達装置及びヨーシステム

8.4.1

一般

風車では,一般に,翼のピッチシステム,主軸,増速機,発電機及びヨーシステム用に,多数の軸受を

搭載する。

主な部品の制御及び操作には,油圧又は電気アクチュエータシステムを用いる。


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軸受及びアクチュエータシステムは,雷電流が流れる可能性がある風車の各部分を,直接又は間接的に

つなぐ可動部分をもっている。

雷電流経路内の軸受及びアクチュエータシステムは,必要に応じて,通過する電流レベルを許容レベル

まで低下することによって,保護しなければならない。

8.4.2

軸受

軸受は監視が困難であり,また,風車への落雷後に軸受の点検を義務付けることはできない。したがっ

て,軸受を保護するシステムの効果を,十分に証明し,かつ文書化しなければならない。

保護は,軸受自体にその機能をもたせるか,又は電流が軸受をう(迂)回するように設置した外部シス

テムを用いることができる。

軸受を保護していない場合,想定する回数の雷電流侵入後も軸受が設計寿命期間にわたって動作可能な

ことを実証しなければならない。軸受が設計寿命期間にわたって動作可能でない場合,保護を適用しなけ

ればならない(8.4.4 参照)

8.4.3

油圧システム

油圧システムが雷電流経路にある場合,雷電流侵入がシステムに影響を及ぼさないよう保証しなければ

ならない。油圧システムを用いる場合,継ぎ手の損傷による液漏れ,及び油圧オイルの発火のリスクを考

慮する必要がある。

電流がアクチュエータシリンダをう(迂)回するために,滑り接触,ボンディング用ストラップなどの

保護対策を用いることができる。

油圧管への電流侵入を防止するために,雷電流にさらされる油圧管を保護しなければならない。油圧管

が機械的外装を備えている場合,油圧管の両端で機械類の鉄骨構造に接続しなければならない。防護手段

は,侵入する可能性のある部分に雷電流を流すのに十分な断面積をもっていることも保証しなければなら

ない。

水冷システムに対しても同様の検討事項を適用する。

8.4.4

放電ギャップ及び滑り接触

雷電流が,軸受及びアクチュエータシステムをう(迂)回する場合,放電ギャップ又は滑り接触の利用

を考慮しなければならない。接続リード線を含むこのようなう(迂)回システムは,効果を得るために,

構成要素を通過する直接的な構造体を利用する電流経路よりも,低インピーダンスでなければならない。

放電ギャップ及び滑り接触は,風車内の使用箇所において侵入する可能性がある雷電流を流さなければ

ならない。

放電ギャップ及び滑り接触の両者は,雨,氷,塩水汚損,粉じんなどの環境影響にかかわらず所定の性

能を維持するよう設計しなければならない。

放電ギャップ又は滑り接触を用いる場合,これらは摩耗部分であるとみなさなければならず,これらの

装置の寿命期間を算出及び文書化しなければならない。放電ギャップ及び滑り接触は,サービス・保守マ

ニュアルに従って定期的に点検を行わなければならない。

8.4.5

試験

軸受及びアクチュエータシステムの保護の全てのシステムは,機能性を文書化しなければならない。自

然雷の電流に相当するインパルス電流を用いて試験を実施することが望ましい。

システムの重要部分を試験モデルで模擬した実物大試験対象に対し,インパルス電流試験を実施するこ

とが望ましい。

保護装置が,長時間雷撃電流を組み合わせた第 1 雷撃の損傷の影響に,耐えられることを実証しなけれ


25

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ばならない。

滑り接触をシステムの一部として用いる場合,システムの安定性を立証するため,雷電流の腐食効果を

受ける場合と受けない場合との接触部の摩耗を特に重視して機械的試験を実施しなければならない。摩耗

は,次回の計画点検までに問題なく動作できる程度の軽微なものでなければならない。

縮小モデルに対して試験を実施することができるが,計算によってスケーリング係数及び効果を示さな

ければならない。

参考的な試験方法を,D.3.4 に示す。

8.5

低圧電気システム並びに電子システム及び装置

8.5.1

一般事項

この箇条では,風車の電気及び制御システムに関し,次の項目に対する保護を対象としている。

a)  風車への落雷

b)  風車から発生するリーダ電流 
c)  落雷の間接的な影響(風車に直接影響を与えない落雷の LEMP による影響)

注記 1  電気システムにおける開閉操作(開閉電磁インパルス,SEMP)によって生じる過渡過電圧

及びサージについても考慮しなければならないが,この規格の適用外である。一般的には,

IEC 62305-2:2006 の附属書 の開閉過電圧を参照。風車内で発生する過電圧に関連した SPD

の選定に関しては,8.5.6.9 及び F.7 を参照。

全ての落雷によって雷電磁インパルス(LEMP)が発生する。

注記 2  IEC 60204-1 に規定する機械の電気装置に対する一般要求事項に従うことが望ましい。

8.5.2

LEMP 保護対策(SPM

電気及び制御システムは,LEMP による損傷を受けやすい。したがって,これらのシステムの故障を防

止するために,LEMP 保護対策(SPM)を実施しなければならない。風車の電気及び制御システムを LEMP

から効果的に保護するには,JIS Z 9290-4 に従った,雷保護ゾーン(LPZ)の概念による体系的な手法が必

要である。SPM は,8.5.3 に規定する風車全体に対する LPZ 概念の一部である。風車における LPZ の概念

の適用例を,

附属書 に示す。

風車の製造業者は,

JIS Z 9290-4 に従って,電気システム全体に対する SPM を構築しなければならない。

注記  効果的な SPM は,落雷の間接的な影響に対しても効果的に保護すると想定できる。

JIS Z 9290-4 に従った SPM における基本的な保護対策は,次を含む。

a)  ボンディング(8.5.4 参照)

b)  ケーブル及び配線の電磁遮蔽(システムの施工)(8.5.5 参照) 
c)  協調のとれた SPD 保護(8.5.6 参照) 
d)  接地(箇条 参照)

さらに,次の方法もある。

−  絶縁,回路設計,平衡回路,直列インピーダンスなど

SPM に関する次の基本情報を,文書化しなければならない(箇条 11 も参照)。

−  IEC 62305-1 に従った雷保護レベル(LPL)の規定

− LPZ 及びその境界を規定した風車の図面

− SPD,ケーブル遮蔽及びケーブル遮蔽の接続点を示した回路図

このような文書の基本例を,

図 E.5 及び図 E.6 に示す。


26

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8.5.3

雷保護ゾーン(LPZ

風車は,各構成部品への落雷の影響レベルをおおよそ規定した物理的領域に,分割することができる。

風車の LPZ への分割は,風車の全ての構成部品に対する体系的かつ十分な保護を保証するための手段であ

る。これらの LPZ は,次によって定義している(

表 E.1 参照)。

−  落雷を受ける可能性

−  そのゾーンにおいて侵入する可能性がある雷電流

−  その雷電流に伴う磁界及び電界の大きさ

したがって,雷保護対策は,機械類,電気システム又は制御システムの部品が,それぞれ設置したゾー

ンに侵入する磁界,電界及び雷電流に耐えられるように実施する。例えば,過電圧に対する保護の場合,

あるゾーンからより影響を受けやすい部品のあるゾーン(小さい LPZ 番号から大きい LPZ 番号)へ通過

するケーブルにだけ保護が必要であるのに対し,ゾーン内の内部接続部は保護しない場合がある。この詳

細は,JIS Z 9290-4 の箇条 4[LEMP 保護システム(LPMS)の設計及び施工]による。

これらの要求事項を満たす方法に関する詳細を,

附属書 に示す。

8.5.4

風車内の等電位ボンディング

危険な火花放電が風車の導電部分間で発生しないことを保証するために,JIS Z 9290-4 に従った等電位

ボンディングを風車内に適用しなければならない。これらの等電位ボンディングは,雷捕捉時の接触電圧

及び歩幅電圧に対して保護する。等電位ボンディングは,電気及び制御システムへの損傷の確率低減に重

要な役割を果たしている。低インピーダンスのボンディング接続は,風車内の機器間の危険な電位差を抑

制する。

ボンディング接続を最も効果的なものにするため,風車の大形金属構造物(主に,タワー,ナセル台板,

ナセルフレーム及びハブ)を最大限活用しなければならない。このようなボンディング用導体は,雷によ

って生じる磁界レベルを更に低減することができる。

例えば,

金属プラットフォームとタワー壁との間に,

分散配置したボンディング接続は,タワー内部で効果的な電磁遮蔽となる。

風車の制御システムで起こる被害の大部分は,効果的なボンディグ及び遮蔽によって防止できる。風車

に必要なボンディングに関する詳細を,

附属書 に示す。

8.5.5

遮蔽及び配線ルート

遮蔽は,電磁界レベルを減衰するための手段である。電磁界の低減は,回路内に誘起する電圧レベルを

大幅に低減できる。

構造物又は付近の大地への落雷によって生じる LPZ 内の磁界を低減し得るものは,LPZ の空間遮蔽しか

ない。制御システムにおいて接続ケーブル経由で侵入するサージは,次の二つ又はこれらの方法の組合せ

によって最小化できる。

−  空間遮蔽

−  配線ルート及び遮蔽(両端をボンディングしたシールドケーブルなど)

JIS Z 9290-4 の箇条 に従った磁気遮蔽及び配線ルートを用い,かつ,IEC/TR 61000-5-2 による EMC

対策上適切な設置事例に関する一般指針に従うことが望ましい。

雷電流が風車内を流れるときに大きな磁界が発生する。この変化する磁界が,配線,又は配線及び風車

構造によって形成するループを鎖交する場合,そのループ内にサージ電圧及び電流を誘導する。サージの

大きさは,磁界の変化率及びそのループの面積に関係する。設計者は,誘導電圧の大きさを考慮し,この

ようなサージが配線及び接続機器の耐電圧レベルを超えないようにしなければならない。


27

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遮蔽及び配線ルートの利用は,解析及び/又は試験によって検証することが望ましい。

風車で要求する遮蔽に関する詳細を,

附属書 に示す。

8.5.6

協調がとれた SPD 保護

8.5.6.1  一般

協調がとれた SPD 保護は,電気及び電子システムの故障を低減するために適切に選定,協調及び設置し

た SPD のセットで構成する。

注記 SPD 保護の協調は,システム全体の絶縁協調を実現するための接続回路を含む。

協調がとれた SPD 保護は,雷サージ及び内部で発生する開閉サージを抑制する。電気及び制御システム

の保護は,低圧系統及び制御システムの両方に対し協調のとれた SPD を設置することである。風車内の協

調がとれた SPD 保護に関する推奨事項を,

附属書 に示す。

8.5.6.2  SPD の配置

JIS Z 9290-4 に従って,SPM では各 LPZ の引込口に,次のように SPD を設置しなければならない。

a) LPZ

1 の境界のできるだけ近くに,JIS C 5381-11 で規定する I

imp

で試験をした SPD を設置しなければ

ならない。

b) LPZ

2 以上の境界のできるだけ近くに,かつ,必要に応じて被保護機器のできるだけ近くに JIS C 

5381-11 で規定する I

n

で試験した SPD を設置しなければならない。

注記 SPD と機器との間の配線が長すぎる(一般に,10 m より長い)場合,サージの伝搬によって

振動現象が発生することがある(JIS Z 9290-4 の D.2.3 及び D.2.4 参照)

8.5.6.3  SPD の選定

代表的波形 10/350  μs の部分雷電流に耐えなければならない SPD に対しては,対応するインパルス電流

I

imp

が必要である。電源回路用では,適切な I

imp

を JIS C 5381-11 のクラス I 試験手順で規定している。

代表的波形 8/20  μs の誘導サージ電流に耐えなければならない SPD に対しては,対応する公称放電電流

I

n

が必要である。電源回路用では,適切な I

n

を JIS C 5381-11 のクラス II 試験手順で規定している。

SPD は,次に従わなければならない。

a)  電力系統では,JIS C 5381-11 
b)  通信及び信号回線システムでは,JIS C 5381-21

8.5.6.4  SPD の設置

SPD は,次の設置規定に従わなければならない。

a)  電力系統の保護では,JIS C 60364-4-44JIS C 60364-5-53 及び JIS C 5381-12

b)  制御及び通信システムの保護では,JIS C 5381-22

SPD の設置位置は,SPM に従った図面及び配線図などによって提示しなければならない。複数の LPZ

境界に複数の SPD を設置し,機器内部にサージ保護部品を設置する場合,JIS Z 9290-4 及び JIS C 5381-12

に従ったエネルギー協調の要求性能を満たさなければならない。

電気及び制御システムにおける SPD 協調に関しては,JIS Z 9290-4 に従って考慮しなければならない。

SPD 間の協調の実施方法に関する十分な情報は,文書で提示しなければならない。

電気及び制御システム並びに設備のボンディング

(接地)

及び配線に対する詳細な指針は,

8.5.4 及び 8.5.5

によって,その例を

附属書 に示す。

8.5.6.5  環境ストレス

SPD は,次のような設置場所での環境ストレスに耐えなければならない。

a)  周囲温度


28

C 1400-24

:2014

b)  湿度 
c)  腐食性雰囲気

d)  振動及び機械的衝撃

風車内の設置箇所の条件によって,SPD の性能及び設置に関し,追加及び特定の要求事項が発生する場

合がある。風車の製造業者は必要に応じて,ナセル,ハブなどの特定の設置箇所の環境条件を考慮するこ

とが望ましい。

8.5.6.6  保守

SPD の保守及び交換は,保守計画に従って行わなければならない。

SPD は,点検が可能な方法で設置しなければならない。

注記 SPD 製造業者は,SPD の寿命に関する情報を提供することができる。

8.5.6.7  SPD のモニタリング

風車の電気及び制御システムの重要部分の SPD による保護については,モニタリングを要求してもよい。

8.5.6.8  電圧防護レベル(U

p

及びシステムのイミュニティを考慮した SPD の選定

LPZ において必要な電圧防護レベル U

p

を確認するために,LPZ 内の次のような機器のイミュニティレ

ベルを明確化しなければならない。

a)  JIS C 61000-4-5 及び JIS C 60664-1 に従った電力線及び機器端子部 
b)  JIS C 61000-4-5ITU-T K.20 及び ITU-T K.21 に従った通信線及び機器端子部

c)  製造業者から得られる情報に従ったその他の配線及び機器端子部

電気及び電子部品の製造業者は,EMC 規格に従った必要なイミュニティレベル情報を提供できることが

望ましい。そうでない場合,風車の製造業者は,イミュニティレベルを明確化するために試験を実施する

ことが望ましい。

LPZ 内の部品の明確化したイミュニティレベルは,LPZ 境界で実施する必要な電圧防護レベルを定義す

る。

システムのイミュニティは,可能な場合,設置した全ての SPD 及び被保護機器を含めて試験しなければ

ならない。試験方法を,

附属書 に示す。

8.5.6.9  風車内で生じる過電圧

風車の電気システム内での大幅な電圧変動及び一時的過電圧によって,特定の要求事項を SPD に適用す

る場合がある。このような場合,電気システムの関連部分並びに電圧レベル,電流レベル及び継続時間は,

解析及び/又は試験,並びに適宜選定した SPD によって確認しなければならない。この例を,

附属書 F

に示す。

選定した SPD がこれらの特定のストレスレベルに耐えられることを証明しなければならない。

8.5.6.10  公称放電電流 I

n

及びインパルス電流 I

imp

を考慮した SPD の選定

JIS Z 9290-4 に従って風車内部の雷電流分布を解析することが望ましい。これらの計算を基に,公称放

電電流 I

n

及びインパルス電流 I

imp

を考慮して SPD を選定することができる。

特に,露出した回路に設置する SPD は,JIS C 60364-5-53 で規定したレベルに比較して高い定格を要求

する場合,又はこのような回路を遮蔽することができる場合がある。また,特に,高ストレス及び繰返し

ストレスにさらされる回路は,解析によって確認することが望ましい。風車の電気及び制御システム内に

このような露出した回路がある場合は,風車製造業者は配線図で提示しなければならない。詳細を,

附属

書 に示す。


29

C 1400-24

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8.5.6.11  SPD の短絡電流,続流遮断定格及び動作責務の繰り返し(寿命)を考慮した SPD の選定

SPD 製造業者が指定する SPD 及び過電流保護装置(OCPD,例  ヒューズ)の組合せの短絡電流定格及

び SPD の続流遮断定格は,設置箇所での想定最大短絡電流以上としなければならない。さらに,SPD に対

して続流遮断定格を指定している場合,計算又は試験によって,該当の電力回路内に設置した実際の OCPD

が動作しないことを確認しなければならない。

注記 SPD 製造業者は,SPD 寿命に関する情報を提供することができる。

8.5.6.12  多重雷発生時の SPD の動作

風車への落雷数が比較的高いこと及び風車内部に設置する種々の SPD の特性から,SPD は,多重雷に耐

えなければならない。

8.5.7

システムのイミュニティ試験の試験方法

予備試験方法を,

附属書 に示す。

8.6

高圧電力系統

大形風車は,一般に高圧変圧器を介して高圧地中ケーブルに接続している。高圧地中ケーブルは,一連

の風車を電力系統に直接接続するか,又は変電所に接続して昇圧する場合がある。

風車の高圧変圧器は,ナセル後部,タワー基部又は風車タワーに隣接して設置する場合がある。

高圧のサージを防護するための機器は,一般に避雷器と呼ばれる。風車へ適用するに当たって,避雷器

は,

一般に,

風車の接地システムを通過する雷電流による大地電位上昇から変圧器及び高圧系統を保護し,

かつ,風車外部の高圧ケーブルから風車に侵入するサージに対して保護する役割を果たす。変圧器の高圧

側での避雷器の必要性は,IEC 62305-2 の規定に基づいて評価することが望ましい(箇条 及び

附属書 B

を参照)

風車外部の高圧ケーブルから侵入するサージレベルの評価には,専用の過渡回路網解析が必要である。

この検討は,IEC 60071 規格群に従って実施することが望ましい。このような検討を実施しない場合は,

一般的な予防措置として高圧避雷器の設置が望ましい。

高圧避雷器は,IEC 60099-4 に従ったギャップなしの金属酸化物避雷器とし,かつ,IEC 60099-5 に従っ

て選定及び適用することが望ましい。


30

C 1400-24

:2014

a)  かご形誘導発電機(SCIG 

b)  巻線形誘導発電機(WRIG 

図 4−風車の二つの代表的な主回路における高圧避雷器の設置例

高圧避雷器は,

図 に示すとおり,変圧器を最大限保護するように,できるだけ高圧変圧器端子部に設

置することが望ましい。しかし,避雷器を開閉器側に設置するほうが好都合な場合がある。一般に,被保

護機器の絶縁レベルに応じて,避雷器と機器との距離は 10 m∼40 m に設定できる。この距離を超える場

合,より詳細な検討を行い,タワー基部に設置した避雷器がナセル内部の変圧器を十分に保護できるかど

うかなどを判断する必要がある。変圧器をタワー外部に配置する場合,変圧器の接地システムを風車の接

地システムに接続することが重要であり,可能な場合には,単一の接地システムとすることが望ましい。

特に高圧側から大きなサージが変圧器を介して移行する場合,高圧変圧器の低圧側の SPD は,一般的な

予防措置であり,この場合,変圧器に適した SPD(エネルギー耐量が大きい SPD など)を選定することが

望ましい。変圧器の高圧側と低圧側との間の過渡的な容量結合及び誘導結合,並びにそれによって低圧側

に移行する過渡的な電流レベルは,変圧器の設計,及び特に低圧側巻線の接地方法に大きく依存する(詳

細は,IEC 60071-2 

附属書 を参照。)。したがって,一般的な予防措置として変圧器の低圧側に SPD を

設置するか,又は製造業者から十分に詳細な変圧器モデルを取得し,サージの検討を行って変圧器の低圧

側に SPD が必要かどうかを判断することが望ましい。

注記  IEC 60204-11 の機械に関する高圧系統の一般要求事項は,守ることが望ましい。

9

風車及びウィンドファームの接地

9.1

一般

雷電流を放流して風車への損傷を防ぐため,機器への効率的な接地システムが不可欠である。さらに,

接地システムによって人及び家畜を感電から保護しなければならない。電力系統で故障が発生した場合,

保護装置が動作し,故障電流を安全に遮断するまで,接触電圧及び歩幅電圧並びに全体的な大地電位上昇


31

C 1400-24

:2014

を安全なレベルに保つことが必要である。落雷に対しては,接地システムは危険な熱的・電気力学的損傷

を生じずに,高周波・高エネルギーの雷電流を大地に放流しなければならない。

単一の接地システムを風車の雷保護用の接地及び電力系統の接地用として構築することが望ましい。さ

らに,基礎構造の金属部分を接地システムに含めることが望ましい。これは,大規模な基礎構造の金属部

分を用いることで接地抵抗が最小になるためと,基礎の金属部分を接地システムから分離した場合,特に

コンクリート基礎の場合に構造上危険になるためである。

高圧機器の故障による危険な接触電圧及び歩幅電圧の発生を防止するための接地システムの設計に関し

ては,該当する国内規程及び/又は法令を参照する。人体の安全に関しては,IEC/TS 60479-1 及び IEC 

60479-4 を参照する。 
9.1.1

基本的な要求事項

風車の接地システムは,風車保護装置の設計基準である LPL に対応した落雷による被害に対し,十分に

保護するように設計する。

接地システムは,次の基本設計要求事項を満たすよう設計しなければならない。

a)  地絡時に生じる歩幅電圧及び接触電圧に関する人体の安全を確保する。

b)  機器の損傷を防ぐ。 
c)  故障時に受ける熱的・電気力学的な力に耐える。 
d)  長期にわたる十分な機械的強度及び耐腐食性をもつ。

9.1.2

接地極の配置

JIS A 4201 に規定する次の 2 種類の基本形接地極を風車に用いる。

a)  型接地極  この接地極は,風車での使用を推奨しないが,小規模建造物(測定機器を収納する建造

物,ウィンドファームに接続する事務所など)に対して用いることができる。A 型接地極では,水平

又は垂直の接地極を,構造物上の二つ以上の引下げ導線にそれぞれ接続する。

注記  A 型接地極の詳細については,JIS A 4201 の 2.3.3.1 を参照。

b)  型接地極  この接地極は,風車での使用が望ましい。このタイプの接地は,全長の 80 %以上が土壌

と接触した外部の環状接地極又は基礎接地極のいずれかで構成する。環状接地極及び基礎中の金属部

分は,タワー構造物に接続しなければならない。

9.1.3

接地システムのインピーダンス

従来の接地システムの考え方では,接地抵抗は,受雷部システム及び引下げ導線の効果に影響を及ぼさ

ない。接地システムは,大地電位上昇を最小限に抑え,風車に接続する引込線に流れる分流雷電流を減少

させ,接地システム付近のほかの引込線への火花のリスクを低減するため,できる限り低いサージインピ

ーダンスとなるよう設計しなければならない。

接地極の埋設深さ及び形態は,腐食,土壌の乾燥及び凍結の影響を最小限に抑えるように決め,それに

よって接地抵抗の値を一定にすることができる。垂直接地極の上部 1 m は凍結条件下では有効とみなさな

いほうがよい。

接地システム構成要素は,雷電流及び電力系統の故障電流に耐えられるものでなければならない。JIS A 

4201 に従って接地システム構成要素を選定することで,このことを保証する。接地システムは熱的又は電

気力学的損傷を生じずに雷電流を大地に放流するよう構成し,導体の長さをできる限り短くしなければな

らない。

追加情報を,I.2.2 に示す。


32

C 1400-24

:2014

9.2

等電位ボンディング

9.2.1

一般

等電位化は,LPS を次の各部分と相互接続することで実現する。

a)  金属構造部分 
b)  金属製設備

c)  内部システム 
d)  構造物に接続した系統外導電性部分及び引込線

内部システムへの雷保護等電位ボンディングを確立すると,雷電流がこのようなシステムに放流する場

合があるため,この影響を考慮しなければならない。

通信線,電力線などの引込線の雷保護等電位ボンディングの実施方法は重要であり,要求事項が一致し

ない場合があるので,電気通信網の事業者,電力系統の運用者及びその他の事業事業者又は関係当局と協

議しなければならない。

9.2.2

金属製設備に対する雷保護等電位ボンディング

雷保護等電位ボンディング接続は,できる限り直接かつ直線にしなければならない。

各ボンディング用バー及びボンディング点を接続するボンディング用導体,並びに接地システムにボン

ディング用バー及びボンディング点を接続する導体の断面積の最小値は,

表 による。

内部の金属製設備をボンディング用バー及びボンディング点に接続するボンディング用導体の断面積の

最小値は,

表 による。

表 5−各種のボンディング用バー及びボンディング点を接続する,又はボンディング用バー及び

ボンディング点を接地システムに接続する導体の最小寸法(IEC 62305-3 の表 8

単位  mm

2

LPS クラス

材質

断面積

I∼IV

銅 14

アルミニウム 22

鋼鉄 50

表 6−内部の金属装置をボンディング用バー及びボンディング点に接続する導体の最小寸法

IEC 62305-3

の表 9

単位  mm

2

LPS クラス

材質

断面積

I∼IV

銅 5

アルミニウム 8

鋼鉄 16

9.2.3

電気的に絶縁した LPS

絶縁した外部 LPS を風車に対して用いることは,推奨しない。

9.3

構造用部品

9.3.1

一般

一般に,風車の全ての導電性構造部品は雷電流の一部を放流することが可能なため,導電性構造部品の

等電位ボンディングを行わなければならない。


33

C 1400-24

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9.3.2

金属製の円筒形タワー

タワーは,主要な保護接地(PE)及び等電位ボンディング接続部とみなさなければならない。

タワーは,高さがあるので,タワー構造物への落雷が多くなり,タワー設計に当たっては落雷を考慮し

なければならない。全ての導電性部品,及び雷電流が流れる可能性がある全ての主要金属部分をタワーに

接続する。タワーは引下げ導線として用い,雷電流が十分に流れるように施工しなければならない。

9.3.3

鉄筋コンクリート製タワー

タワーは,主要な保護接地(PE)及び等電位ボンディング接続部とみなさなければならない。タワーは,

高さがあるので,タワー構造物への落雷が多くなり,タワー設計に当たっては落雷を考慮しなければなら

ない(IEC 62305-3 の E.4.3 を参照)

外部雷保護システムは,鉄筋コンクリート製タワーで使用できるが,タワーの鉄筋に必ず接続しなけれ

ばならない。

鉄筋に接続した等電位ボンディング取出口は,タワー内部の機器ボンディング用端子に確実に接続しな

ければならない。鉄筋コンクリート製タワーは,9.3.6 に従って設計しなければならない。

9.3.4

ラティスタワー

ラティスタワーは,タワー内部を落雷から保護し,雷電磁界をある程度低減するため,タワー内の空間

は LPZ0

B

と定義する。ラティスタワーでは,その構造要素を経由して雷電流を放流しなければならないの

で,並列する経路の分流を考慮して,IEC 62305-3 で規定した引下げ導線に必要な寸法を満たす必要があ

る。

ケーブルの保護については,タワー塔脚の内部に配置することである程度実現できる。ラティスタワー

内部に配置した遮蔽効果がある電線管又はトレイによっても保護できる。

9.3.5

タワー内部の機器類

タワー内部は 8.5 で規定したとおり,一つ以上の雷保護ゾーン(LPZ)として定義し,それを基準にゾ

ーン内部の機器に対して,必要な保護レベルの評価をしなければならない。

はしごは,両端及び 20 m ごと,並びにプラットホームごとにタワーに接続しなければならない。

レール,巻上機用ガイド,油圧配管,人体保護ワイヤ及びタワー内部を通すその他の部品は,両端を接

続する。また,ラティスタワーの場合は,可能な場合には 20 m ごとに接続しなければならない。

高圧変圧器の接地システムは,風車の接地システムに接続することが望ましい。電力系統及び雷保護に

対して別々の接地システムを用いないほうがよい。

9.3.6

コンクリート基礎

風車の基礎内の鉄筋は,常に,タワーとの機械的・電気的接続による遠方大地への雷電流又は故障電流

経路の一部となることから,基礎内の鉄筋は,常に LPS の一部とみなす。

鉄筋コンクリート構造物では,鉄筋同士の電気的導通を確保しなければならない。鉄筋コンクリート構

造物内の鉄筋が,接地システムの垂直及び水平導体の主要部分と接続している場合,電気的に接続してい

るとみなす。金属補強部分間の接続は,溶接又はクランプ締めするか,直径の 20 倍以上の長さで重ね合わ

せて導通性の細線で結束するか,又は確実に接続する。接触不良部分の局所的アーク放電によるコンクリ

ートの損傷を防止するために,相互接続には特別な注意を払うことが望ましい。

鉄筋間の接続は,設計者が指定し,かつ,施工者が接続の品質管理を実施しなければならない。雷保護

接地用の接続は,短く直線状のものが必要であることを常に認識しなければならない。

電力系統の保護用接地極として,鉄筋を用いる場合,棒鋼及び接続部の径は電力系統接地システムの要

求事項に従うものとし,これらの要求事項は一般に国内規程に定めている。


34

C 1400-24

:2014

接地システムの追加の接続,測定又は拡張用の端子は,基礎上の適切な位置に設けなければならない。

9.3.7

岩石が多い場所の基礎

岩石が多い場所では,通常,岩石表面における導電率が最小となる。

接地システムは,B 型接地極システムを用いなければならない。設計の詳細な情報については,I.1.1 

参照。

歩幅電圧及び接触電圧から保護するために 2 個以上の同心状の環状接地極を用いることが望ましい。岩

石に埋設した垂直接地極とこれらとを組み合わせてもよい。

岩石のアンカーボルトは,相互に,かつ,環状接地システムに接続しなければならない。鉄筋コンクリ

ートを用いる場合は 9.3.6 を参照。

岩石が多い場所では,大規模な接地システムを構築することなく低接地抵抗を実現するのが不可能なこ

とがある。したがって,このような場所では,人及び家畜が立ち入る可能性がある地面の接触電圧及び歩

幅電圧を制限するために地表面の電位勾配を抑制するよう,風車及びその他の設備周辺に一つ以上の環状

接地極を配置することが望ましい。同時に,集電系統及び通信システムを風車に接続する,全ての金属製

の引込線に生じる雷サージに対する保護を行うことが望ましい(8.5 を参照)

9.3.8

金属製モノパイル基礎

金属製モノパイル基礎は,本質的に大形の接地極であり,主接地極として用いなければならない。

大地抵抗率に応じて,

基礎付近の地表電位勾配を制御するための環状接地システムが必要な場合がある。

9.3.9

洋上風車用基礎

海水の抵抗率は湿潤土壌より大幅に低い。したがって,モノパイル,鉄筋コンクリート基礎などの洋上

風車用基礎の場合,接地システムの要求事項を満たしているとみなせるため,環状接地極などの追加措置

は不要である。洋上基礎の相互接続は,集電システムのケーブルのシールドによる接続以外,一般に不要

である。

銅製の外部の接地システムは,腐食の問題によって洋上では用いることができない。

9.4

接地極の形状寸法

接地極の最小長 l

1

は,雷保護レベル(I∼IV)及び大地抵抗率による。

大地抵抗率が 500 Ωm より高い場合,l

1

は,大地抵抗率 3 000 Ωm で 80 m の点まで直線的に増加する。

B 型接地極は,被保護構造物の外側の,全長の 80 %以上が土壌と接触した環状導体,又は基礎接地極で

構成する。このような接地極は,メッシュ状とすることも可能である。

環状接地極(又は基礎接地極)の場合,環状接地極(又は基礎接地極)で囲んだ領域の平均半径 r

e

は,

式(17)に表すように,値 l

1

以上としなければならない。

r

e

l

1

   (17)

ここに,

l

1

雷保護レベル I,II,III 及び IV に応じて

図 I.1 に示す接地極の

最小長

l

1

の要求値が r

e

の算定値より大きい場合,式(18)及び式(19)で得る水平長さ l

r

及び垂直長さ l

v

をもつ水平

又は垂直(又は傾斜)接地極を追加しなければならない。

l

r

l

1

r

e

  (18)

l

v

2

e

1

r

   (19)

接地極数は 2 個以上としなければならない。

追加接地極は,可能な限り等距離で接続することが望ましい。


35

C 1400-24

:2014

接地システムの接地抵抗が,電源周波数(50 Hz∼60 Hz)及び低次高調波と異なる周波数で測定し,10 Ω

未満の場合,上記の l

1

は無視することができる。

大地抵抗率,想定し得る地絡電流,及び地絡してから回復するまでの時間に関する情報は,接地システ

ムの適切な設計・施工計画に極めて重要である。

大地抵抗率は,土壌の特性によって大きく異なる。幾何学的・物理的形状に従った必要な接地極の計算

方法を,

附属書 I

に示す。

9.5

ウィンドファーム

ウィンドファームは,一般に風車,建造物,埋設ケーブル又は架空線,高圧変電所,信号ケーブルなど

の多数の構造物で構成する。

各風車は,それぞれ接地システムをもたなければならない。個々の風車及び高圧変電所の接地システム

は,ウィンドファーム全体で接地システムを形成するために,可能な場合には水平接地導体で接続しなけ

ればならない。このことは,個々の風車位置で良好な抵抗を得るのが困難な場合に特に有益である。

注記

  風車の接地システム間の接続は,接地導体によって各風車をつなぐ集電ケーブル経路を経由し

て行うことが望ましい。

低抵抗接地システムによってウィンドファーム内の異なる構造物間の電位差が減少し,これによって絶

縁障害が低減するため,

ウィンドファームの接地システムは電気システム保護のために非常に重要である。

地中のケーブル経路への落雷の確率を低減し,ケーブルへの雷の誘導の影響を低減するために,接地導

体又はケーブル経路が幅広い場合は,多数の接地導体をケーブル経路上に設置することが望ましい。

9.6

接地システムの設計

施工及び保守

接地システムの設計者は,接続点,コネクタ,クランプ及び溶接の利用,引出し口の位置及び数並びに

その形式及び品質の詳細と併せ,接地システムの配置を記載した実施計画を策定しなければならない。

建設作業中,特にコンクリートの打設前に,点検を実施しなければならない。

注記

  国内規程によって,接地抵抗の測定を義務付けている場合がある。

点検・保守マニュアルに,接地システムの修繕・保守の頻度及び方法を記載しなければならない。点検

周期については設計者と風車の運営者との間で合意することが望ましい。より定期的な点検が必要となる

腐食環境を考慮することが望ましい。接地システム内の部品について一定の寿命期間を予測する場合,点

検周期はそれらの部品の予想最短寿命期間より長くすることはできない。

10

人体の安全性

陸上での大形風車の建設には,使用する超大形クレーンの組立・分解に要する時間を含めると数日かか

る。一方で洋上風車は,特殊船舶又は自己昇降式作業台船(SEP 船)を用いることによって 1 日未満で建

設することが可能である。いずれの場合も,風車の運転を開始する前の建設後の仕上げ作業に通常最大数

週間を要する。この期間中は多くの要員が風車内部,上部及び周辺で作業を行っており,風車に落雷した

場合に影響を受けるリスクが高い。

したがって,雷に関する作業安全手順を確立することが望ましい。このような手順には次のことを盛り

込むことが望ましい。

・  局地天気予報の定期的な確認(毎朝など)

・  雷及び電気事故による傷害に関連した要員の応急処置訓練の実施

・  暫定的な接地システムのできる限り早急な接続

・  安全な場所の指定


36

C 1400-24

:2014

・  現場にいる全ての要員への雷警報の情報提供

・  要員への次の指示

−  発達中の雷雲,雷鳴及び雷光を警戒する。

−  髪の毛の逆立ち,バリバリという音,受雷部システムなどの先端からのせん(閃)光など,雷雲に

よる高電界の兆候について認識する。

−  雷の危険を感じたり,雷警報を受信したら作業を中断し,最寄りの安全な場所に避難する。

このような安全手順が建設現場の安全衛生計画に盛り込まれており,風車の供給業者によって提供され

る風車建設マニュアル及び点検・保守マニュアルに記載することが望ましい。

気象庁では,十分正確な雷雨予報を提供しており,かつ,インターネットなどで警報の情報を提供して

いるため,これらを考慮することが望ましい。ただし,これらの情報があることを理由に,発達中の雷雲,

雷鳴(10 km∼15 km 以内で聞こえる)又は雷光(30 km 以内で見える)を警戒するという現場要員への指

示をやめないほうがよい。局地的な落雷検出・雷雨警報装置,更に携帯用の装置が様々な製造会社から入

手でき,それらは有用である場合がある。

雷警報システムによっては,全ての落雷,特に発達中の嵐における最初の落雷の警報を提供できない場

合がある。したがって,全ての要員に雷による人体の安全へのリスクについて認識させることが不可欠で

ある。

建設作業時には,クレーン,発電機などは,できる限り早急に接地システムに接続することが望ましい。

次の要員などは,風車に落雷した場合に非常に危険である。

−  ナセルの外部及び翼上で作業する要員

−  同様に,風車タワーから外部に出ようとしている要員

−  タワーの横に立っている要員

−  はしごを登っている要員

−  電気回路又は有線通信システムに接触している要員

−  電気回路又は有線通信システムに対して作業を行っている要員

したがって,これらの要員には,危険な状態が過ぎるまで作業を中断し安全な場所に避難するよう指示

することが望ましい。

円筒タワー内部のプラットフォームは,タワーが完全なファラデーケージに近いことから,安全な場所

であると一般にみなしている。風車内の要員には,作業を中断してタワー内部の最寄りのプラットフォー

ム付近に避難し,雷雨が通過するまでその場にとどまるよう指示することが望ましい。ほかに安全な場所

として,金属製の屋根をもつ車両の内部,金属コンテナの中などがある。

注記 1

  プラットフォーム上では立つ,又は座るように指示し,電気システムなどタワー内に垂直に

延びている導電体には触れないように指示することが望ましい。

建設現場では効果的な情報伝達が困難な場合があることから,ある種の警報音,無線又は同等の効果的

な広域警報手段について合意しておくことが望ましい(車のクラクション又は警笛を繰り返し鳴らすこと

で,代用することも可能である。

注記 2

  風車に関する説明文書によって,必要な安全離隔距離及び安全な場所にいるときのその他の

予防措置を含めて,風車内の安全な場所を定めることが望ましい。

IEC 62305-3

では,安全

離隔距離の詳細な計算方法に関する指針を提供している。


37

C 1400-24

:2014

11

雷保護システムの文書化

11.1

一般

ここでは,ほかの箇条で要求する全ての文書をまとめて,分かりやすいよう短く記載し,かつ,分類し

ている。

設計評価を行うときの文書については

11.2

に,サイト評価については

11.3

に規定している。雷保護シス

テムの点検前に必要な文書については

11.4

に,マニュアルについては

11.5

に規定している。

文書化には,それで成り立つ文書又は規格文書への参照のいずれかがある。

11.2

設計評価のときに必要な文書化

一般的な文書(

11.2.1

)では風車全体を対象とし,採用する保護原理を明らかにしなければならない。こ

れらの文書は,ロータ翼,機械,電気,ボンディング,接地及びその他のシステムに関するより詳細な文

書と関連していなければならない(

11.2.2

11.2.6

11.2.1

一般的な文書

一般的な文書は,次による。

a

)  風車の雷保護の総配置図(単線表示)で,次のもので構成する。

1

)  個別の構造物及び接続部

2

) LPZ 及びその境界を示した回路図。このような文書の基本例を,

附属書 E

に示す。

3

)  受雷部システム

4

)  引下げ導線の位置

5

)  接地極及び表面電位制御

6

)  ボンディング用導体及びボンディング用バーの位置

7

) SPD の位置

8

)  ケーブル遮蔽の接続点

b

)  設計

1

)  雷撃点から雷電流を流す方法に関する記述

2

)  設計に用いた雷保護レベル

3

) LPL

I より信頼性の高い保護手法を用いる場合はリスク評価について文書化することが望ましい。

4

)  風車内での雷電流分布の分析

5

)  エネルギー協調を考慮した SPD の選定及び検証

c

)  雷に関する要員の安全手順

11.2.2

翼に関する文書

翼に関する文書は,次による。

a

)  次を含む翼の図

1

)  引下げ導線の断面積

2

)  追加の導電性部品

3

)  ボンディング詳細

b

)  次を含む記述

1

)  受雷部及び引下げ導線システムの取付け

2

)  翼内の内部アーク放電の防止措置

3

)  受雷部システム,火花ギャップ又は滑り接触に対して必要な修繕・保守の定義

4

)  引下げ導線システム及び接続部品に対して必要な修繕・保守の定義


38

C 1400-24

:2014

5

)  修繕・保守に関する指示

c

)  受雷部システムが十分に雷撃を受け止め,雷電流を流す能力を明らかにする検証方法に関する記述

11.2.3

機械システムに関する文書

機械システムに関する文書は,次による。

a

)  雷電流を流す能力の検証

b

)  雷電流の影響から軸受及び油圧システムを保護するための措置に関する記述。記述には,実証済みの

技術に関する文書・証拠書類及び/又は保護措置の有効性を示す試験報告書を含めなければならない。

c

)  保護を実施しない場合,雷による衝撃を定期的に受けた場合も軸受が設計寿命期間にわたって動作可

能であることを示した試験報告書を提示しなければならない。

11.2.4

電気

電子システムに関する文書

電気・電子システムに関する文書は,次による。

a

)  電気・電子システムの遮蔽及び設置設計

b

) SPD の選定及び協調

c

) LPZ 内の機器の電磁耐性レベル

d

) SPD の保守計画

e

)  高圧避雷器の必要性を明確にする解析

11.2.5

接地及びボンディングシステムに関する文書

接地及びボンディングシステムに関する文書は,次による。

a

)  全体的な等電位ボンディングシステムを示した風車内の全てのボンディング及び接地に対する全体的

な等電位化

b

)  関連データを含めた記述及び図

c

)  接続部に対する品質管理に関する記述

11.2.6

ナセルカバー

ハブ及びタワーの雷保護システムに関する文書

ナセルカバー,ハブ及びタワーの雷保護システムに関する文書は,次による。

a

)  次の情報を含む図

1

)  受雷部システムとして用いる金属部分を示したナセルカバー及びスピナ

2

)  受雷部システム

3

)  ボンディング

4

)  該当する場合,金属製ネット又は閉鎖形金属コンジット

5

)  ハブ及びナセルに対する遮蔽方法

b

)  必要に応じて,試験報告書

c

)  コンクリート製タワーの外部雷保護システムからタワーの鉄筋へのボンディング

d

)  ラティスタワーの構造要素の寸法

11.3

サイト固有の情報

サイト固有の情報は,次による。

a

)  ウィンドファームサイトの地域における落雷発生数

b

)  接地の文書については,次を追加する。

1

)  大地抵抗率

2

)  地絡電流

3

)  事故除去時間


39

C 1400-24

:2014

c

)  建設現場の安全衛生計画

11.4

LPS 点検用に提供する文書

LPS 点検用に提供する文書は,次による。

a

) LPS に関する記述

b

)  接地システムに関する記述

c

)  関連する場合,過去の点検の報告書

11.4.1

LPS 目視点検報告書

11.4.2

LPS 総合点検報告書

11.5

マニュアル

次のマニュアルは,雷保護及び接地システムに関する関連事項を対象としなければならない。

a

)  品質マニュアル

b

)  基礎設置マニュアル

c

)  基礎保守マニュアル

d

)  風車建設マニュアル

e

)  風車点検・保守マニュアル

12

雷保護システムの点検

12.1

点検の範囲

風車の運用者は,雷保護対策の一環として点検プログラムを策定しなければならない。点検は,次のこ

とを確認することを目的とする。

a

) LPS がこの規格に基づいた当初の設計に,引続き適合している。

b

) LPS の全ての部品が良好な状態にあり,設計どおりの性能をもっている。

LPS は,運用者によるシステムの重要部分の点検が可能なように設計しなければならない。

風車の製造業者は,点検計画書及び点検指示書を作成し,作業指示書,風車修繕・保守マニュアル,風

車基礎保守マニュアルなどに自主点検項目を記載する責任を負う。

12.2

点検の順序

12.2.1

一般

点検プログラムを,策定しなければならない。点検は

12.1

に従って実施することが望ましく,次の作業

工程中に実施しなければならない。

a

)  風車の製造

b

)  風車の設置

c

)  風車の試運転

d

)  風車の立地に考慮した合理的な点検周期(一般的な定期点検の最大の周期は,

表 7

による。

e

)  風車の一部の取外し又は修理を行った後(翼,主要部品,制御装置など)

12.2.2

風車製造時の点検

点検プログラムは,点検計画における記述に従って,品質検査官又は運用者の自主点検によって実施で

きる。風車の製造,建設及び設置時には,雷保護に関連した全ての設備及び措置が正しく実施されている

ことを確認しなければならない。重要な詳細は,全て作業指示書などに記載しなければならない。


40

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12.2.3

風車設置時の点検

設置時には,特に次のことを重視して接地システムを入念に点検しなければならない。

a

)  掘削及び埋戻し時の機械的損傷

b

)  鋳造時の機械的安定性

c

)  他の鋼鉄部分への電気的接続性(外部の階段など)

d

)  基礎接地システムへの接続

e

)  外部接地システムへの接続

f

)  電解腐食

システムにはこのほかに,後で目視点検ができない部分が含まれる場合があり,これらについては設置

時に特別な対応が求められる。

12.2.4

風車の試運転時の点検及び定期点検

風車の試運転の一環として雷保護システムを点検しなければならない。これについては,目視点検及び

LPS が点検できない場合には,導通測定だけは実施しなければならない。

点検計画を作成するときに,次の点を考慮することが重要である。

a

)  受雷部要素の化学的劣化及び物理的損耗(定期点検)

b

)  導体,接続部,滑り接触又は火花ギャップの機械的・電気的特性

c

)  接続部,等電位ボンディング,固定具などの状態

d

) SPD の状態

e

)  接地極の腐食(定期点検)

一定の周期(

表 7

に記載)で LPS の重要部分の導通測定及び監視を行っていない SPD の点検を含めた

点検一式を実施しなければならない。

翼製造業者及び風車製造業者は,各自の修繕・保守マニュアルにおいて,分析及び試験によって実証済

みの雷保護設計の耐久性に基づいた風車への年間平均落雷数 N

d

に応じて,特定の LPS 点検間隔を定義し

てもよい。

導通測定は,直流電流の測定又は同様の方法として実施することができる。接続の導通を確保すること

が主要な目的であり,一定の値を得ることではない。特定の値を定期測定中の基準として用いることがで

きる。測定点及び測定限界は,修繕・保守マニュアルにおいて明確に指定しなければならない(

附属書 J

参照)

風車翼内の引下げ導線の導通については,システムの構造によって確保し,現場での導通測定が不要と

なるように製造時に確認することが望ましい。

表 7

LPS の一般的な点検周期

保護レベル

目視点検

導通測定を含む総合点検

I 及び II 1 年ごと

2 年ごと

III 及び IV 1 年ごと

4 年ごと

12.2.5

主要部品の取外し又は修理後の点検

風車の主要部分の取外し又は修理を行った後,LPS に関連する全ての設備が正しく修復していることを

確認しなければならない。必要に応じて,総合的な点検を実施しなければならない。


41

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風車が通常動作を行っている場合,点検頻度は設置箇所の環境条件によって決まるが,風車を少なくと

表 7

に示した頻度で点検しなければならない。

12.3

保守

定期点検は,風車 LPS について信頼性が高い維持管理を行うための基本条件である。

LPS の構造に摩耗部分が含まれる場合(受雷点,機械的滑り接触,火花ギャップ,サージ防護デバイス

など)

,これらの部分が定期点検時に,かつ,予想寿命期間に応じて維持管理していることを確認するか,

又は自動監視システムによって監視を行い,風車の運用者に部品の故障を通報するようにしなければなら

ない。監視システムについては,

附属書 L

に示す。

摩耗又は不良部品は,全て直ちに交換しなければならない。


42

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附属書 A

参考)

風車に関連した雷現象

A.1

風車の雷環境

A.1.1

一般

この附属書は,雷現象を理解するために必要な情報,及び雷が風車と相互作用するときに伴うプロセス

について概説することを目的としている。より包括的な情報については文献[1]

3)

で入手できる。

3)

  角括弧内の数字[X]は,

附属書 N

(参考文献)を参照している。

A.1.2

雷の特性

雷は電流源とみなすことができ,雷保護の設計及び寸法設定に関連した雷電流パラメータとして,ピー

ク雷電流 I,雷撃電流インパルスのしゅん(峻)度 di/dt,電荷量 及び比エネルギーW/の四つがある。

単一の雷撃が記録する雷電流の最大値は,2 kA∼300 kA である。電荷量及び比エネルギーの最大記録値

は,それぞれ,数百 C,及び非常にまれな場合は 20 MJ/Ω である。これらの雷電流パラメータが,風車の

翼及び/又は雷保護システムのハードウェアに与える物的損傷の程度に,影響を及ぼす。雷撃電流によっ

ては,時には翼の複合構造を破壊する高圧力が生じる。電気・電子システムへの雷による間接的影響の大

きさにも,影響を及ぼす。電荷によってレセプタなどの雷撃点及び雷電流が電流経路中のギャップを通過

するところで溶融が生じる。雷保護システムへのこれら四つの雷電流パラメータの影響は,

表 A.3

に要約

する。

これらのパラメータの最大値が発生する落雷の割合は,ごく僅かである。ピーク雷電流の平均値は約 30

kA,電荷量及び比エネルギーはそれぞれ平均値 5 C 及び 55 kJ/Ω である。また,雷電流の電気的特性は落

雷の種類,季節及び地理的位置によって異なる。

着雷の直前に生じる電界も雷環境の一部であり,これらの電界によって,構造物への雷撃点及び内部導

体から誘起されたストリーマ及びコネクティングリーダによって,構造物の非導電性表面にせん(穿)孔

が生じるかどうかを決定する。

A.1.3

落雷形成及び電気パラメータ

落雷は,科学文献([1]など)に記述したプロセスによって雷雲中の電荷が分離すると生じる。この電荷

が,大地又は同一の雲内若しくは隣接した雲内の逆極性の電荷の領域に対して放電すると,雷が観測され

る。次の考察は,雷雲と大地との間の電荷移動を引き起こす落雷だけを,対象としている。

落雷は,一般に複数の要素で構成する。イオン化した同一経路を通過する現象全体を落雷と呼び,この

現象は最大約 1 秒継続する。放電の個々の要素は,短時間雷撃及び長時間雷撃と呼ばれ,後者はより一般

的には連続電流として知られる。

落雷には,下向き又は上向きの 2 種類の基本形がある。下向きの放電は,雷雲から開始し大地へと向か

う。対照的に,上向きの放電は,大地上の露出位置(山頂など)又は接地した高構造物の頂上から開始し

雷雲へと向かう。これらの基本形は,一般にそれぞれ,

“対地放電”又は“下向きの落雷”

,及び“雲放電”

又は“上向きの落雷”と呼ぶ。

いずれの種類の雷も,雷雲から移動する電荷の極性によって更に細分する。負極性放電は,負電荷が雷

雲から大地へと下降する。正極性放電では,正電荷が雷雲から大地へと移動する。落雷の大部分は負極性

であり,全対地放電の約 90 %を占める。正極性放電は,全対地放電の残り約 10 %を占める。一般に,正


43

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極性放電は最も強い電流パラメータを伴う(I及び W/が高い)のに対し,負極性放電は最も急しゅ

ん(峻)な電流インパルスを伴う(di/dが最も高い)

落雷は,その発生源である雷雲の違い及び大地への放電経路によってそれぞれ異なる。例えば,特定の

構造物への,次の落雷のピーク電流値を予測することは不可能である。予測可能なのは構造物が,ある値

を超える電流パラメータの落雷を受ける確率である。

高層タワーへの実際の雷撃を直接測定することで,雷撃を示すための電気パラメータの確率分布を作成

する[2][3]。この雷電流パラメータに関する統計データは,

IEC 62305

規格群の雷保護規格で用いる(

A.1

を参照)

。より多くの情報が,世界各国の大・小の落雷位置標定システムによって今や入手可能になっ

てきている。これらのシステムでは,雷撃の位置の記録及びピーク電流を推定することが可能である。

雷の電流パラメータを示す確率分布は,雷の種類(上向き又は下向き,及び正極性又は負極性)ごとに

異なる。適切な確率分布を,各放電の種類の典型的波形と併せて,

A.1.4

及び

A.1.5

に記載する。記載した

確率レベルは,特定の雷の所定の電流パラメータが記載値を超える確率を,示すものである。

A.1.4

対地放電

対地放電(下向きの落雷)は,初めに雲内の初期絶縁破壊によって開始する。このプロセスの物理的過

程は,現時点では完全には解明していない。雲より下で進行する放電プロセス部分については,だいぶ明

らかとなっている。

A.1.4.1

負極性対地放電

負極性放電の場合,雲から大地に向けてステップトリーダが数十メートルずつ約 50  μs の間隔をおいて

下降する。各ステップは,1 kA を超える短時間(1 μs 程度)のインパルス電流を伴う。リーダは,十分に

進展した場合,約 10 C 又はそれ以上の電荷をもつ。リーダの直径は最大数十メートルほどであり,ステッ

プトリーダの進展時間は数十ミリ秒である。このかすかなリーダ経路は,肉眼では通常見えない。

リーダの終端,すなわち,リーダ先端は,大地に対して 10 MV を超える電位をもつ。リーダ先端が大地

に接近すると,この高電位によって地表面の電界強度が増大する。地表面の電界が大気の絶縁破壊値を超

えると,

“応答”

(上向き)リーダが大地又は地上の構造物から発する。これらの上向きリーダは,一般に

コネクティングリーダと呼ばれる。コネクティングリーダは,物体への雷撃点の決定に重要な役割を果た

している。

下降するステップトリーダが上向きのコネクティングリーダと結合すると,雲から大地への連続した放

電路を形成する。リーダ経路に蓄積した電荷が,これによって電離した経路を光速の約 3 分の 1 の速度で

上方に伝搬する電流波によって,大地に放電する。このプロセスを第 1 帰還雷撃という。第 1 帰還雷撃の

ピーク値は最大数百キロアンペア及び継続時間は数百マイクロ秒である。下向きの落雷の大地への結合プ

ロセスを,

図 A.1

に示す。


44

C 1400-24

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図 A.1

対地放電の形成に関わるプロセス

10 ms∼数百 ms 程度の間隔を空けて,更なるリーダ及び/又は帰還雷撃シーケンスが第 1 帰還雷撃の放

電路を通過する場合がある。これらの後続帰還雷撃に先行する(ダート)リーダは,一般にステップ進展

をせず,かつ,はるかに高速である(継続時間数ミリ秒)

。落雷は,平均して 3 回∼4 回の帰還雷撃で構成

する(第 1 雷撃を含む。

。帰還雷撃が落雷の視認できる部分を構成している。

1 回以上の帰還雷撃の後に,引続き電離した経路を連続電流が流れる場合がある。連続電流は,帰還雷

撃の短時間・大振幅の電流と全く異なる。平均電流振幅は数百アンペアの範囲内である一方,継続時間は

数百ミリ秒もの長さになる場合がある。連続電流によって,大量の電荷が雲から大地に直接移動する。全

ての対地放電の約半数が,連続電流を含んでいる。

図 A.2

は,負極性対地放電における雷電流の代表的波形を示したものである。ステップトリーダとコネ

クティングリーダとが結合した後,第 1 帰還雷撃によって大振幅のインパルス電流が数百マイクロ秒間継

続する。電流ピーク値は数 kA∼100 kA の範囲で,平均値は約 30 kA である(

表 A.1

参照)

。第 1 帰還雷撃

の後に,後続帰還雷撃及び連続電流が発生する場合がある。後続帰還雷撃は,一般に第 1 帰還雷撃より電

流ピーク値が低く継続時間が短いが,電流上昇率は概して高い。負極性対地放電は,

図 A.5

に示すとおり,

上記のさまざまな電流要素の組合せで構成する場合がある。

図 A.2

負極性対地放電の代表的な波形

正確な縮尺ではない

雷電流は,次のような一つ以上の異なる雷撃で構成する。


45

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−  継続時間が 2 ms 未満の短時間雷撃(

図 A.3

−  継続時間が 2 ms を超える長時間雷撃(

図 A.4

記号は,次による。

O

1

  規約原点

I

電流波高値

i

電流

t

時間

T

1

  波頭長

T

2

  波尾長

図 A.3

短時間雷撃パラメータの定義

一般的には T

2

2 ms

記号は,次による。

T

long

  継続時間

Q

long

  長時間雷撃の電荷

図 A.4

長時間雷撃パラメータの定義

一般的には 2 msT

long

1 s

IEC 62305-1 の図 A.2


46

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表 A.1

対地雷電流パラメータ

IEC 62305-1 の表 A.1

パラメータ LPL

I に対する

設定値

雷撃の種類

95 %

50 %

5 %

I kA

50

4(98 %) 20(80 %)

90

第 1 負極性雷撃

 200

4.9

11.8

28.6

後続負極性短時間雷撃

4.6

35

250

第 1 正極性(単一)雷撃

Q

flash

 C

300

1.3

7.5

40

負極性放電

 20 80 350

正極性放電

Q

short

 C

100

1.1

4.5

20

第 1 負極性雷撃

0.22

0.95

4

後続負極性短時間雷撃

2

16

150

第 1 正極性(単一)雷撃

W/R kJ/Ω 10 000

6

55

550 第 1 負極性雷撃

0.55

6

52

後続負極性短時間雷撃

25

650

15 000

第 1 正極性雷撃

di/dt

max

 kA/μs 20  9.1 24.3 65

第 1 負極性雷撃

9.9

39.9

161.5

後続負極性短時間雷撃

0.2

2.4

32

第 1 正極性雷撃

  di/dt

30/90 %

 kA/μs 200

4.1 20.1  98.5

後続負極性短時間雷撃

Q

long

 C

200

長時間雷撃

T

long

 s

0.5

長時間雷撃

波頭長

μs

1.8  5.5 18

第 1 負極性雷撃

− 0.22

1.1

4.5

後続負極性短時間雷撃

3.5

22

200

第 1 正極性(単一)雷撃

雷撃継続時間

μs

30  75  200

第 1 負極性雷撃

− 6.5

32

140

後続負極性短時間雷撃

25

230

2 000

第 1 正極性(単一)雷撃

時間間隔 ms

− 7

33

150

多重負極性雷撃

合計放電継続時間 ms

0.15

13

1 100  負極性放電(全て)

− 31

180

900

負極性放電(単一なし)

14

85

500

正極性放電

注記  電流値 I=4 kA 及び I=20 kA は,それぞれ,98 %及び 80 %の確率に対応する。


47

C 1400-24

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図 A.5

下向きの落雷の構成要素

平地及び低い構造物で発生

IEC 62305-1 の図 A.3

A.1.4.2

正極性対地放電

正極性対地放電は,負極性放電とは対照的に,明確なステップ状進展を示さずに連続的に下向するリー

ダによって開始する。コネクティングリーダ及び帰還雷撃の段階については,負極性放電で上記のプロセ

スと同様である。正極性対地放電は,一般に 1 回だけの帰還雷撃で構成し,連続電流が続く場合もある。

正極性対地放電は,電流ピーク値 I,合計電荷量 及び比エネルギーW/が負極性放電と比較して大き

くなることがあるため,実際の雷保護にとって非常に重要である。帰還雷撃は,負極性の第 1 帰還雷撃と

比較して電流上昇率が低い傾向がある。正極性対地放電の代表的な電流波形を,

図 A.6

に示す。典型的な

電流パラメータは,負極性放電のパラメータと併せて

表 A.1

に要約する[2][3]。

図 A.6

正極性対地放電の代表的な波形例

A.1.5

上向きの落雷

雷雲中の電荷によって地表の電界が増大するが,通常は上向きのリーダを発するまでには達しない。た

だし,山又は高地に置かれた物体,タワー,風車などの高構造物において著しく電界が増大する場合があ

る。このような場所では,大地から雷雲に向けて上向きのリーダが開始するのに十分な電界強度に達する

場合がある。周囲の地形よって 100 m 以上高い構造物(最近の風車など)は特に上向きの落雷が発生する


48

C 1400-24

:2014

可能性がある。

上向きの落雷は,連続電流の段階で開始する。連続電流には,インパルス電流が重畳する場合がある(

A.7

。連続電流の後に,後続帰還雷撃が同一経路を通過する場合がある。これらの帰還雷撃は,対地放電

の後続帰還雷撃と極めて類似している。上向きの落雷には対地放電の第 1 帰還雷撃に類似した要素を含ま

ない。上向きの落雷の構造物への雷撃点は,単純に上向きリーダの開始位置と同じである。

図 A.7

負極性上向きの落雷の代表的な波形例

この種類の放電を受けやすい高い構造物において,上向きの落雷パラメータの測定を行っている。世界

各地の観測所からの詳細情報に加え,Rakov 及び Uman による上向きの落雷に関する包括的な考察を[1]に

記載する。最近では,風車における測定による上向きの落雷の研究も行っている[4]。

次の電流パラメータに関する情報は,

上向きの正極性放電を観測してはいるもののまれであることから,

上向きの負極性放電に関連したものである。

約 10 kA の電流ピーク値は比較的低いものであるが,

表 A.2

に示すとおり,初期の連続電流に伴う電荷

はまれに 300 C もの量に達する。上向きの落雷も

図 A.8

に示すとおり,上記のさまざまな電流要素の組合

せで構成する場合がある。

上向きの落雷は,下向きの落雷と比較して,合計電荷量を別として,一般に電流パラメータ値が低い。

さらに,露出した場所の高構造物は非常に高い頻度で,特に冬季雷では上向きの落雷が発生する可能性が

ある。冬季雷では露出度が高い高構造物への数十回の上向きの落雷を観測している。

風車にとっては高地の露出した立地が良好な風況の理由から望ましいため,このことは風車に非常に当

てはまる。したがって,上向きの落雷のリスクを考慮することが必要であり,事業者は建設予定地の冬季

雷条件に関する情報を収集することが望ましい。上向きの落雷は,風車の先端(翼及びナセル上の気象計

器を保護する受雷部システム)から発生するため,雷撃点が明らかであり,また,雷保護を適切に設計し

ていれば,上向きの落雷に対しても十分に機能すると想定することができる。

ただし,冬季雷の発生頻度が高い場合は,受雷部システムの耐久性を向上させるか,受雷部システムの

定期的な交換が必要となる場合がある。


49

C 1400-24

:2014

表 A.2

上向雷電流パラメータ

パラメータ

最大値

合計電荷量 C

300

合計継続時間

s

0 5∼1.0

電流波高値 kA

20

重畳するインパルス電流の平均上昇率 kA/μs

20

重畳するインパルス電流数 50

図 A.8

上向きの落雷の構成要素

突出した構造物及び/又は高構造物で発生

IEC 62305-1 の図 A.4

A.2

雷撃点に関連した雷電流パラメータ

LPS に影響を与える雷電流パラメータは,一般に,電流波高値 I,電荷量 Q,比エネルギーW/R,継続時

間 及び電流の平均しゅん(峻)度 di/dである。各パラメータがそれぞれ異なる故障メカニズムを支配す

る傾向がある。試験時に考慮する電流パラメータは,これらの値の組合せであり,実験室において被試験

LPS 部分の実際の故障メカニズムが再現するよう選択する。

表 A.3

は,要求する保護レベルに応じて試験


50

C 1400-24

:2014

時に考慮する IQW/R及び di/dの最大値を示したものである(詳細については

IEC 62305-1

附属

書 D

を参照)

表 A.3

各種 LPS 構成要素及び各種 LPL の試験値を計算するときに考慮する雷パラメータの概要

IEC 62305-1 の表 D.1

構成要素

主な問題

雷パラメータ

備考

受雷部

雷 撃 点 の 損

( 金 属 薄 板
など)

LPL

Q

long

C

I

II

III−IV

200 
150 
100

1 s 未満(単一
雷撃では Q

long

を適用)

受 雷 部 及
び 引 下 げ

導線

オーム加熱 LPL  W/R

kJ/Ω

IEC 62305-3 による寸
法の採用によって試験

は不要になる。

I

II

III

10 000

5 600 
2 500

断 熱 構 成 で は
W/を適用

機械的影響 LPL  I

kA

W/R

kJ/Ω

I

II

III−IV

200 
150 
100

10 000

5 600 
2 500

接続部品

複合効果

(熱的,機械

的,及びアー
ク放電)

LPL

I

kA

W/R

kJ/Ω

I

II

III−IV

200 
150 
100

10 000

5 600 
2 500

2 ms 未満(単一イ
ンパルスでは 
び W/を適用)

接地極

接 触 部 の 腐

LPL

Q

long

C

寸法決めは,普通,機
械的・化学的な側面か

ら 実 施 す る ( 腐 食 な

ど)

I

II

III−IV

200 
150 
100

1 s 未満(単一
雷撃では Q

long

を適用)

ス パ ー ク

ギ ャ ッ プ
内蔵 SPD

複合効果

(熱的,機械
的,及びアー

ク放電)

LPL

I

kA

Q

short

C

W/R

kJ/Ω

di/dt

kA/μs

単一のインパルスにお

いて,IQ

short

及び W/R

を印加する(継続時間
T<2 ms)。di/dは別の
パルスで印加可能。

I

II

III−IV

200 
150 
100

100

75 
50

10 000

5 600 
2 500

200 
150 
100

MOV 内蔵
SPD

エ ネ ル ギ ー

効果

(過負荷)

LPL

Q

short

C

二つの側面での確認が

必要である。

分割した試験を考慮で
きる。

I

II

III−IV

100

75 
50

絶縁効果 
( フ ラ ッ シ

オーバ,クラ

ッキング)

LPL

I

kA

I

II

III−IV

200 
150 
100

2 ms 未満(単一
を単一インパ
ルスで印加)

A.3

帰還雷撃を伴わないリーダ電流

頭上の雷雲又は雷雲から接近するリーダによって高静電界が存在すると,風車自体から上向きのリーダ


51

C 1400-24

:2014

が開始する。このような上向きのリーダが雲から進展するリーダと結合しない場合は,帰還雷撃は発生し

ない。リーダに伴うインパルス電流は,一般に数 kA であるが,最大 10 kA となることもある。リーダは,

高静電界が生成する位置からだけ開始する。

A.4

雷電磁インパルス

LEMP

効果

LEMP 効果によって過電圧が生じ,この過電圧は,落雷によって生じる雷サージより低エネルギーの場

合があるが,より頻繁に発生する可能性がある。この種類の過電圧及び雷サージは,次を起因とする。

−  分流雷電流の侵入

−  誘導性・容量性結合

−  風車付近への落雷

−  線路からの伝搬(電力線及び/又は通信線,又はそれらの付近への落雷による。


52

C 1400-24

:2014

附属書 B

参考)

雷被害影響評価

B.1

一般

B.2

では,被害及び損失(

B.2.1

,リスク及びリスク要素(

B.2.2

,風車に関連したリスク要素の構成(

B.2.3

並びに供給設備に関連したリスク要素の構成(

B.2.4

)に対して用いる記号について説明する。

B.3

では,さまざまな種類の被害に対する確率値 P

x

IEC 62305-2

附属書 B

に従って評価し,風車に

適用する場合の関連性についてコメントする。

B.4

では,損失額 L

x

IEC 62305-2

附属書 C

に従って評価し,風車に適用する場合の関連性について

コメントする。

B.5

では,供給設備への被害の確率 P’

x

IEC 62305-2

附属書 D

に従って評価し,風車に適用する場合

の関連性についてコメントする。

なお,記号のダッシュ(’)は“供給設備”の場合を示す。

B.6

では,供給設備における損失額 L’

x

IEC 62305-2

附属書 E

に従って評価する。

B.7

では,損失コストについて,

IEC 62305-2

附属書 G

に従って評価する。

B.2

記号の説明

B.2.1

被害及び損失

被害及び損失を対象とした用語については,

IEC 62305-2

で定義している。ここでは,風車に関連する

とみなす記号及び説明を記載する。

被害の主要な原因は,雷電流である。雷撃点に応じて,次の原因を定義する(

表 B.1

を参照)

S1:  風車への雷撃

S2:  風車付近への雷撃

S3:  供給設備への雷撃(電力線又は通信線など)

S4:  供給設備付近への雷撃

注記 1

 S2 の風車付近への雷撃は,落雷に対する保護を実施する場合は,脅威とはみなさない。

注記 2

 S4 の供給設備付近への雷撃は,落雷に対する保護を実施する場合は,脅威とはみなさない。

雷による次の 3 種類の基本的な被害を考慮する(

表 B.2

を参照)

D1:  人又は家畜への傷害

D2:  物的損傷

D3:  電気・電子システムの故障

雷による風車への被害は,風車の一部に限定する場合又は風車全体に及ぶ場合がある。

供給設備に影響を及ぼす雷は,供給設備自体(引込線など)又は供給設備に接続した電気・電子システ

ムに被害を及ぼすことがある。

それぞれの種類の被害が,単独又はほかの被害との組合せにかかわらず,風車において間接的損失を生

じる可能性がある。風車に関連するとみなす損失の種類を,次に示す。

L1:  人命の損失


53

C 1400-24

:2014

L4:  経済的価値の損失(風車への被害の修理コスト及び収益の損失)

注記 3

 L2(公共サービスの損失)及び L3(文化遺産の損失)は,風車に関連するとはみなさない。

供給設備(電力ケーブル,通信ケーブルなど)に関連するとみなす損失の種類を,次に示す。

L’4:  経済的価値の損失(供給設備への被害の修理コスト及び収益の損失)

注記 4

 L’2(供給設備の公共サービスの損失)は,いかなる損失にも関連するとはみなさない。

表 B.1

雷撃点による被害の原因

被害の種類及び損失の種類

IEC 62305-2 の表 に対応

雷撃点

被害の原因

風車

供給設備

被害の種類

損失の種類

被害の種類

損失の種類

風車への雷撃

D1

L1,L4

b)

 S1

D2

L1,L4 D2  L’4

D3

L1

a)

,L4 D3

L’4

風車付近への雷撃 S2

D3

L1

a)

,L4

引込線への雷撃

D1

L1,L4

b)

 S3

D2

L1,L4 D2  L’4

D3

L1

a)

,L4 D3

L’4

引込線付近への雷撃 S4

D3

L1

a)

,L4 D3

L’4

a)

  内部システムの故障によって,直ちに人命を危険にさらす場合だけに適用する。

b)

  動物を失う可能性がある場所だけに適用する(家畜が風車タワーから 3 m の範囲内に入れる場合など)。

表 B.2

被害及び損失の種類ごとの風車におけるリスク

IEC 62305-2 の表 に対応

被害及び損失 L1

人命の損失

L4

経済的価値の損失

D1  人又は家畜への傷害

R

S

R

S

b)

D2  物的損傷

R

F

R

F

D3  電気又は電子システムの故障

R

O

a)

R

O

a)

  内部システムの故障によって直ちに人命を危険にさらす場合だけに適用する。

b)

  動物を失う可能性がある場所だけに適用する(家畜が風車タワーから 3 m の範囲内に入れる場合など)。

B.2.2

リスク及びリスク要素

リスク は,年間平均損失の推定値である。風車又は供給設備において生じる可能性がある損失の種類

ごとに関連リスクを評価する。

風車において評価するリスクを,次に示す。

R

1

:  人命損失のリスク

R

4

:  経済的価値の損失のリスク

供給設備に関して評価するリスクを,次に示す。

R’

4

:  経済的価値の損失のリスク

リスク を評価するには,関連リスク要素(被害の原因及び種類に応じた部分的リスク)の定義及び計

算を行う。

各リスク は,そのリスク要素の和である。リスクを計算する場合,被害の原因及び被害の種類によっ

てリスク要素を分類することができる。


54

C 1400-24

:2014

風車への雷撃による風車に対するリスク要素を,次に示す。

R

A

:  風車内にいる人への傷害,及び風車タワーの最大 3 m 外側のゾーンにおける接触電圧,並びに

歩幅電圧によって生じる生物への傷害に関連した要素。L1 の種類の損失,及び家畜の場合は

L4 も,生じる可能性がある。

R

B

:  構造物内部の火災の発生を引き起こす危険な火花放電によって生じる物的損傷に関連した要素。

L1 及び L4 の種類の損失が生じる可能性がある。

R

C

:  雷による電磁パルス及び LEMP によって生じる内部システムの故障に関連した要素。L4 の種類

の損失,又は内部システムの故障によって直ちに人命が危険にさらされる場合は L1 が,生じ

る可能性がある。

風車に接続した供給設備への雷撃による風車に対するリスク要素を,次に示す。

R

U

:  風車への引込線に侵入する雷電流による風車内部の接触電圧に起因する,人への傷害に関連し

た要素。L1 の種類の損失が生じる可能性がある。

R

V

:  引込線内又はそれに沿って侵入する雷電流による物的損傷(外部設備と,一般に風車への引込

線入口の金属部分との間の,危険な火花放電によって引き起こす火災)に関連した要素。L1 及

び L4 の種類の損失が生じる可能性がある。

R

W

:  引込線において誘起し風車に侵入する過電圧によって生じる,内部システムの故障に関連した

要素。L4 の種類の損失,又は内部システムの故障によって直ちに人命を危険にさらす場合は

L1 が,生じる可能性がある。

風車に接続した供給設備付近への雷撃による風車に対するリスク要素を,次に示す。

R

Z

:  引込線において誘起し風車に侵入する過電圧によって生じる,内部システムの故障に関連した

要素。L4 の種類の損失,又は内部システムの故障によって直ちに人命を危険にさらす場合は

L1 が,生じる可能性がある。

風車に接続した供給設備への雷撃による供給設備に対するリスク要素を,次に示す。

R’

V

:  雷電流の機械的・熱的効果による物的損傷に関連した要素。L’4 の種類の損失が,生じる可能

性がある。

R’

W

:  引込線上で誘起した過電圧によって生じる引込線及び接続機器の故障に関連した要素。L’4 の

種類の損失が,生じる可能性がある。

風車に接続した供給設備付近への雷撃による供給設備に対するリスク要素を,次に示す。

R’

Z

:  引込線上で誘起した過電圧によって生じる引込線及び接続機器の故障に関連した要素。L’4 の

種類の損失が,生じる可能性がある。

供給設備を接続した風車への雷撃による供給設備に対するリスク要素を,次に示す。

R’

B

:  引込線に沿って流れる雷電流の機械的・熱的影響による物的損傷に関連した要素。L’4 の種類

の損失が,生じる可能性がある。

R’

C

:  抵抗結合による過電圧に起因する接続機器の故障に関連した要素。L’4 の種類の損失が,生じ

る可能性がある。


55

C 1400-24

:2014

B.2.3

風車に関連したリスク要素の構成

風車における損失の種類ごとに考慮するリスク要素を,式(B.1)∼式(B.9)に示す。

R

1

:人命損失のリスク:

R

1

R

A

R

B

R

C

4

R

U

R

V

R

W

4

R

Z

4

  (B.1)

R

4

:経済的価値の損失のリスク:

R

4

R

A

5

R

B

R

C

R

U

5

R

V

R

W

R

Z

  (B.2)

被害の原因に関連したリスク要素の構成:

RR

D

R

I

  (B.3)

ここに,

R

D

風車への雷撃によるリスクであり(原因:S1)

,次の和として

定義する。 
  R

D

R

A

R

B

R

C

  (B.4)

R

I

風車に影響を及ぼすが風車に雷撃しない雷によるリスクであ
り(原因:S3 及び S4)

,次の和として定義する。

  R

I

R

U

R

V

R

W

R

Z

  (B.5)

被害の種類に関連したリスク要素の構成:

RR

S

R

F

R

O

   (B.6)

ここに,

R

S

人又は家畜への傷害のリスクであり(D1)

,次の和として定義

する。 
  R

S

R

A

R

U

   (B.7)

R

F

物的損傷のリスクであり(D2)

,次の和として定義する。

  R

F

R

B

R

V

   (B.8)

R

O

内部システムの故障によるリスクであり(D3)

,次の和として

定義する。 
  R

O

R

C

R

W

R

Z

  (B.9)

B.2.4

供給設備に関連したリスク要素の構成

引込線における損失の種類ごとに考慮するリスク要素を,式(B.10)∼式(B.16)に示す。

R’

4

:経済的価値の損失のリスク:

R’

4

R’

V

R’

W

R’

Z

R’

B

R’

C

  (B.10)

被害の原因に関連したリスク要素の構成:

R’R’

D

R’

I

  (B.11)

ここに,  R’

D

引込線への雷撃によるリスクであり(原因:S3)

,次の和とし

て定義する。 
  R’

D

R’

V

R’

W

  (B.12)

R’

I

引込線に雷撃せずに影響を及ぼす放電によるリスクであり
(原因:S1 及び S4)

,次の和として定義する。

  R’

I

R’

B

R’

C

R’

Z

  (B.13)

被害の種類に関連したリスク要素の構成:

R’R’

F

R’

O

  (B.14)

ここに,

R’

F

物的損傷によるリスクであり(D2)

,次の和として定義する。

  R’

F

R’

V

R’

B

  (B.15)

R’

O

内部システムの故障によるリスクであり(D3)

,次の和として

定義する。 
  R’

O

R’

W

R’

Z

R’

C

  (B.16)

B.3

風車への被害の確率の評価


56

C 1400-24

:2014

B.3.1

風車への落雷が人又は家畜への傷害を引き起こす確率 P

A

代表的な保護対策に応じた,構造物(風車)への落雷に起因する接触電圧及び歩幅電圧による人又は家

畜への感電の確率値 P

A

は,

表 B.3

に示すとおりである。複数の保護対策を講じている場合,P

A

の値は対

応する P

A

値の積となる。

表 B.3

風車への落雷が危険な接触電圧及び歩幅電圧によって

人又は家畜への感電を引き起こす確率値 P

A

IEC 62305-2 の表 B.1 に対応

保護対策

P

A

備考

保護対策なし 1

露出した引下げ導線の電気絶縁

(3 mm 以上の架橋ポリエチレンなど)

10

2

タワー構造を引下げ導線として用いる

風車の場合は該当しない。

効果的な土壌等電位化 10

2

一般的な国内規程に従って HV 機器をも

つ風車の場合は必須。

警告通知 10

1

B.3.2

風車への落雷が物的損傷を引き起こす確率 P

B

雷保護レベル(LPL)に応じた,風車への落雷によって生じる物的損傷の確率値 P

B

を,

表 B.4

に示す。

表 B.4

保護対策に応じて物的損傷が減少する確率値 P

B

IEC 62305-2 の表 B.2 に対応

風車の特性 LPS のクラス

P

B

LPS によって保護していない風車

− 1

LPS によって保護している風車 IV

0.2

III 0.1

II 0.05

I 0.02

LPS I に従って翼及びナセルの雷保護を実施し,更にタワーが構造体利用の連続的引下げ導線としての
役割を果たしている風車

0.01

ナセル屋根設備の完全な落雷捕捉対策とともに,翼及び金属屋根ナセル(又は同等の金属メッシュ)の
雷保護を実施し,さらにタワーが構造体利用の連続的な引下げ導線としての役割を果たしている風車

0.001

注記

  詳細な調査に基づいた場合,

表 B.4

以外の P

B

値が可能である。

IEC 62305-2

B.2

を参照。

B.3.3

風車への落雷が内部システムの故障を引き起こす確率 P

C

風車への落雷によって生じる内部システムの故障の確率値 P

C

は,式(B.17)に示すように採用する協調の

とれた SPD 保護によって異なる。

P

C

P

SPD

  (B.17)

P

SPD

の値は

表 B.5

に示すとおり,SPD の設計対象である雷保護レベル(LPL)によって異なる。

表 B.5

SPD の設計対象である LPL に応じた確率値 P

SPD

IEC 62305-2 の表 B.3

LPL

P

SPD

協調がとれた SPD 保護なし 1 
III−IV 0.03 
II 0.02 
I 0.01

注記 参照 0.005∼0.001

注記 1

  P

C

を低減する保護対策として適しているのは“協調がとれた SPD 保護”だけである。協調を


57

C 1400-24

:2014

とれた SPD 保護について,P

C

の低減に効果的であるのは,風車のハブ,ナセル及びタワーを

LPS によって保護しているか,又は連続的な金属若しくは鉄筋コンクリート骨組をもつ構造

物が構造体利用 LPS としての役割を果たし,

IEC 62305-3

のボンディング及び接地要求事項

を満たしている場合だけである。

注記 2

  雷保護ケーブルからなる外部の線に接続した内部システム又は雷保護ケーブルダクト,金属

導管,若しくは金属管で配線したシステムの遮蔽については,協調保護の使用が不要な場合

がある。

注記 3

 SPD の保護特性がその設備位置の LPL I に対して定義する要求事項と比較してより良好な場

合(耐電流能力が高い,保護レベルが低いなど)

,より小さい P

SPD

値が可能である。

B.3.4

風車付近への落雷が内部システムの故障を引き起こす確率 P

M

風車は高さをもつため,大部分の落雷は風車付近の領域ではなく風車を直撃したときには,風車の大形

金属構造物は,内部システムを保護する。したがって,風車のハブ,ナセル及びタワーを LPS によって保

護しているか,又は連続的な金属,若しくは鉄筋コンクリート骨組をもつ構造物が構造体利用 LPS として

の役割を果たし,

IEC 62305-3

のボンディング及び接地要求事項を満たしている場合,風車付近への落雷

が内部システムの故障を引き起こす確率は,ごく僅かであるとみなすことができる。

B.3.5

引込線への落雷が人又は家畜への傷害を引き起こす確率 P

U

風車への引込線(電力ケーブル又は通信ケーブル)への落雷によって生じる接触電圧を起因とする人又

は家畜への傷害の確率値 P

U

は,引込線のシールドの特性,引込線に接続された内部システムのインパルス

耐電圧,代表的な保護対策(物理的制約,警告通知など,

表 B.3

を参照)及び引込線入口に装備した SPD

によって異なる。

IEC 62305-3

に従って等電位ボンディングに対して SPD を装備していない場合,P

U

の値は P

LD

の値と等

しくなる。ここで P

LD

は,接続した引込線への落雷による内部システム故障の確率である。

P

LD

の値を,

表 B.6

に示す。

IEC 62305-3

に従って等電位ボンディングに対して SPD を装備ている場合,P

U

の値は P

SPD

表 B.5

)と

P

LD

との間の値より,小さい値になる。

注記

  この場合に P

U

を低減するためには,

JIS Z 9290-4

に従った協調のとれた SPD 保護は不要である。

IEC 62305-3

に従った SPD で十分である。

表 B.6

ケーブル遮蔽の抵抗 R

S

及び装置のインパルス耐電圧 U

W

に応じた確率値 P

LD

IEC 62305-2 の表 B.6

U

W

kV

P

LD

5<R

S

≦20

Ω/km

1<R

S

≦5

Ω/km

R

S

≦1

Ω/km

1.5 1

0.8  0.4

2.5 0.95  0.6  0.2 
4 0.9 0.3

0.04

6 0.8 0.1

0.02

注記  R

S

(Ω/km)は,ケーブルシールドの抵抗である。

引込線がシールドされていない場合,P

LD

=1 とする。

物理的制約,警告通知などの保護対策が実施されている場合,確率 P

U

表 B.3

に示した確率値 P

A

で乗

算して更に減少させる。


58

C 1400-24

:2014

B.3.6

引込線への落雷が物的損傷を引き起こす確率 P

V

風車の引込線への落雷によって生じる物的損傷の確率値 P

V

は,引込線のシールドの特性,引込線に接続

した内部システムのインパルス耐電圧及び装備した SPD によって異なる。

IEC 62305-3

に従って等電位ボンディングに対して SPD を装備していない場合,P

V

の値は P

LD

の値と等

しくなる。ここで P

LD

は,接続した引込線への落雷による内部システム故障の確率である。

P

LD

の値を,

表 B.6

に示す。

IEC 62305-3

に従って等電位ボンディングに対して SPD を装備している場合,P

V

の値は P

SPD

表 B.5

参照)と P

LD

との間の値より,小さい値になる。

注記

  この場合に P

U

を低減するためには,

JIS Z 9290-4

に従った協調のとれた SPD 保護は不要である。

IEC 62305-3

に従った SPD で十分である。

B.3.7

引込線への落雷が内部システムの故障を引き起こす確率 P

W

風車の引込線への落雷によって生じる内部システムの故障の確率値 P

W

は,引込線のシールドの特性,

引込線に接続した内部システムのインパルス耐電圧及び装備した SPD によって異なる。

JIS Z 9290-4

に従って協調がとれた SPD 保護を装備していない場合,P

W

の値は P

LD

の値と等しくなる。

ここで P

LD

は,接続した引込線への落雷による内部システム故障の確率である。

P

LD

の値を,

表 B.6

に示す。

JIS Z 9290-4

に従って協調のとれた SPD 保護を装備している場合,P

W

の値は P

SPD

表 B.5

を参照)と

P

LD

との間の値より,小さい値になる。

B.3.8

引込線付近への落雷が内部システムの故障を引き起こす確率 P

Z

構造物へ入る引込線付近への落雷が内部システムの故障を引き起こす確率値 P

Z

は,引込線のシールドの

特性,引込線に接続したシステムのインパルス耐電圧及び実施した保護対策によって異なる。

JIS Z 9290-4

に従って協調のとれた SPD 保護を装備していない場合,P

Z

の値は P

LI

の値と等しくなる。

ここで P

LI

は,接続した引込線付近への落雷による内部システム故障の確率である。

P

LI

の値を,

表 B.7

に示す。

JIS Z 9290-4

に従って協調のとれた SPD 保護を装備している場合,P

Z

の値は P

SPD

表 B.5

を参照)と

P

LI

との間の値より,小さい値になる。

表 B.7

ケーブル遮蔽の抵抗 R

S

及び装置のインパルス耐電圧 U

W

に応じた確率値 P

LI

IEC 62305-2 の表 B.7

U

W

kV

シールドなし

機器を接続した等電位ボン

ディング用バーにシールド
を接続していない

等電位ボンディング用バーにシールドを接続し,

同じボンディング用バーに機器を接続している

5<R

S

≦20

Ω/km

1<R

S

≦5

Ω/km

R

S

≦1

Ω/km

1.5 1

0.5

0.15  0.04

0.02

2.5 0.4

0.2

0.06  0.02

0.008

4 0.2

0.1

0.03  0.008 0.004

6 0.1

0.05

0.02  0.004 0.002

R

S

(Ω/km)は,ケーブルシールドの抵抗である。

注記  遮蔽及び非遮蔽部分の K

S

に関する,より正確な評価が ITU Recommendation K.46 に記載されている。


59

C 1400-24

:2014

B.4

風車における損失額 L

x

の評価

B.4.1

一般

雷保護の設計者に(又は風車の所有者)よって,損失額 L

x

の値を評価・決定することが望ましい。ここ

に示す標準平均値は,ガイドラインであり,例えば,関係者(購入者,顧客など)間の合意に基づくこと

ができる。

B.4.2

年間平均相対損失額

損失 L

x

は,落雷によって生じる可能性がある特定の種類の被害について,その範囲及び影響の両方を考

慮した平均相対額を指している。

この値は,次によって異なる。

−  危険な場所にいる人数及びその滞在時間

−  発電損失の値

−  被害によって影響を受ける風車部品の価値

損失 L

x

は考慮する損失の種類(L1,L2,L3 及び L4)によって異なり,それぞれの種類の損失は損失の

原因となる被害の種類(D1,D2 及び D3)によって異なる。次の記号を用いる。

−  L

t

:  接触電圧及び歩幅電圧による傷害による損失

−  L

f

:  物的損傷による損失

−  L

o

:  内部システムの故障による損失

B.4.3

人命の損失

L

t

L

f

及び L

o

の値は,相対的被害者数の観点から式(B.18)の近似的関係によって決定することができる。

760

8

p

t

p

x

t

n

n

L

×

=

  (B.18)

ここに,

n

p

危険にさらされる可能性のある人(被害者)の数

n

t

(風車内の)合計人数

t

p

風車の外側(L

t

だけ)又は風車内部(L

t

L

f

及び L

o

)の危険な

場所に人がいる年間時間数

人命の損失は,風車構造の特性によって左右される。これらについては,式(B.19)∼式(B.22)のとおり,

増加(h

Z

)及び減少(r

f

r

p

r

a

及び r

u

)係数によって考慮する。

L

A

r

a

×L

t

  (B.19)

L

U

r

u

×L

t

  (B.20)

L

B

L

V

r

p

×h

Z

×r

f

×L

f

  (B.21)

L

C

L

M

L

W

L

Z

L

o

  (B.22)

ここに,

L

A

人又は家畜への傷害に関連した損失

L

B

物的損傷に関連した構造物における損失(構造物への放電)

L

C

内部システムの故障に関連した損失(引込線への放電)

L

M

内部システムの故障に関連した損失(構造物付近への放電)

L

U

人又は家畜への傷害に関連した損失(引込線への放電)

L

V

物的損傷による構造物における損失(引込線への放電)

r

a

土壌の種類に応じた人命損失の減少係数(

表 B.8

を参照)

r

u

床の種類に応じた人命損失の減少係数(

表 B.8

を参照)

r

p

火災の影響を低減するための対策に応じた,物的損傷による
損失の減少係数(

表 B.9

を参照)

r

f

風車における火災のリスクに応じた,物的損傷による損失の
減少係数(

表 B.10

を参照)

h

Z

特別な危険がある場合の,物的損傷による損失の増加係数(


60

C 1400-24

:2014

B.11

を参照)

表 B.8

土壌又は床の表面の種類に応じた減少係数値 r

a

及び r

u

IEC 62305-2 の表 C.2 に対応

表面の種類

接触抵抗

kΩ

a)

r

a

及び r

u

農地,コンクリート

1 以下 10

2

大理石,セラミック

1∼10 10

3

砂利 10∼100 10

4

アスファルト,木 100 以上 10

5

a)

  無限遠点において 500 N の力で圧縮した 400 cm

2

の接地極との間の測定値。

表 B.9

火災の影響を低減するための対策に応じた減少係数値 r

p

IEC 62305-2 の表 C.3

対策

r

p

対策なし

1

次のいずれかの対策:消化器,固定式手動消化設備,手動警報設備,消火栓,

防火区画,保護された避難経路

0.5

次のいずれかの対策:固定式自動消化設備,自動警報設備

a)

 0.2

a)

  過電圧及びその他の被害から保護され,かつ,消防隊が 10 分以内に到着できる場合だけ。

複数の対策を講じている場合,r

p

の値は該当する値の最小値を採用する。

注記 1

  爆発のリスクは,風車に関連するとはみなさない。

表 B.10

風車の火災のリスクに応じた減少係数値 r

f

IEC 62305-2 の表 C.4 に対応

火災のリスク

r

f

高 10

1

標準 10

2

低 10

3

なし 0

注記 2

  火災のリスクが高いとみなす構造物は,表面材料(翼及びナセルルーフ)が 800 MJ/m

2

を超

える特定の火災荷重の可燃性物質で製造した構造物であると,想定することができる。

注記 3

  火災のリスクが標準とみなす構造物は,表面材料(翼及びナセルルーフ)が 800 MJ/m

2

と 400

MJ/m

2

との間の特定の火災荷重の可燃性物質で製造した構造物であると,想定することがで

きる。

注記 4

  火災のリスクが低いとみなす構造物は,表面材料(翼及びナセルルーフ)が 400 MJ/m

2

未満

の特定の火災荷重の可燃性物質で製造した構造物であると,想定することができる。

注記 5

  特定の火災荷重とは,構造物内の可燃性物質の合計量のエネルギーの構造物全体の表面に対

する比をいう。

表 B.11

特別な危険がある場合に損失の相対量が増加する係数値

増加係数

h

Z

IEC 62305-2 の表 C.5 に対応

特別な危険の種類

h

Z

特別な危険なし 1

低レベルのパニック(少人数及び専門家)

2

避難が困難 5


61

C 1400-24

:2014

注記 6

  発電収益の損失は経済面でだけ考慮することが望ましいことから,公共サービスの損失は風

車に関連するとはみなさない。

注記 7

  交換不可能な文化遺産の損失は,風車に関連するとはみなさない。

B.4.4

経済的損失

L

t

L

f

及び L

o

の値は,起こり得る損失の相対額の観点から式(B.23)の近似的関係によって決定すること

ができる。

L

x

t

c

c

  (B.23)

ここに,

c: 風車(内蔵品,収益及び影響を含む。)の起こり得る損失の通

貨単位での平均価値

c

t

風車(内蔵品及び収益を含む。

)の通貨単位での総価値

及び c

t

の判断が不明確であるか困難な場合に用いる L

t

L

f

及び L

o

の標準平均値を,

表 B.12

に示す。

表 B.12

L

t

L

f

及び L

o

の標準的な平均値

IEC 62305-2 の表 C.7 に対応

風車

L

t

内部 10

4

L

t

外部 10

2

L

f

 10

1

L

o

 10

4

経済的価値の損失は構造物の特性が左右する。これらについては,式(B.24)∼式(B.27)のとおり,増加(h

Z

及び減少(r

f

r

p

r

a

及び r

u

)係数によって考慮する。

L

A

r

a

×L

t

  (B.24)

L

U

r

u

×L

t

  (B.25)

L

B

L

V

r

p

×h

Z

×r

f

×L

f

  (B.26)

L

C

L

M

L

W

L

Z

L

o

  (B.27)

ここに,

L

A

人又は家畜への傷害に関連した損失

L

B

物的損傷に関連した構造物における損失(構造物への放電)

L

C

内部システムの故障に関連した損失(引込線への放電)

L

M

内部システムの故障に関連した損失(構造物付近への放電)

L

U

人又は家畜への傷害に関連した損失(引込線への放電)

L

V

物的損傷による構造物における損失(引込線への放電)

r

a

土壌の種類に応じた人命損失の減少係数(

表 B.8

を参照)

r

u

床の種類に応じた人命損失の減少係数(

表 B.8

を参照)

r

p

火災の影響を低減するための対策に応じた,物的損傷による
損失の減少係数(

表 B.9

を参照)

r

f

風車における火災のリスクに応じた,物的損傷による損失の
減少係数(

表 B.10

を参照)

h

Z

特別な危険がある場合の,物的損傷による損失の増加係数

表 B.11

を参照)

B.5

供給設備への被害の確率 P’

x

の評価

B.5.1

金属導体による引込線

B.5.1.1

引込線が接続された風車への放電が被害を引き起こす確率 P’

B

及び P’

C

引込線を接続した風車への放電が物的損傷を引き起こす確率 P’

B

,及び引込線を接続した風車への放電


62

C 1400-24

:2014

が引込線を接続している機器の故障を引き起こす確率 P’

C

は,故障電流 I

a

に関連している。I

a

は,引込線

の特性,風車への引込線の本数,及び採用する保護対策によって異なる。

遮蔽していない引込線については,I

a

=0 kA を前提とする。

遮蔽している引込線については,故障電流 I

a

(kA)を式(B.28)に従って評価する。

p

d

s

W

a

25

K

K

R

U

n

I

×

×

=

  (B.28)

ここに,

K

d

引込線の特性に応じた係数(

表 B.13

を参照)

K

p

採用する保護対策の影響を考慮した係数(

表 B.14

を参照)

U

W

インパルス耐電圧(kV)

(ケーブルについては

表 B.15

を,装

置については

表 B.16

を参照)

R

s

ケーブルのシールド抵抗(Ω/km)

n: 風車への引込線の本数

注記

  風車への侵入点に SPD を設置すると故障電流 I

a

が増加し,良好な保護効果を得る場合がある。

表 B.13

シールドした引込線の特性に応じた係数値 K

d

IEC 62305-2 の表 D.1 に対応

引込線

K

d

土壌と接触してシールド 1

土壌と接触せずにシールド 0.4

表 B.14

保護対策に応じた係数値 K

p

IEC 62305-2 の表 D.2

保護対策

K

p

保護対策なし 1

追加の遮蔽線−導体 1 本

a)

 0.6

追加の遮蔽線−導体 2 本

a)

 0.4

雷保護ケーブルダクト 0.1

雷保護ケーブル 0.02

追加の遮蔽線−鋼管 0.01

a)

  遮蔽線はケーブルの約 30 cm 上に設置する。2 本の遮蔽線はケー

ブルの 30 cm 上に,ケーブル軸を基準に対称に並べて設置する。

表 B.15

ケーブルの種類に応じたインパルス耐電圧 U

W

IEC 62305-2 の表 D.3

ケーブルの種類

U

n

kV

U

W

kV

TLC−紙絶縁

− 1.5

TLC−PVC,PE 絶縁

− 5

電力線 1

以下 15

電力線 3

45

電力線 6

60

電力線 10

75

電力線 15

95

電力線 20

125


63

C 1400-24

:2014

表 B.16

装置の種類に応じたインパルス耐電圧 U

W

IEC 62305-2 の表 D.4

装置の種類

U

W

kV

電子装置 1.5

電子ユーザ装置(U

n

<1 kV) 2.5

電子ネットワーク装置(U

n

<1 kV) 6

故障電流 I

a

に応じた P’

B

及び P’

C

の値を,

表 B.17

に示す。

表 B.17

故障電流 I

a

に応じた確率値 P’

B

P’

C

P’

V

及び P’

W

IEC 62305-2 の表 D.5

I

a

kA

P’

B

P’

C

P’

V

及び P’

W

0 1 
3 0.99 
5 0.95

10 0.9 
20 0.8 
30 0.6 
40 0.4 
50 0.3 
60 0.2 
80 0.1

100 0.05 
150 0.02 
200 0.01 
300 0.005 
400 0.002 
600 0.001

B.5.1.2

引込線への放電が被害を引き起こす確率 P’

V

及び P’

W

引込線への放電が物的損傷を引き起こす確率 P’

V

及び引込線への放電が引込線機器の故障を引き起こす

確率 P’

W

は,故障電流 I

a

に関連しており,I

a

は,引込線の特性及び採用する保護対策によって異なる。

遮蔽していない引込線については,I

a

=0 kA を前提とする。

遮蔽している引込線については,故障電流 I

a

(kA)を式(B.29)に従って評価する。

p

d

s

W

a

25

K

K

R

U

I

×

×

=

  (B.29)

ここに,

K

d

引込線の特性に応じた係数(

表 B.13

を参照)

K

p

採用する保護対策の影響を考慮した係数(

表 B.14

を参照)

U

W

インパルス耐電圧(kV)

(ケーブルについては

表 B.15

を,装

置については

表 B.16

を参照)

R

s

ケーブルのシールド抵抗(Ω/km)

通信線に対する P’

V

を評価する場合,前提とする故障電流 I

a

の最大値を,次に示す。

−  鉛シールド付きのケーブルの場合は,I

a

=40 kA

−  アルミシールド付きのケーブルの場合は,I

a

=20 kA

注記

  これらの値は雷撃点において典型的な通信ケーブルに被害を及ぼす試験電流(I

t

)の概算値であ

る。これらの値が一定のケーブル設計に対して適用できないことが証明される場合は,ほかの


64

C 1400-24

:2014

値を用いることができる。この場合,試験を実施して故障電流の評価を行うことが望ましい。

故障電流 I

a

の値に応じた P’

V

及び P’

W

の値を,

表 B.17

に示す。

B.5.1.3

引込線付近への放電が被害を引き起こす確率 P’

Z

引込線付近への放電が機器装置の故障を引き起こす確率 P’

Z

は,引込線の特性及び採用する保護対策に

よって異なる。

JIS Z 9290-4

に従って SPD を装備していない場合,P’

Z

の値は P

LI

の値と等しくなる。

P

LI

の値を,

表 B.7

に示す。

JIS Z 9290-4

に従って SPD を装備している場合,P’

Z

の値は P

SPD

表 B.5

を参照)と P

LI

との間の値より,

小さい値になる。

B.5.1.4

光ファイバ線

検討中。

B.6

供給設備における損失額 L’

X

の評価

B.6.1

一般

損失 L’

X

は,供給設備への放電によって生じる可能性がある特定の種類の被害について,その範囲及び

間接的影響の両方を考慮した平均相対額を指している。

この値は,次によって異なる。

−  公共に提供されるサービスの種類及び重要性

−  被害によって影響を受ける物品の価値

損失 L’

X

は,考慮する損失の種類(L’

1

L’

2

及び L’

4

)によって異なり,それぞれの種類の損失は,損失

の原因となる被害の種類(D2 及び D3)によって異なる。次の記号を用いる。

−  L’

f

:物的損傷による損失

−  L’

o

:内部システムの故障による損失

注記

  公共サービスの損失は風車に関連するとみなさないため,供給設備における損失 L’

X

とみなす

ものは,経済的損失だけである。

B.6.2

経済的損失

L’

f

及び L’

o

の値は,起こり得る損失の相対額の観点から,式(B.30)の近似的関係によって決定することが

できる。

t

X

c

c

L’

=

  (B.30)

ここに,

c: 風車,その内蔵品及び関連活動について起こり得る損失の通

貨単位での平均価値

c

t

及び c

t

の判断が不明確であるか困難な場合に全ての種類の引

込線に対して用いる L’

f

及び L’

o

の総価値であり,次のとおり

である。 
L’

f

=10

1

L’

o

=10

3

経済的価値の損失は,供給設備の特性によって,式(B.31)及び式(B.32)のとおり影響を受ける。

L’

B

L’

V

L’

f

  (B.31)

L’

C

L’

W

L’

Z

L’

o

  (B.32)


65

C 1400-24

:2014

B.7

損失コストの評価

全損失のコスト C

L

は,式(B.33)によって計算することができる。

C

L

=(R

A

R

U

C

A

+(R

B

R

V

)×(C

A

C

B

C

S

C

C

)+

(R

C

R

M

R

W

R

Z

C

S

  (B.33)

ここに,

R

A

及び R

U

保護対策を実施していない場合の,動物の損
失に関連したリスク要素

R

B

及び R

V

保護対策を実施していない場合の,物的損傷
に関連したリスク要素

R

C

R

M

R

W

及び R

Z

保護対策を実施していない場合の,電気・電
気システムの故障に関連したリスク要素

C

A

動物のコスト

C

B

風車におけるシステムのコスト

C

S

風車のコスト

C

C

風車の内容物のコスト

保護対策を講じた場合の残留損の全損失 C

RL

は,式(B.34)によって計算することができる。

C

RL

=(R’

A

R’

U

C

A

+(R’

B

R’

V

)×(C

A

C

B

C

S

C

C

)+

(R’

C

R’

M

R’

W

R’

Z

C

S

  (B.34)

ここに,

R’

A

及び R’

U

保護対策を実施していない場合の,動物の
損失に関連したリスク要素

R’

B

及び R’

V

保護対策を実施していない場合の,物的損
傷に関連したリスク要素

R’

C

R’

M

R’

W

及び R’

Z

保護対策を実施していない場合の,電気・
電気システムの故障に関連したリスク要

保護対策の年間コスト C

PM

は,式(B.35)によって計算することができる。

C

PM

C

P

×(iam)  (B.35)

ここに,

C

P

保護対策のコスト

i: 利率

a: 償却率

m: 保守率

年間節約額 を,式(B.36)に示す。

SC

L

−(C

PM

C

RL

)  (B.36)

年間節約額 S>0 の場合は保護対策の実施が有用である。

B.8

事例研究

検討中。


66

C 1400-24

:2014

附属書 C 

参考)

翼の保護方法

C.1

一般

C.1.1

翼の種類及び翼の保護方法の種類

近代的な風車の翼は,ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)

,木材,木材積層板及び炭素繊維強化プラ

スチック(CFRP)のような複合材料で製造した,大形の中空構造物である。CFRP は,一般に翼構造の補

強又は翼端ブレーキ(翼端失速ブレーキ機構)を備えた翼のブレーキシャフトのような特殊な部品に用い

る。一部の部品及び取付フランジ,釣合いおもり,ヒンジ,軸受,ワイヤ,電線,ばね及び固定具のよう

な個別の部品は,金属製である。一時期には,非導電材料だけで製造した翼には,雷撃しないであろうと

の期待が大きかったが,これが事実ではないことは,実際の経験が明確に証明している。実際には,金属

部品を含まない翼に雷撃し,雷アークが翼内部で形成された場合には,常に甚大な被害が生じる。

翼の両面又は表面は,一般にガラス繊維,その他の複合材料の前縁及び後縁に沿って接着した個別の薄

板として製造し,同様にガラス繊維製である内部荷重分担伝達構造へと至る。翼内部では,表面及び内部

構造で形成した広い空洞に空気が充満し,翼全長に伸びているか,又は翼表面によって翼の機械的強度を

確保し,荷重分担スパー(翼桁)が不要となっている。最終的に,翼を一体形の成形とすれば,このよう

な翼には上記の接着接合部分がなくなる。

採用する制御及びブレーキ機構並びに絶縁及び導電性複合材の利用に応じて何種類かの翼があり,その

うち主要な 5 種類を,

図 C.1

に示す。

タイプ A の翼は,後縁の外側部分にブレーキ用のフラップ(補助翼)を用いている。タイプ A の翼では,

鋼製フラップのヒンジが雷捕捉点となる場合が多く,フラップの動作に用いる鋼線の断面積は一般に雷電

流の伝導には不十分であるため,甚大な被害に至ることが多い。

図 C.1

風車の翼の種類

タイプ B の翼は,ばねで保持し,遠心力によって過大な回転速度に達すると減速させる翼端ブレーキを

用いている。タイプ B の翼では,雷撃点は,主に最外先端から数十 cm 以内,又はブレーキシャフトの最


67

C 1400-24

:2014

外端位置における先端側面上にある。雷撃点から,先端部分内部においてブレーキシャフトの最外端まで

雷アークを形成し,また,シャフトのもう一方の端から,主翼内部において翼根の鋼鉄取付フランジまで

アークを形成する。このような内部アークは,翼が深刻な破壊となる場合が多い。タイプ A 及び B の翼は,

一般に規模 100 kW の旧形風車で用いていたものである。

タイプ C は,鋼線によって翼端ブレーキを制御する翼である。タイプ C の翼では,雷撃点は,主に翼の

最外先端から数十 cm 以内,又はブレーキシャフトの最外端位置における先端側面上にある。タイプ C で

は,タイプ B の翼と同様に,雷撃点とシャフトの最外端との間の先端部分内部において形成する雷アーク

によって深刻な被害となる。タイプ C の翼では,鋼線が雷電流を流すことができない場合,主翼の被害を

生じることが多い。この目的で用いる鋼線は,長さ 17 m の翼の場合,最小直径が 10 mm 又は 12 mm のも

のである。このような鋼線は,大部分の雷電流を流すことができ,これによって主翼の被害を防いでいる

(保護装置の寸法設定は,

C.6

を参照)

タイプ D は,非導電材料だけで構成する翼である。実績によれば,非導電性の翼は,他のタイプの翼と

同様に雷撃点は主に先端付近にある。しかし,他のタイプの翼と比較し,雷撃点が翼全長に沿ってその他

の位置にも不規則に分布している。

タイプ E は,必要な機械的特性を得るために,構造部品の一部を炭素繊維複合材(CFC)に置き換えた

翼である。CFC は,個々の設計に応じて翼表面の補強材,同様に荷重分担構造部品のための,センタース

パー(翼桁)及び主積層板として用いることができる。その電気的特性によって,雷保護システムに統合

し引下げ導線を形成することが可能である。CFC をもつ風車翼の雷保護については,

C.3

で取り扱う。

非導電性の翼又は導電部分をもつ翼の絶縁部分への落雷捕捉は,汚損及び水分によって,このような翼

が長時間にわたり,更に導電性となるという事実によって,少なくとも部分的には説明できる。高電圧実

験室での実験の結果,塩水噴霧した非導電性の翼へのアーク捕捉は,翼が実質的に金属製であるのと同様

に発生することが明らかになっている[9]。他の説明は,翼が単に風車への雷撃の途上にあるということで

ある。さらに,放電は,大気中より表面に沿って,特に表面が塩分及び水分で汚損している場合に発生し

やすいことが分かっている。非導電性の翼(タイプ D)及び CFC をもつ翼(タイプ E)のいずれの場合も,

共に深刻な雷被害を頻繁に受けることが経験上明らかであり,そのため,雷保護が必要である。

注記

  角括弧内の数字[X]は,

附属書 N

(参考文献)を参照している。

C.1.2

翼被害のメカニズム

雷捕捉点における代表的被害の種類は,表面複合材料の層間

離及び焼損,並びに捕捉点となる金属部

品の加熱又は溶融である。

しかし,風車翼への最も深刻な被害は,保護していない翼表面部分への落雷によって,翼内部で高エネ

ルギーアークを形成する場合に発生する。

そのアークは,

翼内部の空気中又は内側表面に沿って形成する。

複合材料の内部若しくは層間,又は引下げ導線システムの接続部での接着亀裂は,多少の水分を含んでい

ると想定されるため,雷電流又はその分流分がこのような層間及び亀裂内へ流れ込む場合にも,上記の代

表的被害とは別の被害がみられる。このような内部アークに起因した圧力衝撃波によって,翼が噴破し,

縁沿いに及び内部の支持スパー(翼桁)から翼表面を引き裂くことがある。表面の亀裂から翼全体の崩壊

まで,あらゆる程度の被害を確認している。さらに,圧力衝撃波は,雷撃を受けた翼からハブを経由して

他の翼へと伝搬し,圧力による被害を及ぼすことがある。

内部アークは,翼端の雷捕捉点と翼内部の導電性部品との間に多く形成する。タイプ C では,先端部分

に限定して被害を受けることが多く,主翼は被害を受けない。タイプ C の主翼への被害は,通常主翼内部

でアークが形成した場合である。この現象は,一般に翼端ブレーキを制御する鋼線の断面積がブレーキシ


68

C 1400-24

:2014

ャフトからハブへ雷電流を流すのに十分でない場合に発生する。タイプ A の翼では,主翼が破壊する。

したがって,風車翼に深刻な構造上の被害を引き起こす原因となる現象は,落雷そのものというより,

翼内部における雷アーク周辺の圧力衝撃波の形成である。外側表面で雷アークを形成するか,又は雷電流

が不十分な断面積の金属部品に流れた場合は,軽微な被害となる。

構造上の被害の原因となる高エネルギー内部アークは,

C.2.4

の低エネルギー部分放電と混同してはなら

ない。

C.2

保護方法

C.2.1

一般

風車翼の雷保護の一般的な問題は,翼内部での雷アーク形成を避ける方法であり,雷電流を捕捉点から

ハブまで安全に流すことである。このことは,翼表面に固定又は翼内部に設置の金属導体を用いて,雷電

流が落雷点から表面に沿って翼根へう(迂)回することで実現できる。また,他の方法として,導電性材

料を翼表面材料自体に追加することによって,雷電流を安全に翼根まで流せるよう翼を導電性とする方法

もある。この二つの方法を基に,その派生形を風車翼に用いている(

図 C.2

参照)

図 C.2

最新の大形風車翼の雷保護概念

C.2.2

翼表面上又は表面埋込み形の受雷部システム

受雷部システム又は引下げ導線としての役割を果たす翼表面上の金属導体は,雷の直撃に耐え,全雷電

流を流すことができる十分な断面積をもっていなければならない。さらに,翼表面へ確実に固定するため

には一定の寸法が必要である。アルミニウムの場合の最小断面積は 50 mm

2

であり,このような導体を確

実に固定するのは問題のある場合がある。さらに,翼表面に取り付けた導体は,翼の気流を乱したり,不

快な騒音の発生源となる場合がある[10][11]。

翼への埋込み形の導体には,アルミニウム又は銅製の線材又は編組を用いる。複数の保護装置について

記載している文献もあり,これらの装置では翼根に接続した金属導体を翼の後縁に沿って翼表面に配置す


69

C 1400-24

:2014

るか,又は後縁に埋め込んでいる。前縁及び後縁の両方に沿って,金属導体を配置した翼の設計もある(タ

イプ C)

。さらに,翼周りの表面に金属製のダイバータを翼に沿って複数箇所に配置し,それぞれを翼の縁

沿いに配置した導体に接続したものもある[11][12][13][14][15]。

C.2.3

金属製粘着テープ及びダイバータストリップ

翼表面に配置したアルミ製粘着テープを用いた幾つかの研究がある。しかし,このようなテープは,数

箇月以内に

れる傾向がある[12][16]。翼表面へのテープ固定の問題を解決できれば,金属テープは,既存

の保護していない翼用の改良部品として,特に興味深い保護方法になり得る。しかし,翼表面付近に放電

を誘導することによって大きな圧力波を伴うことに留意することが望ましい[10]。これは,構造上の被害

につながる場合がある。

ダイバータストリップを用いた有望な実験を過去に実施している[17][18]。このようなダイバータストリ

ップはレーダ信号に干渉しないため,航空機のレードーム上で用いている。CFC を含む風車翼の雷保護の

一部として長持ちするダイバータストリップを利用する方法は,文献に記載している[26]。

雷撃後に交換が必要な 1 回限りの保護策として,金属テープを用いることは可能である。

C.2.4

内部引下げ導線システム

翼表面に配置した導体についての問題の解決策は,翼内部に導体を配置することである。金属製の導体

固定具が翼表面を貫通し,個別の雷レセプタとしての役割を果たす。航空機上でこのような保護装置を用

いている[10]。

現在製造中の多くの翼で用いる雷保護システムは,翼端に個別の雷レセプタを配置したものである(

C.2

のタイプ A 及びタイプ B)

。翼端のレセプタから内部引下げ導線システムによって雷電流が翼根に流れ

る。翼端ブレーキを備えた翼の場合,翼端制御用鋼線を引下げ導線として用いる(タイプ A)

。翼に翼端ブ

レーキを備えていない場合は,内部のスパー(翼桁)沿いに配置した銅線を引下げ導線として用いる(タ

イプ B)

これまでに,この雷保護システムを備えた翼(

図 C.2

のタイプ A 及びタイプ B)を,数千本製造してい

る。長さ 20 m の翼に対するこの雷保護システムの実績は,非常に良好である[19]。一つ以上の外部受雷部

を内部引下げ導線に接続するという方式は,次のリスクが公表されるまで,多くの製造業者が最大 60 m

の翼に対して広く用いてきた。

このような長い翼の場合,

落雷が積層板を通って内部引下げ導線へと流れ,

翼に深刻な被害を引き起こすリスクがあることが明らかになった。これらの問題は,内部導電部分(引下

げ導線,接続部品など)から発生する制御できない部分放電と関連しているようである。

このような低エネルギーの部分放電が,翼の内部金属部分から発生したとすると,レセプタから発生し

たものと同様の速さで伝搬する。これらの内部放電が翼の内側表面に達すると,翼外部の部分放電と連結

して,積層板が受ける電気的応力が増大する。増大した応力は,急激な電界変化(レセプタ又は構造物付

近への雷撃)

の回数が限られている場合は問題とはならないが,

翼が寿命期間中に複数の衝撃を受けると,

応力が増大し最終的に完全な電気絶縁破壊を引き起こす可能性がある。このような高電圧絶縁破壊経路か

らの翼への物理的衝撃は,かなり限定的なものであるが,これに続く雷電流に伴う被害は,

C.1.2

で説明し

たとおり深刻なものとなる。

内部引下げ導線及び翼内のその他の導電部分を電気的絶縁材で覆うことで,このような放電を防止又は

遅延させ,その結果問題を軽減することができる[27][28]。

C.2.5

導電性表面材料

翼表面に配置した受雷部システムに代わる手段は,表面自体を導電性とすることである。航空機産業で

は,導電性物質を外層に追加することで,雷にさらされる翼及び表面へのガラス及び炭素繊維複合材の雷


70

C 1400-24

:2014

保護を実現し,これによって雷撃点が狭い領域となり,被害が低減している。導電性物質は,表面への金

属溶射,複合材の外層における金属被覆繊維,複合材の外層への金属線の織込み,又は表面直下に配置し

た金属メッシュが可能である[10][15][21]及び[20]。風車翼の雷保護は,翼側面に沿ってゲルコート直下に

金属メッシュを配置して実施している(

図 C.2

のタイプ D)

。翼の先端が金属,又は金属板で覆われている

場合がある[12][13][14][15][22]及び[23]。

引下げ導線に対し金属メッシュ又はその他の薄い導電面を用いる利点は,内部に導電要素(CFC など)

がある場合に電界から遮蔽し,これによって落雷から遮蔽することである。また,高い電流変化に伴う導

体長に沿った誘導電圧が降下し,側面への雷撃のリスクを僅かに低減させる。しかし,このような薄い形

状の導電面,前縁又は後縁に落雷を受けるリスク,及び表皮効果によって電流分布が不均一になる可能性

を考慮する。

C.3

CFC 構造部品

これまでに小形の翼のブレーキシャフトに用いてきた炭素繊維複合材(CFC)は,現在では大形の翼の

補強材として一般的に用いている。この材料は,その優れた機械的特性によって,負荷伝達中央スパー(翼

桁)

,又は翼表面中に直接用いている。翼の大きさの増大に伴い,構造部品への CFC の利用が更に増える

ことが予想される。

CFC についての主な課題は,材料内に流入する雷電流による衝撃への反応のしくみである。これについ

ては,CFC の二つの電気的特性である直流伝導度及び異方性によって,金属などの等方性導体材料と著し

く異なるものとなっている。

CFC の直流伝導度は,一般にアルミニウムの値の 1 000 分の 1,すなわち 3.5×10

4

 S/m とされている。

この値は,小形航空機表面に対して用いる 2 軸織り CFC について,体表面と平行に測定して得られた概算

値である[25][21]。

実際の構造及び織込み技術によっては,CFC の伝導性は非常に高い異方性を示す。航空電子産業におい

て雷試験に用いる CFC 試験体では,伝導性の測定値は,異なる電流方向に対して 4 桁の範囲内で変動して

いる[29]。

したがって,高電流密度にさらしたときの CFC の抵抗加熱が,重要な意味をもつ可能性がある。特に,

高電流がかなりの密閉領域に侵入する雷撃点において,ジュール損失によって温度が母材の沸点温度を超

える可能性がある(約 200  ℃)

。母材の蒸発時に,放出ガスによる圧力が CFC 層の破裂及び

離を引き起

こす場合がある。特に,雷撃点では CFC が焼損することもある[21]。

CFC を航空機に用いる場合は,雷撃を受けるか,又は雷電流が流れる可能性がある CFC 部品に対し,

雷保護の実施が必須であるとみなしている[10]。

雷によって被害を受けた風車翼の CFC のブレーキシャフトの例がある。一部の室内実験では,CFC 軸

による雷電流の通電に伴う問題も実証している[24]。CFC 表面をもつ翼の実験室試験では,雷撃点におけ

る表面の

離及び焼損を明らかにしている[9][26]。したがって,十分な層の絶縁材によって覆う又は外部

雷捕捉装置による遮蔽のいずれかの手段によって,CFC 表面を落雷から保護することが必要である。

導電性 CFC は,ほとんどの場合,引下げ導線と比較して,雷電流に対して平行な経路であるため,CFC

と他の導電性部品との間に正しいボンディングを行わなければならない。個々の翼設計ごとに,等電位ボ

ンディングの間隔が CFC と引下げ導線との間の臨界電圧の発生を防ぐのに十分狭いものであるかどうか

を確認することが望ましい。この状況における臨界電圧とは,CFC と引下げ導線との間の絶縁層にせん

(穿)孔を生じ,構造物の機械的強度に影響を及ぼす可能性がある電圧をいう。


71

C 1400-24

:2014

雷電流が CFC の広い断面積を通じて一旦分流した構造物は,被害を受けずに雷電流を通電できるように

なることがある。

C.4

導電性部品に対する特定の懸念

関係

ここでの導電性部品は,

C.2

に記載したレセプタ及び引下げ導線システム,並びに

C.3

に記載した可能

な CFC のほか,翼内の全ての導電部分を対象としている。

図 C.3

引下げ導線又は構造物とセンサ配線との間の雷誘導電圧

翼上又は内部に配置したセンサ用配線は,

図 C.3

に示すように,翼内部の雷電流導体と他の配線との間

に被害を及ぼす電圧を生じることがある強い磁界にさらされる可能性がある。このような配線は,できる

限り避けることが望ましい。できない場合は,センサ及び配線の両方を,引下げ導線システムへの適切な

等電位ボンディングによって保護し,かつ,外部雷レセプタで遮蔽又は覆わなければならない。内部導電

性部品のすぐ外側に配置して外部雷レセプタを十分に露出することで,内部構造を落雷から保護すること

が望ましい。さらに,配線を電気絶縁材で入念に覆うことによって,内部配線からの部分放電のリスクは,

最小限になる。引下げ導線システム付近の独立した導体ループに大電流・高電圧が誘起する場合があるこ

とに注意する。このような雷サージによって,内部火花放電が発生する可能性がある。センサ,照明及び

その他のシステムに伴う電気配線,並びに引下げ導線を含む雷保護システムを統合する設計が,これらの

システムの被害防止に最も有効なことがある。翼内に格納する全てのシステムの設計を入念に調整するこ

とが,翼を雷から十分に保護し,翼内の格納システムが機能するために不可欠である。

翼内のウェイト,ダンパ,プラットフォームなどの金属製構造部品にも,同様に対処する。翼内の全て

の導電部品は,電界の増大を最小限に抑えるように設計し,内部の放電のリスクを低減するため等電位ボ

ンディングによって接続する。配線については,外部の受雷部によって内部の導電性部品を電界から遮蔽

することによって,これらの領域を落雷から保護することが重要である。

このほかに,翼端誘導灯,雷センサ,状態監視機器などの導電性部品を翼内部に配置している場合,必

ず外部雷レセプタによって遮蔽することで,これらの構造への落雷のリスクを最小限に抑えなければなら

ない。上記のとおり,全ての内部導電部品を電気的絶縁材で入念に覆うことによって,翼表面のせん(穿)

孔につながる内部放電のリスクを最小限に抑えることが可能である。

C.5

捕捉効率

捕捉効率は,個別の受雷部システムを翼表面に配置する雷保護方法に伴う課題である。受雷部システム


72

C 1400-24

:2014

及び受雷部の延長部(固体導体及び表面のダイバータ部)は,雷による非導電面へのせん(穿)孔の可能

性を許容レベルまで低減するように配置する。

受雷部の配置については,翼の非導電面に沿ったフラッシオーバ電圧が翼表面の絶縁破壊電圧より小さ

くなるようにする。実際には,異なる複合材料の影響,並びに劣化,亀裂,湿度及び汚損の影響による変

動を予測する必要があるため,翼表面の絶縁破壊電圧及び表面のフラッシオーバ電圧を共に明確にするこ

とは困難である。さらに,ダイバータ部及び個々のレセプタの捕捉効率は,翼内部の導電材の存在によっ

て影響を受ける[10]。

長さ 20 m までの翼の場合,翼端のレセプタが適切であることが証明されている。39 m のガラス繊維製

の翼の雷捕捉分布に関する最近の発表では,落雷の大部分を翼端領域で捕捉し(88 %)

,残りの雷撃を先

端内側 5 m のレセプタで捕捉することを示している[30]。

翼の設計を模擬する試験体への高電圧インパルス試験は,不十分なレセプタの保護を明らかにするのに

有用である。しかし,特に湿潤,汚損及び劣化した翼の影響に関して更なる調査が必要である。

翼及びナセルの推定捕捉領域,並びに一定の構造物への落雷の年間推定数を決定するための数値計算法

を現在開発している[32][33]。これらの方法の可能性及び利用法が完成すれば,これらの方法を用いて,表

面が導電性である場合又はレセプタを備えている場合に雷撃を受ける可能性がある表面箇所を推定するこ

とができる。ただし,数値によるシミュレーション方法では,非導電性の翼構造がせん(穿)孔を受ける

どうかを確実に予測したり,せん(穿)孔の防止に必要なレセプタの数又は位置を明らかにしたりできる

可能性は低い。これは,ほとんどの翼構造が複雑であること,複合流れの発生及び成長の力学による。し

たがって,数値計算法は有用な設計ツールとなり得るが,候補となる設計に対する保護の有効性を更に保

証するには,

D.2

に記載する高電圧雷撃捕捉試験を実施することが望ましい。

C.6

雷保護システムの寸法

風車翼の雷保護に用いる材料は,雷電流によって生じる電気的,熱的及び電気力学的応力の複合効果に

耐えられるものでなければならない。受雷部及び引下げ導線に用いる材料の公称寸法を,

表 C.1

に記載す

る(

IEC 62305-3

も参照)


73

C 1400-24

:2014

表 C.1

受雷部導体

突針及び引下げ導線の材料

形状及び最小公称断面積

IEC 62305-3 の表 に対応

材料

形状

公称断面積

mm

2

備考

i), j)

帯 50

h)

厚さ 2 mm

g)

 50

h)

直径 8 mm

より線 50

h)

素線径 1.7 mm

c), d)

 200

直径 15 mm

すずめっき銅

a)

帯 50

h)

厚さ 2 mm

g)

 50

h)

直径 8 mm

より線 50

h)

素線径 1.7 mm

アルミニウム

帯 70

厚さ 3 mm

棒 50

h)

直径 8 mm

より線 50

h)

最小素線径 1.7 mm

アルミニウム合金

帯 50

h)

厚さ 2.5 mm

棒 50

直径 8 mm

より線 50

h)

素線径 1.7 mm

c)

 200

直径 15 mm

銅皮膜棒 50

銅含有量 99.9 %,放射状銅皮膜(最小 250 μm)

溶融亜鉛めっき鋼

b)

帯 50

h)

厚さ 2.5 mm

棒 50

直径 8 mm

より線 50

h)

素線径 1.7 mm

c), d)

 200

直径 15 mm

ステンレス鋼

e)

f)

 50

h)

厚さ 2 mm

f)

 50

直径 8 mm

より線 70

h)

素線径 1.7 mm

c), d)

 200

直径 15 mm

鋼鉄

銅皮膜棒 50

銅含有量 99.9 %,放射状銅皮膜(最小 250 μm)

a)

  最小厚さ 1 μm の溶融めっき又は電気めっき皮膜。

b)

  皮膜は,滑らかで連続的,かつ,溶剤の染みがなく,皮膜の最小重量は固体丸棒の場合は 350 g/m

2

,固体テ

ープ導体の場合は 500 g/m

2

が望ましい。

c)

  突針にだけ適用可能。風荷重などの機械的応力が重大でない場所での適用には,径 10 mm,長さ最大 1 m の

受雷部ロッドを追加の固定具とともに用いることができる。

d)

  接地接続ロッドにだけ適用可能。

e)

  クロム≧16 %,ニッケル≧8 %,炭素≦0.07 %

f)

  コンクリート埋込み形及び/又は可燃性物質と直接接触したステンレス鋼の場合,最小サイズを固体円形の

場合は 78 mm

2

(径 10 mm)

,固定テープの場合は 75 mm

2

(最小厚 3 mm)に増加することが望ましい。

g)

  機械的強度が重要な要求事項でない場所への適用時には,50 mm

2

(径 8 mm)を 28 mm

2

(径 6 mm)に減少す

ることができる。この場合,固定具の間隔を狭めることを考慮することが望ましい。

h)

  熱的・機械的検討事項が重要な場合,これらの寸法を固体テープの場合は 60 mm

2

に,

固体円形の場合は 78 mm

2

に増加することができる。

i)

  溶融を防ぐための最小断面積は,比エネルギー10 000 kJ/Ω ときで 16 mm

2

(銅)

,25 mm

2

(アルミニウム)

,50

mm

2

(鋼鉄)及び 50 mm

2

(ステンレス鋼)である。詳細については,IEC 62305-3 

附属書 を参照。

j)

  断面積の許容差は 3 %である。

上記の断面積は,単純な導体用の指針となるように算出したものである。このような形状の場合,雷電

流に伴う温度上昇は,解析的に又は数値計算で評価することができる。可とう(撓)性の引下げ導線など

の特殊な用途の部品及びレセプタ,接続部品,エキスパンドはく(箔)などのより複雑な形状を考慮する


74

C 1400-24

:2014

場合,異なる寸法を検討することができる。このような部品の場合は,実験室試験に基づいて設計の検証

をすることが望ましい。個々の雷保護部品を組み立てて翼装置全体を形成する場合には,最終的な解決策

の試験をすることが望ましい。

翼端ブレーキ用の鋼線など張力を受けている部品は,

高温に加熱すると機械的強度が低下することから,

更に頑丈にする必要がある場合がある。翼端ブレーキ制御用の鋼線で,最大径 10 mm の線(断面積 78 mm

2

の場合でも雷電流によって断線又は溶融した例が幾つかある。

雷電流を伝達する導体の温度上昇については,式(C.1)によって評価できる(

IEC 62305-1

も参照)

。建設

事業者は,雷電流の全て又は一部を流すあらゆる部品の温度上昇を考慮し,このような部品が雷撃直後に

もその機能を果たすために十分な強度をもっていることを,保証する。

×

×

×

×

×

1

)

/

(

exp

1

W

2

0

0

c

q

R

W

γ

ρ

α

α

θ

θ

   (C.1)

ここに,  θθ

0

導体の温度上昇(K)

α: 抵抗の温度係数(1/K)

W

/R: 電流インパルスの比エネルギー(J/Ω)

ρ

0

周囲温度での導体の抵抗率(Ωm)

q: 導体の断面積(m

2

γ: 材料の密度(kg/m

3

c

W

熱容量(J/kgK)

この式に対する代表的な材料のデータを

表 C.2

に示し,各種導体の温度上昇を

表 C.3

に示す。あらかじ

め負荷のかかった線の場合,温度上昇が溶融点に達しなくても故障を生じることに注意することが望まし

い。

表 C.2

雷保護システムに用いる代表的な材料の物理特性

IEC 62305-1 の表 D.2

材料

アルミニウム

軟鋼

ステンレス鋼

a)

ρ

0

Ωm 29×10

9

 120×10

9

 17.8×10

9

 0.7×10

6

α 1/K

4.0×10

3

 6.5×10

3

 3.92×10

3

 0.8×10

3

γ kg/m

3

2 700

7 700

8 920

8.0×10

3

θ

s

658

1 530

1 080

1 500

C

s

 J/kg

397×10

3

 272×10

3

 209×10

3

C

W

J/kg

908 469 385 500

ここで  θ

s

(℃)

:溶融温度

        C

s

(J/kg)

:溶融潜熱

a)

  オーステナイト,非磁性


75

C 1400-24

:2014

表 C.3

W/R

の関数としての各種導体の温度上昇

単位  K

断面積

mm

2

材料

アルミニウム

軟鋼

ステンレス鋼

a)

W/R

MJ/Ω

W/R

MJ/Ω

W/R

MJ/Ω

W/R

MJ/Ω

2.5 5.6  10  20  2.5 5.6

10

20

2.5

5.6

10

20

2.5 5.6  10  20

4

10

556

169

541

14

207

716

75

201

464

16

147

454

1 114

56

143

309

993

22

69

182

415

− 316 −

28

68

133

336

1 326  −

25

52

132

283 886 211

912

4 721

22

51

98

234

938

38

21

50

97

231

70

202

533

9

21

39

83

343

901

50

12

28

52 115 37

96

211

712

5

12

22

45

188

460

938

60

8

19

35

75

25

61

126

357

4

8

15

30

128

304

594

1 471

70

6

14

25

53

18

43

85

218

3

6

11

22

93

217

413

963

100

3

7

12 25  9

20

37

83

1

3

5 11

45

102

188

404

注記 1  灰色に網かけしている箇所は,基本的に IEC 61400-24 の表 C.3 を踏襲しているが,値に不備があるものに

ついては,修正して点線下線で示している。

注記 2  灰色に網かけしていない箇所は,国内で主に使用している導体の仕様を考慮して追加したものであり,“風

力発電規程”を参考としている。

a)

  オーステナイト,非磁性

受雷部への影響を考慮して,

IEC 62305-1

では陽極又は陰極電圧降下モデルの利用を提案している。こ

のモデルでは,アーク発生部に注入された全てのエネルギーがバルク材の蒸発に用いられることを想定し

ており,したがって,金属内部の熱拡散を無視している。この慎重なアプローチを用いた溶融量は,式(C.2)

を用いて求めることができる。

s

u

s

W

c

a,

)

(

1

c

c

Q

u

V

θ

θ

γ

×

×

  (C.2)

ここに,

V: 溶融金属量(m

3

u

a,c

陽極又は陰極の電圧降下(V)

(一定であると仮定)

Q: 雷電流の電荷量(C)

γ: 密度(kg/m

3

c

W

熱容量(J/kgK)

θ

s

溶融温度(℃)

θ

u

周囲温度(℃)

c

s

溶融潜熱(J/kg)

数十ボルトの代表的な陽極又は陰極の電圧降下 u

a,c

を用いると,このモデルでは溶融量の過大評価につ

ながる。

C.7  翼とハブとの接続

翼根では,引下げ導線システムは,一般に翼取付フランジ又はハブへと終端接続している。

翼がピッチ制御式の場合(タイプ D)

,雷電流は,制御せずにピッチ軸受,又はしゅう(摺)動接触若し

くはピッチ動作が可能なよう十分な緩みを備えた可とう(撓)性ボンディングケーブルを装備した軸受を

交差するようなボンディング部を,流れるようになっている。軸受を交差する可とう(撓)性ボンディン


76

C 1400-24

:2014

グと,翼からの引下げ導線の最も内側の部分とは,組み合わせることができる。

翼端ブレーキを備えた翼では(タイプ C)

,制御線を作動する油圧システムを保護する。一般に用いる標

準油圧シリンダは,ロッドからシリンダハウジングへの放電によって被害を受ける場合がある。油圧シリ

ンダは,一般に動作が可能なように十分な緩みをもつ可とう(撓)性ボンディング線経由で雷電流をう(迂)

回させ,又はしゅう(摺)動空隙若しくはブラシを用いて雷電流を油圧シリンダからう(迂)回させて保

護する。また,しゅう(摺)動空隙構造を用いた別の方法について記述している文献もある[24]。

緩み部分の箇所で誘導電圧降下が非常に高くなり,その結果シリンダの保護が不十分となることから,

このようなボンディング線の緩みを少なくするよう注意する[24]。


77

C 1400-24

:2014

附属書 D 

参考)

試験仕様書

D.1  一般

この附属書では,新たな翼の設計を開発する場合,又は既存の翼設計の落雷の影響に対処する能力につ

いて検証する場合に,実施できる試験方法について記載する。ここでは,翼に関する試験について記載す

るが,スピナ,ハブ,ナセル又はそれらの一部などのほかの対象にも適用してもよい。

試験体は,翼の先端及び先端の内側の部分を含む翼とし,次の項目について試験する。

−  雷保護設計全体

−  翼の試験体構造

−  受雷部システム,引下げ導線,引下げ導線接続部品,雷保護システムのその他の部品と,翼の試験体

構造との,相互作用

試験は二つの小区分に分割される。

風車の翼,

ナセルなどの非導電材料の上又は内部の具体的な着雷点及び絶縁破壊経路を特定するために,

高電圧雷撃捕捉試験を行う。これらの試験中に流れる電流は,極めて強力な雷撃電流ではなく雷リーダ電

流だけを模擬するものであり,この捕捉試験は落雷が通過する可能性がある経路を明らかにすることだけ

を目的としている。これらの試験によって生じる被害は,雷電流による被害とは比較にならない。

雷電流による実際の被害を評価するために,大電流物的損傷試験を行う。この附属書に記載する試験方

法は,翼の先端全体の設計,及び引下げ導線の接続部品などのより小さい部分の,いずれにも適用可能で

ある。これらの試験では,最も雷を捕捉しやすい点に関する情報は得られない。

各試験の合格又は不合格基準は,製造業者が定義・提示する。

注記  角括弧内の数字[X]は,附属書 N(参考文献)を参照している。

D.2  高電圧雷撃捕捉試験

これらの試験は,雷捕捉点及び非導電材料の上又は内部の絶縁破壊経路を特定するために用いられる。

D.2.1  初期リーダ捕捉試験 
D.2.1.1  試験目的

この試験は,風車の翼を対象としたものであるが,ガラス繊維,その他の非導電材料で製造されたナセ

ルへの適用が可能である。この試験によって,次の評価を行うことができる。

−  翼,その他の非導電構造上のリーダ捕捉可能性のある点の特定,及びフラッシオーバ又は絶縁破壊経

−  保護装置の位置の最適化(受雷部システム及びレセプタ)

−  誘電体表面沿い又は内部のフラッシオーバ又は絶縁破壊経路

−  保護装置の性能

D.2.1.2  試験体

試験体は,実物大の翼又は翼部分であることが望ましい。試験が必要な翼部分は,翼の構造細部及び雷

保護設計によって異なる。翼試験体の選択に関する指針の一部を以下に示す。雷リーダ捕捉前に生じる電

界に,翼の全ての性状及びその保護設計を暴露することが原則である。


78

C 1400-24

:2014

−  翼の複合材料厚が翼のほぼ全長にわたって同一である場合,翼の外側部分を試験することができる。

−  翼の雷保護が,先端領域の 1 個又は 2 個の個別受雷部だけ用いるものである場合,翼の外側部分を試

験することができるが,避雷導体が翼内部にある場合,試験部分は,先端から表皮を経て引下げ導線

システムへの絶縁破壊が,内部で発生しないことを検証できる十分な長さをもたせる。

−  翼の雷保護が,x メートル間隔で配置された複数対の個別受雷部(翼の反対面の端子)で構成される

受雷部システムを用い,試験目的が最大距離 x の特定である場合,試験体は 2 対以上の受雷部に,次

の受雷部までの距離の半分以上を加える。使用実績と同様の結果が得られた試験体長は,6 m∼20 m

の範囲である。

−  翼の雷保護がこの他の受雷部及び引下げ導線の設計を用いる場合,試験体の大きさは全ての被験細部

を含むことが望ましい。外部に導体を取り付ける場合,試験体の端部は,電界集中を回避するために

丸みをもたせ,これらの先端における意図しない電界増強を回避することが望ましい。

−  試験目的が翼のごく一部(翼端又は翼中央部)を対象とする詳細設計オプションの調査・開発である

場合,その設計オプションを対象とした,より小さい試験体を試験することが可能である。ただし,

小さい試験体と対向電極との間に生じる電界は,翼全体の場合とは異なることに留意する。この相違

によって,このような試験体の内側端からの非現実的なフラッシオーバを防止するため,実際の形状

に応じて,電界調整トロイド又はある程度丸めた対向電極が必要な場合がある。

−  翼端設計を最適化する目的で,使用実績と同様の結果が得られた試験体長は,3 m∼6 m の範囲である。

現実的な試験結果を確保するため,試験体には実機の表面仕上げ及び塗装を含めることが望ましい。

ライト,センサ,避雷導体など,一般に試験体の上又は内部(単一翼,翼端又は翼の中央部)に設置す

る導電性部品については,試験体内部に配置することが望ましい。

これらの項目は,試験体内部において,翼又はナセル設備内に設置する場合と同一位置に配置する。導

電性の試験体を複数の位置に配置する可能性がある場合,最悪のケースとなる試験体を試験で用いること

が望ましい。一般にこれらのケースは,非導電性表皮への最短距離に位置するか,又は外面に垂直な方向

で最大電界強度をもたらす位置となる。翼(試験体)は新しいものか,又は損傷していない限りにおいて

は機械的にエージングした試験体を用いることができる。

D.2.1.3  試験配置

指定の 3 種類の試験配置,すなわち,試験配置 A,試験配置 B 及び試験配置 C を用いることができる。

試験配置 A 及び試験配置 B は,設計の開発・検証用の翼全体に対する試験に最適である。試験配置 C は,

外板構造及びダイバータストラップの可能性を評価するための開発試験に最適である。

各試験配置は,雷捕捉直前に風車の翼で発生するコロナ,ストリーマ,リーダなどの放電現象を試験体

(外部電極ではない)において誘発することを目的としている。試験体で空気のイオン化が起こると,ス

トリーマが,ブレード先端からある程度離れた等電位面を表す大きな幾何学形状をもつ対向電極の方向に

進展する。この方法で,外部試験電極が試験結果に与える影響を最小限に抑えられる。試験配置 A,試験

配置 B 及び試験配置 C の高電圧発生器,試験体,外部電極を示した試験配置の概要を,

図 D.1,図 D.3

図 D.4 及び図 D.5 に示す。

試験配置 A は,一般に大形の外部電極(実験室床上の導電面)

,及びより現実的な電界環境が翼(試験

体)周辺に現れることから,最も望ましい配置である。

試験配置 B は,より大形又は高重量の試験体及び支持構造を実験室の床上に配置できると同時に,試験

体周囲に試験配置 A と同様の電界環境を作り出すことを目的としたものである。この配置では,試験体上

に大口径の電極をつり下げる必要がある。つり下げ電極のエッジによって,電界が非現実的に強くなるこ


79

C 1400-24

:2014

とを防ぐため,大口径であることが不可欠である。

試験配置 C は,表皮材質候補の誘電強度の評価若しくは比較,又は局部保護設計の開発試験に最適であ

る。ただし,外板の試験体は検証対象である非導電構造の重要な特徴を全てもっていないことから,保護

設計全体の検証には外板の試験は採用しない方がよい。

D.2.1.3.1  試験配置 A

試験配置 A の一般的な試験配置を,

図 D.1 に示す。

図 D.1−初期リーダ捕捉試験構成 A

リーダの各接近方向を模擬する複数の位置で試料の試験を行うことが望ましい。)

試験体の雷保護システムをマルクス形インパルス発生器の出力側に接続し,外部電極である,広い面積

の接地面上につり下げる。接地面は,エッジ効果,すなわち,フラッシオーバが接地面のエッジで終端す

るのを防止する十分な大きさをもたせる。試験体は,通常風車上でその試験体部分が受ける可能性がある

電界方向を模擬する複数の向きで試験を行うことが望ましい。

このような向きの例を,

図 D.2 に示す。ここでは,接地面に対する 3 種類の翼角度(水平に対し 90°,

60°及び 30°)と,4 種類のピッチ角を用いている。極性及び向きごとの 3 種類の放電を適用すると,翼

は 54 種類の放電を受けることになる。

翼が水平位置にある場合に,翼先端内側位置へ雷撃距離内に雷リーダが接近する可能性が高い状態で,

これを模擬するために,長い翼の場合は,通常に試験体を水平から 5°及び 10°にして試験を行うことが

望ましい。

垂直空間,及び頭上でクレーンが利用可能かどうかという試験実施上の制約によって,60°及び 90°位

置で試験は,長さ 2 m∼4 m 程度の短い翼(試験体)に対して実施することが必要となる場合がある。


80

C 1400-24

:2014

図 D.2−初期リーダ捕捉試験配置 の想定される翼の向き

試験配置 A 採用時には,有効な試験を行うために,次の二つの条件を満たすことが望ましい。

a)  励起された翼と接地面との間の空隙の下部分,すなわち,翼(試験体)からフラッシオーバ距離の半

分以上離れた位置で,ストリーマの接続が発生することが望ましい。これについては,フラッシオー

バの写真で確認することができる。リーダの接続点を,

図 D.3 に示す。これは,一般に次の距離を維

持することで満たされる。

1)  接地面は最も近い導電性要素(試験体の内部又は外部)から 2 m 以上離れていることが望ましい。 
2)  接地面は最も近い試験体表皮から 1.5 m 以上離れていることが望ましいが,条件 1)  を優先する。

b)  接地面のエッジからストリーマを発生させないようにする。エッジから発生する場合,接地面の大き

さを大きくする。


81

C 1400-24

:2014

図 D.3−リーダ接続点は試験体から離すようにすることの説明

具体的な寸法及び試験体の向きを試験計画に記載することが望ましい。

D.2.1.3.2  試験配置 B

試験配置 B の一般的な試験配置を,

図 D.4 に示す。

試験体は,接近するリーダのさまざまな角度を模擬する複数の位置で試験を行うことが望ましい。

図 D.4−初期リーダ捕捉試験配置 B

試験配置 B は,気象計器のブーム,ハブ,スピナなど,大形のため試験設備では評価できない試験体に

適している。この配置には,試験設備の床上の接地面によって試験体付近の電界がゆが(歪)む可能性が

あるという欠点がある。外部構造との最小間隔は,IEC 60060-1 では二つの対向する電極間の最小フラッ

シオーバ距離の 1.5 倍と指定している。ギャップ中の電界のゆが(歪)みを最小限に抑えるには,接地面

とほかの導電性構造の間の距離をギャップ長の 1.5 倍以上,すなわち,

図 D.4 の 2 m のギャップ長の場合


82

C 1400-24

:2014

は 3 m 離す。

試験体を支持台上で,試験体の受雷部と外部電極間との距離の 1.5 倍以上接地面より上に持ち上げ,試

験結果への接地面の影響を最小限に抑える。

試験時には,

外部電極を試験体上につり下げて高電位にする。

外部電極はエッジ効果,すなわち,フラッシオーバが外部電極のエッジで終端するのを防ぐのに十分な大

きさのものを用いる。

試験体は通常,

使用時に翼又はほかの構造部分が受ける可能性がある電界のゆが

(歪)

みを模擬するため,複数の向きで試験を行うことが望ましい。

試験配置 B 採用時は,有効な試験を行うために,三つの条件を満たすことが望ましい。

a)  励起された外部電極と試験体との間の空隙の上部分,すなわち,試験体からフラッシオーバ距離の半

分以上離れた位置でストリーマの接続が発生することが望ましい。これについては,フラッシオーバ

の写真で確認することができる。リーダの接続点を,

図 D.4 に示す。この要求事項は,一般に次の距

離を維持することで満たされる。

1)  外部電極は最も近い導電性要素(試験体の内部又は外部)から 2 m 以上離れていることが望ましい。 
2)  外部電極は最も近い試験体表皮から 1.5 m 以上離れていることが望ましいが,条件 1)  を優先する。

b)  外部電極のエッジからストリーマを発生させないようにする。

c)  保護装置又は試験体内部のほかの導電性要素の終端は,試験体の受雷部と外部電極との間の距離の 1.5

倍以上,接地面より上方に置く。

具体的な寸法及び試験体の向きを試験計画に記載する。

D.2.1.3.3  試験配置 C

試験配置 C の一般的な試験配置を,

図 D.5 に示す。

この配置では,非導電性表皮試験体上に取り付ける保護装置について,それらの保護設計を確立してよ

り大型で複雑な試験体に取り付ける前に,

保護装置の候補及び装置の取付位置の評価を行うことができる。

一般的な外板は,ほかの大きさ及び形状も許容できる場合があるが,実物大の保護装置の配置に十分対

応する 1 m

2

∼2 m

2

の正方形となる。製造時と同様の表皮材料,表面仕上げ及び塗装を適用することが望ま

しい。この試験の一般的な用途は,翼又はナセル表面に取り付けるダイバータストリップの間隔(D)を

決定することである。

保護面の背面にある導電性部品のモックアップは,表皮背面から距離(d)離れた適切な位置に配置する

ことが望ましい。保護装置は,一般に試験設備の接地電位にあり,電極は高電位にある。現実的な試験条

件を適用するためには,

図 D.5 の例のとおり電極をダイバータストリップの中間に配置して,試験体のエ

ッジ周辺へリーダが捕捉したり,非現実的な試験結果となることを回避した方がよいことが,経験上明ら

かになっている。電極については,外板が正方形の場合は外板の寸法と等しい距離だけ,長方形の場合は

外板の寸法より短い距離だけ,外板表面の上部に設定することが望ましい。ダイバータストリップについ

ては,設計の最適化及び絶縁破壊防止のため,間隔を調整して再配置することができる。


83

C 1400-24

:2014

図 D.5−局所保護装置(ダイバータストリップなど)の配置−評価試験配置 C

図 D.5 は試験配置 A 及び試験配置 B の検証試験の配置と同等のものではないが,開発試験によって決定

した

図 D.5 のダイバータの間隔は,ダイバータストリップを用いた翼表皮上の受雷部システムの機能強化

等の局所保護配置に関するその後の検証試験において,同様のダイバータ間隔を採用しても,良好な結果

が得られることが明らかになっている。検証試験については,試験配置 A 又は試験配置 B を用いて行うこ

とが望ましい。

D.2.1.4  試験電圧波形

用いる電圧波形は,波頭長 250 μs±50 μs,波尾長 2 500 μs±1 500 μs の二重指数関数形開閉インパルス電

圧であることが望ましい。

初期リーダ捕捉時の構造物付近において最もよく見られる電界であることから,

この電圧波形が選択されている。初期リーダ捕捉試験では,電圧波形の頂点前に発生するフラッシオーバ

への上昇として電圧が印加される。電圧波形の開始から構造物へのフラッシオーバまでの時間は,50  μs

以上とする。

このような波形は,IEC 60060-1 の開閉インパルス電圧を用いることで実現することができる。フラッ

シオーバへの上昇として電圧が印加されることから,波尾長はそれほど重要ではない。典型的な試験電圧

波形を,

図 D.6 に示す。


84

C 1400-24

:2014

図 D.6−フラッシオーバへの典型的な開閉インパルス電圧上昇(100 μs/div

対向電極に対して試験体の極性及び向きごとに 3 回以上印加することが望ましい。[30]及び[34]参照。対

向電極に対し,試験体を複数の異なる向きにして試験を行うことで,翼設計が不適切な場合には故障の可

能性が高くなるということが確認できる。

試験時に翼表皮に絶縁破壊が生じた場合,適切なポリマ樹脂を用いて損傷を除去・修理することが可能

である。ただし,多数の衝撃を受けた試験体は経時的に電気的劣化を生じることが経験上明らかになって

おり,この場合は修理をした絶縁破壊部だけでなく主積層板も影響を受ける。したがって,製造業者は,

各試験体への放電回数が約 100 回を超えないよう注意し,電気劣化による損傷を防止する。試験時の電気

劣化の影響を最小限に抑えるため,D.2.1.6 の試験手順を定義する。

雷の影響による翼積層板の電気劣化の問題については,この規格の発行時点では完全には解明されてい

ない。これらの問題の考察部分について,今後の改正版で改良されることが期待される。

インパルス発生器の放電電流は,一般に 2 000 A 未満であり,大部分のリーダ電流がこの大きさ以内に

含まれる。したがって,この電流による物理的影響は,極めて深刻な雷撃電流又はリーダと同一経路を通

過する後続電流の影響を表さない。

D.2.1.5  測定及びデータ記録

次の測定及びデータ記録を行うことが望ましい。

a)  各試験配置の写真及び記述 
b)  試験電圧の波形プロット 
c)  全ての試験の写真記録。これらは試験体の被験領域全体を対象とすることが望ましい。絶縁破壊が生

じた場合に直ちに特定されるように,1 台のカメラで試験に関する予備分析が即時に行えるようにす

ることが望ましい。試験時のストリーマ及びリーダの挙動を監視するため,もう 1 台のカメラで翼(試

験体)内部を撮影すると有用な場合がある。

d)  各電極位置の写真 
e)  絶縁破壊位置又はその他の重大な影響の写真


85

C 1400-24

:2014

f)  実験室の環境データ(温度,気圧,湿度など),試験日,試験の実施・立会要員,試験場所の記録 
g)  試験手順からの逸脱の記録

h)  電極極性,電圧振幅及び波形を示した各試験結果の記録 
D.2.1.6  試験手順

この試験手順は全ての試験配置(A,B 及び C)に適用可能である。

a)  実験室の環境条件を測定する。 
b)  安全手順を復習・実施する。注意する項目は,次のとおりである。試験エリアが安全で,試験装置を

帯電させる前に要員を退去させる。コンデンサバンクは,試験後及び試験エリアに要員が再度立ち入

る前にショートさせる。目及び耳の保護を適切に行う。

c)  インパルス発生器及び計器を次のとおり校正する。

1)  試験体に,後で試験の影響と混同する可能性がある欠陥がないか入念に点検し,以降の試験結果と

混同しないようにこれらを識別する。

2)  対向電極(接地面)の方を向いている面を導電性の金属はく(箔)で覆い,翼の引下げ導線に接続

する。

3)  最初の極性を選択し,印加電圧を測定しながら,金属はく(箔)に対して試験を実施する。試験配

置 A,試験配置 B のいずれを用いるかにかかわらず,最初の試験体極性は正(+)とすることが望

ましい。この条件によって非導電材料の絶縁破壊の確率が低くなることが経験上明らかになってい

る。これは試験体の保護装置から発生するストリーマが,空隙に進展した後に負の電極からの対向

ストリーマと結合することによる。

4)  波形が正しくない場合又は電圧波形の頂点前の波頭でフラッシオーバが発生しない場合,発生器の

パラメータか,又は必要に応じて試験体と対向電極との間の空隙を調整し,規定の波形及びフラッ

シオーバを得る。

5)  必要に応じて手順 3)及び 4)を繰り返し,試験に必要な条件を得る。

6)  試験体から金属はく(箔)を取り除く。

d)  試験体を適切な方法で洗浄し,水分,ほこり,ごみ,その他試験結果に影響を与える可能性がある汚

染物質を取り除く。

e)  印加電圧を測定しフラッシオーバの経路の証拠写真を撮影しながら,試験体に放電を印加する。フラ

ッシオーバが,引続き電圧波形の頂点前の波頭で発生していることを確認する。

f)  試験体を点検し,結果を記録する。

g)  絶縁破壊が生じた場合,評価を行って試験体が不合格かどうかを判断する。不合格と判断された場合,

試験シーケンスを終了するか,又は試験を続ける前に試験による損傷の修理若しくは翼の雷保護シス

テムへの修正が必要である。

h)  同じ条件下で正極から 3 回放電が印加されるまで,手順 e)∼g)を繰り返す。 
i)

インパルス発生器の極性を切り替え,試験サンプルの極性が接地面(試験配置 A)又は外部電極(試

験配置 B)に対して負となることを確認する。

j)  インパルス発生器及び計器を次のとおり校正する。

1)  試験体を導電性の金属はく(箔)で覆う。 
2)  印加電圧を測定しながら,金属はく(箔)に対して試験を開始する。

3)  波形が正しくない場合又は電圧波形の頂点前の波頭でフラッシオーバが発生しない場合,発生器の

パラメータか,又は必要に応じて試験体と外部電極との間の空隙を調整し,規定の波形及びフラッ


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シオーバを獲得する。

4)  必要に応じて手順 2)及び 3)を繰り返し,必要な条件を得る。

5)  試験体から金属はく(箔)を取り除く。

k)  同じ条件下で負極から 3 回放電印加するまで,手順 e)∼g)を繰り返す。 
l)

試験体(試験配置 A)又は外部電極(試験配置 B)を試験手順で要求されるとおりに配置する。

m)  試験手順で要求されるとおりに手順 c)∼l)を繰り返す。

初期リーダ捕捉試験は,汚損・湿潤状態の翼(試験体)に対して実施することが可能である。

フラッシオーバは,湿潤又は汚損面全体で発生しやすく,これによって絶縁破壊の可能性が低くなるこ

とから,外部表面に汚染物質を適用することは重要でない場合がある。ただし,内面が湿潤又は汚損して

いる場合,ストリーマがより迅速に翼エッジの接続部に誘導される可能性があり,この部分では絶縁破壊

が発生することが確認されている。したがって,内面が湿潤及び/又は汚損した翼(試験体)の試験につ

いては,使用時の環境によってこのような条件が翼内部に存在すると考えられる場合は適切な可能性があ

る。

注記  風車は,一般に最小限の保守だけで 20 年間動作するような設計となっていることから,試験に

おける放電回数が実際の風車位置で予測される危険性と同程度であることが重要である。した

がって,証明・実証の目的では,極性及び向きごとに最低 3 回印加することが望ましい。一方,

新たな設計の開発時にはより多くの試験を実施してもよい。

D.2.1.7  データ解釈

試験体に対し,試験後の綿密な評価を実施し,合格又は不合格基準の観点から設計の妥当性を判断する

ことが望ましい。

D.2.2  掃引経路捕捉試験 
D.2.2.1  試験目的

この試験は,一般に翼の回転時に初期リーダ捕捉を受け,これによって第 1 雷撃の到達前にリーダが短

い距離を掃引する可能性がある風車翼表面に対して適用可能である。この試験によって,次のことを評価

することができる。

a)  非導電(誘電)面で起こり得る絶縁破壊の位置

b)  非導電面上のフラッシオーバ経路 
c)  ダイバータストリップなどの保護装置の性能 
D.2.2.2  試験体

試験体は,翼端若しくは雷レセプタ又はその他の保護装置を含むブレード面などの,実物大の翼部分と

することが望ましい。現実的な表面フラッシオーバ特性を確保するため,試験体には表面充塡材又は塗装

を含めた表面仕上げを施しておくことが望ましい。翼の保護設計に翼内部の雷電流導体が含まれる場合,

試験体にもこのような雷電流導体を含めることが望ましい。

D.2.2.3  試験配置

試験配置を,次に示す。

a)  試験体の断面図及び標準的な試験電極位置を示した代表的な試験配置の概要を,図 D.7 に示す。試験

は,一般に考えられるリーダ通過方向を模擬する複数の電極位置から実施することが望ましい。

b)  試験体を接地面から,IEC 60060-1 が記載している最小フラッシオーバ距離の 1.5 倍以上持ち上げた位

置で支持する。

c)  レセプタ及びそれに伴う雷保護導体は,接地と同電位にする。


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d)  インパルス発生器の出力端子を高電圧電極に接続する。電極は,半径 25 mm∼50 mm の球形であるこ

とが望ましい。HV 電極の表面は,試験体の表面を通過する雷経路による印加電圧を模擬するため,

電圧を印加する試験体の表面から 50 mm 離して配置することが望ましい。

e)  機器をセットし,印加した試験電圧を測定・記録する。

図 D.7−掃引経路捕捉試験の配置

D.2.2.4  試験電圧波形

掃引リーダ捕捉に伴う電界は,主にリーダ経路内を流れる電荷のインパルスに起因する。これらが急速

に増大する電界を生成する。この電界は,IEC 60060-1 が定義する“雷インパルス”電圧波形がより正確

に表している。完全な雷インパルス電圧波形は,IEC 60060-1 が定義しており,

図 D.8 に示すとおり,波

頭長 T

1

が 1.2 μs,波尾長 T

2

が 50 μs となる。

この波形は,試験電極と試験体表面との間の空隙のイオン化に必要な電圧より高い仮想ピーク電圧で規

定でき,

図 D.9 に示すとおり波頭でフラッシオーバが発生する。

図 D.8−雷インパルス電圧波形(IEC 60060-1 の図 6


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図 D.9−波頭でフラッシオーバが見られる雷インパルス電圧波形(IEC 60060-1 の図 7

D.2.2.5  測定及びデータ記録

次の測定及びデータ記録を行うことが望ましい。

a)  各試験配置及び電極位置の写真及び記述 
b)  全ての試験の写真記録。試験体の 360°を対象とすることが望ましい。絶縁破壊が生じた場合に直ち

に特定されるように,1 台のカメラで試験に関する予備分析を即座に行えるようにする。試験時のス

トリーマ及びリーダの挙動を監視するため,もう 1 台のカメラで翼(試験体)内部を撮影すると有用

な場合がある。

c)  絶縁破壊又はその他の重大な影響の写真

d)  実験室の環境データ(温度,気圧,湿度など),試験日,試験の実施・立会要員,試験場所の記録 
e)  試験手順からの逸脱の記録 
f)  電極極性,電圧振幅及び波形を示した各試験結果の記録

D.2.2.6  試験手順

試験手順を,次に示す。

a)  実験室の環境条件を測定する。

b)  安全手順を復習・実施する。注意する項目は,次のとおりである。試験エリアが安全で,試験装置を

帯電させる前に要員を退去させる。コンデンサバンクは,試験後及び試験エリアに要員が再度立ち入

る前にショートさせる。目及び耳の保護を適切に行う。

c)  試験体に後で試験の影響と混同する可能性がある欠陥がないか入念に点検し,以降の試験結果と混同

しないようにこれらを識別する。

d)  発生器及び計器を次のとおり校正する。

1)  試験体を導電性の金属はく(箔)で覆う。 
2)  試験は,正及び負の両方の極性の電極を用いて実施することが望ましい。最初の極性を選択し,印

加電圧を測定しながら,金属はく(箔)に対して試験を開始する。最初の試験電極の極性は,負(−)

とすることが推奨される。これによって試験体が正極となる。この条件によって非導電材料の絶縁

破壊の確率が低くなることが経験上明らかになっている。これは,試験体上の保護装置から発生す


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るストリーマが,空隙に進展した後に負の電極からの対向ストリーマと結合することによる。

3)  波形が正しくない場合,発生器のパラメータか,又は必要に応じて電極の間隔を調整し,規定の波

形を得る。

4)  金属はく(箔)を取り除く。

e)  試験体を適切な方法で洗浄し,水分,ほこり,ごみ,その他試験結果に影響を与える可能性がある汚

染物質を取り除く。

f)  印加電圧を測定しフラッシオーバの写真を撮影しながら,試験体に印加する。 
g)  試験体を点検し,結果を記録する。試験体の絶縁破壊又はその他の影響に印を付け写真を撮影する。

h)  絶縁破壊が生じた場合,評価を行って試験体が不合格かどうかを判断する。不合格と判断した場合,

試験シーケンスの終了が必要な場合がある。

i)

試験手順で要求される各試験,電極極性及び電極位置に対し,手順 e)∼h)を繰り返す。

注記  風車は,一般に最小限の保守だけで 20 年間動作するような設計となっていることから,試験に

おける放電回数が実際の風車位置で予測される危険性と同程度であることが重要である。した

がって,証明・実証の目的では,極性及び向きごとに最低 3 回印加することが望ましい。一方,

新たな設計の開発時にはより多くの試験を実施してもよい。

D.2.2.7  データ解釈

試験体に対し試験後の綿密な評価を実施し,合格又は不合格基準の観点から設計の妥当性を判断するこ

とが望ましい。

D.3  大電流物的損傷試験 
D.3.1  一般

これらの試験は,翼又はナセル表面への雷捕捉の影響及び雷捕捉点からの電流の流れを判断するために

行う。これらの影響は,捕捉点及び雷電流の通過経路に沿って評価することができる。

D.3.2  アーク侵入試験 
D.3.2.1  試験目的

この試験は,直接的な雷捕捉及び雷による導通電流にさらされる風車翼,ナセルなどの構造物に適用可

能である。

この試験によって,翼への雷経路捕捉位置又は雷捕捉時に侵入点から高電流・エネルギー密度が流れる

場所で生じる可能性がある直接的(物的損傷)影響を判断する。例として,翼の受雷部システム,並びに

それに伴う導体,金属はく(箔)

,ダイバータストリップ,雷電流経路内の固定具及び接続部が挙げられる。

この試験によって,次の評価を行うことができる。

a)  アーク捕捉による損傷

b)  ホットスポット形成 
c)  受雷部システムの金属浸食 
d)  保護材質及び装置の妥当性

e)  磁力の影響 
f)  爆発及び衝撃波の影響 
g)  接続部及びハードウェア組立品の挙動

h)  雷保護システム全体の各部における電圧及び電流


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D.3.2.2  試験体

これらの試験は,実物大の製品又は代表的プロトタイプに対して実施することができる。これらの試験

は,翼又はその他の風車組立品のパネル,試験体及び小区分に対しても実施できる。パネル又は試験体及

び小区分は,適切な製造プロセス,塗装などの仕上げ,接合部及び材料を用いて製造したものであること

が望ましい。セグメント化しているダイバータストリップなど,イオン化に特定の電圧を要する保護装置

については,大電流発生器では一般に 100 kV を超えて印加されないことから,大電流試験時にイオン化さ

れるようイオン化部分の試験体は,長さを十分短くすることが望ましい。

D.3.2.3  試験配置

試験配置を,次に示す。

a)  試験体を確実に支持できる固定具に取り付ける。 
b)  通常接地されている試験体構造部に,全てのハードウェアを接地する。

c)  発生器のリターン回路を組立品に接続し,翼又はナセルへの雷撃時によく見られる方法で雷電流が試

験体から導通するようにする。試験構成内部の電流の流れに伴う磁力,及びその他の相互作用を抑制

して自然な状況を模擬し,試験結果を過度に左右しないことを確認する。

d)  試験電極を評価対象の試験体領域の 50 mm 上に配置する。大部分のアーク侵入試験では,図 D.10 

示すとおり,電極は“アークジェット分流”形であることが望ましい。この形式の電極は,自然雷捕

捉の衝撃波の影響を最もよく模擬することが明らかにされており,また,試験体表面に溶着する電極

材の量が最小限に抑えられる[31]。

e)  アーク発生部は陽極においてより集中することから,最大限の被害を生成するため,発生器の極性を

負に設定する。

f)  径が 0.1 mm を超えない細い金属線を必要に応じて用い,アークを試験体の特定の位置に向けること

が可能である。このアプローチは,低電圧を用いる発生器の場合に有用である。この金属線は,電流

が流れ始めると直ちに蒸発するため,試験結果に悪影響を与えない。

g)  検出・記録装置をセットする。 
D.3.2.4  試験電流波形

印加する試験電流は,IEC 62305-1 の箇条 から採用している。これには,第 1 短時間雷撃及び長時間

雷撃を含む。電流は,一般に 1 回印加する。これらの試験電流の重要なパラメータを,

表 A.1 に示す。

許容範囲内でのパラメータ IW/及び Q

flash

は,同一インパルスにおいて取得する。これは,T

2

が 350 μs

の範囲でほぼ指数関数的に減衰する電流に連続電流を伴い,残りの電荷を供給することで実現できる。

印加する具体的な試験電流は,試験対象の翼又はその他の風車構造部分に割り当てた保護レベル(LPL)

によって決定する。

D.3.2.5  測定及びデータ記録

次の測定及びデータ記録を行うことが望ましい。

a)  各試験配置の写真及び記述 
b)  各試験前後,試験中の試験体の写真。赤外線ビデオカメラで試験中の局部ホットスポット領域を特定

すると有益な場合がある。

c)  試験体への被害の写真及び記述 
d)  実験室の環境データ(温度,気圧,湿度など),試験日,試験の実施・立会要員,試験場所の記録

e)  試験手順からの逸脱の記録 
f)  適用試験点における極性,電流振幅,波形,比エネルギー及び電荷移動を示した各試験結果の記録


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注記  ライト,ヒータ及び制御センサなど,被験部分に設置する電気システムに対して間接影響測定

を行うことが必要な場合がある(箇条 参照)

。その場合,これらの測定の中には,ピーク上昇

率などの主要な波形パラメータが正しいか,又は妥当であるという説明がなされていれば,直

接影響試験時に実施できるものもある。

図 D.10−典型的なアークジェット分流試験電極

D.3.2.6  試験手順

試験手順を,次に示す。

a)  実験室の環境条件を測定する。 
b)  安全手順を復習・実施する。注意する項目は,次のとおりである。試験エリアが安全で,試験装置を

帯電させる前に要員を退去させる。コンデンサバンクは,試験後及び試験エリアに要員が再度立ち入

る前にショートさせる。目及び耳の保護を適切に行う。

c)  発生器及び計器を次のとおり校正する。

1)  材料特性が試験体と同様の導電性バー又はパネルを試験体の所定の位置に挿入する。 
2)  バー又はパネルを発生器のリターン回路に接続する。 
3)  印加電流波形を測定しながら,バーに対して試験を開始する。

4)  電流レベル又は波形が正しくない場合,発生器のパラメータを調整する。 
5)  必要に応じて手順 3)及び 4)を繰り返し,必要な波形を得る。 
6)  バー又はパネルを取り除き,試験体を設置する。

d)  試験体に対して試験を実施する。 
e)  試験体を点検し,結果を記録する。 
f)  必要に応じて電極を試験体上の新たな位置に配置し,手順 d)及び e)を繰り返す。

この試験方法は,一般に,20 年以上の寿命期間中に予測される翼への実際の雷捕捉による危険性を模擬

していることが望ましい。

比エネルギー及び磁力を考慮した場合,

関心項目は最大電流レベルだけであり,

このレベルで数回印加することが望ましい(IEC 62561-1

。伝導電荷による受雷部システムの表面浸食を

考慮した場合,被害は累積的なものとなる。すなわち,現実的な合計電荷量を適用する限りにおいては,

試験時に導通する累積電荷が点検間隔及び頻度の決定に役立つ。


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D.3.2.7  データ解釈

試験体に対し試験後の綿密な評価を実施し,合格又は不合格基準の観点から設計の妥当性を判断するこ

とが望ましい。受雷部システムとの関連では,このような基準に表面浸食に起因するノイズ,交換しやす

さなどを含めることが望ましい。

D.3.3  非導電面試験 
D.3.3.1  試験目的

この試験は,風車翼表面などの非導電面に適用可能である。この試験によって,雷を受雷部システムで

適切に捕捉した後に,非導電面上を通過する雷経路の影響を判断する。

絶縁破壊及びその後の下層導電部分への捕捉が生じる可能性がある非導電部分については(受雷部シス

テム,引下げ導線システムの固定具など)

D.2.2 の掃引経路捕捉試験も実施することが望ましい。掃引経

路捕捉試験時に絶縁破壊が生じた場合,

構造の設計を改良し,

以後の試験でもそのような被害を防止する。

この試験によって,次の評価を行うことができる。

a)  非導電面及び表皮への衝撃波及び熱的効果 
b)  翼表面の中又は下に埋め込んだ導電構造上の表面アーク放電の影響(引下げ導線として用いた表面下

の金属メッシュ,表面直下に配置した CFC など)

c)  構造部品が翼表皮を支持している場合における,非導電面とフレームとの間の接合の一体性 
D.3.3.2  試験体

試験の目的に応じて,試験体は実物大の製品か,代表的なプロトタイプ,又は対象領域を含む小さい試

験体とすることが望ましい。試験対象の翼部分は,受雷部システム付近の領域(先端及び側面レセプタな

ど)

,及び/又は CFC 上の絶縁面及び導電性金属メッシュとなる。組立品については,試験結果に影響を

与えずに,起こり得る被害を評価するのに十分完全なものであることが望ましい。異なる設計を比較する

ことが試験目的である場合,試験体は全て同一の大きさにすることが望ましい。

D.3.3.3  試験配置

試験配置を,次に示す。

a)  試験体を固定具で支持し,試験体をほかの導電面から十分離れた位置まで上昇させ,ほかの導電面が

試験結果に影響を与えないようにする。典型的な配置を,

図 D.11 に示す。

図 D.11−非導電面用の大電流試験の配置

b)  通常接地されている試験体構造部に,全てのハードウェアを接地する。

c)  発生器のリターン回路を試験体に接続し,翼への雷撃時によくある方法で雷電流が試験体から導通す

るようにする。試験構成内部の電流の流れに伴う磁力及びその他の相互作用を抑制し,自然な状況を


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模擬するようにする。

d)  “アークジェット分流電極”(図 D.11 を参照)を評価対象の試験体領域の 50 mm 以上,上方に配置す

る。

e)  大電流発生器の出力端子を電極に接続する。 
f)  この試験では,正極及び負極のいずれも適用することができる。

g)  径が 0.1 mm を超えない細い金属線を必要に応じて用い,アークを試験体上の特定の対象点に向ける

方が望ましい。起爆線経路は電極から非導電面を直接交差して通過リーダの方向に沿ったものである

ことが望ましい。起爆線は,試験体表面の約 20 mm 上に配置することが望ましい。

h)  検出・記録装置をセットする。 
D.3.3.4  試験電流波形

印加する試験電流は,IEC 62305-1 の箇条 から採用しており,D.3.2.4 に記載する。

D.3.3.5  測定及びデータ記録

次の測定及びデータ記録を行うことが望ましい。

a)  試験配置の写真及び記述

b)  各試験前後,試験中の試験体の写真。赤外線ビデオカメラで試験中の局部ホットスポット領域を特定

すると有益な場合がある。

c)  試験体への被害の写真及び記述

d)  実験室の環境データ(温度,気圧,湿度など),試験日,試験の実施・立会要員,試験場所の記録 
e)  試験手順からの逸脱の記録 
f)  適用試験点における極性,電流振幅,波形,比エネルギー及び電荷移動を示した各試験結果の記録

D.3.3.6  試験手順

試験手順を,次に示す。

a)  実験室の環境条件を測定する。

b)  安全手順を復習・実施する。注意する項目は,次のとおりである。試験エリアが安全で,試験装置を

帯電させる前に要員を退去させる。コンデンサバンクは,試験後及び試験エリアに要員が再度立ち入

る前にショートさせる。目及び耳の保護を適切に行う。

c)  発生器及び計器を次のとおり校正する。

1)  材料特性が試験体と同様の導電性バーを試験体の上又は内部に挿入し,発生器の放電によって試験

体が損傷しないようにする。

2)  バーを試験電流発生器のリターン回路に接続する。 
3)  印加電流波形を測定しながら,バーに対して放電を開始する。 
4)  電流レベル又は波形が正しくない場合,発生器のパラメータを調整する。

5)  必要に応じて手順 3)及び 4)を繰り返し,必要な波形を得る。 
6)  バーを取り除く。

d)  試験体を適切な方法で洗浄し,水分,ほこり,ごみ,その他試験結果に影響を与える可能性がある汚

染物質を取り除く。

e)  試験体に対し最初の試験を実施する。 
f)  試験体を点検し,結果を記録する。

g)  試験計画が要求する場合,電極を新たな位置に移動して手順 e)及び f)を繰り返す。


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D.3.3.7  データ解釈

試験体に対し試験後の綿密な評価を実施し,合格又は不合格基準の観点から設計の妥当性を判断するこ

とが望ましい。試験体で観察されたアーク経路,侵入点及び被害領域を示す写真を検討し,被害の影響に

ついて理解することが望ましい。

D.3.4  電流導通試験 
D.3.4.1  試験目的

この試験は,引下げ導線,接続部品,及びその他受雷部システムと風車接地システムとの間の電流経路

に位置する固定式・可とう(撓)性の機構部品に適用可能である。この試験は,IEC 62561-1 の前処理・

エージングを適用しない試験方法と類似したものである。IEC 62561-1 を用いて風車の雷接続部品の検証

を行う場合,選択した LPL の第 1 短時間雷撃に従って電流試験レベルを選択することが望ましい。

この試験によって,次の評価を行うことができる。

a)  雷電流導通能力 
b)  導体及び接続部における温度上昇 
c)  軸受,滑り接触,ブラシ,並びに一般的な接続部品におけるアーク放電及び火花放電

d)  磁力の影響 
e)  炭素繊維複合材及び接合部の導電性 
D.3.4.2  試験体

試験体は,避雷導体又は導体構造の区分若しくは小区分の実物大の製品であることが望ましい。これら

は,接着接合部,締結結合部,軸受,ブラシなどの構造部材又は組立品間の導体構造部を含む。構造の試

験体は,典型的な雷電流分布を実現するよう十分な大きさをもつことが望ましい。

D.3.4.3  試験配置

試験配置を,次に示す。

a)  試験体を固定具に取り付ける。図 D.12 に典型的な配置を示している。 
b)  通常接地されている試験体構造部に,全てのハードウェアを接地する。 
c)  発生器の出力及びリターン回路を試験体に接続し,翼又はその他の構造への雷撃時によく見られる方

法で試験電流が試験体を通って導通するようにする。発生器の極性は一般に関係しない。試験体内部

の電流の流れに伴う磁力及びその他の相互作用を抑制し,自然な状況を模擬するようにする。

d)  検出・記録装置をセットする。

注記  導体及び試験体の電流帰路を同軸構造に近くなるように配置し,試験電流が試験体を通過する

導体中の電流による磁力を最小限に抑えることで,試験体への現実的な電流分布を実現するこ

とができる。

図 D.11 は,風車翼部分の試験用の典型的な配置を示したものである。翼内部に設

置する電気配線の誘導電圧の測定についても,箇条 で説明したとおり,電流導通試験時に実

施することができる。

D.3.4.4  試験電流波形

印加する試験電流は IEC 62305-1 の箇条 から採用しており,D.3.2.4 に記載している。

印加する具体的な試験電流は,試験対象の風車構造部分に割り当てた保護レベルによって決定する。構

造の導電断面の一部だけを模擬する試験体に印加する試験電流の大きさ(翼内部の平行な 2 本の引下げ導

線など)は,全体の断面積に対する試験体の断面積の割合に基づいて調整する(導電性が均一であると想

定)

。この電流は,構造断面の電流分布のアンバランスを考慮して,最大 50 %増大させることも多い。


95

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D.3.4.5  測定及びデータ記録

次の測定及びデータ記録を行うことが望ましい。

a)  試験配置の写真及び記述 
b)  注入部の写真 
c)  各試験前後,試験中の試験体の写真。赤外線ビデオカメラで試験中の局部ホットスポット領域を特定

すると有益な場合がある。

d)  試験体への被害の写真及び記述。 
e)  実験室の環境データ(温度,気圧,湿度など),試験日,試験の実施・立会要員,試験場所の記録

f)  試験手順からの逸脱の記録 
g)  適用試験位置における極性,電流振幅,波形,比エネルギー及び電荷移動を示した各試験結果の記録

クローバ方式など,高電流試験に対して検証済みのその他の方法も適用可能である。

図 D.12−電流導通試験の配置例

D.3.4.6  試験手順

試験手順を,次に示す。

a)  実験室の環境条件を測定する。 
b)  安全手順を復習・実施する。注意する項目は,次のとおりである。試験エリアが安全で,試験装置を

帯電させる前に要員を退去させる。コンデンサバンクは,試験後及び試験エリアに要員が再度立ち入

る前にショートさせる。目及び耳の保護を適切に行う。

c)  発生器及び計器を次のとおり校正する。

1)  発生器の注入・リターン電流回路を試験体から分離し,試験体の付近又は内部の導電性バーに接続

する。バーは,材料特性が試験体と同様のものであることが望ましい。

2)  印加電流波形を測定しながら,バーに対して試験を実施する。

3)  電流レベル又は波形が正しくない場合,発生器のパラメータを調整する。 
4)  必要に応じて手順 2)及び 3)を繰り返し,必要な波形を得る。


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5)  バーを取り除き,発生器を試験体に再び取り付ける。

d)  試験体を適切な方法で洗浄し,水分,ほこり,ごみ,その他試験結果に影響を与える可能性がある汚

染物質を取り除く。

e)  試験体に対して試験を実施する。 
f)  試験体を点検し,結果を記録する。

g)  試験計画に沿って,手順 e)及び f)を繰り返して追加試験を実施する。

注記  試験に望ましい電流を流すために必要な発生器の設定を決める場合に,小さな電流を試験体に

直接印加した方が適切な場合が多い。このような場合,手順 c)は省略できる。

D.3.4.7  データ解釈

試験体に対し試験後の綿密な評価を実施し,合格又は不合格基準の観点から設計の妥当性を判断するこ

とが望ましい。

一般的な合格又は不合格基準は IEC 62561-1 が定義しており,これを採用することができる。


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C 1400-24

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附属書 E

参考)

風車における雷保護ゾーン(LPZ)概念の適用

E.1  雷保護ゾーンの定義

構造物に対する雷保護システムを設計するために,雷電磁環境を定義した雷保護ゾーン(LPZ)に構造

物を分割することが有用である。IEC 62305-1 による雷保護ゾーンの定義を,

表 E.1 に示す。

表 E.1IEC 62305-1 による雷保護ゾーンの定義

外部ゾーン

LPZ 0

減衰していない雷電磁界による脅威があり,かつ,内部システムが雷電流の全部
又は部分雷電流にさらされる可能性があるゾーン。 
LPZ 0 は,次の LPZ 0

A

及び LPZ 0

B

に細分する。

 LPZ

0

A

落雷及び雷電磁界の全てによる脅威があるゾーン。内部システムは,雷電流の全

部又は部分雷電流にさらされる可能性がある。

LPZ 0

B

落雷から保護しているが,全雷電磁界による脅威のあるゾーン。内部システムは,

部分雷電流にさらされる可能性がある。

内部ゾーン

LPZ 1

雷サージ電流を電流分流及び境界の SPD によって制限するゾーン。空間的遮蔽

によって雷電磁界を減衰することができる。

LPZ 2…n

雷サージ電流を電流分流及び境界の SPD によって更に制限することが可能なゾ
ーン。追加の空間的遮蔽を用いて更に雷電磁界を減衰することができる。

注記 1  一般に,ゾーンの番号が大きくなるほど,電磁環境パラメータが小さくなる。 
注記 2  電流分流による電流の制限とは,元の雷電流が複数の導体間で分流することによって,

雷保護システムの導体個々の電流負担が減少することをいう。

E.2  LPZ 0

LPZ 0

A

と LPZ 0

B

との境界は,

図 E.1 に示すとおり回転球体モデルによって決定することができる(IEC 

62305-1 及び IEC 62305-3 も参照)。灰色で表示した領域は雷が侵入しない LPZ 0

B

で,風車表面の残りの部

分は LPZ 0

A

である。球体が回転できない位置を,落雷に対して保護する。図に示すように,風車の大部分

の表面に雷撃する可能性があり,したがって,このような領域は LPZ 0

A

となる。コンピュータモデルを用

いることもでき,これらのモデルは,一般に回転球体法に基づいたものである。LPZ 0

B

の内部システムは,

部分的な雷電流を受ける可能性がある。

ナセルカバーの後端に受雷部(避雷針など)を配置する方法によって,ナセルの頂上に LPZ 0

B

を作り出

すことができ,これによって気象計器を落雷から保護することができる。風車の最下部にも LPZ 0

B

があり,

ここで変圧器箱(ある場合)を落雷から保護する。

IEC 62305-3 の受雷部システム配置法(回転球体法,保護角法など)は,風車の翼には適用しない。し

たがって,8.2.3 に従って受雷部システムの設計を検証する。


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C 1400-24

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図 E.1−回転球体モデル

E.3  その他のゾーン

タワー又はナセルカバーの最上部において,内部の部品を保護するための金属性カバー又は十分な金属

遮蔽メッシュがある(ナセル内部を囲むファラデーケージが最適である)場合,LPZ 0

A

又は LPZ 0

B

と LPZ

1 との間に境界を設けることができる。GFRP ナセルカバーの場合,金属の骨組又はストラップをナセルカ

バーに統合して内部領域を最低限ゾーン LPZ 0

B

として定義し,帰還雷撃を発生させずに落雷又はリーダ電

流からナセル部品を保護することが望ましい(

図 E.2 及び図 E.3 を参照)。この骨組は,ナセルの機械的動

力伝達装置の台板に確実に接続することが望ましい。理想的には,GFRP カバー内の金属メッシュをこの

骨組に統合し,ナセルを LPZ 1 と定義することが望ましい。メッシュサイズが最大数メートルの,メッシ

ュ寸法が大きいメッシュを用いると,帰還雷撃なしにナセルを落雷及びリーダ電流から保護する。磁界及

び電界の低減はごく僅かとなる。

サイズが小さいメッシュでも,帰還雷撃なしに落雷及びリーダ電流から保護する。メッシュサイズ及び

メッシュ厚によって,メッシュの磁界及び電界の低減効果が大きくなることがある。大まかにいって,メ

ッシュからメッシュサイズと等しい距離を置いた位置で低減効果が有効となる。

風車の内部を LPZ 1 と LPZ 2 とに分割する方法を,

図 E.5 及び図 E.6 に示す。ナセル(カバーにメッシ

ュを内蔵)

,タワー及び変圧器箱は,LPZ 1 である。LPZ 1 内の金属盤内部の装置は,LPZ 2 である(

注記

参照)

。例えば,金属タワー内の盤内部の制御装置は LPZ 2 であるが,タワー外側の金属盤内では LPZ 1

又は LPZ 2 である(

表 E.1 の注記 参照)。

タワーが金属管製でタワーの各部間の電気的接続が良好な場合,タワー内部の LPZ は LPZ 2 と定義する

ことができる。鋼鉄製の円筒形タワーは,上部及び下部で電磁的に閉鎖している場合,非常に効果的なフ

ァラデーケージである。

非常に耐性の低い機器については,更に LPZ 3 の,別のレベルの金属盤に配置することができる(

表 E.1

注記 参照)。所定のゾーン内の部品の耐性限界などの感度は,そのゾーン内での雷の影響(電流,電圧,

磁界及び電界など)の低減レベルを定義する。したがって,IEC 62305 規格群では,各ゾーンの電流,電

圧及び電磁界の具体的な値は推奨していない。


99

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注記  金属盤の場合,磁界及び電界の減衰は金属キャビネットの設計方法に依存する。EMC 盤の場合,

製造業者から磁界及び電界減衰の測定値を入手できる。

図 E.2GFRP カバー付きナセル用のメッシュ寸法が大きいメッシュ

図 E.3GFRP カバー付きナセル用のメッシュ寸法が小さいメッシュ

E.4  ゾーンの境界

各ゾーンの境界では,境界を通過するケーブル及びワイヤが,雷電流又は過渡電圧の大部分をより数値

の大きい雷保護ゾーンに伝導しないよう保証する。このことは,適切な接続及び遮蔽並びにゾーン境界で

のケーブル及びワイヤの過電圧保護を行うことで実現する。この目的は,より数値の大きい保護ゾーンに

配置した機器が耐えるレベルまで電流及び電圧を低減することである。

過電圧に対する保護に必要な部品(SPD)の数は,各ゾーンへの適切な分割,ケーブルの適切な配置,

シールドケーブルの利用,並びに信号及びデータ送信用の光ファイバの利用によって,低減することがで

きる。

一連のゾーンは,LEMP の強度の大きな変化によって特徴付ける。LPZ の境界は,磁界及び電界の低減

に対する保護対策によって定義する。

特殊な状況では,LPZ 0

B

から LPZ 2 に直接移行することが必要な場合がある。この場合,ゾーン境界で

の部品を更に保護し,必要レベルまで影響要素を低減する。

雷保護ゾーンは,シールドケーブルの遮蔽体経由又はシールドケーブルダクト経由で接続することがで

き,これによって,例えば,ある程度離れて配置した 2 台の制御キャビネットを回路コア上で SPD を用い


100

C 1400-24

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ずに接続することができる(

図 E.4 を参照)。さらに,LPZ 2 と定義したキャビネットをシールドケーブル

で延長し,同様に LPZ 2 と定義した外部の金属センサハウジングを含めることができる。

図 E.4LPZ 2 と定義し,遮蔽したケーブルで接続した 台の金属製盤

E.5  ゾーン保護の要求事項

損傷又は許容できない故障の発生を回避するため,所定のゾーン内では,耐力レベルを超えた雷電流の

分流,電位差又は電磁界及び電界に部品をさらさないよう保証することが望ましい。これを満たすため,

試験及び検証を実施し文書化する。

保護については,協調のとれた SPD,シールドケーブルの利用,遮蔽したケーブル経路の利用又は必要

に応じてそれらの組合せによって実現することができる。

図 E.5−各種雷保護ゾーンへの風車の分割例


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図 E.6−各保護ゾーンへの電気システムの SPM 分割についての文書化の図示例

回路が LPZ 境界と交差する地点,及びタワー下部とナセルとの間に敷設する長尺ケーブルを示す。)


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附属書 F

参考)

風車における協調のとれた SPD 保護の選定及び設置

F.1

SPD の位置

JIS Z 9290-4 では,SPD の位置に関する詳細を規定している。振動現象及び誘導作用によって SPD が保

護を行う場所でのケーブル距離の制限に関する情報も含んでいる。

JIS C 5381-12 では,追加の保護が必要な,次のような例を含めている。

a)  非常に感度の高い機器がある場所。 
b) LPZ の入口に配置した SPD と被保護機器との間の距離が長すぎる場所。 
c)  内部の障害源によって建築物内部に電磁界が発生する場所。

JIS Z 9290-4 の D.2.3 では,振動防護距離について記載している。振動防護距離は,SPD と,SPD によ

る保護が引続き適切である機器との間の回路の最大長で,

振動現象及び容量性負荷を考慮したものである。

SPD と機器との間の回路の長さが 10 m 未満である,又は有効な保護レベルが負荷側機器の定格インパル

ス耐電圧レベルの 50 %である場合,振動現象を無視することができる。

JIS Z 9290-4 の D.2.4 では,誘導防護距離について記載している。誘導防護距離は,SPD と,SPD によ

る保護が引続き適切である機器との間の回路の最大長で,誘導作用を考慮したものである。誘導作用は,

空間遮蔽及び線の遮蔽を行うことで最小限に抑えることができる(

附属書 も参照)。

風車の電気システム又は風車を接続した電力系統における開閉動作又はヒューズ溶断によって生じる過

電圧によって,LPZ 内部で追加の SPD が必要な場合がある(F.7 参照)

F.2

SPD の選定

SPD は,一般に SPD の性能表及び製品情報に基づいて選定することができる。

F.3

SPD の設置

SPD の接続リード線が長くなると,過電圧に対する保護の有効性が低下する。最大限の保護を得るには,

接続リード線の全長をできる限り短くすることが望ましい。

風車において SPD を設置する場合について,次に示す。

a)  接続線の全長は,0.5 m 未満が望ましい。

b) SPD の設置は,図 F.1 に従う。 
c)  接地接続部 5a 及び 5b については,図 F.2 に従う。


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図 F.1SPD の設置例(JIS C 60364-5-53 の図 53E

図 F.2−接地の接続例(JIS C 60364-5-53 の図 A.1

F.4

SPD の環境ストレス

JIS C 5381-11 は,次のことを規定している。

a)  動作温度及び保管温度:−5  ℃∼+40  ℃(通常範囲),−40  ℃∼+70  ℃(拡張範囲) 
b)  相対湿度:5 %RH∼95 %RH(屋内条件下) 
c)  JIS C 5381-11 では,振動に関する要求事項はない。

風車に設置する SPD の実際の環境ストレスが JIS C 5381-11 の値を超える場合,JIS C 60068 規格群の適

切な試験方法及び応力値を適用する。風車の製造業者は,ナセル,ハブなどの特定の設置位置に対する要

求事項を指定する。


104

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F.5

SPD 故障時の SPD 状態表示及び SPD 監視

SPD は,例外的な大きな雷電流又は繰返しストレスによって過負荷となる場合がある。さらに,風車の

電気及び制御システムの重要部分によって,有効性に関する要求事項が増えることがある。

風車の製造業者によって指定する用途において,SPD は,JIS C 60364-5-53 に記載のとおり,継続的な

供給と継続的な保護との組合せを,提供することができる。

このことは必要に応じて次によって実現できる。

a) SPD を監視するためのシステム 
b) SPD の故障の警告表示をするための,SPD 内部の信号及び制御メカニズム

c)  風車の総合的な監視及び制御システムに含む遠方制御

F.6

電圧防護レベル(U

p

及びシステムレベルイミュニティを考慮した SPD の選定

必要に応じて,システムレベルイミュニティ試験によってシステムレベルを検証できる。実施できるシ

ステムレベルイミュニティ試験方法を,

附属書 に示す。

F.7

風車内部で生じる過電圧を考慮した SPD の選定

風車に対する過電圧保護対策を選定及び適用する場合,風車の電気システム又は風車に接続した電力系

統での開閉動作によって生じる過電圧を考慮する。

風車内部で生じるこのような過電圧の例には,次のものがある。

a)  系統での短絡 
b)  静止形変換器(断路時の蓄積エネルギー)

c)  電力変換器のスイッチングサイクリングによる容量性放電電流の増加 
d)  低圧開閉器による負荷開閉

F.8

公称放電電流(I

n

及びインパルス電流(I

imp

を考慮した SPD の選定

一般に,風車は開けた土地に建設する。さらに,風車の高さの増加に従い落雷の確率が増大する。多数

の落雷の場合,SPD の寿命期間を延ばす方法は,JIS C 60364-5-53

表 F.1 参照)に記載したものより大き

い公称放電電流及びインパルス電流パラメータの SPD を選択することである。LPZ 0

B

の機器に接続した回

路は,8.5.6.10 に示すとおり,特に露出した回路とみなす。この種の機器は,JIS Z 9290-4 の B.9 によって

外部設置機器に分類する。

風車における外部設置機器の代表的な例に,風速計などがある。

このような場合,風車内部の SPD が

表 F.2 を満たしていることが望ましい。

表 F.1JIS C 60364-5-53 に示す TN 系統に対する公称放電及びインパルス電流レベル

SPD クラス I−I

imp

(10/350)

各防護モードで 12.5 kA

SPD クラス II−I

n

(8/20)

各防護モードで 5 kA


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表 F.2TN 系統に対する放電及びインパルス電流レベルの増加例

SPD クラス I−I

imp

(10/350)

各防護モードで 25 kA

SPD クラス II−I

n

(8/20)

各防護モードで 15 kA

SPD クラス I 及び SPD クラス II の両方に従った保護目的で複合形 SPD を用いる場合,I

n

及び I

imp

の定格

は,

表 F.1 及び表 F.2 の値と一致していることが望ましい。

雷電流は,風車構造から大地へ流れるときに,接地システム,外部導電性部分(ある場合)

,及び引込線

の間で,直接又は線に接続した SPD 経由で分流する。個々の SPD 経由で分流する電流レベルは,電流が

分流する平行経路の数及び個々の経路のインピーダンスによって異なる。IEC 62305-1 

附属書 では,

この計算方法に関する指針を提供している。


106

C 1400-24

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附属書 G 

参考)

ボンディング,遮蔽及び設置手法に関する追加情報

G.1  ボンディングに関する追加情報

雷電流の過渡的性質によって,導体に沿ったピーク電圧降下は,次のように概算できる。

t

i

L

V

d

d

   (G.1)

ここに,

L: 導体のインダクタンス(H/m)

di/dt: 雷電流の最大変化率(A/s)

導体のインダクタンスは,一般に 1  μH/m 程度とみなすことができ,最大 di/dは,雷撃及び個々の導体

間の電流分配レベルによって 0.2 kA/μs から 200 kA/μs まで変化する場合がある。したがって,ボンディン

グ用導体に沿った電位差は最大 200 kV/m となる。

図 G.1

に示した,

風車ナセル内部が異なる金属面に 2 台の制御盤を配置したシステムについて検討する。

雷電流は上の面に流入し,ボンディング用導体経由で下の面に流れる。雷電流がボンディング用導体を流

れると,制御盤 2 に対して制御盤 1 の電位が上昇する。この電位の変化によって,制御盤 1 又は制御盤 2

の中に配置された部品が損傷する可能性がある。この状況は,良好なボンディング,適切なケーブル敷設

及び信号線の SPD 保護又は両端でシールド部を接続したシールド信号ケーブルを用いることで改善でき

る。

図 G.1

ナセル内部の異なる金属面上に配置された 台の制御盤

複数のボンディング用導体を用い,ボンディング用導体長を最小限に抑えることで,二つの金属面間の

電位差が最小になる。

したがって,風車内部のボンディングでは,次のような複数の導体を用いることが望ましい。

a

)  予測する雷電流の分流が対象経路を通過可能な導体

b

)  できるだけ短く,直線的な導体

配線については,

IEC/TR 61000-5-2

で検討しているように,電線管及び配線管に配線又はシールドケー

ブルを用いることでも保護することができる。

G.2

LEMP 保護に関する追加情報

空間遮蔽,配線及び線の遮蔽に関する詳細情報は,

JIS Z 9290-4

A.2.1

に記載している。


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C 1400-24

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一般に,EMC 試験規格

IEC 61000-4

規格群に従った試験による機器の耐過渡電圧・電流レベル(イミュ

ニティ)を記録していることが望ましい。これによって得た特定のイミュニティレベルは,各 LPZ の環境

内の機器に対する追加保護の必要性の評価のために用いる。さらに,絶縁協調規格

JIS C 60664-1

に従っ

て配線などの耐圧レベルを記録する。

G.3

遮蔽及び設置手法に関する追加情報

雷電流が風車内を流れるときに大きな磁界が発生する。

このように変化する磁界がループを通過すると,

そのループ内に電圧を誘起する。電圧の規模は,磁界の変化率及びそのループの面積に比例する。設置業

者は,誘起電圧の規模を考慮し,このような電圧が配線及び設置機器の耐圧レベルを超えないように保証

する。

雷電流が通過する導体に隣接する配線ループを,

図 G.2

に示す。電圧 は,磁界の変化率に比例する。

図 G.2

電磁結合メカニズム

これを,式(G.2)に示す。

dt

d

U

φ

   (G.2)

ここに,

φ

鎖交磁束(Wb)

U: ループ内の誘起電圧(V)

ループを通過する合計磁束を,式(G.3)に示す。

×

d

w

d

I

l

ln

π

2

0

μ

φ

  (G.3)

したがって,ループ内の誘起電圧は,式(G.4)で表せる。

dt

di

M

dt

di

d

w

d

l

U

×

×

ln

π

2

0

μ

   (G.4)

ここに,

μ

0

空気の透磁率。ほかの寸法は

図 G.2

を参照。

M: ループと通電導体との間の相互インダクタンス(H/m)

閉ループの場合,ループにおいて誘起される電流を,式(G.5)に示す。

L

udt

I

   (G.5)

ここに,

L: ループの自己インダクタンス

u: ループの開回路電圧

誘起電圧及び電流の詳細な検討については,JIS Z 9290-4 を参照。


108

C 1400-24

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この電圧は,差動デファレンシャルモード電圧,すなわち,システム内の

2

本の線の間で誘起する電圧

の例である。電気配線への電圧誘導を防止するためには,ループを通過する磁界の最大変化の低減及びル

ープ面積の低減によって,誘導電圧が低減することは明らかである。このことは,次のような方法で実現

できる。

a

)

通電導体と電気回路との分離距離の拡大  誘導電圧を低減させるというこの方法は有効ではあるが,

一般に,風車の領域内では不可能である。ただし,ナセル内部などに望ましい雷電流経路を確立でき

れば,風車の配線を見直すことで(この方法が)可能になる。

b

)

ツイストペアケーブルの利用  これまでに検討しているように,ツイストペアケーブルを利用するこ

とで,誘導電圧レベルが低減する。これは,磁界が通過する面積を効果的にゼロまで低減することに

よる。したがって,ツイストペアシステムでは,デファレンシャルモード電圧は低減するが,コモン

モード電圧は引続き存在する可能性がある。

c

)

遮蔽の利用  鋼管又は金属導管内に配線を通す方法は,非常に効果的に磁界からケーブルを遮蔽する

ため,良好な方式である。シールドケーブルを用いた場合も,遮蔽内に配置した導体に対して同様の

効果を得る。しかし,シールド,鋼管及び導管の両端を確実に接続している場合だけ保護ができるこ

とに留意することが重要である。この状態でない場合,すなわち,導体シールドの一方だけ接続して

いる場合,誘導及び電磁結合に対しての保護はない。

ほとんどの場合,ケーブルの遮蔽を行うことで,

LEMP

から良好に保護できる。予測どおりに遮蔽を機

能させるためには,両端で正しく接続する[機器きょう(筐)体に対して

360

°接続]

ケーブルが長い場合,又は電流インパルスが大きい場合,遮蔽とワイヤとの間の誘導電圧が高くなるこ

とを計算が示している。ケーブルに接続した機器がこれらの高電圧インパルスに耐えられない場合,遮蔽

SPD

と組み合わせる。この状況は,タワー底部とナセルとの間で発生する可能性がある。

雷電流は,シールドケーブルの遮蔽体を通過する。電流によって芯線と遮蔽体との間に電圧が誘起され

る。この電圧の値は,伝達インピーダンスを用いて計算できる。

シールドケーブル内の信号感度が非常に高い場合,芯線を

SPD

で保護する場合がある。

図 G.3−伝達インピーダンスの測定

伝達インピーダンスの測定は,IEC 62153-4-3 に従って行うことができる。電流がシールドに流れ,ケー

ブル長が既知であり,ケーブルのいずれか一方の端で芯線及びシールドが短絡している場合は,ケーブル

のもう一方の端で電圧を測定することができる(

図 G.3 参照)。

試験電流 I

t

及び電圧 U

c

が既知の場合,伝達インピーダンスは,式

(G.6)

のように計算することができる。

t

c

T

I

U

(G.6)


109

C 1400-24

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これを用いて,シールドと芯線との間の電圧は,式

(G.7)

のように計算することができる。

U

c

l×I

t

×Z

T

  (G.7)

ここに,

U

c

シールドと芯線との間の電圧(

V

l: ケーブル長(

m

I

t

シールド内の電流(

A

Z

T

伝達インピーダンス(

ケーブルを敷設すると,ケーブル両端の整合インピーダンスの間で電圧降下が分割され,これによって

接続機器の端子が影響を受ける。概算として,電圧の計算値がケーブル両端の間で

2

分割される。

シールドした電力ケーブルの相導体とシールド又は接地との間の接続部のインピーダンスが低い場合,

雷電流はシールドと相導体との間で分流する。このような低インピーダンスの接続部は,ケーブル両端の

相導体とシールド又は接地との間の過電圧防止用の

SPD

である場合がある。この状況については,風車を

電力系統に接続する電力ケーブルなどに対して考慮する必要がある。

IEC 62305-2 の附属書 では,シールドケーブルの故障電流(ケーブル絶縁破壊によって故障を引き起

こす,ケーブルシールドに流れる雷電流レベル)の評価方法に関するガイダンスを提供している。


110

C 1400-24

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附属書 H 

参考)

システムレベルのイミュニティ試験の試験方法

システムレベルのイミュニティ試験に対しては,次の試験方法がある。

H.1

使用状態下での SPD 放電電流試験

運転状態での

SPD

放電電流試験を,次に示す。

a

)

システムレベルのイミュニティ試験前  被保護機器については,JIS C 61000-4-5 に従った方法を適用

することでイミュニティを決定する。

SPD

の保護効果については,JIS C 5381-11 に従った試験手順を用いて決定する。

b

)

共通システム試験において,運転状態で被保護機器の試験を行う。すなわち,装置を作動させ公称電

圧の電源に接続し,設置した

SPD

の公称放電電流パラメータを用いてストレスをかける。適用可能な

場合は,通信線,センサ,モータなどの追加の回路も接続する。

c

) SPD

クラス

II

及び風車のピッチ制御システムを含めた,運転状態での

SPD

の放電電流試験の回路例

を,

図 H.1 に示す。

H.2

雷電流による誘導試験

雷電流による誘導試験について,次に示す。

a

)

雷電流によって生じる電磁界で内のシステム全体の挙動を試験するため,規定の金属製取付プレート

にインパルス電流を印加する。

b

)

被試験システムは,できるだけ実際的に設置する。

模擬設置には,個々の機器,設置する全ての

SPD

,並びに実際の長さ及び種類の相互接続線を含め

る。

c

)

システム全体の配線内に誘起するインパルス電流を監視する。

d

)

一次雷電流の特性及び適用可能な値は,IEC 62305-1 

表 C.3 から引用する。

e

)

電源用の

SPD

クラス

II

及び風車のピッチ制御システムの制御機器用

SPD

を含めた,雷電流による誘

導試験の回路例を,

図 H.2 に示す。

H.3

システムレベルのイミュニティ試験の推奨試験分類

システムレベルのイミュニティ試験の推奨試験分類について,次に示す(JIS C 61000-4-5 を参照)

a

)

製造業者によって指定した制限内での正常な性能。

b

)

外乱終了後に収まり,被試験機器が操作者の介入なしで正常な性能を回復するような一時的な機能損

失又は性能劣化。

c

)

その是正に操作者の介入を要する一時的な機能損失又は性能劣化。

d

)

ハードウェア若しくはソフトウェアの損傷,又はデータの損失によって回復不可能な,機能損失又は

性能劣化。


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C 1400-24

:2014

SPD1,SPD2,SPD3:電源回路用サージ防護デバイス 
SPD4:通信及び信号回線用サージ防護デバイス

図 H.1−運転状態での SPD の放電電流試験の回路例

図 H.2−雷電流による誘導試験の回路例


112

C 1400-24

:2014

附属書 I

参考)

接地システム

I.1

一般

I.1.1

接地システムの種類

大形風車の場合,必ず大規模な基礎構造を伴い,大形の鋼鉄を大量に組み込んでいる。基礎構造中の鉄

骨は,一般に接地抵抗が最小になることから,基礎接地システムとして接地用に用いることになる。

LPS

設計者が接地極を用いた個別の接地システムを設置することを選択した場合も,基礎の鉄骨への適

切なボンディングを確保することが必要である。これは,雷電流が鉄骨に流入しないようにすることが非

常に困難であり,また,個別の接地システムと鉄骨との間に電位差があると,基礎の鉄筋を覆うコンクリ

ートなどにとって有害な場合があるためである。

LPS

設計者及び

LPS

施工者は,適切な種類の接地極を選択する。

LPS

設計者及び

LPS

施工者は,一般人

がアクセス可能な領域に風車を設置する場合,

接地網付近の危険な歩幅電圧に対する保護対策を考慮する。

深さに伴って大地抵抗率が低下し,棒状接地極の一般的な埋設位置より深い位置に抵抗率が低い下層土

が存在する特殊な場合には,深埋設接地極が効果的となる。

プレストレストコンクリートの場合,許容できない機械的応力が生じる可能性があることから,落雷電

流の通過による影響について考慮する。

JIS A 4201 では,次の

2

種類の基本的な接地極の配置について検討している。

型接地極

2

本以上の引下げ導線に接続する水平又は垂直の電極。

A

型接地極は,小規模の建物に

対して用いることができる(ウィンドファームに隣接する測定室又は事務所など)

注記 1

  A

型接地極の配置の詳細については,JIS A 4201 の 2.3.3.1 を参照。

型接地極  構造物に組み込む一つ以上の外部環状導体又は構造体利用接地極。このタイプの配置は,

全長の

80 %

以上が土壌に接触した外部環状接地極又は基礎接地極で構成される。

風車に対しては,

B

型接地極を用いる。

注記 2

  B

型接地極の配置の詳細については,JIS A 4201 の 2.3.3.2 を参照。

I.1.2

建設

I.1.2.1

基礎接地極

基礎接地極は,地下の構造物基礎中に敷設される導体で構成する。コンクリートが良好かつ均一の品質

で,基礎接地極を

50 mm

以上覆っている場合,腐食から十分に保護されるという利点がある。

接地極に用いる金属は IEC 62305-3 

表 に記載した材質に適合させ,土壌中の腐食に対する金属の挙

動を常に考慮する。IEC 62305-3 の 5.6 は幾つかの指針を提供している。特定の土壌に関する指針が入手で

きない場合,同様の土壌特性を示す近隣の発電所の接地システムの実績を確認することが望ましい。接地

極用の溝を埋める場合には,フライアッシュ,石炭の塊又は瓦れき(礫)が接地極と直接接触しないよう

注意することが望ましい。大地抵抗率が非常に高い場合,接地抵抗を低減する手段を講じる。溝の中で単

一接地極の代わりに導体のメッシュを用いるか,又は導電性の充塡材を用いて溝及びドリル穴での大地へ

の接地極の接触の程度を向上させるなど,表面積が大きい接地極を用いることが提案されている。接地の

程度を向上させる材質を用いる場合は,腐食を考慮する。

コンクリートに埋め込んだ鋼鉄は,土壌中の銅などの電気化学系列とほぼ同じガルバニ電位をもつ。こ


113

C 1400-24

:2014

のため,コンクリート中の鋼鉄を土壌中の鋼鉄に接続すると,約

1 V

のガルバニ電圧を印加することによ

って,腐食電流が土壌及び湿潤コンクリート内を流れて土壌中の鋼鉄が溶解する。

したがって,土壌中の接地極には銅又はステンレス鋼の導体を用い,これらをコンクリートに埋め込ん

だ鋼鉄に接続する。

構造物の周辺では,IEC 62305-3 

表 に従った金属導体を設置し,タワーを基礎の金属に最短経路で

接続する。

施工時に接地抵抗を常に測定することは有益である。接地抵抗の減少が止まったら直ちに接地極の埋設

を中止してもよい。この場合,接地抵抗への影響がより良好な別の位置に,追加の接地極を設置すること

ができる。各接地極の測定値を

QA

システムで追跡することが望ましい。

接地極は,地中の既存のケーブル,金属管などから十分に離し,接地極の埋設時に想定する位置から十

分な余裕をもって設置する。この離隔距離は,土壌の電気インパルス強度及び抵抗率,並びに接地極中の

電流によって異なる。

乾燥などによって表面付近で抵抗が増大する危険がある場合,より長い埋設接地極を用いることが必要

なことが多い。

0.5 m

以上の深さでは,放射状接地極を設置する。接地極の埋設深さを増すことによって,冬期に気温

が低い国において,接地極を抵抗率が極端に低い凍結土壌中に配置しないことを保証すれる。季節的に安

定した接地抵抗を得るには垂直接地極が望ましい。接地極の深さを増すことで地表面での電位差を低減さ

せ,これによって,歩幅電圧が低下することで地表面の人畜への危険を軽減させるという利点もある。

I.1.2.2

型接地極−環状接地極

従来形の接地抵抗を低下させるため,必要に応じて垂直接地極又は放射状接地極を追加することによっ

て,

B

型接地極を改善することが可能である。接地極の最小長を,

図 I.1 に示す。

風車付近にいる人を保護するためのこの

B

型接地極の間隔及び深さは,通常の土壌条件において最適な

ものである。冬期気温が低い国では,接地極の適切な深さを検討することが望ましい。

保護対象の風車に隣接したエリアに多数の人が頻繁に集まる場合は,このようなエリアに対し電位制御

の拡張を施す。第

1

及び第

2

以降の環状接地極から合理的な距離を置いて追加の環状接地極を設置する。

これらの環状接地極は,放射状接地極によって第

1

環状接地極に接続する。

I.1.2.3

岩地における接地極

風車の建設時に,コンクリート基礎に基礎接地極を組み込む。

基礎接地極の接地効果が低下する岩地であっても,岩地は雷電流を大地につなぐ等電位面として機能す

る。

接地極の上又は付近に設置する放射状接地極は,石又は砂利で覆うか,コンクリートに埋め込んで機械

的に保護することが必要な場合がある。

風車が道路に近接している場合,環状接地極は,可能な場合,道路の下に設置する。ただし,露出した

道路部分の全長にわたってこのことが可能でない場合,接地極付近でこのような等電位制御を行う。

一定の特殊なケースで電位制御を行う場合,風車の入口付近に追加の環状部分を設置するか,砂利の層

を追加するなどで,土壌表層の抵抗率を人工的に増大させることが望ましい。

I.2

接地極の形状寸法

I.2.1

接地極タイプ

A

型接地極は,被保護構造物の外側に設置し,各引下げ導線に接続した,水平又は垂直接地極で構成す


114

C 1400-24

:2014

る。接地極の総数は

2

個以上とする。

各引下げ導線の基部における各接地極の最小長は,次のいずれかである。

水平接地極の場合  l

1

垂直(又は傾斜)接地極の場合

0.5

l

1

ここで,l

1

は,水平接地極の最小長である(

図 I.1 参照)。

l

1

は,雷保護レベル(

I

IV

)及び大地抵抗率によって異なる。

複合(垂直又は水平)接地極の場合,接地極の全長を考慮する。

電源周波数(

50 Hz

又は

60 Hz

)と異なる周波数及び低次高調波で測定したときに,接地システムの接地

抵抗が

10 Ω

未満の場合,上記の最小長さ l

1

は無視することができる。

抵抗率

500  Ωm

未満の土壌における

A

型接地極の場合,最小長は水平接地極

2

個の場合は

5 m

,垂直接

地極

2

個の場合は

2.5 m

である。

大地抵抗率が

500 Ωm

を超える場合,l

1

は大地抵抗率

3 000 Ωm

時の

80 m

まで直線的に増加する。

図 I.1LPS の分類に応じた各接地極の最小長(l

1

IEC 62305-3

の図 2

雷電流の高周波成分によって,大地抵抗率とは無関係に長さ

80 m

を超えても,合計インピーダンスは

それ以上低下しない。

B

型接地極は,被保護構造物の外側の,全長の

80 %

以上が土壌に接触した環状接地極又は基礎接地極で

構成する。このような接地極は,メッシュ状とすることも可能である。

環状接地極(又は基礎接地極)の場合,環状接地極(又は基礎接地極)で囲んだ領域の平均半径 r

e

は,

(I.1)

に示すように,値 l

1

以上とする。

r

e

l

1

   (I.1)

ここに,

l

1

雷保護レベル

I

II

III

及び

IV

に応じて

図 I.1 に示す接地極の

最小長

l

1

の値が r

e

の算定値より大きい場合,式

(I.2)

及び式

(I.3)

で得る水平長さ l

r

及び垂直長さ l

v

をもつ水平又は

垂直(又は傾斜)接地極を追加する。

l

r

l

1

r

e

  (I.2)


115

C 1400-24

:2014

l

v

2

e

1

r

   (I.3)

接地極数は,

2

個以上とする。

追加接地極は,可能な限り等距離で接続することが望ましい。

大地抵抗率,想定し得る地絡電流,及び地絡してから回復するまでの時間に関する情報は,接地システ

ムの適切な設計・施工計画に極めて重要である。

大地抵抗率は,土壌の特性によって大きく異なる。

 LPL

I

及び ρ

1 500 Ωm

の場合,

図 I.1 によって接地極の最小長 l

1

35 m

となる。

半径 r

e

10 m

の環状接地極の場合は,個々の最小長 l

r

35 m

10 m

25 m

の水平接地極

2

個,

又は l

v

(35 m

10 m)/2

12.5 m

の垂直接地極

2

個を追加する。

I.2.2

接地インピーダンスの周波数依存

接地システムの測定は,一般に低周波で行うことから,抵抗として結果を得るが,接地システムの設計

者は,雷の高周波成分(最大

1 MHz

)によって,接地極のインピーダンスのインパルス応答が低周波での

測定値より上下する可能性があることを認識することが望ましい。接地極の特性(容量性,誘導性又は抵

抗性)は,接地極の形状,大地抵抗率及び雷電流の侵入位置によって異なる。

図 I.2−接地インピーダンスの周波数依存(Cigré WG C.4.4.02 July 2005[49]を修正)

図 I.2 は,接地インピーダンス(インピーダンス絶対値

  |

Z

(

j

ω)|

の低周波接地抵抗 R

g

に対する比)の典

型的な周波数依存性を示したものである。周波数には二つの領域があり,最大約

50 kHz

の低周波数領域で

は,インピーダンスはほぼ一定かつ抵抗と等しく,

50 kHz

を超える高周波数領域では,インピーダンスは

周波数とともに変動し,測定抵抗値より上下する可能性がある。雷電流インパルスを受けた接地極の動的

特性は重要な課題である(例えば,侵入電流の最大値に対する電圧の比)

抵抗性及び容量性の特性は,高周波領域でのインピーダンスの絶対値が低周波領域でのそれ以下である

ことから,有効である。一般に,容量性の挙動はメッシュ状接地極が広がって領域をカバーする接地シス

テムでよく見られる一方,長い接地極がほとんどない接地システムは大部分が誘導性の特性を示す。複数

の接地配置を用いることで

表 I.1 に示すとおりインパルス効率が向上する。ただし,実際には,小形の接

地極を用いて,低い抵抗値の基準における要求事項を満たすことが常に可能であるとは限らない。


116

C 1400-24

:2014

水平棒状接地極は,垂直棒状接地極と比較して電源周波数において僅かに有効性が低いが,インパルス

効率は高い。

表 I.112 m の垂直棒状接地極(100 %)に対する複数の棒状接地極配置のインパルス効率

Cigré WG C.4.4.02 July 2005 [49]

を修正)

棒状接地極の

配置

比率(%) 100

95

85

85

80

70

I.3

各接地極構成の接地抵抗の表示

大部分の接地システム設計をある種のコンピュータソフトウェアを用いて行うことは,このようなシス

テムで一般に用いられる複数の要素間の相互作用を正確に分析できることから,標準的な方式である。こ

れらのシステムには,雷による過渡電流などへの接地システムの応答を分析できるものもある。このよう

なツールによって,一般に最も正確な結果を得ることができる。このようなツールが利用できない場合,

次の

表 I.2∼表 I.6 に記載した単純な接地極構成及び組合せに対する式を用いてもよい。

表 I.2−表 I.3 から表 I.6 において用いる記号

ρ  大地抵抗率(Ωm)

a

12

棒状接地極の間の距離(m)

n  放射状ワイヤの本数

埋設深さ(m)

L  各放射状ワイヤの長さ(m)

接地極抵抗(Ω)

a  放射状ワイヤの半径(m)

環状接地極の直径(m)

s  棒状接地極の間隔(m)

2.718

π 3.141 5












117

C 1400-24

:2014

表 I.3−様々な接地極構成に対する公式

埋設水平棒状接地極





1

2

2

ln

π

ad

L

L

R

ρ

  (I.4)

d<<の場合

距離が a

12

離れた,長さの等しい 2 個の棒状接地極

12

1

4

ln

π

4

a

L

a

L

L

R

ρ

  (I.8)

a

12

>>の場合

共通点から対称に広がる埋設接地極 n 個

1

1

π

sin

π

sin

1

ln

1

2

2

ln

π

n

m

n

m

n

m

ad

L

L

n

R

ρ

  (I.5)

注記  式(I.5)では,二つの隣接接地極間の角度

が同じであることを前提としており,

したがって n=2 の場合,接地極は共通

点からそれぞれ反対方向に拡張する。
全ての導体が同一電流を伝達する。

棒の長さより半径 が短い円上に等間隔で配置さ

れた,長さの等しい棒状接地極 

1

2

4

ln

π

2

1

n

n

D

na

L

L

R

ρ

  (I.9)

D<<の場合

注記  個の棒状接地極は絶縁ケーブル経由

で接続する。

垂直棒状接地極

1

4

ln

π

2

a

L

L

R

ρ

  (I.6)

L>>の場合

半径 の円上に,

隣接する棒状接地極との間隔が,

棒状接地極の長さ以上の等間隔で配置した,同等

の棒状接地極 

1

1

π

sin

1

1

4

ln

π

2

n

m

n

m

D

L

a

L

L

n

R

ρ

  (I.10)

距離が a

12

離れた,長さの等しい 2 個の棒状接地極



1

4

ln

π

2

12

aa

L

L

R

ρ

  (I.7)

a

12

<<の場合

埋設環状接地極

ad

D

D

R

2

4

ln

π

2

ρ

   (I.11)

表 I.4−埋設環状接地極と垂直棒との組合せに対する公式

埋設環状接地極

ad

D

D

R

2

4

ln

π

2

1

ρ

  (I.12)

半径 の円上に,隣接する棒状接地極との間隔が

棒状接地極の長さ以上の等間隔で配置した,長さ

の等しい棒状接地極 

1

1

2

π

sin

1

1

4

ln

π

2

n

m

n

m

D

L

a

L

L

n

R

ρ

  (I.13)

半径 の円上に配置した環状接地極と棒状接地極
個との相互接地抵抗

d

e

L

D

D

R

2

4

ln

π

2

3

ρ

   (I.14)

複合抵抗

3

2

1

2

3

2

1

2R

R

R

R

R

R

R

   (I.15)


118

C 1400-24

:2014

表 I.5−埋設式環状接地極と放射状接地極との組合せに対する公式

埋設環状接地極

ad

D

D

R

2

4

ln

π

2

1

ρ

  (I.16)

共通点から水平及び対称に広がる埋設放射状接地

極 

1

1

2

π

sin

π

sin

1

ln

1

2

2

ln

π

n

m

n

m

n

m

ad

L

L

n

R

ρ

  (I.17)

環状接地極と,共通点から対称に広がる埋設放射

状接地極 個との相互接地抵抗

d

e

L

D

D

R

2

4

ln

π

2

3

ρ

   (I.18)

複合抵抗

3

2

1

2

3

2

1

2R

R

R

R

R

R

R

   (I.19)

表 I.6−埋設式直線水平接地極と棒状接地極との組合せに対する公式

埋設式直線水平接地極





1

2

2

ln

π

c

c

1

ad

L

L

R

ρ

  (I.20)

d<<L

c

の場合

垂直棒状接地極

1

4

ln

π

2

p

p

r

a

L

L

R

ρ

   (I.21)

L

p

>>の場合

絶縁ケーブルで接続した垂直棒状接地極 

n

m

m

s

n

n

R

R

2

r

2

1

π

ρ

  (I.22)

直線水平接地極と垂直棒状接地極 個との相互接
地抵抗





1

2

2

ln

π

p

c

c

3

d

e

L

L

L

R

ρ

  (I.23)

複合抵抗

3

2

1

2

3

2

1

2R

R

R

R

R

R

R

   (I.24)


119

C 1400-24

:2014

附属書 J

参考)

測定点の定義例

測定点の定義例を,

図 J.1 に示す。

図 J.1−測定点の例


120

C 1400-24

:2014

この測定点の定義例を基に,次の測定を実施することができる(

表 J.1 を参照)。

表 J.1−記録する測定点及び抵抗

測定点 1

内容

測定点 2

内容

測定点間の

抵抗

A1

翼端の受雷点 A A2

翼根の引下げ導線 A

B1

翼端の受雷点 B B2

翼根の引下げ導線 B

A2

翼根の引下げ導線 A D

ロータハブきょう(筐)体

B2

翼根の引下げ導線 A D

ロータハブきょう(筐)体

D

ロータハブきょう(筐)体 E

ナセルきょう(筐)体−又は接地バー

F

風況計器を保護する受雷部 E

ナセルきょう(筐)体−又は接地バー

E

ナセルきょう(筐)体−又は接地バー

G

タワー底部の接地バー

H1

基礎接地極への接地接続 1 H2

基礎接地極への接地接続 2

G

タワー底部の接地バー I

遠隔接地


121

C 1400-24

:2014

附属書 K

参考)

雷被害に関する一般的なアンケート

1.

風車製造業者:

風車運用者:

2.

風車の形式(一般的記述):

3.

風車固有データ:

❍定格:

kW

❍ハブ高さ:

m

❍ロータ直径:

m

❍設置日:

❍その他コメント:

4.

風車の位置:

❍正確な位置(

GPS

座標など)

❍単一風車

❍風車      基をもつウィンドファームの風車

❍沿岸地

❍沿岸地付近

❍洋上

❍陸上

❍高地(海抜):

m

❍その他コメント:

5.

気象条件:

❍雷雨

❍風速:

m/s

❍温度:          ℃

❍その他:

❍降雨(既知の場合は深刻度):

❍その他コメント:

6.

事故の日時:

❍日付:

❍時刻:

❍時刻の誤差程度:

❍その他コメント:

7.

推定雷捕捉点:

❍翼

❍ナセル

❍気象機器

❍タワー

❍ナセル避雷針

❍その他:

❍その他コメント:

8.

損傷部品:

❍ハブ

❍ロータ

❍主軸受

❍ピッチ軸受

❍ヨー軸受

❍発電機軸受

❍増速機軸受

❍ギヤ

❍発電機

❍制御装置

SCADA

システム

❍電気システム

❍その他:

❍その他コメント:


122

C 1400-24

:2014

9.

雷被害の影響:

❍発電不能時間:          時間

❍修理コスト(各国通貨):

❍発電不能コスト(各国通貨):

❍その他コメント:

10.

風車の雷保護システム詳細(翼を除く):

❍なし

❍環状接地極

❍基礎接地極

❍受雷部システム(形式/位置):

❍引き下げ導線(形式/位置):

過電圧/雷サージ保護:

❍なし

❍引込線接続部

❍発電機

❍外部データ回線

❍内部制御線

❍電話回線

❍その他コメント:

11.

翼及び翼の雷保護:

❍翼製造業者:

❍翼形式(ピッチ/ストール):

1

枚翼

2

枚翼

3

枚翼

❍その他:

❍翼端ブレーキ搭載

雷撃時のロータ動作:

❍静止

❍回転中

❍不明

ロータ翼材質:

GFRP

CFRP

GFRP/CFRP

❍木材積層

❍木材単板

❍その他:

GFRP

=ガラス繊維強化プラスチック,

CFRP

=炭素繊維強化プラスチック)

雷保護形式:

❍先端にレセプタ(材質):

❍先端キャップ(材質):

❍雷保護なし

❍その他:

翼引下げ導線:

❍外部

❍内部

❍断面積:

mm

❍材質:

❍その他コメント:


123

C 1400-24

:2014

観察される被害:

❍翼への被害なし

❍翼にせん(穿)孔:          径

mm

❍翼表面に亀裂(長さ):

❍翼エッジに亀裂(長さ):

❍その他:

❍その他コメント:

翼への被害が観察された位置に印を付ける(

図 K.1 参照)。

❍正圧側:

図 K.1−損傷箇所を示すための翼外形

❍負圧側:


124

C 1400-24

:2014

附属書 L

参考)

監視システム

風車には,雷撃の検出及び雷撃の電流レベルの監視を行う機器を搭載することが望ましい。このような

装置の目的を,次に示す。

風車に影響を及ぼした雷撃のレベルに関する情報を運営者に提供し,運用・保守体制において役立て

る。

大形風車への予想雷撃数に関する貴重なデータを提供し,雷撃の規模及び特性を評価して今後のリス

ク評価プロセスを支援する。

監視システムには様々な選択肢が存在する。これらの選択肢について,次に示す。

a

)

広域雷検出システム  多くの商用システムでは,落雷によって生じる電磁インパルスを,アンテナを

用いて検出する雷検出が可能になっている。これらのシステムでは,複数のアンテナを用いて,方向

探知又は到着時間法に基づいて落雷の位置を特定している。これらのシステムのデータは,一般にリ

アルタイムで入手可能である。このようなシステムの精度は,数百メートルから数キロメートルに限

定されることがあるため,データを出力しても落雷の位置を正確に把握することは通常できない(精

度は,アンテナとの落雷の相対的な位置及びその規模によって左右される。

。したがって,このよう

なシステムは,実際には,雷によって風車への被害が生じたかどうかの確認にだけ利用されている。

b

)

局所能動的雷検出システム  これは,風車のタワーにセンサを取り付けて磁界を測定し,ある基準に

基づいて雷警報を発するなどの特殊なシステムである。アンテナによって遠くの落雷による誤報を防

いでいる。このようなシステムは,

SCADA

システムに接続し,雷撃に関する有用な表示をリアルタ

イムで行うことができる。電流波形又は規模を表示できるものもあり,タワーに設置した場合には風

車への雷撃位置を表示しない。ただし,雷雨の後に風車の監視を予防的に行いたい運用者にとっては

良い選択肢である。また,

CT

(電流センサ)を直接翼内又はほかの雷引下げ導線に取り付けられるも

のもある。ロゴスキーコイル又は光ファイバ技術などをベースとする変換器を用いることによって,

警報機能の提供,並びに今後のリスク評価の研究に用いる貴重なピーク電流及び波形データ収集の両

方を行うことができる。

c

)

局所受動的雷検出システム  ピーク電流センサ(

PCS

)カードは,あらかじめ着磁した磁界パターン

の磁気帯を備えている。これらのカードは,引下げ導線に固定し,線を流れる電流の磁界によってあ

らかじめ着磁したパターンを部分的に消去する。雷電流が大きいほど引下げ導線周辺の磁界が増大し,

消去されたりひずみを受ける分が増える。このシステム形態は,一般に検出範囲

3 kA

120 kA

で,結

果の誤差は±

2 kA

以下としている。カードは,ピーク電流だけ記録し,測定値は一つしか保存できな

い。したがって,多重雷撃が発生した場合,全雷撃のうち最大ピーク電流だけを保存する。時刻は記

録できず,

SCADA

及び類似システムへの接続はできない。


125

C 1400-24

:2014

附属書 M

参考)

小規模風車のための指針

この規格は,事業用規模の風車用について規定しているが,これらの風車は,発電容量

100 kW

超,

30 m

超のタワーへの設置,ナセルに発電機及び制御装置並びに変換装置を収容,並びに

10 m

より長い翼とい

った一定の特徴で表すことができる。

この大きさを下回る,小規模又はマイクロ風車と呼ばれる風車の分類がある。これらは,一般に家庭用

又は準事業用に設計され,電力は,主に現場で用いることを目的としている。余剰電力を地域の電力系統

に出力できる場合もあるが,これらの風車は低圧での発電専用で,事業用規模の風車による中圧レベルの

発電は行わない。

この異なる

2

種類の風力発電装置の環境は大きく異なっており,したがって,雷保護の要求事項及び指

針も全く異なる。

雷保護の問題は,小規模風車の場合も考慮する。主な課題は,系統連系及び通信・制御装置の接続部(存

在する場合)の過渡電流保護を行って,風車内部で生じる雷過渡電流に伴う高い過渡電圧及び電流の暴露

後もシステムが引続き動作できるよう保証することである。小規模システムへの落雷は,極めて高い位置

に露出した状態で配置しない限り,比較的まれである。ただし,システムに損傷がなく,構造物が破損し

た場合も人命及び資産への被害を生じないという点,並びに風車を接続した電気システムへの火災の危険

又は被害を防止するという点において,安全を維持する必要がある。

この規格は,小規模風車の雷保護は対象としていないが,一般的な原則及び適用方法の中には,上記の

リスクを回避するうえで有益なものもある。

高電圧・大電流を用いた直接試験は,雷保護装置の設計の支援において非常に有益である(試験方法は

附属書 を参照)。翼,風速計,発電機ハウジングなどの部品に対して試験を行うことができ,また,電

気回路及び制御装置に関して過渡電流サージの影響への抵抗について試験を行うことができる。究極的な

雷保護策としては,ロータより高い避雷針,等電位ボンディング及びある種のサージ保護装置(

SPD

)を

組み合わせて用いることが挙げられるが,この場合も試験によって有効性を検証することが望ましい。


126

C 1400-24

:2014

附属書 N 

参考)

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IEC/TS 60479-1

Effects of current on human beings and livestock

Part 1: General aspects

[51]

IEC 60479-4

Effects of current on human beings and livestock

Part 4: Effects of lightning strokes

[52]

IEC/TR 61000-5-2

:1997, Electromagnetic compatibility (EMC)

Part 5: Installation and mitigation guidelines

Section 2: Earthing and cabling

[53]

IEC 61936-1

Power installations exceeding 1 kV a.c.

Part 1: Common rules

[54]

ITU-T K.46 

Protection of telecommunication lines using metallic symmetric conductors against

lightning-induced surges


130

C 1400-24

:2014

附属書 JA

規定)

雷電荷量の大きな雷について

JA.1

一般

6.2 では,“特に冬季に多数の上向き雷を受ける地域に配置された風車の場合,受雷部システム(レセプ

タなど)の電荷量に対する耐量を,

LPL I

Q

flash

300 C

)より高くすることが適切な場合がある。

”と記載

しているが,この附属書では,そうした冬季雷地域に設置する風車が考慮することが望ましい雷パラメー

タについて規定する。

JA.2

冬季雷の定義

雷雲が発生するためには,大規模で強い上昇気流が必要である。雷雲は夏季に多く発生し,雲頂高度は

12 km

以上もの高さとなる。一方,日本における冬季の場合,対馬暖流による比較的暖かい海面に,シベ

リアからの強い寒気が吹き込み,上昇気流が発生することによって雷雲が発生する。この雷雲は高度が低

いことが特徴で,雲底高度が

300 m

500 m

といった低いものも存在する。冬季において東北から北陸の

日本海沿岸で,高度の低い雷雲から発生する雷は,夏季の雷と比べて以下のような特徴がある。

放電の継続時間が長く,電荷量が大きい(数十∼数百

ms

,数百

C

高構造物の先端から上向きに放電が進展する確率が高い。

正極性雷の確率が高い(夏季の雷は

90 %

程度が負極性雷であるが,冬季の雷では

30 %

50 %

が正極

性という報告が多い。

この附属書では,こうした特徴をもつ雷を“冬季雷”と定義する。

注記

秋季及び冬季に日本海沿岸で

300 C

以上の大きな電荷量をもつ雷が発生することは,従来の研

究で確認されているが,地域及び期間の詳細な限定については,現在研究が進行している状況

である。地域及び時期の限定については今後の研究成果を待つが,冬季雷の地域については,

落雷位置標定システムのデータ又は現在までの風車の雷害状況の調査によって得られた,日本

型風力発電ガイドライン落雷対策編(独立行政法人

新エネルギー・産業技術総合開発機構)の

落雷リスクマップに示すものが,当面参考となる。

JA.3

我が国の冬季雷を考慮した雷パラメータ

我が国におけるこれまでの風車の雷電流観測結果を基に,冬季雷を考慮した

LPL I

を上回る雷電流パラ

メータ

LPL W

表 JA.1 に規定する。

表 JA.1−冬季雷を考慮した雷電流パラメータ

雷電流パラメータ

記号

単位 LPL

W

放電電荷

Q

flash

 C  600

比エネルギー

W/R MJ/Ω 20

注記

冬季雷の中には,極度に大きなエネルギーをもつものがあり,

表 JA.1 に示すパラメータを使用

しても,冬季雷地域に設置された風車については,

1 %

程度これを超過する高エネルギー雷を

受ける可能性がある。したがって,サイトの雷リスク及びメンテナンスの難易等の状況に応じ


131

C 1400-24

:2014

て,これを超過する仕様とすることも検討することが望ましい。


132

C 1400-24

:2014

附属書 JB

参考)

JIS

と対応国際規格との対比表

JIS C 1400-24:2014  風車−第 24 部:雷保護

IEC 61400-24:2010  Wind turbines−Part 24: Lightning protection

(I)JIS の規定

(II)

国際

規格
番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇

条ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差異

の理由及び今後の対策

箇条番号

及び題名

内容

箇条

番号

内容

箇条ごと

の評価

技術的差異の内容

3.20 SPM

 3.20

LPMS

変更

略号の修正

IEC 62305:2010 では,LPMS を SPM
に変更しているため。

6.2

冬季雷地域で推奨する

雷パラメータを附属書
JA から引用している。

 6.2

冬季雷地域での注意事項を注

記として記載している。

追加

冬季雷地域での注意事項を本

文とし,かつ,推奨する雷パ

ラメータを附属書 JA から引
用する文言を追加している。

我が国では,IEC 規格で規定した雷

パラメータを超える落雷が観測さ

れているために新たなパラメータ
を追記した。

IEC の改正提案をする。

8.2.5.2

IEC 62561-1 

 8.2.5.2

EN 50164-1 

変更

技術的な差異はない。

地域規格は引用できない。

F.2

F.2

注記にて CB スキームでは,
SPD に対して IEC 規格への自
己適合を許可する記載がある。

削除

技術的な差異はない。

日本では,SPD に対する CB スキー

ム自体運用していない。混乱を避け

る理由で削除した。

附属書 JA
(規定)

雷電荷量の大きな雷に
ついて規定

追加

IEC にはない雷電荷量の大き
な雷の雷電流パラメータを規

我が国では,IEC 規格で規定した雷
パラメータを超える落雷が観測さ

れているために新たなパラメータ

を追記した。

IEC の改正提案をする。

JIS と国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 61400-24:2010,MOD

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

−  削除  国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。

−  追加  国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

−  変更  国際規格の規定内容を変更している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

−  MOD  国際規格を修正している。

132

C 140

0-24


20
14