>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

(1)

目  次

ページ

序文 

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義 

3

4

  記号及び略語 

10

4.1

  記号及び単位 

10

4.2

  略語

12

5

  主要構成要素 

12

5.1

  一般

12

5.2

  設計方法 

13

5.3

  安全カテゴリ 

13

5.4

  品質保証 

13

5.5

  風車銘板 

13

6

  外部条件

13

6.1

  一般

13

6.2

  風車カテゴリ 

14

6.3

  風条件

15

6.4

  その他の環境条件

23

6.5

  電力系統条件 

24

7

  構造設計

25

7.1

  一般

25

7.2

  設計方法 

25

7.3

  荷重

25

7.4

  設計状態及び荷重ケース 

25

7.5

  荷重計算 

30

7.6

  終極(終局)限界状態解析 

30

8

  制御及び保護システム 

35

8.1

  一般

35

8.2

  制御機能 

35

8.3

  保護機能 

36

8.4

  ブレーキシステム

37

9

  機械システム 

37

9.1

  一般

37

9.2

  取付け誤り 

37

9.3

  油圧又は圧縮空気装置 

38


C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)  目次

(2)

ページ

9.4

  メインギアボックス

38

9.5

  ヨーシステム 

38

9.6

  ピッチシステム

38

9.7

  保護機能機械ブレーキ 

38

9.8

  転がり軸受 

39

10

  電気システム 

39

10.1

  一般

39

10.2

  電気システムの一般要求事項

39

10.3

  保護装置 

39

10.4

  断路器

39

10.5

  接地システム 

40

10.6

  雷保護

40

10.7

  電気ケーブル 

40

10.8

  自己励磁 

40

10.9

  雷による電磁インパルスに対する保護 

40

10.10

  電力品質 

40

10.11

  電磁両立性 

40

11

  サイトの固有条件に対する風車の評価 

41

11.1

  一般

41

11.2

  サイトの地形的複雑さの評価 

41

11.3

  評価に必要な風条件

41

11.4

  隣接風車の後流の影響評価 

42

11.5

  その他の環境条件の評価 

42

11.6

  地震条件の評価 

43

11.7

  電力系統条件の評価

43

11.8

  土壌条件の評価 

44

11.9

  風のデータを参照した構造的な健全性の評価

44

11.10

  サイトの固有条件に関する荷重計算による構造的な健全性の評価 

45

12

  組立て,据付け及び建設 

45

12.1

  一般

45

12.2

  計画

45

12.3

  据付条件 

46

12.4

  サイトへのアクセス 

46

12.5

  環境条件 

46

12.6

  記録

46

12.7

  受取り,取扱い及び保管 

46

12.8

  基礎/アンカシステム 

47

12.9

  風車の組立て 

47

12.10

  風車の建設 

47


C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)  目次

(3)

ページ

12.11

  締結部品及びアタッチメント

47

12.12

  クレーン,ホイスト及びつり上げ装置 

47

13

  試運転,運転及び保守 

47

13.1

  一般

47

13.2

  安全運転,点検及び保守に対する設計要求事項 

47

13.3

  試運転に関する指示書 

48

13.4

  運転員への指示マニュアル

49

13.5

  保守マニュアル

50

附属書 A(規定)風車カテゴリ を規定する設計パラメータ

52

附属書 B(参考)乱流モデル

54

附属書 C(参考)地震荷重の評価 

59

附属書 D(参考)風車後流及びウィンドファーム乱流 

60

附属書 E(参考)測定−相関−予測法[Measure-Correlate-Predict (MCP)]による 

    風車サイトの風分布の予測 

62

附属書 F(参考)終極(終局)強度解析のための荷重の統計的外挿

64

附属書 G(参考)荷重推定に関する Miner 則を用いる疲労解析

67

参考文献

72


C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)  目次

(4)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本電機

工業会(JEMA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準

調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS C 1400-1:2001 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。

JIS C 1400

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS C 1400-0

風力発電システム−第 0 部:風力発電用語

JIS C 1400-1

風車−第 1 部:設計要件

JIS C 1400-2

風車−第 2 部:小形風車の設計要件

JIS C 1400-11

風力発電システム−第 11 部:騒音測定方法

JIS C 1400-12-1

風車−第 12-1 部:発電用風車の性能試験方法

JIS C 1400-21

風力発電システム−第 21 部:系統連系風車の電力品質特性の測定及び評価


日本工業規格

JIS

 C

1400-1

:2010

(IEC 61400-1

:2005

)

風車−第 1 部:設計要件

Wind turbines-Part 1: Design requirements

序文 

この規格は,2005 年に第 3 版として発行された IEC 61400-1 を基に,技術的内容及び構成を変更するこ

となく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にない事項である。

この規格は,風車に関する最小限の設計要求事項を概説する。

この規格は,完全な設計仕様書又は指示マニュアルとして用いられることを意図したものではない。風

力発電システムの安全性が損なわれないことが適切に実証することができる場合,この規格のどの要求事

項を変更してもよい。ただし,これは箇条 の風車カテゴリ及び外部条件の関連定義には適用しない。こ

の規格を遵守しても,いかなる個人,組織又は企業が,その他の関連する規則を遵守する責任を免れるわ

けではない。

この規格は,洋上に設置される風車,特にその支持構造物に対する要求事項を示すことを意図していな

い。洋上設備を扱った将来的文書は,現在検討中である。

適用範囲 

この規格は,風車の技術的な健全性を確保するために不可欠な設計要求事項について規定する。その目

的は,設計寿命を通じて生じるすべての危険要因による損傷に対して,適切なレベルの保護措置を講じる

ことである。

この規格は,制御及び保護機構,内部電気システム,機械システム,支持構造物など,風車のすべての

サブシステムに関係している。

この規格は,すべてのサイズの風車に適用する。ただし,小形風車の場合には,JIS C 1400-2 を適用し

てもよい。

この規格は,箇条 で規定する適切な引用規格と一緒に用いることが望ましい。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 61400-1:2005

,Wind turbines−Part 1: Design requirements(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”こ

とを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。


2

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

JIS B 1518:1992

  転がり軸受の動定格荷重及び定格寿命の計算方法

注記  対応国際規格:ISO 281:1990,Rolling bearings−Dynamic load ratings and rating life(MOD)

JIS B 1519:1989

  転がり軸受の静定格荷重の計算方法

注記  対応国際規格:ISO 76:1987,Rolling bearings−Static load ratings(MOD)

JIS B 1755

  平歯車及びはすば歯車の負荷容量計算方法−材料の強度及び品質

注記  対応国際規格:ISO 6336-5,Calculation of load capacity of spur and helical gears−Part 5: Strength

and quality of materials(IDT)

JIS B 9960-1:1999

  機械類の安全性−機械の電気装置−第 1 部:一般要求事項

注記  対応国際規格:IEC 60204-1:1997,Safety of machinery−Electrical equipment of machines−Part 1:

General requirements(MOD)

JIS B 9960-11:2004

  機械類の安全性−機械の電気装置−第 11 部:交流 1 000 V 又は直流 1 500 V を超

え 36 kV 以下の高電圧装置に対する要求事項

注記  対応国際規格:IEC 60204-11:2000,Safety of machinery−Electrical equipment of machines−Part

11: Requirements for HV equipment for voltages above 1 000 V a.c. or 1 500 V d.c. and not

exceeding 36 kV(MOD)

JIS C 0367-1:2003

  雷による電磁インパルスに対する保護−第 1 部:基本的原則

注記  対応国際規格:IEC 61312-1:1995,Protection against lightning electromagnetic impulse−Part 1:

General principles(IDT)

JIS C 1400-21:2005

  風力発電システム−第 21 部:系統連系風車の電力品質特性の測定及び評価

注記  対応国際規格:IEC 61400-21:2001,Wind turbine generator systems−Part 21: Measurement and

assessment of power quality characteristics of grid connected wind turbines(MOD)

JIS C 60364

(規格群)  建築電気設備

注記  対応国際規格:IEC 60364 (all parts),Electrical installations of buildings(MOD)

JIS C 60721-2-1:1995

  環境条件の分類  自然環境の条件−温度及び湿度

注記  対 応 国 際 規 格 : IEC 60721-2-1:1982 , Classification of environmental conditions. Part 2:

Environmental conditions appearing in nature. Temperature and humidity 及び Amd. 1:1987(IDT)

JIS C 61000-6-1:2003

  電磁両立性−第 6 部:共通規格−第 1 節:住宅,商業及び軽工業環境における

イミュニティ

注記  対応国際規格:IEC 61000-6-1:1997,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 6: Generic

standards − Section 1: Immunity for residential, commercial and light-industrial environments

(MOD)

JIS C 61000-6-2:2003

  電磁両立性−第 6 部:共通規格−第 2 節:工業環境におけるイミュニティ

注記  対応国際規格:IEC 61000-6-2:1999,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 6-2: Generic

standards−Immunity for industrial environments(MOD)

JIS Q 9001:2000

  品質マネジメントシステム−要求事項

注記  対応国際規格:ISO 9001:2000,Quality management systems−Requirements(IDT)

JIS W 0201:1990

  標準大気

注記  対応国際規格:ISO 2533:1975,Standard Atmosphere(IDT)

IEC 60038:2002

,IEC standard voltages

IEC 61000-6-4:1997

,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 6: Generic standards−Section 4: Emission


3

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

standard for industrial environments

IEC 62305-1:2006

,Protection against lightning−Part 1: General principles

ISO 2394:1998

,General principles on reliability for structures

ISO 4354:1997

,Wind actions on structures

ISO 6336 (all parts)

,Calculation of load capacity of spur and helical gears

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

3.1

年平均(annual average)

十分な期間にわたって集めた十分な量の測定データセットを平均した値であって,測定対象の期待値を

推定できるもの。平均を計算する期間は,季節差などの非定常効果をならすため,1 年単位の整数倍とす

ることが望ましい。

3.2

年平均風速(annual average wind speed),V

ave

年平均の定義に従って平均した風速。

3.3

自動再閉路周期(auto-reclosing cycle)

系統故障の後に開放された遮断器が自動的に再閉路し,線路が系統に再接続されるまでの約 0.01 秒から

数秒間変化する期間の事象。

3.4

(風車の)ロック装置[blocking (wind turbines)]

例えば,ロータ又はヨー機構の運動を防止するために,誤って始動できないようにする機械的ピン,そ

の他の装置(ただし,通常の機械式ブレーキ装置は除く。

3.5

(風車の)ブレーキ装置[brake (wind turbines)]

ロータの回転速度を緩めるか,又は回転を静止させることができる装置。

注記  ブレーキは,例えば,空力,機械又は電気的原理で作動してもよい。

3.6

特性値(characteristic value)

達成されない所定の確率(すなわち,所定の量以下の超過確率)をもつ値。

3.7

複雑な地形(complex terrain)

地形が変化に富み又は障害物が存在し,それらによって気流がゆがめられやすい周辺地形。

3.8

(風車の)運転制御機能[control functions (wind turbines)]

風車及び/又は周囲の状態の情報に基づいて,風車の動作制限内に保つように調整する制御及び保護シ

ステムの機能。

3.9

カットイン風速(cut-in wind speed),V

in


4

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

乱流がない定常風の場合に,風車が動力を発生し始めるハブ高さにおける最小の風速。

3.10

カットアウト風速(cut-out wind speed),V

out

乱流がない定常風の場合に,風車が動力を発生するように設計されたハブ高さにおける最大の風速。

3.11

設計限界(design limits)

設計に用いられる最大値又は最小値。

3.12

潜在欠陥(dormant failure)

通常の運転中には検知できない部品又はシステムの故障。

3.13

風下(downwind)

主たる風ベクトルの方向(主風向)

3.14

電力系統(electrical power network)

送配電用の特定設備,変電所,送電線又はケーブル。

注記  この系統の区分は,地理的な条件,所有権,電圧などの適切な基準によって定義される。

3.15

(風車の)緊急停止[emergency shutdown (wind turbines)]

保護機能又は手動操作によって風車を速やかに停止させること。

3.16

環境条件(environmental conditions)

風車の挙動に影響を与える可能性がある環境(風,高度,温度,湿度など)の特性。

3.17

(風車の)外部条件[external conditions (wind turbines)]

環境条件(温度,雪,氷など)及び電力系統の状態を包含する風車の運転に影響を与える要素。

3.18

極値風速(extreme wind speed)

秒間で平均した最大風速で,年超過確率 1/N(“再現期間”:年)をもつ。

注記  この規格では,再現期間 N=50 年及び T=1 年,並びに平均時間 t=3 秒及び t=10 分を用いる。

平易な言葉では,耐風速という,あまり正確ではない用語がしばしば用いられる。しかし,こ

の規格では,風車は,設計荷重ケースとして極値風速を用いて設計される。

3.19

フェイルセーフ(fail-safe)

故障の発生が重大な障害につながることを防止する設計上の特質。

3.20

突風(gust)

風速の瞬間的な増加。

注記  突風は,立上り時間,振幅及び継続時間で特徴付けてもよい。

3.21


5

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

水平軸(形)風車(horizontal axis wind turbine)

ロータの回転軸がほぼ水平な風車。

3.22

(風車の)ハブ[hub (wind turbines)]

翼又は翼組立品をロータ軸に取り付ける固定部品。

3.23

(風車の)ハブ高さ[hub height (wind turbines)],z

hub

風車ロータの受風面中心の地上からの高さ(3.51 参照)

3.24

(風車の)アイドリング[idling (wind turbines)]

低速回転しているが,電力を発生していない風車の状態。

3.25

慣性小領域(inertial sub-range)

風の乱流スペクトルの周波数間隔であって,渦が等方性になった後,次々につぶれる過程におけるエネ

ルギー散逸が無視できるもの。

注記  風速 10 m/s の場合,慣性小領域は,約 0.2 Hz から 1 kHz までである。

3.26

限界状態(limit state)

構造物及びそれにかかる荷重の状態であって,それを超えると構造物が設計要求事項に合致しなくなる

状態(ISO 2394 を修正)

注記  設計計算(すなわち,限界状態に対する設計要求事項)の目的は,限界状態になる確率を当該

構造物の種類に対して規定されたある値以下に抑えることである(ISO 2394 参照)

3.27

ウィンドシアの対数法則(logarithmic wind shear law)

3.62

参照。

3.28

平均風速(mean wind speed)

数秒から数年を変数とする所定期間内で平均化した風速の瞬間値の統計的平均。

3.29

ナセル(nacelle)

水平軸風車において,タワーの頂部に配置され,動力伝達装置,その他の構成要素を格納するもの。

3.30

(風車の)受電点[network connection point (wind turbines)]

単一風車の場合,ケーブル端子。風力発電所の場合,サイトの集電設備の母線との接続点。

3.31

ネットワークロス(network loss)

風車制御システムのいかなるライドスルーの規定を超える期間の系統損失。

3.32

(風車の)通常停止[normal shutdown (wind turbines)]

すべての段階が制御システムの制御下にある停止。


6

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

3.33

動作限界(operating limits)

風車設計者によって設定された,制御及び保護システムの動作を支配する条件のセット。

3.34

待機中の風車(parked wind turbine)

待機中とは,風車の設計に応じて,風車が静止又はアイドリングのいずれかの状態。

3.35

(風車の)集電設備[power collection system (wind turbines)]

1 台以上の風車から電力を集める集電システム。これには,風車接続点と電力系統の接続点との間を接

続するすべての電気設備を含む。

3.36

ウィンドシアの指数法則(power law for wind shear)

3.62

参照。

3.37

出力(power output)

特定の形態で,かつ,特定の目的のために,装置によって供給される電力。

注記  風車によって供給される(風車の)電力。

3.38

(風車の)保護機能[protection functions (wind turbine)]

風車を設計限界内に保つことを保証する制御及び保護システムの機能。

3.39

定格出力(rated power)

部品,デバイス又は機器の特定の運転条件に対して,一般に製造業者によって指定される出力の値。

注記  風車が通常の運転条件及び外部条件下で供給するよう設計されている(風車の)最大連続電気

出力。

3.40

定格風速(rated wind speed),V

r

乱流がない定常風の場合に,風車の定格出力が達成されるハブ高さにおける最小の風速。

3.41

レイリー分布(Rayleigh distribution),P

R

確率分布関数(3.63 参照)

3.42

基準風速(reference wind speed),V

ref

風車カテゴリを定義するために用いられる風速の基本パラメータ。その他の設計に関係する気象パラメ

ータは,基準風速,その他の基本風車カテゴリパラメータから導かれる(箇条 参照)

注記  基準風速 V

ref

の風車カテゴリで設計された風車は,風車のハブ高さにおける再現期間 50 年の 10

分平均極値風速が V

ref

以下の気象に耐えるように設計する。

3.43

回転サンプル風速(rotationally sampled wind velocity)

回転する風車ロータのある点から見た風速。


7

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

注記  回転サンプル風速の乱流スペクトルは,通常の乱流スペクトルとは非常に異なる。回転中に,

翼は,風の流れを切るが,流れは空間的に変化している。そのため,その結果としての乱流ス

ペクトルは,回転周波数及びその高調波において相当量の差異を含んでいる。

3.44

(風車の)ロータ速度[rotor speed (wind turbines)]

風車ロータの軸回りの回転速度。

3.45

粗度長(roughness length),z

0

風速の鉛直方向分布が,

高さに対して対数的に変化すると仮定した場合,

平均風速が 0 となる外挿高さ。

3.46

計画保守(scheduled maintenance)

計画された予定表に従って実施される予防的保守。

3.47

サイトのデータ(site data)

風車サイト(設置場所)の環境,地震,土壌及び電力系統のデータ。風のデータは,別に指定されてい

ない場合,10 分サンプルの統計とする。

3.48

静止(standstill)

風車が止まっている状態。

3.49

(風車の)支持構造物[support structure (wind turbines)]

タワー及び基礎からなる風車の一部。

3.50

耐風速(survival wind speed)

構造物が耐えるよう設計されている最大風速に対する慣用名称。

注記  この規格では,この用語は用いていない。設計条件では,その代わりに“極値風速”を用いる

3.18 参照)

3.51

受風面積(swept area)

ロータが 1 回転中に描く平面を,風向に垂直な平面に投影した面積。

3.52

乱流強度(turbulence intensity),I

平均風速に対する風速の標準偏差の比。この比は,指定時間内に採取した風速測定データサンプルと同

一のデータセットから決定する。

3.53

乱流尺度パラメータ(turbulence scale parameter),

Λ

1

縦方向無次元パワースペクトル密度が 0.05 に等しい場合の波長。

注記  したがって,波長は,f

0

S

1

(f

0

)/

σ

1

2

=0.05 で定義される。ここで,

Λ

1

V

hub

/f

0

3.54

乱流標準偏差(turbulence standard deviation),

 σ

1


8

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

ハブ高さにおける乱流速度の縦方向成分の標準偏差。

3.55

終極(終局)限界状態(ultimate limit state)

一般に最大荷重許容能力に相当する限界状態(ISO 2394 を修正)

3.56

計画外保守(unscheduled maintenance)

計画された予定表による保守ではなく,ある項目の状態に関して指摘を受けて実施する保守。

3.57

風上(upwind)

主たる風ベクトルと反対の方向。

3.58

垂直軸(形)風車(vertical axis wind turbine)

ロータ軸が垂直な風車。

3.59

ワイブル分布(Weibull distribution),P

W

確率分布関数(3.63 参照)

3.60

ウィンドファーム(wind farm)

3.61

参照。

3.61

風力発電所(wind power station)

一群又は多群の風車。通常は,ウィンドファームと呼ばれる。

3.62

ウィンドプロファイル−ウィンドシア法則(wind profile-wind shear law)

地上高に対して仮定される風速変化の数学表現。

注記  通常,用いられるプロファイルは,対数プロファイル式(1)又は指数プロファイル式(2)である。

⎟⎟

⎜⎜

⎟⎟

⎜⎜

×

0

r

0

r

ln

ln

)

(

)

(

z

z

z

z

z

V

z

V

 (1)

α

⎟⎟

⎜⎜

×

r

r

)

(

)

(

z

z

z

V

z

V

 (2)

ここに,

V(z): 高さ における風速

z: 地上高さ

z

r

プロファイルを合わせるために用いられる基準高さ

z

0

粗度長

α: ウィンドシア(又は指数則)の指数

3.63

風速分布

(wind speed distribution)

ある長時間内の風速の分布を記述するのに用いる確率分布関数。


9

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

注記

  よく用いられる分布関数は,レイリー関数 P

R

(V

0

)及びワイブル関数 P

W

(V

0

)である。



⎟⎟

⎜⎜

k

C

V

V

P

V

V

V

P

0

0

W

2

ave

0

0

R

exp

1

)

(

2

exp

1

)

(

π

 (3)

ただし,


⎪⎪

の場合)

2

2

1

1

ave

k

C

k

V

π

 (4)

ここに,

P(V

0

): 累積確率関数,すなわち VV

0

の確率

V

0

風速(限界)

V

ave

風速 の平均値

C: ワイブル分布の尺度パラメータ

k: ワイブル分布の形状パラメータ

Γ

ガンマ関数

及び は,実際のデータから評価される。レイリー関数は,ワイブル関数において k=2 と

し,かつ,及び V

ave

が k=2 の場合の式(4)で決められる条件を満足する場合に等しい。

分布関数は,風速が V

0

より小さい累積確率を表す。したがって,[P(V

1

)−P(V

2

)]は,規定限界

V

1

及び V

2

の間で評価すれば,風速がこれらの限界内にあるのは時間にしてどのくらいの割合か

を示す。分布関数を微分すると,それに対応する確率密度関数を得る。

3.64

ウィンドシア(wind shear)

風向に対して垂直な面上の風速変化。

3.65

ウィンドシアの指数(wind shear exponent)

α

指数法則の指数(3.62 参照)

3.66

風速(wind speed)  V

空間中の指定の点において,その指定点周りの微小量の大気の運動速度。

注記  風速は,また,局所の風速度(ベクトル)の大きさである(3.69 参照)。

3.67

風力発電システム(風車)[wind turbine generator system (wind turbine)]

風の運動エネルギーを電気エネルギーに変換するシステム。

3.68

風車サイト(wind turbine site)

1 台又はウィンドファーム内の個々の風車のサイト。

3.69

風速度(wind velocity)

対象点の微小量の大気の運動の方向を示すベクトル。その大きさは,この大気の“かたまり”の運動速


10

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

度に等しい。

注記  したがって,任意点の速度は,その点を通って移動する大気のかたまりの位置ベクトルの時間

微分である。

3.70

風車の電気システム(wind turbine electrical system)

風車接続点まで及び風車接続点を含み,接地,ボンディング及び通信機器を含む,風車内部のすべての

電気機器。特に,風車に接地回路を提供する風車近くに配置された導体を含む。

3.71

風車接続点(wind turbine terminals)

風車が集電設備に接続でき,風車の供給者によって特定される接続点。これは,エネルギー及び通信を

伝えるための接続を含む。

3.72

ヨー運動(yawing)

ロータ軸の垂直軸周りの回転(水平軸形風車だけに適用)

3.73

ヨーミスアラインメント(yaw misalignment)

風車のロータ軸の風向に対する水平偏向量。

記号及び略語 

4.1 

記号及び単位 

この規格で用いる記号の意味及び単位は,次による。

ワイブル分布関数の尺度パラメータ (m/s)

C

CT

乱流構造補正パラメータ

C

T

スラスト係数

Coh 

コヒーレンス関数

ロータ直径 (m)

周波数

(Hz)

f

d

材料強度の設計値

(−)

f

k

材料強度の特性値

(−)

F

d

荷重の設計値

(−)

F

k

荷重の特性値

(−)

I

ref

 10 分平均風速 15 m/s でのハブ高さにおける乱流強度の期待値

(−)

I

eff

有効乱流速度

(−)

ワイブル分布関数の形状パラメータ

(−)

修正ベッセル関数

(−)

等方性乱流積分尺度パラメータ (m)

L

e

コヒーレンス尺度パラメータ (m)

L

k

速度成分積分尺度パラメータ (m)

ヴェーラ曲線指数

(−)

n

i

荷重ビン の疲労サイクルのカウント数

(−)


11

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

N(.)

応力(又はひずみ)の関数として,根拠をもって示される破壊に至るまでの

サイクル数(すなわち,S−N 曲線)

(−)

極値状態の再現期間

(年)

生存確率

(−)

P

R

(V

0

)

レイリー確率分布,すなわち,VV

0

となる確率

(−)

P

W

(V

0

)

ワイブル確率分布

(−)

射影された距離ベクトルの大きさ (m)

s

i

ビン 内のサイクル数に関連する応力(又はひずみ)レベル

(−)

S

1

f )

縦方向風速成分パワースペクトル密度関数 (m

2

/s)

S

k

一方向速度成分スペクトル (m

2

/s)

突風特性時間 (s)

時間

(s)

風速

(m/s)

V(z)

高さ における風速 (m/s)

V

ave

ハブ高さにおける年平均風速 (m/s)

V

cg

全ロータ受風面積における極値コヒーレントガストの大きさ (m/s)

V

eN

期待極値風速(3 秒間平均)

,再現時間間隔 年。V

e1

及び V

e50

は,それぞれ

1 年及び 50 年に対応する。

(m/s)

V

gust

期待再現期間 50 年における突風の大きさの最大値 (m/s)

V

hub

ハブ高さにおける風速 (m/s)

V

in

カットイン風速 (m/s)

V

0

風速分布モデルにおける限界風速 (m/s)

V

out

カットアウト風速 (m/s)

V

r

定格風速

(m/s)

V

ref

基準風速

(m/s)

V(yzt)  瞬間水平ウィンドシアを記述するための風速度主方向成分 (m/s) 
V(z,t)

極値突風及びシアの状態の瞬間変化を記述するための風速度主方向成分 (m/s)

xyz

風の流れ場の記述に使用する座標系。風の方向(主方向)

,風と直角方向(横方

向)及び高さ方向に対応する。 (m)

z

hub

風車のハブ高さ (m)

z

r

基準地上高さ (m)

z

0

対数ウィンドプロファイルの粗度長 (m)

α

ウィンドシアの指数法則の指数

(−)

β

極値風向変化モデルのパラメータ

(−)

δ

変動係数

(−)

Γ

ガンマ関数

(−)

γ

f

荷重の部分安全率

(−)

γ

m

材料の部分安全率

(−)

γ

n

損傷結果に対する部分安全率

(−)

θ

 (t)

風向の瞬間変化

(°)


12

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

θ

cg

突風下における平均風速方向からの最大角度偏差

(°)

θ

eN

再現期間 年の極値方向変化

(°)

Λ

1

主方向のパワースペクトル密度 fS

1

(f)/

σ

1

2

が 0.05 に等しくなる無次元の

波長として定義される乱流尺度パラメータ (m)

σ

ˆ

予想乱流標準偏差 (m/s)

eff

ˆ

σ

有効予想乱流標準偏差 (m/s)

σ

wake

風車後流乱流標準偏差 (m/s)

T

ˆ

σ

最大風車後流中心乱流標準偏差 (m/s)

σ

σ

ˆ

予想乱流標準偏差

σ

ˆ の標準偏差 (m/s)

σ

1

ハブ高さにおける主方向風速度の標準偏差 (m/s)

σ

2

ハブ高さにおける横方向風速度の標準偏差 (m/s)

σ

3

ハブ高さにおける垂直方向風速度の標準偏差 (m/s)

E

括弧内のパラメータの期待値

(−)

Var

括弧内のパラメータの分散値

(−)

4.2 

略語 

この規格で用いる略語の意味は,次による。

A

(部分安全率の)異常(abnormal)

a.c.

交流

d.c.

直流

DLC

設計荷重ケース(design load cases)

ECD

風向変化を伴う極値コヒーレントガスト(extreme coherent gust with direction change)

EDC

極値風向変化(extreme direction change)

EOG

運転中の極値突風(extreme operating gust)

ETM

極値乱流モデル(extreme turbulence model)

EWM

極値風速モデル(extreme wind speed model)

EWS

極値ウィンドシア(extreme wind shear)

F

疲労(fatigue)

N

(部分安全率の)通常及び極値(normal and extreme)

NWP

通常ウィンドプロファイルモデル(normal wind profile model)

NTM

通常乱流モデル(normal turbulence model)

S

特別 IEC 風車カテゴリ(special IEC wind turbine category)

T

(部分安全率の)輸送及び建設(transport and erection)

U

終極(終局)

(ultimate)

主要構成要素 

5.1 

一般 

風車の構造的,機械的,電気的及び制御システムの安全性を確保するための工学的及び技術的要求事項

を,5.25.5 に示す。この要求事項からなる仕様書は,風車の設計,製造,据付け及び運転並びに保守マ

ニュアル及びそれに関連した品質マネジメントプロセスに適用される。さらに,風車の据付け,運転及び

保守に用いられる様々な実践において確立されている安全手順を考慮する。


13

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

5.2 

設計方法 

この規格は,設計荷重を予測するために構造に関する動的モデルの使用を要求する。そのようなモデル

は,箇条 に規定する乱流条件,その他の風条件及び箇条 の設計条件を用いて,風速範囲にわたって荷

重を決定するために用いる。関係する外部条件と設計条件との組合せのすべてを解析する。この規格にお

いては,この組合せの最小セットが荷重ケースとして定義されている。

予測設計値の信頼性を高め,かつ,構造に関する動的モデル及び設計条件を実証するために風車のフル

スケール試験データを用いることができる。

設計の妥当性の検証は,計算及び/又は試験で行う。この検証で試験結果を用いる場合,この規格中で

定義される特性値及び設計条件を反映するために,試験中の外部条件を示す。試験荷重を含めて,試験条

件を選択する場合には,関連する安全率を考慮する。

5.3 

安全カテゴリ 

風車は,次の二つの安全カテゴリのいずれかに従って設計する。

−  通常安全カテゴリ。これを適用するのは,故障が人身の傷害又は経済的及び社会的影響を起こす場合

である。

−  特別安全カテゴリ。これを適用するのは,安全要求事項が我が国の法規制によって決まる場合及び/

又は追加の安全要求事項が製造業者と顧客との間で合意される場合である。

部分安全率で,通常安全カテゴリの風車に対する部分安全率は,7.6 の規定による。

特別安全カテゴリの風車に対する部分安全率は,製造業者と顧客との間で合意される。特別安全カテゴ

リに基づいて設計された風車は,6.2 に定義する風車カテゴリ S の風車である。

5.4 

品質保証 

品質保証は,風車及びそのすべての部品の設計,調達,製造,据付け,運転及び保守における不可欠の

要素である。

品質システムは,JIS Q 9001 の要求事項に適合することが望ましい。

5.5 

風車銘板 

風車の銘板には,次の事項を明りょうで,かつ,消えないように表示する。

−  風車製造業者名及び国名

−  型名及び製造番号

−  製造年

−  定格出力

−  基準風速,V

ref

−  ハブ高さの運転風速範囲,V

in

V

out

−  運転周囲温度範囲

−  風車カテゴリ(

表 参照)

−  風車接続点での定格電圧

−  風車接続点での周波数又は公称変動範囲が 2 %を超える場合には,その周波数の範囲。

外部条件 

6.1 

一般 

風車の設計においては,この箇条に記載する外部条件を考慮する。

風車は,荷重,耐久性及び運転に影響する環境的条件及び電気的条件の影響を受ける。適切なレベルの


14

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

安全性及び信頼性を確保するために,環境,電気及び土壌のパラメータを考慮して設計し,これらパラメ

ータは,設計文書に明記する。

環境条件は,風の条件,その他の環境条件に分けられる。電気的条件は,電力系統の条件に関係する。

土壌特性は,風車の基礎の設計に関係する。

各外部条件は,通常及び極値外部条件に分けられる。通常外部条件とは,一般的に周期的に起きる構造

荷重条件に関係するものである。一方,極値外部条件とは,頻度としてはまれに起きる外部設計条件を示

す。設計荷重ケースは,風車の運転モード,その他の設計状態とこれらの外部条件とを組み合わせたもの

とする。

風条件は,構造的な健全性に影響する主たる外部条件である。また,その他の環境条件についても,制

御システム機能,耐久性,腐食などの設計の仕様に影響する。

風車のカテゴリ別設計に必要な通常条件及び極値条件を,6.26.5 に示す。

6.2 

風車カテゴリ 

設計において考慮する外部条件は,風車を建設しようとするサイト又はサイトの種類によって異なる。

風車のカテゴリは,風速及び乱流パラメータによって定義される。この分類によって,大多数をカバーし

ようというのがその意図である。風速及び乱流パラメータの値は,多くの異なるサイトを代表するように

定めており,個々のサイトの固有条件を正確に表現するようにしたものではない(11.3 参照)

。風車のカテ

ゴリ分けは,風速及び乱流パラメータによって,明確に定義される風車全体の強度範囲を提供する。

表 1

は,風車カテゴリを定義する基本パラメータを示している。

特殊な風条件,その他の外部条件又は特別な安全カテゴリが設計者又は顧客によって要求される場合に

は,追加の風車カテゴリ,カテゴリ S を設定する。風車カテゴリ S に対する設計値は,設計者が定め,設

計文書に明示する。このような特殊設計の場合には,設計状態として選択される値は,風車を用いる上で

想定される過酷さと同程度以上の環境条件を反映させる。

次に示す風車カテゴリ I,II 及び III で定義される特定の外部条件は,洋上条件,又はハリケーン,サイ

クロン,台風のような熱帯性低気圧で発生する場合で,風車カテゴリ I,II 及び III で定義される風条件か

ら逸脱する条件では,風車カテゴリ S の設計が必要な場合がある。

なお,熱帯性低気圧などで発生する風条件の評価方法には,

“日本型風力発電ガイドライン(2008)

”な

どがある。


15

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

表 1−風車カテゴリの基本パラメータ

a)

風車カテゴリ I

II  III

S

V

ref

 (m/s)  50  42.5  37.5

設計者が規

A

I

ref

 (−)

 0.16

定する数値

B

I

ref

 (−)

 0.14

C

I

ref

 (−)

 0.12

この表の値は,ハブ高さにおいて適用する。

V

ref

  :10 分平均基準風速

A

:高乱流カテゴリの場合に選定

B

:中乱流カテゴリの場合に選定

C

:低乱流カテゴリの場合に選定

I

ref

  :風速が 15 m/s のときの乱流強度

b)

の期待値

a)

  年平均風速は,この規格の風車カテゴリの基本パラメータとし

て現れない。これらのカテゴリの風車設計に対する平均風速は,
式(9)に与えられている。

b)

  I

ref

は,この規格では代表値ではなく,期待値として定義される

ことに注意する。

風車カテゴリ S を除いたカテゴリ IA から IIIC までを標準風車カテゴリと呼ぶ。

風車設計で用いる外部条件をすべて特定するには,これらの基本パラメータのほかに,幾つかの重要な

追加パラメータが必要である。標準風車に対する追加パラメータは,6.36.4 及び 6.5 に示す。

風車カテゴリ I∼III の設計寿命は,20 年以上とする。

風車カテゴリ S の風車については,製造業者は設計文書に,用いたモデル及び設計パラメータの値を明

記する。この箇条 で説明するモデルを採用した場合には,パラメータの値を記載するだけでよい。風車

カテゴリ S の設計文書には,

附属書 に示す情報を記載する。

6.3

内の細分箇条の見出しに括弧書きで追加した略語は,7.4 で定義される設計荷重ケースの風条件を記

載するときに用いる。

6.3 

風条件 

風車は,選択した風車カテゴリで定義された風条件に対して,安全に耐えるように設計する。また,風

条件の設計値は,設計文書に明記する。

荷重及び安全を考慮する場合,風条件は,風車の通常の運転状態で頻繁に発生する通常条件と,1 年又

は 50 年の再現期間で定義される極値風条件とに分類される。

風条件は,多くのケースにおいて,一定平均流と,変動する決定論的ガストプロファイル又は乱流のい

ずれかとの組合せで表現される。すべての場合,水平面に対し最大 8°までの平均流れ傾斜の影響を考慮

する。また,流入角は,高さ方向に変化しないものと仮定する。

“乱流”とは,10 分間の平均値からの,風速のランダムな変化を意味する。乱流モデルを使用する場合,

モデルは変動する風速,ウィンドシア及び風向の効果を含み,かつ,ウィンドシアを変化させることによ

って回転サンプリング(風車の回転時の検出ポイント)を考慮できるものとする。

なお,乱流の風速 3 方向成分とは,次のように定義される。

−  主方向−平均風速度の方向

−  横方向−水平,かつ,主方向に直角

−  上方向−主方向と横方向に対して直角方向,すなわち鉛直方向から平均流の傾斜角分だけ傾いた方向。


16

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

標準風車カテゴリの場合,乱流モデルにおけるランダムな風速場は,次の要求事項を満足する。

a)

以降の細分箇条で与える値をもつ乱流標準偏差

σ

1

は,高さによって不変であると仮定する。平均風向

に直角な成分は,次に示す標準偏差

1)

をもつ。

−  横方向成分  −

σ

2

≧0.7

σ

1

−  上方向成分  −

σ

3

≧0.5

σ

1

1)

  実際の値は,乱流モデルの選択及び b)の要求事項に左右される。

b)

ハブ高さ における主方向乱流尺度パラメータ

Λ

1

は,式(5)で与える。

m

60

m

42

m

60

7

.

0

1

z

z

z

Λ

 (5)

パワースペクトル密度の三つの直交成分 S

1

f ),S

2

f )及び S

3

f )は,慣性小領域中の周波数の増加に

伴って,式(6)及び式(7)に漸近する。

3

5

3

2

hub

1

2

1

1

05

.

0

)

(

⎟⎟

⎜⎜

f

V

Λ

f

S

σ

 (6)

)

(

3

4

)

(

)

(

1

3

2

f

S

f

S

f

S

 (7)

c)

  既知のコヒーレンスモデルを用いる。コヒーレンスモデルは,自己スペクトルによって分割された,

主方向に直角な面において空間的に離れた 2 点での主方向風速成分のコスペクトルの大きさによって

定義する。

これらの要求事項を満たす推奨乱流モデルは,

附属書 B

に記載する Mann の一様シア乱流モデルである。

これらの要求事項を満たす,よく用いられる他のモデルも

附属書 B

に記載した。これら以外の乱流モデル

の使用は,慎重に行うことが望ましい。それは,その選択によって荷重に大きく影響する場合があるから

である。

6.3.1 

通常の風条件 

6.3.1.1 

風速分布 

風速分布は,通常設計状態におけるそれぞれの荷重条件の発生頻度を決定するため,風車設計において

重要である。10 分間の風速の平均値は,式(8)で与えるハブ高さにおけるレイリー分布に従うと仮定する。



⎟⎟

⎜⎜

2

ave

hub

hub

R

2

exp

1

)

(

V

V

V

P

π

 (8)

ここに,標準風車カテゴリでは,V

ave

は,式(9)のように選定する。

V

ave

=0.2 V

ref

 (9)

6.3.1.2 

通常ウィンドプロファイルモデル(NWP 

ウィンドプロファイル V(z)は,平均風速を地上からの高さ の関数で表したものである。標準風車カテ

ゴリの場合,通常ウィンドプロファイルは,式(10)の指数法則で与える。

α

⎟⎟

⎜⎜

hub

hub

)

(

z

z

V

z

V

 (10)

指数法則の指数

α は,0.2 とする。

仮定したウィンドプロファイルを用いて,ロータの受風面高さ方向の平均ウィンドシアを定義する。


17

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

6.3.1.3 

通常乱流モデル(NTM 

通常乱流モデルでは,乱流標準偏差値

σ

1

の代表値は,所定のハブ高さにおける風速の 90 %分位値

2)

  に

よって与える。標準風車カテゴリに対するこの値は,式(11)による。

σ

1

I

ref

(0.75 V

hub

b),b=5.6 m/s(11)

2)

  追加の荷重計算に対してほかの分位値が欲しい場合,標準風車カテゴリに対しては対数正規分

布を仮定することによって近似してもよい。

2

ref

hub

1

hub

ref

hub

1

)]

s

m

4

.

1

(

[

m/s

8

.

3

)

75

.

0

(

/

I

V

Var

c

c

V

I

V

E

σ

σ

乱流標準偏差

σ

1

及び乱流強度

σ

1

/V

hub

の値を,

1 a)

及び

1 b)

に示す。

I

ref

は,

1

の値を用いる。

0

1

2

3

4

5

0

5

10

15

20

25

30

V

hub

(m/s)

乱流標準

σ

1

 (

m/

s)

カテゴリ A

カテゴリ B

カテゴリ C

a)

  通常乱流モデル(NTM)の乱流標準偏差 

0

0,1

0,2

0,3

0,4

0,5

0

5

10

15

20

25

0

V

hub

(m/s)

乱流強度

σ

1

/V

hub

カテゴリ A

カテゴリ B

カテゴリ C

b)

  通常乱流モデル(NTM)の乱流強度 

1

通常乱流モデル(

NTM

6.3.2 

極値風の条件

極値風条件には,暴風による極大風速,風速及び風向の急激な変化などのほか,ウィンドシア事象も含

む。

6.3.2.1 

極値風モデル(

EWM

EWM は,定常又は乱流の風モデルとする。ここで,風モデルは,基準風速 V

ref

及びある一定の乱流標準


18

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

偏差

σ

1

に基づいている。

定常極値風モデルにおいて,再現期間 50 年の極値風速 V

e50

及び再現期間 1 年の極値風速 V

e1

を,高さ z

の関数として式(12)及び式(13)で計算する。

11

.

0

hub

ref

50

e

4

.

1

⎟⎟

⎜⎜

z

z

V

z

V

)

(

 (12)

V

e1

(z)=0.8 V

e50

(z)  (13)

定常極値風モデルでは,±15°の範囲で一定のヨーミスアラインメントを仮定することによって,短時

間の平均風向からの偏向を設定する。

乱流極値風モデルでは,10 分平均風速は,の関数として,50 年及び 1 年の再現期間で式(14)及び式(15)

のように与える。

11

.

0

hub

ref

50

)

(

z

z

V

z

V

 (14)

V

1

(z)=0.8 V

50

(z)  (15)

主方向乱流の標準偏差

3)

は,式(16)とする。

σ

1

=0.11V

hub

 (16)

3)

  乱流極値風モデルの乱流標準偏差は,通常乱流(NTM)又は極値乱流(ETM)に関係付けられ

ない。定常極値風モデルは,約 3.5 のピーク係数によって,乱流極値風モデルに関係付けられ

る。

6.3.2.2 

運転中の極値突風(

EOG

ハブ高さにおける極値突風の大きさ V

gust

4)

は,標準風車カテゴリに対しては,式(17)で与える。

(

)





⎟⎟

⎜⎜

1

1

hub

1

e

gust

1

.

0

1

3

.

3

35

.

1

Min

Λ

D

V

V

V

σ

 (17)

ここに,

σ

1

式(11)で与えられる。

Λ

1

式(5)で与えられる乱流尺度パラメータ

D: ロータ直径

風速は,式(18)によって定義する。

)

上記以外の場合

(

)

の場合

(

)

(

0

2

cos

1

3

sin

37

.

0

)

(

)

,

(

gust

z

V

T

t

T

t

T

t

V

z

V

t

z

V

π

π

 (18)

ここに,

V(z): 式(10)で定義される。

T  = 10.5 s

運転中の極値突風の例(V

hub

=25 m/s,カテゴリ I

A

D=42 m)を,

2

に示す。

4)

  この式において突風の大きさは,起動及び停止のような操作事象の発生頻度とともに,50 年再

現期待値を考慮して校正した。


19

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

20

22

24

26

28

30

32

34

36

0

2

4

6

8

10

時間,t(s)

ハブ高さにお

ける

EOG

風速(

m/

s)

2

運転中の極値突風の例

6.3.2.3 

極値乱流モデル(

ETM

極値乱流モデルは,

6.3.1.2

の通常ウィンドプロファイルモデルと主方向との標準偏差が,式(19)で与え

る乱流を用いる。

  

2

10

4

3

072

.

0

hub

ave

ref

1

c

c

V

c

V

I

c

σ

m/s  (19)

6.3.2.4 

極値風向変化(

EDC

極値風向変化の大きさ

θ

e

は,式(20)で計算する。





⎟⎟

⎜⎜

+

±

1

hub

1

e

1

.

0

1

arctan

4

Λ

D

V

σ

θ

 (20)

ここに,

σ

1

NTM の式(11)で与える。

θ

e

±180°の間に制限される。

Λ

1

式(5)で与える乱流尺度パラメータ

D: ロータ直径

過渡的な極値風向変化

θ

 (t)は,式(21)で与える。



±

°

)

の場合

(

)

の場合

(

)

の場合

(

T

t

T

t

T

t

t

t

e

e

0

cos

1

5

.

0

0

0

)

(

θ

π

θ

θ

 (21)

ここに,T=6 秒は,極値風向変化の過渡的状態が継続する時間である。また,符号は最悪の過渡的荷重

が生じるように選択する。風向変化の過渡的状態が終了した後は,風向は変わらないものと仮定する。風

速は,

6.3.1.2

に規定する通常ウィンドプロファイルモデルに従う。

ここで,例として,乱流カテゴリ A,D=42 m,z

hub

=30 m における V

hub

の変化に対する極値風向変化の

大きさを,

3

に示す。また,V

hub

=25 m/s における風向変化の時間変化を,

4

に示す。


20

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

–200

–100

0

100

200

0

10

0

0

0

風速,V

hub

(m/s)

EDC

変化,

θ

e

(°

3

極値方向変化の大きさの例

0

10

20

30

40

–5 0

5

10

時間,t(s)

EDC

風向変

θ

 (

t)

(°

4

極値方向変化の例

6.3.2.5 

風向変化を伴う極値コヒーレントガスト(

ECD

風向変化を伴う極値コヒーレントガストは,式(22)の大きさをもつ。

V

cg

=15 m/s  (22)

風速の時間変化は,式(23)で定義する。



>

<

)

(

)

(

)

0

(

cos

1

5

.

0

)

(

)

0

(

)

(

)

,

(

cg

cg

の場合

の場合

の場合

T

t

V

z

V

T

t

T

t

V

z

V

t

z

V

t

z

V

π

 (23)

ここに,T=10 秒は,立上り時間で,風速 V(z)は,

6.3.1.2

の通常ウィンドプロファイルモデルで規定す

る。V

hub

=25 m/s における極値コヒーレントガスト中の風速の立上り例を,

5

に示す。


21

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

0

10

20

30

40

50

–2 0

2  4

6

8

10

12 14

時間,t(s)

V

(z

t

)(

m/

s)

5

極値コヒーレントガスト(

ECG

)の大きさの例

風速の立上りは,0°から

θ

cg

までの風向変化

θ

  と同時に発生すると仮定し,ここに

θ

cg

は,式(24)で定義

する。

°

°

の場合

の場合

)

s

/

m

4

(

s

/

m

720

)

s

/

4

(

180

)

(

ref

hub

hub

hub

hub

cg

V

V

V

V

V

m

θ

 (24)

同時に発生する風向変化は,式(25)で与える。



±

±

°

)

(

)

0

(

cos

1

5

.

0

)

0

(

0

)

(

cg

cg

の場合

の場合

の場合

T

t

T

t

T

t

t

t

θ

π

θ

θ

 (25)

ここに,T=10 秒は,立上り時間である。

V

hub

に対する風向変化の大きさ

θ

cg

及び V

hub

=25 m/s における時間変化に対する風向変化

θ

(t)を,それぞれ

6

及び

7

に示す。

0

50

100

150

200

0

10

20

30

40

風速,V

hub

(m/s)

向変化

θ

cg

(°)

6

ECD

の風向変化


22

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

0

5

10

15

20

25

30

–2

0

2

4

6

8

10

12

時間,t(s)

風向変化

,(

°

7

風向の時間変化

6.3.2.6 

極値ウィンドシア(

EWS

極値ウィンドシアは,式(26)及び式(27)に示す風速変化を用いて計算する。

(正及び負)の鉛直方向シア変化は,

⎟⎟

⎜⎜

⎟⎟

⎜⎜

±

⎟⎟

⎜⎜

)

上記以外の場合

(

)

の場合

(

α

α

π

βσ

hub

hub

4

1

1

1

hub

hub

hub

0

2

cos

1

2

.

0

5

.

2

)

,

(

z

z

V

T

t

T

t

Λ

D

D

z

z

z

z

V

t

z

V

···· (26)

水平方向シア変化は,

⎟⎟

⎜⎜

⎟⎟

⎜⎜

±

⎟⎟

⎜⎜

)

上記以外の場合

(

)

の場合

(

α

α

π

βσ

hub

hub

4

1

1

1

hub

hub

0

2

cos

1

2

.

0

5

.

2

)

,

,

(

z

z

V

T

t

T

t

Λ

D

D

y

z

z

V

t

z

y

V

 (27)

ここに,  鉛直及び水平シア両方に対して,

α=0.2,β=6.4,T=12 s

σ

1

NTM の式(11)で与える。

Λ

1

式(5)に基づく乱流尺度パラメータ

D: ロータ直径

水平方向のウィンドシア変化の符号は,最も厳しい荷重が生じるように選択する。二つの極値ウィンド

シアは,同時には適用しない。


23

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

0

10

20

30

40

風速,V(zt)(m/s)

z/

z

hub

        t=0 の場合 
        t=T/2 のマイナス側 
        t=T/2 のプラス側

8

開始前(t

0

波線)及び最大シア(t

6

実線)における

正及び負の極値鉛直ウィンドシア

ウィンドプロファイルの例

0

10

20

30

40

–2 0

2

4

6

8 10 12 14

時間,t (s)

風速,

V

 (

z,

t)

        ロータ上端,        ロータ下端

9

正のウィンドシアの時間的変化に対するロータ頂部及び底部における風速の例

ここで,一例として,極値鉛直ウィンドシア(乱流カテゴリ A,z

hub

=30 m,V

hub

=25 m/s,D=42 m)を,

8

に示す。

8

では,極値事象の開始前(t=0 秒)及び最大シア(t=6 秒)の状態におけるウィンドプ

ロファイルを示している。また,

9

では,ロータの頂部及び底部において,シアが時間とともに発達す

るときの風速を例示している(

8

の場合と仮定は同じ。

6.4 

その他の環境条件

風以外の種々の環境(気象)条件は,熱,光化学,腐食,機械,電気,その他の物理的作用によって風

車の健全性及び安全性に影響することがある。さらに,幾つかの気象条件が組み合わさるとその作用が増

大することがある。

次に示す環境条件を考慮し,施した対応を設計文書に記載する。

−  温度

−  湿度

−  大気密度

−  日射

−  雨,あられ,雪及び氷

−  化学的活性物質

−  機械的活性粒子

−  塩分

−  雷


24

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

−  地震

洋上環境では,更に考慮する環境条件がある。

気象条件は,変化する条件の代表値又は限界値によって定義する。また,設計値を選ぶ場合は,幾つか

の気象条件が同時に起きる可能性を考慮する。

再現期間 1 年に対応する通常域内の気象条件の変化では,風車設計上の通常運転を妨げない。

相関が存在しない場合には,6.4.2 に示す“その他の極値環境条件”は,6.3.1 に示す“通常の風条件”と

組み合わせる。

6.4.1 

その他の通常環境条件

風以外の通常の環境条件値で考慮するものを,次に示す。

−  −10 ℃∼+40 ℃の範囲の周囲温度

−  相対湿度 95 %

−  大気成分は,内陸の非汚染大気と同等(JIS C 60721-2-1 参照)

−  日射強度 1 000 W/m

2

−  大気密度 1.225 kg/m

3

設計者がその他の外部条件パラメータを指定する場合は,これらのパラメータ及びその値を設計文書に

記載する。また,それらは JIS C 60721-2-1 の要求事項に適合させる。

6.4.2 

その他の極値環境条件

風以外の極値環境条件で風車設計に考慮するものは,温度,雷,氷及び地震(地震条件の評価について

は 11.6 参照)とする。

6.4.2.1 

温度

標準風車カテゴリに対して極値温度範囲は,少なくとも−20 ℃∼+50 ℃とする。

6.4.2.2 

標準風車カテゴリの風車の場合には,10.6 に規定する雷保護の装備で十分とみなす。

6.4.2.3 

氷結

標準風車カテゴリの風車には,氷結に関する最低要求事項は規定しない。

6.4.2.4 

地震

標準風車カテゴリの風車には,地震に関する最低要求事項は規定しない。

地震条件及び作用の検討の場合,11.6 及び

附属書

C

を参照。

6.5 

電力系統条件

設計で考慮する風車接続点における通常条件を,次に示す。

次のパラメータが規定される範囲内にある場合には,通常の電力系統条件であるとみなす。

−  電圧:公称値(IEC 60038 に準拠)±10 %

−  周波数:公称値±2 %

−  電圧不平衡:逆相成分の正相成分に対する比が 2 %以下

−  自動再閉路周期:初回の再閉路に対して 0.1∼5.0 秒,2 回目に対しては 10∼90 秒

−  停電:電力系統の停電は,年間 20 回起きると仮定する。最長 6 時間

5)

の停電は,通常条件と考える。

最長 1 週間の停電は,極値条件と考える。

5)

  6 時間の運転は,最も厳しい暴風の継続時間に対応すると仮定している。


25

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

構造設計

7.1 

一般

風車の構造物の荷重を受ける部品は,構造的な健全性を確認する。また,満足できる安全レベルを確認

する。風車の構造的な健全性が適切な安全レベルにあることを立証するために,風車の構造部品の終極(終

局)強度及び疲労強度は,計算及び/又は試験によって確認する。

構造解析は,ISO 2394 に基づいている。

計算は,適切な方法を用いて行う。計算方法は,設計図書に記載する。この設計図書には,計算方法が

正しい根拠又は適切な検証研究への言及を含める。強度検証のためのいずれの試験の場合も用いる荷重レ

ベルは,7.6 の荷重の特性値に適切な安全率を含める。

7.2 

設計方法

風車を設計するに当たっては限界状態を超えないことを検証する。モデル試験及び試作機試験を計算の

代わりに行って,ISO 2394 に規定する構造設計を検証してもよい。

7.3 

荷重

7.3.1

7.3.4 に規定する荷重は,設計計算の場合に考慮する。

7.3.1 

重力及び慣性荷重

重力及び慣性荷重は,重力,振動,回転及び地震によって生じる静的及び動的荷重である。

7.3.2 

空力荷重

空力荷重は,静的及び動的荷重であって,大気流と風車の静止部及び可動部との空力干渉によって生じ

る。

大気流は,ロータを横切る平均風速及び乱流,ロータの角速度,大気密度,並びに風車の構成要素の空

力的形状及び空力弾性効果を含む相互作用効果に左右される。

7.3.3 

作動荷重(

Actuation loads

作動荷重は,風車の運転及び制御によって生じる。作動荷重は,発電機/インバータのトルク制御,ヨ

ー及びピッチ駆動荷重並びに機械ブレーキ荷重を含む種々のカテゴリのものからなる。各ケースで駆動装

置の力の範囲を考えることは,応答及び荷重の計算では重要である。特に機械ブレーキにおいて,ブレー

キ過程中の応答特性及び荷重を検討する場合,温度及び経年変化によって影響を受ける摩擦,ばね力又は

圧力の範囲を考慮する。

7.3.4 

その他の荷重

その他の荷重,例えば,後流荷重,衝撃荷重,氷結による荷重などが起きることがあり,適切にこれら

を含める(11.5 参照)

7.4 

設計状態及び荷重ケース

この箇条では風車の設計荷重ケースの構成を述べ,最小限考慮することを規定する。

風車設計のときに,その寿命は,それが経験すると思われる最も重要な状態を代表する一連の設計状態

によって記載できる。

荷重ケースは,運転モード又は規定の組立て,建設,保守などの設計状態を外部条件と組み合わせて決

定される。関係するすべての荷重ケースは,妥当な発生確率で考慮する。また,そのとき,制御及び保護

システムの動作も考慮する。風車の構造的な健全性を決定するために用いる設計ケースは,次の組合せか

ら計算する。

−  通常設計状態及び適切な通常又は極値外部条件

−  故障設計状態及び適切な外部条件


26

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

−  輸送,据付け,保守の設計状態及び適切な外部条件

極値外部条件と故障状況との間に相関関係がある場合は,両者の現実的な組合せで一つの設計荷重ケー

スとして考慮する。

各設計状態の中で幾つかの設計荷重ケースを考慮する。最小限,

2

の設計荷重ケースを考慮する。こ

の表では,設計荷重ケースは,各々の設計状態について風,電気的外部条件,その他の外部設計条件が規

定されている。

決定論的風モデルの設計荷重ケース中,風車コントローラが最大ヨー角及び/又は風速に到達する前に

風車を停止させる場合,風車が同じ決定論的風の条件変化の中で乱流条件下で安全に停止できることを示

す。

特定の風車の設計の構造的な健全性に必要となる場合は,その他の設計荷重ケースも考慮する。

各設計荷重条件に対して,適切な解析タイプを

2

において“F”及び“U”で示す。

“F”は,疲労強度

の評価に用いる疲労荷重の解析を意味する。また,

“U”は材料強度,翼先端変位及び構造安定性(座屈)

の解析などの終極(終局)荷重の解析を意味する。

“U”で示された設計状態の場合は,通常状態(N)

,異常状態(A)又は輸送及び建設状態(T)に分類

される。通常設計状態は,風車の寿命期間において,しばしば生じるものである。風車は通常の状態にあ

り,軽度の故障又は異常状態を体験したものを含む。異常設計状態は,生じる可能性が非常に少ないもの

である。これは通常,保護装置の動作などの厳しい故障が生じた設計状態に対応するものである。設計状

況 N,A 又は T の分類によって,終極(終局)荷重に適用される部分安全率

γ

f

が決定される。この安全率

は,

3

による。


27

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

2

設計荷重ケース

設計状態 DLC

風条件

その他の条件

解析の 
タイプ

部分

安全率

1)  発電 1.1

NTM

V

in

V

hub

V

out

極値ケースの外挿 U

N

 1.2

NTM

V

in

V

hub

V

out

F

*

 1.3

ETM

V

in

V

hub

V

out

U

N

 1.4

ECD

V

hub

V

r

−2 m/s,V

r

V

r

+2 m/s

 U

N

 1.5

EWS

V

in

V

hub

V

out

U

N

2)  発電+故障発生 2.1  NTM V

in

V

hub

V

out

制御システム故障又は電力系統
の喪失

U N

 2.2

NTM

V

in

V

hub

V

out

保護システム故障又は先行する
内部電気故障

U A

 2.3

EOG

V

hub

V

r

±2 m/s 及び V

out

電力系統の喪失を含む内外の電
気故障

U A

 2.4

NTM

V

in

V

hub

V

out

電力系統の喪失を含む,制御,
保護又は電気システム故障

F *

3)  始動 3.1

NWP

V

in

V

hub

V

out

 

 F

*

 3.2

EOG

V

hub

V

in

V

r

±2 m/s 及び

V

out

 

 U

N

 3.3

EDC

V

hub

V

in

V

r

±2 m/s 及び

V

out

 

 U

N

4)  通常停止 4.1

NWP

V

in

V

hub

V

out

F

*

 4.2

EOG

V

hub

V

r

±2 m/s 及び V

out

 U

N

5)  緊急停止 5.1

NTM

V

hub

V

r

±2 m/s 及び V

out

 U

N

6.1 EWM

再現期間 50 年

U

N

6.2 EWM

再現期間 50 年

電力系統の喪失 U

A

6.3 EWM

再現期間 1 年

極値ヨーミスアラインメント U N

6)  待機中(静止又は
アイドリング)

6.4 NTM V

hub

<0.7 V

ref

F

*

7)  故障又は停電中
の待機

7.1 EWM

再現期間 1 年

U

A

8.1 NTM V

maint

製造業者が規定

U

T

8)  輸送,組立て,保
守及び修理

8.2 EWM

再現期間 1 年

U

A

注記  この表で用いる略語は,次による。 
 DLC 設計荷重ケース 
 ECD 風向変化を伴う極値コヒーレントガスト(6.3.2.5 参照) 
 EDC 極値風向変化(6.3.2.4 参照) 
 EOG 運転中の極値突風(6.3.2.2 参照) 
 EWM 極値風モデル(6.3.2.1 参照) 
 EWS 極値ウィンドシア(6.3.2.6 参照) 
 NTM 通常乱流モデル(6.3.1.3 参照) 
 ETM 極値乱流モデル(6.3.2.3 参照) 
 NWP 通常ウィンドプロファイルモデル(6.3.1.2 参照) 

V

r

±2 m/s  その範囲のすべての風速に対する感度を解析する。

 F

疲労(7.6.3 参照)

 U

終極(終局)

7.6.2 参照)

 N

通常

 A

異常

 T

輸送及び建設

 *

疲労に対する部分安全率(7.6.3 参照)


28

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

2

に風速範囲が示されている場合,

風車設計に対して最悪条件となる風速を考慮する。

風速の範囲は,

一組の不連続な値によって代表できる。その場合,分解能は,計算精度

6)

を保証するのに十分なものとす

る。設計荷重ケースの定義では,箇条 を参照する。

6)

  一般に,2 m/s の分解能は十分と考えられる。

7.4.1 

発電(

DLC 1.1

1.5

この設計状態では,風車が運転中であり電気負荷に接続されている。想定する風車の形状に,ロータの

不平衡を考慮に入れる。また,ロータの製造に規定されている最大質量及び空力不平衡(例えば,翼ピッ

チ及びねじれの偏差)を設計計算に用いる。また,ヨーミスアラインメント,制御システムのトラッキン

グ誤差などの理論的な最適運転状態からの偏差も,運転荷重の解析には考慮に入れる。

設計荷重ケース(DLC) 1.1 及び DLC 1.2 は,寿命期間中風車の通常運転中現れる大気の乱れから生じる要

求事項を具体化したものである(NTM)

。DLC 1.3 は,極値乱流条件から生じる終極(終局)荷重に対する

要求事項を具体化している。DLC 1.4 及び DLC 1.5 は,風車の寿命期間中に発生する危機的な事象として

選択された過渡的なケースを規定している。

DLC 1.1 シミュレーションデータの統計解析は,少なくとも翼根面内曲げモーメント,面外曲げモーメ

ント及び翼先端変形の極値計算を含める。これらのパラメータの設計極値よりも DLC 1.3 によって得られ

た極値の方が大きい場合は,DLC 1.1 の更なる解析は省略してもよい。

DLC 1.3 について導き出した設計極値がこれらのパラメータの設計極値を超えない場合は,DLC 1.3 の極

値乱流モデルに用いる式(19)の係数 を,DLC 1.1 において計算したこれらのパラメータの設計極値と等し

くなるか,これを上回るまで引き上げてもよい。

7.4.2 

発電中の故障発生又は電力系統連系の喪失(

DLC 2.1

2.4

この設計状態は,風車が発電中に故障又は電力系統連系の喪失によって引き起こされる過渡事象を意味

する。制御若しくは保護システムの故障又は電気システムの内部故障は,風車にかかる荷重に大きく影響

するので(例えば,発電機の短絡)

,これらが発電中に起きるものと想定する。

DLC 2.1 の場合,制御システムにおける故障又は電力系統連系の喪失の発生は,通常事象として解析す

る。

DLC 2.2 の場合,保護機能又は内部電気システムの故障などのまれな故障の発生は,異常な事象として

解析する。

DLC 2.3 の場合,潜在的に重大な風の事象 EOG は,内部又は外部の電気システム故障(電力系統連系の

喪失を含む。

)と組み合わされる。これは異常な事象と考えられる。この場合は,これらの二つの事象の発

生タイミングは最悪荷重を得るように選ぶ。

故障又は電力系統連系の喪失時に即時停止にならず,その結果引き起こされる荷重が重大な疲労破壊を

もたらす場合は,通常乱流条件(NTM)において生じる疲労破壊に加えて,この状況の予想される継続時

間を DLC 2.4 において評価する。

7.4.3 

起動(

DLC 3.1

3.3

この設計状態は,静止又はアイドリング状態から発電に至るまでの過程で風車に作用する荷重の原因と

なるすべての事象を含んでいる。発生数は,制御システムの挙動に基づいて予想する。

7.4.4 

通常停止(

DLC 4.1

4.2

この設計状態は,発電状態から静止又はアイドリング状態に至るまでの通常の過程において,風車に荷

重をもたらすすべての事象を含む。発生数は,制御システムの挙動に基づいて予想する。


29

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

7.4.5 

緊急停止(

DLC 5.1

緊急停止によって生じる荷重を考慮する。

7.4.6 

待機中(静止又はアイドリング)(

DLC 6.1

6.4

この設計状態では,待機中の風車のロータは静止又はアイドリング状態にある。DLC 6.1,DLC 6.2 及び

DLC 6.3 においては,この状態は極値風モデル(EWM)と考える。DLC 6.4 の場合,通常乱流モデル(NTM)

を考慮する。

風の条件が EWM によって定義されている設計荷重ケースの場合,定常極値風モデルか乱流極値風モデ

ルのいずれかを用いてもよい。乱流極値風モデルが用いられる場合,完全な動的応答か,ISO 4354 で明確

に規定している突風及び動的応答の適切な補正付きの準定常解析のいずれかを用いて予想する。定常極値

風モデルが用いられる場合,共振応答の作用を上述の準定常解析から予想する。共振と背景応答との比

(R/B)が 5 %未満の場合,定常極値風モデルを用いる静的解析を用いてもよい。風車ヨーシステムの滑り

が,

荷重特性値で起きる場合,

起こり得る不都合な最大滑りを平均ヨーミスアラインメントに付け加える。

風車が,ヨー運動が極値風状態で予測されるヨーシステムをもつ場合(例えば,フリーヨー,受動ヨー又

はセミフリーヨー)

,乱流風モデルを用い,かつ,ヨーミスアラインメントは,乱流風向変化及び乱流ヨー

動的応答によって支配される。また,風車が大きなヨー運動又は通常の運転から極値状態への風速増加中

の平衡変化にさらされる場合,この挙動はこの解析に含める。

DLC 6.1 において,アクティブヨーシステムをもった風車の場合,ヨーシステム中の滑りに対する制限

が設けられているなら,定常極値風モデルを用いる±15°までのヨーミスアラインメント又は乱流極値風

モデルを用いる±8°の平均ヨーミスアラインメントを課す。

DLC 6.2 において,極値風状態を含む暴風の初期段階において電力系統連系の喪失を仮定する。制御及

びヨーシステムに対して少なくとも 6 時間の容量をもつ電力のバックアップが与えられない限り,

±180°

までの風向変化の作用を解析する。

DLC 6.3 において,1 年の再現期間をもつ極値風を極値ヨーミスアラインメントと組み合わせる。定常極

値風モデルを用いる±30°までの極値ヨーミスアラインメント又は乱流ウィンドモデルを用いる±20°の

平均ヨーミスアラインメントを仮定する。

DLC 6.4 において,無視できない疲労損傷が生じるような変動荷重がいずれかの部品に生じる場合には

(例えば,

アイドリングしている翼の自重による)

その風速における非発電状態の予想時間数を考慮する。

7.4.7 

待機中に故障発生(

DLC 7.1

電力系統又は風車の故障が原因で,待機中の風車の通常な挙動が変化した場合には,解析する。電力系

統の停電以外の何らかの故障によって,待機中の風車の挙動が通常な挙動と異なる場合は,起こり得る事

態を特に解析の対象とする。故障状態は,極値風モデル(EWM)と 1 年の再現期間との組合せとする。こ

れらの状態は,乱流又は,突風及び動的応答に対する補正をした準定常のいずれかとする。

ヨーシステムの故障の場合,±180°のヨーミスアラインメントを考慮する。いかなるほかの故障におい

ても,ヨーミスアラインメントは,DLC 6.1 による。

ヨーシステム中の滑りが DLC 7.1 中の荷重特性値で起こり得る場合,起こり得る最も厳しい滑りを考慮

する。

7.4.8 

輸送

組立て

保守及び修理(

DLC 8.1

8.2

DLC 8.1 において,製造業者は,風車の輸送,組立て,保守及び修理中に発生し得るすべての風の状態

を記載する。その最大許容条件が風車に重大な荷重をもたらす場合は,それを考慮して設計する。製造業

者は,満足できる安全レベルを付与するために,言明した条件と風条件との間に十分な設計マージンをと


30

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

る。十分なマージンは,言明された風条件に 5 m/s を加えて得てもよい。

さらに,DLC 8.2 は 1 週間を超えて続く可能性がある風車の輸送,組立て,保守及び修理状態を含める。

このことは,部分完成したタワー,ナセルなしで立つタワー及び複数本の翼が欠けた風車も含む。すべて

の翼が同時に取り付けられることを仮定してもよい。これらのいずれの状態でも,電力系統は接続されな

いと仮定する。電力の供給を必要としないのであれば,これらのいずれの状態にあっても荷重を減らす対

策をとることができる。

ロック装置は,DLC 8.1 の該当する状態で発生する荷重に耐えることができる。特に最大設計駆動力の

印加を考慮する。

7.5 

荷重計算

7.3.1

7.3.4 に仮定する荷重を,各設計荷重ケースに考慮する。関連する場合には,次の事項を考慮する。

−  風車自体に起因した風流れ場のじょう(擾)乱(風車後流による誘導速度,タワーシアドなど)

−  三次元流れが翼の空力特性に及ぼす影響(例えば,三次元ストール,空力チップロスなど)

−  非定常空力効果

−  構造の動特性及び振動モードの連成

−  空力弾性効果

−  風車の制御システム及び保護システムの挙動

風車荷重を計算するために,

構造に関する動的モデルを用いる動的シミュレーションが通常用いられる。

ある荷重ケースは乱流風入力をもつ。このケースの場合,荷重特性値の予想に統計的な信頼性を確保する

ために荷重データの全期間は十分長くとる。少なくとも六つの 10 分間統計データ(又は連続 60 分間)を,

シミュレーション用の各平均ハブ高さ風速に対して要求する。しかし,DLC 2.1,DLC 2.2 及び DLC 5.1 の

場合,少なくとも 12 回のシミュレーションを所定の風速における各事象に対して実施する。動的シミュレ

ーションに用いられる初期条件は,シミュレーション期間の始まりの間典型的に荷重統計に影響を与える

ので,最初の 5 秒間のデータ(又は必要な場合,より長く)は乱流風入力を含む解析間隔中で検討から除

外する。

多くの場合,所定の風車部品の決定的な部位の局所ひずみ又は応力は,同時に起きる多軸荷重によって

支配される。この場合,シミュレーションからの出力である直交荷重の時刻歴データは,設計荷重を規定

するのにしばしば用いられる。このような直交成分時刻歴データを用いて疲労及び終極(終局)荷重を計

算するときは,位相と大きさとの両方を維持するように,それらを組み合わせる。すなわち,直接法は,

重要な応力値を時刻歴から導くことになる。また,極値及び疲労予測方法は荷重の組合せ問題を避けて,

この単一の信号に適用してもよい。

終極(終局)荷重成分も極値成分値が同時に起きると仮定して,従来の方法で組み合わせてもよい。

7.6 

終極(終局)限界状態解析

7.6.1 

方法

部分安全率は,荷重及び材料の不確かさ,偏差,解析方法の不確かさ並びに損傷結果に関する構造要素

の重要さを考慮する。

7.6.1.1 

荷重及び材料の部分安全率

荷重及び材料の安全設計値を保証するために,荷重,材料の不確かさ及び偏差の値を,式(28)及び式(29)

に定義されるように部分安全率に取り入れる。

F

d

γ

f

F

k

 (28)


31

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

ここに,

F

d

合計内部荷重又は所定の設計荷重ケースの種々の発生源から
同時に発生する多重荷重成分に対する荷重応答の設計値

γ

f

荷重の部分安全率

F

k

荷重の特性値

k

m

d

f

f

γ

 (29)

ここに,

f

d

材料設計値

γ

m

材料の部分安全率

f

k

材料物性の特性値

この規格において用いる,荷重の部分安全率は,次を考慮している。

−  荷重が特性値からの好ましくない逸脱/不確かさの可能性

−  荷重モデルにおける不確かさ

この規定において用いる材料の部分安全率は,ISO 2394 と同様,次のものを考慮することを意味する。

−  材料の強度が特性値からの好ましくない逸脱/不確かさの可能性

−  断面耐力又は構造部品の耐荷重能力の評価の不確かさの可能性

−  幾何学的パラメータにおける不確かさ

−  構造物の材料物性と管理標本における試験で測定した材料物性との間の関係の不確かさ

−  換算率の不確かさ

これらの異なる不確かさは,個々の部分安全率によって説明が付くこともあるが,この規格ではほかの

大部分の規格と同様に,荷重に関係する要因は安全率

γ

 f

に結び付け,また,材料に関係する要因は安全率

γ

 m

に結び付ける。

7.6.1.2 

損傷結果及び部品クラスに対する部分安全率

次を区別するため,損傷結果に対する部分安全率

γ

 n

を導入する。

−  部品クラス 1:監視付きの交換可能軸受など,故障しても風車の重要部分の不具合には結び付かない,

“フェイルセーフ”の構造部品に用いられるもの。

−  部品クラス 2:故障すると,風車の重要部分の不具合につながる可能性がある,

“非フェイルセーフ”

の構造部品に用いられるもの。

−  部品クラス 3:8.3 に規定する,風車の非冗長保護機能の実行のため,アクチュエータ及びブレーキを

主たる構造部品に結び付ける“非フェイルセーフ”の機械部品に用いられるもの。

風車の終極(終局)限界状態解析のため,必要に応じて次の 4 種類の解析を行う。

−  終極(終局)強度の解析(7.6.2 参照)

−  疲労破壊の解析(7.6.3 参照)

−  安定性解析(座屈など)

7.6.4 参照)

−  臨界変形解析(翼及びタワーの機械的干渉など)

7.6.5 参照)

いずれの種類の分析も,限界状態関数の異なる定式化が必要で,安全率の使用を通じて異なる原因の不

確かさに対処する。

7.6.1.3 

認知された材料基準の適用

風車の要素の構造的な健全性を求める場合,

関連する材料に対して我が国又は国際的な基準を採用する。

我が国又は国際的な設計基準で定める部分安全率を,

この規格で規定する部分安全率と併用する場合には,

特別の注意が必要である。最終的な安全レベルが,この規格において意図する安全レベルを下回らないこ


32

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

とを確認する。

基準によっては,材料の部分安全率

γ

m

を,材料強度の固有のばらつき,生産管理の範囲,生産方法など,

不確かさの異なる要因を考慮して,幾つかの材料安全係数に分離することがある。この規格によって与え

る材料計数は,強度パラメータの固有のばらつきを考慮した“材料に対する一般的な部分安全率”と呼ば

れるものに相当する。用いる基準が,ほかの不確かさを説明するための部分安全率又は特性値の減少係数

を用いたりする場合には,これらも考慮に入れる。

基準によっては,設計検証の荷重及び材料部品に対する部分安全率について様々に分化させることもあ

る。ここに,用いられる係数の分化とは,ISO 2394 で定義されるものである。選択された基準における係

数の分化が ISO 2394 におけるものと異なっている場合には,選択した基準とこの規格に規定する検証との

間で適切な調整を行う必要がある。

7.6.2 

終極(終局)強度解析

限界状態関数は,その条件が式(30)のようになるために,荷重及び耐力関数 及び に分離することが

できる。

γ

n

×S(F

d

)≦R(f

d

) (30)

耐力 は,一般には材料耐力の最大許容値に対応し,そのため,R(f

d

)=f

d

である。一方,終極(終局)

強度解析に対する関数 は通常,構造応答の最高値として定義され,S(F

d

)=F

d

である。したがって,式は,

式(31)のようになる。

k

n

m

k

f

1

f

F

γ

γ

γ

 (31)

評価対象の各風車部品に対して,終極(終局)強度解析のための

2

の各荷重ケースの場合,式(31)の

限界状態条件は最小のマージンをもつことを基準とする最も危険な限界状態に対して実証する。

風速の範囲が与えられている場合の乱流流入量を含む荷重ケースにおいて,荷重特性値の超過確率は

6.3.1.1

で与える風速分布を考慮して計算する。多くの荷重計算は,限られた継続時間の統計的シミュレー

ションを含むので,要求される再現期間に対して決定される荷重特性値は,シミュレーションで計算され

るいずれの値よりも大きいことが想定される。乱流流入量を用いる荷重特性値の計算指針は,

附属書

F

与えられている。

DLC 1.1 に関しては,荷重の特性値は統計的な荷重推定によって決定し,いずれの 10 分間の最大値につ

いても,通常の設計状況では 3.8×10

7

(すなわち 50 年の再現期間)に等しいかこれ以下の超過可能性に

相当する。指針は,

附属書

F

を参照。

決定論的な風モデルによって指定された荷重ケースの場合,荷重の特性値は,計算された過渡値の中の

最も厳しい値とする。乱流を用いる場合は,荷重の特性値を計算された 10 分間の計算値の中での最大値の

平均値とする。ただし,DLC 2.1,DLC 2.2 及び DLC 5.1 においては,最大荷重の上位 50 %の標本の平均

値を用いる。

7.6.2.1 

荷重の部分安全率

荷重の部分安全率は,

3

に規定する値以上とする。


33

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

3

荷重の部分安全率

γ

 f

好ましくない荷重

好ましい荷重

b)

設計状態のタイプ(

表 参照)

通常(N)

異常(A)

輸送及び建設(T)

すべての設計状態

1.35

a)

1.1 1.5 0.9

a)

  設計荷重ケース DLC 1.1 の場合,荷重が V

in

と V

out

との間の規定の風速で統計的荷

重推定を用いて決定されるとすると,通常設計状態の部分荷重係数は

γ

  f

=1.25 と

する。

通常設計状態の場合,重力による荷重応答の特性値 F

gravity

が問題の設計状態に

対して計算でき,かつ,重力が好ましくない荷重の場合,重力とほかの発生源の

組合せ荷重に対する部分荷重係数は,次の値をもつ場合がある。

γ

 f

=1.1+

ϕζ

2

=

(上記以外の場合)

の場合)

0.25

1.1

DLC

15

.

0

ϕ

=

k

gravity

k

gravity

k

gravity

1

1

F

F

F

F

F

F

, 

, 

ζ

b)

  全荷重応答を大きく軽減する見掛け及び重力荷重は,好ましい荷重とみなされる。

好ましい荷重及び好ましくない荷重の両方の場合,式(30)は,

γ

n

S(

γ

 f, unfav

F

k,unfav

γ

 f,fav

F

k,fav

)≦R(f

d

)

3

に規定する通常及び異常設計状態に対する部分安全率の使用は,荷重計算モデルが荷重測定によっ

て確認されている必要がある。これらの測定は,空力,制御及び動的応答について,対象となる風車の設

計と十分に近似した風車において行う。

7.6.2.2 

認知された設計基準がない場合の材料に対応する部分安全率

材料の部分安全率は,用いることができる材料特性に関する試験データから適切に決定する。強度パラ

メータの固有のばらつきを考慮した材料の一般的な部分安全率の値

γ

m

は,式(32)による。

γ

m

≧1.1  (32)

ここに,95 %の信頼限界

7)

で生存確率 が 95 %の材料特性に適用する場合としている。この値は,延

性挙動

8)

をもつ部品に適用する。その破壊は風車の主要部品,例えば,溶接した円筒タワー,タワーフラ

ンジ接続部,溶接機械フレーム又は翼接続部の故障につながる。破壊モードは,次のようになる場合があ

る。

−  延性材料の降伏

−  十分な数のボルトによるボルト結合が,

一つのボルトの欠陥によって強度が 1/

γ

m

になり,

ボルト破断。

その破壊が風車の主要部品の故障に急速につながる,ぜい(脆)性挙動の“非フェイルセーフ”機械/

構造部品の場合,材料に対する一般的な安全率は,次の値以上とする。

−  円筒タワー及び翼のような湾曲した殻の全体的な座屈に対して 1.2

−  引張り又は圧縮強度を超える破壊に対して 1.3

この一般的な係数から材料に対する全体的な部分安全率を求めるには,寸法効果,紫外線,湿度などの

外部からの作用による許容値低下,通常は,検知されない欠陥などを考慮することが必要である。

7)

  特性強度パラメータは,95 %値(95 %信頼限界で決定される。)として選択されるか又は代表サ


34

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

ンプルの試験に対して確立されたルーチンで証明書の値として選択することが望ましい。

8)

  延性挙動は延性材料だけでなく,例えば,内部的冗長によって延性材料のように振る舞う部品

も含む。

損傷結果に対する部分安全率

部品クラス 1:

 γ

n

=0.9

部品クラス 2:

 γ

n

=1.0

部品クラス 3:

 γ

n

=1.3

7.6.2.3 

認知された設計基準がある場合の材料の部分安全率

荷重,材料及び損傷結果に対する結合部分安全率

 γ

f

γ

m

及び

γ

n

は, 7.6.2.1 及び 7.6.2.2 に規定された値

以上とする。

7.6.3 

疲労破壊

疲労破壊は適切な疲労破壊計算を用いて予測する。例えば,Miner 則の場合,累積損傷が 1 を超えた場

合,限界状態に到達したとする。そのため,風車の寿命の範囲内での累積損傷は 1 以下である。疲労破壊

計算は,サイクル範囲と平均ひずみ(又は応力)レベルとの両方の作用を加味して公式化を考える。すべ

ての部分安全率(荷重,材料及び損傷結果)は,各疲労サイクルに関係する損傷の増加を評価するために,

各疲労サイクルひずみ(又は応力)範囲に適用する。定式化の例は,

附属書

G

に Miner 則として示す。

7.6.3.1 

荷重の部分安全率

荷重の部分安全率

γ

f

は,すべての通常及び異常な設計状態に対して 1.0 とする。

7.6.3.2 

認知された設計基準がない場合の材料の部分安全率

材料の部分安全率

γ

m

は,S−N 曲線が 50 %の生存確率及び 15 %未満の変動係数に基づくとすると,1.5

以上とする。疲労強度

9)

の変動係数が,例えば,15 %∼20 %と大きい部品の場合(強化コンクリート,フ

ァイバ複合材などの複合物からなる多くの部品のような)

,部分安全率

γ

 m

はそれに応じて増す必要があり,

1.7 以上とする。

疲労強度は,統計的に意味がある数の実験から求めるべきであり,特性値の設定は寸法効果,許容誤差,

紫外線などの外部作用の度合い,通常では検知されない欠陥などを考慮する。

溶接構造鋼の場合,伝統的に 97.7 %の生存確率が S−N 曲線のベースとして用いられる。この場合,

γ

  m

は 1.1 とすることができる。定期的な点検プログラムの導入によって危険なクラックの進展を検出するこ

とが可能な場合,より低い値の

 γ

 m

を用いることができる。すべてのケースで

γ

 m

は 0.9 より大きくする。

ファイバ複合材の場合,強度分布は実際の材料の試験データから確定する。95 %信頼レベルで 95 %の生

存確率が S−N 曲線のベースとして用いられる。この場合,

γ

  m

は 1.2 とすることができる。ほかの材料に

対して同じアプローチを用いてもよい。

9)

  疲労強度とは,ここでは,いずれかのサイクル数に伴う応力範囲と定義する。

損傷結果に対する部分安全率

部品クラス 1:

γ

 n

=1.0

部品クラス 2:

γ

 n

=1.15

部品クラス 3:

γ

 n

=1.3

7.6.3.3 

認知された設計基準がある場合の部分安全率

荷重,材料及び損傷結果に対する合成部分安全率は,基準に規定される分位値を十分考慮するとともに

7.6.3.1

及び 7.6.3.2 に規定される値以上とする。


35

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

7.6.4 

安定性

設計荷重の下では,

“非フェイルセーフ”構成要素の耐荷重部品は,座屈を生じない。その他のすべての

構成要素については,特性荷重の下で弾性座屈が生じても差し支えない。すべての構成要素は,特性荷重

の下では座屈を生じない。

設計値を得るために,荷重の部分安全率

γ

  f

の最小値は 7.6.2.1 に基づいて選択する。材料部分安全率は,

7.6.2.2

に規定される安全率以上とする。

7.6.5 

臨界変形解析

風車の構造的な健全性に影響を及ぼす変形が,

2

に示す設計状態において生じないことを確認する。

最も重要な検討事項の一つは,翼とタワーとの間に機械的な干渉が生じないことを確認することである。

好ましくない方向に生じる最大弾性変形は,特性荷重を用いて

2

に示す荷重ケースに対して求める。

生じる変形は,荷重,材料及び損傷結果の合成部分安全率を乗じることによって決定する。

荷重の部分安全率

荷重の部分安全率

γ

 f

は,

3

から選択する。

材料の弾性的性質に対する部分安全率

 γ

 m

の値を,1.0 に減らし得る実規模試験によって弾性的性質が決定される場合を除き,1.1 とする。幾何

学的形状の不確かさ及び変形計算方法の精度について,特に注意が必要である。

損傷結果に対する部分安全率

部品クラス 1:

γ

 n

=1.0

部品クラス 2:

γ

 n

=1.0

部品クラス 3:

γ

 n

=1.3

弾性変形をたわみを生じていない位置で最も望ましくない方向に加え,その結果生じた位置を非干渉の

要求事項と対比する。

直接,動的変形解析も用いてよい。この場合,特性変形は,

2

の各荷重ケースに対して決定される特

性荷重と同様の方法で決定する。最も好ましくない方向における超過確率は,特性変形の場合と特性荷重

の場合とでは同じとする。したがって,特性変形は合成安全率を乗じ,かつ,上述のように変形していな

い位置に付け加えられる。

7.6.6 

特別部分安全率

荷重の大きさの計測によって又は計測によって確認された解析によって,通常の信頼度より高く確定し

ている場合には,荷重に対して低い部分安全率を用いてもよい。用いられた部分安全率の値は,すべて設

計文書に記載する。

制御及び保護システム

8.1 

一般

風車の運転及び安全は,この箇条の要求事項を満たす制御及び保護システムによって管理する。

いかなる手動又は自動による介入でも,保護機能を損なわない。手動介入を認める装置は明確に,必要

に応じて適切な標識によって識別可能とする。

制御及び保護システムの設定は,部外者が変更できないよう防護する。

8.2 

制御機能

風車の制御機能は,能動的又は受動的方法で運転を制御し,運転パラメータを通常限界内に維持する。

例えば,保守の場合などのように,制御モードの選択ができる場合,各モードにおける制御はほかのすべ


36

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

ての制御に優先する。ただし,緊急停止ボタンを除く。モードの選択は単一モードに対応した各位置でロ

ックできるセレクタによって支配する。特定の機能が数値的に制御される場合には,機能を適切に選択で

きるようにアクセスコードを与える。

制御機能は,次のような機能又はパラメータを統御又は制限してもよい。

−  出力

−  ロータ速度

−  電気負荷の接続

−  起動及び停止手順

−  ケーブルのねじれ

−  風向への整列

8.3 

保護機能

風車の保護機能は,制御機能の故障,内部又は外部故障,更に危険な事象などの結果動作する。保護機

能は,風車を安全な状態に維持する。保護機能が働くレベルは,設計限界を超えないように設定する。

保護機能は,制御機能より高い優先順位をもつが,ブレーキシステム及び指令によって系統を遮断する

装置にアクセスする場合の緊急停止ボタンより優先順位が高くてはならない。

保護機能は,次のような場合に働く。

−  過速度

−  発電機の過負荷及び故障

−  過大振動

−  ケーブルの異常なねじれ(ヨー運動によってナセルが回転することに起因するもの)

保護機能は,フェイルセーフの動作をするように設計する。保護機能は一般的に,電源又は保護機能を

提供するシステム内のいかなる単一故障又は交換部品の故障からも風車を保護する。制御機能を提供する

システムの検出部品又は交換構造部品の単一故障は,保護機能の故障につながらない。

二つ以上の故障が相互に独立でない場合又は共通の原因によって発生する場合,これらは単一故障とし

て扱う。

潜在的な欠陥によるリスクを減らすために対策をとる。保護機能を提供するシステム内の交換部品は,

安全状態のままで故障するか又はそれらの状態を自動的に監視する必要がある。いずれのケースでも,風

車を停止する。非交換部品は,適切な間隔で点検する。

非冗長保護機能の実行において交換部品のすべては,

7.6

に定義する損傷結果に対する部分安全率に関し

て,部品クラス 3 の部品である。このような保護システムの重要部品は,すべて終極(終局)強度,疲労,

座屈及び危険な変形に対して解析する。

保護機能と制御機能とが相反した場合,保護機能が制御機能に優先する。

風車がその安全に決定的影響を及ぼす内部故障又はトリップによって停止した場合,風車の自動又は遠

隔再起動はできないようにする。電力系統の遮断又は負荷喪失の後に,このような故障又はトリップが引

き続いた場合でも,電力系統又は負荷の回復後の自動再起動はできないようにする。

制御機能に優先する緊急停止ボタンによって,ロータは,保守及び修理に対して定義される風速限界

7.4.8 参照)を下回る風速で完全に停止にもっていき,最低限いかなる運転条件からもアイドリングモー

ドにもっていく。さらに,緊急停止ボタン動作によって,中電圧及び高電圧システムを遮断する。緊急停

止ボタンは,主要な作業場所(例えば,ナセル及びタワー底部)ごとに設置する。用いた後に緊急停止ボ


37

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

タンを復帰するには,適切な作業が必要となる。復帰に続いて,手動解除後でなければ自動再起動ができ

ない。

8.4 

ブレーキシステム

ブレーキシステムは,ロータをいかなる運転状態からもアイドリングモード又は完全停止にすることが

できる。保守及び修理に対して定義される風速限界(7.4.8 参照)を下回る風速における危険なアイドリン

グ状態からロータを完全に停止させる手段を設ける。

少なくとも一つのブレーキシステムは,直接ロータに働くような空力原理で作動することを推奨する。

この推奨に合致しない場合,少なくとも一つのブレーキシステムは,ロータシャフト又は風車のロータに

作用する。

ブレーキは,その外部電源がなくなっても働くように設計する。ブレーキは,ブレーキが加えられた後

少なくとも 1 時間,定められた風条件に対して,ロータを安全停止位置に保つことができる。より長い時

間電力系統が停電している場合には,補助電源か又は手動操作のいずれかによってブレーキを働かせるこ

とが可能とする。

機械システム

9.1 

一般

この規格の機械システムは,

単に静的構造部品又は電気部品から構成されるすべてのシステムではなく,

軸,リンク,軸受,スライド,歯車,その他の装置の組合せによって用いられるか又は相対運動を伝える

すべてのシステムを指す。風車内で,これらのシステムは,ギアボックス,軸,カップリングなどの動力

伝達装置及びブレーキ,ブレーキピッチ制御装置,ヨー駆動装置などの補助装置を含む。補助装置は,電

気,油圧又は大気圧によって駆動される。

動力伝達装置並びに制御及び保護システム中のすべての機械システムは,利用可能な場合,関連する JIS

及び IEC/ISO 規格に従って設計する。その他の認められた規格が用いられる。そのシステムの部品がクラ

ス 3 の部品に属していない場合,部分安全率は,7.6.1.2 の部品クラス 2 に一致する。

規定の保守手順が守られていても,冷却及びろ過システムが運転温度範囲にわたって適切な運転条件を

維持し得ることを確保するために,特別な注意を払う。

ブレーキ装置中,摩耗しやすい部品の残存寿命は自動的に監視され,かつ,定期点検する。追加の緊急

停止に対して性能が不十分な材料がある場合,風車は待機状態にする。すべてのブレーキ装置は,応答時

間を許容レベル内に保つよう設計し,保守する。

荷重計算は平均ブレーキレベルと,設計に対して予測される最小の摩擦及び加圧力を考慮に入れた最小

ブレーキレベルとの両方を含むシミュレーションに基づく。ブレーキをかけたとき,ブレーキが最小のブ

レーキレベルでスリップし得る場合,過熱及びブレーキ性能の低下を避け,かつ,火災の危機を避けるよ

う設計する。

9.2 

取付け誤り

リスクの原因となり得る部品を取り付けたり再度取り付けたりする場合に生じる誤りは,これらの部品

の設計によって,又は間違った取付けをした場合には,部品自体若しくはハウジング又はその両者に対し

て与える情報によって誤りを防止する。危険を避けるために,運動の方向が知られている可動部品若しく

はそのハウジング又はその両者には同じ情報を与える。必要となる追加の情報を,オペレータの指示書及

び保守用マニュアルに記載する。

間違った取付けが危険源となり得る場合には,それができないように設計する。それができない場合に


38

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

は,パイプ,ホース又は接続ブロックが間違った継続ができないように注意書きをするなどの情報を与え

る。

9.3 

油圧又は圧縮空気装置

補助装置が油圧又は空気圧エネルギーによって駆動されている場合には,システムはこれらの種類のエ

ネルギーに関する可能性があるすべての危険性を避けるように,設計,構成及び装備を行うものとする。

蓄圧されたエネルギーを隔離したり,放出するための手段を設計に取り入れる。加圧油又は圧縮空気を送

るすべてのパイプ及び/又はホース,並びにその接続器具は予知される内部及び外部対応力に耐えたり又

はこの応力から保護するよう設計する。破裂の結果生じる負傷などの危険性を最小限にするための注意が

必要である。

9.4 

メインギアボックス

メインギアボックスは,クラス 2 の部品とみなす。

ギアは,ISO 6336-1 から ISO 6336-3 までに記載する適切な計算方法を用いて設計する。材料強度の値は

JIS B 1755

に従って算出し,これらは最低でも MQ 品質に対応する。関連するすべての製造上の誤差及び

不一致は,ISO 6336-1 に従って,表面荷重分布係数の計算のため,ひとまとめにする。

歯面強さの安全率 S

H

は,ISO 6336-2 に従って,A 又は B いずれかの方法を用いて計算する。直接 Miner

則は,疲労計算に応用する。計算された安全率 S

H

は 1.2 とする。この安全率 S

H

には,損傷結果,材料及

び荷重の部分安全率が含まれる。

曲げ強さの安全率 S

F

は,ISO 6336-3 の方法 A 又は方法 B によって算出する。直接 Miner 則を用いる。

計算した安全率 S

F

は 1.45 以上とする。この安全率 S

F

には,損傷結果,材料及び荷重の部分安全率が含ま

れる。

歯面の焼付きに関しては,疲労荷重は全く問題とはならないが,特に当初の表面仕上げが不十分で潤滑

油の温度が高い場合には,高い過渡荷重がほとんどなくてもこの問題を引き起こす可能性がある。歯面の

焼付きに対する安全は,例えば,ISO/TR 13989-1 に記載されている方法など,適切な方法を用いて計算す

る。計算した安全率 S

S

は 1.3 以上とする。

冷却及びろ過システムは,指定されたメンテナンス手順に従って,動作温度の範囲全体にわたって適切

な潤滑状態を確実に維持し得るように,特に注意する。

9.5 

ヨーシステム

ヨーシステムは,固定したヨーオリエンテーションを維持する手段(例えば,油圧ブレーキ)

,そのオリ

エンテーションを変える手段(例えば,電気モータギアボックス及びピニオン)及び回転をガイドする手

段(例えば,軸受)からなる。

いずれのモータも,箇条 10 の関連部分に適合する。十分な冗長性を確保された複数のヨードライブをも

つヨーギアシステムの場合,ギアは部品クラス 1 とみなすことができる。そこで,安全率 S

H

及び S

F

は,

1.1 及び 1.25 に下げてもよい。これ以外の場合は,クラス 2 の部品を用いる。

9.6 

ピッチシステム

ピッチシステムは,翼のピッチ角調整手段(油圧アクチュエータ,電気モータ,ギアボックス,ブレー

キ,ピニオンなど)と,回転をガイドする手段(軸受など)で構成することができる。

いずれのモータも,箇条 10 の関連部分に適合する。十分な冗長性が確保された個別のピッチドライブ及

び/又はアクチュエータをもつピッチシステムの場合,これらは部品クラス 2 とみなすことができる。

9.7 

保護機能機械ブレーキ

保護機能のために機械ブレーキを用いる場合,これらは一般的には油圧又は機械的ばね圧によって加え


39

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

られる摩擦(力)装置である。摩擦パッドなどの摩耗部品の残存寿命は,コントロール及び保護システム

によって監視する。このシステムは,緊急停止に必要な材料が不足している場合は,タービンを待機状態

に入れる。

荷重の計算は,適切な範囲のブレーキレベルを含むシミュレーションに基づいて行う。ブレーキが風車

を静止状態に維持するときは常に,

そのブレーキが最小ブレーキレベルで静止状態でスリップし得る場合,

乱流風中のスリップ時間は,過熱,ブレーキ性能の低下及び火災の危険を十分に避けられる短さとする。

9.8 

転がり軸受

転がり軸受の定格解析は,JIS B 1518 及び JIS B 1519 に従って行う。軸を支持する軸受(メイン軸,ギ

アボックスなど)については,軸受の寿命(耐用可能性を 90 %とする。

)は 20 年以上とする。計算方法は,

動作条件を考慮したものとする。JIS B 1518 による調整係数(すなわち,a 係数)を適用する場合には十

分に注意して適用する。

冷却及びろ過システムが,指定されたメンテナンス手順によって,動作温度の範囲全体を通じて適切な

動作状態を確実に維持できるよう,特に注意する。

軸受については,設計荷重は 7.4 に規定する各種荷重ケースで決定された荷重と,7.6 に規定する適切な

安全率とを反映したものとする。軸受の設計に当たっては,その寿命期間中に予測される回転数及びその

回転が,メイン軸の軸受のように常時回転なのか,それともピッチベアリング及びヨーベアリングのよう

な振動性の回転かを考慮する。さらに,動きが小さいことによる潤滑不足の影響の可能性にも注意する。

旋回輪軸受については,設計荷重に対する静的定格の比は,JIS B 1519 に従って 1.0 以上とする。接続

部品の柔軟性に起因する荷重の分散を慎重に考慮する。

10 

電気システム

10.1 

一般

風車設備の電気システム(以下,

“電気システム”という。

)は,個々の風車から風車の接続点に至るま

でに設置されたすべての電気機器からなる。

集電設備は,この規格の対象に含まない。

10.2 

電気システムの一般要求事項

電気システムは,箇条 に定義したすべての通常及び極値外部条件において,風車の運転及び保守を行

っている間に風車及び外部電気システムに生じる可能性がある損害だけでなく,人畜に及ぼす危険性を最

小限にするように設計する。

すべての電気機器及び構成要素を含む電気システムは,関連する IEC 規格に適合しなければならない。

特に電気システムの設計は,JIS B 9960-1 の要求事項に適合しなければならない。交流 1 000 V 又は直流

1 500 V を超える公称電圧の回路を含む風車の場合には,電気システムの設計は,JIS B 9960-11 の要求事

項に適合する。機械設備ではなく,固定設備は JIS C 60364 規格群の要求事項に適合しなければならない。

製造業者は用いる設計規格を記載しなければならない。電気システムの設計には,風車からの出力が変動

する性質のものであることを考慮する。

10.3 

保護装置

JIS C 60364

規格群の要求事項に加えて,電気システムには,安全でない条件又は状態につながる風車及

び外部電気システムの両方の機能不良に対して保護する適切な装置を含むものとする。

10.4 

断路器

電気システムを保守又は試験時にすべての電源から切り離すことができなければならない。


40

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

半導体装置を単独で断路器として用いてはならない。

照明,その他の電気システムが保守中の安全のために必要な場合,これらの回路は,その他のすべての

回路が通電されていないときに通電されるように,

独自の断路器をもつ補助回路を備えなければならない。

10.5 

接地システム

風車の設計には(電気設備の適正な操作のための)JIS C 60364 規格群の要求事項及び(雷保護のための)

IEC 62305-1

の要求事項に適合する局部接地電極システムを含める。接地電極システムが適切となる土壌

の条件の範囲は,設計文書に記載する。ほかの土壌状態の場合にも,その推奨事項を記載することが望ま

しい。

接地システム(接地電極,接地導体,主接地端子及びバー)の選択及び設置については,JIS C 60364-5-54

及び地域電気規制当局の要求事項に適合しなければならない。

交流 1 000 V 又は直流 1 500 V を超えて運転される電気システムは,保守期間中の接地に関する条項を設

けなければならない。

10.6 

雷保護

風車の雷保護については,IEC 62305-1 に従って設計しなければならない。安全性が損なわれない場合

には,保護措置を風車すべての部品まで拡大する必要はない。TS C 0041 に指針が示されている。

10.7 

電気ケーブル

げっ歯類,その他の動物がケーブルをきず付ける可能性がある場合,外被付きケーブル又は電線管を用

いなければならない。地下ケーブルは,作業車又は農耕機によって損傷を受けないよう,適切な深さに埋

設しなければならない。地下ケーブルは,電線管又はダクトで防護しない場合,ケーブルカバー又は適切

なマーキングテープでマークしなければならない。

10.8 

自己励磁

風車を自己励磁することができる電気システムは,電力系統が停電した場合,自動的に系統から遮断さ

れ,かつ,安全に切り離された状態にしておかなければならない。

キャパシタバンクが,系統連系している誘導発電機に並列に接続されている(すなわち,力率改善のた

め)場合,系統が停電したときはいつでも発電機の自己励磁を回避するために,キャパシタバンクを切り

離す適切な開閉器をもたなければならない。ただし,キャパシタが設置されていても,そのキャパシタが

自己励磁の原因とならないことを十分示すことができればよい。

10.9 

雷による電磁インパルスに対する保護

JIS C 0367-1

の要求事項に基づいて,過電圧保護を設計しなければならない。

保護の限度値は,電気機器に伝ぱ(播)する雷インパルス電圧が機器の絶縁レベルによって決まる限度

値を超えないように設計しなければならない。

10.10 

電力品質

風車の電力品質特性は,JIS C 1400-21 による。

JIS C 1400-21

の手順は,公的な配電又は送電系統の運用者の要求に従っていることを証明するために用

いることができる。

10.11 

電磁両立性

伝導妨害のエミッションは,10.9 で規定する。

放射妨害のエミッションは,IEC 61000-6-4 の要求事項を満足しなければならない。

伝導妨害に対するイミュニティは,10.6 で規定する。

放射妨害に対するイミュニティは,JIS C 61000-6-1 又は JIS C 61000-6-2 の要求事項を満足しなければな


41

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

らない。

風車製造業者は,

これら二つの規格のいずれを風車設計に適用したかを明示しなければならない。

11 

サイトの固有条件に対する風車の評価

11.1 

一般

風車は,環境及び電気的条件にさらされ,これには風車の荷重,耐久性及び運転に影響を及ぼす隣接風

車の影響が含まれる。これらの条件に加えて,風車サイトの地震,地形及び土壌条件について考慮する。

サイトの固有条件は,構造的な健全性を損なわないことを示す。それを証明するには,サイトの複雑性の

評価(11.2 参照)及びサイトの風条件の評価(11.3 参照)が必要である。構造的な健全性の評価に対して,

次の二つのアプローチが用いられる。

a)

これらの条件のすべては,風車の設計で仮定された条件より過酷でないことの証明(11.9 参照)

b)

サイトの固有条件に等しいかそれを超える厳しい条件に対する構造的な健全性の証明(11.10 参照)

条件が設計で仮定された条件よりも厳しい場合,構造的及び電気的適合性は b)のアプローチを用いて証

明する。

7.6.2.1

の荷重の部分安全率は,通常及び極値風条件のサイトの評価がこの細分箇条の最低の要求事項に

従って行われたことを仮定している。

11.2 

サイトの地形的複雑さの評価

サイトの複雑さは,地形の平面からの変化によって特徴付けられる。

4

のすべての制限を満たさない

サイトは,複雑であると特徴付けられる。

4

で用いられている地形に合わせた平面の傾斜とは,風車か

ら一定の距離内で地形変化に最もよく合い,かつ,風車のタワーの基礎を通る平面の傾斜を意味する。し

たがって,地形に合わせた平面からの地形変化は,地形表面の点と地形に合わせた平面との間を垂線で結

んだ距離を意味する。z

hub

は,風車のハブ高さである。

4

地形の複雑さを表す指標

風車からの

距離範囲

地形に合わせた
平面の最大傾斜

地形に合わせた半径 1.3 z

hub

の円板からの最大地形変化

< 5 z

hub

<10 z

hub

<20 z

hub

<10°

<0.3 z

hub

<0.6 z

hub

<1.2 z

hub

地形の複雑性評価で用いられる表面に仮定した格子の 1 辺は,z

hub

を超えてはならない。

11.3 

評価に必要な風条件

風車サイトにおける,次のパラメータの値が評価される。

−  ハブ高さにおける 10 分平均風速の再現期間 50 年の極値。

−  V

in

V

out

の間の風速確率密度関数 p(V

hub

)。

−  周囲乱流標準偏差

σˆ [主方向成分

10)

の標準偏差の平均値と推定された]と V

in

V

out

の間の V

hub

及び

V

ref

と等しい V

hub

における

σˆ の標準偏差

σ

σˆ 。

−  流れの傾き

−  ウィンドシア

11)

−  大気密度

10)

  乱流の主方向成分は,水平成分によって近似してもよい。

11)

  長期間の高いシア値は,強い密度成層流れ又は激しい粗度変化に関係して,ある地域で報告


42

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

されている。箇条 の外部条件は,このケースを扱っていない。

大気密度についてサイトのデータがない場合,大気密度は年平均温度で適切に補正した JIS W 0201 に一

致する国際標準大気,と仮定する。

上記に用いられる風速ビンの間隔は,2 m/s 以下とする。また,風向方位区分は 30°以下とする。大気

密度以外のパラメータはすべて 10 分平均として与えられ,風向ごとに取り扱う。

サイトの風のパラメータ

12)

は,次のいずれかとする。

− 0.2V

ref

及び 0.4V

ref

の範囲で測定し,かつ,外挿する。

−  サイトで行った測定,現地の気象観測所の長期記録,又は現地の規則若しくは規格。

測定値を用いる場合,他の方法で適切であることが示されない限り,サイトの固有条件は,手に入る現

地の気象観測所の長期データと関係付けられる。モニタリング期間は,最短でも 6 か月間の信頼できるデ

ータを得るのに十分な期間とする。季節的な変化が風の条件に大きく影響する場合,モニタリング期間は

これらの影響が入るように十分長くする。

主方向成分の標準偏差の値は,測定され,また適切に偏りを除去したデータを統計的に処理して決定す

る。地形,その他の現地の影響が乱流強度に影響すると思われる場合,これらの影響はデータで示す。測

定データを得るのに用いられる風速計,サンプリング速度及び平均時間の特性は,乱流強度を評価する場

合,考慮する。

12)

  風車から構造物の特性長さの 20 倍の距離内にある重要な構造物からの後流に注意を払うべき

である。

11.4 

隣接風車の後流の影響評価

発電中の隣接風車の後流の影響を考慮する。ウィンドファームにおける風車の適切さの評価は,風上に

位置する風車からの単一又は複数の後流を考慮した決定論的及び乱流の風特性を,風車間の間隔の影響を

含めて,発電に関係したすべての周囲風速及び風向に対して考慮する。

後流の影響と一般に想定されている荷重の増加は,有効乱流強度の使用によって説明できる場合がある

が,周囲乱流及び離散し乱れた後流が及ぼす荷重への影響によって適切に表現するものとする。

疲労計算に対して,有効乱流強度 I

eff

附属書

D

に基づいて導かれる。

限界荷重に対して,I

eff

附属書

D

に定義されるように隣接風車からの後流乱流強度の最大値であると仮

定する。

}

ˆ

max{

1

T

hub

eff

σ

V

 (33)

直径の 3 倍より小さい風車間隔では,このモデルの妥当性は不確かであることに注意することが望まし

い。

11.5 

その他の環境条件の評価

風車の設計のために立てた仮定との比較のために,次に示す環境条件を評価する。

−  通常及び極値の温度範囲

−  氷結,あられ及び雪

−  湿度

−  雷

−  日射

−  化学的活性物質


43

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

−  塩分

11.6 

地震条件の評価

世界で地震の影響を受ける地域は限定されているので,標準風車カテゴリの風車には耐震に対する要求

事項はない。地震活動が弱いために,適用可能な特定地域の地震規定によって既に除外されるサイトに対

しては,地震評価解析は要求されない。次に示す地震荷重ケースが決定的な場所では,風車のサイトの固

有条件に対して技術的な健全性が証明される。評価は,

附属書

C

に基づく。荷重評価は,地震荷重,その

他の大きな,頻繁に生じる運転荷重の組合せを考慮する。

地震荷重は,特定地域の規定に定義されているように,地表面加速度及び応答スペクトルに対する要求

事項によって決まる。特定地域の規定が利用できないか又は規定が地表面加速度及び応答スペクトルを提

示していない場合,これらのパラメータの適切な評価を実施する。

地表面加速度は,再現期間 475 年に対して評価する。

地震荷重は,次の高い方の値に等しい運転荷重に重ね合わせる。

a)

寿命期間平均化した通常発電中の荷重。

b)

停止前の荷重が a)で得られる値に等しくなるように選ばれた風速に対して緊急停止する間の荷重。

荷重の部分安全率は,1.0 とする。

地震荷重評価は,周波数領域法によって行うことができる。この場合,運転荷重は,地震荷重に直接加

算される。

地震荷重評価は,時間領域法によって行うこともできる。この場合,運転荷重が上述の時間平均値を代

表することを確実にするために十分なシミュレーションをする。

上記評価のいずれかで用いられるタワーの固有振動モード数は,認知された地震規定に従って選定され

る。そのような規定がない場合,全体質量の 85 %の全モーダル質量による連続モードを用いる。

構造物の耐震性の評価は,弾性応答だけか又は延性エネルギー散逸を仮定する。しかし,後者が特定の

種類の構造,特に格子構造及びボルト締結に対して正しく評価されることが重要である。

地震計算及びタワー上の荷重の組合せに対する従来のアプローチは,

附属書

C

に示されている。地震が

タワーとは別の構造物に大きな荷重を引き起こすことがあり得るなら,この手順は用いてはならない。

11.7 

電力系統条件の評価

提案されているサイトにおける風車接続点の外部電気条件は,電気設計条件との適合性を確実にするた

めに評価される。外部電気条件は,次を含める

13)

−  規定された電圧範囲及び継続時間にわたって接続されたままとするか又は遮断するかに関する要求事

項を含む通常電圧及び範囲。

−  規定された周波数範囲及び継続時間にわたって接続されたままとするか又は遮断するかに関する要求

事項を含む通常周波数,範囲及び変化率。

−  対称及び非対称故障の場合の%逆相電圧として規定される電圧不平衡。

−  中性点接地方式

−  地絡故障検出/保護の方法

−  電力系統の年間停電回数

−  自動再閉路周期

−  必要な無効電力補償スケジュール

−  故障電流及び継続時間


44

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

−  風車接続点における相間及び対地間短絡インピーダンス

−  電力系統のバックグラウンド高調波電圧ひずみ

−  (ある場合)電力線搬送波の存在及びその搬送波の周波数

−  ライドスルー要求事項のための故障特性

−  力率制御要求事項

−  ランプ率要求事項

−  その他の電力系統両立性要求事項

13)

  風車設計者は,電力系統との両立性条件を考慮する必要がある場合がある。上記は,一連の最

低要求事項を記載したものである。設計の段階では,地域及び我が国の電力系統との両立性条

件も想定する必要がある。

11.8 

土壌条件の評価

提案されているサイトの土壌は,手に入るその特定地域の建築基準を参照して,専門の有資格土質工学

技術者によって評価する。

11.9 

風のデータを参照した構造的な健全性の評価

風車の構造的な健全性を,サイトの実測風況パラメータを設計に用いた値と比較することによって評価

することが可能である。この項は,この方法によって健全性評価を行う場合について規定する。次に示す

条件がすべて満たされるとき,風車はサイトに適するとみなされる。

−  再現期間 50 年のハブ高さにおける極値 10 分平均風速のサイトの推定値は,V

ref

14)

未満とする。

−  V

hub

の確率密度関数のサイトの値は,風速 0.2 V

ref

と 0.4 V

ref

との間のすべての V

hub

の設計確率密度関数

6.3.1.1 参照)未満とする。

−  乱流の標準偏差の代表値

σ

1

[式(11)参照]は,風速 0.2 V

ref

と 0.4 V

ref

との間の V

hub

のすべての値におけ

る乱流標準偏差の予想される 90 %分位値のサイトの値以上とする。

σ

σ

σ

σ

ˆ

28

.

1

ˆ

1

 (34)

地形が複雑である場合,乱流の主方向成分の標準偏差の推定値は乱流のゆがみ

15)

を考慮して大きくする。

サイトの気流の傾きは全方向の最大をとり,6.3 の規定値未満とする。気流の傾きに関するサイトのデータ

又は計算値がなく,地形が複雑な場合,気流は地形に合わせた平面に(11.2 参照)

,風車から 5 z

hub

の距離

内において常に平行であると仮定する。

方向に対するサイトの平均鉛直ウィンドシアの指数

α は,6.3.1.2 に規定される値未満で,0 より大きく

する。ウィンドシアに対するサイトのデータがない場合,地形及び粗度を考慮して計算する。

サイトの平均大気密度は,V

r

以上の風速では 6.4.1 の規定値未満とする。

後流効果の適切な評価は,通常乱流モデルから得られた乱流標準偏差

σ

1

が,風速 0.2 V

ref

∼0.4 V

ref

(又は,

タービンの特性が判明している場合は,0.6 V

r

V

out

)の乱流標準偏差(周囲乱流及び後方乱流の両方を含

む。

)の予想される 90 %分位値以上であることを確認することによって行うことができる。すなわち,式

(35)のとおりである。

σ

σ

σ

ˆ

28

.

1

hub

eff

1

V

I

×

 (35)

上の式で,疲労荷重及び極値荷重計算の I

eff

は,11.4 から得られる。

14)

  代わりに,再現期間 50 年のハブ高さにおける極値 3 秒平均風速の風車設置点の主要推定値は,

V

e50

未満とするのがよい。

15)

  複雑地形効果は,次の式で定義される乱流構造補正パラメータ C

CT

を追加して乗じることによ


45

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

って,加味できる。

375

.

1

ˆ

ˆ

ˆ

ˆ

1

2

1

3

2

1

2

CT

⎟⎟

⎜⎜

⎟⎟

⎜⎜

σ

σ

σ

σ

C

ここに,推定標準偏差

i

ˆ

σ の比は,ハブ高さの値に対応する。乱流成分に関するサイトのデー

タがなく,地形が複雑である場合,モデルの結果又は C

CT

=1.15 を用いてもよい。

11.10 

サイトの固有条件に関する荷重計算による構造的な健全性の評価

この箇条による場合は,風車の構造的な健全性を,サイト固有の条件値を用いて計算した荷重及び変形

を,設計時の計算値と比較することによって評価する。このとき,設計裕度及び周辺環境が構造耐力へ及

ぼす影響を考慮する。

乱流成分に関するサイトのデータがなく,地形が複雑な場合,主方向,横方向及び上方向の乱流成分標

準偏差は等しいと仮定する。

後流効果については,通常乱流モデルの中の

σ

1

が実際の後流乱流によって置き換えられる DLC 1.1 及び

DLC 1.2 に対して,構造的な健全性が損なわれないことを検証する。これは,式(36)で推定し得る。

σ

σ

σ

ˆ

28

.

1

hub

eff

wake

V

I

×

 (36)

ここに,疲労荷重及び極値荷重計算の I

eff

は,11.4 から得られる。

附属書

D

に定義される I

eff

は,検討対象の構成部位の材料の Wöhler 曲線指数 に左右されるので,その

他の材料特性をもつ構造部位への荷重は,再計算するか又は の適切な値で評価する。

極値荷重計算に当たっては,後流状況の頻度を考慮し,それに応じて DLC 1.1 の荷重の外挿を修正して

もよい。

12 

組立て

据付け及び建設

12.1 

一般

風車の製造業者は据付マニュアルを提供し,そこに風車構造物及び設備の建設の要求事項を明記する。

風車の据付けは,その業務の訓練及び指示を受けた者が行う。

風車の施設のサイトは,その業務が安全,かつ,効率的な方法で行えるよう整備,保守,運用及び管理

する。これには,関係者以外の立入禁止の処置も含むことが望ましい。運転者は,現存する及び潜在的な

傷害を識別し,取り除くことが望ましい。

計画業務の点検表を準備し,完了報告及び点検記録を保管することが望ましい。

該当する場合,据付要員は,目,足,聴力及び頭部の防護具を装着する。タワーに登り,地平面及び水

平面より高い場所で作業する要員は,そのような作業の訓練を受けることが望ましく,安全ベルト,落下

防止器具,その他の安全器具を用いる。該当する場合,水域では浮き具を用いることが望ましい。

すべての装置は,よく整備し,使用目的に適するようにしておく。クレーン,ホイスト及びリフト(ワ

イヤ,フック,その他の器具を含む。

)は,安全なつり上げ作業に十分な状態とする。

あられ,雷,強風,地震,氷結などの異常な条件下での風車設備の据付けには,特別の注意を払うこと

が望ましい。

ナセルなしで建っているタワーの場合は,危険な風速下で,渦による横方向の振動発生を防止する手段

を講じる。危険な風速及び対策方法は,据付マニュアルに記載する。

12.2 

計画

作業が安全に,かつ,地域及び国の規則に基づいて行われるよう,風車及び関連機器の組立て,建設並


46

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

びに据付けは,計画的に実施する。品質保証手順に加えて,計画書には適宜,次の検討事項を含める。

−  掘削作業を安全に実施する規則

−  詳細図面,作業仕様書及び検査計画

−  埋込み物,例えば,基礎,ボルト,アンカ,鉄筋鋼材の適切な取扱規則

−  コンクリート成分,運搬,サンプリング,注入,仕上げ及び導管配置の規則

−  発破の安全規則

−  タワーその他アンカの据付手順

12.3 

据付条件

風車の据付け中,据付場所は安全面で危険がないよう維持する。

12.4 

サイトへのアクセス

サイトへのアクセスは安全でなければならない。次の事項を考慮する。

−  障害物及び輸送ルート

−  交通

−  道路表面

−  道幅

−  クリアランス

−  耐荷重

−  サイトにおける機器の移動

12.5 

環境条件

据付け中は,製造業者が指定した環境条件の制限を遵守する。次の事項を考慮することが望ましい。

−  風速

−  雪及び氷

−  周囲温度

−  砂じん(塵)

−  雷

−  視界

−  雨

12.6 

記録

風車の製造業者は,風車の組立手順,据付け及び建設に関する図面,仕様書及び指示書を提供する。製

造業者は,風車の取扱い及び据付けに必要なすべての荷重,質量,つり上げ点,特殊工具及び手順の詳細

を提供する。

12.7 

受取り

取扱い及び保管

建設中の風力発電装置の取扱い及び輸送は,その業務に適した装置を用いて,製造業者の推奨する方法

で行う。

風車はしばしば丘陵地に設置される。そのため,重機は,移動しないように設置する。また,適切な広

さの水平な土地が,取扱い及び組立作業のために望ましい。これができない場合,すべての重機は,安定

な位置に固定する。

風によって動き,損傷するおそれがある場合,翼,ナセル,その他の空力部品及び軽いこん包は,ロー

プ及びくい,又はグランドアンカで固定する。


47

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

12.8 

基礎/アンカシステム

製造業者が安全な据付け又は組立作業をするために特に指定した場合,特殊工具,ジグ,固定具,その

他の器具を用いる。

12.9 

風車の組立て

風車は,製造業者の指示書に従って組み立てる。検査を行い,適切な潤滑及び使用前の調整が,すべて

の部品に行われているかを確認する。

12.10 

風車の建設

風車の建設は,適切,かつ,安全な建設手順の訓練及び指示を受けた要員が行う。

風車の電気システムのいかなる部分も建設工程上必要な場合を除き,建設中に通電しない。この場合,

これらの機器の通電は,風車の供給者が提供する文書による手順に基づいて行う。

動くこと(回転又は並行移動)によって危険の可能性があるすべての要素は,建設期間中の不測の動作

を防止する。

12.11 

締結部品及びアタッチメント

ねじ締結部品,その他のアタッチメントは,風車の製造業者の推奨するトルク,その他の指示書に従っ

て取り付ける。重要と識別された締結部品は点検し,取付トルク,その他の要求事項を確認する手順書を

入手し用いる。

特に,検査を実施して,次の事項を確認する。

−  支線,ケーブル,ターンバックル,ジンポールその他の機器及び装置が適切に組立て及び接続される。

−  安全な建設作業を行うために,必要なつり上げ装置が適切に取り付けられる。

12.12 

クレーン

ホイスト及びつり上げ装置

クレーン,ホイスト及びつり上げ装置(ホイスト用ワイヤ,フック,その他器具であって安全な建設作

業のため必要なものすべてを含む。

)は,安全なリフト作業及び荷物の最終設置のために適切でなければな

らない。建設及び取扱いに関する製造業者の指示書及び文書に,部品及び組立品の予想荷重及び安全なつ

り下げ点を示すことが望ましい。すべてのホイスト,ワイヤ及びフックは試験し,安全荷重を確認する。

13 

試運転

運転及び保守

13.1 

一般

試運転,運転,検査及び保守手順は,要員の安全を念頭に計画し,風力発電システムのマニュアルに規

定する。

すべての部品の検査及び保守のために,安全にアクセスできるよう設計する。

箇条 10 の要求事項は,計測の目的で風車に一時的に設置される電気的計測機器も対象とする。

運転及び保守要員は,承認された目,足,聴力及び頭部の保護器具を適宜用いる。タワーに登ったり,

地上又は水面上で作業をしたりするすべての要員は,それらの作業のトレーニングを受け,かつ,承認さ

れた安全ベルト,安全昇降器具又はほかの安全装具を用いる。水域では適宜浮き具を用いることが望まし

い。

13.2 

安全運転

点検及び保守に対する設計要求事項

運転要員による風車の通常運転は,地上で可能とする。自動/遠隔制御システムに優先する,標識で表

示した現地手動操作装置を備える。

電気負荷の喪失及び復帰のような,故障として検出されるが,風車のその後の安全性にとって重大でな

い外部事象については,停止サイクルの終了後に通常運転に自動復帰をしてもよい。


48

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

可動部分に接触することによって生じる事故から要員を保護するように設計された保護部材は,移動式

であるために頻繁な接触が予測される場合を除き,固定式とする。

保護具は,次のとおりである。

−  堅固な構造とする。

−  簡単に通り抜けができない配置とする。

−  可能な限り,取外しをしないで必要不可欠な保守作業ができるようにする。

故障を見付ける診断機器を利用できるような設計とする。

検査及び保守の要員の安全性を確保するために,設計には,次の項目を取り入れる。

−  検査及び日常の保守用に安全なアクセス通路及び作業場所。

−  回転部品又は可動部品への不慮の接触から要員を保護するための適切な手段。

−  高所に登り,作業する要員のための命綱,安全ベルト,その他の承認された保護器具の確保。

−  風況に応じた点検中又は DLC 8.1 に規定の設計状態に従った点検中,ロータ及びヨー機構の回転を拘

束する手段,又は翼のピッチ機構のようなその他の機械的機構の動きを拘束する手段,及び安全に拘

束を外す手段の設置。

−  活線の警告標識

−  蓄積された電気を放電させる適切な装置。

−  要員を火災から保護する適切な手段。

−  ナセルからの代替避難路

保守手順には,ハブ又は翼の内部などの閉じた作業区域に入る要員が危険な状況になった場合には待機

している作業員が確認でき,救助活動を開始できるようにするための安全手順が求められる。

13.3 

試運転に関する指示書

製造業者は,試運転に関する指示書を提供する。

13.3.1 

通電

製造業者の指示書には,風車の電気システムの初期通電手順を記載する。

13.3.2 

試運転試験

製造業者の指示書は,すべての装置,制御部及び機器が適切,安全,かつ,機能的に運転できることを

確認するために,据付後の風車試験の手順を含める。試験項目は,次のとおりであるが,これに限らない。

−  安全な始動

−  安全な停止

−  安全な緊急停止

−  過速度又はその代表的な模擬状態からの安全な停止

−  保護システムの機能試験

13.3.3 

記録

製造業者の指示書には,試験,試運転,制御パラメータ及び結果を記載する,適切な記録を保管するこ

との指示を含める。

13.3.4 

試運転後の業務

据付けが完了し,製造業者の推奨する一定期間の慣らし運転の後で,製造業者が要求する特定の作業を

実施する必要がある。


49

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

すなわち,締結部品の締め直し,潤滑油の交換,その他部品を点検し,適切に設定され機能しているこ

との確認及び制御パラメータの適切な調節であるが,これらに限らない。

風車のサイトは整地し,危険物を取り除き,また,侵食防止の手段を講じることが望ましい。

13.4 

運転員への指示マニュアル

13.4.1 

一般

風車の製造業者は,運転マニュアルを供給する。これには,試運転時に適宜そのサイトの特別な条件に

基づいて必要事項を追加補足する。マニュアルの内容は,次を含めるが,これに限らない。

−  風車の運転は,

この業務について適切に訓練又は指導を受けた運転要員によって行うという要求事項。

−  システムの安全動作限界及びその記載

−  始動及び停止の手順

−  警報動作の一覧表

−  緊急時の手順計画

−  次の要求事項を明確に記載する。

−  該当する場合,承認された目,足,聴力及び頭部の防護具を装着する。

−  タワーに登り,地面又は水面より高い場所で作業する要員は,そのような作業の訓練を受け,承認

された安全ベルト,安全昇降器具,その他の安全器具を用いる。

−  該当する場合,水域では浮き具を用いることが望ましい。

−  運転マニュアルは,運転及び保守要員が容易に利用できる。運転要員が読んで理解できる言語で書

く。

13.4.2 

運転及び保守記録に対する指示書

マニュアルは,運転及び保守の記録を保管することを明確に記載する。また,マニュアルは,次の事項

を含むことが望ましい。

−  風車の識別名称

−  発電量

−  運転時間

−  停止時間

−  報告された故障の日付及び時刻

−  整備又は修理の日付及び時刻

−  故障又は整備の内容

−  実施した対策

−  交換した部品

13.4.3 

予定外の自動停止に対する指示書

予定外の自動停止が,故障又は機能不良によって生じた場合,運転マニュアル又は指示書に別途指示が

ない限り,運転者は風力発電システムを再始動する前に原因を調査する。予定外の自動停止は,すべて記

録することが望ましい。

13.4.4 

信頼性の低下に対する指示書

異常又は信頼性の低下について徴候又は警報があった場合,その根本原因を除去する処置を講じる。

13.4.5 

作業手順計画

風車は,次のことを考慮した安全作業手順に従って運転することを,運転マニュアルに記載する。

−  電気システムの運転


50

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

−  運転と保守との調整

−  電力系統との切離し手順

−  タワーに登る手順

−  機器の取扱手順

−  悪天候のときの作業

−  意思伝達の手順及び緊急時の対応法

13.4.6 

緊急手順計画

予想される緊急状態を明確にし,運転要員の必要な手順を定める。

風車又はその部品の火災又は構造上明らかな損傷の危険がある場合,危険の性格が特定できない限り,

だれも風車に近付かないほうがよいことをマニュアルに明記する。

緊急時の手順計画を作成するとき,構造上の損傷の危険性が,次の事項によって増大する可能性を考慮

する。

−  過速度

−  着氷状態

−  雷雨

−  地震

−  支線の損傷又は緩み

−  ブレーキ装置の故障

−  ロータの不平衡

−  締結部品の緩み

−  潤滑不良

−  砂あらし(嵐)

−  火災及び洪水

−  その他部品の故障

13.5 

保守マニュアル

各風車には,保守マニュアルを装備する。これには,最低限,その製造業者が指定する保守要求事項及

び非常時の手段を含める。マニュアルには,予定外の保守も含める。

保守マニュアルには摩耗する部品を特定し,取替えの基準も記載する。

保守マニュアルに含むことが望ましい事項は,次のとおりである。

−  点検及び保守は,この作業において適切に訓練又は指導を受けた要員によって,規定の間隔で,風車

保守マニュアル中の指示書に従って実施する。

−  風車のサブシステム及びその運転の記載

−  潤滑の頻度,潤滑剤,その他特殊液体の種類を記載した潤滑計画

−  再試運転手順

−  保守検査の周期及び手順

−  保護用サブシステムの機能点検の手順

−  内部配線図及び単線結線図

−  支線検査,張力再調整スケジュール,ボルト検査及び締込みスケジュール。これには張力及びトルク

荷重を含む。

−  診断手段及びトラブルシューティング指針


51

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

−  推奨予備品一覧表

−  サイトの組立て及び据付図面一式

−  工具リスト


52

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

附属書 A

(規定)

風車カテゴリ S を規定する設計パラメータ

風車カテゴリ S の風車については,次の情報を設計図書に明記する。

風車仕様

定格出力

(kW)

ハブ高さにおける運転風速範囲 V

in

V

out

(m/s)

設計寿命

(年)

風条件

NTM 及び ETM に対して用いられる平均風速の関数としての乱流強度

年平均風速

(m/s)

気流の平均吹上角

(°)

風速分布(ワイブル,レイリー,実測値,その他)

ウィンドプロファイルモデル及びパラメータ

乱流モデル及びパラメータ

(m/s)

ハブ高さにおける極値風速 V

e1

及び V

e50

1 年及び 50 年の再現期間における極値突風モデル及びパラメータ

1 年及び 50 年の再現期間における極値風向変化モデル及びパラメータ

極値コヒーレントガストモデル及びパラメータ

極値コヒーレントガスト時の風向変化モデル及びパラメータ

極値ウィンドシアモデル及びパラメータ

電力系統の条件

通常の供給電圧及び範囲

(V)

通常の供給周波数及び範囲

(Hz)

電圧不平衡

(V)

電力系統の停電の最大継続期間

(日)

電力系統の停電の回数

(回/年)

自動再閉路周期(説明)

対称及び非対称の外部故障中の挙動(説明)

その他の環境条件(考慮するもの)

洋上風車の場合の設計条件(水深,波浪条件など)

通常温度範囲及び極値温度範囲

(℃)

大気中の相対湿度

(%)

大気密度

(kg/m

3

日射

(W/m

2

雨,あられ,雪及び氷結

化学的活性物質


53

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

機械的活性粒子

雷保護システムの説明

地震モデル及びパラメータ

塩分

(g/m

3


54

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

附属書 B

(参考)

乱流モデル

序文

この附属書は,乱流モデルについて記載するもので,規格の一部ではない。

設計荷重計算に用いる二つの乱流モデルを次に示す。乱れの速度変動は,その成分が零平均ガウス統計

量をもつ定常,ランダムベクトル場と仮定する。最初のモデルを推奨する。

a) Mann

一様シアモデル

b) Kaimal

のスペクトル及び指数コヒーレンスモデル

モデルのパラメータは,6.3 に示されている一般的な乱流要求事項を満足するように選択されている。

B.1 Mann

1994

一様シア乱流モデル

このモデルの記載は,三次元速度スペクトルテンソルを定義した点で,従来のモデルとは幾分異なる。

モデルは von Karman (1948)の等方性エネルギースペクトルが一様の平均速度シアによって急速にゆが

(歪)むと仮定する。その条件から結果として生じるスペクトルテンソル成分は,式(B.1)∼式(B.6)で与え

る。

}

)

(

]

)

(

[

2

{

4

)

(

)

,

,

(

2

1

2

2

2

1

1

1

3

1

2

1

2

0

4

0

0

3

2

1

11

ζ

ζ

β

π

k

k

k

k

k

k

k

k

k

k

E

k

k

k

Φ

(B.1)

}

)

(

]

)

(

[

2

{

4

)

(

)

,

,

(

2

2

2

2

2

1

2

1

3

2

2

2

2

0

4

0

0

3

2

1

22

ζ

ζ

β

π

k

k

k

k

k

k

k

k

k

k

E

k

k

k

Φ

(B.2)

)

(

4

)

(

)

,

,

(

2

2

2

1

4

0

3

2

1

33

k

k

k

k

E

k

k

k

Φ

π

(B.3)

}

)

(

]

)

(

[

]

)

(

[

{

4

)

(

)

,

,

(

2

1

2

2

2

1

1

1

3

2

2

1

3

1

2

1

4

0

0

3

2

1

12

ζ

ζ

ζ

β

ζ

β

π

k

k

k

k

k

k

k

k

k

k

k

k

k

k

E

k

k

k

Φ

 (B.4)

}

)

(

]

)

(

[

{

4

)

(

)

,

,

(

1

2

2

2

1

1

3

1

2

2

0

0

3

2

1

13

ζ

β

π

k

k

k

k

k

k

k

k

k

E

k

k

k

Φ

(B.5)

}

)

(

]

)

(

[

{

4

)

(

)

,

,

(

2

2

2

2

1

1

3

2

2

2

0

0

3

2

1

23

ζ

β

π

k

k

k

k

k

k

k

k

k

E

k

k

k

Φ

(B.6)

ここに,

:無次元相関テンソル

     

∫ ∫ ∫

+∞

+∞

+∞

)

,

,

(

)

,

,

(

1

)

,

,

(

)

,

,

(

8

1

)

,

,

(

)

,

,

(

3

3

2

2

1

1

j

3

2

1

i

2

iso

3

2

1

ij

3

2

1

3

2

1

ij

3

3

2

1

ji

*

3

2

1

ij

3

3

2

2

1

1

δ

δ

δ

σ

δ

δ

δ

δ

δ

δ

δ

δ

δ

π

δ

ι

δ

ι

δ

ι

λ

λ

λ

x

x

x

u

x

x

x

u

E

R

d

d

d

e

e

e

R

k

k

k

Φ

k

k

k

Φ

k

k

k

u

1

u

2

u

3

:それぞれ主方向,横方向及び鉛直方向速度成分

δ

1

,

δ

2

,

δ

3

:無次元空間距離ベクトル成分


55

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

k

1

k

2

k

3

:三つの成分方向の無次元空間波数

k

2

3

2

2

2

1

k

k

k

:無次元波数ベクトルの大きさ

k

0

2

1

3

1

2

]

)

(

[

)

(

2

k

k

k

k

k

k

β

β

:シアゆがみ前の大きさ

, 

2

1

1

2

2

2

1

2

1

1

C

C

k

k

C

k

k

C

ζ

ζ

)

(

]}

)

(

[

{

)

(

2

2

2

1

2

1

3

3

2

2

2

1

2

1

1

k

k

k

k

k

k

k

k

k

k

k

C

β

β

⎟⎟

⎜⎜

)

(

]

)

(

[

)

(

arctan

)

(

1

1

3

2

0

2

2

2

1

1

2

3

2

2

2

1

2

0

2

2

2

k

k

k

k

k

k

k

k

k

k

k

k

k

k

C

β

β

β

6

17

2

4

)

1

(

453

.

1

)

(

k

k

k

E

:無

元 von Karman  等方性エネルギースペクトル

がみ時間

に逆比例する無次元ゆ

  =

k

dp

p

E

k

k

F

k

k

)

(

,

3

4

,

6

17

,

3

1

)

(

2

2

1

2

3

2

γ

β

2

F

1

:超幾何関数

λ

,

2

iso

σ

 :非等方性分散及び尺度パラメータ

γ

:無次元シアゆがみパラメータ

このモデルは von Karman の等方性モデルより複雑であるが,このモデルは一つの追加パラメータ,すな

わちシアゆがみパラメータ

γ

  を含むだけである。このパラメータが零のとき,等方性モデルとなる。この

パラメータが増加するにつれて,主方向及び横方向速度成分分散は増し,一方鉛直方向速度成分分散は減

少する。その結果生じる乱流渦構造は主方向に引き伸ばされ,かつ,1−2 平面に関して傾いている。

注記  超幾何関数

2

F

1

の定義は,次のとおりである。

=

×

0

n

n

n

n

1

2

!

)

(

)

(

)

(

)

,

,

,

(

n

n

z

c

b

a

z

c

b

a

F

ここに,(a)na(a+1)(a+2)…[a+(n−1)]

モデルによって作られるランダム速度場がハブ高さの風速において風車を通り過ぎて対流によって伝達

されると仮定すると,ある点で観測される速度成分スペクトルは,スペクトルテンソル成分を積分するこ

とによって計算してもよい。特に,無次元の片側スペクトルは,式(B.7)で与える。

⎟⎟

⎜⎜

⎟⎟

⎜⎜

hub

ij

hub

2

1

2

iso

2

1

i

2

4

)

(

V

f

Ψ

V

f

f

S

f

λ

λ

π

π

σ

σ

σ

(B.7)

ここに,

∫ ∫

3

2

3

2

1

1

)

,

,

(

)

(

dk

dk

k

k

k

Φ

k

Ψ

ij

ij

ただし,iの場合,Ψ

ij

(

k

1

):一次元波数自己スペクトル,


56

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

        iの場合,Ψ

ij

(

k

1

):一次元波数相互スペクトル,

及び

∫ ∫ ∫

+∞

+∞

+∞

3

2

1

3

2

1

ij

2

iso

2

i

)

,

,

(

dk

dk

dk

k

k

k

Φ

σ

σ

:成分分散

同様に,主方向に直角の空間的な間隔に対して,コヒーレンスは,式(B.8)で与える。

⎟⎟

⎜⎜

⎟⎟

⎜⎜

⎟⎟

⎜⎜

∫ ∫

+∞

+∞

hub

jj

hub

ii

3

2

3

2

hub

ij

3

2

ij

2

2

,

,

2

)

,

,

(

3

3

2

2

V

f

Ψ

V

f

Ψ

dk

dk

e

e

k

k

V

f

Φ

f

Coh

ik

ik

λ

λ

λ

λ

λ

π

π

π

δ

δ

δ

δ

(B.8)

ただし,この積分には解析式は知られていない。積分はパラメータ

γ

  の特定の値に対して数値的に行う。

Mann (1998)はこの積分を実行し,その結果を Kaimal スペクトルモデルと比較した。Kaimal モデルに対す

る最小二乗近似がシアパラメータ

γ

  に式(B.9)値を与えた。

γ

=3.9 (B.9)

また,式(B.10)の分散関係式を与えた。

⎪⎪

5

.

0

7

.

0

85

.

0

65

.

1

25

.

3

1

3

1

2

2

iso

2

3

2

iso

2

2

2

iso

2

1

σ

σ

σ

σ

σ

σ

σ

σ

σ

σ

(B.10)

得られた横方向分散は,

B.1

の値よりわずかに小さいことに注意を要する。尺度パラメータは,漸接

慣性小領域主方向スペクトルを平均化することによって求めることができる。したがって,

1

3

5

3

2

hub

1

2

1

3

5

3

2

hub

2

iso

1

8

.

0

05

.

0

2

475

.

0

)

(

Λ

f

V

Λ

f

V

f

S

⎟⎟

⎜⎜

⎟⎟

⎜⎜

λ

λ

σ

π

σ

(B.11)

要約すると,Mann モデルの三つのパラメータは,式(B.12)で与える。

1

1

iso

8

.

0

55

.

0

9

.

3

Λ

σ

σ

γ

l

(B.12)

ここに,

σ

1

及び

Λ

1

は,6.3 の規定による。

三方向乱流速度シミュレーションの場合,速度成分はスペクトルテンソルの分解及び離散フーリエ変換

による近似によって決定される。したがって,三次元空間ドメインは等間隔の離散点に分けられ,各点の

速度ベクトルは,式(B.13)で与える。

)

,

,

(

)

,

,

(

)

,

,

(

)

,

,

(

)

,

,

(

)

,

,

(

)

,

,

(

3

2

1

3

3

2

1

2

3

2

1

1

3

2

1

,

,

3

2

1

3

2

1

3

2

1

k

k

k

n

k

k

k

n

k

k

k

n

k

k

k

C

e

z

y

x

u

z

y

x

u

z

y

x

u

k

k

k

zk

yk

xk

i

λ

(B.13)

ここに,

0

)

(

2

)

,

,

(

2

1

2

0

2

2

2

0

1

2

1

1

3

2

2

2

1

1

1

3

1

2

4

0

3

3

2

1

0

3

2

iso

3

2

1

    

    

  

    

  −

 −

   

  

k

k

k

k

k

k

k

k

k

k

k

k

k

k

k

k

k

Δ

N

N

N

k

E

k

k

k

C

ζ

β

ζ

β

ζ

ζ

π

σ

λ


57

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

u

1

,u

2

,u

3

  =その実数部及び虚数部が乱流速度場の独立した実現値である複素ベクトル成分

n

1

,n

2

,n

3

  =各々異なる波数に対して独立であり,かつ,単位分散をもつ実数部と虚数部をも

つ複素ガウスランダム値

xyz

=空間格子点の座標

N

1

,N

2

,N

3

 =三方向の空間格子点の数

     Δ

=空間的な格子解像度

この表現式で,

3

2

1

,

,

k

k

k

の表記は,格子中のすべての無次元波数にわたる総和を意味し,FFT 手法を用い

て計算できる。空間ドメインがすべての次元で

λ

8 より小さい場合,スペクトルテンソル因数分解[C(k

1

k

2

,

k

3

)]が推奨される。この手順は,Mann (1998)の論文に記載されている。

B.2 Kaimal

1972

16) 

のスペクトル及び指数コヒーレンスモデル

成分パワースペクトル密度は,式(B.14)によって無次元の形式で示される。

3

5

hub

k

hub

k

2

k

k

6

1

4

)

(

⎟⎟

⎜⎜

V

fL

V

fL

f

fS

σ

(B.14)

ここに,

f: 周波数(Hz)

k: 速度成分の方向を示す指数(すなわち,1=縦方向,2=横方

向,3=上方向)

S

k

片側速度成分スペクトル

σ

k

速度成分標準偏差[式(B.15)参照]

L

k

速度成分の積分尺度パラメータ

0

k

2

k

)

df

f

S

σ

(B.15)

乱流スペクトルパラメータは,

B.1

に記載した。

B.1

Kaimal

モデルの乱流スペクトルパラメータ

速度成分指数(k

1 2 3

標準偏差  σ

k

σ

1

 0.8

σ

1

 0.5

σ

1

積分尺度  L

k

 8.1Λ

1

 2.7Λ

1

 0.66

Λ

1

注記

σ

1

は乱流の標準偏差,

Λ

1

は積分尺度を表す(6.3 参照)

縦方向の速度成分の空間の相関構造を考慮に入れるため,Kaimal の自己スペクトルと併せて,式(B.16)

の指数コヒーレンスモデルを用いることができる。

⎪⎭

⎪⎩

×

5

.

0

2

C

2

hub

12

.

0

12

exp

)

,

(

L

r

V

r

f

f

r

Coh

(B.16)

ここに,

Coh(rf ): 自己スペクトル関数によって空間的に分離された二つ

の地点における,縦方向の風の速度成分の相互スペク
トル密度の絶対値によって定義されるコヒーレンス関


58

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

r: 平均風向に対する法平面上への,2 点間の分離ベクトル

の投影の大きさ

f: 周波数(Hz)

L

C

=8.1

Λ

1

コヒーレンス尺度パラメータを表す。

16)

B.1

の乱流成分分散比及び鉛直方向速度成分に対する式の形は,元の Kaimal スペクトルモデ

ルと幾分異なっている。主方向尺度は,元の Kaimal スペクトルに近似するように選ばれており,

また,横方向及び鉛直方向尺度に対しては,漸近慣性小領域及び

B.1

で与える分散比に対し

て 6.3 のスペクトル要求事項を満足するように選ばれている。

B.3 

参考文献

J.C. Kaimal, J.C. Wyngaard, Y. Izumi, and O.R. Cote, “Spectral characteristics of surface-layer turbulence”, Q.J.R.

Meteorol. Soc., v. 98, 1972, pp. 563-598.

T. von Karman, “Progress in the statistical theory of turbulence”, Proc. Nat. Acad. Sci., v. 34, 1948, pp. 530-539.

J. Mann, “The spatial structure of neutral atmospheric surface-layer turbulence”, J. of Fluid Mech., v. 273, 1994,

pp. 141-168.

J. Mann, “Wind field simulation”, Prob. Engng. Mech., v. 13, n. 4, 1998, pp. 269-282.


59

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

附属書 C 
(参考)

地震荷重の評価

序文

この附属書は,地震荷重の評価について記載するもので,規格の一部ではない。

複雑な解析の必要性を容易に判別できない場合に用いるために,地震荷重の計算の簡易的従来手法をこ

こに示す。

主要な単純化は,一次タワー曲げモードより高い振動モードを無視することにあり,それゆえ全体構造

はこれと同じ加速度を受けると仮定される。二次モードの無視は非安全側の重大な単純化であるので,タ

ワー質量をタワー頂部質量に組み入れ,また,従来の空力荷重を加えることによってこの単純化を埋め合

わせる。

地表面加速度を導く方法は 11.6 と一致する。詳細なサイトデータがない場合,従来手法による仮定がさ

れる。ここに,ISO 3010 が用語のベースとして用いられている。

手順は,次のステップからなる。

−  関連する我が国の規格によって要求されるサイト及び土壌条件を評価又は推定する。

−  正規化された設計応答スペクトル及び地震災害地域区分ファクタを用いて,臨界ダンピングの 1 %ダ

ンピングを仮定して,一次タワー曲げ固有周波数における加速度を求める。

−  ロータ全体,ナセル及びタワー質量の 50 %がタワー頂部に集中しているシステムが上述の加速度を受

けた場合の荷重を計算する。

−  この結果を定格風速における緊急停止の場合に計算される特性荷重に加える。

−  この結果を設計荷重又は風車の設計抵抗力と比較する。

タワーがこの合成荷重に耐えられる場合,

それ以上の検討は不要である。

合成荷重に耐えられない場合,

11.6

に従って,徹底的な検討を行う。


60

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

附属書 D 
(参考)

風車後流及びウィンドファーム乱流

序文

この附属書は,風車後流及びウィンドファーム乱流について記載するもので,規格の一部ではない。

D.1 

後流効果

疲労計算では,通常運転中の有効乱流強度 I

eff,

,Frandsen (2003),を用いて隣接風車による風車後流効果

を考慮したほうがよい。ハブ高さ平均風速に条件付けられる有効乱流強度は,式(D.1)のように定義しても

よい。

m

m

d

V

I

V

p

V

I

1

2

0

hub

hub

hub

eff

)

(

)

(

)

(

⎪⎭

⎪⎩

π

θ

θ

θ

(D.1)

ここに,

p: 風向の確率密度関数

I: 風向

θ  によって変わる周囲及び後流気流が組み合わさった乱

流強度

m: 対象の材料の Wöhler(S−N 曲線)指数

次では一様分布

)

(

hub

V

p

θ

が仮定される。一様分布

17)

以外に対して式を適合させることも容認できる。ウ

ィンドファーム内の平均風速の低下は,仮定しないものとする。

min{

d

I

 }  ≧10 の場合,

hub

eff

ˆ

V

I

σ

(D.2)

min{

d

I

 }  <10 の場合,

0.06

)

(

ˆ

ˆ

)

1

(

1

ˆ

w

1

1

i

T

w

w

hub

hub

eff

eff

, 

p

d

p

Np

V

V

I

m

N

i

m

m

=

σ

σ

σ

(D.3)

ここに,

σˆ : 周囲予想乱流標準偏差

2

2

hub

i

2

hub

T

ˆ

)

/

3

.

0

5

.

1

(

9

.

0

ˆ

σ

σ

c

V

d

V

:  最大中央後流,ハブ高さにおける乱流標準偏差

d

i

ロータ直径によって正規化された,隣接風車 No. i までの距離

c: 1 m/s に等しい定数

I

eff

有効乱流強度

N: 隣接風車の数

m: 対象の構造部品の材料に対応する Wöhler 曲線指数

17)

  風向分散が非一様な場合は,p

w

を,一様な風向分散に伴う可能性に対する,隣接するタービン

の方向における風向の実際の可能性の比に等しい係数を用いて調整することができる。

その他の風車の背後に“隠れた”風車からの後流効果は考慮する必要はない。一つの横に並んだ風車の

列を例にとると,問題とする風車に最も近い 2 ユニットからの後流だけが検討される。ウィンドファーム

の構成に依存するが,I

eff

  の計算に含まれる最も近くの風車数は,次の表に示されている。


61

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

ウィンドファーム構成は,

“横 2 列を超えるウィンドファーム内部”のケースについて,

D.1

に示す。

ウィンドファーム構成

2 基の風車 1 
1 列 2 
2 列 5

横 2 列を超える風車構成のウィンドファーム内部

8

大きなウィンドファーム内部では,風車は風車自身の周囲乱流を発生する傾向がある。したがって,次

に示す周囲乱流を仮定する。

a)

対象とする風車からウィンドファームの“端”までの風車の数が 5 個を超えるとき,又は

b)

支配的な風向きに直角な列中の間隔が 3D より小さいとき。

σ

σ

σ

σ

ˆ

ˆ

ˆ

2

1

'

ˆ

2

2

w

(D.4)

T

f

r

hub

w

2

.

0

1

36

.

0

ˆ

C

d

d

V

σ

(D.5)

ここに,

C

T

スラスト係数

d

r

及び d

f

それぞれ横に並んだ列中のロータ直径の間隔と横列間
との間隔

D.1

構成−横

2

列を超える列からなるウィンドファーム内部

D.2 

参考文献

S. Frandsen (2003) Turbulence and turbulence generated fatigue in wind turbine clusters, Ris

φ  report R-1188.


62

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

附属書 E

(参考)

測定−相関−予測法[Measure-Correlate-Predict (MCP)]による

風車サイトの風分布の予測

序文

この附属書は,測定−相関−予測法[Measure-Correlate-Predict (MCP)]による風車サイトの風分布の予

測について記載するもので,規格の一部ではない。

特定のサイトに対する風車の適合性の評価には,サイトの設計−臨界風速パラメータの評価が必要とな

る。評価を行うに当たって,往々にしてウィンドファームの単一の設置点でさえデータが不十分である。

しかしデータ記録は,ほかの場所の長期記録に基づく外挿によって総合的に拡張してもよい。MCP 法は,

その拡張された記録を作る手段である。次の説明は,East Anglia 大学の国立風力・気象研究部門が ETSU

委託事業 W/11/00427/00 のもとで作成した一組の指針“風力エネルギーサイトの極値風速の予測”からと

られている。

E.1 

測定−相関−予測(

MCP

MCP 法は,データの平均化期間及び方位特性が変化する多くの形態をとる。風車サイト及び近くの基準

気象観測所の一時間間隔の同時刻データに基づく一つのバージョンを記載する。これらのデータは,クロ

スプロットされ,方位区分方向に直線回帰式を導くのに用いられる。方位区分は気象観測所によって用い

られる方位区分と同じで,一般的に 30°方位区分である。回帰式を導くのに用いられるデータセットは,

可能な限り長い必要がある。少なくとも季節の変化をカバーすることが望ましい。

E.2 

年平均風速及び分布への適用

上記の回帰式は短期間変化を除くのに十分長い期間,多分少なくとも 7 年にわたる長期の気象観測所記

録に対して方位区分ごとに適用される。その結果はサイトの 1 時間平均記録で,サイト評価のために確率

分布としてデータ処理される。

E.3 

極値風速への適用

極値風速の予測に対する古典的方法は,精度を改善するために修正された Gumbel 解析[例えば,

“建築

構造物の風荷重に対する設計者指針”NJ Cook,Butterworths,1995 に述べられている Best Leiblein Unbiased

Estimators (BLUE)手法]である。データの推奨される最小長さは 10 年である。

ほかに独立暴風法(MIS),すなわち Gumbel 法から派生した方法を適用することも可能である。これはデ

ータセットから 1 年当たり複数のデータ点を用いるもので,やはり Cook が述べている。この方法は 7 年

の短いデータセットを使用できる。MIS 法は,すべての値が独立事象の値であることを保証するために,

しきい値及び時間フィルタを適用して,独立した暴風のピーク風速を選択する。

方位区分固有の回帰係数は,Gumbel 基準の年に基づいて,また,MIS の暴風事象に基づいて,また,方

位区分に基づいて気象観測所の最大時間風速表に適用される。したがって,類似の表が風車サイトに対し

て作られる。Gumbel 解析では候補地の各年の最大値を抽出して用いる。


63

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

その係数は時間平均データから作られ,また,時間平均データに適用されるので,係数の使用はここで

は適切である。この方法では,候補地の最大値が基準サイトの最大値と同じ方位区分で生じるという仮定

はない。方位固有の回帰係数を用いることによって候補地の最大値は,サイト間の関係を考慮して,より

正確に決定してもよい。

極値解析における適切な再現期間の選択には,年間で起きる事象数を考慮することが望ましい。

突風率は,サイト観測データ又は理論的方法によって推定することが望ましい。

E.4 

参考文献

N J Cook, The designers guide to wind loading of building structures, Butterworths, 1995.

National Wind Power and Climatic Research Unit of the University of East Anglia, Prediction of extreme wind

speed at wind energy sites, a set of guidelines prepared under ETSU contract W/11/00427/00.

R I Harris, Gumbel re-visited−a new look at extreme value statistics applied to wind speeds, Journal of Wind

Engineering and Industrial Aerodynamics, Volume 59 (1996) pp. 1-22.

D C Quarton, Wind Farms in Hostile Terrain, Final Report, A report prepared under ETSU contract

W/43/00501/00/00, July 1999.

R.I. Harris, The accuracy of design values predicted from extreme value analysis, Journal of Wind Engineering

and Industrial Aerodynamics, 89 (2001) pp. 153-164.


64

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

附属書 F

(参考)

終極(終局)強度解析のための荷重の統計的外挿

序文

この附属書は,終極(終局)強度解析のための荷重の統計的外挿について記載するもので,規格の一部

ではない。

F.1 

荷重の統計的外挿

危険部位の耐力が材料の抵抗力を超えるとき,構造物の破壊が起きる。応力が荷重の増加とともに次第

に増加するように局所応力が荷重に関係すると仮定すると,構造部品の強度は,破壊を引き起こす終極(終

局)荷重によって定義してもよい。運転荷重を与えると,荷重の極値を終極(終局)荷重耐力と比較して,

適切な安全率を加えて,構造物の適合性を評価することができる。

風車の場合,荷重は種々の風条件に対して乱流風の流入量に左右される。したがって,適切な荷重特性

値を決定するために,統計的基礎に基づいた荷重の極値を解析することが必要である。ある与えられた風

条件に対して,短時間荷重応答を定常ランダムプロセスとしてモデル化することは道理にかなっている。

さらにいえば,最大の荷重値は大きく間隔が空いた時間に生じ,したがって,統計的に独立であると仮定

すると,最大荷重 F

ext

が観測期間 において与えられた荷重 を超える確率は,式(F.1)で与える(Gumbel,

1958 年及び Cramér,1966 年参照)。

[

]

)

,

(

max

ext

)

(

1

)

,

(

Prob

T

V

n

E

V

F

F

T

V

F

F

(F.1)

ここに,

( )

V

F

F

max

: 荷重プロセスに対して極大値の短時間確率分布関数

(

)

T

V

n

E

,

観測期間中の極大値の期待値

式(F.1)に示されているように,これらの統計量は平均風速 に条件付けられており,また,観測期間 T

にも依存する。

すべての運転時の風条件を考えると,長時間超過確率はすべての運転風速にわたって積分することによ

って式(F.1)で与える。

)

,

(

)

(

Prob

T

F

P

T

F

F

e

ext

out

in

ext

V

V

dV

V

p

T

V

F

F

)

(

)

,

(

Prob

(F.2)

ここに,p(V)はハブ高さの風速に対する確率密度関数で,

6.3.1.1

の標準風車カテゴリに対して定められ

る。受け入れられる超過確率は,荷重特性値と関係した再現期間 T

r

  中の長さ の時間間隔の数の逆数で

ある。結果として生じる荷重特性値 F

k

は,式(F.3)を解いて得られる。

r

k

e

)

,

(

T

T

T

F

P

(F.3)

関数 Prob(F

ext

F|V,  T)は,応答シミュレーションから決定される。これに基づき極値は,次のようにし

て得られる。

−  抽出される極値は,それらが独立であると仮定し得るように選ばれる。

−  極値の数は,分布のタイプ(ガンベル分布,ワイブル分布,その他)を決定するのに十分で,極値付


65

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

近の挙動を信頼度高く推定できる。

−  乱流によって荷重が最も高くなると予想される場合には,シミュレーション中に風速を含める。

荷重特性値は,次の手順によって推定してもよい。

a)

  所定の風速 V

j

に対するシミュレーションデータから,独立した荷重の極値を抽出する。これを行う一

つの方法は,平均値+荷重プロセスの標準偏差の 1.4 倍の連続した上向交差間の最大値を選ぶことで

ある。

b)

  選択された極値データに分布を合わせる。分布に合わせる一つの方法は,Moriarty, et. al. (2002)による。

データが受容できるかどうか,また,データに比べて末端部の挙動を信頼度高く推定するのに十分な

データがあるかどうかを知るために,選択された分布のタイプを検討することが望ましい。多くの風

速条件にわたって分布する最小 300 分の時間シリーズのデータが推奨される。

c)

  代表的な 10 分間観測期間 の最大数の期待値を,式(F.4)から推定する。

s

s

j

T

T

n

(F.4)

ここに,

T

s

所定風速 V

j

に対するすべてのシミュレーションデータの全時

n

s

同じシミュレーションデータから抽出された最大の全数

d)

  長期間超過確率を荷重レベルの関数として,式(F.5)から計算する(

6.3.1.1

の標準風速カテゴリに対す

るレイリー風速分布を仮定して)

{

}

j

V

ΔV

V

V

ΔV

V

n

e

e

V

F

F

F

P

2

ave

j

j

2

ave

j

j

j

2

2

2

2

j

max

e

)]

|

(

[

1

)

(

π

π

(F.5)

ここに,

V

j

風速ビン中心

Δ

V

j

ビンの幅

e)

 50 年の再現期間及び 10 分間の基準期間に対して,荷重の特性値を図解によるか又は数値的に根を求

める方法によって解く。

P

e

(F

k

)=3.8×10

7

(F.6)

この手順を用いるとき式(F.2)の積分を近似する場合,風速ビンの数及び解像度を適切に選ぶことに注意

が必要である。V

r

  及び V

out

  周辺の風速に注意することが望ましい。残りのすべてのビン値を無視して,

荷重特性値に生じる差を決定することによって,分割精度は推定できる。

F.1

は,1 年及び 50 年極値が計算された長期超過確率からどのように決定されるかを示す。翼曲げ荷

重は,定格風速における平均翼曲げ荷重によって正規化されている。また,カットイン及びカットアウト

間の異なる平均風速におけるすべてのシミュレーションに対して,計算翼曲げ荷重の最大値が図に示され

ている。


66

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

長期超過確率の計算値

50 年極値
シミュレーションの最大荷重

0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

正規化された曲げモーメント

10

0

10

–1

10

–2

10

–3

10

–4

10

–5

10

–6

10

–7

10

–8

規化された曲げモーメ

ントの超過確率

F.1

10

分間で最大面外翼曲げ荷重を超える確率

(定格風速における平均曲げ荷重による正規化)

F.2 

参考文献

Cramér, H., On the Intersections Between Trajectories of a Normal Stationary Stochastic Process and a High Level,

Arkiv för Matematik., v.6, 1966, pp. 337-349.

Gumbel, E.J., Statistics of Extremes, Columbia Univ. Press, 1958, p. 73.

Patrick J. Moriarty, P.J., Holley, W.E. and Butterfield, C.P., Effect of turbulence variation on extreme loads

prediction for Wind turbines, paper AIAA-2002-0050, 2002.


67

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

附属書 G 
(参考)

荷重推定に関する Miner 則を用いる疲労解析

序文

この附属書は,荷重推定に関する Miner 則を用いる疲労解析について記載するもので,規格の一部では

ない。

G.1 

疲労解析

疲労破壊は,変動荷重による損傷の蓄積から生じる。疲労に関するこの種の巨視的な見解については,

損傷の増大は局所の応力−ひずみ線図で示される,個々の各ヒステリシスサイクルから生じるということ

が一般的に理解されている。したがって,荷重時刻歴の極大値は,極小値局所最小値と対になって一つの

全サイクルを描く(レインフローサイクルカウント,Matsuishi & Endo,1968,又は Dowling,1972 参照)

これらのサイクルの各々は一組の極値によって,

(又は範囲及び中間値によって,等価となる。すなわち,

二つの対となるサイクル極値間の差及び平均によって)特徴付けられる。損傷が線形的に,かつ,各サイ

クルに独立に蓄積する場合(Palmgren,1924 及び Miner,1945)

,損傷の合計は,式(G.1)

  18)

によって与え

る。

( )

i

i

S

N

D

1

 (G.1)

ここに,

S

i

番目のサイクルの荷重範囲

N(

): 独立変数によって与える範囲の一定の大きさの荷重におけ

る破損までのサイクル数(すなわち S−N 曲線)

18)

  簡素化するために,各サイクルの中間点荷重レベルの変動の影響は無視している。中間点レベ

ルを変える問題が等価サイクル範囲の使用によって後ほど取り組まれるとき,この制限は除外

される場合がある。

この式では,更に破壊部位の局所応力は,荷重と線形関係にあると仮定されている。疲労解析の場合,

一般的に,設計に選ばれる S−N 曲線は,材料データから曲線を決定する場合の,所定の生存確率(しば

しば 95 %)及び信頼レベル(しばしば 95 %)に関係付けられる。

したがって,損傷が合計して 1 になるときが望まれる最小レベルの信頼度を与えると期待される。

風車の寿命の場合,風条件の広い範囲で生じるサイズが変わる多くのサイクルに見舞われる。したがっ

て,設計のために,荷重スペクトルを推定する必要がある。

このスペクトルの最大サイクルは,シミュレーションによって得られるデータ又は風車寿命より著しく

短い(継続)時間の試験結果の近似によって推定する。

各風条件に対して,荷重は定常的なランダムプロセスによってモデル化されると仮定し得る。したがっ

て,所定の風速 及び特定時間間隔 に対して予想される損傷の期待値は,式(G.2)で与える場合がある。

0

ST

)

(

)

,

(

,

dS

S

N

T

V

S

n

T

V

D

E

 (G.2)

ここに,

(

)

T

V

S

n

,

ST

サイクル数に対する密度関数として定義される短時間
荷重スペクトル

この場合,時間間隔 中の荷重範囲間隔(S

A

S

B

)中の予想サイクル数は              で与える。

B

A

)

,

(

ST

S

S

dS

T

V

S

n


68

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

全風車寿命間の通常運転荷重による予想される損傷の期待値は,時間間隔を全寿命時間に延長して,及

び,運転風速範囲にわたって積分して得られる。したがって,

∫ ∫

out

in

out

in 0

ST

)

(

)

(

)

,

(

)

(

,

V

V

V

V

dSdV

V

p

S

N

T

V

S

n

T

Lifetime

dV

V

p

T

V

D

E

T

Lifetime

D

E

 (G.3)

ここに,

p(V):

6.3.1.1

の標準風車カテゴリに規定されるハブ高さ風速に対

する確率密度関数

さて,長時間荷重スペクトルを,式(G.4)のように定義すると,

out

in

ST

LT

)

(

)

,

(

)

(

V

V

dV

V

p

T

V

S

n

T

Lifetime

S

n

 (G.4)

式(G.5)が得られる。

0

LT

)

(

)

(

dS

S

N

S

n

D

E

 (G.5)

多くの場合,荷重及び風速値の範囲を離散的なビンに分割することは実際上都合がよい。この場合,予

想される損傷は,式(G.6)で近似できる。

j,k

k

jk

S

N

n

D

E

)

(

 (G.6)

ここに,

n

jk

番目の風速及び 番目の荷重ビン中の寿命荷重サイクルの
予想数

S

k

番目の荷重ビンの中央値

したがって,上記の定義から,

∫ ∫

2

2

2

2

ST

)

(

)

,

(

j

j

j

j

k

k

k

k

ΔV

V

ΔV

V

ΔS

S

ΔS

S

jk

dSdV

V

p

T

V

S

n

T

Lifetime

n

 (G.7)

ここに,

ΔV

j

番目風速ビンの中

ΔS

k

番目荷重ビン

これらの結果を用いて,また,安全率を荷重に適用するという 7.6.3 の要求事項を考慮すると,疲労解析

の限界状態関係式は,式(G.8)となる。

1

)

(

)

(

0

LT

dS

S

N

S

n

γ

 (G.8)

ここに,

γ =γ

f

 γ

m

 γ

n

それぞれ荷重,材料及び損傷結果に対する三つの 
一般部分安全率の積

離散的記述では,この式は,式(G.9)となる。

(

)

k

j

k

jk

S

N

n

,

1

γ

 (G.9)

大きな損傷が

2

の複数の荷重ケースで起きる場合,すべての荷重ケースに対する損傷の各部分は,式

(G.9)の左辺を用いて計算されるが,合計して 1 以下とする。

以上の公式化は,各荷重サイクルの中間点レベルの変化の影響を無視している。この変化を扱う一つの

単純な方法は,固定の中間点値でもって等価荷重サイクルによる損傷を定義することである。この場合,

等価サイクルによる損傷は,

変化する中間点をもつサイクルによる損傷と正確に同じである。

したがって,


69

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

破壊は,所定のサイクル範囲と中間点値におけるサイクルの場合と同じ,等価サイクル範囲 S

eq

の一定の

大きさサイクル数で(平均して)起きるものとする。したがって,変化する中間点値 N

(SM)に対する,

S−N 曲線の一群 N

(SM)を定義すると,等価損傷式

N(S

eq

M

0

)=N(SM) (G.10)

は Sの所定の値及び選択された一定の中間点レベル M

0

が与えると,S

eq

に対して解ける。数学的には

これは,式(G.11)のように記される。

S

eq

N

1

[N(SM), M

0

]  (G.11)

ここに,逆関数は第 2 の独立変数の関数 中の第 1 独立変数の解に適用される。典型的に M

0

は,荷重

データ中で直接観測される範囲の値の中央にある等価荷重サイクルに対して,値(最大荷重と最小荷重

との比)を与えるように選ばれる。

しばしば,すべての運転風速を考慮した平均荷重が受容される。幸いにも,S−N 曲線が解析的に(例

えば,べき乗又は指数形式)定義される大抵の場合,等価サイクル荷重範囲は容易に計算される。しかし,

範囲が大きくなるにつれて,注意が必要になる。中間点の値にもよるが,所与のサイクルに対する最大又

は最小荷重値は静的強度に近くなり得る。その場合,単純な高サイクル S−N 曲線を適用しないほうがよ

い。また,より大きな範囲の値では,局所の応力又はひずみは,圧縮−圧縮が,又は引張り−引張りが支

配的なケースから引張り−圧縮ケースに遷移し得る。これは異なる解析的な S−N 曲線表現をもつことに

なる。このため,等価サイクル範囲を決定するとき,適切な S−N 関係式を用いることが重要である。所

与の荷重時刻歴の場合,レインフローサイクルをまず確認決定する。これから一組の等価中間点一定サイ

クルの一組が各サイクルに対して適切な S−N 関係式を考慮して計算される。これらの等価サイクルの分

布は,新しい短時間等価荷重スペクトルを与えると推定される。この新しいスペクトルは,各荷重及び風

速ビンに対して,損傷に対して用いられるサイクル数を定義するのに用いられる。この方法を用いる主な

利点は,等価スペクトルの推定は中間点レベルを独立変数として追跡するより,統計的に正確なことであ

る。この利点は,中間点ビンが別々に追跡されるときよりもっと多くの荷重サイクルが各荷重及び風速ビ

ンに対する典型的な時間シリーズ荷重データから計算されることから生じる。

短時間荷重スペクトルを決定するときに生じる追加的な実際的な問題は,レインフロー法によって決定

される,膨大な量の小さいサイクルである。これらの小さいサイクルは接近した時点で発生し,したがっ

て相互に関係があり得る。小さいサイクルは,また,分布の末端部の解析的近似の形をゆが(歪)ませ得

る。したがって,短時間分布の端を近似する場合,しきい値を上回るサイクルだけを考慮することが推奨

される。少なくとも 95

th

パーセンタイル値のしきい値が実際上うまく働く。小さいサイクルが除かれてい

るか又は大きな追加的な統計的信頼度を生むために,ぴったり合わせるためにもっと多くのデータ点が必

要な場合,より低いしきい値が適切かもしれない。

実際の風車設計に応用する場合,

動的シミュレーションデータから短時間等価荷重スペクトルを推定し,

それから寿命損傷を計算することが必要である。この仕事を完遂する方法の一つは,次の手順によって与

える。

a)

すべての風速を考えて,平均荷重レベルとして,基準中間点レベルを選択する。

b)

所与の風速に対するシミュレーションデータから局所の一連の最大値及び最小値を抽出する。同一風

条件に対する多くの時間シリーズから得られた一連の局所最大値及び最小値を単一のシリーズに連結

させる。

c)

レインフロー法を用いて,各模擬荷重サイクルに対する中間点及び範囲を同定する。

d)

選択された基準中間点レベルに関係して各荷重サイクルに対する等価範囲を決定する。


70

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

e)

選択されたしきい値を超えるデータに対して,等価荷重サイクルの短時間確率分布 F

ST

(S

T

, )の解析

近似を決定する。分布を近似する一つの方法に対する指針は,Moriarty 及び Holley,2003 を参照する

ことが望ましい。データに対する近似が満足できるかどうか及びデータに比べて分布の末端部の挙動

を信頼度高く推定するのに十分なデータがあるかどうかを調べるために,選ばれた分布の形を確認す

る。

f)

荷重ビンがしきい値を下回るとき,そのデータを用いて各ビンの寿命サイクルの予想数を決定し,ま

た,荷重ビンがしきい値を超えるとき,その近似荷重分布を決める。これによって,

る場合

番目のしきい値を上回

る場合

番目のしきい値を下回

j

S

T

V

ΔS

S

F

T

V

ΔS

S

F

M

j

S

m

P

T

Lifetime

n

k

j

k

k

j

k

k

j

k

jk

j

jk

,

2

,

2

 (G.12)

ここに,

m

jk

しきい値を下回る,番目の風速ビンと 番目の荷重ビンとに
対するデータで計算されるシミュレーション疲労サイクル数

M

j

しきい値を上回る,シミュレーションで計算される疲労サイ
クル数

また,

ave

ave

2

2

2

2

V

ΔV

V

V

ΔV

V

j

j

j

j

j

e

e

P

π

π

は,風速が仮定されたレイリー風速分布に対してビン 中にある

時間割合を示す。

1)

式(G.9)の左側を用いて損傷を合計する。

2)

すべて疲労荷重ケースから全寿命損傷を合計する。

この手順を用いるとき,次のことに注意する。

a)

風速及び荷重範囲ビンの解像度は,所望の数値精度に対して十分である。

b)

荷重範囲の十分大きな値が,長時間荷重分布の端を適切に表すように用いられる。

最初の課題は,残りのすべての風速又は荷重範囲からデータをスキップさせて二つの異なるビン解像度

によって計算した結果の差の半分として誤差を近似することによって処理できる。

代替方法は結果を制限するために,中心値の代わりにビン値の末端部の点を用いて損傷の合計を計算す

る方法である。第 2 の問題は,寿命損傷の増加が無視できるまで,最高の荷重範囲ビン値を漸次増して処

理できる。

比,

T

Lifetime

は大きな数なので,最大の必要な荷重ビンは,シミュレーションデータで観測される最大

サイクルより著しく大きいことに注意を払う。こう考えられるのは,全模擬荷重時刻歴は風車の寿命より

はるかに小さいためであって,また,統計的な外挿は,長時間荷重分布の末端部から損傷を正確に推定す

ることが要求される。

G.2 

参考文献

Dowling, N.E., Fatigue Failure Predictions for Complicated Stress-strain Histories, J. of Materials, v.7, n.1, Mar.,

1972, pp. 71-87.

Matsuishi, M. and Endo, T., Fatigue of Metals Subjected to Varying Stress, Proc. Japan Soc. of Mech. Engrs., n.


71

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

68-2, 1968, pp. 37-40.

Miner, M.A. Cumulative Damage in Fatigue, J. of Applied Mech., v.12, 1945, pp. A159-A164

Moriarty, P. J. and Holley, W. E., Using Probabilistic Models in Wind Turbine Design, Proc. ICASP9, San

Francisco, CA, July 6-9, 2003.

Palmgren, A. , Die Lebensdauer von Kugellagern, Zeitschrift der Vereines Deutches Ingenieure, v. 68, n. 14, 1924,

pp. 339-341.


72

C 1400-1

:2010 (IEC 61400-1:2005)

参考文献

TS C 0039:2005

  風力発電システム−第 13 部:機械的荷重の計測方法

注記

  対 応 国 際 標 準 仕 様 書 : IEC/TS 61400-13:2001, Wind turbine generator systems − Part 13:

Measurement of mechanical loads(IDT)

TS C 0040:2005

  風力発電システム−第 23 部:風車の実翼構造強度試験

注記

  対応国際標準仕様書:IEC/TS 61400-23:2001,Wind turbine generator systems−Part 23: Full-scale

structural testing of rotor blades(IDT)

TS C 0041:2005

  風力発電システム−第 24 部:風車の雷保護

注記

  対応国際標準報告書:IEC/TR 61400-24:2002,Wind turbine generator systems−Part 24: Lightning

protection(IDT)

TR C 0045

小形風車を安全に導入するための手引き

IEC 60034 (all parts)

,Rotating electrical machines

IEC 60146 (all parts)

,Semiconductor convertors

IEC 60173:1964

,Colours of the cores of flexible cables and cords

IEC 60227 (all parts)

,Polyvinyl chloride insulated cables of rated voltages up to and including 450/750 V

IEC 60245 (all parts)

,Rubber insulated cables−Rated voltages up to and including 450/750 V

IEC 60269 (all parts)

,Low-voltage fuses

IEC 60287 (all parts)

,Electric cables−Calculation of the current rating

IEC 60439 (all parts)

,Low-voltage switchgear and controlgear assemblies

IEC 60446:1999

,Basic and safety principles for man-machine interface, marking and identification−

Identification of conductors by colours or numerals

IEC 60529:1989

,Degrees of protection provided by enclosures (IP Code)

IEC 60617

,Graphical symbols for diagrams

IEC/TR 60755:1983

,General requirements for residual current operated protective devices

IEC 60898:1995

,Electrical accessories−Circuit-breakers for overcurrent protection for household and similar

installations

IEC 61310-1:1995

,Safety of machinery−Indication, marking and actuation−Part 1: Requirements for visual,

auditory and tactile signals

IEC 61310-2:1995

,Safety of machinery−Indication, marking and actuation−Part 2: Requirements for

marking

ISO 3010:2001

,Basis for design of structures−Seismic actions on structures

ISO 8930:1987

,General principles on reliability for structures−List of equivalent terms

ISO/TR 13989-1

,Calculation of scuffing load capacity of cylindrical, bevel and hypoid gears−Part 1: Flash

temperature method