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C 1005:2006 (IEC 60359:2001) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人電気学会(IEEJ)/財団法人日本規格

協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の

審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC 60359:2001,Electrical and electronic 

measurement equipment−Expression of performanceを基礎として用いた。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任をもたない。 

JIS C 1005には,次に示す附属書がある。 

附属書A(参考)“誤差”から“不確かさ”起因への概念上及び用語上の進展 

附属書B(参考)性能の仕様化手順 

C 1005:2006 (IEC 60359:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1. 適用範囲及び目的 ············································································································ 2 

2. 引用規格 ························································································································ 2 

3. 定義 ······························································································································ 2 

3.1 基本定義 ······················································································································ 3 

3.2 装置及び動作の定義 ······································································································· 6 

3.3 表示の方法に関する定義 ································································································· 9 

4. 値及び範囲の仕様 ··········································································································· 11 

5. 電気及び電子計測器に関連するJISへの要求事項 ································································· 11 

6. 不確かさの限界の仕様 ····································································································· 11 

7. 影響量の仕様 ················································································································· 17 

8. 適合性試験の一般規則 ····································································································· 18 

附属書A(参考)“誤差”から“不確かさ”起因への概念上及び用語上の進展 ································· 20 

附属書B(参考)性能の仕様化手順························································································· 24 

参考文献 ···························································································································· 26 

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日本工業規格          JIS 

C 1005:2006 

(IEC 60359:2001) 

電気・電子計測器の性能表示 

Electrical and electronic measurement equipment− 

Expression of performance 

序文 この規格は,2001年に第3版として発行されたIEC 60359,Electrical and electronic measurement 

equipment−Expression of performanceを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した

日本工業規格である。 

国際度量衡委員会(CIPM)の勧告CI-1981に基づいて作成され,国際諸機関によって承認された“測定に

おける不確かさの表示に関する指針”(GUM)の発行によって,真値と誤差とに基づく測定の精密さ及び正

確さに対する古典的アプローチは,不確かさによるアプローチによって置き換えられつつあるのは明白で

ある。真の値の(したがって,誤差の)概念には本質的な欠点があり,計器の性能に関する現行の規格の

大部分は,伝統的なアプローチの用語で規定されているが,現実の計測では,不確かさの概念にますます

頼らざるを得なくなった。計測における最良の実践と規格の用語との間の大きな隔たりは,これらの規格

を作る機関の技術委員会に用語の更新を要請している。 

この規格は,GUMと一致するように作成された。また,新しく出版された国際電気標準用語集(IEV)の

新版の計測用語と一致させている。 

計器の主な性能特性は,計器を用いることによって得られる結果の不確かさの特性である。GUMは,

共通の用語及び異なる要因の不確かさを合成する計算方法を規定しているが,本質的には,他の測定量の

関数として定義されるある量の測定の不確かさを評価する問題を扱っており,計器の不確かさを評価する

問題,すなわち,計器を用いて行われる単一の直接測定の結果の不確かさに言及しない。GUMは,それ

をタイプBの不確かさの成分として取り扱っている。これは,計器の製造業者又は校正業者が表記する包

含係数をもつ拡張不確かさの形式で与えられる情報として知られるものである。したがって,この規格で

は,GUMの方針に一致する形で計器の不確かさを表示し評価する指示を与えるものである。ここでは,

誤差限界の代わりに,不確かさの限界の用語で計器の性能に対する要求について規定する。これは,計器

の指示と測定量を記述するための組の値との注意深い区別を意味する(附属書Aを参照)。 

この目的のために,この規格では,(IEVの用語と一致する)校正曲線の概念を体系的に用いている。こ

れはまた,固有不確かさ,変動及び動作不確かさの相互作用について規定する上で非常に役立つ。この種

の区別は,内蔵ソフトウェア付きマイクロプロセッサに基づく,又は2個以上の入力(マルチセンサシス

テム)を用いた新しい測定システムにとって必す(須)のものである。これは,計器のハードウェアにつ

いて,限定的な前提なしに一般用語で問題を扱う必要がある。また,性能特性を規定する場合の選択肢を

広げるものである。 

もちろん,長年親しまれてきた伝統的な用語及び概念から,近代計測学によって発展した用語及び概念

への移行は,多くの人にとって心理的な調整が必要となる。現在の計測が目盛付き指標の計器の時代から

著しい進歩を遂げたので,これも併せて調整が必要となる。しかし,しばしば影響量に対して想定される

C 1005:2006 (IEC 60359:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

補正が含まれるか否かについて,あいまいさをもつ“誤差限界”の用語で大部分が書かれた多くの既存の

技術仕様を,この規格と一致する用語に翻訳することは特別な困難はないと思われる。このようなあいま

いさが取り除かれ,これらの限界を評価する手段についての(もしあれば)文脈上の指示が,この規格に

ある定義を満たすように調整されれば,古い仕様は,“誤差限界”から6.に規定する“不確かさの限界”に

置き換えることによって,この規格に容易に整合化される。 

参考 国際度量衡委員会は,Comité International des Poids et Mesures (CIPM)を指す。 

1. 適用範囲及び目的 この規格は,主に産業用途の次の種類の電気及び電子計測器の性能仕様について

規定する。 

− 電気的量を測定する指示及び記録計器 

− 電気的量を供給する実量器(3.2.3参照) 

− 電気的出力信号を出力する測定装置の連鎖のすべての部分について,電気的手段を用いて非電気的

量を測定する計器 

この規格は,通常の産業用途において定常状態(3.1.15参照)で動作する計器の性能仕様に適用する。 

この規格は,測定の不確かさを表示及び評価するためのGUM(2.参照)に規定する方法に基づき,(ト

レーサビリティ連鎖における無視できない不確かさを説明する方法を含む。)不確かさを表す区間を決定す

るのに用いなければならない統計的手法のためのGUMを引用している。 

この規格は,性能を考慮し,かつ,適合性試験を受ける計測器(又は測定機器)の枠を超えて不確かさ

の適用に言及するものではない。 

この規格の目的は,仕様における一様性を確保し,その適用範囲内の計測器の不確かさを決定する方法

を提供する。他のすべての必要な要求事項は,この規格の適用範囲内にある個々の種類の計測器に属する

関連日本工業規格(以下,JISという。)による。 

例えば,計量特性及び計量特性の範囲並びに影響量及び影響量の規定の動作範囲の選択は,JISによる。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide21に基づき,IDT(一致している),MOD(修

正している),NEQ(同等でない)とする。 

IEC 60359:2001,Electrical and electronic measurement equipment−Expression of performance (IDT) 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構

成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。 

IEC 60050-300:2001 International Electrotechnical Vocabulary (IEV)−Electrical and electronic 

measurements and measuring instruments−Part 311: General terms relating to measurements−Part 312: 

General terms relating to electrical measurements−Part 313: Types of electrical measuring instrument−

Part 314: Specific terms according to the type of instrument 

ISO/IEC GUIDE EXPRES:1995 Guide to the Expression of Uncertainty in Measurement (GUM) 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

なお,定義の括弧内の用語は,類似の用語と混同のおそれがない場合には省略することができる。二つ

の用語を同じ定義で互換的に使用してよい場合には,これらの用語は,“又は”によって分離している。備

C 1005:2006 (IEC 60359:2001) 

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考の実線の下線を施してある用語は,文脈によって定義する新しい用語である。 

大部分の用語の定義は,これらの備考とともに,IEC 60050-300のPart 311に一致している。この規格

では,“不確かさの取組み”についての用語だけを用いるので,用語がこの取組みで用いていると記載して

いるIEVの備考は省略している。このような定義が,同時に国際計量基本用語集(VIM)から引用されてい

る場合には,これを示してある。 

なお,この規格では,必要に応じて,この規格の利用目的のために備考を加えている。 

3.1 

基本定義 

3.1.1 

測定量 (measurand) 測定の対象となる量で,測定している間測定システムによって推定される状

態で評価される量。 

備考1. 計器との相互干渉がない場合は,測定の対象となる量によって推定される値を,その量のじ

ょう(擾)乱を受けない値と呼んでもよい。 

2. じょう乱を受けない値及びそれに関する不確かさは,測定システムのモデル及び計器負荷と

呼ばれる計器の適切な計量特性についての知識による測定相互作用のモデルを通してだけ計

算することができる。 

3.1.2 

測定(の結果)[(result of a) measurement] 値,対応する不確かさ及び測定単位を含む,測定量に付

けた一連の値(IEV 311-01-01,修正)。 

備考1. 区間の中央値を測定量の値(3.1.3参照)及び区間の半分を不確かさ(3.1.4参照)と呼ぶ(IEV

修正)。 

2. 測定は,計器によって与えられる指示(3.1.5参照)及び校正によって得られる補正値に関係

する(IEV修正)。 

3. 区間は,それが同一測定量の他のすべての測定と適合性があれば,その測定量を表すとみな

し得る(IEV修正)。 

4. 区間の幅,したがって不確かさは,規定された信頼の水準をもつときだけ与えられる(3.1.4,

備考1.参照)(IEV修正)。 

3.1.3 

(測定)値 [(measure-) value] 測定量を表す組の中央要素。 

備考 測定値は,その組の他のいかなる要素以上に測定量を代表するものではない。Vを中央要素,

Uを組の区間の半分の値とするとき,その両極端の値によるよりも,式V±Uで組を表す便宜

のためにだけ,測定値が選抜される。括弧内の“測定”は,読値又は指示値との混同を避ける

ために必要とするときに用いる。 

3.1.4 

(測定の)不確かさ [uncertainty (of a measurement)] 測定の結果に付随した,合理的に測定量に結

び付けられる値のばらつきを特徴付けるパラメータ(IEV 311-01-02,VIM 3.9)。 

備考1. このパラメータは,例えば,標準偏差(又はそのある倍数)であっても,又は信頼の水準を

明示した区間の半分の値であってもよい(IEV,VIM)。 

2. 測定の不確かさは,一般に多くの成分を含む。これらの成分の一部は,一連の測定結果の統

計的分布から推定することができ,実験標準偏差によって特徴付けられる。標準偏差によっ

て特徴付けられるその他の成分も,経験又は他の情報に基づいて確率分布を想定して評価す

る(IEV,VIM)。 

3. 測定結果は,測定量の値の最良推定値であり,補正と参照標準に付随する成分のような系統

効果に起因する不確かさを含めたすべての不確かさの成分は,ばらつきに寄与することが理

解される(IEV,VIM)。 

C 1005:2006 (IEC 60359:2001) 

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4. 定義,備考1.及び備考2.は,GUMのB.2.18から引用したものである。この規格で用いる選

択肢は,包含係数2のGUMの手順で,区間の半分の値として不確かさを表現することであ

る。この選択は,現在多くの国立計量標準機関が採用している現実に対応するものである。

正規分布の場合,包含係数2は,95 %の信頼の水準に対応する。そうでなければ,内包係数

と信頼の水準との対応を確立するために統計的検討が必要である。このような検討のための

データは,常に得られるものではないので,包含係数を規定することが望ましい。大抵の場

合には,同じ方法で採用された同一測定量の他のすべての測定結果と十分に高い信頼水準で

適合性を保証するので,GUMの定義の意味で,測定量を規定するために,この区間を“合

理的に”採用することができる。 

5. 国際度量衡委員会の文書INC-1及びGUMに従って,統計的手法によって評価する不確かさ

の成分は,タイプAの成分と呼び,他の手法の助けを借りて評価する成分は,タイプBの成

分と呼ぶ。 

3.1.5 

指示値又は読値 (indication or reading-value) 計器の出力信号(IEV 311-01-07,修正)。 

備考1. この指示から校正曲線を用いて指示値を求めることができる(IEV)。 

2. 実量器の指示は,その公称値又は表記値である(IEV)。 

3. 指示は,計器の出力形式による。 

− アナログ出力では,表示の適切な単位での読値 

− デジタル出力では,表示されたデジタル数値 

− コード出力では,コードパターンの形 

4. 観測者が読むことを意図する(目盛付き指標の計器のような)アナログ出力の出力単位は,

目盛数字の単位である。他の計器が読み込むことを意図する(校正されたトランスデューサ

のような)アナログ出力の出力単位は,出力信号に対応する量の測定単位である。 

3.1.6 

校正 (calibration) 規定の条件の下で,指示と測定の結果との間に存在する関係を,標準を参照す

ることによって確立する一連の作業(IEV 311-01-09)。 

備考1. 指示と測定結果との関係は,通常,校正曲線図によって表現することができる(IEV)。 

2. 計器に対して十分に定義された動作条件の下で,校正を実施しなければならない。その結果

を表す校正曲線は,校正のために用いる範囲外の条件の下で計器を動作させる場合は,有効

ではない。 

3. 特に,その計量特性が過去の経験から十分に知られている計器については,計器の応答が依

然その限界内にあるかどうかを点検するために簡素化した校正曲線図をあらかじめ定義し,

校正の検証(3.2.12参照)だけを実施するのがよい。簡素化した曲線図は,計器の完全な校

正によって定義する曲線図よりも幅広く,測定結果に付けられる不確かさはより大きくなる。 

3.1.7 

校正曲線図 (calibration diagram) 指示の軸と測定結果の軸とによって定義する座標の部分をいい,

異なる測定量の値に対する計器の応答を表す(IEV 311-01-10)。 

3.1.8 

校正曲線 (calibration curve) 指示と測定量の値との関係を与える曲線(IEV 311-01-11)。 

備考1. 校正曲線は,測定結果の軸に平行に校正曲線図の幅を2等分して,測定量の値を表す点を結

ぶ曲線である(6.1及び図1参照)。 

2. 校正曲線が0を通る直線であるとき,計器定数として知られているこう(勾)配を参照する

のが便利である(IEV)。 

3.1.9 

指示値 (indicated value) 校正曲線を基に計器の指示によって与えられる値(IEV 311-01-08)。 

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備考 校正曲線図が有効なすべての動作条件の下で,計器が直接測定(3.2.7参照)に用いられるとき,

指示値は測定量の測定値である。 

3.1.10 (測定の)適合性 [(measurement) compatibility] それらの区間が,適切に重複することによって特

徴付けられる,同一測定量のすべての測定結果に満足を与える特性(IEV 311-01-14)。 

備考1. 任意の測定結果と同一測定量を表す他のすべての測定結果との適合性は,ある信頼の水準に

おいてだけ,少なくとも暗黙の慣習又は内包係数によって宣言できる。適合性が,統計的推

定によって,指示することが望ましい水準に依存するからである。 

2. 異なる計器及び方法で得られる測定結果の適合性は,幾つかの計器の校正に使用する標準器

の共通一次標準(3.2.6参照)へのトレーサビリティ(3.1.16参照)によって(及び当然,校

正と作業手順の正しさとによって)確保される。 

3. ある測定の二つの測定の結果が適合しない場合には,一方又は両方の測定の結果が誤り(お

そらく,不確かさが余りにも小さいため)であるか否か又は測定量が同一であるか否かを,

独自の手段によって決定しなければならない。 

4. より大きい不確かさで行われる測定は,より広い範囲で適合することになる。これは,より

単純なモデルで測定を分類させ,異なる測定量間での識別を困難にするためである。より小

さい不確かさの場合,適合性は,測定システムのより詳細なモデルを必要とする。 

3.1.11 測定量の固有不確かさ (intrinsic uncertainty of the measurand) 測定量の表記で指定する最小の不確

かさ。 

備考1. 任意の所定量は,所定の詳細な水準で定義又は特定されるので,いかなる量もより小さい不

確かさで測定することはできない。所定量をそれ自体の固有不確かさよりも小さい不確かさ

で測定しようとする場合は,実際には他の量を測定しているように,より詳細に所定量を再

定義することが必す(須)となる。GUM D.1.1も参照する。 

2. 測定量の固有不確かさでの下で行われる測定の結果は,問題とする量の最良測定と呼んでも

よい。 

3.1.12  (絶対)計器不確かさ [(absolute) instrumental uncertainty] 無視できる固有不確かさをもつ測定量

の直接測定の結果の不確かさ。 

備考1. 他に明りょう(瞭)に規定されていなければ,計器不確かさは包含係数2の区間として表現

する。 

2. 計器不確かさに比べて小さな固有不確かさをもつ測定量の1回の読みの直接測定の場合には,

測定の不確かさは,定義によって計器不確かさと一致する。そうでなければ,関与する幾つ

かの直接測定を結ぶモデルを基に測定の不確かさを評価するとき,計器不確かさをタイプB

の一成分として処理しなければならない。 

3. 計器不確かさは,定義によって読値の量子化[アナログ出力では目量の最小評価可能部分,

デジタル出力では最後の安定なけた(桁)の単位]による影響を自動的に含む。 

4. 実量器の場合,計器不確かさは,その測定結果の適合性を確保するために実量器によって再

現される量の値に付随する不確かさである。 

5. 可能,かつ,便利であれば,不確かさは相対形式(3.3.3参照)又は基底形式(3.3.4参照)で

表現してもよい。相対不確かさは,測定値Vに対する絶対不確かさUの比U / Vであり,基

底不確かさは,協定によって選ばれた値Vfに対する絶対不確かさUの比U / Vfである。 

C 1005:2006 (IEC 60359:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.1.13 協定値 (conventional value) 校正作業に用いられ,校正の対象となる計器の不確かさに比べて無視

できる既知の不確かさをもつ標準の測定値。 

備考 この定義は,“(ある量の)協定による真の値”の定義からこの規格に採用する。これは,特定

の量に帰する値で,ときには協定によって,所定の目的に適切な不確かさをもつとして容認さ

れる(IEV 311-01-06,VIM 1.20)。 

3.1.14 影響量 (influence quantity) 測定の対象ではなく,その変化が,指示と測定結果との関係に影響を

与える量(IEV 311-06-01)。 

備考1. 影響量は,測定システム,計測器又は環境に起因する(IEV)。 

2. 校正曲線図は,影響量に依存するので測定の結果を確定するためには,関係する影響量が規

定の範囲内にあるかどうかを知ることが必要である(IEV)。 

3. 測定の結果がC′≦V−U<V+U≦C″ の関係を満足するとき,影響量はC′〜C″ の範囲にある。 

3.1.15 定常状態 (steady-state conditions) 測定量の時間的変動に関して,計器の入力信号と出力信号との

関係が,時間的に測定量が一定であるときに得られる関係に対し重要な変化を受けない場合に,そのよう

な測定量の時間的変動の下での計器の動作状態。 

3.1.16 トレーサビリティ (traceability) 不確かさがすべて表記された,切れ目のない比較の連鎖を通じて,

通常,国家計量標準又は国際計量標準で決められた標準に関連付けられる測定結果又は標準の値の性質

(IEV 311-01-15,VIM 6.10)。 

備考1. この概念は,トレーサブルという形容詞で表現されることがある(IEV,VIM)。 

2. 切れ目のない比較の連鎖は,トレーサビリティ連鎖と呼ぶ(IEV,VIM)。 

3. トレーサビリティは,増加する固有不確かさの標準(計器及び実量器)について,階層構造

をもつ計量機関が設立されていることを意味する。一次標準から校正された装置への比較の

連鎖は,各段階で実際に新規の不確かさを加算する。 

4. トレーサビリティは,与えられた不確かさ内でだけ保証される。これを規定することが望ま

しい。 

3.2 

装置及び動作の定義 

3.2.1 

計器 [(measuring) instrument] 単独又は補助装置とともに,測定するために用いることを意図する

装置(IEV 311-03-01,VIM 4.1)。 

備考 用語“計器”は,指示計器及び実量器の両方を含む。 

3.2.2 

指示計器 [indicating (measuring) instrument] 指示を表示する計器(IEV 311-03-02,VIM 4.6)。 

備考1. 表示は,アナログ(連続又は不連続),デジタル又はコードであってもよい(IEV)。 

2. 二つ以上の量の値が,同時に表示可能である(IEV)。 

3. 表示計器は,記録させることもできる(IEV)。 

4. 表示は,観測者が直接読むことができない出力信号である場合,適切な装置によって解読す

ることができる(IEV)。 

5. 指示計器は,他のプロセス装置への追加可能なトランスデューサの連鎖又は1個のトランス

デューサで構成することがある。 

6. 指示計器,測定システム及び環境間の相互作用は,計器の(センサと呼ばれる)最初の段で

信号を発生する。この信号は,計器の内部で測定量の情報を伝送する出力信号に変換される。

適切な出力形式での出力信号の表記は,計器が提供する指示である。 

7. 測定量を連鎖の最後の素子の出力に結び付ける単一の校正曲線が利用できる場合には,計器

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の連鎖は,単一の指示計器として扱う。この場合,全連鎖について影響量を定義しなければ

ならない。 

3.2.3 

実量器 (material measure) ある量の一つ以上の既知の値を,使用するとき恒久的な方法で再現又は

供給することを意図する装置(IEV 311-03-03,VIM 4.2)。 

備考1. 関係する量を,供給量と呼ぶことがある(IEV)。 

2. この定義は,信号発生器及び標準電圧又は電流発生器のような装置も網羅し,ときには供給

計器として引用される。 

3. 供給量の値及び不確かさの特定は,実量器の公称値又は表記値と呼び,測定単位を付けた数

字又はコード記号で与える。 

3.2.4 

電気計器 (electrical measuring instrument) 電気又は電子的手段を用い,電気又は非電気的量を測定

することを意図する計器(IEV 311-03-04)。 

3.2.5 

トランスデューサ (transducer) 入力信号に対して一定の関係をもつ出力信号に変換する装置。 

備考 すべての指示計器は,複数のトランスデューサを包含し,また,指示計器が一つのトランスデ

ューサからなることもある。信号がトランスデューサの連鎖で作られる場合には,各トランス

デューサの入出力信号は必ずしも直接,かつ,一義的にアクセス可能とは限らない。 

3.2.6 

一次標準 (primary standard) 最高の計量品質をもつものとして指定されるか,又は広く認知され,

同一量の他の標準を参照することなく,その値が容認される標準(IEV 311-04-02,VIM 6.4)。 

備考1. 一次標準の概念は,基本量及び組立量に対して,同等に有効である(IEV)。 

2. 一次標準は,標準の複製又は参照標準との比較以外の測定用に直接用いられることは決して

ない(IEV)。 

3.2.7 

直接測定(方法)[direct (method of) measurement] 測定量の値が直接得られる測定方法で,測定量

と実際に測定される他の量との関数関係に基づく補助計算を必要としない測定方法(IEV 311-02-01)。 

備考1. 計器の目盛が,表又はグラフの手段によって測定量の値に相当するようにリンクする値をも

つ場合でも,測定量の値は直接得られたものとみなす(IEV)。 

2. 補正するために,影響量の値を決定するための補助測定が必要な場合でも,測定法は直接法

である(IEV)。 

3. 計器の計量特性の定義は,暗黙的に直接測定での計量特性の使用を意味している。 

3.2.8 

間接測定(方法)[indirect (method of) measurement] 測定量にリンクするほかの量の直接測定方法

によって行われる測定から,既知の関係によって一つの量の値が得られる測定方法(IEV 311-02-02)。 

備考1. 間接測定方法を適用するためには,測定量と直接測定によって測定されるパラメータとの関

係を,十分に明確に提供できるモデルを必要とする。 

2. 値及び不確かさの両方について,計算しなければならない。したがって,GUMに提供され

ているような不確かさの適用についての容認された規則を必要とする。 

3.2.9 

繰返し観測による測定(方法)[(method of) measurement by repeated observations] 名目的に同等の

条件の下で繰り返される何回かの観測によって得られるデータの分布について,統計的解析を基に測定結

果を求める測定法。 

備考1. 計器不確かさが,測定の適合性を保証するためにはあまりにも小さい場合には,統計的解析

に頼らざるを得ない。これは,次の二つの全く異なる組の状況で起こることがある。 

a) 測定量が固有の統計的変動(例えば,核の崩壊を伴う測定)を受ける量である場合。こ

の場合,実際の測定量は,その統計的パラメータ(平均及び標準偏差)によって表記し

C 1005:2006 (IEC 60359:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

なければならない,測定量の状態の統計的分布である。統計的解析は,それぞれの観測

が測定量の一つの特定の状態を正しく表現しているので,各測定結果がそれ自体の値と

不確かさをもつ測定結果の母集団について行う。この状況は,直接測定の特別な場合と

考えてもよい。 

b) 信号の伝送に伴うノイズが,校正に用いる動作条件によって,読値に影響を与える場合

には,計器不確かさに同等であるか,又は計器不確かさより大きい程度(例えば,検査

用計器の野外使用の場合)まで,測定の不確かさに影響を与える。この場合には,測定

量に関する情報をノイズから分離する目的で,読値の母集団に統計的解析を行う。この

状況は,定格範囲外の一組の動作条件に対する計器の新規の校正とみなしてもよい。 

2. 校正又は計器の精密さの等級によって指定される計器不確かさよりも小さい不確かさを,繰

返し観測の手段によって得られると考えることはできない。実際に,繰返し測定の結果が計

器不確かさ内で互いに適合しているならば,計器不確かさは測定の不確かさにとって有効な

データであり,幾つかの観測でもそれ以上の情報をもたらさない。他方,計器不確かさ内で

適合していなければ,測定の最終結果は,定義によってそれらが望ましいようにすべての結

果を適合させるために,より大きな不確かさで表現しなければならない。 

3. 無視できないヒステリシスがある計器については,繰返し観測のそのままの統計的解析は誤

解を招くこととなる。そのような計器に対しては,計器の個々の規格で,適切な試験手順を

規定するのがよい。 

3.2.10 固有(計器)不確かさ [intrinsic (instrumental) uncertainty] 基準条件の下で使用するときの計器の

不確かさ(IEV 311-03-09)。 

3.2.11 動作計器不確かさ (operating instrumental uncertainty) 定格動作条件の下での計器の不確かさ。 

備考 動作計器不確かさは,固有不確かさと同様に,計器の使用者によって評価されるものではなく,

製造業者又は校正業者によって評価される。評価は,固有計器不確かさ及び一つ又は数個の影

響量の値を含む代数的関係の手段によって表現してもよいが,そのような関係は,単に,異な

る動作条件の下での一組の動作計器不確かさを表すのに便利な手段であり,計器内部での不確

かさの適用を評価するために用いられる関数関係ではない。 

3.2.12 (校正の)検証 [verification (of calibration)] 規定の条件の下で,あらかじめ決めた校正曲線図の限

界内で,指示が一組の既知の測定量に対応しているかどうかを点検するために用いる一連の操作(IEV 

311-01-13)。 

参考1. 検証に用いる測定量の既知の不確かさは,校正曲線図で計器に付けられる不確かさに比べて,

一般的に無視できる(IEV)。 

2. 実量器の校正の検証は,供給量の測定の結果が,校正曲線図によって与えられる区間と一致

しているかどうかを点検する。 

3.2.13 (計器の)調整 [adjustment (of a measuring instrument)] 測定量の所定の値に対応して,所定の指示

を与えるために,計器に実施する一連の操作(IEV 311-03-16)。 

備考 計器が測定量の零値に対応する零指示を与えるように作られているとき,一連の操作は零調整

と呼ばれる(IEV)。 

3.2.14 (計器の)使用者調整 [user adjustment (of a measuring instrument)] 製造業者によって指定され,使

用者に任された手段でだけ行われる調整(IEV 311-03-17,VIM 4.31)。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.2.15 (校正の検証に対する)偏差 [deviation (for the verification of calibration)] 同等の動作条件の下で,

校正の検証を受ける計器の指示と,参照計器の指示との差異(IEV 311-01-20)。 

備考1. 指示は,同時測定又は置換法によって比較してよい。通常,比較は,同一測定条件で,同一

測定量について行うのがよいが,測定量は厳密には同一ではあり得ないので,これは不可能

である。このため,判定は操作者の計量に関する専門的技術に頼らざるを得ないことから,

比較を目的とした場合には,二つの計器の測定条件の差を無視することができる。 

2. 計器の一つが実量器の場合,その公称値を指定された値として採用する。 

3. この用語は,参照計器の不確かさが定義によって無視できる場合に,校正の検証の操作にお

いてだけ用いられる。 

3.3 

表示の方法に関する定義 

3.3.1 

計量特性 (metrological characteristics) 計器の読みと計器と相互作用する量の測定との関係に関す

るデータ。 

3.3.2 

範囲 (range) 下限及び上限の間に含まれる量の値の領域。 

備考1. “範囲”は,通常,測定範囲又は使用範囲のように修飾語とともに用いる。これは,性能特

性,影響量などに適用してもよい。 

2. 範囲の限界の一つが0又は無限大の場合,ほかの有限の限界をしきい値と呼ぶ。 

3. 範囲の限界値又はしきい値自体は測定の結果ではないが,測定結果が満たさなくてはならな

い条件についての表記であるので,範囲の限界値又はしきい値には不確かさは付けられない。

測定結果が定格範囲内になければならない場合には,他に関係規格又は明確な合意によって

規定されていなければ,それを表す全体区間V±Uが範囲の限界値内にあるか,又はしきい

値を超えていなければならないことが理解される。 

4. 範囲は,その下限値及び上限値,又は中央値並びに範囲の半分の値で表してもよい。 

3.3.3 

表示の相対形式 (relative form of expression) 当該の量の測定値に対するその比によって計量特性

などのデータを表示する形式。 

備考1. 相対形式での表示は,当該の量が比例関係にあり,その値が0でない場合に可能である。 

2. 不確かさ及び不確かさの限界は,それらの絶対値を測定量の値で除することによって,相対

形式で表示される。また,影響量の範囲は,範囲の半分を領域の中央値で除することによっ

て,相対形式で表示される。 

3.3.4 

表示の基底形式 (fiducial form of expression) 当該の量の,協定によって選ばれた値に対するその比

によって計量特性などのデータを表示する形式。 

備考1. 基底形式による表示は,当該の量が比例関係にあるときに可能である。 

2. 相対基底誤差を定義するために参照する値を,基底値と呼ぶ。 

3.3.5 

(影響量による)変動 [variation (due to an influence quantity)] 影響量が連続して二つの異なる値を

とるとき,同一の値の測定量に対する指示計器の指示値間の差又は実量器の値間の差(IEV 311-07-03)。 

備考1. 変動が評価される影響量の異なる測定値に付けられる不確かさは,同一影響量に対する基準

範囲の幅よりも小さい方がよい。他の性能特性及び他の影響量は,基準条件に対して規定さ

れた範囲内になければならない。 

2. 固有計器不確かさよりも大きい場合には,変動は意味のあるパラメータである。 

3.3.6 

不確かさの限界 (limit of uncertainty) 規定の条件の下で動作する計測器に対する計器不確かさの

限界値。 

10 

C 1005:2006 (IEC 60359:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

備考1. 不確かさの限界は,計器の製造業者が指定してよい。製造業者は,規定の条件の下で,計器

不確かさはこの限界よりも決して大きくならないとするか,又は規定の条件の下で,計器が

与えられた正確さの等級を維持するために,計器不確かさはこの限界よりも大きくしてはな

らない。指定する規格によって,規定するとよい。 

2. 不確かさの限界は,絶対項,相対形式又は基底形式で表示してもよい。 

3.3.7 

正確さの等級 (accuracy class) 不確かさに関する一組の仕様にすべて適合することを意図する計

器の等級(IEV 311 -06-09)。 

備考1. 正確さの等級は,いかなる他の計量特性がそれを規定していても,常に(所定の影響量の範

囲に対する)不確かさの限界を規定する。 

2. 計器は,異なる定格動作条件に対して,異なる正確さの等級を割り当ててよい。 

3. 他に規定がなければ,正確さの等級を定義する不確かさの限界は,包含係数2の区間を意味

する。 

3.3.8 

定格値 (rated value) 計測器または計器の規定の動作条件に対して,製造業者が決める量の値。 

備考 不確かさUが付いた定格値Vは,現実には範囲V±Uであり,そのように取り扱わなければな

らない(3.3.2,備考4.参照)。 

3.3.9 

(規定の)測定範囲 [(specified) measuring range] 測定量又は供給量の二つの値によって定義され

る範囲で,それ以内で計器不確かさの限界が規定される(IEV 311-03-12)。 

備考1. 計器は,幾つかの測定範囲をもつことができる(IEV)。 

2. 規定の測定範囲の上限及び下限は,それぞれ最大適応力及び最小適応力と呼ぶ場合がある。 

3.3.10 基準条件 (reference conditions) 計器の最小許容不確かさを規定する影響量の規定値及び/又は影

響量の値の範囲の適切な組合せ(IEV 311-06-02,修正)。 

備考 基準条件に対して規定する範囲は,基準範囲と呼び,定格動作条件に対して規定される範囲よ

りも狭く,かつ,通常は狭いのが一般的である。 

3.3.11 基準値 (reference value) 一組の基準条件の,規定する一つの値(IEV 311-07-01,修正)。 

3.3.12 基準範囲 (reference range) 一組の基準条件の,規定する1対の値の範囲(IEV 311-07-02,修正)。 

3.3.13 定格動作条件 (rated operating conditions) 校正曲線が有効であるために,測定中満たしていなけれ

ばならない一組の条件。 

備考 影響量に対する規定の測定範囲及び定格動作範囲のほかに,その条件には,量の範囲として表

現できない他の性能特性及び他の指示に対する規定の範囲を含んでよい。 

3.3.14 (影響量に対する)公称使用範囲又は定格動作範囲 [nominal range of use or rated operating range (for 

influence quantities)] 影響量が,規定の限界を超える変動を生じさせることがないと推定できる,規定の

値の範囲(IEV 311-07-05)。 

備考 各影響量の定格動作範囲は,定格動作条件の一部である。 

3.3.15 限界条件 (limiting conditions) 計器が,定格動作条件で続いて動作するとき,計器の損傷及び計量

特性の劣化なしに耐えることができる極限の条件。 

3.3.16 動作の限界値 (limiting values for operation) 基準条件で続いて動作するとき,計器の性能要件を計

器の損傷なしに,動作中影響量として許容できる極限の値(IEV 311-07-06)。  

備考 限界値は,動作限界の適用期間に依存する(IEV)。 

3.3.17 保管及び輸送条件 (storage and transport conditions) 保管及び輸送後に計器の定格動作条件で動作

するとき,計器の損傷及び計量特性の劣化なしに,非動作計器が耐えることができる極限の条件。 

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C 1005:2006 (IEC 60359:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.3.18 保管の限界値 (limiting values for storage) 保管後に基準条件で作動するとき,計器の性能要件を満

たさないような計器の損傷なしに,保管中の影響量として許容できる極限の値(IEV 311-07-07)。 

備考 限界値は,保管限界の適用期間に依存する(IEV)。 

3.3.19 輸送の限界値 (limiting values for transport) 輸送後に基準条件で動作するとき,計器の性能要件を

満たさないような計器の損傷なしに,輸送中の影響量として許容できる極限の値(IEV 311-07-08)。 

備考 限界値は,輸送限界の適用期間に依存する(IEV)。 

4. 値及び範囲の仕様 

4.1 

製造業者は,特定の計測器に適用できる計量特性であると考えるすべての量に対して,定格値又は

規定の範囲を表記しなければならない。値及び範囲の表記は,不確かさについての適切な表記内容を伴わ

なければならない。 

4.2 

製造業者は,考慮する各影響量に対して,基準範囲及び/又は定格動作範囲を表記しなければなら

ない。定格動作範囲は,基準範囲の全体を含まなければならない。 

4.3 

製造業者は,それぞれの規定の影響量に対して,限界条件並びに保管及び輸送条件を規定しなけれ

ばならない。範囲が規定されていない場合,定格動作条件は限界条件であり,保管及び輸送条件を含むも

のとみなす。 

4.4 

不確かさは,包含係数2をもつ区間の半分の値として表現しなければならない(3.1.4備考1.及び備

考4.参照)。 

5. 電気及び電子計測器に関連するJISへの要求事項 

5.1 

この規格の適用範囲内にあるあらゆる種類の電気及び電子計測器を含むJISは,この規格に規定す

る箇条及び特に次の点を順守しなければならない。 

5.2 

電気及び電子計測器に関するJISは,不確かさの限界を規定するのに用いられる情報はもとより,

関連する計量特性及び影響量を含めるために,特別の仕様を要求しなければならない。また,限界条件並

びに保管及び輸送条件を含まなければならない。 

5.3 

電気及び電子計測器に関するJISは,この規格のいかなる要求事項とも矛盾してはならない。 

6. 不確かさの限界の仕様 

6.1 

計器不確かさ,すなわち,校正された計器による直接測定の不確かさについてのすべての情報は

(3.1.7参照),すなわち,(出力の単位での)指示の軸Rと,異なる値の測定量に対する計器の応答を表す

(測定の単位での)値の軸Mとによって定義される座標平面の部分によって概念的に表される(図1)。

校正曲線図は,グラフで表す必要はない。多くの場合,表又は代数式による表示がより便利であるが,グ

ラフで提供される系統的な図は,総括論議のためにより適切である。 

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12 

C 1005:2006 (IEC 60359:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

  

M:測定の単位で表した測定値の軸 

R:出力の単位で表した指示の軸 

Vj:既知測定量jの値 

∆Rj:既知測定量j に対する指示の範囲 

Ri:未知測定量iの指示 

Vi:未知測定量iに付けられた測定値 

Ui:未知測定量iの不確かさ 

 
 

図1 校正曲線図 

通常,計器不確かさよりもはるかに小さい不確かさで知られる[すなわち,それらの値が協定による(真

の)値(3.1.13参照)として用いられ得るような]測定値Vjの測定量の,規定の動作条件の全範囲を通し

て行われる測定において,与えられた信頼の水準で得ることが期待できる,読値の範囲を表す部分∆Rjを

決定することによって,校正曲線図が作られる。特定の測定で得られる読値Riを通って引いたM軸に平

行な線によってこの曲線図を切り取った部分(V±U)iが,測定結果となる。それは,同じ測定量を測定する

ことによって得ることができる他の測定結果のすべて及びそれだけと適合するからである。適合性の限界

での測定は,定義によって,動作条件の結合効果の両極端で行われるので,適合性はここで相関係数r=

−1で評価される。 

校正曲線(3.1.8参照)は,M軸に平行な線によって校正曲線図を区切った部分の中点を結ぶ曲線である。

絶対計器不確かさは,M軸に平行な線によって校正曲線図を区切った部分の半分の長さによって与えられ

る(図1)。測定範囲(3.3.9参照)は,校正曲線が定義される測定軸の部分である。 

現場用途に設計された多くの計器は,出力の単位を適切に選ぶことによって,指示を表す数と測定値を

表す数とを一致させるように,出力表示を合わせている。この方法では,校正曲線は単一こう(勾)配の

直線となり,使用者に便利なように,測定の単位で直接目盛を付けている(図2)。この形式の単純化は,

指示(読値)と測定の結果として付けられる測定値との概念上の差異を変えるものではない。依然として,

不確かさを決定するために,校正曲線図が用いられる。 

唯一の公称値をもつか,又は不連続な一組の公称値をもつ実量器に対しては,校正曲線図はM軸に平行

な一つの部分,又は不連続なそのような一組の部分まで減少する。 

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13 

C 1005:2006 (IEC 60359:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

  

M:測定の単位で表した測定値の軸 

R:出力の単位で表した指示の軸 

Vi:測定量iに対して付けられた測定値 

Ri=Vi:数値的に測定値に等しくされる測定量iの指示 

Ui:測定量iの不確かさ 

図2 測定の単位で目盛線が付いている場合の校正曲線図 

6.2 

通常,不確かさの限界の仕様化は,校正の検証の下で計器が満たすことが期待されるあらかじめ定

義された校正曲線図を割り当てることにある。実際に,それは,特定の測定の不確かさ,更には特定の計

器の計器不確かさを評価することの問題ではなく,そのような計器不確かさに対する限界を設定すること

である。それは,この限界の表現で付けられる不確かさが,実際の(しかし未知の)不確かさの限界より

も大きくないように,仕様を満たしている計器の実際の校正曲線図を含むのに十分に広い全体的校正曲線

図を定義することである。 

曲線図は,規定の測定範囲における値の関数として,校正曲線及び不確かさを与える代数式によって定

義してもよい。曲線図が有効である動作条件は,明確に規定しなければならない。 

すべての計測器について,固有計器不確かさを決める基準条件として基本的校正曲線図が与えられる。

問題は,他の動作条件及び/又はより広い動作条件における計器不確かさをいかに評価するかである。 

基準条件とは,異なる動作条件において,校正曲線図はM-R平面においてその幅を変えるか及び/又は

移動するであろう(図3)。変動(3.3.5参照)は,一つの影響量が基準範囲外の値をとるときの校正曲線の

移動を表しているが,新規の校正曲線図の幅については何も示しておらず,その幅は,いかなる場合にも

定格値近辺のこの影響量の動作範囲に依存する。 

基準範囲外の一つの影響量をもつ動作条件は,次の二つのいずれかの方法で規定してもよい。 

a) 一つ又は一組の定格値は,基準範囲とほぼ同様な広さの範囲で定義される影響量に対して与えられる。

使用者は,影響量の値が与えられた不確かさ内であることを知ることができる。 

b) 定格動作範囲は,基準範囲を含む影響量に対して与えられる。使用者は,影響量の値を知ることが期

待されるのではなく,影響量がその範囲内にあることを知ることだけができる。 

a)の場合には,校正曲線図は,図3で新しい校正曲線が生じるようにM-R平面で移動してよい。変動は,

この新規の校正曲線を決定するために用いられてよいが,新規の校正曲線図の幅によって決定される不確

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かさの成分ではない。 

b)の場合には,校正曲線図は,動作範囲内で影響量のいかなる値に対しても適合する測定結果を与える

ことができなければならない。したがって,規定の動作範囲のすべてにわたる,影響量の定格値に対応す

る校正曲線図の包絡線として構成される。その境界は,より大きい変動をもつ二つの極限動作条件に対応

する曲線図の外側境界によって決定される(図4)。変動は,不確かさ決定の一つの因子であり,R軸に平

行な曲線図の幅の主成分である。極限動作条件が,結果として基準条件で得られる曲線図に関し対称的な

曲線図にならない場合は,動作条件における校正曲線は基準条件の校正曲線とは異なるものとなる。 

       M:測定の単位で表した測定値の軸 

     R:出力の単位で表した指示の軸 

図3 異なる動作条件における校正曲線図 

動作条件が二つ以上の影響量に対し,基準範囲外の値を同時にとることを許容するときには,幾つかの

影響量の影響は,通常,単純な和のルールに従うこと又は統計的に合成することを期待できないため,状

況は更に複雑である。ただし,実験によって又は経験を通して,いずれかの方向で最大の全体変動を生じ

る影響量の定格値の組合せを見い出すことはできる。また,図4のように,定格動作条件に対して有効な

校正曲線図の境界を決定するか,又は検証するために,これらの二つの極限動作条件を用いることができ

る。 

6.3 

用語  “最大誤差限界”で書かれた計器に関するJISがある場合は,所定のいかなる組の動作条件

に対する不確かさの限界も,その規格に従って規定しなければならない。仕様は,“最大誤差”が定義され

る方法に相当の注意を払い,その規格によって決められる誤差限界を基に構築される校正曲線図から得ら

れる不確かさの用語で規定しなければならない。 

備考 実際に,測定単位で記された目盛をもつ計器に対しては,校正曲線図は,通常,平行又は若干

広がる境界をもつ狭い帯となり,不確かさは,5 %よりも良く定義することはほとんど不可能

なので,最大誤差限界及び不確かさの限界は,(当然それらが,同じ統計的環境を引用するので

あれば)同一の値によって表される。 

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15 

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M:測定の単位で表した測定値の軸 

R:出力の単位で表した指示の軸 

図4 拡張動作条件に対する校正曲線図 

6.4 

他のすべての計器に対して,不確かさの限界の仕様は,6.4.1〜6.4.5に規定する幾つかのタイプの情

報の一つ以上を与えてよい。 

6.4.1〜6.4.5は,信頼する価値のある校正を提供するために必要な,異なる情報量をもつ許容動作条件に

対し,異なる仕様間の選択肢を提供している。 

6.4.1 

固有計器不確かさの限界 この選択肢は,基準条件に関してだけ,固有計器不確かさの限界を規定

する。 

校正曲線図は,基準条件に対してだけ存在する。 

この選択肢は,最少量の校正業務を必要とするが,計器は狭い基準範囲においてだけ動作するものと推

定しているので,動作条件に最も狭い限界を課している。したがって,不確かさの限界の仕様は,それが

校正目的のためだけを意味する研究室用計器に用いられるかもしれないが,この選択肢に制限されること

はまれである。 

6.4.2 

単一影響量に対する変動をもつ固有計器不確かさの限界 この選択肢は,基準条件に関する固有計

器不確かさの限界及び単一影響量に対する定格動作条件に関する変動を規定する。 

この選択肢は,他のすべての動作条件がそれらの基準範囲内に含まれている一方,単一の影響量が基準

範囲外で計器が動作することを許容する。 

一般的に,動作範囲内にある変化する影響量のいかなる値に対しても,図3のような校正曲線図を構築

できるような方法で,仕様を作成しなければならない。変動が決められる影響量の値は,その基準値と同

じ許容差をもたなければならない。変動した影響量で得られる測定の不確かさが固有計器不確かさよりも

大きいならば,それより大きい値を規定しなければならない。移動した校正曲線図に付けられるより大き

い不確かさは,変動自体が規定される不確かさ及び的確な影響量を測定するときに使用者が尊重すること

が期待される許容差を考慮している。 

使用者は,次の二つの異なる方法で,この仕様によってもたらされる情報を用いてもよい。 

16 

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a) 使用者が操作しているときの規定された許容差の影響量の値を知っている場合,使用者は,読値の補

正として変動を用いてもよい。さらに,固有不確かさの限界に等しいか,又は影響量の変化した値で

の測定に対して規定された,より大きい値に等しい不確かさで測定結果を計算してもよい。 

b) 使用者が操作しているときの影響量の値は分からないが,それが与えられた範囲内にあることだけを

知っている場合,使用者は,測定結果を計算するための図4のような校正曲線図を作成するに当たっ

て,範囲の下限及び上限に対する変動を用いてもよい。 

備考1. b)の場合には,6.4.4で規定するように,使用者のデータを基に作られた影響量に対する動作

範囲をもつ動作計器不確かさの限界を定義するために,変動を用いる。測定の単位での目盛

線をもつ,図2のような校正曲線図をもつ計器に対して,不確かさは,固有不確かさに極限

変動に対応する範囲を加えたオーダとなる。しかし,それを計算するとき,特に影響量の動

作範囲が基準範囲に対して非対称であるときは,注意を払わなくてはならない。不確かさが

M軸に平行な部分によって与えられる一方,変動はR軸に平行な部分であるので,その校正

曲線図を参照しなければならない。 

2. この選択肢は,一つの影響量が他の影響量に比べて支配的なときに便利である。 

6.4.3 

幾つかの影響量に対して変動をもつ固有計器不確かさの限界 この選択肢は,基準条件に関する固

有計器不確かさの限界及び幾つかの影響量に対する定格動作条件に関する変動を規定する。 

この選択肢は,異なる影響量の影響が合成される方法が分かっている場合に,他のすべての動作条件が

それらの基準範囲内に含まれているとき,二つ以上の影響量をもつ計器を基準範囲外で動作させることを

許容する。この選択肢は,幾つかの影響が非常に簡単な法則で,例えば,直線的に結ばれているときに用

いる。 

仕様は,幾つかの変動を合成しなければならない方法について,明確,かつ,あいまいさのない記述で,

6.4.2に規定する条件と同一条件で作成しなければならない。情報は,6.4.2のように利用してもよい。 

6.4.4 

単一影響量に対する動作計器不確かさの限界 この選択肢は,基準条件に関する固有計器不確かさ

の限界を規定し,また,一つの影響量に対する定格動作条件に関する動作計器不確かさの限界も規定する。 

備考 動作計器不確かさの限界は,図4のような校正曲線図を作成することによって,定格動作範囲

の下限及び上限に対応する変動から通常得られる。同一の見解を6.4.2の備考1.のように適用す

る。 

6.4.5 

動作計器不確かさの限界 この選択肢は,基準条件に対する固有計器不確かさの限界を規定し,ま

た,あらゆる影響量に対する定格動作条件に関する動作計器不確かさの限界を規定する。 

一般に,校正曲線図の有効性は,動作範囲内にある幾つかの影響量の値の任意の組合せに対して点検さ

れなければならないので,この選択肢は,最も広い動作条件を許容するが,最大量の校正作業が必要であ

る。 

ただし,実際は,計器の性能及び幾つかの影響量による変動についての経験の蓄積から,製造業者は,

影響量の最悪の組合せ,すなわち,読値を基準条件での読値から最も遠く離れさせる影響量の組合せを決

定できるので,現実の校正作業は大幅に少なくなる。そのような知識が利用できる場合,基準の組以外の

校正作業には,二つの定義された条件の組(又は対称性が得られる場合は一つの組)で,校正の検証を行

えばよい。 

備考1. 動作計器不確かさの限界は,幾つかの影響量の影響の組合せの法則が既知の場合,幾つかの

影響量の定格動作範囲の下限及び上限に対応する変動の組合せから得られる。実際には,幾

つかの影響量の全動作範囲にわたって有効な変動に対する組合せの法則を決定することより

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

も,より大きい全体変動を生じさせそうな値の組合せを決定することの方がより容易である。 

2. 動作計器不確かさの限界が与えられているとき,計器を現場の作業及び研究室の作業に共用

する計画がない場合,使用者は,固有計器不確かさの限界に多くの関心をもたない。固有計

器不確かさの仕様を省略する場合,校正作業はそれに応じて少なくなる。 

3. 必要がある場合,異なる組の動作範囲に対して,動作計器不確かさの限界を規定してよい。

例えば,与えられた限界は,温度範囲(T′a〜 T″a)及び圧力範囲(P′a〜P″a)に対して有効である

か,又は圧力範囲が(P′b〜P″b)>(P′a〜P″a)の場合は,他の温度範囲(T′b〜T″b)<(T′a〜T″a)に対し

て有効であると規定してよい。 

6.5 

計器不確かさの幾つかの限界は,定格動作条件の幾つかの記載された組に対して規定してもよい。 

6.6 

不確かさの限界は,絶対,相対又は基底項で規定してよい。場合によっては,不確かさの限界は絶

対項及び相対又は基底項の和として表してもよい。基底項が引用する値は,明確に規定しなければならな

い。二つ以上の限界を規定する場合には,同一引用値を用いなければならない。 

6.7 

計器の使用者にとって,計器不確かさは,計器の製造業者又は校正業者によって与えられ,タイプB

の不確かさの成分として取り扱わなければならない引用不確かさである。したがって,使用者が自身の測

定の不確かさを評価するとき最良に計器不確かさを使用できるように,不確かさの限界の記述は,計器不

確かさを決定するのに用いた方法について関連するすべての情報を伴わなければならない。不確かさの限

界は,あらかじめ定義された校正曲線図との適合性を検証することによって決定される場合,使用者は計

器不確かさを他の不確かさと合成するに当たっては,計器不確かさを長方形分布と推定する以外の選択は

ない。しかし,その限界が統計的推論によって評価されれば,その場合は,固有計器不確かさだけに対す

るものであるか,又は単一の変動を伴うものであるから,統計的分布についての適切な情報は,使用者に

自身の測定の不確かさをより良く評価させることになる。 

7. 影響量の仕様 影響量の仕様は,計器の性能を評価し,表現するときのかぎとなる因子である。 

7.1 

計器に要求される性能が高ければ高いほど,影響量及び他の動作条件の決定は,より厳格になる。

一方,動作条件の仕様が詳細,かつ,厳重になればなるほど,計器の使用分野はより狭くなる。計器の正

確さの等級とその用途群との間には,一種の逆相関の関係が存在する。計測における進歩は,非常に良く

制御された動作条件における研究室用途の計器の正確さを改良するばかりではなく,より厳しい,かつ,

より粗い動作条件へ測定の可能性を広げ,より幅広い用途群のために設計される計器の正確さを改善する

ことからなる。 

7.2 

計器の性能の仕様は,すべての適切な影響量及び影響量の許容範囲を記載することが望ましい。適

切な影響量は,環境,測定システム又は計測器に属するあらゆる量であり,規定の範囲内にある影響量の

変動が,指示と測定値との関係に無視できない影響を与えるものである(3.1.14参照)。当然の結果として,

ある量は適切な影響量ではないという規定がある場合でも,一定の範囲の仕様を内包する。実際に,例え

ば,所定の計器に対する影響量のリストに大気圧がない場合には,それ自体では,計器が高真空ジャーの

中で,動作するだろうということは意味しない。それは,単に大気圧の通常の変動範囲内では重要な影響

が起きないということを意味している。すなわち,値の範囲は“通常”とみなしてよいとの合意を意味し

ている。用途群における潜在的影響量の通常の範囲の分類は,影響量に対する仕様の,長い,首尾一貫し

ない,かつ,繰返しの多いリストを避けるための有効な手段である。 

影響量及び影響量の範囲についての仕様に対する基準は,次になる。 

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7.2.1 

計器の性能表示は,計器に対して許容される用途群についての規定,又は測定に関連するあらゆる

量に対する許容範囲の完全なリストを含めなければならない。 

7.2.2 

特定の規格によって提供される用途群への分類がない場合には,使用の定格範囲及び限界範囲につ

いて,次の用途群を,用途群に関して規定されているように,参照しなければならない。 

グループⅠ ― 室内用途並びに研究室及び工場で通常見られる条件の下で,かつ,装置が注意深く取り

扱われるところでの用途 

グループⅡ ― 非常に極端な環境からの保護がある環境での用途及びグループⅠとⅢとの間にある取扱

条件の下での用途 

グループⅢ ― 屋外用途及び装置が手荒い取扱いを受けるおそれのある分野での用途 

7.2.3 

基準条件を規定するとき,温度,相対湿度及び大気圧に対する基準範囲は,IEC 60851-5によるこ

とが望ましい。 

7.2.4 

潜在的影響量は,その定格動作範囲の極限で,その値に関係する変動が,固有不確かさの10 %未

満又は読値の量子化による不確かさの成分よりも小さい場合,その潜在的影響量は無視できる影響しか与

えないとみなされる(3.1.12備考3.参照)。そうでなければ,一つの影響量として,及び,6.4に規定する

方法の一つで規定する影響として,潜在的影響量を取り扱わなければならない。 

7.3 

時間は,次の二つの観点で,一つの影響量として取り扱うことが望ましい。 

a) ある性能特性のドリフト。すなわち,特定の規格で規定しなければならないドリフトに対する計算法。 

b) 校正曲線図の寿命。すなわち,前回の校正の検証後,いかに長く校正曲線図が有効性を維持している

と期待されるのか,また,いかにこの有効期間が計器自体の履歴に関係してよいのかは,大いに議論

されてきた事項であるが,いまだに規範となる回答が得られていない。性能特性についての定義は,

それらの定義がいったん決定されても,だれしもそれらの定義が永久に続くことを真に期待してはい

ないが,そのような性能特性が無期限に有効であることを意味する。 

7.4 

近代計測の動向は,影響量を測定できる多センサ計測器,かつ,それらの影響に対して補正するこ

とができる内蔵のマイクロプロセッサソフトウェアに向かっている。このような方式の計測において,影

響量を処理する方法は,いかにソフトウェアを作成するかに非常に大きく依存している。ソフトウェアの

プログラマにとって,校正手順で,基準範囲外の影響量の値に関係する変動を決定しなければならず,か

つ,最終的に表示される指示への信号加工に対するパラメータとして導入しなければならない(6.4.2参照)。

一方,使用者にとって,同一の影響量を,もはや影響量としてもみなすべきではない。影響量の許容範囲

への追従が自動的に点検され,かつ,それらの影響が自動的に補正されるからである。指示は,不確かさ

の定格限界内に調整されるので,影響量はもはや指示と測定値との関係に影響を及ぼさない。それはすべ

て,校正の検証がソフトウェアを含むか否かを決めることの問題である。影響量の影響についてよく理解

することは,使用者によるソフトウェアの調整が可能かどうかの次元である。 

8. 適合性試験の一般規則 適合性試験は,不確かさの規定の限界に,指示値が適合していることを立証

するために,既知の測定量に対応して与えられる指示が,校正曲線図によって指示される範囲内にあるか

どうかを検証することによって行う。 

この規格が内包する要求事項は,形式試験(一形式の機器の,1個又は数個の試料について実施される。)

及びルーチン試験(個別試料について実施する。)の両方に適用する。 

関連があれば,特定のJISの試験方法を使用しなければならない。 

規定の限界をもつ値だけが,試験対象とみなされる。限界なしで与えられる値は,単なる一般的情報で

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あり,適合性試験の対象とすることはできない。 

限界が規定されているならば,幾つかの種類の計器に対して発行された適切な規格で指示される条件の

もとで,適合性試験を実施しなければならない。 

校正の検証において,動作条件は,校正曲線図が定義される範囲内になければならない。校正の検証は,

既知の,校正曲線図によって計器に指定された不確かさに関して無視できる不確かさをもつ試験測定量で

実施するのがよい。これが不可能で,かつ,適切な特定の規格で別に規定していないとき,検証している

計器によってもたらされる測定結果が,適切な相関係数をもって試験測定量の値及び不確かさに適合する

のであれば,検証は肯定的とみなしてもよい。校正の検証が否定的結果をもたらす場合は,その計器を新

たに校正を実施するのがよい。 

調整は,校正又は校正の検証の代用ではないことを指摘することは価値がある。それが,校正曲線図が

有効である動作条件の下で,十分に説明された手順に従う定期調整の問題でない場合は,むしろ,何らか

の調整後に,校正の検証を実施することが望ましい。 

調整に用いられる測定量は,その計器不確かさに関して無視できる不確かさをもつことを知ることが望

ましい。 

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附属書A(参考)“誤差”から“不確かさ”起因への概念上及び 

用語上の進展 

測定結果の評価における,“誤差”の概念から“不確かさ”の概念への進展は,必然的に基本的な計測用

語の何らかの再調整を伴う。したがって,いまだなお伝統的手法に慣れ親しんでいる人々の間に誤解を生

じさせないように,この進展についての説明をしておくことは価値のあることである。この進展は,“真の

値”及び“誤差”に関して,伝統的手法の不適切さに起因するものであった。伝統的手法の不適切さは,

計器内の信号の自動処理に強く依存する現代計測の発展とともに,ますます表面化してきた。 

伝統的手法では,測定量はその真の値,すなわち,測定単位に結びつけられた単一の実数によって表さ

れることになっている。しかしながら,計器はこの真の値をもたらすことができず,“偶然”成分と“系統”

成分から成る加算“誤差”だけ,真の値とは異なる値を指示する。ところが,真の値を決して知ることは

できず,したがって誤差もまた不定である。大部分の人ができることは,誤差に対する限界,すなわち,

実際の誤差がそれ以内にあると推定される“最大誤差”を見積もることであり,かつ,引き続き,“真の”

値がそれ以内にあると期待される値の区間を見積もることである。実際上,この区間を未知の“真の値”

を参照することによっては評価し得ないが,測定値の適合性,すなわち,測定値が“誤差内にとどまるこ

と”(“最大誤差”を意味する。)によって評価される。さらに,“精密さ”と“正確さ”との区別が,それ

ぞれ小さな偶然誤差と小さな系統誤差をもつ能力を意味することとして明確にされたので,計器又は測定

の総合性能を定義する用語が必要でなくなった。したがって,実地の測定の世界では,この用語が,測定

値の適合性を保証する一組の値の代表的幅を意味するとして,“不確かさ”の表現で論じ始められた。 

1980年の国際度量衡委員会は,不確かさの成分を測定回数の増加によって減少する成分(タイプA)と,

そうでない成分(タイプB)とに分類するよう提唱することによって,和の規則を何ら与え得ない“偶然”

誤差と“系統”誤差との伝統的な区別を克服した。GUMが基本的な概念を引き継ぎ,幾つかの成分をど

う合成するかについて解析し,真の値の概念を参照せずに(文脈上の批評はあるが)不確かさの定義を与

えた。 

不確かさのこの定義(3.1.4参照)によって,計器の校正に関する幾つかの用語の再定義が余儀なくされ

た。その理由は,ばらついている値を合理的にある測定量に帰し得るといういい方は,測定の結果を単一

の値として,かつ,校正を表示値の加算補正として取り扱う伝統的定義を廃退させてしまうからである。 

まず初めに,測定量を表す表現を意味する“測定の結果”の定義は,値の全体のばらつきが測定量に帰

属し得るとする概念と一貫性をもっていなければならない。したがって,定義3.1.2は,“値”及び“不確

かさ”として参照されるその中央値とその半分の値とによって適切に表現される一つの区間として見られ

る一組の値について言及している。不確かさは,値の組の規模を決定するものであり,中央要素はとりあ

えず値の組をとめておく便宜上の基準であり,他の要素よりも測定量をより良く表現するものでもない。

すなわち,測定量を表すのは全体の値の組である。伝統的手法においては,誤差は,割り付けられた値の

有効性についての帰納的な判定であったが,一方,不確かさは,その測定結果の固有の成分である。すな

わち,いかなる測定結果も不確かさなしで表現すべきではない(このことは,協定上文脈中に示される。)。

例えば,ある抵抗器を流れる電流が(149 ±1 ) mAであるとする。測定量は,全体の値の組148 mAから150 

mAによって表され,mAが測定の単位,値の組の中央値である149 mAが測定値,値の組の半分の値であ

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る±1 mAが測定の不確かさである。 

測定量は,全体の値の組によって記述されるので,計器の指示からこの記述に至る推移を,その指示自

体の“誤差の補正”の表現で取り扱うことはできない。そのうえ,近代の計測は計器内部での複雑な信号

処理にこれまで以上に依存し,一連の自動制御又は自動調整網の一部である計器は,目盛上で読み取れる

指示を与えることさえない。すべての種類の計器に適切で,誤解を避ける用語は,計器の出力,すなわち,

指示(3.1.5参照)と,測定量,すなわち,不確かさを含む最終測定結果(3.1.2参照)とを明りょう(瞭)

に区別しなければならない。すなわち,計器の校正を通して指示から測定結果を知り得るようになるので

ある(3.1.6及び6.1参照)。 

校正によってもたらされる情報は,校正曲線図(3.1.7及び6.1参照)において,読値と測定値との座標

平面上の帯によって総合的に表現される。帯が必要とされるのは,任意の指示に対応して,どの値及び不

確かさを割り付けるかを知らなければならないからである。単に読値を“補正する”ことではない。この

帯は,その中心線,すなわち,校正曲線(3.1.8及び6.1参照)及びその半分の値,すなわち,不確かさを

与えることによって適切に表現される。 

事例: 

− 100目の目盛を備えた電流計の指示が80目の例。 

この電流計の校正曲線図によれば,定格動作条件(3.3.13参照)において,この読みによって(直

接)測定の結果として(8.0 ±0.1) Aを割り付けることが分かる。使用者の便宜上,この情報を,目

盛をアンペアで記し(10目で1 A),かつ,不確かさが最大目盛値の±1 %(読みの不確かさを含

む。)と規定する正確さ等級の指数によって与えてもよい。ただし,そのような目盛線は,校正曲

線に対する便法でしかなく(6.2参照),計器が最終的に誤差を補正すべき値をアンペアで与える

ということを意味するものではない。 

− 力/圧力トランスデューサの指示が50 mVの例。 

このトランスデューサの校正曲線図によれば,定格動作条件において,この値によって力の(直

接)測定の結果として(210 ±4 ) kNを割り付けることが分かる。この情報は,指示及び関係する

不確かさの範囲付きの(測定)値との対応表の形式で提供してもよい。 

− 過熱警報装置の指示が“オン”(すなわち,ランプ点灯)の例。 

この装置の校正曲線図によれば,定格動作条件において,ランプが点灯したときは,当該温度が

(90 ±5 ) ℃よりも高いことが分かる。この情報は,その装置の説明書で提供してもよい。注意す

べきことは,この種の測定において,測定量が温度それ自体でではなく,しきい値を超える(“オ

ン”)及び未満(“オフ”)である2種類の温度であり,不確かさの区間は,そのしきい値に適用す

る。 

校正曲線は,計器の指示と測定量の“指示値”(3.1.9参照),すなわち,正しく行われた直接測定の場合

の測定量の測定値と間接測定(繰返し観測による測定を含む。3.2.9参照)の場合における測定結果の計算

用要素との関係を描いており,いずれの場合にも計算するには,校正曲線図によって指示値に割り付けら

れる不確かさが必要である。 

伝統的手法においては,“校正”という用語は,このように指示された値と標準の(協定による真の)値

との関係を確立する作業を指すのであるが(VIM 6.11参照),いままで“校正”の名の下に扱われる問題

の局面は,計器の目盛線の位置を固定する作業を意味する“目盛線付け”又は“目盛付け”(VIM 4.29参

照)という名前で呼ばれていたことである。目盛線を測定量の測定単位(又は多重化した測定単位)で付

けることを,当然のことと思っていた。この用語は,指針が真ちゅう(鍮)に刻印された目盛に沿って機

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械的に駆動される古典的計器に対しては極めて自然であったが,より一層精巧な計器に対しては適切とは

いえず,すべての状況に対応できるよりはん用性のある用語が採用された。 

ある有効な測定の結果の不確かさは,同一測定量に対する他のすべての有効な測定値との適合性を保証

するものでなければならない。この適合性は,その結果を表す数値の組の重複によって判定される(3.1.10

参照)。適合性についての基準は,二つの測定結果間の差の不確かさに対する,不確かさの結合のための

GUM基準を適用することによって得られるものである。これらの用語において,二つの測定結果は,そ

れらが数値区間によって|V1−V2|≦U12=√(U1 2+U2 2−2rU1U2)と表されるとき,互いに適合するとみなされ

る。U12は二つの測定値の差の不確かさであり,rは二つの測定値の相関係数である。二つの測定値が完全

に無相関であればr=0であり,二つの区間は適合性に関し部分的に重複していなければならない。二つの

測定値に総合的に明確な相関関係があればr=+1,U12=U1−U2であり,適合性は完全な重複を要する。

二つの測定値に反相関関係があればr=−1,U12=U1+U2であり,二つの区間の重複は適合性に関し一つ

の共通要素に減らしてよい。したがって,適合性の評価は,幾つかの測定値の相関に関する判定に結びつ

いているが,その判定は容易ではなく,校正データの統計的処理に十分な注意が必要である。この規格の

目的のために,動作条件の結合効果が両極端で行われる測定は,r=−1の反相関関係にあるとみなさなけ

ればならない(6.1参照)。 

事例: 

− 次のコンデンサの容量の測定値は,すべて互いに適合する。 

a) 322.5±0.2 pF,b) 322.6±0.2 pF,c) 322.58±0.02 pF,d) 323.0±0.5 pF。もう一つの無相関結果,

e) 322.52±0.02 pFは,c)とは,適合しないが,それでも他の結果とは適合する。測定が正しければ,

これは測定c)とe)との間に容量が変化したことを意味する。不確かさ±0.02 pFの測定に対してはそ

の変化が妥当であり,一方,不確かさ≧±0.02 pFの測定では,容量は一定であったと考えるべきで

ある。 

不確かさがすべての測定結果の固有な部分であり,値はその不確かさを伴わなければ,その値は意味が

ないとの概念の明白な結論は,動作条件は単一の値ではなく複数の範囲で規定しなければならない,とい

うことである。例えば,機器は25 ℃で動作させなければならないと規定することはできず,むしろ影響

量“温度”に対する基準範囲は24〜26 ℃(又は,25 ±1 ℃)であり,これは温度Tが24 ℃≦T−U < T

+U≦26 ℃の関係を満たさなければならないことを意味する。明らかに,温度は不確かさU≪1 ℃で測定

しなければならない。そうでないと,この条件は時折満たされるだけとなる。 

“誤差”から“不確かさ”への概念上及び用語上の進展と並んで,電気計器の性能についての規格もま

たその適用範囲の進展を遂げた。当初電気指示計器についての規格が発行され,そこで“固有誤差”と変

動の概念が開発された。次いで,電子計器の規格が追随した。主な問題は,変動の取り扱いから生じた。

一方では,計器の性能を“固有(最大)誤差”を定義する基準条件に限定することはできず,他方では,

幾つかの変動を合成するための経済的な基準を何ら案出することができなかった(また,用語上及び概念

上のあいまいさのために,それらの変動を“系統誤差”の一成分として取り扱うのか,又は“最大動作誤

差”を計算するための計算デバイスとして取り扱うのかが明確ではなかった。)からである。電気計器と電

子計器との区別がなくなり始めると,IEC 60359(1987)は電気及び電子の両種の計器に対する規格を提供し,

等確率分布する独立無相関誤差の根源として変動を取扱うことによって,その困難を克服しようとした。

この手法では,“最大誤差”を計算するのに簡単な数学的処理で済むものの,ほとんどの影響量は決して無

相関でも等確率でもないので,物理的根拠とを欠いていた。そのうえ,この問題が依然として“誤差”の

見地で取り扱われていた。しかしながら,電気計器と電子計器とを区別することは明らかに消滅し,不確

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かさの概念が行き渡っている。まさにはん用,かつ,現代的用語でこの問題の局面に踏み込むときである。 

参考 IEC 60359 (1987)は,IEC 60359:1987 Expression of the performance of electrical and electronic 

measuring equipment(電気及び電子測定装置の性能の表し方)をいう。この規格は改正されIEC 60359: 2001 

Third edition,Electrical and electronic measurement equipment−Expression of performanceに置き換えられた。 

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C 1005:2006 (IEC 60359:2001) 

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附属書B(参考)性能の仕様化手順 

この附属書は,性能表示についての規定であり,計器の性能を決定する方法及び手順は,この附属書の

適用範囲及び対象ではない。それらは,通常,特定の形式の計測器に関係するJISの対象であり,いまや

GUMの概念の表現で書き換えられることが望ましい。計器の不確かさの決定に関するGUM適用のための

一般規格は,統一性のために大変有用なものであるといえる。 

ただし,この附属書に基づいて性能を表現するために採られる手順を,参考として,ここにブロックダ

イアグラムの形で(図B.1)説明しておくことは価値がある。 

第1のステップは,当然,測定量及び測定範囲(3.3.9参照)の仕様化である。これは,出力形式の仕様,

すなわち,指示が表される単位を伴うものである(3.1.5及び3.2.2参照)。 

図B.1 性能の仕様化手順 

出力形式が任意の目盛上の表示か又は他の計器によって読まれる信号である場合,その仕様は校正作業

を必要としない。すなわち,校正曲線図はそれ以降の校正によって作成されるであろう(図1参照)。出力

が他の計器又は外部表示用であるとき,その出力形式の仕様は,読出装置に対して必要とされる接続特性

の仕様を含まなければならない。 

一方,測定量の測定単位で直接標識付けすることを選択したとき(図2参照),原理的にこの標識付け作

業は校正を前提とする。類似の計器での以前の経験に基づいて計器の校正前に標識付けを行う場合は,次

の二つの選択肢がある。 

a) 標識付けが定義的に行われる,つまり校正曲線が,単一こう(勾)配をもつ直線としてあらかじめ定

められているということである(図2参照)。この場合には,以降の校正は,校正曲線図がどの程度の

幅をもってあらかじめ定められたこの校正曲線をまたいでいるのか,すなわち,不確かさを決定する

だけである。 

b) 標識付けが,読値を記述する方法で検討される。この場合には,以降の校正は,校正曲線によって二

分される完全な校正曲線図を提供することになる。その校正曲線図は,あらゆる読値を,不確かさを

もつ測定値に関係付けている。 

選択肢b)では,それが単に出力値の標識付けの問題であるということを忘れてしまうと,誤解を生じさ

校正曲線図 

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せるかもしれない。校正は,測定結果に“補正”を与えるのではなく,測定結果そのもの(値及び不確か

さ)を与える。 

古くから用いられてきた目盛付き指針計器では,この標識付け作業(伝統的には,“目盛付け”又は,“目

盛線付け”と呼ばれる。)は,一度限りの根拠で達成されたが,それはまた当時の哲学的な枠組みの中にお

いて,理論的な困難さの原因でもあった。この作業は,上に述べた選択肢a)を意味したが,計器の寿命と

いう事実は,それが標識付けの問題であるということを認識することなく,選択肢b)への移行を要求した

のである。計器が期待どおりに動作せず,“誤差”が計器の“欠陥”によるように見え,また,その“校正”

が, “系統誤差”を補償するために,測定結果に対して付加的な“補正”を示唆したのである。現代のデ

ジタル出力計器では,その作業は,A/D変換器のパラメータ設定及び読出表示装置への接続設定のことで

あり,おそらく,かつ,実際にもっと頻繁に行う設定は,ソフトウェアに関係している。厳密にいえば,

それは調整,すなわち,与えられた測定量の値に対応して,与えられた指示を備えることの問題であり

(3.2.13参照),かつ,調整と校正とを混同しないように注意するのがよい。しばしば,いわゆる自己校正

計器と呼ばれるものは,事前に設定した校正曲線に出力を再調整しているだけである。校正曲線図の幅が

その過程で変化しないことが確かであれば,これは非常に有用である。そうでなければ,誤解を生じさせ

ることになる。 

次に,(他の関係条件とともに)関連する影響量及び影響量の範囲の仕様が必要である。ここで,選択肢

a)〜c)のどれを規定すべきかの選択をしなければならないが,  

a) 基準条件だけ。 

b) 基準条件及び定格動作条件。 

c) 定格動作条件だけ。 

a)〜c)のいずれによるかは,直面させられる計器の使用分野,計器の不確かさのレベル及び校正の作業量

による(6.4及び7.1参照)。選択肢b)を選択すれば,固有不確かさの限界及び変動で結果を表すか(6.4.2

及び6.4.3参照),固有不確かさの限界及び動作不確かさの限界で結果を表すか(6.4.4及び6.4.5参照)の

選択をしなければならない。校正の作業量(直接的なもの又は過去の経験からの推定によるもの)は,動

作不確かさの限界を規定した場合の方が,変動だけを規定した場合よりも,むしろ多くなる。なぜなら,

前者の場合,どのように幾つかの変動が互いにかかわりあっているのか,かつ,その不確かさが基準条件

によってどの程度変化するのかを表現しなければならないからである。 

不確かさの限界を規定してから,限界条件(3.3.15及び3.3.16参照)並びに保管及び輸送条件(3.3.17〜

3.3.19参照)も規定しなければならない。 

可能な更なるステップとしては,例えば,分解能又は過渡動作における応答特性といった,校正曲線図

から推論できない(かつ,この規格で言及していない。)性能特性の仕様化である。 

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C 1005:2006 (IEC 60359:2001) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献 

a) IEC刊行物 

IEC 60051 (all parts) Direct acting indicating analogue electrical measuring instruments and their accessories 

参考 JIS C 1102-1〜-9(直動式指示電気計器)は,IEC 60051-1〜-9と一致している。 

IEC 60068 (all parts) Environmental testing 

参考 JIS C 60068(環境試験方法−電気・電子−)シリーズのほとんどはIEC 60068シリーズと一致

しているが,すべてではない。 

IEC 60529: 1989 Degrees of protection provided by enclosures (IP Code) 

参考 JIS C 0920(電気機械器具の防水試験及び固形物の侵入に対する保護等級)の附属書は,IEC 

60529: 1989と一致している。 

IEC 60654 (all parts) Industrial-process measurement and control equipment−Operating conditions 

IEC 60721-3-0: 1984 Classification of environmental conditions. Part 3: Classification of groups of 

environmental parameters and their severities−Introduction 

参考 JIS C 0112(環境条件の分類 環境パラメータとその厳しさのグループ別分類 通則)は,IEC 

60721-3-0: 1984と一致している。 

IEC 60851-5 Winding wires−Test methods−Part 5: Electrical properties 

b) その他の刊行物 

CIPM Recommendation INC-1 (1980) 

CIPM Recommendation 1 (CI-1981) 

CIPM Recommendation 1 (CI-1986) 

ISO/IEC INT-VOC-MET: 1993 International Vocabulary of Basic and General Terms in Metrology (VIM) 

UNI 4546: 1984 Misure e misurazioni. Termini e definizioni fondamentali−Norma italiana  

CDU 681.2: 001.4,1984 (Measures and measurements−Fundamental terms and definitions. Italian standard)