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B 9960-32

:2011

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲  

4

2

  引用規格  

5

3

  用語及び定義  

9

4

  一般要求事項  

17

4.1

  一般考慮事項  

17

4.2

  装置(用品)の選択  

18

4.3

  電源  

18

4.4

  物理的環境及び運転条件  

20

4.5

  輸送及び保管  

21

4.6

  運搬の便宜のための手段  

21

4.7

  据付け  

21

5

  入力電源導体の接続並びに断路器及び開路用機器  

22

5.1

  入力電源導体の接続  

22

5.2

  外部の保護接地システムを接続する PE 端子  

22

5.3

  電源断路器及び電源開閉機器  

22

5.4

  予期しない起動を防止するための開路用機器  

28

5.5

  電気装置を断路する機器  

29

5.6

  無許可,無意識及び誤操作による投入に対する保護  

30

6

  感電保護  

30

6.1

  一般事項  

30

6.2

  直接接触に対する保護  

30

6.3

  間接接触に対する保護  

32

6.4

  PELV 使用による保護  

34

7

  装置(用品)の保護  

35

7.1

  一般事項  

35

7.2

  過電流保護  

36

7.3

  電動機の温度上昇保護  

38

7.4

  異常温度保護  

39

7.5

  停電,電圧低下及びその復旧時の保護 

39

7.6

  電動機の過速度保護  

39

7.7

  地絡(漏電)電流保護  

39

7.8

  相順保護  

39

7.9

  開閉サージ及び雷サージに対する保護 

40

8

  等電位ボンディング  

40


B 9960-32

:2011  目次

(2)

ページ

8.1

  一般事項  

40

8.2

  保護ボンディング回路  

40

8.3

  機能ボンディング  

44

8.4

  大きな漏えい電流の影響を制限する方策  

44

9

  制御回路及び制御機能  

44

9.1

  制御回路  

44

9.2

  制御機能  

45

9.3

  保護インターロック  

51

9.4

  故障時の制御機能  

52

10

  オペレータインタフェース機器及び巻上機械に取り付けた制御機器 

56

10.1

  一般事項  

56

10.2

  押しボタン  

57

10.3

  表示灯及び表示器  

58

10.4

  照光式押しボタン  

59

10.5

  回転形制御機器  

59

10.6

  起動用機器  

59

10.7

  非常停止用機器  

59

10.8

  非常遮断用機器  

60

10.9

  イネーブル制御機器  

61

11

  制御装置の配置,取付け及びエンクロージャ  

61

11.1

  一般要求事項  

61

11.2

  配置及び取付け  

61

11.3

  保護等級  

63

11.4

  エンクロージャ,扉及び開口部  

63

11.5

  開閉装置及び制御装置へのアクセス性  

64

12

  導体(電線)及びケーブル  

65

12.1

  一般要求事項  

65

12.2

  導体  

65

12.3

  絶縁被覆  

66

12.4

  定常使用時の電流容量  

67

12.5

  電圧降下  

68

12.6

  可とうケーブル  

68

12.7

  導体ワイヤ,導体バー及びスリップリング機構  

69

13

  配線  

72

13.1

  接続及び経路  

72

13.2

  導体(電線)の識別  

73

13.3

  エンクロージャ内の配線  

74

13.4

  エンクロージャ外の配線  

75

13.5

  ダクト,接続箱及びその他の箱  

77


B 9960-32

:2011  目次

(3)

ページ

14

  電動機及びその関連装置  

79

14.1

  一般要求事項  

79

14.2

  電動機のエンクロージャ  

79

14.3

  電動機の寸法  

79

14.4

  電動機の取付け及び電動機用区画  

80

14.5

  電動機の選定基準  

80

14.6

  機械的ブレーキの保護機器  

80

14.7

  電気制御式の機械的ブレーキ  

80

15

  附属品及び照明  

81

15.1

  附属品用コンセント  

81

15.2

  巻上機械及び関連装置の局部照明  

81

16

  マーキング,警告標識及び略号  

82

16.1

  一般事項  

82

16.2

  警告標識  

82

16.3

  機能表示  

82

16.4

  装置のマーキング  

82

16.5

  略号(参照指定)  

83

17

  技術文書  

83

17.1

  一般事項  

83

17.2

  提供(納入)する情報  

83

17.3

  全ての文書類に対する要求事項  

84

17.4

  据付け用文書  

84

17.5

  全体図及び機能線図  

85

17.6

  回路図  

85

17.7

  運転マニュアル  

85

17.8

  保全マニュアル  

85

17.9

  部品表  

85

18

  検証  

86

18.1

  一般事項  

86

18.2

  電源自動遮断による保護が達成される条件の検証  

86

18.3

  絶縁抵抗試験  

87

18.4

  耐電圧試験  

87

18.5

  残留電圧保護の確認試験  

88

18.6

  機能試験  

88

18.7

  再試験  

89

附属書 A(規定)TN 接地系統における間接接触保護 

90

附属書 B(参考)巻上機械の電気装置のための調査書  

94

附属書 C(参考)巻上機械電気装置の導体及びケーブルの電流容量及び過電流保護  

97

附属書 D(参考)間欠負荷で用いる電線の選定  

102


B 9960-32

:2011  目次

(4)

ページ

附属書 E(参考)非常操作機能の説明  

105

附属書 F(参考)代表的導体断面積の比較表  

106

附属書 JA(規定)TT 接地系統における間接接触保護  

108

附属書 JB(参考)JIS C 3307 に規定する 600 V ビニル絶縁電線の許容電流  

110

参考文献  

111

附属書 JC(参考)JIS と対応国際規格との対比表  

113


B 9960-32

:2011  目次

(5)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本機械

工業連合会(JMF)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標

準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS B 9960-32:2004 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の

特許出願及び実用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS B 9960

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS B 9960-1

  第 1 部:一般要求事項

JIS B 9960-11

  第 11 部:交流 1 000 V 又は直流 1 500 V を超え 36 kV 以下の高電圧装置に対する要求

事項

JIS B 9960-31

  第 31 部:縫製機械,縫製ユニット及び縫製システムの安全性と EMC に対する要求事

JIS B 9960-32

  第 32 部:巻上機械に対する要求事項

B 9960-32

:2011


日本工業規格

JIS

 B

9960-32

:2011

機械類の安全性−機械の電気装置−

第 32 部:巻上機械に対する要求事項

Safety of machinery-Electrical equipment of machines-

Part 32: Requirements for hoisting machines

序文 

この規格は,2008 年に第 2 版として発行された IEC 60204-32 を基とし,技術的内容を変更して作成し

た日本工業規格である。

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所,

附属書 JA 及び附属書 JB は,対応国際規格に

はない事項である。変更の一覧表にその説明を付けて,

附属書 JC に示す。

この規格は,次の事項を達成するために,巻上機械の電気装置に対する要求事項及び推奨事項について

規定する。

−  人及び財産の安全

−  正しい制御応答

−  容易な保全

高い性能を達成するために,上記の重要事項を犠牲にしてはならない。

図 及び図 は,巻上機械の構成要素及び関連装置の相互関係の理解を助けるものである。図 は代表

的な荷役システム(連携して稼働する一群のクレーン)の総合ブロック図であり,

図 は代表的なクレー

ン及び関連装置のブロック図である。


2

B 9960-32

:2011

図 1−代表的港湾荷役システムにおいて連携するクレーンのブロック図

LAN システム

ケーブル式及びケーブルレス式

スタッカークレーン,

軌道式又はゴムタイヤ式

図 参照)

ゴムタイヤ式運搬クレ−ン

図 参照)

港湾サービス制御ステーション

軌道式荷揚げクレーン

図 参照)

ターミナル

船,はしけ,鉄道,トラック,荷揚げ場,荷降し場,相互間の資材の流れ

船,はしけ,鉄道,トラックなどによ
る資材の出入り情報データリンク

中央港湾制御ステーション

(運搬,積降し,物流の管理)

資材の流れのデータ

クレーンの状態及び故障表示


3

B 9960-32

:2011

図 2−代表的なクレーン及びその関連電気装置のブロック図

安全防護物及び警告装置 

 
    設備の保護 
    非常時の補助回路

電源 

 
      クレーン電源スイッチ 
      導体ワイヤ,導体バー 
      可とう電源ケーブル

配電 

 
        変圧器

        特殊回路 
        クレーン断路器 
        負荷保持装置

        クレーンスイッチ 
        感電保護 
        保護導体としてのクレーン構造

        補助装置 

搭載電源 

 
        ディーゼル発電機

クレーン制御 

リレー制御 
電子制御 
PLC 制御 
搭載コンピュータ

オペレータ操作盤 

機上運転室操作

床上操作 
−  定位置操作

−  ペンダント操作 
−  ケ ー ブ ル レ ス 操

駆動制御及び電動機制御

電源導体 
パワーエレクトロニクス

コンバータ 
駆動制御

補助駆動装置

アクチュエータ 
センサ 
負荷保持装置

主駆動装置 

電動機 
ブレーキ

物理的環境

警告標識 
識別表示

技術文書

非常遮断

非常停止

中央制御ステーション

へのデータリンク


4

B 9960-32

:2011

適用範囲 

この規格は,巻上機械及びその関連装置に用いる電気・電子の装置及びシステムの要求事項について規

定する。

注記 1  この規格では,“電気”という用語は,電気及び電子の両方を含む。すなわち,電気装置は,

電気装置及び電子装置を意味する。

注記 2  この規格では,“人”という用語は全ての個人をいい,雇用者又はその代理人によって,当該

巻上機械の使用及び保全を仕事として割り当てられ,指示された人を含む。

この規格が規定する装置は,巻上機械の電気装置への電源接続点(クレーン電源スイッチ)から始まる

負荷側の部分をいう。電源接続点が巻上機械の外部にある場合は,接続点から巻上機械本体までの給電シ

ステム及び制御線(例えば,可とうケーブル,導体ワイヤ及び導体バー)も含む(

図 参照)。

注記 3  建物の電源施設に対する要求事項については,JIS C 60364 規格群を参照。

この規格は,公称電源電圧が交流 1 000 V 以下,直流 1 500 V 以下及び公称周波数が 200 Hz 以下で作動

する装置及び装置の部分に適用する。

注記 4  公称電源電圧が交流 1 000V 又は直流 1 500V を超え,36 kV 以下の高電圧装置に対する要求

事項は,JIS B 9960-11 を参照。

次に示すような特殊な巻上機械の電気装置に対しては,追加及び特別の要求事項が必要となることもあ

る。

−  屋外(建物又は他の保護構造物の外)で用いる巻上機械

−  爆発性の物品(例えば,塗料,おがくず)を扱う巻上機械

−  爆発性及び/又は可燃性の雰囲気内で用いる巻上機械

−  鉱山で用いる巻上機械

この規格が対象にする巻上機械には,全てのタイプのクレーン,全てのタイプのウインチ及びスタッカ

ークレーンを含む。次の製品類は,この規格の適用範囲に含まれる。

−  天井クレーン

−  移動式クレーン

−  タワークレーン

−  ジブクレーン

−  橋形クレーン

−  海上クレーン

−  フローティングクレーン

−  全てのタイプのウインチ

−  ホイスト及びその附属品

−  アンローダ

−  コンテナクレーン

−  ケーブルクレーン

−  負荷保持装置

−  スタッカークレーン

−  モノレール式ホイスト

−  ストラドルキャリア

−  ゴムタイヤ式橋形クレーン


5

B 9960-32

:2011

この規格は,巻上機械に用いる電気用品の選定及び据付けについては規定するが,個別の電気用品及び

電気機器について規定するものではない。

注記 5  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 60204-32:2008

, Safety of machinery − Electrical equipment of machines − Part 32:

Requirements for hoisting machines(MOD)

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“修正している”

ことを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS B 9700-1:2004

  機械類の安全性−設計のための基本概念,一般原則−第 1 部:基本用語,方法論

注記  対応国際規格:ISO 12100-1:2003,Safety of machinery−Basic concepts, general principles for

design−Part 1: Basic terminology, methodology(IDT)

JIS B 9700-2:2004

  機械類の安全性−設計のための基本概念,一般原則−第 2 部:技術原則

注記  対応国際規格:ISO 12100-2:2003,Safety of machinery−Basic concepts, general principles for

design−Part 2: Technical principles(IDT)

JIS B 9703:2011

  機械類の安全性−非常停止−設計原則

注記  対応国際規格:ISO 13850:2006,Safety of machinery−Emergency stop−Principles for design

(IDT)

JIS B 9705-1:2011

  機械類の安全性−制御システムの安全関連部−第 1 部:設計のための一般原則

注記  対応国際規格:ISO 13849-1:2006,Safety of machinery−Safety-related parts of control systems−

Part 1: General principles for design(IDT)

JIS B 9706-1:2009

  機械類の安全性−表示,マーキング及び操作−第 1 部:視覚,聴覚及び触覚シグ

ナルの要求事項

注記  対応国際規格:IEC 61310-1:2007,Safety of machinery−Indication, marking and actuation−Part 1:

Requirements for visual, acoustic and tactile signals(IDT)

JIS B 9706-2:2009

  機械類の安全性−表示,マーキング及び操作−第 2 部:マーキングの要求事項

注記  対応国際規格:IEC 61310-2:2007,Safety of machinery−Indication, marking and actuation−Part 2:

Requirements for marking(IDT)

JIS B 9706-3:2009

  機械類の安全性−表示,マーキング及び操作−第 3 部:アクチュエータの配置及

び操作に対する要求事項

注記  対応国際規格:IEC 61310-3:2007,Safety of machinery−Indication, marking and actuation−Part 3:

Requirements for the location and operation of actuators(IDT)

JIS B 9707:2002

  機械類の安全性−危険区域に上肢が到達することを防止するための安全距離

注記  対応国際規格:ISO 13852:1996,Safety of machinery−Safety distances to prevent danger zones

being reached by the upper limbs(IDT)

JIS B 9712:2006

  機械類の安全性−両手操作制御装置−機能的側面及び設計原則

注記  対応国際規格:ISO 13851:2002,Safety of machinery−Two-hand control devices−Functional


6

B 9960-32

:2011

aspects and design principles(IDT)

JIS B 9961:2008

  機械類の安全性−安全関連の電気・電子・プログラマブル電子制御システムの機能

安全

注記  対応国際規格:IEC 62061:2005,Safety of machinery−Functional safety of safety-related electrical,

electronic and programmable electronic control systems(IDT)

JIS C 0365:2007

  感電保護−設備及び機器の共通事項

注記  対応国際規格:IEC 61140:2001,Protection against electric shock−Common aspects for installation

and equipment 及び Amd.1:2004(IDT)

JIS C 0445:1999

  文字数字の表記に関する一般則を含む機器の端子及び識別指定された電線端末の識

別法

注記  対応国際規格:IEC 60445:1988,Identification of equipment terminals and of terminations of certain

designated conductors, including general rules for an alphanumeric system(IDT)

JIS C 0446:1999

  色又は数字による電線の識別

注記  対応国際規格:IEC 60446:1989,Identification of conductors by colours or numerals(MOD)

JIS C 0447:1997

  マンマシンインタフェース(MMI)−操作の基準

注記  対応国際規格:IEC 60447:1993,Man-machine-interface (MMI)−Actuating principles(IDT)

JIS C 0448:1997

  表示装置(表示部)及び操作機器(操作部)のための色及び補助手段に関する規準

注記  対応国際規格:IEC 60073:1991,Coding of indicating devices and actuators by colours and

supplementary means(IDT)

JIS C 0452-1:2004

  電気及び関連分野−工業用システム,設備及び装置,並びに工業製品−構造化原

理及び参照指定−第 1 部:基本原則

注記  対応国際規格:IEC 61346-1:1996,Industrial systems, installations and equipment and industrial

products−Structuring principles and reference designations−Part 1: Basic rules(IDT)

JIS C 0452-2:2005

  電気及び関連分野−工業用システム,設備及び装置,並びに工業製品−構造化原

理及び参照指定−第 2 部:オブジェクトの分類(クラス)及び分類コード

注記  対応国際規格:IEC 61346-2:2000,Industrial systems, installations and equipment and industrial

products−Structuring principles and reference designations−Part 2: Classification of objects and

codes for classes(IDT)

JIS C 0453:2005

  電気及び関連分野−部品リストの作成

注記  対応国際規格:IEC 62027:2000,Preparation of parts lists(IDT)

JIS C 0454:2005

  電気及び関連分野−技術情報及び文書の構造化

注記  対応国際規格:IEC 62023:2000,Structuring of technical information and documentation(IDT)

JIS C 0457:2006

  電気及び関連分野−取扱説明の作成−構成,内容及び表示方法

注記  対応国際規格:IEC 62079:2001,Preparation of instructions−Structuring, content and presentation

(IDT)

JIS C 0617

(第 1 部∼第 13 部)  電気用図記号

注記  対応国際規格:IEC 60617 (all Parts),Graphical symbols for diagrams(MOD)

JIS C 0920:2003

  電気機械器具の外郭による保護等級(IP コード)

注記  対応国際規格:IEC 60529:2001,Degrees of protection provided by enclosures (lP Code)(IDT)

JIS C 1082-1:1999

  電気技術文書−第 1 部:一般要求事項


7

B 9960-32

:2011

注記  対応国際規格:IEC 61082-1:1991,Preparation of documents used in electrotechnology−Part 1:

General requirements,Amd.1:1995 及び Amd.2:1996(MOD)

JIS C 3665

規格群  電気ケーブル及び光ファイバケーブルの燃焼試験

注記  対応国際規格:IEC 60332:2004 (all parts),Tests on electric and optical fibre cables under fire

conditions(IDT)

JIS C 4034-1:1999

  回転電気機械−第 1 部:定格及び特性

注記  対応国際規格:IEC 60034-1:1996,Rotating electrical machines−Part 1: Rating and performance

及び Amd.1:1997(NEQ)

JIS C 4034-5:1999

  回転電気機械−第 5 部:外被構造による保護方式の分類

注記  対応国際規格:IEC 60034-5:1991,Rotating electrical machines−Part 5: Classification of degrees of

protection provided by enclosures of rotating electrical machines (lP code)(IDT)

JIS C 4203:2001

  一般用単相誘導電動機

注記  対応国際規格:IEC 60034-1:1996,Rotating electrical machines−Part 1: Rating and performance

及び IEC 60072-1:1991,Dimensions and output series for rotating electrical machines−Part 1:

Frame numbers 56 to 400 and flange numbers 55 to 1080(全体評価:MOD)

JIS C 4210:2001

  一般用低圧三相かご形誘導電動機

注記  対応国際規格:IEC 60034-1:1996,Rotating electrical machines−Part 1: Rating and performance

及び IEC 60072-1:1991,Dimensions and output series for rotating electrical machines−Part 1:

Frame numbers 56 to 400 and flange numbers 55 to 1080(全体評価:MOD)

JIS C 4212:2010

  高効率低圧三相かご形誘導電動機

JIS C 8201-1:2007

  低圧開閉装置及び制御装置−第 1 部:通則

注記  対応国際規格:IEC 60947-1:2004,Low-voltage switchgear and controlgear−Part 1: General rules

(MOD)

JIS C 8201-2-1:2004

  低圧開閉装置及び制御装置−第 2-1 部:回路遮断器(配線用遮断器及びその他の

遮断器)

注記  対 応 国 際 規 格 : IEC 60947-2:2003 , Low-voltage switchgear and controlgear − Part 2:

Circuit-breakers(MOD)

JIS C 8201-2-2:2004

  低圧開閉装置及び制御装置−第 2-2 部:漏電遮断器

注記  対 応 国 際 規 格 : IEC 60947-2:2003 , Low-voltage switchgear and controlgear − Part 2:

Circuit-breakers(MOD)

JIS C 8201-3:2009

  低圧開閉装置及び制御装置−第 3 部:開閉器,断路器,断路用開閉器及びヒュー

ズ組みユニット

注記  対応国際規格:IEC 60947-3:1999,Low-voltage switchgear and controlgear−Part 3: Switches,

disconnectors,switch-disconnectors, and fuse-combination units,Amd.1:2001 及び Amd.2:2005

(MOD)

JIS C 8201-4-1:2007

  低圧開閉装置及び制御装置−第 4 部:接触器及びモータスタータ−第 1 節:電

気機械式接触器及びモータスタータ

注記  対応国際規格:IEC 60947-4-1:2000,Low-voltage switchgear and controlgear−Part 4-1: Contactors

and motor-starters−Electromechanical contactors and motor-starters 及び Amd.1:2002(MOD)

JIS C 8201-5-1:2007

  低圧開閉装置及び制御装置−第 5 部:制御回路機器及び開閉素子−第 1 節:電


8

B 9960-32

:2011

気機械式制御回路機器

注記  対応国際規格:IEC 60947-5-1:2003,Low-voltage switchgear and controlgear−Part 5-1: Control

circuit devices and switching elements−Electromechanical control circuit devices(IDT)

JIS C 8285:2010

  工業用プラグ,コンセント及びカプラ

注記  対応国際規格:IEC 60309-1:1999,Plugs, socket-outlets and couplers for industrial purposes−Part

1: General requirements 及び Amd.1:2005(MOD)

JIS C 60068-2-27:1995

  環境試験方法−電気・電子−衝撃試験方法

注記  対応国際規格:IEC 60068-2-27:1987,Environmental testing. Part 2: Tests. Test Ea and guidance:

Shock(IDT)

JIS C 60068-2-32:1995

  環境試験方法−電気・電子−自然落下試験方法

注記  対応国際規格:IEC 60068-2-32:1975,Environmental testing. Part 2: Tests. Test Ed: Free fall,

Amd.1:1982 及び Amd.2:1990(IDT)

JIS C 60364-1:2010

  低圧電気設備−第 1 部:基本的原則,一般特性の評価及び用語の定義

注記  対応国際規格:IEC 60364-1:2005,Low-voltage electrical installations−Part 1: Fundamental

principles, assessment of general characteristics, definitions(IDT)

JIS C 60364-4-41: 2010

  低圧電気設備−第 4-41 部:安全保護−感電保護

注記  対応国際規格:IEC 60364-4-41:2005,Low-voltage electrical installations−Part 4-41: Protection for

safety−Protection against electric shock(IDT)

JIS C 60364-4-42:2006

  建築電気設備−第 4-42 部:安全保護−熱の影響に対する保護

注記  対応国際規格:IEC 60364-4-42:2001,Electrical installations of buildings−Part 4-42: Protection for

safety−Protection against thermal effects(IDT)

JIS C 60364-4-43:2006

  建築電気設備−第 4-43 部:安全保護−過電流保護

注記  対応国際規格:IEC 60364-4-43:2001,Electrical installations of buildings−Part 4-43: Protection for

safety−Protection against overcurrent(IDT)

JIS C 60364-5-52:2006

  建築電気設備−第 5-52 部:電機機器の選定及び施工−配線設備

注記  対応国際規格:IEC 60364-5-52:2001,Electrical installations of buildings−Part 5-52: Selection and

erection of electrical equipment−Wiring systems(IDT)

JIS C 60364-5-53:2006

  建築電気設備−第 5-53 部:電気機器の選定及び施工−断路,開閉及び制御

注記  対応国際規格:IEC 60364-5-53:2002,Electrical installations of buildings−Part 5-53: Selection and

erection of electrical equipment−Isolation, switching and control(IDT)

JIS C 60364-5-54:2006

  建築電気設備−第 5-54 部:電気機器の選定及び施工−接地設備,保護導体及

び保護ボンディング導体

注記  対応国際規格:IEC 60364-5-54:2002,Electrical installations of buildings−Part 5-54: Selection and

erection of electrical equipment− Earthing arrangements, protective conductors and protective

bonding conductors(IDT)

JIS C 60364-6:2010

  低圧電気設備−第 6 部:検証

注記  対応国際規格:IEC 60364-6:2006,Low-voltage electrical installations−Part 6: Verification(IDT)

JIS C 60664-1:2009

  低圧系統内機器の絶縁協調−第 1 部:基本原則,要求事項及び試験

注記  対応国際規格:IEC 60664-1:2007,Insulation coordination for equipment within low-voltage

systems−Part 1: Principles, requirements and tests(IDT)


9

B 9960-32

:2011

JIS C 61558-1:2008

  変圧器,電源装置,リアクトル及びこれに類する装置の安全性−第 1 部:通則及

び試験

注記  対応国際規格:IEC 61558-1:2005,Safety of power transformers, power supplies, reactors and

similar products−Part 1: General requirements and tests(MOD)

JIS C 61558-2-6:2008

  変圧器,電源装置,リアクトル及びこれに類する装置の安全性−第 2-6 部:一

般用安全絶縁変圧器の個別要求事項

注記  対応国際規格:IEC 61558-2-6:1997,Safety of power transformers, power supply units and similar

−Part 2: Particular requirements for safety isolating transformers for general use(MOD)

ISO 7000: 2004

,Graphical symbols for use on equipment−Index and synopsis

ISO 13849-2:2003

,Safety of machinery−Safety-related parts of control systems−Part 2: Validation

IEC 60034-11

,Rotating electrical machines−Part 11: Thermal protection

IEC 60072-1

,Dimensions and output series for rotating electrical machines−Part 1: Frame numbers 56 to 400

and flange numbers 55 to 1080

IEC 60072-2

,Dimensions and output series for rotating electrical machines−Part 2: Frame numbers 355 to

1000 and flange numbers 1180 to 2360

IEC 60417

,Graphical symbols for use on equipment

IEC 60439-1:1999

,Low-voltage switchgear and controlgear assemblies−Part 1: Type-tested and partially

type-tested assemblies 及び Amd.1:2004

IEC 60898 (all parts)

,Electrical accessories−Circuit-breakers for overcurrent protection for household and

similar installations

IEC 61180-2:1994

,High-voltage test techniques for low-voltage equipment−Part 2: Test equipment

IEC 61557-3

,Electrical safety in low voltage distribution systems up to 1 000 V a.c. and 1 500 V d.c.−

Equipment for testing, measuring or monitoring of protective measures−Part 3: Loop impedance

IEC 61800-5-2:2007

,Adjustable speed electrical power drive systems−Part 5-2: Safety requirements−

Functional

IEC 61984

,Connectors−Safety requirements and tests

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

3.1

アクチュエータ(actuator)

外部から人が操作する機器の部分。

注記 1  アクチュエータには,ハンドル,ノブ,押しボタン,ローラ,プランジャなどがある。

注記 2  アクチュエータには,人体の動きだけによって作動し,力を加える必要がないものもある。

注記 3  3.44(機械アクチュエータ)も参照。機械アクチュエータは,操作手段ではない。

3.2

周囲温度(ambient temperature)

装置を用いる場所の空気又は媒体の温度。

3.3

バリア[(electrically) protective barrier]


10

B 9960-32

:2011

通常の方向からの接近による直接接触を防護する部分。

IEV 826-12-23 による。

1)

1)

  IEV: International Electrotechnical Vocabulary(国際電気標準用語)は,IEC 60050 規格群で規定

されている。この例では IEV 826-12-23 は,IEC 60050-826-12-23 を意味する(以下,同様)

3.4

機上運転室付巻上機械(cabin-controlled hoisting machine)

巻上機械に恒久的に取り付けられた運転室又は運転台から操作される巻上機械。

3.5

ケーブルトレイ(cable tray)

ケーブルを載せる配線用品であって,底部は連続していて,盛り上がった縁があり,カバーがないもの。

注記  ケーブルトレイには,孔のあるものもあり,網状のものもある。(IEV 826-15-08 による。)

3.6

ケーブルトランキング(cable trunking system)

絶縁電線,ケーブル及びコードを完全に覆うため,並びにその他の電気用品を収容するための,底部と

取外し可能なカバーとからなるエンクロージャ。

注記  ケーブルトランキングは,ケーブルダクトの範ちゅうに入る(3.21 参照)。

3.7

並行操作(concurrent actuation)

二つ以上の制御機器を共に(同期しなくてもよい)作動状態にする操作。

3.8

電線管(conduit)

絶縁電線又はケーブルを配線(通線又は交換)するための,一般に円形断面をもつ閉じた配線用部品。

注記  電線管は,絶縁電線又はケーブルを管軸方向にだけ引き込むことができ,横から挿入する隙間

ができないように密着して接合することが望ましい。

IEV 826-15-03 による。

3.9

制御回路(巻上機械の)[control circuit (of a hoisting machine)]

巻上機械及び電気装置の制御(監視を含む。

)に用いる回路。

3.10

制御機器(control device)

制御回路に接続して巻上機械の運転制御に用いる機器(例えば,位置センサ,手動操作スイッチ,リレ

ー,電磁弁,速度センサ)

3.11

制御装置(controlgear)

電力を利用する装置の制御を主な目的とする開閉機器とこれに付随する制御,計測,保護及び調整のた

めの装置との組合せ,並びにこれらの装置と接続ケーブル,附属品,エンクロージャ及び支持構造との組

合せ。

IEV 441-11-03 を修正)

3.12

制御停止(controlled stop)

停止するまで巻上機械アクチュエータへの電源供給を維持するような機械の停止方法。

3.13

クレーン(crane)


11

B 9960-32

:2011

つり荷を上下及び水平方向に運搬する機械。

3.14

クレーン断路器(crane-disconnector)

電源回路を断路する(切り離す)ための,クレーンに取り付けた手動操作の断路機器(例えば,修理又

は保全の作業のために用いる。

3.15

クレーン電源スイッチ(crane-supply-switch)

巻上機械を入力電源から切り離すための断路機器及び開閉機器。

3.16

クレーンスイッチ(crane-switch)

駆動装置を電源から切り離すための開閉機器(例えば,非常停止のために用いる。

3.17

電流容量[(continuous) current-carrying capacity, ampacity]

導体又は機器が指定の条件で指定の安全温度を超えることなく連続的に流すことができる電流の最大値。

IEV 826-11-13 による。

3.18

直接接触(direct contact)

人又は家畜と充電部との電気的接触。

IEV 826-12-03 による。

3.19

直接開路動作機能(接点の)[direct opening action (of a contact element)]

アクチュエータの動きを,非弾性構造材(例えば,ばねに依存しないもの)を経由して伝えることによ

って達成する接点開離機能。

JIS C 8201-5-1 の K.2.2 による。

3.20

断路器(disconnecting device)

オフ位置において要求される絶縁距離が確保される開閉機器。

3.21

ダクト(duct)

電線,ケーブル及びブスバーを保持又は保護するためのチャネル。

注記  電線管(3.8 参照),ケーブルトランキング(3.6 参照)及び床下チャネルはダクトの一つの形式

である。チャネルは,丸形の管路,角形の溝などである。

3.22

電気作動域(electrical operating area)

明瞭な警告標識があり,電気作業員及び又は熟練電気技術者だけが,鍵又は道具を用いずに扉を開け又

はバリアを取り除いてアクセスできる,電気装置用の空間又は場所。

3.23

電子装置(electronic equipment)

主として電子機器及び電子部品によって作動する回路を含む電気装置の部分。

3.24

非常停止用機器(emergency stop device)

非常停止機能を作動させるために手動操作する制御機器。

JIS B 9703 の 3.2 による。


12

B 9960-32

:2011

注記  附属書 を参照。

3.25

非常遮断用機器(emergency switching-off device)

感電のリスク又はその他の電気的リスクが発生した装置の全体又は部分への電気エネルギーの供給を遮

断するために手動操作する制御機器

注記  附属書 を参照。

3.26

囲いがある電気作動域(enclosed electrical operating area)

明瞭な警告標識があり,電気作業員又は熟練電気技術者だけが,鍵又は工具を用いることによって扉を

開け又はバリアを取り除いてアクセスできる,電気装置用の空間又は場所。

3.27

エンクロージャ,外郭(enclosure)

外部の影響から電気装置を保護する機能及び全ての方向からの直接接触を防止する機能をもつ囲い。

注記  定義は,現行の IEV からの引用である。この規格に適用するために次の説明を追加する。

a)

エンクロージャ(外郭ともいう。JIS C 0920 参照。

)は,人又は家畜が危険な部分へ接近し

ないように保護する。

b)

バリア,異物が侵入しにくい形にした開口部,及び特定のテストプローブを差し込めない

ように又は差し込みにくくしたその他の手段も,それらがエンクロージャに取り付けたも

のであれエンクロージャ内の装置で形成しているものであれ,エンクロージャの一部と見

なす。ただし,鍵又は工具を用いないで外せるものは除く。

c)

次のものもエンクロージャとみなす。

−  キャビネット又は箱。巻上機械に装着したものも巻上機械から分離したものも含む。

−  巻上機械構造内の閉じた空間区画(例えば,ボックスガーダ)

3.28

装置(equipment)

巻上機械の電気装置の部分として,又は電気装置に関連して用いる,材料,取付器具,機器,構成品,

部品,器具など。

3.29

等電位ボンディング(equipotential bonding)

導電性部分相互を結ぶ電気的接続であって,これによって等電位を達成することを意図するもの。

IEV 

195-1-10

による。

3.30

露出導電性部分(exposed conductive part)

人が接触する可能性があり,正常時には充電しないが障害時には充電状態となり得る,電気装置の導電

性部分。

IEV 826-12-10 を修正)

3.31

外部導電性部分(extraneous conductive part)

巻上機械の電気装置の構成には含まれない導電性部分であって,電位はもち得るが一般に接地電位とな

るもの。

IEV 826-12-11 による。


13

B 9960-32

:2011

3.32

故障(failure)

要求される機能を遂行する能力がそのアイテム

2)

になくなること。

注記 1  故障後,そのアイテムは障害(障害状態)になる。

注記 2  “故障”は事象であって,状態を意味する“障害”と区別する。

注記 3  ここに定義する概念は,ソフトウェアだけで構成するアイテムには適用しない。(IEV 

191-04-01

による。

注記 4  実際には,障害及び故障という用語はしばしば同義語として用いられる。

2)

  アイテムとは,電気装置の構成品又はシステムをいう。

3.33

障害(fault)

予防保全若しくは計画的作業又は外部資源の不足によって機能を実行できない状態を除き,要求機能を

実行できないアイテムの状態。

IEV 191-05-01 による。

注記  障害の多くは,アイテム自体の故障の結果であるが,事前故障がなくても障害が存在すること

がある。

3.34

機能ボンディング(functional bonding)

電気装置が正常に機能するために必要な等電位ボンディング。

3.35

ガード(guard)

物理的バリアによって特に人を保護するために用いる巻上機械の部分。ガードにはその構造によって,

ケーシング,カバー,スクリーン,ドア,囲いガードなどがある。

JIS B 9700-1 の 3.25 を修正)

3.36

手持ち式直接制御装置(hand-held direct-control device)

動力回路に直接作用する手動操作の開閉装置で,操作中にそのエンクロージャを手で携行できるもの。

3.37

危険源(hazard)

傷害又は健康障害を引き起こす根源。

注記 1  危険源という用語は,危険の発生源(例えば,機械的危険源,電気的危険源など)を明確に

し,又は潜在的な危害の性質を明確にするために修飾語を付けて用いられることがある(例

えば,感電の危険源,切断の危険源,毒性による危険源,火災による危険源など。

注記 2  この定義において,危険源は,次のものを想定している。

−  機械の“意図する使用”期間中,恒久的に存在する危険源(例えば,危険な動きをする

要素の運動,溶接工程中の電弧,健康を害する姿勢,騒音放射,高温など)

,又は

−  予期せずに現れ得る危険源(例えば,爆発,意図しない起動及び予期しない起動の結果

としての押しつぶし,破損の結果としての放出,加速度又は減速度の結果としての落下

など。

JIS B 9700-1 の 3.6 を修正。


14

B 9960-32

:2011

3.38

間接接触(indirect contact)

絶縁故障によって充電状態となった露出導電性部分に人又は家畜が触れること。

IEV 826-12-04 によ

る。

3.39

誘導式電力供給システム(inductive power supply system)

軌道変換器と軌道導体とからなり,軌道導体に沿ってピックアップ及び対応するピックアップ変換器が

移動できる,

移動巻上機械などへの給電を電気的又は機械的な接触なしに行う誘導式の電力供給システム。

注記  軌道導体とピックアップとは,それぞれ変圧器の一次巻線と二次巻線とに相似している。

3.40

電気作業員[(electrically) instructed person]

電気に起因するリスクを感知して危険源を回避できるように,熟練電気技術者から適切な助言又は指示

を受けた者。

IEV 826-18-02 による。

3.41

インターロック(安全防護のための)[interlock (for safeguarding)]

(安全防護のために)ガード又は保護機器を,制御システム及び/又は巻上機械の電源供給回路の全部

又は一部に連結させる仕組み。

3.42

制限機器(limiting device)

巻上機械又は巻上機械の要素が設計限界(例えば,空間の限界,圧力限界)を超えないように制限する

機器。

JIS B 9700-1 の 3.26.8 による。

3.43

充電部(live part)

通常の運転状態において意図的に電圧がかかる導体及び導電性部分。中性線を含むが,通常,PEN 導体

3)

,PEM 導体

4)

及び PEL 導体

5)

は含まない。

IEV 826-12-08 による。

注記  充電部は,必ずしも感電のリスクを意味するものではない。

3)

 PEN 導体は,保護接地導体(保護導体)及び中性線の機能を兼用する導体である

IEV-195-02-12 参照)

4)

 PEM 導体は,保護接地導体(保護導体)及び中間線導体の機能を兼用する導体である

IEV-195-02-13 参照)

5)

 PEL 導体は,保護接地導体(保護導体)及び相導体の機能を兼用する導体である(IEV-195-02-14

参照)

3.44

機械アクチュエータ(machine actuator)

巻上機械を作動させる駆動機構。

3.45

機械類(machinery),機械(machine)

連結された部分又は構成品の組合せで,そのうちの少なくとも一つは適切な機械アクチュエータ,制御

回路及び動力回路を備えて動くものであって,特に材料の加工,処理,移動,こん包などの用途に合うよ

うに結合されたもの。また,機械類という用語は同一の目的を達成するために完全な統一体として機能す


15

B 9960-32

:2011

るように配置され制御される複数の機械の集合体に対しても用いる。

JIS B 9700-1 の 3.1 を修正。

注記  この定義における構成品という用語は,広い意味の構成品であって,電気的構成品だけを意味

するものではない。

3.46

手動制御の巻上機械(manually controlled hoisting machine)

オペレータが,常につり荷を目視しながら連続的に手動制御する巻上機械。

3.47

マーキング(marking)

装置,構成品及び/又は機器の識別(特徴の識別を含む。

)を主目的とする標示。刻印を含む。

3.48

中性線(neutral conductor)

電気系統の中性点に接続され,電気エネルギーの伝送に寄与できる導体(識別記号は N)(IEV 826-14-07

による。

3.49

オブスタクル(obstacle)

不用意な直接接触を防止するための構造物。意図的行動による直接接触を防止するものではない。

3.50

過電流(overcurrent)

定格値を超える電流。

IEV 826-11-14 による。

3.51

過負荷(回路の)[overload (of a circuit)]

回路における電流と時間とに関係する量が,回路に障害がないときに回路の定格負荷を超えること。

注記 1  “過負荷”を“過電流”の同義語として用いることは望ましくない。

注記 2  巻上機械においては“過負荷”という用語は機械的過負荷に対しても用いるが,機械的過負

荷は電気的過負荷を引き起こすこともある。

3.52

プラグ・ソケット対(plug/socket combination)

二つ以上の導体の接続及び切離しをするために導体の終端に用いる構成品,及びこれにかん(嵌)合す

る構成品。

注記  プラグ・ソケット対の例には,次のものがある。

−  IEC 61984 の要求事項を満たすコネクタ。

−  JIS C 8285 によるプラグ及びコンセント,ケーブルカプラ,又は機器用カプラ。

−  JIS C 8282-1 によるプラグ及びコンセント,又は IEC 60320-1 による機器用カプラ(電源

接続器)

3.53

電力回路(power circuit)

巻上機械の各部及び制御用変圧器に電力を供給する回路。

3.54

保護ボンディング(protective bonding)

感電保護のための等電位ボンディング。


16

B 9960-32

:2011

注記  感電保護手段は,やけど,火災のリスクを低減することもある。

3.55

保護ボンディング回路(protective bonding circuit)

絶縁故障(漏電)時の感電保護のために相互に接続した保護導体及び導電性部分。

3.56

保護導体(protective conductor)

感電保護のために,次の部分を電気的に接続する保護ボンディング用の導体。

−  露出導電性部分

−  外部導電性部分

−  主接地端子(表示記号:PE)

IEV 826-13-12 を修正。

3.57

冗長性(redundancy)

一つが機能を失ったとき他のものが同じ機能を果たすように,機器,システム又はそれらの一部を多重

化(少なくとも二重化)すること。

3.58

略号(reference designation)

文書及び装置上に記載してアイテムを識別する記号。

注記  この規格で用いる“略号”という用語は,JIS C 0452-1 の“参照指定”という用語に相当する。

3.59

リスク(risk)

危害(傷害又は健康障害)の発生確率とその危害のひどさとの組合せ。

JIS B 9700-1 の 3.11 を修正。

3.60

安全防護物(safeguard)

危険源から人を保護するためのガード又は保護機器。

3.61

安全防護(safeguarding)

本質的安全設計方策によって合理的に除去できないリスク又は十分に低減できないリスクから人を保護

するための,安全防護物の使用による保護方策。

JIS B 9700-1 の 3.20 による。

3.62

安全関連制御機能(safety-related control function),安全関連制御回路(safety-related control circuit)

機械の安全状態を維持するために又はリスクの増加を防止するために用いる巻上機械の制御機能(制御

回路)

3.63

作業面(servicing level)

電気装置を操作又は保全作業をする人が立つ位置(面)

3.64

短絡電流(short circuit current)

電気回路における障害又は誤接続による短絡の結果として発生する過電流。

IEV 441-11-07 による。


17

B 9960-32

:2011

3.65

熟練電気技術者[(electrically) skilled person]

電気に起因する危険源を回避できるように十分な教育・訓練を受け,従事経験をもつ者。

IEV 826-18-01

による。

3.66

供給者(supplier)

巻上機械に関連する装置又は役務(サービス)を提供する者(例えば,製造業者,契約者,据付者,イ

ンテグレータ)

注記  使用者も自ら供給者になることがある。

3.67

開閉機器(switching device)

一つ以上の電気回路の電流をオン及び/又はオフするように作られた機器。

IEV 441-14-01 による。

注記  開閉機器は電流のオン・オフのどちらか一つの機能をもつこともあり,両方の機能をもつこと

もある。

3.68

端子(terminal)

装置又は構成品に,導体を接続及び再接続する部分。

IEV 442-06-05 を修正。

3.69

非制御停止(uncontrolled stop)

機械アクチュエータへの電力を遮断することによる巻上機械の動きの停止。

注記  この定義は,他の非電気式停止装置(例えば,機械ブレーキ又は油圧ブレーキ)がどのような

状態になるかは規定していない。非電気式の停止は,この規格の適用範囲外である。

3.70

使用者(user)

巻上機械及びそれに関連する電気装置を用いる者。

一般要求事項 

4.1 

一般考慮事項 

この規格は,多種にわたる巻上機械及び連携稼働する巻上機械群に用いる電気装置に適用する。

電気装置に関連する危険源のリスクは,巻上機械全体のリスクアセスメントの中で評価しなければなら

ない。リスクアセスメントでは,許容リスクレベルを決定し,巻上機械及びその構成装置の性能を許容の

水準以下に落とすことなく危険源からの人の保護を達成できる保護方策の決定を行う。

危険源は,次のような原因から起こり得るが,原因はこれらだけに限らない。

−  感電又は電気火災を招く可能性をもつ電気装置の故障又は障害

−  制御回路(又はその構成品及び関連機器)の故障又は障害(巻上機械が作動不良に至るもの)

−  電力回路の故障又は障害,及び電源の変動又は停止(巻上機械が作動不良に至るもの)

−  滑り接触又は転がり接触回路の導通不良(安全機能が故障に至るもの)

−  電気的妨害(例えば,電気装置の外部又は内部で発生する電磁気障害,静電気障害)巻上機械が作動

不良に至るもの

−  蓄積エネルギー(電気的又は機械的)の放出例えば,感電又は人に傷害を与えるような予期しない機


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械的動きを引き起こすもの

−  人に傷害を与えるような表面温度

JIS B 9700-1

及び JIS B 9700-2 が規定する保護方策の階層構造に従って,供給者が設計段階で組み込む

保護方策及び使用者が実施する方策によって必要なリスク低減を実現するものとする。

設計及び開発の過程で,危険源及びその危険源から生じるリスクを同定しなければならない。本質的安

全設計によって危険源を取り除くことができない場合及び/又はリスクを十分に低減できない場合は,リ

スク低減のために保護方策(例えば,安全防護物)を備えなければならない。更にリスク低減を必要とす

る場合は,追加手段[例えば,リスクに気付かせるためのせん(閃)光標識灯,警告標識,警告文]を備

えなければならない。これらの保護方策及び保護手段に加えて,リスクを低減するような作業手順が必要

となる場合もある。

電気装置の使用者と供給者とが,電気装置に関する基本条件及び使用者の追加仕様について適切な合意

を得るために,

附属書 に示す調査書を用いるとよい。調査書で追加仕様を指定する目的は,次のとおり

である。

−  巻上機械(又は一群の巻上機械)の種類及び用途に応じた追加の特性を備える。

−  保全及び修理を容易にする。

−  信頼性及び操作性を向上する。

注記  附属書 は,カタログ品の巻上機械が目的の用途に適するかどうか確認するために用いること

もできる。

4.2 

装置(用品)の選択 

4.2.1 

一般事項 

巻上機械に用いる電気的な構成品及び機器は,意図した用途に適したものであり,関連する日本工業規

格又は IEC 規格があれば,それらに適合するものでなければならない。

4.2.2 

コンタクタの選択 

コンタクタは,連携する短絡保護機器と JIS C 8201-4-1 の 8.2.5.1 によるタイプ 2 協調をとらなければな

らない。

安全関連制御回路の指令によって駆動部の停止機能を実行するコンタクタは,接点溶着を起こさないよ

うに,又は非常停止機能が損なわれないように,選定及び関連装置との組合せを行わなければならない。

コンタクタ製造業者の推奨に従うことが望ましい(7.2.9 参照)

注記  機械の可動部を直接制御するコンタクタ及び頻繁な開閉を必要とするコンタクタは,少なくと

も作動回数 300 万回の機械的寿命をもつことが望ましい。

4.2.3 

関連規格群に適合する電気装置 

巻上機械の電気装置は,リスクアセスメントによって必要であるとされた機械の安全要求事項を満足し

なければならない。巻上機械,その意図する用途,及びその電気的仕様に応じて,巻上機械の設計者は,

巻上機械に用いる電気用品として IEC 60439-1 及び必要に応じて IEC 60439 規格群の他の部に適合するも

のを選択することができる。

注記  IEC 60439 規格群は,低圧開閉装置及び制御装置の広範囲の用途に対応する機器の要求事項を

規定している。

4.3 

電源 

4.3.1 

一般事項 

巻上機械の電気装置は,電源接続点(すなわち,

図 に示すクレーン電源スイッチの入力端)において


19

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定義する次のいずれかの電源で正常に作動するように設計しなければならない。

−  4.3.2 又は 4.3.3 に規定する電源

−  使用者が指定する電源(

附属書 参照)

−  供給者が指定する電源(4.3.4 に示す搭載発電機のような特殊な電源の場合)

4.3.2 

交流電源 

電圧:  定常時の電圧が公称電圧の 0.9∼1.1 倍

注記 1  特定の用途(例えば,巨大コンテナクレーン)においては,電源を準備する使用者の同意が

あれば,電圧範囲を,電源接続点(

図 のクレーン電源スイッチ)において公称電圧の 0.95

∼1.05 倍としてもよい。

周波数:  公称電源周波数の 0.99∼1.01 倍(連続)

,又は 0.98∼1.02 倍(短時間)

注記 2  短時間値は使用者が指定することがある(附属書 参照)。

高調波:  高調波ひずみ(含有率)は,第 2 高調波から第 5 高調波までの合計が充電導体間の総実効値の

10 %以下。第 6 高調波から第 30 高調波までの合計が充電導体間の総実効値の 2 %以下

電圧不平衡:  三相電源の逆相分の電圧及び零相分の電圧は,いずれも正相分の電圧の 2 %以下

瞬時停電:  電源の中断又は無電圧状態は,供給電源のサイクルのどの時点でも 3 ms 以下で,次の中断ま

での間隔は 1 秒を超えるものとする。

注記 3  電源回生方式のコンバータ駆動においては,3 ms 以下の短い無電圧によって異常導通による

過電流が生じ,ヒューズが溶断することがある。

注記 4  クレーンスイッチは頻繁に開閉することがある。全ての構成品(例えば,充電回路)は予見

される開閉頻度(試運転時を含む。

)を考慮して選定する必要がある。

瞬時電圧降下:  降下量は電源の波高値の 20 %以下で,降下持続時間は 1 サイクルの長さを超えず,次の

降下までの間隔は 1 秒を超えるものとする。

4.3.3 

直流電源 

電池電源

電圧:  公称電圧の 0.85∼1.15 倍

        電池駆動車両の場合は,公称電圧の 0.7∼1.2 倍

瞬時停電:  5 ms 以下

整流電源

電圧:  公称電圧の 0.9∼1.1 倍。

瞬時停電:  20 ms 以下。次の中断までの間隔は,1 秒を超えるものとする。

リップル(p-p 値)

:  公称電圧の 0.15 倍以下

注記  電子機器が適切に作動することを保証するために,IEC Guide 106 の規定値 500 ms を 20 ms に

変更している。

4.3.4 

搭載電源 

搭載発電機のような特殊な電源供給系統では,装置が正しく作動するように設計されている場合には,

4.3.2

及び 4.3.3 に規定する限界値を超えてもよい。交流電源の場合は,次のとき自動的に電源を遮断する

手段を備えなければならない。

−  電源電圧が公称電圧の 0.85∼1.1 倍から外れたとき。

−  周波数が公称周波数の 0.95∼1.05 倍から外れたとき。


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4.4 

物理的環境及び運転条件 

4.4.1 

一般事項 

電気装置は,運転を意図する場所の物理的環境及び運転条件に適していなければならない。4.4.24.4.8

は,この規格が対象とするほとんどの巻上機械に適用できる物理的環境及び運転条件を規定する。特殊条

件を適用する場合,又は環境条件及び運転条件がこの規格の規定値から外れるときは,供給者と使用者と

の合意(4.1 参照)が必要になることがある(

附属書 参照)。

4.4.2 

電磁両立性(EMC 

装置は,

意図する使用場所に対する適切な要求レベルを超える電磁妨害を発生してはならない。

さらに,

意図する運転環境において正しく機能するように,電磁妨害に対する適切なイミュニティをもたなければ

ならない。

注記 1  JIS C 61000-6-1 又は JIS C 61000-6-2,及び IEC 61000-6-3 又は IEC 61000-6-4 は,EMC のイ

ミュニティ及びエミッションの一般的な限度値を規定している。

注記 2  IEC/TR 61000-5-2 は,電磁両立性確保のための電気・電子システムの接地及び配線の指針を

示している。個別製品規格(例えば,JIS B 9704-1IEC 61800-3JIS C 8201-5-2)がある場

合は,その個別規格がこれらの包括的 EMC 規格に優先する。

電磁妨害の発生(伝導及び放射によるエミッション)を抑制する方策には,次のものがある。

−  電源フィルタ

−  配線のシールド

− RF(高周波)放射を最小にするように設計したエンクロージャ

− RF 放射抑制技術

伝導及び放射による RF 妨害に対する装置のイミュニティを向上させる方策には,次のものがある。

−  次のことを考慮した,機能ボンディングシステムの設計。

・  敏感な電気回路はシャーシに接続する。その接続端子には次の図記号 IEC 60417-5020 の表示又はラ

ベル付けをしなければならない。

・  シャーシを,RF インピーダンスが小さく可能な限り最短の導体で接地(PE)導体に接続する。

−  コモンモード妨害を最小にするため,敏感な電気装置及び電気回路を直接 PE 導体又は機能接地導体

(FE)

図 参照)に接続する。FE 端子には次の図記号 IEC 60417-5018 の表示又はラベル付けをしな

ければならない。

−  敏感な回路を妨害源から遠ざける。

− RF 伝達を最小にするように設計したエンクロージャを用いる。

− EMC に効果的な配線方法を採用する。

・  ディファレンシャルモード(ノーマルモード)妨害の影響を低減するためにより(撚)線を用いる。

・  妨害を放射する導体と敏感な回路の導体との間に十分な距離を確保する。

・  ケーブル交差は,ケーブルの方向ができるだけ 90°に近くなるようにする。

・  導体をできるだけ接地面に近づけて配線する。

・  低い RF インピーダンスで終端した静電スクリーン及び/又は電磁シールドを用いる。


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4.4.3 

周囲温度 

電気装置は,意図する周囲温度において正常に作動しなければならない。全ての電気装置は,最低条件

として,周囲温度が 0∼40  ℃の間で正常に作動しなければならない。著しい高温環境(例えば,高温気候,

製鉄所,製紙工場)及び低温環境に対しては,特別な要求が必要となる(

附属書 参照)。

4.4.4 

湿度 

電気装置は,最高周囲温度 40  ℃において相対湿度が 50 %以下のとき正常に作動しなければならない。

温度が低い場合には更に高い相対湿度(例えば,20  ℃においては 90 %)も許容する。

結露による悪影響は,設計によって防止するものとし,必要な場合は追加の方策(例えば,内蔵ヒータ,

エアコン,水抜き孔)を用いてこれを防止しなければならない。

4.4.5 

高度 

電気装置は,海抜 1 000 m までの高度で正常に作動しなければならない。供給者と使用者との間で(例

えば,海抜 1 000 m 以上での正常作動について)

,特別な合意が必要になることがある(

附属書 参照)。

4.4.6 

汚染物 

電気装置は,固体及び液体の侵入から適切に保護しなければならない(11.3 参照)

電気装置は,据付け場所の環境に汚染物(例えば,ほこり,酸,腐食性ガス,塩分)がある場合には,

それらに対する適切な保護を備えなければならない(

附属書 参照)。

4.4.7 

電離性・非電離性の放射線 

電気装置が放射線(例えば,マイクロ波,紫外線,レーザ,X 線)を受ける場合は,追加方策によって

装置の機能不良及び急速な絶縁劣化を防止しなければならない。このことについて供給者と使用者との間

で特別な合意が必要になることがある(

附属書 参照)。

4.4.8 

振動,衝撃及びバンプ 

振動,衝撃及びバンプ(巻上機械及び関連装置によって発生するもの,及び環境から生じるものを含む。

による悪影響は,適切な装置選定,装置と振動発生源との間隔確保,又は防振器具の使用によって回避し

なければならない。振動,衝撃及びバンプの対策について供給者と使用者との間で合意をすることが望ま

しい(

附属書 参照)。

4.5 

輸送及び保管 

電気装置は,輸送中及び保管中に,長時間では−25∼+55  ℃,24 時間を超えない短時間では+70  ℃ま

での温度の影響に耐えるような設計又は適切な温度対策を実施しなければならない。輸送中の湿度,振動

及び衝撃による損傷を防止するために適切な手段を用いなければならない。このことについて供給者と使

用者との間で特別な合意が必要となることがある(

附属書 参照)。

注記  低温で損傷を受けやすいものに,ビニル(PVC)絶縁ケーブルがある。

4.6 

運搬の便宜のための手段 

重くてかさばるので輸送のために巻上機械から取り外す電気装置,又は巻上機械から独立している電気

装置には,

クレーンなどで取り扱うための適切な手段

(例えば,

つりボルト)

を備えなければならない

13.4.6

参照)

4.7 

据付け 

電気装置の据付けは,電気装置の供給者の指示に従って行わなければならない。


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入力電源導体の接続並びに断路器及び開路用機器 

5.1 

入力電源導体の接続 

巻上機械の電気装置は,可能な限り単一の電源に接続して作動することが望ましい。入力電源と異なる

仕様の電源を装置の特定部分(例えば,電子回路,電磁クラッチ)に用いる必要がある場合には,この電

源はできるだけ巻上機械電気装置の構成機器(例えば,変圧器,変換器)から供給することが望ましい。

複雑で大形の巻上機械の場合には複数の入力電源を用いることがあってもよい(5.3.5.1 参照)

入力電源導体は,プラグ[5.3.2 e)参照]を用いて電源接続する場合を除き,クレーン電源スイッチに直

接接続することが望ましい。クレーン電源スイッチに直接接続できない場合には電源接続端子を設けなけ

ればならない。中性線を用いる場合には,据付図,回路図などの巻上機械技術文書内にそのことを明記し,

N の表示を付けた絶縁端子を中性線専用に設けなければならない(附属書 参照)。

電気装置の内部で中性線と保護ボンディング回路とを接続してはならない。また,中性線接続及び保護

導体接続に兼用する PEN 端子を設けてはならない。

例外 TN-C 接地系統

6)

の場合,12.7.2 を満たすなら,電源接続点(

図 参照)において N 端子と PE

端子とを接続してもよい。

6)

 TN-C 接地系統は,電源の接地系統の一つであり,TN 接地系統において PE 導体と N 導体とを

PEN 導体で兼用するものである。我が国の商用電源には TT 接地系統が用いられており,TN 接

地系統は用いられない。電源の接地系統については経済産業省の公表文書“電気設備の技術基

準の解釈について”の第 272 条にその記述がある。

入力電源接続用の全ての端子は,JIS C 0445 に従って明確に識別しなければならない。外部保護導体用

端子の識別については 5.2 を参照。

5.2 

外部の保護接地システムを接続する PE 端子 

巻上機械を外部の保護接地システム又は外部保護導体に接続するための端子を,

入力電源の接地系統

(国

内では通常 TT 接地系統である。

)及び関連標準に従って,電源線の相導体用端子(8.2.1 参照)の近くに設

けなければならない。

端子の大きさは,相導体との大きさ関係が

表 を満たす外部保護導体(銅)を接続できるものでなけれ

ばならない。

表 1−外部保護導体(銅)の最小断面積(相導体対比)

単位  mm

2

巻上機械に給電する相導体の断面積

S

外部保護導体(銅)の最小断面積

S

p

S

≦16

16<S≦35

S

>35

S

16

S/2

銅以外の外部保護導体を用いる場合には,その保護導体に適する寸法の端子を選ばなければならない

8.2.2 参照)

各電源入力点では,外部の保護接地システム又は外部保護導体用の端子を文字 PE のマーキング又はラ

ベルによって識別しなければならない(JIS C 0445 を参照)

5.3 

電源断路器及び電源開閉機器 

5.3.1 

一般事項 

巻上機械の電源の断路及び/又は開閉は,次の機器によって行うものとする。


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−  クレーン電源スイッチ(5.3.5 参照)

−  クレーン断路器(5.3.6 参照)

−  クレーンスイッチ(5.3.7 参照)

図 も参照)

5.3.2 

種類 

電源断路器及び電源開閉機器には,次のいずれかを用いることができる。

a)  JIS C 8201-3

に適合する,使用負荷種別 AC-23B 又は DC-23B のヒューズ付き又はヒューズなしの断

路用開閉器

b)  JIS C 8201-3

に適合する,ヒューズ付き又はヒューズなしの断路器であって,常に断路器の主接点が

開く前に,別の開閉機器によって負荷回路を遮断させるための補助接点をもつもの

c)

回路遮断器であって,JIS C 8201-2-1 又は JIS C 8201-2-2 に適合し,断路に適するもの

d)

その他の開閉機器であって,その製品の日本工業規格又は IEC 規格に適合し,JIS C 8201-1 の断路の

要求事項を満たし,かつ,電動機又は他の誘導負荷を負荷状態で開閉する用途に適することが,その

製品規格の使用負荷種別で規定されているもの

e)

給電用可とうケーブルに用いるプラグ・ソケット対


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可とうケーブルシステム

又は他の選択肢

導体バーシステム

配電システム

給電点

導体ワイヤ又は導体バー

可とうケーブル

他の巻上機械へ

クレーン断路器

この位置に,開閉器, 
断路用開閉器又は 
回路遮断器がある

クレーンスイッチ 
(必要ならば二つ以上)

特殊回路用開閉器

5.3.8 参照)

駆動装置及び

補機用の開閉器

特殊回路用断路器

クレーン電源スイッチ

クレーン電源スイッチ

外部からの補助電源

(巻上機械の特殊回路用)

負荷保持装置

必要に応じてクレーン
スイッチの上流又は下
流に備える補助電源

図 3−電源供給システムの例

5.3.3 

要求事項 

入力電源断路器及び電源開閉機器が,5.3.2 の a)d)  に規定する種類のいずれかである場合は,次の要

求事項を全て満足しなければならない。

−  電源から電気装置を分離でき,一つのオフ(断路)位置及び一つのオン位置をもち,各位置を記号“○”

及び“│”で明示する。記号は IEC 60417-5008 及び IEC 60417-5007 による。10.2.2 参照。


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−  接点間隔を目視できる。

又は全ての接点が実際に開いて断路機能の要求事項が達成されるまでオフ

(断

路)を表示できない位置表示器をもつ。

−  断路器のエンクロージャ外面部に操作手段(例えば,ハンドル)をもつ。

例外  電動式の開閉器であって,これをオフするための他の操作手段を開閉器とは別に備える場合

は,開閉器エンクロージャの外面部で直接操作できなくてもよい。

非常操作を目的とするものでない断路器の操作手段(ハンドル)の色は,黒又は灰色とすることが

望ましい(10.7.4 及び 10.8.4 参照)

−  オフ(断路)位置にロックできる手段(例えば,南京錠)を備えている。オフにロックされていると

きは,手元操作及び遠隔操作による閉路を防止できる。

−  電源回路の全ての充電導体を断路できる。ただし,電源が TN-S 接地系統

7)

で供給される場合は,中

性線を断路してもしなくてもよい。

7)

 TN-S 接地系統は,TN 接地系統において PE 導体と N 導体(中性線)とが分離されているも

のである。我が国の商用電源には TN-S 接地系統は用いられない。

いかなる接地系統においても,PE 導体及び PEN 導体を断路してはならない。

−  最大の負荷容量をもつ電動機の拘束電流とその他の全ての電動機及び/又は負荷の通常の作動電流と

の合計電流を遮断できる容量をもつ。

なお,単純合計による遮断容量は,実績に基づく係数によって減じてもよい。

入力電源断路器がプラグ・ソケット対である場合は,次の要求事項を全て満足しなければならない。

−  最大の負荷容量をもつ電動機の拘束電流とその他の全ての電動機及び/又は負荷の通常の作動電流と

の合計電流を遮断するために十分な遮断容量をプラグ・ソケット対自体がもつか,そのような遮断容

量をもつ開閉機器にプラグ・ソケット対をインターロックする。

なお,単純合計による遮断容量は,実績に基づく係数によって減じてもよい。インターロックする

開閉機器が電気制御式のもの(例えば,コンタクタ)である場合は,適切な使用負荷種別のものでな

ければならない。

−  13.4.5 の要求事項

注記  適切な定格で用いるプラグ及びコンセント,並びに JIS C 8285 に適合するケーブルカプラ又は

機器用カプラは,これらの要求事項を全て満足する。

入力電源断路器がプラグ・ソケット対である場合,巻上機械の駆動部をオン・オフする目的には適切な

使用負荷種別をもつ開閉機器を用いなければならない。このことは,上記のインターロック開閉機器を併

用することによって達成してもよい。

5.3.4 

操作手段 

電源断路器及び電源開閉機器の操作手段(例えば,ハンドル)は,作業面から高さ 0.6∼1.9 m の範囲で

容易に手が届く位置に設けなければならない。1.7 m 以下が望ましい。

注記  操作の方向については,JIS B 9706-3 に規定がある。

5.3.5 

クレーン電源スイッチ 

5.3.5.1 

一般事項 

注記  5.3.5 は,搭載電源をもち外部電源を用いない巻上機械には適用しない。

クレーン電源スイッチは,次の目的のために備えなければならない。

−  修理及び保全作業のために,巻上機械の入力電源接続用の導体ワイヤ,導体バー又はケーブルを入力


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電源から断路(分離)する。

−  必要な場合,非常停止及び/又は非常遮断(9.2.5.4 参照)を行う。

二つ以上の入力電源を用いる場合は,クレーン電源スイッチは各電源に設け,それらが正しく連携して

作動するように保護インターロックを備えなければならない。

必要な場合は,5.6 の要求事項をクレーン電源スイッチにも適用する。

5.3.5.2 

種類 

クレーン電源スイッチは,5.3.2 で規定する種類のいずれかとしなければならない。

巻上機械を建築現場で用いる場合には,クレーン電源スイッチの機能を達成するために現場分電盤の開

閉機器を用いてもよい。5.6 の要求事項は,断路手段を間近に監視できるかどうかにかかわらず,オフ位置

にロックする手段によって満足しなければならない。

5.3.5.3 

要求事項 

巻上機械単独の遮断容量は,最大容量の電動機の回転子が拘束したときの電流と,同時に作動するその

他の駆動機の正常作動電流との合計電流を遮断できるものでなければならない。

注記  一つのクレーン電源スイッチの負荷側に 2 台以上の巻上機械を一定の条件で用いる場合は,実

績によって証明された係数を適用して必要な遮断容量を計算してよい。

クレーン電源スイッチを 9.2.5.4.3 に規定する非常遮断に用いる場合には,巻上機械の近くの容易に手が

届く場所から(遠隔的に又は直接的に)開路操作できなければならない。

非常遮断用機器の遠隔操作によって開路されたクレーン電源スイッチの再閉路は,その非常遮断用機器

をリセットする前に可能であってはならない。

導体ワイヤ又は導体バーに,並列接続の複数クレーン電源スイッチから給電する場合には,それらのス

イッチが正しく連携して作動するような保護インターロックを備えなければならない。

保護のない(露出している)導体ワイヤ又は導体バーに給電するクレーン電源スイッチ又はクレーン電

源スイッチ用の遠隔制御器は,操作する位置から導体ワイヤ又は導体バーができるだけよく見えるように

配置することが望ましい。

上記の要求事項は,例えば,次の特別な場合にも適用することが望ましい。

−  主電源の導体ワイヤ,導体バー及び導体システムが 2 系統あって,そのいずれか一方を任意に選択し

て巻上機械の給電に用いる場合。

−  主電源の導体ワイヤ又は導体バーが幾つかの区画に分割されている場合。

これらの要求事項を満足できないときには,他の手段を用いて必要な安全を確保しなければならない。

5.3.6 

クレーン断路器 

5.3.6.1 

一般事項 

保全及び修理のために電気装置を電源から切り離しできるように,また,巻上機械に介入して作業する

間に予期しない起動が起こらないように,1 台の巻上機械に一つのクレーン断路器を備えなければならな

い。ただし,次の場合は除く。

−  クレーン断路器を配置しようとする位置と 5.3.7 で規定するクレーンスイッチとの間の配線に接続点

も分岐点もなく,クレーンスイッチがクレーン断路器の機能を果たすことができ 5.6 の要求事項を満

たすので,クレーン断路器が不要である。

−  床上操作の単独の巻上機械においてクレーン電源スイッチがクレーン断路器の機能を果たせるので,

クレーン断路器が不要である。

注記 1  床上操作の巻上機械は,つり下げて用いるペンダント形操作盤,遠隔の固定式操作盤,及


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び携行式操作盤によって運転操作される。

−  他の手段(例えば,ディーゼル発電機の燃料供給機構又は起動機構を停止側にロックする手段)によ

って電圧を 0 まで下げる又は 0 に保持できるので,クレーン断路器は必要ない。

−  交流 1 kV 以上の電圧で電源供給を受け,巻上機械に取り付けた変圧器(一つ又は複数)から低圧系に

電源供給する巻上機械において,低圧回路に分離供給する各変圧器の二次側にそれぞれクレーン断路

器を備える(5.5 参照)ので,一次側にクレーン断路器を置く必要がない。二次側の各クレーン断路器

に属する回路は,例えば,次のいずれかの方法を用いて,明確に区別できるようにしなければならな

い。

−  間隔を確保する。

−  バリアを付ける。又は

−  マーキング及びラベルで識別する。

注記 2  ただ一つのクレーン断路器によって巻上機械全体を断路する方式を優先することが望まし

い。

5.3.6.2 

種類 

不注意による開路操作及び許可されていない開路操作を防止する手段を備える場合には,クレーン断路

器は,少なくとも JIS C 8201-3 に規定する断路器の要求事項を満たさなければならない。これを満たせな

いときは,JIS C 8201-3 に規定する断路用開閉器の要求事項を満たさなければならない。クレーン断路器

のアクチュエータ(操作ハンドル)は 5.3.4 の要求事項を満たさなければならない。

断路器と同じ機能を果たせる取外し可能な集電子又はプラグ・ソケット対は,クレーン断路器として用

いてもよい。

異なる電源システムを切り換えて用いる巻上機械において,中間点にオフ(断路)位置があって 5.3.6

の要求事項に適合する場合は,その電源システム切換スイッチをクレーン断路器として用いてもよい。

5.3.6.3 

要求事項 

5.4

5.5 及び 5.6 の該当する要求事項を適用する。

5.3.7 

クレーンスイッチ 

5.3.7.1 

一般事項 

各巻上機械には,全ての駆動系を非常停止させるために,また,必要ならば駆動系以外の装置の電源を

遮断するために,オペレータ操作盤から操作できるクレーンスイッチを少なくとも一つ備えなければなら

ない。

電源がなくなると負荷を保持できない負荷保持装置(例えば,磁石,空圧式保持装置)は,クレーンス

イッチの電源供給側から(クレーンスイッチを通さずに)給電しなければならない。

例外  別の手段による非常停止機能を備えるときは,次の巻上機械にはクレーンスイッチを備えなく

てもよい。

−  電気駆動を巻上機構だけに用いる巻上機械

−  人力又は 500 W 以下の電動機によってトロリが移動する床上操作のモノレール式ホイスト

5.3.7.2 

種類 

クレーンスイッチは,少なくとも JIS C 8201-3 に規定する開閉器の要求事項を満たさなければならない。

この要求事項は 5.3.2 の a)又は c)に規定する機器の一つによって満たすことができる。4.2.2 に従って選定

したコンタクタを断路器と組み合わせて用いてもよい。


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5.3.7.3 

要求事項 

5.3.3

及び 5.3.4 の該当する要求事項を適用する。

5.3.8 

特殊回路 

修理又は保全の作業中も作動させる特殊回路は,5.6 の要求事項を満たす専用の断路器(

図 参照)を用

いて,5.3.6 に規定するクレーン断路器の電源供給側に(クレーン断路器を通さずに)接続しなければなら

ない。

特殊回路には次のものがあるが,これだけには限定しない。

−  コンセント及び照明回路

−  巻上機械上に取り付けたリフト,修理用工具及び修理用クレーンの回路

−  暖房,空調及び換気用の回路

−  安全方策として用いる電気機器(例えば,衝突防止装置,航空障害灯)用の回路

−  火災警報システム用の回路

−  通信回路,データリンク又はプログラムメモリ機器

−  電源異常時の自動遮断のための不足電圧保護機器

−  インターロック用の制御回路

巻上機械の修理及び保全の作業中に作動させる特殊回路は,保護(絶縁)のない導体ワイヤ,導体バー

及びスリップリング機構を使わないような設計・設置をしなければならない。

特殊回路は,次の方法によって識別しなければならない。

−  クレーン断路器の近くに 16.1 による永久警告ラベルを付ける。

−  保全マニュアルに記述し,次の幾つかによって識別する。

a)

各特殊回路の近くに 16.1 による永久警告ラベルを付ける。

b)

特殊回路を他の回路から分離する。

c)

13.2.4

に規定する色によって識別する。

5.4 

予期しない起動を防止するための開路用機器 

巻上機械には,予期しない起動を防止するための開路用機器を備えなければならない(例えば,保全作

業中に巻上機械又はその一部が起動する危険を招くような場合)

。クレーン断路器(5.3.6 参照)は,巻上

機械全体の予期しない起動防止の機能を果たす。巻上機械の個々の部分の作業が必要な場合は,個別断路

が必要な各部分に追加の開路用機器を設けなければならない。

これらの機器は,意図する用途に適し,使いやすいものとし,適切に配置し,それらの機能及び目的を

容易に識別できるようにしなければならない。

注記 1  この規格は,予期しない起動を防止するための全ての施策を規定しているわけではない。JIS 

B 9714

を参照。

予期しない起動を防止するための開路用機器が,操作盤又は他の場所から,不注意に又は誤って閉じら

れることを防止する手段を備えなければならない(5.6 も参照)

注記 2  予期しない起動防止用機器の操作及び配置に関する詳しい情報は,JIS B 9714 に記述されて

いる。

断路機能を満たす次の機器は,予期しない起動を防止するための開路用機器として用いてよい。

−  5.3.2 に示す機器

−  その他の断路器,ヒューズ付き又はヒューズなしの刃形開閉器。ただし,囲いがある電気作動域(3.26

参照)内に設置する場合に限る。


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断路機能を満足しない機器(例えば,制御回路によって開閉制御するコンタクタ)は,次のような状況

以外には予期しない起動を防止するための開路用機器として用いてはならない。

−  検査

−  調整

−  電気装置に介入する作業で次の条件を満たすもの。

・  感電(箇条 参照)及びやけどの危険がない。

・  開路状態が作業中維持される。

・  作業が軽微である(例えば,配線変更を伴わないプラグイン機器の交換)

注記 3  予期しない起動を防止するための開路用機器にどのような機器を選択するかは,意図する使

用を考慮して行うリスクアセスメントに依存する。例えば,清掃作業員が用いることを意図

するなら,囲いがある電気作動域内に断路器,ヒューズ付き又はヒューズなしの刃形開閉器

をこの目的で配置することは適切でないこともある[17.2 b) 12)  参照]

注記 4  予期しない起動の定義及び説明は,JIS B 9700-1 の 3.29 にも記載されている。保全作業員が

機械に介入していることを知らずにオペレータが操作盤の起動スイッチを押すことによる起

動は,保全作業員の立場からは予期しない起動である。予期しない起動を防止するための開

路用機器は,これが開いている間は機械を起動できないようにするものである。例えば,保

全作業中これを開いておけば誰かが誤って起動スイッチを押しても機械は起動しない。

注記 5  5.4 は,予期しない起動を防止するための開路用機器を,5.1 に規定する入力電源断路器の他

に更に設けることを全ての巻上機械に要求しているわけではない。巻上機械(電気装置)に

よっては,入力電源断路器を開くことによって予期しない起動を防止できることもある。

5.5 

電気装置を断路する機器 

注記 1  5.5 で規定する“電気装置”とは,機械の全ての電気品を含む集合体としての電気装置ではな

く,例えば,各電力回路,変圧器,電動機,制御回路などの個別部分のことである(3.28 

照)

。ここで要求する“電気装置を断路する機器”は,基本的に 5.3 が規定する入力電源断路

器とは別に追加として備えることを想定しているが,単純な機械(電気装置)においては,

入力電源断路器がこの機能を果たすことができることもある。独立した断路器の要否は,リ

スクアセスメントに依存する。

巻上機械の電気装置を充電部から切り離して無電圧状態で作業ができるように,電気装置を電源から断

路する機器を備えなければならない。これらの機器は,

−  意図する用途に適し,使いやすく,

−  適切に配置され,

−  装置のどの部分又はどの回路を断路するものであるかを容易に識別できなければならない。

これらの開路用機器が,操作盤又は他の場所から,不注意に又は誤って閉じられることを防止する手段

を備えなければならない(5.6 も参照)

クレーン断路器(5.3.6 参照)は,場合によっては 5.5 に規定する断路の機能を果たすことができる。た

だし,巻上機械の電気装置の独立した部分,又は共通の導体バー,導体ワイヤ若しくは誘導式電源システ

ムから共に給電する複数の巻上機械群のうちの 1 台で作業する必要がある場合は,個別に断路を必要とす

る各部分又は各巻上機械に断路器を備えなければならない。

個別回路を断路する目的のために,クレーン断路器に加えて,断路機能を満足する次の機器を用いるこ

とができる。


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−  5.3.2 に示す機器

−  その他の断路器,ヒューズ付き又はヒューズなしの刃形開閉器。ただし,電気作動域(3.22 参照)内

に配置する場合に限るものとし,電気装置に関連する情報が提供されるものとする[17.2 b) 9)  及び

17.2 b) 12)

参照。

注記 2  6.2.2 c)  による感電保護を備える場合,この目的に用いるヒューズ付き又はヒューズなしの刃

形開閉器は,電気作業員又は熟練電気技術者が用いることが意図されている。

5.6 

無許可,無意識及び誤操作による投入に対する保護 

5.4

及び 5.5 に規定する機器で,囲いがある電気作動域の外に配置するものには,オフ位置(断路状態)

にロックする手段(例えば,南京錠,キー抜取り式のキーインターロック)を備えなければならない。ロ

ック状態においては,遠隔操作及び手元操作のいずれによる再投入も防止しなければならない。

ロック不可能な断路機器(例えば,ヒューズ付き又はヒューズなしの刃形開閉器)を囲いがある電気作

動域内に配置する場合には,再投入を防止する他の保護手段(例えば,16.1 による警告ラベル)を用いな

ければならない。

5.3.2 e)

に規定するプラグ・ソケット対を断路器として用いる場合,意図しない投入が行われないように

作業者が間近で監視できる場所に配置しているときは,断路側にロックする手段を備えなくてもよい。

感電保護 

6.1 

一般事項 

電気装置は,次のことによって人が感電しないための保護を備えなければならない。

−  直接接触(6.2 及び 6.4 参照)

−  間接接触(6.3 及び 6.4 参照)

JIS C 60364-4-41

から選定した感電保護の推奨手段を 6.26.3 及び 6.4(PELV による保護)に規定する。

物理的制約又は運転条件の制約があってこれらの推奨手段を実施できない場合は,JIS C 60364-4-41 から

他の方策を採用してもよい。

注記  JIS C 60364-4-41:2010 においては,この規格で用いる“直接接触に対する保護”の代わりに“基

本保護(basic protection)

“間接接触に対する保護”の代わりに“故障保護(fault protection)

を用いている。

6.2 

直接接触に対する保護 

6.2.1 

一般事項 

電気装置の各回路又は各部分には,6.2.2 又は 6.2.3 のいずれかの方策,及び関連する場合には 6.2.4 の方

策を採用しなければならない。

例外  これらの手段が適切でない場合には,JIS C 60364-4-41 に規定する直接接触に対する他の保護

手段(例えば,バリアの使用,手が届かない配置,オブスタクルの使用,人のアクセスを防止

する構造又は取付けなど)を採用してもよい(6.2.5 及び 6.2.6 参照)

装置が,子供を含め全ての人が近づける場所にある場合は,直接接触に対する保護(等級)が少なくと

も IP4X 又は IPXXD(JIS C 0920 参照)に相当する 6.2.2 の方策,又は 6.2.3 の方策を採用しなければなら

ない。

6.2.2 

エンクロージャによる保護 

充電部は,箇条 4,箇条 11 及び箇条 14 の関連する要求事項に適合し,直接接触に対する保護が少なく

とも IP2X 又は IPXXB(JIS C 0920 参照)のエンクロージャ内に配置しなければならない。


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エンクロージャの上面に人が容易にアクセスできる場合は,その上面の直接接触に対する保護等級は少

なくとも IP4X 又は IPXXD でなければならない。

次の a)c)のいずれかの条件を満たさない場合は,エンクロージャを開ける(扉,蓋,カバーなどを開

ける)ことが可能であってはならない。

a)

エンクロージャ内にアクセスするためには,鍵又は工具を必要とする。囲いがある電気作動域内のエ

ンクロージャの場合には,JIS C 60364-4-41 又は IEC 60439-1 を参照。

注記 1  鍵又は工具を用いる意図は,エンクロージャ内へアクセスする人を熟練電気技術者又は電

気作業員に限ることにある[17.2 b) 12)参照]

装置を電源に接続した状態で機器の再設定又は調整を行うときに人が触れるおそれがある充電部は,

直接接触に対する保護等級が少なくとも IP2X 又は IPXXB でなければならない。扉の内部にあるその

他の充電部の直接接触に対する保護等級は,少なくとも IP1X 又は IPXXA でなければならない。

b)

エンクロージャを開けるより前に内部の充電部は電源から切り離され無電圧になる。このことは,断

路器がオフ状態にあるときだけ扉が開き,扉が閉じているときだけ断路器をオンにできるように,断

路器(例えば,クレーン断路器)と扉とをインターロックすることによって達成してもよい。

例外  このインターロックは,次の条件を満たす場合は,供給者が指定する特別な機器又は工具(注

記 参照)を用いて,無効化(バイパス)できるものであってもよい。

−  インターロックが無効化されている間は,いつでも断路器をオフにし,かつ,オフ状態

にロックできる。または,別な方法によって,部外者が勝手に断路器をオンできないよ

うになっている。

−  扉を閉じると,インターロックが自動的に有効状態に復帰する(このことによって,次

に扉を開けたときは自動的に断路する。

−  装置を電源に接続した状態で機器の再設定又は調整を行うときに人が触れるおそれがあ

る充電部は,直接接触に対し少なくとも IP2X 又は IPXXB で保護されている。扉の内部

にあるその他の充電部の直接接触に対しては,少なくとも IP1X 又は IPXXA で保護され

ている。

−  感電保護に関連する情報が電気装置に備えられている[17.2 b) 9)及び 17.2 b) 12)参照]

注記 2  特別な機器又は工具は,熟練電気技術者又は電気作業員だけが用いることが意図されてい

る[17.2 b) 12)参照]

断路器に直接インターロックされていない扉の背後にある充電部にアクセスすることは,熟練電気

技術者又は電気作業員に限るような対策を実施しなければならない[17.2 b) 12)参照]

断路器をオフした後も充電している全ての部分は,直接接触に対する保護等級が少なくとも IP2X

又は IPXXB(JIS C 0920 参照)でなければならない。このような部分には,16.2.1 に規定する警告標

識をマーキングしなければならない(色による導体の識別については 13.2.4 も参照)

マーキングの要求は,次の部分に対しては除外してよい。

−  インターロック回路を通してだけ充電する可能性があり,かつ,充電する可能性があることが

13.2.4

による色で見分けられる部分

−  分離したエンクロージャ内に単独で取り付けられているクレーン電源スイッチ及びクレーン断路

器の電源端子

c)

エンクロージャを開けた状態でも,

全ての充電部が直接接触に対して少なくとも IP2X 又は IPXXB

JIS 

C 0920

参照)の保護等級で保護されている。この場合に限り,鍵又は工具を用いずに,及び充電部を


32

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断路せずにエンクロージャを開くことができてもよい。この保護手段としてバリアを設ける場合には,

その取外しに工具を必要とするか,又は工具なしで取り外せる場合は,バリアを取り外したときにそ

のバリアで保護されていた充電部を自動的に電源から切り離すかのいずれかとしなければならない。

注記 3  直接接触に対する保護を c)によって達成する場合,機器の手動操作(例えば,コンタクタ,

リレーの接点を手で閉じる。

)によって危険源が発生することがあるならば,そのような操

作は,鍵又は工具を必要とするバリア又はオブスタクルによって防止することが望ましい。

6.2.3 

絶縁物による充電部の保護 

絶縁物によって保護する充電部は,

破壊しなければ除去できない絶縁物で完全に覆わなければならない。

そのための絶縁物は,通常の使用状態で受ける機械的,化学的,電気的及び熱的な作用に耐えるもので

なければならない。

注記  塗料,ワニス,ラッカーなどの塗布及びこれらに類似する方法を用いるだけでは,通常の使用

条件に対する感電保護は,一般に不十分であると考えられる。

6.2.4 

残留電圧に対する保護 

電源切離し直後の残留電圧が 60 V を超える充電部品は,放電が速すぎることによって装置の正常な機能

に影響しない限り,電源切離し後 5 秒以内に 60 V 以下になるように放電しなければならない。ただし,充

電電荷が 60  μC 以下の部品にはこの要求事項を適用しない。5 秒以下の放電速度が装置の正常な機能に影

響する場合は,そのコンデンサを収納するエンクロージャ自体又はその近傍のよく見える場所に,感電の

警告,及びエンクロージャを開ける前に必要な放電時間を示す警告文を,恒久的に消えない方法で表示し

なければならない。

引き抜いたときに導体(例えば,ピン)が露出するプラグ又は同類の器具の場合には,放電時間は 1 秒

以下でなければならない。これが満たされない場合は,その導体の直接接触に対する保護が少なくとも

IP2X 又は IPXXB でなければならない。1 秒間で放電せず,また,IP2X 又は IPXXB の保護ができない場合

(例えば,導体ワイヤ,導体バー又はスリップリング機構上の取外し可能形集電子の場合。12.7.4 参照。

は,感電防止のための開閉機器を追加するか,又は適切な警告手段(例えば,16.1 による警告標識)を設

けなければならない。

注記  この要求の適用対象例には,力率改善用コンデンサ及び可変速駆動システムの直流回路に用い

るフィルタ用コンデンサがある。

6.2.5 

バリアによる保護 

バリアによる保護に対しては,JIS C 60364-4-41 を適用する。

6.2.6 

人体が届かないところへの配置による保護又はオブスタクルによる保護 

人体が届かないところへ充電部を配置することによる保護に対しては,JIS C 60364-4-41 の B.3 を適用す

る。オブスタクルによる保護に対しては,JIS C 60364-4-41 の B.2 を適用する。

IP2X より低い保護等級の導体ワイヤシステム又は導体バーシステムに対しては,12.7.1 を参照。

6.3 

間接接触に対する保護 

6.3.1 

一般事項 

間接接触に対する保護は,充電部と露出導電性部分との間の絶縁故障(漏電)によって危険状態になる

ことを防止することが目的である。

電気装置の各回路又は各部分には,次の方策の少なくとも一つを採用しなければならない。

−  接触電圧の発生を防止する手段(6.3.2 に規定)

−  危険な接触電圧になる前の電源の自動遮断(6.3.3 に規定)


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注記 1  接触電圧が人体に及ぼす傷害のリスクは,接触電圧の大きさ及び接触時間に依存する。

注記 2  装置のクラス(感電保護による分類)及びその保護基準については,JIS C 0365 を参照。

6.3.2 

接触電圧の発生防止 

6.3.2.1 

一般事項 

接触電圧の発生を防止する方策には,次のものがある。

−  クラス II 装置の使用又は同等の絶縁

−  電気的分離

6.3.2.2 

クラス II 装置の使用又は同等の絶縁による保護 

この保護方策の目的は,人がアクセスできる部分に基礎絶縁の破壊によって接触電圧が発生することを

防止することである。

この保護は,次の方策の幾つかを実施することによって備えることができる。

−  クラス II の電気機器又は器具(二重絶縁,強化絶縁又は JIS C 0365 に適合する同等の絶縁性能をもつ

機器類)の使用

−  IEC 60439-1 に適合する全体絶縁を施した開閉装置及び制御装置の使用

−  JIS C 60364-4-41 の箇条 412 に適合する追加絶縁又は強化絶縁の使用

6.3.2.3 

電気的分離による保護 

個々の回路を電気的に分離する目的は,これらの回路の充電部の基礎絶縁が破壊されて露出導電性部分

に接触電圧が発生することを防止することである。

電気的分離による保護に対しては,JIS C 60364-4-41 の箇条 413 及び C.3 の要求事項を適用する。

6.3.3 

電源の自動遮断による保護 

この保護方策は,絶縁故障(漏電)発生時に保護機器が自動的に作動して導体を電源から遮断するもの

である。この遮断は,接触電圧が危険を及ぼす前の十分短い時間内に行わなければならない。TN 接地系

統に適用する許容遮断時間を

附属書 に示す。TT 接地系統(国内で主として用いられる。)に適用する許

容遮断時間を

附属書 JA に示す。

この方策は,次の各項目相互の協調を必要とする。

−  電源形式及び接地系統

−  保護ボンディング系各部のインピーダンス

−  絶縁故障を検出する保護機器の特性

絶縁故障の発生によって影響を受ける回路の電源自動遮断は,接触電圧から生じる危険状態を防止する

ことが目的である。

この保護方策は,次の二つからなる。

−  露出導電性部分の保護ボンディング(8.2.3 参照)

−  次の a)c)  のいずれか一つ

a) TN

接地系統

8)

の場合,絶縁故障発生時に電源を自動的に遮断する過電流保護機器の使用。

8)

 TN 接地系統(TN 電力系統)は,電源側の 1 点を直接接地し,設備(この規格では巻上

機械)の露出導電性部分を保護導体によってその点に接続する(JIS C 60364-1 参照)

− TN-S 接地系統:系統の全体にわたって保護導体を分離する。

− TN-C 接地系統:系統の全体にわたって中性線及び保護導体を一つの導体で兼用す

る。TN 接地系統は,欧州及び北米で用いられる。日本の商用電源には用いない。


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b) TT

接地系統

9)

の場合,充電部から露出導電性部分又は接地導体への絶縁故障発生時に電源を自

動的に遮断する漏電保護機器(漏電遮断器)の使用。

注記 1 TT 接地系統の場合,漏電遮断器を設ける場所について,電気装置の使用者と供給者と

が事前に合意する必要があると考えられる(

附属書 参照)。電気装置への電源供給

回路(電気装置の外)に漏電遮断器が設けられていない場合,又は設けられている漏

電遮断器が

附属書 JA の規定を満足しない場合は,電気装置内に適切な漏電遮断器を

設けることが必要になる。電源系統に二つ以上の漏電遮断器が存在する場合は,各保

護機器の特性(感度電流,遮断時間など)の協調が必要になる。

注記 2  6.3.2 の方策を採用して接触電圧の発生を防止できる場合は,漏電遮断器を用いなくて

もよい(6.3.1 参照)

9)

 TT 接地系統(TT 電力系統)は,電源側の 1 点を直接接地し,設備(この規格では巻上

機械)の露出導電性部分を電力系統の接地極とは電気的に独立した接地極に接続する

JIS C 60364-1 参照)

。TT 接地系統は,日本の商用電力に用いられる。欧州及び北米で

は一般的でない。

c) IT

接地系統

10)

の場合,絶縁故障発生時に自動電源遮断を促す絶縁監視機器又は漏電保護機器の

使用。最初の地絡のときに電源を遮断する保護機器を備えていないときは,充電部から露出導電

性部分又は接地回路への最初の漏電を検出するための絶縁監視機器を備えなければならない。こ

の絶縁監視機器は,視覚又は聴覚による警報信号を,漏電が続いている限り発し続けなければな

らない。

10)

 IT 接地系統(IT 電力系統)は,全ての充電部を大地から絶縁するか,又は 1 点をインピ

ーダンスを介して大地へ接続し,設備(この規格では巻上機械)の露出導電性部分を単

独若しくは一括して接地するか,又は系統の接地へ接続する(JIS C 60364-1 参照)

TN 接地系統の場合,上記の a)  による自動遮断を備えていても,A.1 に規定する時間内に切り離すこと

が保障できないときは,A.3 の規定を満たす追加のボンディングを備えなければならない。

6.4 PELV

使用による保護 

注記 PELV(保護特別低電圧)とは,定常状態及び単一故障状態(他の回路の地絡故障を除く。)に

おいて ELV(特別低電圧)を超えない電圧をいう。PELV 回路は,一端が接地されている。接

地されない ELV 回路は SELV という。ELV の電圧値は,IEC 60449 の定義では交流 50 V 未満,

直流 120 V 未満であるが,規格によっては,PELV の要求値がこれと異なることもある。この

規格の 6.4.1 では,これより低い値を規定している。

6.4.1 

一般要求事項 

PELV の使用は,間接接触及び限られた接触面積での直接接触による感電に対して人を保護することが

目的である(8.2.5 参照)

PELV 回路は,次の a)e)の該当する条件を全て満足しなければならない。

a)

公称電圧は,次の値を超えない。

−  装置を通常乾燥した場所で用いるとき,及び人体と充電部との間に広い面接触が予想されないと

きは,交流 25 V(実効値)及び直流 60 V(リップルなし)

−  その他の場合は,交流 6 V(実効値)及び直流 15 V(リップルなし)

注記  “リップルなし”は,ここではリップル電圧の実効値が直流分の 10 %を超えないリップ

ル量と定義する。


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b)

回路の片側又は回路供給電源の一点を保護ボンディング回路と接続する。

c) PELV

回路の充電部は,他の充電回路から電気的に分離する。この電気的分離は,安全絶縁変圧器の

一次回路と二次回路との間に要求される分離条件を満たさなければならない(JIS C 61558-1 及び JIS 

C 61558-2-6

を参照)

d)

各 PELV 回路の導体は,他のいかなる回路の導体からも物理的に分離している。この要求事項が実際

的でないときは,13.1.3 の絶縁手段を適用する。

e) PELV

回路用のプラグ及びコンセントは,次の事項を満足する。

1)

プラグは,他の電圧系統のコンセントに挿入できない。

2)

コンセントは,他の電圧系統のプラグの挿入を許さない。

6.4.2 PELV

の電源 

PELV の電源は,次のいずれかでなければならない。

−  JIS C 61558-1 及び JIS C 61558-2-6 に適合する安全絶縁変圧器

−  安全絶縁変圧器と同等の安全度をもつ電源(例えば,安全絶縁変圧器と同等の絶縁巻線をもつ電動発

電機)

−  電気化学的電源(例えば,電池)

,又は PELV より高い電圧回路から独立しているその他の電源(例え

ば,ディーゼル発電機)

−  内部に障害があった場合にも,出力端子電圧が常に 6.4.1 の規定値を超えないようにする方策を規定し

ている適切な規格に適合する電子回路電源

装置(用品)の保護 

7.1 

一般事項 

注記 1  箇条 でいう“装置”とは,主として単体の装置(変圧器,電動機,導体など)を意味する

3.28 参照)

箇条 は,次の影響から装置(用品)を保護するためにとるべき方策について規定する。

−  短絡事故による過電流

−  過負荷電流

−  異常温度

−  電源電圧の低下又は停電

−  電動機の過速度

−  地絡

−  正しくない相順

−  雷サージ及び開閉サージによる過電圧

これらのいずれかによって保護機器が作動して駆動用電動機が停止した場合は,自動再起動を防止しな

ければならない。

注記 2  自動再起動防止の要求事項は,例えば,次の手段によって満足できる。

−  全ての運転操作機器がオフ位置にある場合にだけオン機能が有効になるクレーンスイッ

−  自動的にオフ位置に戻るオペレータ操作機器

巻上機械又は連携稼働している巻上機械群の一部分だけが保護機器の作動による影響を受けたときは,

保護機器の作動に続いて関連部分と適切に協調した制御応答が進行しなければならない(9.3.4 も参照)


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7.2 

過電流保護 

7.2.1 

一般事項 

巻上機械内の回路電流が構成品の定格値又は導体の許容電流容量のいずれか小さい方を超える可能性が

ある場合には,

過電流保護を備えなければならない。

過電流保護機器の定格値又は設定値については,

7.2.10

に規定する。

7.2.2 

電源導体 

注記  7.2.2 で規定する電源導体とは,電気装置の入力端子(電源接続点)の外側(上流)の,一般に

は電気装置の構成に含まれない(通常は,電気装置の使用者が用意する。

)電源線をいう。

電気装置の供給者は,使用者の指定(

附属書 参照)がない限り,電気装置への電源導体のための過電

流保護機器を備える必要はない。

電気装置の供給者は,電源導体のための過電流保護機器の選定に必要なデータを,据付図に示さなけれ

ばならない(7.2.10 及び 17.4 参照)

7.2.3 

電力回路 

電力回路の各充電導体には,過電流を検知してこれを遮断する機器を 7.2.10 に従って選定し,設けなけ

ればならない。

次の導体は,関連する充電導体が断路する前に断路してはならない。

−  交流電源回路の中性線

−  直流電源回路の接地側導体

−  移動機械の露出導電性部分にボンディングされた直流電源の導体

中性線の断面積が関連する相導体の断面積と同等以上である場合には,この中性線には過電流検出器及

び遮断器を設けなくてもよい。中性線の断面積が関連する相導体より小さい場合の要求条件は,JIS C 

60364-5-52

の箇条 524 による。

IT 系統では,中性線を用いないことが望ましい。中性線を用いる場合には,JIS C 60364-4-43 の 431.2.2

に規定する方策を適用しなければならない。

7.2.4 

制御回路 

入力電源から制御回路に直結して電源を供給する導体及び制御回路用変圧器に電源を供給する導体は,

7.2.3

に従って過電流から保護しなければならない。

制御回路用変圧器又は直流電源ユニットから制御回路へ電源を供給する導体は,次のように過電流保護

を実施しなければならない。

9.4.3.1 も参照。

−  保護ボンディング回路に一端を接続する制御回路は,開閉する側の導体に過電流保護装置を挿入する。

−  保護ボンディング回路に一端を接続しない制御回路は,次による。

a)

全ての制御回路に同じ断面積の導体を用いる場合には,開閉する側の導体に過電流保護機器を挿

入する。

b)

異なる個別回路に異なる断面積の導体を用いる場合には,各個別回路の開閉する側の導体及び共

通導体の両方に過電流保護機器を挿入する。

7.2.5 

コンセント及びそれに給電する導体 

主として保全用の装置(例えば,工具,測定器)に電源を供給するための共用コンセントに給電する回

路には,過電流保護を備えなければならない。過電流保護機器は,コンセントに給電する回路の非接地充

電導体に設けなければならない。

7.2.6 

照明回路 


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照明用電源回路の全ての非接地導体は,他の回路を保護するものとは別に照明用電源回路専用の過電流

保護機器を用いて短絡の影響から保護しなければならない。

7.2.7 

変圧器 

変圧器は,その製造業者の指示に従って過電流保護を実施しなければならない。変圧器の保護は,次の

事項を満足しなければならない(7.2.10 も参照)

−  変圧器の突入電流による不要トリップを防止する。

−  二次側端子間が短絡したとき,巻線温度が変圧器の絶縁種別による許容値を超えることを防止する。

7.2.8 

過電流保護機器の配置 

過電流保護機器は,次の全ての条件を満足しない限り,導体断面積の減少又はその他の変化によって導

体電流容量が減少する場所に配置しなければならない。

−  全ての導体の電流容量が,少なくとも負荷の電流容量以上である。

−  電流容量が減少する導体から過電流保護機器までの接続導体長が 3 m を超えない。

−  短絡する可能性が少ない方法によって導体を布設する。例えば,エンクロージャ又はダクトで導体を

機械的損傷から保護する。

7.2.9 

過電流保護機器 

定格短絡遮断容量は,過電流保護機器の設置点において想定される故障電流以上としなければならない。

過電流保護機器に流れる短絡電流に電源以外(例えば,電動機,力率改善用コンデンサ)から流れ込む電

流が含まれる場合は,これらの電流を考慮しなければならない。

必要な遮断容量をもつ別の過電流保護機器,例えば,電源導体保護のための過電流保護機器(7.2.2 参照)

が電気装置外の電源側に設置されている場合には,電気装置の過電流保護機器の遮断容量は,その外部過

電流保護機器の遮断容量より小さくてもよい。この場合,直列になった二つの過電流保護機器の通過エネ

ルギー(I

2

 t)が,電気装置の過電流保護機器及びこれによって保護する導体を損傷しない範囲内になるよ

うに二つの保護機器の特性の協調をとらなければならない(JIS C 8201-2-1 

附属書 参照)。

注記  このように過電流保護機器の協調をとることによって,両方の過電流保護機器が正しく作動す

る。

ヒューズを過電流保護機器として用いる場合には,容易に入手できる種類を選ぶか,又は使用者に予備

品入手法を示さなければならない。

7.2.10 

過電流保護機器の定格及び作動電流設定値 

ヒューズの定格電流,又はその他の過電流保護機器の作動電流(トリップ電流)の設定値は,可能な限

り小さくしなければならないが,予想される過電流(例えば,電動機始動電流又は変圧器突入電流)に対

して適切な値でなければならない。これらの保護機器を選定する場合には,過電流による損傷(例えば,

接点溶着)から開閉機器を保護することを考慮しなければならない。

過電流保護機器の定格電流又は作動電流設定値は,保護する導体の許容電流と最大許容遮断時間 とか

ら決定する。導体の許容電流は,12.4 及び C.2 によって決定できる。最大許容遮断時間 は,C.3 によって

決定できる。この場合,保護する回路内の他の電気機器との協調の必要性を考慮に入れる。

複数の電動機への共通給電系に過電流保護機器を備える場合には,分岐系が短絡したときに分岐ケーブ

ルを保護できないことがある。追加の保護方策又は分岐ケーブルの電流容量をその回路の最大短絡電流に

耐えるものにすることが必要となる。


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7.3 

電動機の温度上昇保護 

7.3.1 

一般事項 

定格 2 kW を超える電動機には,温度上昇保護を設けなければならない。

例外  電動機を自動停止してはならない用途(例えば,荷重保持装置)では,オペレータが反応して

行動できるような警報信号を温度検出手段から発するようにしなければならない。

電動機の温度上昇保護には,次の手段がある。

−  過負荷保護(7.3.2 で規定)

注記 1  過負荷保護機器は,回路が全負荷定格を超えている時間と電流とで決まる量(I

2

 t)を検出

し,必要な制御応答を開始させる。

−  温度保護(7.3.3 で規定)

注記 2  温度検出器は,異常温度を検出して必要な制御応答を開始させる。

−  電流制限による保護(7.3.4 で規定)

温度保護機能が作動した後に電動機が自動再起動すると危険状態,機械の損傷又は工程中の工作物の損

傷を招く可能性がある場合は,このような自動再起動を防止しなければならない。

7.3.2 

過負荷保護 

過負荷保護を備える場合は,

中性線以外の全ての充電導体の過負荷を検出しなければならない。

ただし,

電動機の過負荷検出器がケーブル保護(C.2 も参照)を目的とするものでない場合は,使用者の要求(

属書 も参照)があれば,過負荷検出器を全ての充電導体に設けることをせず,過負荷検出器の数を減ら

してもよい。

単相電動機又は直流電動機の場合には,

検出器は一つの非接地充電導体だけに設ければよい。

開閉機器の開路によって過負荷保護を行う場合は,その開閉機器は全ての充電導体を開路しなければな

らない。中性線導体は過負荷保護のために開路しなくてもよい。

頻繁に起動又は制動する用途(例えば,高速トラバース,ロッキング,早戻し,プラッギング,インチ

ング)に特別な電動機を用いる場合は,保護すべき巻線に見合う時定数をもつ過負荷保護を備えることが

難しいことがある。この場合には,そのような電動機に適するように設計した適切な保護機器又は特別な

温度保護(7.3.3 参照)を用いることが必要となる場合もある。

過負荷になり得ない電動機(例えば,トルク電動機,機械的な過負荷保護機器で保護される駆動電動機)

には,電気的な過負荷保護機器を備える必要はない。

7.3.3 

温度保護 

冷却効果が阻害される状況(例えば,ほこりの多い環境)では,温度保護をもつ電動機(IEC 60034-11

参照)を用いることが望ましい。

電動機の種類によっては,温度保護によって拘束状態又は欠相状態に対する保護が達成されるとは限ら

ない。このためには追加の保護を備えることが望ましい。

温度保護は,過負荷になり得ない電動機(例えば,トルク電動機,機械的な過負荷保護機器で保護され

る駆動電動機)にも,許容温度を超える(例えば,冷却不足によって)可能性がある場合には,備えるこ

とが望ましい。

注記  例えば,ほこりの多い環境において,又は回転軸に冷却ファンを連結した電動機を低速運転す

る場合に,冷却が阻害されることがある。

7.3.4 

電流制限による保護 

三相電動機の温度上昇の影響に対する保護を電流制限によって行う場合は,三相電動機の電流制限器の

数を 3 個から 2 個に減らしてもよい(7.3.2 参照)

。直流電源又は単相交流電源で作動する電動機の場合は,


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接地されない充電導体だけに電流制限を行ってもよい。

7.4 

異常温度保護 

発熱する抵抗又はその他の回路で著しく高温となり危険状態を招く可能性があるもの(例えば,短時間

定格部品の使用又は冷却媒体の消失による。

)には,適切な制御応答を伴う検出手段を設けなければならな

い。

7.5 

停電,電圧低下及びその復旧時の保護 

停電又は電圧低下が,巻上機械又は負荷に損傷を与えるような危険状態を招く可能性がある場合は,あ

らかじめ設定した電圧で作動する不足電圧保護(例えば,巻上機械への電源遮断及び/又は機械ブレーキ

の作動)を備えなければならない。

注記  リスクアセスメントの結果によっては,手動制御の巻上機械の不足電圧保護は省略できること

がある。

巻上機械の運転条件が短時間の停電又は電圧低下を許容する場合は,遅延形不足電圧保護を用いてもよ

い。この場合,不足電圧検出機器の作動が巻上機械の停止機能を妨げてはならない。

電圧の回復又は電源の再投入によって,巻上機械が自動再起動又は予期しない再起動をすると危険状態

を招くことがある場合は,そのような再起動を防止しなければならない。

巻上機械又は連携して稼働中の巻上機械群の一部だけが電圧低下又は停電の影響を受ける場合には,不

足電圧保護は,保護機能が関連部分と確実に協調して作動するように適切な制御応答を開始しなければな

らない。

7.6 

電動機の過速度保護 

速度超過が危険状態を招く可能性がある場合には,9.2.5.5 及び 9.3.2 の方策を考慮して,過速度保護を備

えなければならない。過速度保護は,適切な制御応答を促し,かつ,自動再起動を防止するものでなけれ

ばならない。

過速度保護は,電動機又は負荷がその機械的限界速度を超えないように作動することが望ましい。

注記 1  過速度保護には,例えば,遠心力スイッチ,限界速度監視,又は駆動機構に組み込んだ速度

監視が用いられる。

注記 2  許容できない過速度は,例えば,直流電動機又は可変速駆動を用いる巻上機械で発生するこ

とがある。

7.7 

地絡(漏電)電流保護 

6.3

に規定する自動遮断のための地絡(漏電)保護に加えて,過電流保護の検出レベルよりも小さい地絡

(漏電)電流による装置の損傷を低減するための地絡(漏電)電流保護を備えることができる。

保護機器の設定値は,保護装置が正しく作動する範囲でできるだけ小さい値にしなければならない。

7.8 

相順保護 

電源の正しくない相順が,危険状態又は巻上機械の損傷を招く可能性がある場合は,相順保護を備えな

ければならない。

注記  正しくない相順で運転が行われる事例には,次のものがある。

−  一つの電源から別の電源に接続を切り換えて用いる巻上機械

−  外部電源への接続手段(端子,コネクタなど)をもつ移動式クレーン

補助電源(例えば,修理作業用)又は代替電源(例えば,非常用)に接続できる巻上機械は,電動機の

正しい回転を保証するための相順保護機器を備えなければならない。


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7.9 

開閉サージ及び雷サージに対する保護 

雷サージ及び開閉サージによる過電圧の影響から保護するために,保護機器を設けてもよい。

保護機器を設ける場合は,次による。

−  雷サージによる過電圧を抑制する機器は,クレーン電源スイッチ及び/又はクレーン断路器の入力側

端子に接続しなければならない。

−  開閉サージによる過電圧を抑制する機器は,この保護を必要とする全ての装置の端子間に接続しなけ

ればならない。

リスクアセスメントによって必要な場合は,屋外クレーンには避雷システムを備えなければならない。

避雷システムは,次のものによって構成する。

a)

突針部  クレーン構造部がこの機能をもつ場合は,突針部を備える必要はない。

b)

引き降ろし導体  巻上機械の構造部(丁番接触部及び可動接触部は保護用導体でバイパス接続する。)

を引き降ろし導体として用いてもよい。

c)

接地終端システム  接地終端は,クレーンレールの接地集電子を含む場合もある。

注記  IEC 62305 規格群にリスクアセスメント及び避雷システムの指針がある。

等電位ボンディング 

8.1 

一般事項 

箇条 は,保護ボンディング及び機能ボンディングについて規定する。

図 はこれらの概念を示す。

注記  保護ボンディング(3.54 参照)及び機能ボンディング(3.34 参照)は,いずれも等電位ボンデ

ィング(3.29 参照)である。

機能ボンディングの目的は,次のことを最小にすることである。

−  絶縁故障が巻上機械の作動に与える悪影響

−  敏感な電気装置への電磁妨害が巻上機械の作動に与える悪影響

通常,機能ボンディングは,保護ボンディング回路に接続することによって達成する。しかし,保護ボ

ンディング回路に加わる電気的妨害のレベルが,電気装置の正しい作動に対して十分低くない場合は,機

能ボンディング回路を別の機能接地用導体に接続することが必要になることもある(

図 参照)。

8.2 

保護ボンディング回路 

8.2.1 

一般事項 

保護ボンディング回路は,次のもので構成する。

− PE 端子(5.2 参照)

−  電気装置及び巻上機械の導電性構造部

−  巻上機械の装置内の保護導体(しゅう動接点が保護ボンディング回路の一部であるである場合は,し

ゅう動接点も含む。

搭載電源をもつ移動式クレーンでは,保護回路,露出導電性部分及び外部導電性部分は,感電保護のた

めに保護ボンディング端子に接続しなければならない。

注記  据置形,移動形及び可動形の電気装置において,電源を自己供給し,かつ,外部電源を接続し

ない(例えば,搭載バッテリチャージャを外部電源に接続しない)ときは,そのような電気装

置を外部保護導体に接続する必要はない。


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電気装置を含む巻上機械 

外部保護導体接続のための
機械の PE 端子(5.2

保護ボン
ディング
8.2

保護ボンディ
ング(8.2

敏感な電気装置のシャーシ

制御回路電源 
8.39.4.3.1

機能ボンディ
ング(8.3

外部の機能接地導体
接続用 FE 端子

構造物 
ボンディング
8.2.1

M

電気装置の PE 端子及び
保護ボンディングが必要
な他の導電性部分(8.2

2

敏感な電気装置

又は

1

注記  以前は,“機能接地導体”を“ノイズレス接地導体”と呼び,“FE 端子”を“TE”と表記していた

JIS C 0445 参照)

図 4−機械の電気装置の等電位ボンディングの例

保護ボンディング回路の全ての部分は,そこを流れる地絡電流によって生じる最大の熱的及び機械的作

用に耐えるように設計しなければならない。

電気装置又は巻上機械の構造部分の導電度が,露出導電性部分に接続される最小保護導体の導電度より

も小さい場合は,追加のボンディング導体を備えなければならない。追加保護導体の断面積は,主保護導

体の断面積の 50 %以上としなければならない。

機能ボンディング(8.3)及び 
保護ボンディング(8.2)の兼用

機能ボンディング専用(8.3) 
保護接地用導体又は機能接地用導体に接続

必要によって接続

1

2


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IT 系統の電源を用いる場合には,巻上機械の構造部が保護ボンディング回路の一部となるようにして,

更に絶縁監視機器を備えなければならない[6.3.3 c)を参照]

6.3.2.2

に規定する装置の導電性構造部分は,保護ボンディング回路に接続する必要はない。巻上機械内

の全ての装置が 6.3.2.2 を満たす場合は,機械の構造を形成する外部導電性部分を,保護ボンディング回路

に接続する必要はない。

6.3.2.3

に規定する装置の露出導電性部分は,保護ボンディング回路に接続してはならない。

8.2.2 

保護導体 

保護導体は,13.2.2 に従って識別しなければならない。

保護導体は,銅導体とすることが望ましい。銅以外の導体を用いる場合は,その導体の単位長当たりの

電気抵抗が,保護導体として許容される銅導体の単位長当たりの抵抗値を超えてはならない。また,その

導体の断面積は,16 mm

2

以上としなければならない。

保護導体の断面積は,次の要求事項によって決定しなければならない。

−  JIS C 60364-5-54 の箇条 543,又は

−  IEC 60439-1 の 7.4.3.1.7

決定した保護導体の断面積と,保護導体が属する給電回路の相導体の断面積との関係が

表 を満足すれ

ば,この要求事項は,多くの場合満足される。

8.2.3 

保護ボンディング回路の導通性 

全ての露出導電性部分は,保護ボンディング回路に接続しなければならない。

例外  8.2.5 に該当するものは,この限りでない。

どのような理由(例えば,定期保全)で電気装置の一部を取り外した場合にも,残った部分の保護ボン

ディング回路の導通が失われてはならない。

ボンディング(接続)部分は,電流容量が,機械的,化学的又は電気化学的な影響によって低下しない

ように設計しなければならない。アルミニウム又はアルミニウム合金のエンクロージャ及び導体を用いる

場合は,電食の可能性について特に考慮することが望ましい。

金属製の可とう性ダクト又は非可とう性ダクト,及びケーブルの金属外装(シース)を保護導体として

用いてはならない。ただし,金属ダクト及び全ての接続ケーブルの金属外装(例えば,鋼帯外装,鉛被外

装)は,保護ボンディング回路に接続しなければならない。

電気装置を蓋,扉又は平板カバーに取り付ける場合は,保護ボンディング回路の導通性を確保しなけれ

ばならない。導通性を確保するためには,保護導体(8.2.2 参照)を用いることが望ましい。保護導体を用

いない場合は,低い抵抗になるように設計した締結部品,丁番又はしゅう動接点を用いなければならない

18.2.2 

試験 参照)。

損傷の危険にさらされるケーブル(例えば,可とう性の引きずりケーブル)の中の保護導体は,適切な

方策(例えば,導通性監視)によって導通性を保証しなければならない。

導体ワイヤ,

導体バー及びスリップリング機構に用いる保護導体の導通性に対する要求事項については,

12.7.2

による。

巻上機械のレールは,保護ボンディング回路に接続してもよいが,電源から巻上機械までの保護導体(例

えば,ケーブル,導体ワイヤ又は導体バー)の代用にレールを用いてはならない。

多様な現場で用いることを意図した巻上機械(移動式巻上機械)の電気装置は,異なる電源条件に適応

するように設計しなければならない。IT 又は TT 系統の電源で用いるときは,巻上機械の保護ボンディン

グ回路は,その現場の接地システムに接続しなければならない。


43

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8.2.4 

保護ボンディング回路からの開閉機器の排除 

保護ボンディング回路には,開閉機器及び過電流保護機器(例えば,スイッチ,ヒューズ)を挿入して

はならない。

保護ボンディング導体を切り離すいかなる手段も備えてはならない。

例外  次の場合は,例外的に切離しを認める。

−  囲いがある電気作動域内にあり,工具を用いなければ切り離せないリンクであって,試験

又は測定のために切り離す目的のもの。

−  取外し可能な集電子又はプラグ・ソケット対において,保護ボンディング回路の導通性が

切り離されるが,保護ボンディング回路用接点が,充電導体用接点よりも接続時には先に

閉じ,切離し時には後に開くものである場合。このことは,取外し可能のプラグインユニ

ットにも適用する(13.4.5 参照)

8.2.5 

保護ボンディング回路に接続する必要のない部分 

次のいずれかの理由によって危険源にならないように取り付けられている露出導電性部分は,保護ボン

ディング回路に接続する必要はない。

−  接触部分が少ない,又は握ることができないほど小さい(約 50 mm×50 mm 未満)

−  充電部分との接触及び絶縁故障が起こらないように配置してある。

この規定は,ねじ,リベット,銘板のような小部品にも適用し,エンクロージャ内の部品(例えば,コ

ンタクタ又はリレーの電磁石,機器の機械的部分)にも,大きさに関係なく適用する。

注記  詳しくは JIS C 60364-4-41 参照。

8.2.6 

保護導体の接続点 

全ての保護導体は,13.1.1 に従って接続しなければならない。保護導体接続点をその他の用途,例えば,

器具又は部品の取付け又は接続のために用いてはならない。

各保護導体接続点は,次の図記号 IEC 60417-5019 又は文字 PE(図記号を優先する。

)をマーキング又は

ラベルによって表示するか,緑・黄 2 色の組合せ表示をするか,又はこれらの組合せによって表示しなけ

ればならない。

搭載電源をもつ移動クレーンが外部電源も使用できるものである場合は,保護ボンディング端子を外部

保護導体の接続点に備えなければならない。

8.2.7 

接地漏えい電流が 10 mA(交流及び直流)を超える電気装置の追加保護ボンディング要求 

注記 1  接地漏えい電流は,“絶縁故障がない状態で設備の充電部から接地回路に流れる電流”と定義

される(IEV 442-01-24 参照)

。この電流は,使用するコンデンサによって発生する容量性成

分をもつことがある。

注記 2  IEC 61800 規格群の関連規定を満たす可変速駆動システムの多くは,接地漏えい電流が交流

3.5mA を超える。可変速駆動システムの接地漏えい電流を確認するために,IEC 61800-5-1

にタイプ試験として接触電流測定法が定義されている。

接地漏えい電流が 10 mA(交流及び直流)を超える電気装置(例えば,可変速駆動システム及び情報技

術装置)は,次の a)d)  の条件を一つ以上満たさなければならない。


44

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a)

保護導体を電源ケーブル又は絶縁ブスバーの構成の一部とし,保護導体の断面積を全長にわたって,

銅導体で 1.5 mm

2

以上とする。

b)

保護導体の断面積を全長にわたって,銅導体で 10 mm

2

以上,アルミニウム導体では 16 mm

2

以上とす

る。

c)

保護導体の断面積が銅導体で 10 mm

2

,アルミニウム導体で 16 mm

2

に満たない部分には,少なくとも

その保護導体と同じ断面積の追加保護導体を布設する。

注記 3  このために,追加保護導体用の接続端子が必要になることもある。

d)

保護導体の導通性が失われるときは,電源を自動遮断する。

電磁妨害による悪影響を防止するため,4.4.2 の要求は二重の保護導体をもつ設備にも適用する。

さらに,PE 端子の近傍に,必要ならば電気装置の銘板上にも,漏えい電流に関する警告ラベルを付けな

ければならない。17.2 b) 1)  に規定する情報には,接地漏えい電流及び外部保護導体の最小断面積に関する

情報を含めなければならない。

8.3 

機能ボンディング 

9.4.3.1

に従って共通導体を接地することによって,絶縁故障による誤作動からの保護を達成できること

がある。

電磁妨害による誤作動を回避するためのボンディングに関しては,4.4.2 を参照。

8.4 

大きな漏えい電流の影響を制限する方策 

漏えい電流が大きい装置(構成品)においては,装置の入力電源を分離巻線をもつ専用の電源変圧器か

ら供給することによって漏えい電流の影響をその装置内だけに制限することができる。この場合,装置の

露出導電性部分及び変圧器の二次巻線の両方を保護ボンディング回路に接続しなければならない。装置と

変圧器二次巻線との間の保護導体は,8.2.7 の要求を一つ以上満たさなければならない。

制御回路及び制御機能 

9.1 

制御回路 

9.1.1 

制御回路電源 

注記 1  9.1 は,手持ち式直接制御装置(3.36 参照)には適用しない。

制御回路用の交流電源は,制御回路用の変圧器から供給しなければならない。その変圧器は,分離巻線

形(複巻)でなければならない。複数の変圧器を用いる場合には,各二次側電圧が同相となるように接続

することが望ましい。

交流電源から変換した直流電源を用いて作動する制御回路の一端が保護ボンディング回路(8.2.1 参照)

に接続される場合は,その制御用直流電源装置へ供給する交流電源は,交流の制御回路に用いる変圧器の

分離巻線から(変圧器を共用して)供給するか,又は別の制御回路用変圧器から供給しなければならない。

注記 2  JIS C 61558-2-17 の分離巻線(複巻)変圧器を用いるスイッチング電源は,この要求事項を

満たす。

電動機始動器(モータスタータ)が一つだけで制御機器の数が 2 個以内の巻上機械においては,制御電

源用変圧器を用いなくてもよい。

注記 3  この例外事項は,例えば,一つの電動機によって上昇及び下降の運動を駆動し上昇位置制限

をもつ小さな巻上機に当てはまる。試験及び/又は保全作業のために,2 個以上の電気的駆

動装置をもつ巻上機械には,その電力回路(動力回路)には給電しない状態で駆動制御回路

だけに給電できる手段を備えることが望ましい。


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9.1.2 

制御回路電圧 

制御回路の公称電圧は,制御回路が正常に機能する値としなければならない。変圧器から供給する電圧

の公称値は,277 V を超えてはならない。

9.1.3 

保護 

制御回路には,7.2.4 及び 7.2.10 による過電流保護を備えなければならない。

9.2 

制御機能 

注記 1  制御機能の安全性に関する側面は,プログラマブル電子技術を用いるものも含め JIS B 

9705-1

JIS B 9961 及び ISO 13849-2 で扱われている。9.4 も参照。

注記 2  9.2 は,制御機能を作動させるために用いる制御機器そのものの要求事項は規定していない。

制御機器の要求事項の例を箇条 10 に示す。

9.2.1 

起動機能 

起動機能は,関連回路に電気を通じることによって作動するものでなければならない(9.2.5.2 参照)

9.2.2 

停止機能 

停止には,次の三つのカテゴリがある。

停止カテゴリ 0:巻上機械のアクチュエータへの電源を即時に遮断することによる停止(すなわち,

非制御停止。3.69 参照)

停止カテゴリ 1:巻上機械のアクチュエータが停止するまで電力を供給し続け,停止が完了したら電

源を遮断する制御停止(3.12 参照)

停止カテゴリ 2:停止完了後も巻上機械のアクチュエータに電力を供給したままにする制御停止

停止機能を安全関連機能として用いる場合は,許容できない制御の逸脱(9.4.4 参照)を防止する方策(例

えば,IEC 61800-5-2 に適合する安全機能をもつ駆動システム)を備えなければならない。

9.2.3 

運転モード 

巻上機械には,その種類及び用途に応じて複数の運転モードを備えるものがある。モード選択によって

危険状態が起こり得る場合は,適切な手段(例えば,キースイッチ,アクセスコード)によって無許可及

び/又は不注意によるモード選択が行われることを防止しなければならない。

モードを選択しただけで巻上機械が運転を開始してはならない。起動にはモード選択とは別の起動操作

を必要としなければならない。

全ての運転モードにおいて,関連する安全機能及び/又は保護方策が有効でなければならない。

選択した運転モードは表示しなければならない(例えば,選択位置が見えるモード選択器,表示灯及び

ディスプレイ画面によって。

9.2.4 

安全防護の中断 

段取り,試験及び保全の作業中に特定の安全機能又は保護方策を中断する手段を設ける必要がある場合

は,そのような手段は予見可能な誤使用(JIS B 9700-1 の 5.3 参照)を考慮に入れて設計しなければならな

い。

実際に安全機能又は保護方策が中断されている間は,次のことによって保護を確実にしなければならな

い。

−  他の全ての運転(制御)モードを作動不能にする。

−  他の関連手段(JIS B 9700-2 の 4.11.9 参照)を用いる。例えば,次に示す手段の幾つかを用いる。

−  ホールド・ツゥ・ラン機器又は類似の制御機器による運転の始動

−  非常停止機器付きの携行式操作盤(用いることが適切ならばイネーブル機器も備える。

。携行式


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操作盤が使用されているときは,可動部の始動はその操作盤だけから可能である。

−  9.2.7.3 による停止機能を指令する機器をもつケーブルレス操作盤(用いることが適切ならばイネ

ーブル機器も備える。

。ケーブルレス操作盤が使用されているときは,可動部の始動はその操作

盤だけから可能である。

−  動きの速度又は力を制限する手段

−  可動範囲を制限する手段

特定の安全機能を中断する場合には,追加の要求事項又は制限事項が個別製品規格に規定されることが

ある。例えば,安定性に劣る特定の巻上機械においては,段取り,試験及び保全作業の間であっても過負

荷保護の中断は許されないことがある。

9.2.5 

運転 

9.2.5.1 

一般事項 

安全な運転のために,必要な安全機能及び/又は保護方策[例えば,インターロック(9.3 参照)

]を設

けなければならない。

巻上機械がどのような理由(例えば,ロックアウト,電源障害,電池交換,ケーブルレス制御における

信号断)で停止した場合でも,停止後に意図しない動き又は予期しない動きを始めることを防止する方策

を備えなければならない。

手動操作の巻上機械の操作には,ホールド・ツゥ・ラン制御又は 2 ポジションイネーブル制御(9.2.6.3

及び 10.9 参照)を用いなければならない。ただし,過走制限装置を備えていて危険状態になるおそれのな

い機上運転室付きの巻上機械はこの限りでない。

同じ駆動系に対して複数の操作盤(例えば,機上運転室及び床上操作盤)をもつ巻上機械においては,

常にただ一つの操作盤だけを有効にしなければならない。非常停止については 9.2.5.4.2 及び 10.7 を参照。

操作盤が有効状態にあるか無効状態にあるかを表示する手段を備えなければならない。

9.2.5.2 

起動 

運転(例えば,動き)の起動は,9.2.4 に規定する特定の場合以外,関連する全ての安全機能及び/又は

保護方策が有効に機能しているときだけ起動が可能となるようにしなければならない。

特定の運転条件(例えば,特殊な動き)に対して安全機能及び/又は保護方策を設けることができない

巻上機械においては,これらの運転の手動操作はホールド・ツゥ・ラン制御(イネーブル機器を併用する

ことが適切である場合はこれも用いる。

)によらなければならない。

正しい順序で起動するように,適切なインターロック機能を設けなければならない。

起動を指令するために複数の操作盤からの指令が必要な巻上機械においては,これらの各操作盤には,

起動専用の手動の制御機器を設けなければならない。起動する条件は,次のとおりでなければならない。

−  巻上機械の運転に必要な要求条件が全て整い,

−  全ての起動制御機器がオフ状態にあり,その状態から

−  全ての起動制御機器を並行操作(3.7 参照)する。

9.2.5.3 

停止 

巻上機械のリスクアセスメント及び機能要求(4.1 参照)に従い,停止カテゴリ 0,停止カテゴリ 1 及び

/又は停止カテゴリ 2 の停止機能(一つ又は複数)を備えなければならない。9.4.1 及び 9.4.4 も参照。

注記  電源断路器及び電源開閉機器(5.3 参照)をオフにしたときには,停止カテゴリ 0 の停止を実行

したことになる。

停止機能は,起動機能に優先(割込み)して作動しなければならない(9.2.5.2 参照)


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必要な場合,保護機器及びインターロック機器を接続する手段を備えなければならない。保護機器及び

インターロックを用いて巻上機械を停止させる場合は,通常,これらの機器の状態を制御システムの論理

回路に伝達する必要がある。停止機能をリセットしたときに危険状態を引き起こしてはならない。

重力又は他の外力(例えば,風力)の影響を受ける可動部に対しては,停止状態に保つことを駆動系に

頼ってはならない。電源を用いない手段(例えば,機械的ブレーキ)によって確実に固定しなければなら

ない。9.3.49.4.3.2 及び 14.7 も参照。

9.2.5.4 

非常操作(非常停止,非常遮断) 

9.2.5.4.1 

一般事項 

この規格は,

附属書 に示す非常操作のうちの非常停止及び非常遮断について規定する。この規格では,

非常停止及び非常遮断は,いずれも人の一度の操作行為によって始動する。

非常停止操作(10.7 参照)又は非常遮断操作(10.8 参照)が一度行われたら,この指令の効果は,指令

を解除するまで持続しなければならない。非常停止指令及び非常遮断指令の解除は,その指令操作を行っ

た場所での手動操作によってだけ可能であるようにしなければならない。停止指令の解除は,再起動可能

な状態にするだけであって,停止指令の解除によって巻上機械が再起動してはならない。

全ての非常停止指令が解除されるまで巻上機械の再起動が可能になってはならない。全ての非常遮断指

令が解除されるまで巻上機械の電源再投入が可能になってはならない。

注記  非常停止及び非常遮断は,補助的な保護方策であり,巻上機械における危険源(例えば,押し

つぶし,衝撃,感電又はやけど)に関する主体的なリスク低減手段ではない(JIS B 9700-1 

び JIS B 9700-2 参照)

9.2.5.4.2 

非常停止 

非常停止用機器の設計原則は,その機能的側面も含めて,JIS B 9703 に規定されている。

巻上機械は,少なくとも駆動装置及び危険状態を招き得るその他の機械アクチュエータを停止させる非

常停止機能を備えなければならない。この非常停止は,停止カテゴリ 0 又は停止カテゴリ 1 の停止として

機能しなければならない。非常停止の停止カテゴリの選択は,巻上機械のリスクアセスメントによって決

定する。

非常停止機能には,停止に対する要求事項(9.2.5.3 参照)に加えて,次の要求事項を適用する。

−  全てのモードにおいて,他の機能及び操作に優先しなければならない。

−  危険状態を引き起こし得る巻上機械アクチュエータの電源を直ちに(停止カテゴリ 0)遮断するか,

又は他の危険源を発生させることなく,できるだけ早く危険な動きを停止する方法(停止カテゴリ 1)

によって制御しなければならない。

−  リセット(非常停止の解除)によって再起動してはならない。

非常停止機能は,

図 に示すように一つ又は複数の開閉機器(すなわち,駆動回路の開閉器,クレーン

スイッチ又はクレーン電源スイッチ)によって実行できる。

9.2.5.4.3 

非常遮断 

非常遮断の機能的側面は,JIS C 60364-5-53 の 536.4 に規定されている。

次の場合には,非常遮断を備えることが望ましい。

−  直接接触(例えば,導体ワイヤ,導体バー,スリップリング機構及び電気作動域内の制御機器との直

接接触)に対する保護が,人体が届かない場所に充電部を取り付けること又はオブスタクルを置くこ

と(6.2.6 参照)だけによって行われている。

−  直接接触以外にも電気による危険源又は被害が発生する可能性がある。


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非常遮断は,関連する入力電源を電気機械的スイッチ(非半導体スイッチ,例えば,クレーン電源スイ

ッチ)によって遮断することによって達成され,この電源に接続されている巻上機械のアクチュエータを

停止カテゴリ 0 で停止させることになる。巻上機械がこの停止カテゴリ 0 の停止を許容できない場合(例

えば,電磁石又は真空揚重機のような装置においては連続した給電が必要になることがある。

)には,他の

方策(例えば,非常遮断を不要にするような直接接触保護)が必要になることがある。

9.2.5.5 

指令した動きの監視 

危険状態を引き起こすおそれのある巻上機械又はその部分の動きは,監視しなければならない。手動制

御の巻上機械の場合には,オペレータがこの監視の一部を担うことができる。オペレータによる監視が期

待できない場合は,走行制限器,電動機の過速度検出,機械的な過負荷検出又は衝突防止機器などの手段

を備える必要がある。

9.2.6 

その他の制御機能 

9.2.6.1 

ホールド・ツゥ・ラン制御 

ホールド・ツゥ・ラン制御は,運転のために制御機器(押しボタンなど)の連続的操作(押し続けるな

ど)を必要とするものでなければならない。

注記 1  ホールド・ツゥ・ラン制御装置の定義は,JIS B 9700-1 の 3.26.3 に次のように記載されてい

る。

“手動制御機器(アクチュエータ)を作動させている間に限り,危険を伴う機械機能の起

動開始指令を出し,かつ,維持する制御装置。

注記 2  ホールド・ツゥ・ラン制御は,両手操作制御機器によって達成することもある。

9.2.6.2 

両手操作制御 

両手操作制御の三つのタイプが JIS B 9712 に規定されている。タイプの選択はリスクアセスメントによ

って決定する。

注記  両手操作制御装置の定義は,JIS B 9712 の 3.1 及び JIS B 9700-1 の 3.26.4 に次のように記載さ

れている。

“これを操作する人だけの保護手段となるものであり,危険な機械機能の起動開始指令を出

し,かつ,維持するために,両手による同時操作(並行操作)を少なくとも必要とする装置。

9.2.6.3 

イネーブル制御 

注記 1  イネーブル装置の定義は,JIS B 9700-1 の 3.26.2 に次のように記載されている。

“起動制御に連携して用いる補足的な手動操作装置であり,連続的に操作するとき,機械

が機能することを許可する(可能にする)

イネーブル制御(10.9 も参照)は,手動による次のような制御機能インターロック

11)

である。

a)

イネーブル操作をしている間は,別の起動制御による機械の運転が可能となる。

b)

イネーブル操作を停止したときは,

−  停止カテゴリ 0 又は停止カテゴリ 1 の停止機能を始動し,

−  巻上機械の運転始動を防止する。

11)

  インターロックには,例えば,次のような方法が用いられる。

−  イネーブル制御装置を操作している間だけイネーブル制御機器の制御接点が閉じる。

−  イネーブル制御機器の制御接点が閉じているときだけ機械の運転指令が有効になる。

イネーブル制御は,例えば,イネーブル機能を一度解除しなければ機械の運転を再開できないようにす

ることなどによって,イネーブル機能を無効化して運転される可能性を最小にしなければならない。簡単


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な手段によってはイネーブル機能の無効化ができないようにすることが望ましい。

イネーブル制御機器のタイプの選択はリスクアセスメントに従って実施しなければならない。

注記 2  3 ポジション式のイネーブル制御機器は,オペレータが硬直状態又はパニック状態になった

ときに用いる利点がある。

9.2.6.4 

起動と停止とを兼ねる制御 

可動部の始動と停止とを交互に指令する押しボタン及び類似機器の使用は,危険状態を招かない運動機

能だけに限らなければならない。

9.2.7 

ケーブルレス制御 

9.2.7.1 

一般事項 

9.2.7

は,巻上機械内の制御系と操作盤との間の指令及び信号の伝送手段にケーブルレス技術(例えば,

電波,赤外線)を用いる制御システムの機能要求事項を規定する。

注記 1  ケーブルレス制御に用いる操作盤を送信機と呼び,巻上機械に実装される部分を受信機と呼

ぶ。受信機は,巻上機械制御系とケーブルレス制御系とのインタフェースになる。

注記 2  ここに述べる用法及びシステムの中には,有線(例えば,同軸,ツイストペア,光ファイバ)

のシリアルデータ通信技術を用いる制御機能に適用できるものもある。

操作盤の電源を,容易に切り離す手段を備えなければならない(9.2.7.3 も参照)

操作盤の無許可使用を防止するための手段(例えば,キースイッチ,アクセスコード)を,必要に応じ

て備えなければならない。無許可使用防止手段が有効になっている間(例えば,キースイッチが抜かれて

いる間)は,操作盤からの信号送信を禁止しなければならない。

各操作盤には,どの巻上機械がその操作盤によって制御されるかを明確に表示しなければならない。

9.2.7.2 

制御の制限 

制御指令には,次のことを保証する方策を用いなければならない。

−  指令が,意図した巻上機械だけに作用する。

−  指令が,意図した機能だけに作用する。

指定の操作盤以外からの信号によって巻上機械が作動しないような方策を備えなければならない。

ケーブルレス制御システムには,次の制御機能を含めなければならない。

−  ケーブルレス操作盤が稼働状態にあることを操作盤上に表示しなければならない。操作盤が稼働状態

になったことによって巻上機械が動きを始めてはならない。

−  受信機は,ケーブルレス操作盤から正しいアドレス及び正しい指令を受信したときだけ巻上機械の制

御系に制御指令を出力しなければならない。

−  個別の製品規格に別の指定がない限り,ケーブルレス操作盤から起動指令だけを含み他の運転指令を

含まない正しい信号フレームを少なくとも 1 回受信するまでは,停止指令を解除してクレーンスイッ

チをオンにしてはならない。

−  巻上機械がどのような状況(例えば,電源故障,電池交換,信号断)で停止した場合にも,可動部が

突然動き出すことを回避するために,オペレータが操作盤アクチュエータをオフ位置に戻してから適

切な時間が経過するまで(すなわち,少なくとも運転指令を含まないフレームを 1 回以上受信するま

で)受信機が巻上機械の動きを伴う運転指令を出力してはならない。

−  クレーンスイッチがオフになっているときは,巻上機械の全ての運転指令出力を禁止しなければなら

ない。


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必要な場合,一つ又は複数の決められた区域又は場所内の操作盤によってだけ巻上機械を制御できるよ

うな手段を備えなければならない。

9.2.7.3 

停止 

ケーブルレス操作盤には,巻上機械の運転停止機能又は危険状態を起こし得る全ての運転の停止を指令

する機能をもち,他の操作機器から分離していて明確に識別できる停止指令用アクチュエータを備えなけ

ればならない。この停止機能を働かせるためのアクチュエータには,非常停止を示すマーキング又はラベ

ルを付けてはならない。停止カテゴリは,リスクアセスメントによって決定し,停止カテゴリ 0 又は停止

カテゴリ 1 としなければならない。停止機能は,全てのモードにおいて全ての機能及び作動に優先しなけ

ればならない。停止機能のリセットによって起動してはならない。

ケーブルレス制御システムにおいて停止機能を実行する部分は,巻上機械の安全関連部とみなされる。

この部分の単一障害によって安全機能が失われないように設計しなければならない。実施することが不適

切でない限り,単一障害は,安全機能の次の作動要求時又は作動要求前に検出しなければならない。

注記  ケーブルレス制御に非常停止用機器を備えることの是非については,IEC/TC44 で検討中であ

る。

停止指令に対するケーブルレス制御システムの応答時間は,550 ms を超えてはならない。

ケーブルレス制御システムは,次の状況においてはクレーンスイッチを遮断することによって自動的に

巻上機械を停止させなければならない。

−  ケーブルレス制御システム内の障害を検出したとき。

− 0.5

s の間有効な信号が受信検出されなかったとき(附属書 参照)。ただし,巻上機械が,ケーブル

レス制御の項目外の事前にプログラムされた作業を危険な状態が発生し得ない状況において実行して

いる場合を除く。この場合には 0.5 s は短すぎるので最大 2 s まで延ばしてもよい。判定時間を延長し

たことによって追加のリスクが生まれないように,巻上機械の予想される使用法を検証しなければな

らない。制御システムの状態監視によって停止機能の始動を保証できる場合には,クレーンスイッチ

の遮断は最大 5 分遅延してもよい。

9.2.7.4 

送信機及び受信機間の通信 

運転中,信号フレームは繰り返し伝送しなければならない。可動部の動きを指令するフレームが正しく

受信される前に制御システムが動きを始動してはならない。伝送フレームには全ての指令項目において必

要な状態信号を含んでいなければならない。

伝送システムは,

フレームの全ビット数を 20 で除したハミング距離が少なくとも 4 以上若しくは同等の

伝送信頼性を確保するか,又はフレームの伝送誤り率が 10

8

以下になるような手段を用いなければならな

い。

注記  IEC 60870-5-1 による誤り検出法を用いることが推奨される。

9.2.7.5 

複数の操作盤の使用 

注記  この規格では,ケーブルレス操作盤と実配線式操作盤との切換え使用は想定しない。

巻上機械の制御に複数のケーブルレス操作盤を用いる場合,同時に操作可能な操作盤は一つだけとなる

ような方策を用いなければならない(ケーブルレスの並行操作は認めない。

。巻上機械のリスクアセスメ

ントによって決まる適切な場所に,どの操作盤が巻上機械を制御しているかを表示しなければならない。

一つの操作盤(送信機)から他の操作盤への有効性の切換えは,使用していた操作盤からクレーンの動

きの停止信号が伝送され,その操作盤の機能が無効になってから切換え可能にしなければならない。新た

な操作盤を有効にするには,そのために特に定めた故意の操作を必要としなければならない。


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ケーブルレス信号が通達可能な空間内で幾つかの送信機・受信機対を用いる場合は,相互に有害な干渉

をしないような方策を備えなければならない。これらの方策は,突然の変化又は意図しない変化の影響を

受けないものでなければならない。

9.2.7.6 

電池電源を用いる操作盤 

電池電源の電圧変動によって危険状態を生じてはならない。幾つかの潜在的に危険な動きを電池電源式

のケーブルレス操作盤で制御する場合は,電池電圧が規定値以下になったときオペレータに明確な警告を

与えなければならない。このような状況下でもケーブルレス操作盤は,巻上機械を危険のない状態にする

ために十分な時間その機能を保持しなければならない。

注記  十分な時間として,通常 10 分程度あれば許容される。

送信機の電池電圧が伝送の信頼性を保証できないレベルまで低下したときは,9.2.7.3 による停止信号を

送信し,その後は電池電圧が回復して送信機が再度立ち上がるまでフレームを送信してはならない。

9.3 

保護インターロック 

9.3.0 

一般事項 

注記 1  保護インターロック機能の安全関連側面は,プログラマブル電子技術を用いるものも含め

JIS B 9700-2

JIS B 9705-1JIS B 9961,及び ISO 13849-2 で扱われている。9.4 も参照。

注記 2  9.3 は,保護インターロック制御機能を実行する機器に対する要求事項は規定しない。このよ

うな要求事項の例は,箇条 10 に示す。

9.3.1 

インターロック付き安全防護物のリセット 

インターロック付き安全防護物をリセット(再閉鎖)したとき,危険状態を招くような巻上機械の運転

が始動してはならない。

注記  起動機能インターロック付きガード(制御式ガード)に関する要求事項は,JIS B 9700-2 の 5.3.2.5

に規定されている。

9.3.2 

作動限界からの逸脱 

巻上機械が,作動限界(例えば,負荷,位置,速度,圧力などの限界)を逸脱して危険状態に至ること

が起こり得る場合には,決められた限界を超える行き過ぎを検出する手段(例えば,位置センサ又はリミ

ットスイッチ)

を備え,

巻上機械のリスクアセスメントで決められた適切な制御を行わなければならない。

行き過ぎ制限機器の作動によって,手動操作の巻上機械の動きが停止したときは,再起動による運動は

逆方向にだけ可能としなければならない。

9.3.3 

補助機能の作動 

補助機能が正しく作動することを,適切な機器(例えば,圧力センサ)によって確認しなければならな

い。

補助機能(例えば,潤滑用の注油,冷却剤供給)に用いる電動機又は機器の不作動が,危険状態を招く

可能性がある場合,又は巻上機械若しくは負荷に損傷を与える可能性がある場合は,適切なインターロッ

ク機能を備えなければならない。

9.3.4 

異なる作動及び相反する動きを防止するインターロック 

巻上機械の構成要素を制御するコンタクタ,リレーその他の制御機器で,同時に作動したときに危険状

態を招くおそれのある(例えば,相反する動きを起こさせる)ものは,このような不正な作動を防止する

インターロックを備えなければならない。

反転制御用コンタクタ(例えば,電動機の回転方向を制御するもの)は,通常運転における切換え時に

回路間の短絡が生じないようにインターロックしなければならない。


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安全のため又は連続運転のために巻上機械の複数の機能を関連付けて作動させる必要がある場合は,適

切なインターロックを備えなければならない。連携して稼働する一群の巻上機械が二つ以上の制御装置を

もつ場合は,制御装置間で必要な協調をとらなければならない。

機械的ブレーキが故障したときにブレーキが効く状態になり,この状態で巻上機械の駆動系に電源が供

給されると危険状態が起こり得る場合は,巻上機械駆動系の電源をオフにするインターロックを備えなけ

ればならない。

巻上機械駆動系に電源が供給されていないときに機械的ブレーキが解除される(緩む)と危険状態が起

こり得る場合は,機械的ブレーキの解除を防止するインターロックを備えなければならない。

9.3.5 

逆相制動 

電動機に逆相制動を用いる場合,制動終了時に電動機が逆転して,危険状態となる可能性又は機械若し

くはつり荷を損傷するおそれがあるときは,制動後の電動機逆回転を防止する対策を実施しなければなら

ない。この目的に,時間だけに関係して作動する機器を用いてはならない。

この要求事項は,自動運転の巻上機械にだけ適用する。

9.3.6 

インバータ駆動(可変周波数駆動) 

インバータ駆動の巻上機械においては,次の安全方策を講じなければならない。

−  制動抵抗器などの発熱が火災などの危険源となる可能性のある場所で用いるものは,延焼を未然に防

止できる構造としなければならない(例えば,発熱源となる制動抵抗器の周囲を不燃物で覆って外部

への延焼を避ける,

又はサーモスタットなどの保護機器を取り付けて異常発生時の通電を遮断する。

−  主回路素子の破損,マイクロプロセッサ及びその周辺回路の故障などに起因するインバータ故障が発

生した場合に,連続通電状態となって過度に発熱することを防止するため,インバータへの供給電源

を確実に遮断する機能を備えなければならない(例えば,クレーンスイッチによって供給電源を遮断

する。

−  トリップ(保護目的の停止)によってインバータの出力がなくなるとき,電動機のトルク喪失による

荷物の落下又は暴走を防止するための措置を講じなければならない(例えば,インバータの出力喪失

を検出して機械式ブレーキを作動させる。

−  保護インターロックによるトリップを回避することによって危険な状態となり得る場合は,故意にト

リップを回避してはならない(例えば,減速時に減速距離が長くなることによって過走による衝突が

起こり得る場合には,過電流トリップを防止するためのストール防止機能を作動させない。

−  トリップのリセットによって巻上機械が危険な状態となり得る場合は,自動的にリセットしてはなら

ない(9.2.5.1 参照。例えば,警報時の再試行機能又は瞬時電圧低下・瞬時停電時の再起動機能を作動

させない。

インバータ駆動の巻上機械においては,次の事項を満足することが望ましい。

−  停止保持は,インバータ制御の制動機能によらず,機械式ブレーキによって行う。

−  周辺機器への電磁妨害の影響を小さくする手段を備える。

−  巻上機械の許容速度を超える運転を防止する手段を備える(例えば,速度指令を誤って過大に入力し

てもインバータの上限周波数制限機能によって許容速度以上となることを回避する。

9.4 

故障時の制御機能 

9.4.1 

一般要求事項 

電気装置内の故障又は干渉妨害が,巻上機械に危険状態を招く可能性又は巻上機械若しくはつり荷を損

傷するおそれがある場合には,そのような故障又は妨害の起こる可能性を最小にするために適切な方策を


53

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実施しなければならない。どのような方策が必要か,どの程度の規模で実施するか,及び個別に実施する

か組み合わせて実施するかは,リスクの大きさによって決定する(4.1 参照)

電気制御回路には,巻上機械のリスクアセスメントによって決定された適切な安全性能レベルが必要で

ある。電気制御回路には,JIS B 9961 及び/又は JIS B 9705-1ISO 13849-2 の要求事項を適用しなければ

ならない。

電気装置の故障によるリスクを軽減する方策には次のものがあるが,これらだけに限定されない。

−  巻上機械の保護機器(例えば,インターロック付きガード,トリップ機器)

−  電気回路の保護インターロック

−  実証された回路技術及び部品(9.4.2.1 参照)の使用

−  部分的若しくは全体的な冗長性(9.4.2.2 参照)又はダイバシティ(9.4.2.3 参照)の採用

−  機能試験(9.4.2.4 参照)のための備え

メモリを電池で保持する場合は,電池の故障又は取外しによって生じる危険状態を防止しなければなら

ない。

無許可又は不注意によるメモリの変更を防止する手段(例えば,キー,アクセスコード又は工具を必要

とするような手段)を備えなければならない。

一般には,単一故障に対して対策する。リスクの高い用途では二つ以上の故障が同時に発生しても危険

状態が起こり得ないようにする必要がある。

9.4.2 

故障時のリスクを最小にする方策 

9.4.2.1 

実証された回路技術及び部品の使用 

この方策には,次のものがあるが,これらだけに限定されない。

−  制御回路を機能接地用保護ボンディング回路に接続する(9.4.3.1 及び

図 参照)。

−  制御機器を 9.4.3.1 に従って接続する。

−  非通電による停止(9.2.2 参照)

−  被制御機器(例えば,リレー,コンタクタ)の制御導体を全て開閉する制御(9.4.3.1 参照)

−  直接開路機構をもつ開閉機器の使用(JIS C 8201-5-1 参照)

−  望ましくない作動を引き起こす故障を低減するような回路設計

−  実証されたパフォーマンスレベル PL(JIS B 9705-1 参照)又は安全インテグリティレベル SIL(JIS B 

9961

参照)をもつ構成品(例えば,プログラマブル電子制御システム)の使用

9.4.2.2 

部分的又は全体的冗長性の採用 

部分的又は全体的冗長性を備えることによって,電気回路の単一故障によって危険状態が生じる可能性

を最小にすることができる。冗長性は,通常運転中に冗長系も作動しているオンライン冗長系にするか,

又は通常運転中に作動している機能が故障したときに初めて冗長系がその機能を引き継いで作動するオフ

ライン冗長系として設計できる。

通常運転中は作動しないオフライン冗長系を採用する場合には,この冗長機能が必要なときに確実に作

動することを保証できる適切な方策を用いなければならない。

9.4.2.3 

ダイバシティ(多様化設計)の採用 

互いに異なる作動原理又は異種類の機器若しくは部品をもつ制御回路を用いることによって,障害及び

/又は故障による危険源を低減することができる。ダイバシティの例としては次のものがある。

−  インターロック付きガードによって作動する常時閉接点及び常時開接点の組合せ使用

−  制御回路内に異なる種類の制御回路部品を用いる。


54

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−  電気機械的(非半導体)回路と電子(半導体)回路とを組み合わせて冗長構成にする。

電気を用いるシステムと電気を用いないシステム(例えば,機械的,液圧,空圧)の組合せによっても

冗長性及びダイバシティを備えることができる。

9.4.2.4 

機能試験のための備え 

必要な機能試験を実施するための手段を備えなければならない(17.2 及び 18.6 も参照)

。機能試験は,

次のように実施する。

−  起動時及び/又はあらかじめ定めた一定間隔で実施する。

−  制御システムによる自動試験,手動試験(検査若しくは試験)

,又は自動試験・手動試験の組合せ

9.4.3 

地絡,瞬時停電及び導通不良による誤作動に対する保護 

9.4.3.1 

地絡 

制御回路の地絡が,予期しない起動及び危険な運動を引き起こす,又は機械の停止を妨げることがあっ

てはならない。

交流電源を用いる制御回路において,

これらの要求事項を満たす方法には次のものがある。

ただし,これらだけに限定されない。

a)

方法 a  制御回路電源を制御用変圧器から給電し,次の 1)  又は 2)  の要求を満たす。

1)

制御回路電源の一端を接地する場合  制御回路の共通導体(接地側)は,制御電源接続点(変圧器

二次側の一端)において保護ボンディング回路に接続する。電磁機器又はその他の機器(例えば,

リレー,表示灯)を制御する全ての接点,半導体素子などは,開閉側(非接地側)の導体と被制御

コイル又は被制御機器の端末との間に接続する。被制御コイル又は被制御機器のもう一方(接地側)

の端末(同じマーキング又は同じ端末側の端子にそろえることが望ましい。

)には開閉素子を接続せ

ず,制御回路電源の共通導体へ直接接続する(

図 の点線で示す接地がある場合を参照)。

例外  保護機器の開閉接点は,次の条件を満たす場合には共通導体とコイルとの間に接続しても

よい。

−  地絡が起きたときは自動的に回路が遮断される。

−  被制御機器までの電源接続線が短いので(例えば,同じエンクロージャ内にあるので)

地絡の可能性が小さい(例えば,過負荷リレーの場合)

2)

制御回路電源の一端を接地しない場合  図 5(点線で示す接地がない場合)に示すように,制御変

圧器から給電するが,制御用電源の一端を保護ボンディング回路に接続しない場合には,地絡発生

時に自動的に回路を遮断する機器を設ける(7.2.4 も参照)

注記 1  巻上機械を安全状態にするために回路を遮断する替わりに絶縁故障表示(通知)を備える

ことでもよい。

b)

方法 b  図 に示すように,中間タップ付き制御変圧器から制御回路に電源を供給し,中間タップを

保護ボンディング回路に接続する場合,

全ての制御回路電源導体を開閉する過電流保護機器を設ける。

注記 2  中間タップが接地された制御回路では,保護回路がなければ一線地絡時にリレーコイルに

50 %の電圧が残り得る。この状態でリレーが保持を続け,巻上機械を停止できないことが

起こり得る。このような場合は,コイル又は機器の両端を開閉する必要がある。過電流保

護機器によって単一地絡を検出する場合は片切りでもよい。

c)

方法 c  制御変圧器を介さずに制御回路電源を供給する場合  次の 1)  又は 2)  のいずれかである場合,

意図しない起動が起こったとき又は停止機能が故障したときに危険状態を招くおそれ,又は機械に損

傷を与えるおそれがある機械機能の起動・停止の制御には,全ての充電導体を開閉する多極制御スイ

ッチを用いる。または,2)  において,地絡時に回路を自動的に遮断する機器を設ける。


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1)

制御回路を,一端が接地された電源の相導体間に直接接続する。

2)

制御回路を,相導体間又は相導体と接地されない中性線との間,又は相導体と高インピーダンスを

介して接地された中性線との間に接続する。

共通導体

過電流保護機器 
7.2.4 参照)

制御電源

開閉側導体

方法 a) 1)の場合の保護
ボンディング接続

図 5−地絡による誤作動に対する保護−方法 a

過電流保護機器 
7.2.4 参照)

制御電源

図 6−地絡による誤作動に対する保護−方法 b

9.4.3.2 

瞬時停電 

7.5

の要求事項を満足しなければならない。

制御システムにメモリ機器を用いる場合には,停電時にもメモリを保護する機能を確保(例えば,不揮

発性メモリを使用)し,危険状態を招くようなメモリ消失を防止しなければならない。

9.4.3.3 

導通不良 

安全関連制御回路に用いるしゅう動接点の接触不良が危険状態を招く可能性がある場合は,適切な方策

(例えば,しゅう動接点の二重化)を用いなければならない。


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9.4.4 

運転制御システムの誤作動に対する保護 

電動機の運転制御システムにおいては,危険状態を招く可能性があり許容できない制御逸脱は自動的に

検出して,電動機への電源供給を停止カテゴリ 0 で遮断し,かつ,機械的ブレーキを作動させて運転を停

止しなければならない(14.7 参照)

エネルギー変換器(例えば,油圧ポンプ,圧縮機など)を用いた油圧又は空圧駆動機構において,エネ

ルギー変換器への電源供給が停止したときは,巻上機械の動きを停止させなければならない。

運転制御システムの構成品内の保護機能(例えば,可変速駆動システム自体の保護を目的にした過電圧

保護機器又は過電流保護機器)の作動によって運転の制御不能又は暴走を招いてはならない。

10 

オペレータインタフェース機器及び巻上機械に取り付けた制御機器 

10.1 

一般事項 

10.1.1 

制御機器に対する一般要求事項 

箇条 10 は,

全体的に又は部分的に制御機器用エンクロージャの外に取り付ける制御機器に対する要求事

項を規定する。

これらの制御機器の選択,取付け,及び識別又はコード化は,可能な限り JIS B 9706 規格群の関連する

部に従わなければならない。

例えば,機器の適切な配置,適切な操作設計,追加保護方策などによって,不注意による誤操作が起こ

る可能性を最小にしなければならない。巻上機械の危険な運転を抑止するために,タッチスクリーン,キ

ーパッド,キーボードなどの操作機器の選択,配列,プログラミング及び使用には特別な考慮を払わなけ

ればならない。JIS C 0447 を参照。

手持ち式直接制御装置(3.36 参照)は,定格が交流 500 V 以下,7.5 kW 以下の巻上機械の制御だけに許

容する。このような装置は,6.3.2.2 による間接接触保護を備えなければならない(9.1.1 も参照)

10.1.2 

配置及び取付け 

巻上機械への制御機器の配置及び取付けにおいては,可能な限り次のことを満足しなければならない。

−  作業及び保全のために容易にアクセスできる。

−  荷役などの作業によって損傷する可能性を最小にする。

手操作の制御機器のアクチュエータの選択及び取付けにおいては,

次のことを満足しなければならない。

−  作業面から 0.6 m 以上の高さにあり,オペレータの通常の作業位置から容易に届く範囲にある。

−  オペレータが,その制御機器を操作するとき,危険状態に置かれない。

足操作の制御機器のアクチュエータの選択及び取付けにおいては,

次のことを満足しなければならない。

−  オペレータが,通常作業位置から容易に操作できる。

−  オペレータが,その制御機器を操作するとき,危険状態に置かれない。

10.1.3 

保護 

保護等級(JIS C 0920 参照)は,他の適切な方策と合わせて次のことに対する保護を達成できるもので

なければならない。

−  周囲にある又は巻上機械で用いる,有害な液体,蒸気又はガスの影響

−  汚染物(例えば,ほこり,微粒子など)の侵入

さらに,オペレータインタフェース用の制御機器は,直接接触に対する保護等級を,少なくとも IPXXD

JIS C 0920 参照)としなければならない。


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10.1.4 

位置センサ 

位置センサ(例えば,ポジションスイッチ,近接スイッチなど)は,可動部が過走した場合にも損傷し

ないように取り付けなければならない。

安全関連制御機能の回路に用いる位置センサは,直接開路動作機構(JIS C 8201-5-1 参照)又は同等の

信頼性をもつものでなければならない(9.4.2 参照)

注記  安全関連制御機能は,巻上機械を安全状態に維持するため,又は危険状態になることを防止す

るために用いられる。

10.1.5 

携行式操作盤及びペンダント形操作盤 

携行式操作盤及びペンダント形操作盤,並びにこれらに用いる制御機器は,衝撃及び振動(例えば,操

作盤の落下又は障害物との衝突)によって,巻上機械が突然に作動する可能性が最小になるように,選択

し配置しなければならない(4.4.8 も参照)

携行式操作盤は,次のことを満足しなければならない。

−  不注意による落下の確率を低減する手段(例えば,ベルト,首ひも)を備えなければならない。

−  次の試験に合格しなければならない。目視できる損傷,誤作動を生じてはならない。

a)

JIS C 60068-2-32

の試験 Ed による自然落下試験

b)  JIS C 60068-2-27

の試験 Ea による衝撃試験

10.2 

押しボタン 

10.2.1 

 

押しボタン形アクチュエータは,

表 によって色分けしなければならない(9.2 及び附属書 も参照)。

起動(オン)用アクチュエータの色は,白,灰色,黒,又は緑とし,白を最優先する。赤を起動に用い

てはならない。

非常停止及び非常遮断用アクチュエータには,赤を用いなければならない。

停止(オフ)用アクチュエータの色は,黒,灰色,又は白とし,黒を最優先する。緑を停止に用いては

ならない。赤は,停止に用いてもよいが,非常用操作機器の近くでは用いないことが望ましい。

起動・停止(オン・オフ)交互切換えの押しボタン形アクチュエータの色は,白,灰色,又は黒を用い

る。赤,黄,緑を用いてはならない(9.2.6 参照)

押している間だけ作動し,離すと作動が停止する(例えば,ホールド・ツゥ・ラン)押しボタン形アク

チュエータの色は,白,灰色,又は黒を用いる。赤,黄,緑を用いてはならない。

リセット押しボタンの色は,青,白,灰色,又は黒としなければならない。それらが停止(オフ)を兼

ねる場合は,白,灰色,又は黒を用い,黒を最優先する。緑を用いてはならない。

白,灰色,黒の中から同じ色を数種の機能に用いる(例えば,白を起動にも停止にも用いる)ときは,

色が同じで機能が異なる押しボタン形アクチュエータの機能を識別する補助手段(例えば,形状,位置,

記号)を用いなければならない。


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表 2−押しボタン形アクチュエータの色及び意味

意味

説明

適用例

非常

危険状態又は非常時の操作に用いる。

非常停止,

非常機能の始動

異常

異常発生時の操作に用いる。

異常状態を抑制するための介入操作。

中断した自動サイクルを再始動するための介入操
作。

強制

必須の操作に用いる。

リセット機能

正常

定常の操作に用いる。

規 定 し
ない。

非常操作以外の操作に用いる(

注記参照)。

起動(オン) 
停止(オフ) 
(起動に用いることを優先)

灰色

起動(オン) 
停止(オフ)

起動(オン) 
停止(オフ)

(停止に用いることを優先)

注記  押しボタン形アクチュエータを識別するための補助手段(例えば,形状,位置,触感)を用いる場合には,

異なる機能に同じ色(白,灰色又は黒)を用いてもよい。例えば,起動(オン)及び停止(オフ)の両方に
白を用いてもよい。

10.2.2 

マーキング 

押しボタンは,16.3 に規定する機能識別に加えて,できるだけアクチュエータ上に直接,又はアクチュ

エータの近傍に,

表 の記号をマーキングすることが望ましい。

表 3−押しボタンの記号

起動(オン)

停止(オフ)

起動・停止(オン・オフ)
交互切換形押しボタン

押すと起動(オン)

,放す

と停止(オフ)の押しボ
タン(すなわち,ホール

ド・ツゥ・ラン)

IEC 60417-5007 

IEC 60417-5008 

IEC 60417-5010 

IEC 60417-5011 

 
 
 

10.3 

表示灯及び表示器 

10.3.1 

一般事項 

表示灯及び表示器は,次の種類の情報を伝達するために用いる。

−  表示:オペレータの注意を引くため又は行動を要求していることを知らせるための表示。

通常,この目的には赤,黄,青及び緑を用いる。点滅表示灯又は点滅表示器については 10.3.3 参照。

−  確認:指令若しくは状態の確認,又は変化若しくは移行が終了したことの確認。

通常,この目的には青及び白を用いる。場合によっては緑を用いてもよい。

表示灯及び表示器は,オペレータの通常の位置から見えるように,選択及び取付けをしなければならな

い(JIS B 9706-1 も参照)

警告表示に用いる表示灯回路には,表示灯の作動テストをする手段を備えなければならない。


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10.3.2 

 

表示灯の色は,巻上機械の状態に応じて

表 に従って色分けしなければならない。ただし,供給者と使

用者との間で別の合意をした場合は,その合意によることができる(

附属書 参照)。

巻上機械上に設ける表示タワーは,上から赤,黄,青,緑,白の順で適用可能な色にすることが望まし

い。

表 4−表示灯の色が意味する巻上機械の状態

意味

説明(巻上機械の状態)

オペレータに求める行動

非常  危険状態

危険な状態への即時対応 
(例えば,危険状態を察知して巻上機械の電
源を遮断する。

異常  異常状態

危険が差し迫った状態

監視及び/又は介入 
(例えば,意図する機能を再立ち上げして。

強制  オペレータの行動を必要とする状態

必須の行動

正常  正常状態

任意

中立  その他の状態。赤,黄,緑,青の使用に

疑問がある場合。

監視

10.3.3 

点滅形の表示灯及び表示器 

より細かい区別又は情報を伝えるために,及び表示の意味を特に強調するために,次の目的に点滅灯及

び点滅表示器を用いてもよい。

−  注意を促す。

−  至急の行動を要求する。

−  指令と実際の状態とが一致していないことを示す。

−  変化が進行中であることを示す(移行中に点滅)

優先度の高い情報には,短い点滅周期を用いることが望ましい(推奨する点滅周期及び点灯/休止の時

間比については,JIS C 0448 を参照)

優先度の高い情報を伝達するために点滅表示灯又は点滅表示器を用いるときは,併せて聴覚による警報

機器を備えることが望ましい。

10.4 

照光式押しボタン 

照光式押しボタンアクチュエータには,

表 及び表 による色分けを用いなければならない。適切な色

を割り付けることが困難な場合には白を用いなければならない。非常停止用アクチュエータの赤は,発光

によって発色するものであってはならない。

10.5 

回転形制御機器 

ポテンショメータ及びロータリスイッチのような回転部のある機器は,固定部が回転しないように取り

付けなければならない。摩擦だけに頼る固定では十分ではない。

10.6 

起動用機器 

巻上機械の起動又は巻上機械要素(例えば,トロリ)の始動に用いるアクチュエータは,不注意による

誤操作が最小になるような構造及び取付けをしなければならない。きのこ形アクチュエータを両手操作制

御に用いることは差し支えない(JIS B 9712 も参照)

10.7 

非常停止用機器 

10.7.1 

非常停止用機器の配置 

非常停止用機器は,容易にアクセスできるように配置しなければならない。


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非常停止用機器は,全ての操作盤,及び非常停止操作を必要とするその他の位置(例えば,保護対策が

実施されていないロープウィンチの近傍)に配置しなければならない(

例外  9.2.7.3 参照)。

固定の(取外しできない)非常停止用機器の機能は,その操作盤が稼働状態にない場合も含めて,常に

有効状態になければならない。

取外し可能な非常停止用機器(例えば,プラグ接続して用いる予備操作盤上のもの)は,非常停止用機

器が有効状態にあるか無効状態にあるかを明確にする手段(例えば,使用上の情報,無効状態にある操作

盤には施錠してアクセスできないようにするなど。

)を備えなければならない。

必要な場合は,巻上機械から離れた場所(例えば,天井走行クレーンの場合,非常停止操作可能な床面

上の場所)にも非常停止用機器を設けなければならない。

停止によって新たな危険源が生まれるおそれのある巻上機械に対しては,全ての動きを非常停止する機

器を床面に設ける必要はない。

例えば,

橋形クレーンでは橋形本体の移動を停止させるだけで十分である。

移動式クレーンでは,床面に非常停止用機器を設ける必要がない場合もある。

10.7.2 

非常停止用機器の種類 

非常停止用機器には,次の種類がある。

−  手のひら形又はきのこ形の頭をもつ押しボタンスイッチ

−  コードを引くことによって作動するスイッチ

−  機械的ガードのないペダルスイッチ

非常停止用機器は,直接開路動作機構形(JIS C 8201-5-1 

附属書 参照)でなければならない。

10.7.3 

アクチュエータの色 

非常停止用機器のアクチュエータの色は赤としなければならない。アクチュエータのすぐ背後の色は黄

としなければならない(JIS B 9703 参照)

10.7.4 

非常遮断に用いるクレーン電源スイッチ及びクレーン断路器の直接操作 

次の場合は,

非常停止の目的にクレーン電源スイッチ及び/又はクレーン断路器を直接操作してもよい。

−  オペレータがすぐにアクセスでき,かつ,

−  5.3.2 の a)b)c)又は d)に示す種類の機器を用いる。

これらの機器を非常停止目的に兼用する場合は,10.7.3 の色の要求を満たさなければならない。

注記  通常,これらの機器はオペレータ操作盤には配置しないので,唯一の非常停止手段にすること

はできない(10.7.1 及び 10.8.1 参照)

10.8 

非常遮断用機器 

10.8.1 

非常遮断用機器の配置 

非常遮断用機器は,直接操作又は遠隔操作できるように,巻上機械付近の容易かつ迅速にアクセスでき

る場所に配置しなければならない。

リスクアセスメントの結果によっては,通常運転中に充電導体が露出している可能性があるその他の場

所にも非常遮断用機器の配置が必要となることがある(9.2.5.4.3 及び 12.7.1 も参照)

通常,非常遮断用機器は操作盤とは別の位置に配置する。操作盤に非常停止用機器及び非常遮断用機器

の両方を設ける必要があるときは,これらが混同されないような対策をしなければならない。

注記  混同防止手段は,例えば,非常遮断用機器に突き破り式の透明エンクロージャを設けることに

よっても可能である。

10.8.2 

非常遮断用機器の種類 

非常遮断用機器には,次の種類がある。


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−  手のひら形又はきのこ形の頭をもつ押しボタンスイッチ

−  コードを引くことによって作動するスイッチ

非常遮断用機器は,強制開路動作機構形(JIS C 8201-5-1 

附属書 参照)でなければならない。

押しボタンスイッチは,突き破り式の透明エンクロージャの中に入れてもよい。

10.8.3 

アクチュエータの色 

非常遮断用機器のアクチュエータの色は,赤としなければならない。アクチュエータのすぐ背後の色は

黄としなければならない。

非常停止用機器と非常遮断用機器とを使用者が混同するおそれがあるときは,

混同を最小にする手段

(例

えば,異なる形状にするなど。

)を用いなければならない。

10.8.4 

非常遮断に用いるクレーン電源スイッチ及びクレーン断路器の直接操作 

クレーン電源スイッチ又はクレーン断路器を直接操作して非常遮断する場合には,これらに容易にアク

セスできるようにしなければならない。アクチュエータの色は,10.8.3 の規定によることが望ましい。

クレーン断路器は,非常遮断にも用いる場合は十分な遮断容量をもたなければならない。

10.9 

イネーブル制御機器 

イネーブル制御機器をシステムの一部として用いる場合は,イネーブル制御機器アクチュエータのただ

一つの位置においてだけ運転が許されるようにしなければならない。アクチュエータが他の位置にある場

合は,運転が停止するか又は運転できないようにしなければならない。

イネーブル制御機器は,バイパス(無効化)の可能性が最小になるように選定しシステムに組み入れな

ければならない。

イネーブル制御機器には,次の特徴をもつものを選定しなければならい。

−  人間工学原則に基づいて設計されている。

−  2 ポジションタイプのものは,次による。

・  ポジション 1(アクチュエータが操作されていない状態)

:オフ(非イネーブル)

・  ポジション 2(アクチュエータが操作されている状態)

:オン(イネーブル)

−  3 ポジションタイプのものは,次による。

・  ポジション 1(アクチュエータが操作されていない状態)

:オフ(非イネーブル)

・  ポジション 2(アクチュエータがポジション 1 から中間位置まで移動した状態)

:オン(イネーブル)

・  ポジション 3(アクチュエータが中間点を越えた位置にある状態)

:オフ(非イネーブル)

・  ポジション 3 からポジション 2 に戻ったときは,イネーブル機能は作動しない。

注記  イネーブル制御機能については,9.2.6.3 も参照。

11 

制御装置の配置,取付け及びエンクロージャ 

11.1 

一般要求事項 

全ての制御装置は,次のことが確保されるように配置し,取り付けなければならない。

−  アクセス性及び保全性

−  機械を運転する環境の影響又は条件からの保護

−  巻上機械及び関連装置の運転及び保全

11.2 

配置及び取付け 

11.2.1 

アクセス性及び保全性 

制御装置の全ての部品は,それらの部品又は配線を取り外さずに識別できるような位置及び向きに配置


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しなければならない。部品の作動確認又は交換が必要となる場合は,他の装置及び部品を取り外さずに(扉

の開放,カバー,バリア又はオブスタクルの取外しは除外)確認及び交換を行えることが望ましい。端子

(構成品又は機器自体についている端子以外のもの)も,これらの要求事項に従わなければならない。

全ての制御装置は,操作及び保全を前面から容易に行えるように取り付けなければならない。機器の調

整,保全又は取外しのために特殊な工具を必要とする場合は,その工具を備えなければならない。定期保

全又は調整のためにアクセスを必要とする機器は,作業面から 0.4∼2 m の高さに取り付けなければならな

い。端子は,作業面から 0.2 m 以上の高さで,導体又はケーブルを容易に接続できる位置に配置すること

が望ましい。

操作,表示,測定及び冷却以外の用途に用いる機器は,制御装置の扉及び通常取外し可能なカバーに取

り付けてはならない。制御機器をプラグイン形式で接続する場合は,受け側との対応関係を,種類(形状)

マーキング,略号又はこれらの組合せによって明確にしなければならない(13.4.5 参照)

通常の運転において抜き差しするプラグイン形式の機器は,互換性がなく,受け側との対応を誤ると機

能が正しく作動しない場合は,誤挿入防止手段を備えなければならない。

通常の運転において抜き差しするプラグ・ソケット対は,アクセスを妨げるものがない位置に取り付け

なければならない。

試験装置を接続するための試験用端子を設ける場合は,次のように実施しなければならない。

−  端子へのアクセスを妨げるものがないように取り付ける。

−  関連文書と対応する識別を明示する(17.3 参照)

−  適切に絶縁する。

−  試験装置を接続するための十分な空間的余裕をとる。

11.2.2 

隔離又はグループ分け 

制御装置を収納するエンクロージャの中には,電気装置と直接関係ない非電気的な部品及び機器を配置

してはならない。電磁弁のような機器は,他の電気装置から隔離する(例えば,別の区画に配置する)こ

とが望ましい。

入力電源だけに接続する機器,又は入力電源及び制御電源の両方に接続する機器を,制御電源だけに接

続する機器と同じ場所に取り付ける場合は,

これらをグループ分けし分離して取り付けなければならない。

端子は,次のグループに分けなければならない。

−  電力回路(動力回路)

−  互いに関連する制御回路

−  外部電源で作動する他の制御回路(例えば,インターロック回路)

各グループが容易に(例えば,マーキング,寸法の違い,隔壁,色などによって)識別できるときは,

グループを隣接して取り付けてもよい。

制御機器(機器間配線を含む。

)の配置においては,物理的環境条件又は外部からの影響を考慮して,そ

の機器の供給者が定める空間距離及び沿面距離を確保しなければならない。

11.2.3 

発熱の影響 

発熱する構成部品(例えば,放熱器,電力用抵抗器)は,周囲の各部品の温度上昇が許容値以内に収ま

るように配置しなければならない。

電気装置において人が触れる可能性のある部分の温度は,次の表に示す限度値を超えてはならない。限

度値を超えそうな部分は,意図しない接触を防止する保護手段を備えるか,又は 16.2.2 によるマーキング

を実施しなければならない。


63

B 9960-32

:2011

触れることができる部分

触れることができる表面の材質

最高温度

手に持ち操作するもの

金属

非金属

55 
65

手で持たないが,意図的に
接触する部分

金属

非金属

70 
80

通常使用時に接触する必要
のない部分

金属

非金属

80 
90

注記  この表は,JIS C 60364-4-42 の表 42A からの引用である。

巻上機械周辺の温度を過度に上昇させないように配慮しなければならない(例えば,ほこりの多い環境

において,又は巻上機械が引火しやすい物質の近くに停止したとき,可変速駆動システムのブレーキ抵抗

が火災を招く可能性などに配慮する。

注記  例えば,交流可変速駆動システムに用いる(ブレーキ)抵抗は,通常,温度警報又は他の保護

方策を必要とする。

11.3 

保護等級 

外部からの固形異物及び液体の侵入に対する制御装置の保護等級は,巻上機械の意図する運転環境(す

なわち,設置場所,物理的環境条件)における外部からの影響に対して適切でなければならない。ほこり

及び冷却剤に対しても十分に保護できるものでなければならない。

注記 1  感電に対する保護は,箇条 で規定している。

注記 2  水の侵入に対する保護等級は,JIS C 0920 に規定されている。水以外の液体に対しては,追

加の保護手段が必要となることがある。

制御装置のエンクロージャは,少なくとも IP2X(JIS C 0920 参照)の保護等級をもつものでなければな

らない。

例外  次の a)  及び b)  の場合は,例外とする。

a)

電気作動域が固体及び液体の侵入に対する適切な保護等級をもつ保護エンクロージャと一

体化されているとき。

b)

導体ワイヤ及び導体バーシステムにおいて引離し式集電子を用いる場合で,IP2X は達成で

きないが 6.2.5 の手段を適用するとき。

注記 3  エンクロージャの代表的保護等級の例を次に示す。電気装置を設置する場所の条件によって

は,他の保護等級が適切となることもある。

−  電動機始動用抵抗器及び大形装置だけを収納する換気式エンクロージャ IP10

−  その他の装置を収納する換気式エンクロージャ IP32

−  一般産業用エンクロージャ IP32,IP43 及び IP54

−  (ホースによる)低圧の洗浄水がかかる場所で用いるエンクロージャ IP55

−  細かい粉じんに対して保護するエンクロージャ IP65

−  スリップリング機構を収納するエンクロージャ IP2X

11.4 

エンクロージャ,扉及び開口部 

制御装置のエンクロージャは,通常使用状態における機械的,電気的及び熱的ストレス,並びに湿度及

び他の環境要因の影響に耐える材料を用いて構成しなければならない。

扉及びカバーの止め金具は,脱落防止形にすることが望ましい。内部に取り付けた表示機器を見るため

の窓の材料は,機械的及び化学的強度をもつもの(例えば,強化ガラス,厚さ 3 mm 以上のポリカーボネ


64

B 9960-32

:2011

ート板)でなければならない。

制御装置エンクロージャの扉は,幅を 0.9 m 以下とし,95°以上開く垂直丁番付きとすることが望まし

い。

扉,蓋及びカバー並びにエンクロージャに用いる継手又はガスケットは,巻上機械の環境(

附属書 

照)に存在する有害な液体,蒸気又はガスの化学作用に耐えるものでなければならない。運転時又は保全

時に,開く又は取り外す必要がある扉,蓋及びカバーの保護等級を確保するために用いる手段(ガスケッ

ト類)は,次による。

−  扉,カバー又はエンクロージャに,堅固に取り付ける。

−  扉,カバーの取外し又は交換によって劣化せず,保護等級が低下しない。

エンクロージャに開口部(例えば,通線口)を設ける場合は,その開口部が床若しくは基礎に面するも

の又は機械の他の部分に通じるものである場合も含め,エンクロージャがその装置に必要な保護等級を満

足するような手段を用いなければならない。ケーブル引込み用の開口部は,現場で容易に開けられるもの

でなければならない。巻上機械内のエンクロージャの底部には,結露による凝縮液の排出に適する開口部

を設けてもよい。

電気装置を収納するエンクロージャと,冷却剤,潤滑油及び作動油が入っている区画との間,又は油,

液体及びほこりが侵入するおそれがある区画との間には,開口部を設けてはならない。この要求は,特に

油中で作動するように設計した電気機器(例えば,電磁クラッチ)

,又は冷却剤を用いる電気装置には適用

しない。

エンクロージャに取付穴がある場合,取付け後それらの穴が必要な保護を損なわないようにする手段が

必要になることもある。

発熱する機器又は部品の表面温度が,正常作動時又は異常作動時にエンクロージャ材に発火又は有害な

影響を招く値に達するおそれがある場合には,これらの発熱部品類の配置及び取付けは,次のように実施

しなければならない。

−  発熱による温度に耐え,火災及び有害な影響を起こさないエンクロージャ内に設置する。

−  熱が安全に放散するように,隣接する機器から十分離して配置する(11.2.3 参照)

−  部品類の発熱に耐え,発火及び有害な影響を起こさない材料によって仕切りをする。

注記  16.2.2 による警告ラベルを付けることが必要な場合もある。

11.5 

開閉装置及び制御装置へのアクセス性 

11.5.1 

一般事項 

開閉装置及び制御装置の前面及び装置相互間のアクセス用空間は,電気装置の操作及び保全作業を行う

ために十分なものでなければならない。最小寸法は,11.5.2 及び 11.5.3 に規定する。

端子及び保全作業の必要性が極めて少ない部品(例えば,抵抗)だけを収容するエンクロージャは,リ

スクアセスメントの結果によっては 11.5 に適合しなくてもよい。

11.5.2 

歩道へのアクセス 

運転及び保全のための歩道の長さが 20 m 以上の場合は,両側から出入りできるようにしなければなら

ない。20 m 未満であっても,6 m を超える場合には,両側から出入りできることが望ましい。

全身が入る電気作動域に歩道からアクセスするための扉は,次の条件を満足しなければならない。

−  幅 0.7 m 以上,高さ 2.0 m 以上

−  外側に開く構造

−  鍵又は工具を用いずに内部から扉を開ける手段(例えば,パニックボルト)を備える。


65

B 9960-32

:2011

−  扉を全開できる空間を設ける。

注記  クレーン等安全規則第 14 条では,歩道の幅は 600 mm 以上で,例外として建設物の柱に接する

部分は 400 mm 以上と規定している。

11.5.3 

開閉装置及び制御装置前面の歩道空間 

開閉装置及び制御装置前面には 0.6 m の無障害幅を確保しなければならない。扉の前には全開した扉の

最前部から 0.4 m の無障害幅を確保しなければならない。

例えば,再設定,調整又は保全作業のために全身を入れてアクセスするエンクロージャ内の制御装置前

面には,少なくとも幅 0.7 m,高さ 2.0 m の無障害空間を確保しなければならない。

次の場合には,少なくとも 1.0 m の無障害幅を確保しなければならない。このような部分が歩道の両側

に存在する場合は,少なくとも 1.5 m の無障害幅を確保しなければならない。

−  アクセス中に装置が充電される可能性があり,かつ,

−  導電部が露出している。

11.5.4 

歩道及び扉の縮小 

例えば,隔壁を補強するために,歩道及び/又は扉の寸法を局部的に縮小しなければならないときは,

無障害高を 1.8 m

12)

[走行クレーンの天がいの高さは 1.5 m

12)

,無障害幅を 0.6 m まで縮小してもよい。

注記  充電部への不注意による接触を防止するために歩道に沿って設ける保護手段が,この縮小区域

の近傍で十分に機能しない場合は,追加の手段が必要となることがある(6.2 参照)

12)

  これらの制限値は,クレーン等安全規則(平成 18 年 1 月 5 日厚生労働省令第 1 号)第 13 条に

よる(対応国際規格 IEC 60204-32:2008 では 1.4 m まで縮小を許容する。

12 

導体(電線)及びケーブル 

12.1 

一般要求事項 

導体(電線)及びケーブルは,使用条件(例えば,電圧,電流,感電保護,ケーブルの密集度)及び外

部から受ける影響(例えば,周囲温度,水又は腐食物質の存在,布設時に加わるものを含む機械的応力,

火災の危険)に対して適切なものを選択しなければならない。

注記  更に詳しい情報は,CENELEC HD 516 S2(低電圧用ケーブル使用法のガイド)を参照。

これらの要求事項は,関連する日本工業規格又は IEC 規格(例えば,IEC 60439-1)に従って製造・試

験されたアセンブリ及び機器の内部配線には適用しない。

屋外(例えば,建物又は他の防護構造物の外)で使用する巻上機械には,屋外用途に適するケーブル(例

えば,耐紫外線特性をもつもの,適切な使用温度範囲のもの)を用いるか,又はケーブルを適切に保護し

て用いなければならない。

12.2 

導体 

一般に,銅導体を用いなければならない。アルミニウム導体を用いる場合は,断面積を 16 mm

2

以上と

しなければならない。

導体の断面積は,適切な機械的強度を確保するために,

表 に示す値未満であってはならない。ただし,

表 に示す値未満の断面積又は表 に示されていない構造をもつ導体であっても,適切な機械的強度が他

の手段によって確保され,適切に機能する場合は用いてもよい。

導体のクラス分けを

表 に示す。


66

B 9960-32

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表 5−銅導体の最小断面積

単位  mm

2

布設場所

用途

導体及びケーブルの種類

単心

多心

可とう性

クラス 5

又は

クラス 6

非可とう性

単線

(クラス 1)

又は

より(撚)線

(クラス 2)

2 心 
シールド付き

2 心 
シールドなし

3 心以上 
シ ー ル ド 付 き
又は 
シールドなし

保護エンク

ロージャ外
の配線

動力回路

(固定)

1.0 1.5 0.75 0.75 0.75

動力回路(頻

繁に動く)

1.0

− 0.75

0.75

0.75

制御回路 1.0 1.0 0.2 0.5 0.2

データ通信

− 0.08

エンクロー

ジャ内の配

a)

動力回路

(固定)

0.75 0.75 0.75 0.75 0.75

制御回路 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2

データ通信

− 0.08

a)

  個別製品規格に特別の要求事項がある場合を除く。12.1 も参照。

表 6−導体のクラス分け

クラス

仕様

用途

1

銅又はアルミニウムの単線

固定据付け品

2

銅又はアルミニウムのより(撚)線

5

可とう性のある銅のより(撚)線 

振動のある固定据付け機械用, 
可動部への接続用 
 
頻繁に運動する機械装置用

6

可とう性のある銅のより(撚)線(ク
ラス 5 より更に可とう性が高い。

注記  この表の内容は,JIS C 3664 からの引用である。

クラス 1 及びクラス 2 の導体は,主として堅固な非可動部間に用いるが,断面積が 0.5 mm

2

より小さい

場合には頻度の少ない曲げが発生する所に用いてもよい。高頻度で(例えば,運転中 1 時間に 1 回)動く

導体は全て,クラス 5 又はクラス 6 の可とうより(撚)線でなければならない。

12.3 

絶縁被覆 

絶縁被覆の種類には,例えば,次のものがある。

−  ポリ塩化ビニル(PVC)

−  天然ゴム及び合成ゴム

−  シリコンゴム(SiR)

−  無機材料

−  架橋ポリエチレン(XLPE)

−  エチレンプロピレン化合物(EPR)

導体及びケーブルの絶縁被覆(例えば,PVC)が,延焼,又は毒性若しくは腐食性煙霧を発生すること

によって危険源となる可能性がある場合は,ケーブル供給者の指示を求めることが望ましい。安全関連機

能をもつ回路のインテグリティ(JIS B 9961 参照)に特に注意することが重要である。

ケーブル及び導体の絶縁被覆は,次の耐電圧試験に適応するものでなければならない。


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−  使用電圧が交流 50 V 又は直流 120 V を超えるケーブルは,最低 2 000 V の交流試験電圧で 5 分間

− PELV 回路の場合は,交流 500 V,5 分間(クラス III 装置に対する JIS C 60364-4-41 の 411.1.5.1 を参

照)

絶縁被覆は,運転中又は布設中,特にケーブルをダクトに引き込むとき,絶縁を損なわないような機械

的強度及び厚さをもつものでなければならない。

注記  ケーブル選定時には,電圧・電流の波形の影響を考慮に入れることが望ましい。例えば,可変

速駆動システムは電動機ケーブルにかかる電圧ストレスを増大させることがある(IEC 61800

規格群参照)

12.4 

定常使用時の電流容量 

電流容量は,絶縁材料,ケーブル内の導体数,シース設計,布設方法,ケーブル布設の密集度,周囲温

度などの幾つかの要因に依存する。

注記 1  更に詳細な情報及び指針は,JIS C 60364-5-52,他の国内規格,又は製造業者から得られる。

PVC 絶縁導体の,エンクロージャ間及び部品間の布設方法に対応する定常状態電流容量の典型例を表 7

に示す。

JIS C 3307

に規定する 600 V ビニル電線の公称断面積及び布設条件に対する許容電流を

附属書 JB に示

す。

表 7PVC 絶縁銅導体及びケーブルの異なる布設方法における定常電流容量(I

z

)の例 

(周囲温度 40  ℃時)

断面積

(mm

2

布設方法(C.1.2 参照)

B1 B2  C  E

3 相回路の電流容量  I

z

(A)

0.75 
1.0 
1.5 
2.5 

6

10 
16 
25 
35 
50 
70 
95

120

8.6

10.3 
13.5 
18.3 
24 
31 
44 
59 
77 
96

117

149 
180 
208

8.5

10.1 
13.1 
17.4 
23 
30 
40 
54 
70 
86

103 
130 
156 
179

9.8

11.7

15.2 
21 
28 
36 
50 
66 
84

104 
125 
160 
194 
225

10.4 
12.4 
16.1 
22 
30 
37 
52 
70 
88

110

133 
171 
207 
240

電子回路用(ペア線)

0.20 
0.5 
0.75

適用外 
適用外 
適用外

4.3 
7.5 
9.0

4.4 
7.5 
9.5

4.4 
7.8

10

注記 1  表 の電流容量は,次に基づくものである。

−  断面積が 0.75 mm

2

以上の平衡負荷電流を流す 3 相交流ケーブルの単独布設

−  断面積が 0.2∼0.75 mm

2

の電子制御回路用ペア線の単独布設

負荷電流が流れるケーブル及びペア線を密集布設する場合は,

表 の値を補正し

なければならない(

表 C.2 又は表 C.3 を参照)。

注記 2  周囲温度が 40  ℃と異なる場合には補正する(表 C.1 参照)。 
注記 3  この表の値は,ドラムに巻く可とうケーブルには適用しない(12.6.3 参照)。 
注記 4  その他のケーブルの電流容量については,JIS C 60364-5-52 を参照。


68

B 9960-32

:2011

注記 2  正しいケーブルサイズの決定に負荷サイクルとケーブルの熱時定数とが関係するような特定

の用途(例えば,慣性の大きい負荷の始動,間欠負荷運転)に対してはケーブル製造業者に

相談することが望ましい。間欠負荷用のケーブル選定のための情報がケーブル製造業者から

得られない場合は,

附属書 を用いてもよい。

12.5 

電圧降下 

クレーン電源スイッチから電動機までの電圧降下,又はコンバータ駆動の電動機の場合にコンバータの

入力端までの電圧降下は,通常の運転条件では公称電圧の 5 %を超えてはならない。この要求を満足する

ために

表 から導いた値よりも大きな断面積の導体が必要となる場合もある。

注記  複数の駆動系が負荷として接続されている場合,詳細情報がないときは,最大容量の駆動系の

起動電流値と 2 番目に大きい容量の駆動系の定格電流値を用いて電圧降下を計算してもよい。

共通の電源に 2 台以上の巻上機械を接続する場合は,実績に応じた換算係数を用いて電圧降下

を計算してもよい。

12.6 

可とうケーブル 

12.6.1 

一般事項 

可とうケーブルは,クラス 5 又はクラス 6 の導体を用いたものでなければならない。

注記 1  クラス 6 の導体は,クラス 5 の導体より素線の径が小さく,可とう性がクラス 5 より高い(表

6

参照)

過酷な条件で用いるケーブルは,次のことに対する保護構造をもつものでなければならない。

−  ケーブルに力を加えるような扱い,及び粗い表面を引きずることによる摩耗

−  ガイドなしで用いるときのキンク

−  ケーブルドラムへの巻付け・巻戻しのときにガイドローラ及び強制ガイドから生じる応力

注記 2  強い引張り,曲げ半径の小さい曲げ,異なる平面への曲げなどの不利な運転条件及び/又は

これらの頻繁な繰返しは,ケーブルの耐用寿命を短くする。

12.6.2 

機械的定格 

巻上機械のケーブルを扱う手段(巻取り,引出しなど)は,機械の運転中に導体の引張応力をできるだ

け小さく保つように設計しなければならない。銅導体を用いる場合には,引張応力は,銅の断面積に対し

て 15 N/mm

2

を超えてはならない。使用時の引張応力が,15 N/mm

2

を超える場合には特殊構造のケーブル

を用いるものとし,その最大使用引張強度についてケーブル製造業者の同意を得ることが望ましい。

銅以外の材質の可とうケーブルにおいては,使用時に加わる最大応力をそのケーブル製造業者が定める

許容値内にしなければならない。

注記  導体の引張応力に影響する要素には,次のものがある。

−  加速力

−  運動速度

−  ケーブルの垂れ下り荷重

−  ガイドの方法

−  ケーブルドラムシステムの設計

12.6.3 

ドラムに巻いたケーブルの電流容量 

ドラムに巻いて用いるケーブルは,完全にドラムに巻いた状態で正規の負荷電流を流したとき,導体温

度が最高許容値を超えないような導体断面積をもつものを選定しなければならない。

ドラムに巻かれた円形断面ケーブルの許容電流は,

表 によって自由大気中の最大電流容量から低減す


69

B 9960-32

:2011

ることが望ましい。

注記  自由大気中のケーブルの電流容量は,製造業者仕様又は関連規格から得られる。

表 8−ドラムに巻いたケーブルの許容電流低減係数

ドラムの種類

ケーブル層の数

任意

1 2 3 4

円筒状  換気式

−  0.85 0.65 0.45 0.35

放射状  換気式 0.85  −

放射状  非換気式 0.75

注記 1  放射状ドラムは,狭い間隔のフランジ間にケーブルのら旋層を収容するものである。通気孔なしフ

ランジを用いたものを非換気式といい,フランジに適度の通気孔があるものを換気式という。

注記 2  円筒状換気式ドラムは,広い間隔をもつフランジ間にケーブル層を収容し,かつ,円筒及び端部フ

ランジに通気機能があるものをいう。

注記 3  低減係数については,ケーブル及びケーブルドラム製造業者と協議することが望ましい。協議によ

ってこの表以外の係数を用いることもできる。

12.7 

導体ワイヤ,導体バー及びスリップリング機構 

12.7.1 

直接接触に対する保護 

導体ワイヤ,導体バー及びスリップリング機構は,巻上機械に普通に(例えば,クレーン軌道又はクレ

ーンガーダに沿う歩道を通って)アクセスするとき,次の保護方策のいずれかによって直接接触に対する

保護が達成されるように据付け又は収納をしなければならない。

−  充電部の部分的絶縁による保護(この方法を優先する。

−  保護等級が少なくとも IPXXB 又は IP2X のエンクロージャ又はバリアによる保護(JIS C 60364-4-41

の A.2 参照)

容易にアクセスできるバリア及びエンクロージャの水平上面は,少なくとも IPXXD 又は IP4X の保護等

級としなければならない。

要求される保護等級を達成できない場合は,次のいずれかの追加保護方策を適用しなければならない。

a)

充電部を人の届かない場所に配置することと 9.2.5.4.3 による非常遮断(JIS C 60364-4-41 の B.3 参照)

との組合せによる保護

b)  a)

を実施できない場合は,

図 7a,図 7b 及び図 7c に示す腕の到達範囲(JIS B 9707 による。)内に充電

部を置かないことによる保護。この方策は,熟練電気技術者又は電気作業員だけがアクセスできる場

所,及び特別の条件がある場所(例えば,鉄鋼熱間圧延ライン,化学プラント)において適用するこ

とを意図したものである。

注記  保護のない導体ワイヤ及び導体バーの上部に配置するオブスタクルの例としてはガードレール

及び金網がある。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


70

B 9960-32

:2011

単位  mm

図 7a  巻上装置のレールの中心からガーダ端までの距離が 300 mm 未満の場合の腕の到達限界 

単位  mm

図 7b  巻上装置のレールの中心からガーダ端まで 300 mm 以上ある場合の腕の到達限界

単位  mm

図 7c  追加のオブスタクルを用いる場合の腕の到達限界

図 7−腕の到達限界 

レール

人が立つ面

レール

人が立つ面

レール

人が立つ面

追加のオブ 
スタクル


71

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:2011

導体ワイヤ及び導体バーは,次のように配置し,保護しなければならない。

−  プルコードスイッチのコード,張力軽減機器,ドライブチェーンなどの導電体が接触することを防止

する。保護されていない導体ワイヤ及び導体バーには特に配慮する。

−  振れるつり荷と接触して損傷することを防止する。

−  直流 750 V 以下又は交流 600 V 以下のトロリ線は,

クレーンガーダの歩道又はクレーンに設ける階段,

はしご若しくは点検台(トロリ線専用点検台を除く。

)の上方 2.3 m 未満,かつ,側方 1.2 m 未満の位

置に設けてはならない。ただし,トロリ線に囲い又は絶縁覆いがある場合を除く[厚生労働省のクレ

ーン構造規格

13)

  による。]。

13)

  労働安全衛生法第 37 条第 2 項及び第 42 条の規定に基づき厚生労働大臣が定めたクレーン構

造規格をいう(平成 15 年 12 月 19 日の厚生労働省告示番号は第 399 号)

−  直流 750 V 又は交流 600 V を超えるトロリ線は専用のピット又はダクト内に納めなければならない。

ただし,

トロリ線に囲い又は絶縁覆いがある場合を除く

[厚生労働省のクレーン構造規格

13)

  による。]。

導体ワイヤ及び導体バーのために設けた保護(保護等級)が有効に機能しない場合(例えば,集電子の

近傍)には,追加の保護手段(例えば,追加のオブスタクル)を備えなければならない。

異なるクレーン断路器回路を導体ワイヤ,導体バー及びスリップリング機構を介して配線する場合は,

各回路を直接接触に対し少なくとも IP2X 又は IPXXB の保護等級で保護しなければならない。

12.7.2 

保護導体回路 

導体ワイヤ,導体バー及びスリップリング機構を保護ボンディング回路の一部として用いる場合は,定

常運転中これらに電流を流してはならない。保護導体(PE)は,中性線(N)とは別の導体ワイヤ,導体

バー又はスリップリング機構で構成しなければならない。しゅう動接点を用いる保護導体回路は,適切な

方策(例えば,集電子の二重化,導通性監視)によって導通を確実にしなければならない。

12.7.3 

保護導体用の集電子 

保護導体用の集電子は,他の集電子と異なる(互換性のない)形又は構造でなければならない。保護導

体用の集電子は,しゅう動接点式でなければならない。

12.7.4 

断路機能をもつ引離し式集電子 

断路機能をもつ引離し式集電子は,充電部の断路が完了してから保護導体回路が切り離され,充電部が

接続される前に保護導体回路の導通が確立するように設計しなければならない(8.2.4 参照)

12.7.5 

空間距離 

各導体間及び隣接するシステム(導体ワイヤ,導体バー,スリップリング機構及びその集電子)間の空

間距離は,少なくとも JIS C 60664-1 による過電圧カテゴリ III に対応する定格インパルス電圧に適合する

ものでなければならない。

12.7.6 

沿面距離 

各導体間及び隣接するシステム(導体ワイヤ,導体バー,スリップリング機構及びその集電子)間の沿

面距離は,意図する環境(JIS C 60664-1 の 4.6 参照)における作動に適するものでなければならない。

注記  汚損度 3 の環境で正常に作動するように設計された機器は,ほとんどの環境内の運転に適する。

ほこりが異常に多い,又は湿気,腐食性が異常に高い環境においては,次の沿面距離を適用する。

−  保護されていない導体ワイヤ,導体バー及びスリップリング機構は,最小沿面距離 60 mm の絶縁体を

備えなければならない。

−  エンクロージャで保護されている導体ワイヤ,絶縁された多極及び単極の導体バーは,最小沿面距離

30 mm をもたなければならない。


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好ましくない周囲条件(例えば,導電性のほこりの集積,化学作用)によって徐々に絶縁値が減少する

ことを防止する特別な方策に関しては,製造業者に意見を求めなければならない。

12.7.7 

導体システムの分割 

導体ワイヤ又は導体バーを,幾つかの分離した区画に分割して配置する場合は,集電子自体が隣接区画

を充電することを防止するように適切な設計をしなければならない。

12.7.8 

導体ワイヤ,導体バーシステム及びスリップリング機構の構造及び据付け 

電力回路に用いる導体ワイヤ,導体バー及びスリップリング機構は,制御回路に用いる導体とは別のグ

ループにまとめなければならない。

導体ワイヤ,導体バー及びスリップリング機構は,短絡電流による作用力及び熱の影響に耐えなければ

ならない。損傷を受けることがあってはならない。

地下又は床下に設置する導体ワイヤ及び導体バーシステムのための取外し可能なカバーは,工具を用い

なければ一人で開けることができない設計にしなければならない。

複数の導体バーを共通の金属エンクロージャ内に設置する場合には,エンクロージャの各区画を相互に

ボンディングし,長さに応じて数箇所を保護ボンディング導体に接続しなければならない。地下又は床下

に設置する導体バーの金属カバーも,相互にボンディングし保護ボンディング導体に接続しなければなら

ない。

注記  金属エンクロージャ又は床下金属ダクトのカバー又は蓋板をエンクロージャ本体に保護ボンデ

ィングする目的に対しては,金属丁番は十分な導通性をもつと考えてよい。

地下及び床下の導体バー収容ダクトには,排水機構を設けなければならない。

13 

配線 

13.1 

接続及び経路 

13.1.1 

一般要求事項 

全ての導体接続,特に保護ボンディング回路の接続は,不測の緩みが生じないようにしっかり固定しな

ければならない。

導体接続には,接続する導体の断面積及び特性に適応する手段を用いなければならない。

一つの端子に複数の導体を接続してはならない。ただし,端子が複数導体接続用に設計されている場合

はこの限りでない。保護導体は,常に 1 端子に 1 本だけの接続にしなければならない。

はんだ付け用端子以外に,はんだ付け接続をしてはならない。

端子台の端子には,図面上の表記と一致する記号で明瞭にマーキング又はラベル付けをしなければなら

ない。

電気的誤接続(例えば,部品交換時に生じるもの)によってリスクが発生する可能性があり,さらに,

設計方策によって誤接続の可能性を軽減できない場合は,導体及び/又は端子を 13.2.1 に従って識別しな

ければならない。

可とう電線管及びケーブルは,取付部(fitting)から液体が排出されるように設置しなければならない。

より(撚)線接続用でない機器又は端子に,より(撚)線を接続する場合には,より(撚り)を維持す

る手段を用いなければならない。はんだをこの目的に用いてはならない。

シールド付き導体は,シールドのほつれを防止し,かつ,簡単に接続を取り外せるような端末処理をし

なければならない。

識別用タグは,読みやすく,耐久性があり,物理的環境に適応するものでなければならない。


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端子台においては,内部配線と外部配線とが端子上で交差しないような取付け及び配線を行わなければ

ならない。

13.1.2 

導体(電線)及びケーブルの配線 

導体(電線)及びケーブルは,より(撚)継ぎなどによる不適切な継ぎ足しをせずに端子間を配線しな

ければならない。不測の断路を防止するための適切な保護をもつプラグ・ソケット対を用いる接続は,こ

こでは不適切な継ぎ足しとみなさない。

例外  接続箱及び端子を用いて接続することが実際的でない場合(例えば,移動機械又は長い可とう

ケーブルを用いる機械における接続,ケーブル製造業者からの納入時に一つのケーブルドラム

で搬送できる長さを超える配線長のケーブル接続,据付け中又は運転中に機械的応力によって

損傷したケーブルを修理する場合の接続)には,より(撚)継ぎ又は継ぎ足しをしてもよい。

ケーブル及びケーブルアセンブリの接続・取外しが必要な場合は,その目的のために十分な余長を確保

しなければならない。

ケーブル端末は,導体端末に機械的応力が加わらないように適切に保持しなければならない。

保護導体は,ループインピーダンスを小さくするために可能な限り関連する充電導体の近くに配置しな

ければならない。

13.1.3 

異なる回路の導体 

異なる回路用の導体は,

分離配線しなくても各回路の機能を損なわない場合に限り,

隣り合わせて布設,

又は同じダクト(例えば,電線管,ケーブルダクト)内に布設してもよい。また,同じ多心ケーブル内の

導体を異なる回路用に用いてもよい。隣りの回路が異なる電圧で作動する場合には,適切な仕切りで分離

するか,又は同じダクト内の導体に加わる電圧のうち最も高い電圧(例えば,非接地系統では相導体間の

電圧,接地系統では相導体と大地間の電圧)に対する絶縁を行わなくてはならない。

13.1.4 

誘導式電源システムのピックアップとピックアップ変換器との間の接続 

誘導式電源のピックアップとピックアップ変換器との間のケーブルは,次のように接続しなければなら

ない。

−  誘導式電源システム製造業者の指示に従う。

−  可能な限り短くする。

−  機械的損傷を防止するように適切に保護する。

注記  ピックアップ出力は電流源となり得るので,ケーブルの損傷は高電圧の危険源になり得る。

13.2 

導体(電線)の識別 

13.2.1 

一般要求事項 

各導体(電線)は,その端末において技術文書(箇条 17 参照)に従って識別できなければならない。

導体は,

(例えば,保全作業のために)

,数字,英数字若しくは色(単色又はしま模様)のいずれかで識

別するか,又は色と数字若しくは色と英数字の組合せによって識別することが望ましい。数字はアラビア

数字を,英字にはローマン体(大文字でも小文字でもよい。

)を用いなければならない。

注記  望ましい識別方法に関して供給者と使用者とが合意を得るために附属書 を使用できる。

13.2.2 

保護導体の識別 

保護導体は,形状,位置,マーキング又は色によって容易に区別できなければならない。色だけによっ

て識別する場合は,全長にわたって緑と黄との 2 色組合せを用いなければならない。緑と黄との 2 色組合

せは保護導体以外に用いてはならない。

絶縁保護導体の場合,緑と黄との 2 色組合せは,どの部分の 15 mm の長さをとっても,その色の一つが


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導体表面の 30 %以上 70 %以下を覆い,残りの表面を他の色が覆うものでなければならない。

保護導体が,その形状,位置若しくは構造[例えば,編組導体,裸より(撚)導体]によって容易に識

別できる場合,又は容易にアクセスできない絶縁導体である場合には,その全長にわたって色で識別する

必要はないが,端末付近又はアクセス可能な場所に,IEC 60417-2-5019 の図記号又は緑と黄との 2 色組合

せによる明確な識別を実施しなければならない。

13.2.3 

中性線の識別 

回路内の中性線を色だけによって識別する場合の色は,青としなければならない。他の色との混同を避

けるためにライトブルーを用いることが望ましい(JIS C 0446 の 4.1.2 参照)

。選択した色が中性線を示す

唯一の識別手段であって,

かつ,

その色を他の導体にも用いると中性線と混同される可能性がある場合は,

その色を他の導体に用いてはならない。

中性線として用いる裸導体を色によって識別する場合は,各区画又はユニットの内部及びアクセス可能

な各場所において,15∼100 mm 幅のしま状の色付けをするか,又は全長にわたって色付けしなければな

らない。

13.2.4 

色による導体の識別 

保護導体(13.2.2 参照)及び中性線(13.2.3 参照)以外の導体を識別するために色分けを用いる場合は,

次の色を用いることができる。

黒  ブラウン(茶)  赤  黄赤(だいだい)  黄  緑  青(ライトブルーを含む。)  青紫  灰色  白  ピ

ンク  ターコイズ(青緑)

注記  この色リストは,IEC 60757 からの引用である。

導体の識別に色を用いる場合は,導体の全長にわたって識別することが望ましい。絶縁被覆の色で全体

的に識別するか,又は色マーカを一定間隔に施し,端末又はアクセス可能な位置にも施して識別すること

が望ましい。

緑又は黄は,緑と黄との 2 色組合せ(13.2.2 参照)と混同される可能性がある場合には,これを用いな

いことが安全のために望ましい。

上に掲げた色の組合せによる識別は,その組合せが混同を招くことがなければ用いてもよいが,黄又は

緑は,緑と黄との 2 色組合せ以外の組合せに用いてはならない。

色分けを導体識別に用いる場合には,次に従って色分けすることが望ましい。

−  黒:  交流及び直流の電源回路

−  赤:  交流制御回路

−  青:  直流制御回路

−  黄赤:  5.3.8 に規定する特殊回路

例外  次の場合は,上記の推奨によらなくてもよい。

−  推奨色の絶縁被覆をもつ導体が市販されていない。又は

−  多心ケーブルの場合。ただし,緑と黄との 2 色組合せは用いてはならない。

13.3 

エンクロージャ内の配線 

エンクロージャ内の導体の位置ずれを防止する必要がある場合は,導体を固定(支持)しなければなら

ない。非金属製のダクトは,難燃性の絶縁材料を用いたものでなければならない(JIS C 3665 規格群参照)

エンクロージャ内に取り付ける電気装置は,エンクロージャの前面から配線変更できるような設計(構

造)にすることが望ましい(11.2.1 参照)

。これが無理で制御機器をエンクロージャ裏面で接続する場合に

は,機器にアクセスするための扉又は外開き式のパネルを裏面に設けなければならない。


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扉又はその他の可動部分に取り付ける部品への接続には,可動部分の頻繁な動きに耐えるように 12.2 

び 12.6 による可とう性導体を用いなければならない。この導体は,電気的接続とは別の手段で静止部及び

可動部に固定しなければならない(8.2.3 及び 11.2.1 を参照)

ダクトに収納しない導体及びケーブルは,適切に保持しなければならない。

エンクロージャの外へ接続する制御用配線には,端子台又はプラグ・ソケット対を用いなければならな

い。プラグ・ソケット対に関しては 13.4.5 及び 13.4.6 を参照。

電力ケーブル及び計測回路用ケーブルは,機器端子に直接接続してもよい。

13.4 

エンクロージャ外の配線 

13.4.1 

一般要求事項 

グランド,ブッシングなどを用いてケーブル又はダクトをエンクロージャ内に引き込む部分がエンクロ

ージャの保護等級を低下させてはならない(11.3 参照)

13.4.2 

外部ダクト 

電気装置用エンクロージャの外部にある導体及び導体接続部は,13.5 に規定する適切なダクト(すなわ

ち,電線管又はケーブルトランキング)に収納しなければならない。ただし,適切な保護をもつケーブル

はダクトに収納しなくてもよい(開放形のケーブルトレイ又はケーブル支持具は必要に応じて用いる。

ポジションスイッチ,近接スイッチなどの機器に附属する専用ケーブルも,目的に適し,十分短く,損傷

のリスクが最小になるように配置され保護される場合はダクトに収納しなくてもよい。

ダクト又は多心ケーブル用の取付器具は,使用環境に適したものでなければならない。

ペンダント形操作盤との可とう性接続が必要な場合には,可とう電線管又は可とう多心ケーブルを用い

なければならない。ペンダント形操作盤の重量は,可とう電線管又は可とう多心ケーブル以外の手段で保

持しなければならない。ただし,電線管又はケーブルが操作盤重量を保持するように特別設計されている

場合はこの限りでない。

可とう電線管又は可とう多心ケーブルは,可とう部の動き幅又は動きの頻度が小さい用途の接続に用い

なければならない。可とう電線管又は可とう多心ケーブルは,通常は固定されている電動機,ポジション

スイッチ及びその他の外部設置機器の接続にも用いてよい。

13.4.3 

巻上機械及び巻上機械可動部分への接続 

可動部分への接続には,可動部の動きの頻度を考慮して,12.2 及び 12.6 に適合する導体を用いなければ

ならない。可とう電線管及び可とうケーブルは,特に取付部及び継手部分に過度の曲げ及び引張りが生じ

ないように取り付けなければならない。

動きを伴うケーブルは,接続箇所において機械的引張り及び過度の曲げが生じない方法で保持しなけれ

ばならない。そのためにループ状にして保持する場合には,少なくともケーブル外径の 10 倍の曲げ半径を

取れる長さとしなければならない。

巻上機械の可とうケーブルは,次のような使用又は潜在的に過酷な扱いによって外装が損傷する可能性

を最小にするように布設又は保護しなければならない。

−  ケーブルが,巻上機械自身に踏みつけられる。

−  ケーブルが,運搬車両又は他の巻上機械に踏みつけられる。

−  ケーブルが動いているとき,巻上機械の構造物に接触する。

−  ケーブルバスケットにおける出入れ,又はケーブルドラムにおける巻取り及び引出し

−  懸架式又はつり下げ式ケーブルに加速力及び風力が加わる。

−  ケーブル保護機器(保護管)の位置合わせ不良


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−  ケーブル集納装置において過度の摩擦を受ける。

−  過度の放射熱にさらされる。

ケーブルの外装は,運動中に予想される通常の摩耗及び大気汚染物質(例えば,油,水,冷却剤,ほこ

り)の影響に耐えるものでなければならない。

動きを伴うケーブルを,可動部近くに配置するときは,可動部及びケーブルが最接近したときの間隔を

25 mm 以上確保しなければならない。この距離を確保できない場合には,ケーブルと可動部との間に固定

のバリアを設けなければならない。

ケーブルハンドリング機構は,ケーブルのフリートアングルが 5°を超えないように設計し,次の場合

にケーブルのねじれを防止しなければならない。

−  ケーブルドラムへの巻取り・引出し時

−  ケーブル案内機器を通過(接近及び離脱)時

ケーブルドラムには,少なくとも 2 巻き分の可とうケーブルが常に残るような方策を用いなければなら

ない。

可とうケーブルの案内機器及び搬送機器は,ケーブルの曲げ半径が,

表 に示す値以上になるように設

計しなければならない。ただし,許容引張力及び予測される金属疲労を考慮してケーブル製造業者と別に

合意した場合はこの限りでない。

表 9−可とうケーブルの強制案内における最小許容曲げ半径

単位  mm

用途

ケーブル外径又はフラットケーブルの厚さ d

d

≦8 8<d≦20

d

>20

ケーブルドラム 
ガイドローラ 
懸架式

その他

6d 
6d 
6d 
6d

6d 
8d 
6d 
6d

8d 
8d 
8d 
8d

二つの曲がり部間の直線部の長さは,少なくともケーブル外径の 20 倍としなければならない。

可とう電線管が可動部に隣接する場合は,管の構造及び支持手段は,全ての運転条件において可とう電

線管の損傷を防止するものでなければならない。金属製可とう電線管は,速い動き又は頻繁な動きをする

箇所の接続に用いてはならない。ただし,特にその用途に設計されたものはこの限りでない。

13.4.4 

巻上機械上の機器の相互接続 

巻上機械に取り付けた複数の開閉機器(例えば,ポジションセンサ,押しボタンスイッチ)を直列又は

並列に接続する場合は,機器間接続の中間に試験用端子を設けることが望ましい。この端子は,試験に便

利な場所に設け,適切に保護し,関連図面に示さなければならない。

13.4.5 

プラグ・ソケット対による接続 

プラグ・ソケット対による接続を用いる場合には,次の a)e)の要求事項のうち該当する項目を満足し

なければならない。

例外  これらの要求事項は,エンクロージャ内で構成品を接続する固定のプラグ・ソケット対(可と

うケーブル付きでないもの)

,又はバスシステムに構成品を接続するプラグ・ソケット対には適

用しない。

a)

プラグ・ソケット対は,f)  に従って正しく取り付けられている場合,プラグの抜き差し時を含み,常

に充電部に不用意に接触することを防止するタイプでなければならない。保護等級は,少なくとも


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IPXXB でなければならない。この要求事項は,PELV 回路には適用しない。

b) TN

接地系統又は TT 接地系統の電源を用いる場合は,最初に接触し最後に離れる保護ボンディング用

接点(接地用接点)をもつ(6.3 及び 8.2.4 も参照)

c)

負荷状態で抜き差しするプラグ・ソケット対は,負荷を遮断するための十分な遮断容量をもつもので

なければならない。定格 32 A 以上のプラグ・ソケット接続は,プラグの抜き差しを開閉機器とインタ

ーロックして,開閉機器がオフ状態にあるときだけプラグオン・プラグオフが可能となるようにしな

ければならない。

d)

定格 16 A を超えるプラグ・ソケット対は,意図しない断路又は偶発的な断路を防止する接続保持形で

なければならない。

e)

プラグ・ソケット対が意図せずに又は偶発的に外れるときに危険状態を招く可能性がある場合には,

接続保持手段を備えなければならない。

プラグ・ソケット対の取付けに関連して,次の f)k)  の要求事項のうち該当する項目を満足しなければ

ならない。

f)

断路後も充電が残る構成部品は,必要な空間距離及び沿面距離を考慮して,少なくとも IP2X 又は

IPXXB の保護等級で保護しなければならない。PELV 回路にはこの要求事項は適用しない。

g)

プラグ・ソケット対の金属ハウジングは,保護ボンディング回路に接続しなければならない。PELV

回路にはこの要求事項は適用しない。

h)

電力負荷に給電するもので通電中に断路できる遮断容量をもたないプラグ・ソケット対は,意図しな

い断路又は偶発的な断路を防止する接続保持形とし,負荷電流を通電中にプラグオフしてはならない

ことを明瞭にマーキングしなければならない。

i)

複数のプラグ・ソケット対を同じ電気装置に用いる場合は,はめ合い関係を明瞭に識別しなければな

らない。異なる相手に誤挿入できないような機械的対策をすることが望ましい。

j)

制御回路に用いるプラグ・ソケット対は,IEC 61984 の該当する要求事項を満たさなければならない。

例外  JIS C 8285 に規定するプラグ・ソケット対は,k)  を満たせば,制御回路に用いてよい。

k)

家庭用及び類似の一般用プラグ・ソケット対を,制御回路に用いてはならない。JIS C 8285 に規定す

るプラグ・ソケット対を制御回路に用いる場合は,意図した用途に合う接点だけを用いなければなら

ない。

例外  k)  の要求事項は,電源に高周波信号を重畳して用いる制御機能には適用しない。

13.4.6 

輸送のための取外し 

輸送のために配線を取り外す必要がある場合には,配線の取外し及び再接続のために端子台又はプラ

グ・ソケット対を用いなければならない。このような端子には適切な覆いを付け,プラグ・ソケット対は

輸送中及び保管中の物理的環境によって損傷しないように保護しなければならない。

13.4.7 

予備導体 

保全又は修理のために予備導体を備えることが望ましい。予備導体は,予備端子に接続するか,又は充

電部分と接触しないように絶縁しなければならない。

13.5 

ダクト,接続箱及びその他の箱 

13.5.1 

一般要求事項 

ダクトは,その用途に適する保護等級(JIS C 0920 参照)を満たすものでなければならない。

ダクト及びその付帯部品には,導体の絶縁物に接触するおそれのある鋭いエッジ,ばり,まくれ,粗い

表面又はねじ山があってはならない。必要な場合には,難燃性及び耐油性の絶縁材料を用いた保護を追加


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して導体絶縁物を保護しなければならない。

ケーブルトランキング,接続箱及びその他の配線箱で,油又は水滴が溜まるものには直径 6 mm の排出

孔を設けてもよい。

電線管は,油用,空気用又は水用の配管との混同を避けるために,物理的に引き離すか,又は適切に識

別することが望ましい。

ダクト及びケーブルトレイは,損傷及び摩耗の可能性が最小となるように,可動部から十分な距離を確

保してしっかりと支持・配置しなければならない。

人が通る場所に設置するダクト及びケーブルトレイは,

少なくとも 11.5 に規定する空間距離を確保して取り付けなければならない。

ダクトは,機械的に保護する目的だけに用いなければならない(保護ボンディング回路への接続に関す

る要求事項は,8.2.3 を参照)

部分的にカバーをもつケーブルトレイは,ダクト又はケーブルトランキングとは見なさない(13.5.6 

照)

。そのようなケーブルトレイに布設するケーブルは,開放形のケーブルトレイ又はケーブル支持手段の

有無にかかわらず使用可能な種類のものでなければならない。

13.5.2 

ダクトの内部占積率 

ダクトの内部占積率は,ダクトの直線度,長さ,及び導体の可とう性に基づいて検討することが望まし

い。ダクトは,導体及びケーブルを容易に挿入できる寸法及び構成にすることが望ましい。

13.5.3 

金属製の非可とう電線管及び付帯部品 

金属製の非可とう電線管及び付帯部品(継手,取付用部品など)は,亜鉛めっき鋼又は使用条件に適す

る耐腐食性材料を用いたものでなければならない。接触部で電食を起こすような異種金属を用いないこと

が望ましい。

電線管は,定位置にしっかり保持し,各端部を支持しなければならない。

付帯部品は,電線管に適合し,用途に適するものでなければならない。取付用部品は,構造的に難しく

ない限りねじ付きとしなければならない。ねじなしの取付用部品を用いる場合には,電線管を装置にしっ

かりと固定しなければならない。

電線管を曲げる場合は,損傷せず,内径を著しく減少させないようにしなければならない。

13.5.4 

金属製の可とう電線管及び付帯部品 

金属製の可とう電線管は,可とう性金属管又は編組外装で構成したものでなければならない。金属製の

可とう電線管は,予測される物理的環境に適するものでなければならない。

付帯部品は電線管に適合し,用途に適するものでなければならない。

13.5.5 

非金属製の可とう電線管及び付帯部品 

非金属製の可とう電線管は,ねじれに耐え,多心ケーブルの外装に似た物理的特性を備えたものでなけ

ればならない。

電線管は,予測される物理的環境における使用に適するものでなければならない。

付帯部品は,電線管に適合し,用途に適するものでなければならない。

13.5.6 

ケーブルトランキング 

エンクロージャ外のケーブルトランキングは,しっかりと保持し,巻上機械の全ての可動部及び汚れの

原因となる部分から離さなければならない。

ケーブルトランキングのカバーは,側面で本体と重なる形にしなければならない。ガスケットは用いて

もよい。カバーは,適切な手段によってケーブルトランキングに取り付けなければならない。水平のケー

ブルトランキングは,特にそのように設計したものを必要とする用途でない限り下側にカバーを付ける構


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造にしてはならない。

注記  電気設備のケーブルトランキングに対する要求事項は,IEC 61084 規格群に規定されている。

ケーブルトランキングを幾つかの部分に分けて取り付ける場合,その部分間の接合部は確実に結合しな

ければならない。ただし,必ずしもガスケットを用いた接合にしなくてもよい。

配線用又は排水用以外の開口部を設けてはならない。ケーブルトランキングには,開けたまま未使用の

ノックアウト(開口)があってはならない。

13.5.7 

巻上機械内のケーブル収納区画及びケーブルトランキング 

導体の収納区画又はケーブルトランキングを巻上機械内に設ける場合は,ケーブル収納区画又はケーブ

ルトランキングは,冷却材及び油の貯蔵部から離し,全体を囲う構造にしなければならない。ケーブル収

納区画及びケーブルトランキングの中に収納する導体は,損傷を受けないように固定し,配置しなければ

ならない。

13.5.8 

接続箱,その他の箱 

配線用接続箱及びその他の箱は,

保全のためにアクセスできるものでなければならない。

これらの箱は,

巻上機械の運転環境において固体及び液体の侵入を防止するものでなければならない(11.3 参照)

。通常の

使用中に損傷しないように十分丈夫な構造にしなければならない。

これらの箱には,開けたまま未使用のノックアウトがあってはならない。また,ほこり,浮遊物,油,

冷却剤などが侵入しない構造でなければならない。

13.5.9 

電動機用接続箱 

電動機用接続箱には,電動機及び電動機の附属機器(例えば,ブレーキ,温度センサ,プラッギングス

イッチ,速度計用発電機,速度検出器)の接続部だけを収納しなければならない。

14 

電動機及びその関連装置 

14.1 

一般要求事項 

電動機は,JIS C 4034-1JIS C 4034-5JIS C 4203JIS C 4210JIS C 4212 又は IEC 60034 規格群の関

連する部に適合するものであることが望ましい。

注記  IEC 60034 規格群の内容には,JIS C 4034-1JIS C 4034-5JIS C 4203JIS C 4210 及び JIS C 4212

に含まれる部分と含まれない部分とがある。

電動機及びその関連装置の保護に関する要求事項は,過電流に対しては 7.2,温度上昇に対しては 7.3

過速度に対しては 7.6 の規定を適用する。

電動機制御装置には,電動機の停止中に電動機電源をオフにしないものが多いので,5.35.45.57.5

7.6

及び 9.4 の要求事項を確実に満たすように注意を払わなければならない。電動機制御装置は,箇条 11

に従って配置し,取り付けなければならない。

14.2 

電動機のエンクロージャ 

電動機のエンクロージャ(外被構造)は,JIS C 4034-5 に規定するものの中から選定することが望まし

い。

電動機のエンクロージャは,全ての電動機に対して少なくとも IP23(JIS C 0920 参照)の保護等級を満

足しなければならない。用途及び物理的環境によっては,より厳しい要求事項が必要になることがある(4.4

参照)

。巻上機械の構成品として用いる電動機は,機械的損傷から適切に保護されるように取り付けなけれ

ばならない。

14.3 

電動機の寸法 


80

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電動機の寸法は,可能な限り JIS C 4203JIS C 4210JIS C 4212 又は IEC 60072 規格群に適合しなけ

ればならない。

注記  IEC 60072 規格群の内容には,JIS C 4203JIS C 4210 及び JIS C 4212 に含まれる部分と含まれ

ない部分とがある。

14.4 

電動機の取付け及び電動機用区画 

電動機並びにそのカップリング,ベルト,プーリ及びチェーンは,適切に保護し,検査,保全,調整,

位置合わせ,給油及び交換のために容易にアクセスできるように取り付けなければならない。電動機は,

その固定具を取り外すことができ,また,端子箱にアクセスできるように取り付けなければならない。

電動機は,適切な冷却が保証され,温度上昇がその絶縁種別の許容限度内になるように取り付けなけれ

ばならない(JIS C 4034-1 参照)

電動機用区画は,可能な限り清潔で乾燥していることが望ましく,必要ならば巻上機械外部へ直接換気

しなければならない。

通風口は,

ちり又は水の飛まつの侵入を許容限度内に保つものでなければならない。

電動機用区画と,電動機用区画の要求事項を満足しないその他の区画との間には,開口部があってはな

らない。電線管又は管路を,電動機用区画の要求事項を満足しない区画から電動機用区画に引き込む場合

は,電線管又は管路の周囲の隙間を塞がなければならない。

14.5 

電動機の選定基準 

電動機及び関連装置の特性は,想定する用途及び物理的環境条件(

附属書 及び 4.4 参照)に適合する

ように選定しなければならない。このために,次の事項を考慮しなければならない。

−  電動機の種類

−  負荷サイクルの種類(JIS C 4034-1 参照)

−  予測される始動頻度

−  定速運転又は可変速運転(及び変速に伴う通風の変化)

−  機械的振動

−  電動機制御の種類。コンバータ駆動の場合は特に。

注記  コンバータ駆動の場合に電動機が受ける影響については,IEC 61800-2IEC/TS 60034-17 

び IEC/TS 60034-25 に詳しい記述がある。

−  起動方法及び突入電流が,電源を共用する他の設備の運転に及ぼす影響。電力会社が定める特別の注

意事項も(あれば)考慮する。

−  反トルク負荷の時間及び速度による変動

−  大きな慣性をもつ負荷の影響

−  定トルク運転又は定出力運転の影響

14.6 

機械的ブレーキの保護機器 

機械的ブレーキのアクチュエータの過負荷保護機器及び過電流保護機器が作動した場合には,そのブレ

ーキが関連する巻上機械アクチュエータの駆動電源を同時に遮断(開放)しなければならない。

注記  関連する巻上機械アクチュエータとは,一つの動きに関わる全てのアクチュエータである。例

えば,ケーブルドラム及び走行装置のアクチュエータは関連するアクチュエータである。

14.7 

電気制御式の機械的ブレーキ 

電源の遮断によって制動機能が作動する電気制御式の機械的ブレーキを用いる場合には,可動部駆動装

置の電源遮断と同時に関連するブレーキ電源も遮断しなければならない。

例外  走行及び旋回の運転制動には他のブレーキ制御を用いることもある。


81

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:2011

15 

附属品及び照明 

15.1 

附属品用コンセント 

巻上機械又はその関連装置に附属装置(例えば,手持ち電動工具,試験装置)用のコンセントを備える

場合には,次の各項を適用する。

−  コンセントは,JIS C 8285 に適合することが望ましい。不可能なときは,電圧及び電流定格を明示す

ることが望ましい。

− PELV 用以外のコンセントは,保護ボンディング接続の回路を含まなければならない。

注記 1  この要求は,保護ボンディング回路から絶縁された状態で用いる機器のためのコンセント

には適用しない。

−  コンセントに接続する全ての非接地導体は,他の回路の保護とは独立に(まとめずに)

7.2 に従う過

電流保護を実施し,必要ならば 7.3 に従う過負荷保護も実施しなければならない。

−  コンセントの電源をクレーン断路器によって断路できない場合は,5.3.8 の要求事項を適用する。

−  定格電流が 32 A 以下の,エンクロージャ又は囲いがある電気作動域の外からアクセスできるコンセン

トにおいては,電源自動遮断による間接接触保護[6.3.3 の方法 a)参照]は,追加の保護方策(例えば,

定格作動電流 30 mA 以下の漏電保護装置:RCD)を用いなければ十分ではない。

注記 2  附属書 の 11 も参照。

15.2 

巻上機械及び関連装置の局部照明 

15.2.1 

一般事項 

局部照明回路は,8.2.2 に従って保護ボンディング回路に接続しなければならない。

点灯・消灯のスイッチをランプホルダ又は可とう接続コードに組み込んではならない。

適切な発光体を用いることによって,照明にストロボ的影響が現れることを防止しなければならない。

15.2.2 

電源 

局部照明回路の公称電圧は,線間 250 V 以下でなければならない。線間 50 V 以下が望ましい。

照明回路は,次のいずれかの電源から給電しなければならない(7.2.6 も参照)

−  クレーン断路器の負荷側に接続した照明専用の絶縁変圧器。変圧器の二次側に過電流保護機器を設け

なければならない。

−  クレーン断路器の電源側に接続した照明専用の絶縁変圧器。この供給法は,制御機器を収容するエン

クロージャ内の保全用照明回路に用いる場合に限る。変圧器の二次側に過電流保護機器を設けなけれ

ばならない(5.3.8 及び 13.1.3 参照)

−  専用の過電流保護を備えた巻上機械内の回路

−  外部から供給する照明用電源(例えば,工場照明の電源)

。これの使用は,制御機器を収容するエンク

ロージャ内だけの照明及び照明用の定格電力の総和が 3 kW 未満の巻上機械の作業灯だけに限る。

例外  通常運転中にオペレータの体が届かない位置にある固定照明には 15.2.2 は適用しない。

15.2.3 

保護 

局部照明回路は,7.2.6 に従って保護しなければならない。

15.2.4 

照明付帯器具 

調整可能な照明付帯器具は,物理的環境に適するものでなければならない。

ランプホルダは,次の事項を満足しなければならない。

−  関連する日本工業規格又は IEC 規格に適合しなければならない。

−  ランプキャップを調節する(動かす)とき誤ってランプキャップが充電部に接触しないように保護す


82

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る絶縁材を用いてランプキャップを構成しなければならない。

反射器は,ブラケットで保持するものとし,ランプホルダで保持してはならない。

例外  通常運転中にオペレータの体が届かない位置にある固定照明には 15.2.4 の要求は適用しない。

16 

マーキング,警告標識及び略号 

16.1 

一般事項 

警告標識,銘板,マーキング及び識別プレートは,物理的環境に十分耐えるものでなければならない。

16.2 

警告標識 

16.2.1 

感電の警告 

感電のリスクをもつ電気機器が内蔵されていることを別の方法で明示していないエンクロージャには,

次の図記号 IEC 60417-5036 をマーキングしなければならない。

この警告標識は,エンクロージャの扉又はカバーにはっきり見えるように表示しなければならない。

次の場合には,この警告標識を省略してもよい[6.2.2 b)も参照]

−  クレーン断路器及びクレーン電源スイッチを備えているエンクロージャ

−  オペレータインタフェース用の装置又は操作盤

−  それ自体がエンクロージャをもつ単体機器(例えば,位置センサ)

16.2.2 

高温の警告 

リスクアセスメントによって,電気装置表面が危険温度になる可能性を警告する必要がある場合,次の

図記号 IEC 60417-5041 を用いなければならない。

16.3 

機能表示 

制御機器,表示機器及びディスプレイ(特に安全に関するもの)には,機器自体又はその近くに,その

機能を明瞭に,消えないようにマーキングしなければならない。このマーキングについては,装置使用者

と供給者との間で合意することが望ましい(

附属書 参照)。IEC 60417 及び ISO 7000 に規定する記号を

優先的に用いることが望ましい。

16.4 

装置のマーキング 

装置には,装置の据付け後にもはっきり見えるように,読みやすく消えない方法によってマーキングし

なければならない。

可能な場所(例えば,制御装置アセンブリのエンクロージャ)に,次の内容を示す銘板を付けなければ

ならない。

−  供給者名又は商標

−  必要な場合,認証済みの表示


83

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−  あれば,製造番号

−  定格電圧,相数及び周波数(交流の場合)

,並びに定格電流

−  装置の短絡電流定格又は主遮断器の定格短絡遮断容量

注記  短絡電流定格と定格短絡遮断容量とは異なる概念である。いずれにおいても,これが電源回

路の推定短絡電流(短絡ループの電圧及びインピーダンスによって決まる。

)を超えているこ

とが安全上必要であり,このことを確認するために表示を要求している。

−  基本文書番号(JIS C 0454 参照)

銘板に記載する定格電流は,通常の使用状態で同時に作動する可能性のある全ての電動機及びその他の

装置の負荷電流の合計値以上でなければならない。特殊な負荷条件及び負荷サイクルで用いる場合には,

熱的等価実効電流(

附属書 参照)を銘板上に示さなければならない。

電動機制御器を 1 個だけもつ巻上機械の場合には,電気装置の情報は巻上機械のよく見える場所に取り

付けた銘板上に記載してもよい。

2 個以上の駆動装置をもつ巻上機械の場合には,銘板は関連文書に置き換えてもよい。

16.5 

略号(参照指定) 

全てのエンクロージャ,アセンブリ,制御機器及び構成品は,技術文書に示す略号と同じ略号を付けて

明瞭に識別しなければならない。

例外  電気装置が,電動機 1 台,電動機制御器 1 個,押しボタン形操作器及び作業灯だけで構成され

ている巻上機械には,16.5 の要求は適用しなくてもよい。

17 

技術文書 

17.1 

一般事項 

巻上機械電気装置の,据付け,運転及び保全に必要な情報は,図面,接続図,線図,表及び説明書の形

で提供(納入)しなければならない。この情報は,関係者が合意した言語によるものでなければならない

附属書 も参照)。

文書情報の内容及び量は,電気装置の複雑さに応じて異なってもよい。極めて単純な装置の場合には,

その情報を一冊の文書にまとめてもよいが,その場合の文書は電気装置内の全ての機器を示し,電源の接

続法が分かるようにしなければならない。

注記  電気装置の構成品に附属する技術文書類は,機械の電気装置の文書類の一部になることもある。

17.2 

提供(納入)する情報 

電気装置とともに提供(納入)する情報には,次のものを含めなければならない。

a)

主文書(部品表又は文書一覧表)

b)

次を含む補足文書

1)

装置の据付け,取付け,及び電源接続に関する明瞭で包括的な説明

2)

電源仕様

3)

必要に応じて,物理的環境に関する情報(例えば,照明,振動,騒音レベル,空気中の汚染物質)

4)

必要に応じて,全体図(ブロック図)

5)

回路図

6)

次のうち必要なもの

−  装置の使用に必要なプログラム

−  運転順序


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−  検査頻度

−  機能試験の頻度及び方法

−  調整,保全及び修理の手引。特に保護機器及び保護回路について

−  推奨予備品リスト

−  納入工具のリスト

7)

安全防護物,インターロック機能,及びガードと危険源とのインターロックに関する説明(相互接

続図を含む。

。連携して稼働する巻上機械群では特に必要である。

8)

安全防護の説明及び安全防護を一時解除する必要がある場合(例えば,設定,保全作業などのため)

の解除手段の説明(9.2.4 参照)

9)

保全作業を安全に行うための諸手順の指示(17.8 参照)

10)

取扱い,搬送及び保管に関する情報

11)

負荷電流,起動ピーク電流及び許容電圧降下に関する情報(必要なもの)

12)

保護方策実施後にも残留するリスクに関する情報,特別な訓練が必要かどうかの説明及び個人用保

護具が必要ならばその仕様

17.3 

全ての文書類に対する要求事項 

電気装置の製造業者と使用者との間で文書類について別の合意がないときは,次の事項を適用する。

−  文書類は,JIS C 1082-1 に従って作成しなければならない。

−  略号(参照指定)は,JIS C 0452 規格群の関連の部に適合しなければならない。

−  取扱説明書・マニュアルは,JIS C 0457 に適合しなければならない。

−  部品表(付ける場合)は,JIS C 0453 のクラス B に適合しなければならない。

注記  附属書 の 13 を参照。

他の文書の参照については,次のいずれかを採用しなければならない。

−  文書類を構成する文書数が少ない(例えば,5 点未満)場合は,各文書に電気装置に関する他の全て

の文書の文書番号を相互参照用として記載する。

−  全ての文書の文書番号及び文書名を主文書(single level main documents:JIS C 0454 参照)の図面又は

文書リストに記載する(単一階層の文書構成の場合)

−  一つの階層(レベル)に属する全ての文書(JIS C 0454 参照)の文書番号及び文書名を,その階層の

図面又は文書リストに記載する(複数階層の文書構成の場合)

17.4 

据付け用文書 

据付け用文書には,巻上機械の立上げ(引渡し試験を含む。

)準備作業に必要な全ての情報を記載しなけ

ればならない。複雑な巻上機械の場合には,詳細な組立図の参照が必要となることがある。

布設する電源ケーブルに関して,推奨する配置,種類及び断面積を明確に記載しなければならない。

巻上機械の電気装置に給電する電源導体(通常は使用者が用意)を保護するための過電流保護機器の種

類,特性,定格電流及び設定値の選定に必要なデータを記載しなければならない(7.2.2 参照)

必要な場合には,使用者が準備して基礎に設置するダクトの寸法,用途及び位置を詳細に記載しなけれ

ばならない(

附属書 参照)。

巻上機械と関連装置との間のダクト,ケーブルトレイ又はケーブル支持物を使用者に準備してもらう場

合は,これらの寸法,種類及び用途を詳細に記載しなければならない(

附属書 参照)。

電気装置の取外し又は作業のための空間が必要な場合は,これを図面に示さなければならない。

注記 1  据付け用文書の例を,JIS C 1082-1 に示す。


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さらに,必要であれば相互接続図又は相互接続表も据付け用文書に含めなければならない。この相互接

続図又は相互接続表には,全ての外部接続に関する情報を記載しなければならない。複数の電源を用いて

運転する電気装置の場合は,相互接続図又は相互接続表に,各電源を用いるために必要な配線変更又は相

互接続を示さなければならない。

注記 2  相互接続図及び相互接続表の例は,JIS C 1082-1 に示す。

17.5 

全体図及び機能線図 

作動原理の理解を助けるために必要な場合は,全体図を納入文書に含めなければならない。全体図は,

相互接続の全てを示す必要はなく,電気装置(構成品)を機能の相互関係とともに記号で表現する。

注記 1  全体図の例を,JIS C 1082-1 に示す。

機能線図は,全体図の一部としてもよく,追加として作成してもよい。

注記 2  機能線図の例を,JIS C 1082-1 に示す。

17.6 

回路図 

納入する技術文書には回路図を含めなければならない。回路図には,巻上機械上の電気装置及び関連電

気装置の電気回路を示さなければならない。JIS C 0617-1JIS C 0617-13 にない図記号は,回路図又はそ

の附属文書の中で特記し,説明しなければならない。構成品及び機器の図記号及び略号は,全ての文書内

及び巻上機械上で一致していなければならない。

必要な場合には,ユニット間の相互接続用端子を示す図を提供しなければならない。この図は,簡略化

のために回路図と併用してもよい。この図には,各ユニットの詳細回路図との参照関係を記載することが

望ましい。

電気回路図の接点記号は,全て(例えば,電気,空圧,水圧,油圧)の供給源がオフ状態にあり,巻上

機械及びその電気装置が通常の起動を待ち受けている状態を示さなければならない。

導体は,13.2 に従って識別しなければならない。

回路図は,これを参照して保全及び故障探求ができるように,また,回路の機能を容易に理解できるよ

うに示さなければならない。制御機器及び構成品の機能に関する特性をその図記号だけでは明確に表現で

きない場合には,図記号の近くに文字などを用いて書き入れるか,又は脚注で示さなければならない。

17.7 

運転マニュアル 

技術文書には,電気装置の立上げ及び使用のための適切な手順を詳述した運転マニュアルを含めなけれ

ばならない。電気装置が備えている安全方策に特に注意を喚起することが望ましい。

プログラム運転を行う装置の場合は,プログラミング方法,プログラミングに必要な装置,プログラム

の検証及び必要ならば追加の安全手順についての詳細な情報を記載しなければならない。

17.8 

保全マニュアル 

技術文書には,調整,手入れ,予防検査及び修理のための適切な手順を記載した保全マニュアルを含め

なければならない。保全マニュアルには,保全及び手入れの間隔並びに記録に関する推奨事項を含めるこ

とが望ましい。正しく作動していることを検証する方法(例えば,ソフトウェアの試験プログラム)を備

えている場合には,その検証法を詳しく記載しなければならない。

プログラムできる装置(例えば,電動機駆動システム)のプログラム設定法の説明には巻上機械の最終

機能との明確な参照関係を示さなければならない。

安全関連機能の試験法を明確に示さなければならない。

17.9 

部品表 

部品表には,少なくとも,予防保全又は事後保全に必要な予備品又は交換品(例えば,構成品,機器,

ソフトウェア,試験装置,技術文書)を発注するために必要な情報を含めなければならない。装置の使用


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者が在庫としてもつことを推奨する部品リストも含める。

部品表には,部品ごとに次の項目を示さなければならない。

−  文書に用いている略号

−  種類

−  供給者及び(あれば)代替供給者

−  主な特性(該当する場合)

18 

検証 

18.1 

一般事項 

箇条 18 の全部が,全ての巻上機械の電気装置の検証に必要な訳ではない。

特定の巻上機械の検証規模(範囲)は,その製品規格の規定によるものとするが,全ての巻上機械にお

いて,次の a)b)f)の全部及び c)d)の一つ又は両方の検証は必ず行わなければならない。e)の検証は任

意とする。

a)

電気装置が,技術文書に適合していることを検証する。

b)

電源自動遮断による間接接触保護を採用している場合は,自動遮断によって保護が達成される条件を

18.2

に従って検証する。

c)

絶縁抵抗試験(18.3 参照)

d)

耐電圧試験(18.4 参照)

e)

残留電圧に対する保護の検証(18.5 参照)

f)

機能試験(18.6 参照)

これらの試験は,上記の順序で実施することが望ましい。

電気装置を変更したときは,18.7 の要求事項を適用しなければならない。

注記  18.2 及び 18.3 の試験においては,IEC 61557 規格群に適合する測定機器を用いることができる。

この規格が要求する他の試験には,IEC 規格又は日本工業規格に適合する測定機器を用いるこ

とが望ましい。

検証結果は文書化しなければならない。

18.2 

電源自動遮断による保護が達成される条件の検証 

18.2.1 

一般事項 

電源自動遮断の条件(6.3.3 参照)は,試験によって検証しなければならない。

TN 接地系統における試験方法は,18.2.2 による。TN 接地系統の電源における異なる条件(機械の状態)

に対するこれらの試験方法の適用は,18.2.3 による。

TT 接地系統における検証法は,附属書 JA による。 
IT 接地系統における検証法は,JIS C 60364-6 を参照。

18.2.2 TN

接地系統における試験方法 

18.2.2.0 

一般事項 

次に示す

試験 は,保護ボンディング回路の導通性を検証するための試験である。試験 は,電源自動

遮断によって保護される条件を検証するための試験である。

18.2.2.1 

試験 1(保護ボンディング回路の導通性の検証) 

PE 端子(5.2 及び図 参照)と各保護ボンディング回路の関連部分との間の抵抗値を測定しなければな

らない。測定値は,関連する保護ボンディング用導体の長さ,断面積,材質から予測した範囲内になけれ


87

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ばならない。

注記 1  導通性試験(抵抗測定)を大きな電流で行うと試験結果の精度がよくなる。特に,大きい断

面積又は短い線路長の場合の低抵抗値を測定する場合は有効である。

18.2.2.2 

試験 2(故障ループインピーダンス及び過電流保護機器の適切性の検証) 

電源導体の接続,

及び外部保護導体と機械の PE 端子との接続を検査によって検証しなければならない。

電源自動遮断の条件が 6.3.3 及び

附属書 に適合することを,次の a)  及び b)  によって検証しなければ

ならない。

a)

故障ループインピーダンスを,次のいずれかによって検証する。

−  計算する。

−  A.4 に従って測定する。

b)

関連する過電流保護機器の設定値及び特性が

附属書 の要求事項に適合していることを確認する。

注記 2  故障ループインピーダンス試験は,遮断電流 I

a

が約 1 kA までの範囲で自動遮断器による保

護を行う場合に適用できる(I

a

は,遮断器が

附属書 で規定する時間内に自動遮断させる

電流値である。

18.2.3 TN

接地系統への試験方法の適用 

18.2.2

試験 は,巻上機械の各保護ボンディング回路に対して実施しなければならない。

18.2.2

試験 を測定によって実施するときは,常に試験 の後に実施しなければならない。

注記  保護ボンディング回路に導通不良部分があると,ループインピーダンスの試験中に試験実施者

その他に危険状態を招くことがある。また,電気機器を破壊することもあり得る。

巻上機械が設置された状態の違いに応じて必要な試験は,

表 10 による。巻上機械の状態を決定するため

の保護ボンディング回路条件,及び保護機器から負荷までの最大ケーブル長の条件を

表 11 に示す。

18.3 

絶縁抵抗試験 

500 V 絶縁抵抗計を用いて電力回路と保護ボンディング回路との間の絶縁抵抗値を測定し,測定値が 1

MΩ 以上でなければならない。試験は電気装置全体を個々の区画に分けて実施してもよい。

例外  例えば,ブスバー,導体ワイヤ又は導体バーシステム,スリップリング機構のような電気装置

の特定部分には 1 MΩ より低い下限値が許されるが,50 kΩ 未満であってはならない。

絶縁試験時に作動する可能性のあるサージ保護機器が機械の電気装置に含まれている場合は,次のこと

を行ってもよい。

−  これらの機器を取り外す。又は

−  試験電圧をサージ保護機器の保護電圧レベルより低い値に下げる。ただし,供給電圧の上限のピーク

値(中性線と相導体との間)より低くしてはならない。

18.4 

耐電圧試験 

耐電圧試験を実施する場合は,IEC 61180-2 に適合する計測機器を用いることが望ましい。

公称周波数 50 Hz 又は 60 Hz の試験電源を用いなければならない。

最大試験電圧は,機器の定格供給電圧の 2 倍又は 1 000 V のいずれか大きい方とする。最大試験電圧を

回路の相導体と保護ボンディング回路との間に約 1 秒間加える。絶縁破壊が起こらないことをもって合格

とする。

この試験電圧に耐えられない定格の部品及び機器は,試験中は取り外さなければならない。

部品及び機器の製品規格によって耐電圧試験を実施済みの部品は,試験中取り外してもよい。


88

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18.5 

残留電圧保護の確認試験 

残留電圧をもつ回路がある場合は,6.2.4 の規定を満足することを確認する試験を行わなければならない。

18.6 

機能試験 

電気装置の機能,特に安全及び防護のための回路の機能は,試験しなければならない。機能の全てを試

験できない場合は,回路を試験しなければならない。

表 10TN 接地系統における試験方法の適用

手順

巻上機械の状態

現場での検証

現場で組立・接続が行われた巻上機械の電気装置

であって,組立・接続後に保護ボンディング回路の
導通性が確認されていない。

試験 及び試験 を行う。

例外  故障ループインピーダンス又はループ抵抗の
計算が前もって行われていて,次の省略条件を満足
する場合は,

試験 を省略してよい。すなわち,現

場で接続した保護ボンディング回路に

試験 を適用

し,電源接続及び外部保護導体と機械の PE 端子との
接続を検査するだけでよい。 
試験 を省略できる条件は,次による。 
・  計算に用いた導体長及び断面積を,据付状態で

確認できる。

・  現場の電源インピーダンスが,ループインピー

ダンスの計算時に想定した電源インピーダンス
の値より小さいことが確認できる。

表 11 に示すケーブル長(保護機器∼負荷)を超え

る保護ボンディング回路をもち,

試験 又は試験 2

による保護ボンディング回路の導通性の検証(18.1
参照)を測定によって確認してから納入された巻上
機械で; 
 
ケース B1):  出荷時に分解せずに完全組立状態で納
入されている。 
 
ケース B2):  出荷時に分解したが,分解,輸送,再
組立後の保護導体の導通性が保証されている(例え

ば,プラグ・ソケット対を用いることによって。

試験 を行う。

例外  現場の供給電源インピーダンスが,ループイ
ンピーダンスの計算に用いた値以下であるか,又は
試験 の計測用電源のインピーダンス以下であるこ
とが確認できる場合は,現場での実測試験を省略し,

次の検証を行うだけでよい。 
・  ケース B1)の場合:  電源導体の接続及び外部保

護導体と機械の PE 端子との接続が正しいことの

検証

・  ケース B2)の場合:  電源導体の接続及び外部保

護導体と機械の PE 端子との接続が正しいことの

検証,及び出荷時切り離した電気装置の全ての
保護導体が正しく接続されたことの検証

保護ボンディング回路が,

表 11 に示すケーブル長

(保護機器∼負荷)を超えず,

試験 又は試験 

よる保護ボンディング回路の導通性の検証(18.1 

照)を測定によって確認してから納入された巻上機
械で; 
 
ケース C1):  出荷時に分解せず完全組立状態で納入
されている。 
ケース C2):  出荷時に分解したが,輸送,再組立後

の保護導体の導通性が保証されている(例えば,プ
ラグ・ソケット対を用いることによって。

現場試験は省略してよい。 
プラグ・ソケット対以外の方法で電源を接続する

機械では,外部保護導体と機械の PE 端子との接続が

正しいことを目視検査で検証しなければならない。
 
 
 
 
ケース C2)の場合は,

出荷時に切り離した全ての保護

導体の接続を検証(例えば,目視検査)する必要が
あることを,据付け用文書(17.4 参照)に示さなけ
ればならない。


89

B 9960-32

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表 11−各保護機器からその負荷までの最大許容ケーブル長の例


各 保 護 機 器

ま で の 電 源
イ ン ピ ー ダ
ンス 

(mΩ)


相導体及び保護導体

の断面積 
 
 

(mm

2


保 護 機 器

の 定 格 値
又 は 設 定
値 

I

N

(A)

各保護機器から負荷までの最大ケーブル長(m)


ヒューズ
 
 
 

溶断時間

5 秒


ヒューズ
 
 
 

溶断時間

0.4 秒


小形サーキ
ットブレー
カ,特性 B

IEC 60898

I

a

=5 I

N

遮断時間

0.1 秒


小形サーキ
ットブレー
カ,特性 C

IEC 60898

I

a

=10 I

N

遮断時間

0.1 秒


調整式サー
キットブレ
ーカ 

I

a

=8 I

N

遮断時間

0.1 秒

500 1.5(相導体及び PE) 16

97

53

76

30

28

500 2.5(相導体及び PE) 20

115

57

94

34

36

500 4.0(相導体及び PE) 25

135

66

114

35

38

400 6.0(相導体及び PE) 32

145

59

133

40

42

300 10(相導体及び PE) 50

125

41

132

33

37

200 16(相導体及び PE) 63

175

73

179

55

61

200 25(相導体)/16(PE) 80

133

− 38

100 35(相導体)/16(PE) 100

136

− 73

100 50(相導体)/25(PE) 125

141

− 66

100 70(相導体)/35(PE) 160

138

− 46

50 95(相導体)/50(PE) 200

152

− 98

50 120(相導体)/70(PE) 250

157

− 79

表 11 の最大許容ケーブル長の値は,次の仮定に基づいている。これらの仮定から外れる場合は,故障ループイン

ピーダンスの完全な計算又は測定が必要である。詳しい情報は,JIS C 3664 及び IEC/TR 61200-53 に示されている。
−  銅導体 PVC ケーブルであって,導体温度は短絡状態で 160  ℃(

表 C.4 参照)

−  相導体(1 本)の断面積が 16 mm

2

以下の多心ケーブルは,同じ断面積の保護導体を備えている。

−  相導体(1 本)の断面積が 16 mm

2

を超える多心ケーブルは,欄 2 に示す断面積の保護導体を備えている(欄 2

参照)

−  3 相電源であって,公称電源電圧は 400 V とする。

−  各保護機器に対する最大供給電源インピーダンスは欄 1 による。 
−  欄 3 の値は,

表 712.4 参照)に示す許容電流に関連している。

18.7 

再試験 

巻上機械及び関連装置の一部を変更した場合には,妥当な限り変更部分の再検証及び再試験を行わなけ

ればならない(18.1 参照)

再試験によって過酷な影響(例えば,絶縁試験,機器の取外し・再接続による過度の力)が生じる可能

性に特別な注意を向けることが望ましい。


90

B 9960-32

:2011

附属書 A

(規定)

TN

接地系統における間接接触保護

序文

この附属書は,TN 接地系統の電源を用いる場合の間接接触保護について規定する。この附属書は,JIS 

C 60364-4-41

及び JIS C 60364-6 に基づいている。

A.1 

一般事項 

過電流保護装置による間接接触保護を備えなければならない。過電流保護装置は,回路又は装置内で,

充電部と露出導電性部分又は保護導体との間に絶縁故障(漏電)が発生したとき,十分短い遮断時間内に

電源を自動的に回路又は装置から遮断しなければならない。巻上機械では,5 秒以下を十分短い時間とみ

なす。

例外  この遮断時間を達成できない場合は,人が同時に接触できる二つの導電性部分間の接触電圧が,

交流 50 V r.m.s.又は直流 120 V(リップルを除く。

)を超えないようにする方策(例えば,追加

の保護ボンディング)を実施しなければならない。A.3 を参照。

注記  一般に,接触電圧が 50 V を超過している限り 5 秒という遮断時間では間接接触保護はできない。

ただし,TN 接地系統の配電線路(負荷機器ではない。

)の場合は,次の理由から 5 秒の遮断時

間が認められている。

a)

配電回路における故障発生確率は小さい。

b)

配電回路に設置されている機器は据付け形機器で,故障発生期間中にこのような機器に接

触する確率は極めて小さい。

c)

この種の機器には,通常取っ手がなく,故障時に人は容易に離脱することができる。

d)

接触電圧は,等電位ボンディングによって低減される。

e)

負荷に,始動時間が長く,大きな始動電流をもつ電動機がある場合に,過電流保護器の作

動時間を短く設定することは困難であるが,5 秒の遮断時間ならば,ほとんどの場合を救

済できる。

f)

配電回路に端末機器用分岐回路が接続されている場合には,その端末機器のエンクロージ

ャの接地には局部的等電位ボンディングが追加され,それが当該システムの主等電位ボン

ディングに含まれ,かつ,主等電位ボンディングの要件を満たすものとする。

ただし,クラス I の手持ち式装置又は携帯式装置に給電する回路に対しては,十分短いといえる最大遮

断時間は,コンセントを経由するかしないかにかかわらず

表 A.1 による(例えば,巻上機械に備えた附属

機器用コンセントに対しては 15.1 参照)


91

B 9960-32

:2011

表 A.1TN 接地系統における最大遮断時間

U

o

(V)

a)

遮断時間(秒)

120 0.8 
230 0.4 
277 0.4 
400 0.2

>400 0.1

注記  IEC 60038 に規定する許容範囲内の電圧に対しては,公称値に対する遮断時間を適用す

る。中間値の電圧に対しては,この表中のそれより高い直近の電圧に対する値を用いる。

a)

  U

o

は,対地公称電圧(交流実効値)である。

A.2 

過電流保護装置による電源自動遮断によって保護が達成される条件 

過電流保護装置の特性及び回路インピーダンスは,電気装置内で相導体と保護導体又は露出導電性部分

との間にインピーダンス 0 に近い地絡が生じたとき,規定の時間内(すなわち,5 秒以内又は

表 A.1 の値

以内)に自動的に電源回路が遮断されるようにしなければならない。この要求は,次の式が成り立てば満

足される。

Z

s

×I

a

U

o

ここに,

Z

s

電源,電源から地絡点までの充電導体,及び地絡点から電源
までの保護導体からなる地絡ループのインピーダンス

I

a

規定時間内に保護装置を自動的に作動(遮断)させる地絡電

U

o

接地電位に対する交流公称電圧

地絡電流による温度上昇によって導体抵抗が上昇することを考慮しなければならない(A.4.3 も参照)

注記  地絡電流の計算に関する情報は,例えば,IEC 60909 規格群又は地絡保護装置製造業者から得

ることができる。

A.3 

接触電圧を 50 V 以下に抑える保護の条件 

A.2

の要求事項を満たせず,危険な接触電圧に対する保護として追加の保護ボンディングを行う場合,

この保護方策に必要な条件は,接触電圧を 50 V 以下に低減し,保護回路のインピーダンス Z

PE

が次の式の

値を超えないことである。

S

o

PE

50

Z

U

Z

×

ここに,

Z

PE

機械及び電気装置内の機器と PE 端子との間を接続する保護ボ
ンディング回路(

5.2

及び

図 3

参照)のインピーダンス,又は

同時に接触できる露出導電性部分若しくは外部導電性部分間
のインピーダンス

この条件の確認には,

18.2.2

試験 1

の R

PE

を測定する方法を用いることができる。R

PE

が次の式の値を

超えなければ,保護の条件を満たすといえる。

( )

s

5

a

PE

50

I

R

ここに,  I

a(5s)

: 保護機器が 5 秒で作動する電流

R

PE

機械及び電気装置内の機器と PE 端子との間の保護ボンディン
グ回路(5.2 及び

図 参照)の抵抗,又は同時に接触できる露

出導電性部分若しくは外部導電性部分間の抵抗


92

B 9960-32

:2011

注記 1  追加の保護ボンディングは,間接接触保護における追加方策とみなされる。

注記 2  追加の保護ボンディングは,機械及び電気装置の全体を対象にすることもあり,一部に対し

て実施することもある。

A.4 

電源自動遮断による保護が達成される条件の検証 

A.4.1 

一般事項 

A.2

に従う電源自動遮断による間接接触保護方策の有効性の検証は,次の二つによって行う。

−  遮断器の公称作動電流設定値及びヒューズの電流定格の目視検査による当該保護装置の特性検査

−  地絡ループインピーダンス Z

s

の測定

例外  地絡ループインピーダンス又は保護導体の抵抗の計算値があり,かつ,据付け状態で保護導体

の長さ及び断面積を目視検査できる場合は,測定を省略し保護導体の導通性を検査するだけで

よい。

A.4.2 

地絡ループインピーダンスの測定 

地絡ループインピーダンスの測定は,IEC 61557-3 に適合する測定器を用いて行わなければならない。

測定器の説明書に与えられている測定精度及び測定手順を考慮しなければならない。

機械の運転に用いる電源と同じ周波数の電源に接続して測定しなければならない。

注記 1  機械の地絡ループインピーダンス測定の一例を図 A.1 に示す。試験中に電動機が接続されて

いることが実際的でない場合は,試験に供しない二つの相導体を,例えば,ヒューズを外す

などして開放してもよい。

注記 2  地絡ループインピーダンスの測定は,コンバータ駆動の場合,通常はコンバータの上流にお

いてだけ可能であって,コンバータと電動機との間のインピーダンスは測定できない(IEC 

61800-5-1

参照)

図 A.1 において,M は,IEC 61800 規格群がいう PDS(power drive system)

を表すものと理解する。

地絡ループインピーダンスの測定値は,A.2 の条件に適合しなければならない。

A.4.3 

導体抵抗の測定値と短絡状態の実際値との違いに対する考慮 

注記  測定は,常温において低電流によって行うので,A.2 の要求に対する適合性を検証するには,

地絡電流によって導体が温度上昇することによる抵抗増加を考慮する必要がある。

地絡電流による導体の温度上昇に伴う抵抗増加は,次の式で考慮する。

( )

a

o

m

s

3

2

I

U

Z

×

ここに,  Z

s(m)

: Z

s

の測定値

地絡ループインピーダンスが 2U

o

/3I

a

を超える場合の更に詳しい評価は,JIS C 60364-6 の C.61.3.6.3 の手

順に従って行うことができる。


93

B 9960-32

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L1

IEC 61557-3

よる地絡ループ
インピーダンス
試験器

PE

PE

M

巻上機械の電気装置

電源

Z

FL

電気装置内の
他の回路へ

L2 
L3

図 A.1−地絡ループインピーダンス測定の例


94

B 9960-32

:2011

附属書 B

(参考)

巻上機械の電気装置のための調査書

序文

この附属書は,巻上機械の電気装置の供給者及び使用者の便宜のために参考として示すものであって,

規格の一部ではない。

B.1

巻上機械の電気装置の使用者及び供給者は,次の表(調査書)に示す情報を確認することが望まし

い。この確認は,巻上機械の電気装置の適切な設計,適用及び利用を可能にするために,使用者と供給者

との間で基本条件及び使用者の追加要求事項を確認し合うために有益である(4.1 参照)

調査項目

記入欄

製造業者名・供給者名

最終使用者名

見積番号・発注番号

日付

機械の形式

製造番号

特殊条件(箇条 参照)

a)

この巻上機械は,屋外で使用されるか

はい

いいえ

b)

この巻上機械は,爆発性,引火性その他の危

険性のある材料を取り扱うか

はい/いいえ

は い の 場

合は詳細

c)

この巻上機械は,爆発性又は可燃性雰囲気の

中で使用するか

はい/いいえ

は い の 場

合は詳細

d)

この巻上機械は,鉱内で使用するか

はい

いいえ

電源に関する条件(4.3 参照)

a)

予想される電圧変動(±10 %を超える場合)

b)

予想される周波数変動(±2 %を超える場合) 連続

短時間

c)

将来電気装置の変更によって追加を必要とす

る電源条件があれば記入する。

d)

箇条 に規定する値より長い瞬時停電のある

電源条件で正常運転を続ける必要があるなら
ば,その瞬停時間を明示する。

物理環境及び運転条件(4.4 参照)

a)

電磁環境(4.4.2 参照)

住宅,商業又は

軽工業環境

工業環境

特別な条件又は要求

b)

周囲温度範囲

c)

湿度範囲

d)

高度(海抜)

e)

特別な環境条件(例えば,腐食性雰囲気,ほ

こり,湿潤な環境)

f)

放射線

g)

振動,衝撃

h)

据付け及び運転の特別な要求事項(例えば,
ケーブル及び導体の難燃性要求事項)


95

B 9960-32

:2011

調査項目

記入欄

i)

輸送及び保管(例えば,4.5 に規定する範囲外
の温度)

入力電源 

各電源の仕様を記入する。

a)

公称電圧(V)

交流

直流

交流の場合

相数

周波数

機械との電源接続点における予想短絡電流(この
表の も参照)

kA r.m.s.

b)

供給電源の接地系統(JIS C 60364-1 参照) TN:電源の 1 点

を 直 接 接 地 し て

い て , 保 護 導 体
(PE)がその点に
直 接 接 続 さ れ て

いる接地系統。接
地点が中性点(Y
形 結 線 の 中 点 )

か,他の点かを指
定する。

 TT:電源の 1 点を

直 接 接 地 し て い

るが,機械の保護
導体(PE)は電源
系 統 の 接 地 点 に

接 続 さ れ て い な
い接地系統。

IT:電源を直接接
地しない系統。

c)

電気装置を電源の中性線(N)に接続するか

5.1 参照)

はい

いいえ

d)

クレーン電源スイッチ

中性線(N)の断路が必要か

はい

いいえ

中性線(N)の断路に刃形開閉器を必要とするか

はい

いいえ

用意すべきクレーン電源スイッチの形式は

感電保護(箇条 参照)

a)

装置の通常運転中,エンクロージャ内にアク

セスする人の技量レベルは

熟練電気技術者

電気作業員

b)

ドア又はカバーを施錠するキー(抜取り式で

別の場所に保管できる。)を付けるか(6.2.2
参照)

はい

いいえ

c)

間接接触保護のための漏電遮断器を電気装置

に設けるか(6.3.3 参照)

はい/いいえ

は い の 場 合 は そ

の特性

装置の保護(箇条 参照)

a)

使用者又は供給者が,給電線導体(電気装置
の構成外)のための過電流保護機器を用意す

るか(7.2.2 参照)

はい

いいえ

過電流保護機器の形式及び定格

形式

定格

b)

供給電源に直接接続して直入れ始動する三相
誘導電動機の最大出力(kW)は

c)

電動機の過負荷検出機器の数は相数より減ら
してよいか(7.3 参照)

はい

いいえ

運転 

ケーブルレス制御において,正しい信号がなくな

ってから自動的に機械を遮断するまでの時間は何
秒とするか(9.2.7.3 参照)

オペレータインタフェース機器及び巻上機械に

取り付けた制御機器(箇条 10 参照)


96

B 9960-32

:2011

調査項目

記入欄

特別な色の選択(例えば,既に存在する機械に合
わせるなど)

起動

停止

その他

制御装置 

エンクロージャの保護等級(11.3 参照)又は特別
な条件

10 

配線(箇条 13 参照)

導体識別に特別な方法を用いるか(13.2.1 参照)

はい

いいえ

その形式

11 

附属品及び照明(箇条 15 参照)

a)

特別なタイプのコンセントが必要か

はい

いいえ

そのタイプ

b)

保全用コンセントに漏電電流保護装置(RCD)
を用いる追加の保護が必要か

はい

いいえ

c)

巻上機械の局部照明について

最大許容電圧 V

照 明 回 路 電 圧 を
電 源 か ら 直 接 と

らない場合,望ま
し い 電 圧 は 幾 ら
かを記入

12 

マーキング,警告標識及び略号(箇条 16 参照)

a)

機能表示(16.3 参照)

詳細仕様

b)

刻印,特殊マーキング

電 気 装 置 に 付 け
るか

言語は

c)

認証マークは必要か

はい

いいえ

認証機関は

13 

技術文書(箇条 17 参照)

a)

技術文書(17.1 参照)

媒体は

言語は

b)

使用者が準備するダクト,開放形ケーブルト
レイ又はケーブル支持物の寸法,配置及び用
途(17.5 参照)

c)

巻上機械又は制御装置を据付け場所まで輸送
するときの寸法及び質量に対する特別の制限

があれば記入する。

最大寸法

最大質量

14 

巻上機械の想定負荷サイクル(12.4 及び附属書

D

参照)

1 時間当たりの平均作動回数は 
(荷のつり上げで始まって,次の荷がつり上げ可
能になるまでの全工程を 1 回と数える。全ての方
向への動きを含む。

1 回の(次の休止期間までの)平均作動持続時間

休止期間の長さは


97

B 9960-32

:2011

附属書 C

(参考)

巻上機械電気装置の導体及びケーブルの電流容量及び過電流保護

序文

この附属書は,参考であって,規格の一部ではない。

この附属書の目的は,

表 の条件(箇条 12 参照)を変更する必要がある場合,導体サイズの選定に関す

る追加情報を提供することである(

表 の注記を参照)。

C.1 

一般使用条件 

C.1.1 

周囲温度 

表 の PVC 絶縁導体の電流容量は,周囲温度が 40  ℃の場合のものである。他の周囲温度の場合には,

表 C.1 に示す係数を用いてその値を補正できる。

ゴム絶縁ケーブルの補正係数は,製造業者が指定するものを用いる。

表 C.1−電流容量補正係数

周囲温度  ℃

補正係数

30 1.15 
35 1.08 
40 1.00 
45 0.91 
50 0.82 
55 0.71 
60 0.58

注記  補正係数は JIS C 60364-5-52 からの引用である。

PVC の通常時の最高許容温度は 70  ℃である。

C.1.2 

布設方法 

エンクロージャと各電気用品との間の導体及びケーブルの布設方法は,

図 C.1 及び次に示す方法が代表

的なものである(布設方法の分類記号は,JIS C 60364-5-52 による。

方法 B1:  導体又は単心ケーブルを保持・保護するために,電線管(3.8 参照)及びケーブルトランキ

ング(3.6 参照)を用いる。

方法 B2: B1 と同じであるが,多心ケーブルに用いる。

方法 C  :  開放壁面上に,隙間なく水平又は垂直に多心ケーブルを布設する。

方法 E  :  開放ケーブルトレイ(3.5 参照)上に,垂直又は水平に多心ケーブルを布設する。


98

B 9960-32

:2011

B1

電線管及びケーブルトランキング内に布設する導体及び単心ケーブル 

B2

電線管及びケーブルトランキング内に布設する多心ケーブル 

C

E

側面に沿わせるケーブル 

開放ケーブルトレイ上に布設するケーブル 

図 C.1−導体及びケーブルの布設方法(条数を規定する図ではない。)

C.1.3 

密集布設(グループ布設) 

布設するケーブル内又は束線内の負荷電流を流す導体の回路数又はペア数が,

表 に示す条件より多い

場合には,

表 に示す I

z

の値又はケーブル製造業者が示す許容電流値から

表 C.2 及び表 C.3 に従って低減

できる。

注記  I

b

(設計電流)が I

z

(電流容量)の 30 %を超えない回路では低減する必要はない。


99

B 9960-32

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表 C.2−密集布設する場合に適用する,基準の I

z

からの低減率

a)

布設方法

図 C.1 参照)

負荷電流を流す導体,ケーブルの数

2 4 6 9

B1:(単心の場合)及び B2:(多心ケーブルの場合)

0.80 0.65 0.57 0.50

C: 隙間なく布設した単層ケーブル

0.85 0.75 0.72 0.70

E: 孔のあいたケーブルトレイ

b)

(一つ)の上に隙間なく布設

した単層ケーブル

0.88 0.77 0.73 0.72

E: 垂直に 300 mm 間隔で 2∼3 段に配置した,孔のあいたケー

ブルトレイ

b)

の上に隙間なく布設した単層ケーブル

0.86 0.76 0.71 0.66

0.5 mm

2

以下の制御回路のペア線(布設方法を問わない。

)  0.76 0.57 0.48 0.40

注記 1  この表の係数は,次のものに適用できる。

−  各心に均等な負荷電流を流すケーブル,平衡負荷電流を流す導体ペア 
−  同じ許容最高使用温度をもつ絶縁導体及びケーブルのグループ

注記 2  この表の係数は,次にも適用できる。

−  2 条又は 3 条の単心ケーブルのグループ 
−  多心ケーブル

a)

  この表の係数は,JIS C 60364-5-52 からの引用である。

b)

  孔のあいたケーブルトレイ(打抜き形トレイ)とは,孔の面積が底面の 30 %以上を占めるトレ

イをいう(JIS C 60364-5-52 による。

表 C.3−多心ケーブルに適用する,基準の I

z

からの低減率

a)

(導体断面積 10 mm

2

以下)

負荷電流を流す単線又は

ペア線の数

断面積>1 mm

2

の導体

断面積 0.25∼0.75 mm

2

ペア線

1

− 1.0

3 1.0  − 
5 0.75 0.39 
7 0.65 0.34

10 0.55 0.29 
24 0.40 0.21

注記  密集布設する場合の低減率は,表 C.2 を参照。 

a)

  係数は,JIS C 60364-5-52 から導かれている。係数は,均等に負荷電流が

流れる単線又はペア線の多心ケーブルに適用する。

C.2 

導体と過負荷保護機器との協調 

図 C.2 に,導体のパラメタと過負荷保護機器のパラメタとの関係を示す。

図 C.2−導体及び保護機器のパラメタ

ケーブル保護機能が正しく作動するためには,保護機器(例えば,過電流保護機器,電動機過負荷保護

電流容量 I

z

導体の 
パラメタ

保護機器の

パラメタ

公称電流又は 
設定電流 I

n

トリップ電流 I

2

の許容範囲

1.45×I

z

I (A)

設計電流 I

b


100

B 9960-32

:2011

機器)の過負荷に対する特性が次の条件を満たす必要がある。

I

b

I

n

I

z

I

2

≦1.45×I

z

ここに,

I

b

回路の設計電流

I

z

実際の使用状態において

表 に従って連続通電するケーブル

の実効電流容量(A) 
−  温度に対する I

z

の低減率は,

表 C.1 を参照。

−  密集布設に対する I

z

の低減率は,

表 C.2 を参照。

−  多心ケーブルに対する I

z

の低減率は,

表 C.3 を参照。

I

n

保護装置の公称電流

注記 1  作動電流値を調整できる保護装置の公称電流 I

n

は,採用

した設定値である。

I

2

保護装置が規定の時間内(例えば,63 A 以下の保護装置に対
して 1 時間以内)に有効に作動することを保証する最小電流

保護装置が有効に作動する電流の最小値 I

2

は,製品規格又は製造業者から入手する。

注記 2  短絡保護装置による短絡保護を備えている場合は,電動機回路の導体の過電流保護は,電動

機過負荷保護によって行うことができる。

過負荷保護及び短絡電流保護の両方の機能を備えた保護装置を,C.2 に従って導体の過負

荷保護に用いることは,全てのケース(例えば,I

2

以下の電流による過負荷)に対して完全

な保護を保証できるわけではなく,それが経済的な解決策になるとは限らないため,I

2

以下

の電流による過負荷があり得る場合には,このような装置は不向きである。

C.3 

導体の過電流保護 

全ての導体は,充電導体の回路に組み込んだ保護機器によって,過電流から保護する必要がある(7.2

参照)

保護は,

導体温度が最大許容温度に達する前に導体を流れる短絡電流を遮断することによって行う。

注記  中性線については 7.2.3(第 3 段落)を参照。

表 C.4−定常時及び短絡時の最高許容導体温度

単位  ℃

絶縁体の種類

定常時の

最高許容導体温度

短絡時の

短時間最高許容導体温度

a)

ビニル(PVC) 70

160

ゴム 60

200

架橋ポリエチレン(XLPE) 90 250

エチレンプロピレンゴム混合物(EPR)

90 250

シリコンゴム(SiR) 180

350

注記  短時間導体温度が 200  ℃を超える用途には,すず(錫)めっき又はめっきなしの銅導体は

適さない。銀めっき又はニッケルめっきの銅導体は 200  ℃を超える用途に適する。

a)

  短絡時の許容値は,経過時間 5 秒以内の断熱作用に基づくものである。


101

B 9960-32

:2011

実際に 7.2 の要求事項を満足するには,電流 を保護機器が 秒(ただし,5 秒を超えてはならない。

以内に遮断すればよい。時間 t(秒)は,次の式から求める。

t

=(k×S/I)

2

ここに,

S

断面積(mm

2

I

短絡電流(A)  交流の場合は実効値

k

銅導体の係数  絶縁物によって次の値をとる。

PVC 115 
ゴム 141 
XLPE 143 
EPR 143 
SiR 132

特性 gG 及び gM(JIS C 8269-1 参照)のヒューズ及び IEC 60898 による特性 B 及び C の回路遮断器を用

いる場合,

表 によって公称電流 I

n

が I

n

I

z

となるように導体を選定すれば,

表 C.4 の温度限界値を超え

ないことが保証される。


102

B 9960-32

:2011

附属書 D

(参考)

間欠負荷で用いる電線の選定

序文

この附属書は,参考であって,規格の一部ではない。

D.1 

一般事項 

電線サイズの選定に負荷サイクル及び電線の熱時定数が影響する場合には,電線製造業者と相談するこ

とが望ましい。間欠負荷に用いる電線は,電線製造業者の推奨に従って選定することが望ましい。製造業

者の推奨がない場合には,この附属書に示す基準を用いることができる。

D.2

に示す方法は,負荷サイクルがオン時間とオフ時間とで構成されることを前提とする。オン時間中

は一定の電流が流れ,オフ時間中は電流が流れないものとする。1 サイクルの長さ(オン時間+オフ時間)

は 10 分と仮定する。

1 サイクルの長さが 10 分以外の場合は,D.3 によって求める。

用途によってはオン時間中の電流値が変化することもあり,1 サイクルの長さが変化することもある。

このような変化に対して熱的に等価な電流は,D.4 によって求める。

D.2 1

サイクルの長さが 10 分の間欠負荷 

間欠負荷用の電線の選定は,電線製造業者が推奨する基準に従うことが望ましい。製造業者の推奨がな

い場合には,次に示す基準を用いることができる。

表 D.1 は,1 サイクルの長さ 10 分の間欠負荷に用いる電線の電流容量補正係数 f

ED

を示す。

補正係数は,負荷サイクルの持続状況及び導体の熱時定数に依存する。1 サイクルの長さは,オン時間

の長さ(Ta)及びオフ時間の長さ(Ti)の和である。

表 D.1サイクルの長さ 10 分の間欠負荷に用いる補正係数 f

ED

断面積(mm

2

Ta/(Ta

Ti)=0.6

Ta/(Ta

Ti)=0.4

Ta/(Ta

Ti)=0.25

Ta/(Ta

Ti)=0.15

1.5

1.044 1.120 1.265 1.505

2.5

1.058 1.150 1.315 1.580

4 1.075 1.183 1.369 1.660 
6 1.092 1.215 1.421 1.737

10 1.116 1.260 1.493 1.842 
16 1.139 1.303 1.561 1.942 
25 1.161 1.344 1.626 2.037 
35 1.177 1.373 1.673 2.105 
50 1.193 1.403 1.719 2.173 
70 1.207 1.429 1.760 2.231 
95 1.219 1.450 1.793 2.280

120 1.227 1.464 1.816 2.314 
150 1.234 1.477 1.836 2.343 
185 1.240 1.488 1.854 2.369 
240 1.247 1.501 1.874 2.397 
300 1.252 1.510 1.888 2.419


103

B 9960-32

:2011

D.3 1

サイクルの長さが 10 分以外の間欠負荷 

1 サイクルの長さが 10 分より短い場合は,表 D.1 の係数より大きな補正係数を用いることができ,10

分より長い場合は

表 D.1 の係数より小さな補正係数を用いなければならない。任意の Ta 及び Ti に対する

補正係数 f

ED

は,次の式によって求める。

T

T

T

T

T

e

e

f

a

i

a

ED

1

1

+

=

ここに,

T

は電線の熱時定数であって,

表 D.2 の値を用いる。

表 D.2−電線の熱時定数

断面積

(mm

2

1.5  2.5  4  6  10  16

25

35

50

70

95

120

150 185 240 300

T

(分)

2.7 3.1 3.6 4.2 5.2 6.4

7.9

9.4

11.3 13.6 16.1 18.4 21.0 23.7 27.7 31.8

D.4 

熱的な等価電流の計算 

間欠負荷(例えば,電動機の頻繁な運転停止)に用いる場合には,熱的な等過電流

I

q

に適する電線を選

定することが望ましい。

I

q

は,過電流保護の協調にも用いられる。

I

q

は,次の式によって求める。

s

2

1

q

t

t

I

I

k

k

N

k

×

=

Σ

=

ここに,

I

q

熱的な等価電流

t

s

負荷サイクルの長さ(

s

I

k

各オン時間の電流(

A

t

k

各オン時間の長さ(

s

例えば,

図 D.1 に示す運転サイクルの熱的等価電流は,次の式によって求める。

s

6

2

6

5

2

5

4

2

4

3

2

3

2

2

2

1

2

1

q

t

t

I

t

I

t

I

t

I

t

I

t

I

I

×

+

×

+

×

+

×

+

×

+

×

=


104

B 9960-32

:2011

電動機 
電流

電動機 
出力

電動機 
速度

加速

   定速度

減速

n/min

時間

供給電力

回生電力

I

1

I

2

I

3

加速

t

1

t

2

t

3

t

s

n/min

     定速度

     減速

I

4

t

4

t

5

t

6

I

5

I

6

時間

図 D.1−交流の可変速巻上げ駆動部の運転サイクル中の電流変化の例


105

B 9960-32

:2011

附属書 E

(参考)

非常操作機能の説明

序文

この附属書は,参考であって,規格の一部ではない。

非常操作機能の理解を助けるために,次に非常操作の関連用語を示す。ただし,この規格では,この中

の二つの用語だけを用いている。

E.1 

非常操作 

非常操作には,次の単独操作又は組合せ操作がある。

非常停止

非常起動

非常電源遮断

非常電源投入

E.2 

非常停止 

危険になったプロセス又は運動を停止させるための非常操作。

E.3 

非常起動 

危険状態を除くため又は避けるために,プロセス又は運動を開始するための非常操作。

E.4 

非常電源遮断 

感電のリスク又は電気に起因するその他のリスクが発生した設備の全体又はその一部に対し,電気エネ

ルギーの供給を遮断するための非常操作。

E.5 

非常電源投入 

ある設備のうち非常時に用いることが目的の部分に,電気エネルギーを供給するための非常操作。


106

B 9960-32

:2011

附属書 F

(参考)

代表的導体断面積の比較表

序文

この附属書は,参考であって,規格の一部ではない。

F.1 

導体断面積の比較表 

表 F.1 は,導体サイズ及びアメリカンワイヤーゲージ(

AWG

)番号と,導体断面積(

mm

2

in

2

,及び

サーキュラーミル

14)

の比較を示す。

14)

サーキュラーミル(

circular mil

)は,直径

0.001 in

(インチ)の円の断面積を

1

単位として表す

導体断面積である。

表 F.1−導体サイズの比較

導体サイズ

ゲージ No.

断面積

銅の直流抵抗

(20  ℃)

サーキュラー

ミル

mm

2

 AWG mm

2

 in

2

Ω/km

0.2

 0.196

0.000

304

91.62  387

 24

0.205

0.000

317

87.60 404

0.3

 0.283

0.000

438

63.46  558

 22

0.324

0.000

504

55.44 640

0.5

 0.500

0.000

775

36.70  987

 20

0.519

0.000

802

34.45

1

020

0.75

 0.750

0.001

162

24.80  1

480

 18

0.823

0.001

272

20.95

1

620

1.0

 1.000

0.001

550

18.20  1

973

 16

1.31

0.002

026

13.19

2

580

1.5

 1.500

0.002

325

12.20  2

960

 14

2.08

0.003

228

8.442

4

110

2.5

 2.500

0.003

875

7.56  4

934

 12

3.31

0.005

129

5.315

6

530

4

 4.000

0.006

200

4.700 7

894

10

5.26

0.008 152

3.335

10 380

6

 6.000

0.009

300

3.110

11

841

8

8.37

0.012 967

2.093

16 510

10

10.000

0.015 500

1.840

19 735

6

13.3

0.020 610

1.320

26 240

16

16.000

0.024 800

1.160

31 576

4

21.1

0.032 780

0.829 5

41 740

25

25.000

0.038 800

0.734 0

49 338

2

33.6

0.052 100

0.521 1

66 360

35

35.000

0.054 200

0.529 0

69 073

1

42.4

0.065 700

0.413 9

83 690

50

47.000

0.072 800

0.391 0

92 756


107

B 9960-32

:2011

20

℃以外の温度における抵抗値は,次の式によって求める。

R

R

1

[1

0.003 93(

t

20)]

ここに,

R

1

20

℃における抵抗値(

R

℃における抵抗値(


108

B 9960-32

:2011

附属書 JA

(規定)

TT

接地系統における間接接触保護

序文

この附属書は,対応国際規格 IEC 60204-32

:2008

にはないものである。

この附属書は,

TT

接地系統の電源を用いる場合の間接接触保護について規定する。この附属書は,JIS C 

60364-4-41

及び JIS C 60364-6 に基づいている。

TT

接地系統は,我が国で標準的に用いられる接地系統で

ある。

JA.1 

漏電遮断器による電源自動遮断 

間接接触に対する保護を,漏電検出及び電源自動遮断によって行う場合は,保護対象の装置内で充電部

と露出導電性部分又は保護導体との間に絶縁故障(漏電)が発生したとき,十分短い時間内に電源を自動

的に遮断しなければならない。

電源自動遮断は,次の式を満足しなければならない。

R

A

×I

a

50 V

ここに,

R

A

露出導電性部分に接続する保護導体の抵抗と接地極の接地抵
抗との合計(

I

a

保護機器の定格作動電流(

A

保護機器が漏電遮断器である場合,I

a

は定格感度電流 I

Δn

である。

保護機器が過電流保護機器である場合,I

a

は次のいずれかとする。

反限時特性をもつ保護機器では,I

a

5

秒以内に自動遮断を可能にする電流,又は

瞬時引外し特性をもつ保護機器では,I

a

は瞬時引外しを可能にする最小電流とする。

この条件を満たすことができない場合,補助等電位ボンディングを実施しなければならない。

注記

過電流保護機器を

TT

接地系統の間接接触保護に使用できるのは,R

A

が非常に低い場合だけで

ある。一般に漏電遮断器の I

a

mA

のオーダであるのに対し,過電流保護機器の I

a

A

のオー

ダ(始動時の負荷電流よりも大きく設定する必要がある。

)であるから,一般に過電流保護機器

によって上記の式の条件を満たすことは困難である。例えば,I

a

50 A

とした場合は,R

A

1 Ω

以下にしなければならないが,

1  Ω

以下の接地抵抗を得ることは,一般には簡単でない。した

がって,

TT

接地系統の間接接触保護は,一般に漏電遮断器によって行われる。

表 JA.1 は,

TT

接地系統における間接接触保護のために,推定接触電圧(U

t

)に対して漏電遮断器の許

容最大遮断時間を規定する。ただし,露出導電性部分は,電気設備技術基準(強制法規)で規定される

C

種接地工事(接地抵抗値

10  Ω

以下)又は

D

種接地工事(接地抵抗値

100  Ω

以下)によって接地されてい

るものとする。


109

B 9960-32

:2011

表 JA.1TT 接地系統における漏電遮断器の許容最大遮断時間

U

t

(V)

遮断時間(秒)

120 0.33 
230 0.16 
277 0.13 
400 0.07 
500 0.04

注記  U

t

は,間接接触時の推定接触電圧(交流実効値)である。間接接触時の推定接触電圧

U

t

が推定できない場合には,対地公称電圧 U

o

(交流実効値)を適用できる。中間値の

電圧に対しては,表中のそれより高い直近の電圧に対する遮断時間を適用する。

JA.2 

漏電遮断器による電源自動遮断によって保護が達成される条件の検証 

JA.1

に示す漏電遮断器を用いた電源自動遮断による間接接触保護方策の有効性の検証には,少なくとも

次のことを実施しなければならない。

漏電遮断器の定格感度電流値及び漏電引外し時間の目視検査,漏電遮断器の作動テスト,並びに漏電

遮断器及び保護ボンディング回路の接続ポイントの確実な接続(溶接,ねじ締めトルク)の確認

電気装置の露出導電性部分を接地する接地極の接地抵抗の測定(

100 Ω

以下であること。

例外

接地極が

D

種接地の要求接地抵抗値(接地抵抗

100 Ω

以下)に管理され,保護導体の抵抗の計

算値があり,かつ,据付け状態で外部保護導体の長さ及び断面積を検査できる場合は,保護導

体の導通(接続)を確認するだけでよい。

注記

接地抵抗の測定方法が JIS C 60364-6 

附属書 に記載されている。


110

B 9960-32

:2011

附属書 JB

(参考)

JIS C 3307

に規定する 600 V ビニル絶縁電線の許容電流

序文

この附属書は,対応国際規格 IEC 60204-32

:2008

にはないものである。

この附属書は,この規格使用者の利便のために記載するものであって,規格の一部ではない。

JB.1 

許容電流表 

表 JB.1 は,JIS C 3307 に規定する

600 V

ビニル電線の公称断面積又は導体径と布設条件に対する許容電

流を示している。

表 JB.1 の内容は,JIS B 6015 の附属書 4  表 と同じである。

表 JB.1JIS C 3307 に規定する 600 V ビニル絶縁電線の許容電流(周囲温度 40  ℃時)

単位  A

線種

公称断面積

(mm

2

導体径

(mm)

露出

配線

管内配線で同一管内に収める電線数

3 以下

4 5∼6 7∼15

16∼40 41∼60 61 以上

より︵撚︶線

0.9    14 10 9 8 6 5 5 5 
1.25   15 10 9 9 7 6 5 5 
2.0    22 15 14 12 10 10  9  7 
3.5    30 21 19 17 14 13 11 10 
5.5    40 28 25 22 19 17 15 13 
8

  50 34 31 28 24 21 19 17

14

  72 50 45 40 35 31 28 24

22

  94 65 59 52 45 40 36 32

38

  133 92 83 73 64 57 51 45

60

  178 124 111 99 86 76 69 60

100

  244 171 154 137 120 105  95  83

150

  324 225 203 180 157 139 125 109

200

  383 268 241 214 188 165 149 130

250

  456 317 286 254 222 195 177 154

325

  533 371 334 297 259 228 207 180

400

  611 425 383 340 298 261 237 206

500

  690 481 432 384 336 295 268 233

単線

1.0 13 9 8 7 6 5.6

5.3

4.5

1.2 16 10 10 8 7 6 5 5

1.6  22 15 14 12 10 10  9  7

2.0  29 19 18 15 14 12 11 10

2.6  39 27 24 22 19 17 15 14

3.2  51 35 31 28 24 22 19 17

 4.0

66

 5.0

88

注記  同一管内に収める電線数は,中性線,接地線及び制御回路の電線を含まない。


111

B 9960-32

:2011

参考文献

JIS B 6015

:2005

  工作機械−電気装置通則

JIS B 9704-1

:2006

  機械類の安全性−電気的検知保護設備−第

1

部:一般要求事項及び試験

注記

対応国際規格:IEC 61496-1

:2004

Safety of machinery

Electro-sensitive protective equipment

Part

1: General requirements and tests

IDT

JIS B 9714

:2006

  機械類の安全性−予期しない起動の防止

注記

対応国際規格:ISO 14118

:2000

Safety of machinery

Prevention of unexpected start-up

IDT

JIS B 9960-11

:2004

  機械類の安全性−機械の電気装置−第

11

部:交流

1 000 V

又は直流

1 500 V

を超え

36

kV

以下の高電圧装置に対する要求事項

注記

対応国際規格:IEC 60204-11

:2000

Safety of machinery

Electrical equipment of machines

Part 11:

Requirements for HV equipment for voltages above 1 000 V a.c. or 1 500 V d.c. and not exceeding 36

kV

MOD

JIS C 3307

:2000

600V

ビニル絶縁電線(

IV

JIS C 3664

:2007

  絶縁ケーブルの導体

注記

対応国際規格:IEC 60228

:2004

Conductors of insulated cables

IDT

JIS C 8201-5-2

:2009

  低圧開閉装置及び制御装置−第

5

部:制御回路機器及び開閉素子−第

2

節:近接ス

イッチ

注記

対応国際規格:IEC 60947-5-2

:2007

Low-voltage switchgear and controlgear

Part 5-2: Control

circuit devices and switching elements

Proximity switches

IDT

JIS C 8269-1

:2000

  低電圧ヒューズ−第

1

部:一般要求事項

注記

対応国際規格:IEC 60269-1

:1986

Low-voltage fuses. Part 1: General requirements

Amd.1:1994

Amd.2:1995

IDT

JIS C 8282-1

:2010

  家庭用及びこれに類する用途のプラグ及びコンセント−第

1

部:一般要求事項

注記

対応国際規格:IEC 60884-1

:2002

Plugs and socket-outlets for household and similar purposes

Part

1: General requirements

及び

Amd.1:2006

MOD

JIS C 60364

規格群  低圧(建築)電気設備

注記

対応国際規格:IEC 60364

 (all parts)

Low-voltage electrical installations

IDT

JIS C 61000-6-1

:2008

  電磁両立性−第

6-1

部:共通規格−住宅,商業及び軽工業環境におけるイミュニテ

注記

対応国際規格:IEC 61000-6-1

:2005

Electromagnetic compatibility (EMC)

Part 6-1: Generic

standards

Immunity for residential, commercial and light-industrial environments

IDT

JIS C 61000-6-2

:2008

  電磁両立性−第

6-2

部:共通規格−工業環境におけるイミュニティ

注記

対応国際規格:IEC 61000-6-2

:2005

Electromagnetic compatibility (EMC)

Part 6-2: Generic

standards

Immunity for industrial environments

MOD

JIS C 61558-2-17

:2008

  変圧器,電源装置,リアクトル及びこれに類する装置の安全性−第

2-17

部:スイ

ッチモード電源装置用変圧器の個別要求事項

注記

対応国際規格:IEC 61558-2-17

:1997

Safety of power transformers, power supply units and similar

Part 2: Particular requirements for transformers for switch mode power supplies

MOD


112

B 9960-32

:2011

IEC 60034

 (all parts)

Rotating electrical machines

IEC 60038

IEC standard voltages

IEC 60050-191

International Electrotechnical Vocabulary. Chapter 191: Dependability and quality of service

IEC 60050-195

International Electrotechnical Vocabulary

Part 195: Earthing and protection against electric shock

IEC 60050-411

International Electrotechnical Vocabulary

Chapter 411: Rotating machinery

IEC 60050-441

International Electrotechnical Vocabulary. Switchgear, controlgear and fuses

IEC 60050-442

International Electrotechnical Vocabulary

Part 442: Electrical accessories

IEC 60050-826

International Electrotechnical Vocabulary

Part 826: Electrical installations

IEC 60287

 (all parts)

Electric cables

Calculation of the current rating

IEC 60320-1

Appliance couplers for household and similar general purposes

Part 1: General requirements

IEC 60335

 (all parts)

Household and similar electrical appliances

Safety

IEC 60449

Voltage bands for electrical installations of buildings

IEC 60757

Code for designation of colours

IEC 60870-5-1

Telecontrol equipment and systems

Part 5: Transmission protocols

Section One: Transmission

frame formats

IEC 60909

 (all parts)

Short-circuit currents in three-phase a.c. systems

IEC/TR 61000-5-2

Electromagnetic compatibility (EMC)

Part 5: Installation and mitigation guidelines

Section

2: Earthing and cabling

IEC 61000-6-3

:2006

Electromagnetic compatibility (EMC)

Part 6-3: Generic standards

Emission standard for

residential, commercial and light-industrial environments

IEC 61000-6-4

Electromagnetic compatibility (EMC)

Part 6-4: Generic standards

Emission standard for

industrial environments

IEC 61084

 (all parts)

Cable trunking and ducting systems for electrical installations

IEC 61200

 (all parts)

Electrical installation guide

IEC 61557

 (all parts)

Electrical safety in low voltage distribution systems up to 1 000 V a.c. and 1 500 V d.c.

Equipment for testing, measuring or monitoring of protective measures

IEC 61800

 (all parts)

Adjustable speed electrical power drive systems

IEC 62305

 (all parts)

Protection against lightning

IEC Guide 106

Guide for specifying environmental conditions for equipment performance rating

CENELEC HD 516 S2

Guide to use of low voltage harmonized cables

クレーン構造規格:平成

15

12

19

日厚生労働省告示第

399

クレーン等安全規則:平成

18

1

5

日厚生労働省令第

1


113

B 9960-32

:2011

附属書 JC

(参考)

JIS

と対応国際規格との対比表

JIS B 9960-32:2011

  機械類の安全性−機械の電気装置−第 32 部:巻上機械に対す

る要求事項

IEC 60204-32:2008

  Safety of machinery−Electrical equipment of machines−Part 32:

Requirements for hoisting machines

(I)JIS の規定

(II)

国際
規格
番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条

ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差異

の理由及び今後の対策

箇条番号 
及び題名

内容

箇条
番号

内容

箇条ごと 
の評価

技術的差異の内容

4.2  装 置
(用品)の

選択

関連する日本工業規格又
は IEC 規格があれば,そ

れらに適合するものでな
ければならない。

 4.2

関連する IEC 規格があ
れば,それらに適合する

ものでなければならな
い。

選択

この JIS では,IEC 規格が存在す
る装置(部品)であっても,JIS

適合品があればその使用を認め
る。

国内で JIS 適合品を用いることは
妥当。IEC 規格適合品を排除してい

る訳ではない。

6.3.3  電 源
の自動遮断
による保護

TT 接地系統(国内で主と
して用いられる。)に適用
する許容遮断時間を附属
書 JA に示す。

 6.3.3

TT 接地系統については
言及なし。

追加

欧米では不要であるが日本では

必要な TT 接地系統の規定を追加
した。

欧米は TN 接地系統が標準であり,

日本では TT 接地系統が標準であ
る。IEC 60204-32 Ed.3 には TT を追
加する提案をしたい。参考までに,

IEC 60204-1 Ed.6

及び IEC 60204-33

Ed.1 には提案して反映済みである。

9.3.6  イ ン
バータ駆動
(可変周波

数駆動)

箇条追加。 
インバータ駆動の安全要
求事項を規定。

追加

JIS

ではインバータ駆動固有の

要求事項を追加した。 
インバータ駆動は日本が先導す

る技術である。

IEC 60204-32 Ed.2

に JIS の内容を

追加する提案をしたが実現しなか
った。Ed.3 へ再提案するかは,未

定。

11.5.4  歩道
及び扉の縮

縮小無障害高の最小許容
値 1.8 m。

 11.5.

4

縮小無障害高の最小許
容値 1.4 m。

変更

国内強制規則に合わせた(国際
規格より厳しい。

)。

JIS

は,クレーン等安全規則第 13

条に整合させた。

2

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1

1


114

B 9960-32

:2011

著作権法により無断での複製,転載等は禁止されております。

(I)JIS の規定

(II) 
国際
規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策

箇条番号 
及び題名

内容

箇条
番号

内容

箇条ごと 
の評価

技術的差異の内容

12.1 一般要
求事項

これらの要求事項は,関連

す る 日 本 工 業 規 格 又 は

IEC

規 格 ( 例 え ば , IEC 

60439-1

)に従って製造・

試験されたアセンブリ及
び機器の内部配線には適
用しない。

 12.1

これらの要求事項は,関

連する IEC 規格(例え
ば,IEC 60439-1)に従
って製造・試験されたア

センブリ及び機器の内
部配線には適用しない。

選択

JIS

適合品の内部配線も箇条 12

の適用除外とした(JIS 適合品は

IEC

規格適合品と同等の品質を

もつとみなす。

国内で JIS 適合品を用いることは

妥当。IEC 規格適合品を排除してい
る訳ではない。

12.7.1  直接
接触に対す

る保護

−  歩道,階段,はしご又

は点検台の上方 2.3 m

未満,かつ,側方 1.2 m
未 満 の 位 置 に ト ロ リ
線 を 設 け て は な ら な

い。

−  交流 600 V 超又は直流

750 V 超の ト ロリ 線
は,専用のピット又は
ダ ク ト の 内 部 に 収 め
なければならない。

 12.7.

1

左記事項については規
定なし。

追加

ク レ ー ン 構 造 規 格 の 要 求 を 追
加。

国内強制規格と整合させた。 
国際提案の予定はなし。

16.4  装 置
のマーキン

−  装 置 の 短 絡 電 流 定 格

又 は 主 遮 断 器 の 定 格
短絡遮断容量

−  装 置 の 短 絡 電 流 定

選択

短絡電流定格を表示する代わり
に,主遮断器の定格短絡遮断容
量 を 表 示 し て も よ い こ と と し

た。

IEC

規格では,短絡電流定格の定義

も決定法も確立されていない。これ
を表示しても日本では使用者が理

解できない可能性がある。よって,
従来どおり,短絡遮断容量の表示も
認めることとした。

短絡電流定格を明確化することは,

IEC/TC44

に提起中。

18.1  一 般
事項 
注記

IEC

規格又は日本工業規

格に適合する測定器を用
いることが望ましい。

 18.1

IEC

規格に適合する測

定器を用いることが望
ましい。

選択

この JIS では,JIS 適合の測定器
も推奨に含める。

国内で JIS 適合品を用いることは
妥当。IEC 規格適合品を排除してい
る訳ではない。

2

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B 9960-32

:2011

(I)JIS の規定

(II) 
国際
規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策

箇条番号 
及び題名

内容

箇条
番号

内容

箇条ごと 
の評価

技術的差異の内容

18.2.1  一般
事項

TT 接地系統における検証
法は,附属書 JA による。

 18.2.

1

TT 接地系統における検
証法は,IEC 60364-6 
参照。

追加

JIS

では,他文書の参照によらず

附属書 JA に規定した。

日本の商用電源システムに適合さ

せた。日本では TT 接地系統が標準
である。

IEC 60204-32 Ed.3

には提案予定。

IEC 60204-1 Ed.6

及び IEC 60204-33

Ed.1 には提案して反映済み。

附属書 JA 
(規定)

TT 接地系統における間接
接触保護

追加

附属書 JA は,

日本で使うべき TT

接地系統用の保護規定である。

同上

附属書 JB

(参考)

JIS C 3307

に規定する 600

V ビニル絶縁電線の許容
電流

追加

電線サイズのクラス分けは欧米

と日本では異なる。

附属書 JB は,

日本の標準サイズ電線の許容電
流(布設密集度に対応)を与え

るものである。

日本の標準に適合させた。

国際提案の予定はなし。

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 60204-32:2008,MOD

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

−  追加  国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

−  変更  国際規格の規定内容を変更している。

−  選択  国際規格の規定内容とは異なる規定内容を追加し,それらのいずれかを選択するとしている。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

−  MOD  国際規格を修正している。 

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