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B 9931 : 2000  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによってJIS B 9931 : 1990は改正され,この規格に置き換えられる。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 9931 : 2000 

質量法による作動油汚染の測定方法 

Fluid contamination−Determination of contaminants  

by the gravimetric methods 

序文 この規格は,1991年に第1版として発行されたISO 4405, Hydraulic fluid power−Fluid contamination

−Determination of particulate contamination by the gravimetric methodを翻訳し,トリクロロフルオロエタンに

関する測定を不採用とした以外は,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規

格である。 

なお,点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。 

1. 適用範囲 この規格は,油圧システムに使用されている作動油の汚染度を,二通りの質量法によって

測定する方法を規定する。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。この引用規格は,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成するものであって,その後の改正版・追

補には適用しない。 

ISO 4021 : 1977 Hydraulic fluid power−Particulate contamination analysis−Extration of fluid samples from 

lines of an operating system 

3. 測定の原理 真空状態下で,1枚又は2枚に重ねた同一の薄膜フィルタに,所定量の作動油を通し,

ろ過する。ろ過後の薄膜フィルタの質量の増加又は2枚の薄膜フィルタの質量の差が固体不純物の質量に

相当する。 

4. 測定に用しる装置・器具 測定に用いる装置・器具は,次による。 

a) フィルタ支持台 次の1)〜3)からなる。 

1) 250mL目盛付きガラス製漏斗 

2) 締付具 

3) 焼結ガラス又はステンレス製フィルタ支持台 

b) 漏斗用ふた 例えばペトリ皿 

c) 測定用薄膜フィルタ 測定用薄膜フィルタ(以下,フィルタという。)は,直径47mmで,白色,格

子がないもので,測定する作動油と洗浄用試薬とが共用できるもの。フィルタは,0.8μmの孔径をも

つ。これ以外の孔径のものを使用した場合は,明示する。 

d) 吸引瓶

B 9931 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

e) 吸引ポンプ 吸引ポンプは,86.6kPa (0.866bar) (650mmHg) の真空度が得られるもの。 

f) 

洗浄瓶 洗浄瓶は,薄膜フィルタ付きで,圧力で噴霧することができるもので,試薬又は溶剤をろ過

できるようにしたもの。 

g) ピンセット 先端の平らなステンレス製ピンセット。 

h) ペトリ皿 直径150mmのガラス製のもの。 

i) 

試料瓶 試料瓶は,首の細長いガラス製の容量100mL以上,スクリューキャップ付きで,100mLの

位置に目盛が付いているもの。 

j) 

プラスチックフィルム プラスチックフィルムは,厚さ0.05mm, 50mm四方のもので,キャップと試

料瓶の首にはさむもの。 

k) 質量計 質量計は,感度が0.05mgのもの。 

l) 

乾燥装置 乾燥装置は,非換気形で,80℃が保持できるもの。 

m) 空気イオン化装置 この装置は,秤量操作中にごみの付着を防止するため,フィルタを装着した質量

計の皿の下に置き,下から投射する。 

n) デシケーター 

5. 試薬及び溶剤 試薬及び溶剤は,次による。 

a) 蒸留水又は純水 

b) イソプロピルアルコール 

参考 イソプロピルアルコールは,JIS K 8839[2−プロパノール(試薬)]の1級又はこれと品質が

同等以上のもの。 

c) 石油エーテル 

参考 石油エーテルは,JIS K 8593[石油エーテル試薬)]の1級又はこれと品質が同等以上のもの。 

d) 液体洗剤 液体洗剤は,固体残留物を含まないもの。 

警告 引火点の低い溶剤を使用する場合は,取扱いに注意する。 

有害な溶剤蒸気を吸入しないように,適切な予防措置を施す。 

6. ガラス器具の洗浄手順 ろ過装置と試料瓶の洗浄は,次による。 

a) 中性洗剤 [5.d)] を用いて温水中で十分にガラス器具を洗浄する。 

b) 蒸留水又は純水で3回すすぐ。 

c) ろ過したイソプロピルアルコールで3回すすぎ,水分を除去する。 

d) ろ過した石油エーテルで3回すすぎ,次の手順を実施する。 

1) ろ過装置は,漏斗を15秒間逆さまにして,溶剤を蒸発させる。 

2) 試料瓶は,試料瓶の底部にほんの少し溶剤を残し,首とキャップとの間に,あらかじめ,ろ過した

溶剤ですすいだプラスチックフィルムを挿入してふさぐ。 

備考 溶剤の蒸発によって,試料瓶に圧力がかかっているので,試料瓶を開けたときにゴミの侵入が

防げる。 

7. 試料採取 試料採取は,次による。 

a) 試料は,できる限り測定しようとする作動油を代表するものを採取する。 

個々の協会や研究室ごとに考案される試料採取方法は,繰返し精度が保証されるようにする。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

二つの試料を定期的に集め,試料採取方法を確認し,同一試料を二通りの異なる方法で測定する。 

b) ISO 4021に規定している方法で,作動している油圧システムから100mLの作動油を採取する。 

備考 この試料の量は,汚染の程度に応じて適宜変えてもよい。 

すべての場合において,測定用試料の量は,1%の許容値で明示する。 

8. 測定の手順 

8.1 

フィルタの校正 フィルタの校正は,次による。 

a) ピンセットを用いて,フィルタ容器から2枚のフィルタを取り出し,ボールペンを用いて,1枚には

“E”(測定用フィルタ),他の1枚には“T”(補正用フィルタ)の印を記す。 

b) フィルタの支持台上に,“E”の下に“T”を置き,漏斗を取り付け,これらを締付具によって固定す

る。 

c) 漏斗とフィルタを完全に湿らせるために,十分にろ過した溶剤で漏斗をすすぐ。 

d) フィルタが乾燥するまで吸引する。 

e) 締付具を緩めて,漏斗を取り外し吸引を停止する。 

f) 

清潔なペトリ皿に2枚のフィルタが重ならないようにして入れる。 

g) 80℃の乾燥装置内にペトリ皿を入れ,ペトリ皿のふたを半開きにして,30分間乾燥する。 

h) ペトリ皿をデシケーター内に移し,30分間放置する。 

i) 

フィルタ“E”を,空気イオン化装置の上を移動させてから,質量計に載せて計測し,0.05mgの単位

でフィルタ“E”の質量mE(初期質量)を記録する。 

j) 

フィルタ“T”を,空気イオン化装置の上を移動させてから,質量計に載せて計測し,0.05mgの単位

でフィルタ“E”の質量mT(初期質量)を記録する。 

8.2 

空試験 測定するたびごとに,8.3又は8.4の手順と並行して,同じ手順(8.3又は8.4)で,作動油

だけを除いて,空試験を実施する。 

8.3 

二重膜法 二重膜法の測定手順は,次による。 

a) ピンセットを用いて,フィルタ“T”を下にして2枚のフィルタを支持台に取り付け,締付具によっ

て漏斗を組み立てる。 

b) 試料の入った試料瓶を十分に振とうして,ふたを外す。 

c) 漏斗のふたをはずして,試料瓶の中身を漏斗に注ぐ。 

d) 約50mLのろ過した溶剤を試料瓶に注ぎ,十分に振とうして漏斗に注ぐ。 

e) 漏斗のふたをする。 

f) 

漏斗に2mL程度残すまで吸引する。 

g) 漏斗のふたを外し,洗浄瓶を用いて漏斗の内壁に沿って,溶剤を注ぎふたをする。 

h) フィルタが乾燥するまで吸引する。 

i) 

ふた,締付具及び漏斗を外す。 

j) 

吸引しながら,フィルタ“E”の周辺から,溶剤をジェット状に洗浄瓶から流し,フィルタをすすぐ。

溶剤を500mL以上使用する。 

備考 この作業の目的は,フィルタの沈殿物(汚染要因物)を集めて補正用フィルタのすすぎを十分

に行うことである。 

k) 吸引を停止する。 

l) 

8.1のf)〜h)までの手順を繰り返す。 

B 9931 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

m) フィルタ“E”を,空気イオン化装置の上を移動させてから,質量計に載せて計測し,0.05mgの単位

でフィルタ“E”の質量ME(測定用フィルタの最終質量)を記録する。 

n) フィルタ“T”を,空気イオン化装置の上を移動させてから,質量計に載せて計測し,0.05mgの単位

でフィルタ“E”の質量MT(補正用フィルタの最終質量)を記録する。 

8.4 

単一膜法 フィルタの校正と妥当性の信頼度が,9.1の手順の校正の結果として明らかな場合,次に

示す手順を採用することができる。 

a) ピンセットを用いて,1枚のフィルタを支持台に取り付け,締付具によって漏斗を組み立てる。 

b) 試料の入った試料瓶を十分に振とうして,ふたを外す。 

c) 漏斗のふたを外して,試料瓶の中身を漏斗に注ぐ。 

d) 約50mLのろ過した溶剤を試料瓶に注ぎ,十分に振とうして漏斗に注ぐ。 

e) 漏斗のふたをする。 

f) 

漏斗に約2mL程度残すまで吸引する。 

g) 漏斗のふたを外し,洗浄瓶を用いて漏斗の内壁に沿って,溶剤を注ぎふたをする。 

h) フィルタが乾燥するまで吸引する。 

i) 

ふた,締付具及び漏斗を外す。 

j) 

吸引しながらフィルタの周辺から溶剤をジェット状に洗浄瓶から流し,フィルタをすすぐ。 

備考 この作業の目的は,フィルタの沈殿物(汚染要因物)を集めて補正用フィルタのすすぎを十分

に行うことである。 

k) 吸引を停止する。 

1) 清潔なペトリ皿にフィルタを入れる。 

m) 80℃の乾燥装置内にペトリ皿を入れ,ペトリ皿のふたを半開きにして,30分間乾燥する。 

n) ペトリ皿をデシケーター内に移し,30分間放置する。 

o) フィルタ“E”を取り出し,空気イオン化装置の上を移動させてのち,質量計に載せて計測し,0.05mg

の単位で“E”の質量ME(測定用フィルタの最終質量)を記録する。 

9. 測定結果の計算及び報告 

9.1 

測定結果の計算 測定結果の計算は,次による。 

a) 8.3の測定方法の場合 

M= (ME−mE) − (MT−mT)  

b) 8.4の測定方法の場合 

M= (ME−mE)  

ここに, 

M: 汚染要因物質 (mg)  

ME: 測定用フィルタの最終質量 (mg)  

mE: 測定用フィルタの初期質量 (mg)  

MT: 補正用フィルタの最終質量 (mg)  

mT: 補正用フィルタの初期質量 (mg)  

備考 MT−mTが0.5mgを超えている場合には,十分なすすぎがなされていないと判断し,このときに

は,すすぎ用溶剤量を増やして測定のための手順を再度繰り返す。 

9.2 

測定結果の報告 測定結果の報告は,次による。 

a) 汚染要因物“M”の単位は,mg/100mLの作動油単位で行う。 

b) 同じ方法で,空試験の汚染要因物(8.2参照)を計算する。計算結果が0.5mgを超えている場合は,

B 9931 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

測定結果からその計算結果を差し引く。 

c) 測定結果の報告には,フィルタ孔径と使用した測定方法を付記する。 

10. 測定のやり直し 同一試料,同一測定方法で行った2回の測定結果を比較する。2回の測定結果の差

が汚染要因物mg/100mL作動油単位で,3.6%を超えている場合には,測定のための手順を再度繰り返す。 

11. 規格適合表示 この規格に従っている場合には,試験報告書,カタログ及び販売資料に,次の表示を

使用する。 

“JIS B 9931(質量法による作動油汚染の測定方法)に適合する。” 

B 9931 : 2000  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS B 9931 整合化本委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

竹 中 俊 夫 

東京工業大学名誉教授 

島 田 公 雄 

中央大学理工学部 

中 嶋   誠 

通商産業省機械情報産業局産業機械課 

○ 本 間   清 

工業技術院標準部機械規格課 

○ 橋 本 繁 晴 

財団法人日本規格協会技術部国際整合化規格室 

村 井 孝 宣 

財団法人機械振興協会技術研究所 

岡 安 英 雄 

社団法人日本工作機械工業会技術部 

吉 松 英 昭 

株式会社神戸製鋼所 

渡 並   直 

トヨタ自動車株式会社 

荒 木 義 昭 

株式会社日平トヤマ 

黒 部 昌 徳 

東芝機械株式会社 

藤 田   勝 

石川島汎用機械株式会社 

石 井   進 

内田油圧機器工業株式会社 

小 池 一 夫 

イハラサイエンス株式会社 

門   泰 一 

太陽鉄工株式会社 

木 原 和 幸 

株式会社トキメック 

小曽戸   博 

内田油圧機器工業株式会社 

手 塚 昂 宏 

カヤバ工業株式会社 

中 西 康 二 

黒田精工株式会社 

平 野 謙 一 

油研工業株式会社 

二 見 安 亮 

CKD株式会社 

根 本 圭 介 

三菱電線工業株式会社 

(分科会主査) 

○ 山 崎 一 彦 

山信工業株式会社 

(事務局) 

三 浦 吉 成 

社団法人日本油空圧工業会第一技術部 

○ 堀 切 俊 彦 

社団法人日本油空圧工業会第二技術部 

○印は,分科会委員を兼ねる。 

原案作成分科会 構成表 

氏名 

所属 

福 島 英 夫 

日本石油株式会社 

小 澤 健 治 

山信工業株式会社 

住 田   隆 

株式会社トキメック 

飯 野   隆 

大生工業株式会社 

山 田 詔 一 

油研工業株式会社 

根 元 康 博 

日本ポール株式会社 

松 山 雄 一 

出光興産株式会社 

太 田 尚 宏 

株式会社松村石油研究所 

中 辻   順 

ダイキン工業株式会社 

水 野 啓 三 

カヤバ工業株式会社 

笠 井 寿 男 

SMC株式会社 

竹 崎   渉 

豊興工業株式会社 

植 田 修 弘 

タカコ精機株式会社 

杉 村 佳 春 

日本ムーグ株式会社 

(文責 太田 尚宏)