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日本工業規格

JIS

 B

9924

-1990

表面付着粒子計数器

Surface Particle Counters

1.

適用範囲  この規格は,鏡面状平面基板(以下,ウェーハという。)上に付着した粒子状汚染物質(以

下,粒子という。

)の粒径及び個数を光学的に測定する表面付着粒子計数器(以下,計数器という。

)につ

いて規定する。

備考  計数器を用いて行う測定方法は,参考に示す。

引用規格: 

JIS B 9921

  光散乱式自動粒子計数器

JIS Z 8103

  計測用語

JIS Z 8122

  コンタミネーションコントロール用語

2.

用語の意味  この規格で用いる主な用語の意味は,JIS B 9921(光散乱式自動粒子計数器),JIS Z 8122

(コンタミネーションコントロール用語)及び JIS Z 8103(計測用語)によるほか,次による。

(1)

計数効率  光学顕微鏡を用い,計数器が表示する付着粒子濃度  (N)  と目視によって計数した粒径約

0.5

μm 以上の表面付着 PSL 粒子濃度  (N

0

)

との比率。

計数効率 (%) =

100

0

×

N

N

(2)

雑音等価粒径  ブラウン管オシロスコープ上に現れた信号処理前のパルス出力信号の中で最多頻度で

現れるパルスの波高値  (V

i

)

(ピーク値)と,これに含まれる白色雑音  (V

n

)

(ピーク対ピーク値)と

の SN 比  (V

i

 

/V

n

)

が 1 になるような PSL 粒子の直径(最小可測粒径に対応する値)

(3)

パルス実用可測粒径  信号処理前の最多頻度パルス出力信号の SN 比が 3 になるような PSL 粒子の直

径。

(4)

ヒストグラム実用可測粒径  信号処理後の出力信号に対する多チャネル波高分析計 (PHA) ヒストグ

ラムの極小値  (h

i

)

と極大値  (h

p

)

との比  (h

i

h

p

)

が 0.7 になるような PSL 粒子の直径。

(5)

信号処理前出力  光検出器に直結する広帯域前置増幅器出力端の未処理信号出力。

(6)

信号処理後出力  波形整形,AD 変換,雑音消去,波高分析などの信号処理を行った後の信号出力。

(7)

加圧式噴霧器  加圧空気によって PSL 粒子の懸濁液を霧化する装置。

(8)

校正用ウェーハ  表面に特別な酸化,又は薄膜コーティングが施されていない鏡面研磨されたシリコ

ン単結晶ウェーハ。

(9)

検査時間  一番目のウェーハをカセットから搬出する瞬間から,最後のウェーハをカセットに収納し,

かつ,信号を処理し表示が完了するまでの時間を測り,ウェーハ枚数で除した 1 枚当たりの平均の検

査時間。


2

B 9924-1990

3.

測定原理  ウェーハ上にレーザ光,又はランプ光を照射する。このとき,基板上に付着した粒子によ

って生じる散乱光,回折光,偏光,蛍光などを光電変換器に集光し,パルス状電気信号に変換する。パル

ス信号の波高値とウェーハ上に付着した粒子の直径とが一定の関係にあることを利用して,パルス波高値

(パルス面積値を含む。

)から粒径を,またパルスの数から付着粒子数を計測する。この方法における粒径

は,絶対値を示すものではなく,等価の散乱光を生じる PSL 粒子の直径に相当する相対値を示す。

4.

構成

4.1

計数器の基本構成  計数器は,図 に示すように少なくとも光源,照射光学系,走査系(光ビーム,

試料台及び受像部の機械的又は電気的走査)

,受光光学系,光電変換部,信号処理部(波高分析部を含む。

及び表示部で構成する。

図 1  計数器の構成(例)

4.2

計数器の清浄度維持機構  計数器は,その内部に排出空気に対する防じん対策を施すか,又は環境

側の防じん対策を容易にするような機構を備えるものとする。

5.

性能

5.1

計数効率  計数効率は,粒径約 0.5

μm 以上の任意の粒径の PSL 粒子をウェーハに付着させ,6.4 

規定する試験方法で求めたとき,その値が仕様に表示された値以上でなければならない。

5.2

雑音等価粒径,パルス実用可測粒径及びヒストグラム実用可測粒径  雑音等価粒径,パルス実用可

測粒径及びヒストグラム実用可測粒径は,6.5 (1)(2)及び(3)に規定する試験方法で求めたとき,その各々

が仕様に表示された値以下でなければならない。

5.3

繰返し性  パルス実用可測粒径又はヒストグラム実用可測粒径に相当する PSL 粒子をウェーハ上に

付着させ,6.6 に規定する試験方法で求めたとき,繰返し性(標準偏差/平均値)は仕様に表示された値以

下でなければならない。

5.4

計数器内清浄度  計数器の測定部の清浄度は,6.7 に規定する試験方法で求めたとき,粒径 0.3

μm 以

上の汚染粒子数が直径 125mm ウェーハ当たり平均 0.5(個/回)以下でなければならない。

5.5

検査時間  検査時間は,6.8 に規定する試験方法で求めたとき,仕様に表示された値以下でなければ

ならない。

5.6

電圧特性  定格周波数のもとで電源が定格電圧から±10%変動しても,測定の繰返し性は,6.6 によ

る標準偏差が平均値の 5%以下でなければならない。


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5.7

温度−湿度特性  周囲温度が 20±5℃,相対湿度が 45±15%において,測定の繰返し性は 6.6 による

標準偏差が平均値の 5%以下でなければならない。

5.8

雑音などの影響  ウェーハの測定状態において,環境内の正常な照明の点滅,他の装置の電気的な

始動・停止があっても,測定の繰返し性は 6.6 による標準偏差が平均値の 5%以下でなければならない。

5.9

耐電圧  相対湿度 80%以下のとき,電源と外箱との間に AC 1kV を 1 分間加えても異状が生じては

ならない。

5.10

絶縁抵抗  相対湿度 80%以下のとき,電源と外箱との間に DC500V を加えたときの絶縁抵抗が 2M

Ω

以上でなければならない。

6.

試験

6.1

試験条件  6.36.11 の試験は,表 に示す条件で行う。

表 1  試験条件

基準条件

室温 20±5℃

湿度 45±15%

気圧

常圧

電源電圧

定格電圧

6.2

試験準備  計数器の使用に先立ち,電源スイッチを投入して,20∼60 分間放置して装置を安定化さ

せる。

次に,計数器の取扱説明書に記載する方法に従って所定の検定プログラムによって正常動作を確かめる

か,又は計数器に附属する所定の検定用ウェーハ(計数器使用者によって独自に準備した検定用ウェーハ

を含む。

)を用いて正常動作を確かめ,必要ならば取扱説明書に従って調整を行う。

6.3

計数器の校正

6.3.1

校正用試験試料  計数器の応答特性の校正は,鏡面ウェーハと,この上に付着した PSL 粒子とを

用いて行い,次による。

(1)

校正用ウェーハ

(a)

寸法  計数器の仕様に定められた寸法のウェーハを用いる。

(b)

材料  シリコン単結晶のもので,原則として表面に特別な酸化又は薄膜コーティングを施していな

いものとする。

(c)

平面度及び表面粗さ  ウェーハを 15×15mm で分割したとき,一つの分割域でのウェーハの厚さの

最大値と最小値との差が,1.5

μm 以下となるような分割域が全体の 98%を占めているような平たん

なシリコンウェーハを用い,表面は鏡面研磨とする。

(d)

表面清浄度  PSL 粒子を付着させる前のウェーハの清浄度は,0.3

μm 以上の微粒子が直径 125mm の

ウェーハ当たり 10 個以下,又は 0.5

μm 以上の微粒子が直径 125mm のウェーハ当たり 1 個以下とす

る。

(2)

校正用粒子

(a)

校正用粒子の材料  校正用粒子は,十分に単分散に近い球形の PSL 粒子で,かつ屈折率が既知のも

のとする。

(b)

  PSL

粒子の粒径の決定  校正用粒子は,その粒径(最多頻度径又は個数基準算術平均径)が,透過

形電子顕微鏡法,重力−静電気力釣合い法,沈降法,静電分級法などの物理的な方法の中から選ん


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だ,少なくとも原理が異なる二つの方法によって測定し,それらの測定結果が最多頻度径,又は個

数基準算術平均径で相対誤差 2%以下のものを用いる。それぞれの方法による粒径の決定は

附属書 1

による。

(3)

  PSL

粒子の発生方法  PSL 粒子が懸濁された清浄液を加圧式噴霧器によって噴霧して行う。PSL 粒子

の発生については

附属書 による。

(4)

ウェーハへの PSL 粒子付着方法

(a)

付着方法  噴霧発生した PSL 粒子を付着室に導入し,気相中での粒子の重力沈降及び拡散によって,

ウェーハ上に付着させる。粒子の付着法は

附属書 による。

(b)

付着 PSL 粒子濃度  50 個/cm

2

以下で複数個同時計数

(コインシデンス)

が起こらない範囲とする。

(c)

付着室の環境条件  0.1

μm 以上の浮遊粒子濃度が 1.2×10

4

個/m

3

以下とする。

6.3.2

粒径−出力電圧の調整及び校正  計数器の粒径−出力電圧特性は,6.3.1 の試験試料を用い,次の

手順によって調整及び校正する。

(1)

計数器の仕様に定められた走査速度で全面走査したとき,単分散 PSL 粒子によって発生した出力パル

ス信号(

図 の信号処理前出力端の信号,又は信号処理後出力端の信号)が所定の波高値となるよう

に調整する。波高値の読取りは,原則として多チャネル波高分析計によって得た波高分布特性曲線の

極大値から求める。

なお,便宜上ブラウン管オシロスコープからの読取りであってもよい。

(2)

粒径の異なった PSL 粒子を用いて(1)の手順を繰り返し,粒径−出力電圧校正曲線(応答特性曲線)を

求める。この場合,1

μm 以下の粒径範囲では,それぞれの粒径は,粒径比で 1.8 倍を超えてはならな

い。

備考  もし,ウェーハ上に薄膜が存在する場合は,その薄膜上に PSL 粒子を付着させて直接的な校正

を行う。

6.4

計数効率試験  計数効率試験は,6.3.1 の試験試料を用い,次の手順によって行う。

(1)

粒径約 0.5

μm 以上の任意の粒径の PSL 粒子をウェーハ上に全面付着させる。付着濃度は,0.1∼50 個

/cm

2

の範囲で,光学顕微鏡による目視検査に適合する値を選ぶ。

(2)

付着した粒子数は,光学顕微鏡を用い目視によって計数する。便宜上基板全面を小領域に分割して計

数し,これを全面積(周辺部分を除く。

)に換算して全付着粒子数を求めてもよい。

(3)

付着粒子径に対応する粒径区分での装置の計数値を求める。計数効率は,次の式によって求める。

計数効率 (%)

100

)

(

)

(

0

×

=

N

N

計数値

光学顕微鏡による目視

における計数値

計数器の特定粒径区分

6.5

雑音等価粒径及び実用可測粒径試験  雑音等価粒径及び実用可測粒径は,6.3.1 の試験試料を用いて,

計数器の仕様に定められた走査速度で全面走査したとき,信号処理前出力端及び信号処理後出力端(

図 1

参照)の出力信号から,次の手順によって求める。

(1)

雑音等価粒径  (D

n

試験

(a)

信号処理前出力端の最多頻度出力信号パルスに含まれる雑音電圧の概略値  (V

n

)

をブラウン管オシ

ロスコープで読み取る。V

n

は,原則として,白色雑音のピーク対ピーク値を取る(

図 参照)。オ

シロスコープの走査時間は,白色雑音及びパルス性雑音が共に現れる程度に十分遅く設定する。

(b)

  6.3.2

の方法で得た粒径−出力電圧特性曲線と V

n

のレベルとの交点から求めた粒径の概略値を雑音

等価粒径  (D

n

)

とする(

図 参照)。


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B 9924-1990

図 2  信号処理前出力端の信号

図 3  粒径−出力電圧特性曲線

(2)

パルス実用可測粒径  (D

p

試験  ブラウン管オシロスコープで読み取った最多頻度出力信号パルス

(信号処理前出力端)の波高値  (V

m

)

(ピーク値)が,雑音電圧  (V

n

)

の 3 倍になる PSL 粒子径を求

め,その粒径をパルス実用可測粒径  (D

p

)

とする(

図 及び図 参照)。

(3)

ヒストグラム実用可測粒径  (D

h

試験

(a)

 PSL

粒子付着濃度 50 個/cm

2

以下の条件で多チャネル波高分析計 (PHA) ヒストグラム(信号処理

後出力端)を求め,PSL 粒子による信号成分の極大値  (h

p

)

と,雑音成分との境界である極小値  (h

l

)

とを求める(

図 参照)。

(b)

粒径の異なった PSL 粒子を用いて(a)の手順を繰り返し,h

l

と h

p

との比  (h

l

 

/h

p

)

が 0.7 になる PSL 粒

子径を求め,その粒径をヒストグラム実用可測粒径  (D

h

)

とする。

(c)

計数器内電子回路の識別限界が,極小値のチャネル  (CH

l

)

より高い値  (CH

t

)

に設定されたときは,

ヒストグラムの極小値  (h

l

)

は識別限界に対する計数値  (h

l

′)  に変更し,

  (h

l

′/h

p

)

が 0.7 になる PSL

粒子径を求め,これをヒストグラム実用可測粒径とする。

図 4  粒径−ヒストグラム (PHA) 特性曲線

6.6

繰返し性試験  繰返し性試験は,6.3.1 の試験試料を用い,パルス実用可測粒径  (D

p

)

,又はヒスト

グラム実用可測粒径  (D

h

)

に相当する PSL 粒子に対して,付着粒子濃度 0.1∼10 個/cm

2

の条件で,カセッ

トからの搬出及び搬入を含めて 30 回の繰返し試験を行い,計数値の平均値及び標準偏差を求め,繰返し性

(標準偏差/平均値)を算定する。


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B 9924-1990

6.7

計数器内清浄度試験  計数器内清浄度試験は,6.3.1 の校正用ウェーハを用い,30 回の測定を行って,

粒径 0.3

μm 以上の汚染粒子数を計り,直径 125 mm ウェーハ当たりの平均個数(個/回)を求める。ただ

し,ウェーハ周辺 5 mm 程度は除く。

6.8

検査時間試験  検査時間試験は,一番目の試料ウェーハをカセットから搬出する瞬間から,最後の

ウェーハをカセットに収納し,かつ,信号を処理し表示が完了するまでの時間を計り,試料枚数で除した

1

枚当たりの平均検査時間を求める。

1

時間当たりの試料枚数は,

1

枚当たりの平均走査時間から換算する。

6.9

電圧特性  電圧特性は,定格周波数のもとで電源を定格電圧から±10 %変動させ,繰返し性を 6.6

の試験方法で求める。

6.10

温度−湿度特性  周囲温度が 20±5  ℃,相対湿度が 45±15 %の範囲で変化させ,繰返し性を 6.6 

試験方法で求める。

6.11

雑音などの影響  ウェーハの測定状態において,環境内の正常な照明の点滅,他の装置の電気的な

始動・停止を行わせた際の繰返し性を,6.6 の試験方法で求める。

6.12

耐電圧  相対湿度 80 %で,電源と外箱との間に AC 1 kV を 1 分間加えて,異状の有無を調べる。

6.13

絶縁抵抗  相対湿度 80 %で,電源と外箱との間に DC 500 V を加えて,絶縁抵抗を測定する。

7.

試験成績書など  計数器には,性能・特徴及び取扱上の注意のほか,少なくとも次の事項を記載した

試験成績書などを添付する。

(1)

計数効率

(2)

雑音等価粒径  (D

n

)

及びパルス実用可測粒径  (D

p

)

,又はヒストグラム実用可測粒径  (D

h

)

のいずれか。

(3)

パルス実用可測粒径  (D

p

)

に対応する PSL 粒子の出力信号写真(

図 参照),又はヒストグラム実用可

測粒径  (D

h

)

に対応する PSL 粒子の PHA ヒストグラム(

図 参照)のいずれか。

(4)

粒径−出力電圧特性(応答特性)

(5)

繰返し性試験結果

(6)

計数器内清浄度試験結果

(7)

検査時間試験結果

8.

表示  計数器には,次の事項を表示する。

(1)

形式名

(2)

製造業者名

(3)

製造年月日又はその略号

(4)

製造番号

(5)

電源の DC 又は AC(周波数)の種類,電圧及び所要電力又は皮相電力

(6)

許容使用温度範囲及び許容使用湿度範囲


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B 9924-1990

附属書 1  PSL 粒子の粒径測定の方法

1.

適用範囲  この附属書は,PSL 粒子の粒径の決定法として,(1)透過形電子顕微鏡法,(2)重力−静電気

力釣合い法,(3)沈降法,及び(4)静電分級法について,測定指針を示す。

2.

透過形電子顕微鏡法  電子顕微鏡法による PSL 粒子の直径の測定は,測定誤差を小さくするため,次

によって行う。

(1)

粒子の観測法  PSL 粒子サンプルを,銅グリッドかステンレスグリッドに単層に載せ,電子顕微鏡で

観測し,写真撮影する。PSL 粒子は電子線の照射で縮小するので,電子線照射時間を一定かつ最短時

間になるように操作する。

(2)

粒径の決定  粒径の決定は,次のとおりとする。

(a)

電子顕微鏡で撮影した写真からの粒径の決定は,粒子を一個ずつ分散させ一個ずつ測定するか,数

個並んだ粒子をまとめて測定し,個数平均径として粒径を決定する。

(b)

測定値から平均値及び標準偏差を求める。標準偏差の平均値に対する比(変動係数)が 5%以下の

粒子であれば,200 個程度の粒子を計測すればよい。

(3)

電子顕微鏡の倍率の補正  透過形電子顕微鏡の倍率は,回折格子で撮影日ごとに補正を行う。

3.

重力−静電気力釣合い法  この方法は,ミリカンの実験の手法を利用したもので,粒径の決定は次の

とおりとする。

(1)

粒子の観測法  粒子の観測法は,次のとおりとする。

(a)

 PSL

粒子が暗視野で観測できる粒子観測用のセルを作製する。

附属書 図に,粒子観測用のセルの

一例を示す。電圧を加える金属電極の上下の壁の間隔は正確に定める。

(b)

粒子観測用セルを水平に設置し,レーザ光を一方から照射する。導入されたレーザ光はセルの内壁

に当たらないようにする。

(c)

 PSL

粒子を本体 6.3.1(3)に規定する方法で発生させ,粒子を含む空気を,粒子観測用セルに一定時間

導入し,粒子観測用のセルの両端の電磁弁を閉じ,粒子を浮遊させる。

(d)

粒子によるレーザ光の散乱光像を,顕微鏡か対物レンズ付きテレビジョンカメラで観測する。


8

B 9924-1990

附属書 図  粒子観測用セル

(2)

粒径の決定  粒径の決定は,次のとおりとする。

(a)

セルの上下の電極に十分に安定,かつ,正確な電圧を加え,粒子が静止するまで電圧を少しずつ変

化させる。粒子が帯電していると,電界によって静電気力が働くので,静電気力と重力とが釣り合

い,粒子は静止する。

(b)

粒子の帯電量及び密度が既知であると,重力と静電気力との釣り合いから粒径が決定される。十分

な精度が得られるように,200 個程度の粒子について測定を繰り返す。これによって粒径の平均値

及び標準偏差を求める。

(c)

粒子の帯電量が分からないときは,粒子を放射性同位元素で平衡帯電量分布とする。平衡帯電量分

布では,電気素量が正負 1 個の粒子が最も多く存在する。電気素量 1 個の粒子は,最も大きい電界

の強さで釣り合うことになるので,この電界を求めると,粒径が決定される。

備考  この手法では,約 0.5

μm 以上の PSL 粒子の粒径が測定できる。それ以下の粒子では,ブラウ

ン運動によって測定に誤差が生じる。粒子観測用セル内では,対流及び空気の漏れなどが存在

せず,空気は静止していることを前提としている。

4.

沈降法  この方法は,粒子の重力沈降速度から粒径を決定する方法で,次のとおりとする。

(1)

粒子の観測法  粒子の観測法は,次のとおりとする。

(a)

  3.(1)

の場合と同様に,PSL 粒子が観測できる粒子観測用セルを作製する。

附属書 図の粒子観測用

セルは,この測定法にも使用でき粒子の重力沈降を観測する。

(b)

粒子観測用セルを水平に設置し,レーザ光を一方から照射する。導入されたレーザ光はセルの内壁

に当たらないようにする。

(c)

 PSL

粒子を本体 6.3.1(3)に規定する方法で発生させ,粒子を含む空気を粒子観測用セルに一定時間導

入し,粒子観測用のセルの両端の電磁弁を閉じ,粒子を浮遊させる。


9

B 9924-1990

(d)

粒子によるレーザ光の散乱光像を,顕微鏡か対物レンズ付きテレビジョンカメラで観測する。

(2)

粒径の決定  粒径の決定は,次のとおりとする。

(a)

粒子観測中の空気が静止している状態で,粒子が一定距離を重力沈降するのに要する時間を求める。

この測定を,十分な精度が得られるように,200 個程度の粒子について測定する。

(b)

一定距離を粒子の沈降時間で割り,粒子の重力沈降速度を求める。粒子の密度が既知であれば,重

力沈降速度と粒径との関係から,粒径の平均値及び標準偏差が求まる。

備考  この方法では,約 0.5

μm 以上の PSL 粒子の粒径が測定できる。それ以下の粒子では,ブラウ

ン運動によって測定に誤差が生じる。粒子観測用セル内では,対流及び空気の漏れなどが存在

せず,空気は静止していることを前提としている。

5.

静電分級法  この方法は,帯電粒子の電気移動度から粒径を決定する方法で,次によって行う。

(1)

 PSL

粒子を本体 6.3.1(3)に規定する方法で発生させ,粒子を含む空気を微分形電気移動度分級器に導入

する。粒子は,電界中を移動し,電気移動度によって分級される。分級された粒子の濃度は光散乱式

自動粒子計数器か凝縮核計数器によって測定する。

(2)

微分形電気移動度分級器の電界の強さを変えて,粒子の濃度分布を測定し,最多頻度となる電気移動

度を求める。分級される粒子の電気移動度と粒径との関係から PSL 粒子の粒径を求める。この方法で

は,粒子の最多頻度径が求まるが,標準偏差は求まらない。

備考  この方法によれば,約 0.01∼1

μm の範囲の PSL 粒子の粒径が測定できるが,微分形電気移動

度分級器の静電分級性能は正確に校正されていなければならない。


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B 9924-1990

附属書 2  PSL 粒子の発生法

1.

適用範囲  この附属書は,粒径が既知の PSL 粒子を浮遊させた空気(エーロゾル)の発生方法につい

て規定する。

2.

PSL

粒子の発生  PSL 粒子の発生法は,PSL 粒子懸濁液を加圧空気で噴霧する方法を用いる。具体的

方法については JIS B 9921(光散乱式自動粒子計数器)の

附属書 1(粒径判別に用いる試験用空気の作り

方)を準用する。ただし,噴霧液の汚染による PSL 粒子以外の粒子の発生,及びこれらの粒子の校正用ウ

ェーハ上への沈着による汚染を避けるため,噴霧器,PSL 粒子の懸濁液の作製及び発生した PSL 粒子の帯

電中和については,次による。

3.

PSL

粒子懸濁液の作製  PSL 粒子懸濁液を作製する場合,次の点に注意する。

(1)

原液の希釈には清浄水を使用する。PSL 粒子を含まない噴霧液滴が蒸発したときに発生する蒸発残さ

(渣)からなる粒子が,発生させる PSL 粒子に比べて十分小さくなるよう希釈水の清浄度を選ぶ。

(2)

凝集粒子が生成されないよう,懸濁液の粒子濃度を十分に低くする。例えば,10

7

個/cm

3

以下とする。

(3)

懸濁液中の PSL 粒子濃度と発生した気相中での PSL 粒子濃度が比例関係になっていることを確認する。

粒子濃度の測定には,光散乱式自動計数器を用いる。

4.

発生装置  発生装置には,噴霧器として加圧式噴霧器を用い,次の点に注意する。

(1)

加圧式噴霧器の噴霧部の寸法を機械加工によって正確に定め,

空気量,

液量及び霧化量を一定とする。

噴霧部の寸法及び噴霧条件の一例を

附属書 図に示す。

(2)

噴霧液の汚染を避けるため,液と接する容器,配管などには不溶性の材料,例えばポリふっ化エチレ

ン系樹脂,ステンレス鋼などを用いる。

(3)

噴霧器への懸濁液の供給流量を一定にするため,供給配管中に抵抗の大きい毛細管を挿入する。

(4)

噴霧器の環境温度が大幅に変化しないようにする。

5.

発生した PSL 粒子の帯電中和  発生した PSL 粒子は帯電しているので,次の点に注意する。

(1)

配管は,塩化ビニル管などは避け,接地された金属管を用い,静電気力による粒子沈着が生じないよ

うにする。

(2)

発生した粒子は,放射性同位元素によって生成される正負両極性のイオンによって中和し,平衡帯電

量分布とすることが望ましい。


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B 9924-1990

附属書 図  噴霧部の寸法及び噴霧条件(例)


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B 9924-1990

附属書 3  PSL 粒子のウェーハ上への付着方法

1.

適用範囲  この附属書は,PSL 粒子のウェーハ上への付着方法について規定する。

2.

付着装置  付属書 図に示すような,流通形の円筒容器を PSL 粒子付着装置として用いる。付着装置

に用いる材料は,静電気が影響しないように金属製とし,接地されていることが望ましい。底部はウェー

ハが自由に置き換えられるようにするため,取外し可能にし,表面電位が零となるように接地されていな

ければならない。

3.

付着方法  PSL 粒子の付着方法は,次による。

(1)

十分に清浄な場所で,取外し可能な底部の上にウェーハを置き,これを付着装置本体に取り付ける。

(2)

 PSL

粒子を含んだ空気を付着装置に送り込む。このとき,付着室内の PSL 粒子の濃度が送り込んだ空

気による混合のためにほぼ均一になるように,空気の流量を決める。

(3)

一定時間,PSL 粒子を含む空気を送り込んだ後,十分清浄な場所で,底部を取り外し,ウェーハを取

り出す。

備考  ウェーハ上の PSL 粒子の付着粒子濃度は,PSL 粒子の粒径に関係するとともに,送り込む空気

中の PSL 粒子の濃度と送り込んだ時間に比例するので,これらのパラメータを調節して,必要

な付着粒子濃度になるように設定する。

附属書 図  PSL 粒子の付着室(例)


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B 9924-1990

参考  表面付着粒子状汚染物質の測定方法

序文  この参考は,表面付着粒子計数器を用いて表面上に付着した粒子状汚染物質の粒径及び個数を測定

する方法について記述するもので,規定の一部ではない。

1.

測定の手順

1.1

予熱  計数器の使用に先立ち,電源スイッチを投入して,20∼60 分間放置して装置を安定化させる。

2.2

検定  計数器の取扱説明書記載の方法に従って,所定の検定プログラムによって正常動作を確かめ

るか,又は計数器に附属する所定の検定用ウェーハ(計数器使用者によって独自に準備した検定用ウェー

ハを含む。

)を用いて正常動作を確かめ,必要ならば取扱説明書に従って調整する。

2.

測定

2.1

測定場所  計数器は原則として,0.1

μm 以上の浮遊粒子濃度が 1.2×l0

4

個/m

3

以下のクリーンルー

ム又はクリーンベンチの中に設置し,清浄な環境の中で測定を行う。

2.2

ウェーハの取扱い  ウェーハの取扱いは,次による。

(1)

測定のためにウェーハをクリーンルームの外へ搬出するときは,クリーンルームでカセットを所定の

ケース内に収納し,ふた部分をビニル接着テープなどで目張りするとともに,さらにケースをビニル

シートなどで密封することが望ましい(環境によっては二重に密封する。

(2)

測定のためにウェーハをクリーンルームの中で粒子汚染のおそれのある場所へ移動させるときは,カ

セットは所定のケース内に収納し,ケースのふた部分はビニル接着テープなどで目張りすることが望

ましい。

また,ウェーハを長期保管(約 1 日以上)するときも,クリーンルーム又はクリーンベンチ内であ

っても上記目張りを施すことが望ましい。

(3)

ウェーハを計数器内の測定部へ設置する場合,又は測定用カセットへ移す場合は,衝撃を避け真空ピ

ンセットなどを用いてウェーハの裏面だけに接触するなど,表面汚染を防ぐためのあらゆる手段を講

じる。

2.3

測定条件  測定条件は,次による。

(1)

計数器の取扱説明書記載以外の条件での測定は,原則として行わない。

(2)

測定開始とともに,作業者はクリーンベンチから遠ざかり,人体からの発じん汚染を防ぐことが望ま

しい。


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B 9924-1990

表面汚染計数法専門委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

向  阪  保  雄

大阪府立大学工学部

(幹事)

奥  山  喜久夫

大阪府立大学工学部

(幹事)

高  見  勝  己

日立電子エンジニアリング株式会社研究部

中  江      茂

工業技術院電子技術総合研究所

山  下  憲  一

工業技術院機械技術研究所

島  田      学

大阪府立大学工学部

浅  田  敏  勝

日本アイ・ビー・エム株式会社藤沢工場

池  谷  俊  彦

日本合成ゴム株式会社機能性材料部

犬  塚  英  治

浜松ホトニクス株式会社システム事業部システム設計部

大  竹  信  義

日本無機株式会社環境機器部

金  子  周  作

日立冷熱株式会社研究開発部

上  村  康  夫

株式会社ダン科学

角  間  健  二

近藤工業株式会社

川  又      亨

日本エアーテック株式会社設計部

小  林  八  郎

日本シーアイシー技研株式会社

木  村      兼

テンコールインスツルメンツ株式会社

小  西  義  一

株式会社トプコン精機技術部

近  藤      久

東京エレクトロン株式会社総合研究所

財  津  靖  史

株式会社富士電機総合研究所応用装置研究所

鈴  木  道  夫

日立プラント建設株式会社空調冷熱事業本部

名  淵  隆  司

野崎産業株式会社機械本部機械部

沼  田  典  之

ダン産業株式会社

西  岡  利  晃

株式会社大林組技術研究所

原  田  宙  幸

日本電信電話株式会社 NTT 厚木研究所

福  本  隼  明

三菱電機株式会社 LSI 研究所

星  名  民  雄

リオン株式会社環測技術部

堀  川  邦  利

キヤノン販売株式会社ホトリソ技術部

森  川  泰  成

大成建設株式会社技術研究所

安  岡  修  一

日本無機株式会社

山  下  礼  二

ダイダン株式会社技術研究所

吉  井  新太郎

株式会社東芝総合研究所

吉  田  隆  紀

高砂熱学工業株式会社総合研究所

三  上  壮  介

社団法人日本空気清浄協会


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B 9924-1990

JIS

表面付着粒子計数器原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

向  阪  保  雄

大阪府立大学工学部

(幹事)

奥  山  喜久夫

大阪府立大学工学部

(幹事)

高  見  勝  己

日立電子エンジニアリング株式会社技術本部

(委員)

藤  井  修  二

東京工業大学工学部

桑  原  茂  樹

通商産業省機械情報産業局

中  江      茂

工業技術院電子技術総合研究所

山  下  憲  一

法政大学工学部

吉  田  藤  夫

工業技術院標準部

浅  田  敏  勝

日本アイ・ビー・エム株式会社藤沢工場

池  谷  俊  彦

日本合成ゴム株式会社機能性材料部

犬  塚  英  治

浜松ホトニクス株式会社システム事業部

小  西  義  一

株式会社トプコン精機技術部

近  藤      久

東京エレクトロン株式会社総合研究所プロセス技術部

鈴  木  道  夫

日立プラント建設株式会社空調冷熱事業本部

高  野  英  夫

キヤノン販売株式会社ホトリソ技術部

財  津  靖  史

株式会社富士電機総合研究所

西  岡  利  晃

株式会社大林組技術研究所

深  尾      仁

大成建設株式会社技術開発部

福  本  隼  明

三菱電機株式会社 LSI 研究所

吉  井  新太郎

株式会社東芝総合研究所

吉  田  隆  紀

高砂熱学工業株式会社総合研究所

吉  田  典  夫

ニッタ株式会社研究開発本部

(事務局)

三  上  壮  介

社団法人日本空気清浄協会