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B 9714:2006 (ISO 14118:2000) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 2 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 一般要求事項 ··················································································································· 3 

4.1 遮断及びエネルギの消散 ································································································· 3 

4.2 予期しない(意図しない)起動を防止するための他の手段 ····················································· 3 

5 遮断及びエネルギの消散のための手段 ·················································································· 4 

5.1  動力源の遮断装置 ········································································································· 4 

5.2 施錠〔固定〕装置 ·········································································································· 5 

5.3 蓄積エネルギの消散又は制限(封じ込め)のための装置 ························································ 5 

5.4 検証 ···························································································································· 5 

6 予期しない起動を防止するための遮断及びエネルギの消散以外の方策 ········································ 6 

6.1 設計のための方法論 ······································································································· 6 

6.2 偶発的起動指令の発生を防止するための方策 ······································································· 6 

6.3 予期しない起動を生じる偶発的起動指令の防止方策 ······························································ 7 

6.4 停止条件カテゴリ2の自動監視 ······················································································· 11 

附属書A(参考)危険区域で人の存在が必要となるタスクの例····················································· 13 

附属書B(参考)信号及び警報 ······························································································ 14 

参考文献 ···························································································································· 15 

B 9714:2006 (ISO 14118:2000) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本機械工業連合会(JMF)から,工

業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生

労働大臣及び経済産業大臣が制定した日本工業規格である。この規格は,著作権法で保護対象となってい

る著作物である。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本

工業標準調査会は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願

公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責任をもたない。 

B 9714:2006 (ISO 14118:2000) 

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日本工業規格          JIS 

B 9714:2006 

(ISO 14118:2000) 

機械類の安全性―予期しない起動の防止 

Safety of Machinery - Prevention of unexpected start-up 

序文 

この規格は,2000年に第1版として発行されたISO 14118,Safety of Machinery - Prevention of unexpected 

start-upを基に,技術的内容及び対応国際規格の構成を変更することなく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

人が危険区域に介在する間,機械を停止状態に維持することは機械類を安全に使用するための最も重要

な条件の一つであり,従って,それは機械設計者及び機械使用者の主要な目的の一つでもある。 

過去においては,“運転中の機械”及び“停止中の機械”の概念は一般的には明確であった。 

すなわち,機械は次のいずれかであった。 

− その可動要素,又はそのうちのいくつかが“動いている”とき作動している。 

− その可動要素が“休止している”とき停止している。 

機械の自動化にともなって,“運転”と“動作”,“停止”と“休止”の関係をそれぞれ定義することが困

難になってきている。自動化により人が予期しない起動の潜在要因が増えてきており,診断や調整のため

に停止中の機械が突然起動して災害が生じている。 

可動要素によって生じる機械的危険源以外の危険源(例えば,レーザビームから生じる危険源)につい

ても考慮する必要がある。 

停止中の機械の危険区域における人の存在に関するリスクアセスメントは,危険源発生要素の予期しな

い起動の可能性を考慮する必要がある。 

この規格では機械類の設計者及び安全性規格作成委員会に対して,予期しない起動防止のために組み込

み可能な方策の概要を示す。 

適用範囲 

この規格は,危険区域内で作業を行うこと(附属書A参照)があるが,この時の安全確保のために予期

しない起動(3.2参照)の発生を防止するために必要な設計に組み込むべき手段を規定する。 

この規格は,あらゆるタイプのエネルギ源から発生する予期しない起動に適用する。 

すなわち,エネルギ源の例としては,次のものがある。 

− 動力源(電力,油圧,空圧など) 

− 残留エネルギ(重力,圧縮されたばねなど) 

− 外部からの影響(風力など) 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 14118:2000,Safety of Machinery - Prevention of unexpected start-up (IDT) 

なお,対応の程度を表す記号(IDT)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,一致していることを示す。 

B 9714:2006 (ISO 14118:2000) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。 

これらの引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追

補を含む。)には適用しない。 

JIS B 9700-1:2004 機械類の安全性―設計のための基本概念,一般原則―第1部:基本用語,方法論 

注記 対応国際規格:ISO 12100-1:2003 ISO 12100-1:2003 Safety of machinery ‒ Basic concepts, 

General principles for design ‒ Part1:Basic terminology and methodology(IDT) 

JIS B 9700-2:2004 機械類の安全性―設計のための基本概念,一般原則―第2部:技術原則 

注記 対応国際規格:ISO 12100-2:2003 Safety of machinery ‒ Basic concepts, General principles for 

design ‒ Part2:Technical principles(IDT) 

JIS B 9702:2000 機械類の安全性―リスクアセスメントの原則 

注記 対応国際規格:ISO 14121:2000 Safety of machinery ‒ Principles of Risk assessment(IDT) 

JIS B 9960-1:1999 機械類の安全性−機械の電気装置−第1部:一般要求事項 

注記 対応国際規格:IEC 60204-1:1997 Safety of machinery ‒ Electrical equipment of machines − 

Part1:General Requirements(MOD) 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 9700-1:2004によるほか,次による。 

3.1 

起動(start-up),機械の起動(machine start-up) 

機械又はその一部の,休止状態から動いている状態への変化。 

注記 この定義は,例えばレーザビームのスイッチオンのような“動き”以外の機能を含む 

3.2 

予期しない(意図しない)起動(unexpected(unintended)start-up) 

予期しない(意図しない)起動は次によって生じる起動。 

― 制御システムの故障による,又は制御システムに対する外部からの影響により生じる起動指令。 

― 起動制御における,又は,例えばセンサ若しくは動力制御要素のような機械の他の部分における,

不適切な作用により生じる起動指令。 

― 動力源中断後の復帰。 

― 機械の一部分における外的/内的影響(重力,風,内燃機関における自然点火等)。 

注記 正常運転中の自動機械の起動は“意図しない起動”には含まれないが,オペレータの立場から

は“予期しない起動”として考えられる。この場合における災害の回避には安全防護方策の使

用がある(JIS B 9700-2:2004の5参照)。 

(JIS B 9700-1:2004,3.29に基づく) 

3.3 

遮断及びエネルギの消散(isolation and energy dissipation) 

次の四つのすべてで構成される手順。 

a) すべての動力源から機械(又は機械の特定部分)を遮断(断路又は分離)すること。 

b) 必要であれば(例えば,大型機械又は設備),遮断箇所ですべての遮断ユニットを施錠すること(又は

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遮断を確実にする)。 

c) 危険源となるおそれのある蓄積エネルギを消散すること,又は制限すること(封じ込めること)。 

注記 c)のエネルギは,例えば次のように蓄積される場合がある。 

− 惰性で動き続ける機械部分 

− 重力により動き易い機械部分 

− コンデンサ,アキュムレータ 

− 加圧された流体 

− ばね 

d) 上記a),b)及びc)に従った活動により望ましい効果が生じることを安全作業手順によって検証す

る。 

3.4 

機械アクチュエータ(Machine actuator) 

機械を作動させる駆動機構(JIS B 9960-1:1999, 3.32参照)。 

一般要求事項 

4.1 

遮断及びエネルギの消散 

機械には,動力源の遮断に関する安全要求事項(注記参照)に従って,特に大規模保全,動力回路関係

作業,及び撤去作業があることを考慮して,遮断及びエネルギの消散のための手段(箇条5参照)を備え

なければならない。 

注記 動力源の遮断に関しては,ISO/TR12100-2:1992,附属書A.1.6.3に要求事項があるので,その規

定内容(“ ”)を参考に示す。 

“全ての機械にはあらゆる動力源から機械を遮断できる手段を設け,このような遮断装置は明

瞭に特定できなければならない。再接続により暴露者に危険が生じる場合,それをロックしな

ければならない。差込みプラグによる電気接続の機械の場合,プラグを外すだけでよい。 

また,オペレータの接近可能ないずれの位置からでもエネルギの遮断状態を確認できないよう

な場合,遮断装置はロックされなければならない。エネルギ遮断後に機械の回路に残存又は蓄

積される全てのエネルギは,暴露者へのリスクなしに正常に消散されることが可能でなければ

ならない。 

上述の要求事項の例外として,回路によっては,例えば部品の保持,情報の保護,内部の照明,

その他の目的でエネルギ源に接続されたままであってもよい場合がある。この場合,オペレー

タが安全であることを確実にするための特別な対策をとらなければならない。” 

4.2 予期しない(意図しない)起動を防止するための他の手段 

遮断及びエネルギの消散によることが適切でない場合(例えば,短時間の頻繁な介入のために),予期し

ない起動を防止するために,設計者はJIS B9702のリスクアセスメントに従って他の方策(箇条6参照)

を講じなければならない。信号及び/又は警告のような追加方策が適切な場合がある(附属書B参照)。 

注記1 危険区域に人が存在し得るタスクの例は附属書Aで示される。 

注記2 設計者は種々の機械の運転モード及び人が危険区域に存在する必要性についてできる限り完

全に決定しなければならない。それにより,適切な保護方策を提供できる。これらの方策に

より,オペレータが危険な運転モードを使用すること及び機械を使用する際の難しさによっ

て生じる危険な介入行為を防止すべきである(JIS B 9700-1:2004,3.22参照)。 

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遮断及びエネルギの消散のための手段 

5.1  動力源の遮断装置 

5.1.1 遮断装置は次でなければならない。 

― 確実に信頼できる遮断とする(断路,分離)。 

― 手動制御器と遮断要素間に信頼できる機械的リンクを備える。 

― 各手動制御器(アクチュエータ)の各位置に対応する遮断装置の状態を明確に,かつあいまいでな

く識別できる手段を備える。 

注記1 電気設備に関しては,JIS B 9960-1:1999,5.3“電源断路(遮断)装置”に適合する電源断路装

置がこの要求事項を満たす。 

注記2 プラグ及びソケットシステム(電源に関して),又はその空圧式による,液圧式による,若し

くは機械式の同等のものは,動力回路において視認可能で,かつ信頼でき,断路状態を実現

できる遮断装置の例である。電気的なプラグ/ソケットに関してはJIS B 9960-1:1999,5.3.2d)

参照。 

注記3 液圧及び空圧システムに関しては,EN982:1996,5.1.6及びEN983:1996,5.1.6に要求事項があ

るので,その規定内容(“ ”)を参考に示す。 

“EN982:1996,5.1.6(液圧システム) 

 予期しない起動の防止のために,エネルギ源からの完全遮断とシステム内の流体圧力の消

散が容易であるように設計しなければならない。 

空圧システムでは,例えば次による。 

−  適切な遮断装置による供給の遮断(ロックを必要とする場合がある。) 

−  圧力低減機能付き遮断装置(ロックを必要とする場合がある。) 

−  システム減圧時の機械的負荷の除去又は支持 

−  給電の遮断“ 

EN983:1996,5.1.6(空圧システム) 

“予期しない起動の防止のために,エネルギ源からの完全遮断とシステム内の流体圧力の消

散が容易であるように設計しなければならない。 

油圧システムでは,例えば次による。 

−  遮断弁を遮断位置に機械的にロックし,かつ,油圧システムの圧力を消散する。 

−  電源を遮断する。 

遮断又は減圧後の再供給には,予防措置をとる必要がある。” 

5.1.2 

遮断装置の位置及び数は,機械の構成,危険区域に人が存在することの必要性及びリスクアセスメ

ントにより決定される。遮断装置の各々はそれがどの機械,又はそのどの部分を遮断するか(例えば,必

要な場合,耐久性のあるマーキングにより)容易に識別可能でなければならない。 

注記 機械類の電気設備に関して,JIS B 9960-1:1999,5.4参照。 

5.1.3 

機械への動力を遮断中に,例えば部品を保持する,情報を保護する又は局部照明を提供するために,

回路の一部を電源に接続し続けなければならない場合,オペレータの安全を確実にするために特殊な手段

を備えなければならない。 

注記 そのような手段には,キー又は特殊な工具によってだけ開けることができるエンクロージャ,

警告ラベル及び/又は警告灯がある。 

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5.2 

施錠〔固定〕装置 

遮断装置は施錠できるもの,又は他の方法で遮断位置に固定できるものでなければならない。 

注記 プラグ・ソケットの結合を使用し,かつ危険区域に存在する人を直ちに監視できる状況下でプ

ラグを備えることができる場合,施錠装置は必ずしも必要としない。 

施錠装置は次を含む。 

― 一つ以上の南京錠を備えた施設。 

― トラップド・キーインタロック装置(JIS B 9710:2006,附属書E参照)。その錠の一つは遮断装置の

手動制御器(アクチュエータ)に附属する。 

― 施錠可能な容器又はエンクロージャ。 

再接続をしても人が危険に暴露されない場合,施錠装置は必要としない。 

5.3 

蓄積エネルギの消散又は制限(封じ込め)のための装置 

5.3.1 

一般要求事項 

5.3.1.1 蓄積エネルギの発生で危険源を生じる場合,蓄積エネルギの消散又は制限(封じ込め)のための装

置を機械に装備しなければならない。 

注記 このような装置には可動部分の運動エネルギを吸収するためのブレーキ,コンデンサの放電抵

抗器及び関連回路,流体用アキュムレータを減圧するためのバルブ又は類似の装置を含む(5.1.1

の注記3参照)。 

5.3.1.2 蓄積エネルギの消散が,通常使用時の機械の能力を過度に低減する場合,残存したエネルギをある

程度確実に制限する又は封じ込めるための追加手段を組み込まなければならない。 

5.3.1.3 エネルギ消散又は制限(封じ込め)のための装置は次のように慎重に選択,配置しなければならな

い。 

― 消散又は制限(封じ込め)は機械(又は機械部分)の遮断による。 

― エネルギ消散プロセスにより危険状態を生じない。 

5.3.1.4 エネルギ消散又は制限(封じ込め)のために必要な手順は,機械の取扱説明書又は機械自体の警告

表示中に記載しなければならない。 

5.3.2 

機械要素 

機械要素で次の危険状態を生じる場合, 

― その質量及び位置(例えば,不安定な状態にある,高い位置にある,重力の影響で動くおそれがあ

る場合)により,又は 

― 機械要素に対するばね負荷の結果として(ばねの形状の如何を問わず), 

機械要素を最も低いエネルギ状態(例えば,最も低い位置,又はばねの解放状態)にするために,通常

の機械的手動制御装置又はその機能を遂行するために特別に設計し,表示(マーク)した装置による手段

を備えなければならない。 

機械要素を本質的に安全な状態にすることができない場合,JIS B 9700-1:2004,3.26.7に従ってブレーキ

又は機械的拘束装置により機械要素を固定しなければならない。 

5.3.3 

制限〔封じ込め〕装置の施錠のための又は固定のための施設 

エネルギ制限〔封じ込め〕のための装置は,必要な場合,施錠できるか又は固定できなければならない。 

5.4 

検証 

5.4.1 

一般要求事項 

機械,及び遮断若しくはエネルギの消散又は制限〔封じ込め〕のための装置は,その遮断及び“エネル

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ギの消散又は制限〔封じ込め〕”の効果に関して信頼できる検証が実施できるように設計され,選択され,

また準備されなければならない。 

遮断,“エネルギの消散及び制限〔封じ込め〕”の方策の効果を検証する規定によりその効果が損なわれ

てはならない。 

5.4.2 

遮断検証の規定 

動力源からの遮断は目視できる(動力回路の切離しが目視可能),又は遮断装置の手動制御器(アクチュ

エータ)の位置を明瞭に示さなければならない。 

注記 遮断要素と手動制御器間の機械的リンクに関しては5.1.1参照。 

5.4.3 

エネルギの消散又は制限〔封じ込め〕検証の規定 

5.4.3.1 人の介入を想定した機械内部・機械上にはエネルギの不在状態を検証するため,組込型装置(圧力

ゲージのような)又は試験点を,備えなければならない。 

5.4.3.2 取扱説明書(JIS B 9700-2:2004,6.5参照)には安全検証手順に関する正確なガイダンスを記載しな

ければならない。 

5.4.3.3 取外し又は解体できる組立品には蓄積エネルギ(例えば,圧縮ばね)による危険源に対する恒久的

警告ラベルを貼付しなければならない。 
 

予期しない起動を防止するための遮断及びエネルギの消散以外の方策 

6.1 

設計のための方法論 

遮断及びエネルギの消散の適用が人の介入作業全てに対して適切でない場合,設計者は,予期しない起

動を防止するために必要と考えられる以下に挙げる方策をリスクアセスメントに従って,決定しなければ

ならない。 

― 機械の内部又は外部の影響により偶発的に生じる起動指令を防止するための方策(コンポーネント

の設計,選択及び位置の選定)(6.2参照) 

― 予期しない起動を生じる偶発的起動指令を防止するためのシステム構成・構造による方策(6.3参照) 

― 機械の予期しない・意図しない起動により危険状態が生じる前に機械の危険源発生部分を自動的に

停止させる手段(6.4参照) 

選択する方策は,箇条5で示す遮断及びエネルギの消散に関する方策の代替手段と考えてはならない。 

注記 選択する方策は,この箇条で規定される種々の方策の組合せである場合が多い。 

6.2 

偶発的起動指令の発生を防止するための方策 

6.2.1 

(手動)起動制御器の偶発的操作を防止するための方策 

(手動)起動制御器の偶発的な操作及び,これらの装置の操作により生じる予期しない結果(例えば,

意図した機械とは別の機械の起動又は間違った方向への始動)は,(手動)起動制御器(アクチュエータ)

の適切な設計,配置,保護及びマーキングにより防止しなければならない。 

情報の不足により人を危険にする場合には,起動制御器の操作により予想される結果・効果は,例えば,

表示手段(附属書Bの最初の文節参照)の使用により明白でなければならない。 

注記1 ガイダンスはJIS B 9700-2:2004,4.11.8及びJIS B 9706-1,-2:2001で示される。 

注記2 許可しない・意図しない起動を防止するための他の方策例には起動制御器の施錠,プログラ

マブル制御システムのパスワードがある。 

6.2.2 

データの記憶及び処理設備における安全関連部の設計 

データの記憶及び処理設備の安全関連部(図1参照)は,JIS B 9702によるリスクアセスメントにおい

B 9714:2006 (ISO 14118:2000) 

(7) 

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て,予期しない起動指令の発生確率が,十分に低くなるように設計し,そのコンポーネントを選択しなけ

ればならない。 

注記1 ガイダンスは次により示される。 

− JIS B 9700-2:2004,4.11 

− JIS B 9960-1:1999,特に箇条9及び箇条11 

JIS B 9705-1:2000参照 

注記2 プログラマブル電子システムを機械類の制御に使用している場合,制御システムの誤動作に

より重要な危険源を生じるおそれのある状況下で,単一チャンネルのプログラマブル電子設

備の正しい動作に関して信頼の保証をある程度の確実性をもって決定することは,困難であ

ると思われる。この状況が解決できるまで,そのような単一チャンネルの正しい動作だけを

信頼することは賢明ではない(JIS B 9960-1:1999,11.3.4の備考参照)。 

6.2.3 

動力制御要素の選択及び位置 

動力制御要素[例えば,電磁接触器(コンタクタ),バルブ,図1参照]は,外乱の影響(意図する使用

条件で予想される最大振動又は衝撃)下で,又は動力源の異常(許容値内での圧力又は電圧変動)の影響

下でその動作状態が変化しないように選択し及び/又は適用しなければならない。 

動力制御要素は,必要な場合(特に手動で操作される場合),許可しない又は意図しない操作を防止する

ためにエンクロージャの内部に位置しなければならない。 

6.3 

予期しない起動を生じる偶発的起動指令の防止方策 

6.3.1 

一般要求事項 

停止維持指令は,個別に又は組み合わせて,図1に示すように異なる“レベル”で機械に入力される。

これらの停止維持指令は停止制御装置(6.3.2参照)により,又は保護装置(6.3.3参照)のいずれかにより

発生可能である。機械的な分離(6.3.4参照)又は可動部の固定(6.3.5参照)が停止維持指令の代わりに又

は追加して使用される場合がある。 

入力レベル(レベルA,B,又はC)の上位機械コンポーネントにより,若しくはその中で,停止維持指令

が生じる場合,又は機械的分離若しくは可動部分の固定(レベルE)が達成される場合,偶発的起動指令

により機械の起動を生じるべきではない(図1参照)。 

6.3.2 

停止制御装置を用いた停止維持指令の発生[レベルA,B,C入力(図1参照)] 

起動指令(制御システム自体の内部で発生する起動指令を含む。)の偶発的な発生による予期しない(意

図しない)起動を防止するために,停止装置の安全要求事項(注記参照)にしたがって停止制御装置から

の停止指令が停止装置の起動指令に優先するように制御システムが設計されるという条件で,停止手動制

御器(又は停止制御装置)をオフ/ストップ条件に固定して良い。オフ/ストップ条件への固定は次の手

段により達成できる。 

― 装置が手動でリセットされるまで停止維持指令を生成するラッチ・イン又はキー操作式停止制御装

置。 

― スイッチが手動でリセットされるまで停止維持指令を生成する信頼でき,かつ明瞭な位置表示付き

施錠可能セレクタ。 

― カバーを閉じて施錠すると,手動停止制御器をオフ/ストップ条件にする施錠可能なカバー。この

カバーにより起動手動制御器へのアクセスを防止する場合,この起動制御器の偶発的運転を防止で

きる。 

― ガード開の開始で,手動停止制御器をオフ/ストップ条件にする可動式ガード。可動式ガードによ

B 9714:2006 (ISO 14118:2000) 

(8) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

り起動手動制御器へのアクセスを防止する場合,この起動制御器の偶発的操作を防止できる。 

意図する用途に適した固定手段の設計・選択基準は次による。 

― 明瞭性,装置がオフ/ストップ条件にある場合,明瞭で,かつ混同することがない表示 

― 信頼性,オフ/ストップ条件にある装置の能力に関して信頼できるもの 

停止制御器がオフ/ストップ条件で保持される固定装置を備えている場合,固定装置の取り外しにより

再起動指令を生成してはならない。 

注記 停止装置に関しては,ISO/TR12100-2:1992,附属書A.1.2.4に要求事項があるので,その規定内

容(“ ”)を参考に示す。 

“1) 通常停止:機械には各々安全に機械を完全停止状態に移行できる制御器を備えなければ

ならない。それぞれのワークステーションには,機械の運動部分を一部及び/又は全てを

停止させ,機械を安全状態に移行するための制御器を備えなければならない。機械又はそ

の危険な部分が停止した場合,当該アクチュエータへのエネルギ供給を遮断しなければな

らない。 

2) 非常停止 

各機械には,現実に発生している,又は切迫した危険を回避するために一つ以上の非常停

止装置を備えなければならない。 

これには次の例外がある。 

−非常停止装置が停止時間を短縮しない,又はリスクを処理するのに必要な特別の方策を

講じることができない場合のいずれかの理由で,非常停止装置を設けてもリスクが低減

しない機械。 

−携行式手持ち機械及び手案内機械 

非常停止装置は次でなければならない。 

−明確に識別可能で,明確に視認でき,かつ速やかに接近可能である。 

−新たな危険源を生じないように可能な限り迅速に危険な工程を停止する。 

−必要な場合,特定の安全防護物の作動を開始するか,又は開始を許可する。 

非常停止制御は接続状態に維持されなければならない。この接続は,適切な操作によって

だけ解除可能でなければならない。制御の解除により,機械は再起動してはならず,再起

動の許可だけとしなければならない。停止制御は,接続位置になる前に,停止機能を開始

してはならない。 

3) 複合機械:集合体として機能するように設計された機械又は機械の一部においては,運転

の継続により,危険のおそれがある場合,製造者は非常停止を含む停止制御器が当該機械

だけではなく,その上位側及び/又は下位側の全ての装置を停止できるように,機械を設

計しなければならない。” 

6.3.3 

保護装置を用いた停止維持指令の発生(レベルA,B,C入力(図1参照)) 

人が危険区域にいる場合,機械の運転を防止するために(予期しない起動を含み,原因の如何を問わず),

保護装置又は保護装置の組合せを選択して良い。保護装置からの停止指令の継続は,リスクアセスメント

(JIS B 9702参照)に従って,図1における適切なレベルで入力されなければならない。 

注記 ガイダンスを示す規格は次である。 

― JIS B 9700-2:2004,5.2 

― JIS B 9710:2006,ガードと共同するインタロック装置 

B 9714:2006 (ISO 14118:2000) 

(9) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

― ISO13856-1:2001,圧力検知マット及びフロア 

― ISO13856-2:2005,圧力検知エッジ及びバー 

― ISO/DIS13856-3,圧力検知バンパ,プレート,ワイヤ及び類似装置 

― JIS B 9704-1:2000及びJIS B 9704-2:2000,電気検知保護設備 

(参考文献参照)。 

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B 9714:2006 (ISO 14118:2000) 

(10) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

図1―予期しない起動を生じる偶発的起動指令発生を防止するための, 

遮断及びエネルギの消散以外の方策の適用 

  

信号, 
表示, 
警告 

  

  

保護装置 

機械アクチュエータ 

(エンジン,シリンダ) 

分離手段(例えば,クラッチ),  

ブレーキ 

  

動力伝達要素 

  

作動部 

手動制御器 

(アクチュエータ) 

  

制御装置 

動力制御要素 

(電磁接触器(コンタクタ), 

バルブ,速度制御 等) 

入力 

データ記憶,及び論理処理又はアナログデータ処理 

出力 

ガード 

レベルA 

レベルB 

レベルC 

レベルD 

レベルE 

 制御式インタロック 

(例えば,プログラマ
ブルコントローラの
入力レベルで) 

制御式インタロック 
(例えば,電磁接触
器の制御レベルで) 

動力式インタロック 

機械的分離 

可動部の固定 

停止維持指令の入力レベル 

各レベルで実施する技術 
的方策の例 

オペレータ−機械間インタフェース 

機械アクチュエータへの動力供給 

機械的リンク 

停止維持指令 

B 9714:2006 (ISO 14118:2000) 

(11) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.3.4 

機械的分離(レベルD) 

機械アクチュエータとの分離を確実にするために,例えばクラッチのような機械的分離装置が,設計さ

れ,選択され,かつ使用され,必要な場合,監視されなければならない。 

6.3.5 

可動部固定(レベルE) 

機械の統合部分として,可動部が機械的拘束装置(JIS B 9700-1:2004,3.26.7参照),例えば,くさび,ス

ピンドル,支柱,輪留めの手段により固定される場合,この機械的拘束装置の機械的強度は機械の起動で

生じる力に十分に耐えるものでなければならない。 

このことが実施できず,かつ,重力の影響等で部品の動きを防止するために機械的拘束が必要とされる

場合,又は,拘束された可動部をもつ機械アクチュエータを無理に起動させることが機械に損害を与える,

若しくは機械の周辺の人に対してリスクを生じる場合,レベルB又はCで作動するインタロック装置は,

機械的拘束装置が可動部分を拘束している限りは,機械の起動を防止しなければならない。 

6.4 

停止条件カテゴリ2の自動監視 

機械が,JIS B 9960-1:1999,9.2.2で定義される停止カテゴリ2の結果として休止状態にある場合,偶発的

な起動指令により予期しない起動を生じさせるおそれがある。 

予期しない起動を防止する他の方策を実施できない場合,一つの方法として,停止条件を監視し,かつ

予期しない起動の条件(又は予期しない起動の開始)が検出されたら直ちに停止カテゴリ0が始動するよ

うにする方法がある。 

B 9714:2006 (ISO 14118:2000) 

(13) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 
(参考) 

危険区域で人の存在が必要となるタスクの例 

この附属書は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。 

― 検査 

― 修正作業(妨害物の除去など) 

― セッティング,調整 

― 手動搬入・搬出 

― 工具交換 

― 注油 

― 清掃 

― 使用停止 

― 小規模保全・修理 

― 診断,試験 

― 動力回路に関する作業 

― 大規模保全(取り外しを必要とする作業) 

B 9714:2006 (ISO 14118:2000) 

(14) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

信号及び警報 

この附属書は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。 
 

機械に種々の状態(例えば,“電源入”,“起動指令待ち”,“プログラム稼動中”,“故障”,“材料供給待

ち”)及び種々の機械の可能な制御並びに運転モード(JIS B 9706-1,-2:2001参照))に関する情報を与える

ための信号〔表示〕装置が装備されている場合,手動制御器を操作した結果・効果は比較的容易に予見及

び理解可能となる。 

オペレータの制御ステーションから全ての危険区域を見ることが実際的でない場合,及び人が危険区域

に介在するということを完全に排除できない場合,人が危険区域を離れることができるように,又は,例

えば,非常停止装置を操作することにより機械の起動を防止することができるように,機械を起動する前

に,十分な時間をもって聴覚警告信号(ISO7731:1986及びJIS B 9706-1,-2:2001)を発令する。 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献  

[1] ISO7731:1986 Danger signals for workplaces - Auditory danger signals 

[2] ISO13856-1:2001 Safety of machinery -  Pressure-sensitive protective devices - Part1:General principles for 

design and testing of mats and floors 

[3] ISO13856-2:2005 Safety of machinery -  Pressure-sensitive protective devices - Part2:General principles for 

design and testing of pressure- sensitiveedges and pressure-sensitive bars 

[4] ISO/DIS 13856-3 Safety of machinery -  Pressure-sensitive protective devices - Part3:General principles for 

design and testing of pressure-sensitive bampers, plates wires and similar devices 

[5] JIS B 9705:2000 機械類の安全性―制御システムの安全関連部―第1部:設計のための一般原則 

注記 対応国際規格:ISO 13849-1:1999 Safety of machinery ‒ Safety-related parts of control systems 

‒ Part1:General principles for design(IDT) 

[6] JIS B 9710:2006 機械類の安全性―ガードと共同するインタロック装置―設計及び選択のための一般

原則 

注記 対応国際規格:ISO 14119:1998 Safety of machinery ‒ Interlocking devices associated with 

guards ‒ Principles for design and selection(IDT) 

[7] JIS B 9706-1:2001 機械類の安全性―表示,マーキング及び起動―第1部:視覚的,聴覚的,触覚的シ

グナルに対する要求事項 

注記 対応国際規格:IEC 61310-1:1995 Safety of machinery - Indication, marking and actuation - Part 

1: Requirements for visual, auditory and tactile signals(IDT) 

[8] JIS B 9706-2:2001 機械類の安全性―表示,マーキング及び起動―第2部:マーキングに対する要求事

項要求事項 

注記 対応国際規格:IEC 61310-2:1995 Safety of machinery - Indication, marking and actuation - Part 

2: Requirements for marking(IDT) 

[9] JIS B 9704-1:2000 機械類の安全性―電気検知保護設備―第1部:一般要求事項及び試験 

注記 対応国際規格:IEC 61496-1:1997 Safety of machinery - Electro-sensitive protective equipment 

(ESPE) - Part 1: General requirements and tests(MOD) 

[10] JIS B 9704-2:2000 機械類の安全性―電気検知保護設備―第2部:能動的光電保護装置を使用する設

備に対する要求事項 

注記 対応国際規格:IEC 61496-2:1997 Safety of machinery - Electro-sensitive protective equipment 

(ESPE) - Part 2: Particular requirements for equipment using active opto-electronic protective devices 

(AOPDs) (IDT) 

[11] EN982:1996 Safety of machinery - Safety requirements for fluid power systems and their components - 

Hydraulic 

[12] EN983:1996 Safety of machinery - Safety requirements for fluid power systems and their components - 

Pneumatic