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B 9624

:2007 (ISO 15790:2004)

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本印刷産業機械工業会(JPMA)/

財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本

工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 15790:2004,Graphic technology and

photography

−Certified reference materials for reflection and transmission metrology−Documentation and

procedures for use

,including determination of combined standard uncertainty を基礎として用いた。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS B 9624

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(参考)CRM の特性

附属書 B(参考)因子影響度の等量重み付けによる合成標準不確かさの演算例

附属書 C(参考)因子影響度の重み付けを含んだ合成標準不確かさの演算例

附属書 D(参考)参考文献


B 9624

:2007 (ISO 15790:2004)

(2)

目  次

ページ

序文 

1

1.

  適用範囲

2

2.

  引用規格

2

3.

  定義

3

4.

  CRM の使用に関する一般的なガイドライン 

4

5.

  CRM に要求される記述

5

5.1

  CRM の製品情報 

5

5.2

  CRM 認証値の記載 

5

5.3

  トレーサビリティ

5

5.4

  使用上の注意 

5

5.5

  CRM の取扱いと維持

5

5.6

  用途及び使用方法

6

6.

  CRM の使用方法 

6

6.1

  合成標準不確かさの決定 

6

6.2

  拡張不確かさの求め方 

8

6.3

  測定系の校正 

8

7.

  測定結果及びその不確かさの記載

9

附属書 A(参考)CRM の特性

11

附属書 B(参考)因子影響度の等量重み付けによる  合成標準不確かさの演算例

12

附属書 C(参考)因子影響度の重み付けを含んだ合成標準不確かさの演算例

13

附属書 D(参考)参考文献

17

 


日本工業規格

JIS

 B

9624

:2007

(ISO 15790

:2004

)

印刷技術及び写真技術−反射及び透過測定用認証標
準物質(CRM)の保証に必要な付随文書及び使用
手順,並びに反射及び透過測定システムの合成標準

不確かさの求め方

Graphic technology and photography

Certified reference materials for

reflection and transmission metrology

Documentation and procedures for

use, including determination of combined standard uncertainty

序文  この規格は,2004 年に第 1 版として発行された ISO 15790,Graphic technology and photography−

Certified reference materials for reflection and transmission metrology

−Documentation and procedures for use,

including determination of combined standard uncertainty

を翻訳し,

技術的内容及び規格票の様式を変更するこ

となく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。

国際標準化機構(ISO)は,Guide 30:1992“認証標準物質に関連して用いられる用語及び定義(JIS Q 0030

として制定されている)で,認証標準物質(以下,CRM という。

)を,認証書の付いた標準物質で,一つ

以上の特性値が,その特性値を表す単位の正確な現示へのトレーサビリティが確立された手順によって認

証され,各認証値にはある表記された信頼水準での不確かさが付いているもの”と定義している。よって,

CRM

は記述された参照値に対してトレーサブルな値をもつ,十分に特性付けされた標準物質である(3.12

参照)

CRM

は,

データ交換及び品質管理での測定システムの校正及び特性を決めるのに使用される。

CRM

の使用によって,測定及び品質管理の長期間の適正さと完ぺき(璧)性とを保証することができる。

参考  この規格が取り上げる CRM は,反射及び透過測定に用いられるものであり,印刷技術及び写

真技術分野で従来検定書付き校正板と呼ばれているものを指す。標準物質よりも校正板のほう

が前述の技術分野でははるかになじみのある用語なので,これまでに日本工業規格(以下,JIS

という。

)化した関連規格の表記にならってこの規格の中で CRM を検定書付き校正板又は単に

校正板と呼ぶ場合がある。

濃度計,測色計及び分光光度計は,グラフィックアーツ,写真及びその他の画像関連業界で品質・工程

管理のための測定を行う目的で広く使用されている。この規格の目的は,これら測定装置の性能を検証す

るために使用される検定書付き反射・透過校正板の特性を記述する検定書への要求事項を確立することに

ある。例えば,シアン,マゼンタ,イエローの色材を使用する業界では,各国の規格に対してトレーサビ

リティが確立されている校正試料が用意されていない。この規格は,CRM がない場合でも,測定結果の

再現性の決め方を示すことで,トレーサビリティを確立する手引きを提供している。

グラフィックアーツ及び写真分野で使用されている反射・透過形測定器に附属している校正板は CRM


2

B 9624

:2007 (ISO 15790:2004)

であるとは明記されていないが,それらの中には CRM の仕様を満足するものもある。測定器メーカーは,

適用可能と判断した場合には,附属する校正板の特性を CRM と明記することを推奨する。

この規格は,グラフィックアーツ,写真及びその他画像関連産業における測定上の不確かさの要因を数

値化するための実際の手順について述べている。また,これら要因を結合して“合成標準不確かさ”

3.3

参照)を決定するための演算方法も規定した。さらに厳密,かつ,詳細な手法については,ISO の“測定

における不確かさの表現の手引き(Guide to the Expression of Uncertainty in Measurement:以下,GUM とい

う。

”に述べられている。

さらに,これら検定書付き校正板の使用及び維持に関する一般的な方法についてもこの規格で述べてい

る。この規格の活用によって,CRM 提供者は前述の測定システムの性能を検証するための一貫した通常

使用情報を提供できる。

この規格は,次の CRM に付帯されるべき適切な文書について規定する。

−  CRM の適用・非適用範囲

−  濃度,色彩値,均一性などに関する CRM の物理特性(

附属書 参照)

−  CRM 記述値の検定基準値に対するトレーサビリティ

−  CRM の期待できる寿命

−  CRM の保守管理及び保管

−  CRM 使用方法に関する一般的手順

計測学及び測定における不確かさに関して適切な参考文献を

附属書 に示す。

この規格は,CRM の提供者及び使用者に対して,指針及び手法を提供する。品質保証の一環として CRM

を使用することは,測定システムの検証及び校正を行う上で必す(須)であり,測定装置によって得られ

た測定データの信頼性を向上させる。また,グラフィックアーツ,写真及びその他画像関連産業に関する

情報を提供することによって ISO 9001 適合認証を支援することになる。

1. 

適用範囲  この規格は,グラフィックアーツ,写真,その他画像関連分野に使用される CRM の保証

に必要な付随文書,CRM の使用手順,反射並びに透過計測システムの合成標準不確かさの求め方につい

て規定する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 15790:2004

,Graphic technology and photography−Certified reference materials for reflection and

transmission metrology

−Documentation and procedures for use,including determination of

combined standard uncertainty (IDT)

2. 

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発効年又は発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格

の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。

JIS Z 8103:2000

  計測用語

Guide to the Expression of Uncertainty in Measurement, published jointly by BIPM/IEC/IFCC/ISO/IUPAC

/IUPAP/OIML

,1995


3

B 9624

:2007 (ISO 15790:2004)

3.

定義  この規格で用いられる主な用語の定義は,次による。

3.1 

校正  (calibration)  計器若しくは測定系の示す値,又は実量器若しくは標準物質の表す値と標準によ

って実現される値との間の関係を特定の条件下で確定する一連の作業。国際計量基本用語集(international

vocabulary of basic and general terms in metrology

:以下,VIM という。

)及び JIS Z 8103:2000 (4342)参照。

備考  一般に,校正とは,測定値が真の値を示すよう測定システムを調整する作業を意味するものと

誤解されている場合が多い。しかし,校正とは,表示値を測定量の値に変換するか(対比表の

作成)

,又は装置を調整若しくはリセットするかの判断を意味する。装置の調整及びリセットの

後には校正を再度行い,新しい設定が許容範囲内の表示をすることの確認を推奨する。

3.2 

認証標準物質(CRM) (certified reference material CRM)  一つ以上の特性値が認証された,認証書付の

標準物質。特性値を表す単位の正確な現示のためのトレーサビリティが確立され,かつ,表記された信頼

水準での不確かさが認証書に付されるという手続きによって,特性値は認証される。JIS Q 0030 及び JIS Z 

8103:2000 (2138)

参照。

参考  先に JIS 化作業を終えた JIS B 9623:2002 (ISO 14981: 2000)では,関連技術分野の人たちにとっ

て分かりやすい“検定書付き校正板”と訳したが,印刷技術及び写真技術分野に限らず今後広

く用いられる用語であることを尊重して,表記を改めた。

3.3 

合成標準不確かさ (combined standard uncertainty)    u

c

  幾つかの他の量の値から求められる測定の

結果の標準不確かさ。各量の変化に応じて測定結果がどれだけ変わるかによって重み付けした,分散又は

他の量との共分散の和の平方根に等しい。

GUM

及び JIS Z 8103:2000 (2618)参照。

3.4 

包含係数 (coverage factor)    k  拡張不確かさを求めるために合成標準不確かさに乗じる数として

用いられる数値係数。

GUM

及び JIS Z 8103:2000 (2620)参照。

3.5 CRM

認証値  (CRM reference value)  CRM の認証された特性値で,CRM に付帯する文書に記載され

ている。

3.6 

拡張不確かさ  (expanded uncertainty)  U  合理的に測定量に結び付けられ得る値の分布の大部分を

含むと期待される区間を定める量。GUM 及び JIS Z 8103:2000 (2619)参照。

備考  拡張不確かさは,合成標準不確かさ  (u

c

)

と選択された包含係数(k)との積。

3.7

実験標準偏差  (experimental standard deviation)  s  同一測定量への一連の 回の測定に対し,その結

果のばらつきを特徴付ける量 であって,次の式によって与えられる。VIM 参照。

1

)

(

1

2

å

=

=

n

x

x

s

n

i

i

ここに,

n:  測定回数

x

回測定の算術平均値

x

i

:  回目の測定値

備考  ISO 3534-1:1993,2.34 において,標準偏差は分散の平方根と定義されている。


4

B 9624

:2007 (ISO 15790:2004)

3.8 

製造業者製校正用標準物質  (manufacturer’s calibration reference material)  製造業者からその装置の校

正用に供給される認証又は認証されていない附属装置若しくは試料。

3.9 

測定量  (measurand)  測定の対象となる量

  濃度,明度,透過率,反射率係数

参考  測定量は,場合によって測定した量(measured quantity)又は測定する量(quantity to be measured)

のこともある。JIS Z 8103:2000 (2203)参照。

3.10 

標準物質  (reference material)  測定装置の校正,測定方法の評価,又は材料に値を付与することに用

いるために一つ以上の特性値が十分に均一で,適切に確定されている材料又は物質。

JIS Q 0030

及び JIS Z 8103:2000 (2137)参照。

3.11 

(測定結果の)再現性  [Reproducibility (of results of measurements)]  測定条件を変更して行われた,

同一測定量の測定結果間の一致度合い。VIM 及び JIS Z 8103:2000 (2625)参照。

備考  再現性(reproducibility)は,繰返し性(repeatability)とは異なる。繰返し性とは,同一の測定条件下

で行われた,同一測定量の繰返し測定結果間の一致度合い。JIS Z 8103:2000 (2624)参照。

3.12 

トレーサビリティ (traceability)  不確かさがすべて表記された切れ目のない比較の連鎖によって,決

められた基準に結び付けられ得る測定結果又は標準の値の性質。基準は通常,国家標準又は国際標準であ

る。

VIM

及び JIS Z 8103:2000 (2132)参照。

3.13 

測定不確かさ  (uncertainty of measurement)  測定結果との関連で,測定量に合理的に帰せられる数値

の分散を決めるパラメータ。VIM 参照。

備考1.  この規格は,不確かさの各要素が正規分布を示していると仮定する。この仮定が適用できな

いケースでは,GUM の考え方及び規定を参照。

2. 

測定結果は測定量の単なる近似値又は推定値であり,それら推定値の不確かさの情報を伴う

ことによってはじめて意味をもつ。

3.14 CRM

の不確かさ  (uncertainty of CRM)  U

CRM

  CRM に添付された認証書中の記載値に帰せられる

測定不確かさ。包含係数を伴う拡張不確かさで表される。

3.15 

分散  (variance)  ばらつきの度合いで,観測値と母平均の偏差値の 2 乗との合計を観測回数−1 で除

した値。  [ISO 3534-1: 1993]

備考  測定値の試料  (x

1

x

2

,…,x

n

)

については,次の式で表される値。[JIS Z 8103:2000 (5209)]

( )

1

1

2

å 

=

n

x

x

n

i

i

ここに,

x

:  平均試料

4.

CRM

の使用に関する一般的なガイドライン

CRM

はさまざまな目的で使用される,

−  測定装置又は測定システムの精度の検証

−  日常使用における測定システムの性能の検証

−  表示された測定値の不確かさの推定

−  個々に校正された測定システムの相関関係の決定及び一致精度の向上

製造業者製校正用標準物質は通常,特定の機器,使用目的だけに適した特性,数値をもっている。製造


5

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:2007 (ISO 15790:2004)

業者製校正用標準物質もこの規格の 5.15.3 に準拠していれば CRM として扱うことができる。

測定器の製造業者製校正用標準物質でない CRM を,測定器の物理的再調整に勝手に使用しないことを

推奨する。CRM の使用者が測定器の調整目的のためにそれを使用する場合,まず,機器製造業者に問い

合わせることを推奨する。

通常,CRM は,測定システムのすべての特性を検証するようには設計されていないため,CRM に附属

している説明書を理解して,それに正しく従うことが重要である。

5. CRM

に要求される記述

5.1

CRM

の製品情報  CRM には,次の情報を添付する。

−  製造業者名

−  製品名

−  製造番号

−  認証日

−  使用期限又は有効期間

これらの情報は,CRM 自体に添付するか,その CRM に特有な情報として添付する。

5.2 CRM

認証値の記載  CRM 認証値は合成標準不確かさ(u

c

例 1.参照),又は拡張不確かさ(U)及び

包含係数(k)(

例 2.参照)のいずれかとともに正しく記載,表示されていなければならない。

1.  D

R

(45;S

A

:0;T’

R

) = 1.25

,  このとき  u

c

= 0.01;

  (ISO 5-3 による濃度表記)

ここに;D

R

:反射濃度

S

A

:CIE 標準光源 A を使用したときの入射スペクトル

T’

R

:ステータス の赤色分光感度

例 2.  D

R

 (45; S

A

:0; T’

R

) = 1.25

±0,02 = 1.25±U[u

c

 = 0.01

,  (k=2)]

ここに;D

R

S

A

T’

R

例 1.と同じ。

代わりに,表など他の表現を使って CRM 検定値を表すこともできるが,CRM に添付される認証書に

は合成標準不確かさ,又は拡張不確かさ及び包含係数が明記されていなければならない。

5.3 

トレーサビリティ  トレーサビリティについての記述が CRM 認証値に添付される必要がある。ト

レーサビリティについての詳細説明は,要求があれば,入手可能とする。

CRM

認証値の決定方法,測定装置についての情報も提供しなければならない。

5.4 

使用上の注意  CRM 製造業者は,CRM 測定値の安定性に影響を及ぼす特性についての情報を書面

で提供しなければならない。

附属書 にこれら特性についての例を示す。

実際に測定される物と異なった特性をもつ CRM を使用すると誤った測定結果を生む可能性がある。不

測の影響を最小限にするため,CRM の選択及び使用にはこのような特性への配慮が望ましい。測定機器

の校正に悪影響を及ぼす特性は,文書で提供されることが望ましい。

CRM

の分光特性又はその他特性がユーザーが行う測定結果に大きな影響を与える場合には,製造業者

はその旨を告知しなければならない。一つの例としては,温度変化に伴ってその色が変化するカラー校正

板の特性がある。この場合,温度管理が必要となることを明記しなければならない。

5.5 CRM

の取扱いと維持  製造業者は,CRM の適切な使用期限又は有効期間の情報を提供しなければ

ならない。

例  変形,表面特性の変化,色変化)

適用できる場合には,この情報に次を明記しなければならない。

−  検証及び再認証の手続き


6

B 9624

:2007 (ISO 15790:2004)

−  保管及び使用時の推奨温度,湿度,光への暴露

−  取扱い上の注意及び推奨事項

−  清掃方法

CRM

に添付される書類には,CRM 使用中のひどい汚れ,損傷,その他変形,変質がないことを前提と

して,CRM の交換時期,再認証の時期についての表記が含まれなければならない。

CRM

が変化する潜在的な原因として明記された使用条件下で使用された場合,CRM 認証値は監査又は

審査測定を通して検証することを推奨する。

5.6 

用途及び使用方法  製造業者は,CRM の使用方法について,その例及びガイドラインを提供するこ

とを推奨する。不適切な使用が測定結果に影響する可能性がある場合には,推奨される使用方法の詳細説

明を提供しなければならない。

例  CRM と装置との位置関係,装置の幾何光学系条件,アパーチャサイ

ズの範囲)

6. CRM

の使用方法

6.1 

合成標準不確かさの決定

6.1.1 

一般  合成標準不確かさの計算の基本的な考え方について 6.1.26.1.6 で説明する。また,この計

算式を 6.1.7 の式(4)に示す。

GUM

では,いわば生産現場から基礎研究に至るまでの様々な分野及び精度水準において,守られるべ

き測定の不確かさの評価及び表現のための規則を決めている。この手引では,この分野における究極の文

書として考えられるべきだが,グラフィックアーツ及び写真産業内では一般的には実施されていない。こ

の理由としては,文書の無視,無理解,実行する必要性がない,また,厳しすぎるとの印象など,多くの

ことが考えられる。

この規格の適用条件としては,入力値は各々独立し,正規分布をもち,各々の標準偏差が対応する入力

変数のもつ絶対値よりも大幅に小さいことを想定している。これらの想定は常に正しいとは限らないが,

CRM

を実際に使用する場合の妥当な根拠を提供している。色差,彩度のように,これら想定が適用でき

ない場合には,GUM にある概念及び規定に従うことが望ましい。

測定量の情報から測定方法のモデルができる。これは,直接測定されるわけではなく,多数の他の測定

量から次の相関関数 を通して得られる。

)

,

,

,

(

2

1

n

i

x

x

x

x

f

y

⋅⋅

⋅⋅

=

 (1)

ここに,  y:  出力値 

f:  入力結果と出力間との相関関数

x

i

:  番目入力変数の測定結果

もし幾つかの x

i

の相関が著しく大きい場合には,これを考慮する必要がある。例えば,CIELAB 値を分

光測定値から計算する場合には,サンプリング波長ごとに誤差が生じている。この場合,各波長の誤差に

相関関係はないが,それらから XYを計算する行為が XYの誤差間の相関を生む。このような場

合には,GUM の 5.2 に記載された手順を使用しなければならない。入力変数が独立して,正規分布をもつ

場合の感度係数については,6.1.2 を参照。

6.1.2 

正規分布をもち独立した入力変数の感度係数  独立した正規分布をもつ多数の入力変数 x

i

に依存

する測定結果 の合成標準不確かさ u

c

(y)

は,次の式(2)で計算される。


7

B 9624

:2007 (ISO 15790:2004)

2

2

2

2

2

2

1

1

2

c

)

(

...

)

(

...

)

(

)

(

)

(

ú

û

ù

ê

ë

é

+

ú

û

ù

ê

ë

é

+

ú

û

ù

ê

ë

é

+

ú

û

ù

ê

ë

é

=

n

n

i

i

x

f

x

u

x

f

x

u

x

f

x

u

x

f

x

u

y

u

 (2)

ここに,  u

c

(y)

:  測定結果 の合成標準不確かさ

u(x

i

)

:  入力変数 x

i

の標準不確かさ

i

x

f

x

i

での関数 の部分導関数の値

式(2)中の

i

x

f

は個々の不確かさが合成標準不確かさに及ぼす影響を表しているため,感度係数とも呼ば

れる。

附属書 も参照。

6.1.3

関数が不明確な工程の感度係数  関数 が不明な場合には,感度係数を実験的に求めることができ

る。

1.  ある校正板の色測定が温度変化に影響され,温度変化 1  ℃の色測定値への影響が分かれば,こ

れが感度係数として考えられる。

幾つかのテスト変数

n

i

x

x

x

x

...,

,...

,

2

1

の関数である未知の一般プロセス は,上記の関数 同様の関数と

して表現できる。つまり,このプロセスは,たとえ未知であっても,P(x

1

x

2

,…x

i

…,x

n

)

で表すことがで

きる。ある変数 x

i

に対応する感度係数は,その x

i

に変量εを加えることによって実験的に求められる。

[

]

ε

ε

)

...,

,...

,

(

),

(

,...,

,

2

1

2

1

n

i

n

i

i

x

x

x

x

P

x

x

x

x

P

x

P

+

 (3)

この結果は,式(2)中の該当する部分導関数の置き換えに使用できる。式(2)の角括弧中の積を得るために

は,実験的に求めた各感度係数に各変数の標準不確かさ(その変数の単位で表示される)を乗じる。

例 2.  例 1.における温度の感度係数は,℃で表された温度の標準不確かさが乗じられる。

関数関係が明確であるが,非常に複雑な場合には,感度係数の計算に式(3)が便利に使用できる。他の入

力変数はそのままにしておいて,ある入力変数だけを典型的な値から少し変化させることによって,その

変数に対する感度係数の計算ができる。

6.1.4 

正規分布をもち相関のある入力変数の感度係数  式(2)は,入力変数 x

i

が独立又は非相関である場

合だけに有効である。幾つかの x

i

が相関している場合には,その相関を考慮する必要がある。例えば,

CIELAB

値を分光測定値から計算する場合には,サンプリング波長ごとに誤差が生じている。この場合,

各波長の誤差に相関関係はないが,それらから XYを計算する行為が XYの誤差間の相関を生む。

このような場合には,GUM の 5.2 に記載された手順を使用しなければならない。

6.1.5 

測定結果の再現性  再現性についての不確かさは最終測定結果の不確かさの一要因と考えられ,手

順,観測者,時刻,環境,その他要因によって影響される。再現性を決定する過程においては,これら四

つの要因(他にあればそれらも含め)から生じる変動が見込まれるので,測定過程から予想される代表的

な正しいデータを集計するように注意が必要である。測定結果の再現性は,測定方法,再校正,計測者の

技術レベル,環境条件,その他一般的変動要素を考慮して,ある一定の時間をかけて,次の手法に従って

決定する必要がある。

a)

評価される測定装置に適合した均一で安定性のある試料を選ぶ。標準物質の特性が通常に測定される

試料の特性と同様な場合には,これを使用することも可能である。


8

B 9624

:2007 (ISO 15790:2004)

b)

標準物質を用い,通常の方法で装置の校正を行う。

c)

通常の方法で得られるであろう測定結果[つまり,通常の測定で生じる変動要素(計測者,測定室の

温湿度などの環境,測定器のウォームアップ時間,その他)をすべて含んでいる]から統計的に十分

な数の測定代表値を求め,これらから実験標準偏差を計算する。このようにして得られた実験標準偏

差は,測定結果の再現性の程度を表し,6.1.7 の式(4)で合成標準不確かさを計算するための重要な要素

となる。例を

附属書 に記載する。

この規格は,測定結果が正規分布であることを前提としているが,これらの結果が常に正規分布となっ

ているとは限らない。もしそれが正規分布かどうか疑わしい場合には,統計的手法で確認することを推奨

する。もし正規分布ではないことが判明した場合には,測定結果に関して別の分布記述法を使用する必要

がある(ISO 3534-1 及び ISO3534-2 を参照)

備考1.  再現性は,測定値又は測定試料によって影響される。濃度測定において,濃度 0.1 における

再現性が濃度 2.0 における再現性より低くなるのは典型的な例である。また,あるカラー印

画紙で特定の無彩色部分の濃度測定値の再現性が,そして公称濃度が同じである他のタイプ

のカラー印画紙のそれと異なることもあり得る。

2. 

使用者の管理を超えた問題については,6.1.26.1.36.1.4 及び 6.1.6 に規定されている。

6.1.6 CRM

の不確かさ  CRM 検証値の不確かさは,最終測定結果中の不確かさの一要因と考えなけれ

ばならない。この不確かさは,測定過程で生じる他の不確かさと適切な関連付けを行う必要がある。単な

る不確かさとして値が記載されている場合には,この値は一つの標準偏差とみなし U

CRM

として扱う。そ

の値が拡張不確かさ として包含係数 を伴って記載されている場合には,U

CRM

の値は U/となる。

過去,多くのグラフィックアーツ分野で,CRM 検証値の不確かさは,正規分布を前提として標準偏差

(σ)の倍数の数値として表示されてきた(例えば,2σにおいて±0.001 3 の濃度)

。このような場合,そ

の値をシグマの数で除して 1σ標準偏差同等値を求めることが望ましい。この値は,6.1.7 の式(4)を使用す

るときに必要となる。統計的特性表示を伴わない値は,1σ標準偏差を表すものとみなすことが望ましい。

6.1.7 

合成標準不確かさの求め方  パラメータ の測定結果の合成標準不確かさ u

c

(y)

は,

再現性に関する

不確かさ u

r

,CRM 認証値の不確かさ U

CRM

及びその他の原因からの不確かさ(測定の再現性を測る場合に

は不必要)を用いて,基本モデルである式(1)から導かれた式(4)によって計算される。

2

2

2

2

1

2

CRM

2

c

...

)

(

n

x

x

x

r

u

u

u

U

u

y

u

+

+

+

+

+

=

 (4)

ここに,

2

2

2

;...,

;

2

1

n

x

x

x

u

u

u

は実験分散値と等しい。

上記の各値は,不確かさの原因が統計学的に決まると考えられる場合には,実験標準偏差の二乗,そう

でない場合には不確かさの原因となるその他全要素から推定される分散値の二乗に等しくなる。分散値の

不確かさの表示に使用される実験分散値又はその推定値はすべて測定された量として表現されなければな

らない。

例えば,反射濃度測定における不確かさが温度変化によって生じている場合,測定濃度に対する温度変

化の影響を求め,温度ではなく濃度の分散値として表示することが望ましい。

孤立した要素というものはなく,すべての成分影響度が均等に重み付けされている場合の合成標準不確

かさの演算例を

附属書 に示す。附属書 に更に複雑な成分影響度が存在する場合の計算方法及びその例

を示す。

6.2 

拡張不確かさの求め方  拡張不確かさ は,合成標準不確かさ u

c

(y)

と包含係数 との積で表す。


9

B 9624

:2007 (ISO 15790:2004)

正規分布下では,包含係数 k=2 を選択すると信頼度は約 95  %の幅が得られる。グラフィックアーツ分

野では,測定値の不確かさとその用途での要求条件とを比較する場合,一般的には包含係数=2 を選択す

る。推奨方法,特に“有効自由度”

,についての詳細は,GUM  の 3.3.7 及び を参照。

6.3 

測定系の校正  新たな測定器の導入,修理又は調整後には,CRM を使用して校正を実施することを

推奨する(3.及び 4.を参照)

製造業者の手順に従い測定器のセットアップ終了後,CRM を測定して得られた測定値を CRM 認証書

に記載されている CRM 検定値と比較する。

この比較が意味をなすためには,測定結果の合成標準不確かさを決める必要がある。合成標準不確かさ

を決めるには,まず,各々のプロセスにおける各因子の不確かさを推定する(これらの推定は統計的又は

その他の方法でなされる)

。この推定のためには,再現性 u

r

6.1.5 参照)

CRM の不確かさ U

CRM

6.1.6

参照)

,その他,既知の測定上の不確かさ因子を含むすべての不確かさ因子の情報を必要とする。

不確かさをもたらす各因子が分散(正規分布の場合は,標準偏差の二乗と同じとなる)

,又はその推定値

として表される場合は,分散(及びその推定値)の正の平方根の和は合成標準不確かさと同じになる(た

だし,これは不確かさのすべての因子が独立,つまり相関がないと仮定される場合である 6.1.7 参照)

同一の測定方法を用いても,CRM 測定用に求められた測定結果の不確かさが他試料測定結果の不確か

さとは一致しない場合がある。例えば,反射濃度 CRM の光沢はその一つで,それが CRM 濃度を正確に

測定するための測定装置の性能に影響するものではない。ただし,光沢が CRM と異なる試料を同一の測

定方法で測定した場合,光沢の差は測定結果の不確かさに影響する場合がある。そのような場合には,光

沢の影響を決める必要があり,また,不確かさを生じる他の要因と結びつける必要もある。測定における

不確かさを評価するときに必要な CRM に関する性質は,

附属書 に述べる。

ひとたび測定系の合成標準不確かさが決まると,次に CRM を使用して測定装置の校正を検証すること

ができる。測定値と CRM 検定値との差の絶対値が合成標準不確かさの値と同等又は小さい場合には,補

正の必要はない。しかし,測定値と CRM 検定値との差の絶対値が合成標準不確かさの値より大きい場合

には,測定値を補正する必要がある。補正は加算(未補正値に加算される値は“補正値”と呼ばれる)

,又

は乗算(未補正値に乗じられる数値は“補正係数”と呼ばれる)によって行うか,又は製造業者からの指

示に従って測定装置で調整することも可能である。

附属書 及び附属書 での CRM の不確かさを含んだ

合成標準不確かさの演算例は,

“加算補正”の方式をとっている。

ある測定装置の測定結果が許容できるか否かは,その用途に依存する。系統誤差は,避けることはでき

ないが,低減することは多くの場合に可能である。系統誤差が既知の影響で生じ,その影響が定量的に分

かる場合には,その影響を打ち消すような補正を加えることが可能である。補正後は,システムの影響に

よって生じる誤差の予想値はゼロとなる。

校正の結果が仕様内に収まった場合には,装置の性能が検証されたと考えられシステム調整の必要はな

くなる。校正の結果が適用する仕様に収まらない場合には,測定方法,校正頻度,装置又は CRM に潜在

的な問題があると考えられる。

7. 

測定結果及びその不確かさの記載  不確かさはその測定結果と共に記載される必要がある。測定結果

は測定過程の合成標準不確かさ u

c

例 1.参照)又は拡張不確かさ 及び包含係数 k(例 2.参照)ととも

に記載される必要がある。

1.  D

R

(45;S

A

:0;T’

G

)=1.43

    ここに u

c

=0.02

  (濃度は ISO 5-3 に従って表記)

ここに,D

R

:  反射濃度


10

B 9624

:2007 (ISO 15790:2004)

S

A

:  CIE 標準光源 A を使用した場合の入射スペクトル

G

T

′ :  ステータス T の緑色分光感度

U:  拡張不確かさ

k:  包含係数

例 2.  D

R

(45;S

A

:0;T’

G

)=1.43

±0.04=1.43±Uu

c

=0.02

,(k=2)]

ここに,変数は,

例 1.に同じである。

例 1.及び例 2.において,測定濃度の真の値は,約 95  %の確率で 1.39∼1.47 の間に収まる。

既知の無視できない系統的影響に対して測定結果の補正を行うことができない場合は,GUM の F.2.4.5

に従いその不確かさを記載する必要がある。そのような場合には,測定結果は次のように記載される場合

が多い。

)

(

)

(

)

(

max

max

b

U

t

y

t

Y

+

±

=

ここに,  (t):  パラメータ の数値範囲全体にわたる測定値 Y 

U

max

:  パラメータ の数値範囲全体にわたる拡張不確かさの最大値

b

max

:  パラメータ の数値範囲全体にわたる既知の補正値の最大値

例 3.

[

]

01

.

0

03

.

0

4

.

2

CIE

*

+

±

=

ab

E

ここに,

  U

max

  =0.03

*

ab

E

数値範囲全体にわたる拡張不確かさの最大値

b

max

=0.01

*

ab

E

数値範囲全体にわたる既知の補正値の最大値


11

B 9624

:2007 (ISO 15790:2004)

附属書 A(参考)CRM の特性

測定装置の校正に影響を及ぼす可能性がある CRM 特性の例を次に記載する。

面積

背景

濃度

網点

蛍光

光沢

不透明度

透過性

偏光

反射率

鮮鋭度

大きさ

分光特性(反射,透過)

安定性[経時,ばっ(曝)光,温度,湿度など]

構造(層)

表面状態

半透明性

透過率

均一性


12

B 9624

:2007 (ISO 15790:2004)

附属書 B(参考)因子影響度の等量重み付けによる

合成標準不確かさの演算例

B.1

序文  この附属書では,測定結果再現性の計算方法及び因子間の相関性がなくすべての因子影響度

が同等に重み付けされている場合での合成標準不確かさ演算方法の例を述べる。この例はこの規格をどう

適用するかを示すために掲載するもので,本体の 6.1.5 に規定する測定過程における再現性予測の例も含

まれる。

附属書 では,更に複雑な組合せの因子影響度が存在する場合の演算方法及び例について述べる。

この規格に従って再現性を求める手順では,実使用で直面する変動因子が忠実に予測評価され,また,

実際に使用で生じる可能性のある変動の原因をできる限り多く特定することが推奨される。

B.2 

例  測定結果の再現性は,次のような事象の関数である。

測定者数

測定器の設置場所数

測定環境

校正及び調整の時間間隔

特別な応用環境における測定結果の再現性を求めるには,その典型的な使用手順を予測評価する実験を

行うことが大切である。例えば,ある実験で,印刷物シアンパッチの赤フィルター濃度の測定が分光濃度

計で行われ,ステータス

T’

R

濃度として出された。このとき,

3

か所の実験室で各々

1

人の測定者が

3

日間

にわたり

5

回/日の測定を同一の測定装置を使用して行った。また,実際の使用状況に合わせるため,

5

回/日の測定に先立って製造業者の校正基準と手順に従った測定装置の校正が行われた。

測定結果の再現性

r

u

は,

標準偏差として表される場合もあるが,

この例では本体の 3.7 の計算式を使い,

実験標準偏差は

0.007

と計算されている。

因子間の相関性がなく,すべての因子影響度が同等に重み付けされ正規分布状態にある場合の合成標準

不確かさ演算方法の例を次に示す。

適用する条件は次による。

測定過程の実験標準偏差は

0.007

CRM

の合成標準不確かさは

0.012

(認定書に記載)

その他の不確かさ要因は含めない

上記値を式(

B.1

[本体の 6.1.7 の等式

(4)

]に代入する。

2

2

2

2

1

2

CRM

2

c

...

)

(

n

x

x

x

r

u

u

u

U

u

y

u

+

+

+

+

+

=

(B.1)

合成標準不確かさ

u

c

は,次によって計算される。

014

.

0

)

012

.

0

(

)

007

.

0

(

2

2

c

=

+

=

u

(B.2)


13

B 9624

:2007 (ISO 15790:2004)

附属書 C(参考)因子影響度の重み付けを含んだ合成標準不確かさの演算例

C.1 

序文  この附属書では,更に複雑な因子影響度が存在する場合に,GUM に基づいた演算方法及びそ

の例を述べる。合成標準不確かさが求められたら,CRM を測定して測定系の調整又は補正が必要かどう

かを判断することを推奨する。そして,測定系の検証は定常的に行うことを推奨する。

附属書 では,因子間の相互依存性がなくすべての因子影響度が同等に重み付けされている場合の,

測定結果の再現性の決定方法及び合成標準不確かさの演算方法を述べている。

C.2 

例 1−濃度測定への応用  ステータス

T’

R

濃度を表示する分光濃度計を使用して,試料上のシアンベ

タ及び紙のステータス

T’

R

濃度を測定した。同一の測定装置(同一製造番号)を使用して,

3

か所の試験所

で,それぞれ一人の計測者によって

5

回/日の計測を

3

日に分けて実施した。実際の使用と同条件にする

ため,

5

回/日の測定を行う前に毎回,製造業者製校正板で装置を校正し,かつ,製造業者の指示に従っ

て装置の調整を行った。

測定結果は正規分布を示した。

パッチごとに得られた

45

の測定データを使用して,

平均値及び実験標準偏差を計算した。実験標準偏差の計算は本体の 3.7 の式を用い,計算結果を

表 C.1 

示す。

CRM

を使用して,測定システムの検証を定期的に行うことが望ましい。CRM の不確かさは,入力値と

して必要になるので,合成標準不確かさを計算することが重要である(本体の 6.1.7 参照)

検定書には CRM のシアン測定領域の検定値は

D

R

(45;S

A:

T′

R

;0)=1.52 ; u

c

=0.012

と記載され,紙白部の測定

領域の検定値は

D

R

(45;S

A:

T′

R

;0)=0.05 ; u

c

=0.012

と記載されている。

これら両者の値を式

(4)

に代入して,

表 C.1 にある合成標準不確かさ

u

c

が求められる。また,この値は,

再現性を求めるために使用された測定器と試料についての

T’

R

測定値単独での不確かさとなる。

 C.1  再現性テスト結果

測定平均

標準偏差 CRM の不確かさ

合成標準不確かさ

D

R

(45;S

A:

T′

R

;0)

u

r

U

CRM

u

c

シアンベタ部 1.52

0.005

6

0.012

0.013

紙白部 0.07

0.0

3

0.012

0.012

標準偏差

u

r

は,ある測定装置を使用してステータス

T’

R

濃度測定における,本体の 6.1.5 で定義される再

現性の値を表す。ここでの値は,高濃度

(0.005 6)

と低濃度

(0.001 3)

とでは大きく異なるので,各々別個の扱

いが必要となる。

C.3 

例 2−濃度差  表 C.1 にある二つの反射濃度の差

D

r

についての合成標準不確かさは,式

C.1

で計算

される。

p

s

p

s

r

)

,

(

D

D

D

D

f

D

=

=

(C.1)

ここに,

D

r

濃度差,つまり相対濃度

f: 入力/出力の関数

D

s

ベタ濃度

D

p

紙白濃度


14

B 9624

:2007 (ISO 15790:2004)

感度係数は,次の式で計算する。

1

s

=

D

f

  及び

1

P

=

D

f

(C.2)

これらの値を,

表 C.1 中の D

s

及び D

p

の合成標準不確かさの値とともに,式(2)に適用して次の結果が得

られる。

018

.

0

)

(

r

c

=

D

u

 (C.3)

C.4 

例 3−測定濃度からの機械的ゴースト量計算  本機印刷で機械的に発生するゴースト量は,二つのシ

アンベタ濃度から次の式で計算する。

100

2

1

2

×

=

D

D

D

G

 (C.4)

ここに,

G:  ゴースト量(%)

D

2

:  ゴーストがない部分のベタ濃度

D

1

:  ゴースト部分のベタ濃度

感度係数は,次の式で計算する。

100

1

2

1

×

=

D

D

f

  及び

100

2

2

1

2

×

=

D

D

D

f

(C.5)

測定装置の色設定を C.2 の例 1 と同様に行い測定した結果,濃度 D

1

=1.45

D

2

=1.60

を得た。さらに,

C.1

から得られる不確かさ 0.013 を使用して式(2)に代入すると次となる。

10

.

1

3

.

1

60

.

1

45

.

1

3

.

1

60

.

1

1

)

(

2

2

2

c

=

÷

ø

ö

ç

è

æ

×

+

÷

ø

ö

ç

è

æ

×

=

G

u

 (C.6)

つまり,

D

1

及び D

2

の 1 回の測定から得られる合成標準不確かさは 1.10  %となる。

ゴースト量 は 9.4  %

と計算される。以上から測定結果は,次のように表現される。

“ゴースト量 は合成標準不確かさ 1.1  %において 9.4  %”又は“u

c

=1.1

%において G=9.4”となる

C.5 

例 4CIELAB 

*

ab

C

の合成標準不確かさ

スポットカラーの CIELAB

*

ab

C

測定結果(ISO 13655)の合成標準不確かさは,入力変数群の標準不確かさ

から式(C.7)で計算される。

2

*

2

*

*

b

a

C

ab

+

=

(C.7)

ここに,

*

ab

C

CIELAB

彩度

a

*

CIELAB

系での赤―緑座標

b

*

CIELAB

系での黄―青座標


15

B 9624

:2007 (ISO 15790:2004)

この計算においては,測定の再現性に関係した不確かさ及び CRM 検定値の不確かさが包含されている。

a

*

b

*

両方の不確かさが

*

ab

C

の値より十分小さい場合には,CIELAB

*

ab

C

は正規分布であることが知られて

いる。

実際の測定で入力変数は a

*

=35.2

b

*

=35.7

と測定され,標準不確かさは u(a

*

)=0.10

及び u(b

*

)=0.15

である

とその色空間領域の測定作業に先立って求められている。不確かさ u(a

*

)

及び u(b

*

)

は,計算された

*

ab

C

=36.2

よりも小さい。感度係数は,式(C.8)によって得られる。

*

*

*

ab

C

a

a

f

=

  及び

*

*

*

ab

C

b

b

f

=

 (C.8)

これら数値を式(2)に代入して(C.9)が得られる。

18

.

0

15

.

0

2

.

36

7

.

35

10

.

0

2

.

36

2

.

35

)

(

2

2

*

c

=

÷

ø

ö

ç

è

æ

×

+

÷

ø

ö

ç

è

æ

×

=

ab

C

u

(C.9)

CIELAB

計算に分光データを使用する場合には,本体の 6.1.3 に規定の方法の使用を推奨する。

C.6 

例 5−濃度測定からのトーンバリュー計算  C.2 に記述した方法は,シアン版コントロールストリッ

プ上のベタ部,網点部,紙白部の反射濃度測定値及びそれらの不確かさから,網点管理パッチのトーンバ

リュー並びにその合成標準不確かさを評価するときに使用される。ISO 12647-1 によってトーンバリュー

は,式(C.10)から得られる。

ú

û

ù

ê

ë

é

×

=

=

)

p

s

(

)

p

h

(

p

s

h

10

1

10

1

100

)

,

,

(

D

D

D

D

D

D

D

f

A

(C.10)

ここに,

A: トーンバリュー(%)

f: 関数

D

p

印刷支持体のステータス T’

R

濃度(ISO 5-3 による記載)

D

s

ベタ部のステータス T’

R

濃度

D

h

網点部のステータス T’

R

濃度

測定された値を

表 C.2 に示す。表 C.1 中の合成標準不確かさはベタ部及び紙白部の濃度を採用した。表

C.1

には示されていない網点管理パッチ部濃度の合成標準不確かさは,この例では 0.012 である。

表 C.2

を参照。

この例のように,偏微分による感度係数の計算は複雑なので,本体の 6.1.3 で示す方法が代用される。

C.2

の変数を使用した場合,トーンバリューは A=57.138 5  %と計算される。もし,D

h

が 0.001 増加すると,

この値は 57.244 6  %となり,その差は 0.106  %となる。感度係数は 0.106  %を 0.001 で除した値,つまり

106

%となる。同様にして,他の二つの感度係数が計算できる。これらの値を

表 C.2 に示す。

 C.2

測定濃度

標準不確かさ

感度係数

網点パッチ部 0.40

0.012

106

ベタパッチ部 1.55

0.013

  4

紙白部 0.05 0.012  102


16

B 9624

:2007 (ISO 15790:2004)

中間調のトーンバリューは,ベタ濃度の測定不確かさにあまり影響を受けないということは注目すべき

である。

表 C.2 の感度係数は,この表にある特定の濃度値の組合せから得られた値である。

の合成標準不確かさは,表 C.2 の値から等式(C.11)で計算される。

77

.

1

)

102

012

.

0

(

)

4

013

.

0

(

)

106

012

.

0

(

)

(

2

2

2

c

=

×

+

×

+

×

=

A

u

(C.11)

つまり,この値が 3 点(ベタ部・網点部・紙白部の濃度)測定によって求められたトーンバリューの不

確かさである。


17

B 9624

:2007 (ISO 15790:2004)

附属書 D(参考)参考文献

[1]  ISO Guide 30:1992

,Terms and definitions used in connection with reference materials

[2]    International vocabulary of basic and general terms in metrology (VIM)

,published jointly by BIPM/IEC/

IFCC/ISO/IUPAC/IUPAP/OIML

,1993

[3]  ISO 5-1

,Photography – Density measurements – Part 1: Terms,symbols and notations

[4]  ISO 5-2

,Photography – Density measurements – Part 2: Geometric conditions for transmission density

[5]  ISO 5-3

,Photography – Density measurements – Part 3: Spectral conditions

[6]  ISO 5-4

,Photography – Density measurements – Part 4: Geometric conditions for reflection density

[7]  ISO 3534-1:1993

,Statistics – Vocabulary and symbols – Part 1: Probability and general statistical terms

[8]  ISO 3534-1:1993

,Statistics – Vocabulary and symbols – Part 2: Statistical quality control

[9]  ISO 5725-1

,Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results – Part 1: General

principles and definitions

[10]  ISO 5725-2

,Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results – Part 2: Basic

method for the determination of repeatability and reproducibility of a standard measurement method

[11]  ISO 5725-3

,Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results – Part 3: Intermediate

measures of the precision of a standard measurement method

[12]  ISO 5725-4

,Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results – Part 4: Basic

methods for the determination of the trueness of a standard measurement method

[13]  ISO 5725-5

,Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results – Part 5: Alternative

methods for the determination of the precision of a standard measurement method

[14]  ISO 5725-6

,Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results – Part 6: Use in

practice of accuracy values

[15]  ISO 9001

,Quality management systems – Requirements

[16]  ISO 10012:2003

,Measurement management systems – Requirements for measurement processes and

measuring equipment

[17]  ISO 12645

,Graphic technology – Process control – Certified reference material for opaque area

calibration of transmission densitometers

[18]  ISO 12647-1

,Graphic technology – Process control for the manufacture of half-tone colour separations,

proof and production prints – Part 1: Parameters and measurement methods

[19]  ISO 13655

,Graphic technology – Spectral measurement and colorimetric computation for graphic arts

images

[20]  ISO 13656

,Graphic technology – Application of reflection densitometry and colorimetry to process

control or evaluation prints and proofs

[21]  ISO 14807

,Photography – Transmission and reflection densitometers – Method for determining

performance

[22]  ISO 14981

,Graphic technology – Process control – Optical,geometrical and metrological requirements

for reflection densitometers for graphic arts use

[23]  ISO/IEC 17025

,General requirements for the competence of testing and calibration laboratories