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B 8606 : 1998  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって,JIS B 8606-1984は改正され,この規格に置き換えられる。 

今回の改正では,国際整合化を図るため,ISO/FDIS 917 : 1998, Testing of refrigerant compressors(冷媒用

圧縮機の試験方法)を基礎として用いた。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

JIS B 8606には,次に示す附属書がある。 

附属書A(規定) 計器の校正及び不確かさ 

附属書B(規定) 不確かさの解析 

附属書C(参考) 量記号 

附属書D(参考) 油循環量測定方法 

附属書E(参考) 附属の油分離器による油循環量の測定方法 

附属書F(参考) 参考文献

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 8606 : 1998 

冷媒用圧縮機の試験方法 

Testing of refrigerant compressors 

序文 この規格は,1989年に第2版として発行されたIS0 917, Testing of refrigerant compressorsの見直しが

行われ,1998年にまとめられたISO/FDIS 917, Testing of refrigerant compressorsを元に作成した日本工業規

格であり,原国際規格の技術的内容を変更することなく作成している。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。 

1. 適用範囲 この規格は,冷媒用の単段の容積形圧縮機(以下,圧縮機という。)の冷凍能力,入力,全

断熱効率及び成績係数を,冷媒を用いて求めるための試験方法について規定する。この規格は,圧縮機の

製造業者の工場又は要求される正確さの試験を行うために必要な機器が利用できる場所で行う試験に適用

する。試験に用いる計器の種類,校正及び不確かさについては,附属書A(規定)及びB(規定)に示す。

附属書C(参考),D(参考),E及びF(参考)は,この規格の本体及び附属書(規定)に関連する補足情

報であり,規定の一部ではない。 

なお,この規格は,他の形式の圧縮機を試験する場合にも準用することができる。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

ISO/FDIS 917 : 1998, Testing of refrigerant compressors 

参考 自動車用エアコンディショナの試験方法については,次の規格がある。 

JIS D 1618 自動車用エアコンディショナー試験方法 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。 

ISO 5149 Mechanical refrigerating systems used for cooling and heating−Safety requirements 

ISO 5167-1 Measurement of fluid flow by means of pressure differential devices−Part 1 : Orifice plates, 

nozzles and venturi tubes inserted in circular cross-section conduits running full 

ISO/TR 5168 Measurement of fluid flow−Evaluation of uncertainties(1) 

注(1) 発行の予定。 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

備考 算定に使用する量記号及び単位は,それらの定義とともに,附属書C(参考)に示す。 

なお,この規格で用いる圧力について,特に明記してないときは,絶対圧力をいう。 

3.1 

冷凍能力 (refrigerating capacity of a refrigerant compressor, Φ0)  圧縮機出口の測定位置での吐出し圧

力に対応した飽和温度の冷媒液と,圧縮機入口の測定位置での吸込み冷媒蒸気との間の比エンタルピー差

に,試験で求められた圧縮機の単位時間当たりの冷媒質量流量を乗じた値。

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.2 

体積効率 (volumetric efficiency, ηv)  4.3.2で規定した位置で測定した吸込み状態における実際の圧

縮機体積流量の,圧縮機押しのけ量に対する比。 

3.3 

入力 (power input, P)  開放圧縮機の場合には,圧縮機軸入力。また,密閉圧縮機の場合には,電動

機端子における電気入力。ただし,これには,潤滑油ポンプのような圧縮機の運転の維持に必要な補機類

が消費する動力も含める。 

備考 試験報告書には,入力が圧縮機の回転軸で測定されたものか,又は電動機端子で測定されたも

のであるかを明確にする必要がある。 

3.4 

全断熱効率 (isentropic efficiency, η1)  圧縮機出入口間の等エントロピー圧縮を仮定した場合の比エ

ンタルピー差と冷媒質量流量との積の,入力に対する比。 

備考 試験報告書には、開放圧縮機と密閉圧縮機の区別を明確にする必要がある。 

3.5 

成績係数 (coefficient of performance, ε)  圧縮機の入力に対する冷凍能力の比。 

備考 試験報告書には,入力が圧縮機の回転軸で測定されたものか,又は電動機端子で測定されたも

のであるかを明確にする必要がある。 

3.6 

油循環率 (oil circulation in the refrigeration system, x)  試験時にサイクル内を循環する冷媒と油の混

合液において,混合液の質量に対する油の質量の比。これは,圧縮機の製造業者が指定した油分離器を使

用して運転している場合には,油分離器の出口側で測定する。 

4. 一般的事項 

4.1 

冷凍能力,体積効率及び油循環量の算定方法 

a) 圧縮機の冷凍能力の算定は,次による。 

1) 8.〜15.の試験方法に示すような,試験装置における圧縮機の出口と入口との間の各試験回路に挿入

された測定装置によって冷媒質量流量を求める。 

2) 冷媒の熱力学的性質表又は状態式から求めた圧縮機の吐出し圧力における飽和液冷媒の比エンタル

ピー,並びに圧縮機の吸込みの圧力と温度における冷媒蒸気の比エンタルピーを決定する。 

b) 体積効率は,6.7.2に示す算定式によって求める。 

c) 油循環量は,附属書D(参考)に示す試験方法によるか,又はそれと同等以上の正確さが得られる試

験方法によって,求めなければならない。大形のスクリュー圧縮機のように,油噴射することが圧縮

サイクルの基本である場合には,圧縮機を通って流れる油の質量流量は,外部に取り付けてある油分

離器から附属書E(参考)に示す試験方法によって求める。圧縮機に流れ込む冷媒液の質量流量を求

める必要のある場合には,12.に示す冷媒液質量流量測定方法を使用することができる。ただし,試験

の間,圧縮機が通常の使用時に運転するのに必要な補助機器及び附属品は,すべて装備していなけれ

ばならない。 

4.2 

試験 4.2.6に規定する場合を除き,試験は可能な限り試験X及び試験Yの両試験を同時に行わなけ

ればならない。 

4.2.1 

試験Yは,可能な限り,試験Xとは異なる種類の試験方法とし,その結果を試験Xとは別に求め

なければならない。 

4.2.2 

試験X及び選択した試験Yのそれぞれについて,冷凍能力の推定誤差の値 (sΦox) 及び (sΦoy) を,

試験を行う前に測定に用いる計器の正確さから算定しておかなければならない[附属書B(規定)]。 

4.2.3 

試験X及び試験Yの種類は,7.に示す。 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.2.4 

冷凍能力に関する試験X及び試験Yの試験結果は,それらが±4%以下の相関関係にある場合には,

試験が適切であるとする[附属書B(規定)]。 

4.2.5 

4.2.2によって,それらの試験結果の正確さが有効と認められている場合には,冷凍能力及び体積

効率は,試験X及び試験Yの両試験結果の算術平均値を採用しなければならない。 

4.2.2及び附属書B(規定)に示された方法で算定した試験X及び試験Yの推定誤差の値 (sfx) 及び (sfy) 

は,これらを用いた [ (sfx2+sfy2) /2] 1/2によって,有効な試験結果に対する総合推定誤差を求めなければな

らない。 

4.2.6 

試験Xの正確さが確認されている場合には,試験Yを省略することができる。 

4.3 

試験通則一般 試験結果の正確さが要求される限界内にあることを確保するためには,次の規定を

満足することが必要であり,また,4.3.4の備考に示す事項を考慮しなければならない。 

4.3.1 

計器及び補助的な測定器具はすべて,正確さの証明された計器を用いて校正し,圧縮機の入口及び

出口との関係位置を正確に取り付け,また,その計器の読みが附属書A(規定)に規定された正確さの範

囲(標準偏差)内に収まるように調節しておかなければならない。 

4.3.2 

圧縮機の吸込み口における圧力と温度は,入口の上流側又は止め弁が設けてある場合には,その上

流側の配管の外径の8倍(又は,できる限り8倍に近い)の距離で,段付きのない直管部で測定しなけれ

ばならない。管の直径は,管径の16倍以上の長さにわたって,圧縮機の配管接続継手の管径と一致してい

なければならない。 

なお,圧縮機に常備されている油分離器など機器の構成上の理由で,測定位置が外径の8倍の距離をと

れない場合には,外径の4倍以上(150mm以上)の距離で,圧縮機からの熱の影響を受けない位置でもよ

い。 

4.3.3 

圧縮機の吐出し口における圧力と温度は,出口の下流側又は止め弁が設けてある場合には,その下

流側の配管の外径の8倍(又は,できる限り8倍に近い)の距離で,段付きのない直管部で測定しなけれ

ばならない。管の直径は,管径の16倍以上の長さにわたって,圧縮機の配管接続継手の管径と一致してい

なければならない。 

なお,圧縮機に常備されている機器の構成上の理由で,測定位置が外径の8倍の距離をとれない場合に

は,外径の4倍以上(150mm以上)の距離で,圧縮機からの熱の影響を受けない位置でもよい。 

4.3.4 

装置の冷媒と潤滑油 

a) 装置内の冷媒及び潤滑油の充てん量は適正でなければならない。圧縮機からの潤滑油の排出量が冷媒

の質量流量の1.5%未満であることが確認されていない場合には,圧縮機の吐出し配管系に有効な油分

離器を設けなければならない。 

なお,冷媒蒸気流量計法(方法D1),冷媒ガス流量計法(方法D2)及び液冷媒流量計法(方法F)

以外の,その他の試験方法では,潤滑油の循環は試験結果に影響を及ぼさないので,油分離器を取り

付けずに試験を行っても潤滑油の影響を補正する必要がない。 

b) 油分離器を使用する場合には,分離された油を戻せる圧縮機では,直接圧縮機の潤滑油系統に油を戻

す装置としなければならない。 

c) 油循環量を求める方法は,附属書D(参考)及び附属書E(参考)に示す。ただし,測定の正確さが

同等以上であれば,他の方法で測定してもよい。 

d) 圧縮機が,通常,油分離器を使用するように設計されている場合には,装置で使用される油分離器か

らの油は,直接圧縮機の潤滑油系統又は圧縮機本体,又は測定装置と圧縮機の吸込み側継手との間の

吸込み管に戻さなければならない。 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

e) 試験中に冷媒を加えてはならない。また,冷媒回路と通じているクランクケースに油を加えてはなら

ない。 

f) 

試験運転中,冷媒回路には,圧縮機の正常な連続運転を確保し,試験結果の正確さが許容値内で影響

を受けない純度状態にある冷媒と油しか含まれないようにしなければならない。 

備考 圧縮機の吸込み口の冷媒蒸気から液滴状の冷媒と潤滑油を完全に取り除くことは困難である。

ただし,圧縮機の吸込み口におけるこれらの要因によって生じる誤差は,一般に,次の三つを

同時に満足させることによって無視できる程度にまで少なくすることができる。 

1) 圧縮機入口の冷媒蒸気が十分に過熱されていることを確認する。そのためには,吸込み蒸気

の過熱器が必要となり,かつ,外部の熱源からこれに供給される熱量はすべて適切に記録す

る必要がある。 

2) 圧縮機の吐出し管に有効な油分離器を設ける。 

一般に,油と液滴状冷媒の混合物の油含有量が,冷凍能力の誤差を1.5%未満とする量であ

れば,潤滑油の影響による補正をする必要はない。 

3) 油分離器からの油を圧縮機に戻すことが適切でない場合には,油は戻さなくてもよい。 

4.3.5 

試験装置は,冷媒及び油の漏れがないことを確認しなければならない。適切な方法で,不凝縮ガス

が混入していないことを確認しなければならない。 

4.3.6 

装置は,異常な空気の流れの中にないようにしなければならない。 

4.4 

試験の期間 

4.4.1 

規定された試験は,指定された時間の間,試験結果に影響を及ぼす可能性のあるすべての要因の設

定試験条件からの変動が許容限界内に収まっており,これらの許容変動限界から逸脱する明らかな傾向を

示すことのない状態で,連続運転できる圧縮機を対象とする。これらの状態は,定常作動状態という。 

4.4.2 

圧縮機を始動させた後,準備運転の間に,試験に要求される測定値が設定試験条件からの許容変動

限界内に収まるまで、調節しなければならない。 

4.4.3 

定常作動状態に到達した後は,次に示す,いずれかの方法で測定しなければならない。 

4.4.3.1 

測定値が5.に規定した設定試験条件からの許容変動限界内にある場合には,試験の期間中の測定

は,1時間の間に20分を超えない等間隔で,少なくとも4回の読取りを行わなければならない。 

4.4.3.2 

試験の期間を通して,規定の設定試験条件からの偏りが,温度は±1K,圧縮機回転速度は±1%,

また,密閉圧縮機の電動機入力の電圧と周波数がそれぞれ±1%以下で十分に安定している場合には,3分

間以上の間隔で少なくとも4回の読取りを行わなければならない。記録計を使用する場合には,それらの

正確さは附属書A(規定)に規定する正確さと同等でなければならない。 

なお,開放圧縮機の場合には,回転速度の許容変動限界は±1.5%とする。 

4.4.3.3 

定常作動状態での運転が5.の設定試験条件における規定を満足し,かつ,冷凍能力の指示値が1

時間の間継続して±1%以下の変動であることの確認されている自動化された試験装置では,測定回数は1

回でもよい。 

4.4.4 

連続する各測定値の算術平均を,その試験の測定値としなければならない。 

4.4.5 

それぞれの測定の時間間隔の始めと終わりには,すべての測定値から,運転が定常作動状態である

ことを確認しなければならない。 

5. 設定試験条件及びそれからの偏り 試験を実施する条件として,圧縮機の試験に規定しなければなら

ない設定試験条件は,次のとおりである。 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 圧縮機の吸込み管及び吐出し管の測定点における冷媒の絶対圧力 圧力の読みの偏りは,試験期間を

通して,設定試験条件から±1%以下でなければならない。ただし,圧縮機の吸込みと吐出しの圧力が

低い場合には,吸込み圧力の設定試験条件の温度に対応する飽和圧力と測定値との相違は±2kPa以下,

また吐出し圧力の設定試験条件の温度に対応する飽和圧力と測定値との相違は±10kPa以下でもよい。 

b) 圧縮機の吸込み管の測定点における冷媒の温度 温度の読みの偏りは,試験期間を通して,設定試験

条件から±3Kでなければならない。 

c) 圧縮機の回転速度 開放圧縮機の場合には,回転速度の偏りは,試験期間を通して設定試験条件から

±1%以下でなければならない。また,密閉圧縮機の場合には,試験期間を通して設定試験条件からの

偏りは,銘板の値から,電源の電圧は±3%以下,周波数は±1%以下でなければならない。 

6. 算定の基礎 

6.1 

冷媒の熱力学的性質の出典 使用した冷媒の熱力学的性質の出典は,試験報告書に明記しなければ

ならない。 

6.2 

冷媒の比エンタルピー 4.3で定義された一般原則と予防措置を施すことを条件として,圧縮機の吐

出し圧力における冷媒液の比エンタルピー及び吸込みの圧力と温度における冷媒蒸気の比エンタルピーは,

使用冷媒の熱力学的性質表から求める。 

6.3 

冷媒の質量流量 冷媒の質量流量は,8.〜15.に示した試験方法から選択した試験X及び試験Yを用

いて決定する。ただし,4.2.6の規定によって試験Xだけで試験を行った場合には,試験Xから決定する。 

6.4 

冷媒の比体積 圧縮機入口における冷媒蒸気の実際の比体積υgaは,設定試験条件に対応した冷媒蒸

気の比体積υgからの相違が2%以下でなければならない。 

6.5 

圧縮機の回転速度 実際の圧縮機回転速度naは,設定試験条件から5.に規定した範囲を超えて逸脱

してはならない。 

6.6 

冷媒質量流量の換算 6.4及び6.5に示す条件のもとに,冷媒質量流量の測定値qmfの設定試験条件

における質量流量への換算は,開放圧縮機の場合には係数 (υga/υg) ・ (n/na) を,また,密閉圧縮機の場合

には係数 (υga/υg) ・ (f/fa) を乗じて行う。 

6.7 

基本的な算定式 

6.7.1 

3.1に定義された冷凍能力Φoは,開放圧縮機の場合には,次の式によって算定する。 

)

(

f1

g1

a

g

ga

mf

0

h

h

n

n

q

υ

υ

Φ

密閉圧縮機の場合には,次の式によって算定する。 

)

(

f1

g1

a

g

ga

mf

0

h

h

f

f

q

υ

υ

Φ

6.7.2 

3.2に定義された体積効率ηυは,次の式によって算定する。 

sw

ga

mf

g

g

ga

sw

mf

v

V

q

V

q

υ

υ

υ

υ

η

備考 この規格で規定する設定試験条件の許容変動限界内では,体積効率は一定であると仮定する。 

B 8606 : 1998  

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7. 試験方法 

7.1 

一般的事項 4.2に規定したように,試験Xと試験Yの二つの試験方法で行わなければならない。

試験期間中に,それぞれの試験について,試験報告書に規定する試験結果の記録(20.参照)のほかに,各

試験方法について規定した試験結果の記録(8.〜15.参照)を加えた情報について測定しなければならない

(4.4参照)。ただし,4.2.6による場合には,試験Xについて測定すればよい。 

7.2 

試験方法 試験には,次の9種類の試験方法を使用することができる。 

備考 方法A,方法B,方法C,方法G及び方法Kの試験方法は,熱量計を用いて冷媒の質量流量を

測定する方法である。 

a) 二次冷媒熱量計を蒸発器に設ける二次冷媒熱量計法(方法A)(8.参照) 

b) 満液式冷媒熱量計を蒸発器に設ける満液式熱量計法(方法B)(9.参照) 

c) 乾式熱量計を吸込み管に設ける乾式熱量計法(方法C)(10.参照) 

備考 方法A,方法B及び方法Cでは,断熱を施した熱量計が圧縮機の吸込み口に接続され,蒸発器

として作用する。 

d) 冷媒蒸気の流量計を吸込み管に設ける冷媒蒸気流量計法(方法D1)(11.参照) 

e) 冷媒ガスの流量計を吐出し管に設ける冷媒ガス流量計法(方法D2)(11.参照) 

備考 方法D1及び方法D2は,気体状態の冷媒の質量流量を測定する。 

f) 

液冷媒流量計法(方法F)(12.参照) 

備考 方法Fは,液体状態の冷媒の質量流量又は体積流量を測定する。 

g) 水冷凝縮器法(方法G)(13.参照) 

備考 実際の冷凍装置の水冷凝縮器に適切な断熱を施し,熱量計として使用する。 

h) 冷媒蒸気冷却法(方法J)(14.参照) 

備考 方法Jは,圧縮機からの吐出しガスの一部を特別な凝縮器で凝縮し,それからの液冷媒の質量

流量を測定する。 

i) 

吐出し管に熱量計を設ける吐出しガス熱量計法(方法K)(15.参照) 

備考 断熱施工された熱量計を圧縮機の吐出し管に設け,気体状態の全冷媒を受け入れる。 

8. 二次冷媒熱量計法(方法A) 

8.1 

試験装置 二次冷媒熱量計(図1参照)には,1個の直接膨張コイル又は並列の一組の直接膨張コイ

ルがあり,一次冷媒の蒸発器として作用する。この蒸発器は,気密で防熱された容器の上部に設置されて

いる。この容器の底部には加熱器が設けられており,加熱器が液面下に十分に浸るように,蒸発する二次

冷媒で満たされている。 

冷媒の流量は,手動又は定圧自動膨張弁,若しくは制御系をもつ膨張弁によって制御し,この膨張弁は

熱量計の近くに設けなければならない。膨張弁及びそれを熱量計に接続する冷媒配管は,熱侵入を最小に

するために防熱を施す。熱量計は,侵入熱量が冷凍能力の5%以下になるように防熱しなければならない。

また,二次冷媒の温度又は圧力が測定できなければならない。 

なお,冷媒の圧力が,装置の安全限界内でなければならない。 

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B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図1 二次冷媒熱量計法(方法A) 

8.2 

校正 熱量計は,次に示す熱漏えい測定方法によって校正しなければならない。 

8.2.1 

二次冷媒への入熱量を調節し,周囲空気温度よりも約15K高い飽和温度に対応する二次冷媒圧力

を保持する。その際に,周囲空気温度は±1K以下の一定値に保持する。 

8.2.2 

加熱器を連続作動させる場合には,入熱量を±1%以下の一定値に保持し,かつ,二次冷媒の圧力

に対応する飽和温度の連続した4回の読みの変動が±0.5K以下になるまで,1時間の時間間隔で読み取る。 

8.2.3 

加熱器を間欠的に作動させる場合には,二次冷媒の圧力に対応する飽和温度を±0.5K以下の一定

値に保持し,かつ,入熱量の連続した4回の読みの変動が±4%以下になるまで,1時間の時間間隔で読み

取る。 

8.2.4 

熱漏えい係数は,次の式によって算定する。 

a

p

h

1

t

t

Φ

F

8.3 

試験の手順 吸込み圧力の調節は膨張弁によって,また,圧縮機に吸い込まれる冷媒蒸気の温度の

調節は,二次冷媒への入熱量を変化させることによって行う。吐出し圧力の調節は凝縮器の冷却媒体の温

度及び流量を変化させるか,又は吐出し管に設けた圧力制御装置によって行う。 

8.4 

試験の必要条件 

8.4.1 

加熱器を連続して作動させる場合には,試験期間中に何らかの理由によって生じる入熱量の変動に

よって,算定された圧縮機の冷凍能力が1%を超えて変動してはならない。 

8.4.2 

加熱器を間欠的に作動させる場合には,二次冷媒の圧力に対応する飽和温度の変動が±0.6Kを超

えてはならない。 

8.5 

試験の記録 設定試験条件のほかに,次の測定結果を記録しなければならない。 

a) 蒸発器出口における冷媒蒸気の圧力 

b) 蒸発器出口における冷媒蒸気の温度 

c) 膨張弁に入る冷媒液の圧力 

d) 膨張弁に入る冷媒液の温度 

e) 熱量計の周囲空気の温度 

f) 

二次冷媒の圧力 

g) 二次冷媒への入熱量 

background image

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

8.6 

冷凍能力の算定方法 

8.6.1 

この試験によって決定される冷媒の質量流量は,次の式によって算定する。 

f2

g2

p

a

1

1

mf

)

(

h

h

t

t

F

Φ

q

+

8.6.2 

冷凍能力は,次の式によって算定する。 

Φo=qmf (hg1−hf1)  

備考 設定試験条件における冷凍能力は,6.6に示した係数を用いて補正する。 

9. 満液式熱量計法(方法B) 

9.1 

試験装置 満液式熱量計(図2参照)は,1個の気密の蒸発器容器又は並列に配置した気密の蒸発器

容器であって,その容器内で圧縮機の試験に用いる冷媒に直接熱を加える。冷媒の流量は,手動又は定圧

式の膨張弁,若しくは制御系をもつ膨張弁によるか,適切な冷媒液面位置制御装置によって制御する。こ

れらは,熱量計の近くに設けなければならない。膨張弁及びそれを熱量計に結合する冷媒配管は,熱侵入

を最小にするために防熱を施す。 

熱量計は,侵入熱量が圧縮機の冷凍能力の5%を超えないように防熱しなければならない。また,冷媒

の温度又は圧力が測定できるようにしなければならない。 

なお,冷媒の圧力が,装置の安全限界内でなければならない。 

9.2 

校正 熱量計は,次に示す熱漏えい測定方法によって校正しなければならない。 

9.2.1 熱量計に冷媒液を通常の運転状態の液面位置まで入れた後,冷媒の液と蒸気の出入口の弁を閉じる。

周囲空気温度を±1K以下の一定に保ち,冷媒を加熱してその温度を周囲空気温度よりも約15K高い一定

温度に保持する。加熱用に液体を使用する場合には,それの入口温度は±0.3K以下の一定温度に保ち,温

度降下が6K以下にならないように流量を調節する。電気加熱の場合には,入力を±1%以下の一定値に保

持する。 

図2 満液式熱量計法(方法B) 

9.2.2 

熱平衡状態に到達した後,次に示す時間にわたって計器の指示を読み取る。 

a) 液体加熱の場合には,加熱媒体の流量を一定にして,入口と出口の液体温度の連続した4回の読取り

が±0.3Kを超えて変動しなくなるまで,1時間の時間間隔で読み取る。 

b) 電気加熱の場合には,冷媒の飽和温度の連続した4回の読みが±0.5Kを超えて変動しなくなるまで,

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1時間の時間間隔で読み取る。 

9.2.3 

熱量計への熱入力Φiは,次の式によって算定する。 

a) 液体加熱の場合 

Φ1=c (t1−t2) qm1 

b) 電気加熱の場合には,Φiは加熱器への電気入力で与えられる。 

9.2.4 

熱漏えい係数は,次の式によって算定する。 

a

r

1

1

t

t

Φ

F

9.3 

試験の手順 圧縮機の吸込み圧力は膨張弁によって調節し,圧縮機の入口蒸気温度は熱入力を変化

させることによって調節する。ただし,液面位置制御を使用している場合には,吸込み圧力は蒸発器の熱

入力によって調節し,圧縮機の入口蒸気温度は加熱器の熱入力によって調節する。吐出し圧力は,凝縮器

の冷却媒体の温度と流量を変化させることによって調節するか,又は吐出し管に設けた圧力制御装置によ

って調節する。 

加熱に液体を使用する場合には,入口温度は±0.3K以内の一定値を保持し,また,流量は温度降下が±

6K以上になるように制御し,かつ,流量は±1%以下の一定値に保持しなければならない。 

電気加熱を使用する場合には,入力は±1%以下の一定値に保持しなければならない。 

9.4 

試験の必要条件 

9.4.1 

加熱器を連続して作動させる場合には,試験期間中に何らかの理由によって生じる入熱量の変動に

よって,算定された圧縮機の冷凍能力が1%を超えて変動してはならない。 

9.4.2 

加熱器を間欠的に作動させる場合には,冷媒圧力に対応する飽和温度の変動は±0.6Kを超えては

ならない。 

9.5 

試験の記録 設定試験条件のほかに,次の測定結果を記録しなければならない。 

a) 蒸発器出口における冷媒蒸気の圧力 

b) 蒸発器出口における冷媒蒸気の温度 

c) 膨張弁に入る冷媒液の圧力 

d) 膨張弁に入る冷媒液の温度 

e) 熱量計の周囲空気の温度 

f) 

熱量計に入る加熱液媒体の温度 

g) 熱量計から出る加熱液媒体の温度 

h) 加熱液媒体の質量流量 

i) 

熱量計への電気入力 

9.6 

冷凍能力の算定方法 

9.6.1 

この試験によって決定される冷媒の質量流量は,次の式によって算定する。 

a) 液体加熱の場合 

f2

g2

r

a

1

1

m

2

1

mf

)

(

)

(

h

h

t

t

F

q

t

t

c

q

+

b) 電気加熱の場合 

f2

g2

r

a

1

h

mf

)

(

h

h

t

t

F

Φ

q

+

background image

10 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

9.6.2 

冷凍能力は,次の式によって算定する。 

Φo=qmf (hg1−hf1)  

備考 設定試験条件における冷凍能力は,6.6に示した係数を用いて補正する。 

10. 乾式熱量計法(方法C) 

10.1 試験装置 乾式熱量計法(図3参照)は,蒸発器として冷媒用の管又は適切な長さと直径の管状容

器を配列したもので,圧縮機によって循環される冷媒液を蒸発させる。蒸発器の外面は,同心の管で作ら

れた外部ジャケット内を循環する液媒体によるか,又は電気的な方法で加熱する。また,別の方法として,

同様の加熱方法を蒸発器の内部で行ってもよい。 

冷媒の質量流量は,手動又は定圧式の膨張弁,若しくは制御系をもつ膨張弁によって制御する。これら

は,熱量計の近くに設けなければならない。膨張弁及びそれを熱量計に結合する冷媒配管は,熱侵入を最

小にするために防熱を施す。熱量計は,熱侵入が圧縮機の冷凍能力の5%を超えないように防熱しなけれ

ばならない。 

加熱装置が蒸発器外表面にある場合には,適切な間隔で十分な数(10個以上)の温度を測定する計器を

取り付け,放散熱量の算定用として平均の表面温度を測定しなければならない。また,二次熱媒体の温度

を測定する計器を設けなければならない。 

冷媒の圧力が,装置の安全限界内でなければならない。 

10.2 校正 熱量計は,次に示す熱漏えい測定方法によって校正しなければならない。 

10.2.1 周囲空気温度を±1K以下の一定値に保持し,かつ,熱入力は平均表面温度を周囲空気温度よりも

約15K高く保つように供給する。加熱に液媒体を使用する場合には,入口温度は±0.3K以下の一定値に保

持し,質量流量は温度降下が6K以上になるように制御する。電気加熱を使用する場合には,入力を±1%

以下の一定値に保持する。 

10.2.2 熱平衡に到達した後,次の試験期間にわたって計器の指示を読み取る。 

a) 液媒体加熱の場合には,質量流量を一定にして,入口及び出口の温度の両方ともに,連続した4回の

読取りが±0.3Kを超えて変動しないようになるまで,1時間の時間間隔で読み取る。 

b) 電気加熱の場合には,冷媒の飽和温度の連続した4回の読みが±0.5Kを超えて変動しないようになる

まで,1時間の時間間隔で読み取る。 

図3 乾式熱量計法(方法C) 

11 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

10.2.3 熱量計への熱入力は,次の式によって算定する。 

a) 液体加熱の場合には, 

Φ1=c (t1−t2) qm1 

b) 電気加熱の場合には,Φiは加熱器への電気入力で与えられる。 

10.2.4 熱漏えい係数は,次の式によって算定する。 

at

t

Φ

F

c

1

1=

10.3 試験の手順 圧縮機の吸込み圧力は膨張弁によって調節し,圧縮機の入口冷媒蒸気の温度は入熱量

を変化させることによって調節する。吐出し圧力は,凝縮器の冷却媒体の温度と質量流量を変えるか,又

は吐出し管に設けた圧力制御装置によって調節する。 

加熱に液媒体を使用する場合には,入口温度は±0.3K以内の一定値を保持し,かつ,温度降下が6K以

上となるように質量流量を制御しなければならない。循環する液媒体の質量流量は,±0.5%以下の一定値

に保持しなければならない。電気加熱を使用する場合には,入力を±1%以下の定値に保持しなければなら

ない。 

10.4 試験の必要条件 

10.4.1 加熱器を連続して作動させる場合には,試験期間中に何らかの理由によって生じる熱入力の変動に

よって,算定された圧縮機の冷凍能力が1%を超えて変動してはならない。 

10.4.2 加熱器を間欠的に作動させる場合には,二次熱媒体の圧力に対応する飽和温度の変動は,±0.6K

を超えてはならない。 

10.5 試験の記録 設定試験条件のほかに,次の測定結果を記録しなければならない。 

a) 蒸発器出口における冷媒蒸気の圧力 

b) 蒸発器出口における冷媒蒸気の温度 

c) 膨張弁に入る冷媒液の圧力 

d) 膨張弁に入る冷媒液の温度 

e) 熱量計の周囲空気の温度 

f) 

熱量計に入る加熱液媒体の温度 

g) 熱量計から出る加熱液媒体の温度 

h) 加熱液媒体の質量流量 

i) 

熱量計への電気入力 

j) 

熱量計の平均表面温度 

10.6 冷凍能力の算定方法 

10.6.1 この試験によって決定される冷媒の質量流量は,次の式によって算定する。 

a) 液体加熱の場合 

f2

g2

c

a

1

m1

2

1

mf

)

(

)

(

h

h

t

t

F

q

t

t

c

q

+

b) 電気加熱の場合 

f2

g2

c

a

1

h

mf

)

(

h

h

t

t

F

Φ

q

+

10.6.2 冷凍能力は,次の式によって算定する。 

Φo=qmf (hg1−hf1)  

12 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

備考 設定試験条件における冷凍能力は,6.6に示した係数を用いて補正する。 

11. 冷媒蒸気流量計法(方法D1及び方法D2) 

11.1 試験装置 冷媒蒸気流量計法には,吸込み管に流量計を設ける方法D1又は吐出し管に流量計を設け

る方法D2がある[図4a)及びb)参照。また,図4のc)及びd)は,ISO/DIS 917の図4a)及びb)と同等であ

り,これによってもよい。]。 

冷媒の密度の算定ができるように,必要な試料採取口を設けて圧力と温度を測定する。試験装置は,最

終結果(冷媒の質量流量)の標準偏差が2%を超えないようにしなければならない。 

冷媒蒸気流量計は閉回路の吸込み管又は吐出し管に設ける。この回路は,圧縮機,冷媒圧力を吐出し圧

力から吸込み圧力まで下げる装置,過大な吐出しガスの過熱を除去する装置,及び圧力と温度を調節され

た蒸気を圧縮機入口(吸込み口)まで戻す装置で構成されている。圧力を下げる装置は,手動制御又は吸

込み圧力による制御のいずれでもよい。圧縮熱を除去する装置を設け,回路の高圧側から十分な量の冷媒

蒸気を引き出し,凝縮器内で液化し,回路の低圧側にある過熱冷媒を用いた熱交換器内で再蒸発させるこ

とによって,最終的に過熱冷媒蒸気中の液滴混入を確実になくすことができる。 

11.1.1 冷媒の質量流量qmfは,圧縮機の吸込み管又は吐出し管において冷媒流量が最大になる位置で測定

する。また,この位置における過熱蒸気が確実に均質になり,かつ,冷媒に混入液滴が完全になくなるよ

うに処置しなければならない。管内に脈動流が生じる場合には,脈動防止器(図4参照)を挿入するなど

の十分な脈動減衰処理をして,測定計器に到達する脈動を減少又は消滅させなければならない。 

11.1.2 冷凍能力の算定は,冷媒蒸気の測定値を基にしているので,蒸気中に少しでも油が混入していれば

測定計器を通過するガス流量の値,すなわち,圧縮機の冷凍能力の値が不正確になる。そのために,冷媒

蒸気流量計を用いる場合は,測定するガスの流れに含む油循環率が1.5%未満の回路に限られる。 

11.2 試験の手順 圧縮機の吸込み圧力は冷媒流量制御装置,温度は冷却効果を変えることによって調節

する。吐出し圧力は,凝縮器の冷却媒体の温度及び流量を変えるか,又は吐出し管に圧力制御装置を設け

ることによって調節する。 

11.3 試験の記録 設定試験条件のほかに,次の測定結果を記録しなければならない。 

a) 冷媒の質量流量測定装置の上流側における冷媒蒸気の温度 

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13 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図4 冷媒蒸気流量計法(方法D) 

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14 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図4 冷媒蒸気流量計法(方法D1)(続き) 

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15 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図4 冷媒蒸気流量計法(方法D2)(続き) 

b) 冷媒の質量流量測定装置の上流側における冷媒蒸気の圧力 

c) 冷媒の質量流量測定装置の上流側と下流側の間の圧力降下 

11.4 冷凍能力の算定方法 冷凍能力は,次の式によって算定する。 

Φo=qmf (hg1−hf1)  

備考 設定試験条件における冷凍能力は,6.6に示した係数を用いて補正する。 

12. 液冷媒流量計法(方法F) 

12.1 試験装置 液冷媒流量計法(図5参照)は,冷媒液の体積流量で冷媒流量を記録する流量計又は瞬

間流量を指示する流量計を使用する。冷媒液の流量の測定は,質量流量計を用いてもよい。 

12.1.1 この流量計は,受液器の出口と膨張弁との間の液配管に挿入する。 

12.1.2 使用する流量計がいかなる条件下でも適切に機能することができ,かつ,適用冷媒の誤用及び充て

ん不足の影響から保護するために,補助装置を次のように取り付ける。 

16 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 流量計の手前に過冷却器を設けて,流量計内での冷媒の蒸発を防止する。 

b) 過冷却器の直前及び直後にサイトグラスを設け,蒸気泡が冷媒液中に混入していないことを確認する

ことができるようにする。 

c) 流量計をバイパスするバイパス弁及びそれの配管を設ける(この弁は,弁とバイパス回路の流れの抵

抗が流量計の抵抗とほぼ同じならば,測定時を除いて,開放しておくことができる。)。 

d) 温度計と保護管又はそれに代わる熱電対を設け,過冷却器及び流量計に入る冷媒液の温度を測定する。 

e) 圧力計を流量計の出口側に取り付ける。 

12.2 校正 流量計は,使用する流量範囲内における最大,中間及び最小の3点の流量で,定期的に校正

しなければならない。 

12.3 試験の手順 流量計のバイパス弁を開いた状態で装置を始動する。設定試験条件に到達した後,バ

イパス弁を閉じ,流量計から出る冷媒液が3K以上過冷却されていることを確認する。 

計器の指示は,他の試験方法に規定されているのと同様に,連続して4回,1時間の時間間隔で読み取

る。また,冷媒とともに循環する油の循環率を求める。 

12.4 試験の記録 設定試験条件のほかに,次の測定結果を記録しなければならない。 

a) 流量計の読み 

b) 流量計の出口における冷媒液の圧力 

c) 流量計の出口における冷媒液の温度 

12.5 冷凍能力の算定方法 油循環率によって補正した冷凍能力は,次の式によって算定する。 

[

])

x(t

c

)

h

h()

1(

)

1(

1

g

f

0

f1

g1

v

0

t

x

x

q

Φ

ρ

μ

ρ

備考 設定試験条件における冷凍能力は,6.6に示した係数を用いて補正する。 

13. 水冷凝縮器法(方法G) 

13.1 試験装置 試験対象の圧縮機とともに使用する装置の一部を構成している水冷凝縮器(図6参照)

には,附属書A(規定)に規定された正確さの範囲内で温度,圧力及び冷却水流量を測定する計器を設け

て,熱量計として作用するように装備しなければならない。 

13.2 校正 この凝縮器は冷媒回路から隔離するか,又は同じ種類と寸法の別の凝縮器を使用しなければ

ならない。 

13.2.1 冷媒液を適切な液面位置になるまで凝縮器に入れ,入口及び出口の止め弁を閉じる。冷却水回路を

加熱水の供給管に結合する。この加熱水は,冷媒の飽和温度を周囲空気温度よりも約15K以上高くし,で

きるだけ予定した飽和温度に近い一定温度に保持できるようにする。 

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17 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図5 液冷媒流量計法(方法F) 

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18 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図6 水冷凝縮器法(方法G) 

別の方法として,冷媒を電気的に加熱してもよい。 

周囲空気温度は43Kを超えない任意の温度において,±1K以下の一定値に保持する。熱平衡に到達し

た後は,冷媒温度の連続した4回の読みの変動が±1K以下になるまで,1時間の時間間隔で読み取る。 

13.2.2 熱漏えい係数は,次の式によって算定する。 

a

r

1

1

t

-

t

Φ

F=

13.3 試験の手順 圧縮機の吐出し圧力は,凝縮器に供給する冷却水の温度と質量流量を変えて調節する。 

19 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

13.4 試験の記録 設定試験条件のほかに,次の測定結果を記録しなければならない。 

a) 凝縮器に入る冷媒ガスの圧力 

b) 凝縮器に入る冷媒ガスの温度 

c) 凝縮器を出る冷媒液の圧力 

d) 凝縮器を出る冷媒液の温度 

e) 凝縮器に入る冷却水の温度 

f) 

凝縮器を出る冷却水の温度 

g) 冷却水の質量流量 

h) 凝縮器の周囲空気の温度 

13.5 冷凍能力の算定方法 

13.5.1 この試験によって決定される冷媒の質量流量は,次の式によって算定する。 

f3

g3

a

r

1

mc

1

2

mf

)

(

)

(

h

h

t

t

F

q

t

t

c

q

+

13.5.2 冷凍能力は,次の式によって算定する。 

Φo=qmf (hg1−hf1)  

備考 設定試験条件における冷凍能力は,6.6に示した係数を用いて補正する。 

14. 冷媒蒸気冷却法(方法J) 

14.1 試験装置 冷媒の総流量は,高圧で循環している蒸気の一部を凝縮させてその流量を測定し,次に

それをガス冷却器中において低圧で再蒸発させ,循環している残りの過熱蒸気を冷却することによって決

定する(図7参照)。 

漏えい熱量の補正をした後は,凝縮した冷媒と凝縮していない冷媒の比は,ガス冷却器内で混合する2

種類の流れの比エンタルピーの変化の比の逆数となる。 

14.1.1 凝縮器は,流量制御弁を介して圧縮機の吐出し管に結合する。この制御弁は,手動制御式又は吐出

し圧力に応答して自動的に作動する弁でもよい。凝縮器は,12.で示したように,冷媒液を流量測定装置に

吐き出す。この測定装置の出口は,あらかじめ設定された吸込み圧力を保持するための手動式又は自動式

の減圧弁を介して,ガス冷却器の入口に結合する。 

14.1.2 ガス冷却器は一種の容器であり,冷媒液がその中に噴射され,圧縮機から吐き出される凝縮してい

ない残りの過熱蒸気とよく混合させることによって再蒸発される。このガス冷却器は,出ていく蒸気が冷

媒の液滴を運び去らないように,また,少なくとも8K以上過熱するように設計されていなければならな

い。 

このガス冷却器は,漏えい熱量が内部で交換される熱量の5%以下となるように断熱を施されていなけ

ればならない。 

14.1.3 受液器は,流量計の出口に設けなければならない。受液器には,止め弁及びバイパス弁を設け,液

回路から分離できるように,また,回路から液を受けたり,回路に液を供給したりできるようにする。 

14.2 校正 ガス冷却器は,次の手順によって校正しなければならない。 

14.2.1 ガス冷却器に液冷媒を十分に入れ,入口及び出口の止め弁を閉めたとき,次の条件下で完全に蒸発

が生じないようにする。その条件とは,周囲空気温度を±1K以下の一定値に保持し,かつ,熱の供給によ

って冷媒温度が周囲空気温度よりも約15K高くなるように保持することである。 

熱平衡状態に到達した後,冷媒の飽和温度の4回連続した測定値の変動が±1K以下に収まるまで,1時

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20 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

間の時間間隔で計器の指示を読み取る。 

14.2.2 熱漏えい係数は,次の式によって算定する。 

a

r

1

1

t

t

Φ

F

図7 冷媒蒸気冷却法(方法J) 

14.3 試験の手順 ガス冷却器への凝縮冷媒液の流量を制御しながら,液が凝縮するのと同じ割合で液が

蒸発するように調整弁を調節する。 

吐出し管と凝縮器との間にある弁を用い,かつ,凝縮器の冷却媒体の温度と流量を変化させることによ

って,凝縮圧力を制御する。圧縮機の吸込み圧力及びその過熱度の調節は,ガス冷却器入口の弁を用い,

かつ,受液器に入れたり,受液器から出したりする冷媒の質量流量を変化させることによって行う。 

試験に必要な圧縮機の吸込みの圧力及び温度にするためには,液調節弁を調節して流量を一定に保持す

る。 

21 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

14.4 試験の必要条件 試験中における凝縮冷媒液の流量の変動は,圧縮機の冷凍能力の算定値の1%以下

になるようにしなければならない。 

14.5 試験の記録 設定試験条件のほかに,次の測定結果を記録しなければならない。 

a) ガス冷却器出口における冷媒蒸気の圧力 

b) ガス冷却器出口における冷媒蒸気の温度 

c) 膨張弁入口における冷媒液の圧力 

d) 膨張弁入口における冷媒液の温度 

e) ガス冷却器に入る冷媒蒸気の圧力 

f) 

ガス冷却器に入る冷媒蒸気の温度 

g) ガス冷却器内の冷媒蒸気の圧力 

h) ガス冷却器の周囲空気の温度 

i) 

凝縮した冷媒液の質量流量 

14.6 冷凍能力の算定方法 

14.6.1 この試験によって決定される冷媒の総質量流量は,次の式によって算定する。 

+

)

(

)

()

/

(

)

(

1

g5

g4

r

a

m1

1

f2

g5

m1

mt

h

h

t

t

q

F

h

h

q

q

  

14.6.2 冷凍能力は,次の式によって算定する。 

Φo=qmt (hg1−hf1)  

備考 設定試験条件における冷凍能力は,6.6に示した係数を用いて補正する。 

15. 吐出しガス熱量計法(方法K) 

15.1 試験装置 この方法による装置は,次のように構成する(図8参照)。 

a) これは,熱量計形の熱交換器を圧縮機の吐出し管に挿入し,ガス状態の冷媒の全流量を受け入れる。 

熱量計容器には,ガス状の冷媒を冷却[又は加熱(2)]するための適切な熱交換媒体を制御しながら

循環させて供給する。冷媒が熱量計容器内で少しでも凝縮する可能性をなくすために,循環させる冷

却媒体の最低温度は,圧縮機の吐出し圧力に対応する冷媒の凝縮温度よりも十分に高い温度に保持し

なければならない。 

なお,ガス状冷媒の加熱は,電気的に行ってもよい。 

熱量計は,熱漏えいを最小にするように断熱を施さなければならない。 

注(2) 15.5.1に示す式は,冷却用のものである。 

b) 熱量計から出るガス状冷媒を減らして,圧縮機入口における冷媒の状態を設定試験条件にできるだけ

近づけるための適切な2種類の装置は,図8の装置A及び装置Bに示した。装置Aの使用方法は,

15.6に示す。 

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22 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図8 吐出しガス熱量計法(方法K) 

23 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

15.2 校正 熱量計は,次に示す手順の熱漏えい測定方法によって校正する。 

15.2.1 周囲空気温度を±1K以下の一定値に保持し,表面の平均温度を周囲空気温度よりも約15K高く保

持するように熱を供給する。加熱用に液媒体を使用する場合には,液媒体の入口温度を±0.3K以下の一定

値に保持し,かつ,温度降下が6K以上になるように流量を制御する。 

電気的に加熱する場合には,入力を±1%以下の一定値に保持する。 

表面の平均温度は,外面に適切に分布された10個以上の温度測定器の読みの平均値を取らなければなら

ない。 

15.2.2 熱平衡に到達した後,次の期間にわたって計器の指示を読まなければならない。 

a) 液体加熱の場合には,流量を一定にした状態で,入口と出口の温度がともに連続した4回の読みの変

動が±0.3K以下になるまで,1時間の時間間隔で読み取る。 

b) 電気加熱の場合には,熱量計の温度の連続した4回の測定値の変動が±0.6K以下になるまで,1時間

の時間間隔で読み取る。 

15.2.3 熱量計への熱入力は,次の式によって算定する。 

a) 液体加熱の場合 

Φ1=c (t1−t2) qm1 

b) 電気加熱の場合,Φiは,加熱器の電気入力によって与えられる。 

15.2.4 熱漏えい係数は,次の式によって算定する。 

a

c

1

1

t

t

Φ

F

15.3 試験の手順 装置Aを使用する際の試験の手順は,15.6.2に示す。 

15.4 試験の記録 設定試験条件のほかに,次の測定結果を記録しなければならない。 

a) 熱量計入口における冷媒蒸気の圧力 

b) 熱量計入口における冷媒蒸気の温度 

c) 熱量計出口における冷媒蒸気の圧力 

d) 熱量計出口における冷媒蒸気の温度 

e) 熱量計の周囲空気の温度及び熱量計表面の平均温度 

f) 

液体加熱の場合: 

1) 熱量計に入る液媒体の温度 

2) 熱量計を出る液媒体の温度 

3) 循環液媒体の質量流量 

g) 電気加熱の場合には,電気入力 

15.5 冷凍能力の算定方法 

15.5.1 この試験によって決定される冷媒の質量流量は,次の式によって算定する。 

g7

g6

a

c

1

1

2

1

m

mf

)

(

)

(

h

h

t

t

F

t

t

c

q

q

+

15.5.2 冷凍能力は,次の式によって算定する。 

Φo=qmf (hg1−hf1)  

備考 設定試験条件における冷凍能力は,6.6に示した係数を用いて補正する。 

15.6 完備した試験回路の例 

15.6.1 試験装置 装置A(図8参照)は,次のように構成する。 

24 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 凝縮器 制御された量のガス状冷媒は熱量計を通った後,この凝縮器の中に入り,凝縮する。 

b) 膨張弁 定圧形とすることができ,残りの冷媒の圧力を圧縮機の吸込み口に要求される圧力まで下げ

る。 

c) ガス冷却器 膨張した冷媒の過熱度を圧縮機の吸込み口に要求される過熱度まで下げる。 

過熱度を下げるには,凝縮器内で凝縮した大量の冷媒液をガス冷却器内に噴射し,次いで,これを

蒸発させることによって行う。 

15.6.2 試験の手順 圧縮機入口における吸込み圧力を,圧縮機吐出し管とガス冷却器への蒸気入口との間

に設けた膨張弁によって調節する。 

凝縮器の圧力を,圧縮機吐出し管と凝縮器との間に設けた弁を用い,かつ,凝縮器に供給される冷却水

の温度及び質量流量を変えることによって調節する。 

16. 入力及び効率に関する一般的事項 

入力,全断熱効率及び成績係数における推定誤差の算定は,冷凍能力の場合と同様な方法で行う[附属

書B(規定)の2.参照]。 

4.3及び4.4の規定は,16.〜19.にも適用する。 

16.〜19.にかかわる測定は,4.〜15.の冷凍能力を求めるために行う測定と同時に行う。 

17. 入力の決定 

17.1 測定方法 

17.1.1 直接法 圧縮機の駆動軸におけるトルクの測定には,適切な装置を用いて行う。平均入力は,平均

トルクを用いて±2.5%以下の正確さで算定しなければならない。 

17.1.2 間接法 

17.1.2.1 特性が既知の電動機は,校正して,通常の駆動用に使用することができる。その場合,圧縮機に

供給される動力は,電動機の端子における電気入力から求めることができる。 

17.1.2.2 ベルト駆動方式を用いる場合は,ベルト伝導損失を考慮しなければならない。 

17.2 算定方法 

17.2.1 入力は,正味伝達トルク,回転速度及び例えば,潤滑油ポンプなど,圧縮機の作動を維持するため

に必要な附属機器によって吸収される動力などから算定する。トルクが直接的又は間接的に測定すること

ができない場合には,電動機の端子で測定した入力を記録しておかなければならない。 

備考 設定試験条件における電気入力は,6.6に示した係数を用いて補正する。 

17.2.2 インバータを用いた可変速圧縮機に対しては,測定に用いる計器によっては入力の測定が不正確に

なるので,計器の選定に注意しなければならない。 

18. 全断熱効率の算定方法 3.4に定義した全断熱効率ηiは,次の式によって算定する。 

P

h

h

q

)

(

gu

gt

mf

1

η

19. 成績係数の算定方法 3.5に定義した成績係数εは,次の式によって算定する。 

P

Φ0

ε

25 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

20. 試験結果 

20.1 試験結果の報告 試験が終了したときには,それぞれの試験報告書を作成しなければならない。試

験報告書には,すべて次の項目について記述しなければならないが,提出の様式は受渡当事者間の合意に

よる。 

a) 一般的記録事項 

試験期日 

試験開始時刻 

試験継続時間 

圧縮機の構造及び製造番号 

圧縮機の形式(単動,複動,気筒数など) 

気筒の直径及び行程(該当する場合) 

圧縮機の1回転当たりの押しのけ量 

冷媒の指定 

使用した熱力学的性質表 

b) 明記すべき設定試験条件(5.参照) 

圧縮機吸込み側における絶対圧力又は飽和温度 

圧縮機吸込み側の冷媒蒸気温度 

圧縮機吐出し側における絶対圧力又は飽和温度 

圧縮機の回転速度又は供給電力の詳細 

c) 試験方法 

d) 試験における読みの平均値(4.参照) 

圧縮機の回転速度 

周囲空気の温度 

気圧計の読み 

圧縮機の吸込み側入口における冷媒蒸気の温度 

圧縮機の吐出し側出口における冷媒ガスの温度 

冷却水の入口温度 

冷却水の出口温度 

冷却水の質量流量 

圧縮機の潤滑油温度(測定可能な場合) 

供給電力の電圧及び周波数 

備考1. 採用した試験方法によっては,その他の記録が必要な場合がある(8.〜15.参照)。 

2. 上記の“試験における読みの平均値(4.参照)”の表題にある読みとは,測定に用いた計器を

校正した後の読みをいう。 

e) 算定結果 

熱漏えい係数 

冷媒の質量流量 

比エンタルピー差 

圧縮機の冷凍能力 

入力 

26 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

全断熱効率 

成績係数 

結果の不確かさ[附属書B(規定)参照] 

(油/冷媒と油の混合物)における質量%による油循環率 

20.2 不確かさ 冷媒の質量流量の算定には,不確かさを伴うことになる。不確かさの解析の基本は,附

属書B(規定)に示した。不確かさの解析の例題は,附属書B(規定)において,次の各試験方法につい

ての適用例を示した。 

a) 二次冷媒熱量計法及び満液式熱量計法[附属書B(規定)B.2参照] 

b) 差圧による流量測定法[附属書B(規定)B.3参照] 

c) コリオリ流量計法[附属書B(規定)B.4参照] 

これらの例は,質量流量の測定に対して許されている他の試験方法の解析の手引きにもなるもので

ある。流量計は,一般に,系統誤差の算定に当たって,既知又は容認可能な基準に対する校正を認め

ていることに注意を要する[附属書B(規定)の定義参照]。安定した定常作動状態での設定試験条件

下において得られる多数の読みも,また系統誤差の算定を認めている。 

background image

27 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A(規定) 計器の校正及び不確かさ 

A.1 適用範囲 この附属書は,試験に用いる計器の校正及び不確かさについて規定する。 

A.2 試験に用いる計器は,校正したものを使用しなければならない。 

A.3 A.2.によって校正された計器は,それの偏りを補正したもので,附属書A付表1の計器の不確かさ

(標準偏差)でなければならない。 

附属書A付表1 計器の不確かさ 

区分 

正確さ 

測定項目 

計器の不確かさ(標準偏差) 

温度 

(温度差) 

熱量計の熱媒体又は冷却水の温度及び温度差 

0.06K 

その他の温度 

0.3K 

圧力 

吸込み圧力(絶対圧力の読み) 

1.0% 

吐出し圧力及びその他の圧力(絶対圧力の読み) 

2.0% 

流量 

液冷媒及び冷却水 

1.0% 

ガス冷媒 

2.0% 

時間 

測定時間 

0.1% 

回転速度 電動機回転速度,軸回転速度 

0.75% 

トルク 

電動機トルク,軸トルク 

2.5% 

電気計器 指示形 

1.0% 

積算形 

1.0% 

28 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B(規定) 不確かさの解析 

B.1 

基本的事項 この附属書は,試験による冷凍能力の推定誤差算定における不確かさの解析方法につ

いて規定する。 

B.1.1 定義 この附属書で用いる用語の定義は,次による。 

B.1.1.1 誤差 誤差は,測定された量の真の値と観測された値との差である。実験誤差は,系統誤差及び

偶然誤差の二つに分類できる。 

B.1.1.2 系統誤差 残存し,偶然とは全く考えられない誤差をいう。系統誤差は,校正によって補正する

ことができる。 

B.1.1.3 偶然誤差 読みを,ある平均値の両側にランダムな値となるような誤差をいう。この誤差は,そ

れぞれが無視できるような小さな影響が多数存在する結果としてだけ生じる。これは,また精密さの誤差

としても知られている。 

B.1.1.4 不確かさ 測定における誤差の推定値をいう。不確かさは,系統誤差と偶然誤差の両者の結果で

あるが,偶然誤差だけが統計的に取り扱える。この附属書においては,不確かさを偶然誤差として取り扱

う。 

B.1.1.5 偏差 単独の結果と多数の結果の平均との差をいう。 

B.1.1.6 標準偏差 偏差の二乗平均の平方根をいう。実験データの場合では,通常,この値は測定の中の

小数のものに関しては調整され,偏りのない標準偏差として知られている。偏りのない標準偏差は,次の

式によって表せる。 

2/1

1

2)'

(

1

1

'

−∑

n

i

ix

x

n

σ

ここに, 

σ': 標準偏差の偏りのない推定値 

'x: 読みの平均値 

xi: 個々の読み 

B.1.2 データの報告 実験データの報告には,測定された値の推定値とともに,存在すると期待される真

の値との隔たりとその隔たりに対する信頼の水準を示さなければならない。上記のことを満足するために,

結果には測定の最良の推定値,不確かさ及び信頼の水準の三つを示さなければならない。例えば, 

υ=x±w ; P 

ここに, 

υ: 変量 

x: 測定の最良の推定値 

w: 不確かさ 

P: 信頼の水準(百分率で) 

である。 

例えば,温度=308.00±0.06K ; 95%は,温度の測定に対する最良の推定値が308.00Kであり,95%の信

頼の水準で,真の値はその値から±0.06Kの範囲内にあることを示している。 

B.1.3 不確かさの推定 不確かさを推定するために最も簡単な方法は,測定の標準偏差として偏りのない

推定値を用いる方法である。 

background image

29 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

偶然誤差は,通常,最良の推定値の周辺に分布しており,系統誤差はすべて校正によって補正されると

仮定することによって,不確かさを推定することができる。スチューデントt分布を偏りのない標準偏差

と組み合わせることによって,不確かさwが次の式によって推定できる。 

n

t

w

'

σ

このスチューデントt分布におけるtの値は,信頼の水準と自由度の数によって附属書B付表1から求

められる。10個の読みに対して,推定されるものは,単に平均だけである場合は,自由度は9となる。 

(例題)次の5個の温度が校正された温度計から測定されたとする。 

  測定 1 

307.94K 

  測定 2 

308.06K 

  測定 3 

308.03K 

  測定 4 

307.97K 

  測定 5 

307.98K 

  平均 

308.00K 

  推定標準偏差 

 0.048K 

附属書B付表1から,スチューデントt分布におけるtの値を求めると,自由度4で信頼水準95%の場

合にt=2.776になる。結果は,次の式を用いて求められる。 

06

.0

5

048

.0

776

.2

'

×

n

t

w

σ

結果の報告:温度=308.00K±0.06K ; 95% 

となる。 

B.1.4 不確かさの伝ぱ(播) 多くの実験において,最終結果は,最終結果を算定するために使われた幾

つかの測定に基づいている。最終結果における不確かさを推定するために,二乗和の平方根が誤差の最終

結果への伝ぱ(播)を求めるために用いる。 

説明を行うために,二つの測定がA±a ; X %及びB±b ; X %であるとする。種々の操作の後に,結果と

しての合成標準不確かさwrは, 

加法又は減法に対して wr= (a2+b2) 1/2 

乗法に対して 

2

/1

2

2

+

B

b

A

a

B

A

wr

除法に対して 

2/1

2

2

+

B

b

A

a

B

A

wr

一般に,もし不確かさがすべて同じ信頼の水準で与えられるならば,同じ信頼の水準での結果の合成標準

不確かさは, 

2/1

2

n

2

2

2

2

1

1

r

∂∂

+

+

∂∂

+

∂∂

n

w

R

w

R

w

R

w

υ

υ

υ

である。 

background image

30 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ここに,Rは変量υ1,υ2,……,υnの与えられた関数である。又はR=R (υ1,υ2,……,υn),

n

υ

∂Rはυn

に関するRの偏導関数である。 

附属書B付表1 スチューデントt分布の表 

自由度 

パーセントで表した信頼の水準 

90% 

95% 

99% 

  1 

6.314 

   12.706 

   63.657 

  2 

2.920 

4.303 

9.925 

  3 

2.353 

3.182 

5.841 

  4 

2.132 

2.776 

4.604 

  5 

2.015 

2.571 

4.032 

  6 

1.943 

2.447 

3.707 

  7 

1.895 

2.365 

3.499 

  8 

1.860 

2.306 

3.355 

  9 

1.833 

2.262 

3.250 

 10 

1.812 

2.228 

3.169 

 11 

1.796 

2.201 

3.106 

 12 

1.782 

2.179 

3.055 

 13 

1.771 

2.160 

3.012 

 14 

1.761 

2.145 

2.977 

 15 

1.753 

2.131 

2.947 

 16 

1.746 

2.120 

2.921 

 17 

1.740 

2.110 

2.898 

 18 

1.734 

2.101 

2.878 

 19 

1.729 

2.093 

2.861 

 20 

1.725 

2.085 

2.845 

 21 

1.721 

2.080 

2.831 

 22 

1.717 

2.074 

2.819 

 23 

1.714 

2.069 

2.807 

 24 

1.711 

2.064 

2.797 

 25 

1.708 

2.060 

2.787 

 26 

1.706 

2.056 

2.779 

 27 

1.703 

2.052 

2.771 

 28 

1.701 

2.048 

2.763 

 29 

1.699 

2.045 

2.756 

 30 

1.697 

2.042 

2.750 

 40 

1.684 

2.021 

2.704 

 60 

1.671 

2.000 

2.660 

120 

1.658 

1.980 

2.617 

∞ 

1.645 

1.960 

2.576 

備考 一般に,信頼の水準としては95%を用いる。 

B.2 

一次及び二次冷媒熱量計法における不確かさ 

B.2.1 不確かさの値の誘導 

B.2.1.1 エネルギー式は 

Φo=qm1・ (hg6−hg7)  

background image

31 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

)

(

)

(

7

g6

h

1

g7

g6

0

m1

g

h

h

Φ

Φ

h

h

Φ

q

+

である。ここに,H= (hg6−hg7) とおき, 

hg6=f (p2, t2)  

hg7=f (t4) =c4・t4 

であることに注目する。 

ここに, 

  

c4: 温度t4における冷媒液の比熱 

p2: 温度t2における圧力 

である。そこで, 

)

(

)

,

(

4

g7

2

2

g6

h

1

m1

t

h

t

p

h

Φ

Φ

q

+

となる。 

B.2.1.2 各変量に関するqm1の偏導関数の算定は, 

2

g6

20

2

g6

2

0

2

g6

g6

0

2

m1

)1(

1

1/

p

h

H

Φ

p

h

H

Φ

p

h

h

H

H

H

Φ

p

q

2

g6

20

2

g6

2

0

2

g6

g6

0

2

m1

)1(

1

/1

t

h

H

Φ

t

h

H

Φ

t

h

h

H

H

H

Φ

t

q

)

(

)

,

(

1

4

g7

2

2

g6

1

m1

t

h

t

p

h

Φ

q

)

(

)

,

(

1

4

g7

2

2

g6

h

m1

t

h

t

p

h

Φ

q

4

g6

2

0

4

g6

2

0

4

g6

g6

1

0

4

m1

)1(

1

/

t

h

H

Φ

t

h

H

Φ

t

h

h

H

H

H

Φ

t

q

で表せる。 

B.2.1.3 質量流量の合成標準不確かさ⊿qm1の算定は, 

+

±

2

2

g7

g6

2

g6

0

2

2

2

g7

g6

2

g6

0

2

m1

)

(

)

/

(

)

(

)

/

(

h

h

t

h

Φ

h

h

p

h

Φ

Δt

Δp

Δq

2/1

2

2

g7

g6

2

g6

0

4

2

g7

g6

h

2

g7

g6

1

)

(

)

/

(

)

(

)

(

+

+

+

h

h

t

h

Φ

h

h

Φ

h

h

Φ

Δt

Δ

Δ

で行える。 

ここに, 

Φi: 熱量計への熱入力の測定量,W 

⊿Φi: Φiの算定の不確かさ,W 

Φh: 熱量計への漏えい熱量の算定値,W 

⊿Φh: Φhの測定における不確かさ,W 

⊿p2: 圧力p2の測定における不確かさ,Pa 

⊿t2: 温度t2の測定における不確かさ,K 

⊿t4: 温度t4の測定における不確かさ,K 

hg7: 低圧側熱量計に入る過冷却された液冷媒の比エンタル

ピーで,温度t4によって決まる,kJ/kg 

hg6: 低圧側熱量計を出る過熱蒸気の比エンタルピーで,圧

32 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

力p2と温度t4によって決まる,kJ/kg 

2

2

g6

t

p

h

: 温度t2が一定の条件で,圧力p2に関する比エンタルピ

ーh2の感度,kJ/ (kg・kPa)  

2

2

g6

p

t

h

: 圧力p2が一定の条件で,温度t2に関する比エンタルピ

ーh2の感度で,圧力p2,温度t2における過熱蒸気の比
熱に等しい,kJ/ (kg・K)  

4

4

g6

p

t

h

: 圧力p4が一定の条件で,温度t4に関する比エンタルピ

ーh4の感度で,温度t4における過冷却液の比熱に等し
い,kJ/ (kg・K)  

である。 

B.2.2 不確かさの値に関する注意事項 

B.2.2.1 測定されたΦo,p2,t2及びt4の値の不確かさは,測定に用いた計器(又は測定システム)に対し

て,推定しなければならない。通常,測定誤差には,二つの誤差要因があり, 

1) 系統誤差又は定値誤差は,校正によって減らすことができる。 

2) 偶然誤差又は精密さの誤差は,測定の統計的な不確かさに起因するものである。 

以下に示す指針は,よりよい情報が得られない場合に,不確かさを推定するのに使える。 

a) 偶然誤差は,公表されている計器の正確さの50%にも達することがある。 

b) 偶然誤差は,計器の読取りにも関係する。a)において決定した偶然誤差の推定値は,計器の読みの最

小目盛幅と比較しなければならない。好ましい経験則では,最小目盛幅の1/2よりも小さい読みにし

ないことである。そこで,この推定値は,計器が係る測定に十分な正確さをもつことを前提として,

計器の読みの不確かさの推定に使用する。 

c) 上記のa)及びb)で決定した計器の不確かさのより大きいほうの値を,質量流量の誤差伝ぱ(播)の推

定値に用いなければならない。 

d) これとは別に,偶然誤差のより厳密な推定は,B.2.3に概要を述べた統計的な方法を用いて行うことが

できる。 

B.2.2.2 電気エネルギーを熱源として用いた場合には,熱量Φoを求めるために,電力のほかに熱漏えいの

影響にも用いる。この場合に,⊿Φoは用いた計器によってB.2.1.1に述べたようにして推定する。しかし,

熱源として温水又はブラインを用いる場合には,測定に不確かさをもつとの考えに基づいて,熱量Φoを算

定しなければならない。 

Φo=qm1・c・ (t2−t1) =qm1・c・D 

である。ここに,D= (t2−t1) 

備考 ここに,2個の独立変量qm1及びDがあり,t1はqm1及びt2との関係において従属変量である。 

合成標準不確かさの計算は, 

(

)

[

]2/1

2

m1

2

m1

1

2

2/1

2

0

2

m1

m1

0

0

)

(

)

(

D

c

q

q

t

t

c

D

Φ

q

Φ

Φ

+

∂∂

+

Δq

Δ

ここに, 

c: 流体の比熱,kJ/ (kg・K)  

D= (t2−t1) : 流入と流出の間の流体の温度差,K 

qm1: 流体の質量流量,kg/s 

⊿qm1: 質量流量の不確かさの推定値,kg/s 

⊿t: 温度測定における不確かさの推定値,K 

である。 

background image

33 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B.2.2.3 

c

t

p

h

2

g6

は附属書B付図1に示したように曲線のこう配である。これは,過熱蒸気の熱物性値表

を見れば容易に求められる。 

附属書B付図1 温度一定におけるp-h線図 

附属書B付図1から分かるように,pxの圧力が低い場合には

c

t

p

h

2

g6

→0であるが,pxが臨界圧力に近

づくと,さらにその傾向が顕著になる。 

B.2.3 不確かさ推定の例 

B.2.3.1 低圧側の二次冷媒熱量計が蒸発温度263.08Kで運転されており,熱量計出口の冷媒蒸気温度

293.15K,二次冷媒液温度304.48Kで,熱入力18kWhを必要としている。熱量計への熱漏えいは無視し,

R134aの冷媒質量流量の測定における不確かさを求める。 

附属書B付図2 冷凍サイクルのp-h線図 

(解)附属書B付図2は,この例題に対するp-h線図を示した。冷媒流量の式は, 

)

(

g7

g6

0

m1

h

h

Φ

q

である。R134aの熱物性値表から, 

hg6=418.35 kJ/kg 

hg7=243.58 kJ/kg 

(hg6−hg7)=174.77 kJ/kg 

(hg6−hg7)2=30.544.6 (kJ/kg) 2 

であるから,質量流量は次のように算定できる。 

background image

34 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

[

]

kg/h

8.

370

kJ/kg)

(

77

.

174

h)

kJ/(kW

600

3

18(kW)

m1

×

q

B.2.3.2 次の仮定が使える。 

a) 熱入力は,読みの±0.5%の正確さをもつ校正された電力計で測定される。 

b) t2は,±0.1Kの最小目盛の校正された温度計で測定される。 

c) t4は,±0.3Kの精密さの校正された温度計で測定される。 

B.2.3.3 合成標準不確かさは,次の式によって算定できる。 

+

±

2

2

g7

g6

2

g6

0

2

2

2

g7

g6

2

g6

0

2

m1

)

(

)

/

(

)

(

)

/

(

h

h

t

h

Φ

h

h

p

h

Φ

Δt

Δp

Δq

2/1

2

2

g7

g6

2

g6

0

4

2

2

g7

g6

h

2

2

g7

g6

1

)

(

)

/

(

)

(

)

(

+

+

+

h

h

t

h

Φ

h

h

Φ

h

h

Φ

Δt

Δ

Δ

ここで,飽和圧力 (200.0kPa) は,臨界圧力 (4 056kPa) よりも十分に低いから 

∂22

h

h

Δ

≒0 

また, 

⊿t2=±21×0.1=±0.05K(すなわち,最小目盛幅の1/2) 

⊿t4=±0.3K(公表されている精密さ) 

⊿Φo= { (±0.5%) /2} ×18=±0.045kW=±16 kJ/h(精密さの誤差は,総合誤

差の50%と仮定されている。) 

)

15

.

283

15

.

303

(

)

73

.

409

07

.

427

(

2

g

6

t

h

±0.867kJ/(kg・K) 

比エンタルピーの変化は,圧力800.00kPa,温度範囲は303.48Kから304.48Kの1Kと仮定して,R134aの

熱物性値表から算定する。 

)

48

.

303

48

.

304

(

15

.

242

58

.

243

4

f1

t

h

±1.432 kJ/(kg・K) 

比エンタルピーの変化は,温度範囲1Kと仮定し,R134aの熱物性値表を調べる。そこで,冷媒の質量流

量の合成標準不確かさは, 

[]

2

/1

2

2

2

2

m1

6.

544

30

432

.1

800

64

3.0

77

.

174

162

6.

544

30

867

.0

600

3.

18

05

.0

0

×

×

+

+

×

×

×

+

±

Δq

[

]2/1

828

.0

859

.0

008

.0

0

+

+

+

±

=±1.30kg/h=qm1の±0.35% 

となる。 

B.2.4 算定に関する注意事項 

B.2.4.1 不確かさの各項目の中で最も顕著なものは,⊿Φ0とt4に関連するものである。したがって,正確

さの向上が要求される場合には,これら二つの測定量の不確かさを小さくしなければならない。 

35 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B.2.4.2 測定量t2の不確かさは±0.05Kであった。この解析から,測定量t2の正確さが低下しても,質量

流量qm1の測定結果の正確さは受け入れられる。 

質量流量⊿Φoの測定結果の正確さは,例えば,⊿t2が±0.3Kであるとすれば, 

⊿qm1= [0+0.304+0.859+0.831] 1/2=±1.41kg/h=qm1の0.38% 

となる。 

B.2.4.3 測定量⊿Φ0の正確さが±0.50%(すなわち,⊿Φ0=±324kJ)であったとすると,質量流量の測定

の合成標準不確かさは,かなりの影響を受け,次のようになる。 

⊿qm1= [0+0.008+3.437+0.828] 1/2=±2.07kg/h=qm1の0.56% 

B.3 

差圧計による測定量の不確かさ 

B.3.1 不確かさの値の誘導 

B.3.1.1 差圧計は,各種の流体の流量測定に使われている。次に述べるものは,吐出し側管路の油分離器

を出たR22の過熱蒸気を長円ノズルを用いて測定する例である。 

B.3.1.2 質量流量は,理論的断熱流れの式によって定義できる。 

qm1=A・Cd・Fa・Y・

2/1

4

1

c

)

1(

2

−β

ρΔp

g

ここに, 

A: 流路面積 

Cd: 流量係数 

Fa: ノズルの材料の熱膨張係数 

gc: 標準重力加速度 

ρ1: 入口におけるガスの密度 

⊿p: ノズルでの圧力降下 

β: ノズル径に対する管径の比 

Y: 膨張係数で,これは次の式のように定義されている。 

2/1

/2

4

4

/)1

(

)

/2(

)

1(

)

1(

)

1(

1

1

−−

γ

γ

γ

β

β

γ

γ

r

r

r

r

Y

r

r =p2/p1 

p2: ノド部圧力で, (p1−⊿p) に等しい。 

γ: 比熱比 (cp/cv)  

である。 

B.3.1.3 ガスの圧縮性による膨張係数を付け加えることは,偏導関数を求めるのが複雑になる。更に,パ

ラメータの幾つかは,他の測定されたパラメータの関数になっている。これらの関係は,この例題の独立

変量に関する値とともに,次に示す。 

従属変量 

独立変量 

A=f (d) 

d=20.00mm±0.01mm 

ノド部の直径 

β=f (d, D) 

D=50.00mm±0.01mm 

管の直径 

ρ1=f (p1, t1) 

t1=373.15K±0.8K 

入口温度 

p2=f (p1, ⊿p)  

⊿p=36.00kPa±0.35kPa 

ノズル前後の圧力降下 

γ=f (cp, cv) =f (p1, t1) 

p1=2 150kPa±3kPa 

入口圧力 

r=f (p1, p2) 

Cd=0.995±0.004 

校正から 

background image

36 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

Fa=1.002 3±0.000 2 

B.3.1.4 これらの試料に基づいて,幾つかの従属変量の不確かさが求められる。 

A=πd2/4= (π/4) (20.00±0.01) 2= (314.16±0.31) mm2 

β=d/D= (20.00±0.01) / (50.00±0.01) =0.400 0±0.000 3 

p2 =p1−⊿p= (2 150±3) − (36±0.35) = (2 114±3.02)kPa 

r=p2/p1= (2 114±3.02) / (2 150±3) =0.983 3±0.002 0 

残りのパラメータρ1とγは,ノズルの入口の条件における冷媒の物性値p1とt1の関数である。p1とt1の

それぞれの平均値と最大変化量における一連の値は,附属書B付表2に示した。 

附属書B付表2 平均値と最大変動量 

p1 

t1 

ρ1 

cp 

cv 

γ 

平均 

2 150 

373.15 

70.721 

0.908 7 

0.692 3 

1.312 6 

最低 

2 147 

372.35 

70.872 

0.909 1 

0.691 4 

1.314 9 

最高 

2 153 

373.95 

70.572 

0.908 4 

0.693 1 

1.310 6 

最高と最低の平均値は, 

ρ1=70.722±0.153kg/m3       γ=1.312 8±0.002 2 

となる。 

B.3.1.5 r,γ,βに対する値を用いて算定した膨張係数の変化は,附属書B付表3に示した。 

附属書B付表3 膨張係数の変動量 

γ 

β 

平均 

0.983 3 

1.251 4 

0.400 0 

0.990 1 

最低 

0.980 7 

1.250 5 

0.400 3 

0.988 5 

最高 

0.985 9 

1.252 3 

0.399 7 

0.991 7 

最高と最低の平均値は, 

Y=0.990 1±0.001 6 

流れの式の導関数は, 

2/1

4

1

c

a

d

m1

)

1(

2

β

ρΔp

g

Y

F

C

A

q

2/1

4

1

c

a

d

m1

)

1(

2

β

ρΔp

g

Y

F

A

C

q

2/1

4

1

c

d

a

m1

)

1(

2

β

ρΔp

g

Y

C

A

F

q

2/1

1

2/1

4

1

c

a

d

1

m1

)

1(

2

5.0

ρ

β

ρ

ρ

Δp

g

Y

F

C

A

q

2

/1

2

/1

4

1

c

a

d

m1

)

1(

2

5.0

・⊿

ρ

β

ρ

g

Y

F

C

A

q

Δp

background image

37 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2/3

4

2/1

4

1

c

a

d

3

m1

)

1(

)

1(

2

2

β

β

ρ

β

β

Δp

g

Y

F

C

A

q

2/1

4

1

c

a

d

m1

)

1(

2

β

ρΔp

g

F

C

A

Y

q

である。 

B.3.1.6 質量流量の合成標準不確かさは,ここに,導関数を組み合わせることによって算定できる。 

2

/1

2

2

4

4

2

1

1

2

a

Fa

2

d

Cd

2

A

m1

qm1

1

4

25

.0

+

+

+

+

+

±

γ

β

β

β

ρ

γ

β

ρ

w

w

w

F

w

C

w

A

w

q

w

+

+

+

±

2

2

2

2

m1

qm1

721

.

70

153

.0

25

.0

3

002

.1

2

000

.0

995

.0

004

.0

16

.

314

31

.0

q

w

2/1

2

2

4

4

2

995

.0

6

001

.0

0

400

.0

3

000

.0

0

00

.4

1

0

400

.0

4

00

.

36

35

.0

25

.0

+

+

+

=±{9.74×10−7+1.616×10−5+3.98×10−8+1.170×10−6 

+2.363×10−5+1.55×10−9+2.59×10−6}1/2=±(4.46×10−5)1/2=±0.67% 

となる。 

B.3.1.7 誤差の主要な源は,⊿pとCdであるが,残りの項ははるかに影響が小さい。より高い正確さが必

要な場合には,⊿pのよりよい正確さの測定が改善のためのパラメータとなる。ノズル流量計の校正が行

われていないならば,流量係数の正確さは±1.5%になると仮定しなければならない。これは,流量係数の

誤差が±2.25×10−4に増大し,質量流量の総合した正確さが±1.61%となることになる。 

B.4 

コリオリ流量計の不確かさ(差圧によらない流量計の例) 

B.4.1 不確かさの値の誘導 

B.4.1.1 コリオリ流量計が,冷媒の質量流量を測定するのに使用できる。この流量計は,直接質量流量を

読み取ることができ,音速ノズルを用いて読みの±0.2%の正確さで校正できる。定常の条件下で流量の読

みを10個読み取り,附属書B付表4に示した。これから,質量流量の算定と質量流量の測定の不確かさ

を算定する。 

附属書B付表4 定常条件における流量の読み 

読みの番号 

質量流量計の読み 

算定値 

di 

di/σ' 

 1 

46.04 

−0.207 

−1.215 

 2 

46.32 

 0.073 

 0.428 

 3 

45.98 

−0.267 

−1.568 

 4 

46.18 

−0.067 

−0.393 

 5 

46.22 

−0.027 

−0.159 

 6 

46.57 

 0.323 

 1.900 

 7 

46.46 

 0.213 

 1.251 

background image

38 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

読みの番号 

質量流量計の読み 

算定値 

di 

di/σ' 

 8 

46.33 

 0.083 

 0.487 

 9 

46.21 

−0.037 

−0.217 

10 

46.16 

−0.087 

−0.511 

B.4.1.2 流量測定の不確かさは,次のように定義できる。 

qm1=x+w ; P % 

ここに, qm1: 質量流量 
 

x: 質量流量の最良の推定値 

w: 不確かさ 

P: 信頼の水準 

この場合は,試料数が少ないので,スチューゲントt分布が結果の信頼の水準の推定に使える。 

平均値   

247

.

46

1

'

1

=∑

n

i

ix

n

x

B.4.1.3 平均値に対する個々の偏差は,この例題のB.4.1.2に示してある。 

個々の偏差 di=xi−x' 

標準偏差  

2/1

1

2)'

(

1

1

'

−∑

n

i

ix

x

n

σ

信頼の水準95%,自由度9に対してスチューデントt分布を用いると, 

10

6

179

.0

262

.2

247

.

46

'

'

m1

×

±

±

n

t

x

q

σ

=46.247±0.128 4 ; 95% 

qm1 (min) =46.247−0.128 4=46.118 

qm1 (max) =46.247+0.128 4=46.375 

変動量の百分率=

100

247

.

46

4

128

.0

×

±

%=平均質量の±0.278% 

となる。 

B.4.1.4 校正によって決まる±0.2%の系統誤差は,既知の測定の偏りの説明には使用できない。この系統

誤差は,上述の算定された実験の変動量と組み合わせて,二乗和の平方根を用いて総合不確かさを求めな

ければならない。 

W=± [0.0022+0.002 782] 1/2×100%=±0.342 5%の不確かさ 

B.4.1.5 質量流量は,次のように表すことができる。 

qm1=46.247±0.003 42×46.247=46.247±0.158 ; 95% 

信頼の水準95%以内で,実際の質量流量は46.089と46.405の間にあることを意味する。 

B.4.1.6 流量計の実験データは,また,Chauvenetの判定基準を用いて検討することもできる。試料数10

個の場合には,附属書B付表5から最大のd1/σ'は1.96である。この例題の附属書B付表4のd1/σ'は,い

ずれも1.96を超えることなく,これによってすべてのデータが採択できると結論できる。 

background image

39 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B付表5 読みの採否に関するChauvenetの判定基準 

読みの数 

 (N)  

精密さの指標(d1/σ')に対する 

最大許容偏差 

   3 

1.38 

   4 

1.54 

   5 

1.65 

   6 

1.73 

   7 

1.80 

   8 

1.87 

   9 

1.91 

  10 

1.96 

  15 

2.13 

  20 

2.24 

  25 

2.33 

  50 

2.57 

 100 

2.81 

 300 

3.14 

 500 

3.29 

1 000 

3.48 

background image

40 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C(参考) 量記号 

C.1 基本的事項 この附属書は,この規格で使用する量記号,量記号の意味及び単位記号について説明

するものであり,規定の一部ではない。 

C.2 量記号,量記号の意味及び単位記号は,附属書C付表に示す。 

附属書C付表 量記号,量記号の意味及び単位記号 

量記号 

量記号の意味 

単位記号 

液体の比熱 

kJ/ (kg・K)  

c0 

油の比熱 

kJ/ (kg・K)  

定格の電源周波数 

Hz 

fa 

実際の電源周波数 

Hz 

F1 

熱漏えい係数 

W/K 

hf1 

試験条件における圧縮機吐出しガスの圧力に対応した飽和冷媒液の比エンタルピー 

kJ/kg 

hf2 

膨張弁入口における冷媒液の比エンタルピー 

kJ/kg 

hf3 

凝縮器出口における冷媒液の比エンタルピー 

kJ/kg 

hga 

試験条件における圧縮機吸込み口における冷媒蒸気の比エンタルピー 

kJ/kg 

hgt 

試験条件における圧縮機に吸い込まれた冷媒蒸気と同じ比エントロピー(断熱圧縮)

の圧縮機出口圧力に対応した冷媒ガスの比エンタルピー 

kJ/kg 

hg1 

試験条件における圧縮機入口における冷媒蒸気の比エンタルピー 

kJ/kg 

hg2 

熱量計又はガス冷却器出口における冷媒蒸気の比エンタルピー 

kJ/kg 

hg3 

凝縮器入口における冷媒ガスの比エンタルピー 

kJ/kg 

hg4 

ガス冷却器入口における冷媒蒸気の比エンタルピー 

kJ/kg 

hg5 

ガス冷却器出口における冷媒蒸気の比エンタルピー 

kJ/kg 

hg6 

吐出し管に設けた熱量計入口における冷媒ガスの比エンタルピー 

kJ/kg 

hg7 

吐出し管に設けた熱量計出口における冷媒ガスの比エンタルピー 

kJ/kg 

試験条件における圧縮機回転速度 

rev/s 

na 

実際の圧縮機回転速度 

rev/s 

試験条件における圧縮機入力 

Pa 

実際の圧縮機入力 

qmc 

冷却水の質量流量 

kg/s 

qmf 

試験によって決まる冷媒の質量流量 

kg/s 

qm1 

液体の質量流量 

kg/s 

qmt 

冷媒の総質量流量 

kg/s 

qv 

冷媒と油の混合液の体積流量 

m3/s 

ta 

平均周囲温度 

K, ℃ 

tc 

熱量計の平均表面温度 

K, ℃ 

tf 

圧縮機吐出し圧力に対応した冷媒の飽和温度 

K, ℃ 

tg 

圧縮機入口における冷媒の温度 

K, ℃ 

tp 

二次冷媒の圧力に対応した冷媒の飽和温度 

K, ℃ 

tr 

冷媒の平均飽和温度 

K, ℃ 

ts 

二次冷媒の飽和温度 

K, ℃ 

t1 

加熱媒体又は冷却水の熱量計入口における温度 

K, ℃ 

t2 

加熱媒体又は冷却水の熱量計出口における温度 

K, ℃ 

υg 

試験条件に対応した圧縮機吸込み条件における冷媒蒸気の比体積 

m3/kg 

υga 

圧縮機吸込み口における実際の冷媒蒸気の比体積 

m3/kg 

Vsw 

圧縮機の押しのけ量 

m3/s 

background image

41 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

量記号 

量記号の意味 

単位記号 

油循環率 

− 

ε 

成績係数(動作係数) 

− 

ηv 

体積効率 

− 

η1 

全断熱効率(=断熱効率×機械効率) 

− 

μ 

潤滑油の比体積 

m3/kg 

ρ 

流量測定時の圧力と温度に対応した冷媒液の密度 

kg/m3 

Φh 

加熱器への熱入力 

Φi 

熱量計又はガス冷却器への熱入力 

Φ0 

圧縮機の冷凍能力 

42 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書D(参考) 油循環量測定方法 

D.1 基本的事項 この附属書は,油循環量の測定方法を説明するものであり,規定の一部ではない。 

D.2 定義 この附属書で用いる用語及び定義は,次による。 

a) WE:空のときの質量(容器及びフラスコ装置一式) 

b) Ws:全質量(容器及びフラスコ装置一式並びに冷媒及び油の混合液からなる試料) 

c) W0:最終の質量(容器及びフラスコ装置一式並びに最終的に残った油) 

d) x:油循環率 

D.3 一般的事項 

D.3.1 この測定方法は,本体4.3.4で要求されている油分離器をもたない試験装置において,装置を循環す

る油の全質量流量を決定するのに使用する。 

D.3.2 油の循環率は,圧縮機の運転が本体5.に示した4回の測定の読みが定常状態の限界内に到達したと

きに,冷媒と油の混合物の中の油の質量の割合を測定することによって決める。 

D.4 測定の正確さ WE,Ws及びW0の質量測定の正確さは,油循環率を算定したとき1%を識別できなけ

ればならない。 

D.5 測定の手順 

D.5.1 冷媒と油との混合物からなる試料を受け入れるための容器は,空にする。口に綿の栓と容器とを結

ぶための管の付いた清浄な空のフラスコ装置などの式と容器とを一緒にして,質量を測定する。この質量

WEは,D.4の正確さで測定しなければならない。 

D.5.2 容器を試験装置の液管に結合し,接続管内の空気を排出する。本体4.4の規定によって試験装置の

作動が4回連続して行った測定の読みが本体5.の規定に示した定常作動条件の限界内の状態に到達したと

きに,冷媒と油との混合液の試料を採取する。試験装置が冷媒の充てん量に敏感で,試料の採取が試験装

置の過冷却度を減少させたり,なくしてしまう場合には,試験のための測定が終わってから試料の採取を

行わなければならない。 

D.5.3 試料の入っている容器とフラスコ装置などの一式の質量を測定する。この質量Wsは,D.4の正確

さで測定しなければならない。 

D.5.4 容器から冷媒と油との混合液を徐々にフラスコに移す場合には,綿の栓を貫いてフラスコの口の下

側に突き出た管を使用する。 

D.5.5 フラスコから徐々に冷媒の蒸気を追い出す。次に,再び容器とフラスコ装置などの式の質量を,

D.4の正確さで測定する。 

D.6 油循環率の算定方法 油循環率xは,次の式によって算定する。 

E

S

E

0

W

W

W

W

x

43 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書E(参考) 附属の油分離器による油循環量の測定方法 

E.1 

基本的事項 この附属書は,本体4.3.4の要求事項に従って,圧縮機の吐出し系統に補助的に油分離

器が装備されている場合に,その油分離器を使用して圧縮機の油の質量流量を決定する方法について説明

するものであり,規定の一部ではない。 

E.2 

定義 この附属書で用いる用語及び記号の定義は,次による。 

E.2.1 用語及び記号 

a) M:質量流量 

b) x:油循環率 

c) F:質量割合 

d) 下付きの記号 

1) r:冷媒 

2) o:油 

3) tot:全体 

4) sys:試験装置 

5) sep:油分離器 

E.2.2 連続の式 

圧縮機の全冷媒質量流量は,Mrtot=Mrsys+Mrsep 

圧縮機の全油質量流量は,Motot=Mosys+Mosep 

E.3 

一般的事項 

E.3.1 油の全質量流量は,試験装置を循環する油と油分離器から圧縮機に戻される油との合計に等しい

(附属書E付図1)。 

E.3.2 圧縮機の油の質量流量Mototは,本体4.4によって試験装置の作動が4回連続して行った測定の読み

が本体5.に示した定常作動条件の限界内の状態に到達したとき,補助の油分離器によって捕そく(捉)さ

れて圧縮機に戻される油の質量流量Mosepに加えて,試験装置を循環する液冷媒に混合して存在する油の質

量流量Mosysの質量割合を測定することによって算定しなければならない。 

E.4 

測定の正確さ 補助の油分離器によって取り除かれる油の質量流量の測定は,測定された冷媒質量

流量の1%以下の感度で校正しなければならない。 

background image

44 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書E付図1 油分離器の流れに関する用語の定義 

E.5 

測定方法及び算定方法 

E.5.1 補助油分離器によって捕そくされないで試験装置を循環する油については,附属書D(参考)の方

法によって分離された油の循環率Xosysを求める。 

E.5.2 本体7.に示した試験方法のいずれかの試験装置を用いて,冷媒の質量流量を決定する。 

E.5.3 試験装置における油の質量流量は,試験装置の油の循環量とE.5.2による冷媒の質量流量から算定

する。 

Mosys=xosys×Mrsys 

ここに, Mosys: 試験装置を循環する油の質量流量 
 

xosys:  附属書D(参考)のD.6による油循環率 

Mrsys: 設定試験条件における冷媒の質量流量 

E.5.4 油分離器によって捕そくされた油の質量流量は,校正された液体流量計で測定する。この流量計に

おける液体の流れはガスの発生を伴うことなく,均一な液相状態でなければならない。流れの状態を確認

するためには,測定点の後にサイトグラスを設けなければならない。 

E.5.5 附属書D(参考)のD.6の方法を用いて,油分離器で油を除去した後の,試験装置を循環する冷媒

から冷媒を含まない油の質量割合を算定する。算定の際の記号は 

WE:空のときの質量(容器及びフラスコ装置式) 

Ws:全質量(容器及びフラスコ装置一式並びに冷媒と油の混合液からなる試料) 

Wo:最終の質量(容器及びフラスコ装置一式並びに最終的に残った油) 

E.5.6 試料からの冷媒を含まない油の質量割合Foilは,次の式によって算定する。 

E

0

E

0

oi1

W

W

W

W

F

E.5.7 補助油分離器からの油とともに圧縮機に戻される液のうちの油を含まない冷媒の質量割合は,次の

式によって算定する。 

Fref=1−Foil 

E.5.8 E.5.4によって測定された補助油分離器から圧縮機に戻される液の全質量流量に,E.5.6によって決

められた冷媒を含まない油の質量割合を乗じることによって,油分離器で捕そくされた油の質量流量が算

定できる。 

45 

B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

Mosep=M (o+r) sep×Foil 

E5.9 

補助油分離器から圧縮機に戻される液の全質量流量に,E.5.7によって決められた油を含まない冷

媒の質量割合を乗じることによって,油分離器で捕そくされた冷媒の質量流量が算定できる。 

Motot=M (o+r) sep×Fref 

E.5.10 油の全質量流量は,E.5.3による試験装置の油の質量流量とE.5.8による油分離器からの油の質量流

量を加えたものである。 

Mototo=Mosys+Mnsep 

E.5.11 冷媒の全質量流量は,E.5.2による試験装置の冷媒の質量流量とE.5.9による油分離器で捕そくされ

た冷媒の質量流量との和である。 

Mrtot=Mrsys+Mrsep 

E.5.12 圧縮機を循環する全体の油循環率は,E.5.10による油の全質量流量をE.5.11による冷媒の全質量流

量で除したものである。 

rtot

osys

M

M

x=

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B 8606 : 1998  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書F(参考) 参考文献 

1) ISO 916-1 Refrigerating systems−Test methods−Part 1 : Testing of systems for cooling liquids and gases 

using a positive displacement compresor(3) 

2) Coleman, H.W. and Steele, W.G., Experimental and uncertainty analysis for engineers, John Wiley, New York, 

1989 

3) Miller, R. W., Flow measurement engineering handbook, McGraw-Hill, New York, 1983 

4) 今井秀孝編,計測の信頼性評価,財団法人日本規格協会,1996 

5) 飯塚幸三監修,計測における不確かさの表現のガイド,財団法人日本規格協会,1996 

注(3) 出版される予定。 

JIS B 8606(冷媒用圧縮機の試験方法)改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

樋 口 金次郎 

元東京農工大学工学部 

(委員) 

五 島 正 雄 

東京商船大学交通電子機械工学課程 

大 嶋 清 治 

通商産業省工業技術院標準部機械規格課 

橋 本 繁 晴 

財団法人日本規格協会 

北 野 松 司 

社団法人日本冷蔵倉庫協会 

東   泰 造 

株式会社荏原製作所冷熱圧縮機統括室 

佐 藤 有 朝 

三洋電機株式会社コンプレッサ事業部 

萩 原 茂 喜 

ダイキン工業株式会社圧縮機開発センター 

杉 山   誠 

株式会社東芝富士工場コンプレッサ部 

花 房 正 治 

日本エマソン株式会社コープランド事業部 

畠   裕 章 

株式会社日立製作所冷熱事業部栃木本部 

寒風沢 敏 和 

株式会社前川製作所技術研究所 

松 下   繁 

松下電器産業株式会社コンプレッサー事業部 

村 田 伸 夫 

三菱重工業株式会社エアコン製作所 

松 永 勝 利 

三菱電機株式会社圧縮機製造部 

山 岸 勝 巳 

新菱冷熱工業株式会社都市設備事業部 

石 沢 敏 彦 

新日本空調株式会社技術企画部 

石 橋 直 彦 

大西熱学株式会社 

太 田 育 秀 

株式会社東洋製作所装置技術部 

(事務局) 

宮 坂 明 男 

社団法人日本冷凍協会