>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

日本工業規格

JIS

 B

8412

-1981

ガンタイプ油バーナ用燃焼安全制御器

Combustion Safety Controllers for Guntype Oil Burners

1.

適用範囲  この規格は,主に燈油,軽油などを燃料とするガンタイプ油バーナの燃焼安全装置として,

火炎検出器及び圧力,温度などの制限器とともに燃焼の安全を確保するため,燃焼用送風機,燃料供給ポ

ンプ,燃料しゃ断弁などを組み合わせて作動させる燃焼安全制御器(以下,制御器という。

)について規定

する。

引用規格:13 ページに示す。

2.

用語の意味  この規格で用いる主な用語の意味は,JIS B 0113〔工業用燃焼装置用語(液体及び気体

燃料)

〕によるほか,次のとおりとする。

(1)

不着火しゃ断時間  バーナの始動の際に燃料供給の信号が発せられてから着火できなかった場合,火

炎検出器から不着火信号により燃料しゃ断の信号を発するまでの時間。

(2)

作動安全性(フェイルセーフ)  制御器への電源が断続したとき及び制御器自体の構成部品に欠陥が

生じたときに,制御器が点火動作を阻止する信号又は燃料しゃ断の信号を発するなど安全側に作動す

る性能。

(3)

始動時安全点検性  制御器がバーナへ始動の信号を発するのに先立って,火炎検出器,火炎検出回路

などの機能を電気回路の連係動作により自動的に点検し,それに欠陥が生じて,火炎の疑似信号を発

しているときは,制御器がバーナ始動,燃料供給開始などの信号を発しないように作動する性能。

(4)

安全スイッチ  バーナの点火動作を監視し,バーナの点火動作開始の信号が発せられた後,ある一定

時間(この規格では,不着火しゃ断時間という。

)内に火炎が検出されないときは,燃料供給を停止す

る信号を発して点火動作を停止させる機構,又は不着火,運転中の断火などが起こったときに燃料供

給を停止するとともに,自動的な再点火を行わせない機構で,手動復帰形及び限時動作形の継電器と

同じ機能をもつスイッチ。

3.

制御器の標準使用条件  制御器の標準使用条件は,別に指定のない限り,次による。

(1)

周囲温度は,−20〜+60℃とする。ただし,制御器が氷結しないこと。

(2)

相対湿度は,45〜85%とする。ただし,制御器が結露しないこと。


2

B 8412-1981

4.

種類及び記号  制御器の種類は,不着火しゃ断時間,定格電圧及び定格周波数,プレパージ機能の有

無,ポストパージ機能の有無,点火方式及び断火後の作動によって区分し,その記号は,次による。

(1)

不着火しゃ断時間による区分  不着火しゃ断時間による区分は,表 による。

表 1

不着火しゃ断時間

公称値

区分

種類の記号

バーナの燃料噴射量の区分(

1

)

  7

7.7

秒以下のもの

S 30kg/h

を超えるもの

15

秒 16.5 秒以下のもの

L 30kg/h

以下のもの

(

1

)

この区分は,ISO 3544 (Atomizing oil burners of the monobloc type−Safety

times and safety, control and monitoring devices)

に規定しているバーナの

燃料噴射量と一致している。 

(2)

定格電圧及び定格周波数による区分  定格電圧及び定格周波数による区分は,表 による。

表 2

定格電圧 V

定格周波数 Hz

種類の記号

100

1

200

50/60

2

220 60 3

(3)

プレパージ機能の有無による区分  プレパージ機能の有無による区分は,表 による。

なお,

表 の記号が NO のものを使用する場合であって,燃焼の安全を確保するために必要と認め

られるときは,プレパージが行える機構を組み合わせるか,又は始動に先立って手動によりプレパー

ジを行わなければならない。

表 3

プレパージ機能の有無

種類の記号

有り

B

無し

NO

(4)

ポストパージ機能の有無による区分  ポストパージ機能の有無による区分は,表 による。ただし,

(3)

プレパージ機能の有無による区分で,種類の記号が NO のものは,ポストパージ機能の種類の記号

が でなければならない。

表 4

ポストパージ機能の有無

種類の記号

有り

A

無し

N

(5)

点火方式による区分  点火方式による区分は,表 による。

表 5

点火方式

種類の記号

連続(

2

)

C

重複(

3

)

I

時限(

4

)

T

(

2

)

連続とは,バーナの燃焼にかかわりなく,点火装置が連続して作動する方式。

(

3

)

重複とは,バーナの燃焼中は,点火装置が重複して作動する方式。

(

4

)

時限とは,定められた時間中だけ点火装置が作動する方式。


3

B 8412-1981

(6)

断火後の作動による区分  断火(

5

)

後の作動による区分は,

表 による。

表 6

断火後の作動

種類の記号

再点火(

6

)

RL

再始動(

7

)

RC

しゃ断(

8

)

LO

(

5

)

断火とは,燃焼に異常が生じて,火炎が消えるか又はそれに近い状態をいう。

(

6

)

再点火とは,断火検出後に 5.

性能に規定する断火応答時間が終了すると直ちに始まる点火動作をいう。

(

7

)

再始動とは,断火検出後に 5.

性能に規定する断火応答時間が終了すると直ちに燃料しゃ断の信号を発し,プレ

パージ機能などを含む所定の安全な運転順序により再び始動するものをいう。

(

8

)

しゃ断とは,断火検出後に 5.

性能に規定する断火応答時間が終了すると直ちに燃料しゃ断の信号を発し,手動

による復帰操作を行わない限り自動的に再点火又は再始動しないものをいう。ただし,4.(5)の記号が 及び I
のものは,5.

性能に規定する断火応答時間は,不着火しゃ断時間を適用することができる。

5.

性能  制御器の性能は,9.の規定によって試験し,表 に適合しなければならない。

表 7

項目

性能

試験方法

電圧変動特性

定格電圧の−15〜+10%の範囲で正常に始動し,作動を保持するこ
と。

9.3

絶縁抵抗

規定の電圧を加えたとき,10M

Ω以上あること。

9.4

耐電圧

規定電圧に 1 分間耐えること。

9.5

正常に作動すること。

耐衝撃電圧

絶縁抵抗

規定の電圧を加えたとき,5M

Ω以上あること。

9.6

形状・作動変化

割れ,ふくれ,変形などの支障がなく,一連の作動が
正常であること。

絶縁抵抗

規定の電圧を加えたとき,5M

Ω以上あること。

耐寒性

耐電圧

規定電圧に 1 分間耐えること。

9.7

形状・作動変化

割れ,ふくれ,変形などの支障がなく,一連の作動が
正常であること。

絶縁抵抗

規定の電圧を加えたとき,5M

Ω以上あること。

耐熱性

耐電圧

規定電圧に 1 分間耐えること。

9.8

形状・作動変化

割れ,ふくれ,変形などの支障がなく,一連の作動が
正常であること。

絶縁抵抗

規定の電圧を加えたとき,3M

Ω以上あること。

耐湿性

耐電圧

規定電圧に 1 分間耐えること。

9.9

耐炎性

規定条件で燃えないこと。

9.10

振動耐久性

各部に割れ,変形などの損傷がなく,作動が正常であること。

9.11(1)

耐振性

振動誤作動

規定の振動により誤作動しないこと。

9.11(2)

衝撃耐久性

各部に割れ,変形などの損傷がなく,作動が正常であること。

9.12(1)

耐衝撃性

衝撃誤作動

規定の衝撃により誤作動しないこと。

9.12(2)

始動安全点検性

始動しないか,又は燃料供給の信号を発しないこと。

9.13


4

B 8412-1981

項目

性能

試験方法

電源中断

始動の段階から作動すること。ただし,プレパージの時間は変化し
てもよい。 
なお,4.(1)の記号が のものは,点火動作中又は定常運転中に電源

が中断し,それが 60 秒以内に回復したときは,点火動作の段階から
作動してもよい。

9.14(1)

作動安全性
(フェイル
セーフ)

回路部品故

始動しないか,燃料供給の信号を発しないか,運転停止後再始動し
ないか,又は,不着火若しくは運転中の断火により,燃料供給停止
の信号を発すること。ただし,4.(1)の記号が のものは,断火後の

作動が変化してもよく,プレパージ,ポストパージなどの時間が,
時間の許容変動値に示す範囲を超えるか,又は下回って変化しても
よい。

9.14(2)

公称値

1

RL

のもの

1

秒以下であること。

RC

のもの

断火

応答

時間

公称値

4

4.(6)

の記号

LO

のもの

4

秒以下であること。

9.15(1)

S

のもの 7.7 秒以下であること。

不着火しゃ
断時間

4.(1)

の記号

L

のもの 16.5 秒以下であること。

9.15(2)

時 間 の 許
容変動値

プレパージ
時間

4.(1)

の記号

S

のもの

公称値の 90%以上であること。

9.15(3)

公称値

1

RL

のもの

1

秒以下であること。

RC

のもの

断火

応答

時間

公称値

4

4.(6)

の記号

LO

のもの

4

秒以下であること。

S

のもの 7.7 秒以下であること。

不着火しゃ

断時間

4.(1)

の記号

L

のもの 30 秒以下であること。

低 温 特 性

及 び 高 温
特性

プレパージ

時間

4.(1)

の記号

S

のもの

公称値の 80%以上であること。

9.16

及び 9.17

ヒータを除く,リレー,変
圧器などのコイル

許容周囲温度と温度上昇の和が次の値
を超えないこと。

備考  絶縁の種類は,JIS C 4003(電

気機器絶縁の種類)による。

温度上昇

ヒータ,リレー,変圧器な
どに近接して組み付けて
ある電子部品。

組み付けてある部品の許容最高温度以
下であること。

9.18

安全スイッ

6000

回作動後,機械的,電気的に異状がないこと。

9.19(1)

耐久性

作動 100000 回作動後,異状がないこと。

9.19(2)

6.

構造

6.1

構造一般  制御器の構造についての一般的事項は,次による。

(1)

電気的,機械的に十分な耐久性をもち,作動が円滑,確実であること。

(2)

各部の加工及び仕上げは良好で,さびを生じるおそれがある鉄,鋼及び他の金属部分には,めっき,

塗装などの適切なさび止め処理を施してあること。ただし,構造上やむを得ない部分であって,機能


5

B 8412-1981

上支障がない部分については,この限りでない。

(3)

作動時間の調整を行うねじ部には,使用中に緩み,ずれなどが生じないように,適切な緩み止めを施

すこと。

(4)

電線接続端子は,電線との接続が容易に行える構造とし,端子の近くの見やすい箇所に端子記号を容

易に消えない方法で明確に表示すること。

なお,表示には展開接続図,内部接続図などを用いてもよい。

(5)

各部の締付けは良好で,使用中の振動及び衝撃により緩むおそれがないこと。

(6)

プラグイン形の制御器部品は,ソケット部への着脱が円滑に,誤接続なく行え,更に電気的及び機械

的接続が良好であること。

(7)

ほこり,鉄粉などが付着することにより,作動に影響を受けるおそれがあるものにはケース,カバー

などを設けること。ただし,組み付けた状態で,ケース,カバーと同等の機能をもつ外被内へ収納し

てあるものは,この限りでない。

6.2

安全スイッチ及びそれと同等の機能をもつもの(以下,安全スイッチという。)  安全スイッチは,

次による。

(1)

作動の保持機構は,安定,確実に作動を保持できるもので,使用上有害な振動,衝撃,周囲温度の変

動などにより保持が解けないものとする。

(2)

安全スイッチが作動したときは,手動による操作をしない限り復帰しない構造とし,また,電源の断

続により復帰しないこと。

(3)

作動の保持機構は,復帰用ボタン,スイッチ,レバーなどによる復帰操作が正確に行われたときだけ

復帰すること。

(4)

復帰用ボタン,スイッチ,レバーなどに固着が生じたときでも,不着火しゃ断が正常に行えるか又は

制御器を始動させない構造とし,自動的に復帰しないこと。

(5)

機構に作動上の支障が生じたり,手動以外の外力が加わっているときでも,制御器の安全作動が損な

われないこと。

(6)

安全スイッチの復帰用ボタン,スイッチ,レバーなど手動で操作する部分は,操作が円滑,容易に行

え,操作に支障をきたす摩擦がなく,更に充電部から十分に絶縁されていること。

6.3

絶縁距離  外部電線の接続部の絶縁距離は,表 による。

表 8

単位 mm

定格絶縁電圧 (V)

50

以下 50 を超え 150 以下

150

を超え 300 以下

電線取付端子部間 2

3

4

端子部とアースするおそれがある非充電金属

部,又は人が触れるおそれのある非金属部の
表面との間

2 2.5

3

7.

外観  制御器の外観は,仕上げが良好で,割れ及び使用上有害なさび,ひび,むらなどの欠点があっ

てはならない。


6

B 8412-1981

8.

材料  制御器の材料は,表 に示すもの又はそれと同等以上の品質をもつものを使用する。

表 9

主要部品名称

材料名

ば ね 作 用 を も つ
もの

JIS H 3100

(銅及び銅合金の板及び条)

JIS H 3110

(りん青銅及び洋白の板及び条)

JIS H 3130

(ばね用ベリリウム銅,りん青銅及び洋白の板及び条)

端子部

その他のもの

JIS H 3100

差込みプラグ

JIS H 3100

差 込 み 式 接 続

プラグ受け

JIS H 3100

JIS H 3110

JIS H 3130

板状品

JIS K 6912

(熱硬化性樹脂積層板)

導 電 金 具 取 付

用絶縁体

成形品

JIS K 6719

(ポリカーボネート成形材料)

JIS K 6915

(フェノール樹脂成形材料)

JIS K 6917

(メラミン樹脂成形材料)

JIS K 6919

(強化プラスチック用液状不飽和ポリエステル樹脂)

ポリプロピレン

口出し線

JIS C 3306

(ビニルコード)

JIS C 3307

〔600V ビニル絶縁電線 (IV)〕

ケース,カバーなど

JIS G 3141

(冷間圧延鋼板及び鋼帯)

JIS K 6719

JIS K 6873

(ABS 樹脂板)の C 種

ポリプロピレン

備考  表 の主要部品は,それに該当する構造,形式のものについてのみ適用する。 

9.

試験方法

9.1

試験条件  試験条件は,別に規定する場合を除き次による。

(1)

周囲温度は,20±2℃とする。

(2)

相対湿度は,65±5%とする。

(3)

基準大気圧は,1013mbar とする。

(4)

電源は,定格電圧及び定格周波数の正弦波電源とする。

なお,試験結果の判定に疑義を生じない場合は,次の条件によってもよい。

周囲温度  5〜35℃

相対湿度  45〜85%

大気圧  860〜1060mbar

電源  正弦波に近い波形の交流電源

9.2

試験方法一般  試験方法に関する一般的事項は,別に規定する場合を除き次による。

(1)

供試制御器は,作動上有害な外部磁界,振動及び衝撃がない箇所に製造業者が指定した方向に正しく

取り付ける。

(2)

電源,火炎検出器及びその他の入力側は,供試制御器が実使用時と同等な始動及び定常運転が正常に

行えるように電気結線をする。ただし,火炎検出器などは,等価抵抗及び等価接点信号に置き換えて

もよい。

(3)

時間の測定は,電源周波数を基準とした時間計又はそれと同等以上の精度をもつ測定器を用いて行う。


7

B 8412-1981

9.3

電圧変動特性試験  電圧変動特性試験は,定常運転の状態の供試制御器に定格電圧を連続 2 時間加

えた後,電源電圧が定格電圧の 85%,100%及び 110%のときの各電圧で,供試制御器が所定の運転順序に

従って正常に作動するかどうかを調べ,更に,供試制御器が定常運転の状態に入った後,電源電圧を定格

電圧の 85〜110%の範囲で連続的に変化させ,正常に作動が保持されるかどうかを調べる。

9.4

絶縁抵抗試験  絶縁抵抗試験は,JIS C 1301〔絶縁抵抗計(発電機式)〕又は JIS C 1302〔絶縁抵抗

計(電池式)

〕に規定する絶縁計を用いて,次の試験箇所の絶縁抵抗を

表 10 の試験電圧を加えて測定する。

(1)

導電部端子と露出した非充電金属部間

(2)

独立した導電部端子間

(3)

非連続接点端子間(

9

)

(

9

)

非連続接点端子間とは,制御器に組み込んだリレー,タイマなどの接点で,作動時に閉路する

接点に接続している端子間をいう。

表 10

単位 V

定格絶縁電圧

使用する絶縁抵抗計の定格電圧

60

以下 DC250

60

を超え 250 以下 DC500

備考  定格絶縁電圧とは,線間又は対地間の絶縁電圧をい

う。 

9.5

耐電圧試験  耐電圧試験は,50Hz 又は 60Hz の正弦波に近い表 11 に示す電圧を 1 分間加え,これに

耐えるかどうかを調べる。ただし,判定に疑義を生じない場合は,試験電圧を

表 11 に示す値の 1.2 倍とし,

電圧を加える時間を 1 秒間とすることができる。

表 11

単位 V

電圧を加える箇所

定格絶縁電圧

試験電圧

60

以下 500

60

を超え 125 以下 1000

導電部端子と露出した非
充電金属部間又は独立し
た導電部端子間

125

を超え 250 以下 1500

非連続接点端子間 250 以下 500

9.6

耐衝撃電圧試験  耐衝撃電圧試験は,附属書に示す衝撃電圧発生器を用いて,表 12 の試験条件で,

波頭値が 6kV の衝撃電圧を 2 分間の間隔をおいて 2 回加えた後,供試制御器が正常に作動するかどうかを

調べる。

表 12

試験条件

供試制御器の状態

衝撃電圧を加える箇所

無通電

電源入力端子間

9.7

耐寒性試験  耐寒性試験は,供試制御器を単体のまま,−25±3℃の恒温そう内に,連続 48 時間放

置した後,恒温そうから取り出し,結露,水滴などが付着したときは,これを十分ふき取って 2 時間放置

後,割れ,ふくれ,変形などの異状がないかどうか,及び始動,定常運転など一連の作動が正常かどうか

を調べ,更に 9.4 及び 9.5 の試験を行う。

9.8

耐熱性試験  耐熱性試験は,供試制御器を単体のまま,70±2℃の恒温そう内に連続 48 時間放置し

た後,恒温そうから取り出し,2 時間放置後,割れ,ふくれ,変形などの異状がないかどうかを調べ,か

つ,始動,定常運転など一連の作動が正常かどうかを調べる。更に 9.4 及び 9.5 の試験を行う。


8

B 8412-1981

9.9

耐湿性試験  耐湿性試験は,供試制御器を温度 40±2℃,相対湿度 90〜95%の恒温恒湿そう内に,

単体のまま連続 48 時間放置した後,恒温そうから取り出し,水滴などが付着しているときは,これを十分

ふき取って通風の良好な場所に 2 時間放置後,割れ,ふくれ,変形などの異状がないかどうかを調べ,か

つ,始動,定常運転など一連の作動が正常かどうかを調べる。更に 9.4 及び 9.5 の試験を行う。

9.10

耐炎性試験  耐炎性試験は,供試制御器を取付面に垂直で,取付状態と同様に保ち,その側面下方

からケース,

カバーなどに炎の長さが約 15mm のブンゼンバーナの酸化炎の先端を当てて 1 分間燃焼させ,

その炎を取り除いたとき,ケース,カバーなどが燃えるかどうかを調べる。ただし,ケース,カバーなど

がないものでは,この試験は行わない。

9.11

耐振性試験  耐振性試験は,供試制御器を機械的に十分な強度をもつ取付板に,製造業者が指定し

た取付状態で取り付け,JIS C 0911(小形電気機器の振動試験方法)による IIIC の振動を,周波数の変動

周期を 1 分間として,上下方向,左右方向及び前後方向に加えて行い,次による。

(1)

振動耐久性試験  振動耐久性試験は,供試制御器が無通電の状態で,上記の試験を複振幅 0.75mm と

して連続 2 時間行った後,各部に割れ,変形などの損傷がないかどうかを調べ,更に始動及び定常運

転など一連の作動が正常であるかどうかを調べる。

(2)

振動誤作動試験  振動誤作動試験は,供試制御器の始動,定常運転,断火応答及び不着火しゃ断の各

作動ごとに上記の試験を複振幅 0.5mm として,各作動が確認されるのに必要な時間で 3 回繰り返し,

誤作動しないかどうかを調べる。

9.12

耐衝撃性試験  耐衝撃性試験は,供試制御器を機械的に十分な強度をもつ取付板に強固に取り付け,

JIS C 0912

(小形電気機器の衝撃試験方法)による落下式により,衝撃を与える方向を上下,左右,前後

の 6 方向にそれぞれ 3 回加えて行い,次による。

(1)

衝撃耐久性試験  衝撃耐久性試験は,供試制御器が無通電の状態で,上記の試験を衝撃加速度を

300m/s

2

として行った後,各部に割れ,変形などの損傷がないかどうかを調べ,更に始動及び定常運転

など一連の作動が正常かどうかを調べる。

(2)

衝撃誤作動試験  衝撃誤作動試験は,供試制御器の停止,定常運転及び不着火しゃ断状態の各作動ご

とに上記の試験を衝撃加速度を 50m/s

2

として行い,誤作動するかどうかを調べる。

9.13

始動安全点検性試験  始動安全点検性試験は,供試制御器を 9.2(2)に準じて結線し,火炎検出器に燃

焼炎から発する光と同等の光を当てるか,又はそれと同等の方法により疑似火炎入力信号を発生させ,始

動スイッチ又は制御スイッチを閉じて供試制御器が燃料供給の信号を発しないかどうかを調べる。

更に,火炎検出回路の回路素子で,開放及び短絡すると疑似火炎入力信号が発生したときと同じ状態に

なるものは,火炎検出器が正常の状態及び疑似火炎入力信号が発生した状態のそれぞれについて,その当

該素子ごとに開放及び短絡の状態にして,始動スイッチ又は制御スイッチを閉じ,供試制御器が始動しな

いか,又は燃料供給の信号を発しないかどうかを調べる。

なお,回路素子とはコンデンサ,抵抗器及び半導体素子をいい,短絡が起こらない抵抗器では開放だけ

の試験を行う。

9.14

作動安全性試験  作動安全性試験は,供試制御器を 9.2(2)に準じて結線し,次の試験を行う。

(1)

電源中断試験  電源中断試験は,供試制御器を正常に始動させ,その制御器がもつ一連の作動順序の

各段階ごとに電源スイッチを開閉するなどの方法により,一時的な電源消失の状態を発生させ,それ

を断火応答時間を超えて継続させたとき,供試制御器がいったん作動を停止し,電源回復後に始動の

段階から作動するかどうかを調べる。

(2)

回路部品故障試験  回路部品故障試験は,供試制御器のリレー,変圧器,安全スイッチなどの回路部


9

B 8412-1981

品のコイル又はヒータの断線及び火炎検出回路を除く他の回路の回路素子について,各素子ごとに短

絡及び開放の異常が生じたときに,供試制御器が始動しないか又は運転停止後再始動しないか若しく

は不着火及び運転中の断火により燃料の供給を停止する信号を発するかどうかを調べる。

なお,回路素子とはコンデンサ,抵抗器及び半導体素子をいい,短絡が起こらない抵抗器では開放

だけの試験を行う。ただし,この試験の方法は,受渡し当事者間の協定により別に定める。

9.15

時間の許容変動値試験  時間の許容変動値試験は,供試制御器と同一の形式のもので,受取り側試

験者が任意に指定した複数の制御器について次の試験を行い,時間を調べる。

なお,制御器の供試数は,受渡し当事者間の協定により,10 以上とする。

(1)

断火応答試験  断火応答試験は,供試制御器を始動させ,定常運転の状態に入った後,火炎検出器が

断火を検出した状態にするか,又は,その電気回路を開放するなどにより,断火が発生したと同等の

措置を講じたときから,供試制御器が燃料供給を停止する信号を発するまでの時間を測定し,その最

大値を調べる。ただし,4.(6)の記号が RL のものは,点火動作の信号が発せられるまでの時間とする。

(2)

不着火しゃ断試験  不着火しゃ断試験は,火炎検出回路を開放のままで供試制御器を始動し,燃料供

給の信号が発せられたときから燃料供給停止の信号が発せられるまでの時間を測定し,その最大値を

調べる。ただし,点火炎を検出してから主燃料を供給する信号を発するものでは,この試験は行わな

い。

(3)

プレパージ試験  プレパージ試験は,供試制御器を正常に始動させ,プレパージの信号が発せられた

ときから点火燃料又は主燃料を供給する信号が発せられるまでの時間を測定し,その最小値を調べる。

9.16

低温特性試験  低温特性試験は,供試制御器を表 13 の条件 1 及び条件 2 の状態の恒温そう内に,そ

れぞれ連続 2 時間,定常運転の状態で放置した後,そのままの状態で各条件ごとに 9.15(1)及び 9.15(2)の試

験を行い,プレパージ機能をもつものは,更に 9.15(3)の試験を行う。

表 13

条件

電源電圧

恒温そう内温度

1

定格の 85%

2

定格の 110%

−20±2℃

9.17

高温特性試験  高温特性試験は,供試制御器を表 14 の条件 1 及び条件 2 の状態の恒温そう内に,そ

れぞれ連続 2 時間,定常運転の状態で放置した後,そのままの状態で各条件ごとに 9.15(1)及び 9.15(2)の試

験を行い,プレパージ機能をもつものは,更に 9.15(3)の試験を行う。

表 14

条件

電源電圧

恒温そう内温度

1

定格の 85%

2

定格の 110%

60

±2℃

9.18

温度上昇試験  温度上昇試験は,供試制御器を定常運転のままで,連続 2 時間又は各部の温度がほ

ぼ一定になるまで放置した後,次の部分の温度を測定する。

なお,試験に際しては,電源電圧は定格電圧,周波数は 50Hz とし,かつ制御器の接点には力率 1 の定

格電流を通電する。ただし,定格電圧が 220V のものは,周波数を 60Hz とする。

(1)

ヒータを除くリレー,変圧器などのコイル

(2)

ヒータ,リレー,変圧器などに近接して組み付けてある電子部品の表面

なお,温度は,コイル部が抵抗法により,その他の部分は校正表を設けた JIS C 1602(熱電対)による

素線径 0.32mm,階級 0.75 級の熱電対によって,JIS Z 8704(温度の電気的測定方法)の 10.9 による B 級


10

B 8412-1981

測定方式によって測定する。

また,周囲温度の測定には,JIS B 7411〔ガラス製棒状温度計(全浸没)

〕に規定する最小目盛が 0.1℃

のもの又はそれと同等以上のものを使用する。

9.19

耐久性試験  耐久性試験は,次による。

(1)

安全スイッチ耐久性試験  安全スイッチ耐久性試験は,安全スイッチを供試制御器から取り外し,単

体のままで作動させ,作動後に手動又はそれと同等の方法で復帰操作を行い,これを 6 000 回繰り返

し,機械的及び電気的性能に異状がないかどうかを調べる。

なお,試験に際しては,安全スイッチの接点に,接点が定格値をもつものはその定格電流を,また

定格値をもたないものは作動時の電流を通電する。

(2)

作動耐久性試験  作動耐久性試験は,(1)により試験した安全スイッチを供試制御器に再び組み付け,

出力側端子に定格負荷を接続し,

始動から停止までのすべての一連の作動を連続 100 000 回繰り返し,

作動に異状がないかどうかを調べる。

なお,試験に際しては,プレパージ時間,ポストパージ時間などは,規定の値より短縮してもよい。

また,判定に疑義を生じない場合は,出力側接点をもつリレー又はそれと同等の機能をもつものだけ

について,

表 15 に示す条件で試験を行い,機械的,電気的に異状がないかどうかを調べてもよい。

表 15

試験条件

電圧

周波数

開・閉速度

負荷電流

負荷の力率

開閉回数

定格

定格 10 回/分

各接点の定格電流 0.6 100

000

10.

検査方法

10.1

形式検査  制御器の形式検査は,表 16 の項目について行う。

表 16

検査項目

適用条項

外観

7.

構造

6.

電圧変動特性

9.3

絶縁抵抗

9.4

耐電圧

9.5

耐衝撃電圧

9.6

耐寒性

9.7

耐熱性

9.8

耐湿性

9.9

耐炎性

9.10

耐振性

9.11

耐衝撃性

9.12

始動安全点検性

9.13

作動安全性

9.14

時間の許容変動値

9.15

低温特性

9.16

高温特性

9.17

温度上昇

9.18

耐久性

9.19

表示

13.


11

B 8412-1981

10.2

受渡し検査  制御器の受渡し検査は,形式検査に合格し,性能の確認がなされた制御器と同種類の

ものについて

表 17 の項目について行う。

なお,受渡し当事者間の協定により,検査項目を変更又は省略してもよい。

表 17

検査項目

適用条項

外観

7.

絶縁抵抗

9.4

耐電圧

9.5

表示

13.

11.

包装  制御器の包装は,保管中及び通常の輸送中に制御器に機能上有害な振動及び衝撃が加わること

がないものとする。

12.

製品の呼び方  制御器の呼び方は,不着火しゃ断時間,定格電圧及び定格周波数,プレパージ機能の

有無,ポストパージの有無,点火方式及び断火後の作動の順で表す。

例:1. 不着火しゃ断時間が表1の に適合し,定格電圧及び定格周波数が AC100V,50/60Hz でプレパ

ージ機能をもち,ポストパージ機能がなく,時限点火方式で,再点火を行うもの。

2.

不着火しゃ断時間が

表 の に適合し,定格電圧及び定格周波数が AC100V,50/60Hz で,プ

レパージ機能をもち,ポストパージ機能がなく,時限点火方式で,再始動を行うもの。

3.

不着火しゃ断時間が

表 の に適合し,定格電圧及び定格周波数が AC200V,60Hz で,プレパ

ージ機能及びポストパージ機能をもち,時限点火方式で,断火の際にしゃ断するもの。


12

B 8412-1981

13.

表示  製造業者は,制御器のカバーを取り外した状態の見やすい箇所に容易に消えない方法で,次の

事項を表示する。ただし,注文者の承認を得たときは,(3)の一部を省略することができる。

(1)

製造業者名又はその略号

(2)

製造年月又はその略号

(3)

制御器の種類の記号

14.

取扱い上の注意事項  制御器の取付説明書,取扱説明書などのいずれかに,次の事項を明記する。

(1)

安全スイッチが作動したときは,必ず不着火の原因を調べ,正常に点火できる状態に復した後に復帰

操作を行うこと。

(2)

火炎検出器の接続端子が短絡状態にならないように,配線を十分に点検すること。

(3)

火炎検出器への配線,中継端子などの絶縁低下により誤作動する構造のものは,絶縁抵抗が製造業者

の推奨する値以上であるかどうかを定期的に点検すること。

(4)

制御器の周囲の温度は,バーナが運転中であるか停止中であるかにかかわらず,許容周囲温度の範囲

内に保たれること。

(5)

制御器と組み合わせて使用する火炎検出器は,当該制御器に専用のものを使用すること。

(6)

制御器の交換を行う場合は,当該制御器の製造業者などの専門家に依頼すること。

(7)

雨水,直射日光などが当たる場所及び作動に有害な振動,衝撃がある場所への取付けは避けること。

(8)

火炎検出器と制御器を結ぶ配線は,電源及びモータ,点火トランスなどの配線に近接させたり,同一

の電線管に収納しないこと。


13

B 8412-1981

引用規格:

JIS B 0113

  工業用燃焼装置用語(液体及び気体燃料)

JIS B 7411

  ガラス製棒状温度計(全浸没)

JIS C 0911

  小形電気機器の振動試験方法

JIS C 0912

  小形電気機器の衝撃試験方法

JIS C 1301

  絶縁抵抗計(発電機式)

JIS C 1302

  絶縁抵抗計(電池式)

JIS C 1602

  熱電対

JIS C 3306

  ビニルコード

JIS C 3307

  600V ビニル絶縁電線 (IV)

JIS C 4003

  電気機器絶縁の種類

JIS G 3141

  冷間圧延鋼板及び鋼帯

JIS H 3100

  銅及び銅合金の板及び条

JIS H 3110

  りん青銅及び洋白の板及び条

JIS H 3130

  ばね用ベリリウム銅,りん青銅及び洋白の板及び条

JIS K 6719

  ポリカーボネート成形材料

JIS K 6873

  ABS 樹脂板

JIS K 6912

  熱硬化性樹脂積層板

JIS K 6915

  フェノール樹脂成形材料

JIS K 6917

  メラミン樹脂成形材料

JIS K 6919

  強化プラスチック用液状不飽和ポリエステル樹脂

JIS Z 8704

  温度の電気的測定方法

関連規格  ISO 3544  Atomizing oil burners of the monobloc type−Safety times and safety, control and

monitoring devices


14

B 8412-1981

附属書  衝撃電圧発生器

1.

適用範囲  この附属書は,本体に定める制御器の衝撃電圧試験に使用する衝撃電圧発生器について規

定する。

2.

用語  この附属書で用いる主な用語の意味は,次のとおりとする。

(1)

衝撃電圧  過渡的に短時間に出現する電圧。

(2)

単極性衝撃電圧  全出現時間中,電圧の極性が正又は負のいずれか一方をとり,変化しないもの。

(3)

波形  衝撃電圧の時間的変化を示す図形。

(4)

原点  波形上の始発点。

(5)

波高点  波形上の最高点。

(6)

波高値  波高点における電圧の瞬時値。

(7)

波頭  原点から波高点に至るまでの波形の部分。

(8)

波頭長  波頭の継続時間。

(9)

波尾  波高点から後の波形の部分。

(10)

波尾長  波尾の継続時間。

(11)

全波電圧  衝撃電圧の継続時間中に絶縁破壊を生じることなく,連続的にその過程を終えるもの。

(12)

原点  波頭における 30%波高点と 90%波高点とを結ぶ直線が,時間軸と交わる点。

3.

定格  衝撃電圧発生器の定格は,次による。

(1)

衝撃電圧の種類は,単極波全波電圧とする。

(2)

衝撃電圧の波形は,

附属書図に示すものとし,その表示を±(T

f

×T

t

)

マイクロ秒としたときに,±(1

×40)  マイクロ秒とする。


15

B 8412-1981

附属書図  衝撃電圧の波形

備考1.    (1)  T

f

は,規約波頭長を表す。

(2)

  T

t

は,規約波尾長を表す。

(3)

  は,波高点を表す。

(4)

  O

1

は,規約原点を表し,波頭における 30%波高点と 90%波高点とを結ぶ

直線が時間軸と交わる点をいう。

(5)

  Q

1

及び Q

2

は,半波高点を表す。

(6)

  は,30%波高点を表す。

(7)

  は,90%波高点を表す。

(8)

  は,点と 点とを結ぶ直線が,波高点 から時間軸に平行に引いた直

線と交わる点を表す。

備考2.    実際の波形については,波高点,波頭長,波尾長などを確認することは困難で

あるので,それぞれ規約を設けて表示する。

(3)

衝撃電圧の波高値は,6kV とする。

(4)

衝撃電圧の許容値は,波頭長において±50%,波尾長において±20%,波高値において±3%とする。

(5)

サージインピーダンスは,100

Ωとする。


16

B 8412-1981

一般機械部会  燃焼機器用安全制御器専門委員会  構成表

氏名

所属

(委員会長)

猪  飼      茂

慶応義塾大学工学部

見  学  信  敬

通商産業省機械情報産業局

吉  澤      均

工業技術院標準部

田  村  修  二

工業技術院標準部

西  島  茂  一

労働省労働基準局

山  越  芳  男

自治省消防庁

相  原      守

財団法人日本規格協会

南      邦  宏

安田火災海上保険株式会社安全技術部

松  本  眞  則

立石電機株式会社制御機器事業本部

新  井  敏  夫

日本ダンフォス製造株式会社営業総括部門

斉  藤  至  正

東洋ロバートショウ株式会社

太  田      仁

株式会社東洋制御

小  林  元  喜

イージーオー日本株式会社東京営業所

山  本  次  郎

日本暖房機器工業会

水  谷  紘  通

愛知電機商事株式会社

黒  岩  八五郎

株式会社前田鉄工所事業本部

仁  後  嗣  郎

東京三洋電機株式会社空調第 2 技術部

関      輝  一

株式会社御法川工場技術部

朝  倉  英  二

社団法人日本ボイラ協会

稲  生      宏

社団法人日本設備設計家協会

池  田  康  二

山武ハネウェル株式会社機器制御事業部

若  林  信  雄

株式会社鷺宮製作所営業技術部

(事務局)

橋  本  繁  晴

工業技術院標準部機械規格課