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B 8329-2

:2015

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

1

3

  用語及び定義  

1

4

  記号の定義及び単位  

2

5

  試験方法  

3

5.1

  排気速度の測定方法  

3

5.2

  試験到達圧力の測定方法  

4

5.3

  許容水蒸気圧の測定方法  

4

5.4

  消費電力の測定方法  

4

5.5

  最低起動温度  

5

5.6

  測定の不確かさ  

5

附属書 A(参考)許容水蒸気圧の測定  

6

附属書 B(参考)許容水蒸気圧の計算 

13

附属書 C(参考)水の飽和蒸気圧表  

14

附属書 D(参考)参考文献  

15

附属書 JA(参考)JIS と対応国際規格との対比表  

16


B 8329-2

:2015

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人日本真空学会(VSJ)及び一般

財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

これによって,JIS B 8316-1:1999 及び JIS B 8316-2:1999 は廃止され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS B 8329

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS B 8329-1

  第 1 部:共通試験方法

JIS B 8329-2

  第 2 部:容積移送式真空ポンプの試験方法


日本工業規格

JIS

 B

8329-2

:2015

真空技術−真空ポンプの性能試験方法−

第 2 部:容積移送式真空ポンプの試験方法

Vacuum technology-Standard methods for measuring vacuum-pump

performance-Part 2: Positive displacement vacuum pumps

序文 

この規格は,

2012

年に第 1 版として発行された ISO 21360-2 を基とし,

日本国内の現状に合わせるため,

技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,

附属書 JA に示す。

適用範囲 

この規格は,容積移送式真空ポンプの排気速度,試験到達圧力,許容水蒸気圧,消費電力及び最低起動

温度の試験方法について規定する。対象とするポンプは,大気圧下に気体を排気して,試験到達圧力が 10

kPa

未満に達するものとする。

この規格は,JIS B 8329-1 の排気速度及び試験到達圧力の試験方法を用いる。

この規格は,大気圧下に気体を排気する容積移送式真空ポンプ以外の真空ポンプ(例えば,ドラッグポ

ンプなど)の性能試験にも適用できる。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 21360-2:2012

,Vacuum technology−Standard methods for measuring vacuum-pump performance

−Part 2: Positive displacement vacuum pumps(MOD)

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“修正している”

ことを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS B 8329-1

  真空技術−真空ポンプの性能試験方法−第 1 部:共通試験方法

注記  対応国際規格:ISO 21360-1,Vacuum technology−Standard methods for measuring vacuum-pump

performance

−Part 1: General description(MOD)

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 8329-1 によるほか,次による。


2

B 8329-2

:2015

3.1 

ガスバラスト(gas ballast)

ポンプ内部の圧縮過程で凝縮性気体が凝縮しないように凝縮性気体の分圧を下げるための,ポンプの行

程容積への気体又は空気の導入。

3.2 

許容水蒸気圧(water vapour tolerance)

ポンプ内で凝縮することなく,ポンプで移送することができる最大蒸気圧。

注記  例えば,油水分離装置が設置されているなど,水蒸気の凝縮が問題なければ,最大水蒸気圧は

考慮しなくてよい。

3.3 

水蒸気容量(water vapour capacity)

ポンプ内で凝縮することなく,ポンプで移送することができる単位時間当たりの水の質量。

3.4 

行程容積(swept volume)

ポンプの 1 圧縮サイクルで除去される吸入体積。

3.5 

飽和蒸気圧(saturation vapour pressure)

閉じた系で凝縮相(液体,固体又は両方)と平衡状態にある純粋な化学物質の蒸気による圧力。

注記  各物質の飽和蒸気圧は,温度だけの関数である。

3.6 

水蒸気飽和温度(water vapour saturation temperature)

水蒸気飽和圧力に対応する温度。

3.7 

圧縮仕事(compression energy)

気体の体積圧縮に必要な仕事。

記号の定義及び単位 

この規格で用いる記号の定義及び単位は,

表 による。

表 1−記号の定義及び単位 

記号

定義

単位

α 

排気弁が開く圧力に補正する係数

φ

H2O

空気の相対湿度 %

κ 

断熱指数

モル蒸発熱 J/mol

P

0

製造業者が指定する回転速度で試験到達圧力の消費電力 W

P

0B

製造業者が指定する回転速度でガスバラスト使用時の到達圧

力での消費電力

W

P

max

製造業者が指定する回転速度での最大消費電力 W

p

0

標準気圧  101 325 Pa

Pa

p

1

吸気口圧力

Pa

p

2

排気気体中の空気分圧 Pa


3

B 8329-2

:2015

表 1−記号の定義及び単位(続き) 

記号

定義

単位

p

a

大気中の水蒸気分圧 Pa

p

B

大気中の空気分圧 Pa

p

H2O

許容水蒸気圧 Pa

p

s

飽和水蒸気圧 Pa

p

T0

温度 T

0

における飽和水蒸気圧 Pa

q

V

排気速度

m

3

/s

(

=3 600 m

3

/h

=6×10

4

 L/min)

q

VB

ガスバラスト配管の体積流量

m

3

/s

気体定数 8.314

J/(mol

・K)

T

0

p

T0

に対応する温度 K

T

1

環境温度

T

2

排気口の気体温度 K

T

20

吸気気体流量のない状態での排気口の気体温度 K

T

2cr

水蒸気に対して補正した排気口の気体温度 K

T

2s

p

1

での排気飽和温度 K

V

2

排気容積

m

3

V

B

ガスバラストの行程容積

m

3

V

SW

行程容積

m

3

W

ad

断熱圧縮仕事 J

W

ad

H2O

水蒸気の断熱圧縮仕事 J

W

ada

空気の断熱圧縮仕事 J

W

cr

排気口の気体温度の補正係数

試験方法 

5.1 

排気速度の測定方法 

5.1.1 

測定方法 

排気速度の測定方法は,JIS B 8329-1 の 5.1(流量計を用いる排気速度の測定方法)及び 5.3(排気時間

を用いる排気速度の測定方法)で規定する。排気速度の測定方法は,流量計を用いる排気速度の測定方法

又は排気時間を用いる排気速度の測定方法を使用する。この規格に示していない説明又は試験装置は,JIS 

B 8329-1

による。

5.1.2 

流量計を用いる排気速度の測定方法 

標準的な方法は,流量計を用いる排気速度の測定方法である。これは,JIS B 8329-1 の 5.1 を適用できる

全てのポンプに用いることができる。

テストドームの容積は,揺動ピストン形油回転ポンプ及びカム形油回転ポンプの場合に行程容積の 2 倍

以上とする。その他の真空ポンプのテストドームの容積は,行程容積の 5 倍以上とする。テストドームの

形状は,JIS B 8329-1 による。吸気口フランジ径 D

N

が容積移送式真空ポンプ用テストドーム内径 より

小さい場合は,JIS B 8329-1 

図 1(流量計を用いる排気速度測定方法のテストドーム)で示すようにポン

プの吸気口フランジへ 45°テーパ管を接続する。

5.1.3 

排気時間を用いる排気速度の測定方法 

排気時間を用いる排気速度の測定方法は,大きなテストドームが必要なため,小さなポンプ(例えば,

排気速度が 0.01 m

3

/s

以下)に適している。テストドームの容積は,予想する真空ポンプの最大排気速度


4

B 8329-2

:2015

(m

3

/s

)に 120 秒間を乗じた体積より大きくなければならない。

5.1.4 

運転条件 

ポンプは,JIS B 8329-1 の試験装置に接続し運転する。測定に入る前に,ポンプを製造業者が指定した

温度まで運転する。公称回転速度から±3 %とする。

試験ポンプにガスバラストが付いている場合の排気速度測定は,最初にガスバラストを用いないで測定

し,次にガスバラストを用いて測定する。

環境条件は,JIS B 8329-1 による。

5.2 

試験到達圧力の測定方法 

試験到達圧力の測定は,JIS B 8329-1 による。JIS B 8329-1 の箇条 5(試験方法)に規定する試験装置を

用いる。測定は,先にガスバラストを用いないで測定し,次にガスバラストを用いて測定する。試験到達

圧力の測定にガスバラストの影響がない場合は,順不同で行うことができる。

5.3 

許容水蒸気圧の測定方法 

許容水蒸気圧の測定方法の一例を,

附属書 に示す。

許容水蒸気圧と水蒸気容量との値を変換する一例は,参考文献[1]の 331 ページを参照。さらには,参考

文献[1]の 329 ページ∼333 ページも参照。

5.4 

消費電力の測定方法 

5.4.1 

一般 

ポンプの消費電力は,吸気口圧力で変化し,ガスバラストの有無によっても変化する。消費電力の測定

では,次の測定をしなければならない。

a)

ガスバラストを用いないときの試験到達圧力の消費電力

b)

ガスバラストを用いたときの試験到達圧力の消費電力

c)

最大消費電力及びそのときの圧力

最大消費電力は,ポンプが必要な最大電力で運転しているときの値である。

注記  最大消費電力で連続運転ができないポンプがある。

5.4.2 

測定条件 

ポンプの回転速度は,

製造業者が指定した範囲内になければならない。

範囲が指定されていない場合は,

製造業者が指定した回転速度から±3 %とする。

5.4.3 

測定方法 

主電源とポンプ又は供給電源との間に電力計を備え付ける。この装置で実際の消費電力を測定する。ポ

ンプに電源装置が付いている場合は,電源フィルタを入れてもよい。

最初に,製造業者が指定した潤滑油を充塡したポンプの吸気口とガスバラストバルブとを閉じて,ポン

プを温度平衡に達するまで運転する(例えば,1 時間運転する。

。消費電力の測定は,15 分間の間に 3 回

実施する。試験到達圧力の消費電力 P

0

は,3 回測定した値の平均値とする。

ガスバラストを用いて運転し,ポンプが温度平衡に達した後,試験到達圧力の消費電力を測定する。消

費電力の測定は,15 分間の間に 3 回測定する。ガスバラストバルブを開けた試験到達圧力の消費電力 P

0B

は,3 回測定した値の平均値とする。

その後,ポンプを製造業者が指定した時間で運転する。最大消費電力を求めるため回転速度とモードと

を変えて測定する。消費電力の測定は,15 分間の間に 3 回測定する。最大消費電力 P

max

は,3 回の測定し

た値の最大値である。製造業者が運転範囲を指定する場合は,指定範囲内で P

max

を測定する。

電流値の測定は,消費電力と同じ方法で測定しなければならない。


5

B 8329-2

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5.5 

最低起動温度 

最低起動温度は,

指定のモータを用いて吸気口を開放した状態で,

ポンプが起動可能となる温度である。

製造業者が指定した潤滑油を満たし,製造業者が指定した最低起動温度になるまでポンプを冷やす。最低

起動温度が製造業者の指定にない場合は,ポンプを 12  ℃まで冷やす。試験する前に,ポンプの温度を測

定する。電子機器がポンプに取り付けられている場合は,これらが結露しないことを確認する。

その後に,ポンプの運転を開始する。10 分間以内に公称回転速度の 80 %に達することが望ましい。

吸気口が真空下で起動することを製造業者が指定したポンプの場合,起動温度は 18  ℃以下が望ましい。

5.6 

測定の不確かさ 

測定の不確かさは,JIS B 8329-1 による。


6

B 8329-2

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附属書 A

(参考)

許容水蒸気圧の測定

A.1 

一般 

蒸気(特に,水蒸気)は,真空ポンプで排気するとき,排気弁が大気圧に対して開く前に,ポンプ内で

凝縮する場合がある。凝縮した液体は,ポンプ油と混ざり,ポンプの吸気過程で再び蒸発する。そのため,

試験到達圧力が上昇して,ポンプ内部が腐食する場合がある。凝縮を防ぐため,空気又はその他の非凝縮

性ガスを,ガスバラスト配管からポンプへ導入する。

水蒸気を排気する場合は,ポンプ構造にもよるが,消費電力と温度とが上昇するため,飽和水蒸気圧が

上昇し,許容水蒸気圧も上昇する。

水蒸気を用いて測定すると,内部で思わぬ凝縮が発生する可能性がある。そのため,この附属書では水

蒸気の代わりに乾燥空気を用いて測定する。同じ流量の空気を流して生じるポンプの温度上昇から,水蒸

気の飽和温度を決める。排気口の気体温度は,吸気口圧力 p

1

に依存した値として測定する。3 原子の水と

2

原子の空気分子とでは圧縮動力が異なることから,空気による温度上昇を補正する必要がある。

A.2 

測定装置の構成 

試験装置を

図 A.1 及び図 A.2 に示す。


7

B 8329-2

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1

テストドーム[JIS B 8329-1 の 5.1.2(テストドーム)参照]

2

流量計(ガスバラスト流量測定用)

3

試験ポンプ

4

気体導入弁

5

湿度計(空気の相対湿度 φ

H2O

測定用)

6

真空計(吸気口圧力 p

1

測定用)

7

排気口の気体温度測定用温度計

8

排気圧力測定用圧力計

9

大気圧測定用圧力計

図 A.1−許容水蒸気圧の試験装置 


8

B 8329-2

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1

温度 T

2

測定位置

2

排気圧力測定用圧力計

D  配管内径 
a 0

∼0.5D

図 A.2−ポンプ温度及び排気圧力測定用エルボ配管(参考) 

A.3 

許容水蒸気圧 

許容水蒸気圧を,次の式(A.1)に示す。

(

)

[

]

(

)

s

0

a

B

0

B

a

s

B

B

O

2

H

1

p

p

p

p

p

p

p

p

q

p

q

p

V

V

+

=

α

α

  (A.1)

測定条件の要素

1

(p

a

/p

B

)

及び

αp

0

/p

B

1

とすると,一般に用いる式

(A.2)

になる。

s

0

a

s

B

B

O

2

H

p

p

p

p

q

p

q

p

V

V

=

α

  (A.2)

次の計算では,より正確な式

(A.1)

を用いる。

q

VB

q

V

α

p

0

p

B

及び

p

a

は直接測定できるが,飽和水蒸気圧

p

s

は直接測定することができない。そ

の理由は,水蒸気の代わりに空気を用いており,排気温度

T

2

は,吸気口圧力

p

1

の条件によって測定する

からである。ポンプ内における圧縮は,外部との熱交換は行われない。これは,断熱圧縮を意味する。

空気と水蒸気とは,断熱指数

κ

が異なるため,圧縮動力が異なる。圧縮仕事は,式

(A.3)

で表すことがで

きる(参考文献

[1]

249

ページ参照)


9

B 8329-2

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



=

1

1

1

1

0

sw

1

ad

κ

κ

α

κ

κ

p

p

V

p

W

  (A.3)

ポンプの温度上昇は,消費する圧縮動力に比例し,空気と水蒸気とで異なる。結果として,測定したポ

ンプ温度

T

2

は,

W

ad

H2O

 / W

ada

の比率で修正する。

飽和水蒸気圧

p

s

と関連する温度

T

2s

との関係は,蒸気圧の式

(A.4)

によって表すことができる。





=

0

s

2

s

1

1

ln

0

T

T

R

L

p

p

T

   (A.4)

ここに,

L

モル蒸発熱

R

気体定数

T

0

p

T0

は,水蒸気圧の式から求める(

附属書 参照)。

T

0

323 K

及び

p

T0

12.24 kPa

T

0

の値は,ポンプの温度範囲に近い値を選択する必要がある。

(A.1)

において,

p

H2O

は,吸気口圧力

p

1

に置き換えることができる。

(

)

[

]

(

)

s

0

a

B

0

B

a

s

B

B

1

1

p

p

p

p

p

p

p

p

q

p

q

p

V

V

+

=

α

α

  (A.5)

(A.5)

p

s

は,式

(A.6)

から求めることができる。

(

) (

)

1

B

a

B

B

1

0

0

s

+

+

=

p

p

q

p

q

p

p

p

p

V

V

α

α

  (A.6)

(A.4)

T

2s

は,式

(A.7)

から求めることができる。

=

0

s

0

s

2

ln

1

1

T

p

p

L

R

T

T

  (A.7)

(A.7)

は,吸気口圧力

p

1

と排気飽和温度

T

2s

との関係を示している。このように,計算によって求めた

排気飽和温度の曲線は,吸気口圧力の関数として表すことができる。

注記

(A.7)

は,使用する温度範囲で蒸発熱が一定でなければならない。

この段階で

[式

(A.7)

が得られた段階で]

ポンプ温度曲線

T

2

(p

1

)

と計算から求めた排気飽和温度曲線

T

2s

(p

1

)

とを同一グラフ上にプロットすることができる(

図 A.3 参照)。


10

B 8329-2

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320

330

340

350

360

10

3

10

4

気温度

飽和水蒸気圧

P

H

2

O

1

2

3

1

排気口の気体温度 T

2

2

補正した排気口の気体温度 T

2cr

3

排気飽和温度 T

2s

p

H2O

許容水蒸気圧

図 A.3−吸気口圧力に対する排気温度及び水蒸気飽和温度(例) 

A.4 

測定手順 

ポンプは,それぞれの空気流量で,ポンプの温度が安定するまで,ガスバラストバルブを開いて一定時

間運転する。吸気口圧力が高い場合は,ポンプの温度がより上昇する。吸気口圧力が予想する許容水蒸気

p

H2O

の範囲に入るように,気体流量を選択する。

試験装置を,

図 A.1 に示す。初めに,ポンプは,気体導入弁を閉じ,ガスバラストバルブを開いて,温

度上昇が

15

分間で

0.5 K

未満に安定するまで運転し,排気温度

T

20

及びガスバラスト配管の体積流量

q

VB

を測定する。次に,最初の吸気口圧力

p

1

になるように乾燥空気を流す気体導入弁を調整して,排気口気体

温度

T

2

,排気温度

T

20

及びガスバラスト配管の体積流量

q

VB

を測定する。四つ以上の異なる吸気口圧力で,

この手順を行う。少なくとも一つの吸気口圧力は,予想する許容水蒸気圧よりも高くする。

次に,環境温度

T

1

JIS B 8329-1 で規定する範囲内)

,標準気圧

p

0

,環境雰囲気の相対湿度

φ

H2O

%

表記)

を測定する。

ポンプの排気速度

q

V

は,あらかじめ測定しておく必要がある(箇条 参照)

。測定の開始は,標準気圧

p

0

107 kPa

未満の場合に限る。排気圧力

p

2

と標準気圧との圧力差は,

1 kPa

未満でなければならない。

K

(Pa)


11

B 8329-2

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A.5 

測定値の評価 

(A.3)

で求めた圧縮仕事が異なるため,

測定した温度

T

2

は,

補正しなければならない。

T

2

は,

水蒸気

W

ad

H2O

κ

1.333 3

)と空気(

W

ada

κ

1.4

)の断熱圧縮仕事との比によって換算しなければならない。

補正係数

W

cr

は,式

(A.8)

から求めることができる。

ada

H2O

ad,

cr

W

W

W

=

  (A.8)

W

cr

の値を,

表 A.1 に示す。

表 A.1W

cr

の値 

p

0

 / p

1

W

cr

W

ad

H2O

 / W

ada

1 000

0.849 7

200 0.887

5

100 0.903

4

50 0.918

9

20 0.938

9

10 0.953

5

吸気口圧力

p

1

における

T

2

の値から

T

20

を引く。その差

T

2

T

20

W

cr

を乗じる。補正後の温度差を,

T

2

に加える。

(

)

20

20

2

cr

cr

2

T

T

T

W

T

+

=

  (A.9)

T

2cr

は,水蒸気用に補正したポンプ排気温度であり,

図 A.3 のように

p

1

に対してプロットする。

排気飽和温度曲線

T

2s

(p

1

)

を得るためには,式

(A.6)

p

1

q

VB

,また,

p

0

の測定値を代入し,飽和水蒸気圧

p

s

を求める。

水蒸気分圧

p

a

は,標準気圧から求めることができる。

a

B

0

p

p

p

+

=

飽和水蒸気圧の割合として相対湿度

φ

H2O

を測定する。水蒸気分圧は,次のとおりである。

( )

1

s

O

2

H

100

T

p

p

a

ϕ

=

表 C.1 は,

p

s

(T

1

)

の値を示す。ここで,

p

B

p

0

p

a

である。係数

α

は,約

1.1

に設定することができる。

p

s

の値は,全ての吸気口圧力

p

1

に対して式

(A.6)

から求めなければならない。

排気飽和温度

T

2s

は,式

(A.6)

による飽和水蒸気圧

p

s

を用いて,式

(A.7)

によって求める。

T

0

323 K

とす

ると,対応する飽和水蒸気圧

p

T0

12.34 kPa

である。重要な温度範囲

50

℃∼

100

℃では,モル蒸発熱

L

42 kJ/mol

で,気体定数

R

8.314 J/(mol

K)

である。

図 A.3 のように,吸気口圧力

p

1

に対して求めた排気飽和温度をグラフ上にプロットする。これら二つの

曲線の交点の横軸の値が,許容水蒸気圧

p

H2O

である。

A.6 

測定の不確かさ 

許容水蒸気圧

p

H2O

の精度に影響を及ぼす可能性のある値は,次のとおりである。

a)

環境温度(

T

1

b)

標準気圧(

p

0

c)

排気弁が開く圧力に補正する係数(

α


12

B 8329-2

:2015

d)

モル蒸発熱(

L

e)

テストドームに導入する空気の含水量

f)

排気口の気体温度(

T

2

g)

補正後の排気口の気体温度(

T

2cr

さらに,これまでの式で使用された全ての値が該当する。


13

B 8329-2

:2015

附属書 B

(参考)

許容水蒸気圧の計算

ポンプの吸気口から入る

1

圧縮サイクルの純水蒸気量は,理想気体の法則から近似値を得る。

2

2

0

2

SW

O

2

H

2

B

a

2

B

B

T

V

p

T

V

p

T

V

p

T

V

p

α

=

+

+

   (B.1)

ガスバラストの空気は,ボイル−マリオットの法則から

2

2

B

B

V

p

V

p

=

   (B.2)

変形して

2

B

B

2

p

V

p

V

=

   (B.3)

排気弁が開く圧力は

( )

2

s

2

0

T

p

p

p

+

=

α

  (B.4)

p

2

V

2

とを式

(B.1)

に代入して

( )

( )

=

=

+

+

0

2

s

B

B

2

s

0

B

B

0

SW

O

2

H

B

a

B

B

1

p

T

p

V

p

T

p

p

V

p

p

V

p

V

p

V

p

α

α

α

  (B.5)

変形して

(

)

=

a

B

0

s

B

SW

B

O

2

H

1

p

p

p

p

p

V

V

p

α

   (B.6)

又は

(

)

[

]

(

)

{

}

s

0

B

a

0

B

a

s

B

SW

B

O

2

H

1

p

p

p

p

p

p

p

p

p

V

V

p

+

=

α

α

   (B.7)

許容水蒸気圧の公式は

(

)

s

0

a

s

B

SW

B

O

2

H

p

p

p

p

p

V

V

p

=

α

  (B.8)

(B.7)

にある二つの項,

1

(p

a

 / p

B

)

(約

1

)及び

αp

0

/p

B

1.1

よりやや大きい)は,式

(B.8)

の公式に含ま

ない。しかし,更なる測定を要する値ではないので,含めた方が望ましい。


14

B 8329-2

:2015

附属書 C 
(参考)

水の飽和蒸気圧表

表 C.1−水の飽和蒸気圧表 

T

0

K

p

T0

Pa

T

0

K

p

T0

Pa

273 603.6

313 7

314.5

274 649.1

314 7

714.0

275 697.5

315 8

132.1

276 749.1

316 8

569.7

277 804.0

317 9

027.4

278 862.4

318 9

506.0

279 924.6

319

10

006.3

280 990.7

320

10

529.0

281

1 060.9

321

11 075.1

282

1 135.4

322

11 645.3

283

1 214.6

323

12 240.6

284

1 298.5

324

12 861.8

285

1 387.5

325

13 509.7

286

1 481.8

326

14 185.5

287

1 581.7

327

14 889.9

288

1 687.5

328

15 624.1

289

1 799.4

329

16 389.0

290

1 917.7

330

17 185.6

291

2 042.9

331

18 015.0

292

2 175.1

332

18 878.4

293

2 314.8

333

19 776.8

294

2 462.2

334

20 711.4

295

2 617.8

335

21 683.3

296

2 782.0

336

22 693.6

297

2 955.0

337

23 743.8

298

3 137.4

338

24 834.9

299

3 329.5

339

25 968.2

300

3 531.8

340

27 145.1

301

3 744.7

341

28 367.0

302

3 968.7

342

29 635.1

303

4 204.3

343

30 950.9

304

4 452.0

344

32 315.7

305

4 715.3

345

33 731.1

306

4 985.6

346

35 198.5

307

5 272.7

347

36 719.3

308

5 573.9

348

38 295.2

309

5 889.9

349

39 927.8

310

6 221.4

350

41 618.6

311

6 568.9

351

43 369.2

312

6 933.0

352

45 181.4


15

B 8329-2

:2015

附属書 D 
(参考) 
参考文献

[1]  JOUSTEN, K., editor. Handbook of vacuum technology, BENJAMIN NAKHOSTEEN, C., translator.

Weinheim: Wiley-VCH, 2008. 1 002 p.


16

B 8329-2

:2015

附属書 JA

(参考)

JIS

と対応国際規格との対比表

JIS B 8329-2:2015

  真空技術−真空ポンプの性能試験方法−第 2 部:容積移送式真

空ポンプの試験方法

ISO 21360-2:2012

, Vacuum technology − Standard methods for measuring

vacuum-pump performance

−Part 2: Positive displacement vacuum pumps

(I)JIS の規定

(II) 
国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

1

適 用 範

容 積 移 送 式 真 空 ポ

ン プ の 試 験 方 法 に
ついて規定

 1

JIS

とほぼ一致

追加

説明を追加しただけであり,技

術的な差異はない。

JIS

では,容積移送式真空ポン

プ以外の真空ポンプにも適用

できるとした。

説明を追加しただけであり,技術

的な差異はない。 
国際規格見直しの際,提案を行う。

3

用 語 及

び定義

3.1

ガスバラスト

3.1

JIS

とほぼ一致

追加

JIS

では,説明を追加。

説明を追加しただけであり,技術
的な差異はない。

国際規格見直しの際,提案を行う。

4

記 号 の

定 義 及 び
単位

記 号 の 定 義 及 び 単

位を規定

 4

JIS

とほぼ一致

追加

排気速度の単位として m

3

/s

外も使用できるようにした。

国際規格見直しの際,提案を行う。

使用できる単位を追加しただけで
あり,技術的差異はない。

JIS

とほぼ一致

追加

JIS

では,吸気口圧力を追加し

た。

JIS B 8329-1

と同じ内容である。技

術的差異はない

5

試 験 方

5.3

許容水蒸気圧の

測 定 方 法 に つ い て
規定

 4

JIS

とほぼ一致

削除

ISO

規格では,様々な測定方法

が参考文献によって引用され
ていたが,JIS では省いた。

曖昧な表現を削除した。技術的差

異はない。

16

B 83

29
-2


201

5


17

B 8329-2

:2015

(I)JIS の規定

(II) 
国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

附属書 A

(参考)

モ ル 蒸 発 熱 の 数 値

を丸めて 42 kJ/mol
とした。

許 容 水 蒸 気 圧 の 測

定の説明

附属書 A

附属書 A

JIS

とほぼ一致

8.314 3 J/(K

・mol)

JIS

とほぼ一致

削除

削除

50

℃から 100  ℃の水のモル

蒸発熱は一定の値ではなく,

ISO

規格で用いられている

41 922 J/mol

の根拠が不明であ

る。JIS では,42 kJ/mol に丸め
た。

ISO

規格では,気体定数の値を

8.314 3 J/(K

・mol)とし てい た

が,JIS では気体定数の値を丸

めて 8.314 J/(mol・K)とした。

42 kJ/mol

に丸めても計算結果の差

は 0.1 %以下であり,技術的差異は
ない。

国際規格見直しの際,提案を行う。

SI

単位に基づく気体定数の科学技

術データ委員会(CODATA)が推
奨するアメリカ国立標準技術研究

所(NIST)によって公表されてい

る値は,8.314 462 1 J/(K・mol)であ
る。値を丸めても計算結果の差は

0.1 %

以下であり,技術的差異はな

い。 
国際規格見直しの際,提案を行う。

附 属 書 D

(参考)

参 考 文 献 に つ い て

記載

参考文献

JIS

とほぼ同じ

削除

JIS

では,1960 年ドイツの論文

を入手困難のため削除した。

削除した文献:

NÄSER, K. H. Physikalische

Chemie für Techniker und

Ingenieure [Physical chemistry

for technologists and enginieers],

3rd edition. Leipzig: VEB

Deutscher Verlag für

Grundstoffindustrie, 1960. 428 p

国際規格見直しの際,提案を行う。

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 21360-2:2012,MOD

17

B 83

29
-2


201

5


18

B 8329-2

:2015

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。

    −  削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。

    −  追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。

    −  MOD……………  国際規格を修正している。

18

B 83

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-2


201

5