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B 8329-1

:2015

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

1

3

  用語及び定義  

2

4

  記号の定義及び単位  

3

5

  試験方法  

4

5.1

  流量計を用いる排気速度の測定方法  

4

5.2

  オリフィス法による排気速度の測定方法  

8

5.3

  排気時間を用いる排気速度の測定方法  

12

5.4

  試験到達圧力の測定方法  

17

5.5

  圧縮比及び臨界背圧の測定方法  

19

附属書 A(参考)主な気体の平均自由行程  

23

附属書 B(参考)測定の不確かさ  

24

附属書 C(参考)参考文献  

27

附属書 JA(参考)JIS と対応国際規格との対比表  

28


B 8329-1

:2015

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人日本真空学会(VSJ)及び一般

財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS B 8329

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS B 8329-1

  第 1 部:共通試験方法

JIS B 8329-2

  第 2 部:容積移送式真空ポンプの試験方法


日本工業規格

JIS

 B

8329-1

:2015

真空技術−真空ポンプの性能試験方法−

第 1 部:共通試験方法

Vacuum technology-Standard methods for measuring vacuum-pump

performance-Part 1: General description

序文 

この規格は,

2012 年に第 1 版として発行された ISO 21360-1 を基とし,日本国内の現状に合わせるため,

技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,

附属書 JA に示す。

適用範囲 

この規格は,真空ポンプの排気速度,試験到達圧力,圧縮比及び臨界背圧の測定方法について規定する。

真空ポンプには,気体輸送式真空ポンプ及び気体ため込み式真空ポンプの 2 種類があり,動作原理及び

使用される圧力領域がそれぞれ異なるが,それぞれの真空ポンプの特性に応じた試験方法を用いて性能を

測定することができる。ただし,気体ため込み式真空ポンプには圧縮比及び臨界背圧の測定方法を適用し

ない。また,気体輸送式真空ポンプでも補助ポンプを必要としない真空ポンプには臨界背圧の測定方法は

適用しない。

消費電力の測定方法など個別の真空ポンプに特有な試験は,この規格に規定しないが真空ポンプの個別

規格において規定する。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 21360-1:2012

,Vacuum technology−Standard methods for measuring vacuum-pump performance

−Part 1: General description(MOD)

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“修正している”

ことを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS Z 8126-2

  真空技術−用語−第 2 部:真空ポンプ及び関連用語

注記  対応国際規格:ISO 3529-2,Vacuum technology−Vocabulary−Part 2: Vacuum pumps and related

terms(MOD)


2

B 8329-1

:2015

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 8126-2 によるほか,次による。

3.1 

排気速度(volume flow rate,pumping speed)

理想的な条件の下で,単位時間当たりにテストドームからポンプの吸気口を通過する気体の体積。吸気

口を通過する気体の体積を V

g

,時間を とすると,排気速度 q

V

は,次の式で表すことができる。

t

V

q

V

d

d

g

=

注記 1  実際には,ある気体に対する真空ポンプの排気速度は,便宜的にその気体の流量をテストド

ームの所定の位置において測定した平衡圧力で除して求める。

注記 2  排気速度の単位は,m

3

/h,L/min 又は L/s で表す。

3.2 

吸気口圧力(inlet pressure)

真空ポンプの吸気口での圧力。テストドーム内の所定の位置で測定する。

3.3 

試験到達圧力(base pressure)

真空ポンプ及びテストドームが測定可能な状態に達した後のテストドーム内の圧力。

注記  到達圧力は,真空ポンプによって排気するテストドーム内の圧力が漸近的に到達する最小の圧

力であり,実際には測定が難しい。

3.4 

許容吸気口圧力(maximum working pressure)

真空ポンプ及びその駆動装置が故障することなく連続して運転を続けることができる最も高い吸気口圧

力。

3.5 

排気口圧力(backing pressure)

ポンプの排気口での圧力。背圧ともいう。

3.6 

臨界背圧(critical backing pressure)

特定の真空ポンプに適用する個別の規格,

取扱説明書などで定める動作条件となる最も高い排気口圧力。

3.7 

圧縮比(compression ratio)

真空ポンプを通過する気体の流量が 0 の状態での真空ポンプの吸気口圧力 p

1

と排気口圧力 p

3

との比。そ

れぞれの圧力に比して試験到達圧力が十分小さく,無視できる場合は,次の式で表すことができる。

1

3

0

p

p

K

=

3.8 

テストドーム(test dome)

規定の形状,直径及び接続部をもち,真空ポンプの性能試験に用いる真空槽。


3

B 8329-1

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3.9 

流量(throughput)

単位時間当たりに接続配管を通じて真空ポンプに流れる気体の量。圧力

p

1

に比して試験到達圧力が十分

小さく,無視できる場合は,吸気口圧力

p

1

及び排気速度

q

V

を用いて次の式で表すことができる。

V

q

p

t

V

p

Q

1

g

1

d

d

=

=

3.10 

気体の標準状態での体積流量(standard gas flow rate)

気体の標準状態,すなわち,温度 0  ℃,圧力 101 325 Pa の状態での体積流量。

注記  気体の標準状態は,JIS Z 8126-1 の 2.0.2 による。

記号の定義及び単位 

この規格で用いる記号の定義及び単位は,

表 による。

表 1−記号の定義及び単位 

記号

定義

単位

ポンプと速動弁とを接続する配管の内径 

図 の 3 及び 5)

m

ポンプと速動弁とを接続する配管の断面積

図 の 3 及び 5)

m

2

コンダクタンス

m

3

/s (=10

3

 L/s

=60 000 L/min 
=3 600 m

3

/h)

オリフィスの直径 m

テストドームの内径 m

D

N

テストドームの呼び径 m

K

0

気体の流量が 0 の状態での圧縮比

ポンプと速動弁とを接続する配管の長さ

図 の 3 及び 5)

m

l

平均自由行程 m

気体のモル質量 kg/mol

p

0

標準気圧,101 325 Pa

Pa

p

1

吸気口圧力 Pa

p

1max

許容吸気口圧力 Pa

p

3

排気口圧力 Pa

p

t1

p

t2

p

t3

  排気時間を用いる排気速度の試験方法において,排気イ

ンターバルの前後に測定したテストドーム内の圧力

Pa

p

b1

p

b2

p

b3

  試験到達圧力 Pa

p

c

臨界背圧 Pa

p

d

p

e

オリフィス法による排気速度の試験方法におけるテス
トドーム内の圧力

Pa

気体の流量 Pa・L/s

(=60 Pa・L/min 
=3.6 Pa・m

3

/h)


4

B 8329-1

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表 1−記号の定義及び単位(続き) 

記号

定義

単位

q

V

S

排気速度 L/s

(=60 L/min 
=3.6 m

3

/h=0.001 m

3

/s)

q

VBP

補助ポンプの排気速度 L/s

(=60 L/min 
=3.6 m

3

/h)

q

Vsccm

気体の標準状態での体積流量 cm

3

/min

又は sccm

q

Vstd

気体の標準状態での体積流量 L/s

(=60 L/min 
=3.6 m

3

/h)

Q

max

ポンプが故障することなく運転可能な最大流量 Pa

L/s

(=60 Pa・L/min 
=3.6 Pa・m

3

/h)

理想気体の気体定数

8 314 J/(mol・K)

熱力学温度 K

T

0

 0

℃の気体の熱力学温度,273.15 K

K

T

D

テストドームの熱力学温度 K

T

f

流量計の熱力学温度 K

測定の不確かさ

テストドームの体積

L 又は m

3

V

i

ポンプと速動弁とを接続する配管の体積

図 の 3 及び 5)

L 又は m

3

δ

オリフィス板の厚さ m

注記  気体の標準状態での体積流量の単位は,sccm を用いてもよい。

試験方法 

5.1 

流量計を用いる排気速度の測定方法 

5.1.1 

一般 

流量計を用いる真空ポンプの排気速度の測定方法は,十分な精度をもつ流量計を用いることによって圧

力領域・真空ポンプの大きさにかかわらず一般に適用が可能である。

試験に用いる全ての測定器は,次のいずれかの方法で校正する。

a)

真空標準又は国家標準へのトレーサビリティを確保した方法。

b) SI

単位に対してトレーサビリティを確保した絶対尺度をもつ測定器であって測定の不確かさの値を付

与したものを用いる方法。

校正した測定器は,JIS Q 17025 に基づく校正証明書を備えているのが望ましい。

5.1.2 

テストドーム 

測定には,

図 に示すテストドームを用いる。テストドームは,次による。

a)

テストドームの呼び径 D

N

は,試験ポンプの吸気口の呼び径と同じにする。ただし,試験ポンプの吸

気口の呼び径が 100 mm 未満の場合は D

N

=100 mm とし,テストドームは 45°テーパ管を用いて試験

ポンプの吸気口と接続する。

b)

試験ポンプと接続するフランジ面と反対側の面は,平面,円すい面,緩やかな曲面のいずれかとし,

接続フランジ面からの平均高さは,いずれの形状も 1.5とする。


5

B 8329-1

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c)

圧力測定などに用いる真空計の取付け口は,試験ポンプの接続フランジ面から D/2 の高さに設け,複

数の測定器を取り付けられるように三つ設けるのが望ましい。

d)

真空計の取付け口の口径は,取り付ける真空計の口径以上とし,真空計の口径を記録する。

e)

真空計の取付け口は,気体導入口の±45°に配置してはならない。

f)

気体導入口以外の真空計の取付け口は,接続配管がテストドームの内面から出てはならない。

g)

試験ポンプが試験到達圧力に確実に到達するため,必要に応じてテストドームを均一に加熱するベー

キング装置を取り付けることができる。

h)

テストドームの容積は,試験ポンプの形式によって異なる。詳しくは,個別の真空ポンプの規格を参

照。

1

気体導入口及び温度測定点(T

D

  測定用)

2

真空計及び質量分析計の取付け口

D  メートル単位で表したテストドーム内径

図 1−流量計を用いる排気速度測定方法のテストドーム 

5.1.3 

測定装置 

測定装置は,次による。

a)

図 に示す装置を用いる。

b)

テストドームは,清浄で乾燥しているものとする。試験ポンプ,ガスケット及びその他の構成部品は,

予想する試験到達圧力に応じた清浄性をもち,全ての構成部品は,

図 に従って清浄な状態で取り付

ける。

c)

流量計は,測定範囲が狭い場合,複数の異なる測定範囲のものを直列に接続して順次切り替えてもよ

い。また,小流量の流量計によって流量が制限される場合は,流量計を複数の分岐配管で並列に接続

し,それぞれにバルブを配置して用いてもよい。

d)

流量計及び可変流量弁の代わりに,流量設定可能な複数のマスフローコントローラを用いてもよい。


6

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流量範囲の異なるマスフローコントローラを複数使用する場合は,複数の分岐配管で並列に接続して

もよい。大流量用マスフローコントローラの中には気体の遮断性能が不十分なものがあり,その場合

は,マスフローコントローラと分岐配管との間に適切なバルブを配置して使用する。

e)

電離真空計及び質量分析計は,対向する位置に取り付けてはならない。

警告  ポンプの安全な取扱いについては,製造業者の指示に従わなければならない。

1

テストドーム 4

可変流量弁 7

ベーキング装置(オプション)

2

補助ポンプ 5

流量計(Q  測定用) 8

真空計(p

3

  測定用)

3

試験ポンプ 6

真空計(p

1

  測定用) 9

温度測定点(T

D

  測定用)

注記  2 及び 8 は,高真空ポンプを測定する場合にだけ使用する。

図 2−流量計を用いる排気速度測定方法での測定装置 

5.1.4 

排気速度の求め方 

排気速度 q

V

の求め方は,次による。テストドームの外側で気体の流量 を測定する。テストドームの

接続フランジ面から規定の高さ(

図 1)に取り付けた真空計によってテストドーム内の圧力を測定し,平

衡後の圧力 p

1

を用いて式(1)によって求める。

(

)

b

1

p

p

Q

q

V

=

  (1)

ここに,p

b

は,テストドームでの試験到達圧力である(5.4 参照)

補助ポンプの排気速度 q

VBP

も同様に式(2)によって求める。

(

)

3

b

3

BP

p

p

Q

q

V

=

  (2)

気体の流量は,粘性流効果を利用する面積式流量計又は毛細管流量計によって(ガスビュレット法,ガ

スカウンタ法など)

,又はより一般に使用する熱電式マスフローメータ(参考文献[6]参照)によって体積

測定する。

気体の体積は温度に依存するため,体積測定に用いた流量計の温度

T

f

とテストドームの温度

T

D

とが異

なる場合は,

T

D

/

T

f

によって測定値を補正しなければならない。

注記  熱電式マスフローメータは,気体の標準状態(

p

0

=101 325 Pa,

T

0

=273.15 K)での体積流量

q

Vstd

を測定しているため,気体の流量

Q

を求めるために

q

Vstd

T

D

p

0

/

T

0

を乗じる。すなわち,排気


7

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速度

q

V

は,式(3)によって求める。

(

)

b

1

0

D

0

std

p

p

T

T

p

q

q

V

V

=

  (3)

体積流量

q

Vstd

の単位は,

“sccm”

(気体の標準状態での 1 分間当たりの立方センチメートル)で表す。排

気速度

q

V

を 1 秒間当たりのリットル単位で表すには,式(4)によって換算する。

(

)

b

1

D

3

sccm

K

15

.

273

60

325

101

10

p

p

T

q

q

V

V

×

×

×

×

×

=

 (L/s)  (4)

5.1.5 

測定手順 

測定手順は,次による。

a)

図 に示すテストドームを含めて図 に示す測定装置を用いる。

b)

最初に可変流量弁を閉じ,テストドーム内を試験到達圧力の状態にする(5.4 参照)

c)

その後,可変流量弁を開いてテストドーム内に気体を導入する。

d)

流量計を正しく使用できる最小圧力から測定を開始する。圧力が上昇する方向で測定を行う。

e)

測定中の環境温度の変化は,±2  ℃とする。

なお,この規格の規定を超える測定中の環境温度変化が測定結果に影響する可能性がある場合は,

測定の不確かさの評価又は測定結果の補正について検討しなければならない。

f)

測定した圧力

p

1

の変動が 1 分間当たり±3 %に安定した時点で,

p

1

p

3

,環境温度,テストドーム温度

T

D

,及び流量

Q

を測定する。このとき,流量

Q

は,±3 %で安定していなければならない。

g)

流量

Q

が過渡的な状態にある場合は,安定するまで待つ。

h)

流量測定に 60 秒間以上かかる場合は,少なくとも 1 分間の間隔ごとにテストドーム内の圧力

p

1

を記

録し,その平均値を

p

1

とする。

i)

測定中に圧力

p

1

又は流量

Q

が±3 %を超えて変化する場合は,安定するまで測定をやり直す。

j)

測定は,例えば,

図 に示すように,横軸に対数目盛りで表す吸気口圧力

p

1

の 1 区間(区間の両端で

圧力の比が 10 倍となる)当たり少なくとも 3 点行う。

k)

流量が真空ポンプ製造業者が規定する最大流量

Q

max

に達したときの圧力が,許容吸気口圧力である。

警告  最大流量

Q

max

における動作条件は,例えば,取扱説明書などの試験ポンプの製造業者の指示

 に従わなければならない。

l)

異なる種類の気体に対する排気速度を続けて測定する場合は,測定前に可変流量弁に接続する全ての

配管を新しい気体で置換する。

5.1.6 

測定の不確かさ 

流量は,±2.5 %の標準不確かさで測定するのが望ましい。また,圧力は,±3 %未満の標準不確かさで

測定するのが望ましい。この場合,排気速度の測定全体における不確かさは,正確な計算によって 10 %未

満となる(

附属書 参照)。

5.1.7 

結果の表示 

結果は,片対数グラフに記録する(

図 参照)。試験ポンプの吸気口圧力

p

1

を横軸とし,式(1)で求めた

排気速度

q

V

を縦軸として表示する。補助ポンプを使用した場合は,補助ポンプの大きさを示すために同じ

グラフに試験ポンプと同じく,

p

3

及び

q

VBP

Q

及び

p

3

を用いて式(2)で求める。

]を表示する。横軸の範囲

は,

p

1

及び

p

3

の全ての圧力領域を含める。試験ポンプ及び補助ポンプの試験到達圧力

p

b1

及び

p

b3

を表示す

る。

試験報告書には,少なくとも次の項目を記載しなければならない。


8

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a)

使用した全ての真空計及び流量計の形式,製造番号,測定の不確かさ,動作条件及び真空計の口径

b)

試験ポンプの形式及び製造番号

c)

試験ポンプの回転速度及び/又はその他の運転条件

d)

試験ポンプで使用した作動流体又は潤滑油及び 20  ℃における蒸気圧

e)

D

N

(テストドームの呼び径及びフランジの種類)

f)

補助ポンプの形式及び排気速度(補助ポンプを使用した場合)

g)

試験ポンプの吸気口から上流側で使用したシールの形式

h)

試験中に使用したバッフル及びトラップの形式及び温度

i)

冷却水の温度及び流量

j)

環境温度及びテストドーム温度

k)

ベーキング時間及び温度

5.2 

オリフィス法による排気速度の測定方法 

5.2.1 

一般 

オリフィス法は,高真空ポンプに適用できる。テストドームの中では分子流条件が存在しなければなら

ない。適切な気体流量計が利用できない小さい気体流量に対しては,この測定方法を適用するのが望まし

い。

5.2.2 

テストドーム 

a)

テストドームは,円筒形で

図 に示す形状とする。(交換可能な)円形オリフィスをもつ仕切板でテス

トドームを 2 個の容器に分けている。テストドームを均一に加熱して確実にベーキング(加熱による

脱ガス)しなければならない。

b)

薄板のオリフィス(

δ

/

d

 < 0.1)の直径は,予想する流量に応じて選択し,圧力

p

d

p

e

との比率を 3∼

30 とする。オリフィスの中で気体分子の平均自由行程

l

は,オリフィス直径の 2 倍,すなわち,2

d

上とする。

c)

l

の具体的な値は,

附属書 を参照。

d)

吸気口の呼び径が

D

N

=100 mm 以上のポンプについては,テストドームの呼び径

D

N

は実際の吸気口

フランジの呼び径と同じとする。吸気口の呼び径が

D

N

=100 mm 未満のポンプの場合,テストドーム

の呼び径は

D

N

=100 mm とし,

図 に示す 45°テーパ管を用いて試験ポンプの吸気口と接続しなけれ

ばならない。


9

B 8329-1

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1

気体導入口

2

気体導入口及び温度測定点(T

D

測定用)

3

真空計及び質量分析計の取付け口

d

メートル単位で表したオリフィスの直径

D

メートル単位で表したテストドームの内径

δ

メートル単位で表したオリフィスの直径部における板の厚さ

p

d

p

e

  パスカル単位で表したオリフィス法におけるテストドーム内の圧力

図 3−オリフィス法による排気速度測定方法のテストドーム 

5.2.3 

測定装置 

測定装置は,次による。

a)

図 に示す装置を用いる。

b)

テストドームは,清浄で乾燥しているものとする。高真空側の全ての接続はベーキング可能なフラン

ジ,例えば,ナイフエッジフランジを使用するのが望ましい。

警告  テストドームの内表面を素手で触れてはならない。部品の取付けは,手袋を着用して作業し

なければならない。


10

B 8329-1

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1

テストドーム

6

真空計(p

3

測定用)

2

補助ポンプ

7

真空計(p

d

測定用)

3

試験ポンプ

8

真空計(p

e

測定用)

4

可変流量弁

9

ベーキング装置

5

可変流量弁 10

温度測定点(T

D

測定用)

図 4−オリフィス法による排気速度測定方法での測定装置 

5.2.4 

排気速度の求め方 

排気速度

q

V

は,式(5)によって求める。

a)

薄い円形のオリフィスをもつ仕切板でテストドームを 2 個の容器に分けている(

図 参照)。





=

1

be

e

bd

d

p

p

p

p

C

q

V

  (5)

ここに,

C

オリフィスの寸法及び気体の物性から求めた

コンダクタンス

b)

テストドームの上流側及び下流側の容器の試験到達圧力

p

bd

及び

p

be

をベーキング(5.4 参照)終了後

かつ気体導入前に測定する。直径

d

及び厚さ

δ

のオリフィスのコンダクタンスは,式

(6)

によって求め

る。

( )

2

D

1

1

32

π

d

d

M

RT

C

+

=

δ

  (6)

c)

(6)

の分母にある

( )

[

]

d

δ

+

1

/

1

の項は,オリフィスを通過する気体の通過確率を表し,

d

<<

δ

の場合に

有効な修正係数である。式

(6)

では,整合した単位を使うことに注意する。次の値を代入する。

314

8

=

R

 J/mol

K

3

air

10

97

.

28

×

=

M

 kg/mol

293

D

=

T

 K (20

)

d)

コンダクタンスの単位を

m

3

/s

で表す場合は,式

(7)

によって計算する。

( )

d

d

C

δ

+

=

1

91

2

air

  (7)


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又は,単位を L/s で表す場合は,式(8)によって計算する。

( )

d

d

C

δ

+

=

1

000

91

2

air

   (8)

ここで,及び δ の単位は,m で表す。

5.2.5 

測定手順 

測定手順は,次による。

a)

図 に示す可変流量弁は,全て閉じてベーキングを行う。

b)

ベーキング終了後,テストドーム内の圧力は試験到達圧力 p

bd

及び p

be

となる(5.4 参照)

5.2.6 

真空計の調整 

真空計の調整は,次による。

a)

テストドーム内部が試験到達圧力に達した後,p

bd

及び p

be

を記録する。

b)

可変流量弁(

図 の 4)から試験気体を導入して真空計(図 の 7)及び真空計(図 の 8)の感度を

調査する。

c)

気体は試験ポンプの吸気口に直接流れるので,可変流量弁を通して一定量の気体を流す場合には,実

際の圧力 p

d

p

bd

と p

e

p

be

とは同じ値となる。

警告  吸着及び脱離の過程を避けるため,乾燥した気体(純度 99.9 %)を測定に使用しなければな

らない。

d)

試験到達圧力 p

be

の 2 倍の圧力から測定を開始し,圧力を上げながら p

e

を測定する。測定は,横軸に

対数目盛りで表す圧力 p

e

の 1 区間(区間の両端で圧力の比が 10 倍となる)当たり少なくとも 3 点行

う。

e)

圧力測定値の全ての対について圧力比  (p

d

 – p

bd

) / (p

e

 – p

be

)  を求める。この比は,1 にならなければな

らない。1 にならない場合は,圧力 p

e

の単位区間(区間の両端で圧力が 10 倍となる)ごとに圧力比 1

からの偏差の平均値によって一方の真空計の感度を補正する。

f)

真空計の調整後,テストドーム内をほぼ試験到達圧力まで排気して排気速度の測定を開始する。

5.2.7 

排気速度の測定 

排気速度の測定は,次による。

a)

可変流量弁(

図 の 5)を通じてテストドームに気体を導入する。

b)

試験到達圧力 p

be

の 2 倍の圧力から測定を開始し,圧力を上げながら測定する。圧力 p

be

が測定後の 1

分間に±3 %以内に安定している場合は,この測定点を有効とみなす。過渡的な状態のために圧力が

不安定な場合は,安定するまで待つ。

c)

3

e

10

1

×

=

p

Pa 又はテストドームの上流側容器内の気体分子の平均自由行程(参考文献[7]の p.43 参照)

がオリフィス直径 の 2 倍未満となる圧力まで測定する。測定は,横軸に対数目盛りで表す圧力 p

e

1 区間(区間の両端で圧力の比が 10 倍となる。)当たり少なくとも 3 点測定する。それぞれの測定に

おいて圧力 p

d

p

e

及び p

3

を記録する。

d)

式(5)によって排気速度 q

V

を求める。

e)

排気速度は,様々な気体で測定する。気体を変更する場合は,新しい測定を始める前に,可変流量弁

に接続する全ての配管を新しい気体で置換する。

5.2.8 

測定の不確かさ 

a)

圧力の比は,±3 %の不確かさで測定し,オリフィス直径は 0.5 %の不確かさで測定するのが望ましい。

テストドームの上流側容器の圧力が上昇して平均自由行程がオリフィス直径の 2 倍に近づくと,オリ


12

B 8329-1

:2015

フィスのコンダクタンスは,分子流状態におけるコンダクタンスより 3 %大きくなる(参考文献[7]参

照)

。測定の不確かさの正確な計算については,

附属書 を参照。

b)

排気速度の測定における不確かさは,全体で 10 %未満でなければならない。

5.2.9 

結果の表示 

式(5)を用いて求めた試験ポンプの排気速度と吸気口圧力との関係を片対数のグラフ(

図 参照)に表示

する。補助ポンプを用いている場合は,補助ポンプの大きさを示すために補助ポンプの排気速度 q

VBP

と p

3

との関係を同じグラフに表示する。補助ポンプの排気速度は,

(

)

e

d

e

p

p

C

q

p

Q

V

=

=

及び p

3

から求める。

横軸の範囲は,p

e

及び p

3

の全ての圧力範囲を含む。また,試験ポンプの試験到達圧力 p

be

及び補助ポンプ

の試験到達圧力 p

b3

を表示する。

試験報告書には,少なくとも次の項目を記載しなければならない。

a)

使用した全ての真空計の形式,製造番号,測定の不確かさ及び運転条件

b)

試験ポンプの形式及び製造番号

c)

試験ポンプの回転速度及び/又はその他の運転条件

d)

試験ポンプで使用した作動流体又は潤滑油,及び 20  ℃における蒸気圧

e)

D

N

(テストドームの呼び径及びフランジの種類)

f)

補助ポンプの形式及び排気速度(補助ポンプを使用した場合)

g)

試験ポンプの吸気口から上流側で使用したシールの形式

h)

試験中に使用したバッフル及びトラップの形式,及び温度

i)

冷却水の温度及び流量

j)

環境温度及びテストドーム温度

k)

ベーキング時間及び温度

q

V

試験ポンプの排気速度

q

V

BP

  補助ポンプの排気速度

図 5−排気速度曲線の例 

5.3 

排気時間を用いる排気速度の測定方法 

5.3.1 

一般 

排気時間を用いる排気速度の測定方法は,小形の真空ポンプへの使用に適している。排気速度は,試験

ポンプによるテストドームの排気時間から求める。この方法では,時間と圧力との関係を測定するととも


13

B 8329-1

:2015

にテストドームの体積が既知でなければならない。この方法は,気体の流れを測定しなくてよいので測定

手順の自動化が容易になる利点があるが,連続して排気する場合には次の課題がある。

まず,真空計及びデータ収集装置の応答時間が圧力測定に影響する。また,真空槽の排気とともに真空

槽の外側に向かって気体が断熱膨張するために気体の温度が低下するので,真空ポンプによる排気及び真

空槽内の気体の冷却の両方に起因する圧力降下を測定することになる。気体と真空槽との壁面間の熱伝達

率は圧力が影響するため,排気の過程において気体の冷却効果が変化する。気体の膨張は,標準気圧では

等エントロピー変化に近いために急速に気体温度が低下するが,真空では等温変化に近いために気体温度

は短時間で環境温度まで上昇する。

これらの課題は,排気時間 Δt

1

の間に待機時間 Δt

2

を設けて断続的に排気サイクルを繰り返して真空槽を

排気することによって回避する。排気サイクルの最初の段階では真空槽の遮断弁は閉じており,そのとき

の圧力を初期圧力として記録する。次に真空槽を一定時間 Δt

1

の間排気して圧力が数%低下したら,排気過

程を中断する。待機時間 Δt

2

が経過して熱平衡した後に 2 番目の圧力が記録される。圧力が安定すること

によって熱平衡に達したとみなす。さらに,同じ手順で排気サイクルを繰り返す。

排気口側から吸気口側への逆流が大きい真空ポンプにこの測定方法を適用する場合は,パージガス効果

によって低分子量気体に対する排気速度が増加する。待機時間での熱平衡中に,真空ポンプは,排気口側

の空気に近い組成の残留気体の下で試験到達圧力に達する。新たな排気サイクルの最初の段階では,この

残留気体は,水素のような低分子量ガスの排気速度を増加させる。したがって,このような場合は,排気

時間を用いる排気速度の測定方法を用いてはならない。

試験に用いる全ての測定器は,次のいずれかの方法で校正する。

a)

真空標準又は国家標準へのトレーサビリティを確保した方法。

b) SI

単位に対してトレーサビリティを確保した絶対尺度をもつ測定器であって測定の不確かさの値を付

与したものを用いる方法。

校正した測定器は,JIS Q 17025 に基づく校正証明書を備えているのが望ましい。

5.3.2 

テストドーム 

測定に使用するテストドームは,次による。

a)

テストドームの体積は,予想される真空ポンプの排気速度に 120 秒間を乗じた体積以上とする。

b)

テストドームの縦・横・高さの三つの寸法は,それぞれの比が 10 を超えてはならない。

c)

テストドーム及び真空ポンプを接続する配管の内表面は清浄な状態で乾燥していなければならない。

d)

テストドームは,試験ポンプとの接続口を一つもち,その呼び径は試験ポンプの吸気口の呼び径以上

とする。

e)

気体導入弁及び複数の真空計を取り付けるための取付け口を設けるものとする。真空計の取付け口は

試験ポンプとの接続口の近くに設けてはならない(

図 参照)。


14

B 8329-1

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1

テストドーム

2

気体導入弁

3

試験ポンプ

4

真空計(p

t

1

p

t

2

p

t

3

測定用)

5

速動弁

V  テストドームの体積 
V

i

  試験ポンプと速動弁とを接続する配管の体積

図 6−排気時間を用いる排気速度測定方法での測定装置 

5.3.3 

速動弁 

速動弁は,次による。

a)

速動弁は,開閉時間が 0.5 秒間未満であるのが望ましい。排気速度の測定の不確かさを最小にするた

めに,開閉時間に対して排気時間 Δt

1

は 8 秒間を超えなければならない。

排気時間 Δt

1

を正確に測定するために,速動弁が実際に開いている時間を十分な精度で測定して計

算に用いる。

b)

開放時間は,速動弁の種類に応じて弁の駆動時間と一致しない場合がある。

c)

速動弁のコンダクタンスは,測定する試験ポンプの排気速度を減少させるため,断面積の大きなスト

レート弁を使用するのが望ましい。

5.3.4 

測定装置 

測定装置は,次による。

a)

真空ポンプ,ガスケット及びその他の構成部品は,予想する試験到達圧力に応じた清浄な状態にある

ものとする。全ての部品は,清浄な状態で

図 に従って取り付ける。

b)

真空ポンプは,十分な断面積(5.3.7 参照)をもった短い配管を用いて速動弁を介してテストドームと

接続する。

c)

速動弁は,接続配管の体積 V

i

を最小にするために真空ポンプの吸気口近くに取り付ける。

d)

速動弁及びテストドームを接続する配管は,真空ポンプの吸気口の呼び径を超える大きな断面積とし

てもよい。

e)

真空ポンプの吸気口と速動弁とを接続する配管の体積 V

i

は,

テストドームの体積 の 1 %未満とする。


15

B 8329-1

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f)

圧力は,絶対圧真空計によって測定する。テストドーム及び真空計を接続する配管の長さは,1 m 未

満とし,配管の呼び径は,16 mm を超えるものとする。

5.3.5 

排気速度の求め方 

排気速度 q

V

は,次による。

a)

排気時間 Δt

1

の前後の二つの圧力

1

t

及び

2

t

の区間における真空ポンプの排気速度 q

V

は,等温膨張を

仮定して式(9)によって求める。

2

1

1

ln

t

t

V

p

p

t

V

q

Δ

=

  (9)

b)

テストドームの体積 の不確かさは,0.5 %未満が望ましい。

c)

排気時間 Δt

1

,圧力 p

t1

及び p

t2

を測定するため,規定の排気時間 Δt

1

の間だけ試験ポンプ及びテストド

ームの間に設けた速動弁(

図 の 5)を開く。

d)

圧力差

2

1

t

t

p

p

p

=

Δ

は,

1

.

0

1

<

Δ

t

p

p

とする。

e)

式(9)は,等温膨張する気体にだけ有効である。速動弁を閉じた後,圧力

2

t

は排気過程での気体の等

エントロピー的な膨張による冷却効果のために正しい圧力を示していない。したがって,圧力

2

t

熱平衡に要する待機時間 Δt

2

の経過後に測定する。

f)

式(9)に示す排気速度の計算方法は,補正可能な二つの系統誤差要因を含む。第 1 の誤差要因は試験ポ

ンプと速動弁の弁板との間の体積 V

i

に由来する(

図 参照)。この体積は,当然ながら測定時間 Δt

1

の最初の時点では真空ポンプの試験到達圧力 p

b1

に近い圧力になっている。

g)

排気過程の開始とともに速動弁が開くとテストドーム内の体積 の気体は,既に排気されている体積

V

i

に対して急速に膨張する。そのためにテストドーム内の初期圧力

1

t

は,排気過程の開始と同時に

w

t

p

1

となる。膨張による圧力降下は,式(10)によって補正する。

i

i

1

b

1

1

V

V

V

p

V

p

p

t

w

t

+

+

=

   (10)

h)

第 2 の誤差要因は,テストドームの漏れの可能性及び内表面からの気体放出であり,熱平衡のための

待機時間において追加のガス負荷を発生させる。この効果による影響を求めるために,100 Pa 未満の

圧力領域では熱平衡のための待機時間に続けて,さらに,圧力上昇時間 Δt

3

の間に発生する圧力上昇

2

3

t

t

p

p

を測定する。この場合は,排気速度に対する漏れ及び気体放出速度の影響は,式(9)の

2

t

仮想圧力

w

t

p

2

に置き換えることによって補正する。


16

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p

t1

p

t2

p

t3

時間インターバル Δt

1

,Δt

2

,Δt

3

の前後で測定したテストドーム内の圧力

図 7−排気時間による排気速度測定方法を用いた排気サイクルにおける圧力−時間曲線 

i)

図 は,排気速度測定における排気サイクルの圧力−時間曲線を示す。排気速度の補正は,次による。

1)

排気サイクルの開始によって,初期圧力

1

t

p

は速動弁が開くと同時に

w

t

p

1

に低下する。

図 の例では,

0.9

1

t

となる。

2)

排気時間 Δt

1

で排気する。速動弁が閉じた後,待機時間 Δt

2

の間に熱平衡によって圧力は

2

t

に上昇

する。

3)

圧力は

2

t

から

3

t

p

に上昇する。

4)

排気速度測定に対する漏れ及び気体放出速度の影響は,圧力上昇時間 Δt

3

の間に測定した圧力上昇

勾配を外挿することによって 2)  の時点における

2

t

を補正する。補正した圧力

w

t

p

2

は,式(11)によ

って求める。

(

)(

)

3

2

1

2

3

2

1

t

t

t

p

p

p

p

t

t

t

w

t

Δ

Δ

+

Δ

=

  (11)

5)

補正した排気速度は,式(9)の 

i

V

V

+ によって置き換えるとともに,式(9)の

1

t

及び

2

t

を式(10)

及び式(11)によって補正した

w

t

p

1

及び

w

t

p

2

にそれぞれ置き換えた式(12)によって求める。

w

t

w

t

V

p

p

t

V

V

q

2

1

1

i

ln

Δ

+

=

   (12)

5.3.6 

測定手順 

測定手順は,次による。

a)

テストドームに取り付けた真空計と試験ポンプとは速動弁を開いて試験到達圧力に達するまで運転し,

少なくとも試験ポンプは温度安定させる。

b)

真空ポンプは大気圧に対して排気するものとし,環境温度は 18∼25  ℃の範囲内で±1.5  ℃とする。

なお,この規格の規定を超える測定中の環境温度又は温度変化が測定結果に影響する可能性がある

場合は,測定の不確かさの評価又は測定結果の補正について検討しなければならない。

c)

気体導入弁を閉じた状態でテストドームを排気する。圧力が低下しなくなった時点で試験到達圧力 p

b1

を記録する。

d)

次に速動弁を閉じてテストドームを標準気圧の試験気体で復圧する。真空ポンプの試験到達圧力は,

環境温度における水蒸気の分圧以下とする。試験気体は,乾燥空気,窒素ガス又はその他のガスとす


17

B 8329-1

:2015

る。

e)

気体導入弁を閉じて圧力

1

t

が一定値に達するまで安定化させて測定する(一般的に 30∼120 秒間)。

f)

次に,速動弁を開ける。同時に排気時間 Δt

1

の測定を開始する。

g)

相対圧力差

(

)

1

2

1

t

t

t

p

p

p

が 0.1 に近づいた時点で速動弁を閉じる。同時に排気時間 Δt

1

の測定を停止す

る。

h)

待機時間 Δt

2

の後,圧力

2

t

が一定値に達するまで安定化させて測定する(一般的に 30∼120 秒間)。

i) 100

Pa 未満の圧力領域では,速動弁を閉じたままで更に圧力上昇時間 Δt

3

が経過した後で圧力

3

t

を記

録し,漏れ及び気体放出速度の影響を測定するのが望ましい。

j)

この測定手順を真空ポンプの試験到達圧力まで断続的に繰り返すことによって,全ての圧力範囲にお

いて真空ポンプの排気速度を測定する。

測定では空気又はその他の気体を試験気体として使用できる。

気体の種類は明記しなければならない。

5.3.7 

測定の適用範囲 

測定の適用範囲は,次による。

a)

漏れ及び放出速度が過度に圧力に影響してはならない。式(11)の第 2 項は,

2

t

の 1 %を超えてはなら

ない。

b)

分子流領域では,試験ポンプとテストドームとを接続する配管のコンダクタンスは,排気速度を減少

させる。この影響を評価するために接続配管のコンダクタンス を式(13)によって求める(参考文献

[7]参照)。

( )

( ) ( )

2

2

3

18

14

4

14

16

π

a

l

a

l

a

l

a

c

C

+

+

+

=

   (13)

ここに,

c

気体の排気速度

a

接続配管の口径

l

接続配管の長さ

この方法は,分子流領域において

C

20 q

V

を超える場合にだけ用いることができる。

c)

  C

20 q

V

以下の場合,この方法は平均自由行程 が接続配管の内径

a

に対して

0.1a

未満となる圧力領

域にだけ適用できる。平均自由行程 の値については,

附属書 を参照。

5.3.8 

結果の表示 

排気速度は,測定した圧力

1

t

及び

2

t

の平均値を用いて,式

(10)

,式

(11)

及び式

(12)

によって求める。グ

ラフ表示する場合は,測定した排気速度に対して近似曲線に

5 %

以上の偏差がなければ,近似曲線を真空

ポンプの排気速度曲線とすることができる。

5.3.9 

測定の不確かさ 

排気速度の測定全体の不確かさは,

10 %

未満でなければならない。圧力

1

t

から

w

t

p

1

への補正及び圧力

2

t

から

w

t

p

2

への補正がなくとも排気速度 q

V

の測定誤差が

10 %

未満であるという証明があれば,

1

t

w

t

p

1

及び

2

t

w

t

p

2

と仮定することができる。正確な計算については,

附属書 を参照。

5.4 

試験到達圧力の測定方法 

5.4.1 

運転条件 

運転条件は,次による。

試験ポンプの運転条件は,製造業者が提示する条件とする(例えば,回転速度,作動流体,潤滑油,冷

却方法など)

。測定中の環境温度は,

18

℃∼

25

℃とし,測定装置の温度は,±

1.5

℃の平衡とする。

なお,この規格の規定を超える測定中の環境温度変化が測定結果に影響する可能性がある場合は,測定


18

B 8329-1

:2015

の不確かさの評価又は測定結果の補正について検討しなければならない。

測定には,

図 2,図 又は図 に示す装置を用いる。

試験に用いる全ての測定器は,次のいずれかの方法で校正する。

a)

真空標準又は国家標準へのトレーサビリティを確保した方法。

b)

 SI

単位に対してトレーサビリティを確保した絶対尺度をもつ測定器であって測定の不確かさの値を付

与したものを用いる方法。

校正した測定器は,JIS Q 17025 に基づく校正証明書を備えているのが望ましい。

5.4.2 

測定手順:試験到達圧力≧10

4

 Pa 

試験到達圧力が

10

4

 Pa

以上の場合は,測定手順は次による。

a)

可変流量弁を全て閉じて試験ポンプでテストドームを

1

2

時間排気する。

b)

テストドーム内の圧力低下を観察せず,かつ,試験ポンプの運転温度が平衡に達するまで試験ポンプ

を運転する。

c)

予想する試験到達圧力が

10

2

 Pa

10

4

 Pa

の場合は,最高温度を

120

℃としてテストドームのベーキ

ングを

3

時間行う。試験ポンプにベーキング装置を取り付けている場合は,例えば,取扱説明書など

の試験ポンプの製造業者の指示に従って行う。試験ポンプ及びテストドームのベーキングは同時に終

了する。

注記

製造業者が試験到達圧力の測定結果に影響が少ないと予想する場合は,テストドーム及び試

験ポンプのベーキングを省略してもよい。

d)

試験ポンプ及びテストドームの温度が平衡状態に達した時点から

1

時間後にテストドームの圧力 p

1

を測定し,試験到達圧力 p

b1

とする。

5.4.3 

測定手順:試験到達圧力<10

4

 Pa 

試験到達圧力が

10

4

 Pa

未満の場合は,測定手順は次による。

a)

図 のテストドーム及び機器の接続には,超高真空(

UHV

)技術が必要である。

b)

試験ポンプの起動

1

時間後から,

最高温度を

150

℃∼

300

℃としてテストドームのベーキングを行う。

試験ポンプにベーキング装置を取り付けている場合は,取扱説明書などの試験ポンプの製造業者の指

示に従って行い,例えば,試験ポンプの上部の温度が仕様範囲内にあることを監視する。

c)

予想する試験到達圧力の

100

倍の圧力に達した時点で試験ポンプ及びテストドームのベーキングを同

時に終了する。ただし,遅くともベーキング開始後

48

時間までに終了する。ベーキングの手順を試験

記録に記載する。

d)

電離真空計は,ベーキング中からベーキング終了まで製造業者が推奨する方法に従って脱ガスを行う。

ただし,遅くとも測定を開始する

2

時間前までに行う。

e)

同時に試験ポンプの排気口圧力 p

3

を記録する。

f)

ベーキング終了から

48

時間経過した時点のテストドーム内の圧力 p

1

を測定して試験ポンプの試験到

達圧力 p

b1

とする。ただし,圧力 p

1

は時間経過とともに上昇してはならない。

5.4.4 

結果の表示 

試験報告書に記載する事項は,次による。

a)

ベーキング時間

b)

ベーキング温度

c)

試験到達圧力

試験到達圧力は,圧縮比及び排気速度を決定するために用いる。


19

B 8329-1

:2015

5.5 

圧縮比及び臨界背圧の測定方法 

試験に用いる全ての測定器は,次のいずれかの方法で校正する。

a)

真空標準又は国家標準へのトレーサビリティを確保した方法。

b)

 SI

単位に対してトレーサビリティを確保した絶対尺度をもつ測定器であって測定の不確かさの値を付

与したものを用いる方法。

校正した測定器は,JIS Q 17025 に基づく校正証明書を備えているのが望ましい。

5.5.1 

測定装置 

測定装置は,次による。

a)

圧縮比の測定には,

図 に示す装置を用いる。

b)

テストドームの内表面,シール及びフランジは,予想する試験到達圧力に応じたものとする。

10

4

 Pa

未満の圧力を測定する場合は,ベーキング可能なフランジ,例えば,ナイフエッジフランジを使用す

る。

c)

p

1

の全ての圧力領域を測定するため,必要に応じて測定圧力範囲の異なる真空計を組み合わせて使用

するのが望ましい。p

1

10

8

 Pa

未満の場合は,質量分析計を用いる。

d)

複数の電離真空計を使用する場合は,放出電子又はイオンが互いに影響しないように,対向する位置

に取り付けてはならない。

e)

試験ポンプの排気口圧力がおおむね

10

2

 Pa

の場合には,コンダクタンス調整弁(

図 

9

)と補助ポ

ンプ(

図 

2

)との間にターボ分子ポンプを配置するのが望ましい。

f)

真空計(

図 

6

)は試験ポンプの排気口にできる限り近く,試験ポンプの排気口と同径の排気配管

の直線部に取り付ける。真空計の接続配管は排気配管に垂直とし,排気配管の内面から出てはならな

い。真空計は,可変流量弁(

図 

4

)よりも上流側に十分離して取り付ける。

g)

気体の使用量を節約するためにコンダクタンス調整弁(

図 

9

)を設置してもよい。

h)

試験気体は,質量比

99.999 %

以上の純度とする。

5.5.2 

圧縮比及び臨界背圧の求め方 

圧縮比及び臨界背圧の求め方は,次による。

a)

圧縮比 K

0

は,次の式

(14)

によって求める。

(

)

(

)

1

b

1

3

b

3

0

p

p

p

p

K

=

   (14)

b)

p

b1

は試験ポンプの試験到達圧力,p

b3

は補助ポンプの試験到達圧力である。試験ポンプの排気配管に

気体を導入して,吸気口圧力 p

1

と排気口圧力 p

3

とを測定する。

c)

試験ポンプ(

図 

3

)を定められた動作条件で連続的に運転することができる最大の排気口圧力 p

3

を臨界背圧とする。


20

B 8329-1

:2015

1

テストドーム

6

真空計(p

3

測定用)

2

補助ポンプ

7

真空計(p

1

測定用)

3

試験ポンプ

8

真空計又は質量分析計

4

可変流量弁

9

コンダクタンス調整弁

5

可変流量弁 10

ベーキング装置(オプション)

図 8−圧縮比及び臨界背圧の測定装置 

5.5.3 

測定手順 

測定手順は,次による。

a)

各試験気体についてテストドームを試験到達圧力 p

b1

にする(5.4 参照)

b)

試験ポンプの排気口において対応する試験到達圧力 p

b3

は,最初の測定のために気体を導入した時点

で上昇した圧力と比較して小さいことを確認する。

c)

測定中の環境温度の変化は,±

1.5

℃とする。

なお,この規格の規定を超える測定中の環境温度変化が測定結果に影響する可能性がある場合は,

測定の不確かさの評価又は測定結果の補正について検討しなければならない。

d)

可変流量弁(

図 

4

)を徐々に開いて,排気口圧力 p

3

をゆっくり上昇させる。

e)

排気口圧力 p

3

及び吸気口圧力 p

1

1

分間当たり±

5 %

に安定したとき,同時に記録する。測定は,横

軸に対数目盛りで表す排気口圧力 p

3

1

区間(区間の両端で圧力が

10

倍となる)当たり

3

点行って

記録する。臨界背圧における動作条件は,試験ポンプの製造業者又は試験ポンプの種類に応じた個別

の規格のいずれかによって規定される。

f)

排気口圧力 p

3

が臨界背圧 p

c

に達するまでこの測定手順を繰り返す。

g)

圧縮比は,

試験ポンプの種類に応じて,

テストドームに気体を導入せずに流量

0

の状態で測定するか,

又は試験ポンプの製造業者の指示,例えば,取扱説明書に記載する規定の流量又は個別の規格による

規定の流量の気体をテストドームに導入して測定する。

h)

圧縮比の測定において,試験気体の種類を測定の途中で変更する場合は,可変流量弁(

図 

4

)に

接続する全ての配管内を以後の測定に用いる試験気体で置換してから測定を行う。


21

B 8329-1

:2015

5.5.4 

測定の不確かさ 

圧縮比の測定の不確かさは,圧力 p

1

 >>

p

b1

かつ圧力 p

3

 >>

p

b3

が成立する場合に推定できる。測定の不確

かさは±

20 %

であるのが望ましい。

5.5.5 

結果の表示 

結果の表示は,次による。

a)

排気口圧力 p

3

p

b3

と吸気口圧力 p

1

p

b1

との関係を両対数グラフに表示する。

b)

次に,排気口圧力 p

3

p

b3

と圧縮比 K

0

との関係を両対数グラフに表示する。

c)

それぞれのグラフでは,異なる試験気体の圧縮比曲線は明確に識別する。

注記  図 にターボ分子ポンプの

4

種類の試験気体について圧縮比を測定した結果の例を示す。臨界

背圧を圧縮比が

10

以上となる最大の排気口圧力とする場合は,排気口圧力 p

3

10 Pa

200 Pa

の範囲で横軸と交わる圧縮比の曲線は,試験気体の種類によって

100 Pa

オーダで臨界背圧が異

なる試験結果を示している。また,この一連の曲線から排気口圧力 p

3

10

倍高い圧力範囲で

横軸と交わる一連の曲線は,ねじ溝ポンプ段をもつ複合型ターボ分子ポンプの圧縮比と臨界背

圧とを示す。

5.5.6 

圧縮比が極めて高い場合の測定方法 

極めて高い圧縮比の測定において,例えば,排気配管に試験気体を導入した時点でテストドームに発生

する試験気体成分の分圧上昇よりも試験到達圧力の方が高い場合は,質量分析計によって試験気体の分圧

を測定する。吸気口圧力を

6

桁以上の広い圧力領域を測定するため,スピニングロータ真空計,ベアード

−アルパート真空計,及び質量分析計を併用するのが望ましい。

ベアード−アルパート真空計及び質量分析計は,スピニングロータ真空計を用いて校正する。その手順

は,次による。

a)

テストドーム内の圧力が段階的に上昇するように可変流量弁(

図 

5

)を徐々に開いて気体を導入

する。

b)

それぞれの真空計の表示値を比較してベアード−アルパート真空計及び質量分析計の校正係数を求め

る。

校正手順は,圧縮比の測定前に実施するのが望ましい。


22

B 8329-1

:2015

p

c

 Pa 単位で表した臨界背圧

図 9−ターボ分子ポンプの圧縮比曲線の例 


23

B 8329-1

:2015

附属書 A

(参考)

主な気体の平均自由行程

平均自由行程と圧力との積は,定数となる。

表 A.1 に示す各種気体の平均自由行程は,

T

293.15 K

20

℃)における数値である(参考文献

[7]

参照)

表 A.1−主な気体の平均自由行程 

気体

平均自由行程

( )

p

l

×

m・Pa

気体

平均自由行程

( )

p

l

×

m・Pa

H

2

 11.5×10

3

 Xe  3.6×10

3

N

2

 5.9×10

3

 Hg 3.1×10

3

He 17.5×10

3

 CO  6.0×10

3

Ne 12.7×10

3

 CO

2

 4.0×10

3

Ar 6.4×10

3

 HCl 4.4×10

3

空気 6.65×10

3

 NH

3

 4.3×10

3

Kr 4.9×10

3

 Cl

2

 2.8×10

3


24

B 8329-1

:2015

附属書 B

(参考)

測定の不確かさ

B.1 

一般 

不確かさは,ISO/IEC Guide 98-3 に従って求めるのが望ましい。

次の重要事項を考慮しなければならない。

a)

物理量は,ある値

X

及び不確かさをもつ。

b)

標準不確かさ u

X

は,真の値が

68 %

の確率で区間 Xu

X

Xu

X

に存在する場合を示す。

c)

不確かさの合成のため,標準不確かさに係数

2

を乗じた拡張不確かさ U

X

を用いるのが望ましい。そ

の場合,真の値は

95 %

の確率で区間 XU

X

XU

X

に存在する。

ある物理量 が相関のない複数の入力値 X

i

に由来する場合の不確かさ u

Y

は,誤差伝ぱ(播)の法則に

よって個々の項の二乗和の平方根として,式

(B.1)

による。





=

i

X

i

Y

i

u

X

Y

u

2

d

d

  (B.1)

B.2 

流量計を用いる排気速度の測定の不確かさ 

(B.1)

を式

(1)

の q

V

Q

/(

p

1

p

b

)

に適用し,試験到達圧力 p

b

を無視すると,排気速度の不確かさは,式

(B.2)

による(5.1 参照)

2

2

1

2

1

1



+





=

p

Qu

p

u

u

p

Q

q

V

  (B.2)

相対不確かさは,式

(B.2)

を式

(1)

で除して,式

(B.3)

による。

2

1

2

1





+





=

p

u

Q

u

q

u

p

Q

V

q

V

  (B.3)

例えば,u

Q

 /

Q

 = 0.025

u

p1

/

p

1

 = 0.03

の場合は,相対不確かさは,u

qV

 /

q

V

 = 0.039

3.9 %

)となる。

B.3 

オリフィス法による排気速度の測定の不確かさ 

(B.1)

を式

(5)

に適用する(5.2 参照)





=

1

be

e

bd

d

p

p

p

p

C

q

V

ここで,圧力 p

d

及び p

e

に対して試験到達圧力 p

bd

及び p

be

を無視すると,排気速度の不確かさは,式

(B.4)

による。

2

2

e

d

2

e

2

e

e

d

e

d



+





+





=

p

p

C

q

u

p

C

p

u

p

C

u

p

p

p

u

V

  (B.4)


25

B 8329-1

:2015

(B.4)

を式

(5)

で除して,圧力 p

d

及び p

e

に対して試験到達圧力 p

bd

及び p

be

を無視すると,相対不確かさ

は,式

(B.5)

による。

2

d

e

e

2

d

e

d

2

1

1

d

d





+





+

=

p

p

p

u

p

p

p

u

C

u

q

u

p

p

C

V

q

V

  (B.5)

例えば,p

d

 / p

e

 = 3(5.2 参照),u

C

 / C = 0.01,u

pd

 / p

d

 = 0.025 及び u

pe

 / p

e

 = 0.025 の場合は,排気速度の相

対不確かさは,u

qV

 / q

V

 = 0.053 7(5.37 %)となる。

テストドームの 2 個の容器のうち,上流側の容器の圧力が高くなると平均自由行程はオリフィス直径の

2 倍(2d)に漸近する。平均自由行程 がオリフィス直径の 2 倍に等しい場合は,オリフィスのコンダクタ

ンスは,分子流領域における値に対して 3 %大きくなって u

C

 / = 0.04 となる(参考文献[7]参照)。したが

って,上記の例では u

qV

 / q

V

 = 0.066 4(6.64 %)となり,要求される 10 %未満の不確かさとなる。

B.4 

排気時間を用いる排気速度の測定の不確かさ 

式(12)の不確かさを計算するために,次の 2 点を仮定する(5.3 参照)

w

t

w

t

V

p

p

t

V

V

q

2

1

1

i

ln

Δ

+

=

a)

VV

i

V,したがって,V

i

t

1

は式(12)の第 1 項と比較して無視できる。

b)

w

t

w

t

p

p

p

2

1

=

Δ

及び

1

2

<

Δ

w

t

p

p

とする。

仮定から次の式を得る。





Δ

+

=





w

t

w

t

w

t

p

p

p

p

2

2

1

1

ln

ln

1 を超えるべき乗の項を無視すると,次の式を得る。

w

t

w

t

p

p

p

p

2

2

1

ln

Δ

=





Δ

+

したがって,式(B.6)を得る。

w

t

V

p

p

t

V

q

2

1

Δ

Δ

=

  (B.6)

式(B.1)を式(B.6)に適用すると,排気速度の不確かさは,式(B.7)による。

2

2

2

1

2

2

2

2

1

2

2

1

2

2

1

2



Δ

Δ

+



Δ

Δ

+





Δ

+





Δ

Δ

=

Δ

Δ

w

t

p

w

t

t

w

t

p

w

t

V

q

p

t

pu

V

p

t

pu

V

p

t

Vu

p

t

pu

u

w

t

V

   (B.7)

相対不確かさは,式(B.7)を式(B.6)で除して,式(B.8)による。

2

2

2

1

1

2

2

2





+





Δ

+





Δ

+

=

Δ

Δ

w

t

p

t

p

V

V

q

p

u

t

u

p

u

V

u

q

u

w

t

V

  (B.8)

u

V

 / 及び u

pt2w

 / p

t2w

の各項は,0.01 のオーダとなる。速動弁の開閉動作には遅延時間が生じるため,u

Δt1

/ Δt

1

の項は 0.05 のオーダとなる。したがって,主たる不確かさの項は u

Δp

 / Δとなる。

圧力表示値の分解能及びばらつきは,統計的な不確かさを生じる。系統上の不確かさである圧力測定の

零点のずれは,Δに影響しない。測定感度の差は,p

t2w

 / p

t2w

の比をとることで相殺できるので無視できる。

直線性が,圧力差 Δの測定における主たる不確かさの要因となる。


26

B 8329-1

:2015

例えば,u

V

 / V= 0.005,u

Δp

 /Δp = 0.07,u

Δt1

 /Δ

t1

 = 0.05,及び u

pt2w

 / p

t2w

 = 0.01 の場合は,排気速度の相対不

確かさ u

qV

 / q

V

7

086

.

0

01

.

0

05

.

0

07

.

0

005

.

0

2

2

2

2

=

+

+

+

=

(8.67 %)となる。


27

B 8329-1

:2015

附属書 C 
(参考) 
参考文献

[1]  JIS Z 8126-1  真空技術−用語−第 1 部:一般用語

[2]  ISO 14617 (all parts),  Graphical symbols for diagrams 
[3]  JIS Q 17025:2005  試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項 
[4]  JIS Z 8000-4:2014  量及び単位−第 4 部:力学

[5]  ISO/IEC Guide 98-3,Uncertainty of measurement−Part 3: Guide to the expression of uncertainty in

 measurement

(GUM:1995)

[6] PUPP, W., HARTMANN, H.K., editors. Handbuch Vakuumtechnik: Grundlagen und Anwendungen

  [Vacuum technology handbook: Principles and applications]. Munich: Hanser, 1991. 558 p.

[7]  JOUSTEN, K., editor. Handbook of vacuum technology, BENJAMIN NAKHOSTEEN, C., translator.

  Weinheim: Wiley-VCH, 2008. 1 002 p.


28

B 8329-1

:2015

附属書 JA

(参考)

JIS

と対応国際規格との対比表

JIS B 8329-1:2015

  真空技術−真空ポンプの性能試験方法−第 1 部:共通試験方法  ISO 21360-1:2012 , Vacuum technology − Standard methods for measuring

vacuum-pump performance−Part 1: General description

(I)JIS の規定

(II) 
国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

1  適 用 範

真 空 ポ ン プ の 性 能

試 験 方 法 に つ い て
規定

 1 JIS とほぼ同じ

追加

JIS

では真空ポンプの種類によ

らず幅広く適用可能な一般規
則であることを説明

適用範囲の補足説明であり,技術

的な差異はない。

3  用 語 及
び定義

3.1  排気速度   3.1 JIS とほぼ同じ

 
 
 
 

変更 
 
 
 
 
追加

ISO

規格では式中で使用する

は,本来テストドームの体積
と定義されているが,

JIS

では,

排気速度の定義に従って式中

の記号を V

g

に変更した。

排気速度の単位として箇条 4
で定義した m

3

/h,L/s 以外も使

用できるようにした。

より正確な排気速度の理解が得

られるように変更したが技術的

差異はない。 
国際規格見直しの際,提案を行

う。

使用できる単位を追加しただけ
であり,技術的差異はない。

3.3  試験到達圧力

3.3

JIS

とほぼ同じ

変更

ISO

規格では,注記の内容は到

達圧力ではなく試験到達圧力
の説明となっているが,JIS 

は到達圧力の説明とした。

試験到達圧力は本文で定義済み

であるので注記を変更したが技
術的差異はない。

国際規格見直しの際,提案を行

う。

3.5  排気口圧力

3.5  JIS とほぼ同じ

追加

JIS

では,用語として背圧以外

に排気口圧力も使用できるよ

うにした。

使用できる用語を追加しただけ
であり,技術的差異はない。

3.7  圧縮比  3.7

JIS

とほぼ同じ

追加

ISO

規格では,3.7 の定義式と

5.5.2 の式(14)の表記とが同一
ではない。JIS では,圧縮比の

定義式を補足説明した。

補足により 3.7 の定義式と 5.5.2 の

式(14)とが同じ式であると説明し
ているだけであり,技術的差異は

ない。

28

B 83

29
-1


201

5


29

B 8329-1

:2015

(I)JIS の規定

(II) 
国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

3  用 語 及
び定義 
(続き)

3.9  流量

3.9

JIS

とほぼ同じ

追加

ISO

規格では,3.9 の定義式と

5.1.4 の式(1)の表記とが同一で
はない。JIS では,定義式を補

足説明した。

補足により 3.9 の定義式と 5.1.4 の

式(1)とが同じ式であると説明し
ているだけであり,技術的差異は

ない。

4  記 号 の
定 義 及 び
単位

記 号 の 定 義 及 び 単

位を規定 
 
 
 
 
 
 

 4 JIS とほぼ同じ

 
 
 
 
 
 
Q

V

は性能試験での気体の

流量と定義 
q

Vstd

の単位として sccm を

規定

追加 
 
 
 
 
 
 
削除 
 
追加

JIS

では,コンダクタンス,気

体の流量,排気速度,補助ポン
プの排気速度,気体の標準状態

での体積流量,ポンプが故障す

ることなく運転可能な最大流
量に使用される単位を追加し

た。

規格本文では使用されていな
い記号であり削除した。

使用できる単位を追加しただけ

であり,技術的差異はない。 
国際規格見直しの際,提案を行

う。 
 
 
 
 
 
sccm は SI 単位ではないが一般に
使用されている単位であり,注記
を追加した。技術的差異はない。

5  試 験 方
法 

5.1.5  流量計を用い
る 排 気 速 度 の 測 定

方 法 の 測 定 手 順 を
規定

 5.1.5

JIS

とほぼ同じ

追加 
 
 
 
追加

JIS

では,安全性から最大流量

Q

max

における性能試験は製造

業者の指示に従うように警告
を追加した。

JIS

では,環境温度の変化によ

って測定値が変動する可能性
がある場合について追加した。

試験ポンプの安全な運転に関し

て注意を促したものであり,技術

的な差異はない。 
 
試験ポンプの測定中の環境温度

の変化に関して注意を促したも
のであり,技術的な差異はない。

 5.1.7

結果の表示に

ついて規定

 5.1.7

JIS

とほぼ同じ

追加

JIS

では,真空計の口径を記録

することを追加した。

5.1.2 の説明と一致させるための
追加であり,技術的な差異はな

い。

 5.3.5

排気時間を用

い る 排 気 速 度 の 測

定 方 法 の 排 気 速 度

の求め方を規定

 5.3.5

JIS

とほぼ同じ

追加

JIS

では,三つの時間インター

バルのうちの Δt

3

に説明的な名

称“圧力上昇時間”を追加して
Δt

1

,Δt

2

と対比させた。

5.3.5 の説明を補足したものであ
り,技術的な差異はない。

29

B 83

29
-1


201

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B 8329-1

:2015

(I)JIS の規定

(II) 
国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

5  試 験 方
法 
(続き)

5.3.6 測定手順につ
いて規定

 5.3.6

JIS

とほぼ同じ

追加

JIS

では,環境温度又は温度変

化によって測定値が変動する
可能性がある場合について追

加した。

試験ポンプの測定中の環境温度

又は温度変化に関して注意を促
したものであり,技術的な差異は

ない。

5.4.1  試験到達圧力
の 測 定 方 法 の 運 転
条件について規定

 5.4.1

JIS

とほぼ同じ

追加 

JIS

では,環境温度の変化によ

って測定値が変動する可能性
がある場合について追加した。

試験ポンプの測定中の環境温度

の変化に関して注意を促したも
のであり,技術的な差異はない。

5.4.2  測定手順につ
いて規定 

 5.4.2

JIS

とほぼ同じ

追加 

ISO

規格では,試験到達圧力>

10

4

 Pa であるが,JIS では,

測 定 手 順 : 試 験 到 達 圧 力 ≧ 
10

4

 Pa とした。

5.4.3 は試験到達圧力<10

4

 Pa の

ため,5.4.2 で試験到達圧力 10

4

Pa 以上としただけであり,技術的
差異はない。

追加 

JIS

では,テストドーム及び試

験ポンプのベーキングを省略

できるようにした注記を追加
した。

測定結果に影響がない場合はベ

ーキングの必要性がないので,技

術的差異はない。

5.4.3  試験到達圧力
が<10

4

 Pa の場合

の測定条件を規定

 5.4.3

JIS

とほぼ同じ

変更

JIS

では,真空ポンプの上部以

外の部分でも温度測定ができ

るようにした。

真空ポンプごとに,より適した温

度測定が可能となるように追加

しただけであり,技術的差異はな
い。

5.5.1  圧縮比及び臨
界 背 圧 の 測 定 方 法

の 測 定 装 置 に つ い
て規定

 5.5.1

JIS

とほぼ同じ

追加

JIS

では,ナイフエッジフラン

ジ以外でもベーキング可能な

フランジを使用可能とした。

ベーキング可能なフランジを追

加しただけであり,技術的な差異

はない。

5.5.2  圧縮比及び臨
界 背 圧 の 測 定 方 法

の 圧 縮 比 及 び 臨 界
背 圧 の 求 め 方 を 規

 5.5.2

JIS

とほぼ同じ

追加

JIS

では,5.5.2 c)  臨界背圧の

定義を 3.6 での定義“定められ

た動作条件で連続的に運転す
ることができる”と一致させ

た。

3.6 での定義に基づいて補足説明
を追加しただけであり,技術的な

差異はない。 
国際規格見直しの際,提案を行

う。

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:2015

(I)JIS の規定

(II) 
国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

5  試 験 方
法 
(続き)

5.5.3  測定手順につ
いて規定

 5.5.3

JIS

とほぼ同じ

追加

JIS

では,環境温度の変化によ

って測定値が変動する可能性
がある場合について追加した。

試験ポンプの測定中の環境温度

又は温度変化に関して注意を促
したものであり,技術的な差異は

ない。

附 属 書 B

(参考)

測 定 の 不 確 か さ に

に つ い て の 参 考 情

附属書 B

JIS

とほぼ同じ

変更

ISO

規格では,区間表記は X

u

X

Xu

X

であったが,JIS 

は,拡張不確かさを用いた区間

表記を“XU

X

XU

X

”に訂

正した。

標準不確かさ u

X

の誤記表記であ

り,技術的な差異はない。 
国際規格見直しの際,提案を行

う。

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 21360-1:2012,MOD

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。

    −  削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
    −  追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

    −  変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。

    −  MOD……………  国際規格を修正している。

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