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B 8008-10

:2006

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本内燃機関連合会(JICEF)/日本規格協会

(JSA)

から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議

を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 8178-10:2002,Reciprocating internal

combustion engines

−Exhaust emission measurement−Part 10:Test cycles and test procedures for field

measurement of exhaust gas smoke emissions from compression ignition engines operating under transient

conditions

を基礎として用いた。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任をもたない。

JIS B 8008-10

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(規定)可変回転速度オフロード機関の試験方法

附属書 B(規定)試験サイクル E 機関の試験方法

附属書 C(規定)試験サイクル F 機関の試験方法

附属書 D(参考)加速試験方法に関する注意事項

附属書 1(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

JIS B 8008

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS B 8008-1

第 1 部:ガス状排出物及び粒子状排出物の台上測定

JIS B 8008-2

第 2 部:ガス状排出物及び粒子状排出物の現地測定

JIS B 8008-3

第 3 部:定常状態における排気煙濃度の定義及び測定

JIS B 8008-4

第 4 部:各種用途の試験サイクル

JIS B 8008-5

第 5 部:試験燃料

JIS B 8008-6

第 6 部:試験報告

JIS B 8008-7

第 7 部:エンジンファミリの定義及び決定方法

JIS B 8008-8

第 8 部:エンジングループの定義及び決定方法

JIS B 8008-9

第 9 部:圧縮点火機関の過渡状態における排気煙濃度の台上測定での試験サイクル及び

試験方法

JIS B 8008-10

第 10 部:圧縮点火機関の過渡状態における排気煙濃度の現地測定での試験サイクル及

び試験方法


B 8008-10

:2006

(2)

目  次

ページ

序文  

1

1.

  適用範囲  

1

2.

  引用規格  

2

3.

  定義  

2

4.

  記号及び単位  

5

5.

  試験条件  

5

5.1

  大気試験条件  

5

5.2

  出力  

6

5.3

  機関吸気装置  

6

5.4

  機関排気装置  

6

5.5

  給気冷却式機関  

6

6.

  試験燃料  

6

7.

  測定器及び精度  

7

7.1

  全般  

7

7.2

  試験条件  

7

7.3

  排気煙濃度の測定  

7

7.4

  精度  

8

8.

  不透過率メータの校正  

8

8.1

  全般  

8

8.2

  校正手順  

8

9.

  試験  

9

9.1

  測定機器の準備  

9

9.2

  有効光路長さ(L

A

)

の決定  

9

9.3

  不透過率メータの校正  

14

9.4

  試験サイクル  

15

10.

  データの評価及び計算  

15

10.1

  データの評価  

15

10.2

  ベッセルアルゴリズム  

16

10.3

  大気修正  

18

10.4

  試験報告  

18

11.

  排気煙濃度の測定 

18

附属書 A(規定)可変回転速度オフロード機関の試験方法  

21

附属書 B(規定)試験サイクル 機関の試験方法  

25

附属書 C(規定)試験サイクル 機関の試験方法  

30

附属書 D(参考)加速試験方法に関する注意事項  

33


B 8008-10

:2006

(3)

附属書 1(参考)JIS と対応する国際規格との対比表  

35

 


日本工業規格

JIS

 B

8008-10

:2006

往復動内燃機関−排気排出物測定−第 10 部:

圧縮点火機関の過渡状態における排気煙濃度の

現地測定での試験サイクル及び試験方法

Reciprocating internal combustion engines-Exhaust emission

measurement-Part 10:Test cycles and test procedures for field

measurement of exhaust gas smoke emissions from compression ignition

engines operating under transient conditions

序文  この規格は,2002 年に第 1 版として発行された ISO 8178-10,Reciprocating internal combustion engines

−Exhaust emission measurement−Part 10:Test cycles and test procedures for field measurement of exhaust gas

smoke emissions from compression ignition engines operating under transient conditions

を翻訳し,技術的内容を

変更して作成した日本工業規格である。

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変

更の一覧表をその説明を付けて,

附属書 1(参考)に示す。

1. 

適用範囲  この規格は,圧縮点火機関からの排気煙排出の評価を現地で行うための,試験サイクル及

び測定方法について規定する。この規格は,主に JIS B 8008-9 に従って認証又は型式認定される機関の排

気煙濃度測定要領として使用する。JIS B 8008-9 は,台上で運転される各種用途の機関における排気煙濃

度測定の試験サイクル及び試験方法について規定している。

JIS B 8008-4

は,同様にオフロード機関からのガス状排出物及び粒子状排出物を特徴付けるために使用

される各種用途における試験サイクルについて規定している。

なお,JIS B 8008-4 は,オフロード機関の各種用途の異なった運転状態を認識して作られた試験サイク

ルである。

過渡状態での排気煙濃度試験サイクルについては,排気煙濃度測定は,光消滅原理で作動する不透過率

メータを使って行う。この規格の目的は,排気煙濃度を測定し,かつ,解析するために用いる排気煙濃度

試験サイクル及び試験方法を定義することである。光消滅原理を使った排気煙濃度測定の仕様は,ISO 

11614

に規定されている。この規格の 5.11.に規定している試験手順及び測定技術は,用途にかかわらず

往復動内燃機関に適用できる。しかし,ある特定の用途については,適切な試験サイクルが決まっていれ

ば,この規格だけを用いて評価できる。この規格の

附属書 A,附属書 及び附属書 は,それぞれの附属

書の適用範囲に掲げられた特定の用途だけに関連する試験方法を規定している。これらの

附属書に規定し

た排気煙濃度試験方法は,JIS B 8008-4 で規定された機関及び機械の分類を利用している。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD


2

B 8008-10

:2006

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 8178-10:2002

,Reciprocating internal combustion engines−Exhaust emission measurement−Part

10:Test cycles and test procedures for field measurement of exhaust gas smoke emissions from

compression ignition engines operating under transient conditions (MOD)

2. 

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構

成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その

最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS B 8008-4

  往復動内燃機関−排気排出物測定−第 4 部:各種用途の試験サイクル

備考 ISO 

8178-4:1996

  Reciprocating internal combustion engines−Exhaust emission measurement−

Part 4: Test cycles for different engine applications

が,この規格と一致している。

JIS B 8008-5

  往復動内燃機関−排気排出物測定−第 5 部:試験燃料

備考 ISO 

8178-5

  Reciprocating internal combustion engines−Exhaust emission measurement−Part 5:

Test fuels

からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。

JIS B 8008-6

  往復動内燃機関−排気排出物測定−第 6 部:試験報告

備考 ISO 

8178-6

  Reciprocating internal combustion engines−Exhaust emission measurement−Part 6:

Report of measuring results and test

が,この規格と一致している。

JIS B 8008-7

  往復動内燃機関−排気排出物測定−第 7 部:エンジンファミリの定義及び決定方法

備考 ISO 

8178-7

  Reciprocating internal combustion engines−Exhaust emission measurement−Part 7:

Engine family determination

が,この規格と一致している。

JIS B 8008-8

  往復動内燃機関−排気排出物測定−第 8 部:エンジングループの定義及び決定方法

備考 ISO 

8178-8 

  Reciprocating internal combustion engines−Exhaust emission measurement−Part 8:

Engine group determination

が,この規格と一致している。

JIS B 8008-9

  往復動内燃機関−排気排出物測定−第 9 部:圧縮点火機関の過渡状態における排気煙濃

度の台上測定での試験サイクル及び試験方法

備考 ISO 

8178-9:2000

  Reciprocating internal combustion engines−Exhaust emission measurement−

Part 9: Test cycles and test procedures for test-bed measurement of exhaust gas smoke emissions from

compression ignition engines operating under transient conditions

からの引用事項は,この規格の

該当事項と同等である。

ISO 11614:1999

  Reciprocating internal combustion compression − ignition engines − Apparatus for

measurement of the opacity and for determination of the light absorption coefficient of exhaust gas

3. 

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

3.1 

排気煙(exhaust gas smoke)  燃焼又は熱分解の結果,ガス中に浮遊する,目視できる固体及び/又は

液体の微粒子。

備考  黒煙(すす)は,主としてカーボン微粒子から成る。青煙は,通常,燃料又は潤滑油の不完全

燃焼の結果としての粒子である。白煙は,通常,水蒸気及び/又は液体燃料である。黄煙は,

二酸化窒素(NO

2

)

に起因する。


3

B 8008-10

:2006

3.2 

透過率

τ

 (transmittance)

  光源からの光が,排気煙を通過したとき,測定者又は測定器の受光部に

到達する割合(%)。

3.3 

不透過率 N (opacity)  光源からの光が,排気煙を通過したとき,測定者又は測定器の受光部への到

達が妨げられた割合(%)。N=100–

τ

で求める。

3.4 

光路長さ(optical path length)

3.4.1 

有効光路長さ L

A

 (effective optical path length)

  不透過率メータの光源と受光部との間の排気煙で

光が妨げられた長さ(m)。必要に応じて排気煙濃度のこう配及びへり(周辺)効果による非一様性に対して

修正される。

備考1. 9.2に現地の排気装置でのL

A

の決定方法及び測定機器の設置方法を示す。

2. 

光源から受光部までの全光路長さのうち,排気煙が光を妨げない部分は,有効光路長さに含

まない。

3.4.2 

標準有効光路長さ L

AS

 (standard effective optical path length)

  測定された不透過率の値を比較する

ための基準長さ(m)。

備考  L

AS

の値は,10.1.4 に定義されている。

3.5 

光吸収係数 k (light absorption coefficient)  排気煙及び排気煙を含んだガスのサンプルが,光を妨げ

る能力を定量化する基本的係数(m

-1

)

備考  光吸収係数は,単位排気体積中の排気煙粒子数,排気煙粒子の粒径分布及び粒子の光吸収特性・

散乱特性の関数である。青煙,白煙,黄煙又は灰がないとき,すべてのディーゼル排気のサン

プルでは,粒径分布と光吸収特性・散乱特性とは同様であり,光吸収係数は基本的に排気煙の

粒子密度の関数である。

3.6 

ベア・ランベルトの法則(Beer-Lambert law)  光吸収係数(k),不透過率(N)又は透過率(

τ

)

,及び有効

光路長さ(L

A

)

の間の物理的な関係を表す法則。

備考  光吸収係数(k)は,直接には測定できないので,不透過率(N)又は透過率(

τ

)

,及び有効光路長さ

(L

A

)

が既知の場合には,光吸収係数(k)を計算するためにベア・ランベルトの法則を用いる。

=

100

ln

1

A

τ

L

k

  (1)

=

100

1

ln

1

A

N

L

k

  (2)

3.7 

不透過率メータ(opacimeter)  光学的方法による透過率を使用した,排気煙濃度を測定する装置。

3.7.1 

全流形不透過率メータ(full-flow opacimeter)  排気の全流が測定室を通過する不透過率メータ。

3.7.1.1 

全流形エンドオブライン不透過率メータ(full-flow end-of-line opacimeter)  排気管端に取り付け

られ,排気全量の不透過率を測定する装置。

備考  この形式の不透過率メータの光源と受光部とは,排気を挟んで対向し,排気管の開放端に設置

する。この形式の不透過率メータを適用する場合には,有効光路長さは,排気管の形状及び排

気管端とメータとの距離によって決定される。

3.7.1.2 

全流形インライン不透過率メータ(full-flow in-line opacimeter)  排気管内において,排気全量の不

透過率を測定する装置。


4

B 8008-10

:2006

備考  この形式の不透過率メータの光源及び受光部は,排気管の内壁に対向する位置に設置される。

この形式の不透過率メータの場合には,有効光路長さはその測定装置によって決まる。

3.7.2 

分流形不透過率メータ(partial-flow opacimeter)  全排気流れの代表的な一部をサンプルとして不

透過率を測定する装置。サンプルは,測定室内を通る。

備考  この形式の不透過率メータの場合には,有効光路長さは,その測定装置によって決まる。

3.7.3 

不透過率メータの応答時間(opacimeter response time)

3.7.3.1 

不透過率メータの物理的応答時間 t

p

 (opacimeter physical response time)

  測定されるガスの光吸

収係数が 0.01 秒未満で変化する場合に,

信号処理前の 信号が全偏差の 10 %及び 90 %に達する時間の差。

備考  分流形不透過率メータの物理的応答時間は,サンプリングプローブ及びトランスファーチュー

ブによって定義される。物理的応答時間に関するその他の情報は,ISO 11614 の 8.2.1 及び 11.7.2

に規定されている。

3.7.3.2 

不透過率メータの電気的応答時間 t

e

 (opacimeter electrical response time)

  不透過率又は光消滅係

数が 0.01 秒未満で変化する場合に,装置の出力信号又は表示がフルスケールの 10 %から 90 %に達する時

間の差。

備考  電気的応答時間に関するその他の情報は,ISO 11614 の 8.2.3 及び 11.7.3 に規定されている。


5

B 8008-10

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4. 

記号及び単位  この規格で用いる記号及び単位は,表 による。

  1  用語の記号及び単位

記号

用語

単位

ベッセル関数の定数

ベッセル定数

f

a

 

大気条件係数

f

c

 

ベッセルフィルタの遮断周波数

s

-1

光吸収係数

m

-1

k

corr

 

周囲条件を補正した光吸収係数

m

-1

k

obs

 

観測された光吸収係数

m

-1

ベッセル定数

K

s

 

排気煙大気補正係数

L

A

 

有効光路長さ m

L

AS

 

標準有効光路長さ m

不透過率

N

A

 

有効光路長さにおける不透過率

N

AS

 

標準有効光路長さにおける不透過率

p

me

 

正味平均有効圧力 kPa

p

s

 

乾き状態の大気圧力 kPa

機関出力 kW

S

i

 

排気煙濃度の瞬時値

m

-1

又は%

Δ

データのサンプリング間隔(=1/サンプリング周波数) s

t

Aver

 

全応答時間 s

t

e

 

不透過率メータの電気的応答時間 s

t

F

 

ベッセル関数のフィルタ応答時間 s

t

p

 

不透過率メータの物理的応答時間 s

T

a

機関の吸入空気温度 K

要求された全応答時間 s

Y

i

 

ベッセル平均排気煙濃度

m

-1

又は%

ρ

 

乾き状態の空気密度 kg/m

3

τ

 

排気煙の透過率 %

Ω

 

ベッセル定数

5. 

試験条件

5.1 

大気試験条件

5.1.1 

試験条件の変数  機関の吸入空気温度 T

a

(K)

及び乾き状態の大気圧力 p

s

(kPa)

を測定し,大気条件係

数 f

a

を式(3)∼(5)によって求める。

無過給又は機械過給圧縮点火機関及びウエィストゲート付き圧縮点火機関では,式(3)による。

7

.

0

a

s

a

298

99

×





=

T

p

f

  (3)

備考  この式は,試験サイクルでウエィストゲートが作動している場合には,式(3)を使用する。試験


6

B 8008-10

:2006

サイクルでウエィストゲートが作動していない場合には,冷却方式によって,式(4)又は(5)を用

いる。

給気冷却器なし又は空冷式給気冷却器付きターボ過給機関では,次の式による。

2

.

1

a

7

.

0

s

a

298

99

×





=

T

p

f

   (4)

液冷式給気冷却器付きターボ過給機関では,次の式による。

7

.

0

a

7

.

0

s

a

298

99

×





=

T

p

f

  (5)

5.1.2 

試験の妥当性  試験を妥当と認めるには,大気条件に関して,係数 f

a

が次の条件を満足することが

望ましい。

07

.

1

93

.

0

a

≦ f

  (6)

f

a

がこの範囲にあるときに得られた排気煙濃度は,10.3 に従って補正する。この範囲から外れた条件で

の試験結果は,JIS B 8008-9 による試験結果との比較はできない。

追加基準を 7.3.4(不透過率メータのゼロドリフト)並びに

附属書 A,附属書 及び附属書 C(試験サイ

クルに関する追加基準)に示す。

5.2 

出力  機関の運転に直接必要のない補機は,試験時には作動しないようにする。作動を止めること

のできない場合には,試験時に補機の出力が最小となるようにする。このような補機の一例を,次に示す。

−  空気圧縮機

−  パワーステアリング用ポンプ

−  空調用圧縮機

−  油圧機器用ポンプ

−  補助電気装置(電灯,ブロワなど)

5.3 

機関吸気装置  吸気装置の漏れ,クランプ又は継手のゆるみ,脱落を検査する。エアクリーナの状

態を含め,吸気装置の状態を記録する。

5.4 

機関排気装置  排気装置の漏れ,クランプ又は継手のゆるみ,脱落を検査する。排気装置の状態を

記録する。

5.5 

給気冷却式機関  給気冷却装置の漏れ,クランプ又は継手のゆるみ,脱落を検査する。給気冷却装

置の状態を記録する。

6. 

試験燃料  燃料の特性は,機関排気煙濃度に影響を与える。JIS B 8008-9 に従って実施した排気煙濃

度試験は,一般的に認証試験又は型式認定試験であるので,規格に明記されている燃料を使用している。

しかし,現地測定では一般的に標準燃料を使用することができない。標準燃料による排気煙濃度測定がで

きなかった機関では,試験に使用した燃料の性状を測定し,試験結果を記録して提出する。

JIS B 8008-5

に標準燃料として規定された燃料を用いる場合には,標準コード及び燃料分析結果を用意

する。他の燃料の場合に記録すべき特性は,JIS B 8008-5 のデータシートに記載された項目とする。

燃料の選定は,試験目的による。受渡当事者間の合意がある場合を除き,

表 に従って選定する。

受入れ試験で使用する燃料は,機関製造業者が技術資料で認めている燃料特性範囲であることが望まし


7

B 8008-10

:2006

い。適切な燃料が入手できない場合には,標準燃料になるべく近い特性の燃料を用いてもよい。その場合,

その燃料の性状を公表する。

  2  試験燃料の選定

試験の目的

関係者

燃料の選定

型式認定(認証) 1.

認定機関

2.

製造業者又は供給者

規定されている場合は標準燃料 
規定されていない場合は市販燃料

検査又は維持試験 1.

製造業者又は供給者

2.

使用者又は検査官

製造業者が規定する市販燃料(

1

)

研究開発

製造業者,研究機関,燃料供給者又は潤滑油供給者

試験の目的に適合する燃料

(

1

)

使用者及び検査官は,市販燃料で実施した試験では必ずしも標準燃料を用いた場合の試験結果に匹敵す

る結果が得られないことを承知しておく必要がある。

7. 

測定器及び精度

7.1 

全般  現地で排気煙濃度を測定するために使用する測定器の要求仕様を 7.3 に示す。

7.2 

試験条件

7.2.1 

全般  この規格では,機関回転速度,圧力及び温度の測定器の詳細を規定せず,これらの測定器の

要求精度だけを 7.4 に示す。

7.2.2 

機関回転速度  試験が正確に行われていること,及び,機関の不具合を避けるための機関の調速機

が正常に制御していることを確認するために,機関回転速度を測定する。

不適切なローアイドル又はハイアイドル回転速度で排気煙濃度の測定を行うと,その試験結果は,JIS B 

8008-9

に従って行った試験の結果と異なる。

7.2.3 

大気温度  排気煙濃度を大気条件によって修正し,JIS B 8008-9 の規定に基づいた基準に適合した

機関であることを確認するために,大気温度(乾球温度)を測定する。

7.2.4 

乾き状態の大気圧力  排気煙濃度を大気圧力によって修正し,JIS B 8008-9 の規定に基づいた基準

に適合した機関であることを確認するために,乾き状態の大気圧力を測定する。乾き状態の大気圧力は,

通常,測定された湿り状態の大気圧力(通常の大気圧力)から水蒸気圧力を差し引いて求める。水蒸気圧

力は,通常,露点温度又は乾湿球温度から求める。

7.3 

排気煙濃度の測定

7.3.1 

全般  過渡状態での排気煙濃度試験は,不透過率メータタイプのスモークメータを使って行う。全

流形インライン不透過率メータ,全流形エンドオブライン不透過率メータ及び分流形不透過率メータの,

三つの異なるタイプの不透過率メータを使用できる。この三つの不透過率メータに対する仕様は,7.3.2 

よる。過渡状態での試験に対する温度修正は確立されていないため,この規格では排気煙濃度の測定結果

の温度修正を規定しない。

7.3.2 

不透過率メータの仕様全般  排気煙濃度試験は,三つの機能をもつ排気煙濃度の測定及びデータ処

理システムを使用する。これらは,一つの構成要素に組み込まれるか,又は相互接続する構成要素のシス

テムとして提供される。三つの機能は,次による。

−  7.3.37.3.9 の仕様を満たしている全流形又は分流形不透過率メータ。不透過率メータの詳細仕様は,

11.

並びに ISO 11614 の 及び に規定されている。

附属書 A,附属書 又は附属書 に対応して,10.2 及び 10.3 で規定する機能を実施することができ


8

B 8008-10

:2006

るデータ処理装置。

附属書 A,附属書 又は附属書 に対応して,要求される排気煙濃度を,記録及び出力するプリンタ

及び電子記憶媒体。

7.3.3 

直線性  直線性は,不透過率メータによって測定された値と校正器の標準値との差である。直線性

は,不透過率±2  %を超えてはならない。

7.3.4 

ゼロドリフト  試験の全時間又は 1 時間のいずれか短いほうのゼロドリフトは,不透過率±0.5  %

又はフルスケールの 2  %のいずれか小さいほうを超えてはならない。

7.3.5 

不透過率メータの表示及びレンジ  不透過率及び光吸収係数の両方の表示に対して,不透過率メー

タは,試験している機関の排気煙濃度を正確に測定する測定レンジをもたなければならない。分解能は,

少なくともフルスケールの 0.1  %とする。

選択された光路長さは,校正,測定及び計算における誤差を最小限にするために,測定される排気煙濃

度に対して適切でなければならない。

7.3.6 

測定器の応答時間  不透過率メータの物理的応答時間は,0.2 秒を超えてはならない。また,不透

過率メータの電気的応答時間は,0.05 秒を超えてはならない。

7.3.7 

分流形不透過率メータに対する採取要求事項  採取要求事項は,JIS B 8008-9 の 11.3 による。

7.3.8 

光源  光源は,JIS B 8008-9 の 11.2 及び 11.3 の要求事項による。

7.3.9 ND

フィルタ  不透過率メータの校正及び点検に使用するすべての ND フィルタは,不透過率±

1

%の精度をもつものとする。フィルタの公称値は,国家標準又は国際標準に基づく方法を用いて,少な

くとも毎年検査を行う。

備考 ND フィルタは,精密装置であり,使用中に容易に損傷する可能性がある。取扱いは最小限に

し,フィルタを汚したり,きずを付けたりしないように注意する。

7.4 

精度  すべての測定器の校正は,国家標準又は国際標準に対してトレーサビリティがあり,表 

満たさなければならない。

  3  機関関連項目に対する測定器の許容誤差

項目

許容誤差

校正間隔

機関回転速度

測定値の±5  %

3

か月

大気温度

±2 K

3

か月

大気圧力

読み値の±0.5  %

3

か月

大気の相対湿度

±3 相対湿度%

3

か月

備考  JIS B 8008-1 では吸入空気温度を測定することになっているが,この規格では大

気温度を使用する。機関の据付け状態によっては,この二つに違いが生じる。

8. 

不透過率メータの校正

8.1 

全般  不透過率メータは,適切な頻度で校正する。使用する校正方法は,8.2 による。

8.2 

校正手順

8.2.1 

暖機時間  不透過率メータは,製造業者の推奨する方法に従って暖機し安定させる。不透過率メー

タに光学機器のすすによる汚れを防ぐパージエア装置を備えている場合には,この装置も製造業者の推奨

する方法に従って起動し,調整する。


9

B 8008-10

:2006

8.2.2 

直線性応答の確認  不透過率表示モードで,光線の妨害物なしの状態で,表示を不透過率(0.0±

0.5)

%に調整する。

不透過率メータの受光部に届くすべての光を遮り,表示を不透過率(100.0±0.5)  %に調整する。

不透過率メータの直線性は,製造業者の推奨する方法に従って定期的に検査する。7.3.9 の要求事項を満

たす不透過率 30  %と不透過率 60  %との間の ND フィルタを不透過率メータに組み込み,その値を記録す

る。測定器の不透過率の表示と ND フィルタの公称値との差が不透過率±2  %でなければならない。この

値を超えている場合には,どのような非直線性でも,試験の前に修正する。

9. 

試験

9.1 

測定機器の準備  不透過率メータ及び採取プローブ(該当する場合)は,マフラ又は各種後処理装

置がある場合には,それらの後に取り付ける。取付けは,機器製造業者の推奨する取付け手順による。大

気が排気管に入り排気の流れと混合するように設計されている排気装置において,JIS B 8008-9 の測定結

果と比較する場合には,排気煙測定は,この混合が起こる上流で行う。さらに,これらは ISO 11614 の 10

の要求事項による。全流形エンドオブライン不透過率メータを用いる場合には,L

A

は車両の排気装置及び

メータをテールパイプに取り付ける方法によって決まる。現地で使用される排気管の種々のタイプに対す

る L

A

の決定を,9.2 に示す。機械によっては,排気装置への取り付けやすさが制限され,これらの推奨に

従って測定装置を取り付けられない場合がある。この場合には,排気煙測定結果を JIS B 8008-9 の結果と

比較するのは適切でない。

過度に風が強い状態では,測定を避ける。排気を採取する場所,又は排気煙を測定する場所で,風が排

気煙の大きさ,形又は位置を乱すとき,風は過度であると考える。機械を風が当たらない場所に設置する

ことによって,風の影響を排除又は減らしてもよい。また,採取域又は測定域で,風による排気煙への影

響を排除する測定装置を使ってもよい。

目に見える湿気(雨,霧又は雪)は,採取域又は測定域に存在してはならない。直射日光が,排気煙又

は受光部に当たらないよう注意する。測定装置によっては,これらの影響を排除するものもある。

9.2 

有効光路長さ(L

A

)

の決定

9.2.1 

全般  光源から受光部までの全光路長さのうち,排気煙が光を妨げない部分は,有効光路長さに含

まない。もし,不透過率メータの光線が排気管出口に十分接近した位置(70 mm 以内)にあるならば,不

透過率メータを通る排気煙の断面形状は,本質的に不透過率メータの光線の方向に沿う排気管出口形状と

同じものである。一般に,有効光路長さは,排気管出口を直接測定し決める。不透過率±2  %の精度で排

気煙濃度の測定結果を得るには,L

A

の測定を±6  %にする(有効光路長さの誤差による不透過率の誤差は,

不透過率が約 60  %のとき最大となり,これより低い不透過率,又は高い不透過率では,有効光路長さの

誤差はこれより大きくてもよい。

。最小の標準有効光路長さ(0.038 m)としたときの±6 %は,0.002 m の精

度と等しくなる。

特に,現地での試験では,機械のテールパイプ出口に近寄り,直接測定することは,しばしば困難であ

る。そのため,もし機関製造業者に異議がなければ,排気管径の 3 倍から最大 30 倍の長さの排気延長管を

使用してもよい。その接続部は空気で排気が希釈されないよう密封する必要がある。

一般的なテールパイプの形状に関して,容易に測定できる排気装置の外形寸法から,L

A

を正確に決める

ことができる。9.2.2 に,一般的なテールパイプの形状,並びに決定に関する原則及び手順を示す。

9.2.2 

テールパイプの外径及び内径


10

B 8008-10

:2006

9.2.2.1 

全般  機械で用いられるほとんどのテールパイプは,種々の標準呼び径の金属管でできている。

呼び径は管の外径(OD)に基づいているのに対して,L

A

に影響するのはテールパイプの内径(ID)である。テ

ールパイプの外径と内径との違いは管の肉厚の 2 倍であるが,通常は影響は小さい。テールパイプの外径

寸法を有効光路長さとして使用して求めた修正排気煙濃度は,真の修正排気煙濃度よりやや小さめの値と

なる(<1 %  不透過率)

。この小さい誤差は,ほとんどの場合には許容できる。しかし,非常に高い精度

が要求される場合,又はテールパイプの肉厚が著しく大きい場合には,L

A

の決定に肉厚を考慮する。

9.2.2.2 

円形断面の直管で終端部が斜め形状でないテールパイプ  使用されている最も簡単なテールパ

イプの形状を,

図 に示す。この場合には,不透過率メータの光線は排気煙の中心軸に対して直角,かつ,

中心軸を通過するようにし,さらに,テールパイプの出口から 50 mm 以内に設置する。これらの規定に従

う場合,L

A

はテールパイプの内径に等しくなるが,通常テールパイプの外径で十分に近似できる(9.2.2.1

参照)

(

1

)

排気流れ

(

2

)  L

A

:テールパイプの内径(肉厚が 1.5 mm より小さいときは,テールパイプの外径)

(

3

) 50

mm

以内

  1  円形断面の直管で終端部が斜め形状でないテールパイプ

9.2.2.3 

円形断面の直管で終端部が斜め形状のテールパイプ  テールパイプの出口が排気の流れ軸に対

して直角には切られていない,斜め形状のテールパイプがある。この形のテールパイプに対しては,推奨

できる不透過率メータの取付け方向はただ一つしかない。不透過率メータの光線は,排気煙の中心軸に対

して直角,かつ,中心軸を通過し,テールパイプ出口のだ円形状の短軸に平行とする。また,不透過率メ

ータの光線はテールパイプの出口から 50 mm 以内に設置する(

図 参照)。これらの規定に従うと L

A

はテ

ールパイプの内径に等しいが,通常テールパイプの外形で十分に近似できる(9.2.2.1 参照)


11

B 8008-10

:2006

(

1

) 50

mm

以内

(

2

)  L

A

:テールパイプの内径  (肉厚が 1.5 mm より小さいときは,テールパイプの外径)

 2A  円形断面の直管で終端部が斜め形状のテールパイプ

(推奨する不透過率メータの配置)

(

1

)

光線が排気流れに直角でないので推奨できない。

(

2

)

通常 は 50 mm 以上になるため推奨できない。

 2B  円形断面の直管で終端部が斜め形状のテールパイプ

(推奨しない不透過率メータの配置)


12

B 8008-10

:2006

9.2.2.4 

円形断面の管で湾曲したテールパイプ  テールパイプの中心軸が出口に湾曲して近づいていて,

出口の断面が円形ではない,湾曲形状のテールパイプがある。このタイプのテールパイプを使用している

場合には,誤って低く読み取るのを避けるため,不透過率メータの光線は排気煙の中心軸に対して直角,

かつ,中心軸を通過し(必ずしも管の中心線ではない)

,テールパイプ出口形状の短軸に平行とする。また,

不透過率メータの光線は,テールパイプの出口から 50 mm 以内に配置する(

図 参照)。これらのガイド

ラインに従うと L

A

はテールパイプの内径に等しく,通常テールパイプの外径で十分に近似できる(9.2.2.1

参照)

不透過率メータの光線がテールパイプ出口形状の短軸に平行でないように不透過率メータを配置し

てもよいが,この場合には,直接測定によって L

A

を決定しなければならない。

(

1

) 50

mm

以内

(

2

)  L

A

:出口の短い方の軸でテールパイプの内径

(肉厚が 1.5 mm より小さいときはテールパイプの外径)

(

3

)  L

A

:出口の長い方の軸

L

A

>テールパイプの内径(直接測定で決定する)

  3  円形断面で湾曲したテールパイプ


13

B 8008-10

:2006

9.2.2.5 

非円形断面のテールパイプ  断面が円形でないテールパイプがある。このタイプのテールパイプ

を使用している場合には,不透過率メータの光線が排気煙の中心軸に直角に,かつ,中心軸を通過するよ

うにし,テールパイプの出口から 50 mm 以内に設置する。これらの場合には,L

A

は直接計測で決定する。

テールパイプの断面が長円形状又はだ円形状の場合には,L

A

の測定を容易にするため,不透過率メータの

光線は,テールパイプ断面の長軸又は短軸に合わせる(

図 参照)。

(

1

) 50

mm

以内

(

2

)  L

A

:短軸(直接測定で決定する)

(

3

)  L

A

:長軸(直接測定で決定する)

 4A  非円形断面のテールパイプ(推奨する不透過率メータの配置)

(

1

) 50

mm

以内

(

2

)

長軸又は短軸の測定が難しいため推奨できない。

 4B  非円形断面のテールパイプ(推奨しない不透過率メータの配置)


14

B 8008-10

:2006

9.2.2.6 

レインキャップ  レインキャップが全開でない状態では,全流形エンドオブライン不透過率メー

タで排気煙濃度測定をしてはならない。レインキャップがある場合には,排気煙濃度測定の前に,それを

取り外すか,又は安定した全開位置で固定しなければならない。レインキャップを取り外さずに不透過率

メータを取り付けるときは,キャップが排気煙と干渉しないように,又は不透過率メータの光線を遮らな

いように設置しなければならない(

図 参照)。

(

1

) 50

mm

以内

備考  レインキャップを全開位置で固定。不透過率メータは光線が全開状態のレインキャップに

干渉しないように設置する。

  5  レインキャップ

9.2.2.7 

下向き誘導排気  機械によっては車台の下側に水平排気装置を取り付けている。これらの排気装

置は,通常,地面に向かって排気を誘導する湾曲したテールパイプをもっている。

このタイプの排気装置をもつ機械で,全流形エンドオブライン不透過率メータを使用するときには,注

意が必要である。場合によっては,排気が地面から跳ね返り,不透過率メータの光線を再通過し,誤って

高い排気煙濃度測定になるからである。この状態は,ちりが排気の再通過によって運ばれると更に悪化す

る。

ほとんどの場合,この状態を防ぐことはできないが,下向き誘導排気装置をもつ機械で測定するときに

は,測定者がこの再通過が発生しているかどうか観察した方がよい。再通過が排気煙濃度測定に影響を及

ぼしているようなら,測定結果は(異常に高く)信頼できないと考え,注意して使用する。

9.3 

不透過率メータの校正  ゼロ及びフルスケールの検査の前に,機器製造業者の推奨する手順に従っ

て不透過率メータを暖機し安定させる。不透過率メータに光学系測定部のすすによる汚れを防ぐパージ用

空気装置を装着している場合には,この装置も機器製造業者の推奨する手順に従って起動し,調整する。

ゼロ及びフルスケールの点検は,不透過率(N)表示モードで行う。試験のために測定器を光吸収係数(k)

表示モードに戻せば,不透過率(N)の測定値及び濃度計製造業者の示す L

A

によって,光吸収係数(k)を正確

に計算できる。

不透過率メータの光路を全く遮らない状態にして,表示値を不透過率(0.0±0.5)  %に調整する。受光部

に光が全く到達しないようにして,表示値を不透過率(100.0±0.5) %に調整する。


15

B 8008-10

:2006

9.4 

試験サイクル  供試機関は,附属書 の記載事項を考慮するとともに,附属書 A,附属書 及び附

属書 に規定する試験サイクルで測定する。

備考  一定回転速度オフロード機関の試験サイクルは,JIS B 8008-9 で規定する。

試験を行う前に次の事項を完了する。

a)

機械が手動のトランスミッションを装備している場合には,トランスミッションを中立位置に置き,

クラッチをはずす。機械が自動のトランスミッションを装備している場合には,トランスミッション

を,パーキング位置に置く。それが不可能な場合は,中立位置に置く。

b)

機械は,試験中,動かないよう拘束する。

c)

機械の空調は停止する。

d)

機関が排気ブレーキを装備しているとき,試験中は作動しないようにしておく。

e)

機関又は機械に取り付けたすべての装置,及び機関の標準加速特性を変えるもの(例えば,ライト及

びその他の補機類)は,試験の前に停止する。

f)

機械に関するすべての備品及び附属品は,安全な位置に置く。必要なら,動かないように拘束する。

10. 

データの評価及び計算

10.1 

データの評価

10.1.1 

不透過メータに対する一般要求事項  排気煙濃度測定は,20 Hz 以上のサンプリング周波数で行う。

排気煙濃度は,必要ならば,不透過率メータの光路長さの差異,排気煙濃度の単位(10.1.210.1.3 及び 10.1.4

参照)及び大気条件(10.3 参照)による修正を行う。排気煙濃度のデータは,10.2 に示すベッセルアルゴ

リズムによって処理をする。

10.3

には,サンプル管の長さは,排気煙濃度の出力波形に影響してはならないと規定している。ただし,

サンプル管の長さが,排気煙濃度の出力波形に影響しなくても,排気煙の発生時期と測定時期との間に時

間差が生じることがある。排気煙濃度出力波形の解析は,排気装置内の排気の移動に伴う遅れ時間を考慮

する。

排気煙濃度は,適合する

附属書によって計算する。

10.1.2 

ベア・ランベルト(Beer-Lambert)の関係  ベア・ランベルトの法則は,式(7)に示すように透過率,

光吸収係数及び有効光路長さの関係を定義している。

A

100

kL

e

=

τ

   (7)

透過率及び不透過率の定義から,それらの変数の関係は,式(8)のように定義される。

τ

=100

N

  (8)

式(7)及び式(8)から,次の関係が得られる。

×

=

A

AS

100

1

1

100

A

AS

L

L

N

N

  (9)

×

=

100

1

ln

1

A

A

N

L

k

   (10)


16

B 8008-10

:2006

10.1.3 

データ変換  測定された排気煙濃度から報告書に記載するのに適切な単位への変換には,

2

段階の

過程がある。すべての不透過率メータの基本測定単位は透過率であるから,すべての場合において,最初

に透過率

τ

から式

(8)

を用いて,測定時の有効光路長さでの不透過率

  N

A

に変換する。多くの不透過率メー

タでこの過程は,メータの内部で行われる。

2

番目の過程は,次に示すように,

N

A

から求める報告書に記載する単位に変換する。

試験結果を不透過率の単位で報告する場合には,式

(9)

を用いて,測定時の有効光路長さでの不透過率

  N

A

から標準有効光路長さでの不透過率

  N

AS

に変換する。

備考

測定時と標準の有効光路長さが同一である場合は,

N

AS

N

A

と等しくなり,この

2

番目の変換

過程は,必要としない。

光吸収係数を試験結果として報告する場合には,式

(10)

を用いる。

10.1.4 

有効光路長さの入力値  式

(10)

を使用するためには,測定時の有効光路長さ

  L

A

を使用する必要が

ある。式

(9)

を使用する場合の値は,

L

A

と標準有効光路長さ

L

AS

との両方を用いる。

全流形エンドオブライン不透過率メータの場合の

L

A

は,機関の排気管形状の関数とする(9.2 参照)

分流形(サンプリング式)不透過率メータ及び全流形インライン不透過率メータの場合には,

L

A

は,測

定器の測定室及びパージエア装置の寸法から固定される値になる。機器製造業者から提供される詳細な数

値は,これらの不透過率メータを使用するときに,

L

A

の値として測定時に用いる。

排気煙濃度測定結果の変換を不透過率±

2

%の精度で行うには,最小の場合

0.002 m

の精度で

L

A

を求め

る必要もある(9.2 参照)

不透過率の指示は,測定器の有効光路長さに依存する。規制値が不透過率

(

)

で設定されていることか

ら,規制値が規定された標準有効光路長さ(管径)に変換する。排気煙濃度の有効な比較のために,不透

過率を,

表 に示す標準有効光路長さ

  L

AS

で報告する。しかし,排気煙濃度不透過率は標準光路長さ以外

の長さで測定してもよい。

表 を適用するために,機関出力を測定する必要はない。機関出力は,機関銘板,機関取扱説明書又は

機関の認証若しくは型式認定に使用した数値のいずれかを用いることができる。機関出力が決まっていな

い場合には,機関が不透過率で表す規制値に適合していることの評価をしてはならない。

  4  標準有効光路長さ

機関出力

P (kW)

標準有効光路長さ

L

AS

(m)

                        P

<37

                37

P<75

                75

P<130

              130

P<225

              225

P<450

                        P

≧450

0.038

0.050

0.075

0.100

0.125

0.150

10.2 

ベッセルアルゴリズム

10.2.1 

全般  瞬時の排気煙濃度読み値の平均値を計算するためには,ベッセルアルゴリズムを用いる。こ

のアルゴリズムは,光吸収係数として表される排気煙濃度値に適用する。排気煙濃度の不透過率が

40

未満の場合には,このアルゴリズムは,不透過率信号に適用しても無視できる誤差である。このアルゴリ

ズムは,二次のローパスフィルタを模擬しており,係数の決定に反復計算を必要とする。これらの係数は,


17

B 8008-10

:2006

不透過率メータシステムの応答時間及びサンプリング周波数の関数である。したがって,システム応答時

間及び/又はサンプリング周波数が変われば,10.2.2 で規定する計算をやり直さなければならない。

10.2.2 

フィルタ応答時間及びベッセル定数の計算  要求されるベッセル関数応答時間

(t

F

)

は,3.7.3 に定義

するような不透過率メータシステムの物理的応答時間,電気的応答時間,及び必要な要求された全応答時

X

の関数であり,式

(11)

によって計算する。

(

)

2

e

2

p

2

F

t

t

X

t

+

=

   (11)

ここに,

t

p

物理的応答時間(秒)

t

e

電気的応答時間(秒)

t

p

及び

t

e

の両方が

X

7.3.6 参照)より十分小さく,かつ,

t

p

及び

t

e

の両方が過渡試験の時間より十分小

さい場合には,異なる不透過率メータを共通の応答時間に調整するために,式

(11)

を用いてもよい。

ベッセルフィルタの遮断周波数

(f

c

)

を見積もるための計算は,

0.01

秒未満の

0

1

のステップ入力によっ

て行う

(

JIS B 8008-9

附属書 参照

)

。応答時間は,このステップ関数に対して,ベッセル出力が

10 %

達したとき

(t

10

)

から

90 %

に達したとき

(t

90

)

までの時間と定義する。

f

c

は,

F

10

90

t

t

t

になるまで反復計算し

て,求めなければならない。

1

回目の反復計算の

f

c

は,式

(12)

によって計算する。

F

c

t

f

×

=

10

π

  (12)

ベッセル定数

E

及び

K

は,式

(13)

及び式

(14)

によって計算する。

2

3

1

1

Ω

Ω

×

+

×

×

+

=

D

D

E

   (13)

(

)

1

1

2

2

×

×

×

=

Ω

D

E

K

   (14)

ここに,

  D=0.618034

サンプリング周波数

1

=

Δt

(

)

c

tan

1

f

t

×

×

=

Δ

π

Ω

ステップ入力 S

i

における のベッセル平均応答は,及び の値を用いて式(15)によって計算する。

(

)

(

)

2

i

1

i

2

i

2

i

1

i

i

1

i

i

4

2

×

+

×

+

×

+

×

+

=

Y

Y

K

Y

S

S

S

E

Y

Y

(15)

ここに,  S

i-2

=S

i-1

=0

S

i

=1

Y

i-2

=Y

i-1

=0

t

10

及び t

90

の時間は,補間する。t

90

と t

10

との時間の差を,その f

c

のときの応答時間 t

F

と定義する。もし

この応答時間が要求される応答時間に十分近くなければ,実際の応答時間が,式(16)のように必要な応答

時間の 1 %以内になるまで,反復計算を続ける。

(

)

F

F

10

90

01

.

0

t

t

t

t

   (16)

備考  フィルタリングについてのベッセルアルゴリズムは排気煙濃度測定の新しい手順であるので,

ベッセルフィルタの説明,

ベッセルアルゴリズムの設計例及び最終排気煙濃度の計算例を JIS B 

8008-9

附属書 に示した。ベッセルアルゴリズムの定数は不透過率メータの設計及びデータ

収集システムのサンプリング周波数だけに依存している。不透過率メータの製造業者は異なる

サンプリング率についての最終のベッセルフィルタ定数を準備し,使用者はベッセルアルゴリ

ズムの設計及び排気煙濃度値の計算に対しこれらの定数を使うことを推奨する。


18

B 8008-10

:2006

10.2.3 

ベッセル平均した排気煙濃度の計算  適切なベッセル定数 及び は,10.2.2 によって計算し,ベ

ッセルアルゴリズムは,式(15)を用いて排気煙濃度の瞬時値の出力波形に適用する。

ベッセルアルゴリズムは,再帰計算なので,アルゴリズムを開始させるために,初期入力値 S

i-1

及び S

i-2

並びに初期出力値 Y

i-1

及び Y

i-2

を必要とする。これらは 0 とみなしてもよい。

ベッセル平均した排気煙濃度の結果は,

附属書 Aに規定する排気煙濃度を計算するために用いる。

10.3 

大気修正

10.3.1 

全般  使用過程の排気煙濃度を規制値と比較する場合は,大気条件による修正を行う。f

a

が 0.93∼

1.07

の範囲内であれば,式(19)によって修正する。

修正式は f

a

が 0.93  ∼1.07 の範囲外では確認されていない。この範囲外の排気煙測定値は式(19)によって

修正してもかまわないが,結果は JIS B 8008-9 と比較すべきではない。

備考  この箇条で示す空気密度修正式は,評価した機関又は車両のサンプルにおける最適の公称感度

を反映したものである。修正式によって予測される空気密度に対する感度より,機関によって

は感度が高い場合と低い場合とがある。これらを考慮して,この修正式を,空気密度に対する

感度が分からない特定の機関又は車両に適用する場合には,修正式は近似でしかないと考えら

れる。

10.3.2 

標準状態  10.3.3 の修正係数は,機関の乾き状態の吸気空気密度から計算している。標準温度 298 K

(24.8

℃),標準圧力 99 kPa における標準乾き空気密度は,1.157 5 kg/m

3

(5.1.1

参照)である。

10.3.3 

大気密度による排気煙濃度修正  この修正は,光吸収係数(k)で表す排気煙濃度に適用する。この

修正は,

排気煙濃度の軌跡に直接適用するものではなく,

ベッセル平均したピーク排気煙濃度に適用する。

式(10)を使用して不透過率を光吸収係数 に変換し,光吸収係数を修正した後に不透過率に再変換しても

よい。この場合には,式(17)を用いる。

126

.

30

259

.

48

952

.

19

1

s

2

+

=

ρ

ρ

K

  (17)

ここに,

a

3

s

287

10

T

p

×

×

=

ρ

   (18)

附属書 Aの排気煙濃度は,式(17)の修正係数を用いて,式(19)によって光吸収係数の測定値から修正

値を求める。

obs

s

corr

k

K

k

×

=

   (19)

10.4 

試験報告  試験報告書には,JIS B 8008-6 で指定されるデータを含まなければならない。

11. 

排気煙濃度の測定  JIS B 8008-9 の 11.2 及び 11.3 に推奨する不透過率メータシステムの詳細を示す。

同等の結果を導き出すことができれば,必ずしも図示の構成と一致させる必要はない。追加情報を得るた

めに,又はシステム及びその構成要素の機能を調整するために,計器類,バルブ,ソレノイド,ポンプ,

スイッチなどの機器類を追加してもよい。測定精度を維持するために必要がないと技術的に判断された構

成部品は,取り外してもよい。

測定の原理は,規定された光路長さの排気煙中を通過した入射光のうち受光部に到達した光の割合によ

って,媒体である排気煙の光不透過性を評価することである。

排気煙の測定装置は,装置の構造によって,それぞれ排気管の途中で測定する全流形インライン不透過


19

B 8008-10

:2006

率メータ,排気管の終端で測定する全流形エンドオブライン不透過率メータ及び排気管からサンプルを採

取して測定する分流形不透過率メータがある。

測定値から光吸収係数を決定するための光路長さは,機器製造業者によって提供される。


21

B 8008-10

:2006

附属書 A(規定)可変回転速度オフロード機関の試験方法

A.1 

適用範囲  この附属書は,ローアイドルからハイアイドルまで加速する排気煙濃度試験方法について

規定する。この試験方法は,JIS B 8008-4 の試験サイクル C1 に対応する可変回転速度機関に適用する。過

渡排気煙濃度試験方法は,機械に搭載されたディーゼル機関で簡単に行える使用過程の排気排出物試験で

ある。

JIS B 8008-4

の試験サイクル C1 は,

“移動用オフロード機関及びディーゼル機関駆動オフロード産業機

械用機関”に適用する。

この附属書の適用範囲の対象となる試験サイクル C1 を適用する代表的な用途の例を,次に示す。

−  削岩機,コンプレッサなど

−  ホイールローダ,ブルドーザ,クローラトラクタ,クローラローダなどを含む建設機械

−  トラック式ローダ,オフハイウエイトラック,油圧ショベルなど

−  農業機械[ロータリ耕うん(耘)機など]

−  林業機械

−  農業用自走車(トラクタを含む。

−  荷役機械

−  フォークリフトトラック

−  道路補修機械(グレーダ,ローラ,アスファルトフィニッシャなど)

−  除雪機材

−  空港作業機

−  空港リフト

−  移動クレーン

この附属書で規定する過渡排気煙濃度試験は,どんな機械の機関にも適しているのではない。ローアイ

ドルからハイアイドルまでの加速を抑制する機関及び/又は機械の制御方法も存在する。

1

気筒又は 2 気筒の機関のように,一つの排気管につながるシリンダ数の少ない機関の排気煙濃度測定

では,ダンピングボリューム(マフラ)の使用なしでは,脈動が発生して信頼できる測定結果が得られな

い。受渡当事者間の合意によって,特殊な用途の測定においては,特別な試験方法を用いてもよい。

A.2 

用語の定義  この附属書の用語の定義は,次による。

A.2.1 

加速試験(acceleration test)  フライホイールを含む機関自身の慣性及び無負荷状態での機械的抵抗

に逆らって,機関をローアイドルからハイアイドルまで加速する試験。

A.2.1.1 

無負荷加速時間 FAT(free acceleration time )  無負荷加速試験において,ローアイドル回転速度の

5 %

を超え回転速度から定格回転速度の 95 %の回転速度に達する時間(秒)

備考  この現地試験の手順上,FAT をローアイドルからハイアイドルまで機関が加速するのに必要と

した時間で近似してもよい。FAT の近似値は,現地の排気煙濃度試験中に決定するのがよい。

機関の非常に高い回転慣性,又は非常に高い寄生負荷によって JIS B 8008-9 

附属書 に基づ

いた試験から得た 9×FAT より,機械の使用過程の試験から得た FAT の値の方が大きくなるこ

とがある。機関を認証又は型式認定した条件外で使用過程の排気煙濃度試験を行ったときは,

使用過程排気煙濃度を認証又は型式認定の規制値と比較しないほうがよい。


22

B 8008-10

:2006

A.2.1.2 

ピーク排気煙濃度 PSV

s

(peak smoke value)

  使用過程(s=service)の排気煙試験において,A.3.5.1e)

の加速中に得られる 1.0 秒ベッセル平均排気煙濃度の最大値 PSV の平均値とする。

備考  報告する PSV

s

の値は,A.3.5.1e)の 3 回の加速試験の 1.0 秒ベッセル平均排気煙濃度の最大値

PSV3

個の平均値である。

A.3 

試験方法

A.3.1 

一般  試験は,ローアイドルから,ハイアイドルまで機関を加速する。ばらつきを減らすために複

数回の加速を行う。

A.3.2 

機関の検査  本体の 9.4 に従って機関を停止し,駐車ブレーキを掛け,全装置及び附属品は安全な位

置にする。本体の 5.35.4 及び 5.5 に従って吸排気装置に特に注意し,部品のゆるみ又は紛失がないか機

関を検査する。不正改造の形跡がないか燃料装置を検査する。吸排気又は燃料装置の不十分な整備又は不

正改造によって機関の排気煙濃度試験が不合格になることがある。検査中に機関出力,機関型式,機関製

造番号及びエンジンファミリを決定し記録する。

A.3.3 

アイドル回転速度の点検  排気煙濃度試験を行う前に,ローアイドル回転速度を点検し記録する。

試験中に機関が損傷を受けないよう,排気煙濃度試験を行う前にハイアイドル回転速度も点検するのが

よい。機関回転速度を監視しながら回転速度制御レバーを全速位置にゆっくり動かす。機関回転速度が製

造業者の推奨するハイアイドル回転速度を超過する場合は,回転速度制御レバーを直ちにローアイドル位

置に戻し排気煙濃度試験を打ち切る。

A.3.4 

機関の準備運転  少なくとも 15 分間,負荷をかけ運転することによって機関を暖機する。又は,機

関が通常の運転温度であることを確認するために潤滑油及び冷却水温度計を使用してもよい。

備考  準備運転段階は,直前に行われた試験で排気系統の中に沈積した物質が実際の測定に影響する

ことを防止するものでもある。

A.3.5 

加速試験

A.3.5.1 

一般  駐車ブレーキを掛け,すべての装置及び附属品は安全な位置にする。全補機を停止する。停

止できない,補機及び他の機関駆動装置は,吸収する機関負荷が可能な限り最小になるよう設定する。手

動変速機は“中立”の位置に,自動変速機は“駐車”の位置にする。本体の 7.3 及び 8.に従って排気煙濃

度計測器を設置し校正する。

加速試験は,ローアイドル回転速度からハイアイドル回転速度まで機関を加速する試験方法である。

加速試験の試験方法を,次に示す。また,

附属書 図 に図示する。

a)

機関をローアイドルにおいて,15 秒±5 秒間運転し安定させる。

b

)

回転速度調整レバーを機関の回転速度がハイアイドルに達する位置まで素早く動かし,保持する。

c

)

機関の回転速度がローアイドルになるように,回転速度調整レバーを元の位置に戻す。

d

)

排気システムの清掃のために,予行運転としてこの操作を更に 2 回繰り返す。

e

) 3

回の予行運転のあと,この操作を A.3.5.2 に規定する試験の妥当性判定基準に適合した運転が 3 回連

続してできるまで実施する。

A.3.5.2 

試験の妥当性判定基準−加速試験  試験の結果は,次に示す試験サイクル判定基準に適合した場合

において有効である。

3

回の連続した加速試験における,最大 1.0 秒ベッセル平均排気煙濃度の最大値と最小値との差は,不透

過率 5 %を超えてはならない。妥当性判定基準には,このほかに本体の 5.1.2 及び 7.3.4 の規定がある。


23

B 8008-10

:2006

A.3.5.3 

無負荷加速時間の確定  A.3.5.1e)でのそれぞれの無負荷加速時間(FAT)は,機関回転速度がローア

イドル回転速度からハイアイドル回転速度まで到達する時間である。FAT は,JIS B 8008-9 に従って機関

を認証し,又は型式認定したときに使用された加速時間と比較をするために測定する。

現地試験の加速時間が JIS B 8008-9 による無負荷加速時間の 9 倍より大きい場合は,機関が規制値に適

合することを必ずしも期待できない。

備考 a)∼e)については A.3.5.1 を参照。

附属書   1  加速試験

A.4 

試験結果の解析

A.4.1 

一般  加速試験の試験結果の解析方法を規定する。この試験で使用する不透過率メータの多くは,

本体の 10.2 で規定しているアルゴリズムに基づき,

X=0.5 秒のベッセル平均排気煙濃度を出力する。また,

これらの不透過率メータに対しては,本体の 10.2.2 の式(11)で使用する(t

p

2

t

e

2

)

の値を 0.5

2

とし,X=1.0 秒

の排気煙濃度を求める信号処理が必要である。0.5 秒のベッセルアルゴリズムによらない,信号処理前の排

気煙濃度を解析するには,不透過率メータの(t

p

2

t

e

2

)

の値を用いる。

排気煙濃度は,本体の 10.3 に規定する大気条件補正を行い,これを記録する。

A.4.2 

ピーク排気煙濃度,PSV

S

  PSV を,A.3.5.1e)の個々の加速に対して計算する。これらの値は,加速

状態で生じる 1.0 秒ベッセル平均排気煙濃度の最大値である。解析する排気煙濃度データが,加速期間に

確実に対応するよう注意する(本体の 10.1.1 参照)

。加速方法は,A.3.5.1b)を参照する。ベッセル平均値の

計算方法は,本体の 10.2 に示されている。ピーク排気煙濃度を求めるための式(11)での 値は 1.0 秒とす

る。報告する PSV

S

は,3 回の加速試験の平均値として求める。

時間(秒)

機関回転速度

ローアイドル位置
全開位置

d)

e)

ハイアイドル

15

±5

15

±5

15

±5

15

±5

15

±5

15

±5

a)

b)

c)

予行運転

測定運転

ローアイドル

定格回転速度


24

B 8008-10

:2006

A.5 

結果報告  次の事項を記載する。

−  機関出力

−  機関型式

−  エンジンファミリ

−  機関製造番号

− FAT

− PSV

s

A.6 

結果の統計的評価  この試験結果を,規制の一部として使用できる。結果(PSV

s

)

が規制値(LL とする)

に近い場合,結果を判定する前に追加試験をするのがよい。結果を判定する前に行う,推奨する統計的手

順を次に示す。

a)

  3

個の PSV すべて<LL:合格。試験終了

b)

  3

個の PSV すべて>1.5×LL:不合格。試験終了

c)

いずれでもない場合,追加の試験を推奨する。A.3.3A.3.4 及び A.3.5 を少なくとも 2 回追加で行い,

6

個の追加の PSV を得る。少なくとも 9 個の PSV の平均値に基づいて合否を決めるのがよい。


25

B 8008-10

:2006

附属書 B(規定)試験サイクル E 機関の試験方法

B.1 

全般  試験サイクル E 機関は,主に推進用機関に用いられ,路上走行車両用機関及び移動式オフロー

ド機関と比較して,回転速度とトルクとの組合せが,より限られた範囲で使用される。これは,一つには

これらの機関が変速装置を備えていないこと,また,一つにはプロペラから水への動力伝達の物理的な性

質による。

トルクと回転速度との関係は,主に二つの法則による。固定ピッチプロペラ又はウォータージェットな

どに適用する,トルクが回転速度の二乗に比例するプロペラ則及び可変ピッチプロペラに適用する定速プ

ロペラ則(発電機用と同等)である。これらは,JIS B 8008-4 の試験サイクル E(E1,E2,E3 及び E5)に対

応する。したがって,機関の負荷が増加するときの排気煙濃度は,回転速度が増加する場合及び増加しな

い場合のいずれの場合も,他の用途よりも安定しており,主として負荷の増加速度の影響を受ける。この

増加速度は各種の自動制限手順によって決まる。

一例をあげると,路上走行車両用機関又は移動式オフロード機関に比較して,試験サイクル E では出力

増加速度が低い。

これらの機関は,

それぞれ適用される機関の管理又は制御システムによって制御される。

ここでは,過渡状態での排気煙濃度測定の基準として,濃度の最も高い場合を標準のケースとする。エン

ジンファミリ又はエンジングループ全体に対して排気煙濃度が最も高いケースを試験することによって,

様々な機関の管理又は制御システムをもつ機関を,一つのエンジンファミリ又はエンジングループに含め

ることができる。

海上での安全は常に最重要事項である。そのため,自動制御が一般的な規則であっても,切迫した危険

を避けるために,非常の場合には,自動化システムを無効にすることが例外として許されている。このよ

うな非常の場合には,機関の通常より大きい加速によって排気煙濃度が増加する場合があるが,この附属

書ではこれは考慮しない。

B.2 

排気煙試験方法の適用範囲  この附属書に示す排気煙試験方法は,JIS B 8008-4 の E1,E2,E3 及び

E5

サイクルに該当する機関に適用する。この附属書の試験方法を適用するかどうかの判断基準は,負荷加

速時間である。機関の管理又は制御システムを考慮して,負荷加速時間は,20 秒±5 秒,又は機関の管理

若しくは制御システムによる時間とする。移動式オフロード機関用としても使用できる試験サイクル E 機

関は,

附属書 の方法に従って試験してもよい。

代表的な適用は,次による。

E1

:長さが 24 メートル未満のボートに用いるディーゼル機関(試験サイクル B から導いたもの)

E2

:推進用重負荷定回転機関

E3

:推進用重負荷機関

E5

:長さが 24 メートル未満のボートに用いるディーゼル機関(プロペラ則準拠)

この附属書は,定格出力 1 500 kW 以下の機関に対して適用する。

B.3 

用語及び定義  この附属書の用語の定義は,次による。

B.3.1 

過渡負荷試験(test under transient load)

B.3.1.1 

可変回転速度機関の場合  可変回転速度機関の過渡負荷試験は,負荷加速モード,及び定格回転速

度の 80 %での負荷運転モードからなる。


26

B 8008-10

:2006

B.3.1.2 

一定回転速度機関の場合  一定回転速度機関の過渡負荷試験は,定格回転速度での負荷増加モード

及び定格出力の 50 %モードからなる

B.3.2 

負荷増加時間(load-increase time)

B.3.2.1 

可変回転速度機関の場合  可変回転速度機関の負荷増加時間は,ローアイドルから定格回転速度の

80 %

まで,機関を加速するのに必要な時間である。加速の間,機関トルクが過渡負荷曲線に対応するよう

に負荷を制御する。

B.3.2.2 

一定回転速度機関の場合  一定回転速度機関の負荷増加時間は,定格回転速度において,機関の負

荷を無負荷から定格出力の 50 %まで増加させるのに必要な時間である。

B.3.3 

過渡負荷曲線(transient-load curve)

B.3.3.1 

可変回転速度機関の場合  可変回転速度機関の過渡負荷曲線は,トルクが速度の二乗に比例し,定

格回転速度において定格出力となる終点をもつプロペラ特性曲線である。

B.3.3.2

一定回転速度機関の場合  一定回転速度機関の過渡負荷曲線は,速度は定格回転速度で一定であり,

終点で定格出力に達する定速回転曲線である。

B.3.4 

ピーク排気煙濃度 PSV

a

(peak smoke value)

  負荷加速試験中に得られた 1 秒ベッセル平均排気煙濃

度の 3 個の最大値(PSV)の平均。

B.4 

試験方法

B.4.1 

全般  過渡負荷試験(詳細を B.4.2 及び B.4.3 に示す)における排気煙濃度の測定の間に,機関の負

荷は,プロペラ特性曲線上又は一定回転速度において,できる限り急速に増加させる。負荷の増加速度及

び増加時間は,機関の管理又は制御システムによって制御する。

この試験方法は,試験台で使用する場合と同様に,使用状態の機関の測定にも適している。

排気煙濃度を試験台上で測定するとき,負荷増加時間は,JIS B 8008-7 及び JIS B 8008-8 によるエンジ

ンファミリ及びエンジングループの使用条件の範囲内で変化させることは可能である。

B.4.2 

機関の準備運転  製造業者の推奨に従って,機関の状態を安定にするために,定格出力で機関の暖

機運転を行う。

備考  この準備運転段階は,現在の測定が以前の試験の影響を受けないようにするとともに,安定的

な状態を作り出すとみなせる。

B.4.3 

負荷加速試験

B.4.3.1 

全般  負荷加速試験は,B.4.2 に示す準備運転段階に引き続き速やかに実施する。

B.4.3.2 

可変回転速度機関  可変回転速度機関の負荷加速試験では,ローアイドルから定格回転速度の

80 %

まで,トルクが回転速度の二乗に比例する負荷に逆らって機関を加速する。手順を

附属書 図 に示

す。

B.4.3.3 

一定回転速度機関  一定回転速度機関の負荷加速試験では,定格回転速度において,機関の負荷を

無負荷から定格出力の 50 %まで増加させる。手順を

附属書 図 に示す。

負荷加速試験は,試験結果の再現性をよくするために,予行サイクルから始める。予行サイクルのあと

に 3 回の負荷増加サイクルを実施する。過渡負荷試験の手順は,次による。

B.4.3.4 

可変回転速度機関の試験手順

B.4.3.4.1 

機関の準備運転

a)

可能な限り安定な低い負荷で,負荷/速度調整レバーをローアイドルの位置にして 40 秒±5 秒間,機

関を運転する。


27

B 8008-10

:2006

b)

ローアイドルの位置から,負荷/速度調整レバーを,

− 20 秒±5 秒で,機関が定格回転速度の 80 %に達する位置に動かす。又は,

−  急速に全開位置まで動かし,その位置で保持する。機関は,機関の管理又は制御システムによって

許容される時間で,過渡負荷曲線上の負荷に逆らって,定格回転速度の 80 %まで加速する。

c)

定格回転速度の 80 %及び過渡負荷曲線によって指定された負荷を 60 秒±5 秒間維持する。

d)

負荷を減少させ負荷/速度調整レバーをローアイドルの位置に戻す。

B.4.3.4.2 

試験方法  3 回連続して矛盾のない測定結果が得られるまで,B.4.3.4.1 の a)d)を繰り返す。

備考  a)d)については B.4.3.4 を参照。

附属書   1  過渡負荷試験−可変回転速度機関

c) 
60

±5

時間(秒)

機関回転速度

ローアイドル

定格回転速度の 80%

制御レバーをローアイドル位置 
b1)

制御レバーを開位置

b2)

全開位置

回転速度を維持 
制御レバーをローアイドル位置へ復帰

a) 
40

±5

b1)

−b2)

20

±5,又は機関の管

理若しくは制御シス
テムによる時間

d)

機関の管理又は制御

    システムによる時間


28

B 8008-10

:2006

備考  a)d)については B.4.3.5 を参照。

附属書   2  過渡負荷試験−一定回転速度機関

B.4.3.5

一定回転速度機関の試験手順

B.4.3.5.1 

機関の準備運転

a)

定格回転速度で,可能な限り安定な低い負荷において 40 秒±5 秒間,機関を運転する。

b)

定格回転速度で,負荷/速度調整レバーを,

− 20 秒±5 秒で,機関が定格負荷の 50 %に達する位置に動かす。又は

−  急速に 50 %位置まで動かし,その位置で保持する。機関の負荷は,機関の管理又は制御システムに

よって許容される時間で,定格負荷の 50 %まで増加する。

c)

定格回転速度で定格負荷の 50 %を 60 秒±5 秒間維持する。

d)

負荷を減少させ,負荷/速度調整レバーを定格回転速度における無負荷の位置に戻す。

B.4.3.5.2 

試験方法  3 回連続して矛盾のない測定結果が得られるまで,a)d)を繰り返す。

B.4.3.6 

試験の妥当性判定基準−過渡負荷試験  試験の結果は,次に示す試験方法判定基準に適合した場合

において有効である。

3

回の連続した負荷加速試験における,最大 1 秒ベッセル平均排気煙濃度の最大値と最小値との差は,

不透過率 5 %を超えてはならない。

試験の妥当性判定基準には,このほかに本体の 5.1.2 及び 7.3.4 の規定がある。

B.5 

結果の解析

時間(秒)

機関出力

a) 
40

±5

b1)

−b2)

  20±5,又は機関の

管理若しくは制御
システムによる時

c) 
60

±5

出力 0 %

定格出力の 50%

制御レバーを無負荷位置 
b1)

制御レバーを開位置

b2)

全開位置

出力を維持 
制御レバーを無負荷位置へ復帰

d)

機関の管理又は制御シ

    ステムによる時間


29

B 8008-10

:2006

B.5.1 

全般  ここでは,負荷加速試験の試験結果の解析方法を規定する。この試験で使用する不透過率メ

ータの多くは,本体の 10.2 に示すアルゴリズムに基づき,X=0.5 秒のベッセル平均排気煙濃度を出力する。

これらの不透過率メータに対しては,本体の 10.2.2 の式(11)に用いる(t

p

2

+t

e

2

)

の値を 0.25 とし,X=1.0 秒の

排気煙濃度を求める信号処理が必要である。0.5 秒のベッセルアルゴリズムによらない,信号処理前の排気

煙濃度を解析するには,不透過率メータの(t

p

2

+t

e

2

)

の値を用いる。

B.5.2 

ピーク排気煙濃度,PSV  B.4.3 の手順を 3 回繰り返し,個々の加速で得られた 1 秒平均排気煙濃度

の最大値(PSV)を求める。解析する排気煙濃度データが,負荷が増加する期間に確実に対応するよう注意す

る(本体の 10.1.1 参照)

。PSV

a

は,負荷が増加する期間に得られた,1 秒ベッセル平均排気煙濃度の最大

値 3 個の平均とする。

ベッセル平均値の計算方法は,本体の 10.2 に示されている。ピーク排気煙濃度のための,式(11)での X

の値は 1 秒とする。

B.6 

結果報告  3 回の試験から得られたピーク排気煙濃度 PSV

1

,PSV

2

,PSV

3

,並びにこれらの平均値 PSV

a

を排気煙濃度として報告する。3 回の試験時間(負荷増加時間)も報告する。

附属書 図 及び附属書 B

図 の a)d)の時間は B.4.3.4.1 及び B.4.3.5.1 を参照する。


30

B 8008-10

:2006

附属書 C(規定)試験サイクル F 機関の試験方法

C.1 

全般  試験サイクル F 機関は,主にけん(牽)引車用などに用いられ,車輪のスリップを避けるため

回転/負荷調整レバーに対する機関の応答がオフロード機関(C1)のそれほどは速くないので,機関の慣性

モーメント(無負荷)を加速する試験は適当でない。これらの機関では,加速時には回転/負荷調整レバ

ーは急速ではなく,時間ベースの負荷増加率で操作する。これらの機関は,JIS B 8008-4 の試験サイクル F

に対応する。

機関の管理又は制御システムの異なるセッティングをもつ機関は,それらを代表する機関において排気

煙濃度が最も高い場合を試験することで,一つのエンジンファミリ又はエンジングループに含めることが

できる。

試験は,通常,定置式の装置及び計測器を備えた試験台に機関を設置して実施する。しかし,可能な場

合には,定置式試験装置[例えば,負荷バンク(load bank system)]において,機関搭載状態のままで発生

出力を吸収することができる。

C.2 

適用範囲  この附属書に示す排気煙試験サイクルは,JIS B 8008-4 の F サイクルに該当する機関に適

用する。

この附属書は,定格出力 1 500 kW までの機関に適用できる。

C.3 

用語及び定義  この附属書の用語の定義は,次による。

C.3.1 

過渡負荷試験(test under transient load)  負荷時の加速モード及び定格速度で最大負荷のモードから

なる試験方法によって機関を運転する手順。

C.3.2 

負荷加速時間(acceleration time under load)  機関をアイドル回転速度から定格回転速度まで加速す

るのに要する時間。加速中,機関の負荷は,機関出力が加速負荷曲線に合うように制御される。

備考  負荷加速時間は,機関の管理又は制御システムによって制御される。

C.3.3 

加速負荷曲線(acceleration load curve)  使用中の実負荷曲線を代表し,ほぼトルクが回転速度の二乗

にほぼ比例する水動力計固有の負荷曲線。

備考  試験を発電機で行う場合には,トルクが回転速度の二乗に比例する関係を用いるものとする。

C.3.4 

ピーク排気煙濃度 PSV

a

(peak smoke value)

  過渡負荷試験の加速モードで得られた 1 秒ベッセル平

均排気煙濃度の最大値(PSV)3 個の平均値。

C.4 

試験方法

C.4.1 

全般  機関は,実用している機関の管理又は制御システムで試験する。

C.4.2 

機関の準備運転  製造業者の推奨に従って,機関の状態を安定させるために定格出力で暖機運転を

行う。

備考  この準備運転段階は,現在の測定が以前の試験の影響を受けないようにするとともに,安定的

な状態を作り出すとみなせる。

C.4.3 

過渡負荷試験


31

B 8008-10

:2006

C.4.3.1 

全般  過渡負荷試験は,C.4.2 に示す機関の準備運転に引き続き速やかに行うものとする。過渡負

荷試験では,機関をローアイドルから負荷をかけて加速する。定格回転速度における負荷曲線の終点は機

関の定格出力とする。

C.4.3.2 

過渡負荷時における加速時間  この試験における加速時間は,実用している機関の管理又は制御シ

ステムによって制御され,したがって,実際の使用状態での機関の運転条件に適応するものである。過渡

負荷時の機関の排気煙濃度は,加速時間が減少すると増加するため,エンジンファミリ又はエンジングル

ープ内で異なる加速時間をもつ機関の承認は,最も加速時間の短い機関を代表機関として試験することに

よって可能となる。

C.4.3.3 

過渡負荷試験の施行

C.4.3.3.1 

全般  過渡負荷試験は,試験結果の再現性を改善するために,予行サイクルから試験を始める。

予行サイクル後に,3 回の負荷加速サイクルを行う。負荷加速サイクルに続いて,最大負荷回転速度で安

定運転を行う。その手順を,C.4.3.3.2 及び C.4.3.3.3 に示す(

附属書 図 参照)。

C.4.3.3.2 

予行サイクル

a)

機関は,負荷/回転速度調整レバーを最も低い位置(ローアイドル回転速度)に保持し,最も低く安

定に運転できる負荷で 40 秒±5 秒間運転する。

b)

ローアイドル回転速度から負荷/回転速度調整レバーを,

最大負荷/回転速度の位置に急速に動かし,

機関の管理又は制御システムで許容される時間内でその定格回転速度の 95 %に到達するまで機関を

加速する。

c)

機関が定格回転速度の 95 %に達してから 20 秒以内に,最大定格負荷/回転速度で機関が整定するよ

う動力計に必要な負荷をかける。

備考  整定時間内にオーバーシュートが起こることがある。

d)

定格回転速度及び定格最大出力で 60 秒±5 秒間運転する。

e)

機関の負荷を下げ,負荷/回転速度調整レバーをローアイドルの位置に戻す。

C.4.3.3.3 

試験方法  3 回連続して矛盾のない測定結果が得られるまで C.4.3.3.2 の a)e)を繰り返す。

C.4.3.4 

試験の妥当性判定基準−過渡負荷試験  試験の結果は,次に示す試験サイクル判定基準に適合した

場合において有効である。

3

回の連続した過渡負荷試験における,最大 1 秒ベッセル平均排気煙濃度の最大値と最小値との差は,

不透過率 5 %を超えてはならない。

試験の妥当性判定基準には,このほかに本体の 5.1.2 及び 7.3.4 の規定がある。

C.5 

結果の解析

C.5.1 

一般  ここでは,過渡負荷試験の試験結果の解析方法を規定する。この試験で使用する不透過率メ

ータの多くは,本体の 10.2 に示すアルゴリズムに基づき,X=0.5 秒のベッセル平均排気煙濃度を出力する。

これらの不透過率メータに対しては,本体の 10.2.2 の式(11)に用いる(t

p

2

+t

e

2

)

の値を 0.25 とし,X=1.0 秒の

排気煙濃度を求める信号処理が必要である。0.5 秒のベッセルアルゴリズムによらない,信号処理前の排気

煙濃度を解析するには,不透過率メータの(t

p

2

+t

e

2

)

の値を用いる。

C.5.2 

ピーク排気煙濃度,PSV

a

  C.4.3.3.2 を 3 回繰り返し,その期間に得られた 1 秒平均排気煙濃度の最

大値を求める。解析する排気煙濃度データが,負荷が増加する期間に確実に対応するよう注意する(本体

の 10.1.1 参照)

。PSV

a

は,負荷が増加する期間に得られた,1 秒ベッセル平均排気煙濃度の最大値(PSV)3

個の平均とする。


32

B 8008-10

:2006

ベッセル平均値の計算方法は,本体の 10.2 に示されている。ピーク排気煙濃度のための,式(11)での X

の値は 1.0 秒とする。

C.6 

結果報告  3 回の試験から得られたピーク排気煙濃度 PSV

1

,PSV

2

,及び PSV

3

,並びにこれらの平均

値 PSV

a

を排気煙濃度として報告する。3 回の試験時間(負荷増加時間)も報告する。

備考  a)e)については C.4.3.3.2 を参照

附属書   1  過渡負荷試験

時間(秒)

機関回転速度

d) 60

±5

定格回転速度

アイドル位置 
全開位置 
アイドル位置へ復帰

c) 20

e)

機関の管理又は制御システム

    による時間

ローアイドル

b)

機関の管理又は制御

    システムによる時間

a) 40

+

5


33

B 8008-10

:2006

附属書 D(参考)加速試験方法に関する注意事項

この附属書(参考)は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではな

い。

JIS B 8008-9

の試験方法は,特に,機関の認証又は型式認定を含む,規制値に対する機関の台上測定を

目的としている。JIS B 8008-9 の試験はエンジンファミリの“ペアレントエンジン”で実施し,その試験

結果を規制値と比較する。これに対し,この規格は,市場での機関の排気煙濃度が新しい機関に対する規

制値を相当に超えるような“高排気煙濃度機関”を確認する方法として用いる。

しかし,認証又は型式認定時に得られた排気煙濃度に照らして,特定の機関が異常であることを検知で

きる識別性のより高い試験を,規制が望んでいることは知られている。概念的には,使用過程での加速時

間での排気煙濃度と,認証又は型式認定に定められた加速時間での排気煙濃度(実際又は補間値)との比

較をすることで,異常を検出することが可能である。例えば,認証又は型式認定試験時の無負荷加速時間

が 1 秒の場合,排気煙濃度は無負荷加速時間の 3 倍,6 倍,9 倍,すなわち 1,3,6,9 秒で決定する。も

し使用過程での加速時間が 4 秒であれば,認定時の無負荷加速時間の 3 倍及び 6 倍の排気煙濃度を直線補

間した 4 秒での値がこの試験の認証又は型式認定時の排気煙濃度となる。ただし,この方法で認証又は型

式認定時の排気煙濃度を活用するためには,排気煙濃度のばらつきを考慮する必要がある。

考慮すべき機関のばらつきには 2 種類あり,一つは定格出力のばらつき,もう一つは同一定格出力での

機関のばらつきである。エンジンファミリの中には複数の機関定格出力があり,排気煙濃度は,定格出力

ごとに多少変化する。したがって,ある定格出力での試験結果が,他の定格出力での試験結果と正確に一

致することは難しい。第二に,生産のばらつきによって,同一定格出力の機関でも排気煙濃度は異なる。

使用過程での検査プログラムで JIS B 8008-9 の結果を活用するためには,統計的に有効な JIS B 8008-9 

結果のサンプルが必要である。使用過程での機関の良否を判断するためには,ファミリの各定格出力及び

同一定格出力の異なる機関のばらつきを把握する必要がある。これがないと,使用過程の検査プログラム

の信用性は低下する。このプログラムは,特定の認証試験用機関によって,排気煙濃度が高いが正常な生

産公差内にある機関が不合格とならないように設定されなければならない。

最後に,測定のばらつきも考慮しなければならない。この規格の条件での測定は,JIS B 8008-9 の台上

での測定に比べ,正確さに欠けることを注意しなければならない。したがって,認証又は型式認定のため

に決められた規制値は,使用過程の検査プログラムには低すぎる場合もある。もし,台上と使用過程との

排気煙濃度規制値に差があって,その補正が必要な場合は,その適正値を決めるために追加試験データが

必要となる。

また,例えば,1∼3 シリンダ機関のように,一つの排気管につながるシリンダ数が少ない機関では,測

定が困難になると予想される。この原因は,測定手順,測定精度及び測定変動に対する排気圧力及び排気

流量の変動の影響による。

附属書 A,附属書 及び附属書 に示す制限事項は尊重しなければならない。附属書に示す制限事項を

外れて機関の排気煙濃度試験を行うには,別の試験方法又は測定手順が必要になることがある。通常の大

きさを外れた場合の計器精度の検証作業は進行中である。これは,この規格の将来の改正版で考慮する。

附属書 A,附属書 及び附属書 に示す試験方法は,現地(すなわち,機械に搭載された機関)で運転


34

B 8008-10

:2006

することを考慮している。これらの附属書の試験方法は,JIS B 8008-9 の附属書の試験方法と密接な関係

がある。

附属書 に示す試験方法は,JIS B 8008-4 の試験サイクルに対応する機関に当てはまる代表的な試験方

法である。

附属書 の適用範囲は,これまでに,定格出力 1 500 kW まで確認されている。この規格を他

の用途へ拡大する場合は附属書を追加する。他の出力レベル及び他の用途へ適用を拡大するには,相当な

研究が必要である。機関サイズによる加速度の制限及び機関の始動などの他の運転条件を含むことに関し

ては,更に定義が必要になる。さらに,機関によっては,

附属書 A,附属書 及び附属書 に示す試験方

法の運転をできなくする速度制御システム及び/又は負荷制御システムが装備されているものがある。こ

れらの制御システムは,少なくとも部分的に,排気煙濃度を抑制するためにあることを認識する必要があ

る。このような状況では,特別な試験手順が必要になる。

使用過程での排気煙濃度試験は,特定の機械で実施できないことがあり,注意すべきである(特に,機

械に設置された機関の無負荷加速時間 FAT が,JIS B 8008-9 の 9×FAT を超える機械の場合)

使用過程の機関が,排気煙試験で不合格となる状況は数多く存在する。機関が,製造業者の仕様を満た

さない小さな吸気系,排気系又は冷却系をもった機械に搭載されている可能性もある。さらに,メンテナ

ンスの頻度不足,又は不適切なメンテナンスによって排気煙濃度試験が不合格になることがある。また,

使用過程の燃料によって,排気煙濃度が高くなる可能性もある。


35

B 8008-10

:2006

附属書 1(参考)JIS と対応する国際規格との対比表

JIS X 8008-10

:2006  往復動内燃機関−排気排出物測定−第 10 部:

圧縮点火機関の過渡状態における排気煙濃度の現地測定での試験サ
イクル及び試験方法

ISO 8178-10

:2002,往復動内燃機関−排気排出

物測定−第 10 部:圧縮点火機関の過渡状態にお
ける排気煙濃度の現地測定での試験サイクル及
び試験方法

(

Ⅰ) JIS の規定

(

Ⅱ )

国 際

規 格
番号

(

Ⅲ)  国際規格の規定

(

Ⅳ)  JIS と国際規格との技術的

差異の項目ごとの評価及びそ

の内容 
  表示箇所:本体,附属書 
  表示方法:点線の下線

(

Ⅴ)  JIS と国際規

格との技術的差

異の理由及び今
後の対策

項目 
番号

内容

項目 
番号

内容

項目ごとの
評価

技術的差異の内

1.

適用範囲

適用範囲

ISO 

8178

-10 

1

適用範囲

JIS

に同じ。

IDT

2.

引用規格

引用規格

2

引用規格

JIS

に同じ。

IDT

3.

定義

定義

3

定義

JIS

に同じ。

IDT

4.

記号及び単

記号と単位

4

記号及び

単位

JIS

に同じ。

IDT

5.

試験条件

試験条件につい
ての規定

5

試験条件

JIS

に同じ。

IDT

6.

試験燃料

試験燃料につい
ての規定

6

試験燃料

JIS

に同じ。

IDT

7.

測定器及び

精度

測定器及びその
精度についての
要求事項

7

測定器及

び精度

JIS

に同じ。

IDT

8.

不透過率メ

ータの校正

測定器の校正に
ついての規定

8

校正手順

JIS

に同じ。

IDT

9.

試験

試験の準備,試
験のサイクル及
び注意事項

9

試験

JIS

に同じ。

IDT

10.

データの

評価及び計

試験データの計
算方法及び評価
方法

10

データ

の評価及
び計算

JIS

にほぼ同

じ。

MOD/

変更

JIS

は 式 (16) に

ついて,ISO 
格の間違いを修

正して規定。

ISO

規格の次回

見直し時に提案
する予定。

11.

排気煙濃

度の測定

排気煙の測定方

11

排 気 煙

の測定

JIS

に同じ。

IDT


36

B 8008-10

:2006

(

Ⅰ) JIS の規定

(

Ⅱ )

国際

規格
番号

(

Ⅲ)  国際規格の規定

(

Ⅳ)  JIS と国際規格との技術的

差異の項目ごとの評価及びその

内容 
  表示箇所:本体,附属書 
  表示方法:点線の下線

(

Ⅴ)  JIS と国際規格

との技術的差異の

理由及び今後の対

項目 
番号

内容

項目 
番号

内容

項 目 ご と
の評価

技 術 的 差 異 の 内

附属書 A 
(規定)

可変回転速度オフロ
ード機関の試験方法
について規定

附属書 A
(規定)

JIS

に同じ。 IDT

附属書 B 
(規定)

試験サイクル E 機関
の試験方法について
規定

附属書 B
(規定)

JIS

に同じ。

ただし,図中
の 説 明 に 不

明 確 な 部 分
がある。

MOD/

変更

ISO

規格は,

図 B.1

及び図 B.2 の中の
説明で,

“機関製

造業者が申告した
時間”とあるが,

JIS

では本体の記

述に合わせて“機
関の管理若しくは
制御システムによ

る時間”に変更し
た。

ISO

規格の図中の

説明が本体の規定
と異なるため,よ

り明確になるよう
に表現した。

ISO

規格の見直し

時に変更を提案す
る。

附属書 C 
(規定)

試験サイクル F 機関
の試験方法について
規定

附属書 C
(規定)

JIS

に同じ。

ただし,図中
の 説 明 に 不

適 切 な 部 分
がある。

MOD/

変更

ISO

規格は,

図 C.1

の中の説明で,
“機関製造業者が

申告した時間”と
あるが,本体の記
述に合わせて JIS

では“機関の管理
若しくは制御シス
テムによる時間”

に変更した。

ISO

規格の図中の

説明が本体の規定
と異なるため,よ

り明確になるよう
に表現した。

ISO

規格の見直し

時に変更を提案す
る。

附属書 D 
(参考)

加速試験方法に関す
る注意事項を記述

附属書 D
(参考)

JIS

に同じ。 IDT

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:MOD

備考1.  項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

    ―  IDT………………  技術的差異がない。 
    ―  MOD/変更………  国際規格の規定内容を変更している。

2.  JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

    ―  MOD……………  国際規格を修正している。