>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

日本工業規格

JIS

 B

7995

-1994

原油及び石油製品中の硫黄分

自動計測器

Automatic analysers for sulphur in crude oil

and petroleum products

1.

適用範囲  この規格は,原油及び石油製品中の硫黄分を放射線を用いて測定する自動計測器(以下,

計測器という。

)について規定する。

備考1.  この規格における原油及び石油製品とは揮発分が少ない原油,軽油,重油などで,硫黄分が

0.01

質量%∼4質量%のものをいう。

2.

卓上形測器の使用方法は,JIS K 2541 に規定する放射線式硫黄分試験方法による。

また,定置形計測器の使用方法は,計測器の取扱説明書によるが,この測定値を品質証明

に用いようとする場合は JIS K 2541 の放射線式硫黄分試験方法に規定する精度以内でなけれ

ばならない。

3.

計測器に用いる放射線の取扱いは,関連法令による。

4.

この規格の引用規格を,次に示す。

JIS C 1302

  絶縁抵抗計

JIS K 0050

  化学分析方法通則

JIS K 0068

  化学製品の水分測定方法

JIS K 2203

  灯油

JIS K 2275

  原油及び石油製品水分試験方法

JIS K 2541

  原油及び石油製品−硫黄分試験方法

JIS Z 4001

  原子力用語

JIS Z 8103

  計測用語

JIS Z 8202

  量記号,単位記号及び化学記号

5.

この規格の中で  {  }  を付けて示してある単位及び数値は,従来単位系によるものであって,

参考として併記したものである。

2.

用語の定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次に示すもののほか,JIS K 0050JIS Z 4001JIS Z 

8103

及び JIS Z 8202 による。

(1)

ゼロ校正液  計測器の最小目盛値(硫黄分 0.00 質量%表示値)を校正するのに用いる液。

(2)

スパン校正液  計測器の最大目盛値(卓上形計測器の場合は,硫黄分 4 質量%とする。)を校正するの

に用いる液。

(3)

校正液  計測器の目盛範囲の中間点付近の硫黄分表示値又は任意の硫黄分表示値を検査するための液。


2

B 7995-1994

(4)

炭素水素比(以下,C/H という。)  原油及び石油製品中の炭素と水素との質量比。

(5)  C/H

試験液  励起式計測器において,試料中の C/H が測定値に及ぼす影響を試験するための試験液。

(6)

セル間誤差  卓上形計測器において,セルの窓材の厚さの違いに伴う誤差。

(7)

応答試験液  定置形計測器において,応答時間を測定するための試験液。

(8)

重金属試験液  透過式計測器において,試料中の重金属が測定値に及ぼす影響を試験するための試験

液で,重金属として鉄を用いる。

(9)

平行測定誤差  試験において,人・日時・計測器のすべてが同じ場合の測定の誤差。

3.

計測器の種類  計測器の種類は,測定原理及び形式によって分類し,表 に示す 3 種類とする。

表 1  計測器の種類

測定原理による分類

形式による分類

卓上形(

1

)

励起式

定置形(

2

)

透過式

定置形(

2

)

(

1

)

卓上形計測器は,主に実験室に設置し,各種の試料
を間欠的に測定する場合に用いる。

(

2

)

定置形計測器は,連続的に測定する場合に用いる。

4.

励起式計測器

4.1

測定原理  励起式は,X 線管又は放射性同位元素から出される放射線を試料に照射したときに硫黄

原子が発する 2.3keV 程度の蛍光 X 線などの強度を測定し,試料中の硫黄分を求める。

4.2

励起式卓上形計測器

4.2.1

性能  励起式卓上形計測器の性能は,次による。計測器は原油及び石油製品中の硫黄分を間欠的に

測定するための適切な機能をもち,4.2.3 で試験を行ったとき,

表 の規定に適合しなければならない。

表 2  励起式卓上形計測器の性能

項目

性能

平行測定誤差

硫黄分 0.01 質量%+0.01以下

ゼロドリフト

硫黄分 0.01 質量%以下

スパンドリフト

硫黄分 0.01 質量%+0.015以下

検量線の直線性誤差

硫黄分 0.02 質量%+0.05以下

セル間誤差

硫黄分 0.02 質量%+0.02以下

電源電圧 10%変化時の測定値変化

硫黄分 0.01 質量%+0.01以下

周囲温度 5℃変化時の測定値変化

硫黄分 0.01 質量%+0.015以下

C/H1.0

変化時の測定値変化

硫黄分 0.01 質量%+0.02以下

耐電圧

異常を生じてはならない

絶縁抵抗 5M

Ω以上

備考  は,試験に用いる校正液及び試験液の硫黄分(質量%)とする。

4.2.2

計測器の構成  励起式卓上形計測器の構成は,次による。

なお,計測器は,線源,試料セル,放射線検出器,演算表示部などで構成し,その構成例を

図 に示す。

備考  計測器は,通常の使用状態で危険が生じるおそれがなく,十分な耐久性をもち,形状が正しく,

組立てが良好で容易に機械的・電気的な故障を生じないものでなければならない。


3

B 7995-1994

図 1  励起式卓上形計測器の構成例

(1)

線源  線源は,密封された放射性同位元素又は X 線管で,測定に適するエネルギーの放射線を放射す

るものであり,線源が正常に装着された状態では,放射線の漏れは関係法令に定める線量以下でなけ

ればならない。

(2)

試料セル  試料セルは,石油類及び溶媒に耐性がある材質のものを用い,窓には放射線の吸収が少な

い材料,例えば雲母,ポリエステル(

3

)

,金属ベリリウムなどを用いる。

(

3

)

厚さは,10

µ以下で,試料セルごとの厚さの変化は,±15%以下とする。

備考  揮発性の試料を取り扱うものは,試料の蒸発を防止し,かつ,蒸気圧による窓の変形防止対策

がとれる構造でなければならない。

(3)

放射線検出器  放射線検出器は,入射放射線を電気信号に変換するもので,一般には比例計数管を用

いる。

備考  比例計数管は入射放射線のエネルギーに比例した波高値のパルス信号をその強さに比例して発

生するものでなければならない。

(4)

演算表示部  演算表示部は放射線検出器からの信号を処理し,硫黄分を小数点以下 3 けた以上表示又

は記録できなければならない。

4.2.3

性能試験方法  励起式卓上形計測器の性能試験方法は,次による。

(1)

試験条件  (3)試験方法で試験条件を規定していない場合は,次の試験条件で行う。

(a)

周囲温度  10∼30℃の間の任意の温度とする。ただし,試験中に±2℃以上変化してはならない。

(b)

湿度  45∼85%までの間の任意の相対湿度とする。

(c)

大気圧変化  大気圧の変化幅は 20hPa {mbar}(

4

)

以下とする。

(

4

) 1bar

=10

5

Pa

である。

(d)

電源電圧  定格電圧±2%とする。

(e)

電源周波数  定格周波数±0.2Hz とする。

(f)

暖機時間  1 時間以上とする。

(g)

測定値の求め方  1 個の読取り値(デジタル値又はプリンター値)を求め,これを測定値とする。

(2)

試験液その他

(a)  C/H

試験液  附属書によって調製したものとする。


4

B 7995-1994

(b)

ゼロ校正液,スパン校正液及び校正液  確黄分 0.00 質量%,4 質量%及び任意の硫黄分の軽油若し

くは重油(

5

)

又は

附属書によって調製したものとする。

(

5

)

硫黄分の確定は,JIS K 2541に規定する燃焼管式硫黄分試験方法の空気法による。

参考  社団法人石油学会で硫黄分標準値を認定した硫黄分標準試料があるので,これを用いてもよい。

(3)

試験方法  計測器の試験方法は,次による。

なお,計測器は,各試験に先立ってゼロ校正液及びスパン校正液を用い,計測器の取扱説明書に記

載する方法でゼロ表示値及びスパン表示値の校正を行っておく。ただし,(i)(j)の試験を行う場合は

この校正操作を省略してもよい。

(a)

平行測定誤差試験  1 個の試料セルに校正液を所定量入れ,連続して 10 回硫黄分を測定する。この

10

個の測定値の最大値と最小値との差を平行測定誤差とする。

(b)

ゼロドリフト試験  1 個の試料セルにゼロ校正液を所定量入れ,連続して 10 回硫黄分を測定し,そ

の測定値を平均する。同一セルで以後 4 時間にわたり約 1 時間ごとに同様の測定を繰り返し,平均

値 5 個を求める。この平均値の最大値と最小値との差をゼロドリフトとする。

(c)

スパンドリフト試験  1 個の試料セルにスパン校正液を所定量入れ,連続して 10 回硫黄分を測定し,

その測定値を平均する。同一セルで以後 4 時間にわたり約 1 時間ごとに同様の測定を繰り返し,平

均値 5 個を求める。この平均値の最大値と最小値の差をスパンドリフトとする。

(d)

検量線の直線性誤差試験  1 個の試料セルに校正液を所定量入れ,連続して 10 回硫黄分を測定し,

その測定値を平均する。この平均値と校正液の硫黄分確定値との差を検量線の直線性誤差とする。

(e)

セル間誤差試験  5 個の試料セルに校正液を所定量入れ,それぞれ連続して 10 回ずつ硫黄分を測定

した後,セルごとに測定値を平均する。このセルごとの平均値の最大値と最小値との差をセル間誤

差とする。ただし,セルの窓材は同じロットのものを使用する。

(f)

電源電圧 10%変化時の測定値変化試験  1 個の試料セルにスパン校正液を所定量入れ,連続して 10

回硫黄分を測定し,その測定値を平均して A とする。次に電源電圧を定格電圧の 110%の電圧に徐々

に変化させ,計測器が安定した後,同様の測定を繰り返し,その測定値を平均して B とする。更に

電源電圧を定格電圧の 90%の電圧に徐々に変化させ,

計測器が安定した後,

同様の測定を繰り返し,

その測定値を平均して C とする。電源電圧に対する影響は,B から A を減じた値及び C から A を

減じた値で求め,これらの絶対値を電源電圧 10%変化時の測定値変化とする。

(g)

周囲温度 5℃変化時の測定値変化試験  1 個の試料セルにスパン校正液を所定量入れ,連続して 10

回硫黄分を測定し,その測定値を平均する。次に周囲温度を 10∼30℃の間で 5℃以上変える。計測

器が安定した後,同一セルを用い同様の測定を繰り返して平均値を求める。この平均値と周囲温度

を変化させる前の平均値との差を 5℃当たりに換算してこれを周囲温度 5℃変化時の測定値変化と

する。

(h)  C/H1.0

変化時の測定値変化試験  5 個の試料セルに C/H 試験液 A を所定量入れ,それぞれ連続して

10

回ずつ硫黄分を測定し,50 個の全測定値を平均する(

6

)

。次に 5 個の試料セルに C/H 試験液 B を

所定量入れ,それぞれ連続して 10 回ずつ硫黄分を測定し,50 個の全測定値を平均する(

6

)

。C/H 試

験液 A の硫黄分平均値と C/H 試験液 B の硫黄分平均値との差を C/H1.0 当たりに換算して,これを

C/H1.0

変化時の測定値変化とする。

(

6

)

全測定値を平均する前に(e)によってセル間に誤差がないことを確認しなければならない。

(i)

耐電圧試験  計測器の電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱との間に定格周波数の交流電圧

1 000V

を 1 分間加えて異常の有無を調べる。


5

B 7995-1994

(j)

絶縁抵抗試験  計測器の電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱との間の絶縁抵抗を JIS C 

1302

に規定する 500V 絶縁抵抗計で測定する。

備考  4.2.3(3)(i)(j)の試験は,計測器への供給電源を遮断した状態で行う。

4.3

励起式定置形計測器

4.3.1

性能  励起式定置形計測器の性能は,次による。計測器は原油及び石油製品中の硫黄分を連続的に

測定するための適切な機能をもち,4.3.3 で試験を行ったとき,

表 の規定に適合しなければならない。

表 3  励起式定置形計測器の性能

項目

性能

繰返し測定誤差

硫黄分 0.01 質量%+0.01FS 以下

ゼロドリフト

硫黄分 0.01 質量%+0.01FS 以下

スパンドリフト

硫黄分 0.01 質量%+0.015FS 以下

検量線の直線性誤差

硫黄分 0.02 質量%+0.05FS 以下

電源電圧 10%変化時の測定値変化

硫黄分 0.01 質量%+0.01FS 以下

周囲温度 5℃変化時の測定値変化

硫黄分 0.01 質量%+0.015FS 以下

C/H 1.0

変化時の測定値変化

硫黄分 0.01 質量%+0.02FS 以下

試料切換後の 90%応答時間 10 分以内

耐電圧

異常を生じてはならない

絶縁抵抗 2M

Ω以上

備考  FS は,計測器の最大目盛値(質量%)である。

4.3.2

計測器の構成  励起式定置形計測器の構成は,次による。

なお,計測器は試料セル,放射線検出器,演算表示部などで構成し,その構成例を

図 に示す。

備考  計測器は,通常の使用状態において,危険を生じるおそれがなく,十分な耐久性をもち,形状

が正しく,組立てが良好で,容易に機械的,電気的な故障を生じないこと。

図 2  励起式定置形計測器の構成例

(1)

線源  線源は密封された放射性同位元素 X 線管で,測定に適するエネルギーの放射線を放射する。

(2)

試料セル  試料セルは石油類に耐性のある材質のものを用い,窓には放射線の吸収の少ない材質,例

えば,金属ベリリウム,ポリテトラフルオルエチレン(通称テフロン)などを用いる。

(3)

放射線検出器  放射線検出器は,入射放射線を電気信号に変換するもので,一般には比例計数管を用


6

B 7995-1994

いる。

備考  比例計数管は入射放射線のエネルギーに比例した波高値のパルス信号をその強さに比例して発

生するものである。

(4)

演算表示部  演算表示部は放射線検出器からの信号を処理し,硫黄分を表示又は伝送できなければな

らない。

4.3.3

性能試験方法  励起式定置形計測器の性能試験方法は,次による。

(1)

試験条件  (3)試験方法で試験条件を規定していない場合は,次の試験条件で行う。

(a)

温度  10∼30℃の間の任意の温度とする。

(b)

湿度  45∼85%までの間の任意の相対湿度とする。

(c)

大気圧変化  大気圧の変化幅は 20hPa {mbar} (

4

)

以下とする。

(d)

電源電圧  定格電圧±2%とする。

(e)

電源周波数  定格周波数±0.2Hz とする。

(f)

暖機時間  4 時間以上とする。

(g)

測定値の求め方  短時間の連続指示値の中心値を読み取り,これを測定値とする。

(2)

試験液その他

(a)  C/H

試験液  附属書によって調製したものとする。

(b)

ゼロ校正液,スパン校正液及び校正液  硫黄分 0.00 質量%,4 質量%及び任意の硫黄分の軽油若し

くは重油又は

附属書によって調製したものとする。

(c)

応答試験液  JIS K 2203 に規定する 1 号とする。

(3)

試験方法  計測器の試験方法は,次による。

なお,計測器は,各試験に先立って,ゼロ校正液及びスパン校正液を用い,計測器の取扱説明書に

記載する方法でゼロ表示値及びスパン表示値の校正を行っておく。ただし,(i)及び(j)の試験を行う場

合は,この操作を省略してもよい。

(a)

繰返し測定誤差試験  試料セルにスパン校正液を所定量導入し,安定した連続指示値を求め,測定

値とする。次に,試料セルを空にし,再度スパン校正液を導入し,測定値を求める。この操作を 3

回繰り返し,3 個の測定値の最大値と最小値との差を求め,これを繰返し測定誤差とする。

(b)

ゼロドリフト試験  試料セルにゼロ校正液を所定量導入し,24 時間連続測定を行う。この間におけ

る測定値の最大値と最小値との差を求め,これをゼロドリフトとする。

(c)

スパンドリフト試験  試料セルにスパン校正液を所定量導入し,24 時間連続測定を行う。この間に

おける測定値の最大値と最小値との差を求め,これをスパンドリフトとする。

(d)

検量線の直線性誤差試験  試験セルに校正液を所定量入れ,測定値を求める。その測定値と校正液

の硫黄分確定値との差を検量線の直線性誤差とする。

(e)

電源電圧 10%変化時の測定値変化試験  試料セルにスパン校正液を所定量入れ,硫黄分を測定し,

その測定値を A とする。次に,電源電圧を定格電圧の 110%の電圧に徐々に変化させ,計測器が安

定した後,同様の測定を行い,その測定値を B とする。更に電源電圧を定格電圧の 90%の電圧に徐々

に変化させ,計測器が安定した後,同様の測定を行い,その測定値を C とする。電源電圧に対する

影響は B から A を減じた値及び C から A を減じた値で求め,これらの絶対値を電源電圧 10%変化

時の測定値変化とする。

(f)

周囲温度 5℃変化時の測定値変化試験  試料セルにスパン校正液を所定量入れ,硫黄分を測定する。

次に周囲温度を 10∼30℃の間で 5℃以上変える。計測器が安定した後,同一セルを用い同様の測定


7

B 7995-1994

を行う。この測定値と周囲温度を変化させる前の測定値との差を 5℃当たりに換算して,これを周

囲温度 5℃変化時の測定値変化とする。

(g)  C/H1.0

変化時の測定値変化試験  試料セルに C/H 試験液 A を所定量入れ,硫黄分を測定する。次

に試料セルに C/H 試験液 B を所定量入れ,硫黄分を測定する。C/H 試験液 A の硫黄分測定値と C/H

試験液 B の硫黄分測定値の差を C/H1.0 当たりに換算して,これを C/H1.0 変化時の測定値変化とす

る。

(h)

試料切換後の 90%応答時間試験  初め試料セルにスパン校正液を入れた状態で安定した測定値 A

を指示記録(

7

)

させておき,次に応答試験液を設定流量で導入し,スパン校正液を応答試験液に置換

する。安定した測定値 B が得られるまで測定値を指示記録(

7

)

させる。スパン校正液を応答試験液に

切り換えた時点から,測定値の変化量  (AB)  ×

100

90

に達するまでの時間(分)を記録の結果から求

め,90%応答時間とする。

(

7

)

ここに用いる指示記録計の記録紙送り速度は,10mm/min 以上とする。

(i)

耐電圧試験  計測器の電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱との間に定格周波数の交流電圧

1 000V

を 1 分間加えて異常の有無を調べる。

(j)

絶縁抵抗試験  計測器の電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱との間の絶縁抵抗を JIS C 

1302

に規定する 500V 絶縁抵抗計で測定する。

備考  4.3.3(3)(i)(j)の試験は,計測器への供給電源を遮断した状態で行う。

5.

透過式計測器

5.1

測定原理  透過式は,放射性同位元素から放射される放射線を試料に照射したときに硫黄原子など

によって吸収されて透過してくる放射線の強度を測定し,試料中の硫黄分濃度を求める。

備考  この方式では,20keV 程度の単色なエネルギーの X 線又は

γ線を利用したものは C/H の補正は

不要であるが,それ以外のエネルギーを用いたものは補正が必要である。更に,試料の質量又

は密度の測定が必要である。

5.2

透過式定置形計測器

5.2.1

性能  透過式定置形計測器の性能は,次による。計測器は原油及び石油製品の硫黄分を連続的に測

定するための適切な機能をもち,5.2.3 で試験を行ったとき,

表 の規定に適合しなければならない。

表 4  透過式定置形計測器の性能

項目

性能

繰返し測定誤差

硫黄分 0.01 質量%+0.01FS 以下

ゼロドリフト

硫黄分 0.01 質量%+0.01FS 以下

スパンドリフト

硫黄分 0.01 質量+0.015FS 以下

検量線の直線性誤差

硫黄分 0.02 質量%+0.05FS 以下

電源電圧 10%変化時の測定値変化

硫黄分 0.01 質量%+0.01FS 以下

周囲温度 5℃変化時の測定値変化

硫黄分 0.01 質量%+0.015FS 以下

試料切換後の 90%応答時間 10 分以内

耐電圧

異常を生じてはならない

絶縁抵抗 2M

Ω以上

重金属が測定値に与える影響

硫黄分 0.07 質量%以下

備考  FS は,計測器の最大目盛値(質量%)とする。

5.2.2

計測器の構成  透過式定置形計測器の構成は,次による。

なお,計測器は線源,試料セル,放射線検出器,演算表示部などで構成し,その構成例を

図 に示す。


8

B 7995-1994

備考  計測器は,通常の使用状態において,危険が生じるおそれがなく,十分な耐久性をもち,形状

が正しく,組立てが良好で,容易に機械的,電気的な故障を生じないこと。

図 3  透過式定置形計測器の構成例

(1)

線源  線源は,密封された放射性同位元素又は X 線管で,測定に適するエネルギーの放射線を放射す

るものであり,線源が正常に装着された状態では,放射線の漏れは関係法令に定める線量以下でなけ

ればならない。

(2)

試料セル  試料セルは,石油類に耐性がある材質のものを用い,窓には放射線の吸収の少ない材料,

例えば金属ベリリウム,ポリテトラフルオルエチレン(通称:テフロン)などを用いる。

(3)

放射線検出器  放射線検出器は,入射放射線を電気信号に変換するもので,電離箱,ガイガ・ミュラ

ー計数管又は比例計数管を用いる。

備考  電離箱は入射放射線をその強さに比例した電流に変換するもの,ガイガ・ミュラー計数管は入

射放射線の強さに比例した数のパルス信号を出すもの,比例計数管は入射放射線のエネルギー

に比例した波高値のパルス信号をその強さに比例して発生するものでなければならない。

(4)

演算表示部  演算表示部は,放射線検出器からの信号を処理し,硫黄分を表示又は伝送できなければ

ならない。

5.2.3

性能試験方法  透過式定置形計測器の性能試験方法は,次による。

(1)

試験条件  4.3.3(1)に規定する条件とする。

(2)

試験液その他

(a)

ゼロ校正液,スパン校正液及び校正液  硫黄分 0.00 質量%,4 質量%及び任意の硫黄分の軽油若し

くは重油又は

附属書によって調製したものとする。

(b)

応答試験液  JIS K 2203 に規定する 1 号とする。

(c)

重金属試験液  附属書によって調製したものとする。

(3)

試験方法

(a)

繰返し測定誤差試験  試料セルにスパン校正液を所定量導入し,安定した連続指示値を求め,測定

値とする。次に,試料セルを空にし,再度スパン校正液を導入し,測定値を求める。この操作を 3


9

B 7995-1994

回繰り返し,3 個の測定値の最大値と最小値との差を求め,これを繰返し測定誤差とする。

(b)

ゼロドリフト試験  試料セルにゼロ校正液を所定量導入し,24 時間連続測定を行う。この間におけ

る測定値の最大値と最小値との差を求め,これをゼロドリフトとする。

(c)

スパンドリフト試験  試料セルにスパン校正液を所定量導入し,24 時間連続測定を行う。この間に

おける測定値の最大値と最小値との差を求め,これをスパンドリフトとする。

(d)

検量線の直線性誤差試験  試料セルに校正液を所定量入れ,測定値を求める。その測定値と校正液

の硫黄分確定値との差を検量線の直線性誤差とする。

(e)

電源電圧 10%変化時の測定値変化試験  試料セルにスパン校正液を所定量入れ,硫黄分を測定し,

その測定値を とする。次に,電源電圧を定格電圧の 110%の電圧に徐々に変化させ,計測器が安

定した後,同様の測定を行い,その測定値を とする。更に電源電圧を定格電圧の 90%の電圧に徐々

に変化させ,計測器が安定した後,同様の測定を行い,その測定値を とする。電源電圧に対する

影響は から を減じた値及び から を減じた値で求め,これらの絶対値を電源電圧 10%変化

時の測定値変化とする。

(f)

周囲温度 5℃変化時の測定値変化試験  試料セルにスパン校正液を所定量入れ,硫黄分を測定する。

次に周囲温度を 10∼30℃の間で 5℃以上変える。計測器が安定した後,同一セルを用い同様の測定

を行う。この測定値と周囲温度を変化させる前の測定値との差を 5℃当たりに換算して,これを周

囲温度 5℃変化時の測定値変化とする。

(g)

試料切換後の 90%応答時間試験  初め試料セルにスパン校正液を入れた状態で安定した測定値 A

を指示記録(

7

)

させておき,次に応答試験液を設定流量で導入し,スパン校正液を応答試験液に置換

する。安定した測定値 が得られるまで測定値を指示記録(

7

)

させる。スパン校正液を応答試験液に

切り換えた時点から,測定値の変化量が  (AB)  ×

100

90

に達するまでの時間(分)を記録の結果から

求め,90%応答時間とする。

(

7

)

ここに用いる指示記録計の記録紙送り速度は10mm/min 以上とする。

(h)

耐電圧試験  計測器の電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱との間に定格周波数の交流電圧

1 000V

を 1 分間加えて異常の有無を調べる。

(i)

絶縁抵抗試験  計測器の電気回路を閉の状態で,電源端子一括と外箱との間の絶縁抵抗を JIS C 

1302

に規定する 500V 絶縁抵抗計で測定する。

備考  5.2.3(3)(h)(i)の試験は,計測器への供給電源を遮断した状態で行う。

(j)

重金属が測定値に与える影響試験  ゼロ校正液と重金属試験液を交互に試料セルに入れて,それぞ

れ測定値を求める。二つの測定値の差から鉄分 100 質量 ppm 当たりの変化量を求め,重金属が測定

値に与える影響とする。

6.

表示  計測器には,本体の見やすい箇所に次の事項を表示する。ただし,これらの表示は,計測器に

分散して表示してもよい。また,(7)以降は必要に応じて表示する。

(1)

製造業者名又は登録商標

(2)

製造業者が与えている計測器の形名

(3)

器物番号。必要ある場合は相番号又はその略号

(4)

製造年月又はその略号

(5)

電源の種類,電圧 (V) ,周波数 (Hz) 及び所要電力 (W) 又は皮相電力 (VA)  

(6)

放射性同位元素を線源とするものには放射能標識


10

B 7995-1994

(7)

測定成分

(8)

測定原理

(9)

測定範囲

(10)

使用周囲温度範囲  (℃)  

(11)

伝送出力の種類

(12)

形式承認番号を得たものは,その形式承認番号

(13)

防爆検定合格品には,法令で定められた表示事項


11

B 7995-1994

附属書  性能試験用校正液及び試験液の調製方法

1.

適用範囲  この附属書は,硫黄分自動計測器の性能試験に用いる C/H 試験液,重金属試験液,校正液

などの調製方法について規定する。

2.

試薬

(1)

ジブチルジスルフィド  ジブチルジスルフィド(以下,DBDS という。)試薬は,附属書表 に示す条

件を満たすものとする。

附属書表 1  ジブチルジスルフィド試薬の条件

比重   (20/20℃)

0.936

∼0.940

屈折率

20

D

n

1.490

∼1.494

水分  %

0.01

以下

含量[

(ジ−n−ブチルジスルフィド及びその異性体の含量)

(ガスクロマトグラフ法)

]  % 99.5 以上

参考 DBDS 試薬については,通商産業省の試薬表示認証制度(通商産業省省議決定 49.3.25)に基づい

て認証されたもの(認証規格番号 NR7801)がある。

備考 DBDS は,かなりの特異臭があるのでドラフト内で取り扱い,不快を他に及ぼさないよう十分な配

慮が必要である。

(2)

テトラリン及びデカリン  テトラリン及びデカリン試薬は硫黄分 0.005 質量%以下で,水分 0.05 質量%

以下のもの(

1

)

とする。

(

1

)

試薬瓶の開封後は大気中の水分の混入を防ぐため,デシケータに入れて保管すること。使用に

際しては水分を測定し,0.05質量%以下であることを確認すること。

備考  硫黄分の試験方法は,JIS K 2541 に規定する酸水素炎燃焼式硫黄分試験方法(ジメチルスルホ

ナゾ III 滴定法)又は,ランプ式硫黄分試験方法(容量法)によって,水分の試験方法は,JIS K 

0068

又は JIS K 2275 に規定するカール・フィッシャー法による。

(3)

フェロセン  フェロセン試薬は純度 98.0 質量%以上で,硫黄分を含まないものとする。

参考  試薬の性状を附属書参考表 に示す。

附属書参考表 1  試薬の性状

試薬名

分子式

分子量

沸点

硫黄分

質量%

密度 20℃

g/cm

3

C/H

炭素分

質量%

水素分

質量%

DBDS (C

4

H

9

S)

2

 178.36

230

35.95

0.94

5.30

53.87

10.17

テトラリン

C

10

H

12

132.21  207

0.00 0.97 9.93

90.85 9.15

デカリン

C

10

H

18

 138.26  185

∼193 0.00  0.90  6.62 86.88 13.12

フェロセン

C

10

H

10

Fe 186.04

鉄分(質量%)

30.02

0.00

− 8.39

64.56 5.42

3.

C/H

試験液の調製方法  C/H 試験液の調製方法は,次による。

なお,硫黄分が 4.00 質量%で,C/H が異なる C/H 試験液 A 及び試験液 B の 2 種類を調製する。

(1)  C/H

試験液 A  C/H 試験液 A は,あらかじめ洗浄,乾燥した共栓付三角フラスコに DBDS とデカリン

とを 11.13 対 88.87 の割合(質量比)ではかり取り(

2

)

十分に混合する(

3

)

。この液の C/H は 6.5 である。

(

2

) DBDS

は,硫黄分が約36質量%と多いので,正確にはかり取ることが必要である。


12

B 7995-1994

また,ひょう量容器を用いた場合は,はかり取った DBDS をすべて共栓付三角フラスコに移

すように細心の注意を払って行うことが必要である。

(

3

)

原則として,使用の都度調製する。

なお,調製後日時の経過したものを使用する場合は,水分を測定し 0.05 質量%以下であるこ

とを確認すること。

(2)  C/H

試験液 B  C/H 試験液 B は,あらかじめ洗浄,乾燥した共栓付三角フラスコに DBDS とテトラリ

ンとを 11.13 対 88.87 の割合(質量比)ではかり取り(

2

)

十分に混合する(

3

)

。この試験液の C/H は 9.4 で

ある。

4.

ゼロ校正液の調製方法  ゼロ校正液の調製方法は,あらかじめ洗浄,乾燥した共栓付三角フラスコに

テトラリンとデカリンとを 15.66 対 84.34 の割合(質量比)ではかり取り,十分に混合する(

3

)

。この校正液

は硫黄分 0.005 質量%以下,C/H7.0 である。

5.

硫黄分 質量%のスパン校正液の調製方法  硫黄分 4 質量%のスパン校正液の調製方法は,あらかじ

め洗浄,乾燥した共栓付三角フラスコに,DBDS,テトラリン及びデカリンを

附属書表 に示す割合では

かり取り(

2

)

,十分に混合する(

3

)

。この校正液は,硫黄分 4.00 質量%,C/H7.0 である。

附属書表 2  試薬の混合割合

試薬名

混合割合(質量比)

DBDS 11.13

テトラリン 19.99

デカリン 68.88

備考  硫黄分 4 質量%以外の校正液の調製方法は,6.による。

6.

校正液の調製方法  校正液の調製方法は,次のいずれかの方法によって C/H が 7.0 で任意の硫黄分の

校正液を調製する。

(1)

試薬を直接調合する方法  あらかじめ洗浄,乾燥した共栓付三角フラスコに DBDS,テトラリン及び

デカリンを次の式で求めた割合(質量比)ではかり取り(

2

)

,十分に混合する(

3

)

C

U

=2.781 6S

÷

ø

ö

ç

è

æ

+

=

S

C

S

C

D

5

028

.

0

5

148

.

9

1

100

6

163

.

25

C

T

=100−C

U

C

D

ここに,

S

:  任意の硫黄分(質量%)

C

U

: DBDS の割合(質量比)

C

T

:  テトラリンの割合(質量比)

C

D

:  デカリンの割合(質量比)

C

:  7.0 (C/H)

(2)

ゼロ校正液と硫黄分 質量%のスパン校正液とを調合する方法  ゼロ校正液と硫黄分 4 質量%のスパ

ン校正液とを調合する方法は,あらかじめ洗浄,乾燥した共栓付三角フラスコにゼロ校正液及び硫黄

分 4 質量%スパン校正液を次の式で求めた割合(質量比)ではかり取り,十分に混合する(

3

)

100

00

.

4

×

=

S

C

S


13

B 7995-1994

C

Z

=100−C

S

ここに,

S

:  任意の硫黄分(質量%)

C

Z

:  ゼロ校正液の割合(質量比)

C

S

:  硫黄分 4 質量%のスパン校正液の割合(質量比)

7.

重金属試験液の調製方法  重金属試験液の調製方法は,あらかじめ洗浄,乾燥した共栓付三角フラス

コにフェロセンとゼロ校正液とを 0.333 対 99.667 の割合(質量比)ではかり取り,十分混合する(

3

)

。この

試験液は,鉄分 1.000 質量 ppm,C/H7.0 及び硫黄分 0.005 質量%以下とする。

原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

矢田部  照  夫

財団法人電力中央研究所

(委員)

森  本      修

通商産業省機械情報産業局

横  溝  眞一郎

工業技術院標準部

佐  野  貞  雄

神奈川県公害センター

川  瀬  善  一

埼玉県公害センター

鈴  木  将  夫

千葉県公害研究所

飯  島  政  義

東京電力株式会社

伊  藤      玄

出光興産株式会社

佐  藤  文  夫

日本石油株式会社

細  川  長  利

日本鉱業株式会社

高  田  勝太郎

東京化成工業株式会社

平  田  治  義

株式会社堀場製作所

山  野  豊  次

理学電機工業株式会社

塘      政  弘

株式会社横河電機製作所

岩  越  和  大

三菱電機株式会社

中  川      隆

社団法人日本電気計測器工業会

菅  原  淳  夫

財団法人日本規格協会

木  村      弘

社団法人日本分析機器工業会

(事務局)

戸野塚  房  男

社団法人日本分析機器工業会