B 7912-2:2006
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日
本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 17123-2:2001,Optics and optical
instruments−Field procedures for testing geodetic and surveying insturuments−Part 2:Levelsを基礎として用い
た。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任をもたない。
JIS B 7912-2には,次に示す附属書がある。
附属書A(参考)簡易測定法の例
附属書B(参考)標準測定法の例
附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS B 7912の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS B 7912-1 第1部:理論
JIS B 7912-2 第2部:レベル
JIS B 7912-3 第3部:セオドライト
JIS B 7912-4 第4部:光波測距儀
B 7912-2:2006
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目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 1
4. 一般 ······························································································································ 2
4.1 要求事項 ······················································································································ 2
4.2 測定手順1: 簡易測定手順 ································································································ 2
4.3 測定手順2: 標準測定手順 ································································································ 2
5. 簡易測定手順 ·················································································································· 3
5.1 測定場所の設定 ············································································································· 3
5.2 測定 ···························································································································· 3
5.3 計算 ···························································································································· 4
6. 標準測定手順 ·················································································································· 5
6.1 測定場所の設定 ············································································································· 5
6.2 測定 ···························································································································· 5
6.3 計算 ···························································································································· 6
6.4 統計的検定 ··················································································································· 7
附属書A(参考)簡易測定法の例 ···························································································· 9
附属書B(参考)標準測定法の例···························································································· 11
附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ·································································· 14
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日本工業規格 JIS
B 7912-2:2006
測量機器の現場試験手順−第2部:レベル
Field procedures for testing geodetic and surveying instruments−
Part 2:Levels
序文 この規格は,2001年に第1版として発行されたISO 17123-2,Optics and optical instruments−Field
procedures for testing geodetic and surveying insturuments−Part 2:Levelsを翻訳し,技術的内容を変更して作成
した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変
更の一覧表をその説明を付けて,附属書1(参考)に示す。
1. 適用範囲 この規格は,レベルの屋外での精度を評価するときに用いられる方法について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 17123-2:2001,Optics and optical instruments−Field procedures for testing geodetic and surveying
instruments−Part 2:Levels (MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS Z 8101-1 統計−用語と記号−第1部:確率及び一般統計用語
備考 ISO 3534-1:1993 Statistics-Vocabulary and symbols−Part 1: Probability and general statistical
termsからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS Z 8103 計測用語
ISO 4463-1 Measurement methods for building−Setting-out and measurement−Part 1:Planning and
organization,measuring procedures,acceptance criteria
ISO 7077 Measuring methods for building−General principles and procedures for the verification of
dimensional compliance
ISO 7078 Building construction - Procedures for setting out,measurement and surveying−Vocabulary and
guidance notes
ISO 12858-1 Optics and optical instruments−Ancillary devices for geodetic instruments−Part 1 :Invar
levelling staffs
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 8101-1及びJIS Z 8103によるほか,次による。
a) 視軸偏差 視準軸の水平からの誤差。
2
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b) ゼロ点オフセット 標尺底面からの10 cm目盛の誤差(ISO 12858-1による。)。
4. 一般
4.1
要求事項 使用者は,測量を始める前に使用する測量機器が要求された精度を満たしているかどう
かを調べることが重要である。
レベルとその附属品とは,製造業者の取扱説明書に記載されている方法によって常に調整した状態で使
用しなければならない。また,三脚と標尺とは製造業者の推奨する品を用いることとする。この試験は気
象条件,特に温度こう配の影響を受けるため,曇天下で微風のある天候が最も良い結果が得られる。もち
ろん測量する場所によって,気象条件が変化する可能性があるため,測量時の実際の気象条件及びそのと
きの周囲状況を記録しておくべきである。試験時の条件は要求された測量が実際に実行されるときの予想
される条件に合わすべきである(ISO 7077及びISO 7078による。)。
屋内で行われる試験結果は大気の諸影響をほとんど受けないが,そのような試験の費用は高いため,実
用的ではない。さらに,屋内における測定は屋外で行った場合より高い精度をもたらしてしまう。この規
格は,5.及び6.で規定するとおり現場における二つの異なった測定手順について規定している。使用者は,
その仕事の特定要求条件に最も適している測定手順を選ぶものとする。
4.2
測定手順1: 簡易測定手順 簡易測定手順は,使用するレベルの測定結果がISO 4463-1に従った許
容偏差の範囲に入っているかどうかを評価する方法を示している。
この測定方法は,通常,ある範囲を水平にするための作業,又は視準距離が不均一な建築及び工事にお
ける水準測量に使用されるレベルの精度を確認する方法を意図している。
この簡易測定手順は,最少の観測数で行う。したがって,信頼性の高い標準偏差を得ることはできない。
現場条件の下で,より正確な評価が必要であるならば,6.で示すようなより厳密な標準測定手順を採用す
ることを勧める。この測定方法は,約60 m離れた2地点の高低差を求める方法である。つまり,2地点の
中間にレベルを設置し測定して得た高低差と,不等距離に設置して得た高低差との差が,実施する測量で
規定された許容偏差(ISO 4463-1による。)に合うかどうかを評価するものである。
4.3 測定手順2: 標準測定手順 標準測定手順は,現場条件の下で使用するレベルとその附属品で得られ
る最も良い測定精度を決定するために採用されるもので,等距離での設置(最大の変化10 %)が必要であ
る。これは通常,より正確な水準測量,路線水準や他の主要な水準測量(例えば,土木水準測量)で使用
するレベルの精度を確認する方法を意図している。
視準距離は30 mを推奨するが,要求される測量の精度に合わせる場合,又はより高い水準測量精度を
求められるときは,この距離を30 mより長めにとることを薦める。
標準測定手順は,等距離観測だけで行う。この測定手順でレベルの視軸偏差は検出されない。しかし,
この視軸偏差は,測定の標準偏差及び標尺のゼロ点オフセットには何の影響も与えない。実際に測量を実
施する前には,製造業者の取扱説明書によって視軸偏差を確認すべきである。
この規格の6.で規定している測定手順は,使用するレベルの精度を決定できるように考えられている。
この精度の測定結果は,1 km往復に相当する水準測量の標準偏差として次のように表現する。
sISO−LEV
さらに,この方法は,次の問題を決定するために使用する。
− 1台の機械,及びその附属品を同一の観測者が使用するときのレベルの精度測定
− 時間が経過した場合の1台の機械の精度測定
− よく似た現場条件で複数のレベルを用いる場合の各々の機械が達成可能な精度を比較するための精
3
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度測定
統計的検定は,得られた標準偏差sが,その機械の理論上の標準偏差σの母集団に属するか否か,二つ
の測定サンプルが同じ母集団に属するか否か,標尺のゼロ点オフセットの差δが,ゼロとみなせるかに適
用される(6.4による。)。
5. 簡易測定手順
5.1
測定場所の設定 屈折の影響をできるだけ小さくするために,なるべく水平な場所を選ぶ。二つの
測点A,Bを,距離約60 m(又は実際に使用する現場に応じた距離)離して設置する。測定の間,標尺は
確実に信頼できる結果を得るために,安定な場所にしっかりと固定し設置する。
5.2
測定 測定を始める前に,機械は周囲温度に順応させる。温度差1 ℃当たりの順応時間は約2分で
ある。
なお,使用者は,測定の前に視軸偏差を確認すべきである。
2セットの測定を行うものとし,屈折の影響及び視軸偏差の影響を最小にするため最初のセットでは測
点AとBとの間のほぼ中間の位置(30 m)にレベルを設置する(図1)。ここに,A点の標尺の読みを後視の
読み値xA,j,B点の標尺の読みを前視の読み値xB,jとする(j=1, ... ,10)。測定は後視,前視の順に繰り返
し5回読み(xA,1,xB,1, ... ,xA,5,xB,5),次に,レベルの位置を三脚ごとわずかに移動させて設置し,前視
後視順に繰り返し5回読む(xB,6,xA,6,...,xB,10,xA,10)。以上各10回の読みを1セットとする。
2セット目の測定は,レベルを測点Aから約10 mの地点(測点Bから約50 m)に設置する(図2)。1
セット目と同様に測定を行う。このときの測定番号jは11,... ,20とするので,2セット目の読み値はxA,11,
xB,11,...,xA,15,xB,15;xA,16,xB,16,...,xB,20,xA,20となる。
図1 簡易測定手順の1セット目の配置
4
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図2 簡易測定手順の2セット目の配置
5.3
計算
j
j
j
x
x
d
B,
A,−
=
;
20
, ...
,1
=
j
····················································· (1)
ここに,
j
d: 後視の読み値
j
x,
Aと前視の読み値
j
xB,との差
10
10
1
1
∑
=
=j
j
d
d
·············································································· (2)
ここに,
1
d: 1セット目の測定で得られた高低差
j
dの算術平均
つまり,この
1
dは,測点AとBとの高低差を表していると考えられる。
;
1
j
j
d
d
r
−
=
10
,
...
,1
=
j
······················································ (3)
ここに,
jr: 1セット目の高低差の平均値と個々の高低差との差(残差)
算術的検算として,1セット目の残差の和は丸め誤差を除いてゼロにならなければならない。
0
10
1
=
∑
=
j
jr
················································································· (4)
v
r
s
j
j
∑
=
=
10
1
2
·············································································· (5)
ここに,
∑
=
10
1
2
j
jr: 1セット目の残差
jrの平方和
9
1
10
=
−
=
v
: 相当する自由度
s: 1セット目の測定で得られた高低差
j
dの
標準偏差
10
20
11
2
∑
=
=j
j
d
d
·············································································· (6)
ここに,
2
d: 2セット目の測定で得られた高低差
j
dの算術平均
高低差のセット間の差(
1d−
2
d)は,要求された測量に対する許容偏差±p(ISO 4463-1による。)の範
5
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囲内になければならない。
もし,pが与えられていない場合は,|
1d−
2
d|<2.5×sでなければならない。ただし,sは式(5)で求め
た値とする。
もし,高低差のセット間の差|
1d−
2
d|が上記条件を満たさない場合は,長距離(50 m)の測定に大きな不
確かさがあることを示している。これは視軸偏差,屈折の影響及び読み取り誤差から生じたものと考えら
れる。
このような場合は:
− 取扱説明書に従って,視軸偏差を確認する。
− 最大の距離を短くする。
6. 標準測定手順
6.1
測定場所の設定 屈折の影響をできるだけ小さく保つために,測定場所はなるべく水平な場所を選
ぶ。
地盤は堅く,表面が均一であるべきである。アスファルト及びコンクリートで覆われた道路は避けるべ
きである。直射日光が当たる場合は,機械を傘などで覆う。
測点A,Bは,距離約60 m離して設置する。
測定の間,標尺は確実に信頼できる結果を得るために,安定な場所にしっかりと固定し設置する。
屈折と視軸偏差との影響を最小にするため,測点A,Bのほぼ中間位置にレベルを設置する(図3)。
図3 標準測定手順の配置
6.2
測定 測定を始める前に,機械は周囲温度に順応させる。温度差1 ℃当たりの順応時間は約2分で
ある。
なお,使用者は測定の前に視軸偏差を確認すべきである。
測定は2セット行い,各セットは前視,後視を1組として20組の測定からなる。A点の標尺の読みを後
視の読み値
j
xA,,B点の標尺の読みを前視の読み値
j
x,Bとする( j=1 ,…,20)。それぞれの組の測定では,
三脚を同じ位置で高さを少し変えて据え直す。1セット目は後視前視の順に10組測定し(xA,1,xB,1, ... ,
xA,10,xB,10),次に前視後視の順に10組測定する(xB,11,xA,11,...,xB,20,xA,20)。
2セット目は,A点とB点との標尺を交換し,1セット目と同様の手順で20回の測定を行う
(xA,21,xB,21, ... ,xA,30,xB,30;xB,31,xA,31,...,xB,40,xA,40)。
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6.3
計算
40
,
,1
;
,B
,
A
Λ
=
−
=
j
x
x
d
j
j
j
······················································· (7)
ここに,
dj: 後視の読み値
j
x,
Αと,前視の読み値
j
x,Βとの差
20
20
1
1
∑
=
=j
j
d
d
·············································································· (8)
ここに,
1
d: 1セット目の測定で得られた高低差
j
dの算術平均
20
40
21
2
∑
=
=j
j
d
d
············································································· (9)
ここに,
2
d: 2セット目の測定で得られた高低差
j
dの算術平均
差δは,次のとおり。
2
1d
d−
=
δ
············································································· (10)
差δは,測定の標準偏差にどのような影響も与えないが,標尺のゼロ点オフセットの差を表している。
残差jrは,次のとおり計算される。
20
,
,1
;
1
Λ
=
−
=
j
j
d
d
r
···························································· (11)
40
,
,
21
;
2
Λ
=
−
=
j
d
d
r
j
j
························································ (12)
ここに,
rj: 各セットの高低差の平均値と個々の高低差との差
算術的検算として,1セット目と2セット目の残差の和は,丸め誤差を除いてゼロにならなければならな
い。
0
20
1
=
∑
=
j
jr
··············································································· (13)
0
40
21
=
∑
=
j
jr
··············································································· (14)
∑
∑
∑
=
=
=
+
=
40
21
2
20
1
2
40
1
2
j
j
j
j
j
j
r
r
r
······························································ (15)
ここに, ∑
=
40
1
2
j
jr: 残差jrの平方和
38
)1
20
(
2
=
−
×
=
v
···································································· (16)
ここに,
v: 自由度の数
測点間(距離60 m)の高低差の標準偏差sは,次のように計算される。
7
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38
40
1
2
40
1
2
∑
∑
=
=
=
=
j
j
j
j
r
v
r
s
······························································ (17)
89
.2
m
60
m
000
1
2
LEV
ISO
×
=
×
=
−
s
s
s
·············································· (18)
ここに,
LEV
ISO−
s
: 1 kmの往復に相当する水準測量に対する標準偏差
6.4
統計的検定
6.4.1
一般 統計的検定は,標準測定手順だけに推奨する。
測定結果の評価のために,次の値を用いる。
− 測点間の高低差の標準偏差s
− 標尺のゼロ点オフセットの差δとその標準偏差
δ
s
そして,次の三つの統計的検定を行う(表1参照)。
a) 算出した標準偏差sは,製造業者が示している値,又は事前に決めた母標準偏差σよりも小さいか。
b) 二つの異なったサンプルから求められた標準偏差s及びs~は,それぞれのサンプルの自由度νが同じ
だと仮定し,同じ母集団に属しているのか。
標準偏差s及びs~は,次のいずれかから得ることができる。
− 機器は同一だが,異なる観測者による二つの測定のサンプル
− 異なる時間帯に同じ機器を用いて行った二つの測定のサンプル
− 異なる機器を用いて行った二つの測定のサンプル
c) 二つの標尺のゼロ点オフセットの差dは,ゼロに等しいか。
次の検定において,信頼水準(1−α)を0.95とし,自由度は38である。
表1 統計的検定
問
帰無仮説
対立仮説
a)
b)
c)
s≤σ
σ
σ
~
=
0
=
δ
s>σ
σ
σ
~
≠
0
≠
δ
備考 二つの標準偏差が同一の母集団に属しているかを検証する場合は,上記のようにσをsの
代わりに使用する。
6.4.2
問a) 観測して得た標準偏差sが,次の条件を満たすならば,製造業者が示した値又は事前に決め
た母標準偏差σより小さいか等しいという帰無仮説は棄却することができない。
v
v
s
)
(
21α
χ
σ
−
×
≤
····································································· (19)
38
)
38
(
295
.0
χ
σ×
≤
s
···································································· (20)
38
.
53
)
38
(
295
.0
=
χ
······································································ (21)
38
38
.
53
×
≤σ
s
········································································ (22)
19
.1
×
≤σ
s
············································································· (23)
そうでなければ,帰無仮説は棄却される。
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6.4.3
問b) 二つの異なったサンプルから求められた標準偏差(s及びs~)が,同じ母集団に属するかど
うかを検定する。
次の条件が満たされるなら,対応する帰無仮説
σ
σ
~
=
は棄却することができない。
)
,
(
~
)
,
(
1
2
/
1
2
2
2
/
1
v
v
F
s
s
v
v
F
α
α
−
−
≤
≤
···················································· (24)
)
38
,
38
(
~
)
38
,
38
(
1
975
.0
2
2
975
.0
F
s
s
F
≤
≤
··················································· (25)
91
.1
)
38
,
38
(
975
.0
=
F
····································································· (26)
91
.1
~
52
.0
2
2≤
≤ss
······································································· (27)
そうでなければ,帰無仮説は棄却される。
6.4.4
問c) 次の条件が満たされるなら,標尺のゼロ点オフセットの差δがゼロに等しいという帰無仮説
は,棄却することができない。
)
(
2
/
1
v
t
s
α
δ
δ
−
×
≤
······································································ (28)
)
38
(
975
.0t
s×
≤δ
δ
······································································· (29)
10
s
s=
δ
··············································································· (30)
02
.2
)
38
(
975
.0
=
t
········································································ (31)
02
.2
10×
≤
s
δ
········································································ (32)
64
.0
×
≤s
そうでなければ,帰無仮説は棄却される。
もし,測定回数が異なる場合には,その自由度に対応する
)
(
21
ν
χα
−
,
)
,
(
2/
1
ν
ν
α
−
F
,
)
(
2
/
1
ν
α
−
t
などの値を
採用しなければならない。それらの値は統計の参考書から得る。
9
B 7912-2:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A(参考)簡易測定法の例
この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
A.1 観測 附属書A表1の列1〜3と列7〜9とに,20回の前視及び後視の読み値(測定値xA,j及びxB,j)
を示す。
観測者 日測 太郎
天候 曇り,気温10 ℃
使用機種及び機番 NN xxx 630401
観測日 2003-4-15
附属書A表1 測定値及び残差
1
j
2
xA,j
mm
3
xB,j
m
4
dj
mm
5
rj
mm
6
2jr
mm2
7
j
8
xA,j
mm
9
xB,j
mm
10
dj
mm
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1 048
1 017
1 061
1 048
1 012
1 051
1 054
1 038
1 036
1 052
1 232
1 200
1 245
1 231
1 195
1 235
1 238
1 221
1 219
1 235
−184
−183
−184
−183
−183
−184
−184
−183
−183
−183
0.6
−0.4
0.6
−0.4
−0.4
0.6
0.6
−0.4
−0.4
−0.4
0.36
0.16
0.36
0.16
0.16
0.36
0.36
0.16
0.16
0.16
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
1 115
1 123
1 145
1 167
1 155
1 137
1 119
1 127
1 140
1 144
1 300
l 307
1 328
1 351
1 341
1 322
1 304
1 312
1 324
1 328
−185
−l84
−183
−l84
−186
−185
−185
−185
−184
−184
Σ
10 417
12 251
−1 834
0.0
2.40
Σ
11 372
13 217
−1 845
A.2 計算 最初に本体の式(1)によって高低差
1d,…,
20
dを計算する(附属書A表1の列4,10参照)。
列4,10の合計値を用い,式(2)及び式(6)から,平均値を求める。
mm
183.4
10
mm
834
1
10
10
1
1
−
=
−
=
=
∑
=
j
j
d
d
mm
184.5
10
mm
845
1
10
20
11
2
−
=
−
=
=
∑
=
j
j
d
d
両者の差は,次のようになる。
mm
1.1
2
1
=
−d
d
1セット目の測定で得られた高低差の残差jrは,式(3)を用いて計算する(附属書A表1の列5参照)。
標準偏差sは1セット目の測定での残差の平方和の平均値を用いて(附属書A表1の列6の最後の枠参
照),式(5)から次のように求める。
10
B 7912-2:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
mm
5.0
9
40
.2
10
1
2
=
=
=∑
=
ν
r
s
j
j
そして次のような検算を行う。
− 列2の合計と列3の合計との差は,列4の合計値に等しい。
834
1
417
10
251
12
−
=
+
−
− 列8の合計と列9の合計との差は,列10の合計値に等しい。
845
1
372
11
217
13
−
=
+
−
− 列5に示される残差の合計は,丸め誤差を除いてゼロに等しい。
差
mm
1.1
2
1
−
=
−d
d
は,
mm
25
.1
5.0
5.2
5.2
=
×
=
×s
より小さくなっている。これは,読取り誤差,屈折又は
視軸偏差を含んだ測定結果に意味ある不確かさが見当たらないことを示している(許容偏差が与えられて
いない。)。
11
B 7912-2:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書B(参考)標準測定法の例
この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
B.1
観測 附属書B表1の列1〜3と列7〜9とに,40個の前視及び後視の読み値(測定値xA,j及びxB,j)
を示す。
観測者 日測 二郎
天候 曇り 気温 +10 ℃
使用機種及び機番 NN xxx 630401
日付 2003-4-15
附属書B表1 測定値及び残差
B.2
計算 初めに,高低差
40
1
d
,...,
d
を本体の式(7)をから求める(附属書B表1の列4,10参照)。
附属書B表1の列4と列10とのそれぞれの平均値は,式(8)及び式(9)から次のように求める。
mm
3.
183
20
mm
666
3
20
20
1
1
−
=
−
=
=∑
=
j
j
d
d
1
j
2
xA,j
mm
3
xB,j
mm
4
dj
mm
5
rj
mm
6
2jr
mm2
7
j
8
xA,j
mm
9
xB,j
mm
10
dj
mm
11
rj
mm
12
2jr
mm2
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
1 048
1 017
1 061
1 048
1 012
1 051
1 054
1 038
1 036
1 052
1 031
1 028
1 039
1 040
1 031
1 050
1 056
1 028
1 034
1 049
1 232
1 200
1 245
1 231
1 195
1 235
1 238
1 221
1 219
1 235
1 214
1 212
1 222
1 223
1 213
1 233
1 239
1 212
1 218
1 232
−184
−183
−184
−183
−183
−184
−184
−183
−183
−183
−183
−184
−183
−183
−182
−183
−183
−184
−184
−183
0.7
−0.3
0.7
−0.3
−0.3
0.7
0.7
−0.3
−0.3
−0.3
−0.3
0.7
−0.3
−0.3
−1.3
−0.3
−0.3
0.7
0.7
−0.3
0.49
0.09
0.49
0.09
0.09
0.49
0.49
0.09
0.09
0.09
0.09
0.49
0.09
0.09
1.69
0.09
0.09
0.49
0.49
0.09
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
1 005
1 013
1 035
1 057
1 045
1 027
1 009
1 017
1 030
1 034
1 043
1 037
1 025
1 050
1 039
1 024
1 030
1 041
1 012
1 019
1 188
1 196
1 218
1 241
1 228
1 211
1 192
1 199
1 213
1 216
1 226
1 220
1 208
1 232
1 222
1 207
1 214
1 225
1 196
1 202
−183
−183
−183
−184
−183
−184
−183
−182
−183
−182
−183
−183
−183
−182
−183
−183
−184
−184
−184
−183
−0.1
−0.1
−0.1
0.9
−0.1
0.9
−0.1
−1.1
−0.1
−1.1
−0.1
−0.1
−0.1
−1.1
−0.1
−0.1
0.9
0.9
0.9
−0.1
0.01
0.01
0.01
0.81
0.01
0.81
0.01
1.21
0.01
1.21
0.01
0.01
0.01
1.21
0.01
0.01
0.81
0.81
0.81
0.01
Σ
20 803
24 469
−3 666
0.0
6.20
Σ
20 592
24 254
−3 662
0.0
7.80
12
B 7912-2:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
mm
183.1
20
mm
662
3
20
40
21
2
−
=
−
=
=
∑
=
j
j
d
d
δは,式(10)から求める。
δ
mm
2.0
mm
1.
183
mm
3.
183
2
1
−
=
+
−
=
−
=
d
d
残差rjは高低差djを用い,式(11)及び式(12)から求める(附属書B表1の列5,11参照)。
残差rjの平方和,標準偏差s及び1 km往復に相当する標準偏差
LEV
ISO−
s
は,観測1と観測2との残差の
平方和(附属書B表1の列6及び列12の最後の項参照)を用いて,式(15)〜(18)によって求める。
2
2
2
40
1
2
mm
00
.
14
mm
80
.7
mm
20
.6
=
+
=
∑
=
j
jr
38
=
ν
mm
6.0
mm
61
.0
38
mm
00
.
14
2
≈
=
=
s
mm
8.1
mm
76
.1
89
.2
mm
61
.0
89
.2
LEV
ISO
≈
=
×
=
×
=
−
s
s
そして次の検算を行う。
− 列2の合計と列3の合計との差は,列4の合計値に等しい。
666
3
469
24
803
20
−
=
−
− 列8の合計と列9の合計との差は,列10の合計値に等しい。
662
3
545
24
592
20
−
=
−
− 列5の残差の合計は,丸め誤差を除いてゼロに等しい。
− 列11の残差の合計は,丸め誤差を除いてゼロに等しい。
B.3
統計的検定
B.3.1 問a)による統計的検定
mm
0.1
=
σ
mm
8.1
LEV
ISO
=
−
s
38
=
ν
19
.1
mm
0.1
mm
8.1
×
≤
mm
2.1
mm
8.1
≤
上の不等式は成立しないため,信頼水準0.95で帰無仮説(測定で得られた標準偏差
mm
8.1
=
s
が決めら
れた母標準偏差
mm
0.1
=
σ
に等しいか小さい。)は棄却される。
B.3.2 問b)による統計的検定
91
.1
48
.0
52
.0
91
.1
mm
76
.6
mm
24
.3
52
.0
38
mm
6.2
~
mm
8.1
2
2
≤
≤
≤
≤
=
=
=
ν
s
s
13
B 7912-2:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
上の不等式が成立しないため,信頼水準0.95で帰無仮説(標準偏差
mm
8.1
=
s
と
mm
6.2
~=
s
とが同じ母
集団に属する。)は棄却される。
B.3.3 問c)による統計的検定
mm
4.0
02
.2
mm
2.0
mm
2.0
mm
2.0
mm
2.0
38
mm
6.0
≤
×
≤
=
=
=
=
δ
δ
ν
s
s
上の不等式は成立するため,信頼水準0.95で帰無仮説(標尺のゼロ点オフセットの差は,ゼロに等しい。)
は,棄却されない。
14
B 7912-2:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS B 7912-2:2006 測量機器の現場試験手順−第2部:レベル
ISO 17123-2:2001 Optics and optical instruments−Field procedures for testing
geodetic and surveying instruments−Part 2:Levels
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異
の項目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
1.適用範囲
レベルの屋外での精
度を評価するときに
用いられる方法を規
定。
ISO
17123-1
1 Scope
JISに同じ
IDT
−
−
2.引用規格
ISO 4463-1,
ISO 7077,ISO 7078,
JIS Z 8101-1
2
JISに同じ
IDT
−
−
JIS Z 8103,
ISO 12858-1
−
MOD/追加
−
規格の構成の違いによるものであり,
技術的な差異はない。
−
ISO 9849,
ISO 17123-1,
GUM,VIM
MOD/削除
−
2
B
7
9
1
2
-2
:
2
0
0
6
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
15
B 7912-2:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異
の項目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
3.定義
JIS Z 8101-1及び
JIS Z 8103による
ほか,次を定義。
視軸偏差
ゼロ点オフセット
(ISO 12858-1)
3 Terms and
definitions
ISO 3534-1,
ISO 4463-1,
ISO 7077,
ISO 7078,
GUM及びVIM
による。
MOD/削除
MOD/追加
“視軸偏差”を定義
しているJISがない
ため,この規格で使
用する意味を定義し
た。
この規格では,ISO
12858-1で定義され
た意味で“ゼロ点オ
フセット”が使われ
ているために,その
旨を明記した。
その他については,
対応するJISを追加
し,引用していない
規格を削除した。
用語を引用した規格の違いによるもの
であり,技術的な差異はない。
4.一般
要求事項
簡易測定手順
標準測定手順
4 General
JISに同じ
IDT
−
−
5.簡易測定手順
測定場所の設定
測定
計算
5 Simplified test
procedure
JISに同じ
IDT
−
−
6.標準測定手順
測定場所の設定
測定
計算
統計的検定
6 Full test
procedure
JISに同じ
IDT
−
−
附属書A(参考) 簡易測定手順の例
Annex A
JISに同じ
IDT
−
−
附属書B(参考) 標準測定手順の例
Annex B
JISに同じ
IDT
−
−
2
B
7
9
1
2
-2
:
2
0
0
6
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
16
B 7912-2:2006
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
備考1.項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― IDT……………… 技術的差異がない。
― MOD/削除……… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
― MOD/変更……… 国際規格の規定内容を変更している。
2.JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― MOD…………… 国際規格を修正している。
2
B
7
9
1
2
-2
:
2
0
0
6
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。